(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022073204
(43)【公開日】2022-05-17
(54)【発明の名称】希土類金属錯体の製造方法、希土類金属錯体及び発光装置
(51)【国際特許分類】
C07F 5/00 20060101AFI20220510BHJP
C09K 11/06 20060101ALI20220510BHJP
C07C 251/24 20060101ALN20220510BHJP
C07C 49/80 20060101ALN20220510BHJP
【FI】
C07F5/00 D CSP
C09K11/06
C07C251/24
C07C49/80
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020183034
(22)【出願日】2020-10-30
(71)【出願人】
【識別番号】000226057
【氏名又は名称】日亜化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000707
【氏名又は名称】弁理士法人市澤・川田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】井上 浩希
(72)【発明者】
【氏名】蔵本 雅史
(72)【発明者】
【氏名】塩田 勇樹
【テーマコード(参考)】
4H006
4H048
【Fターム(参考)】
4H006AA03
4H006AB84
4H048AA01
4H048AA02
4H048AA03
4H048AB92
4H048AC41
4H048BC31
4H048VA11
4H048VA20
4H048VA30
4H048VB10
(57)【要約】
【課題】発光特性を高めることができる希土類金属錯体の製造方法、希土類金属錯体及び発光装置を提供する。
【解決手段】シッフ塩基配位子とβ-ジケトナト配位子と希土類金属原子とを含む第1希土類金属錯体を溶解した非プロトン性極性溶媒を含む第1溶液と、前記第1希土類金属錯体が溶解しない非極性溶媒を含む第2溶液と、を準備し、前記第1溶液と前記第2溶液を接触させて、シッフ塩基配位子とβ-ジケトナト配位子と希土類金属原子とを含む第2希土類金属錯体を析出させること、を含む希土類金属錯体の製造方法である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シッフ塩基配位子とβ-ジケトナト配位子と希土類金属原子とを含む第1希土類金属錯体を溶解した非プロトン性極性溶媒を含む第1溶液と、前記第1希土類金属錯体が溶解しない非極性溶媒を含む第2溶液と、を準備し、
前記第1溶液と前記第2溶液を接触させて、シッフ塩基配位子とβ-ジケトナト配位子と希土類金属原子とを含む第2希土類金属錯体を析出させること、を含む希土類金属錯体の製造方法。
【請求項2】
前記第2希土類金属錯体を析出させる工程において、前記第2溶液を連続的に撹拌しながら、前記第1溶液を前記第2溶液に連続的に滴下して、前記第2希土類金属錯体を析出させる、請求項1に記載の希土類金属錯体の製造方法。
【請求項3】
前記第2希土類金属錯体を析出させる工程において、前記第1溶液中の前記第1希土類金属錯体の濃度が0.01モル/L以上0.027モル/L以下の範囲内である、請求項1又は2に記載の希土類金属錯体の製造方法。
【請求項4】
前記第2希土類金属錯体を析出させる工程において、前記第2溶液に対する前記第1溶液の体積比(第1溶液/第2溶液)が1から5であり、前記第2溶液の撹拌速度が200rpm以上400rpm以下の範囲内である、請求項2又は3に記載の希土類金属錯体の製造方法。
【請求項5】
前記第2希土類金属錯体を析出させる工程において、前記第1溶液の滴下速度が1mL/分以上5mL/分以下の範囲内である、請求項2から4のいずれか1項に記載の希土類金属錯体の製造方法。
【請求項6】
前記第2希土類金属錯体を析出させる工程において、前記第1溶液に、前記第2溶液を滴下して、前記第2希土類金属錯体を析出させる、請求項1に記載の希土類金属錯体の製造方法。
【請求項7】
前記第2希土類金属錯体を析出させる工程において、前記第1溶液中の前記第1希土類金属錯体の濃度が0.01モル/L以上0.023モル/L以下の範囲内である、請求項6に記載の希土類金属錯体の製造方法。
【請求項8】
前記第2希土類金属錯体を析出させる工程において、前記第2溶液に対する前記第1溶液の体積比(第1溶液/第2溶液)が1から5である、請求項6又は7に記載の希土類金属錯体の製造方法。
【請求項9】
前記第2希土類金属錯体を析出させる工程において、前記第2希土類金属錯体が、下記化学式(I)、(I’)及び(I”)で表される希土類金属錯体の少なくとも1種である、請求項1から8のいずれか1項に記載の希土類金属錯体の製造方法。
【化16】
【化17】
【化18】
[化学式(I)、(I’)及び(I”)中、nは、1から3の整数を表す。]
【請求項10】
前記第1溶液と前記第2溶液とを準備する工程において、前記非プロトン性極性溶媒が、テトラヒドロフラン及びジクロロメタンからなる群から選択される少なくとも1種である、請求項1から9のいずれか1項に記載の希土類金属錯体の製造方法。
【請求項11】
前記第1溶液と前記第2溶液とを準備する工程において、前記非極性溶媒が、ヘキサン、トルエン及びメチルシクロヘキサンからなる群から選択される少なくとも1種である、請求項1から10のいずれか1項に記載の希土類金属錯体の製造方法。
【請求項12】
シッフ塩基配位子と、β-ジケトナト配位子と、希土類金属原子と、を含む希土類金属錯体であって、
レーザー回折散乱法で測定した中心粒径Dmが10μm以上30μm以下の範囲内であり、前記希土類金属錯体の励起スペクトルにおいて、450nmにおける励起効率が80%以上である、希土類金属錯体。
【請求項13】
前記希土類金属錯体が、下記化学式(I)、(I’)及び(I”)で表される希土類金属錯体の少なくとも1種である、請求項12に記載の希土類金属錯体。
【化19】
【化20】
【化21】
[化学式(I)、(I’)及び(I”)中、nは、1から3の整数を表す。]
【請求項14】
請求項12又は13の希土類金属錯体と、励起光源と、を備えた発光装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、希土類金属錯体の製造方法、希土類金属錯体及び発光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
希土類金属錯体は、蛍光体プローブ、レーザー発光体、バイオイメージング、センサー、セキュリティインク、及び照明などの発光部材に用いられている。希土類金属錯体は、例えば、青色の比較的短波長の可視光により励起されて長波長の光を発光することができるものもあり、発光ダイオード(Light Emitting Diode、以下「LED」ともいう。)やレーザーダイオード(Laser Diode、以下「LD」ともいう。)の発光素子と組み合わせて、発光装置に用いることが期待されている。
【0003】
希土類金属錯体を含む希土類金属錯体組成物は、種々の発光量子効率を示すものが報告されている。例えば、特許文献1には、β-ジケトナト配位子とフェナントリル配位子を有する希土類金属錯体が開示されている。また、特許文献2には、Pybox(ピボックス)誘導体配位子とCyclen(サイクレン)誘導体配位子を有する希土類金属錯体が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2014-031348号公報
【特許文献2】特開2007-238650号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
希土類金属錯体は、さらに発光特性を高めることが求められている。
本発明の一態様は、発光特性を高めることができる希土類金属錯体の製造方法、希土類金属錯体及び発光装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第一の態様は、シッフ塩基配位子とβ-ジケトナト配位子と希土類金属原子とを含む第1希土類金属錯体を溶解した非プロトン性極性溶媒を含む第1溶液と、前記第1希土類金属錯体が溶解しない非極性溶媒を含む第2溶液と、を準備し、前記第1溶液と前記第2溶液を接触させて、シッフ塩基配位子とβ-ジケトナト配位子と希土類金属原子とを含む第2希土類金属錯体を析出させること、を含む希土類金属錯体の製造方法である。
【0007】
本発明の第二の態様は、シッフ塩基配位子と、β-ジケトナト配位子と、希土類金属原子と、を含む希土類金属錯体であって、レーザー回折散乱法で測定した中心粒径Dmが10μm以上30μm以下の範囲内であり、前記希土類金属錯体の励起スペクトルにおいて、450nmにおける励起効率が80%以上である、希土類金属錯体である。
【0008】
本発明の第三の態様は、前記希土類金属錯体と、励起光源と、を備えた発光装置である。
【発明の効果】
【0009】
本発明の一態様によれば、発光特性を高めることができる希土類金属錯体の製造方法、希土類金属錯体及び発光装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】第一の態様の希土類金属錯体の製造方法の第一例を示すフローチャートである。
【
図2】第一の態様の希土類金属錯体の製造方法の第二例を示すフローチャートである。
【
図3】発光装置の一例を示す概略構成を示す概略断面図である。
【
図4】発光装置の一例を示す概略構成を示す概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明に係る希土類金属錯体の製造方法、希土類金属錯体及び発光装置を一実施形態に基づいて説明する。ただし、以下に示す実施形態は、本発明の技術思想を具現化するための例示であって、本発明は、以下の波長変換部材及び発光装置に限定されない。なお、色名と色度座標との関係、光の波長範囲と単色光の色名との関係は、JIS Z8110に従う。
【0012】
希土類金属錯体の製造方法
希土類金属錯体の製造方法は、シッフ塩基配位子とβ-ジケトナト配位子と希土類金属原子とを含む第1希土類金属錯体を溶解した非プロトン性極性溶媒を含む第1溶液と、前記第1希土類金属錯体が溶解しない非極性溶媒を含む第2溶液とを準備し、前記第1溶液と前記第2溶液を接触させて、シッフ塩基配位子とβ-ジケトナト配位子と希土類金属原子とを含む第2希土類金属錯体を析出させること、を含む。
【0013】
第1希土類金属錯体を溶解した非プロトン性極性溶媒を含む第1溶液と、第1希土類金属錯体が溶解しない非極性溶媒を含む第2溶液とを準備して、第1溶液と第2溶液を接触させ、第1溶液と第2溶液の溶解度の差により、第2希土類金属錯体を析出させることによって得られる第2希土類金属錯体は、レーザー回折散乱法で測定した中心粒径Dmが10μm以上に大きくなる。また、得られた第2希土類金属錯体は、第2希土類金属錯体の励起スペクトルにおいて、450nmにおける励起効率が80%以上となり、第1希土類金属錯体よりも輝度及び量子効率が高くなる。
【0014】
第1希土類金属錯体
第1希土類金属錯体は、第1希土類金属原子に、シッフ塩基配位子及びβ-ジケトナト配位子が共に配位しているものである。第1希土類金属錯体に含まれる希土類金属原子Lnは、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb及びLuからなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。第1希土類金属錯体に含まれる希土類金属原子Lnは、Eu、Sm、Dy、Tb及びTmからなる群から選択される少なくとも1種であることがより好ましく、Eu、Sm、Dy及びTmからなる群から選択される少なくとも1種であることがさらに好ましく、Euであることが特に好ましい。これらの希土類金属原子Lnは、1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0015】
第1希土類金属錯体:シッフ塩基配位子
第1希土類金属錯体に含まれるシッフ塩基配位子は、下記化学式(II)で表される2組のアゾメチン基を有する配位子であることが好ましい。
【化1】
[化学式(II)において、
A
1は、OH基、SH基又はOD基を示し、
A
2は、メチル基を示し、
A
3は、C2~C6のアルキレン基から選択される結合基を示す。]
【0016】
後述する化学式(I)で表されるシッフ塩基配位子は、水酸基(OH)で希土類金属(EuIII)と結合する。化学式(II)で表されるシッフ塩基配位子は、2組のA1の片方のA1のみで、希土類金属原子と配位結合を形成してもよく、両方のA1で、同じ希土類金属原子と配位結合を形成しても、別々の希土類金属原子と配位結合を形成してもよい。
【0017】
第1希土類金属錯体に含まれるシッフ塩基配位子は、下記化学式(III)で表される2組の水酸基及びアゾメチン基を有する配位子であることがより好ましい。化学式(III)で表されるシッフ塩基配位子は、2組の水酸基の片方の水酸基のみで、希土類金属原子と配位結合を形成してもよく、両方の水酸基で、同じ希土類金属原子と配位結合を形成しても、別々の希土類金属原子と配位結合を形成してもよい。
【化2】
【0018】
第1希土類金属錯体:β-ジケトナト配位子
第1希土類金属錯体に含まれるβ-ジケトナト配位子は、下記化学式(IV)で表されるβ-ジケトナト配位子であることが好ましい。
【化3】
[化学式(IV)において、
Xは、両方共同一であっても各々が異なってもよく、
芳香族基;
パーハロゲン化芳香族基;
少なくとも1種のヘテロ原子を環中に含むヘテロ芳香族基;
直鎖又は分枝を有するC1~C30のアルキル基、及び
直鎖又は分枝を有するC1~C30のパーハロゲン化アルキル基から選択される一又は二以上の置換基であり、
Zは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、シアノ基、メチル基、エチル基、フェニル基、水素原子又は重水素原子を示す。]
【0019】
β-ジケトナト配位子は、1価のアニオンであって、2つの酸素原子(O)で希土類金属原子に配位することができる。β-ジケトナト配位子は、希土類金属原子との間に2つの配位結合を形成することができる。
【0020】
第1希土類金属錯体に含まれるβ-ジケトナト配位子は、下記化学式(V)で表されるβ―ジケトナト配位子であることがより好ましい。
【化4】
【0021】
第1希土類金属錯体は、下記化学式(VI)で表される希土類金属錯体、下記化学式(VI’)で表される鎖状構造を有する希土類金属錯体、及び下記化学式(VI”)で表される環状構造を有する希土類金属錯体のいずれかであることが好ましい。第1希土類金属錯体は、下記化学式(VI)、(VI’)及び(VI”)のいずれかで表される配位構造を有することが好ましい。第1希土類金属錯体は、下記化学式(VI)、(VI’)及び(VI”)で表される希土類金属錯体の少なくとも1種であることが好ましく、下記化学式(VI)、(VI’)及び(VI”)で表される希土類金属錯体の2種以上を含んでいてもよく、下記化学式(VI)、(VI’)及び(VI”)で表される希土類金属錯体の3種を含んでいてもよい。
【0022】
【化5】
【化6】
【化7】
[化学式(VI)、(VI’)及び(VI”)において、Lnは、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb及びLuからなる群から選択される少なくとも1種の希土類金属原子であり、
A
1、A
2及びA
3は、化学式(II)のものと同様であり、
X及びZは、化学式(IV)のものと同様であり、
n1は、2又は3を表し、
n2は、1から3の整数を表し、
n3は、2以上の整数を表す。]
【0023】
第1希土類金属錯体は、下記化学式(I)で表される希土類金属錯体、下記化学式(I’)で表される鎖状構造を有する希土類金属錯体、及び下記化学式(I”)で表される環状構造を有する希土類金属錯体のいずれかであることが好ましい。第1希土類金属錯体は、下記化学式(I)、(I’)及び(I”)のいずれかで表される配位構造を有することが好ましい。第1希土類金属錯体は、下記化学式(I)、(I’)及び(I”)で表される希土類金属錯体の少なくとも1種であることが好ましく、下記化学式(I)、(I’)及び(I”)で表される希土類金属錯体の2種以上を含んでいてもよく、下記化学式(I)、(I’)及び(I”)で表される希土類金属錯体の3種を含んでいてもよい。第1希土類金属錯体は、[HO-CH
6H
4-C(CH
3)=N-(CH
2)
4-N=C(CH
3)-C
6H
4-OH]-Eu
III-(CF
3-CO-CH
2-CO-C
6H
5)3で表される希土類金属錯体でもよく、C
50H
42Eu
IIIF
9N
2O
6で表され、シッフ塩基配位子がβ-ジケトナト配位子に配位している希土類金属(Eu
III)と配位する構造をとり、結晶構造をとってもよく、シッフ塩基配位子が、水酸基(OH)で希土類金属(Eu
III)と鎖状又は環状に結合する配位高分子構造であってもよい。
【化8】
【化9】
【化10】
[化学式(I)、(I’)及び(I”)において、nは、1から3の整数を表す。]
【0024】
化学式(I)から(VI)において、A1又は水酸基(OH)から延びる点線、A1とLn又は希土類金属(EuIII)の間の点線、OとLn又は希土類金属(EuIII)の間の点線は、それぞれ1つの配位結合を示す。
【0025】
第1溶液及び第2溶液を準備する工程
第1溶液は、前記第1希土類金属錯体を溶解した非プロトン性極性溶媒を含む。第2溶液は、前記第1希土類金属錯体が溶解しない非極性溶媒を含む。
【0026】
非プロトン性極性溶媒
第1希土類金属錯体を溶解させて第1溶液を形成する非プロトン性極性溶媒は、テトラヒドロフラン及びジクロロメタンからなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。非プロトン性極性溶媒が、テトラヒドロフラン及びジクロロメタンからなる群から選択される少なくとも1種であれば、第1希土類金属錯体を溶解させる良溶媒として使用することができ、レーザー回折散乱法で測定した中心粒径Dmが10μm以上に大きくなり、励起スペクトルにおいて、450nmにおける励起効率が80%以上となり、第1希土類金属錯体よりも発光特性の高い第2希土類金属錯体を得ることができる。非プロトン性溶媒は、第1希土類金属錯体の溶解性が高くなるように、比誘電率が5以上であるものが好ましい。テトラヒドロフランの比誘電率は7.5であり、ジクロロメタンの比誘電率は8.9である。
【0027】
非極性溶媒
第1希土類金属錯体が溶解しない非極性溶媒は、ヘキサン、トルエン及びメチルシクロヘキサンからなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。非極性溶媒として、ヘキサン、トルエン及びメチルシクロヘキサンからなる群から選択される少なくとも1種の非極性溶媒を含む第2溶液は、第1希土類金属錯体を溶解させない貧溶媒として使用することができる。第1溶液と第2溶液の第1希土類金属錯体の溶解度の違いにより、レーザー回折散乱法で測定した中心粒径Dmが10μm以上に大きくなり、希土類金属錯体の励起スペクトルにおいて、450nmにおける励起効率が80%以上となり、第1希土類金属錯体よりも発光特性の高い第2希土類金属錯体を得ることができる。
【0028】
第2希土類金属錯体を析出させる工程1
第2希土類金属錯体を析出させる工程において、第2溶液を連続的に撹拌しながら、第1溶液を第2溶液に連続的に滴下して、第2希土類金属錯体を析出させてもよい。第2希土類金属錯体を析出させる工程において、第2溶液を連続的に撹拌しながら、第1溶液を第2溶液に連続的に滴下して、第2希土類金属錯体を析出させる方法を再沈殿法ともいう。
図1は、第一の態様の希土類金属錯体の製造方法の第一例を示すフローチャートである。第一の態様の希土類金属錯体の製造方法の第一例は、第1溶液及び第2溶液を準備する工程S101と、第2希土類金属錯体を析出させる工程S102を含む。第2希土類金属錯体を析出させる工程S102は、第1溶液を第2溶液に滴下する工程S102-1を含んでいてもよい。第1溶液を第2溶液に滴下する工程S102-1において、第2溶液を連続的に撹拌しながら、第1溶液を連続的に滴下することが好ましい。
【0029】
第1溶液を第2溶液に連続的に滴下する再沈殿法による場合、第1溶液中の第1希土類金属錯体の濃度は、0.01モル/L以上0.027モル/L以下の範囲内であることが好ましく、0.011モル/L以上0.026モル/L以下の範囲内でもよく、0.012モル/L以上0.025モル/L以下の範囲内でもよい。第1溶液を第2溶液に連続的に滴下する場合に、第1溶液中の第1希土類金属錯体の濃度が0.01モル/L以上0.027モル/L以下の範囲内であれば、レーザー回折散乱法で測定した中心粒径Dmが10μm以上に大きくなり、希土類金属錯体の励起スペクトルにおいて、450nmにおける励起効率が80%以上となり、第1希土類金属錯体よりも発光特性の高い第2希土類金属錯体を得ることができる。
【0030】
第2希土類金属錯体を析出させる工程において、第1溶液を第2溶液に連続的に滴下する再沈殿法による場合に、第2溶液に対する第1溶液の体積比(第1溶液/第2溶液)が1から5であり、第2溶液の撹拌速度が200rpm以上400rpm以下の範囲内であることが好ましい。第1溶液を第2に溶液に連続的に滴下する場合、第2溶液に対する第1溶液の体積比(第1溶液/第2溶液)は1から4であってもよく、1から3であってもよく、1から2であってもよく、1対1であってもよい。第1溶液を第2溶液に連続的に滴下する場合に、第2溶液の撹拌速度が210rpm以上380rpm以下の範囲内であることがより好ましく、220rpm以上370rpm以下の範囲であることがさらに好ましい。第1溶液を第2溶液に連続的に滴下する場合に、第2溶液に対する第1溶液の体積比が1から5であり、第2溶液の撹拌速度が200rpm以上400rpm以下の範囲内であると、レーザー回折散乱法で測定した中心粒径Dmが10μm以上に大きくなり、希土類金属錯体の励起スペクトルにおいて、450nmにおける励起効率が80%以上となり、第1希土類金属錯体よりも発光特性の高い第2希土類金属錯体を得ることができる。
【0031】
第2希土類金属錯体を析出させる工程において、第1溶液を第2溶液に連続的に滴下する再沈殿法による場合に、第1溶液の滴下速度が1mL/分以上5mL/分以下の範囲内であることが好ましく、2mL/分以上4mL/分以下の範囲内であってもよい。第1溶液を第2溶液に連続的に滴下する場合には、第1溶液の滴下速度が1mL/分以上5mL/分以下の範囲内であると、レーザー回折散乱法で測定した中心粒径Dmが10μm以上に大きくなり、希土類金属錯体の励起スペクトルにおいて、450nmにおける励起効率が80%以上となり、第1希土類金属錯体よりも発光特性の高い第2希土類金属錯体を得ることができる。
【0032】
第2希土類金属錯体を析出させる工程2
第2希土類金属錯体を析出させる工程において、第1溶液に、第2溶液を滴下して、第2希土類金属錯体を析出させてもよい。第2希土類金属錯体を析出させる工程において、第1溶液に、第2溶液を滴下して、第2希土類金属錯体を析出させる方法を再結晶法ともいう。
図2は、第一の態様の希土類金属錯体の製造方法の第二例を示すフローチャートである。第一の態様の希土類金属錯体の製造方法の第二例は、第1溶液及び第2溶液を準備する工程S101と、第2希土類金属錯体を析出させる工程S102を含む。第2希土類金属錯体を析出させる工程S102は、第1溶液に、第2溶液を滴下する工程S102-2を含んでいてもよい。第1溶液に、第2溶液を滴下する工程S102-2において、第1溶液は撹拌しないことが好ましい。
【0033】
第1溶液に、第2溶液を滴下する再結晶法による場合、第1溶液中の第1希土類金属錯体の濃度は、0.01モル/L以上0.023モル/L以下の範囲内であることが好ましく、0.011モル/L以上0.022モル/L以下の範囲内でもよく、0.012モル/L以上0.021モル/L以下の範囲内でもよい。第1溶液に、第2溶液を滴下する場合に、第1溶液中の第1希土類金属錯体の濃度が0.01モル/L以上0.023モル/L以下の範囲内であれば、レーザー回折散乱法で測定した中心粒径Dmが10μm以上に大きくなり、希土類金属錯体の励起スペクトルにおいて、450nmにおける励起効率が80%以上となり、第1希土類金属錯体よりも発光特性の高い第2希土類金属錯体を得ることができる。
【0034】
第2希土類金属錯体を析出させる工程において、第1溶液に、第2溶液を滴下する再結晶法による場合に、第2溶液に対する第1溶液の体積比(第1溶液/第2溶液)が1から5であることが好ましく、1から4であってもよく、1から3であってもよく、1から2であってもよく、1対1であってもよい。第1溶液に、第2溶液を滴下する場合に、第2溶液に対する第1溶液の体積比が1から5であると、レーザー回折散乱法で測定した中心粒径Dmが10μm以上に大きくなり、希土類金属錯体の励起スペクトルにおいて、450nmにおける励起効率が80%以上となり、第1希土類金属錯体よりも発光特性の高い第2希土類金属錯体を得ることができる。
【0035】
第2希土類金属錯体を析出させる工程において、第1溶液に、第2溶液を滴下する再結晶法による場合の滴下速度は、特に制限されることなく、第2溶液に対する第1溶液の体積比が1から5である場合は、第1溶液に第2溶液を一度に添加してもよく、第2溶液の滴下速度が2mL/分以上20mL/分以下の範囲内であってもよく、2mL/分以上15mL/分以下の範囲内であってもよく、2mL/分以上10mL/分以下の範囲内であってもよい。
【0036】
第2希土類金属錯体
第2希土類金属錯体は、第1希土類金属錯体と同様の化学式で表されるものであることが好ましく、前記化学式(VI)、(VI’)及び(VI”)で表される希土類金属錯体の少なくとも1種であることが好ましく、前記化学式(VI)、(VI’)及び(VI”)で表される希土類金属錯体の2種以上を含んでいてもよく、前記化学式(VI)、(VI’)及び(VI”)で表される希土類金属錯体の3種を含んでいてもよい。第2希土類金属錯体は、前記化学式(I)、(I’)及び(I”)で表される希土類金属錯体の少なくとも1種であることが好ましく、前記化学式(I)、(I’)及び(I”)で表される希土類金属錯体の2種以上を含んでいてもよく、前記化学式(I)、(I’)及び(I”)で表される希土類金属錯体の3種を含んでいてもよい。
【0037】
希土類金属錯体
第二の態様の希土類金属錯体は、シッフ塩基配位子と、β-ジケトナト配位子と、希土類金属原子と、を含む希土類金属錯体であって、レーザー回折散乱法で測定した中心粒径Dmが10μm以上30μm以下の範囲内であり、希土類金属錯体の励起スペクトルにおいて、450nmにおける励起効率が80%以上である。希土類金属錯体が、レーザー回折散乱法で測定した中心粒径Dmが10μm以上30μm以下の範囲内であると、励起光源からの光をよく吸収して波長変換し、輝度が高い光を出射することができる。また、希土類金属錯体が、励起スペクトルにおいて、450nmにおける励起効率が80%以上であると、380nm以上450nm以下の範囲内に発光ピーク波長を有するLED及びLDの半導体発光素子の励起光、より具体的には450nmに発光ピーク波長を有する光を吸収しやすくなり、輝度の高い光を出射しやすくなる。希土類金属錯体は、前述の製造方法によって製造されたものであることが好ましい。希土類金属錯体の中心粒径Dmは、11μm以上28μm以下の範囲内でもよく、12μm以上25μm以下の範囲内でもよい。レーザー回折散乱法は、希土類金属錯体の粒子に照射したレーザー光の散乱光を利用して、一次粒子及び二次粒子を区別することなく粒径を測定する方法である。レーザー回折散乱法による中心粒径Dmは、レーザー回折散乱法により測定された体積基準の粒度分布において、小径側からの体積累積頻度が50%に達する中心粒径(メジアン径:Dm)である。レーザー回折散乱法による中心粒径は、例えばレーザー回折散乱式粒度分布測定装置(MASTER SIZER 3000、MALVERN社製)を用いて測定することができる。
【0038】
希土類金属錯体は、前述の第1希土類金属錯体及び第2希土類金属錯体と同様の化学式で表されるものであることが好ましく、前記化学式(VI)、(VI’)及び(VI”)で表される希土類金属錯体の少なくとも1種であることがより好ましく、前記化学式(I)、(I’)及び(I”)で表される希土類金属錯体の少なくとも1種であることがさらに好ましい。
【0039】
発光装置
第三の態様の発光装置は、前記希土類金属錯体と、励起光源とを備えた発光装置である。希土類金属錯体は、発光装置の波長変換部材に含まれていてもよい。発光装置の励起光源は、LEDチップ又はLDチップからなる半導体発光素子であることが好ましい。半導体発光素子は、窒化物系半導体(InXAlYGa1-X-YN、0≦X、0≦Y、X+Y≦1)を用いることができる。励起光源として半導体発光素子を用いることによって、高効率で、入力に対する出力のリニアリティが高く、機械的衝撃にも強い安定した発光装置を得ることができる。
【0040】
希土類金属錯体が含まれる波長変換部材は、希土類金属錯体の他に、樹脂を含んでいてもよく、無機蛍光体を含んでいてもよい。樹脂は、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂及びこれらの変性樹脂が挙げられる。無機蛍光体は、例えば、Mnを含むフッ化物蛍光体が挙げられる。波長変換部材は、希土類金属錯体を含む波長変換シートと、透光性部材とを備えていてもよい。透光性部材は、ガラスや樹脂のような透光性材料からなる板状体が挙げられる。
【0041】
図3及び
図4は、第三の態様の発光装置の一例を示し、
図3は発光装置100を示す概略断面図である。
図4は、発光装置100の概略斜視図である。
【0042】
図3及び
図4に示す発光装置100は、側面発光型(「サイドビュー型」とも呼ばれる。)であるが、上面発光型(「トップビュー型」とも呼ばれる。)にすることも可能である。
【0043】
発光装置100は、励起光源となる発光素子10と、波長変換部材50とを備える。波長変換部材50は、希土類金属錯体と、樹脂と、必要に応じて無機蛍光体とを含む波長変換シート20と、必要に応じて透光性のガスバリアフィルム30と、透光性部材40とを備える。発光素子10は、基板90の配線91上に導電性接着剤60を介して、フリップチップ実装されていてもよい。基板90は、配線91と、配線91を保持する基体92とを備える。波長変換部材50は波長変換シート20の光の入射面20aが発光素子10の一つの面に導光部材80を介して接着されている。被覆部材70は、基板90上に形成され、導電性接着剤60、発光素子10、導光部材80、波長変換シート20、ガスバリアフィルム30及び透光性部材40を含む波長変換部材50の側面を被覆し、導電性接着剤60、発光素子10、導光部材80及び波長変換部材50の全周囲を包囲している。波長変換部材50の前面と被覆部材70の前面は、実質的に同一面を構成している。
【実施例0044】
以下、本開示を実施例により具体的に説明する。本開示は、これらの実施例に限定されるものではない。
【0045】
希土類金属錯体
下記原料を用いた。
【0046】
シッフ塩基(水酸基とアゾメチン基を有する配位子)(a)
(a1)N,N’-ビス(p-ヒドロキシフェニルアセチリデン)1,4-ブチレンジアミン(H21,4-acebn)[HO-CH6H4-C(CH3)=N-(CH2)4-N=C(CH3)-C6H4-OH](ベンゼン環は共にオルト置換である。)
【0047】
【0048】
Β-ジケトナト配位子(b)
(b1)ベンゾイルトリフルオロアセトン(btfa)[CF3-CO-CH2-CO-C6H5]
1価のアニオンであるβ-ジケトナト配位子を「btfa-」ともいう。
【0049】
【0050】
希土類金属原子を含む金属塩(c)
(c1)塩化ユウロピウム[EuCl3(H2O)6]
【0051】
希土類金属錯体:H21,4-acebnとbtfa-が共に配位したユーロピウムを含む錯体の合成
(c1)塩化ユウロピウム[EuCl3(H2O)6:2.2g]を30mLのエタノールに溶かした。(b1)ベンゾイルトリフルオロアセトン(btfa)[CF3-CO-CH2-CO-C6H5:3.9g]を加えて、アンモニア水溶液でpH7に調整し、室温で4時間撹拌した。撹拌後、300mLの純水に入れ12時間撹拌させ沈澱した固体を濾過した。蒸留水を減圧留去により取り除き、白色生成物を得た。得られた白色生成物1.67gを30mLジクロロメタンに溶かした。
(a1)H21,4-acebn(ベンゼン環は共にオルト置換である)、0.65gを入れ、室温で24時間撹拌した。沈澱した固体を濾過した。ジクロロメタンを減圧留去により取り除き、黄色生成物である、下記化学式(I)、(I’)及び(I”)で表される希土類金属錯体を得た。希土類金属錯体は、下記化学式(I)、(I’)及び(I”)で表される希土類金属錯体が混在していると推測された。下記化学式(I)、(I’)及び(I”)で表される希土類金属錯体を個別に分離するのは非常に困難である。
【0052】
【化13】
【化14】
【化15】
化学式(I)、(I’)及び(I”)において、nは、1から3の整数を表し、より具体的には2又は3を表す。
【0053】
実施例1
化学式(I)、(I’)及び(I”)で表される希土類金属錯体を、第1希土類金属錯体として用いた。
再沈殿法1
化学式(I)、(I’)及び(I”)で表される希土類金属錯体3gをテトラヒドロフラン100mLに溶解させ第1溶液とした。第2溶液として5倍量のヘキサン500mLを1Lビーカーにいれ撹拌子を入れ撹拌した。第2溶液を連続的に撹拌しながら、第1溶液をチューブポンプを用いて6.6mL/分の速度で連続的に滴下した。20時間後沈殿を濾別して乾燥した。第2希土類金属錯体の回収率は95%であった。
【0054】
実施例2
化学式(I)、(I’)及び(I”)で表される希土類金属錯体を、第1希土類金属錯体として用いた。
再沈殿法2
化学式(I)、(I’)及び(I”)で表される希土類金属錯体3gをテトラヒドロフラン100mLに溶解させ第1溶液とした。第2溶液として4倍量のヘキサン400mLを1Lビーカーにいれ撹拌子を入れ撹拌した。第2溶液を連続的に撹拌しながら、第1溶液をチューブポンプを用いて12.5mL/分の速度で連続的に滴下した。20時間後沈殿を濾別して乾燥した。第2希土類金属錯体の回収率は89%であった。
【0055】
実施例3
化学式(I)、(I’)及び(I”)で表される希土類金属錯体を、第1希土類金属錯体として用いた。
再結晶法1
化学式(I)、(I’)及び(I”)で表される希土類金属錯体4gをテトラヒドロフラン150mLに溶解させ第1溶液とし、1Lビーカーに入れた。第2溶液として、第1溶液の3.3倍量のジクロロメタン500mLを第1溶液にゆっくり注いだ。注いだのは、第2溶液がチューブポンプで第1溶液に滴下できなかったためである。第2溶液が注がれた第1溶液をアルミホイルで蓋をして、2日後、沈殿を濾別して乾燥した。第2希土類金属錯体の回収率は55%であった。
【0056】
比較例1
レーザー回折散乱法で測定した中心粒径がDmが19.0μmの化学式(I)、(I’)及び(I”)で表される希土類金属錯体を、比較例1の希土類金属錯体とした。
【0057】
評価方法
レーザー回折散乱法による中心粒径Dm、標準偏差
実施例及び比較例の各希土類金属錯体について、レーザー回折散乱法により、レーザー回折散乱式粒度分布測定装置(MASTER SIZER3000、MALVERN社製)を用いて、体積基準の粒度分布において、小径側からの体積累積頻度が50%に達する中心粒径(メジアン径)Dmと、標準偏差(σlog)を測定した。
【0058】
相対発光輝度(%)、色度座標(x、y)、エネルギー効率(%)
実施例及び比較例の各希土類金属錯体について、量子効率測定システム(QE-2100、大塚電子株式会社製)を用いて、発光ピーク波長450nmの励起光を照射して、500nmから830nmの発光スペクトルを測定し、発光スペクトルから発光輝度と、CIE(国際照明委員会:Commission Internationale de l’Eclairage)1931色度図の色度座標系における色度座標(x、y)と、エネルギー効率と、を測定した。相対発光輝度は、比較例1の希土類金属錯体の発光輝度を100%として、実施例1から3の希土類金属錯体の発光輝度を相対発光輝度(%)として表した。
【0059】
励起効率(%)
分光蛍光光度計(F-4500、株式会社日立ハイテクノロジーズ製)を用いて、220nm以上570nm以下の範囲内の励起波長における励起スペクトルを測定し、最も高い強度を100%とし、450nmにおける強度を100%に対する励起効率として測定した。
【0060】
【0061】
実施例1から3に係る希土類金属錯体は、レーザー回折散乱法で測定した中心粒径Dmが10μm以上30μm以下の範囲内であった。実施例1から3に係る希土類金属錯体は、標準偏差が1.2以下であり、粒径のバラツキが小さかった。また、実施例1から3に係る希土類金属錯体は、比較例1に比べて、相対発光輝度が高く発光特性が優れていた。また、実施例1から3に係る希土類金属錯体は、励起スペクトルにおいて、450nmにおける励起効率が80%以上であった。
本開示の実施形態は、各種照明用光源、車載用光源、ディスプレイ用光源等に有用である。特に、液晶表示装置に向けられたバックライトユニットに有利に適用できる。本開示の実施形態による発光装置は、モバイル機器の表示装置用のバックライトにも有利である。一般照明用の発光装置、車両用の発光装置として利用することができる。
10:発光素子、20:波長変換シート、30:ガスバリアフィルム、40:透光性部材、50:波長変換部材、60:導電性接着剤、70:被覆部材、80:導光部材、90:基板、100:発光装置。