(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022073245
(43)【公開日】2022-05-17
(54)【発明の名称】制御装置、放射線検出器、制御方法、及び制御プログラム
(51)【国際特許分類】
G01T 7/00 20060101AFI20220510BHJP
A61B 6/00 20060101ALI20220510BHJP
【FI】
G01T7/00 A
A61B6/00 300S
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020183113
(22)【出願日】2020-10-30
(71)【出願人】
【識別番号】306037311
【氏名又は名称】富士フイルム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】特許業務法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】北野 浩一
(72)【発明者】
【氏名】野間 健太郎
【テーマコード(参考)】
2G188
4C093
【Fターム(参考)】
2G188CC22
2G188DD05
2G188DD47
2G188EE21
2G188EE25
2G188EE43
4C093CA39
4C093EB12
4C093EB17
4C093EB30
4C093EE14
(57)【要約】
【課題】放射線検出器において、消費電力を抑制するための消費電力低減モードからの復帰を速やかに行うことができる制御装置、放射線検出器、制御方法、及び制御プログラムを提供する。
【解決手段】放射線検出器10は、メモリコントローラ112及びスリープ制御部114を備える。スリープ制御部114は、第1消費電力低減モードでは、主制御部100に電源電力を供給し、主制御部100以外の少なくとも一部への電源電力の供給を遮断する。また、スリープ制御部114は、第2消費電力低減モードでは、主制御部100の少なくとも一部及び主制御部100以外の少なくとも一部への電源電力の供給を遮断する。また、メモリコントローラ112は、第2消費電力低減モード中に揮発性メモリ108が非活性化するのを防止する。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
主制御部と、照射された放射線に応じて発生した電荷による電気信号を生成して出力する放射線検出部と、前記主制御部の制御に応じて前記放射線検出部を駆動する駆動部と、前記放射線検出部から入力された前記電気信号に応じた画像データを生成する信号処理部と、外部と無線または有線により通信を行う通信部と、揮発性の記憶部と、前記主制御部、前記駆動部、前記信号処理部、前記通信部、及び前記記憶部に電源電力を供給する電源部と、を含む放射線検出器の筐体内に少なくとも1つのプロセッサを備え、
前記プロセッサは、
第1消費電力低減モードでは、前記主制御部に電源電力を供給し、前記主制御部以外の少なくとも一部への電源電力の供給を遮断し、
第2消費電力低減モードでは、前記主制御部の少なくとも一部及び前記主制御部以外の少なくとも一部への電源電力の供給を遮断し、
前記第2消費電力低減モード中に前記記憶部が非活性化するのを防止する
制御装置。
【請求項2】
前記主制御部は、前記駆動部、前記信号処理部、及び前記通信部の制御を行うメインコントローラと、前記記憶部の非活性化防止処理を行うメモリコントローラとを含み、
前記プロセッサは、
前記第2消費電力低減モードでは、前記メインコントローラへの電源の供給を遮断し、かつ前記メモリコントローラに電源電力を供給する
請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記プロセッサは、
前記第2消費電力低減モードへ移行する場合に、前記記憶部に対して、自身を非活性化するための非活性化防止処理を前記第2消費電力低減モード中に行わせるための設定を行う
請求項1に記載の制御装置。
【請求項4】
前記記憶部はSDRAMであり、前記非活性化防止処理はリフレッシュ処理である、
請求項2または請求項3に記載の制御装置。
【請求項5】
前記記憶部はDDR方式によるSDRAMであり、前記非活性化防止処理はリフレッシュ処理である、
請求項2または請求項3に記載の制御装置。
【請求項6】
前記主制御部の少なくとも一部は、前記駆動部及び前記信号処理部を含む
請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の制御装置。
【請求項7】
前記非活性化するのが防止されるのは、前記記憶部の一部の領域である、
請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の制御装置。
【請求項8】
前記プロセッサは、
前記第1消費電力低減モードまたは前記第2消費電力低減モードから復帰した場合、放射線が照射されていない状態で前記放射線検出部から出力された電気信号に応じた画像デーを取得して、前記記憶部に記憶させる
請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の制御装置。
【請求項9】
主制御部と、照射された放射線に応じて発生した電荷による電気信号を生成して出力する放射線検出部と、前記主制御部の制御に応じて前記放射線検出部を駆動する駆動部と、前記放射線検出部から入力された前記電気信号に応じた画像データを生成する信号処理部と、外部と無線または有線により通信を行う通信部と、揮発性の記憶部と、前記主制御部、前記駆動部、前記信号処理部、前記通信部、及び前記記憶部に電源電力を供給する電源部と、を含む放射線検出器の筐体内に少なくとも1つのプロセッサを備え、
前記プロセッサは、
消費電力低減モードでは、前記主制御部の少なくとも一部及び前記主制御部以外の少なくとも一部への電源電力の供給を遮断し、
前記消費電力低減モード中に前記記憶部が非活性化するのを防止する
制御装置。
【請求項10】
主制御部と、
照射された放射線に応じて発生した電荷による電気信号を生成して出力する放射線検出部と、
前記主制御部の制御に応じて前記放射線検出部を駆動する駆動部と、
前記放射線検出部から入力された前記電気信号に応じた画像データを生成する信号処理部と、
外部と無線または有線により通信を行う通信部と、
揮発性の記憶部と、
請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の制御装置と、
を備えた放射線検出器。
【請求項11】
主制御部と、照射された放射線に応じて発生した電荷による電気信号を生成して出力する放射線検出部と、前記主制御部の制御に応じて前記放射線検出部を駆動する駆動部と、前記放射線検出部から入力された前記電気信号に応じた画像データを生成する信号処理部と、外部と無線または有線により通信を行う通信部と、揮発性の記憶部と、前記主制御部、前記駆動部、前記信号処理部、前記通信部、及び前記記憶部に電源電力を供給する電源部と、を含む放射線検出器の筐体内に備えられたプロセッサが、
第1消費電力低減モードでは、前記主制御部に電源電力を供給し、前記主制御部以外の少なくとも一部への電源電力の供給を遮断し、
第2消費電力低減モードでは、前記主制御部の少なくとも一部及び前記主制御部以外の少なくとも一部への電源電力の供給を遮断し、
前記第2消費電力低減モード中に前記記憶部が非活性化するのを防止する
処理を実行する制御方法。
【請求項12】
主制御部と、照射された放射線に応じて発生した電荷による電気信号を生成して出力する放射線検出部と、前記主制御部の制御に応じて前記放射線検出部を駆動する駆動部と、前記放射線検出部から入力された前記電気信号に応じた画像データを生成する信号処理部と、外部と無線または有線により通信を行う通信部と、揮発性の記憶部と、前記主制御部、前記駆動部、前記信号処理部、前記通信部、及び前記記憶部に電源電力を供給する電源部と、を含む放射線検出器の筐体内に備えられたプロセッサに、
第1消費電力低減モードでは、前記主制御部に電源電力を供給し、前記主制御部以外の少なくとも一部への電源電力の供給を遮断し、
第2消費電力低減モードでは、前記主制御部の少なくとも一部及び前記主制御部以外の少なくとも一部への電源電力の供給を遮断し、
前記第2消費電力低減モード中に前記記憶部が非活性化するのを防止する
処理を実行させるための制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、制御装置、放射線検出器、制御方法、及び制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、被写体を透過した放射線に応じた放射線画像を生成する放射線検出器が知られている。放射線検出器において、消費電力を低減するために消費電力低減モードに移行することが知られている。例えば、特許文献1に記載の技術では、駆動状態として省電力状態であるスリープ状態と信号の送受信が可能なウェイク状態とを取り得、一定条件下においてスリープ状態とウェイク状態とを所定時間ごとに交互に繰り返す省電力モードとなるスリープ機能を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、消費電力低減モードからの復帰は速やかに行われることが望まれている。しかしながら、特許文献1に記載の技術では、省電力モードから復帰する際に、時間を要する場合がある。
【0005】
本開示は、上記事情を考慮して成されたものであり、放射線検出器において、消費電力を抑制するための消費電力低減モードからの復帰を速やかに行うことができる制御装置、放射線検出器、制御方法、及び制御プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために本開示の第1の態様の制御装置は、主制御部と、照射された放射線に応じて発生した電荷による電気信号を生成して出力する放射線検出部と、主制御部の制御に応じて放射線検出部を駆動する駆動部と、放射線検出部から入力された電気信号に応じた画像データを生成する信号処理部と、外部と無線または有線により通信を行う通信部と、揮発性の記憶部と、主制御部、駆動部、信号処理部、通信部、及び記憶部に電源電力を供給する電源部と、を含む放射線検出器の筐体内に少なくとも1つのプロセッサを備え、プロセッサは、第1消費電力低減モードでは、主制御部に電源電力を供給し、主制御部以外の少なくとも一部への電源電力の供給を遮断し、第2消費電力低減モードでは、主制御部の少なくとも一部及び主制御部以外の少なくとも一部への電源電力の供給を遮断し、第2消費電力低減モード中に記憶部が非活性化するのを防止する。
【0007】
本開示の第2の態様の制御装置は、第1の態様の制御装置において、主制御部は、駆動部、信号処理部、及び通信部の制御を行うメインコントローラと、記憶部の非活性化防止処理を行うメモリコントローラとを含み、プロセッサは、第2消費電力低減モードでは、メインコントローラへの電源の供給を遮断し、かつメモリコントローラに電源電力を供給する。
【0008】
本開示の第3の態様の制御装置は、第1の態様の制御装置において、プロセッサは、第2消費電力低減モードへ移行する場合に、記憶部に対して、自身を非活性化するための非活性化防止処理を第2消費電力低減モード中に行わせるための設定を行う。
【0009】
本開示の第4の態様の制御装置は、第2の態様または第3の態様の制御装置において、記憶部はSDRAMであり、非活性化の防止はリフレッシュ処理を実行することである。
【0010】
本開示の第5の態様の制御装置は、第2の態または第3の態様の制御装置において、記憶部はDDR方式によるSDRAMであり、非活性化防止処理はリフレッシュ処理である。
【0011】
本開示の第6の態様の制御装置は、第1の態様から第5の態様のいずれか1態様の制御装置において、主制御部の少なくとも一部は、駆動部及び信号処理部を含む。
【0012】
本開示の第7の態様の制御装置は、第1の態様から第6の態様のいずれか1態様の制御装置において、非活性化するのが防止されるのは、記憶部の一部の領域である。
【0013】
本開示の第8の態様の制御装置は、第1の態様から第7の態様のいずれか1態様の制御装置において、プロセッサは、第1消費電力低減モードまたは第2消費電力低減モードから復帰した場合、放射線が照射されていない状態で放射線検出部から出力された電気信号に応じた画像デーを取得して、記憶部に記憶させる。
【0014】
本開示の第9の態様の制御装置は、主制御部と、照射された放射線に応じて発生した電荷による電気信号を生成して出力する放射線検出部と、主制御部の制御に応じて放射線検出部を駆動する駆動部と、放射線検出部から入力された電気信号に応じた画像データを生成する信号処理部と、外部と無線または有線により通信を行う通信部と、揮発性の記憶部と、主制御部、駆動部、信号処理部、通信部、及び記憶部に電源電力を供給する電源部と、を含む放射線検出器の筐体内に少なくとも1つのプロセッサを備え、プロセッサは、消費電力低減モードでは、主制御部の少なくとも一部及び主制御部以外の少なくとも一部への電源電力の供給を遮断し、消費電力低減モード中に記憶部が非活性化するのを防止する。
【0015】
また、上記目的を達成するために本開示の第10の態様の放射線検出器は、主制御部と、照射された放射線に応じて発生した電荷による電気信号を生成して出力する放射線検出部と、主制御部の制御に応じて放射線検出部を駆動する駆動部と、放射線検出部から入力された電気信号に応じた画像データを生成する信号処理部と、外部と無線または有線により通信を行う通信部と、揮発性の記憶部と、本開示の制御装置と、を備える。
【0016】
また、上記目的を達成するために本開示の第11の態様の制御方法は、主制御部と、照射された放射線に応じて発生した電荷による電気信号を生成して出力する放射線検出部と、主制御部の制御に応じて放射線検出部を駆動する駆動部と、放射線検出部から入力された電気信号に応じた画像データを生成する信号処理部と、外部と無線または有線により通信を行う通信部と、揮発性の記憶部と、主制御部、駆動部、信号処理部、通信部、及び記憶部に電源電力を供給する電源部と、を含む放射線検出器の筐体内に備えられたプロセッサが、第1消費電力低減モードでは、主制御部に電源電力を供給し、主制御部以外の少なくとも一部への電源電力の供給を遮断し、第2消費電力低減モードでは、主制御部の少なくとも一部及び主制御部以外の少なくとも一部への電源電力の供給を遮断し、第2消費電力低減モード中に記憶部が非活性化するのを防止する処理を実行するものである。
【0017】
また、上記目的を達成するために本開示の第12の態様の情報処理プログラムは、主制御部と、照射された放射線に応じて発生した電荷による電気信号を生成して出力する放射線検出部と、主制御部の制御に応じて放射線検出部を駆動する駆動部と、放射線検出部から入力された電気信号に応じた画像データを生成する信号処理部と、外部と無線または有線により通信を行う通信部と、揮発性の記憶部と、主制御部、駆動部、信号処理部、通信部、及び記憶部に電源電力を供給する電源部と、を含む放射線検出器の筐体内に備えられたプロセッサに、第1消費電力低減モードでは、主制御部に電源電力を供給し、主制御部以外の少なくとも一部への電源電力の供給を遮断し、第2消費電力低減モードでは、主制御部の少なくとも一部及び主制御部以外の少なくとも一部への電源電力の供給を遮断し、第2消費電力低減モード中に記憶部が非活性化するのを防止する処理を実行させるためのものである。
【発明の効果】
【0018】
本開示によれば、放射線検出器において、消費電力を抑制するための消費電力低減モードからの復帰を速やかに行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図4A】第1消費電力低減モードを説明するための図である。
【
図4B】第2消費電力低減モードを説明するための図である。
【
図5】放射線検出器におけるスリープ処理の流れの一例を表したフローチャートである。
【
図6】変形例1の回路部の構成の一例を示す図である。
【
図7】変形例1における第2消費電力低減モードを説明するための図である。
【
図8】変形例1の放射線検出器におけるスリープ処理の流れの一例を表したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。なお、各実施形態は本発明を限定するものではない。
【0021】
まず、
図1を参照して、本実施形態の放射線検出器10の構成を説明する。本実施形態の放射線検出器10は、放射線を検出して放射線画像を出力する機能を有する。より具体的には、放射線検出器10は、放射線源(図示省略)から照射されて被写体を透過した放射線を検出して放射線画像を表す画像データを生成して出力する機能を有する。本実施形態の放射線検出器10は、いわゆる、FPD(Flat Panel Detector)と呼ばれるものである。
図1に示すように、本実施形態の放射線検出器10は、筐体16内に、放射線検出部12及び回路部14を備える。
【0022】
放射線検出部12は、放射線検出器10に照射された放射線に応じて発生した電荷による電気信号を生成して出力する機能を有する。
図2には、本実施形態の放射線検出部12の構成の一例が示されている。
図2に示すように、放射線検出部12は、放射線、またはシンチレータ等の変換層によって放射線から変換された可視光に感応して電荷を発生する複数の画素30が配列されている。一例として本実施形態の画素30は、
図2に示すように二次元状に配置されている。
図2では、画素30の配列を簡略化して示しているが、例えば、画素30は行方向及び列方向に1024個×1024個配置される。
【0023】
図2に示すように本実施形態の各画素30は、発生した電荷を蓄積するセンサ部34、及びセンサ部34にて蓄積された電荷を読み出すスイッチング素子32を備える。本実施形態では、一例として、薄膜トランジスタ(TFT:Thin Film Transistor)をスイッチング素子32として用いている。そのため、以下では、スイッチング素子32を「TFT32」という。
【0024】
画素30の行毎には、TFT32のスイッチング状態(オン及びオフ)を制御するための複数の走査配線38が設けられている。また、画素30の列毎には、センサ部34に蓄積された電荷が読み出される複数の信号配線36が走査配線38と交差する状態に設けられている。複数の走査配線38の各々は、回路部14に含まれる駆動部102に接続されることにより、駆動部102から出力される、TFT32を駆動してスイッチング状態を制御する駆動信号が、複数の走査配線38の各々に流れる。また、複数の信号配線36の各々は、回路部14に含まれる信号処理部104に接続されることにより、各画素30から読み出された電荷が、電気信号として信号処理部104に出力される。
【0025】
また、各画素30のセンサ部34には、各画素30にバイアス電圧を印加するために、共通配線39が信号配線36の配線方向に設けられている。共通配線39が、外部のバイアス電源(図示省略)に接続されることにより、バイアス電源から各画素30にバイアス電圧が印加される。
【0026】
一方、本実施形態の回路部14は、上述した駆動部102及び信号処理部104を含み、放射線検出部12を制御し、放射線検出部12による放射線画像の生成を行うための各種の回路を備える。
図3には、本実施形態の回路部14の構成の一例が示されている。
図3に示すように回路部14は、主制御部100、駆動部102、信号処理部104、不揮発性メモリ106、揮発性メモリ108、及び通信I/F(InterFace)109を含む。
【0027】
電源部130は、主制御部100、駆動部102、信号処理部104、不揮発性メモリ106、揮発性メモリ108、及び通信I/F109等に電源電力を供給する。なお、
図3では、錯綜を回避するために、電源部130と各部を接続する配線の図示を省略している。
【0028】
主制御部100は、放射線検出器10の全体の動作を制御する機能を有する。
図3に示すように、本実施形態の主制御部100は、メインコントローラ110、メモリコントローラ112、及びスリープ制御部114を有する。メインコントローラ110、メモリコントローラ112、及びスリープ制御部114各々の一例としては、CPU(Central Processing Unit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等が挙げられる。
【0029】
メインコントローラ110は、放射線画像の撮影に関して、放射線検出器10の全体の動作を制御する機能を有する。メインコントローラ110には上述した駆動部102が接続されており、駆動部102の駆動を制御する。駆動部102は、上述したようにTFT32を駆動してスイッチング状態を制御するための駆動信号を生成して、複数の走査配線38に出力する。
図3に示すように、駆動部102は、複数(一例として
図3では4個)の駆動回路120を含む。駆動回路120は、駆動信号を生成するための回路や部品であり、主にデジタル信号の処理に用いられる。具体例として駆動部102には、デジタルバッファ、バイパスコンデンサ、プルアップ/プルダウン抵抗、ダンピング抵抗、及びEMC(Electro Magnetic Compatibility)対策チップ部品等が含まれる。
【0030】
また、メインコントローラ110には上述した信号処理部104が接続されており、信号処理部104から順次出力された画像データが順次入力される。信号処理部104は、画素30から入力された電気信号に応じた画像データを生成して主制御部100に順次出力する。
図3に示すように、信号処理部104は、複数(一例として
図3では5個)の信号処理回路124を含む。信号処理回路124は、画素30から入力された電気信号に応じた画像データを生成するための回路や部品であり、主にアナログ信号の処理に用いられる。信号処理回路124はアナログフロントエンド等を含む。具体例として信号処理回路124には、オペアンプ、アナログデジタルコンバータ(ADC)、デジタルアナログコンバータ(DAC)等が含まれる。
【0031】
また、メインコントローラ110には通信I/F109が接続されており、通信I/F109を介して、無線通信または有線通信により、放射線画像の撮影におけるコンソ-ル等の外部の装置と接続される。生成された放射線画像を表す画像データは、通信I/F109を介してコンソール等の外部の装置に出力される。本実施形態の通信I/F109が、本開示の「通信部」の一例である。
【0032】
一方、スリープ制御部114は、回路部14における消費電力を低減するためのスリープモードへの移行に関する制御を行う機能を有している。本実施形態のメモリコントローラ112及びスリープ制御部114が、本開示の「プロセッサ」の一例であり、また、本開示の「制御装置」の一例である。
【0033】
本実施形態の放射線検出器10は、回路部14における消費電力を低減するためのスリープモードとして、第1消費電力低減モード及び第2消費電力低減モードの2種類が存在する。以下では、第1消費電力低減モード及び第2消費電力低減モードについて総称する場合、スリープモードという。
【0034】
図4Aを参照して第1消費電力低減モードについて説明する。また、
図4Bを参照して第2消費電力低減モードについて説明する。なお、
図4A及び
図4Bでは、電源電力の供給が遮断される部分をハッチングにより示している。
【0035】
図4Aに示すように第1消費電力低減モードでは、電源部130から主制御部100への電源電力は供給される。一方、駆動部102の駆動回路120、信号処理部104の信号処理回路124、不揮発性メモリ106、及び通信I/F109への電源電力の供給は遮断される。このように、本実施形態の第1消費電力低減モードでは、主制御部100には電源部130からの電源電力が供給されたままとなり、メインコントローラ110、メモリコントローラ112、及びスリープ制御部114は駆動したままとなる。従って、メモリコントローラ112により定期的に揮発性メモリ108のリフレッシュ処理が行われるため、揮発性メモリ108に記憶されたデータが維持される。
【0036】
一方、
図4Bに示すように第2消費電力低減モードでは、主制御部100のメインコントローラ110及び駆動部102の駆動回路120、信号処理部104の信号処理回路124、不揮発性メモリ106、及び通信I/F109への電源電力の供給が遮断される。このように、本実施形態の第2消費電力低減モードでは、主制御部100のメモリコントローラ112及びスリープ制御部114以外がスリープ状態となる。従って、第2消費電力低減モードでは、第1消費電力低減モードよりも消費電力がより低減される。また、主制御部100のメモリコントローラ112に電源電力が供給されたままとなるため、第2消費電力低減モードにおいても、メモリコントローラ112により定期的に揮発性メモリ108のリフレッシュ処理が行われる。そのため、第2消費電力低減モードにおいても揮発性メモリ108に記憶されたデータが維持される。
【0037】
なお、本実施形態の駆動部102の駆動回路120、信号処理部104の信号処理回路124、不揮発性メモリ106、及び通信I/F109が本開示の「主制御部以外の少なくとも一部」の一例である。また、本実施形態のメインコントローラ110が本開示の「主制御部の少なくとも一部」の一例である。
【0038】
一方、メモリコントローラ112には、不揮発性メモリ106が接続されており、不揮発性メモリ106を制御する機能を有する。信号処理部104から順次出力された画像データは、メモリコントローラ112の制御によって不揮発性メモリ106に順次記憶される。また、不揮発性メモリ106には、放射線画像の生成に用いられる各種データが記憶される。不揮発性メモリ106の一例としては、フラッシュメモリやROM(Read Only Memory)等が挙げられる。
【0039】
また、メモリコントローラ112には、揮発性メモリ108が接続されており、揮発性メモリ108を制御する機能を有する。揮発性メモリ108には、放射線画像の生成に用いられる各種データ等が記憶される。揮発性メモリ108に記憶されるデータは、例えば、オフセット補正用のデータ等のキャリブレーション用のキャリブレーションデータ等が挙げられる。揮発性メモリ108の例としては、SDRAM(SDR SDRAM:Single Data Rate Synchronous Dynamic Random Access Memory)が挙げられる。揮発性メモリ108の一例としては、SDRAM(SDR SDRAM:Single Data Rate Synchronous Dynamic Random Access Memory)や、DDR(DDR SDRAM:Double Data Rate Synchronous Dynamic Random Access Memory)等のDDR方式のSDRAM等が挙げられる。本実施形態の揮発性メモリ108が、本開示の「揮発性の記憶部」の一例である。
【0040】
揮発性メモリ108は、非活性化を防止するため、定期的に非活性化防止処理を行う必要がある。揮発性メモリ108がSDRAMやDDRの場合、記憶されているデータを保持し、メモリを有効に維持するためには、電位を安定させるためのリフレッシュ処理を定期的に行う必要がある。
【0041】
メモリコントローラ112は、揮発性メモリ108にリフレッシュ処理を行わせる機能を有する。上述したように第1消費電力低減モード及び第2消費電力低減モードのいずれにおいてもメモリコントローラ112には電源電力が供給されているため、メモリコントローラ112は、第2消費電力低減モード中に揮発性メモリ108が非活性化するのを防止するためのリフレッシュ処理を行うことができる。
【0042】
さらに、本実施形態の放射線検出器10におけるスリープ機能の作用について図面を参照して説明する。
図5には、本実施形態の放射線検出器10におけるスリープ処理の流れの一例を表したフローチャートを示す。
図5に示したスリープ処理は、例えば、本実施形態では、放射線検出器10が放射線画像の撮影動作等の何らかの動作を行っておらず、かつ通信I/F109がコンソール等の外部の装置と通信を行っていない場合等に主制御部100で実行される。なお、メモリコントローラ112及びスリープ制御部114がスリープ処理を行うために実行する情報処理プログラム(図示省略)は、例えば、主制御部100が有するROMに記憶されている。
【0043】
ステップS100でスリープ制御部114は、第1所定時間が経過したか否かを判定する。一例として本実施形態では、放射線検出器10が放射線画像の撮影動作等の何らかの動作を行っておらず、かつ通信I/F109がコンソール等の外部の装置と通信を行っていない時間が第1所定時間以上続いた場合に、第1消費電力低減モードへ移行する。そのため、本ステップでスリープ制御部114は、放射線検出器10が放射線画像の撮影動作等の何らかの動作を行わず、かつ通信I/F109がコンソール等の外部の装置と通信を行わなくなってから第1所定時間が経過したか否かを判定する。
【0044】
第1所定時間が経過していない場合、ステップS100の判定が否定判定となり、ステップS102へ移行する。ステップS102でスリープ制御部114は、本スリープ処理を終了するか否かを判定する。放射線検出器10が放射線画像の撮影動作等の何らかの動作を行った場合、及び通信I/F109がコンソール等の外部の装置と通信を行った場合の少なくとも一方の場合、ステップS102の判定が肯定判定となり、本スリープ処理を終了する。一方、放射線検出器10が放射線画像の撮影動作等の何らかの動作を行っておらず、かつ通信I/F109がコンソール等の外部の装置と通信を行っていないままの場合、ステップS102の判定が否定判定となり、ステップS100に戻る。
【0045】
一方、放射線検出器10が放射線画像の撮影動作等の何らかの動作を行わず、かつ通信I/F109がコンソール等の外部の装置と通信を行わなくなってから第1所定時間が経過した場合、ステップS100の判定が肯定判定となりステップS104へ移行する。
【0046】
ステップS104でスリープ制御部114は、第1消費電力低減モードへ移行する。第1消費電力低減モードでは
図4Aを参照して上述したように、電源部130から主制御部100への電源電力は供給され、かつ駆動回路120、信号処理回路124、不揮発性メモリ106、及び通信I/F109への電源電力の供給は遮断された状態とする。
【0047】
次のステップS106でメモリコントローラ112は、揮発性メモリ108のリフレッシュ処理を行う。リフレッシュ処理が行われことにより、第1消費電力低減モード中も揮発性メモリ108の電位が安定し、揮発性メモリ108に記憶されたデータが維持される。
【0048】
次のステップS108でスリープ制御部114は、第1消費電力低減モードに移行してから第2所定時間が経過したか否かを判定する。具体的には、スリープ制御部114は、第1消費電力低減モードへ移行してから第2所定時間が経過したか否かを判定する。第1消費電力低減モードへ移行してから未だ第2所定時間が経過していない場合、ステップS108の判定が否定判定となり、ステップS110へ移行する。
【0049】
ステップS110でスリープ制御部114は、第1消費電力低減モードから復帰するか否かを判定する。一例として本実施形態のスリープ制御部114は、スリープモードからの復帰指示をユーザから受け付けた場合に、スリープモードから復帰する。ユーザによる復帰指示は、例えば、放射線検出器10の筐体16に設けられた操作部(図示省略)をユーザが操作することにより行われる。スリープ制御部114が復帰指示を受け付けた場合、ステップS110の判定が肯定判定となり、ステップS118へ移行する。一方、スリープ制御部114が復帰指示を受け付けていない場合、ステップS110の判定が否定判定となり、ステップS106に戻り、ステップS106及びS108の処理を繰り返す。従って、第1消費電力低減モード中は、繰り返しメモリコントローラ112により揮発性メモリ108のリフレッシュ処理が行われるため、第1消費電力低減モード中に揮発性メモリ108に記憶されているデータが消失するのを防止することができる。
【0050】
一方、第1消費電力低減モードへ移行してから第2所定時間が経過した場合、ステップS108の判定が肯定判定となり、ステップS112へ移行する。
【0051】
ステップS112でスリープ制御部114は、第2消費電力低減モードへ移行する。第2消費電力低減モードでは
図4Bを参照して上述したように、電源部130からメモリコントローラ112及びスリープ制御部114への電源電力は供給され、かつメインコントローラ110、駆動回路120、信号処理回路124、不揮発性メモリ106、及び通信I/F109への電源電力の供給は遮断された状態とする。
【0052】
次のステップS114でメモリコントローラ112は、上述したステップS106と同様に、揮発性メモリ108のリフレッシュ処理を行う。リフレッシュ処理が行われことにより、第2消費電力低減モード中も揮発性メモリ108の電位が安定し、揮発性メモリ108に記憶されたデータが維持される。
【0053】
ステップS116でスリープ制御部114は、第2消費電力低減モードから復帰するか否かを判定する。一例として本実施形態では第2消費電力低減モードから復帰するための復帰条件は、上記ステップS110で上述した第1消費電力低減モードから復帰するための復帰条件と同様としている。すなわち、スリープ制御部114が復帰指示を受け付けた場合、ステップS116の判定が肯定判定となり、ステップS118へ移行する。一方、スリープ制御部114が復帰指示を受け付けていない場合、ステップS116の判定が否定判定となり、ステップS114に戻り、ステップS114の処理を繰り返す。従って、第2消費電力低減モード中は、繰り返しメモリコントローラ112により揮発性メモリ108のリフレッシュ処理が行われるため、第2消費電力低減モード中に揮発性メモリ108に記憶されているデータが消失するのを防止することができる。
【0054】
ステップS118でスリープ制御部114は、第1消費電力低減モードまたは第2消費電力低減モードから復帰するための復帰処理を行う。具体的には、電源電力の供給が遮断されていた各部に、電源電力を供給するための処理を行う。
【0055】
次のステップS120でスリープ制御部114は、放射線画像のキャリブレーションに用いるキャリブレーションデータを取得させる。一例として本実施形態ではスリープ制御部114が、キャリブレーションデータを取得するタイミングであることを表す信号を出力する。メインコントローラ110は、スリープ制御部114から上記信号が入力されると、駆動部102及び信号処理部104を駆動して、放射線検出部35に撮影動作を行わせる。撮影動作を行うことにより、放射線が照射されていない状態で放射線検出部35から出力された電気信号に応じた画像データが生成される。メインコントローラ110は、放射線検出部35から出力された画像データをキャリブレーションデータとして取得する。
【0056】
キャリブレーションデータには、放射線検出器10の環境変化や経時変化等の影響を受け難いものと、放射線検出器10の環境変化や経時変化等に影響を受けやすいものとがある。環境変化や経時変化等の影響を受け難いものの場合、スリープモード後も揮発性メモリ108に記憶されているキャリブレーションデータと、必要とされるキャリブレーションデータとが同様となる。一方、環境変化や経時変化等の影響を受けやすいものの場合、スリープモード中の環境変化や経時変化等の影響により、スリープモード後に揮発性メモリ108に記憶されているキャリブレーションデータと、必要とされるキャリブレーションデータとが異なってしまう場合がある。
【0057】
そこで、本ステップでは、環境変化や経時変化等の影響を受けやすいキャリブレーションデータを、スリープモードから復帰後に取得して、揮発性メモリ108に記憶させる。これにより、適切なキャリブレーションデータが揮発性メモリ108に記憶された状態となる。
【0058】
なお、上述したように、本ステップでは、環境変化や経時変化等の影響を受けやすいキャリブレーションデータを取得すればよく、環境変化や経時変化等の影響を受けにくいキャリブレーションデータについては、取得せずともよい。また、本ステップにおけるキャリブレーションデータの取得及び揮発性メモリ108への記憶は必須では無い。例えば、環境変化や経時変化が無視できる場合や、第2消費電力低減モードに移行している期間が短い場合等は、本ステップ(S120)及び後段のステップS122を省略してもよい。
【0059】
また、本実施形態では、キャリブレーションデータを取得する形態について説明したが、スリープモードの復帰後に取得するのは、キャリブレーションデータに限定されない。上述したように、スリープモード中に環境変化や経時変化等の影響を受けやすいデータであれば、特に限定されるものではない。
【0060】
次のステップS122でメモリコントローラ112は、メインコントローラ110が取得したキャリブレーションデータを、揮発性メモリ108の所定のアドレスに記憶させる。ステップS122の処理が終了すると、
図5に示したスリープ処理が終了する。
【0061】
(変形例1)
上記形態では、主制御部100のメモリコントローラ112が、揮発性メモリ108のリフレッシュ処理を行う形態について説明した。これに対して本変形例では、リフレッシュ処理を主制御部100のメモリコントローラ112以外が行う形態について説明する。
【0062】
図6には、本変形例の回路部14の構成の一例が示されている。
図6に示すように本変形例の回路部14は、揮発性メモリ108に代えて揮発性メモリ108Sを備える点で上記形態の回路部14(
図3参照)と異なっている。本変形例の揮発性メモリ108Sは、メモリコントローラ等の外部の制御によらず自身でリフレッシュ処理を行う、いわゆるセルフルフレッシュ処理が可能とされている。
【0063】
本変形例では、スリープモード以外の場合、及び第1消費電力低減モードの場合は、メモリコントローラ112が揮発性メモリ108Sのリフレッシュ処理を行う。一方、第2消費電力低減モードの場合は、揮発性メモリ108Sがセルフルフレッシュ処理を行う。そのため、メモリコントローラ112は、第2消費電力低減モードに移行する場合に、揮発性メモリ108Sに対して、セルフルフレッシュ処理を行わせるための設定を行う。また、第2消費電力低減モードが復帰する場合に、揮発性メモリ108Sに対して、セルフルフレッシュ処理を行わせないための設定を行う。
【0064】
また、本変形例のスリープ制御部114は、第2消費電力低減モードにおいて、電源電力の供給を遮断する対称が上記形態と異なっている。
図7を参照して本変形例の第2消費電力低減モードについて説明する。
【0065】
図7に示すように、本変形例の第2消費電力低減モードでは、主制御部100のメモリコントローラ112への電源電力の供給がさらに遮断される点で上記形態の第2消費電力低減モード(
図4B参照)と異なっている。上述したように、本変形例では、第2消費電力低減モード中は揮発性メモリ108Sがセルフルフレッシュ処理を行うため、メモリコントローラ112の電源電力の供給が遮断されておりスリープ状態であっても、揮発性メモリ108Sがリフレッシュされる。そのため、第2消費電力低減モードにおいても揮発性メモリ108に記憶されたデータが維持される。
【0066】
また、
図8には、本変形例の放射線検出器10におけるスリープ処理の流れの一例を表したフローチャートを示す。
図8に示したスリープ処理は、ステップS112の前にステップS111を備える点で、上記形態のスリープ処理(
図5参照)と異なっている。また、本変形例ではステップS114に代わりステップS115を備える点で異なっている。さらに、本変形例ではステップS118とステップS120との間にステップS119を備える点で異なっている。
【0067】
本変形例では
図8に示すように、ステップS111でメモリコントローラ112は、上述したように、揮発性メモリ108Sに対して、セルフルフレッシュ処理を行わせるための設定を行う。なお、次のステップS112でスリープ制御部114は、第2消費電力低減モードへ移行するが、上述したようにスリープ制御部114は、メモリコントローラ112への電源電力の供給も遮断する。
【0068】
また、ステップS115で揮発性メモリ108は、上述したようにセルフルフレッシュ処理を行う。セルフリフレッシュ処理が行われことにより、第2消費電力低減モード中であり、メモリコントローラ112がスリープしている状態であっても揮発性メモリ108Sの電位が安定し、揮発性メモリ108に記憶されたデータが維持される。
【0069】
また、ステップS119でメモリコントローラ112は、揮発性メモリ108Sのセルフリフレッシュ処理を終了させる。なお、第1消費電力低減モードから復帰した場合は、揮発性メモリ108Sはセルフリフレッシュ処理を行っていない状態であるため、本ステップを省略することができる。
【0070】
以上説明したように、上記各実施形態の放射線検出器10は、主制御部100と、照射された放射線に応じて発生した電荷による電気信号を生成して出力する放射線検出部12と、主制御部100の制御に応じて放射線検出部12を駆動する駆動部102と、放射線検出部12から入力された電気信号に応じた画像データを生成する信号処理部104と、外部と無線または有線により通信を行う通信I/F109と、揮発性メモリ108と、主制御部100、駆動部102、信号処理部104、通信I/F109、及び揮発性メモリ108に電源電力を供給する電源部130と、を含む放射線検出器10の筐体16内にメモリコントローラ112及びスリープ制御部114を備える。スリープ制御部114は、第1消費電力低減モードでは、主制御部100に電源電力を供給し、主制御部100以外の少なくとも一部への電源電力の供給を遮断する。また、スリープ制御部114は、第2消費電力低減モードでは、主制御部100の少なくとも一部及び主制御部100以外の少なくとも一部への電源電力の供給を遮断する。また、メモリコントローラ112は、第2消費電力低減モード中に揮発性メモリ108が非活性化するのを防止する。
【0071】
上述したように、上記各形態の放射線検出器10では、電力の消費量を抑制するために主制御部100のメインコントローラ110についてもスリープ状態とする第2消費電力低減モード中であっても、揮発性メモリ108の非活性化を防止するためのリフレッシュ処理を繰り返し行う。リフレッシュ処理が行われことにより、第2消費電力低減モード中も揮発性メモリ108の電位が安定し、揮発性メモリ108に記憶されたデータが維持される。そのため、スリープモードから復帰した場合に、揮発性メモリ108に記憶されているべきキャリブレーションデータ等の全てのデータを再び記憶させる処理を行わなくてもよい。従って、上記各形態のメモリコントローラ112及びスリープ制御部114によれば、消費電力を抑制するためのスリープモードからの復帰を速やかに行うことができる。
【0072】
また、上記各形態によれば、第2消費電力低減モードにおいて、他に比べて消費電力が大きい主制御部100のメインコントローラ110をスリープ状態にすることができるため、消費電力をより低減することができる。
【0073】
なお、上記各形態では、第1消費電力低減モードから復帰した場合もキャリブレーションデータを取得して揮発性メモリ108に記憶させる形態について説明したが、第1消費電力低減モードから復帰した場合は、キャリブレーションデータを取得せずともよい。第1消費電力低減モードである期間は比較的短く、環境変化や経時変化等に影響を比較的光量せずともよいため、キャリブレーションデータの種類によらず、取得せずともよい。
【0074】
また、上記各形態では、スリープモードへ移行するタイミングを、放射線検出器10が放射線画像の撮影動作等の何らかの動作を行っておらず、かつ通信I/F109がコンソール等の外部の装置と通信を行っていない時間に応じて判定しているが、スリープモードへ移行するタイミングは本形態に限定されない。例えば、スリープ制御部114が、スリープモードへの移行指示をユーザから受け付けた場合をスリープモードへ移行するタイミングとしてもよい。ユーザによる移行指示は、例えば、放射線検出器10の筐体16に設けられた操作部(図示省略)をユーザが操作することにより行うこととすればよい。
【0075】
また、上記各形態では、第1消費電力低減モードへの移行後に、第2消費電力低減モードへ移行する形態について説明したが、本形態に限定されず、第1消費電力低減モードを経ずに直接、第2消費電力低減モードへ移行する形態としてもよい。例えば、上記のようにユーザによる移行指示を受け付けた場合にスリープモードへ移行する場合、ユーザが操作部を軽く押すと第1消費電力低減モードへ移行し、ユーザが操作部を長押しすると第2消費電力低減モードへ移行する形態としてもよい。
【0076】
また、上記各形態では、スリープモードがから復帰するタイミングを、放射線検出器10が放射線画像の撮影動作等の何らかの動作を行った場合、及び通信I/F109がコンソール等の外部の装置と通信を行った場合の少なくとも一方の場合としているが、復帰するタイミングは本形態に限定されない。例えば、放射線検出器10にコンソールから撮影メニューが入力された場合等、外部の装置から情報が入力された場合をスリープモードから復帰するタイミングとしてもよい。また例えば、放射線検出器10にジャイロセンサ等の移動検出センサを設け、移動検出センサが放射線検出器10が移動したことを検出したタイミングをスリープモードから復帰するタイミングとしてもよい。
【0077】
なお、上記各形態では、主制御部100がメモリコントローラ112及びスリープ制御部114を備える形態としたが、メモリコントローラ112及びスリープ制御部114の少なくとも一方は、主制御部100外に設けられていてもよい。メモリコントローラ112及びスリープ制御部114を主制御部100の外部に設けた場合、第2消費電力低減モードにおいて、主制御部100全体をスリープ状態とすることができる。
【0078】
また、第1消費電力低減モード及び第2消費電力低減モードの各々において、電源電力が供給される部分、換言すると電源電力の供給が遮断される部分は、上記各形態に限定されない。第1消費電力低減モード及び第2消費電力低減モードのいずれにおいても、駆動部102の駆動回路120及び信号処理部104の信号処理回路124への電源電力の供給が遮断されており、かつ第2消費電力低減モードでは主制御部100のメインコントローラ110への電源電力の供給が遮断されていればよい。また、放射線検出器10の回路部14に備えられている上述した部分以外については、スリープモードにおいて適宜、電源電力の遮断を行うものとすることができる。例えば、放射線検出器10の筐体16に各種情報を表示する表示部が設けられている場合、回路部14は、表示部における表示を制御するための表示制御部を備える。表示制御部をスリープ状態にすることにより、より消費電力を低減できる。一方、スリープ状態としないことにより、放射線検出器10がスリープモードであることを表す情報を表示させることができるため、スリープモードに移行していることをユーザに認識させることができる。そのため、表示制御部をスリープ状態とするか否かは、適宜設定可能としてもよい。
【0079】
また、第1消費電力低減モード及び第2消費電力低減モードにおいて、リフレッシュ処理を行う対称を、揮発性メモリ108、108Sの全体とした形態について説明したが、リフレッシュ処理を行う対称は本形態に限定されず、一部の領域としてもよい。換言すると、揮発性メモリ108、108Sの一部のアドレスについてリフレッシュ処理を行う形態としてもよい。例えば、リフレッシュ処理を行わない領域については、記憶されているデータが消失する懸念がある。そのため、消失させたくないデータが記憶されている領域のみスリープモード中にリフレッシュ処理を行う形態としてもよい。また例えば、復帰直後に使用する領域のみスリープモード中にリフレッシュ処理を行う形態としてもよい。
【0080】
また、上記各形態では、本開示の「非活性化」の一例として揮発性メモリ108に記憶されているデータが消失することを挙げて、「非活性化防止処理」としてリフレッシュ処理を挙げたが、本開示の「非活性化」及び「非活性化防止処理」はこれらに限定されるものではない。
【0081】
また例えば、メインコントローラ110及びメモリコントローラ112といった処理部(processing unit)のハードウェア的な構造としては、次に示す各種のプロセッサ(processor)を用いることができる。上記各種のプロセッサには、前述したように、ソフトウェア(プログラム)を実行して各種の処理部として機能する汎用的なプロセッサであるCPUに加えて、FPGA(Field Programmable Gate Array)等の製造後に回路構成を変更可能なプロセッサであるプログラマブルロジックデバイス(Programmable Logic Device:PLD)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の特定の処理を実行させるために専用に設計された回路構成を有するプロセッサである専用電気回路等が含まれる。
【0082】
メインコントローラ110及びメモリコントローラ112の各々は、これらの各種のプロセッサのうちの1つで構成されてもよいし、同種又は異種の2つ以上のプロセッサの組み合わせ(例えば、複数のFPGAの組み合わせや、CPUとFPGAとの組み合わせ)で構成されてもよい。また、複数の処理部を1つのプロセッサで構成してもよい。
【0083】
メモリコントローラ112及びスリープ制御部114を1つのプロセッサで構成する例としては、第1に、1つ以上のCPUとソフトウェアの組み合わせで1つのプロセッサを構成し、このプロセッサが複数の処理部として機能する形態がある。第2に、システムオンチップ(System On Chip:SoC)等に代表されるように、複数の処理部を含むシステム全体の機能を1つのIC(Integrated Circuit)チップで実現するプロセッサを使用する形態がある。このように、各種の処理部は、ハードウェア的な構造として、上記各種のプロセッサの1つ以上を用いて構成される。
【0084】
更に、これらの各種のプロセッサのハードウェア的な構造としては、より具体的には、半導体素子などの回路素子を組み合わせた電気回路(Circuitry)を用いることができる。
【0085】
また、上記各実施形態では、情報処理プログラムがROMに予め記憶(インストール)されている態様を説明したが、これに限定されない。情報処理プログラムは、CD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)、DVD-ROM(Digital Versatile Disc Read Only Memory)、及びUSB(Universal Serial Bus)メモリ等の記録媒体に記録された形態で提供されてもよい。また、情報処理プログラムは、ネットワークを介して外部装置からダウンロードされる形態としてもよい。
【符号の説明】
【0086】
10 放射線検出器
12 放射線検出部
14 回路部
16 筐体
30 画素
32 TFT
34 センサ部
35 放射線検出部
36 信号配線
38 走査配線
39 共通配線
100 主制御部
102 駆動部
104 信号処理部
106 不揮発性メモリ
108、108S 揮発性メモリ
109 通信I/F
110 メインコントローラ
112 メモリコントローラ
114 スリープ制御部
120 駆動回路
124 信号処理回路
130 電源部