(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022072692
(43)【公開日】2022-05-17
(54)【発明の名称】原料投入用シュート
(51)【国際特許分類】
B65G 11/00 20060101AFI20220510BHJP
B65G 11/20 20060101ALI20220510BHJP
B02C 4/02 20060101ALN20220510BHJP
【FI】
B65G11/00 B
B65G11/20 Z
B02C4/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020182279
(22)【出願日】2020-10-30
(71)【出願人】
【識別番号】000183303
【氏名又は名称】住友金属鉱山株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001704
【氏名又は名称】弁理士法人山内特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】内藤 慶一
【テーマコード(参考)】
3F011
4D063
【Fターム(参考)】
3F011AA03
3F011BA02
3F011BB01
3F011BC08
4D063CC01
4D063GA07
4D063GA10
4D063GC02
4D063GC05
(57)【要約】
【課題】原料が高硬度で重い物であっても、シュートへの損傷が生じにくく、原料を外部へ飛散させないで破砕機へ投入できる原料投入用シュートを提供する。
【解決手段】コンベヤBと破砕機Cとの間に配置される原料投入用シュートAであって、傾斜して配置された底板1と、略垂直に配置された覆い板2と、底板1と覆い板2との間に固定された2枚の側板3,3から筒状のシュート筐体5に構成されており、底板1には、横桟11と縦桟12とを組合わせて格子状に形成された原料一時滞留手段10が形成されている。コンベヤBから原料がシュート筐体5に投入された際、原料の一部が底板1上の原料一時滞留手段10に落下して滞留する。この一時滞留した原料自体が後から落下する原料に対する緩衝材となるので底板1の損傷を防止できる。また、原料は覆い板2で外部に飛散することを防止できるので、原料の落下速度を早めて操業能率を高めることも可能である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
原料を搬送するコンベヤと該原料を破砕する破砕機との間に配置される原料投入用シュートであって、
傾斜して配置された底板と、略垂直に配置された覆い板と、前記底板と前記覆い板との間に固定された2枚の側板から筒状のシュート筐体に構成されており、
前記底板には、横桟と縦桟とを組合わせて格子状に形成された原料一時滞留手段が形成されている
ことを特徴とする原料投入用シュート。
【請求項2】
前記横桟は、複数本が前記底板の上面において横方向に延びる複数本の板材からなり、
前記縦桟は、前記底板の上面において長手方向に延びる複数本の板材からなる
ことを特徴とする請求項1記載の原料投入用シュート。
【請求項3】
前記縦桟は、隣接する横桟との間で、前記底板の横方向において異なる位置で接合されている
ことを特徴とする請求項1または2記載の原料投入用シュート。
【請求項4】
前記底板および前記覆い板は、上端の幅が広く下端の幅が狭い逆台形状に形成されている
ことを特徴とする請求項1、2または3記載の原料投入用シュート。
【請求項5】
前記シュート筐体の下端部は、破砕機の原料投入口に接続される原料排出筒に形成されている
ことを特徴とする請求項1、2、3または4記載の原料投入用シュート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原料投入用シュートに関する。さらに詳しくは、本発明は、種々の産業分野において利用可能であり、コンベヤから破砕機に原料を投入するための原料投入用シュートに関する。
【背景技術】
【0002】
コンベヤから破砕機に原料を投入するシュートとして、特許文献1、2の従来技術がある。
特許文献1の従来技術を
図5に基づき説明する。同図において、101はコンベヤ、102はシュート、103は破砕機である。コンベヤ101の先端と破砕機103の開口との間にシュート102が配置され、コンベヤ101の先端から落下する被搬送物は、シュート102によって案内され、破砕機103の開口から投入される。
しかるに、この従来技術では、被搬送物が硬度が高く重い物の場合は、シュートへの落下時あるいはシュート上の滑走時に衝撃によってシュートに穴をあけたり変形を生じさせることがある。
【0003】
特許文献2には、シュートの上面に横桟を渡しかけた構造のシュートが開示されている。このシュートにおける横桟は被搬送物を一部滞留させて後から落下してくる被搬送物を受け止め、シュートに与える衝撃を緩和させるものである。
しかるに、この従来技術では、シュートの傾斜角が緩やかなので、被搬送物が石灰石のような塊状の場合は、横桟での滞留傾向が強く、破砕機に円滑に投入されにくい。また、シュートの出口が入口と同様に広いので、破砕機に投入するためには、改めてホッパー等を設けなければならなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2019-112154号公報
【特許文献2】特開2016-37391号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記事情に鑑み、原料が高硬度で重い物であっても、シュートへの損傷が生じにくく、原料を外部へ飛散させないで破砕機へ投入できる原料投入用シュートを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1発明の原料投入用シュートは、原料を搬送するコンベヤと該原料を破砕する破砕機との間に配置される原料投入用シュートであって、傾斜して配置された底板と、略垂直に配置された覆い板と、前記底板と前記覆い板との間に固定された2枚の側板から筒状のシュート筐体に構成されており、前記底板には、横桟と縦桟とを組合わせて格子状に形成された原料一時滞留手段が形成されていることを特徴とする。
第2発明の原料投入用シュートは、第1発明において、前記横桟は、複数本が前記底板の上面において横方向に延びる複数本の板材からなり、前記縦桟は、前記底板の上面において長手方向に延びる複数本の板材からなることを特徴とする。
第3発明の原料投入用シュートは、第1または第2発明において、前記縦桟は、隣接する横桟との間で、前記底板の横方向において異なる位置で接合されていることを特徴とする。
第4発明の原料投入用シュートは、第1、第2または第3発明において、前記底板および前記覆い板は、上端の幅が広く下端の幅が狭い逆台形状に形成されていることを特徴とする。
第5発明の原料投入用シュートは、第1、第2、第3または第4発明において、前記シュート筐体の下端部は、破砕機の原料投入口に接続される原料排出筒に形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
第1発明によれば、コンベヤから原料がシュート筐体に投入された際、原料の一部が底板上の原料一時滞留手段に落下して滞留する。この一時滞留した原料自体が後から落下する原料に対する緩衝材となるので底板の損傷を防止できる。また、底板の傾斜角を大きくしても、底板ではね返った原料は覆い板で外部に飛散することを防止できるので、原料の落下速度を早めて操業能率を高めることが可能である。
第2発明によれば、複数本の横桟は、コンベヤから落下する原料を受け止めやすく、複数本の縦桟は落下してきた原料を左右に振り分けるので、原料を左右の枡目に均等に分配しやすくなる。
第3発明によれば、縦桟が上下段で互い違いに配置されているので、上段側の縦桟により左右に振り分けられる原料と、下段側の縦桟により左右に振り分けられる原料が、互いに底板の横方向にズレた位置に分配される。このため底板の全体としてみると、原料が各枡目に均等に入りやすくなり、滞留量が底板の幅方向で均一化される。
第4発明によれば、シュート筐体が上方で幅広であっても下方で幅狭となるので、原料を落下中に狭い幅に集めることができる。このため、破砕機の原料投入口に原料を投入しやすくなる。
第5発明によれば、原料排出筒で破砕機の原料投入口に直接に接続できるので、ホッパー等を必要としない。また、原料を外部に飛散させることなく、破砕機に投入できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の一実施形態に係る原料投入用シュートAの側面図である。
【
図2】
図1に示す原料投入用シュートAにおける底板1と原料一時滞留手段10を示す正面図である。
【
図3】原料一時滞留手段10の第1形態を示す部分斜視図である。
【
図4】原料一時滞留手段10の第2形態を示す部分斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
つぎに、本発明の実施形態を図面に基づき説明する。
図1に示すように、本発明の原料投入用シュートAは、原料を搬送してくるコンベヤBと原料を破砕する破砕機Cとの間に設置される。この原料投入用シュートAはコンベヤBから供給された原料を破砕機Cに投入するための装置である。
以下の実施形態では、原料として硬度が高く、重量の重い石灰石を用いる場合を例にとって説明する。
【0010】
(原料投入用シュートAの基本構成)
以下、
図1から
図3に基づき、第1実施形態に係る原料投入用シュートAの基本構成を説明する。
本実施形態の原料投入用シュートAは、傾斜して配置された底板1と、略垂直に配置された覆い板2と、底板1と覆い板2との間に固定された2枚の側板3,3から筒状のシュート筐体5に構成されている。
【0011】
前記底板1では、傾斜角にとくに制限はないが、覆い板2があることによって投入された原料の外部への飛びはねは防止されるので、大きな傾斜角にすることが可能である。このため、原料の過剰な滞留を防止し、能率よく破砕機に投入することができる。
また、前記覆い板2の主たる役目は投入原料の外部への飛びはねを防止するものであるため、厳密に垂直に設けられていることを要しない。この意味で、覆い板2は略垂直に設けられていることで足りる。
2板の側板3,3は底板1と覆い板2との間で隙間が生じないように接合される。隙間が生じないようにするのは、投入された原料の外部への飛びはねを防止するためである。
【0012】
図1および
図2に示すように、底板1および覆い板2は、上端の幅w1が広く下端の幅w2が狭い逆台形状に形成されている。このように、シュート筐体5は上方で幅広であっても下方で幅狭となるので、原料を狭い幅に集めることができる。このため、破砕機Cの原料投入口c1に原料を投入しやすくなる。
【0013】
前記シュート筐体5の下端部は、破砕機Cの原料投入口c1に接続される原料排出筒6に形成されている。このため、原料排出筒6で破砕機Cの原料投入口c1に直接に接続できるので、ホッパー等を必要としない。また、石灰石などの原料を外部に飛散させることなく、破砕機Cに投入できる。
【0014】
(原料一時滞留手段10の第1形態)
原料一時滞留手段10の第1形態を、
図1から
図3に基づき説明する。これらの図に示すように、底板1には、横桟11と縦桟12とを組合わせて格子状に形成された原料一時滞留手段10が形成されている。横桟11は底板1の上面において横方向(
図2における左右方向)に延びる板材であり、縦桟12は底板1の上面において縦方向(
図2における上下方向)に延びる板材である。縦方向とは底板1の長手方向をいい、投下された原料の落下方向でもある。
【0015】
原料一時滞留手段10は図示のように底板1のほぼ全面に形成してもよく、部分的に形成してもよい。
部分的に原料一時滞留手段10を形成する場合、コンベヤBから直接原料が落下する部位に設けることが好ましい。また、コンベヤBからの落差が大きい底板1の下方領域に原料一時滞留手段10を設けてもよい。
【0016】
第1形態の原料一時滞留手段10における横桟11は、既述のごとく底板1の上面において横方向に延びる並列に設置された複数本の板材からなる。この横桟11は底板1の横幅まで延びる一枚物の板材であることが好ましい。一枚物の板材であると原料を投入されたときの衝撃に耐えるための強度を確保しやすいからである。
【0017】
縦桟12は、底板1の上面において縦方向に延びる並列に配置された複数本の板材からなる。図示の縦桟12は上下に隣接する横桟11,11間に嵌められた短い板材である。縦桟12自体は短いが、複数枚の縦桟12が一列で延びる方向は底板1の縦方向である。また、縦桟12は側面視で三角形であり、底辺が底板1に溶接等で固定され、下流側の端辺が横桟11に溶接等で固定されている。
このように、横桟11と縦桟12は共に格子状に組み合わされて、底板1上に多数の枡目が設けられている。そして、各枡目のなかに原料を一時滞留させることができる。
【0018】
第1形態における縦桟12は、上下に隣接する横桟11の間で、底板1の横方向において異なる位置で接合されている。具体的には、下段側の隣接する2枚の縦桟12,12の間の略中間位置に、上段側の縦桟12が位置している。換言すれば、上段側の縦桟12を延伸した位置を避けるように、下段側の縦桟12が配置されている。つまり、縦桟12を上下段で互い違いに配置されている。
【0019】
本実施形態の原料一時滞留手段10において、コンベヤBから投下された石灰石などの原料mが縦桟12の上縁に当たると、縦桟12によって左右に振り分けられて左右の枡目に分配される。この効果は縦桟12が存在する以上、どのように配置されていても発揮される。
そして、
図3に示すように、縦桟12が上下段で互い違いに配置されている場合は、上段側の縦桟12により左右に振り分けられる原料mと、下段側の縦桟12により左右に振り分けられる原料mが、互いに底板1の横方向にズレた位置に分配される。このため、底板1の全体としてみると、原料mが各枡目に均等に入りやすくなり、滞留量が底板1の幅方向で均一化される。
【0020】
図1から
図3の実施形態では、横桟11を長尺物で構成し縦桟12を短尺物で構成したが、これを逆にして、横桟11を短尺物にし、縦桟12を長尺物にしてもよい。
また、各段の縦桟12は、底板1の横方向における取付け位置を変えず、底板1の横方向において同じ位置に取付けてもよい。
この実施形態においても、原料一時滞留手段10において、コンベヤBから投入された石灰石などの原料mが縦桟12の上縁に当たると、縦桟12によって左右に振り分けられて左右の枡目に分配されやすくなる。
【0021】
(原料一時滞留手段10の第2形態)
原料一時滞留手段10の第2形態を
図4に基づき説明する。なお、原料投入用シュートAの基本構造は既に説明しているものと変わらない。
第2形態における原料一時滞留手段10では、縦桟13として側面視四角形の板材を用いている。
四角形の縦桟13の上流側と下流側の端辺は、上下に隣接する横桟11,11に共に固定されている。固定は溶接等任意の手段が用いられる。
このように、四角形の横桟11を縦桟13で上下から支えるように保持すると、横桟11の原料保持力が高くなるので、原料投入時の衝撃にもよく耐えて損傷が生じにくくなる
【0022】
また、縦桟13は、上下に隣接する横桟11の間で、底板1の横方向において異なる位置で接合されている。具体的には、下段側の隣接する2枚の縦桟13,13の間の略中間位置に、上段側の縦桟13が位置している。つまり、縦桟13を上下段で互い違いに配置されている。
【0023】
本実施形態の原料一時滞留手段10において、コンベヤBから投下された石灰石などの原料mが縦桟13の上縁に当たると、縦桟13によって左右に振り分けられて左右の枡目に分配される。この効果は縦桟13が存在する以上、どのように配置されていても発揮される。
そして、
図4に示すように、縦桟13が上下段で互い違いに配置されている場合は、上段側の縦桟13により左右に振り分けられる原料mと、下段側の縦桟13により左右に振り分けられる原料mが、互いに底板1の横方向にズレた位置に分配される。このため、底板1の全体としてみると、原料mが各枡目に均等に入りやすくなり、滞留量が底板1の幅方向で均一化される。
【0024】
図4の実施形態では、横桟11を長尺物で構成し縦桟13を短尺物で構成したが、これを逆にして、横桟11を短尺物にし、縦桟13を長尺物にしてもよい。
また、各段の縦桟13は、底板1の横方向における取付け位置を変えず、底板1の横方向において同じ位置に取付けてもよい。
この実施形態においても、原料一時滞留手段10において、コンベヤBから投下された石灰石などの原料mが縦桟橋13の上縁に当たると、縦桟13によって左右に振り分けられて左右の枡目に分配されやすくなる。
【0025】
(本発明の実施形態の利点)
本発明の実施形態における利点はつぎのとおりである。
(1)原料一時滞留手段10が、第1形態のものであっても、第2形態のものであっても、原料一時滞留手段10に一時滞留した原料m自体が後から落下する原料mに対する緩衝材となるので、原料mが硬度の高い重い石灰石であっても底板1の損傷を防止できる。
(2)原料mは覆い板2で外部に飛散することが防止されるので、原料mの落下速度を早めて操業能率を高めることも可能である。
【0026】
(3)複数本の横桟11は、コンベヤBから落下する原料mを受け止めやすく、複数本の縦桟12,13は落下してきた原料mを左右に振り分けるので、原料mを左右の枡目に均等に分配しやすくなる。
(4)縦桟12,13が上下段で互いに配置されている原料一時滞留手段10では縦桟12,13により左右に振り分けられる原料mが、互いに底板1の横方向にズレた位置に分配されるので、原料mの滞留量が底板1の幅方向で均一化される。
(5)シュート筐体5が上方で幅広であっても下方で幅狭となるので、原料mを落下中に狭い幅に集めることができる。このため、破砕機の原料投入口に原料mを投入しやすくなる。
(6)原料排出筒6で破砕機Cの原料投入口c1に直接に接続できるので、ホッパー等を必要としない。また、石灰石などの原料を外部に飛散させることなく、破砕機Cに投入できる。
【産業上の利用可能性】
【0027】
本発明の原料投入用シュートは、原料として石灰石のような硬く重いものを扱う場合に、とくに有用であるが、扱う原料は石灰石に限らず種々の原料を取り扱うことができる。
【符号の説明】
【0028】
1 底板
2 覆い板
3 側板
5 シュート筐体
6 原料排出筒
10 原料一時滞留手段
11 横桟
12 縦桟
13 縦桟