(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022073244
(43)【公開日】2022-05-17
(54)【発明の名称】情報処理装置、放射線検出器、情報処理方法、及び情報処理プログラム
(51)【国際特許分類】
G01T 7/00 20060101AFI20220510BHJP
A61B 6/00 20060101ALI20220510BHJP
【FI】
G01T7/00 A
A61B6/00 321
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020183112
(22)【出願日】2020-10-30
(71)【出願人】
【識別番号】306037311
【氏名又は名称】富士フイルム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】特許業務法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】北野 浩一
(72)【発明者】
【氏名】清水川 将
(72)【発明者】
【氏名】野間 健太郎
【テーマコード(参考)】
2G188
4C093
【Fターム(参考)】
2G188DD47
2G188EE21
2G188EE25
2G188GG05
4C093AA03
4C093CA16
4C093CA37
4C093EB12
4C093EB13
4C093EB17
4C093EE01
4C093EE14
4C093FB11
4C093FG16
4C093FH06
(57)【要約】
【課題】放射線検出器において、無線通信により接続する所望の接続先との接続を容易に行うことができる情報処理装置、放射線検出器、情報処理方法、及び情報処理プログラムを提供する。
【解決手段】放射線検出器10は、無線通信による通信が可能であって、放射線検出部35を収容する筐体20内にCPU30Aを備える。CPU30Aは、無線通信の接続先の変更を指示するために筐体20に設けられた操作ボタン28が操作されることにより指示された接続先の変更指示を受け付け、変更指示を受け付けた場合、予め設定された複数の接続先の中から、変更指示に応じた接続先を特定する。CPU30Aは、複数の接続先について無線通信により接続が可能であるか否かを判定する。CPU30Aは、特定した接続先との無線通信による接続が不可能であると判定した場合、接続が不可能であることを表す情報を筐体20に設けられた表示部24に表示させる制御を行う。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線通信による通信が可能な放射線検出器の筐体内に少なくとも1つのプロセッサを備え、
前記プロセッサは、
無線通信の接続先の変更を指示するために前記筐体に設けられた操作ボタンが操作されることにより指示された前記接続先の変更指示を受け付け、
前記変更指示を受け付けた場合、予め設定された複数の接続先の中から、前記変更指示に応じた接続先を特定し、
前記複数の接続先について無線通信により接続が可能であるか否かを判定し、
特定した接続先との無線通信による接続が不可能であると判定した場合、接続が不可能であることを表す情報を前記筐体に設けられた表示部に表示させる制御を行う
情報処理装置。
【請求項2】
前記プロセッサは、
前記変更指示によって指示した接続先との接続を決定するために前記筐体に設けられた決定ボタンが操作されることにより指示された接続の決定指示をさらに受け付け
前記決定指示を受け付け、かつ前記特定した接続先との無線通信による接続が可能であると判定した場合、前記特定した接続先と無線通信により接続する
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記プロセッサは、
特定した接続先との無線通信による接続が可能であると判定した場合、特定した接続先と無線通信により接続する
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記変更指示は、無線通信の接続先の変更モードへの移行を指示する移行指示と、前記変更モードへの移行の指示の後に前記複数の接続先のうちから選択された変更先となる接続先を指示する接続先指示とを含み、
前記プロセッサは、
前記複数の接続先の中から、前記接続先指示に応じた接続先を特定する、
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記プロセッサは、
前記移行指示を受け付けた場合、前記複数の接続先の各々について無線通信により接続が可能であるか否かを判定し、
前記接続先指示を受け付けた場合、前記接続先指示に応じた前記接続先との無線通信による接続が可能であるか否かを、前記複数の接続先の各々について無線通信により接続が可能であるか否かを判定した判定結果に基づいて判定する
請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記プロセッサは、
予め定められたタイミングで繰り返し、前記複数の接続先の各々について無線通信により接続が可能であるか否かを判定する、
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記プロセッサは、
前記複数の接続先のうち特定した接続先について無線通信により接続が可能で有るか否かを判定する
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記接続先は複数の種類が存在し、
前記表示部は、前記複数の種類がいずれであるかを表す種類表示部を有し、
前記プロセッサは、
特定した接続先が該当する種類を表す情報を前記種類表示部に表示させる制御をさらに行う、
請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記プロセッサは、
無線通信により接続が可能であると判定した接続先と、前記表示部とに同様の表示形態で情報を表示させる制御をさらに行う
請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項10】
無線通信部と、
照射された放射線に応じた放射線画像を表す画像データを生成する放射線検出部と、
前記放射線検出部を収納する筐体と、
請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の情報処理装置と、
を備えた放射線検出器。
【請求項11】
無線通信による通信が可能な放射線検出器の筐体内に備えられたプロセッサが、
無線通信の接続先の変更を指示するために前記筐体に設けられた操作ボタンが操作されることにより指示された前記接続先の変更指示を受け付け、
前記変更指示を受け付けた場合、予め設定された複数の接続先の中から、前記変更指示に応じた接続先を特定し、
前記複数の接続先について無線通信により接続が可能であるか否かを判定し、
特定した接続先との無線通信による接続が不可能であると判定した場合、接続が不可能であることを表す情報を前記筐体に設けられた表示部に表示させる制御を行う
処理を実行する情報処理方法。
【請求項12】
無線通信による通信が可能な放射線検出器の筐体内に備えられたプロセッサに、
無線通信の接続先の変更を指示するために前記筐体に設けられた操作ボタンが操作されることにより指示された前記接続先の変更指示を受け付け、
前記変更指示を受け付けた場合、予め設定された複数の接続先の中から、前記変更指示に応じた接続先を特定し、
前記複数の接続先について無線通信により接続が可能であるか否かを判定し、
特定した接続先との無線通信による接続が不可能であると判定した場合、接続が不可能であることを表す情報を前記筐体に設けられた表示部に表示させる制御を行う
処理を実行させるための情報処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、情報処理装置、放射線検出器、情報処理方法、及び情報処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、被写体を透過した放射線に応じた放射線画像を生成する放射線検出器が知られている。放射線画像の撮影は、いわゆるコンソール等の制御装置の制御により行われる。制御装置と放射線検出器との接続は無線通信により接続される場合がある。
【0003】
無線通信により接続先と接続するための技術として、例えば、特許文献1に記載の技術が知られている。特許文献1に記載の技術では、複数の撮影装置の各々にアクセスポイントが対応付けられており、無線通信による放射線検出器からの信号を各アクセスポイントが受信した際の各信号強度が予め定められた閾値以上となるアクセスポイントが対応付けられた撮影装置を用いて放射線検出器により撮影が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、放射線検出器における無線通信の接続先が不適切となる場合がある。例えば、特許文献1に記載の技術では、信号強度が閾値以上となるアクセスポイント、すなわち撮影装置と放射線検出器とが自動的に接続されるため、ユーザが所望する撮影装置と放射線検出器とが接続されない場合がある。
【0006】
本開示は、上記事情を考慮して成されたものであり、放射線検出器において、無線通信により接続する所望の接続先との接続を容易に行うことができる情報処理装置、放射線検出器、情報処理方法、及び情報処理プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために本開示の第1の態様の情報処理装置は、無線通信による通信が可能な放射線検出器の筐体内に少なくとも1つのプロセッサを備え、プロセッサは、無線通信の接続先の変更を指示するために筐体に設けられた操作ボタンが操作されることにより指示された接続先の変更指示を受け付け、変更指示を受け付けた場合、予め設定された複数の接続先の中から、変更指示に応じた接続先を特定し、複数の接続先について無線通信により接続が可能であるか否かを判定し、特定した接続先との無線通信による接続が不可能であると判定した場合、接続が不可能であることを表す情報を筐体に設けられた表示部に表示させる制御を行う。
【0008】
本開示の第2の態様の情報処理装置は、第1の態様の情報処理装置において、プロセッサは、変更指示によって指示した接続先との接続を決定するために筐体に設けられた決定ボタンが操作されることにより指示された接続の決定指示をさらに受け付け、決定指示を受け付け、かつ特定した接続先との無線通信による接続が可能であると判定した場合、特定した接続先と無線通信により接続する。
【0009】
本開示の第3の態様の情報処理装置は、第1の態様の情報処理装置において、プロセッサは、特定した接続先との無線通信による接続が可能であると判定した場合、特定した接続先と無線通信により接続する。
【0010】
本開示の第4の態様の情報処理装置は、第1の態様から第3の態様のいずれか1態様の情報処理装置において、変更指示は、無線通信の接続先の変更モードへの移行を指示する移行指示と、変更モードへの移行の指示の後に複数の接続先のうちから選択された変更先となる接続先を指示する接続先指示とを含み、プロセッサは、複数の接続先の中から、接続先指示に応じた接続先を特定する。
【0011】
本開示の第5の態様の情報処理装置は、第4の態様の情報処理装置において、プロセッサは、移行指示を受け付けた場合、複数の接続先の各々について無線通信により接続が可能であるか否かを判定し、接続先指示を受け付けた場合、接続先指示に応じた接続先との無線通信による接続が可能であるか否かを、複数の接続先の各々について無線通信により接続が可能であるか否かを判定した判定結果に基づいて判定する。
【0012】
本開示の第6の態様の情報処理装置は、第1の態様から第4の態様のいずれか1態様の情報処理装置において、プロセッサは、予め定められたタイミングで繰り返し、複数の接続先の各々について無線通信により接続が可能であるか否かを判定する。
【0013】
本開示の第7の態様の情報処理装置は、第1の態様から第4の態様のいずれか1態様の情報処理装置において、プロセッサは、複数の接続先のうち特定した接続先について無線通信により接続が可能で有るか否かを判定する。
【0014】
本開示の第8の態様の情報処理装置は、第1の態様から第7の態様のいずれか1態様の情報処理装置において、接続先は複数の種類が存在し、表示部は、複数の種類がいずれであるかを表す種類表示部を有し、プロセッサは、特定した接続先が該当する種類を表す情報を種類表示部に表示させる制御をさらに行う。
【0015】
本開示の第9の態様の情報処理装置は、第1の態様から第8の態様のいずれか1態様の情報処理装置において、プロセッサは、無線通信により接続が可能であると判定した接続先と、表示部とに同様の表示形態で情報を表示させる制御をさらに行う。
【0016】
本開示の第10の態様の放射線検出器は、無線通信部と、照射された放射線に応じた放射線画像を表す画像データを生成する放射線検出部と、放射線検出部を収納する筐体と、本開示の情報処理装置と、を備える。
【0017】
また、上記目的を達成するために本開示の第11の態様の情報処理方法は、無線通信による通信が可能な放射線検出器の筐体内に備えられたプロセッサが、無線通信の接続先の変更を指示するために筐体に設けられた操作ボタンが操作されることにより指示された接続先の変更指示を受け付け、変更指示を受け付けた場合、予め設定された複数の接続先の中から、変更指示に応じた接続先を特定し、複数の接続先について無線通信により接続が可能であるか否かを判定し、特定した接続先との無線通信による接続が不可能であると判定した場合、接続が不可能であることを表す情報を筐体に設けられた表示部に表示させる制御を行う処理を実行するための方法である。
【0018】
また、上記目的を達成するために本開示の第12の態様の情報処理プログラムは、無線通信による通信が可能な放射線検出器の筐体内に備えられたプロセッサに、無線通信の接続先の変更を指示するために筐体に設けられた操作ボタンが操作されることにより指示された接続先の変更指示を受け付け、変更指示を受け付けた場合、予め設定された複数の接続先の中から、変更指示に応じた接続先を特定し、複数の接続先について無線通信により接続が可能であるか否かを判定し、特定した接続先との無線通信による接続が不可能であると判定した場合、接続が不可能であることを表す情報を筐体に設けられた表示部に表示させる制御を行う処理を実行させるためのものである。
【発明の効果】
【0019】
本開示によれば、放射線検出器において、無線通信により接続する所望の接続先との接続を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】放射線画像撮影システムの一例を示す図である。
【
図2】第1実施形態の放射線検出器及びコンソールのハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【
図3】実施形態の接続先情報の一例を示す図である。
【
図4】放射線検出器の筐体の裏面に設けられた表示部及び操作ボタンの一例を示す図である。
【
図6】第1実施形態の放射線検出器の機能的な構成の一例を示す機能ブロック図である。
【
図7】第1実施形態の放射線検出器における接続処理の流れの一例を表したフローチャートである。
【
図8】実施形態の接続処理の具体例を説明するための図である。
【
図9C】7セグメントディスプレイの表示形態の一例を示す図である。
【
図10】変形例1の放射線検出器における接続処理の流れの一例を表したフローチャートである。
【
図11】第2実施形態の放射線検出器における接続処理の流れの一例を表したフローチャートである。
【
図12】変形例2の放射線検出器における判定処理の流れの一例を表したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。なお、各実施形態は本発明を限定するものではない。
【0022】
[第1実施形態]
まず、
図1を参照して、本実施形態の放射線画像撮影システム1の構成を説明する。
図1に示すように、本実施形態の放射線画像撮影システム1は、放射線検出器10、複数のコンソール12(
図1では、12
1~12
3の3つ)、及び複数のコンソール14(
図1では、14
1~14
3の3つ)を備える。放射線検出器10、コンソール12
1~12
3、及びコンソール14
1~14
3は、各々ネットワークNに無線通信により通信が可能に接続されている。なお、本実施形態の放射線画像撮影システム1では、
図1に示すように、コンソール12及びコンソール14の各々について、3つづつ含む形態について示したが、放射線画像撮影システム1が含むコンソール12及びコンソール14の数は特に限定されない。本実施形態のコンソール12及びコンソール14が、本開示の「予め設定された複数の接続先」の一例である。
【0023】
放射線検出器10は、照射された放射線に応じた放射線画像を出力する機能を有する。より具体的には、放射線検出器10は、放射線源(図示省略)から照射されて被写体を透過した放射線に応じた放射線画像を表す画像データを生成して出力する機能を有する。本実施形態の放射線検出器10は、いわゆる、FPD(Flat Panel Detector)と呼ばれるものである。
【0024】
コンソール12及びコンソール14の各々は、図示を省略したRIS(Radiology Information System)と無線または有線により接続されており、RISから受信した撮影オーダー等に基づいて、単独で放射線検出器10を制御し、放射線検出器10による放射線画像の撮影を制御する機能を有する。複数のコンソール12の各々は、据え置き型のコンソールであって、例えば、放射線画像撮影室に設置される。また、複数のコンソール14の各々は、モバイル型のコンソールであり、例えば、回診車等に備えられる。本実施形態のコンソール12及びコンソール14が、本開示の「複数の接続先」の一例である。
【0025】
図2には、本実施形態の放射線検出器10と、コンソール12及びコンソール14とのハードウェア構成の一例を表すブロック図が示されている。なお、1つのコンソール12のハードウェア構成を例示しており、以下ではコンソール12の構成の一例について説明するが、複数のコンソール12及び複数のコンソール14各々のハードウェア構成は
図2に例示したコンソール12の構成と略同一である。
【0026】
図2に示すように、本実施形態のコンソール12は、制御部40、記憶部42、I/F部44、ディスプレイ46、及び入力デバイス48を備えている。制御部40、記憶部42、I/F部44、ディスプレイ46、及び入力デバイス48はシステムバスやコントロールバス等のバス49を介して相互に各種情報の授受が可能に接続されている。
【0027】
本実施形態の制御部40は、コンソール12の全体の動作を制御する。制御部40は、CPU(Central Processing Unit)40A、ROM(Read Only Memory)40B、及びRAM(Random Access Memory)40Cを備える。ROM40Bには、CPU40Aで実行される、コンソール12による放射線画像の撮影を制御するための撮影制御処理プログラム(図示省略)等のプログラムが予め記憶されている。RAM40Cは、各種データを一時的に記憶する。
【0028】
記憶部42には、放射線検出器10により撮影された放射線画像の画像データや、その他の各種情報等が記憶される。記憶部42の具体例としては、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)等が挙げられる。
【0029】
I/F部44は、無線通信によりネットワークNを介して放射線検出器10との間で各種情報の通信を行う。本実施形態の放射線画像撮影システム1では、放射線検出器10により撮影された放射線画像の画像データは、コンソール12が、I/F部44を介して無線通信により放射線検出器10から受信する。なお、I/F部44は、さらに有線通信により放射線検出器10と通信を行ってもよい。また、I/F部44は、無線通信または有線通信により、RISやPACS(Picture Archiving and Communication System)との間で各種情報の通信を行う。
【0030】
ディスプレイ46は、放射線検出器10による放射線画像の撮影等に関する撮影オーダー等の各種情報や放射線検出器10により撮影された放射線画像等を表示する。入力デバイス48は、撮影オーダーに応じた撮影メニューの指定等、放射線画像の撮影等に関する指示や各種情報等をユーザが入力するために用いられる。入力デバイス48は特に限定されるものではなく、例えば、各種スイッチ、タッチパネル、タッチペン、及びマウス等が挙げられる。なお、ディスプレイ46と入力デバイス48とを一体化してタッチパネルディスプレイとしてもよい。
【0031】
また、
図2に示すように、本実施形態の放射線検出器10は、表示部24、操作ボタン28、制御部30、記憶部32、I/F部34、及び放射線検出部35を備えている。表示部24、操作ボタン28、制御部30、記憶部32、I/F部34、及び放射線検出部35はシステムバスやコントロールバス等のバス39を介して相互に各種情報の授受が可能に接続されている。
【0032】
本実施形態の制御部30は、放射線検出器10の全体の動作を制御する。制御部30は、CPU30A、ROM30B、及びRAM30Cを備える。ROM30Bには、CPU30Aで実行される、情報処理プログラム31等のプログラムが予め記憶されている。RAM30Cは、各種データを一時的に記憶する。本実施形態のCPU30Aが、本開示の「プロセッサ」の一例であり、また、本開示の「情報処理装置」の一例である。
【0033】
放射線検出部35は、放射線検出部35は、放射線、またはシンチレータ等の変換層によって放射線から変換された可視光に感応して信号電荷を発生する画素が複数配列されており、照射された放射線に応じた放射線画像を表す画像データを生成する機能を有する。
【0034】
記憶部32には、放射線検出器10により撮影された放射線画像の画像データ、無線通信の接続先に関する接続先情報33、及びその他の各種情報等が記憶される。記憶部32の具体例としては、HDDやSSD等が挙げられる。
【0035】
図3には、本実施形態の接続先情報33の一例を示す。本実施形態の放射線画像撮影システム1では、n個まで、放射線検出器10の接続先を予め登録することができる。n個の接続先は、1番~n番までの接続先識別番号が各々対応付けられて、放射線検出器10との無線通信に必要な情報が接続先情報33として記憶部32に記憶される。
図3に示すように、本実施形態では、放射線検出器10との無線通信に必要な情報として、通信チャンネル(Ch)、ESSID(Extended Service Set Identifier)、通信先名、及びIEEE等の通信方式や通信規格を適用しているが、無線通信に必要な情報はこれらに限定されない。無線通信に必要な情報は、接続先を特定するために必要な情報であればよく、例えば、通信チャンネル及びESSIDのみであってもよい。上述したように本実施形態の放射線画像撮影システム1では、コンソール12
1~12
3、及びコンソール14
1~14
3が放射線検出器10の接続先である。そのため、例えば、接続先識別番号の1番にはコンソール12
1、2番にはコンソール12
2、及び3番にはコンソール12
3のチャンネル及びESSIDが対応付けられ、接続先識別番号の4番にはコンソール14
1、5番にはコンソール14
2、及び6番にはコンソール14
3のチャンネル及びESSIDが対応付けられる。また、例えば、
図3では図示されていないが、詳細を後述する、無線通信における接続先の種類、または接続先の種類に応じた接続先モードをさらに含んでいてもよい。
【0036】
本実施形態では、接続先情報33への接続先の設定は、コンソール12またはコンソール14等のコンソールにより行われる。具体的には、コンソールにより、接続先情報33に対する新規の接続先の追加、設定されている接続先に関する情報の変更、接続先の削除等の各種の設定を行うことができる。なお、初めて放射線検出器10を使用する場合等、記憶部32に接続先情報33が未だ記憶されていない、もしくは記憶部32に記憶されている接続先情報33に未だ接続先が設定されていない場合、例えば、有線通信により放射線検出器10と接続されたコンソールにより、接続先情報33に関する初期設定を行う形態としてもよい。
【0037】
I/F部34は、無線通信によりネットワークNを介してコンソール12(コンソール14)との間で各種情報の通信を行う。本実施形態の放射線画像撮影システム1では、放射線検出部35により生成された放射線画像の画像データは、I/F部34を介して無線通信によりコンソール12またはコンソール14に送信する。なお、I/F部34は、さらに有線通信によりコンソール12またはコンソール14と通信を行ってもよい。
【0038】
表示部24は、放射線検出部35による放射線画像の撮影等に関する各種情報を表示する。操作ボタン28は、放射線画像の撮影等に関する指示をユーザが入力するために用いられる。本実施形態の放射線検出器10では、制御部30、記憶部32、I/F部34、及び放射線検出部35は、筐体20内に備えられており、一例として
図4に示すように、表示部24及び操作ボタン28は、筐体20の放射線が照射される面と反対側の裏面20Aに設けられている。
【0039】
図4に示すように、本実施形態の表示部24は、バッテリ23の近傍に設けられており、LED(Light Emitting Diode)により構成される。一例として、本実施形態の表示部24は、
図5に示すように、残量表示部25、接続先モード表示部26、及び7セグメントディスプレイ27を含む。残量表示部25は、バッテリ23の残量のステータスを表す機能を有する。なお、
【0040】
接続先モード表示部26は、無線通信における接続先の種類に応じた接続先モードを表すアイコン261及び262を含む。本実施形態の放射線検出器10は、無線通信において接続先の種類に応じた複数の接続先モードが存在する。一例として、上述したように本実施形態の放射線画像撮影システム1は、放射線検出器10の無線通信による接続先として、コンソール12またはコンソール14が存在しているため、接続先の種類が2種類あり、2種類の接続先モードが存在する。コンソール12のように据え置き型のコンソールと無線通信により接続する接続先モードの場合、接続先モード表示部26のアイコン261が点灯する。また、コンソール14のようにモバイル型のコンソールと無線通信により接続する接続先モードの場合、接続先モード表示部26のアイコン262が点灯する。本実施形態の接続先モード表示部26が、本開示の「種類表示部」の一例である。
【0041】
7セグメントディスプレイ27は、無線通信による接続先を表す情報を表示する機能を有する。一例として本実施形態では、接続先を表す情報として、上述した接続先に対応付けられている接続先識別番号を適用している。従って、7セグメントディスプレイ27には、放射線検出器10と無線通信により接続する接続先を表す接続先識別番号が表示される。より具体的には、ユーザが接続先を設定する場合、接続先を表す接続先識別番号が表示される。なお、本実施形態では無線通信による接続先を表す情報を表示する表示部の一例として7セグメントディスプレイを採用しているが、7セグメントディスプレイ27に限定されるものではない。例えば、平面型ディスプレイ等、その他の形態の表示部を採用してもよい。
【0042】
また、
図4に示すように、本実施形態の操作ボタン28は、筐体20の裏面20Aの外縁近傍に設けられている。一例として、本実施形態の操作ボタン28は、
図4に示すように、操作ボタン28
1及び28
2を含む。
【0043】
本実施形態では、ユーザが無線通信の通信先について、通信先の変更を行う場合、まず、ユーザは、操作ボタン28を操作することにより無線通信の接続先の変更を行うための変更モードへの移行を指示する。一例として本実施形態では、ユーザが操作ボタン281及び282の両方を同時に操作した場合、放射線検出器10は、無線通信の接続先の変更を行うための変更モードへ移行する。この場合の本実施形態の操作ボタン281及び282が本開示の「移行指示」が行われる場合に操作される「操作ボタン」の一例である。
【0044】
次に、ユーザは、操作ボタン28を操作することにより、無線通信の接続先を選択する。一例として本実施形態では、ユーザが操作ボタン282を操作する毎に、7セグメントディスプレイ27に表示される接続先識別番号が、順次切り替わる。そのため、ユーザは操作ボタン282の操作を繰り返し行い、接続したいコンソール12またはコンソール14に応じた接続先識別番号を7セグメントディスプレイ27に表示させる。操作ボタン282が本開示の接続先指示が行われる場合に操作される「操作ボタン」の一例である。
【0045】
さらに、ユーザは、操作ボタン28を操作することにより、7セグメントディスプレイ27に表示されている接続先識別番号に応じたコンソール12またはコンソール14との接続を決定する。一例として本実施形態では、ユーザが操作ボタン281を操作することにより、無線通信による接続先が決定される。この場合の本実施形態の操作ボタン281が、本開示の「決定ボタン」の一例である。
【0046】
さらに、
図6には、本実施形態の放射線検出器10の機能的な構成の一例の機能ブロック図を示す。
図6に示すように放射線検出器10は、第1受付部70、特定部72、判定部74、表示制御部76、第2受付部78、及び接続部80を備える。一例として本実施形態の放射線検出器10は、制御部30のCPU30AがROM30Bに記憶されている情報処理プログラム31を実行することにより、CPU30Aが、第1受付部70、特定部72、判定部74、表示制御部76、第2受付部78、及び接続部80として機能する。
【0047】
第1受付部70は、無線通信の接続先の変更を指示するために筐体20に設けられた操作ボタン28が操作されることにより指示された接続先の変更指示を受け付ける機能を有する。上述したように、ユーザは操作ボタン281及び282の両方を同時に操作することにより、無線通信の接続先の変更を行うための変更モードへの移行を指示する。第1受付部70は、操作ボタン281及び282の両方を同時に操作された場合、変更モードへの移行を指示する移行指示を受け付ける。また、上述したように、ユーザはユーザが操作ボタン282を操作することにより、放射線検出器10と接続させたいコンソール12またはコンソール14を表す接続先識別番号を7セグメントディスプレイ27に表示させる。第1受付部70は、移行指示を受け付けた後に、操作ボタン282が単独で操作された場合、複数の接続先のうちから選択された変更先となる接続先を表す接続先指示を受け付ける。第1受付部70は、受け付けた移行指示及び接続先指示の各々を、特定部72に出力する。なお、第1受付部70が受け付ける移行指示及び接続先指示を総称する場合、変更指示という。
【0048】
特定部72は、第1受付部70が変更指示を受け付けた場合、接続先情報33に予め設定されたコンソール12及びコンソール14の中から、変更指示に応じた接続先を特定する機能を有する。特定部72は、特定した接続先を表す情報を、判定部74に出力する。
【0049】
判定部74は、コンソール12及びコンソール14について無線通信により放射線検出器10と接続が可能であるか否かを判定する。本実施形態では、コンソール12及びコンソール14のうちから、特定部72から入力された接続先を表す情報に応じたコンソール12またはコンソール14と、放射線検出器10とが無線通信により接続が可能であるか否かを判定する。なお、判定部74が、I/F部34を介して無線通信により接続が可能であるか否かを判定する方法は特に限定されない。判定部74は、判定結果を表示制御部76及び接続部80に出力する。
【0050】
表示制御部76は、判定部74から入力された判定結果が、特定部72により特定された接続先との無線通信による接続が不可能である場合、接続が不可能であることを表す情報を筐体20に設けられた7セグメントディスプレイ27に表示させる制御を行う機能を有する。
【0051】
第2受付部78は、変更指示によって指示した接続先との接続を決定するために筐体20に設けられた操作ボタン28が操作されることにより指示された接続の決定指示を受け付ける機能を有する。上述したように、ユーザは操作ボタン281を操作することにより、無線通信による接続先を決定する。第2受付部78は、操作ボタン281が操作された場合、接続先指示によって指示された接続先への接続を決定する決定指示を受け付ける。8は、受け付けた決定指示を判定部74に出力する。
【0052】
接続部80は、第2受付部78が決定指示を受け付け、かつ判定部74が無線通信による接続が可能であると判定した場合、特定部72が特定した接続先とI/F部34を介して無線通信により接続する機能を有する。
【0053】
次に、本実施形態の放射線検出器10の作用について図面を参照して説明する。
本実施形態の放射線検出器10は、制御部30のCPU30Aが、ROM30Bに記憶されている情報処理プログラム31を実行することにより、
図7に一例を示した接続処理を実行する。
図7には、本実施形態の放射線検出器10において実行される接続処理の流れの一例を表したフローチャートが示されている。本実施形態では一例として操作ボタン28が操作された場合、
図7に示した接続処理を実行する。なお、
図7に示した接続処理を実行するタイミングは、本実施形態に限定されず、例えば、放射線検出器10に電源が投入されたタイミング等であってもよい。
【0054】
以下では、具体例として、
図8に示したようにコンソール12
1が設置されている撮影室90
1で用いていていた放射線検出器10を、コンソール12
3が設置されている撮影室90
2に移動させて使用する場合について説明する。
図8に示した例では、撮影室90
1では、放射線検出器10はコンソール12
1と無線通信により接続され、コンソール12
1の制御により放射線画像の撮影を行う。また、撮影室90
2では、放射線検出器10はコンソール12
3と無線通信により接続され、コンソール12
3の制御により放射線画像の撮影を行う。
【0055】
図7のステップS100で、特定部72は、第1受付部70が移行指示を受け付けたか否かを判定する。
図8に示した例では、ユーザは、放射線検出器10を撮影室90
1から撮影室90
2へ移動させる場合、放射線検出器10の接続先をコンソール12
1からコンソール12
3に変更するために、操作ボタン28
1及び28
2を操作して、無線通信の接続先の変更を行うための変更モードへの移行を指示する。操作ボタン28
1及び28
2が操作された場合、第1受付部70が移行指示を受け付ける。第1受付部70が移行指示を受け付けるまでステップS100の判定が否定判定となる。一方、第1受付部70が移行指示を受け付けるとステップS100の判定が肯定判定となり、ステップS102へ移行する。
【0056】
ステップS102で特定部72は、放射線検出器10の無線通信の接続先の変更を行うための変更モードへ移行させる。なお、変更モードへ移行する場合、現在、接続中の接続先を表す情報を、7セグメントディスプレイ27に表示させてもよい。この場合の表示例としては、接続中の接続先を表す接続先識別番号等が挙げられる。
図8に示した例では、現在、接続中の接続先がコンソール12
1であるため、接続先情報33(
図3参照)を参照し、
図9Aに例示したように、コンソール12
1を表す接続先識別番号である「1」を7セグメントディスプレイ27に表示させてもよい。
【0057】
次のステップS104で特定部72は、第1受付部70が接続先指示を受け付けたか否かを判定する。上述したように、操作ボタン282が単独で操作されると、第1受付部70が接続先指示を受け付ける。第1受付部70が接続先指示を受け付けた場合、ステップS104の判定が肯定判定となり、ステップS106へ移行する。
【0058】
ステップS106で特定部72は、指示された接続先を特定する。例えば、上述したように上記ステップS102において、現在、接続中の接続先を表す情報を7セグメントディスプレイ27に表示させた場合、特定部72は、現在、接続中の接続先に対応する接続先識別番号と、操作ボタン282が単独で操作された操作回数とに応じた接続先識別番号に対応する接続先を特定する。
【0059】
操作ボタン28
2が単独で最初に操作された場合、すなわち操作回数が1回の場合、現在、接続中の接続先に対応する接続先識別番号に操作回数である「1」を加算した数を接続先識別番号として対応付けられている接続先を、接続先情報33を参照して特定する。
図8に示した例では、特定部72は、現在、接続中の接続先であるコンソール12
1に対応する接続先識別番号である「1」に操作回数である「1」を加算した数である「2」を接続先識別番号として対応付けられているコンソール12
2を特定する。
【0060】
次のステップS108で特定部72は、特定した接続先を表す接続先情報を表示部24に表示させた後、ステップS112へ移行する。一例として本実施形態の特定部72は、特定した接続先の種類に応じた接続先モード表示部26、具体的にはアイコン26
1またはアイコン26
2を点滅させる。上述した例のように、特定した接続先がコンソール12
2の場合、特定部72は、
図9Bに例示したように、コンソール12
2の種類に対応するアイコン26
1を点滅させる。なお、
図9Bでは、ハッチングにより、表示が点滅していることを表している。
【0061】
また、特定部72は、7セグメントディスプレイ27に、特定した接続先に対応する接続先識別番号を表示させる。上述した例のように、特定した接続先がコンソール122の場合、特定部72は、その接続先識別番号である「2」を7セグメントディスプレイ27に表示させる。
【0062】
一方、ステップS104において、第1受付部70が接続先指示を受け付けていない場合、判定が否定判定となり、ステップS110へ移行する。ステップS110で特定部72は、接続先を特定済みであるか否か判定する。
図7に示した接続処理の開始後、未だユーザが操作ボタン28
2を単独で操作していない場合、ステップS110の判定が否定判定となり、ステップS104に戻る。一方、上述したステップS108の処理を実行済みの場合、ステップS110の判定が肯定判定となり、ステップS112へ移行する。
【0063】
次のステップS112で判定部74は、第2受付部78が決定指示を受け付けたか否かを判定する。
図8に示した例では、上述したようにユーザは放射線検出器10の接続先をコンソール12
3に変更させる。そのため、
図9Bに例示した表示が表示部24になされている場合、ユーザは未だ決定指示を行わない。このような場合、ステップS112の判定が否定判定となり、ステップS104に戻り、ステップS104~S110の処理を繰り返す。
【0064】
一方、ユーザが操作ボタン282を単独で繰り返し操作することにより、放射線検出器10と接続させたい接続先を表す接続先識別番号が7セグメントディスプレイ27に表示された場合、操作ボタン281を単独で操作して、接続先を決定する。操作ボタン281が単独で操作されると、第2受付部78は、決定指示を受け付ける。そのため、ステップS112の判定が肯定判定となり、ステップS114へ移行する。
【0065】
ステップS114で判定部74は、上記ステップS106において特定した接続先と無線通信により接続が可能であるか否かを判定する。換言すると、判定部74は、ユーザにより操作ボタン28
1が操作されることにより選択された接続先と無線通信により接続が可能であるか否かを判定する。具体的には接続先情報33を参照して、特定した接続先に対応する通信チャンネル及びESSIDを取得し、取得した通信チャンネル及びESSIDを適用して、I/F部34を介して無線通信により接続が可能であるか否かを判定する。接続ができない場合、ステップS114の判定が否定判定となり、ステップS116へ移行する。例えば、
図8に示した例では、ユーザが撮影室90
1にいるうちに、操作ボタン28を操作することによりコンソール12
3との接続を決定した場合、放射線検出器10がコンソール12
3とは未だ離れた位置にあるため、コンソール12
3からの無線通信による電波が届かない場合がある。このような場合、ステップS114の判定が否定判定となり、ステップS116へ移行する。また、例えば、選択したコンソール12が誤っている等により無線通信による電波が届かない場合もステップS114の判定が否定判定となる。
【0066】
ステップS116で表示制御部76は、選択されている接続先との接続が不可能であることを表す情報として警告を7セグメントディスプレイ27に表示させる制御を行う。
図9Cには、7セグメントディスプレイ27に警告を表示させた表示形態の一例を示す。
図9Cに示した例では、警告としてエラーを表す「Err」の文字を7セグメントディスプレイ27に表示させた場合の表示形態を示している。なお、7セグメントディスプレイ27に表示させる警告は
図9Cに示した形態に限定されない。エラーに対応する識別番号等を7セグメントディスプレイ27に表示させる形態としてもよい。また、警告を7セグメントディスプレイ27に表示させる場合、ユーザにより選択された接続先を表す接続先識別番号等、他の情報を表示させる場合と、色や点滅の有無等、表示形態を異ならせることが好ましい。このように7セグメントディスプレイ27に警告が表示されることにより、ユーザは、選択した接続先との無線通信による接続が不可能であることを認識することができる。
【0067】
次のステップS116で判定部74は、本接続処理を終了するか否かを判定する。本実施形態では、予め定められた終了条件を満たす場合、本接続処理を終了すると判定部74が判定する。予め定められた終了条件は、例えば、第2受付部78が決定指示を受け付けてから所定時間経過しても、上記ステップS106で特定した接続先と無線通信による接続ができなかった場合が挙げられる。また例えば、ユーザにより、本接続処理の終了を指示された場合が挙げられる。使用すべき放射線検出器10と異なる放射線検出器10を使用したことにより、撮影に用いるコンソール12と接続できない場合や、無線通信の電波の状況が悪いため放射線検出器10及びコンソール12の組み合わせが適切であっても無線通信による接続ができない場合等では、ユーザは、操作ボタン28によって本接続処理の終了を指示する。一例として本実施形態では、ユーザは、操作ボタン281及び282の両方を同時に長押しすることにより本接続処理の終了を指示する。
【0068】
本接続処理を終了しない場合、換言すると予め定められた終了条件を満たさない場合、ステップS118の判定が否定判定となり、ステップS104に戻り、上記処理を繰り返す。一方、本接続処理を終了する場合、換言すると予め定められた終了条件を満たす場合、ステップS118の判定が肯定判定となり、ステップS122へ移行する。
【0069】
一方、上記ステップS114において、上記ステップS106において特定した接続先と無線通信により接続が可能であると判定部が判定した場合、肯定判定となり、ステップS120へ移行する。
図8に示した例では、放射線検出器10が撮影室90
2内に移動された場合、判定部74は、無線通信による接続が可能であると判定する。
【0070】
ステップS120で接続部80は、上記ステップS106で特定した接続先とI/F部34を介して無線通信により接続する。
図8に示した例では、接続部80は、放射線検出器10とコンソール12
3とを無線通信により接続する。なお、無線通信による接続が完了した場合、接続部80は、接続が完了したことを表す情報を、表示部24に表示させてもよい。例えば、7セグメントディスプレイ27に、接続が完了したことを表すコードやメッセージを表示させてもよい。
【0071】
次のステップS122で特定部72は、上記ステップS102の処理により移行した変更モードを終了させる。一例として本実施形態では、変更モードを終了すると、放射線画像の撮影を行う場合に対応する撮影モードへ移行する。本ステップS122の処理が終了すると、
図7に示した接続処理が終了する。
【0072】
このように本実施形態の放射線検出器10では、筐体20に設けられた操作ボタン28によってユーザにより指示された接続先の変更指示を受け付けた場合、複数のコンソール12及びコンソール14の中から、変更指示に応じた接続先を特定して、特定した接続先を表す接続先識別番号を7セグメントディスプレイ27に表示させる。また、ユーザにより選択された接続先の決定指示を受け付けると、選択された接続先について無線通信により接続が可能であるか否かを判定し、接続が不可能であると判定した場合、接続が不可能であることを表す警告を筐体20に設けられた表示部24の7セグメントディスプレイ27に表示させる制御を行う。
【0073】
そのため、本実施形態によれば、放射線検出器10において、無線通信により接続する所望の接続先との接続を容易に行うことができる。また、ユーザは、筐体20の表示部24の7セグメントディスプレイ27に表示された警告を確認するだけでよいため、無線通信により接続ができなかったことを容易に確認することができる。
【0074】
(変形例1)
上記形態では、第2受付部78が決定指示を受け付けた場合、選択された接続先と無線通信により接続が可能であるか否かを判定部74が判定し、接続が可能である場合、接続部80が選択された接続先と無線通信により接続する形態について説明した。これに対して本変形例では、決定指示を受け付けることなく、選択された接続先と自動的に無線通信により接続する形態について説明する。
【0075】
本変形例の放射線検出器10の構成は、第2受付部78を備えない他は、上述した放射線検出器10(
図6参照)と同様である。
【0076】
一方、
図10には、本変形例の放射線検出器10において実行される接続処理の流れの一例を表したフローチャートが示されている。
図10に示すように、本変形例の接続処理は、ステップS110及びS112を備えていない点で、上記形態の接続処理(
図6参照)と異なっている。
【0077】
図10に示すように、本変形例では、第1受付部70が接続先指示を受け付けるまで、ステップS104の判定が否定判定となる。一方、第1受付部70が接続先指示を受け付けるとステップS104の判定が肯定判定となり、ステップS106へ移行する。なお、本変形例では、ステップS106における特定部72が接続先を特定する、ユーザが操作ボタン28
2を繰り返し操作することにより最終的に選択された接続先を特定することが好ましい。この場合、例えば、操作ボタン28
2が操作されてから所定の期間が経過しても再び操作ボタン28
2が操作されなかった場合、特定部72は、最終的な操作ボタン28
2の操作によって選択された接続先を特定する。
【0078】
また、ステップS108の後、ステップS114で判定部74は、上記ステップS106において特定した接続先と無線通信により接続が可能であるか否かを判定する。換言すると、判定部74は、ユーザにより選択された接続先と無線通信により接続が可能であるか否かを判定する。判定部74が接続が可能であると判定した場合、上記ステップS120へ移行し、ステップS120で接続部80は、する。上記ステップS106において特定した接続先と無線通信により接続する。換言すると、接続部80は、ユーザにより選択された接続先と放射線検出器10とを無線通信により接続する。
【0079】
このように、本変形例によれば、ユーザによる接続先の選択の決定を要さず、接続先(コンソール12またはコンソール14)と放射線検出器10とを接続させることができる。
【0080】
[第2実施形態]
第1実施形態では、第1受付部70が決定指示を受け付けた場合、換言すると、ユーザが所望の接続先の選択を完了した場合、ユーザによって選択された接続先のみ、無線通信による接続が可能であるかを判定した。これに対して、本実施形態では、接続が可能であるかを判定する接続先が、第1実施形態と異なる形態について説明する。
【0081】
なお、本実施形態の放射線画像撮影システム1、放射線画像撮影システム1尾、及びコンソール12、14の構成は第1実施形態と同様であるため、説明を省略する。
【0082】
一方、本実施形態の放射線検出器10の作用、具体的には、放射線検出器10で実行される接続処理が、第1実施形態の接続処理(
図6参照)と異なるため、本実施形態の接続処理について説明する。
【0083】
図11には、本変形例の放射線検出器10において実行される接続処理の流れの一例を表したフローチャートが示されている。
図11に示すように、本実施形態の接続処理は、ステップS102とステップS104との間に、ステップS106の処理を備える点で、第1実施形態の接続処理(
図6参照)と異なっている。
【0084】
図11に示すように、ステップS103で判定部74は、複数の接続先各々と無線通信により接続が可能であるか否かを判定する。一例として本実施形態の判定部74は、接続先情報33として記憶部32に記憶されているn個の接続先の各々について、無線通信により接続が可能であるか否かを判定する。判定部74の判定結果は、一旦、記憶部32に記憶される。
【0085】
このように本実施形態では、第1受付部70が接続先指示を受け付けたか否かに係わらず、接続先情報33として設定されている複数の接続先の各々について、無線通信により接続が可能か否かを予め判定する。
【0086】
なお、本実施形態では、ステップS114で判定部74が、上記ステップS106において特定した接続先と無線通信により接続が可能であるか否かを判定する場合、上記ステップS103の処理により、一旦、記憶部32に記憶させた判定結果を参照して無線通信が可能であるか否かを判定する。
【0087】
本実施形態の判定部74は、ユーザによる接続先の選択は第1の実施形態と同様であるが、ユーザによる接続先の選択に係わらず、放射線検出器10と無線通信による接続先として想定されている全ての接続先について、予め接続が可能であるか否かを判定する。
図11に示した例では、第2受付部78が決定指示を受け付ける前に、判定部74は、放射線検出器10と無線通信による接続先として想定されている全ての接続先について、予め接続が可能であるか否かを判定する。
【0088】
このように本実施形態では、ユーザによる接続先の選択に係わらず、無線通信により接続が可能であるか否かを予め判定しておくため、ユーザが接続先を選択した場合、速やかに判定結果を得ることができる。
【0089】
(変形例2)
本変形例では、判定部74が、放射線検出器10と無線通信による接続先として想定されている全ての接続先について、接続が可能であるか否かを判定するタイミングについての変形例を説明する。
【0090】
本変形例では、判定部74は、上記接続処理とは別途に、予め定められた間隔毎に、放射線検出器10と無線通信による接続先として想定されている全ての接続先について、接続が可能であるか否かを判定する判定処理を行う。判定処理は、例えば、放射線検出器10に電源が投入されており、かつ放射線画像の撮影を行っていない間、予め定められた期間が経過する毎に、繰り返し行われる。
【0091】
図12には、判定部74が実行する判定処理の一例を表したフローチャートが示されている。
図12のステップS200で判定部74は、複数の接続先各々と無線通信により接続が可能であるか否かを判定する。
図11に示した接続処理のステップS103と同様に、判定部74は、接続先情報33として記憶部32に記憶されているn個の接続先の各々について、無線通信により接続が可能であるか否かを判定する。
【0092】
次のステップS202で、判定部74が各接続先毎に判定結果を記憶部32に記憶した後、本判定処理を終了する。
【0093】
なお、本変形例の場合、上記のように判定処理を別途行うため、接続処理では、ステップS103(
図11参照)を省略することができる。
【0094】
このように、本変形例によれば、接続処理において、接続先と無線通信により接続が可能であるか否かを判定しなくてもよいため、接続処理に要する時間をより短縮することができる。
【0095】
なお、上記各形態では、判定部74が、無線通信により接続が不可能と判定した接続先であっても、ユーザが接続先として選択することが可能な形態について説明したが、接続が不可能と判定した接続先については、ユーザによる選択を禁止する形態としてもよいし、接続が不可能と判定した接続先については、操作ボタン282の操作に関わらず表示しない形態としてもよい
【0096】
以上説明したように、上記各形態の放射線検出器10は、無線通信による通信が可能であって、放射線検出部35を収容する筐体20内に少なくとも1つのプロセッサとしてCPU30Aを備える。CPU30Aは、無線通信の接続先の変更を指示するために筐体20に設けられた操作ボタン28が操作されることにより指示された接続先の変更指示を受け付ける。また、CPU30Aは、変更指示を受け付けた場合、予め設定された複数の接続先の中から、変更指示に応じた接続先を特定する。また、CPU30Aは、複数の接続先について無線通信により接続が可能であるか否かを判定する。また、CPU30Aは、特定した接続先との無線通信による接続が不可能であると判定した場合、接続が不可能であることを表す情報を筐体20に設けられた表示部24に表示させる制御を行う。
【0097】
このように、上記各形態の放射線検出器10は、ユーザが筐体20に設けられた操作ボタン28を操作することにより行った変更指示に応じた接続先を複数の接続先の中から特定し、無線通信による接続が可能であるか否かを判定して、接続が不可能であると判定した場合、接続が不可能であることを表す警告を7セグメントディスプレイ27に表示させる制御を行う。
【0098】
従って、上記各形態の放射線検出器10によれば、無線通信により接続する所望の接続先との接続を容易に行うことができる。また、ユーザは、筐体20の表示部24の7セグメントディスプレイ27に表示された警告を確認するだけでよいため、無線通信により接続ができなかったことを容易に確認することができる。
【0099】
また、上記各形態の放射線検出器10によれば、放射線検出器10と所望の接続先とを無線通信により安定的に接続することができる。従って、コンソール12やコンソール14等、複数種類の接続先が存在する場合であっても、所望の接続先と無線通信により安定的に接続することができる。
【0100】
なお、上記各形態では、放射線検出器10の接続先としてコンソール12またはコンソール14を例示したが、接続先は無線通信におけるルーターまたはアクセスポイント、あるいはその他の通信におけるホストであればよく、コンソールに限定されるものではない。また、放射線検出器10と接続が可能とされる接続先の種類や数も限定されない。上記各形態では、接続先の種類に応じたモードが、据え置き型か、モバイル型かの2種類について説明したが、これらに限定されるものではない。
【0101】
また、上記各形態では、コンソール12とコンソール14とが、同一のネットワークNを介して放射線検出器10と無線通信により接続される形態について説明したが、コンソール12とコンソール14とが、別々のネットワークを介して放射線検出器10と無線通信により接続される形態であってもよい。
【0102】
なお、表示制御部76は、上記各形態において、無線通信により接続が可能であると判定した接続先と、表示部24とに同様の表示形態で情報を表示させる制御をさらに行ってもよい。例えば、無線通信により接続が可能であると判定した接続先が備える表示部(図示省略)に表示された放射線検出器10を表すアイコン(図示省略)と、表示部24の7セグメントディスプレイ27とを同じ色で光らせてもよい。このように、放射線検出器10と接続先とに対して同様の表示形態とした表示を行うことにより、接続される放射線検出器10と接続先との組み合わせを明確に認識させることができる。例えば、1つのコンソールに対して複数の放射線検出器10が対応付けられている場合、コンソールからは、いずれの放射線検出器10と無線通信により接続されるかが判別し難いことがある。このような場合、放射線検出器10と接続先とに対して同様の表示形態とした表示を行うことにより、接続される放射線検出器10とコンソールとの組み合わせをコンソール12においても容易に認識することができる。なお、この場合に同様の表示形態で表示させる情報は、特に限定されない。なにがしかの文字やマークを表示させる形態に限定されず、上述したように、単に、予め定められた上記のアイコンや表示部を点灯させるのみであってもよい。また、表示形態も上述した、同じ色とすることに限定されない。例えば、同じ模様を表示させるとした表示形態であってもよいし、表示を点滅させるタイミングを同期させる表示形態であってもよい。
【0103】
また、上記各形態において、例えば、第1受付部70、特定部72、判定部74、表示制御部76、第2受付部78、及び接続部80といった各種の処理を実行する処理部(processing unit)のハードウェア的な構造としては、次に示す各種のプロセッサ(processor)を用いることができる。上記各種のプロセッサには、前述したように、ソフトウェア(プログラム)を実行して各種の処理部として機能する汎用的なプロセッサであるCPUに加えて、FPGA(Field Programmable Gate Array)等の製造後に回路構成を変更可能なプロセッサであるプログラマブルロジックデバイス(Programmable Logic Device:PLD)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の特定の処理を実行させるために専用に設計された回路構成を有するプロセッサである専用電気回路等が含まれる。
【0104】
1つの処理部は、これらの各種のプロセッサのうちの1つで構成されてもよいし、同種又は異種の2つ以上のプロセッサの組み合わせ(例えば、複数のFPGAの組み合わせや、CPUとFPGAとの組み合わせ)で構成されてもよい。また、複数の処理部を1つのプロセッサで構成してもよい。
【0105】
複数の処理部を1つのプロセッサで構成する例としては、第1に、クライアント及びサーバ等のコンピュータに代表されるように、1つ以上のCPUとソフトウェアの組み合わせで1つのプロセッサを構成し、このプロセッサが複数の処理部として機能する形態がある。第2に、システムオンチップ(System On Chip:SoC)等に代表されるように、複数の処理部を含むシステム全体の機能を1つのIC(Integrated Circuit)チップで実現するプロセッサを使用する形態がある。このように、各種の処理部は、ハードウェア的な構造として、上記各種のプロセッサの1つ以上を用いて構成される。
【0106】
更に、これらの各種のプロセッサのハードウェア的な構造としては、より具体的には、半導体素子などの回路素子を組み合わせた電気回路(Circuitry)を用いることができる。
【0107】
また、上記各実施形態では、情報処理プログラム31が記憶部32に予め記憶(インストール)されている態様を説明したが、これに限定されない。情報処理プログラム31は、CD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)、DVD-ROM(Digital Versatile Disc Read Only Memory)、及びUSB(Universal Serial Bus)メモリ等の記録媒体に記録された形態で提供されてもよい。また、情報処理プログラム31は、ネットワークを介して外部装置からダウンロードされる形態としてもよい。
【符号の説明】
【0108】
1 放射線画像撮影システム
10 放射線検出器
12、121~123、14、141~143 コンソール
20 筐体、20A 裏面
23 バッテリ
24 表示部
25 残量表示部
26 接続先モード表示部、261、262 アイコン
27 7セグメントディスプレイ
28 操作部、281、282 操作ボタン
30、40 制御部、30A、40A CPU、30B、40B ROM、30C、40C RAM
31 情報処理プログラム
32、42 記憶部
33 接続先情報
34、44 I/F部
35 放射線検出部
39、49 バス
46 ディスプレイ
48 入力デバイス
70 第1受付部
72 特定部
74 判定部
76 表示制御部
78 第2受付部
901、902 撮影室
N ネットワーク