(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022074330
(43)【公開日】2022-05-18
(54)【発明の名称】光ラインセンサ部材及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
H04N 1/028 20060101AFI20220511BHJP
B65H 5/38 20060101ALI20220511BHJP
H04N 1/193 20060101ALI20220511BHJP
G07D 7/121 20160101ALI20220511BHJP
【FI】
H04N1/028 Z
B65H5/38
H04N1/193
G07D7/121
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020184281
(22)【出願日】2020-11-04
(71)【出願人】
【識別番号】510192019
【氏名又は名称】株式会社ヴィーネックス
(74)【代理人】
【識別番号】100141852
【弁理士】
【氏名又は名称】吉本 力
(72)【発明者】
【氏名】丸山 晃司
【テーマコード(参考)】
3E041
3F101
5C051
5C072
【Fターム(参考)】
3E041AA01
3E041AA02
3E041BB03
3E041DB07
3F101FA01
3F101FA05
3F101FB17
3F101FC12
3F101FC14
3F101FD02
3F101FD07
3F101FD10
3F101LA01
3F101LA08
3F101LB02
3F101LB04
5C051AA01
5C051BA04
5C051DA03
5C051DB01
5C051DB21
5C051DB28
5C051DC04
5C051DC07
5C051DD02
5C051FA01
5C072AA01
5C072BA13
5C072CA02
5C072DA15
5C072DA21
5C072DA25
5C072EA07
5C072XA01
(57)【要約】
【課題】紙詰まりの発生を抑制することが可能な、光ラインセンサ部材を提供することを目的とする。
【解決手段】 搬送路3に向けて光を照射する光源部5と搬送路3からの光量に応じた信号を出力する受光部8を有する光学ラインセンサユニット1の部材であって、受光部8に入射される光を透過する透明部材11と、透明部材11の外周を囲むように配置され、光を透過しないカバー部材12とを備える。透明部材11の外周における主走査方向に平行な辺には櫛歯状凸部11cが形成され、かつ、カバー部材12の透明部材11に対向する箇所には櫛歯状凸部11cを受ける櫛歯状凹部12cが形成されている。透明部材11の櫛歯状凸部11cがカバー部材12の櫛歯状凹部12cの当接部に接着剤で接合されている。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送路に向けて光を照射する光源部と前記搬送路からの光量に応じた信号を出力する受光部を有する光学ラインセンサユニットの部材であって、
前記受光部に入射される光を透過する透明部材と、
前記透明部材の外周を囲むように配置され、光を透過しないカバー部材とを備え、
前記透明部材の外周における主走査方向に平行な辺には櫛歯状凸部が形成され、かつ、前記カバー部材の前記透明部材に対向する箇所には透明部材の前記櫛歯状凸部を受ける櫛歯状凹部が形成されており、
前記透明部材の櫛歯状凸部が前記カバー部材の櫛歯状凹部の当接部に接着剤で接合されていることを特徴とする光ラインセンサ部材。
【請求項2】
搬送路に向けて光を照射する光源部と前記搬送路からの光量に応じた信号を出力する受光部を有する光学ラインセンサユニットの部材であって、
前記受光部に入射される光を透過する透明部材と、
前記透明部材の外周を保持する第1カバー部材と、
前記第1カバー部材の外周を囲むように配置され、光を透過しない第2カバー部材とを備え、
前記第1カバー部材の外周における主走査方向に平行な辺には櫛歯状凸部が形成され、かつ、前記第2カバー部材の前記第1カバーに対向する箇所には第1カバー部材の前記櫛歯状凸部を受ける櫛歯状凹部が形成されており、
前記第1カバー部材の櫛歯状凸部が第2カバー部材の櫛歯状凹部の当接部に接着剤で接合されていることを特徴とする光ラインセンサ部材。
【請求項3】
搬送路に向けて光を照射する光源部と前記搬送路からの光量に応じた信号を出力する受光部を有する光学ラインセンサユニットの部材であって、
前記受光部に入射される光を透過する透明部材と、
前記透明部材の外周を保持する第1カバー部材と、
前記第1カバー部材の外周を囲むように配置され、光を透過しない第2カバー部材とを備え、
前記第1カバー部材の外周における主走査方向に平行な辺にテーパ面が形成され、かつ、第2カバー部材の前記第1カバー部材に対向する箇所には前記第1カバー部材の前記テーパ面に平行なテーパ面が形成されており、前記第1カバー部材のテーパ面の傾斜角度と第2カバー部材のテーパ面の傾斜角度が略同一であり、前記第1カバー部材のテーパ面と前記第2カバー部材のテーパ面が接着剤で接合されていることを特徴とする光ラインセンサ部材。
【請求項4】
前記透明部材は、主走査方向と直交する方向に沿って切った断面が略矩形であり、
前記第1カバー部材は、前記透明部材が挿入される開口を有し、前記開口の前記主走査方向に平行な辺には段差面が形成されており、前記透明部材の端部と第1カバー部材の前記段差面とが接着剤により接合されていることを特徴とする請求項2又は3に記載の光ラインセンサ部材。
【請求項5】
前記透明部材は、主走査方向と直交する方向に沿って切った断面において前記搬送路側の辺が短辺となる略台形をしていて、主走査方向に平行な辺に傾斜が設けられたテーパ面を有し、
前記第1カバー部材は、前記透明部材の主走査方向に平行な辺に設けられたテーパ面と略平行に形成されたテーパ面を有し、
前記透明部材のテーパ面と前記第1カバー部材のテーパ面とが接着剤で接合されていることを特徴とする請求項2又は3に記載の光ラインセンサ部材。
【請求項6】
前記透明部材における前記櫛歯状凸部近傍に遮光部材を配置したことを特徴とする請求項1に記載の光ラインセンサ部材。
【請求項7】
前記接着剤が紫外光硬化接着剤、熱硬化接着剤、熱可塑性接着剤、湿気硬化接着剤、または2液硬化性接着剤のいずれかであることを特徴とする請求項1~6のいずれか一項に記載の光ラインセンサ部材。
【請求項8】
前記透明部材がガラスであることを特徴とする請求項1~7のいずれか一項に記載の光ラインセンサ部材。
【請求項9】
前記第1カバー部材が透明であることを特徴とする請求項2又は3に記載の光ラインセンサ。
【請求項10】
請求項3に記載の光ラインセンサ部材の製造方法であって、
前記第1カバー部材のテーパ面または前記第2カバー部材のテーパ面に前記接着剤を塗布する工程と、
前記第1カバー部材のテーパ面と前記第2カバー部材のテーパ面を対向させる工程と、
前記搬送路側に平板を置き、前記搬送路側とは反対方向から押圧部材により前記第1カバー部材を前記平板に向かって押し当てる工程と、
前記接着剤を硬化させる工程とを含むことを特徴とする光ラインセンサ部材の製造方法。
【請求項11】
前記接着剤が紫外光硬化接着剤であり、
前記接着剤を硬化させる工程では、紫外光源から前記第1カバー部材のテーパ面及び前記第2カバー部材のテーパ面に紫外光を照射することを特徴とする請求項10記載の光ラインセンサ部材の製造方法。
【請求項12】
前記接着剤を硬化させる工程では、前記押圧部材によって前記紫外光源からの紫外光の一部が遮られることを特徴とする請求項11記載の光ラインセンサ部材の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、汎用の用紙、紙幣、及び、有価証券等の紙葉類を読み取るための光ラインセンサユニットの内部に備えられるコンポーネントを紙粉及びほこり等から保護するための光ラインセンサ部材及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、汎用の用紙、紙幣及び有価証券等の紙葉類を読み取るための光ラインセンサユニットの内部に備えられるコンポーネントを紙粉及びほこり等から保護するための光ラインセンサ部材は、一般的に、光を透過する透明部及び光の透過しない不透明部で構成される。具体的には、透明部の周囲が不透明部で囲われた状態で構成される。透明部及び不透明部の境目において段差が生じている場合、搬送中の紙葉類がその段差に引っかかり、紙詰まりが起こる可能性がある。たとえば、紙葉類が高速で搬送される場合、数10μm(50~60μm)の僅かな段差でも紙詰まりが生じる。したがって、紙葉類の搬送を安定して行うためには、透明部及び不透明部における段差を極力なくすことが望まれる。
【0003】
このような背景から、従来、透明部及び不透明部の境目における段差を小さくするための方法を用いて、光ラインセンサ部材が作製されている。(特許文献1、2及び3参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2015/098300号
【特許文献2】特開2012-075008号公報
【特許文献3】特開2010-268131号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来において、透明部を構成する部材(以下「透明部材」と記す)、及び、不透明部を構成する部材(以下、「カバー部材」と記す)のような搬送路と対向する面を有する各部材において、紙詰まりの原因となる段差をなくすことは難しく、各部材の厚みの差によって生じる段差を数10μm以下に抑えることは現実的ではない。
【0006】
本願発明は、このような実情より、紙詰まりの発生を抑制することが可能な、光ラインセンサ部材及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の発明は、搬送路に向けて光を照射する光源部と搬送路からの光量に応じた信号を出力する受光部を有する光学ラインセンサユニットの部材であって、受光部に入射される光を透過する透明部材と、透明部材の外周を囲むように配置され、光を透過しないカバー部材とを備える。透明部材の外周における主走査方向に平行な辺には櫛歯状凸部が形成され、かつ、カバー部材の透明部材に対向する箇所には透明部材の櫛歯状凸部を受ける櫛歯状凹部が形成されている。透明部材の櫛歯状凸部がカバー部材の櫛歯状凹部の当接部に接着剤で接合されている。
【0008】
第1の発明によれば、透明部材に櫛歯状凸部を形成し、カバー部材に櫛歯状凹部を形成したことで、汎用の用紙、紙幣、及び、有価証券等の紙葉類と光ラインセンサ部材の接触面積が減り、紙詰まりの発生を抑制できる。
【0009】
第2の発明は、搬送路に向けて光を照射する光源部と搬送路からの光量に応じた信号を出力する受光部を有する光学ラインセンサユニットの部材であって、受光部に入射される光を透過する透明部材と、透明部材の外周を保持する第1カバー部材と、第1カバー部材の外周を囲むように配置され、光を透過しない第2カバー部材とを備える。第1カバー部材の外周における主走査方向に平行な辺には櫛歯状凸部が形成され、かつ、第2カバー部材の第1カバーに対向する箇所には第1カバー部材の櫛歯状凸部を受ける櫛歯状凹部が形成されている。第1カバー部材の櫛歯状凸部が第2カバー部材の櫛歯状凹部の当接部に接着剤で接合されている。
【0010】
第2の発明によれば、第1の発明と同様に、紙葉類と光ラインセンサ部材の接触面積が減り、紙詰まりの発生を抑制できる。
【0011】
第3の発明は、搬送路に向けて光を照射する光源部と搬送路からの光量に応じた信号を出力する受光部を有する光学ラインセンサユニットの部材であって、受光部に入射される光を透過する透明部材と、透明部材の外周を保持する第1カバー部材と、第1カバー部材の外周を囲むように配置され、光を透過しない第2カバー部材とを備える。第1カバー部材の外周における主走査方向に平行な辺にテーパ面が形成され、かつ、第2カバー部材の第1カバー部材に対向する箇所には第1カバー部材のテーパ面に平行なテーパ面が形成されている。第1カバー部材のテーパ面の傾斜角度と第2カバー部材のテーパ面の傾斜角度が略同一であり、第1カバー部材のテーパ面と第2カバー部材のテーパ面が接着剤で接合されている。
【0012】
第4の発明は、第2又は第3の発明に従属し、透明部材は、主走査方向と直交する方向に沿って切った断面が略矩形であり、第1カバー部材は、透明部材が挿入される開口を有する。開口の主走査方向に平行な辺には段差面が形成されており、透明部材の端部と第1カバー部材の段差面とが接着剤により接合されている。
【0013】
第5の発明は、第2又は第3の発明に従属し、前記透明部材は、主走査方向と直交する方向に沿って切った断面において前記搬送路側の辺が短辺となる略台形をしていて、主走査方向に平行な辺に傾斜が設けられたテーパ面を有する。前記第1カバー部材は、前記透明部材の主走査方向に平行な辺に設けられたテーパ面と略平行に形成されたテーパ面を有する。前記透明部材のテーパ面と前記第1カバー部材のテーパ面とが接着剤で接合されている。
【0014】
第6の発明は、第1の発明に従属し、透明部材における櫛歯状凸部近傍に遮光部材を配置する。
【0015】
第7の発明は、第1から第5のいずれかの発明に従属し、接着剤が紫外光硬化接着剤、熱硬化接着剤、熱可塑性接着剤、湿気硬化接着剤、または2液硬化性接着剤のいずれかである。
【0016】
第8の発明は、第1から第6のいずれかの発明に従属し、透明部材がガラスである。
【0017】
第9の発明は、第2又は第3の発明に従属し、第1カバー部材が透明である。
【0018】
第10の発明は、第3の発明における光ラインセンサ部材の製造方法であって、第1カバー部材のテーパ面または第2カバー部材のテーパ面に接着剤を塗布する工程と、第1カバー部材のテーパ面と第2カバー部材のテーパ面を対向させる工程と、搬送路側に平板を置き、搬送路側とは反対方向から押圧部材により第1カバー部材を平板に向かって押し当てる工程と、接着剤を硬化させる工程とを含む。
【0019】
第10の発明によれば、第1カバー部材のテーパ面にならって、第2カバー部材のテーパ面が矯正され、両部材の反り矯正の差を最小限にして接合することが出来る。したがって、紙詰まりの原因となる段差を無くすことが出来る。
【0020】
第11の発明は、第9の発明に従属し、接着剤が紫外光硬化接着剤であり、接着剤を硬化させる工程では、紫外光源から第1カバー部材のテーパ面及び第2カバー部材のテーパ面に紫外光を照射する。
【0021】
第12の発明は、第10の発明に従属し、接着剤を硬化させる工程では、押圧部材によって紫外光源からの紫外光の一部が遮られる。
【発明の効果】
【0022】
本願発明によれば、汎用の用紙、紙幣、及び、有価証券等の紙葉類が搬送される際の紙詰まりの発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】第1実施形態に係る光ラインセンサユニットの構成の一例を概略的に示す断面図である。
【
図2】第1実施形態に係る光ラインセンサユニットの構成の一例の一部を概略的に示す斜視図である。
【
図3】第1実施形態に係る光ラインセンサ部材の構成の一例を概略的に示す斜視図である。
【
図4】第1実施形態に係る光ラインセンサ部材の構成の一例を概略的に示す断面図である。
【
図5】第2実施形態に係る光ラインセンサ部材の構成の一例を概略的に示す斜視図である。
【
図6】第2実施形態に係る光ラインセンサ部材の構成の一例を概略的に示す断面図である。
【
図7】第3実施形態に係る光ラインセンサ部材の構成の一例を概略的に示す断面図である。
【
図8】第1カバー部材を押圧している様子の一例を概略的に示す断面図である。
【
図9】第1カバー部材を押圧している様子の他の例を概略的に示す断面図である。
【
図10】接着剤を硬化させている様子の一例を概略的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
1.第1実施形態の光ラインセンサユニットの全体構成
先ず、
図1、及び、
図2を参照して光ラインセンサユニット1について説明する。
図1は、第1実施形態に係る光ラインセンサユニット1の構成の一例を概略的に示す断面図であって、
図2は、第1実施形態に係る光ラインセンサユニット1の構成の一例の一部を概略的に示す斜視図である。
【0025】
紙葉類2を搬送するための搬送路3に少なくとも1つ以上設けられる光ラインセンサユニット1は、筐体4、光源部5、レンズアレイ6、基板7、その基板7に実装される受光部8、及び、光ラインセンサ部材9によって構成される。なお、第1実施形態における紙葉類2には、たとえば、汎用の用紙、紙幣及び有価証券等が該当する。
【0026】
さらに、
図2に示すように、筐体4及び基板7はY軸方向に延び、筐体4内において、光源部5、レンズアレイ6、受光部8は、Y軸方向に延びる。また、
図3に示すように、光ライセンサ部材9も筐体4と同様にY軸方向に延びる。Y軸方向は、主走査方向である。
【0027】
光源部5は、搬送路3でX軸方向に搬送される紙葉類2に向けて光を照射するためのライン光源である。X軸方向は、副走査方向であり、Y軸方向に直交している。なお、Z軸方向は、筐体4、光源部5、及び、光ラインセンサ部材9等の高さ方向である。
【0028】
また、
図2に示すように、光源部5は、第1光源5a、及び、第2光源5bを含み、第1光源5aは、Y軸方向における光源部5の端部に設けられ、第2光源5bは、もう一方の端部に設けられる。
【0029】
第1光源5aは、紫外光源及び紫外光源を実装するための基板を含み、第2光源5bは、紫外光以外の光に対応する光源及びその光源を実装するための基板を含む。なお、ここでの紫外光以外の光とは、可視光及び赤外光の少なくとも一方を含む。ただし、光源の種類は、これらに限られるものではなく、第1光源5a、又は、第2光源5bの一方を省略することも可能である。
【0030】
また、光源部5は、第1光源5a又は第2光源5bに電力を供給するための基板5cを含み、基板5cは、光源部5を駆動させるための電源(図示しない)に接続される。
【0031】
さらに、光源部5は、導光体5d及び導光体5dを保持するためのカバー部材5eを含み、第1光源5a及び第2光源5bから導光体5dに入射される光は、導光体5d内で拡散及び屈折した後に、その導光体5dから出射される。導光体5dはY軸方向に延びており、導光体5dのY軸方向の両端部に第1光源5a及び第2光源5bが設けられている。導光体5dのY軸方向に沿った側面(出射面)から出射される光は、Y軸方向に沿って均一な光量で出射される。
【0032】
このような光源部5からは、可視光、紫外光及び赤外光等が紙葉類2に照射される。また、紫外光については、300nm~400nm間におけるいずれかの値がピーク波長とされ、赤外光については、1500nmまでのいずれかの値がピーク波長とされる。
【0033】
さらに、紙葉類2に照射される光のうち、少なくとも紫外光は、他の光と時間的に重ならないようにして(すなわち時間的にスイッチングされながら)発光されてもよい。さらにまた、赤外光は、可視光と時間的に重なって発光されてもよいし、時間的に重ならないようにして発光されてもよい。
【0034】
レンズアレイ6は、紙葉類2からの光(反射光及び蛍光)を受光部8に結像(収束)するための光学素子であり、レンズアレイ6としては、セルフォックレンズアレイ(登録商標:日本板硝子製)などのロッドレンズアレイが用いられる。本発明の実施形態では、レンズアレイ6の倍率は、1(正立)に設定されている。また、レンズアレイ6には、受光部8への紫外光の照射を防止するために、紫外光を遮断する光学フィルタが設けられてもよい。
【0035】
受光部8は、少なくとも汎用の受光素子を含むように構成される。受光部8では、紙葉類2からの光が検出され、その光量に対応する信号が基板7に出力される。また、受光部8としては、フォトダイオードやフォトトランジスタ、駆動回路、及び、増幅回路を一体としたIC(Integrated Circuit)を複数個並べた、いわゆるマルチチップ方式のリニアイメージセンサが用いられてもよい。
【0036】
また、必要に応じて基板7上に駆動回路、増幅回路などの電気回路、あるいは信号を外部に取り出すためのコネクタなどが実装されてもよい。さらに基板7上にA/Dコンバータ、各種補正回路、画像処理回路、ラインメモリ、I/O制御回路などを実装し、デジタル信号が外部に取り出されてもよい。
【0037】
光ラインセンサ部材9は、光源部5、及び、レンズアレイ6等をごみ(たとえば、紙粉)から保護するために設けられる。
図1に示すように、光ラインセンサ部材9は、搬送路3及び筐体4の間において、光源部5及びレンズアレイ6等が設けられた筐体4の内部空間を覆うように設けられる。
【0038】
2.第1実施形態の光ラインセンサ部材の構成
図3、及び、
図4を参照して、光ラインセンサ部材9について具体的に説明する。
図3は、第1実施形態に係る光ラインセンサ部材9の構成の一例を概略的に示す斜視図であって、
図4は、第1実施形態に係る光ラインセンサ部材9の構成の一例を概略的に示す断面図である。なお、
図3、及び、
図4は、後述する透明部材11が、後述するカバー部材12からZ軸方向に分離された状態を示す図でもある。
【0039】
図3、及び、
図4に示すように、光ラインセンサ部材9は、透明部材11、及び、その透明部材11の周囲に設けられるカバー部材12によって構成される。
【0040】
透明部材11は、光を透過する透明な板である。透明部材11としては、たとえば、耐摩耗性の観点から、ガラス製の板、具体的には、白板ガラス及びホウケイ酸ガラス等が用いられる。ガラスは、紫外線の透過率が良好であり、更に、紫外線だけでなく、近赤外域までの透過率が良好である。また、透明部材11としては、樹脂製の板、具体的には、アクリル樹脂製及びシクロオレフィン系樹脂製等の板が用いられてもよい。
【0041】
また、透明部材11は、搬送面11a、及び、入射面11bを有する。搬送面11aは、搬送路3と平行する面のうち、搬送路3側に位置する面であり、入射面11bは、搬送路3と平行する面のうち、搬送路3側とは反対側に位置し、光源部5からの光が入射される面である。
【0042】
さらに、第1実施形態では、透明部材11のX軸方向の両端部(外端部)において、対称となるように、櫛歯状凸部11cが形成される。
【0043】
具体的に、透明部材11の外端部には、X軸方向に沿って透明部材11の外向きに突出する凸部が、Y軸方向に沿って、一定の間隔で形成される。したがって、透明部材11の外周におけるY軸方向に平行な辺には、櫛歯状凸部が形成されるとも言える。
【0044】
さらに、透明部材11は、Y軸方向において対を成す端面である当接面(図示は省略)を有する。また、透明部材11は、X軸方向においてそれぞれ対を成す端面11d及び当接面11eを有する。
【0045】
また、一対の端面11dは、Z軸方向に平行な当接面11h、及び、搬送路3に近づくにつれて先細りするテーパ面11iを含む。したがって、第1実施形態では、一対の端面11dの一部、又は、全体が搬送路3に近づくにつれて先細りするように形成される。
【0046】
また、各端面11dに含まれるテーパ面11iの搬送面11aに対する傾斜角は、一致する。すなわち、透明部材11は、X軸方向に沿って切った場合の断面の全部または一部に台形を含む略台形をしている。
【0047】
カバー部材12としては、たとえば、光を透過しない不透明な板が用いられる。カバー部材12の材料、及び、材質は特に限定されないため、カバー部材12として、たとえば、上述したような樹脂製等の板が用いられる。また、受光部8のレンズアレイ6を介する視野角(
図1参照)外からの光によって生じる迷光を抑制するという観点では、カバー部材12としては、黒色の板が用いられてもよい。
【0048】
また、カバー部材12は、搬送面12a、及び、入射面12bを有する。搬送面12aは、搬送路3と平行する面のうち、搬送路3側に位置する面である。入射面12bは、搬送路3と平行する面のうち、搬送路3側とは反対側に位置する。
【0049】
上述したように、カバー部材12は、透明部材11の周囲に設けられることから、カバー部材12には、Z軸方向、すなわち、カバー部材12の高さ方向に貫通する貫通孔(開口)13が形成される。
【0050】
貫通孔13は、第1貫通孔13a、及び、第2貫通孔13bを含む。第1貫通孔13aは、搬送路3側の孔であって、第2貫通孔13bは、筐体7側に位置する孔である。
【0051】
XY平面における第1貫通孔13aの形状は、XY平面における透明部材11の形状と同様である。したがって、第1貫通孔13aのX軸方向の幅は、透明部材11のX軸方向の幅と同様である。また、第1貫通孔13aのY軸方向の幅は、透明部材11のY軸方向の幅と同様である。
【0052】
第2貫通孔13bのX軸方向の幅は、透明部材11のX軸方向の幅よりも小さい。また、第2貫通孔13bのY軸方向の幅は、透明部材11のY軸方向の幅よりも小さい。なお、第2貫通孔13bのY軸方向の幅は、透明部材11のY軸方向の幅と同様でもよい。
【0053】
また、Z軸方向において、第1貫通孔13aの中心、及び、第2貫通孔13bの中心は、重なる。これらのことから、貫通孔13の孔の大きさは、段階的に変化するといえる。
【0054】
なお、第1貫通孔13aのZ軸方向の深さは、透明部材11のZ軸方向の高さと略同一である。また、第1貫通孔13aのZ軸方向の深さは、透明部材11のZ軸方向の高さよりも大きくなるように設定されるのが好ましい。すなわち、透明部材11のZ軸方向の高さが第1貫通孔13aのZ軸方向の深さよりも小さくなるように設定されるのが好ましい。
【0055】
また、カバー部材12には、貫通孔13が形成されることから、そのカバー部材12は、貫通孔13を介して互いに対向する端部を有する。第1実施形態では、X軸方向で第1貫通孔13aを介して互いに対向する端部(内端部)において、対称となるように櫛歯状凹部12cが形成される。
【0056】
具体的に、カバー部材12の内端部には、X軸方向に沿ってカバー部材12の外向きに凹む凹部が、Y軸方向において、一定の間隔で形成される。
【0057】
さらに、カバー部材12は、貫通孔13を介して互いに対向する端部を有することから、カバー部材12は、第1貫通孔13を区画し、かつ、Y軸方向に対を成す当接面(図示は省略)を有する。また、カバー部材12は、第1貫通孔13を区画し、かつ、X軸方向にそれぞれ対を成す端面12d及び当接面12eを有する。
【0058】
さらにまた、第1実施形態では、一対の端面12dは、Z軸方向に平行な当接面12h、及び、搬送路3から遠ざかるにつれて先細りするテーパ面12iを含む。したがって、第1実施形態では、一対の端面12dの一部または全体が搬送路3から遠ざかるにつれて先細りするように形成される。また、各端面12dに含まれるテーパ面12iの搬送面12aに対する傾斜角は、一致する。
【0059】
また、
図3に示すように、カバー部材12における搬送面12aのY軸方向の一端部であって、Z軸方向に沿ってみたときに搬送路3と重ならない部分に、Z軸方向に向かって突出する突出部14が設けられる。なお、突出部14は、紙葉類2の位置を検出するための検出センサを配置する際の基準となる。
【0060】
第1実施形態では、透明部材11は、接着剤でカバー部材12に接合されている。具体的に、透明部材11は、貫通孔13内において、接着剤でカバー部材12に接合される。さらに具体的には、透明部材11は、第1貫通孔13a内において、接着剤でカバー部材12に接合される。
【0061】
また、この場合、櫛歯状凸部11c、及び、櫛歯状凹部12cが接着剤で接合されている。したがって、当接面11h、及び、当接面12eが、接着剤で接合され、当接面12h、及び、当接面11eも同様に接合される。
【0062】
さらに、第1貫通孔13aを区画する面には、第1貫通孔13aと第2貫通孔13bとの間の段差に対応する段差面(当接面)12fも含まれる。当接面12fは、Z軸方向と直交する面であって、その当接面12fは、接着剤で入射面11bの一部と、接合されている。なお、第2貫通孔13bのY軸方向の幅が透明部材11のY軸方向の幅と同様の場合、Y軸方向に延びる当接面12fのみがカバー部材12に形成される。
【0063】
したがって、カバー部材13は、透明部材11が挿入される貫通孔13を有し、その貫通孔13のX軸方向、及び、Y軸方向のうち、少なくともY軸方向に平行な辺には、当接面12fが形成されており、透明部材11の端部、具体的には、入射面11bの一部と、当接面12fが接着剤で接合されているといえる。
【0064】
また、第1実施形態では、透明部材11の外周におけるY軸方向に平行な辺には、櫛歯状凸部11cが形成され、かつ、カバー部材12の櫛歯状凸部11cに対向する箇所には、その櫛歯状凸部11cを受ける櫛歯状凹部12cが形成されており、櫛歯状凸部11cが櫛歯状凹部12cの当接部に接着剤で接合されているといえる。前記当接部には、当接面12e,12h,12fが含まれる。
【0065】
第1実施形態では、透明部材11に櫛歯状凸部11cを形成し、カバー部材12に櫛歯状凹部12cを形成したことで、紙葉類2と光ラインセンサ部材9の接触面積が減る。したがって、透明部材11の搬送面11a、及び、カバー部材12の搬送面12aに高低差を生じたとしても、紙詰まりの発生を抑制できる。
【0066】
また、櫛歯状凸部11cがテーパ面11iを有する場合、紙葉類2の搬送にともなって、紙葉類2に付与されている搬送方向の力を逃がすことができる。したがって、紙詰まりの発生をさらに抑制することができる。さらに、櫛歯状凹部12cがテーパ面12iを有する場合、櫛歯状凸部11cがテーパ面11iを有し、かつ、櫛歯状凹部12cがテーパ面12iを有する場合も同様のことが言える。
【0067】
なお、
図4に示すようなX軸方向に沿った断面において、テーパ面11i、及び、テーパ面12iが交差すると、Y軸方向に延びる溝が形成される。したがって、本実施形態では、
図4に示すようなX軸方向に沿った断面において、テーパ面11i、及び、テーパ面12iが交差しないように、櫛歯状凸部11cのX軸方向の幅、櫛歯状凹部12cのX軸方向の幅、及び、各テーパ面の傾斜角等が設定される。
【0068】
また、接着剤としては、汎用の接着剤が用いられる、たとえば、熱硬化接着剤、熱可塑性接着剤、湿気硬化接着剤または2液硬化性接着剤等が用いられる。紫外光硬化接着剤は、紫外光が照射されることで硬化する接着剤である。熱硬化接着剤は、加熱されることで硬化する接着剤である。熱可塑性接着剤は、加熱により溶融された後に冷えると硬化する接着剤である。湿気硬化接着剤は、空気中の水分と反応して硬化する接着剤である。2液硬化性接着剤は、主剤に硬化剤を混合することによって硬化する接着剤である。
【0069】
さらに、櫛歯状凸部11c及び櫛歯状凹部12cの近傍から、紙葉類2の反射光が入射されると、紙葉類2の検出等に悪影響を及ぼすため、櫛歯状凸部11cの近傍に遮光手段を施してもよい。たとえば、櫛歯状凸部11cの近傍に遮光部材を配置する。具体的には、櫛歯状凸部11cの近傍に遮光テープを配置する。または、光を透過しない塗料で櫛歯状凸部11cの近傍を塗装する。
【0070】
3.第2実施形態の光ラインセンサ部材の構成
第2実施形態では、光ラインセンサ部材9の構成を変更したこと以外は、第1実施形態と同様である。したがって、第1実施形態と重複する説明は、省略する。
【0071】
第2実施形態では、光ラインセンサ部材9が、
図5及び
図6に示すように構成される。
図5は、第2実施形態に係る光ラインセンサ部材9の構成の一例を概略的に示す斜視図であって、
図6は、第2実施形態に係る光ラインセンサ部材9の構成の一例を概略的に示す断面図である。なお、
図5、及び、
図6は、後述する透明部材15が、後述する第1カバー部材16からZ軸方向に分離された状態を示す図でもある。また、
図5、及び、
図6は、第1カバー部材16が、後述する第2カバー部材18からZ軸方向に分離された状態を示す図でもある。
【0072】
第2実施形態の光ラインセンサ部材9は、透明部材15、その透明部材15の周囲に設けられる第1カバー部材16、その第1カバー部材16の周囲に設けられる第2カバー部材18によって構成される。なお、第2実施形態以降、突出部14に相当する構成の図示は省略する。
【0073】
透明部材15の材料は、透明部材11と同様である。また、透明部材15の形状は、略矩形である。また、透明部材15は、Y軸方向に延びる。さらにまた、X軸方向に沿って切った透明部材15の断面は、X軸方向を長手方向とする略矩形である。なお、透明部材15は、搬送面15a、及び、入射面15bを有する。搬送面11a、及び、入射面11bに相当する搬送面15a、及び、入射面15bの説明は省略する。
【0074】
第1カバー部材16の材料は、カバー部材12と同様である。なお、第1カバー部材16の材料は、透明部材11と同様であってもよい。すなわち、光が第1カバー部材16を透過してもよい。
【0075】
第1カバー部材16は、透明部材15の周囲に設けられることから、第1カバー部材16には、Z軸方向に貫通する貫通孔17が形成される。
【0076】
貫通孔17以外の、第1カバー部材16の形状は、透明部材11と同様の形状である。すなわち、第1カバー部材16には、櫛歯状凸部11cと同様の櫛歯状凸部16cが形成される。なお、搬送面11a、入射面11b、端面11d、当接面11e、当接面11h等に相当する搬送面16a、入射面16b、端面16d、当接面16e、当接面16h等の説明は省略する。
【0077】
貫通孔17は、第1貫通孔17a、及び、第2貫通孔17bを含む。第1貫通孔17aは、搬送路3側の孔であって、第2貫通孔17bは、筐体7側に位置する貫通孔である。
【0078】
XY平面における第1貫通孔17aの形状は、XY平面における透明部材15の形状と同様である。したがって、第1貫通孔17aのX軸方向の幅は、透明部材15のX軸方向の幅と同様である。また、第1貫通孔17aのY軸方向の幅は、透明部材15のY軸方向の幅と同様である。
【0079】
第2貫通孔17bのX軸方向の幅は、透明部材15のX軸方向の幅よりも小さい。また、第2貫通孔17bのY軸方向の幅は、透明部材15のY軸方向の幅よりも小さい。なお、第2貫通孔17bのY軸方向の幅は、透明部材15のY軸方向の幅と同様でもよい。
【0080】
また、Z軸方向において、第1貫通孔17aの中心、及び、第2貫通孔17bの中心は重なる。これらのことから、貫通孔17の孔の大きさは、段階的に変化するといえる。
【0081】
なお、第1貫通孔17aのZ軸方向の深さは、透明部材15のZ軸方向の高さと略同一である。第1貫通孔17aのZ軸方向の深さは、透明部材15のZ軸方向の高さよりも大きくなるように設定されるのが好ましい。すなわち、透明部材15のZ軸方向の高さが第1貫通孔17aのZ軸方向の深さよりも小さくなるように設定されるのが好ましい。
【0082】
また、第1カバー部材16に貫通孔17が形成されることから、第1カバー部材16は、第1貫通孔17aを区画する当接面16gを有する。また、当接面16gは、当接面12fのような、第1貫通孔16aと第2貫通孔16bとの間の段差に対応し、かつ、Z軸方向と直交する当接面16fを含む。なお、第2貫通孔16bのY軸方向の幅が透明部材15のY軸方向の幅と同様の場合、Y軸方向に延びる当接面16fのみが第1カバー部材16に形成される。
【0083】
また、第2実施形態では、第2カバー部材18の材料、及び、形状は、カバー部材12と同様である。したがって、第2カバー部材15には、櫛歯状凹部12cと同様の櫛歯状凹部18cが形成される。なお、搬送面12a、入射面12b、端面12d、当接面18e、当接面18f、当接面12f、貫通孔13等に相当する、搬送面18a、入射面18b、端面18d、当接面18e、当接面18f、当接面18h、貫通孔19等の説明は省略する。
【0084】
第2実施形態では、透明部材15は、接着剤で第1カバー部材16に接合されている。具体的に、透明部材15は、貫通孔17内において、接着剤で第1カバー部材16に接合される。さらに、具体的には、透明部材15は、第1貫通孔17a内において、接着剤で第1カバー部材16に接合される。
【0085】
また、この場合、透明部材15の入射面15bの一部、透明部材15のX軸方向で対を成す当接面、及び、透明部材15のY軸方向で対を成す当接面が、当接面16fと接着剤で接合される。
【0086】
したがって、第1カバー部材16は、透明部材15が挿入される貫通孔17を有し、その貫通孔17のX軸方向、及び、Y軸方向のうち、少なくともY軸方向に平行な辺には、当接面16fが形成されており、透明部材15の端部、具体的には、入射面15bの一部と、当接面16fが接着剤で接合されているといえる。
【0087】
また、第2実施形態では、第1カバー部材16は、接着剤で第2カバー部材18に接合されている。具体的に、第1カバー部材16は、貫通孔19内において、接着剤で第2カバー部材18に接合される。さらに具体的には、第1カバー部材16は、第1貫通孔19a内において、接着剤で第2カバー部材18に接合される。
【0088】
この場合、櫛歯状凸部16c、及び、櫛歯状凹部18cが接着剤で接合される。また、この場合、第1実施形態と同様に、第1カバー部材16が有する当接面16h、16e、及び、入射面16b等が、第2カバー部材18が有する当接面18e、18h、及び、18f等と接着剤で接合される。
【0089】
したがって、第2カバー部材18は、第1カバー部材16が挿入される貫通孔19を有し、その貫通孔19のX軸方向、及び、Y軸方向のうち、少なくともY軸方向に平行な辺には、当接面18fが形成されており、第1カバー部材16の端部、具体的には、入射面16bの一部と、当接面18fが接着剤で接合されているといえる。
【0090】
また、第2実施形態では、第1カバー部材16の外周におけるY軸方向に平行な辺には、櫛歯状凸部16cが形成され、かつ、第2カバー部材18の櫛歯状凸部16cに対向する箇所には、その櫛歯状凸部16cを受ける櫛歯状凹部18cが形成されており、櫛歯状凸部16cが櫛歯状凹部18cの当接部に接着剤で接合されているといえる。前記当接部には、当接面18e,18h,18fが含まれる。
【0091】
第2実施形態では、第1実施形態と同様に、第1カバー部材16の搬送面16a、及び、第2カバー部材18の搬送面18aに高低差を生じたとしても、紙詰まりの発生を抑制できる。
【0092】
4.第3実施形態の光ラインセンサ部材の構成
第3実施形態では、光ラインセンサ部材9の構成を変更したこと以外は、各実施形態と同様である。第1実施形態、及び、第2実施形態と重複する説明は、省略する。
【0093】
第3実施形態では、光ラインセンサ部材9が
図7に示すように構成される。
図7は、第3実施形態に係る光ラインセンサ部材9の構成の一例を概略的に示す断面図である。なお、
図7は、後述する透明部材21が、後述する第1カバー部材22からZ軸方向に分離された状態を示す図でもある。また、
図7は、第1カバー部材22が、後述する第2カバー部材24からZ軸方向に分離された状態を示す図でもある。
【0094】
第3実施形態の光ラインセンサ部材9は、透明部材21、その透明部材21の周囲に設けられる第1カバー部材22、その第1カバー部材22の周囲に設けられる第2カバー部材24によって構成される。
【0095】
透明部材21の材料、及び、形状は、透明部材15と同様である。また、第1カバー部材22の材料は、第1カバー部材16と同様である。また、第1カバー部材22の材料は、透明部材21と同様であってもよい。
【0096】
さらに、第1カバー部材22の形状は、一部を変更したこと以外は、第1カバー部材16と同様である。したがって、搬送面22a、入射面22b、当接面22f、当接面22g、及び、貫通孔23等についての説明は省略する。
【0097】
第1カバー部材22では、櫛歯状凸部16cのような凹凸は形成されない。また、第1カバー部材22は、外周において、X軸方向で対を成す当接面22c、及び、Y軸方向で対を成す当接面(図示は省略)を有し、一対の当接面22cの一部または全体は、搬送路3に近づくにつれて先細りするテーパ面22iで形成される。
【0098】
つまり、第1カバー部材22の外周におけるY軸方向に平行な辺には、テーパ面22iが形成されているといえる。なお、各当接面22cにおけるテーパ面22iの搬送面22aに対する傾斜角は、一致する。
【0099】
これらのことから、
図7に示すようなX軸方向に沿った断面において、第1カバー部材22は、断面の全部または一部に台形を含む略台形をしている。
【0100】
第2カバー部材24の材料は、第2カバー部材18と同様である。また、第2カバー部材24の形状は、一部を変更したこと以外は、第2カバー部材18と同様である。したがって、搬送面24a、及び、入射面24b等についての説明は省略する。
【0101】
第2カバー部材24では、櫛歯状凹部18cのような凹凸は形成されない。また、第2カバー部材24には、貫通孔25が形成される。したがって、第2カバー部材24は、Y軸方向で貫通孔25を介して対を成す当接面(図示は省略)、及び、X軸方向で貫通孔25を介して対を成す当接面24cを有する。
【0102】
一対の当接面24cの一部または全体は、搬送路3に近づくにつれて先細りするテーパ面24iで形成される。また、各当接面24cにおけるテーパ面24iの搬送面24aに対する傾斜角は、一致する。さらに、テーパ面22iの搬送面22aに対する傾斜角、及び、テーパ面24iの搬送面24aに対する傾斜角は、略同一である。
【0103】
つまり、
図7に示すようなX軸方向に沿った断面において、第2カバー部材24は、断面の全部または一部に台形を含む略台形をしている。
【0104】
第3実施形態では、透明部材21は、第2実施形態と同様に、接着剤で第1カバー部材22に接合されている。
【0105】
また、第3実施形態では、第1カバー部材22は、接着剤で第2カバー部材24に接合されている。具体的に、第1カバー部材22は、貫通孔25内において、接着剤で第2カバー部材24に接合される。
【0106】
この場合、当接面22cが、その当接面22cと平行な当接面24cに接着剤で接合される。また、第1カバー部材22において、Y軸方向で対を成し、貫通孔23を区画しない当接面(図示は省略)は、接着剤で、Y軸方向で貫通孔25を介して対を成す当接面(図示は省略)と接合される。
【0107】
これらのことから、第1カバー部材22の外周におけるY軸方向に平行な辺には、テーパ面22iが形成され、第2カバー部材24の第1カバー部材22のテーパ面22iに対向する箇所には、そのテーパ面22iに平行なテーパ面24iが形成され、第1カバー部材22のテーパ面22iと、第2カバー部材24のテーパ面24iとが接着剤で接合されているといえる。
【0108】
なお、透明部材21が接着剤で第1カバー部材22に接合され、第1カバー部材22が第2カバー部材24に接合されている状態において、少なくとも搬送面22a、及び、搬送面24aは面一である。
【0109】
5.光ラインセンサ部材の製造方法
続いて、
図8、及び、
図9を参照して、第3実施形態における光ラインセンサ部材9の製造方法の一例について説明する。
図8は、第1カバー部材22を押圧している様子の一例を概略的に示す断面図である。
図9は、第1カバー部材22を押圧している様子の他の例を概略的に示す断面図である。
【0110】
先ず、透明部材21、第1カバー部材22、第2カバー部材24、平板26、及び、押圧部材27を用意する。平板26は、剛体の板であって、材料及び材質は特に限定されない。押圧部材27についても同様である。
【0111】
なお、線膨張係数の観点から透明部材21、第1カバー部材22、及び、第2カバー部材24は、反りを有しているものとする。
【0112】
次に、
図8に示すように、第1貫通孔23a内に透明部材21が配置されている第1カバー部材22を平板26上に配置する。このとき、搬送面22a、及び、搬送面21aが平板26と当接する。また、当接面22f等には、予め接着剤が塗布されている。
【0113】
次に、
図8に示すように、押圧部材27を第1カバー部材22の入射面22b上に配置する。また、押圧部材27を用いて、第1カバー部材22を平板26側に向かう方向(押圧方向)P1に押圧し、第1カバー部材22、及び、透明部材21を接着させる。
【0114】
押圧部材27を用いて第1カバー部材22を押圧する場合、外部から押圧方向P1の力を押圧部材27に付与する。また、押圧部材27の自重を用いて第1カバー部材22を押圧してもよい。ただし、この場合、重力の方向及び押圧方向P1が一致する場合に限る
【0115】
また、押圧方向P1の力は、透明部材21、及び、第1カバー部材22等における応力、具体的には、引張応力、及び/又は、圧縮応力よりも強い力である。したがって、
図8に示すように、押圧方向P1の力が第1カバー部材22に作用すると、第1カバー部材22の反りが改善される。また、このとき、当接面22fによって、押圧方向P1の力は、透明部材21にも作用する。押圧方向P1の力が第1カバー部材22に作用すると、透明部材21の反りも改善される。
【0116】
第1カバー部材22、及び、透明部材21を接着させた後は、
図9に示すように、第2カバー部材24を平板26上に配置する。このとき、搬送面24aが平板26と当接する。
【0117】
第2カバー部材24が平板26上に配置された後は、第1カバー部材22を第2カバー部材24の貫通孔25内に配置する。このとき、第1カバー部材22の各当接面は、対向する第2カバー部材24の各当接面と対向する。したがって、当接面22cは、当接面24cと対向する。
【0118】
なお、各当接面には、予め接着剤が塗布されている。たとえば、当接面22c、及び/又は、当接面24cには、接着剤が塗布されている。
【0119】
次に、
図9に示すように、押圧部材27を第1カバー部材22の入射面22b上に配置する。また、押圧部材27を用いて、第1カバー部材22を押圧方向P1に押圧し、第1カバー部材22、及び、第2カバー部材24を接着させる。
【0120】
図9に示すように、押圧方向P1の力が第1カバー部材22に作用すると、各当接面22c、及び、各当接面24cが当接していることから、P2方向及びP3方向の力が第2カバー部材24に作用する。
【0121】
P2方向の力は平板26に垂直方向の力で、この力によって第2カバー部材24の各当接面24cは平板26側に押圧される。P3方向の力は、第2カバー部材24を外側に広げようとする力で、第2カバー部材24は外側に広がる。したがって、第1カバー部材22が第2カバー部材24と接着するとき、第2カバー部材12の反りが改善され、
図9に示すように、搬送面21a、22a、及び、24aが面一の状態となる。
【0122】
上述したように、平板26、及び、押圧部材27を用いて、第1カバー部材22、及び、第2カバー部材24を互いに接着させる場合、第1カバー部材22のテーパ面22i(各当接面22c)にならって、第2カバー部材24のテーパ面24i(各当接面24c)が矯正されるため、両部材の反り矯正の差を最小限にして接合することが出来る。これにより、第1カバー部材22、及び、第2カバー部材24における段差を無くすことが出来る。つまり、紙詰まりの発生を抑制することができる。
【0123】
また、第1カバー部材22が透明であり、かつ、紫外光硬化接着剤で第1カバー部材22を第2カバー部材24に接着させるのであれば、
図10に示すように、外部の紫外光源(外部紫外光源)を用いて、紫外光を第1カバー部材22、及び、第2カバー部材24に照射する。
図10は、接着剤を硬化させている様子の一例を概略的に示す断面図である。
【0124】
ただし、この硬化方法では、搬送面22a及び搬送面24a側に染み出した接着剤を硬化させてしまう虞がある。また、各搬送面側に染み出した接着剤を硬化させた場合、様々な手間が生じる。
【0125】
したがって、紫外光硬化接着剤で、第1カバー部材22を第2カバー部材24に接着させる場合、押圧部材27、及び、第2カバー部材24を紫外光の遮蔽物として用いる。この場合、押圧部材27の入射面22bと当接する面の大きさは、搬送面22aと一致する大きさとする。また、この場合、Z軸方向から見ると、搬送面22aの全体は、押圧部材27と重なる。
【0126】
紫外光硬化接着剤を硬化させる際は、第1カバー部材22、及び、第2カバー部材24が密着されたまま、
図10に示すように、紫外光を第1カバー部材22、及び、第2カバー部材24に照射する。このとき、外部紫外光源は、押圧部材27を介して透明部材21と対向する位置に配置され、外部紫外光源からの紫外光は、押圧方向P1と同じ方向に照射される。
【0127】
紫外光が、押圧方向P1と同じ方向に照射されると、押圧部材27、及び、第2カバー部材24によって紫外光の一部が遮蔽され、第1カバー部材22のテーパ面22i、及び、第2カバー部材24のテーパ面24iには、紫外光が照射される。したがって、各当接面22c、及び、各当接面24cとの間に介在する接着剤については、紫外光に起因して硬化する。
【0128】
また、この場合、第2カバー部材24、及び、押圧部材27によって紫外光の一部が遮られるため、各搬送面側に染み出した接着剤に対しては、紫外光が照射されない。なお、硬化しなかった接着剤については、第1カバー部材22及び第2カバー部材24が互いに接合された後に洗浄を実施して取り除かれる。さらに、平板26の代わりに、剛性の平面を有するものが使用されてもよい。
【0129】
第3実施形態では、第1カバー部材22が、X軸方向に沿った断面において、断面の全部または一部に台形を含む略台形である構成について説明したが、このような構成を透明部材21にも採用することができる。すなわち、透明部材21は、主走査方向と直交する方向に沿って切った断面において搬送路3側の辺が短辺となる略台形をしていて、主走査方向に平行な辺に傾斜が設けられたテーパ面を有するような構成であってもよい。この場合、第1カバー部材22は、透明部材21の主走査方向に平行な辺に設けられたテーパ面と略平行に形成されたテーパ面を有していてもよい。そして、上述した第1カバー部材22と第2カバー部材24を接着させる場合と同様の手順で、透明部材21のテーパ面と第1カバー部材22のテーパ面とを接着剤で接合させてもよい。
【符号の説明】
【0130】
1 光ラインセンサユニット
2 紙葉類
3 搬送路
4 筐体
5 光源部
8 受光部
9 光ラインセンサ部材
11 透明部材
11c 櫛歯状凸部
12 カバー部材
12c 櫛歯状凹部
15 透明部材
16 第1カバー部材
16c 櫛歯状凸部
16f 当接面
17 貫通孔
18 第2カバー部材
18c 櫛歯状凹部
21 透明部材
22 第1カバー部材
22f 当接面
22i テーパ面
23 貫通孔
24 第2カバー部材
24f 当接面
24i テーパ面
26 平板
27 押圧部材