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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022074332
(43)【公開日】2022-05-18
(54)【発明の名称】光ラインセンサ
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/04 20060101AFI20220511BHJP
   G06T 1/00 20060101ALI20220511BHJP
【FI】
H04N1/04 101
G06T1/00 420F
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020184283
(22)【出願日】2020-11-04
(71)【出願人】
【識別番号】510192019
【氏名又は名称】株式会社ヴィーネックス
(74)【代理人】
【識別番号】100141852
【弁理士】
【氏名又は名称】吉本 力
(72)【発明者】
【氏名】龍満 和明
【テーマコード(参考)】
5B047
5C072
【Fターム(参考)】
5B047AA01
5B047BB02
5B047BC05
5B047BC12
5C072AA01
5C072CA05
5C072CA09
5C072DA08
5C072DA17
5C072DA21
5C072EA04
5C072FA06
(57)【要約】
【課題】ユーザが読取対象物に対する光の照射角度を変更できる光ラインセンサを提供する。
【解決手段】光ラインセンサ1が、照明ユニット2と、受光ユニット3と、受光ユニット3の主走査方向両端部に分離可能に取り付けられる一対の保持部材4とを備える。照明ユニット2は主走査方向両端部に嵌合部(突起部25)を備える。保持部材4の各々は被嵌合部(穴部41)を備える。嵌合部と被嵌合部が嵌合した状態では、照明ユニット2から照射される光の照射光軸が、受光ユニット3の読取ラインと略一致する位置において受光光軸と重なるように照明ユニット2が位置決めされ、受光ユニット3と一体的に保持される。
【選択図】 図1B


【特許請求の範囲】
【請求項1】
副走査方向に搬送される読取対象物を主走査方向に延びる読取ラインで読み取る光ラインセンサであって、
前記読取対象物に光を照射する照明ユニットと、
前記照明ユニットから照射され、前記読取対象物で受光光軸に沿って反射もしくは前記読取対象物を受光光軸に沿って透過した光を受光し、光電変換して電気信号として出力する受光ユニットと、
前記受光ユニットの主走査方向両端部に分離可能に取り付けられる一対の保持部材とを備え、
前記照明ユニットは主走査方向両端部に嵌合部を有し、
前記一対の保持部材の各々は、前記照明ユニットの前記嵌合部と嵌合する被嵌合部を有し、
前記嵌合部が前記被嵌合部に嵌合した状態では、前記照明ユニットから照射される光の照射光軸が、前記読取ラインと略一致する位置において前記受光光軸と重なることを特徴とする、光ラインセンサ。
【請求項2】
前記一対の保持部材の各々は、前記被嵌合部を少なくとも2つ有し、
前記嵌合部がいずれの前記被嵌合部に嵌合した状態でも、前記照明ユニットから照射される光の照射光軸が、前記読取ラインと略一致する位置において前記受光光軸と重なることを特徴とする、請求項1に記載の光ラインセンサ。
【請求項3】
前記一対の保持部材の各々は、前記少なくとも2つの被嵌合部を互いに接続する接続穴を有し、前記接続穴を介して前記嵌合部を各被嵌合部に移動可能であることを特徴とする、請求項2に記載の光ラインセンサ。
【請求項4】
前記被嵌合部には、前記嵌合部が所定範囲内でスライド可能に嵌合され、前記所定範囲内における任意の位置で前記嵌合部を固定可能であり、
前記嵌合部が前記所定範囲内におけるいずれの位置で前記被嵌合部に固定された状態でも、前記照明ユニットから照射される光の照射光軸が、前記読取ラインと略一致する位置において前記受光光軸と重なることを特徴とする、請求項1に記載の光ラインセンサ。
【請求項5】
前記一対の保持部材の各々は、前記受光ユニットを前記受光光軸方向に位置調整するための受光位置調整機構を介して、前記受光ユニットに取り付けられていることを特徴とする、請求項1~請求項4のいずれかに記載の光ラインセンサ。
【請求項6】
前記一対の保持部材の各々は、前記照明ユニットを前記照射光軸方向に位置調整するための照射位置調整機構を介して、前記照明ユニットに取り付けられていることを特徴とする、請求項1~請求項5のいずれかに記載の光ラインセンサ。
【請求項7】
前記受光ユニットは、
前記照明ユニットから照射され、前記読取対象物で前記受光光軸に沿って反射もしくは前記読取対象物を前記受光光軸に沿って透過した光を結像する結像光学系と、
前記結像光学系により結像された光を受光し、光電変換して電気信号として出力する受光素子と、
前記受光素子を実装し通電する受光基板と、
前記結像光学系及び前記受光基板を一体的に保持する受光筐体とを有し、
前記結像光学系は正立等倍結像するレンズをアレイ状に並べたレンズアレイであって、
前記レンズアレイの作動距離が30mm以上であることを特徴とする、請求項1~6のいずれかに記載の光学ラインセンサ。
【請求項8】
前記レンズは屈折率分布型のロッドレンズであることを特徴とする、請求項7に記載の光学ラインセンサ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、副走査方向に搬送される読取対象物を読み取る光ラインセンサに関するものである。
【背景技術】
【0002】
光ラインセンサは、光源から発せられる照射光を読取対象物に照射し、読取対象物で反射もしくは読取対象物を透過した光を、レンズなどの結像光学系を介してライン状に並べられた光電変換素子上に結像し、画像情報を得るものである。その製品形態として、光ラインセンサには、光源を備えないものと、光源を一体的に備えるものがある。光源を備えない光ラインセンサを利用するにあたっては、光源を適切に選定して別に用意し、適切な位置に調整して設置するための光源専用設置台も別に用意しなければならず、総じて手間がかかる。それに対して光源を一体的に備える光ラインセンサは、そのような手間がかからないという利点がある。
【0003】
また、画像処理しやすい画像情報を得るため、読取対象物の種類や読み取りたい内容に応じて、読取対象物に光を照射する角度を調整・変更することが頻繁に行われる。例えば、拡散度の小さい検査対象物においては、受光光軸と光源の照射光軸のなす角度を小さくし、拡散度の大きい検査対象物においては、前記角度を大きくすることにより検査対象物の特性に応じて拡散反射光を適切に受光し、検査対象物の表面特性や欠陥などの検出精度を向上させることができる。
【0004】
ユーザにおいては、各種の拡散反射特性を有する検査対象物を検査することも多く、その場合、照射角度を変更しなければならない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第6049859号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1には、光源を一体的に備え、光の照射角度を変更することができる光ラインセンサが開示されている。照射角度を変更するには光源部の筐体(第二筐体)自体の変更が必要であって、メーカ製造時の変更を想定したものである。よって、ユーザが光を照射する角度を変更することはできない。
【0007】
本願発明は、上述のような課題を解消するためになされたものであり、ユーザが読取対象物に対する光の照射角度を変更できる光ラインセンサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願発明に係る光ラインセンサは、副走査方向に搬送される読取対象物を主走査方向に延びる読取ラインで読み取る光ラインセンサであって、照明ユニットと、受光ユニットと、一対の保持部材とを備える。前記照明ユニットは、前記読取対象物に光を照射する。前記受光ユニットは、前記照明ユニットから照射され、前記読取対象物で受光光軸に沿って反射もしくは前記読取対象物を受光光軸に沿って透過した光を受光し、光電変換して電気信号として出力する。前記一対の保持部材は、前記受光ユニットの主走査方向両端部に分離可能に取り付けられる。前記照明ユニットは主走査方向両端部に嵌合部を有する。また、前記一対の保持部材の各々は、前記照明ユニットの前記嵌合部と嵌合する被嵌合部を有する。前記嵌合部が前記被嵌合部に嵌合した状態では、前記照明ユニットから照射される光の照射光軸が、前記読取ラインと略一致する位置において前記受光光軸と重なる。この構成によれば、被嵌合部が異なる別の保持部材を用意して交換すれば、光の照射角度の細かな変更ができる。
【0009】
前記一対の保持部材の各々は、前記被嵌合部を少なくとも2つ有していてもよい。この場合、前記嵌合部がいずれの前記被嵌合部に嵌合した状態でも、前記照明ユニットから照射される光の照射光軸が、前記読取ラインと略一致する位置において前記受光光軸と重なる。この構成によれば、少なくとも2つの被嵌合部から1つ選択して嵌合部を嵌合すれば、光の照射角度を保持部材の交換を伴わずに変更できる。
【0010】
前記一対の保持部材の各々は、前記少なくとも2つの被嵌合部を互いに接続する接続穴を有し、前記接続穴を介して前記嵌合部を各被嵌合部に移動可能であってもよい。この構成によれば、保持部材に対する照明ユニットの取り外しを伴わずに、接続穴を介して嵌合部を移動させるだけで、光の照射角度を変更できる。
【0011】
前記被嵌合部には、前記嵌合部が所定範囲内でスライド可能に嵌合され、前記所定範囲内における任意の位置で前記嵌合部を固定可能であってもよい。この場合、前記嵌合部が前記所定範囲内におけるいずれの位置で前記被嵌合部に固定された状態でも、前記照明ユニットから照射される光の照射光軸が、前記読取ラインと略一致する位置において前記受光光軸と重なる。この構成によれば、保持部材に対する照明ユニットの取り外しを伴わずに、嵌合部を所定範囲内における任意の位置にスライドして固定するだけで、光の照射角度を変更できる。
【0012】
前記一対の保持部材の各々は、前記受光ユニットを前記受光光軸方向に位置調整するための受光位置調整機構を介して、前記受光ユニットに取り付けられていてもよい。この構成によれば、読取ラインの位置を受光光軸方向に沿って調整することができる。
【0013】
前記一対の保持部材の各々は、前記照明ユニットを前記照射光軸方向に位置調整するための照射位置調整機構を介して、前記照明ユニットに取り付けられていてもよい。この構成によれば、読取ラインに対する照明ユニットの位置を照射光軸方向に沿って調整することができる。
【0014】
前記受光ユニットは、結像光学系と、受光素子と、受光基板と、受光筐体とを有していてもよい。前記結像光学系は、前記照明ユニットから照射され、前記読取対象物で前記受光光軸に沿って反射もしくは前記読取対象物を前記受光光軸に沿って透過した光を結像する。前記受光素子は、前記結像光学系により結像された光を受光し、光電変換して電気信号として出力する。前記受光基板は、前記受光素子を実装し通電する。前記受光筐体は、前記結像光学系及び前記受光基板を一体的に保持する。前記結像光学系は正立等倍結像するレンズをアレイ状に並べたレンズアレイであって、前記レンズアレイの作動距離が30mm以上であってもよい。この構成によれば、読取対象物が搬送される際に、レンズアレイと接触することを防止できる。
【0015】
前記レンズは屈折率分布型のロッドレンズであってもよい。
【発明の効果】
【0016】
本願発明によれば、ユーザが読取対象物に対する光の照射角度を変更できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1A】実施の形態1における光ラインセンサの全体構成を概略的に示す断面図である。
図1B】実施の形態1における光ラインセンサの分解斜視図である。
図1C】実施の形態1における受光基板の斜視図である。
図2】実施の形態2における光ラインセンサの分解斜視図である。
図3】実施の形態3における光ラインセンサの分解斜視図である。
図4】実施の形態4における光ラインセンサの側面図である。
図5】実施の形態5における光ラインセンサの分解斜視図である。
図6】実施の形態6における光ラインセンサの分解斜視図である。
図7】実施の形態7における光ラインセンサの分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
1.実施の形態1
まず、図1A図1Bを用いて、本願発明の実施の形態1における光ラインセンサ1の全体構成を説明する。図1Aは、実施の形態1における光ラインセンサ1の全体構成を概略的に示す断面図である。また、図1Bは、実施の形態1における光ラインセンサ1の分解斜視図である。光ラインセンサ1は、副走査方向に搬送される読取対象物Sを主走査方向に延びる読取ラインLで読み取ることにより、画像情報を得るものである。以下、主走査方向をX方向、副走査方向(読取対象物Sの搬送方向)をY方向、XとYに垂直な方向をZ方向とする。
【0019】
光ラインセンサ1は、照明ユニット2、受光ユニット3及び一対の保持部材4を備える。照明ユニット2は、X方向に沿って長尺形状を有しており、X方向に対して垂直な照射光軸A1に沿って、読取対象物Sに光を照射する。受光ユニット3は、X方向に沿って長尺形状を有しており、照明ユニット2から照射され、X方向に対して垂直な受光光軸A2に沿って読取対象物Sで反射した光を受光し、光電変換して電気信号として出力する。一対の保持部材4は、受光ユニット3のX方向両端部に分離可能に取り付けられる。受光光軸A2は、例えば読取対象物Sに対して垂直であり、Z方向に対して平行である。一方、照射光軸A1は、例えば読取対象物Sに垂直な方向(Z方向)に対して傾斜している。Z方向に対する照射光軸A1の傾斜角度は特に限定されるものではないが、例えば10~80°の範囲内であることが好ましく、20~70°の範囲内であることがより好ましく、30~60°の範囲内であることがさらに好ましい。
【0020】
ここでは、2つの照明ユニット2が設けられ、それぞれ受光光軸A2に対して対称配置されているが、これに限らず、例えば照明ユニット2が1つだけ設けられた構成であってもよい。以下では、2つの照明ユニット2が設けられた光ラインセンサ1において、一方の照明ユニット2の構成及び組立構造について説明するが、他の照明ユニット2も同様の構成及び組立構造を有している。
【0021】
照明ユニット2は、複数のLED21、LED基板22、集光レンズ23及び照明筐体24を備える。複数のLED21は、光源の一例であり、それぞれ互いに平行な照射光軸A1に沿って光を出射する。LED基板22は、X方向に沿って長尺形状を有しており、複数のLED21をX方向にアレイ状に実装して通電する。すなわち、LED基板22は、光源を実装し通電する照射基板を構成している。集光レンズ23は、各LED21から入射された光を集光して出射する。照明筐体24は、X方向に沿って長尺形状を有しており、LED基板22と集光レンズ23を所定の位置に一体的に保持する。照射光軸A1は、LED21もしくは集光レンズ23の光軸である。また、LED21は光とともに多くの熱を発生するため放熱が必要であることから、LED基板22と照明筐体24は熱伝導率の高い材料で形成される。例えば、LED基板22や照明筐体24は、アルミニウム合金で形成されるのが比重・剛性・コストの面から好ましい。
【0022】
また、高速に動く読取対象物Sを読み取る場合、1ラインを読み取る時間(=露光時間)を短くする必要があり、照明強度を大きくする必要がある。各LED21に流す電流を大きくすると照明強度を大きくできるが、各LED21が発生する熱も大きくなる。この場合、照明筐体24にフィン形状を有する放熱部(図示しない)を設け、放熱性を強化するとよい。該放熱部は照明筐体に一体的に設けられていてもよいし、別体が取り付けられることにより設けられてもよい。放熱部に設けられる複数のフィンは、自然対流により熱せられた空気が鉛直上向きに移動しやすいように、それぞれ鉛直上向きに延びる形状・配置が好ましい。さらに好ましくはファンを設け、フィンの周囲に強制対流を起こすとよい。
【0023】
受光ユニット3は、結像光学系31、複数の受光素子32、受光基板33及び受光筐体34を備える。結像光学系31は、照明ユニット2から照射され、読取対象物Sで受光光軸A2に沿って反射した光を結像する。複数の受光素子32は、結像光学系31により結像された光を受光し、光電変換して電気信号として出力する。受光基板33は、X方向に沿って長尺形状を有しており、複数の受光素子32をX方向に並べて実装し通電する。受光筐体34は、X方向に沿って長尺形状を有しており、結像光学系31と受光基板33を所定の位置に一体的に保持する。受光光軸A2は、結像光学系31を構成する結像素子の光軸であり、受光光軸A2上にある結像素子の焦点をX方向に無数に集めた線が読取ラインLである。
【0024】
図1Cは、実施の形態1における受光基板33の斜視図である。複数の受光素子32をX方向に並べて受光基板33に実装するにあたって、一直線状に並べるのが一般的であるが、600dpi以上の解像度を必要とする場合、受光素子32間(継ぎ目)において不感帯ができる。これを回避するには、図1Cのように各受光素子32を千鳥状(ジグザグ状)に配置し、かつ各受光素子32のX方向端部を重複させながら、X方向に実装するとよい。ただし、この場合には、Y方向にずれ、かつX方向に重複した画像情報が得られるので、補正手段を設けておくことが好ましい。例えば、あらかじめ基準チャートを読み取って、Y方向のずれ量およびX方向の重複量を算出して補正手段に記憶しておき、本画像読取時には、記憶しておいたずれ量に対し、画像の出力座標を修正し、また、重複を除く手段により補正処理して適切な座標値に変更した後、画像として出力する方法がある。
【0025】
結像光学系31は、正立等倍結像するレンズをアレイ状に並べたレンズアレイを用いることが好ましく、屈折率分布型で正立等倍結像するロッドレンズをアレイ状に並べたロッドレンズアレイを用いることがより好ましい。ロッドレンズアレイとして市販されているものとしては、セルフォックレンズアレイ(登録商標:日本板硝子)が代表的であるが、この場合、作動距離(レンズ端面から焦点までの距離)が20mm以下に限定される。作動距離が20mm以下の場合、読取対象物Sが搬送される際に、ロッドレンズアレイと接触して破損する確率が高いため、作動距離30mm以上のロッドレンズアレイを用いることがより好ましい。このためには、作動距離30mm以上のロッドレンズアレイを独自に作成したり、市販のロッドレンズアレイ(作動距離20mm以下)の光軸方向のピッチを適宜変更して作動距離を30mm以上に調整するとよい。また前述したように、ロッドレンズ以外でも、焦点距離が長く、収差の少ない正立等倍レンズをアレイ状に並べてもよい。
【0026】
また、結像光学系31には、例えば赤外光などの不要な光が受光素子32に入射しないように、赤外カットフィルタなどの光学フィルタが設けられてもよい。
【0027】
次に、図1Bを用いて、本願発明の実施の形態1における光ラインセンサ1の組立構造について説明する。照明ユニット2のX方向両端部(両端面)には、嵌合部として断面がトラック状の突起部25が設けられている。突起部25の形状はトラック状に限らず、円形(点対称形)以外であればよい。突起部25は照明ユニット2に一体的に設けられていてもよいし、別体が取り付けられることにより設けられてもよい。好ましくはX方向に可動して突出量が変更できるように突起部25が設けられていれば、保持部材4の取り外しを伴わずに照明ユニット2を取り外すことができる。
【0028】
照明ユニット2のX方向両端部には、プレート状の保持部材4がねじなどの固定具により取り付けられる。受光ユニット3と保持部材4は、図示しない位置決めピンを介するなどして、位置決めされてもよい。各保持部材4には、突起部25と嵌合する被嵌合部としての穴部41が設けられている。穴部41の形状は突起部25の形状に対応しており、突起部25が穴部41に嵌合されることにより、照明ユニット2が位置ずれしないように保持部材4に固定される。穴部41の位置(角度含む)は、穴部41に突起部25が嵌合すると、照明ユニット2の照射光軸A1が受光ユニット3の読取ラインLと略交差し、かつ所望の交差角(照明角度)になるように設定される。すなわち、突起部25が穴部41に嵌合した状態では、照明ユニット2から照射される光の照射光軸A1が、読取ラインLと略一致する位置において受光光軸A2と重なる。読取ラインLと略一致する位置とは、結像素子の焦点の位置(読取ラインL上)に限らず、当該焦点に対してZ方向に若干量(例えば数mm程度)ずれた位置も含む概念である。照明角度を変更するには、穴部41の位置(角度含む)を、照明ユニット2の照射光軸A1が受光ユニット3の読取ラインLと略交差し、かつ変更したい交差角(照明角度)になるよう設定して作成された、別の保持部材に交換すればよい。
【0029】
2.実施の形態2
次に本願発明の実施の形態2における光ラインセンサ1の構成を説明する。図2は、実施の形態2における光ラインセンサ1の分解斜視図である。光ラインセンサ1の組立構造以外は、実施の形態1と同様であるため、同様の構成については詳細な説明を省略する。図2では、複数の被嵌合部を有する場合が示されている。
【0030】
実施の形態2では、照明ユニット2の構成は実施の形態2と同様であるが、各保持部材4には、照明ユニット2の突起部25と嵌合する被嵌合部として、穴部41と穴部42の2つの被嵌合部が設けられている。2つの穴部41、42は、同一の形状であり、いずれも突起部25の形状に対応している。2つの穴部41、42の位置(角度含む)は、各穴部41、42に突起部25が嵌合すると、照明ユニット2の照射光軸A1が受光ユニット3の読取ラインLと略交差し、かつ所望の異なる交差角(照明角度)になるように設定される。すなわち、突起部25がいずれの穴部41、42に嵌合した状態でも、照明ユニット2から照射される光の照射光軸A1が、読取ラインLと略一致する位置において受光光軸A2と重なる。照明角度を変更するには、突起部25を嵌合させる穴部41、42を変更すればよく、保持部材4の交換は不要になる。ここでは被嵌合部(穴部)を2つ設けたが、被嵌合部の数が多いほど変更できる照明角度が増えるため、3つ以上がより好ましい。
【0031】
以上、実施の形態1の場合は、保持部材4を適宜変更することにより、細かな照明角度変更が可能であり、実施の形態2の場合は、保持部材4の変更を伴わずに照明角度変更が可能であることを示した。
【0032】
3.実施の形態3
次に図3を用いて、本願発明の実施の形態3における光ラインセンサ1の構成を説明する。図3は、実施の形態3における光ラインセンサ1の分解斜視図である。光ラインセンサ1の組立構造以外は、実施の形態1と同様であるため、同様の構成については詳細な説明を省略する。
【0033】
実施の形態3では、照明ユニット2のX方向両端部のそれぞれに、嵌合部として一対の突起部26が設けられている。各突起部26は、円柱状に形成されている。各突起部26は照明ユニット2に一体的に設けられていてもよいし、別体が取り付けられることにより設けられてもよい。好ましくはX方向に可動して突出量が変更できるように各突起部25が設けられていれば、保持部材4の取り外しを伴わずに照明ユニット2を取り外すことができる。各保持部材4には一対の突起部26と嵌合する被嵌合部として一対の穴部43が2つ(2対)設けられている。一対の穴部43の形状は、一対の突起部26の形状に対応する円形に形成されており、一対の突起部26が一対の穴部43に嵌合されることにより、照明ユニット2が位置ずれしないように保持部材4に固定される。一対の穴部43の位置は、一対の穴部43に一対の突起部26が嵌合すると、照明ユニット2の照射光軸A1が受光ユニット3の読取ラインLと略交差し、かつ所望の交差角(光の照射角度)になるように設定される。ここでは被嵌合部(一対の穴部43)が2つ(2対)設けられているが、1つ(1対)でもよいし、3つ(3対)以上でもよい。
【0034】
この構成によれば、プレート状の保持部材4の適切な位置にキリ穴、好ましくはリーマ穴を開けるのみで被嵌合部が得られるため、製造コストを抑えることができる。
【0035】
4.実施の形態4
次に図4を用いて、本願発明の実施の形態4における光ラインセンサ1の構成を説明する。図4は、実施の形態4における光ラインセンサ1の側面図である。光ラインセンサ1の組立構造以外は、実施の形態1と同様であるため、同様の構成については詳細な説明を省略する。
【0036】
実施の形態4では、実施の形態3における各保持部材4に設けられた複数の被嵌合部(一対の穴部43)が接続穴44を介して互いに接続されている。ここでは被嵌合部(一対の穴部43)が3つ設けられており、一方の突起部26が嵌合される3つの穴部43同士が接続穴44で接続されるとともに、他方の突起部26が嵌合される3つの穴部43同士も別の接続穴44で接続されている。これにより、嵌合部(一対の突起部26)は、複数の被嵌合部(一対の穴部43)のそれぞれに接続穴44を介して移動可能となっている。ただし、被嵌合部(一対の穴部43)は、3つ(3対)に限らず、2つ(2対)でもよいし、4つ(4対)以上でもよい。
【0037】
この構成によれば、照明ユニット2の取り外しが不要で、照明ユニット2をYZ平面に沿ってスライドさせると、光の照射角度を変更できる。図4の下方向に重力がかかるよう光ラインセンサ1を設置する場合は、照明ユニット2の自重により嵌合部と被嵌合部が自然に嵌合するため問題ないが、そうでない場合は、嵌合部と被嵌合部を嵌合させた状態で照明ユニットを図示しない手段により支えつつ各保持部材4と照明ユニット2をねじ係合してもよい。
【0038】
5.実施の形態5
次に図5を用いて、本願発明の実施の形態5における光ラインセンサ1の構成を説明する。図5は、実施の形態5における光ラインセンサ1の分解斜視図である。光ラインセンサ1の組立構造以外は、実施の形態1と同様であるため、同様の構成については詳細な説明を省略する。
【0039】
実施の形態5では、照明ユニット2のX方向両端部のそれぞれに、図3と同様に一対の突起部26が設けられている。各突起部26は照明ユニット2に一体的に設けられていてもよいし、別体が取り付けられることにより設けられてもよい。保持部材4には被嵌合部として扇状の凹部45が設けられ、その凹部45に沿って円弧状に摺動する扇状の可動体46が嵌合部として設けられている。扇状の凹部45の位置は、保持部材4が受光ユニット3に取り付けられた状態で、扇状の凹部45の円弧(扇)の中心が受光ユニット3の読取ラインLに略一致するように設定される。受光ユニット3と保持部材4は、図示しない位置決めピンを介するなどして位置決めすることが、位置決め精度を高めることにつながるため、より好ましい。
【0040】
可動体46は、照明ユニット2の一部(端部)を構成する部材であり、突起部26と嵌合する一対の穴部43が設けられている。一対の穴部43の形状は、一対の突起部26の形状に対応する円形に形成されており、一対の突起部26が一対の穴部43に嵌合されることにより、可動体46が位置ずれしないように照明筐体24に固定される。一対の穴部43の位置は、可動体46が凹部45内の任意の位置に嵌合している状態で、扇状の可動体46の円弧(扇)の中心が、扇状の凹部45の円弧(扇)の中心と略一致するように設定する。これにより、被嵌合部(凹部45)には、嵌合部(可動体46)が所定範囲内でスライド可能に嵌合されており、所定範囲内(扇状の凹部45の中心角の範囲内)における任意の位置で、ねじなどの固定具により嵌合部を固定可能となっている。そして、嵌合部(可動体46)が所定範囲内におけるいずれの位置で被嵌合部(凹部45)に固定された状態でも、照明ユニット2から照射される光の照射光軸A1が、読取ラインLと略一致する位置において受光光軸A2と重なる。
【0041】
この構成によれば、照明ユニット2の嵌合部(可動体46)が保持部材4の被嵌合部(凹部45)に嵌合すると、照明ユニット2が光の照射角度を変更できるように支持され、かつ、どの光の照射角度においても照明ユニット2の読取ラインL方向のすべての照射光軸A1と受光ユニット3の読取ラインLとが常に略一致する。所望の光の照射角度において保持部材4と可動体46をねじで締め付ければ、照明ユニット2が固定される。また、光の照射角度を無段階で変更できるよう、例示しない送りねじ等の微動機構を追加すれば、光の照射角度を微調整することも可能である。
【0042】
6.実施の形態6
次に図6を用いて、本願発明の実施の形態6における光ラインセンサ1の構成を説明する。図6は、実施の形態6における光ラインセンサ1の分解斜視図である。光ラインセンサ1の組立構造以外は、実施の形態1と同様であるため、同様の構成については詳細な説明を省略する。
【0043】
実施の形態6では、図5と同様に、保持部材4に被嵌合部として扇状の凹部45が設けられ、その凹部45に沿って円弧状に摺動する扇状の可動体46が嵌合部として設けられている。扇状の凹部45の位置は、保持部材4が受光ユニット3に取り付けられた状態で、扇状の凹部45の円弧(扇)の中心が受光ユニット3の読取ラインLに略一致するように設定される。受光ユニット3と保持部材4は、図示しない位置決めピンを介するなどして、精度よく位置決めされてもよい。可動体46には、扇状の可動体46の円弧(扇)の半径方向に延在する直方体状の突起部47が設けられている。直方体状の突起部47は可動体46に一体的に設けられていてもよいし、別体が取り付けられることにより設けられてもよい。
【0044】
照明ユニット2のX方向両端部には、直方体状の突起部47に沿って摺動する溝部27が設けられている。溝部27は照明ユニット2に一体的に設けられていてもよいし、別体が取り付けられることにより設けられてもよい。互いに摺動可能な突起部47及び溝部27は、照明ユニット2を照射光軸A1方向に位置調整するための照射位置調整機構を構成しており、この照射位置調整機構を介して、各保持部材4が照明ユニット2に取り付けられている。
【0045】
この構成によれば、照明ユニット2の嵌合部が被嵌合部に嵌合すると、照明ユニット2が、光の照射角度および照射距離を変更できるように支持され、かつどの光の照射角度および照射距離においても照明ユニット2の読取ラインL方向のすべての照射光軸A1と受光ユニット3の読取ラインLとが常に略一致する。所望の光の照射角度において保持部材4と可動体46をねじで締め付け、所望の照射距離において照明ユニット2と可動体46をねじ(好ましくは止めねじ)などの固定具で締め付ければ、照明ユニット2が固定される。また、光の照射角度および照射距離を無段階で変更できるため、例示しない送りねじ等の微動機構を追加すれば、光の照射角度および照射距離を微調整することが可能となる。
【0046】
7.実施の形態7
次に図7を用いて、本願発明の実施の形態7における光ラインセンサ1の構成を説明する。図7は、実施の形態7における光ラインセンサ1の分解斜視図である。実施の形態7では、受光ユニット3に保持部材4を取り付ける方法が実施の形態6と異なる。その他の構成については、実施の形態6と同様であるため、同様の構成については詳細な説明を省略する。
【0047】
受光ユニット3のX方向両端部には、受光光軸A2方向に延在する直方体状の突起部35が設けられている。直方体状の突起部35は受光筐体34に一体的に設けられていてもよいし、別体が取り付けられることにより設けられてもよい。各保持部材4には直方体状の突起部35に沿って摺動する溝部48が設けられている。互いに摺動可能な突起部35及び溝部48は、受光ユニット3を受光光軸A2方向に位置調整するための受光位置調整機構を構成しており、この受光位置調整機構を介して、各保持部材4が受光ユニット3に取り付けられている。
【0048】
この構成によれば、受光光軸A2方向に読取ラインLを移動することができるため、結像光学系31を交換するなどして作動距離(読取ラインLの受光光軸A2方向の位置)を変更した場合でも、照明ユニット2の読取ラインL方向のすべての照射光軸A1と受光ユニット3の読取ラインLとを略一致させることができる。照明ユニット2の読取ラインL方向のすべての照射光軸A1と受光ユニット3の読取ラインLが略一致した状態において、保持部材4と受光ユニット3をねじなどの固定具で係合すれば、その位置を固定することができる。また、読取ラインLのZ方向の位置を無段階で変更できるため、例示しない送りねじ等の微動機構を追加すれば、照明ユニット2の読取ラインL方向のすべての照射光軸A1と受光ユニット3の読取ラインLとの一致の度合いを更に向上させることも可能である。
【0049】
8.変形例
以上の実施形態では、照明ユニット2に設けられた嵌合部と、各保持部材4に設けられた被嵌合部とが、それぞれ互いに嵌合する凹凸によって構成される場合について説明した。しかし、このような構成に限らず、嵌合部及び被嵌合部は、互いに嵌合可能な構成であれば、他の任意の構成であってもよい。
【0050】
また、以上の実施形態では、照明ユニット2から照射された光が、読取対象物Sで受光光軸A2に沿って反射し、その反射した光が受光ユニット3で受光されるような構成について説明した。しかし、このような構成に限らず、照明ユニット2及び受光ユニット3が、それらの間を読取対象物Sが通過するように配置され、照明ユニット2から照射された光が、読取対象物Sを受光光軸A2に沿って透過し、その透過した光が受光ユニット3で受光されるような構成であってもよい。
【符号の説明】
【0051】
1 光ラインセンサ
2 照明ユニット
3 受光ユニット
4 保持部材
21 LED
22 LED基板
23 集光レンズ
24 照明筐体
25 突起部
26 突起部
27 溝部
31 結像光学系
32 受光素子
33 受光基板
34 受光筐体
35 突起部
41 穴部
42 穴部
43 穴部
44 接続穴
45 凹部
46 可動体
47 突起部
48 溝部
A1 照射光軸
A2 受光光軸

図1A
図1B
図1C
図2
図3
図4
図5
図6
図7