(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022075054
(43)【公開日】2022-05-18
(54)【発明の名称】板状成形体の製造方法
(51)【国際特許分類】
B24B 7/04 20060101AFI20220511BHJP
B24D 3/00 20060101ALI20220511BHJP
B24B 37/00 20120101ALI20220511BHJP
B24B 37/08 20120101ALI20220511BHJP
H01L 21/304 20060101ALI20220511BHJP
【FI】
B24B7/04 A
B24D3/00 320B
B24B37/00 H
B24B37/08
H01L21/304 622B
H01L21/304 631
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020185586
(22)【出願日】2020-11-06
(71)【出願人】
【識別番号】000183303
【氏名又は名称】住友金属鉱山株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095223
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 章三
(74)【代理人】
【識別番号】100085040
【弁理士】
【氏名又は名称】小泉 雅裕
(74)【代理人】
【識別番号】100137752
【弁理士】
【氏名又は名称】亀井 岳行
(72)【発明者】
【氏名】石田 史明
【テーマコード(参考)】
3C043
3C063
3C158
5F057
【Fターム(参考)】
3C043BA03
3C043BA08
3C043BA16
3C043CC04
3C043CC13
3C043DD02
3C043DD04
3C043DD05
3C063AA02
3C063AB05
3C063BB02
3C063BC05
3C158AA07
3C158BA02
3C158CA05
3C158DA17
3C158EA01
3C158ED05
3C158ED08
5F057AA44
5F057AA48
5F057BA12
5F057BB09
5F057BB12
5F057CA11
5F057DA11
5F057EA06
5F057EB16
5F057EB17
5F057GA03
(57)【要約】
【課題】砥石の摩耗を低減できる板状成形体の製造法を提供する。
【解決手段】難切削性の板状体(炭化珪素)に対し、280番(ISO 8486表示)のB
4C砥粒を用いるラップ加工と7000番(同上)のダイヤモンド砥粒が含まれる砥石を用いる平面研削加工を施して板状成形体を製造する方法で、ラップ加工後におけるラップ面の平面研削条件を、(a)砥石を装着したスピンドルの回転数が1800rpm、(b)板状体を保持するチャックテーブルの回転数が+151~-251rpm、(c)砥石と板状体を加工送り方向へ相対的に移動させる加工送り速度が0.05μm/sに設定し、平面研削後における研削面の平面研削条件を、(a)スピンドルの回転数が3500rpm、(b)チャックテーブルの回転数が+51~-251rpm、(c)加工送り速度が0.10μm/sに設定することを特徴とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
難切削性の板状体を所望の厚さ近傍まで加工するラップ工程と、ラップ工程後の板状体面を平面研削して高平坦度かつ高平滑な面に加工する平面研削工程を有し、上記ラップ工程では100番~300番(ISO 8486表示)のB4C砥粒が適用されると共に、平面研削工程では6000番~8000番(ISO 8486表示)のダイヤモンド砥粒を有するビトリファイド砥石が適用される板状成形体の製造方法において、
上記平面研削工程を前段の第一研削工程と後段の第二研削工程とで構成し、
上記第一研削工程における第一平面研削の条件を、
a)上記砥石を装着したスピンドルの回転数が1800rpm、
b)上記板状体を保持するチャックテーブルの回転数が+151~-251rpm、
c)上記砥石と上記板状体とを加工送り方向へ相対的に移動させる加工送り速度が0.05μm/s、
に設定して板状体面を3μm~10μm平面研削し、
上記第二研削工程における第二平面研削の条件を、
a)上記砥石を装着したスピンドルの回転数が3500rpm、
b)上記板状体を保持するチャックテーブルの回転数が+51~-251rpm、
c)上記砥石と上記板状体とを加工送り方向へ相対的に移動させる加工送り速度が0.1μm/s、
に設定して板状体面を所望の厚さまで平面研削することを特徴とする板状成形体の製造方法。
【請求項2】
上記第一研削工程において、板状体における一方の面を第一平面研削の条件で3μm~10μm平面研削し、続いて、板状体における他方の面を第一平面研削の条件で3μm~10μm平面研削する第一処理工程と、
上記第二研削工程において、第一平面研削の条件で平面研削された板状体における一方の面を第二平面研削の条件で平面研削し、続いて、第一平面研削の条件で平面研削された板状体における他方の面を第二平面研削の条件で平面研削する第二処理工程、
とで板状成形体を製造することを特徴とする請求項1に記載の板状成形体の製造方法。
【請求項3】
上記第二処理工程において、第二平面研削の条件で板状体における一方の面が平面研削される厚さαに較べて、第二平面研削の条件で板状体における他方の面が平面研削される厚さβを大きく設定(α<β)することを特徴とする請求項2に記載の板状成形体の製造方法。
【請求項4】
上記難切削性の板状体が、炭化ケイ素、炭化ホウ素、炭化チタン、アルミナまたは窒化ホウ素から選択されるいずれかの材料で構成されることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の板状成形体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、難切削性の板状体を所望の厚みに加工するラップ工程と、ラップ工程後の板状体面を平面研削して高平坦度かつ高平滑な面に加工する平面研削工程を有する板状成形体の製造方法に係り、特に、平面研削工程で使用する砥石の摩耗を低減できる板状成形体の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
炭化珪素(SiC)は、珪素(Si:シリコン)と比較すると、3倍程度の大きなバンドギャップ(4H-SiCで、3.8eV程度、6H-SiCでは、3.1eV程度、シリコンは1.1eV程度)と高い熱伝導率(5W/cm・K程度、シリコンは1.5W/cm・K程度)を有することから、近年、パワーデバイス用途の基板材料としてSiC単結晶が使用され始めている。例えば、従来用いられてきたSiパワーデバイスと比較して、SiCパワーデバイスは5~10倍程度大きい耐電圧と数百℃以上高い動作温度を実現し、更に、素子の電力損失を1/10程度に低減できるため、鉄道車両用インバーター等で実用化されている。
【0003】
基板材料としてのSiC単結晶は、通常、昇華再結晶法(改良レーリー法)と呼ばれる気相法で作製され(例えば非特許文献1参照)、所望の直径および厚さに加工される。
【0004】
上記改良レーリー法は、固体状のSiC原料(通常は粉末)を、高温(2,400℃以上)で加熱・昇華させ、不活性ガス雰囲気中を昇華したSi原子と炭素原子が2,400℃の蒸気として拡散により輸送され、原料よりも低温に設置された種結晶上に過飽和となって再結晶化させることにより塊状のSiC単結晶を育成する方法である。
【0005】
しかし、改良レーリー法は、プロセス温度が2,400℃以上と非常に高いため、結晶成長の温度制御や対流制御、結晶欠陥の制御が非常に難しく、この方法で作製されたSiC単結晶基板には、マイクロパイプと呼ばれる結晶欠陥やその他の結晶欠陥(積層欠陥等)が多数存在し、電子デバイス用途に耐え得る高品質のSiC単結晶基板を歩留まりよく製造することが極めて難しい。この結果、電子デバイス用に用いることのできる結晶欠陥の少ない高品質なSiC単結晶基板は非常に高額なものとなり、このようなSiC単結晶基板を用いたデバイスも高額なものになってしまうため、SiC単結晶基板が普及されることの妨げになっていた。
【0006】
そこで、近年、SiC単結晶基板とSiC多結晶基板を準備し、上記SiC単結晶基板とSiC多結晶基板とを貼り合わせる工程を行い、その後、上記SiC単結晶基板を薄膜化する工程を行ってSiC多結晶基板上にSiC単結晶薄板層が形成されたSiC基板を製造する方法が提案されている(例えば非特許文献2参照)。
【0007】
このSiC基板の製造方法によれば、SiC単結晶基板の厚さを、従来に較べて数分の一から数百分の一まで減少させることができる。このため、従来のように基板のすべてを高額でかつ高品質のSiC単結晶で構成した場合と比較し、SiC基板のコストを大幅に低減させることができる。また、結晶欠陥の少ない高品質なSiC単結晶層上にパワーデバイス等の素子を形成することができるため、デバイス性能の向上および製造歩留りを大きく改善させることができる。
【0008】
このようなSiC単結晶基板とSiC多結晶基板とを貼り合わせる工程において、SiC多結晶基板は緻密で高純度であると共に、高平坦度であることが求められる。このため、SiC多結晶基板の製造には化学的気相蒸着法(以下、「CVD法」と記載することがある)が用いられ、CVD法を用いたSiC多結晶基板の製造方法が特許文献1に記載されている。以下、特許文献1に記載されたSiC多結晶基板の製造法について説明する。
【0009】
まず、
図3(A)に示す炭素質支持基板(例えば黒鉛支持基板)1が配置された育成炉内を1300℃以上の環境に設定し、該炉内にSiH
4等のSi系原材料ガス、CH
4等のC系原材料ガス、不純物ガスである窒素ガス、および、キャリアガスである水素ガスを導入し、熱反応により炭素質支持基板1の表裏面と外周端面に
図3(B)に示すSiC多結晶膜2を析出させる。そして、SiC多結晶膜2が析出された炭素質支持基板1を育成炉から取り出し、炭素質支持基板1をベベリング加工して
図3(C)に示すように炭素質支持基板1の端面を露出させた後、電気炉等を用い炭素質支持基板1のみを燃焼させて、
図3(D)に示す炭素質支持基板1の表裏面に形成されたSiC多結晶膜2から成る2枚のSiC多結晶基板3が得られる。
【0010】
しかし、CVD法を用いたこの製造方法においては、
図3(B)に示すように炭素質支持基板1の外周端近傍(外周部分)において、成膜したSiC多結晶膜2の膜厚が大きくなる傾向にあることから、
図3(D)に示すように得られたSiC多結晶基板3の中央部付近に較べ周辺部が厚くなり易く、炭素質支持基板1を燃焼除去した後、研削や研磨によりSiC多結晶基板3の厚さと平坦度を調整する下記工程を要した。
【0011】
すなわち、
図4(A)~(B)に示すようにSiC多結晶基板3の周辺部を切除する切り抜き工程と、
図4(C)に示すようにSiC多結晶基板3を所望の厚み近傍まで加工するラップ工程と、所望の直径に加工し、その後にSiC多結晶基板3の端面を面取りするベベル工程と、ラップ工程で得られたSiC多結晶基板3面を平面研削して
図4(D)に示すように高平坦度かつ高平滑な面に加工する平面研削工程と、平面研削工程で発生した図示外の線状加工痕を化学機械研磨(メカノケミカルポリッシュ)によって除去し、
図4(E)に示すようにSiC多結晶基板3表面を鏡面とするポリッシュ工程を要し、これ等工程を経てSiC基板の製造に供されるSiC多結晶基板は所望の状態となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開平08-026714号公報
【特許文献2】特開2018-051646号公報
【非特許文献】
【0013】
【非特許文献1】Yu.M.Tairov and V.F.Tsvetkov: J.of Cryst.Growth 43(1978)209
【非特許文献2】精密工学会誌,2017,83巻,9号,p.833-836
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
ところで、炭化ケイ素(SiC)は、硬度が非常に高く、難切削性の材料ではあるが、番手が100番(ISO 8486表示)~300番(ISO 8486表示)程度、例えば280番(ISO 8486表示)の炭化ホウ素(B4C)砥粒を適用した低圧両面ラップ加工によりSiC多結晶基板の加工時間と加工コストを軽減することは可能である。しかし、その反面、ラップ工程後においてSiC多結晶基板面に急峻な凹凸が形成されてしまうため、ベベル工程を経た後、番手が6000番(ISO 8486表示)~8000番(ISO 8486表示)程度、例えば7000番(ISO 8486表示)のダイヤモンド砥粒を含むビトリファイド砥石を用いてSiC多結晶基板の平面研削がなされた場合、砥石の摩耗率[(砥石の摩耗量/被加工物の加工量)×100%]が高くなる問題が存在した。具体的には、平面研削の第一工程でSiC多結晶基板における一方の面を10μm平面研削し、平面研削の第二工程でSiC多結晶基板における他方の面を20μm平面研削した場合、第一工程で砥石の摩耗率が700%~350%、第二工程で砥石の摩耗率が200%~250%と高く、ダイヤモンド砥粒を含むビトリファイド砥石が高額であるため大きな問題となっている。
【0015】
本発明はこのような問題点に着目してなされたもので、その課題とするところは、ラップ工程と平面研削工程を有する板状成形体の製造方法において、平面研削工程で用いるビトリファイド砥石(ダイヤモンド砥粒とビトリファイド結合剤を含む砥石)の摩耗率を低減できる板状成形体の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
そこで、上記課題を解決するため、本発明者は、平面研削工程に用いる研削装置(例えば特許文献2参照)の加工条件、具体的には、ビトリファイド砥石を装着した「スピンドルの回転数」、板状体を保持する「チャックテーブルの回転数」、および、上記砥石と板状体を加工送り方向へ相対的に移動させる「加工送り速度」の条件を変更しながら実験を繰り返し行った結果、砥石の摩耗率が低減する適正な条件を見出すに至った。
【0017】
すなわち、280番(ISO 8486表示)の炭化ホウ素(B4C)砥粒が適用されたラップ工程後における板状体のラップ面(以下「♯280面」と称する場合がある)を、7000番(ISO 8486表示)のダイヤモンド砥粒を含むビトリファイド砥石が用いられた研削装置により平面研削するときの適正条件は、
a)上記「スピンドルの回転数」を1800rpm、
b)上記「チャックテーブルの回転数」を+151~-251rpm、
c)上記「加工送り速度」を0.05μm/s、
であることが見出され、かつ、上記条件で「♯280面」を平面研削した場合、ビトリファイド砥石の摩耗率を低減できることが確認された。
【0018】
尚、チャックテーブルの回転方向がスピンドルの回転方向と同方向の場合に符号「+」が付され、スピンドルの回転方向と逆方向の場合に符号「-」が付されている。
【0019】
また、ラップ工程後に形成された急峻な凹凸は、「♯280面」を7000番(ISO 8486表示)のダイヤモンド砥粒を含むビトリファイド砥石で数μm研削することで平坦化され、3μm~10μm研削された以降の上記砥石の摩耗率はほぼ一定でであるため、7000番(ISO 8486表示)のダイヤモンド砥粒を含むビトリファイド砥石で平坦化された板状体の研削面(以下「♯7000面」と称する場合がある)を更に平面研削する場合、「♯280面」の条件に代えて「♯7000面」に合った条件に変更して研削した方が上記砥石の摩耗率を低減できる。
【0020】
そして、上記「♯7000面」を、7000番(ISO 8486表示)のダイヤモンド砥粒を含むビトリファイド砥石が用いられた研削装置により平面研削するときの適正条件は、
a)上記「スピンドルの回転数」を3500rpm、
b)上記「チャックテーブルの回転数」を+51~-251rpm、
c)上記「加工送り速度」を0.1μm/s、
であることが見出され、かつ、上記条件で「♯7000面」を平面研削した場合、ビトリファイド砥石の摩耗率を更に低減できることが確認された。
【0021】
本発明はこのような技術的発見により完成されている。
【0022】
すなわち、本発明に係る第1の発明は、
難切削性の板状体を所望の厚さ近傍まで加工するラップ工程と、ラップ工程後の板状体面を平面研削して高平坦度かつ高平滑な面に加工する平面研削工程を有し、上記ラップ工程では100番~300番(ISO 8486表示)のB4C砥粒が適用されると共に、平面研削工程では6000番~8000番(ISO 8486表示)のダイヤモンド砥粒を有するビトリファイド砥石が適用される板状成形体の製造方法において、
上記平面研削工程を前段の第一研削工程と後段の第二研削工程とで構成し、
上記第一研削工程における第一平面研削の条件を、
a)上記砥石を装着したスピンドルの回転数が1800rpm、
b)上記板状体を保持するチャックテーブルの回転数が+151~-251rpm、
c)上記砥石と上記板状体とを加工送り方向へ相対的に移動させる加工送り速度が0.05μm/s、
に設定して板状体面を3μm~10μm平面研削し、
上記第二研削工程における第二平面研削の条件を、
a)上記砥石を装着したスピンドルの回転数が3500rpm、
b)上記板状体を保持するチャックテーブルの回転数が+51~-251rpm、
c)上記砥石と上記板状体とを加工送り方向へ相対的に移動させる加工送り速度が0.1μm/s、
に設定して板状体面を所望の厚さまで平面研削することを特徴とする。
【0023】
次に、本発明に係る第2の発明は、
第1の発明に記載の板状成形体の製造方法において、
上記第一研削工程において、板状体における一方の面を第一平面研削の条件で3μm~10μm平面研削し、続いて、板状体における他方の面を第一平面研削の条件で3μm~10μm平面研削する第一処理工程と、
上記第二研削工程において、第一平面研削の条件で平面研削された板状体における一方の面を第二平面研削の条件で平面研削し、続いて、第一平面研削の条件で平面研削された板状体における他方の面を第二平面研削の条件で平面研削する第二処理工程、
とで板状成形体を製造することを特徴とし、
第3の発明は、
第2の発明に記載の板状成形体の製造方法において、
上記第二処理工程において、第二平面研削の条件で板状体における一方の面が平面研削される厚さαに較べて、第二平面研削の条件で板状体における他方の面が平面研削される厚さβを大きく設定(α<β)することを特徴とし、
また、第4の発明は、
第1の発明~第3の発明のいずれかに記載の板状成形体の製造方法において、
上記難切削性の板状体が、炭化ケイ素、炭化ホウ素、炭化チタン、アルミナまたは窒化ホウ素から選択されるいずれかの材料で構成されることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0024】
第1の発明に係る板状成形体の製造方法によれば、
100番~300番(ISO 8486表示)のB4C砥粒が適用されたラップ工程後の板状体面を、6000番~8000番(ISO 8486表示)のダイヤモンド砥粒を含むビトリファイド砥石で平面研削する条件について、
前段の第一研削工程と後段の第二研削工程とで構成し、
上記第一研削工程における第一平面研削の条件を、
a)上記砥石を装着したスピンドルの回転数が1800rpm、
b)上記板状体を保持するチャックテーブルの回転数が+151~-251rpm、
c)上記砥石と上記板状体とを加工送り方向へ相対的に移動させる加工送り速度が0.05μm/s、
とする適正条件に設定して板状体面を3μm~10μm平面研削し、
上記第二研削工程における第二平面研削の条件を、
a)上記砥石を装着したスピンドルの回転数が3500rpm、
b)上記板状体を保持するチャックテーブルの回転数が+51~-251rpm、
c)上記砥石と上記板状体とを加工送り方向へ相対的に移動させる加工送り速度が0.1μm/s
とする適正条件に設定しているため、
上記ビトリファイド砥石の摩耗率を低減させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】SiC基板の研磨条件と砥石摩耗率%との関係を示すグラフ図で、横軸中、「♯280REF」(1st)はSiC基板のラップ面(♯280面)であるB(Back)面を比較条件[スピンドル回転数:1800rpm、CT(チャックテーブル)回転数:+151rpm、加工送り速度:0.2μm/s]で5μm平面研削したときの砥石摩耗率%、「♯280REF」(2nd)はSiC基板のラップ面(♯280面)であるF(Front)面を上記比較条件で5μm平面研削したときの砥石摩耗率%を示し、また、「♯280最適」(1st)はSiC基板のラップ面(♯280面)であるB(Back)面を最適条件[スピンドル回転数:1800rpm、CT回転数:+151rpm、加工送り速度:0.05μm/s]で5μm平面研削したときの砥石摩耗率%、「♯280最適」(2nd)はSiC基板のラップ面(♯280面)であるF(Front)面を上記最適条件で5μm平面研削したときの砥石摩耗率%を示し、また、「♯7000REF」(1st)はSiC基板の研削面(♯7000面)であるB(Back)面を比較条件[スピンドル回転数:1800rpm、CT回転数:+151rpm、加工送り速度:0.2μm/s]で5μm平面研削したときの砥石摩耗率%、「♯7000REF」(2nd)はSiC基板の研削面(♯7000面)であるF(Front)面を上記比較条件で15μm平面研削したときの砥石摩耗率%を示し、また、「♯7000最適」(1st)はSiC基板の研削面(♯7000面)であるB(Back)面を最適条件[スピンドル回転数:3500rpm、CT回転数:-51rpm、加工送り速度:0.10μm/s]で5μm平面研削したときの砥石摩耗率%、「♯7000最適」(2nd)はSiC基板の研削面(♯7000面)であるF(Front)面を上記最適条件で15μm平面研削したときの砥石摩耗率%示し、「AVE」は1stと2ndの平均値を示す。
【
図2】SiC基板の研磨条件と砥石摩耗率%との関係を示すグラフ図で、横軸中、「総合REF」(1st)は上記「♯280REF」(1st)の砥石摩耗率%と「♯7000REF」(1st)の砥石摩耗率%を合計し求めた平均値、「総合REF」(2nd)は上記「♯280REF」(2nd)の砥石摩耗率%と「♯7000REF」(2nd)の砥石摩耗率%を合計し求めた平均値を示し、また、「総合最適」(1st)は上記「♯280最適」(1st)の砥石摩耗率%と「♯7000最適」(1st)の砥石摩耗率%を合計し求めた平均値、「総合最適」(2nd)は上記「♯280最適」(2nd)の砥石摩耗率%と「♯7000最適」(2nd)の砥石摩耗率%を合計し求めた平均値を示し、また、「AVE」は1stと2ndの平均値を示す。
【
図3】化学的気相蒸着法(CVD法)を用いたSiC多結晶基板の製造法を示す工程説明図。
【
図4】ラップ工程と平面研削工程を有する板状成形体の製造法を示す工程説明図。
【
図5】
図5(A)(B)はラップ工程に用いるラッピング装置の構成説明図。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施形態について説明する。
【0027】
本発明者は、平面研削に使用する研削装置(DISCO社製 DFG8340)の加工条件、すなわち、ビトリファイド砥石を装着した「スピンドルの回転数」、板状体を保持する「チャックテーブルの回転数」、および、砥石と板状体を加工送り方向へ相対的に移動させる「加工送り速度」の条件を変更しながら繰り返し実験を行い、上述したように砥石の摩耗率が低減する適正な条件を見出している。
【0028】
以下、本発明者の行った実験について説明し、ビトリファイド砥石の摩耗率を低減させる「スピンドル回転数」、「CT(チャックテーブル)回転数」、および、「加工送り速度」について説明する。
【0029】
尚、280番(ISO 8486表示)の炭化ホウ素(B4C)砥粒を適用してラップ加工した板状体(SiC多結晶基板)のラップ面を「♯280面」、7000番(ISO 8486表示)のダイヤモンド砥粒を含むビトリファイド砥石で平面研削した板状体(SiC多結晶基板)の研削面を「♯7000面」とそれぞれ略称する。
【0030】
1.ラップ面(♯280面)における平面研削の条件
(1)試験方法
(1-1)装置条件
精密平面研削機:DISCO社製 DFG8340
砥石:7000番(ISO 8486表示)のダイヤモンド砥粒を含むビトリファイド砥石
研削液:純水
【0031】
(1-2)装置固定条件:
「スピンドルの回転数」:1800rpm
「CT(チャックテーブル)回転数」:+151rpm
【0032】
(2)使用基板(♯280面):
280番(ISO 8486表示)の炭化ホウ素(B4C)砥粒を適用して低圧両面ラップ加工されたSiC多結晶基板[SiC基板(♯280面)]
(2-1)「加工送り速度」の条件
(2-1-1)「♯280REF」
「加工送り速度」:0.2μm/sの条件でSiC基板(♯280面)のB(Back)面を5μm平面研削(1st)し、続いて、SiC基板(♯280面)のF(Front)面を5μm平面研削(2nd)すると共に、4枚のSiC基板(♯280面)を平面研削して1st、および、2ndの「砥石摩耗率」(平均値)を測定した。
【0033】
図1の「♯280REF」(1st)(2nd)に結果を示すが、SiC基板(♯280面)の平面研削において、スピンドル回転数:1800rpm、CT回転数:+151rpm、加工送り速度:0.2μm/sに設定した場合、「砥石摩耗率」(平均値)が1stで890%程度、2ndで490%程度、1stと2ndの平均値で690%程度と非常に高いことが確認される。
【0034】
(2-1-2)「♯280最適」
「加工送り速度」:0.05μm/sの条件でSiC基板(♯280面)のB(Back)面を5μm平面研削(1st)し、続いて、SiC基板(♯280面)のF(Front)面を5μm平面研削(2nd)すると共に、4枚のSiC基板(♯280面)を平面研削して1st、および、2ndの「砥石摩耗率」(平均値)を測定した。
【0035】
図1の「♯280最適」(1st)(2nd)に結果を示すが、SiC基板(♯280面)の平面研削において、スピンドル回転数:1800rpm、CT回転数:+151rpm、加工送り速度:0.05μm/sに設定した場合、「砥石摩耗率」(平均値)が1stで290%程度、2ndで210%程度、1stと2ndの平均値で250%程度と改善されることが確認される。
【0036】
2.研削面(♯7000面)における平面研削の条件
(1)試験方法
(1-1)装置条件
精密平面研削機:DISCO社製 DFG8340
砥石:7000番(ISO 8486表示)のダイヤモンド砥粒を含むビトリファイド砥石
研削液:純水
【0037】
(2)使用基板(♯7000面):
7000番(ISO 8486表示)のダイヤモンド砥粒を含むビトリファイド砥石が用いられ、上記「♯280REF」の条件でSiC多結晶基板[SiC基板(♯280面)]のB(Back)面とF(Front)面が平面研削されたSiC多結晶基板[SiC基板(♯7000面)]、および、上記「♯280最適」の条件でSiC多結晶基板[SiC基板(♯280面)]のB(Back)面とF(Front)面が平面研削されたSiC多結晶基板[SiC基板(♯7000面)]
【0038】
(2-1)平面研削の条件
(2-1-1)「♯7000REF」
上記「♯280REF」の条件で平面研削されたSiC多結晶基板[SiC基板(♯7000面)]のB(Back)面を、スピンドル回転数:1800rpm、CT回転数:+151rpm、および、加工送り速度:0.2μm/sの条件で5μm平面研削(1st)し、続いて、上記SiC基板(♯7000面)のF(Front)面を15μm平面研削(2nd)すると共に、4枚のSiC基板(♯7000面)を平面研削して1st、および、2ndの「砥石摩耗率」(平均値)を測定した。
【0039】
図1の「♯7000REF」(1st)(2nd)に結果を示すが、SiC基板(♯7000面)の平面研削において、スピンドル回転数:1800rpm、CT回転数:+151rpm、加工送り速度:0.2μm/sに設定した場合、「砥石摩耗率」(平均値)が1stで190%程度、2ndで120%程度、1stと2ndの平均値で155%程度と高いことが確認される。
【0040】
(2-1-2)「♯7000最適」
上記「♯280最適」の条件で平面研削されたSiC多結晶基板[SiC基板(♯7000面)]のB(Back)面を、スピンドル回転数:3500rpm、CT回転数:-51rpm、および、加工送り速度:0.10μm/sの条件で5μm平面研削(1st)し、続いて、上記SiC基板(♯7000面)のF(Front)面を15μm平面研削(2nd)すると共に、4枚のSiC基板(♯7000面)を平面研削して1st、および、2ndの「砥石摩耗率」(平均値)を測定した。
【0041】
図1の「♯7000最適」(1st)(2nd)に結果を示すが、SiC基板(♯7000面)の平面研削において、スピンドル回転数:3500rpm、CT回転数:-51rpm、加工送り速度:0.10μm/sに設定した場合、「砥石摩耗率」(平均値)が1stで80%程度、2ndで20%程度、1stと2ndの平均値で50%程度と著しく改善されることが確認される。
【0042】
ところで、SiC基板(♯7000面)におけるB(Back)面の研削量が5μmであるのに対し、F(Front)面の研削量は15μmと大きく設定されている。この理由は、平面研削したSiC基板がSiC単結晶基板と貼り合わせるSiC多結晶基板として使用される場合、研削量の多いF(Front)面がより平坦化されてSiC単結晶基板との貼り合わせが良好になるからである。
【0043】
3.ラップ面(♯280面)と研削面(♯7000面)の総合評価
(1)
図2の「総合REF」(1st)は、上記「♯280REF」(1st)の砥石摩耗率(約890%)と「♯7000REF」(1st)の砥石摩耗率(約190%)を合計し求めた平均値(約540%)であり、「総合REF」(2nd)は、上記「♯280REF」(2nd)の砥石摩耗率(約490%)と「♯7000REF」(2nd)の砥石摩耗率(約120%)を合計して求めた平均値(約305%)であり、1stと2ndの平均値を合計した「総合REF」の平均値は約420%であった。
【0044】
すなわち、SiC基板(♯280面)のB(Back)面とF(Front)面を上記比較条件[スピンドル回転数:1800rpm、CT回転数:+151rpm、および、加工送り速度:0.2μm/s]で平面研削し、かつ、SiC基板(♯7000面)のB(Back)面とF(Front)面も上記比較条件[スピンドル回転数:1800rpm、CT回転数:+151rpm、加工送り速度:0.2μm/s]で平面研削した場合、総合の砥石摩耗率は約420%と高くなることが確認される。
【0045】
(2)一方、
図2の「総合最適」(1st)は、上記「♯280最適」(1st)の砥石摩耗率(約290%)と「♯7000最適」(1st)の砥石摩耗率(約80%)を合計し求めた平均値(約180%)であり、「総合最適」(2nd)は、上記「♯280最適」(2nd)の砥石摩耗率(約210%)と「♯7000最適」(2nd)の砥石摩耗率(約20%)を合計して求めた平均値(約120%)であり、1stと2ndの平均値を合計した「総合最適」の平均値は約150%であった。
【0046】
すなわち、SiC基板(♯280面)のB(Back)面とF(Front)面を上記最適条件[スピンドル回転数:1800rpm、CT回転数:+151rpm、および、加工送り速度:0.05μm/s]で平面研削し、SiC基板(♯7000面)のB(Back)面とF(Front)面を上記最適条件[スピンドル回転数:3500rpm、CT回転数:-51rpm、加工送り速度:0.10μm/s]で平面研削した場合、総合の砥石摩耗率は約150%と著しく改善されることが確認される。
【0047】
(3)1stと2ndで砥石摩耗率が大きく相違する理由
例えば、
図1に示される「♯280REF」(1st)の砥石摩耗率(約890%)と「♯280REF」(2nd)の砥石摩耗率(約490%)との比較から確認されるように、1stと2ndで砥石摩耗率が大きく相違している。
【0048】
この理由について本発明者は以下のように推察している。
【0049】
平面研削前におけるSiC基板(♯280面)のB(Back)面とF(Front)面は共に急峻な凹凸面になっており、SiC基板のF(Front)面をCT(チャックテーブル)に吸着させてSiC基板(♯280面)のB(Back)面を研削する(1st)場合、急峻な凹凸面(♯280面)に起因してCT(チャックテーブル)へのSiC基板(♯280面)の吸着力が弱いため、SiC基板(♯280面)の保持が不安定になって1stの砥石摩耗率は高くなると思われる。
【0050】
他方、SiC基板(♯280面)のF(Front)面を研削する(2nd)場合、SiC基板のB(Back)面は平面研削されて平坦な面(♯7000面)になっているため、CT(チャックテーブル)へのSiC基板(♯7000面)の吸着力は強くなり、その分、SiC基板(♯7000面)の保持が安定して2ndの砥石摩耗率は低くなると推察している。
【0051】
4.砥石摩耗率を低減できる平面研削の適正条件
上述した実験結果から、下記適正条件が見出される。
【0052】
すなわち、
(1)280番(ISO 8486表示)の炭化ホウ素(B4C)砥粒が適用されたラップ工程後の板状体ラップ面(♯280面)を、7000番(ISO 8486表示)のダイヤモンド砥粒を含むビトリファイド砥石が用いられた研削装置により平面研削するときの適正条件は、
a)砥石を装着したスピンドルの回転数が1800rpm、
b)板状体を保持するチャックテーブルの回転数が+151~-251rpm、
c)砥石と板状体を加工送り方向へ相対的に移動させる加工送り速度が0.05μm/s、
であり、
(2)7000番(ISO 8486表示)のダイヤモンド砥粒を含むビトリファイド砥石で平坦化された板状体の研削面(♯7000面)を、7000番(ISO 8486表示)のダイヤモンド砥粒を含むビトリファイド砥石が用いられた研削装置により平面研削するときの適正条件は、
a)砥石を装着したスピンドルの回転数が3500rpm、
b)板状体を保持するチャックテーブルの回転数が+51~-251rpm、
c)砥石と板状体を加工送り方向へ相対的に移動させる加工送り速度が0.1μm/s、
であることが見出される。
【0053】
尚、難切削性の板状体としては、炭化ケイ素(SiC)に加え、炭化ホウ素、炭化チタン、アルミナまたは窒化ホウ素等が例示される。
【実施例0054】
以下、本発明の実施例について比較例も挙げて具体的に説明する。但し、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0055】
[実施例1]
図5(A)(B)に示すラッピング装置の上定盤と下定盤の間にSiC多結晶基板(ウェハ)を配置し、かつ、上定盤と下定盤間に280番(ISO 8486表示)の炭化ホウ素(B
4C)砥粒を有する研磨液を供給しながら低圧両面ラップ加工を行った。
【0056】
次いで、ウェハ(♯280面)のB(Back)面を7000番(ISO 8486表示)のダイヤモンド砥粒を含むビトリファイド砥石が用いられた研削装置(DISCO社製 DFG8340)により5μm平面研削(1st)した後、ウェハ(♯280面)のF(Front)面も7000番(ISO 8486表示)のダイヤモンド砥粒を含むビトリファイド砥石が用いられた研削装置(DISCO社製 DFG8340)により5μm平面研削(2nd)した。
【0057】
尚、上記ウェハ(♯280面)の研削条件について、
a)砥石を装着したスピンドルの回転数が1800rpm、
b)ウェハを保持するチャックテーブルの回転数が+151rpm、
c)砥石とウェハを加工送り方向へ相対的に移動させる加工送り速度が0.05μm/s、
に設定した。
【0058】
そして、ウェハ(♯280面)を研削した際の砥石摩耗率を調べたところ、1st工程においては290%程度[
図1の「♯280最適」(1st)参照]、2nd工程においては210%程度[
図1の「♯280最適」(2nd)参照]であつた。
【0059】
次に、平面研削されたウェハ(♯7000面)のB(Back)面を7000番(ISO 8486表示)のダイヤモンド砥粒を含むビトリファイド砥石が用いられた上記研削装置(DISCO社製 DFG8340)により5μm平面研削(1st)し、更に、ウェハ(♯7000面)のF(Front)面も7000番(ISO 8486表示)のダイヤモンド砥粒を含むビトリファイド砥石が用いられた研削装置(DISCO社製 DFG8340)により15μm平面研削(2nd)して実施例1に係る板状成形体を製造した。
【0060】
尚、上記ウェハ(♯7000面)の研削条件について、
a)砥石を装着したスピンドルの回転数が3500rpm、
b)ウェハを保持するチャックテーブルの回転数が-51rpm、
c)砥石とウェハを加工送り方向へ相対的に移動させる加工送り速度が0.10μm/s、
に設定した。
【0061】
同様に、ウェハ(♯7000面)を研削した際の砥石摩耗率を調べたところ、1st工程においては80%程度[
図1の「♯7000最適」(1st)参照]、2nd工程においては20%程度[
図1の「♯7000最適」(2nd)参照]であつた。
【0062】
[比較例1]
上記ウェハ(♯280面)の研削条件を、
a)砥石を装着したスピンドルの回転数が1800rpm、
b)ウェハを保持するチャックテーブルの回転数が+151rpm、
c)砥石とウェハを加工送り方向へ相対的に移動させる加工送り速度が0.20μm/s、
に設定し、かつ、
上記ウェハ(♯7000面)の研削条件を、
a)砥石を装着したスピンドルの回転数が1800rpm、
b)ウェハを保持するチャックテーブルの回転数が+151rpm、
c)砥石とウェハを加工送り方向へ相対的に移動させる加工送り速度が0.20μm/s、
に設定した以外は実施例1と同様にして比較例1に係る板状成形体を得た。
【0063】
そして、ウェハ(♯280面)を研削した際の砥石摩耗率を調べたところ、1st工程においては890%程度[
図1の「♯280REF」(1st)参照]、2nd工程においては490%程度[
図1の「♯280REF」(2nd)参照]であつた。
【0064】
同様に、ウェハ(♯7000面)を研削した際の砥石摩耗率を調べたところ、1st工程においては190%程度[
図1の「♯7000REF」(1st)参照]、2nd工程においては120%程度[
図1の「♯7000REF」(2nd)参照]であつた。
【0065】
[総合評価]
(1)実施例1
「♯280面」(1st)の砥石摩耗率(約290%)と「♯7000面」(1st)の砥石摩耗率(約80%)を合計して求めた砥石摩耗率の平均値(1st)は約180%、「♯280面」(2nd)の砥石摩耗率(約210%)と「♯7000面」(2nd)の砥石摩耗率(約20%)を合計して求めた砥石摩耗率の平均値(2nd)は約120%であり、全工程(1stと2nd)における砥石摩耗率の平均値は約150%であった。
【0066】
(2)比較例1
「♯280面」(1st)の砥石摩耗率(約890%)と「♯7000面」(1st)の砥石摩耗率(約190%)を合計して求めた砥石摩耗率の平均値(1st)は約540%、「♯280面」(2nd)の砥石摩耗率(約490%)と「♯7000面」(2nd)の砥石摩耗率(約120%)を合計して求めた砥石摩耗率の平均値(2nd)は約305%であり、全工程(1stと2nd)における砥石摩耗率の平均値は約420%であった。
【0067】
(3)全工程(1stと2nd)における砥石摩耗率の平均値が実施例1は約150%、比較例1は約420%であることから、実施例1の研削条件を採用することにより砥石の摩耗を著しく低減できることが確認される。