(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022075291
(43)【公開日】2022-05-18
(54)【発明の名称】パーティション
(51)【国際特許分類】
A47G 5/00 20060101AFI20220511BHJP
A47B 13/00 20060101ALI20220511BHJP
A47B 17/00 20060101ALI20220511BHJP
A47B 96/04 20060101ALI20220511BHJP
【FI】
A47G5/00 Z
A47B13/00 Z
A47B17/00 Z
A47B96/04 Z
A47G5/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020185982
(22)【出願日】2020-11-06
(71)【出願人】
【識別番号】500480355
【氏名又は名称】株式会社フォーム化成
(71)【出願人】
【識別番号】000005290
【氏名又は名称】古河電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100096091
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 誠一
(72)【発明者】
【氏名】柏木 東
(72)【発明者】
【氏名】町田 直樹
(72)【発明者】
【氏名】徳永 亮
(72)【発明者】
【氏名】霧生 公史
(72)【発明者】
【氏名】石井 威浩
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 忠広
(72)【発明者】
【氏名】河井 功一
(72)【発明者】
【氏名】土生 晃嗣
【テーマコード(参考)】
3B053
【Fターム(参考)】
3B053NQ02
3B053NQ09
3B053SE10
(57)【要約】
【課題】 使用者の視界の妨げを最小限とし、閉塞感が少なく、汎用性の高いいパーティションを得る。
【解決手段】 パーティション1は、折り畳み式であり、正面部3、第1側面部5a、第2側面部5b、ヒンジ部材7a、7b等から構成される。正面部3、第1側面部5a、第2側面部5b及びヒンジ部材7a、7bは、いずれも樹脂発泡部材で構成される。正面部3、第1側面部5a又は第2側面部5bの少なくとも一部が切り欠かれて透明な窓部9が配置される。第1側面部5aは、正面部3の両側に配置される。第1側面部5aは正面部3に対してヒンジ部材7aを介して開閉可能に連結される。同様に、第2側面部5bは、それぞれの第1側面部5aの外側に配置され、第2側面部5bは第1側面部5aに対してヒンジ部材7bを介して開閉可能に連結される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
折り畳み式のパーティションであって、
正面部と、
前記正面部の両側に配置され、前記正面部に対してヒンジ部材を介して開閉可能に連結される第1側面部と、
それぞれの前記第1側面部の外側に配置され、前記第1側面部に対してヒンジ部材を介して開閉可能に連結される第2側面部と、
を具備し、
前記正面部、前記第1側面部又は前記第2側面部の少なくとも一部が切り欠かれて透明な窓部が配置され、
前記正面部、前記第1側面部、前記第2側面部及び前記ヒンジ部材は、樹脂発泡部材で構成されることを特徴とするパーティション。
【請求項2】
少なくとも一つの前記窓部は、パーティションの上端部まで形成され、上縁部の一部が前記窓部で構成されることを特徴とする請求項1記載のパーティション。
【請求項3】
前記第1側面部と前記第2側面部の幅の合計が、前記正面部の幅よりも狭いことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のパーティション。
【請求項4】
前記第1側面部の幅は、前記第2側面部の幅よりも広いことを特徴とする請求項3に記載のパーティション。
【請求項5】
前記窓部は複数個所に形成され、少なくとも一つの前記窓部は前記正面部に形成され、前記第1側面部及び前記第2側面部の少なくとも一部にも前記窓部が形成されることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載のパーティション。
【請求項6】
前記正面部と前記第1側面部とを連結する前記ヒンジ部材の開閉方向と、前記第1側面部と前記第2側面部とを連結する前記ヒンジ部材の開閉方向とが同じであることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載のパーティション。
【請求項7】
前記正面部と前記第1側面部とを連結する前記ヒンジ部材の開閉方向と、前記第1側面部と前記第2側面部とを連結する前記ヒンジ部材の開閉方向とが異なることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載のパーティション。
【請求項8】
前記樹脂発泡部材の曲げ弾性率は、縦方向と横方向とで異なり、パーティションを立てた際における前記正面部、前記第1側面部又は前記第2側面部の少なくともいずれかの上下方向と幅方向の曲げ弾性率の大小関係と、前記ヒンジ部材の上下方向と幅方向の曲げ弾性率の大小関係が異なることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれかに記載のパーティション。
【請求項9】
パーティションを立てた際における前記正面部、前記第1側面部又は前記第2側面部の少なくともいずれかの面の上下方向の曲げ弾性率が幅方向の曲げ弾性率より高く、かつ前記ヒンジ部材の幅方向の曲げ弾性率が上下方向の曲げ弾性率より高くなるように構成されることを特徴とする請求項8記載のパーティション。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、学校、職場、店舗等において使用可能なパーティションに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、一部の場所では、対面する人や隣り合う人同士を仕切るパーティションが使用されてきたが、近年、コロナ禍の中、飛沫拡散防止のため、各所でパーティションの使用が広がっている。このようなパーティションとしては、机等に固定されて使用されるものの他、簡易な構造で、設置場所を容易に変更することが可能なパーティションも提案されている。
【0003】
例えば、軽量で取り扱いやすいパーティションとしては、樹脂発泡体を用いたパーティションが提案されている(例えば、特許文献1~3)。
【0004】
さらに、折り畳みが可能なパーティションが提案されている(例えば、特許文献4~6)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11-200552号公報
【特許文献2】特開平10-29257号公報
【特許文献3】特開2005-344445号公報
【特許文献4】特開2019-196640号公報
【特許文献5】実用新案登録3228025号公報
【特許文献6】実用新案登録3227928号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
パーティションの素材として樹脂発泡体を用いることで、軽量で、ある程度の剛性を確保することができる。また、パーティションを折り畳み可能とすることで、運搬や保管が容易となる。
【0007】
しかし、従来のパーティションは、利用者にとってその利便性は十分なものではなかった。例えば、学校等において、生徒が前方の黒板等を見る必要がある場合には、パーティションが視界の妨げとなっていた。
【0008】
同様の問題は、例えば職場や店舗でパーティション越しに会話をする際にも、相手の顔を見ながら自然に会話することができず、視界の妨げとなっていた。また、従来のパーティションは、使用者の周囲を囲むため、使用者は閉塞感を感じる場合があった。
【0009】
また、使用するスペースや利用者の利用目的によって、パーティションによって区画される範囲が異なるが、従来のパーティションでは、区画範囲に応じて異なるサイズのパーティションを準備する必要があった。このため、より汎用性の高いパーティションが望まれる。
【0010】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、使用者の視界の妨げを最小限とし、閉塞感が少なく、汎用性の高いパーティションを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前述した目的を達成するため、本発明は、折り畳み式のパーティションであって、正面部と、前記正面部の両側に配置され、前記正面部に対してヒンジ部材を介して開閉可能に連結される第1側面部と、それぞれの前記第1側面部の外側に配置され、前記第1側面部に対してヒンジ部材を介して開閉可能に連結される第2側面部と、を具備し、前記正面部、前記第1側面部又は前記第2側面部の少なくとも一部が切り欠かれて透明な窓部が配置され、前記正面部、前記第1側面部、前記第2側面部及び前記ヒンジ部材は、樹脂発泡部材で構成されることを特徴とするパーティションである。
【0012】
少なくとも一つの前記窓部は、パーティションの上端部まで形成され、上縁部の一部が前記窓部で構成されることが望ましい。
【0013】
前記第1側面部と前記第2側面部の幅の合計が、前記正面部の幅よりも狭いことが望ましい。
【0014】
前記第1側面部の幅は、前記第2側面部の幅よりも広いことが望ましい。
【0015】
前記窓部は複数個所に形成され、少なくとも一つの前記窓部は前記正面部に形成され、前記第1側面部及び前記第2側面部の少なくとも一部にも前記窓部が形成されてもよい。
【0016】
前記正面部と前記第1側面部とを連結する前記ヒンジ部材の開閉方向と、前記第1側面部と前記第2側面部とを連結する前記ヒンジ部材の開閉方向とが同じであってもよい。
【0017】
前記正面部と前記第1側面部とを連結する前記ヒンジ部材の開閉方向と、前記第1側面部と前記第2側面部とを連結する前記ヒンジ部材の開閉方向とが異なってもよい。
【0018】
前記樹脂発泡部材の曲げ弾性率は、縦方向と横方向とで異なり、パーティションを立てた際における前記正面部、前記第1側面部又は前記第2側面部の少なくともいずれかの上下方向と幅方向の曲げ弾性率の大小関係と、前記ヒンジ部材の上下方向と幅方向の曲げ弾性率の大小関係が異なっても良い。
【0019】
パーティションを立てた際における前記正面部、前記第1側面部又は前記第2側面部の少なくともいずれかの面の上下方向の曲げ弾性率が幅方向の曲げ弾性率より高く、かつ前記ヒンジ部材の幅方向の曲げ弾性率が上下方向の曲げ弾性率より高くなるように構成されてもよい。
【0020】
本発明によれば、樹脂発泡部材から構成される部材を用いているため、軽量であり、ある程度の剛性を有するパーティションを得ることができる。特に、各面とヒンジ部材とが全て樹脂発泡部材からなるため、リサイクル性にも優れる。更に、すべての部材が同一種類の樹脂発泡体であれば更にリサイクル性が優れる。また、折り畳み式であるため、保管や運搬も容易である。さらに、全5面からなり、それぞれがヒンジ部材によって開閉可能であるため、利用する幅に応じて、広さを変更して使用することができる。
【0021】
また、少なくとも一つの窓部が、パーティションの上端部まで形成されることで、パーティションの上縁部に窓部のフレームをなくすことができる。このため、視界が広がり、閉塞感も削減することができる。
【0022】
また、第1側面部と第2側面部の幅の合計を正面部の幅よりも狭くすることで、正面部の幅内で折り畳むことができる。さらに、第1側面部の幅を第2側面部の幅よりも広くすることで、第2側面部を第1側面部に重ねるように折り畳むことができる。
【0023】
また、少なくとも一つの窓部を正面部に形成し、第1側面部及び第2側面部の少なくとも一部にも窓部を形成することで、より開放感を高め、視界を広げることができる。
【0024】
また、正面部と第1側面部とを連結するヒンジ部材の開閉方向と、第1側面部と第2側面部とを連結するヒンジ部材の開閉方向とを同じ方向とすることで、第1側面部と第2側面部を折り畳んだ状態で狭い幅で使用した状態から、第2側面部を開くことで、容易に幅広に変更して使用することができる。
【0025】
また、正面部と第1側面部とを連結するヒンジ部材の開閉方向と、第1側面部と第2側面部とを連結するヒンジ部材の開閉方向とを異なる方向とすることで、第1側面部と第2側面部を折り畳んだ状態で、机上で使用した状態から、第2側面部を外側から開くことで、側面部の幅を広げて、容易に隣り合う人との間にパーティションを形成して使用することができる。
【0026】
また、パーティションを立てた際における、前記正面部、前記第1側面部又は前記第2側面部の少なくともいずれかの面での上下方向と幅方向の曲げ弾性率の大小関係と、前記ヒンジ部材の上下方向と幅方向の曲げ弾性率の大小関係とを異なるようにすることで、部位ごとに剛性が必要な方向に向けて曲げ弾性率の大小を設定することができる。このため、パーティションの自立性を高め、安定して設置することができる。
【0027】
例えば正面部、第1側面部又は第2側面部の少なくともいずれかの面で上下方向の曲げ弾性率を幅方向の曲げ弾性率より高くする事で自立させた際に撓みを抑制することができる。一方、ヒンジ部材は、幅方向に折り曲げが繰り返されるため、幅方向の強度を上げることで耐久性を向上させることができる。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、使用者の視界の妨げを最小限とし、閉塞感が少なく、汎用性の高いパーティションを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図2】(a)、(b)は、パーティション1の使用状態を示す平面図。
【
図3】(a)、(b)は、パーティション1の折り畳み状態を示す図。
【
図4】(a)は、パーティション1aを示す図、(b)は、パーティション1bを示す図。
【
図6】(a)は、パーティション1cの使用状態を示す平面図、(b)は、パーティション1cの使用状態を示す側面図。
【
図7】(a)は、パーティション1cの他の使用状態を示す平面図、(b)は、パーティション1cの他の使用状態を示す側面図。
【
図8】(a)は、パーティション1の正面図、(b)は、パーティション1bの正面図。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の実施の形態を詳細に説明する。
図1は、本発明にかかるパーティション1を示す図である。パーティション1は、折り畳み式であり、正面部3、第1側面部5a、第2側面部5b、ヒンジ部材7a、7b等から構成される。
【0031】
正面部3、第1側面部5a、第2側面部5b及びヒンジ部材7a、7bは、いずれも樹脂発泡部材で構成される。例えば、正面部3、第1側面部5a、第2側面部5b及びヒンジ部材7a、7bを、全て同一の樹脂発泡板から切り出して使用することで、全てを同一の素材で構成できる。このようにすることで、使用する部材数を削減することができ、軽量であり、安全性及びリサイクル性に優れたパーティションを得ることができる。樹脂発泡部材としては、パーティションとしての自立性があれば特に限定はしないが、例えば、発泡倍率が2~4倍のポリプロピレン製が好適である。ポリプロピレン製であれば、強度が高く、リサイクル性や耐熱性が良好である。
【0032】
なお、使用される樹脂発泡部材は、密度が500kg/m3以下であることが望ましく、より望ましくは350kg/m3以下、さらに好ましくは250kg/m3以下である。また、各部材の厚みは、剛性を得るために、3mm以上であることが望ましく、より望ましくは4mm以上、さらに好ましくは4.5mm以上である。このようにすることで、自立性と軽量化のバランスが良好である。
【0033】
なお、使用される樹脂発泡部材としては、内部に発泡層が形成され、表層には発泡がないスキン層が形成されるものが望ましい。スキン層が存在する事で発泡体の表面平滑性が向上し、パーティションとしての意匠性が向上する。
【0034】
正面部3、第1側面部5a又は第2側面部5bの少なくとも一部が切り欠かれて透明な窓部9が配置される。図示した例では、正面部3に窓部9が配置される。窓部9は、パーティション1の上端部まで形成されることが望ましい。すなわち、パーティション1の上縁部の一部は窓部9で構成される。なお、窓部9は、例えば透明な樹脂製であり、PET、アクリル、ポリオレフィン、ポリカーボネートなどが適用可能である。なお、窓部9に対して、反射防止処理を施してもよく、又は、調光機能を有する窓部9としてもよい。
【0035】
一対の第1側面部5aは、正面部3の両側に配置される。第1側面部5aは正面部3に対してヒンジ部材7aを介して開閉可能に連結される。なお、前述したように、ヒンジ部材7aは、正面部3等と同一の樹脂発泡部材で構成される。ヒンジ部材7aは、樹脂発泡部材の一方の面側から、他方の面のスキン層を残すように長手方向に沿って切れ込みを入れることで構成される。
【0036】
このようにすることで、切れ込み部を開く方向にヒンジ部材7aを容易に折り曲げることができる。すなわち、ヒンジ部材7aの切れ込み部側が開閉の外側になるよう、正面部3と第1側面部5aとを開閉することができる。なお、ヒンジ部材7aの幅は、第1側面部5aと正面部3とにまたがって接着可能な程度であればよく、第1側面部5aと正面部3の幅に対して、十分に狭い短冊状で形成される。
【0037】
同様に、一対の第2側面部5bは、それぞれの第1側面部5aの外側(第1側面部5aの正面部3との連結側とは逆側)に配置される。第2側面部5bは第1側面部5aに対してヒンジ部材7bを介して開閉可能に連結される。なお、ヒンジ部材7bもヒンジ部材7aと同様の構成である。すなわち、ヒンジ部材7bの切れ込み部側が開閉の外側になるよう、第1側面部5aと第2側面部5bとを開閉することができる。なお、ヒンジ部材7a、7bは、正面部3、第1側面部5a、第2側面部5bにまたがるように張り付けられる。この際、ヒンジ部材7a、7bは、各部の開閉の外側に張り付けてもよく、内側に張り付けてもよい。
【0038】
パーティション1を立てた際に、正面部3、第1側面部5a、第2側面部5bは、略同一高さである。パーティション1の高さとしては、例えば600mm以上であることが望ましく、さらに好ましくは、700mm以上である。このようにすることで、十分な飛沫拡散対策を行うことができる。
【0039】
図2(a)は、パーティション1の使用状態の一例を示す平面図である。なお、以下の図では、分かりやすくするため、各部の厚みを厚く記載し、ヒンジ部材の切れ込みを省略し、折り曲げられたヒンジ部材の図示を簡略化して示す。
図2(a)に示す例では、ヒンジ部材7aを曲げずに、ヒンジ部材7bのみを折り曲げた状態である。すなわち、正面部3と第1側面部5aとが略直線状に配置され、第2側面部5bを第1側面部5aに対して略垂直に折り曲げて使用される。
【0040】
パーティション1は、通常、机上に設置される。ここで、第1側面部5aの幅Bと第2側面部5bの幅Cの合計は、正面部3の幅Aよりも狭いことが望ましい。さらに、第1側面部5aの幅Bは、第2側面部5bの幅Cよりも広いことが望ましい。例えば、正面部3の幅Aを650mm程度、第1側面部5aの幅Bを320mm程度、第2側面部5bの幅Cを290mm程度とすると、
図2(a)の状態では、約1290mm幅のパーティションとして使用することができる。
【0041】
図2(b)は、パーティション1の他の使用状態を示す平面図である。
図2(b)に示す例では、第1側面部5aと第2側面部5bとが重なるように折り畳み、第1側面部5aを正面部3に対して折り曲げて使用される。なお、この際には、第1側面部5aと第2側面部5bとが開かないように、第1側面部5a又は第2側面部5bにクリップや留め具等の保持部材を配置してもよい。この場合には、約650mm幅のパーティションとして使用することができる。このように、使用場所や使用目的に応じて、パーティション幅を変更して使用することができる。
【0042】
次に、パーティション1の運搬及び保管の際の折り畳み方について説明する。
図3(a)は、パーティション1が折り畳まれた状態の一例を示す平面図である。
図3(a)に示した例では、第1側面部5aに対して第2側面部5bを折り畳み、さらに正面部3に対して、重ねられた第1側面部5a及び第2側面部5bを折り畳んだ状態である。このようにすることで、正面部3と略同じサイズに折り畳むことができる。
【0043】
図3(b)は、パーティション1が折り畳まれた状態の他の例を示す平面図である。
図3(b)に示した例では、第1側面部5aと第2側面部5bとを折り畳まない状態で、正面部3に対して、第1側面部5aを折り畳んだ状態である。このようにしても、正面部3と略同じサイズに折り畳むことができる。
【0044】
なお、
図3(a)に示す例では、正面部3の幅方向に略対称に折り畳むことができるため、積み重ねる際に安定しやすい。一方、正面部3の幅方向の中央部は、正面部3のみで剛性を受け持つため、運搬時には撓みやすい。これに対し、
図3(b)に示す例では、正面部3の全幅にわたって、略3重構造となるため、撓みにくく、運搬が容易である。一方、正面部3の幅方向に対して対称ではなくなるため、積み重ねる際に不安定になりやすい。
【0045】
以上、本実施形態によれば、正面部3、第1側面部5a、第2側面部5b及びヒンジ部材7a、7bが全て樹脂発泡部材で形成されるため、軽量であり、リサイクル性にも優れる。また、簡単に折り畳むことができるため、必要な時にのみ容易に設置することができる。
【0046】
また、正面部3の両側に、第1側面部5aと第2側面部5bとを設けることで、スペース等に応じて幅を変えて使用することができる。なお、少なくとも正面部3の両側に、第1側面部5aと第2側面部5bとが設けられれば、第2側面部5bのさらに外側に、他の側面部を設けてもよい。
【0047】
また、正面部3に窓部9を設けることで、パーティションの前方を視認することができる。この際、正面部3の上端まで窓部9を形成し、窓部9の上部にフレームが配置されないため、視界を遮るものを最小限にして、前方の視界を広げることができる。
【0048】
次に、第2の実施形態について説明する。
図4(a)は、第2の実施形態にかかるパーティション1aを示す図である。なお、以下の説明において、第1の実施形態と同様の構成については、
図1~
図3と同一の符号を付し、重複する説明を省略する。パーティション1aは、パーティション1と略同様の構成であるが、窓部9の配置が異なる。
【0049】
パーティション1aでは、正面部3のみではなく、第1側面部5a及び第2側面部5bにも窓部9が配置される。すなわち、窓部9は複数個所に形成される。このように、窓部9は、一つであってもよく複数であってもよい。なお、少なくとも一つの窓部9は正面部3に形成されることが望ましく、第1側面部5a及び第2側面部5bの少なくとも一部にも窓部9が形成されることが望ましい。
【0050】
すなわち、窓部9は、正面部3、第1側面部5a又は第2側面部5bの少なくとも一つに配置されればよいが、各部の全てに窓部9が配置されてもよい。なお、窓部9が複数配置される場合には、少なくとも一つの窓部9が、パーティション1aの上端部まで形成されることが望ましく、全ての窓部9がパーティション1aの上端部まで形成されることがより望ましい。
【0051】
また、窓部9を複数配置する場合において、正面部3、第1側面部5a又は第2側面部5bのそれぞれにおいて窓部9を複数配置してもよい。例えば、
図4(b)に示すパーティション1bのように、正面部3と第1側面部5aには、それぞれ複数の窓部9を上下方向に併設してもよい。
【0052】
第2の実施形態によれば、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。また、窓部9を増やすことで、より周囲の視認性を高め、開放感を高めることができる。
【0053】
次に、第3の実施形態について説明する。
図5は、第3の実施形態にかかるパーティション1cを示す図である。パーティション1cは、パーティション1等と略同様の構成であるが、ヒンジ部材7bの配置が異なる。前述したパーティション1等は、正面部3と第1側面部5aとを連結するヒンジ部材7aの開閉方向と、第1側面部5aと第2側面部5bとを連結するヒンジ部材7bの開閉方向とが同じである。これに対し、パーティション1cは、正面部3と第1側面部5aとを連結するヒンジ部材7aの開閉方向と、第1側面部5aと第2側面部5bとを連結するヒンジ部材7bの開閉方向とが異なる。
【0054】
図5において、紙面手前側を使用者側とすると、第1側面部5aは、正面部3に対して使用者の手前側に折り曲げることが可能であり、第2側面部5bは、第1側面部5aの使用者の前方奥側に折り曲げることが可能である。
【0055】
図6(a)は、パーティション1cの使用状態の一例を示す平面図であり、
図6(b)は、パーティション1cの使用状態の一例を示す側面図である。パーティション1cは、正面部3に対して第1側面部5aを折り曲げ、第2側面部5bを第1側面部5aに重ねるように折り畳んで使用される。すなわち、第2側面部5bは、第1側面部5aの外側に配置される。なお、この際には、第1側面部5aと第2側面部5bとが開かないように、第1側面部5a又は第2側面部5bにクリップや留め具等の保持部材を配置してもよい。
【0056】
この際、第1側面部5aと第2側面部5bとの連結部(すなわち、パーティション1cの端部)の位置が、机の端に合うように配置される。このため、使用者の利用スペースがパーティション1cによって囲まれる。また、各部に窓部9を形成することで、周囲の視認性が高い。このように、利用者の前方の一定の範囲を囲むことで、仕事や食事の際に、近傍の他の者への飛沫拡散を抑制することができる。
【0057】
図7(a)は、パーティション1cの他の使用状態を示す平面図であり、
図7(b)は、パーティション1cの他の使用状態を示す側面図である。前述した使用例は、利用者が個別に仕事や勉強や食事などを行うことを想定したものであるが、例えば隣り合う人との会話が行われる場合には、第2側面部5bを開いて使用することができる。例えば、隣に人がいない状態や会話のない状態では、第2側面部5bを折り畳んで使用し、隣り合う人との会話がある場合には、第2側面部5bを開いて使用することができる。
【0058】
このようにすることで、机上からはみ出した部位においても、隣人との間のパーティションとして利用することができる。この際、第2側面部5bは、第1側面部5aの外側に折り畳まれた状態から開かれるため、利用者の前方のスペースと干渉することなく、第2側面部5bを開くことができる。このため、作業中のスペースを片付けることなく、第2側面部5bの開閉が可能である。
【0059】
なお、第1側面部5aと第2側面部5bとは、折り畳まれた状態と開いた状態(略一直線上に第1側面部5aと第2側面部5bとが配置された状態)を保持することが可能な、クリップや留め具等の保持部材を設けることが望ましい。
【0060】
第3の実施形態によれば、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。また、第1側面部5aと第2側面部5bの開く方向を逆側にすることで、第1側面部5aをパーティションの側面として使用した状態で、第2側面部5bを区画範囲の外側に開くことができる。このため、第2側面部5bの開閉動作が、区画範囲内の作業等の妨げとなることがない。
【0061】
次に、各パーティションの各部の素材の方向性について説明する。パーティション1の素材となる樹脂発泡体は、縦方向と横方向とで曲げ弾性率が異なる。
【0062】
図8(a)は、パーティション1を広げた状態を示す図である。ここで、図中Dを、パーティション1を立てた際における上下方向とし、上下方向に垂直な図中Eを幅方向とする。このような場合、例えば、正面部3、第1側面部5a又は第2側面部5bの全て又は少なくともいずれかの上下方向(D方向)の曲げ弾性率が幅方向(E方向)の曲げ弾性率より高くなるような配置にする。このように、上下方向を曲げ弾性率の大きい方向とすることで、自立性を高めることができる。
【0063】
例えば、正面部3の上下方向(D方向)の曲げ弾性率を幅方向(E方向)より高くすることで、パーティション1を立てた際に、正面部3の撓みを抑制することができる。また、最も端部の第2側面部5bの上下方向(D方向)の曲げ弾性率を幅方向(E方向)より高くすることで、パーティション1を立てた際に端部の撓みを抑制することができる。
【0064】
また、この場合には、ヒンジ部材7a、7bは幅方向(E方向)の曲げ弾性率を上下方向(D方向)の曲げ弾性率より高くすることが望ましい。前述したように、ヒンジ部材7a、7bは、長手方向(すなわち上下方向:D方向に対応)に沿って切れ込みを入れて使用される。すなわち、幅方向(E方向)に対して折り曲げが繰り返される。このため、ヒンジ部材7a、7bについては、より曲げ弾性率の高い方を幅方向とすることで、耐久性を高めることができる。
【0065】
なお、正面部3、第1側面部5a又は第2側面部5bの全て又は少なくともいずれかの上下方向(D方向)の曲げ弾性率を幅方向(E方向)より高くし、ヒンジ部材7a、7bの幅方向(E方向)の曲げ弾性率を上下方向(D方向)より高くすることには限定されない。例えば、
図8(b)に示すパーティション1bのように、窓部9を増やしていくと、樹脂発泡部材の領域が減る。このような場合には、幅方向の撓み対策が必要な場合もある。
【0066】
このような場合には、あえて正面部3と第1側面部5aの幅方向(E方向)の曲げ弾性率を上下方向(D方向)より高くし、第2側面部5bとヒンジ部材7a、7bの上下方向(D方向)の曲げ弾性率を幅方向(E方向)より高くしてもよい。このようにすることで、両端の第2側面部5bとヒンジ部材7a、7bについては、上下方向の強度を高め、自立性を高めるとともに、正面部3と第1側面部5aは、幅方向の強度を高めて幅方向の撓みを抑制することができる。
【0067】
このように、パーティション1を立てた際において、正面部3、第1側面部5a又は第2側面部5bの少なくともいずれかの上下方向と幅方向の曲げ弾性率の大小関係と、ヒンジ部材7a、7bの上下方向と幅方向の曲げ弾性率の大小関係とが異なるようにすることで、すなわち、正面部3、第1側面部5a又は第2側面部5bの少なくともいずれかの曲げ弾性率の高い方向と、ヒンジ部材7a、7bの曲げ弾性率の高い方向とを異なるようにすることで、各部に必要な強度特性を適切に調整し、自立性を高め、撓みを抑制することができる。
【0068】
なお、本発明のパーティションに使用される樹脂発泡部材としては、曲げ弾性率の高い方向の曲げ弾性率が150MPa以上であることが望ましく、170MPa以上であることがより望ましく、さらに望ましくは190MPa以上である。また、曲げ弾性率の高い方向の曲げ弾性率/曲げ弾性率の低い方向の曲げ弾性率は、1.5以上であることが望ましく、2.0以上がより望ましく、2.5以上であることがさらに望ましく、2.9以上とすることが最も望ましい。なお、このような縦、横方向の曲げ弾性率等の調整は、樹脂発泡部材の製造時における張力や引張速度の変更、樹脂への添加剤等により調整が可能である。
【0069】
以上、添付図を参照しながら、本発明の実施の形態を説明したが、本発明の技術的範囲は、前述した実施の形態に左右されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【符号の説明】
【0070】
1、1a、1b、1c……パーティション
3………正面部
5a………第1側面部
5b………第2側面部
7a、7b………ヒンジ部材
9………窓部