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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022076581
(43)【公開日】2022-05-20
(54)【発明の名称】ベッド及びベッドの移動補助装置
(51)【国際特許分類】
   A61G 7/08 20060101AFI20220513BHJP
   A47C 17/04 20060101ALI20220513BHJP
【FI】
A61G7/08
A47C17/04 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020187012
(22)【出願日】2020-11-10
(71)【出願人】
【識別番号】514145349
【氏名又は名称】有限会社ICS SAKABE
(71)【出願人】
【識別番号】504174135
【氏名又は名称】国立大学法人九州工業大学
(74)【代理人】
【識別番号】100163267
【弁理士】
【氏名又は名称】今中 崇之
(72)【発明者】
【氏名】脇迫 仁
(72)【発明者】
【氏名】坂部 好則
(72)【発明者】
【氏名】松尾 健
(72)【発明者】
【氏名】大畑 実生
【テーマコード(参考)】
4C040
【Fターム(参考)】
4C040AA28
4C040BB03
4C040GG17
(57)【要約】
【課題】ベッドの移動を補助できる移動補助装置及び移動補助装置を備えたベッドを提供する。
【解決手段】ベッドの移動補助装置10は、ベッドの底面の側に配置され、底面との間に空間を形成するベース部102と、空間に搭載されたバッテリ118と、ベース部102の下側に配置された複数の駆動車輪112と、ベース部102に固定され、複数の駆動車輪112をそれぞれ駆動する複数のモータ110と、複数のモータ110を制御する駆動制御部114と、を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベッドの底面の側に配置され、該底面との間に空間を形成するベース部と、
前記空間に搭載されたバッテリと、
前記ベース部の下側に配置された複数の駆動車輪と、
前記ベース部に固定され、前記複数の駆動車輪をそれぞれ駆動する複数のモータと、
前記複数のモータを制御する駆動制御部と、を備えたベッドの移動補助装置。
【請求項2】
ベッドの底面の側に配置され、該底面との間にバッテリが搭載可能な空間を形成するベース部と、
前記ベース部の下側に取り付けられた複数の駆動車輪と、
前記ベース部に固定され、前記複数の駆動車輪をそれぞれ駆動する複数のモータと、
前記複数のモータを制御する駆動制御部と、を備えたベッドの移動補助装置。
【請求項3】
請求項1又は2記載のベッドの移動補助装置において、
前記ベース部が、前記ベッドの側面に設けられた、間隔を空けて前後方向にそれぞれ延びる第1及び第2のフレームを支持するベッドの移動補助装置。
【請求項4】
請求項3記載のベッドの移動補助装置において、
前記ベース部から前記第1及び第2のフレームを互いに連結する第3のフレームまで延びる支持部材を更に備えたベッドの移動補助装置。
【請求項5】
請求項4記載のベッドの移動補助装置において、
前記支持部材が、間隔を空けて設けられた複数のスタッドボルトであるベッドの移動補助装置。
【請求項6】
請求項3又は4記載のベッドの移動補助装置において、
前記駆動車輪が、オムニホイール、メカナムホイール又はメビウスホイールであるベッドの移動補助装置。
【請求項7】
請求項1又は2記載のベッドの移動補助装置において、
前記駆動制御部に接続され、前記ベッドの移動方向を指示するための操作部を備え、
前記操作部が、前記ベッドの正面側の端部にて床板又は当該床板に相当する面よりも高い位置まで延びて設けられた正面側部材又は前記ベッドの背面側の端部にて前記床板又は当該床板に相当する面よりも高い位置まで延びて設けられた背面側部材に取り付けられるベッドの移動補助装置。
【請求項8】
請求項7記載のベッドの移動補助装置において、
前記操作部が、前進するための指令を出力する第1の操作器、左平行移動するための指令を出力する第2の操作器、右平行移動するための指令を出力する第3の操作器及び後退するための指令を出力する第4の操作器であり、
前記第1~第4の操作器が、正面側から見て、それぞれ順に並んで配置されているベッドの移動補助装置。
【請求項9】
請求項8記載のベッドの移動補助装置において、
前記第2の操作器が操作されている状態で前記第3の操作器が操作されると、前記駆動制御部が、左回転するように前記駆動車輪を制御し、
前記第3の操作器が操作されている状態で前記第2の操作器が操作されると、前記駆動制御部が、右回転するように前記駆動車輪を制御するベッドの移動補助装置。
【請求項10】
請求項6記載のベッドの移動補助装置において、
それぞれ前記駆動制御部に接続され、前記ベッドの移動方向を指示するための第1の操作部及び第2の操作部を備え、
前記第1の操作部が、前記ベッドの正面側の端部にて床板又は当該床板に相当する面よりも上端部が高い位置まで延びて設けられた正面側部材に取り付けられ、
前記第2の操作部が、前記ベッドの背面側の端部にて前記床板又は当該床板に相当する面よりも上端部が高い位置まで延びて設けられた背面側部材に取り付けられるベッドの移動補助装置。
【請求項11】
移動を補助するための移動補助装置を備えたベッドであって、
前記移動補助装置が、前記ベッドの底面の側に配置され、該底面との間に空間を形成するベース部と、
前記空間に搭載されたバッテリと、
前記ベース部の下側に配置された複数の駆動車輪と、
前記ベース部に固定され、前記複数の駆動車輪をそれぞれ駆動する複数のモータと、
前記複数のモータを制御する駆動制御部と、を備えたベッド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベッド及びベッドの移動補助装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ベッドを移動する際に使用するベッド搬送車が記載されている。このベッド搬送車は遠隔操作によって与えられる命令に従って進行方向を制御され、ベッドの一端を持ち上げて、ベッドの他端のキャスタが床についた状態でベッドを移動させることを特徴としている。
【0003】
特許文献2には、自在キャスタを有する移動ベッドや搬送ストレッチャなどの台車の走行を助ける台車アシスト装置が記載されている。この台車アシスト装置は、床面に接地して台車に駆動力を与える駆動輪と、台車の後部に配置されて、台車を前進させる方向への操作により駆動輪を前進方向に回転作動させると共に、その操作加減に応じて駆動輪から台車に与える前進方向への駆動力を制御する後部側操作部と、台車の前部に配置されて、台車を後退させる方向への操作により駆動輪を後退方向に回転作動させると共に、その操作加減に応じて駆動輪から台車に与える後退方向への駆動力を制御する前部側操作部を備えていることを特徴としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10-146364号公報
【特許文献2】特開2009-119954号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、ベッドの移動を補助できる移動補助装置及び移動補助装置を備えたベッドを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、ベッドの底面の側に配置され、該底面との間に空間を形成するベース部と、前記空間に搭載されたバッテリと、前記ベース部の下側に配置された複数の駆動車輪と、前記ベース部に固定され、前記複数の駆動車輪をそれぞれ駆動する複数のモータと、前記複数のモータを制御する駆動制御部と、を備えたベッドの移動補助装置である。
【0007】
請求項2に記載の発明は、ベッドの底面の側に配置され、該底面との間にバッテリが搭載可能な空間を形成するベース部と、前記ベース部の下側に取り付けられた複数の駆動車輪と、前記ベース部に固定され、前記複数の駆動車輪をそれぞれ駆動する複数のモータと、前記複数のモータを制御する駆動制御部と、を備えたベッドの移動補助装置である。
【0008】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2記載のベッドの移動補助装置において、前記ベース部が、前記ベッドの側面に設けられた、間隔を空けて前後方向にそれぞれ延びる第1及び第2のフレームを支持する。
【0009】
請求項4に記載の発明は、請求項3記載のベッドの移動補助装置において、前記ベース部から前記第1及び第2のフレームを互いに連結する第3のフレームまで延びる支持部材を更に備える。
【0010】
請求項5に記載の発明は、請求項4記載のベッドの移動補助装置において、前記支持部材が、間隔を空けて設けられた複数のスタッドボルトである。
【0011】
請求項6に記載の発明は、請求項3又は4記載のベッドの移動補助装置において、前記駆動車輪が、オムニホイール、メカナムホイール又はメビウスホイールである。
【0012】
請求項7に記載の発明は、請求項1又は2記載のベッドの移動補助装置において、前記駆動制御部に接続され、前記ベッドの移動方向を指示するための操作部を備え、前記操作部が、前記ベッドの正面側の端部にて床板又は当該床板に相当する面よりも高い位置まで延びて設けられた正面側部材又は前記ベッドの背面側の端部にて前記床板又は当該床板に相当する面よりも高い位置まで延びて設けられた背面側部材に取り付けられる。
【0013】
請求項8に記載の発明は、請求項7記載のベッドの移動補助装置において、前記操作部が、前進するための指令を出力する第1の操作器、左平行移動するための指令を出力する第2の操作器、右平行移動するための指令を出力する第3の操作器及び後退するための指令を出力する第4の操作器であり、前記第1~第4の操作器が、正面側から見て、それぞれ順に並んで配置されている。
【0014】
請求項9に記載の発明は、請求項8記載のベッドの移動補助装置において、前記第2の操作器が操作されている状態で前記第3の操作器が操作されると、前記駆動制御部が、左回転するように前記駆動車輪を制御し、前記第3の操作器が操作されている状態で前記第2の操作器が操作されると、前記駆動制御部が、右回転するように前記駆動車輪を制御する。
【0015】
請求項10に記載の発明は、請求項6記載のベッドの移動補助装置において、それぞれ前記駆動制御部に接続され、前記ベッドの移動方向を指示するための第1の操作部及び第2の操作部を備え、前記第1の操作部が、前記ベッドの正面側の端部にて床板又は当該床板に相当する面よりも上端部が高い位置まで延びて設けられた正面側部材に取り付けられ、前記第2の操作部が、前記ベッドの背面側の端部にて前記床板又は当該床板に相当する面よりも上端部が高い位置まで延びて設けられた背面側部材に取り付けられる。
【0016】
請求項11に記載の発明は、移動を補助するための移動補助装置を備えたベッドであって、前記移動補助装置が、前記ベッドの底面の側に配置され、該底面との間に空間を形成するベース部と、前記空間に搭載されたバッテリと、前記ベース部の下側に配置された複数の駆動車輪と、前記ベース部に固定され、前記複数の駆動車輪をそれぞれ駆動する複数のモータと、前記複数のモータを制御する駆動制御部と、を備えたベッドである。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、ベッドの移動を補助できる移動補助装置及び移動補助装置を備えたベッドを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の一実施の形態に係るベッドの移動補助装置の上方側から見た斜視図である。
図2】同移動補助装置の下方側から見た斜視図である。
図3】同移動補助装置の左側面図である。
図4】同移動補助装置の正面図である。
図5】同移動補助装置の底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
続いて、添付した図面を参照しつつ、本発明を具体化した実施の形態につき説明し、本発明の理解に供する。なお、図において、説明に関連しない部分は図示を省略する場合がある。
【0020】
本発明の一実施の形態に係るベッドの移動補助装置(以下、単に「移動補助装置」という。)10は、図1図5に示すように、既存のベッド12に後付けされ、ベッド12の移動を補助することができる。
ここで、ベッド12は、例えば病室で使用されるベッドである。ベッド12は、それぞれ側部に設けられ間隔を空けて前後方向に延びる一対のサイドフレーム122と、この一対のサイドフレーム122を互いに連結する連結フレーム124と、各サイドフレーム122の両端部に設けられた合計4本の脚部126と、を有している。
移動補助装置10は、ベース板102、支持部材106a、106b、106c、モータ110、駆動車輪112、駆動制御部114、操作部及びバッテリ118を備えている。
【0021】
ベース板(ベース部の一例)102は、ベッド12の底面の側に配置される板を曲げて形成されたフレームである。ベース板102は、ベッド12の底面との間にバッテリ118が搭載可能な空間を形成する。
ベース板102は、図2に示すように、固定部102a、傾斜部102b及び支持部102cを有している。
固定部102aは、ベッド12の底面と実質的に平行となる面を有する部分である。
傾斜部102bは、図4に示すように、正面視して、固定部102aの端から斜め上方へと延びる部分である。
支持部102cは、図2に示すように、傾斜部102bの端から上方へと延びる部分である。支持部102cは第1の固定部材104a及び第2の固定部材104bを介して一対のサイドフレーム122に固定され、この一対のサイドフレーム122を支持できる。
【0022】
このようなベース板102の取り付け構造について詳述すると以下の通りである。
ベース板102の支持部102cの上側は、それぞれサイドフレーム122の外側側面に接触する。
第1の固定部材104aは、アングル状の部材であり、サイドフレーム122の下面に接触する。
第2の固定部材104bは、チャンネル状の部材であり、サイドフレーム122の上面側に配置され、外側が支持部102cの下側にねじ止めされ、内側が第1の固定部材104aにねじ止めされることにより、支持部102cの上側とサイドフレーム122とを間に挟んだ状態で固定される。
【0023】
従って、移動補助装置10は、ベース板102、第1の固定部材104a及び第2の固定部材104bの寸法を変更するだけで、各種のサイズのベッドに取り付けられる。
また、傾斜部102bが、正面視して固定部102aの端から斜め上方へと延びているため、ベッド12の両側部下側に空間S(図4参照)が確保され、例えばベッド12の脇で作業する看護師の動作を妨げることが抑制される。
【0024】
支持部材106a、106b、106cは、連結フレーム124を支持できる。すなわち支持部材106a、106b、106cは、ベース板102の支持部102cとともに、ベッド12を支持できる。
支持部材106a、106b、106cは、それぞれ上下方向に延びる棒状のスタッドボルトであり、連結フレーム124が延びる方向に間隔を空けて配置されている。各支持部材106a、106b、106cの一端部は、固定部102aに固定され、他端部は、固定部材108a、108b、108cを介して連結フレーム124に固定される。
【0025】
モータ110は、図5に示すように、それぞれ、ベース板102の固定部102aの下側の面にブラケットを介して取り付けられる。モータ110は、サーボモータである。
【0026】
駆動車輪112は、ベース板102の固定部102aの下側に配置された4つのメカナムホイールであり、それぞれモータ110によって駆動される。
駆動車輪112は、メカナムホイールに限定されるものではなく、オムニホイール又はメビウスホイールであってもよい。
【0027】
駆動制御部114は、モータ110を駆動するための電流を供給するモータドライバ(不図示)及びモータドライバを制御するためのコントローラ(不図示)を有し、各モータ110を制御できる。
駆動制御部114は、ユニット化され、ベース板102の固定部102aの下側の面に取り付けられている。
【0028】
操作部は、駆動制御部114と電気的に接続され、図1に示すように、ベッド12の移動方向を指示するため正面側操作器(第1の操作部の一例)116a、116b、116c、116d及び背面側操作器(第2の操作部の一例)117a、117b、117c、117dを有している。
なお、操作部は、正面側操作器116a、116b、116c、116d及び背面側操作器117a、117b、117c、117dのうち、いずれか一方のみを有していても良い。
【0029】
正面側操作器116a、116b、116c、116d(それぞれ第1~第4の操作器の一例)は、ベッド12の正面側(ベッド12の上で寝る使用者の足元側)の端部にてベッド12の床板又は床板に相当する面よりも高い位置まで延びて設けられた正面側部材128aの上端部に、正面側からみて左から順に間隔を空けて並んで取り付けられている。なお、この正面側部材128aは、フットボードであってもよい。
正面側操作器116a、116b、116c、116dが取り付けられる位置は、ベッド12の上で寝る使用者の足が届かない範囲であることが好ましい。
【0030】
正面側操作器116a、116b、116c、116dは、ベッド12の正面側から見て左側から順に、それぞれ前進、左平行移動、右平行移動及び後退するための操作器となっている。ただし、正面側操作器116a、116b、116c、116dの配置はこれに限定されるものではない。
【0031】
正面側操作器116a、116b、116c、116dには、それぞれ正面側に突出する第1の押しボタンスイッチ及び背面側(ベッド12の上で寝る使用者の頭部側)に突出する第2の押しボタンスイッチが設けられている。正面側操作器116a、116b、116c、116dの第1の押しボタンスイッチ又は第2の押しボタンスイッチが押されると、それぞれ、前進のための指令、左平行移動のための指令、右平行移動のための指令及び後退のための指令が出力され、出力された指令がコントローラに入力される。
【0032】
背面側操作器117a、117b、117c、117d(それぞれ第1~第4の操作器の一例)は、ベッド12の背面側の端部にてベッド12の床板又は床板に相当する面よりも高い位置まで延びて設けられた背面側部材128bの上端部に、正面側からみて左から順に間隔を空けて並んで取り付けられている。なお、この背面側部材128bは、ヘッドボードであってもよい。
背面側操作器117a、117b、117c、117dが取り付けられる位置は、ベッド12の上で寝る使用者の手が届かない範囲であることが好ましい。
【0033】
背面側操作器117a、117b、117c、117dは、ベッド12の正面側から見て左側から順に、それぞれ前進、左平行移動、右平行移動及び後退するための操作器となっている。ただし、背面側操作器117a、117b、117c、117dの配置はこれに限定されるものではない。
【0034】
背面側操作器117a、117b、117c、117dには、それぞれ正面側に突出する第1の押しボタンスイッチ及び背面側に突出する第2の押しボタンスイッチが設けられている。背面側操作器117a、117b、117c、117dの第1の押しボタンスイッチ又は第2の押しボタンスイッチが押されると、それぞれ、前進のための指令、左平行移動のための指令、右平行移動のための指令及び後退のための指令が出力され、出力された指令がコントローラに入力される。
【0035】
バッテリ118は、ベース板102の傾斜部102bの上面に搭載される。すなわち、バッテリ118は、ベース板102とベッド12の底面との間に形成された空間に搭載される。
従って、移動補助装置10の走行により発生する振動が固定部102aによって緩和されるため、バッテリ118が固定部102aに搭載される場合と比較して、振動に起因する不具合の発生が抑制される。
【0036】
このような移動補助装置10は、駆動車輪112の接地面からベッド12の底面までの寸法が、ベッド12の脚部126の先端からベッド12の底面までの寸法より大きくなるように設定されている。
従って、移動補助装置10が装着されたベッド12は、脚部126が床面から寸法h(図3参照)だけ浮き上がった状態となり、駆動車輪112によって支持される。
【0037】
次に、移動補助装置10の動作について説明する。
まず、事前準備として、既存のベッド12に移動補助装置10を取り付ける。
移動補助装置10は、既存のベッド12に取り付けるにあたって、ベッド12のフレームを加工する必要がないため、ベッド12の強度が低下することを抑制できる。
また、移動補助装置10は、既存のベッド12に取り付けても、高さを除く外形(長さ及び幅)がごく僅かに大きくなるだけであり、その変化は抑えられている。
【0038】
取り付け後、作業者が、正面側操作器116a、116b、116c、116d又は背面側操作器117a、117b、117c、117dを操作すると、その操作に応じた指令が駆動制御部114のコントローラに入力される。コントローラは、入力された指令に基づいてモータドライバを制御して、モータ110を駆動する。
その結果、移動補助装置10が装着されたベッド12は、後述する操作者の操作に応じて所望の方向に移動する。
操作器が正面側及び背面側に設けられていることに加え、各操作器が正面側に突出する第1の押しボタンスイッチ及び背面側に突出する第2の押しボタンスイッチを有しているので、作業者が操作できる立ち位置の範囲が広く確保され、例えば狭い室内であっても操作ができる。
【0039】
移動補助装置10を前進、左平行移動、右平行移動、後退、左回転及び右回転させるための正面側操作器116a、116b、116c、116d又は背面側操作器117a、117b、117c、117dの操作は、以下の通りである。
ただし、背面側操作器117a、117b、117c、117dは、それぞれ正面側操作器116a、116b、116c、116dに対応して同一方向に並んで配置されているため、正面側操作器116a、116b、116c、116dについてのみ説明する。
【0040】
(1)前進
正面側操作器116aの正面側に突出する第1の押しボタンスイッチ又は背面側に突出する第2の押しボタンスイッチを操作する。
なお、移動補助装置10の操作者が、ベッド12の正面側に立って操作する場合、正面側部材128aの水平方向に延びる部分に左手をかけて親指にて第1の押ボタンスイッチを押し込むことにより、親指にて操作する方向とベッド12の移動方向とが一致するため、直感的な操作が可能となる。
【0041】
(2)左平行移動
正面側操作器116bの正面側に突出する第1の押しボタンスイッチ又は背面側に突出する第2の押しボタンスイッチを操作する。
【0042】
(3)右平行移動
正面側操作器116cの正面側に突出する第1の押しボタンスイッチ又は背面側に突出する第2の押しボタンスイッチを操作する。
【0043】
(4)後退
正面側操作器116dの正面側に突出する第1の押しボタンスイッチ又は背面側に突出する第2の押しボタンスイッチを操作する。
なお、移動補助装置10の操作者が、ベッド12の正面側に立って操作する場合、正面側部材128aの水平方向に延びる部分に右手をかけて親指以外の指にて第2の押ボタンスイッチを押し込むことにより、指で操作する方向とベッド12の移動方向とが一致するため、直感的な操作が可能となる。
【0044】
(5)左回転
正面側操作器116b(左平行移動用操作器)の正面側に突出する第1の押しボタンスイッチ又は背面側に突出する第2の押しボタンスイッチを押した状態で、正面側操作器116c(右平行移動用操作器)の正面側に突出する第1の押しボタンスイッチ又は背面側に突出する第2の押しボタンスイッチを押す。
なお、移動補助装置10の操作者が、ベッド12の正面側に立って操作する場合、左手の親指以外の指にて正面側操作器116b(左平行移動用操作器)の第2の押ボタンスイッチを押し込み、続いて右手の親指にて正面側操作器116c(右平行移動用操作器)の第1の押ボタンスイッチを押し込むことにより、直感的な操作が可能となる。
【0045】
(6)右回転
正面側操作器116c(右平行移動用操作器)の正面側に突出する第1の押しボタンスイッチ又は背面側に突出する第2の押しボタンスイッチを押した状態で、正面側操作器116b(左平行移動用操作器)の正面側に突出する第1の押しボタンスイッチ又は背面側に突出する第2の押しボタンスイッチを押す。
なお、移動補助装置10の操作者が、ベッド12の正面側に立って操作する場合、右手の親指以外の指にて正面側操作器116c(右平行移動用操作器)の第2の押ボタンスイッチを押し込み、続いて左手の親指にて正面側操作器116b(左平行移動用操作器)の第1の押ボタンスイッチを押し込むことにより、直感的な操作が可能となる。
【0046】
以上説明したように、本実施の形態に係る移動補助装置10によれば、既存のベッド12に取り付けるだけで、その移動を補助できる。
【0047】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、本発明は、上記した形態に限定されるものでなく、要旨を逸脱しない条件の変更等は全て本発明の適用範囲である。
【符号の説明】
【0048】
10 移動補助装置
12 ベッド
102 ベース板
102a 固定部
102b 傾斜部
102c 支持部
104a 第1の固定部材
104b 第2の固定部材
106a、106b、106c 支持部材
108a、108b、108c 固定部材
110 モータ
112 駆動車輪
114 駆動制御部
116a、116b、116c、116d 正面側操作器
117a、117b、117c、117d 背面側操作器
118 バッテリ
122 サイドフレーム
124 連結フレーム
126 脚部
128a 正面側柵
128b 背面側柵
図1
図2
図3
図4
図5