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特開2022-76586ゴム組成物用フュームドシリカおよびゴム組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022076586
(43)【公開日】2022-05-20
(54)【発明の名称】ゴム組成物用フュームドシリカおよびゴム組成物
(51)【国際特許分類】
   C08L 7/00 20060101AFI20220513BHJP
   C08K 3/36 20060101ALI20220513BHJP
   C08K 5/548 20060101ALI20220513BHJP
   C08K 9/06 20060101ALI20220513BHJP
【FI】
C08L7/00
C08K3/36
C08K5/548
C08K9/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020187020
(22)【出願日】2020-11-10
(71)【出願人】
【識別番号】000003182
【氏名又は名称】株式会社トクヤマ
(74)【代理人】
【識別番号】110001494
【氏名又は名称】前田・鈴木国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】近藤 学
(72)【発明者】
【氏名】中村 正博
【テーマコード(参考)】
4J002
【Fターム(参考)】
4J002AC011
4J002DJ016
4J002FB156
4J002FD016
4J002FD140
4J002FD150
4J002GN01
(57)【要約】
【課題】 工業的に一般的に使用されるミキサー型混錬装置で簡便に製造できる、フュームドシリカを含むゴム組成物、およびそれに含まれるフュームドシリカを提供すること。
【解決手段】 タップ密度が200g/L以上であり、BET比表面積が200m/g以上であって、メルカプト-チオカルボキシレートオリゴマーで表面処理してなる、ゴム組成物用フュームドシリカ。
【選択図】 なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
タップ密度が200g/L以上であり、
BET比表面積が200m/g以上であって、
メルカプト-チオカルボキシレートオリゴマーで表面処理してなる、ゴム組成物用フュームドシリカ。
【請求項2】
タップ密度が200g/L以上であり、BET比表面積が200m/g以上である圧縮フュームドシリカ、
天然ゴム、および
メルカプト-チオカルボキシレートオリゴマーを配合してなる、ゴム組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゴム組成物用フュームドシリカおよびゴム組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
トラック・バス等に用いられる重荷重用タイヤでは、乗用車用タイヤと較べて負荷重量が大きく走行距離も長いため、高い耐摩耗性能が求められる。また、近年、トラック・バス等に用いられる重荷重用タイヤでは、日本、欧州のラベリング制度や北米のsmart way規制にみられるように環境への負荷低減が重要視されており、特に転がり抵抗性を小さくし燃費性能を向上することが求められている。
【0003】
タイヤのようなゴム組成物の転がり抵抗性の指標としては、一般に、動的粘弾特性として評価される60℃のtanδ(以下、tanδ(60℃)とする。)が用いられる。ゴム組成物では、tanδ(60℃)が小さいほど転がり抵抗性が小さいことを示す。また、tanδ(60℃)が小さいほど発熱性が小さいことを示す。そのため、tanδ(60℃)を小さくすることで、走行時のタイヤの過熱を抑制し、耐久性も向上できる。
【0004】
ゴム組成物のtanδ(60℃)を小さくする方法としては、例えば、ゴム組成物に配合するカーボンブラックの配合量を少なくしたり、カーボンブラックの粒径を大きくしたりすることが挙げられる。しかし、この方法では、ゴム組成物の引張破断強度、引張破断伸度、ゴム硬度などの機械的特性が低下し、このようなゴム組成物を重荷重用タイヤに用いる場合には耐摩耗性、耐偏摩耗性が低下するという問題が生じる。
【0005】
特許文献1~3では、ゴム組成物の転がり抵抗性tanδ(60℃)を小さくする方法として、ゴム組成物に乾式シリカを配合することが提案されている。しかし、乾式シリカは、かさ密度が非常に小さい粉体で飛散しやすい。したがって、工業的に一般的に使用されるバンバリーミキサーでは、長時間混錬しても乾式シリカをゴム組成物に練込むことが困難であり、例え乾式シリカを少量ずつ数回に分けてゴム組成物に配合しようとしても、乾式シリカが飛散して目標量を練り込むことは困難であった。また、練り込むことができても、乾式シリカはゴム組成物中で凝集しやすい。そのため、ゴム組成物に乾式シリカを良好に分散させることは工業的には困難であった。
【0006】
特許文献4には、シリコーンゴムに配合する二酸化珪素微粉末(乾式シリカ)を嵩比重80g/L~300g/Lになるまで機械的に粉砕することが提案されている。しかしながら、特許文献4の機械的に粉砕された二酸化珪素微粉末(乾式シリカ)では、比表面積が80m/g~180m/gであるため、重荷重用タイヤ用のゴム組成物に配合した場合に、耐摩耗性能といった重荷重用タイヤ用ゴム組成物に求められる性能を発揮できない。そこで、重荷重用タイヤ用ゴム組成物に求められる性能を発揮し得るように乾式シリカが配合された、ゴム組成物が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2015-183062号公報
【特許文献2】特開2016-104840号公報
【特許文献3】特開2019-94463号公報
【特許文献4】特開平6-87609号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明では、工業的に一般的に使用されるミキサー型混錬装置で簡便に製造できる、フュームドシリカを含むゴム組成物、およびそれに含まれるフュームドシリカを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の要旨は以下のとおりである。
(1)タップ密度が200g/L以上であり、
BET比表面積が200m/g以上であって、
メルカプト-チオカルボキシレートオリゴマーで表面処理してなる、ゴム組成物用フュームドシリカ。
(2)タップ密度が200g/L以上であり、BET比表面積が200m/g以上である圧縮フュームドシリカ、
天然ゴム、および
メルカプト-チオカルボキシレートオリゴマーを配合してなる、ゴム組成物。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、工業的に一般的に使用されるミキサー型混錬装置で簡便に製造できる、フュームドシリカを含むゴム組成物、およびそれに含まれるフュームドシリカを提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本発明に係るゴム組成物用フュームドシリカおよびゴム組成物について、第1実施形態と第2実施形態とに分けて詳細に説明する。
【0012】
第1実施形態
<ゴム組成物用フュームドシリカ>
第1実施形態に係るゴム組成物用フュームドシリカは、
タップ密度が200g/L以上であり、
BET比表面積が200m/g以上であって、
メルカプト-チオカルボキシレートオリゴマーで表面処理してなる。
【0013】
第1実施形態に係るゴム組成物用フュームドシリカのタップ密度は200g/L以上である。ゴム組成物用フュームドシリカのタップ密度は、好ましくは250g/L以上であり、より好ましくは300g/L以上である。ゴム組成物用フュームドシリカのタップ密度を上記範囲とすることで、粒子の飛散や浮遊を低減でき、ゴム組成物用フュームドシリカを後述する天然ゴムと良好に混錬できる。また、ゴム組成物用フュームドシリカのタップ密度は400g/L以下とすることが好ましい。タップ密度が大きすぎると、シリカが塊となりやすく、ゴム組成物を製造する前にその塊をほぐす工程が必要となる。その場合、連続的な作業工程の実施が困難となり、ゴム組成物の製造コストが増大するおそれがある。
【0014】
第1実施形態に係るゴム組成物用フュームドシリカのBET比表面積は200m/g以上である。好ましくは220m/g以上であり、より好ましくは250m/g以上である。ゴム組成物用フュームドシリカのBET比表面積を上記範囲とすることで、ゴム組成物用フュームドシリカにおいて天然ゴムまたはメルカプト-チオカルボキシレートオリゴマーとの反応点となるシラノール基の数を十分に確保でき、ゴム組成物用フュームドシリカと天然ゴムとを良好に混錬できる。また、ゴム組成物用フュームドシリカのBET比表面積の上限は、特に制限されないが、500m/gとすることができる。
【0015】
第1実施形態において、タップ密度が200g/L以上であり、BET比表面積が200m/g以上であるゴム組成物用フュームドシリカは、フュームドシリカを圧縮処理することで得られる(以下、圧縮処理により得られるフュームドシリカを、圧縮フュームドシリカと呼ぶことがある。)。
【0016】
フュームドシリカとは、四塩化珪素を酸水素炎中で高温加水分解するによって製造される微粒子状の二酸化珪素であり、乾式シリカと呼ばれることもある。フュームドシリカの微粒子は、数珠状に凝集・融着しており、嵩高い凝集体を形成する。
【0017】
なお、フュームドシリカの圧縮処理前のBET比表面積は、好ましくは200m/g以上であり、より好ましくは220m/g以上であり、さらに好ましくは250m/g以上である。圧縮処理前のBET比表面積が上記範囲であるフュームドシリカを用いることで、天然ゴムまたはメルカプト-チオカルボキシレートオリゴマーとの反応点となるシラノール基の数を十分に確保でき、ゴム組成物用フュームドシリカを天然ゴムと良好に混錬できる。フュームドシリカの圧縮処理前のBET比表面積の上限は、特に制限されないが、500m/gとすることができる。
【0018】
また、フュームドシリカの圧縮処理前のタップ密度は200g/L未満であってよい。フュームドシリカの圧縮処理前のタップ密度は、100g/L以下であってもよく、45g/L以下であってもよい。フュームドシリカのタップ密度は、後述する圧縮処理によって増大できる。フュームドシリカの圧縮処理前のタップ密度の下限は、特に制限されないが、45g/Lとすることができる。
【0019】
第1実施形態において、圧縮処理とは、フュームドシリカのタップ密度を大きくする処理のことをいう。圧縮処理に使用する装置は、フュームドシリカを粉砕しタップ密度を増大できれば特に制限されないが、振動ミルまたはボールミルが好ましく、振動ミルがより好ましい。振動ミルとは振動式の微粉砕機であり、ボールミルとは硬質のボールを円筒形の容器中で回転させることによって、材料をすりつぶして微細な粉末を作る粉砕機である。本実施形態では、振動ミルまたはボールミルといった圧縮処理装置を用いて、フュームドシリカを圧縮処理し、圧縮フュームドシリカを得る。
【0020】
圧縮処理では、フュームドシリカには衝撃、摩擦、粉砕等の機械的エネルギーが付与される。その結果、フュームドシリカの表面が活性化されて、フュームドシリカ表面にあるシラノール基が開裂し表面水酸基が増加すると考えられる。そして、フュームドシリカの表面水酸基の増加は、最表面層だけではなく、より内側の層にも生じる。この表面活性化したフュームドシリカは、十分に加熱されない限り、その活性を失わないことが分かっている。すなわち、圧縮処理により得られる圧縮フュームドシリカは、表面が活性化されて表面水酸基が増加している状態を安定して長期間保つことができる。そのため、圧縮処理によって、天然ゴムまたはメルカプト-チオカルボキシレートオリゴマーとの反応が促進されて天然ゴムと良好に混錬でき、さらに保存安定性にも優れるゴム組成物用フュームドシリカが得られる。
【0021】
第1実施形態において、ゴム組成物用フュームドシリカのタップ密度は、圧縮処理条件を調整することで制御できる。例えば、圧縮処理装置としてボールミルまたは振動ミルを用いる場合の、好ましい圧縮処理条件を以下に示す。
【0022】
(ボールミル)
1)ボール径
ボールミルにおけるボール径は、好ましくは直径15~30mmであり、より好ましくは直径20~25mmである。ボール径が小さすぎると、粉砕時の衝撃力不足により圧縮フュームドシリカのタップ密度を増大できないおそれがある。また、ボール径が小さすぎる場合には、圧縮フュームドシリカのタップ密度を200g/L以上にするために粉砕時間を長くする必要性があり、生産性が低下し製造コストが増大するおそれがある。ボール径が大きすぎると、ボール間の空隙が大きく衝突頻度が低いため粉砕時間が長くなり、製造コストが増大するおそれがある。
【0023】
2)回転数
ボールミルの回転数は、好ましくは50~600rpmであり、より好ましくは200~400rmpである。回転数が小さすぎると、粉砕時の衝撃力不足により圧縮フュームドシリカのタップ密度を増大できないおそれがある。また、回転数が小さすぎる場合には、圧縮フュームドシリカのタップ密度を200g/L以上にするために粉砕時間を長くする必要性があり、生産性が低下し製造コストが増大するおそれがある。回転数が大きすぎると、粉砕効率が低下するおそれがある。
【0024】
3)ボール充填率
ボールミルにおけるボール充填率は、好ましくは10~80%であり、より好ましくは20~50%である。ボール充填率が小さすぎると、粉砕効率不足により圧縮フュームドシリカのタップ密度を増大できないおそれがある。また、ボール充填率が小さすぎる場合には、圧縮フュームドシリカのタップ密度を200g/L以上にするために粉砕時間を長くする必要があり、生産性が低下し製造コストが増大するおそれがある。ボール充填率が大きすぎると、粉砕効率が低下するおそれがある。
【0025】
(振動ミル)
1)ボール径
振動ミルにおけるボール径は、好ましくは直径15~30mmであり、より好ましくは直径20~25mmである。ボール径が小さすぎると、粉砕時の衝撃力不足により圧縮フュームドシリカのタップ密度を増大できないおそれがある。また、ボール径が小さすぎる場合には、圧縮フュームドシリカのタップ密度を200g/L以上にするために粉砕時間を長くする必要性があり、生産性が低下し製造コストが増大するおそれがある。ボール径が大きすぎると、ボール間の空隙が大きく衝突頻度が低いため、粉砕時間が長くなり、製造コストが増大するおそれがある。
【0026】
2)振動数
振動ミルにおける振動数は、好ましくは600~2000CPMであり、より好ましくは800~1500CPMである。振動数が小さすぎると、粉砕時の衝撃力不足により圧縮フュームドシリカのタップ密度を増大できないおそれがある。また、振動数が小さすぎる場合には、圧縮フュームドシリカのタップ密度を200g/L以上にするために粉砕時間を長くする必要があり、生産性が低下し製造コストが増大するおそれがある。振動数が大きすぎると、衝撃力が大きくなり、安定的な粉砕ができないおそれがある。
【0027】
3)ボール充填率
振動ミルにおけるボール充填率は、好ましくは30~90%であり、より好ましくは50~80%である。ボール充填率が小さすぎると、粉砕効率不足により圧縮フュームドシリカのタップ密度を増大できないおそれがある。また、ボール充填率が小さすぎる場合には、圧縮フュームドシリカのタップ密度を200g/L以上にするために粉砕時間を長くする必要があり、生産性が低下し製造コストが増大するおそれがある。ボール充填率が大きすぎると、粉砕効率が低下するおそれがある。
【0028】
第1実施形態に係るゴム組成物用フュームドシリカは、シランカップリング剤であるメルカプト-チオカルボキシレートオリゴマーで表面処理されている。メルカプト-チオカルボキシレートオリゴマーは、メルカプト基を有するチオカルボキシレートのオリゴマーであり、メルカプト-チオカルボキシレートオリゴマーの分子構造の例を以下に示す。下記分子構造において、結合単位Aの繰り返し数(x)と結合単位Bの繰り返し数(y)との合計(x+y)は、3~300の範囲が好ましい。この範囲内であると、結合単位Bのメルカプトシランを、結合単位Aの-C15が覆うため、スコーチタイムが短くなることを抑制できるとともに、シリカやゴム成分との良好な反応性を確保することができる。メルカプト-チオカルボキシレートオリゴマーとしては、具体的にはMomentive製「NXT-Z45」を用いることができる。
【化1】
【0029】
第1実施形態では、ゴム組成物用フュームドシリカがメルカプト-チオカルボキシレートオリゴマーで表面処理されていることで、天然ゴムに対するゴム組成物用フュームドシリカの分散性が向上し、また、天然ゴムに対する補強性を高めることができる。表面処理の方法は特に制限されないが、例えば、液状のメルカプト-チオカルボキシレートオリゴマーをフュームドシリカに配合することにより行うことができる。メルカプト-チオカルボキシレートオリゴマーは、上記圧縮処理の前に配合してもよく、圧縮処理時またはその後に配合してもよい。圧縮処理の前に配合する場合には、例えば、噴霧反応器を用いてフュームドシリカに液状のメルカプト-チオカルボキシレートオリゴマーを噴霧できる。噴霧する際には、必要に応じて加温してもよい。圧縮処理前のフュームドシリカに噴霧等により液状のメルカプト-チオカルボキシレートオリゴマーを配合することで、フュームドシリカを表面処理できる(以下、表面処理をした圧縮処理前のフュームドシリカを表面処理フュームドシリカと呼ぶことがある。)。また、メルカプト-チオカルボキシレートオリゴマーを圧縮処理時に配合する場合には、例えば、フュームドシリカを振動ミル等の圧縮処理装置で圧縮処理するときに、装置内に液状のメルカプト-チオカルボキシレートオリゴマーを添加できる。圧縮処理後に配合する場合には、後述するミキサー型混錬装置内で、圧縮処理した圧縮フュームドシリカと天然ゴムと液状のメルカプト-チオカルボキシレートオリゴマーとを混練してもよい。
【0030】
第1実施形態では、上述のとおり、圧縮処理前または圧縮処理後のヒュームドシリカに液状のメルカプト-チオカルボキシレートオリゴマーを噴霧等することで表面処理が行われる。このようにして得られるゴム組成物用フュームドシリカは、いわゆる疎水化処理したシリカとは異なり、親水性を有している。
【0031】
メルカプト-チオカルボキシレートオリゴマーの配合量は、フュームドシリカまたは圧縮フュームドシリカ100重量部に対し、好ましくは3~30重量部であり、より好ましくは5~20重量部である。メルカプト-チオカルボキシレートオリゴマーの配合量が少なすぎると、ゴム組成物用フュームドシリカのゴム組成物中での分散性が不十分となるおそれがある。メルカプト-チオカルボキシレートオリゴマーの配合量が多すぎると、メルカプト-チオカルボキシレートオリゴマー同士が縮合し、得られるゴム組成物の耐摩耗性能が十分に向上できないおそれがある。
【0032】
ゴム組成物
第1実施形態に係るゴム組成物は、好ましくは、上記ゴム組成物用フュームドシリカおよび天然ゴムを配合してなる。
【0033】
第1実施形態において、上記ゴム組成物用フュームドシリカおよび天然ゴムを配合する方法は特に制限されないが、例えば上記ゴム組成物用フュームドシリカと天然ゴムとを混錬する工程を含む方法が挙げられる。ゴム組成物用フュームドシリカの配合量は、天然ゴム100重量部に対し、好ましくは5~90重量部であり、より好ましくは10~55重量部である。ゴム組成物用フュームドシリカの配合量が少なすぎると、得られるゴム組成物の耐摩耗性能が十分に向上できないおそれがある。ゴム組成物用フュームドシリカの配合量が多すぎると、シリカが天然ゴム中に十分に分散できず、良好に混錬できないおそれがある。
【0034】
第1実施形態では、農作物由来で季節や産地によって粘度や組成が変動しやすい天然ゴムとの混錬であっても、上記ゴム組成物用フュームドシリカとの配合においては、工業的に一般的に使用されるミキサー型混錬装置で混錬することが可能である。
【0035】
上記ゴム組成物用フュームドシリカフュームドシリカと天然ゴムとの混錬は、ゴム組成物の製造で工業的に一般的に使用されるミキサー型混錬装置を用いればよく、例えばバンバリーミキサーを用いることができる。装置の稼働条件は、ゴム組成物用フュームドシリカと天然ゴムとを十分に混錬できれば、特に限定されない。
【0036】
第1実施形態において、ゴム組成物は、好ましくは、タイヤ、特にタイヤトレッドに用いられるゴム組成物であり、より好ましくは、重荷重用タイヤまたはそのタイヤトレッドに用いられるゴム組成物である。
【0037】
ゴム組成物には、オイルが配合されていてもよい。オイルとしては、例えばアロマオイル、パラフィンオイル、ナフテンオイル等を例示できる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。オイルの配合量は、天然ゴム100重量部に対し、好ましくは2~10重量部、より好ましくは4~8重量部である。
【0038】
上記オイルは、ゴム組成物用フュームドシリカに予備的に混合してもよく、または、ゴム組成物用フュームドシリカと天然ゴムとを混錬する工程で添加してもよい。
【0039】
ゴム組成物には、補強性充填剤を配合できる。補強性充填剤としては、例えばカーボンブラック、クレー、マイカ、タルク、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、酸化アルミニウム、酸化チタン等を例示できる。タイヤまたはタイヤトレッドに用いられるゴム組成物を製造する場合には、このような補強性充填剤を配合してもよい。さらに、補強性充填剤を配合する場合には、フィラーカップリング剤も適量配合できる。これらの補強性充填剤の配合量は本発明の目的に反しない限り、従来の一般的な配合量とすればよい。
【0040】
ゴム組成物には、加硫又は架橋剤、加硫促進剤、硫黄、酸化亜鉛、ステアリン酸、老化防止剤、可塑剤、加工助剤、液状ポリマー、熱硬化性樹脂などの各種添加剤を配合できる。このような添加剤は、天然ゴムを混錬する前または後に配合でき、ゴム組成物の加硫又は架橋を助ける。タイヤまたはタイヤトレッドに用いられるゴム組成物を製造する場合には、このような添加剤を配合してもよい。これらの添加剤の配合量は本発明の目的に反しない限り、従来の一般的な配合量とすればよい。
【0041】
第1実施形態では、湿式シリカも配合できる。湿式シリカとは、一般的に珪酸ナトリウムと鉱酸(通常は硫酸)との中和反応により合成されるシリカである。湿式シリカは、沈殿法シリカとゲル法シリカに大別される。本実施形態において、好ましくは沈殿法シリカを配合する。湿式シリカの配合量は、天然ゴム100重量部に対し、好ましくは0~100重量部であり、より好ましくは0~60重量部である。湿式シリカは、天然ゴムと混錬する工程の前にゴム組成物用フュームドシリカと混合してもよく、または、ゴム組成物用フュームドシリカと天然ゴムとを混錬する工程で添加してもよい。湿式シリカを配合することで、高価な乾式シリカの配合量を抑えることができる。湿式シリカの配合量が少なすぎると、得られるゴム組成物が高価になるおそれがある。湿式シリカの配合量が多すぎると、ゴム組成物の耐摩耗性能が十分に向上できないおそれがある。また、乾式シリカの配合量と湿式シリカの配合量の比は、本発明の目的に反しない限り特に制限されない。
【0042】
第2実施形態
第2実施形態に係るゴム組成物は、
タップ密度が200g/L以上であり、BET比表面積が200m/g以上である圧縮フュームドシリカ、
天然ゴム、および
メルカプト-チオカルボキシレートオリゴマーを配合してなる。
【0043】
第2実施形態に係るゴム組成物において、圧縮フュームドシリカのタップ密度は200g/L以上である。圧縮フュームドシリカのタップ密度は、好ましくは250g/L以上であり、より好ましくは300g/L以上である。圧縮フュームドシリカのタップ密度を上記範囲とすることで、粒子の飛散や浮遊を低減でき、圧縮フュームドシリカを天然ゴムと良好に混錬できる。また、圧縮フュームドシリカのタップ密度は400g/L以下とすることが好ましい。タップ密度が大きすぎると、シリカが塊となりやすく、ゴム組成物を製造する前にその塊をほぐす工程が必要となる。その場合、連続的な作業工程の実施が困難となり、ゴム組成物の製造コストが増大するおそれがある。
【0044】
第2実施形態に係るゴム組成物において、圧縮フュームドシリカのBET比表面積は200m/g以上である。好ましくは220m/g以上であり、より好ましくは250m/g以上である。圧縮フュームドシリカのBET比表面積を上記範囲とすることで、圧縮フュームドシリカにおいて天然ゴムまたはメルカプト-チオカルボキシレートオリゴマーとの反応点となるシラノール基の数を十分に確保でき、圧縮フュームドシリカと天然ゴムとを良好に混錬できる。また、圧縮フュームドシリカのBET比表面積の上限は、特に制限されないが、500m/gとすることができる。
【0045】
第2実施形態において、タップ密度が200g/L以上であり、BET比表面積が200m/g以上である圧縮フュームドシリカは、フュームドシリカを圧縮処理することで得られる。なお、フュームドシリカの圧縮処理前のタップ密度およびBET比表面積、圧縮処理および好ましい圧縮処理条件については、第1実施形態のゴム組成物用フュームドシリカの場合と同様とすることができる。
【0046】
第2実施形態に係るゴム組成物は、さらに天然ゴムおよびメルカプト-チオカルボキシレートオリゴマーを配合してなる。
【0047】
第2実施形態では、農作物由来で季節や産地によって粘度や組成が変動しやすい天然ゴムとの混錬であっても、上記圧縮フュームドシリカとの配合においては、工業的に一般的に使用されるミキサー型混錬装置で混錬することが可能である。
【0048】
第2実施形態に係るゴム組成物において、圧縮フュームドシリカの配合量は、天然ゴム100重量部に対し、好ましくは5~90重量部であり、より好ましくは10~55重量部である。圧縮フュームドシリカの配合量が少なすぎると、得られるゴム組成物の耐摩耗性能が十分に向上できないおそれがある。圧縮フュームドシリカの配合量が多すぎると、シリカが天然ゴム中に十分に分散できず、良好に混錬できないおそれがある。
【0049】
第2実施形態に係るゴム組成物において、メルカプト-チオカルボキシレートオリゴマーの配合量は、圧縮フュームドシリカ100重量部に対し、好ましくは3~30重量部であり、より好ましくは5~20重量部である。メルカプト-チオカルボキシレートオリゴマーの配合量が少なすぎると、圧縮フュームドシリカのゴム組成物中での分散性が不十分となるおそれがある。メルカプト-チオカルボキシレートオリゴマーの配合量が多すぎると、メルカプト-チオカルボキシレートオリゴマー同士が縮合し、得られるゴム組成物の耐摩耗性能が十分に向上できないおそれがある。なお、メルカプト-チオカルボキシレートオリゴマーの分子構造は、第1実施形態で示したとおりである。また、メルカプト-チオカルボキシレートオリゴマーとしては、具体的にはMomentive製「NXT-Z45」を用いることができる。
【0050】
第2実施形態に係るゴム組成物において、圧縮フュームドシリカ、天然ゴム、およびメルカプト-チオカルボキシレートオリゴマーを配合する方法は特に制限されないが、例えばこれらを混錬する工程を含む方法が挙げられる。混錬は、ゴム組成物の製造で工業的に一般的に使用されるミキサー型混錬装置を用いればよく、例えばバンバリーミキサーを用いることができる。装置の稼働条件は、圧縮フュームドシリカと天然ゴムとメルカプト-チオカルボキシレートオリゴマーとを十分に混錬できれば、特に限定されない。
【0051】
第2実施形態に係るゴム組成物は、好ましくは、タイヤ、特にタイヤトレッドに用いられるゴム組成物であり、より好ましくは、重荷重用タイヤまたはそのタイヤトレッドに用いられるゴム組成物である。
【0052】
第2実施形態に係るゴム組成物において、オイル、補強性充填剤、加硫又は架橋剤、加硫促進剤、硫黄、酸化亜鉛、ステアリン酸、老化防止剤、可塑剤、加工助剤、液状ポリマー、熱硬化性樹脂などの各種添加剤、および湿式シリカは、圧縮フュームドシリカ、天然ゴム、およびメルカプト-チオカルボキシレートオリゴマーとともに配合することができ、例えば、混錬時にミキサー型混錬装置内で配合できる。また、これらの配合量は第1実施形態と同様とすることができる。
【0053】
以下に本発明を実施例により説明するが、本発明は以下の実施例のみに限定されるものでは無い。
【実施例0054】
(実施例1-1)
[ゴム組成物用フュームドシリカの調製]
ヒュームドシリカを表面処理した。すなわち、ヒュームドシリカ(トクヤマ製、QS-30C、窒素吸着比表面積 300m/g)10.0kgを、内容積300Lのミキサー中にて攪拌混合し、窒素雰囲気に置換を行なった。反応温度25℃において、ヒュームドシリカに対して2重量部の水を1液体ノズルで加えた。その後、ヒュームドシリカ100重量部に対して8重量部の配合量となるようにメルカプト-チオカルボキシレートオリゴマー(シランカップリング剤、Momentive製、NXT-Z45)をヒュームドシリカに対して1液体ノズルで加えた。温度を100℃/時間の昇温温度で、200℃まで昇温させて、40L/分の供給量にて窒素を供給し、未反応物、反応副生物を除去した。表面処理フュームドシリカを得た。
【0055】
得られた表面処理ヒュームドシリカを圧縮処理した。すなわち、表面処理ヒュームドシリカ200gを、7Lボールミル(ボール径φ25mm、ボール充填30%、300rpm)に投入し、室温下で5時間粉砕を行った。ゴム組成物用フュームドシリカIを得た。
【0056】
フュームドシリカおよび表面処理フュームドシリカの圧縮処理前後のタップ密度および比表面積を、下記の方法に従って評価した。結果を表1に示す。なお、圧縮処理後とは、フュームドシリカ、表面処理フュームドシリカを、それぞれ上記条件で圧縮処理した場合を示す。
【0057】
<フュームドシリカ:タップ密度>
1Lの樹脂製メスシリンダーを電子天秤の上に置き風袋引きをし、ヒュームドシリカを約1L充填し、重量M(g)を記録する。その後、約10cmの高さから30回、手動でタッピングした後、容積V(ml)を測定し、下記式でタップ密度ρを算出した。表面処理フュームドシリカについても同様に算出した。また、フュームドシリカ、表面処理フュームドシリカを、それぞれ圧縮処理した後についても同様に算出した。
タップ密度ρ=1000×M/V(g/L)
【0058】
<ヒュームドシリカ:比表面積>
ヒュームドシリカについて、柴田科学社製BET比表面積測定装置SA-1000を用い、窒素吸着BET1点法により測定した。表面処理フュームドシリカについても同様に測定した。また、フュームドシリカ、表面処理フュームドシリカを、それぞれ圧縮処理した後についても同様に測定した。
【0059】
(実施例1-2)
実施例1-1と同様に表面処理フュームドシリカを得た。得られた表面処理ヒュームドシリカを圧縮処理した。すなわち、表面処理ヒュームドシリカを1mの連続振動ミル(ボール径φ25mm、シリカ供給速度100g/分、ボール充填量80%、振動数1200CPM、振幅8mm)に供給して粉砕を行った。ゴム組成物用フュームドシリカIIを得た。実施例1-1と同様にタップ密度および比表面積を評価した。
【0060】
(実施例1-3)
表面処理フュームドシリカの調製において、ヒュームドシリカ100重量部に対して4重量部の配合量となるようにメルカプト-チオカルボキシレートオリゴマー(シランカップリング剤、Momentive製、NXT-Z45)を加えた他は、実施例1-1と同様にして表面処理フュームドシリカを得た。実施例1-1と同様に圧縮処理をしてゴム組成物用フュームドシリカIIIを得た。実施例1-1と同様にタップ密度および比表面積を評価した。
【0061】
(実施例1-4)
表面処理をせずにヒュームドシリカを圧縮処理した。すなわち、ヒュームドシリカ(トクヤマ製、QS-30C、窒素吸着比表面積 300m/g)を1mの連続振動ミル(ボール径φ25mm、シリカ供給速度100g/分、ボール充填量80%、振動数1200CPM、振幅8mm)に供給して粉砕を行った。圧縮フュームドシリカIVを得た。実施例1-1と同様にタップ密度および比表面積を評価した。
【0062】
(実施例1-5)
表面処理をせずにヒュームドシリカを圧縮処理した。すなわち、ヒュームドシリカ(トクヤマ製、QS-30C、窒素吸着比表面積 300m/g)200gを、7Lボールミル(ボール径φ25mm、ボール充填30%、300rpm)に投入し、室温下で5時間粉砕を行った。圧縮フュームドシリカVを得た。実施例1-1と同様にタップ密度および比表面積を評価した。
【0063】
(実施例1-6)
表面処理をせずにヒュームドシリカを圧縮処理した。すなわち、ヒュームドシリカ(トクヤマ製、QS-25、窒素吸着比表面積 250m/g)を用いた他は実施例1-5と同様にして圧縮フュームドシリカVIを得た。実施例1-1と同様にタップ密度および比表面積を評価した。
【0064】
【表1】
【0065】
(実施例2-1)
[ゴム組成物の調製]
1.7Lの密閉式バンバリーミキサーに、上記ゴム組成物用ヒュームドシリカI、天然ゴム、ブタジエンゴム、湿式シリカ、メルカプト-チオカルボキシレートオリゴマー(シランカップリング剤、Momentive製、NXT-Z45)、およびカーボンブラックを表3に示す配合量となるように投入し、さらに配合剤(酸化亜鉛、ステアリン酸、老化防止剤、およびオイル)を表2に示す配合量となるように投入した。6分間混練し、室温まで冷却して、マスターバッチを得た。このマスターバッチを1.7Lの密閉式バンバリーミキサーに戻し、残りの配合剤(硫黄1.5重量部および加硫促進剤)を加えて混合し、ゴム組成物を調製した。
【0066】
ゴム組成物の調製に用いた上記原材料の種類を以下に示す。
・天然ゴム:ベトナム製、CV-60
・ブタジエンゴム:日本ゼオン製、Nipol BR1220
・湿式シリカ:東ソーシリカ製、Nipsil AQ(窒素吸着比表面積 200m/g)
・カーボンブラック:東海カーボン製、シースト6
【0067】
【表2】
【0068】
表2に示す配合剤の種類を以下に示す。
・酸化亜鉛:正同化学製、酸化亜鉛3種
・ステアリン酸:日油製、ビーズステアリン酸YR
・老化防止剤:精工化学製、オゾノン6C
・オイル:昭和シェル石油製、エキストラクト4号S(TDAE Oil)
・硫黄:鶴見化学工業製、金華印油入微粉硫黄
・加硫促進剤:三新化学工業製、サンセラーNS‐G N-(tert-ブチル)-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミド(略号:TBBS)
【0069】
得られたゴム組成物を150℃で10分間プレス加硫して、ゴム組成物からなる試験片を作製した。得られた試験片を使用して、以下の物性を評価した。結果を表3に示す。
【0070】
<ゴム組成物:耐摩耗性>
得られたゴム組成物の試験片について、FPS摩耗試験機((株)上島製作所製AB-2012)を用いて、温度20℃、荷重40N、スリップ率10%、試験時間2分間の条件でFPS摩耗量を測定した。FPS摩耗量から容積損失を計算し、標準例1の損失量を100として下記計算式により指数表示した。指数が大きいほど耐摩耗性が優れる。
(摩耗指数)=(標準例1の損失量)÷(実施例の損失量)×100
【0071】
<低燃費性:tanδ(60℃)>
得られたゴム組成物の試験片について、JIS K6394に準拠して、動的粘弾性試験機((株)上島製作所製VR-7130)を用いて下記条件にて測定した。60℃における測定値からtanδ(60℃)を算出した。
測定温度: 60℃
静的歪 : 10%
動的歪 : ±2%
周波数 : 10Hz
標準例1での測定値を100として下記式により指数を算出した。指数が大きいほど転がり抵抗性に優れる。
(転がり抵抗指数)=(標準例1の測定値)÷(実施例の測定値)×100
【0072】
<A硬度>
得られたゴム組成物の試験片について、JIS K6253 タイプAに準拠して、硬度を測定した。
【0073】
<加工性:ムーニー粘度>
得られたゴム組成物の試験片について、ムーニー粘度計((株)上島製作所製 VR-1132)を用いて、JIS K6300-1に準拠して、100℃におけるムーニー粘度(ML1+4 100℃)を測定した。
【0074】
(実施例2-2)
ゴム組成物の調製において、ゴム組成物用ヒュームドシリカIおよび湿式シリカの配合量を表3に示すように変更した他は、実施例2-1と同様にゴム組成物を調製して試験片を得た。実施例2-1と同様に物性評価を行った。
【0075】
(実施例2-3)
[ゴム組成物の調製]
1.7Lの密閉式バンバリーミキサーに、上記圧縮ヒュームドシリカV、メルカプト-チオカルボキシレートオリゴマー(シランカップリング剤、Momentive製、NXT-Z45)、天然ゴム、ブタジエンゴム、湿式シリカ、カーボンブラックを表3に示す配合量となるように投入し、さらに配合剤(酸化亜鉛、ステアリン酸、老化防止剤、およびオイル)を表2に示す配合量となるように投入した。6分間混練し、室温まで冷却して、マスターバッチを得た。このマスターバッチを1.7Lの密閉式バンバリーミキサーに戻し、残りの配合剤(硫黄1.5重量部および加硫促進剤)を加えて混合し、ゴム組成物を調製した。なお、上記原材料および配合剤の種類は、実施例2-1と同じである。
【0076】
実施例2-1と同様にしてゴム組成物からなる試験片を得た。実施例2-1と同様に物性評価を行った。
【0077】
(実施例2-4)
ゴム組成物の調製において、圧縮ヒュームドシリカVおよび湿式シリカの配合量を表3に示すように変更した他は、実施例2-3と同様にゴム組成物を調製して試験片を得た。実施例2-1と同様に物性評価を行った。
【0078】
(実施例2-5)
ゴム組成物の調製において、湿式シリカを配合せず、圧縮ヒュームドシリカVの配合量を表3に示すように変更した他は、実施例2-3と同様にゴム組成物を調製して試験片を得た。実施例2-1と同様に物性評価を行った。
【0079】
(実施例2-6)
ゴム組成物の調製において、ブタジエンゴムを配合せず、フィラーカップリング剤(住友化学製、スミリンク200)を配合した他は、実施例2-4と同様にゴム組成物を調製して試験片を得た。耐摩耗性において標準例2の損失量を100とし、低燃費性において標準例2の測定値を100として指数を算出した他は、実施例2-1と同様に物性評価を行った。
【0080】
(実施例2-7)
ゴム組成物の調製において、天然ゴム(ベトナム製、SVR)を用い、硫黄の配合量を1.9重量部とした他は、実施例2-4と同様にゴム組成物を調製して試験片を得た。耐摩耗性において標準例3の損失量を100とし、低燃費性において標準例3の測定値を100として指数を算出した他は、実施例2-1と同様に物性評価を行った。
【0081】
(標準例1)
[ゴム組成物の調製]
1.7Lの密閉式バンバリーミキサーに、天然ゴム、ブタジエンゴム、カーボンブラック、および配合剤(酸化亜鉛、ステアリン酸、老化防止剤、およびオイル)を表3に示す配合量で投入し、6分間混練し、室温まで冷却して、マスターバッチを得た。このマスターバッチを1.7Lの密閉式バンバリーミキサーに戻し、残りの配合剤(硫黄1.5重量部および加硫促進剤)を加えて混合し、シリカを含まないゴム組成物を調製した。配合剤の配合量は表2に示す。なお、上記原材料および配合剤の種類は、実施例2-1と同じである。
【0082】
実施例2-1と同様にゴム組成物からなる試験片を得た。実施例2-1と同様に物性評価を行った。
【0083】
(標準例2)
ゴム組成物の調製において、ブタジエンゴムを配合しない他は、標準例1と同様にゴム組成物を調製して試験片を得た。実施例2-1と同様に物性評価を行った。
【0084】
(標準例3)
ゴム組成物の調製において、天然ゴム(ベトナム製、SVR)を用い、硫黄の配合量を2.3重量部とした他は、標準例2と同様にゴム組成物を調製して試験片を得た。実施例2-1と同様に物性評価を行った。
【0085】
【表3】