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特開2022-76879車両用樹脂部材、車両用窓部材、及び車両
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022076879
(43)【公開日】2022-05-20
(54)【発明の名称】車両用樹脂部材、車両用窓部材、及び車両
(51)【国際特許分類】
   B60J 1/00 20060101AFI20220513BHJP
   B60S 1/56 20060101ALI20220513BHJP
【FI】
B60J1/00 Z
B60S1/56
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020187518
(22)【出願日】2020-11-10
(71)【出願人】
【識別番号】000000044
【氏名又は名称】AGC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】米津 豊作
(72)【発明者】
【氏名】齊藤 恒洋
(72)【発明者】
【氏名】永井 久仁子
【テーマコード(参考)】
3D025
3D225
【Fターム(参考)】
3D025AA04
3D025AC04
3D025AF19
3D225AA04
3D225AC04
3D225AF19
(57)【要約】      (修正有)
【課題】センサの設置場所の自由度を確保する。
【解決手段】車両用樹脂部材20は、車両の窓部材10に取り付けられるものであって、車外側となる一方の表面30Aから車内側となる他方の表面30Bまで貫通する開口32が形成される樹脂部材30と、樹脂部材30よりも、一方の表面30Aから他方の表面30Bに向かう第1方向側に設けられて、開口32を通る電磁波Lを受信するセンサ部44と、を備える。開口32の一方の表面30A側の端部からセンサ部44までの、電磁波Lの光軸方向に沿った距離D1は、5cm以上である。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の窓部材に取り付けられる車両用樹脂部材であって、
車外側となる一方の表面から車内側となる他方の表面まで貫通する開口が形成される樹脂部材と、
前記樹脂部材よりも、前記一方の表面から他方の表面に向かう第1方向側に設けられて、前記開口を通る電磁波を受信するセンサ部と、
を備え、
前記開口の前記一方の表面側の端部から前記センサ部までの、前記電磁波の光軸方向に沿った距離は、5cm以上である、
車両用樹脂部材。
【請求項2】
前記窓部材の鉛直方向上側に配置される、請求項1に記載の車両用樹脂部材。
【請求項3】
前記開口の面積は、5cm以下である、請求項1又は請求項2に記載の車両用樹脂部材。
【請求項4】
前記センサ部よりも、前記他方の表面から一方の表面に向かう第2方向側に設けられて、前記開口を介して、前記一方の表面側に露出して設けられる透過部材をさらに備え、
前記センサ部は、前記透過部材を透過した前記電磁波を受信する、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の車両用樹脂部材。
【請求項5】
前記透過部材と前記センサ部との間には、リレーレンズが設けられている、請求項4に記載の車両用樹脂部材。
【請求項6】
前記透過部材と前記センサ部との間には、前記電磁波の進行方向を変化させる光学素子が設けられている、請求項4又は請求項5に記載の車両用樹脂部材。
【請求項7】
前記透過部材は、前記開口内に位置しており、前記センサ部は、前記車両のルーフ部分に配置される、請求項4から請求項6のいずれか1項に記載の車両用樹脂部材。
【請求項8】
前記透過部材の、前記一方の表面側に露出する露出面に向けて気体を供給する気体供給部をさらに備える、請求項4から請求項7のいずれか1項に記載の車両用樹脂部材。
【請求項9】
前記気体供給部は、前記露出面に供給された気体が、前記開口の前記一方の表面側から排出されるように、前記気体を供給する、請求項8に記載の車両用樹脂部材。
【請求項10】
前記センサ部を収納し、前記透過部材の露出面が露出するように前記透過部材を保持する収納部と、前記収納部の外周面と空間を隔てつつ前記収納部の外周面を囲う外管部と、をさらに備え、
前記気体供給部は、前記空間内に、前記透過部材よりも前記第1方向側から、前記第1方向と反対の第2方向に向けて、前記気体を供給する、請求項8又は請求項9に記載の車両用樹脂部材。
【請求項11】
請求項1から請求項10のいずれか1項に記載の車両用樹脂部材と、窓部材とを備え、前記樹脂部材は、前記開口が、車両の窓部材と重ならないように、前記窓部材に取り付けられる、車両用窓部材。
【請求項12】
請求項11に記載の車両用窓部材を備える、車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用樹脂部材、車両用窓部材、及び車両に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、車両には、カメラなどの各種センサが搭載される。このようなセンサは、窓ガラスの車内側に配置される場合がある。例えば特許文献1には、窓ガラスの上部に赤外光を透過するカバーを設け、そのカバーの内側に赤外カメラを配置する旨が記載されている。
【0003】
【特許文献1】米国公開第2007/0216768号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、窓ガラスの車内側においては、センサを配置するスペースが限られている。そのため、センサの設置場所の自由度を確保することが求められている。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、センサの設置場所の自由度を確保可能な車両用樹脂部材、車両用窓部材、及び車両を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本開示に係る車両用樹脂部材は、車両の窓部材に取り付けられる車両用樹脂部材であって、車外側となる一方の表面から車内側となる他方の表面まで貫通する開口が形成される樹脂部材と、前記樹脂部材よりも、前記一方の表面から他方の表面に向かう第1方向側に設けられて、前記開口を通る電磁波を受信するセンサ部と、を備え、前記開口の前記一方の表面側の端部から前記センサ部までの、前記電磁波の光軸方向に沿った距離は、5cm以上である。
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本開示に係る車両用窓部材は、前記車両用樹脂部材と、窓部材とを備え、前記樹脂部材は、前記開口が、車両の窓部材と重ならないように、前記窓部材に取り付けられる。
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本開示に係る車両は、前記車両用窓部材を備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、センサの設置場所の自由度を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、本実施形態に係る車両の概略正面図である。
図2図2は、車両用窓部材の模式図である。
図3図3は、本実施形態に係る車両用樹脂部材の模式的な断面図である。
図4A図4Aは、樹脂部材と窓部材の取り付け方向の例を示す一部断面図である。
図4B図4Bは、樹脂部材と窓部材の取り付け方向の例を示す一部断面図である。
図4C図4Cは、樹脂部材と窓部材の取り付け方向の例を示す一部断面図である。
図4D図4Dは、樹脂部材と窓部材の取り付け方向の例を示す一部断面図である。
図4E図4Eは、樹脂部材と窓部材の取り付け方向の例を示す一部断面図である。
図5図5は、本実施形態の他の例に係る車両の概略正面図である。
図6図6は、本実施形態に係るセンサユニットの他の例を示す模式図である。
図7図7は、本実施形態に係るセンサユニットの他の例を示す模式図である。
図8図8は、透過部材の他の例を示す模式図である。
図9A図9Aは、本実施形態の他の例に係る車両用樹脂部材の模式的な断面図である。
図9B図9Bは、本実施形態の他の例に係る車両用樹脂部材の模式的な断面図である。
図9C図9Cは、本実施形態の他の例に係る開口部の拡大正面図である。
図10図10は、透過部材の他の例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態を詳細に説明する。なお、この実施形態により本発明が限定されるものではなく、また、実施形態が複数ある場合には、各実施形態を組み合わせて構成するものも含むものである。また、数値については四捨五入の範囲が含まれる。
【0012】
(車両)
図1は、本実施形態に係る車両の概略正面図である。図1に示すように、本実施形態に係る車両Vは、車両用窓部材Wを備える。車両用窓部材Wは、車両Vの窓となる部材である。本実施形態では、車両用窓部材Wは、車両Vの前面に適用される窓部材である。すなわち、車両用窓部材Wは、車両Vのフロントウィンドウ、言い換えればウィンドシールドとして用いられている。ただし、車両用窓部材Wは、車両Vのフロントウィンドウとして用いられることに限られず、例えば、車両Vの後方の窓として、すなわちリアウィンドウとして用いられてもよいし、車両Vの側方の窓として、すなわちサイドウィンドウとして用いられてもよい。なお、以下、車両用窓部材Wを車両Vに取り付けた状態で、車両用窓部材Wの車外側の面から車内側の面に向かう方向を、Z1方向とし、車両用窓部材Wの車内側の面から車外側の面に向かう方向を、すなわちZ1方向と反対方向を、Z2方向とする。
【0013】
車両Vには、ワイパWPが設けられる。ワイパWPは、車両用窓部材Wの車外側の表面に取り付けられている。ワイパWPは、車両Vに搭載された図示せぬ駆動機構により駆動されて、車両用窓部材WのZ2方向側(車外側)の表面を拭いて、車両用窓部材WのZ2方向側の表面上の水などを除去する。以下、ワイパWPが車両用窓部材WのZ2方向側の表面を拭くことが可能な領域を、ワイパ領域ARと記載する。ワイパ領域ARは、車両用窓部材WのZ2方向側の表面の全域のうちで、ワイパWPが届く領域を指すともいえる。すなわち、ワイパ領域ARは、車両用窓部材WのZ2方向側の表面の全域を占めることなく、車両用窓部材WのZ2方向側の表面の一部の領域のみを占める。本実施形態の例では、ワイパ領域ARは、車両用窓部材WのZ2方向側の表面のうちの上端部近傍の領域よりも下側の領域を占めている。
【0014】
(窓部材)
図2は、車両用窓部材の模式図である。図2は、図1から、車両用窓部材Wを抜き出した模式図である。車両用窓部材Wは、窓部材10と、車両用樹脂部材20とを備える。窓部材10は、車両Vの窓を構成する部材であり、可視光を透過する。車両Vの乗員は、窓部材10を介して、外部の風景を視認できる。窓部材10は、少なくとも一部がガラス部材であってよく、ガラス部材として、例えばソーダライムガラス、ボロシリケートガラス、アルミノシリケートガラス等を用いることができる。窓部材10は、一対のガラス基体の間に中間層が設けられた合わせガラスであってもよい。この場合、中間層としては、例えばポリビニルブチラール(以下PVBともいう)改質材料、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)系材料、ウレタン樹脂材料、塩化ビニル樹脂材料等の、可視光を透過する樹脂部材を用いることができる。また、窓部材10は、樹脂製の窓部材であってもよい。樹脂製の窓部材を構成する樹脂としては、ポリカーボネート、及びセルロースナノファイバとポリカーボネートの複合樹脂等が挙げられる。
【0015】
(車両用樹脂部材)
車両用樹脂部材20は、窓部材10に取り付けられる。図3は、本実施形態に係る車両用樹脂部材の模式的な断面図である。図3は、図2のA-A断面図である。図3に示すように、車両用樹脂部材20は、樹脂部材30と、センサユニット40とを含む。センサユニット40については後述する。
【0016】
(樹脂部材)
樹脂部材30は、窓部材10に取り付けられる樹脂製の部材である。樹脂部材30の線膨張係数は、窓部材10の線膨張係数(約9×10-6-1)に近いことが好ましい。具体的には80×10-6-1以下であることが好ましく、60×10-6-1以下であることがより好ましく、50×10-6-1以下であることがさらに好ましい。なお、上記の線膨張係数は、日本工業規格(JISK7140-1-2008)に基づいて測定された値である。
【0017】
本実施形態の樹脂部材30の形状は、特に限定されないが、例えば厚さ2~30mmの板状であってもよい。樹脂部材30の厚みは均一でなくてもよく、要求される強度や、取り付けられるセンサ等の性能や取り付け構造に応じて、適宜調整されていてもよい。
【0018】
本実施形態の樹脂部材30は、車両Vに設ける場合において、塗装されてもよく、塗装されなくてもよい。図1に示す形状のように広範囲にわたって本実施形態の樹脂部材30が設けられる場合は、本実施形態の樹脂部材30以外の車体部分と同じ色、またはガラス周辺部のセラミックの色(主に黒色)で塗装されることが、外観上の理由から好ましい。なお、車体部分とは、窓部材以外の部分であり、車体は通常可視光をほぼ透過せず、搭乗者が車体を通して外部の風景を視認することはない。
【0019】
一方、塗装されない場合は、本実施形態の樹脂部材30は、直接日光や外気、雨等に触れることとなるため、耐候性が高いことが好ましい。耐候性は、本実施形態の樹脂部材30を黒く着色することや、本実施形態の樹脂部材30にUV吸収剤や酸化防止剤等を含有させることにより、向上させることができる。
【0020】
また、車外から、センサユニット40などの車載部材の取り付け構造が視認できると外観上好ましくない。そのため、本実施形態の樹脂部材30は、塗装されない場合は、可視光透過率が低いことが好ましい。具体的には、可視光透過率が50%以下であることが好ましく、20%以下であることがより好ましい。なお、上記の可視光透過率は日本工業規格(JIS R3212-2015)に準拠して求められた可視光透過率を意味する。
【0021】
また、本実施形態の樹脂部材30が取り付けられる領域は、比較的日光などにより温度が上昇しやすい領域であるため、樹脂部材30は、耐熱性に優れることが好ましい。具体的には、樹脂部材30は、荷重たわみ温度が50℃以上であることが好ましく、70℃以上であることがより好ましく、90℃以上であることがさらに好ましい。上記の荷重たわみ温度は日本工業規格(JIS K7191-2-2007、0.45MPa)に準拠して測定された値を意味する。
【0022】
樹脂部材30の線膨張係数は、窓部材10の線膨張係数(約9×10-6-1)に近いことが好ましい。具体的には80×10-6-1以下であることが好ましく、60×10-6-1以下であることがより好ましく、50×10-6-1以下であることがさらに好ましい。なお、上記の線膨張係数は、日本工業規格(JISK7140-1-2008)に基づいて測定された値である。
【0023】
樹脂部材30に用いる樹脂は特に限定されない。また、本実施形態の樹脂部材30の材料となる樹脂には、寸法安定性及び耐熱性の向上、難燃性付与等の熱的機能の向上、強度や耐摩耗性等の機械特性の向上、電気特性、磁気特性及び遮音性の向上等、様々な目的でフィラーを混合できる。フィラーの形状は限定されず、例えば球状、中空状、粒状、板状、棒状、及び繊維状などがあげられる。フィラーの材料も限定されず、例えばガラス、炭酸カルシウムなどの無機塩、炭素及びアラミドなどがあげられる。
【0024】
本実施形態の樹脂部材30の材料としては、例えば繊維強化プラスチックが挙げられる。繊維強化プラスチックとしては、例えば炭素繊維強化プラスチック(CFRP)、CNF(セルロースナノファイバ)強化プラスチック、ガラス繊維強化プラスチック(GFRP)、及びアラミド繊維強化プラスチック(AFRP)などが挙げられる。
【0025】
本実施形態の樹脂部材30の材料としては、繊維強化されていないプラスチックを用いることもできる。例えばポリ塩化ビニル(PVC)、アクリロニトリルブタジエンスチレン共重合体(ABS)、アクリル(PMMA)、ポリアミド樹脂(PA、ナイロン含む)、ポリアセタール(POM)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート(PC)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリプロピレン(PP)及びポリエチレン(PE)なども用いることができる。これらは、性能向上を目的として2種類以上を混合してポリマーアロイとすることも可能である。
【0026】
なお、本実施形態の樹脂部材30には、本開示の効果を阻害しない範囲で添加剤が添加されていてもよく、例えばUV吸収剤や酸化防止剤などが添加されていてもよい。また、本実施形態の樹脂部材30には、本開示の効果を阻害しない範囲で、コーティング等の加工が施されていてもよい。
【0027】
本実施形態の樹脂部材30の製造方法は特に限定されないが、例えば射出成型が挙げられる。
【0028】
(樹脂部材の開口)
図3に示すように、樹脂部材30には、開口32が形成されている。開口32は、樹脂部材30の一方の表面30Aから他方の表面30Bまで貫通する貫通穴である。なお、表面30Aは、樹脂部材30のZ2方向側の表面、すなわち車外側の表面であり、表面30Bは、樹脂部材30のZ1方向側の表面、すなわち車内側の表面である。
【0029】
開口32は、開口32の中心軸に沿った方向から見た場合に、円形であることが好ましい。ここでの円形とは、真円に限定されず、一般的な公差の範囲で真円からずれた形状も含まれる。また、開口32は、開口32の中心軸に沿った方向から見た場合に、円形であることに限られず、任意の形状であってよい。例えば、開口32は、開口32の中心軸に沿った方向から見た場合に、楕円形であってもよいし、多角形であってもよい。さらに、開口32は、後述の気体供給部60が無い構成においても、後述の図9Bおよび図9Cに示すように、下方部に雨滴などの排水用のドレインである溝DR1がついた形状であってもよい。
【0030】
開口32の面積は、5cm以下であることが好ましく、0.01cm以上2cm以下であることがより好ましく、0.01cm以上1cm以下であることが更に好ましい。開口32の面積がこの範囲となることで、開口32に雨などの液体や異物が浸入することを抑制しつつ、電磁波Lを適切に取り込むことができる。なお、開口32の面積は、開口32の中心軸に沿った方向から見た場合の、開口32の面積を指す。
【0031】
(樹脂部材の取り付け位置)
図2に示すように、樹脂部材30は、窓部材10に取り付けられる。本実施形態において、樹脂部材30は、Z1方向(Z2方向)から見た場合に窓部材10と重ならないように、窓部材10に取り付けられる。ただし、樹脂部材30は、少なくとも一部分が、Z1方向(Z2方向)から見た場合に窓部材10と重なってもよい。樹脂部材30は、開口32の中心軸方向から見た場合に、開口32が窓部材10と重ならないように、窓部材10に取り付けられることが好ましい。
【0032】
また、図2に示すように、本実施形態において、樹脂部材30は、ワイパ領域ARの外側に位置するように、窓部材10に取り付けられる。すなわち、樹脂部材30は、ワイパWPが届かない位置に取り付けられる。ただし、樹脂部材30は、少なくとも一部の部分が、ワイパ領域AR内に位置してもよい。樹脂部材30は、開口32がワイパ領域ARの外側に位置するように、すなわち開口32がワイパWPの届かない位置となるように、窓部材10に取り付けられることが好ましい。
【0033】
図2に示すように、樹脂部材30には、窓部材10に取り付けられる箇所である取付部30Cが形成されており、取付部30Cを介して、窓部材10に取り付けられる。本実施形態では、車両Vに搭載された場合に鉛直方向下側の端部となる下端部が、取付部30Cとして用いられる。樹脂部材30は、下端部である取付部30Cが、窓部材10の上端部10Aに取り付けられる。これにより、樹脂部材30は、窓部材10の上部に配置される。なお、窓部材10の上端部10Aとは、車両Vに搭載された場合に鉛直方向上側となる端部であり、窓部材10の上部とは、車両Vに搭載された場合の窓部材10よりも鉛直方向上側の位置を指す。また、以下、窓部材10の下端部10Bとは、車両Vに搭載された場合に鉛直方向下側となる端部を指す。
【0034】
図2に示すように、樹脂部材30の高さL2は、窓部材10の高さL1より小さいことが好ましい。樹脂部材30の高さL2は、5mm以上200mm以下であることが好ましく、10mm以上150mm以下であることがより好ましく、10mm以上100mm以下であることが更に好ましい。また、樹脂部材30の高さL2は、窓部材10の高さL1に対して、20%以下であることが好ましく、1%以上15%以下であることがより好ましく、1%以上10%以下であることが更に好ましい。高さL2がこのような範囲となることで、ワイパWPで窓部材10の表面を広範囲で拭きつつ、樹脂部材30にワイパWPが重なることを抑制できる。なお、高さL1は、窓部材10の上端部10Aから下端部10Bまでの、窓部材10の車外側の表面における長さを指す。ただし、例えば窓部材10の表面が曲面の場合、上端部10Aから下端部10Bまでの、窓部材10の中心点において窓部材10の表面に接する方向における長さであってよい。窓部材10の中心点とは、窓部材10の厚み方向から見た場合の、窓部材10の中心位置を指す。また、高さL2は、樹脂部材30の上端部から下端部までの、樹脂部材30の表面30Aに沿った方向の長さを指す。ただし、例えば樹脂部材30の表面30Aが曲面の場合、上端部から下端部までの、樹脂部材30の中心点において樹脂部材30の表面30Aに接する方向における長さであってよい。樹脂部材30の中心点とは、樹脂部材30の厚み方向から見た場合の、樹脂部材30の中心位置を指す。また、樹脂部材30の上端部と下端部とは、車両Vに搭載された場合に、鉛直方向上側となる端部と、鉛直方向下側となる端部を指す。
【0035】
以上のように、樹脂部材30は、窓部材10の上部に取り付けられる。ただし、樹脂部材30は、窓部材10の上部に取り付けられることに限られない。例えば、樹脂部材30は、開口32が窓部材10と重ならず、かつ、開口32がワイパ領域ARの外側となる位置であって、窓部材10の上部以外の位置(例えば窓部材10の横の位置)に配置されるように、窓部材10に取り付けられてもよい。また、樹脂部材30は、開口32がワイパ領域ARの外側となるように取り付けられることにも限られない。例えば、樹脂部材30は、開口32がワイパ領域ARの範囲内となるように、窓部材10に取り付けられてもよい。
【0036】
樹脂部材30は、取付部30Cにおいて、任意の方法で窓部材10に取り付けられてよいが、以下で取り付け方法の例を説明する。図4Aから図4Dは、樹脂部材と窓部材の取り付け方向の例を示す一部断面図である。取付部30Cは、窓部材10(ここでは窓部材10の上端部10A)と、例えば接着剤により接合される。取付部30Cと窓部材10の上端部10Aとの接合部分の構造は、図4Aのように、取付部30Cと窓部材10の上端部10Aとの端面どうしが当接した構造であってもよい。また、図4Bのように、取付部30Cは、表面30A側の部分と表面30B側の部分とが、表面30Aに沿った方向に突出する形状となっており、これらの突出部の間に窓部材10の上端部10Aが嵌め込まれる構造であってもよい。また、図4C図4Dのように、取付部30Cは、表面30A側の部分と表面30B側の部分との一方が、他方よりも、表面30Aに沿った方向により突出する形状となっており、これらの突出部の間に窓部材10の上端部10Aが嵌め込まれる構造であってもよい。また図4Eのように、表面30Aと、窓部材10の車外側表面とが面一に形成されることが、空力や風切り音による騒音を防止する観点で好ましい。この場合、取付部30Cが表面30A側から見えてしまうことを防ぐため、窓部材10のうち、取付部30Cと接する部分を黒く着色することが好ましい。強度の観点からは図4B図4Dの構造が好ましく、特に車外からの衝撃に対する強度の観点からは図4B及び図4Cの構造が好ましい。なお、このとき、樹脂部材30と窓部材10の上端との間に、図示しないわずかな隙間を設けてもよい。樹脂部材30と窓部材10の上端との間に隙間があると、振動により窓部材10の上端に接着剤や樹脂部材30が衝突して窓部材10が割れることを防止できる。
【0037】
図5は、本実施形態の他の例に係る車両の概略正面図である。図1及び図2に示すように、本実施形態の樹脂部材30は、窓部材10の幅方向全体にわたって設けられている。ただし、窓部材10の幅方向全体にわたって設けられることに限られず、例えば図5に示すように、窓部材10の幅方向の一部に設けられてもよい。
【0038】
(センサユニット)
図3に示すセンサユニット40は、電磁波Lを検出する装置である。電磁波Lは、任意の波長の電磁波であってよいが、例えば、紫外線、可視光、近赤外線、遠赤外線などであってもよい。すなわち、センサユニット40は、可視光を検出する可視光カメラ、近赤外線を検出するLIDAR(Light Detection and Ranging)センサ、遠赤外線を検出する遠赤外カメラなどであってよい。なお、ここでの紫外線とは、例えば、波長が280nm~380nmの波長帯の電磁波であり、ここでの可視光とは、例えば、波長が380nm~800nmの波長帯の電磁波であり、近赤外線とは、例えば、800nm~3μmの波長帯の電磁波であり、遠赤外線とは、例えば、波長が4μm~1000μmの波長帯の電磁波である。また、ここでの380nm~800nm、800nm~3μm、4μm~1000μm、1mm~1cmとは、380nm以上800nm以下、800nm以上3μm以下、4μm以上1000μm以下を指し、以降でも同様である。
【0039】
センサユニット40は、電磁波Lを透過する透過部材42と、電磁波Lを検出するセンサ部44と、センサ部44などを収納する収納部46と、リレーレンズLNと、光学素子PRとを備える。このとき、騒音防止の観点からは、センサユニット40の最表面と、樹脂部材30の表面30Aとがなるべく凹凸が少ない形状に配置されていることが好ましい。
【0040】
(透過部材)
透過部材42は、電磁波Lを透過する部材である。ここでの透過とは、電磁波Lの透過率が、例えば50%以上であることを指す。透過部材42の透過率は、80%以上であることが好ましく、90%以上であることがより好ましい。透過部材42は、電磁波Lを透過する部材であれば、任意の材料で構成されてよい。例えば、電磁波Lが紫外線である場合には、透過部材42は、中間膜を備えないガラス板が好ましい。このとき、ガラス板の材料としては一般的なソーダライムガラス、アルミノシリケートガラス、ボロシリケートガラス、シリカガラスなど、種々のガラスが用いられる。ガラスは物理強化や化学強化して用いてもよい。また例えば、電磁波Lが可視光である場合には、透過部材42は、無色ソーダライムガラスやアルミノシリケートガラス、ボロシリケートガラス、シリカガラスなどであることが好ましい。また例えば、電磁波Lが近赤外線である場合には、赤外線吸収が低いWO2020/017495に記載されたような赤外線高透過ガラスやポリカーボネートのような透明樹脂が好ましい。や遠赤外線である場合には、透過部材42は、例えばZnS、Ge、Si、カルコゲナイトガラスなどであることが好ましい。この場合、カルコゲナイドガラスの好ましい組成としては、
原子%表示で、
Ge+Ga;7%~25%、
Sb;0%~35%、
Bi;0%~20%、
Zn;0%~20%、
Sn;0%~20%、
Si;0%~20%、
La;0%~20%、
S+Se+Te;55%~80%、
Ti;0.005%~0.3%、
Li+Na+K+Cs;0%~20%、
F+Cl+Br+I;0%~20%含有する組成である。そして、このガラスは、140℃~550℃のガラス転移点(Tg)を有することが好ましい。
【0041】
透過部材42の面積は、5cm以下であることが好ましく、0.01cm以上2cm以下であることがより好ましく、0.01cm以上1cm以下であることが更に好ましい。透過部材42の面積がこの範囲となることで、透過部材42に雨などの液体や異物が付着することを抑制しつつ、電磁波Lを適切に取り込むことができる。なお、透過部材42の面積は、透過部材42の中心軸に沿った方向から見た場合の、透過部材42の面積を指す。
【0042】
透過部材42は、開口32を介して、Z2方向側に露出している。すなわち、透過部材42は、開口32を介して、樹脂部材30の表面30AよりもZ2方向側の空間(車外側の空間)に露出している。言い換えれば、Z2方向側から開口32を見た場合に、透過部材42は、樹脂部材30に覆われずに、表面30A側に露出している。さらに言えば、透過部材42のZ2方向側の表面を露出面42Aとすると、露出面42Aが、開口32を介して、Z2方向側に露出しているともいえる。
【0043】
図3の例では、透過部材42は、開口32内に配置されている。ただし、透過部材42は、開口32内に配置されていることに限られない。透過部材42は、少なくとも一部が、開口32よりもZ1方向側(車内側)に、すなわち樹脂部材30の表面30BよりもZ1方向側に、配置されていてもよい。ただし、騒音防止の観点からは、透過部材42の露出面42Aと、樹脂部材30の表面30Aとが略面一に配置されていることが好ましい。なお、ここでの略面一とは、透過部材42の露出面42Aと、樹脂部材30の表面30Aとが面一であることを指すが、一般的な公差の範囲内で、露出面42Aと表面30Aとがずれていることも含まれる。また、透過部材42は、露出面42Aが、樹脂部材30の表面30Aに沿うように、鉛直方向に対して傾斜する方向に沿って配置されていてもよい。言い換えれば、透過部材42は、露出面42Aが、鉛直方向上側に向かうに従ってZ1方向側に傾斜するように、配置されていてもよい。
【0044】
図3の例では、透過部材42は、センサユニット40の最もZ2方向側に、すなわち電磁波Lの最も入射側の位置に、設けられたレンズである。本実施形態では、透過部材42は、露出面42AがZ2方向側を向き、かつ、露出面42Aが収納部46から外部に露出するように、収納部46に支持されている。
【0045】
(収納部)
収納部46は、透過部材42を支持し、センサ部44、リレーレンズLN、及び光学素子PRを収納する筐体である。収納部46は、本実施形態の例では、Z2方向側の端部46AからZ1方向側の端部46Bまで延在する筒状の筐体である。本実施形態では、収納部46は、端部46Aに、露出面42Aが収納部46から外部に露出するように、透過部材42が設けられており、端部46AよりもZ1方向側の位置に、センサ部44を収納する。また、収納部46は、端部46Bが閉塞している。
【0046】
本実施形態では、収納部46は、端部46Aと端部46Bとの間の中間部46Cで曲がる形状となっている。収納部46は、端部46Aから中間部46Cまで、Z1方向に向けて水平方向に沿って延在している。収納部46は、中間部46Cから端部46Bまで、Z1方向に向かうに従って鉛直方向上方側に向かうように、延在している。
【0047】
収納部46は、端部46Aが、開口32内に位置するように、樹脂部材30に取り付けられる。さらに言えば、収納部46は、端部46Aから、端部46Aと中間部46Cとの間の部分46Dまでが、開口32内に位置している。また、収納部46は、部分46Dから、中間部46Cを経て、中間部46Cと端部46Bとの間の部分46Eまでが、車内空間SPD内に位置している。車内空間SPDとは、窓部材10よりもZ1方向側の、車両V内の空間であり、運転席がある空間といえる。また、収納部46は、部分46Eから端部46Bまでが、ルーフ空間SP0内に位置している。ルーフ空間SP0は、車内空間SPDよりも鉛直方向上方の車両V内の空間であり、車両Vの屋根Rと、屋根Rの車内側の表面を覆う屋根カバーCとで囲われる空間である。すなわち、ルーフ空間SP0は、屋根カバーCを隔てて車内空間SPDと区分される空間であり、車両Vのルーフ部分であるともいえる。
【0048】
このように、収納部46は、端部46Aから部分46Dまでが開口32内にあり、部分46Dから中間部46Cを経て部分46Eまでが車内空間SPD内にあり、部分46Eから端部46Bまでがルーフ空間SP0内にあるが、収納部46が配置される位置はこれに限られない。例えば、端部46Aが、開口32よりもZ1方向側(車内側)に、すなわち樹脂部材30の表面30BよりもZ1方向側に、配置されていてもよい。また、上記の例では、部分46Eから端部46Bまでがルーフ空間SP0内に配置されているが、端部46Aと端部46Bとの間の任意の位置から端部46Bまでが(例えば中間部46Cから端部46Bまでが)、ルーフ空間SP0内に配置されてもよい。また、端部46Bは、ルーフ空間SP0内に配置されることに限られず、部分46Eから端部46Bまでが車内空間SPD内に配置されていてもよい。
【0049】
また、収納部46の形状は以上の例に限られず、任意の形状であってよく、例えば、中間部46Cで曲がる形状であることに限られない。さらに言えば、収納部46は必須の構成でなく、透過部材42、センサ部44、リレーレンズLN、光学素子PRは、収納部46に支持、収納されていなくてもよい。
【0050】
(リレーレンズと光学素子)
透過部材42とセンサ部44との間には、リレーレンズLNと光学素子PRとが設けられている。リレーレンズLNは、透過部材42を透過した電磁波Lをセンサ部44まで導くレンズである。リレーレンズLNは、収納部46内において、透過部材42とセンサ部44との間に設けられている。図3の例では、リレーレンズLNは複数設けられているが、リレーレンズLNの数は任意であり、例えば、開口32や透過部材42からセンサ部44までの距離に応じて設定されてよい。センサユニット40は、リレーレンズLNを設けることで、センサ部44を透過部材42から離れた位置に設置可能であるが、リレーレンズLNは必須の構成ではない。
【0051】
光学素子PRは、電磁波Lの進行方向を変化させる光学素子である。光学素子PRは、収納部46内の中間部46Cに設けられている。光学素子PRは、本実施形態ではプリズムであるが、電磁波Lの進行方向を変化可能な光学素子であれば、プリズムに限られない。例えば、光学素子PRは、電磁波Lを反射するミラーであってもよい。センサユニット40は、光学素子PRを設けることで、例えば、透過部材42を開口32内に配置しつつセンサ部44をルーフ空間SP0に配置可能となるなど、設置の自由度を向上できるが、光学素子PRは必須の構成ではない。
【0052】
(センサ部)
センサ部44は、電磁波Lを検出する素子である。より詳しくは、センサ部44は、電磁波Lを受光して電気信号に変換することで、電磁波Lの強度などを検出する撮像素子である。例えば、電磁波Lが紫外線である場合には、センサ部44は、紫外線受光器を備えたセンサ、電波Lが可視光である場合には、センサ部44は、CCD(Charged Coupling device)や、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)などであってよい。また、電磁波Lが近赤外線や遠赤外線である場合、センサ部44は、赤外線撮像素子であってよい。なお、センサユニット40は、電磁波Lを照射する照射源をさらに有していてもよく、この場合、センサ部44は、照射源から照射されて対象物から反射された電磁波Lを、受光する。
【0053】
センサ部44は、透過部材42よりも、Z1方向側に設けられている。すなわち、センサ部44は、透過部材42よりも、電磁波Lの進行方向側に設けられている。さらに言えば、センサ部44は、リレーレンズLN及び光学素子PRよりも、Z1方向側に、すなわち電磁波Lの進行方向側に、設けられている。本実施形態では、センサ部44は、収納部46の内部に設けられており、透過部材42、リレーレンズLN及び光学素子PRが支持されている位置よりも、Z1方向側に固定されている。
【0054】
本実施形態では、センサ部44は、車両Vのルーフ空間SP0内に設けられている。すなわち、センサ部44は、収納部46のうちのルーフ空間SP0内の箇所に設けられている。また、ルーフ空間SP0には、センサ部44に接続される配線Nなど、車両Vの電装用の配線が配置されている。
【0055】
センサユニット40においては、開口32内に向けてZ1方向側に進行する電磁波Lが、透過部材42の露出面42Aに入射する。露出面42Aに入射した電磁波Lは、透過部材42の露出面42Aと反対側の表面から出射して、収納部46内を進行して、リレーレンズLNを透過しつつ、光学素子PRに入射する。光学素子PRに入射した電磁波Lは、進行方向が変化して、センサ部44に向けて進行し、センサ部44の受光面44Aに入射する。これにより、センサユニット40は、電磁波Lを検出する。
【0056】
ここで、樹脂部材30の開口32の表面30A側の端部から、センサ部44までの、光軸方向に沿った距離を、距離D1とする。この場合、距離D1は、5cm以上であり、5cm以上100cm以下であることが好ましく、5cm以上30cm以下であることが更に好ましい。距離D1がこの範囲となることで、センサ部44を車両用窓部材Wから車内側に十分に離して配置することが可能となり、センサの設置位置の自由度を確保できる。なお、距離D1は、開口32の表面30A側の端部における中心位置から、センサ部44の受光面44Aの中心位置までの、光軸方向に沿った距離ともいえる。ここでの光軸方向とは、センサユニット40の光軸の方向を指し、本実施形態では、収納部46の中心軸AXに沿った方向を指す。さらに言えば、光軸方向は、センサユニット40の光軸中心を進行する電磁波Lの進行方向ともいえる。図3の例では、光軸方向は、透過部材42、リレーレンズLNの中心を通り、光学部材PRで方向が切り替わりつつ、センサ部44の中心まで結ばれる線分に沿った方向である。
【0057】
以上説明したように、本実施形態に係る車両用窓部材Wは、窓部材10に樹脂部材30が取り付けられおり、樹脂部材30に、センサ部44を含むセンサユニット40が取り付けられている。また、樹脂部材30には開口32が形成されており、センサ部44は、この開口32に入射した電磁波Lを受信する。そのため、本実施形態においては、電磁波Lが窓部材10によって遮られることが抑制されて、電磁波Lを適切に検出できる。また、樹脂部材30に開口32を形成するため、例えばガラスに開口を形成する場合に比べて、コストや工数、加工精度の観点から好ましい。さらに、本実施形態においては、開口32からセンサ部44までの距離D1を長くしている。そのため、センサ部44などのセンサユニット40の部品を、樹脂部材30や窓部材10から離して配置することが可能となり、樹脂部材30や窓部材10に近い他の部材との干渉を抑えて、センサの設置場所の自由度を確保することができる。また、本実施形態においては、レンズとしての透過部材42を開口32側に配置し、センサ部44を離して配置しているため、透過部材42によって電磁波Lを適切に取り込みつつ、センサの設置場所の自由度を確保することができる。さらに、このような構成でリレーレンズLNを用いることで、開口32の径を小さく保ったままセンサ部44を離して配置することが可能となり、透過部材42に異物が付着することを抑制して、センサの検出精度の低下を抑制しつつ、設置の自由度を適切に確保できる。
【0058】
(センサユニットの他の例)
センサユニット40の構成は、図3に示したものに限られない。以下、センサユニット40の他の構成例について説明する。図6及び図7は、本実施形態に係るセンサユニットの他の例を示す模式図である。例えば、収納部46は、図6に示すように、収納部46が、中間部46Cと端部46Bとの間の部分46Fから端部46Bまでにおいて、Z1方向に向かいつつ水平方向に沿うように、形成されていてもよい。そして、部分46Fにおいて、収納部46内にもう1つの光学素子PRを設けてよい。この場合、透過部材42の露出面42Aに入射した電磁波Lは、透過部材42の露出面42Aと反対側の表面から出射されて、収納部46内を進行して、リレーレンズLNを透過しつつ、1つ目の光学素子PRに入射する。1つ目の光学素子PRに入射した電磁波Lは、進行方向が変化して、Z1方向に向かうに従って鉛直方向上側に傾斜して進行し、2つ目の光学素子PRに入射する。2つ目の光学素子PRに入射した電磁波Lは、進行方向が変化して、センサ部44に向けて進行し、センサ部44の受光面44Aに入射する。
【0059】
また例えば、図7に示すように、センサ部44をルーフ空間SP0内に配置しなくてもよい。この場合例えば、収納部46は、端部46Aから端部46Bまで、水平方向に沿って延在していてよく、光学素子PRが設けられていなくてもよい。この場合、透過部材42の露出面42Aに入射した電磁波Lは、透過部材42の露出面42Aと反対側の表面から出射されて、収納部46内を進行して、リレーレンズLNを透過しつつ、センサ部44の受光面44Aに入射する。
【0060】
図8は、透過部材の他の例を示す模式図である。上記の説明では、透過部材42は、センサユニット40において電磁波Lの最も入射側の位置に設けられたレンズであったが、それに限られない。例えば、図8に示すように、透過部材42は、センサユニット40を保護するカバーであってもよい。この場合、センサユニット40は、透過部材42と、センサ部44と、収納部46と、レンズ48と、リレーレンズLNと、光学素子PRとを備える。レンズ48は、受光面がZ2方向側を向くように、収納部46に支持される。センサ部44は、レンズ48よりもZ1方向側に設けられ、リレーレンズLN及び光学素子PRは、レンズ48とセンサ部44との間に設けられる。そして、透過部材42は、レンズ48よりもZ2方向側に設けられており、開口32を介して、Z2方向側に露出している。図8の例では、透過部材42は、カバーとして機能するため、開口32を塞ぐように設けられることが好ましい。
【0061】
図8の例においては、開口32内に向けてZ1方向側に進行する電磁波Lが、透過部材42の露出面42Aに入射される。露出面42Aに入射された電磁波Lは、透過部材42の露出面42Aと反対側の表面から出射されて、レンズ48を透過して、リレーレンズLN、光学素子PRを経由して、センサ部44の受光面44Aに入射する。これにより、センサユニット40は、電磁波Lを検出する。なお、図8のカバーとしての透過部材42の構成は、図6図7の例にも適用可能である。
【0062】
また、以上の説明では、樹脂部材30に1つの開口32が形成され、その1つの開口32に対して、1つのセンサユニット40が設けられていた。ただしそれに限られず、例えば、1つの開口32に、複数のセンサユニット40が設けられていてもよい。また例えば、樹脂部材30に複数の開口32が形成され、それぞれの開口32毎に、1つのセンサユニット40が設けられていてもよいし、開口32に複数のセンサユニット40が設けられてもよい。
【0063】
(気体供給部)
上述のように、透過部材42の露出面42Aは、開口32を介して外部に露出しているが、本実施形態では、開口32の面積を小さくすることで、水や異物が露出面42Aに付着することが抑制される。ただし、水や異物が露出面42Aに付着することをより好適に抑制するために、気体供給部60を設けて、気体供給部60から供給された気体ARを露出面42Aに噴射することが好ましい。これにより、露出面42Aから水や異物を除去して、電磁波Lの検出精度の低下を、より好適に抑制できる。以下、気体供給部60について説明する。
【0064】
図9Aは、本実施形態の他の例に係る車両用樹脂部材の模式的な断面図である。図9Aに示すように、車両用樹脂部材20は、気体供給部60をさらに備えていることが好ましい。この場合、図9Aに示すように、センサユニット40は、収納部46の外周を囲う外管部50を備えた二重管構造であることが好ましい。外管部50は、Z1方向側の端部からZ2方向側の端部まで延在する円筒状の部材であり、Z2方向側の端部が開口している。外管部50は、内周面が収納部46の外周面から離れた状態で、収納部46の外周面を囲うように設けられている。収納部46の外周面と外管部50の内周面との間の空間を、空間SPとすると、空間SPは、樹脂部材30の表面30AよりもZ2方向側の空間(車外側の空間)に連通している。外管部50は、Z2方向側の端部において、Z2方向側に向かうに従って、内径が小さくなる形状となることが好ましい。言い換えれば、空間SPは、Z2方向側の端部において、Z2方向側に向かうに従って断面積が小さくなっていることが好ましい。このように空間SPが形成されることで、空間SPから噴射される気体ARの流速を大きくして、水や異物を適切に除去できる。ただし、外管部50の形状は任意である。例えば、外管部50は、円筒状であることに限られず、多角筒状であってもよい。
【0065】
気体供給部60は、透過部材42の露出面42Aに気体ARを供給する。気体供給部60から露出面42Aに供給された気体ARは、露出面42A上の水や異物などを除去しつつ、樹脂部材30の表面30AよりもZ2方向側の空間(車外側の空間)に排出される。本実施形態において、気体ARは、空気である。気体供給部60は、車両Vの空調に使用される空気を、気体ARとして露出面42Aに供給してもよいし、別途タンクに貯留された空気を、気体ARとして露出面42Aに供給してもよいし、外気を取り込んで、気体ARとして露出面42Aに供給してもよい。なお、外気を用いる場合には、フィルターなどで異物が除去された外気を用いることが好ましい。このように、本実施形態では、気体ARとして空気が用いられるが、気体ARは空気であることに限られず、任意の気体であってよい。また、駐車中などに外気の侵入を防ぐために気体供給部60の任意の場所に図示しない弁部材を設けて気流を遮断してもよい。
【0066】
本実施形態では、気体供給部60は、透過部材42よりもZ1方向側から、露出面42Aに向けて気体ARを供給する。さらに言えば、本実施形態では、気体供給部60は、透過部材42よりもZ1方向側から、空間SP内に気体ARを供給する。気体ARは、空間SP内をZ1方向側に流れて、空間SPのZ2方向側の端部にある透過部材42の露出面42A上を通って、樹脂部材30の表面30AよりもZ2方向側の空間(車外側の空間)に排出される。
【0067】
気体供給部60は、車両Vのルーフ空間SP0内に設けられることが好ましい。気体供給部60がルーフ空間SP0内に設けられることで、窓部材10の近傍に機器が集中することが抑制されて、機器の設置の自由度を向上できる。ただし、気体供給部60の設置位置は任意であってよい。
【0068】
以下、気体供給部60の詳細構成を説明する。図9Aに示すように、気体供給部60は、筐体62と、接続管64と、ブロア66と、制御部68とを備える。筐体62は、透過部材42よりもZ1方向側に設けられる。より詳しくは、図9Aの例では、筐体62は、ルーフ空間SP0内において、収納部46よりもZ1方向側に設けられて、外管部50のZ1方向側の端部を閉塞する。また、筐体62には、筐体62の外部と筐体62の内部の空間とを連通する開口62A、62Bが形成されている。本実施形態では、開口62Aは、筐体62の鉛直方向上側の面に開口しているが、開口62Aの位置はそれに限られず任意である。開口62Bは、収納部46と外管部50との間の空間SPと、筐体62の内部の空間とを連通する。本実施形態では、開口62Bは、筐体62の鉛直方向下側の表面に開口しているが、空間SPと筐体62の内部の空間とを連通する位置であれば、任意の位置に開口してもよい。また、開口62Bは、1つでなく複数形成されていてもよい。
【0069】
接続管64は、開口62Aに接続される菅である。接続管64は、気体ARの供給源(図示略)にも接続されており、供給源からの気体ARを筐体62に流入させる。なお、気体ARの供給源は、任意のものであってよく、例えば、車両Vの空調設備であってもよいし、気体ARを貯留するタンクなどであってもよいし、ポンプ等を設置してもよいし、外気を取り込む機構であってもよい。
【0070】
ブロア66は、接続管64に設けられる。ブロア66は、駆動することによって、接続管64から筐体62に、気体ARを流入させる。なお、ブロア66の設けられる位置は、接続管64内であることに限られず、筐体62に気体ARを流入可能な任意の位置に設けられてよい。
【0071】
制御部68は、ブロア66を駆動させる装置である。制御部68は、例えば、ECU(Electronic Control Unit)であってもよいし、ブロア66を駆動させる回路であってもよい。
【0072】
気体供給部60は、以上のような構成となっている。気体供給部60から透過部材42の露出面42Aに気体ARを供給する場合には、制御部68が、ブロア66を駆動させる。ブロア66が駆動されることにより、接続管64から筐体62内に、気体ARが供給される。筐体62内では、気体ARが所定の圧力に加圧されて、加圧された気体ARは、開口62Bから空間SP内に供給される。気体ARは、空間SP内を、Z2方向側に流れて、空間SPのZ2方向側の端部にある透過部材42の露出面42A上を通って、樹脂部材30の表面30AよりもZ2方向側の空間(車外側の空間)に排出される。これにより、露出面42A上の水や異物が除去される。
【0073】
なお、気体供給部60は、露出面42A上における気体ARの圧力が、露出面42AにおいてZ1方向側に作用する圧力よりも高い圧力となるように、気体ARを供給することが好ましい。露出面42AにおいてZ1方向側に作用する圧力は、車両Vの走行によって作用する動圧ともいえる。本実施形態においては、気体供給部60は、筐体62内での気体ARの圧力Pが、次の式(1)を満たすように、気体ARを取り込むことが好ましい。すなわち、気体供給部60は、筐体62内での気体ARの圧力Pが次の式(1)を満たすように、設計されることが好ましい。例えば、筐体62の容積、開口62Bの面積、ブロア66の駆動力などを設定することで、筐体62内での気体ARの圧力Pを、所望する値に設定できる。
【0074】
P>P0+PL ・・・(1)
【0075】
式(1)において、PLは、空間SP内の圧力損失である。また、P0は、露出面42AにおいてZ1方向側に作用する圧力であり、車両Vの走行によって作用する動圧である。すなわち、圧力Pは、空間SPの圧力損失と露出面42Aに作用する動圧との合計値よりも、大きくなるように設定されることが好ましい。このように圧力Pを設定することで、露出面42Aに気体ARをパージ(噴射)できる十分な流速を確保できる。なお、P0は、次の式(2)により算出可能である。
【0076】
P0=(1/2)・ρ・VE ・・・(2)
【0077】
式(2)において、ρは、外気の密度であり、VEは、車両Vの速度である。この場合、例えば車両Vの速度の上限値を規定し、その上限値をVEとして、式(1)、(2)を満たすように、気体供給部60を設計すればよい。
【0078】
図9Bは、本実施形態の他の例に係る車両用樹脂部材の模式的な断面図であり、図9Cは、本実施形態の他の例に係る開口部の拡大正面図である。図9Bおよび図9Cに示すように、開口32は、下方部に雨滴などの排水用のドレインがついた形状であってもよい。すなわち、開口32の鉛直方向の下側の部分に、ドレインDRが形成されていてもよい。ドレインDRは、排水口として機能するものであれば任意の形状であってよいが、例えば、図9B及び図9Cに例示するように、開口32の内周面に形成された溝DR1と、外管部50の先端に形成された突出部DR2とで、ドレインDRを構成してもよい。溝DR1は、開口32の内周面の、鉛直方向の下側の部分に形成されており、Z2方向に沿って延在して樹脂部材30の表面30Aまで連通している。また、突出部DR2は、外管部50の鉛直方向の下側の部分に形成されており、Z2方向に沿って延在して外管部50のZ2方向側の端部まで形成されている。突出部DR2は、溝DR1内に嵌め合うように配置される。これにより、突出部DR2が、液体をZ2方向側の端部から外部に排出する流路となり、ドレインDRとして機能する。このようにドレインDRを設けることで、気体ARによって露出面42から除去された液体がドレインDRを介して外部に排出されやすくなるため、好適である。
【0079】
(透過部材の他の例)
図10は、透過部材の他の例を示す模式図である。図10に示すように、透過部材42は、露出面42A側に、反射防止膜LA1が形成され、露出面42Aと反対側の表面42Bに、反射防止膜LA2が形成されてもよい。反射防止膜LA1、LA2は、電磁波Lの反射を抑制するAR(Anti Reflection)膜である。反射防止膜LA1、LA2は、センサユニット40の検出対象となる電磁波Lの波長に応じて、任意の材料とすることができる。なお、図10のように、露出面42Aと表面42Bとの両面に反射防止膜を形成することに限られず、露出面42Aと反対側の表面42Bとの少なくとも一方に、電磁波Lの反射を抑制する反射防止膜が形成されていてもよい。
【0080】
センサを窓部材10の車内側に設けている場合、電磁波Lの反射を抑制するためには、窓部材10の一部分のみに膜を形成することは困難である。それに対し、本実施形態においては、樹脂部材30の開口32を介して、電磁波Lを取り込むため、透過部材42のみに反射防止膜を形成すればよくなり、好適である。
【0081】
また、透過部材42は、露出面42Aよりも表面42B側に、導電膜が形成されていてもよい。この場合、導電膜には、電流が流れる配線が接続されており、配線を介して、導電膜に電流が印加される。透過部材42は、電流が印加されることにより加熱されて、露出面42Aの曇りを除去できたり、融氷できたりする。なお、露出面42Aの曇りの除去方法は、導電膜を形成することに限られない。例えば、気体供給部60から供給される気体ARを、高温の気体とすることで、気体ARによって透過部材42を加熱し、曇りを除去できる。
【0082】
また、透過部材42は、露出面42Aに、撥水処理を施してもよい。すなわち、露出面42Aが、撥水性であってもよい。露出面42Aを撥水性とすることで、露出面42A上の水滴を小さくして、気体ARによって水滴を適切に除去できる。
【0083】
また、透過部材42は、露出面42Aに、親水処理、又は吸水処理を施してもよい。すなわち、露出面42Aが、親水性であってもよい。露出面42Aを親水性又は吸水性とすることで、露出面42A上から水が流れ落ちやすくすることができ、露出面42A上から水を適切に除去できる。また、この処理により曇りを抑制できる。
【0084】
(効果)
以上説明したように、本実施形態に係る車両用樹脂部材20は、車両Vの窓部材10に取り付けられるものであって、樹脂部材30と、センサ部44とを備える。樹脂部材30は、車外側となる一方の表面30Aから車内側となる他方の表面30Bまで貫通する開口32が形成される。センサ部44は、樹脂部材30よりも、一方の表面30Aから他方の表面30Bに向かうZ1方向側(第1方向側)に設けられて、開口32を通る電磁波Lを受信する。開口32の一方の表面30A側の端部からセンサ部44までの、電磁波Lの光軸方向に沿った距離D1は、5cm以上である。
【0085】
本実施形態に係る車両用樹脂部材20を用いた場合、開口32を通った電磁波Lをセンサ部44で受光して、電磁波Lを検出する。そのため、本実施形態に係る車両用樹脂部材20を用いると、電磁波Lが窓部材10によって遮られることが抑制されて、電磁波Lを適切に検出できる。さらに、本実施形態においては、センサ部44と開口32との間の距離D1を長くしている。そのため、センサ部44などのセンサユニット40の部品を、樹脂部材30や窓部材10から離して配置することが可能となり、樹脂部材30や窓部材10に近い他の部材との干渉を抑えて、センサの設置場所の自由度を確保することができる。
【0086】
また、車両用樹脂部材20は、窓部材10の上部に配置されることが好ましい。窓部材10の上部に車両用樹脂部材20を配置することで、電磁波Lを適切に検出することができる。
【0087】
また、開口32の面積は、5cm以下であることが好ましい。本実施形態に係る車両用樹脂部材20は、開口32の面積をこのように小さくすることで、開口32内に水や異物が浸入することが抑制されて、センサの検出精度の低下を抑制できる。
【0088】
また、車両用樹脂部材20は、センサ部44よりも、他方の表面30Bから一方の表面30Aに向かうZ2方向(第2方向)側に設けられて、開口32を介して、一方の表面30A側に露出して設けられる透過部材42をさらに備えることが好ましい。センサ部44は、透過部材42を透過した電磁波Lを受信する。本実施形態に係る車両用樹脂部材20は、透過部材42を備えることで、電磁波Lを適切に受信できる。
【0089】
透過部材42とセンサ部44との間には、リレーレンズLNが設けられることが好ましい。本実施形態に係る車両用樹脂部材20は、リレーレンズLNを用いることで、開口32の径を小さく保ったままセンサ部44を離して配置することが可能となり、透過部材42に異物が付着することを抑制して、センサの検出精度の低下を抑制しつつ、設置の自由度を適切に確保できる。
【0090】
透過部材42とセンサ部44との間には、電磁波Lの進行方向を変化させる光学素子PRが設けられることが好ましい。光学素子PRを設けることで、例えば、透過部材42を開口32内に配置しつつセンサ部44をルーフ空間SP0に配置可能となるなど、設置の自由度を向上できるが、光学素子PRは必須の構成ではない。
【0091】
透過部材42は、開口32内に位置しており、センサ部44は、車両Vのルーフ部分に配置されることが好ましい。本実施形態においては、電磁波Lを取り込む透過部材42を開口32側に配置し、センサ部44を開口32から離して配置しているため、透過部材42によって電磁波Lを適切に取り込みつつ、センサの設置場所の自由度を確保することができる。
【0092】
車両用樹脂部材20は、気体供給部60をさらに備えることが好ましい。気体供給部60は、透過部材42の、Z2方向側(一方の表面30A側)に露出する露出面42Aに向けて気体ARを供給する。透過部材42の露出面42Aは、開口32を介して外部に露出しているため、水や異物が露出面42Aに付着し、電磁波Lの検出精度が低下するおそれがある。それに対し、本実施形態においては、気体供給部60によって、露出面42Aから水や異物を除去して、電磁波Lの検出精度の低下を、より好適に抑制できる。
【0093】
気体供給部60は、露出面42Aに供給された気体ARが、開口32のZ2方向側(一方の表面30A側)から排出されるように、気体ARを供給することが好ましい。本実施形態においては、気体ARが露出面42Aに供給された後に車外側に排出されるため、異物を適切に除去して、電磁波Lの検出精度の低下を、より好適に抑制できる。
【0094】
車両用樹脂部材20は、収納部46と外管部50とをさらに備えることが好ましい。収納部46は、センサ部44を収納し、透過部材42の露出面42Aが露出するように透過部材42を保持する。外管部50は、収納部46の外周面と空間SPを隔てつつ、収納部46の外周面を囲う。気体供給部60は、空間SP内に、透過部材42よりもZ1方向側から、Z1方向と反対のZ2方向(第2方向)に向けて、気体ARを供給する。本構成によると、気体ARを好適に露出面42Aに噴射することが可能となり、電磁波Lの検出精度の低下を、より好適に抑制できる。
【0095】
気体供給部60は、ノズル70を備え、ノズル70から露出面42Aに向けて、気体ARを噴射してもよい。本構成によると、気体ARを好適に露出面42Aに噴射することが可能となり、電磁波Lの検出精度の低下を、より好適に抑制できる。
【0096】
透過部材42は、Z2方向側に露出する露出面42Aと、露出面42Aと反対側の表面42Bとの少なくとも一方に、センサ部44に入射する電磁波Lの反射を抑制する反射防止膜が形成されていることが好ましい。本構成によると、電磁波Lの反射を抑えて、電磁波Lの検出精度の低下を、より好適に抑制できる。
【0097】
透過部材42は、Z2方向側に露出する露出面42Aよりも他方の表面42B側に、導電層が形成されることが好ましい。本構成によると、導電層に電流を流して透過部材42を加熱することが可能となるため、露出面42Aの曇りを除去して、電磁波Lの検出精度の低下を、より好適に抑制できる。
【0098】
透過部材42は、露出面42Aが、撥水性であってよい。露出面42Aを撥水性とすることで、露出面42A上の水滴を小さくして、気体ARによって水滴を適切に除去できる。
【0099】
また、透過部材42は、露出面42Aが、親水性又は吸水性であってもよい。露出面42Aを親水性とすることで、露出面42A上から水が流れ落ちやすくすることができ、露出面42A上から水を適切に除去できる。また、露出面42Aを吸水性とすることで、露出面42A上の水を吸収して、露出面42A上から水を適切に除去できる。
【0100】
本実施形態に係る車両用窓部材Wは、車両用樹脂部材20と、窓部材10とを備える。車両用樹脂部材20の樹脂部材30は、開口32が、窓部材10と重ならないように、窓部材10に取り付けられる。本構成によると、車両用樹脂部材20を設けるため、センサの設置場所の自由度を確保することができる。
【0101】
本実施形態に係る車両Vは、車両用窓部材Wを備える。本構成によると、車両用樹脂部材20を設けるため、センサの設置場所の自由度を確保することができる。
【0102】
以上、本発明の実施形態を説明したが、この実施形態の内容により実施形態が限定されるものではない。また、前述した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、前述した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。さらに、前述した実施形態の要旨を逸脱しない範囲で構成要素の種々の省略、置換又は変更を行うことができる。
【符号の説明】
【0103】
10 窓部材
20 車両用樹脂部材
30 樹脂部材
30A、30B 表面
32 開口
40 センサユニット
42 透過部材
42A 露出面
44 センサ部
46 収納部
50 外管部
60 気体供給部
AR 気体
D1 距離
D2 径
L 電磁波
SP 空間
V 車両
W 車両用窓部材
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図4D
図4E
図5
図6
図7
図8
図9A
図9B
図9C
図10