(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022077643
(43)【公開日】2022-05-24
(54)【発明の名称】(メタ)アクリル樹脂、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物、硬化物、印刷インキ及び印刷物
(51)【国際特許分類】
C08F 220/20 20060101AFI20220517BHJP
C08F 265/06 20060101ALI20220517BHJP
C08F 4/04 20060101ALI20220517BHJP
C08F 2/44 20060101ALI20220517BHJP
C08F 2/50 20060101ALI20220517BHJP
C09D 11/101 20140101ALI20220517BHJP
C09D 11/107 20140101ALI20220517BHJP
【FI】
C08F220/20
C08F265/06
C08F4/04
C08F2/44 C
C08F2/50
C09D11/101
C09D11/107
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020188547
(22)【出願日】2020-11-12
(71)【出願人】
【識別番号】000002886
【氏名又は名称】DIC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100177471
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 眞治
(74)【代理人】
【識別番号】100163290
【弁理士】
【氏名又は名称】岩本 明洋
(74)【代理人】
【識別番号】100149445
【弁理士】
【氏名又は名称】大野 孝幸
(72)【発明者】
【氏名】海野 晃生
(72)【発明者】
【氏名】出口 義信
(72)【発明者】
【氏名】小谷 泰子
【テーマコード(参考)】
4J011
4J015
4J026
4J039
4J100
【Fターム(参考)】
4J011PA69
4J011PC02
4J011PC08
4J011QA23
4J011QA24
4J011RA03
4J011SA02
4J011SA15
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4J011SA28
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4J015AA04
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4J039AC00
4J039AD09
4J039BC57
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4J039GA01
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4J039GA10
4J100AB02Q
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4J100AJ02T
4J100AL03R
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4J100AL08R
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4J100JA07
(57)【要約】
【課題】乾燥性、インキ流動性、及び高速印刷適正に優れた(メタ)アクリル樹脂、これを含有する活性エネルギー線硬化性樹脂組成物、硬化物、印刷インキ及び印刷物を提供する。
【解決手段】多官能(メタ)アクリレート化合物(A)、及び前記化合物(A)以外の重合性不飽和基を有する化合物(B)を含む重合性化合物を、重合開始剤(C)の存在下で共重合させて得られる(メタ)アクリル樹脂であって、前記重合開始剤(C)が、アゾ系開始剤であることを特徴とする(メタ)アクリル樹脂を用いる。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
多官能(メタ)アクリレート化合物(A)、及び前記化合物(A)以外の重合性不飽和基を有する化合物(B)を含む重合性化合物を、重合開始剤(C)の存在下で共重合させて得られる(メタ)アクリル樹脂であって、
前記重合開始剤(C)が、アゾ系開始剤であることを特徴とする(メタ)アクリル樹脂。
【請求項2】
前記化合物(A)の使用量が、前記重合性化合物中に10~90モル%の範囲である請求項1記載の(メタ)アクリル樹脂。
【請求項3】
前記化合物(A)が、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート又はジトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートである請求項1又は2記載の(メタ)アクリル樹脂。
【請求項4】
前記アゾ系開始剤が、分子中に、イミダゾリン基、アミジン基、アミド基、及びニトリル基からなる群より選ばれる一種以上の極性基を有するものである請求項1~3の何れか1項記載の(メタ)アクリル樹脂。
【請求項5】
前記アゾ系開始剤が、アゾビスイソブチロニトリル及び/又は2,2’-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)である請求項1~4の何れか1項記載の(メタ)アクリル樹脂。
【請求項6】
前記(メタ)アクリル樹脂の分散度〔重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)〕が、1~50の範囲である請求項1~5の何れか1項記載の(メタ)アクリル樹脂。
【請求項7】
請求項1~6の何れか1項記載の(メタ)アクリル樹脂と、光重合開始剤とを含有することを特徴とする活性エネルギー線硬化性樹脂組成物。
【請求項8】
請求項7記載の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の硬化物。
【請求項9】
請求項7記載の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を含有することを特徴とする印刷インキ。
【請求項10】
請求項9記載の印刷インキで印刷されたことを特徴とする印刷物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、(メタ)アクリル樹脂、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物、硬化物、印刷インキ及び印刷物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、紙面、プラスチック、金属等を基材とした印刷物を得るため、平版、凸版、凹版、孔版印刷に代表される種々の印刷方式が採用されており、この印刷方式に準じたインキが使用されている。近年、印刷物の短納期化及び環境対応志向を背景に、従来使用されていた油性インキから、速乾性で溶剤を使用しない活性エネルギー線硬化性印刷インキへの代替使用が拡大している。特に、高速印刷化に重点がおかれ、さらなる印刷速度の高速化が望まれている。
【0003】
また、活性エネルギー線硬化性印刷インキのバインダ-樹脂には、従来からジアリルフタレ-ト樹脂が広く利用されているが、近年、当該ジアリルフタレ-ト樹脂の原料であるジアリルフタレ-トの毒性が指摘され、これに代わる毒性懸念のない樹脂材料の開発が求められている。
【0004】
ジアリルフタレ-ト樹脂以外の活性エネルギー線硬化性印刷インキ用バインダ-樹脂としては、例えば、多官能イソシアネ-ト化合物と2-ヒドロキシエチルアクリレートとを、イソシアネ-ト基が過剰となる割合で反応させ、次いで、得られた反応生成物の残存イソシアネ-ト基に対して酸ジオ-ル及びポリオ-ルを反応させて得られるウレタンアクリレート樹脂が知られている(例えば、特許文献1参照。)。このようなウレタンアクリレート樹脂は、皮膚刺激性の高い2-ヒドロキシエチルアクリレートが樹脂中に残存することがなく、印刷インキを取り扱う上での安全性や衛生面に優れるものの、乾燥性、インキ流動性、高速印刷適正等の諸性能が十分なものではなかった。
【0005】
そこで、乾燥性、インキ流動性、及び高速印刷適正に優れた材料が求められていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、乾燥性、インキ流動性、及び高速印刷適正に優れた(メタ)アクリル樹脂、これを含有する活性エネルギー線硬化性樹脂組成物、硬化物、印刷インキ及び印刷物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討を行った結果、多官能(メタ)アクリレート化合物、及び前記化合物以外の重合性不飽和基を有する化合物を含む重合性化合物を、特定の重合開始剤の存在下で共重合させて得られる(メタ)アクリル樹脂を用いることによって、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させた。
【0009】
すなわち、本発明は、多官能(メタ)アクリレート化合物(A)、及び前記化合物(A)以外の重合性不飽和基を有する化合物(B)を含む重合性化合物と、重合開始剤(C)の存在下で共重合させて得られる(メタ)アクリル樹脂であって、前記重合開始剤(C)が、アゾ系開始剤であることを特徴とする(メタ)アクリル樹脂、これを含有する活性エネルギー線硬化性樹脂組成物、硬化物、印刷インキ、及び印刷物に関するものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明の(メタ)アクリル樹脂は、優れた乾燥性、インキ流動性、及び高速印刷適正を有することから、印刷インキ等に好適に用いることができる。
【0011】
本発明の(メタ)アクリル樹脂は、多官能(メタ)アクリレート化合物(A)、及び前記化合物(A)以外の重合性不飽和基を有する化合物(B)を含む重合性化合物を、重合開始剤(C)の存在下で共重合させて得られるものである。
【0012】
前記化合物(A)としては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エートキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロポキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリス[(メタ)アクリロイルオキシエチル]イソシアヌレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、又はジトリメチロールプロパンヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの化合物(A)は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。また、これらの中でも、乾燥性、インキ流動性、及び高速印刷適正に優れた(メタ)アクリル樹脂が得られることから、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エートキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレートが好ましい。
【0013】
前記化合物(A)の使用量は、前記(メタ)アクリル樹脂の原料中に10~90モル%の範囲であり、乾乾燥性、インキ流動性、及び高速印刷適正に優れた(メタ)アクリル樹脂が得られることから、10~50モル%の範囲が好ましい。
【0014】
前記化合物(B)としては、例えば、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシペンチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-ブトキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-メトキシプロピル(メタ)アクリレート、2-(メタ)アクリロイロキシエチル-2-ヒドロキシエチルフタレート、ジエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、グリセリンモノ(メタ)アクリレート、、グリセリンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート等の脂肪族(メタ)アクリレート化合物;アクリル酸4-ヒドロキシフェニル、アクリル酸β-ヒドロキシフェネチル、アクリル酸4-ヒドロキシフェネチル、アクリル酸1-フェニル-2-ヒドロキシエチル、アクリル酸3-ヒドロキシ-4-アセチルフェニル、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピルアクリレート等の芳香環含有(メタ)アクリレート化合物;前記(メタ)アクリレート化合物と、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、テトラヒドロフラン、エチルグリシジルエーテル、プロピルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル等の種々の環状エーテル化合物との開環重合によって得られるポリエーテル変性(メタ)アクリレート化合物;前記(メタ)アクリレート化合物とε-カプロラクトン等のラクトン化合物との重縮合によって得られるラクトン変性(メタ)アクリレート化合物等のモノヒドロキシ(メタ)アクリレート化合物、トリメチロールプロパンモノ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールモノ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート等のポリオールアクリレート化合物などの水酸基及び重合性不飽和基を有する化合物、(メタ)アクリル酸、β-カルボキシエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸ダイマー、ω-カルボキシ-ポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート、マレイン酸、イタコン酸等のカルボキシル基及び重合性水酸基を有する化合物などが挙げられる。
【0015】
また、前記化合物(B)としては、上記例示以外の単官能アクリレートや2官能アクリレート、さらに、重合性不飽和基を有する芳香族化合物を用いることもできる。
【0016】
前記単官能アクリレートとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert-ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、イソペンチル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート等の炭素数が1~18のアルキル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、グリシジルメタクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、トリシクロデカンモノメチロール(メタ)アクリレート、アクリロキシエチルフタレート、2-(メタ)アクリロイロキシプロピルフタレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルモルフォリンなどが挙げられる。
【0017】
前記2官能アクリレートとしては、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリルヒドロキシピバレートジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリルヒドロキシピバレートジカプロラクトネートジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,2-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,5-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、2,5-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,7-ヘプタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,8-オクタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,2-オクタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9-ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,2-デカンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10-デカンジオールジ(メタ)アクリレート、1,12-ドデカンジオールジ(メタ)アクリレート、1,2-ドデカンジオールジ(メタ)アクリレート、1,14-テトラデカンジオールジ(メタ)アクリレート、1,2-テトラデカンジオールジ(メタ)アクリレート、1,16-ヘキサデカンジオールジ(メタ)アクリレート、1,2-ヘキサデカンジオールジ(メタ)アクリレート、2-メチル-2,4-ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、3-メチル-1,5-ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、2-メチル-2-プロピル-1,3-プロパンジオールジ(メタ)アクリレート、2,4-ジメチル-2,4-ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、2,2-ジエチル-1,3-プロパンジオ-ルジ(メタ)アクリレート、2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、ジメチロールオクタンジ(メタ)アクリレート、2-エチル-1,3-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、2,5-ジメチル-2,5-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、2-メチル-1,8-オクタンジオールジ(メタ)アクリレート、2-ブチル-2-エチル-1,3-プロパンジオールジ(メタ)アクリレート、2,4-ジエチル-1,5-ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメチロールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメチロールジカプロラクトネートジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAテトラエチレンオキサイド付加体ジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールFテトラエチレンオキサイド付加体ジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールSテトラエチレンオキサイド付加体ジ(メタ)アクリレート、水添加ビスフェノールAテトラエチレンオキサイド付加体ジ(メタ)アクリレート、水添加ビスフェノールFテトラエチレンオキサイド付加体ジ(メタ)アクリレート、水添加ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、水添加ビスフェノールFジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAテトラエチレンオキサイド付加体ジカプロラクトネートジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールFテトラエチレンオキサイド付加体ジカプロラクトネートジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0018】
前記重合性不飽和基を有する芳香族化合物としては、例えば、スチレン、アルキル置換スチレン、ハロゲン置換スチレン、ベンジル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ビフェニル(メタ)アクリレート、ノニルフェニル(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシエチル(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、クミルフェノール(メタ)アクリレート、クミルフェノキシエチル(メタ)アクリレート、クミルフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、o-フェニルフェノール(メタ)アクリレート、エートキシ化o-フェニルフェノール(メタ)アクリレート、トリブロモフェニル(メタ)アクリレート、及びEO変性トリブロモフェニル(メタ)アクリレート、ビニルトルエン等が挙げられる。
【0019】
これらの化合物(B)は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。また、これらの中でも、乾燥性及び耐候性に優れた(メタ)アクリル樹脂が得られることから、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert-ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸、スチレン、ベンジル(メタ)アクリレート、ビニルトルエンが好ましい。
【0020】
前記化合物(B)の使用量は、前記(メタ)アクリル樹脂の原料中に10~90モル%の範囲であり、乾燥性及び耐候性に優れた(メタ)アクリル樹脂が得られることから、30~90モル%の範囲が好ましい。
【0021】
前記重合開始剤(C)としては、アゾ系開始剤を用いる。
【0022】
前記アゾ系開始剤としては、例えば、下記一般式(1)で表される化合物からなるアゾ系開始剤等が挙げられる。
【0023】
【0024】
〔式(1)中、R1及びR2は、それぞれ独立して、水素原子又は炭素原子数1~3の炭化水素基であり、Y1及びY2は、それぞれ独立して、メチル基又は極性基であるニトリル基であり、Z1及びZ2は、それぞれ独立して、メチル基、イミダゾリン基、アミジン基、又はアミド基である。なお、乾燥性、インキ流動性、高速印刷適正に優れた(メタ)アクリル樹脂が得られることから、Y1、Y2、Z1及びZ2の何れかが極性基であることが好ましく、イミダゾリン基、アミジン基、アミド基又はニトリル基の何れかであることがより好ましい。〕
【0025】
前記一般式(1)で表される化合物としては、例えば、2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩、2,2’-アゾビス(2-(2-イミダゾリン-2-イル)プロパン)二塩酸塩、2,2’-アゾビス(2-メチル-N-(2-ヒドロキシエチル)プロピオンアミド)、2,2’-アゾビス(N-(2-プロペニル)-2-メチルプロピオンアミド)、2,2’-アゾビス(N-ブチル-2-メチルプロピオンアミド)、アゾビスイソブチロニトリル、2,2’-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)アゾビスイソブチロニトリル、2,2’-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)等が挙げられる。これらの中でも、乾燥性、インキ流動性、高速印刷適正に優れた(メタ)アクリル樹脂が得られることから、アゾビスイソブチロニトリル、2,2’-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)アゾビスイソブチロニトリル、2,2’-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)が好ましい。また、これらのアゾ系開始剤は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0026】
また、前記重合開始剤としては、必要に応じて、アゾ系開始剤以外の重合開始剤(以下、「その他の重合開始剤」と称することがある。)を併用することもできる。前記その他の重合開始剤としては、例えば、メチルエチルケトンパーオキサイド、メチルイソブチルケトンパーオキサイド、アセチルアセトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド、メチルシクロヘキサノンパーオキサイド等のケトンパーオキサイド化合物、1,1-ビス(tert-ヘキシルパーオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、1,1-ビス(tert-ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1-ビス(tert-ブチルパーオキシ)-2-メチルシクロヘキサン、1,1-ビス(tert-ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、2,2-ビス(tert-ブチルパーオキシ)ブタン、4,4-ビス(tert-ブチルパーオキシ)ペンタン酸ブチル、1,1-ジ(tert-ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン等のパーオキシケタ-ル化合物、1,1,3,3-テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、tert-ブチルハイドロパーオキサイド、p-メンタンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド等のハイドロパーオキサイド化合物、ジクミルパーオキサイド、2,5-ジメチル-2,5-ビス(tert-ブチルペルオキシ)ヘキサン、1,3-ビス(tert-ブチルペルオキシイソプロピル)ヘキサン、tert-ブチルクミルパーオキサイド、ジ-tert-ブチルパーオキサイド、ジ-tert-ヘキシルパーオキサイド、2,5-ジメチル-2,5-ビス(tert-ブチルペルオキシ)ヘキシン-3等のジアルキルパーオキサイド化合物、ジイソブチリルパーオキサイド、ビス-3,5,5-トリメチルヘキサノールパーオキサイド、ジラウロイルパーオキサイド、ジベンゾイルパーオキサイド、m-トールイルベンゾイルパーオキサイド、コハク酸パーオキサイド等のジアシルパーオキサイド化合物、1,1,3,3-テトラメチルブチルパーオキシネオデカノエート、α-クミルパーオキシネオデカノエート、tert-ブチルパーオキシネオデカノエート、tert-ヘキシルパーオキシネオデカノエート、tert-ブチルパーオキシネオヘプタノエート、tert(ヘキシルパーオキシピバレ-ト、tert-ブチルパーオキシピバレ-ト、1,1,3,3-テトラメチルブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、tert-アミルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、tert-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、tert-ブチルパーオキシイソブチレ-ト、ジ-tert-ブチルパーオキシヘキサヒドロテレフタレ-ト、1,1,3,3-テトラメチルブチルパーオキシ-3,5,5-トリメチルヘキサネ-ト、tert-アミルパーオキシ3,5,5-トリメチルヘキサノエート、tert-ブチルパーオキシ-3,5,5-トリメチルヘキサノエート、tert-ブチルパーオキシアセテ-ト、tert-ブチルパーオキシベンゾエート、ジブチルパーオキシトリメチルアジペ-ト、2,5-ジメチル-2,5-ジ-2-エチルヘキサノイルパーオキシヘキサン、tert-ヘキシルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、tert-ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカ-ボネ-ト、tert-ブチルパーオキシラウレ-ト、tert-ブチルパーオキシイソプロピルモノカ-ボネ-ト、tert-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキシルモノカ-ボネ-ト、2,5-ジメチル-2,5-ジ-ベンゾイルパーオキシヘキサン、tert-ヘキシルパーオキシベンゾエート、tert-ヘキシルパーオキシ-酢酸エステル等のパーオキシエステル化合物などの過酸化物開始剤、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルフォリノプロパン-1-オン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン等のアセトフェノン系開始剤、ベンゾイン、ベンゾインエチルエーテル等のベンゾイン系開始剤、ベンゾフェノン等のベンゾフェノン系開始剤、アシルフォスフィンオキサイド等のリン系開始剤、チオキサントン等のイオウ系開始剤などが挙げられる。これらのその他の重合開始剤は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0027】
本発明の(メタ)アクリル樹脂の分散度〔重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)〕は、乾燥性及び耐候性に優れた(メタ)アクリル樹脂が得られることから、1~50の範囲が好ましい。
【0028】
本発明の(メタ)アクリル樹脂の製造方法としては、前記化合物(A)、及び前記化合物(B)を含む重合性化合物を、前記重合開始剤(C)の存在下で共重合させるものであれば、特に制限されず、公知の方法で製造することができ、製造における各種条件は、使用する原料やその量に応じて適宜設定することができる。例えば、一部の原料を先に反応容器中に添加し、加熱した後、残りの原料を滴下しながら重合反応を行い製造する方法、反応容器に有機溶剤を添加し、加熱した後、反応に用いる原料の混合物を滴下しながら、重合反応を行い製造する方法、反応容器に有機溶剤を添加し、密閉加圧条件下で該有機溶媒の沸点以上に加熱した後、反応に用いる原料の混合物を滴下しながら、重合反応を行い製造する方法等が挙げられる。
【0029】
本発明の(メタ)アクリル樹脂は、アクリレートモノマー及び光重合開始剤を添加することにより活性エネルギー線硬化性樹脂組成物として用いることができる。
【0030】
前記アクリレートモノマーとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート等の脂肪族モノ(メタ)アクリレート化合物;シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、アダマンチルモノ(メタ)アクリレート等の脂環型モノ(メタ)アクリレート化合物;グリシジル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート等の複素環型モノ(メタ)アクリレート化合物;ベンジル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、フェニルベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシ(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシエートキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、フェノキシベンジル(メタ)アクリレート、フェニルフェノキシエチル(メタ)アクリレート等の芳香族モノ(メタ)アクリレート化合物等のモノ(メタ)アクリレート化合物:前記各種のモノ(メタ)アクリレートモノマーの分子構造中に(ポリ)オキシエチレン鎖、(ポリ)オキシプロピレン鎖、(ポリ)オキシテトラメチレン鎖等のポリオキシアルキレン鎖を導入した(ポリ)オキシアルキレン変性モノ(メタ)アクリレート化合物;前記各種のモノ(メタ)アクリレート化合物の分子構造中に(ポリ)ラクトン構造を導入したラクトン変性モノ(メタ)アクリレート化合物;エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブタンジオ-ルジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオ-ルジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート等の脂肪族ジ(メタ)アクリレート化合物;1,4-シクロヘキサンジメタノールジ(メタ)アクリレート、ノールボルナンジ(メタ)アクリレート、ノールボルナンジメタノールジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート等の脂環型ジ(メタ)アクリレート化合物;ビフェノールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールジ(メタ)アクリレート等の芳香族ジ(メタ)アクリレート化合物;前記各種のジ(メタ)アクリレート化合物の分子構造中に(ポリ)オキシエチレン鎖、(ポリ)オキシプロピレン鎖、(ポリ)オキシテトラメチレン鎖等の(ポリ)オキシアルキレン鎖を導入したポリオキシアルキレン変性ジ(メタ)アクリレート化合物;前記各種のジ(メタ)アクリレート化合物の分子構造中に(ポリ)ラクトン構造を導入したラクトン変性ジ(メタ)アクリレート化合物;トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート等の脂肪族トリ(メタ)アクリレート化合物;前記脂肪族トリ(メタ)アクリレート化合物の分子構造中に(ポリ)オキシエチレン鎖、(ポリ)オキシプロピレン鎖、(ポリ)オキシテトラメチレン鎖等の(ポリ)オキシアルキレン鎖を導入した(ポリ)オキシアルキレン変性トリ(メタ)アクリレート化合物;前記脂肪族トリ(メタ)アクリレート化合物の分子構造中に(ポリ)ラクトン構造を導入したラクトン変性トリ(メタ)アクリレート化合物;ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等の4官能以上の脂肪族ポリ(メタ)アクリレート化合物;前記脂肪族ポリ(メタ)アクリレート化合物の分子構造中に(ポリ)オキシエチレン鎖、(ポリ)オキシプロピレン鎖、(ポリ)オキシテトラメチレン鎖等の(ポリ)オキシアルキレン鎖を導入した4官能以上の(ポリ)オキシアルキレン変性ポリ(メタ)アクリレート化合物;前記脂肪族ポリ(メタ)アクリレート化合物の分子構造中に(ポリ)ラクトン構造を導入した4官能以上のラクトン変性ポリ(メタ)アクリレート化合物などが挙げられる。これらのアクリレートモノマーは、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0031】
前記光重合開始剤としては、例えば、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン、1-〔4-(2-ヒドロキシエートキシ)フェニル〕-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オン、チオキサントン及びチオキサントン誘導体、2,2’-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン、ジフェニル(2,4,6-トリメトキシベンゾイル)ホスフィンオキシド、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド、2-メチル-1-(4-メチルチオフェニル)-2-モルフォリノプロパン-1-オン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリノフェニル)-1-ブタノン等が挙げられる。
【0032】
前記その他の光重合開始剤の市販品としては、例えば、「Omnirad 1173」、「Omnirad 184」、「Omnirad 127」、「Omnirad 2959」、「Omnirad 369」、「Omnirad 379」、「Omnirad 907」、「Omnirad 4265」、「Omnirad 1000」、「Omnirad 651」、「Omnirad TPO」、「Omnirad 819」、「Omnirad 2022」、「Omnirad 2100」、「Omnirad 754」、「Omnirad 784」、「Omnirad 500」、「Omnirad 81」(IGM Resins社製);「KAYACURE DETX」、「KAYACURE MBP」、「KAYACURE DMBI」、「KAYACURE EPA」、「KAYACURE OA」(日本化薬株式会社製);「Vicure 10」、「Vicure 55」(Stoffa Chemical社製);「Trigonal P1」(Akzo Nobel社製)、「SANDORAY 1000」(SANDOZ社製);「DEAP」(Upjohn Chemical社製)、「Quantacure PDO」、「Quantacure ITX」、「Quantacure EPD」(Ward Blenkinsop社製);「Runtecure 1104」(Runtec社製)等が挙げられる。これらの光重合開始剤は、単独で用いることも、2種以上を併用することもできる。
【0033】
前記光重合開始剤の添加量は、例えば、前記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物中に、0.5~20質量%の範囲で用いることが好ましい。
【0034】
また、前記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、前記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の硬化塗膜の硬化性を向上できることから、必要に応じて、さらに光増感剤を添加して、硬化性を向上することもできる。
【0035】
前記光増感剤としては、2,4,6-トリメチルベンゾフェノン、2,3,4-トリメチルベンゾフェノン、4-フェニルベンゾフェノン、3,3’-ジメチル-4-メトキシベンゾフェノン、4-(1,3-アクリロイル-1,4,7,10,13-ペンタオキソトリデシル)ベンゾフェノン、メチル-o-ベンゾイルベンゾエート、〔4-(メチルフェニルチオ)フェニル〕フェニルメタノン、(4-ベンゾイルベンジル)塩化トリメチルアンモニウム、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン、1-(4-イソプロピルフェニル)2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン、1-ヒドロキシ-シクロヘキシル-フェニルケトン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-スチリルプロパン-1-オン重合物、ジエートキシアセトフェノン、ジブトキシアセトフェノン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインノールマルブチルエーテル、脂肪族アミン、芳香族アミン等のアミン化合物、o-トリルチオ尿素等の尿素化合物、ナトリウムジエチルジチオホスフエート、s-ベンジルイソチウロニウム-p-トルエンスルホネ-ト等の硫黄化合物などが挙げられる。これらの光増感剤は単独で用いることも、2種類以上を併用することもできる。
【0036】
本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、必要に応じて、有機溶剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、重合禁止剤、シリコン系添加剤、フッ素系添加剤、シランカップリング剤、リン酸エステル化合物、有機ビーズ、無機微粒子、無機フィラー、レオロジーコントロール剤、脱泡剤、着色剤、顔料、染料等を含有しても良い。
【0037】
前記有機溶剤としては、例えば、メチルエチルケトン、アセトン、イソブチルケトン等のケトン溶剤;テトラヒドロフラン、ジオキソラン等の環状エーテル溶剤;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル溶剤;トルエン、キシレン等の芳香族溶剤;シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂環族溶剤;カルビトール、セロソルブ、メタノール、イソプロパノール、ブタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のアルコール溶剤;アルキレングリコールモノアルキルエーテル、ジアルキレングリコールモノアルキルエーテル、ジアルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテ-ト等のグリコールエーテル溶剤などが挙げられる。これらの有機溶剤は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0038】
前記紫外線吸収剤としては、例えば、2-[4-{(2-ヒドロキシ-3-ドデシルオキシプロピル)オキシ}-2-ヒドロキシフェニル]-4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン、2-[4-{(2-ヒドロキシ-3-トリデシルオキシプロピル)オキシ}-2-ヒドロキシフェニル]-4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン等のトリアジン誘導体、2-(2’-キサンテンカルボキシ-5’-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2’-o-ニトロベンジロキシ-5’-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-キサンテンカルボキシ-4-ドデシロキシベンゾフェノン、2-o-ニトロベンジロキシ-4-ドデシロキシベンゾフェノン等が挙げられる。これらの紫外線吸収剤は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0039】
前記酸化防止剤としては、例えば、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、ヒンダードアミン系酸化防止剤、有機硫黄系酸化防止剤、リン酸エステル系酸化防止剤等が挙げられる。これらの酸化防止剤は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0040】
前記シリコン系添加剤としては、例えば、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、環状ジメチルポリシロキサン、メチルハイドロゲンポリシロキサン、ポリエーテル変性ジメチルポリシロキサン共重合体、ポリエステル変性ジメチルポリシロキサン共重合体、フッ素変性ジメチルポリシロキサン共重合体、アミノ変性ジメチルポリシロキサン共重合体等のアルキル基やフェニル基を有するポリオルガノシロキサン、ポリエーテル変性アクリル基を有するポリジメチルシロキサン、ポリエステル変性アクリル基を有するポリジメチルシロキサンなどが挙げられる。これらのシリコン系添加剤は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0041】
前記フッ素系添加剤としては、例えば、DIC株式会社製「メガフェース」シリ-ズ等が挙げられる。これらのフッ素系添加剤は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0042】
前記シランカップリング剤としては、例えば、ビニルトリクロールシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエートキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジエートキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエートキシシラン、p-スチリルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルメチルジエートキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリエートキシシラン、3-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリエートキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエートキシシラン、3-トリエートキシシリル-N-(1,3-ジメチル・ブチリデン)プロピルアミン、N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-(ビニルベンジル)-2-アミノエチル-3-アミノプロピルトリメトキシシランの塩酸塩、特殊アミノシラン、3-ウレイドプロピルトリエートキシシラン、3-クロロプロピルトリメトキシシラン、3-メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、ビス(トリエートキシシリルプロピル)テトラスルフィド、3-イソシアネ-トプロピルトリエートキシシラン、アリルトリクロロシラン、アリルトリエートキシシラン、アリルトリメトキシシラン、ジエートキシメチルビニルシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエートキシシラン、ビニルトリス(2-メトキシエートキシ)シラン等のビニル系のシランカップリング剤;
【0043】
ジエートキシ(グリシジルオキシプロピル)メチルシラン、2-(3、4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジエートキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエートキシシラン等のエポキシ系のシランカップリング剤;
【0044】
p-スチリルトリメトキシシラン等のスチレン系のシランカップリング剤;
【0045】
3-メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルメチルジエートキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリエートキシシラン等の(メタ)アクリロキシ系のシランカップリング剤;
【0046】
N-2(アミノエチル)3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-2(アミノエチル)3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-2(アミノエチル)3-アミノプロピルトリエートキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエートキシシラン、3-トリエートキシシリル-N-(1、3-ジメチル-ブチリデン)プロピルアミン、N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン等のアミノ系のシランカップリング剤;
【0047】
3-ウレイドプロピルトリエートキシシラン等のウレイド系のシランカップリング剤;
【0048】
3-クロロプロピルトリメトキシシラン等のクロロプロピル系のシランカップリング剤;
【0049】
3-メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリメトキンシラン等のメルカプト系のシランカップリング剤;
【0050】
ビス(トリエートキシシリルプロピル)テトラスルファイド等のスルフィド系のシランカップリング剤;
【0051】
3-イソシアネ-トプロピルトリエートキシシラン等のイソシアネ-ト系のシランカップリング剤などが挙げられる。これらのシランカップリング剤は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0052】
前記リン酸エステル化合物としては、例えば、分子構造中に(メタ)アクリロイル基を有するものが挙げられ、市販品としては、例えば、日本化薬株式会社製「カヤマーPM-2」、「カヤマーPM-21」、共栄社化学株式会社製「ライトエステルP-1M」「ライトエステルP-2M」、「ライトアクリレートP-1A(N)」、SOLVAY社製「SIPOMER PAM 100」、「SIPOMER PAM 200」、「SIPOMER PAM 300」、「SIPOMER PAM 4000」、大阪有機化学工業社製「ビスコート#3PA」、「ビスコート#3PMA」、第一工業製薬社製「ニューフローンティア S-23A」;分子構造中にアリルエーテル基を有するリン酸エステル化合物であるSOLVAY社製「SIPOMER PAM 5000」等が挙げられる。
【0053】
前記有機ビーズとしては、例えば、ポリメタクリル酸メチルビーズ、ポリカーボネートビーズ、ポリスチレンビーズ、ポリアクリルスチレンビーズ、シリコーンビーズ、ガラスビーズ、アクリルビーズ、ベンゾグアナミン系樹脂ビーズ、メラミン系樹脂ビーズ、ポリオレフィン系樹脂ビーズ、ポリエステル系樹脂ビーズ、ポリアミド樹脂ビーズ、ポリイミド系樹脂ビーズ、ポリフッ化エチレン樹脂ビーズ、ポリエチレン樹脂ビーズ等が挙げられる。これらの有機ビーズは、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。また、これら有機ビーズの平均粒径は、1~10μmの範囲であることが好ましい。
【0054】
前記無機微粒子は、例えば、シリカ、アルミナ、ジルコニア、チタニア、チタン酸バリウム、三酸化アンチモン等の微粒子が挙げられる。これらの無機微粒子は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。また、これら無機微粒子の平均粒径は、95~250nmの範囲であることが好ましく、特に100~180nmの範囲であることがより好ましい。
【0055】
前記無機微粒子を含有する場合には、分散補助剤を用いることができる。前記分散補助剤としては、例えば、イソプロピルアシッドホスフェート、トリイソデシルホスファイト、エチレンオキサイド変性リン酸ジメタクリレート等のリン酸エステル化合物等が挙げられる。これらの分散補助剤は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。また、前記分散補助剤の市販品としては、例えば、日本化薬株式会社製「カヤマーPM-21」、「カヤマーPM-2」、共栄社化学株式会社製「ライトエステルP-2M」等が挙げられる。
【0056】
前記顔料としては、公知慣用の無機顔料や有機顔料を使用することができる。
【0057】
前記無機顔料としては、例えば、黄鉛、亜鉛黄、硫酸バリウム、カドミウムレッド、酸化チタン、亜鉛華、弁柄、アルミナホワイト、炭酸カルシウム、群青、カーボンブラック、グラファイト、アルミニウム粉、ベンガラ、アンチモンレッド、ベンガラ、カドミウムイエロー、コバルトブルー、紺青、黒鉛等が挙げられる。
【0058】
前記有機顔料としては、例えば、キナクリドン顔料、キナクリドンキノン顔料、ジオキサジン顔料、フタロシアニン顔料、アントラピリミジン顔料、アンサンスロン顔料、インダンスロン顔料、フラバンスロン顔料、ペリレン顔料、ジケトピロロピロール顔料、ペリノン顔料、キノフタロン顔料、アントラキノン顔料、チオインジゴ顔料、ベンツイミダゾロン顔料、アゾ顔料等が挙げられる。これらの顔料は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0059】
前記染料としては、例えば、モノアゾ・ジスアゾ等のアゾ染料、金属錯塩染料、ナフトール染料、アントラキノン染料、インジゴ染料、カーボニウム染料、キノイミン染料、シアニン染料、キノリン染料、ニトロ染料、ニトロソ染料、ベンゾキノン染料、ナフトキノン染料、ナフタルイミド染料、ペリノン染料、フタロシアニン染料、トリアリルメタン系染料等が挙げられる。これらの染料は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0060】
本発明の硬化物は、前記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物に、活性エネルギー線を照射することで得ることができる。前記活性エネルギー線としては、例えば、紫外線、電子線、α線、β線、γ線等の電離放射線が挙げられる。また、前記活性エネルギー線として、紫外線を用いる場合、紫外線による硬化反応を効率よく行う上で、窒素ガス等の不活性ガス雰囲気下で照射してもよく、空気雰囲気下で照射してもよい。
【0061】
紫外線発生源としては、実用性、経済性の面から紫外線ランプが一般的に用いられている。具体的には、低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、キセノンランプ、ガリウムランプ、メタルハライドランプ、太陽光、LED等が挙げられる。
【0062】
前記活性エネルギー線の積算光量は、特に制限されないが、0.1~50kJ/m2であることが好ましく、0.5~10kJ/m2であることがより好ましい。積算光量が上記範囲であると、未硬化部分の発生の防止又は抑制ができることから好ましい。
【0063】
なお、前記活性エネルギー線の照射は、一段階で行ってもよいし、二段階以上に分けて行ってもよい。
【0064】
本発明の印刷インキは、前記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を含有するものであればその配合組成等は特に限定されず、目的の印刷用途や性能等に応じて適宜配合物や配合割合を調整することができる。また、その製造方法は、例えば、各成分の配合物をミキサー等で撹拌混合し、三本ロールミル、ビーズミル等の分散機を用いて練肉する方法が挙げられる。
【0065】
本発明の印刷インキは、基材に印刷後、活性エネルギー線を照射することで硬化塗膜とすることができる。
【0066】
前記基材としては、例えば、金属基材、プラスチック基材、ガラス基材、紙基材、木材基材、繊維質基材等が挙げられる。これらの基材の中でも、紙基材が好ましい。
【0067】
また、本発明の印刷インキの印刷方法としては、例えば、平版オフセット印刷、凸版印刷、グラビア印刷、グラビアオフセット印刷、フレキソ印刷、スクリーン印刷等が挙げられる。
【0068】
本発明の印刷物としては、前記各種基材上に、前記活性エネルギー線硬化性印刷インキの硬化物を有するものであり、例えば、カタログ、ポスター、チラシ、CDジャケット、ダイレクトメール、パンフレットや、化粧品、飲料、医薬品、おもちゃ、機器等のパッケージなどが挙げられる。
【実施例0069】
以下、実施例と比較例とにより、本発明を具体的に説明する。なお、本発明は、以下に挙げた実施例に限定されるものではない。
【0070】
なお、本実施例において、重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)は、ゲルパーミッションクロマトグラフ(GPC)を用い、下記の条件により測定した値である。
【0071】
測定装置 ; 東ソ-株式会社製 HLC-8220
カラム ; 東ソ-株式会社製ガ-ドカラムHXL-H
+東ソ-株式会社製 TSKgel G5000HXL
+東ソ-株式会社製 TSKgel G4000HXL
+東ソ-株式会社製 TSKgel G3000HXL
+東ソ-株式会社製 TSKgel G2000HXL
検出器 ; RI(示差屈折計)
デ-タ処理:東ソ-株式会社製 SC-8010
測定条件: カラム温度 40℃
溶媒 テトラヒドロフラン
流速 1.0ml/分
標準 ;ポリスチレン
試料 ;樹脂固形分換算で0.4質量%のテトラヒドロフラン溶液をマイクロフィルターでろ過したもの(100μl)
【0072】
(実施例1:アクリル樹脂(1)の合成)
撹拌棒、温度センサー、コンデンサーが備え付けられたフラスコにトルエン180質量部を仕込み、乾燥窒素をフローし、撹拌しながら105℃に昇温した。トリメチロールプロパントリアクリレート50質量部、アクリル酸3質量部、スチレン10質量部、ビニルトルエン10質量部、ベンジルアクリレート27質量部、アゾビスイソブチロニトリル60質量部、トルエン60質量部の混合トルエン溶液を滴下ロートから、4時間かけて滴下してアクリル重合を行った。粘度と不揮発分が一定になったことを確認したところで反応を停止し、室温まで冷却した。得られた重合液を薄膜蒸留装置で脱溶剤処理し、数平均分子量(Mn)1,200、重量平均分子量(Mw)14,200のアクリル樹脂(1)を得た。
【0073】
(実施例2:アクリル樹脂(2)の合成)
撹拌棒、温度センサー、コンデンサーが備え付けられたフラスコにキシレン180質量部を仕込み、乾燥窒素をフローし、撹拌しながら110℃に昇温した。トリメチロールプロパントリアクリレート60質量部、アクリル酸3質量部、スチレン18質量部、ビニルトルエン8質量部、ベンジルアクリレート11質量部、2,2’-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)60質量部、キシレン60質量部の混合キシレン溶液を滴下ロートから、4時間かけて滴下してアクリル重合を行った。粘度と不揮発分が一定になったことを確認したところで反応を停止し、室温まで冷却した。得られた重合液を薄膜蒸留装置で脱溶剤処理し、数平均分子量(Mn)1,100、重量平均分子量(Mw)16,600のアクリル樹脂(2)を得た。
【0074】
(実施例3:アクリル樹脂(3)の合成)
撹拌棒、温度センサー、コンデンサーが備え付けられたフラスコにキシレン170質量部を仕込み、乾燥窒素をフローし、撹拌しながら110℃に昇温した。ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート40質量部、アクリル酸3質量部、スチレン20質量部、フェノキシエチルアクリレート20質量部、ベンジルアクリレート17質量部、2,2’-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)40質量部、キシレン40質量部の混合キシレン溶液を滴下ロートから、4時間かけて滴下してアクリル重合を行った。粘度と不揮発分が一定になったことを確認したところで反応を停止し、室温まで冷却した。得られた重合液を薄膜蒸留装置で脱溶剤処理し、数平均分子量(Mn)1,200、重量平均分子量(Mw)23,000のアクリル樹脂(3)を得た。
【0075】
(実施例4:アクリル樹脂(4)の合成)
撹拌棒、温度センサー、コンデンサーが備え付けられたフラスコにキシレン180質量部を仕込み、乾燥窒素をフローし、撹拌しながら110℃に昇温した。トリメチロールプロパントリアクリレート50質量部、2-ヒドロキシエチルメタクリレート5質量部、スチレン15質量部、ベンジルアクリレート10質量部、メチルメタクリレート20質量部、2,2’-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)50質量部、キシレン50質量部の混合キシレン溶液を滴下ロートから、4時間かけて滴下してアクリル重合を行った。粘度と不揮発分が一定になったことを確認したところで反応を停止し、室温まで冷却した。得られた重合液を薄膜蒸留装置で脱溶剤処理し、数平均分子量(Mn)1,300、重量平均分子量(Mw)18,100のアクリル樹脂(4)を得た。
【0076】
(比較例1:アクリル樹脂(R1)の合成)
撹拌棒、温度センサー、コンデンサーが備え付けられたフラスコに三協化学株式会社製「ソルベッソ150」180質量部を仕込み、乾燥窒素をフローし、撹拌しながら160℃に昇温した。トリメチロールプロパントリアクリレート50質量部、アクリル酸3質量部、スチレン10質量部、ビニルトルエン10質量部、ベンジルアクリレート27質量部、ジ-tert-ブチルパーオキサイド(日本油脂株式会社製「パ-ブチルD95」)10質量部、「ソルベッソ150」40質量部の混合溶液を滴下ロートから、4時間かけて滴下してアクリル重合を行った。粘度と不揮発分が一定になったことを確認したところで反応を停止し、室温まで冷却した。得られた重合液を薄膜蒸留装置で脱溶剤処理し、数平均分子量(Mn)1,300、重量平均分子量(Mw)15,200のアクリル樹脂(R1)を得た。
【0077】
(比較例2:アクリル樹脂(R2)の合成)
撹拌棒、温度センサー、コンデンサーが備え付けられたフラスコにキシレン200質量部を仕込み、乾燥窒素をフローし、撹拌しながら140℃に昇温した。トリメチロールプロパントリアクリレート60質量部、アクリル酸1質量部、スチレン8質量部、メチルメタクリレート31質量部、tert-ブチルパーオキシベンゾエート(日油株式会社製「PERBUTHYL Z」、頻度因子A;2.47×10181/h、活性化エネルギーE;141,300J/mol、分子量M;194mol/g)70質量部、キシレン55質量部の混合キシレン溶液を滴下ロートから、4時間かけて滴下してアクリル重合反応を行った。粘度と不揮発分が一定になったことを確認したところで反応を停止し、室温まで冷却した。得られた重合液を薄膜蒸留装置で脱溶剤処理し、数平均分子量(Mn)550、重量平均分子量(Mw)6,700のアクリル樹脂(R2)を得た。
【0078】
前記実施例1~4で得られたアクリル樹脂(1)~(4)、並びに比較例1及び2で得られたアクリル樹脂(R1)及び(R2)の組成及び特性を表1に示す。
【0079】
【0080】
表1中の略語は、以下のものを示す。
TMPTA:トリメチロールプロパントリアクリレート
DTMPTA:ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート
STM:スチレン
V-Toluene:ビニルトルエン
PHEA:フェノキシエチルアクリレート
BZA:ベンジルアクリレート
AA:アクリル酸
HEMA:2-ヒドロキシエチルメタクリレート
MMA:メチルメタクリレート
AIBN:アゾビスイソブチロニトリル
ABN-E:2,2’-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)
P-O:tert-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート
P-Z:tert-ブチルパーオキシベンゾエート
【0081】
(比較合成例1:ウレタンアクリレート樹脂の合成)
撹拌棒、温度センサー、コンデンサーが備え付けられたフラスコに乾燥窒素をフローし、PO変性グリセリントリアクリレート(ダイセル・オルネクス株式会社製「OTA-480」)300質量部、2,4-トリレンジイソシアネート(三井ケミカル株式会社製「コスモネ-トT-100」)97.5質量部、2-ヒドロキシエチルアクリレート44.8質量部を仕込み、撹拌しながら65℃で5時間反応後、ヒマシ油系ポリオ-ル(豊国製油株式会社製「LM-R」)134.8質量部、2,2-ビス(ヒドロキシメチル)ブタン酸:22.9質量部、ジブチル錫ジラウリレ-ト0.06質量部を添加し、75℃で12時間反応させて、ウレタンアクリレート樹脂を得た。
【0082】
(実施例5:活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(1)の調製)
合成例1で得たアクリル樹脂(1)45質量部、トリメチロールプロパンEO変性トリアクリレート(MIWON社製「MIRAMER M3130」)20質量部、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート30質量部、光重合開始剤(1)8質量部を90℃で3時間混合して、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(1)を得た。
【0083】
(実施例6~8:活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(2)~(4)の調製)
アクリル樹脂、(メタ)アクリレートモノマーを、表2に示した組成及び配合量に変更した以外は、実施例5と同様の方法にて活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(2)~(4)を得た。
【0084】
(比較例3~5:活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(R1)~(R3)の調製)
アクリル樹脂、前記ウレタンアクリレート樹脂、(メタ)アクリレートモノマーを、表2に示した組成及び配合量に変更した以外は、実施例5と同様の方法にて活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(R1)~(R3)を得た。
【0085】
上記の実施例及び比較例で得られた活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を用いて、下記の評価を行った。
【0086】
[紫外線照射前の塗膜外観の評価方法]
実施例及び比較例で得られた活性エネルギー線樹脂組成物を、0.076mmアプリケータを用いてガラス板に塗布し、塗膜の外観を下記の評価基準に従い評価した。
【0087】
A:塗膜が透明であり、塗膜表面が均一であった。
B:塗膜が半透明であり、塗膜表面が均一であった。
C:塗膜が白濁しており、塗膜表面が不均一であった。
【0088】
[乾燥性の評価方法]
実施例及び比較例で得られた活性エネルギー線樹脂組成物を、0.076mmアプリケータを用いてガラス板に塗布し、紫外線(UV)照射を行い、硬化物を得た。具体的には、高圧水銀ランプ(出力80W/cm 1灯)及びベルトコンベアを搭載したUV照射装置(日本電池社製、コールドミラー付属)を使用し、前記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を塗布したガラス板をコンベア上に載せ、ランプ直下(照射距離15cm)を以下に述べる所定条件で通過させた。各条件における紫外線照射量は紫外線積算光量計(オ-ム社製)を用いて測定した。
【0089】
乾燥性は、UV照射直後に爪で硬化物表面の傷付きの有無を確認した。前記UV照射装置のコンベア速度(m/分)を変化させながら塗布物にUV照射し、硬化後に爪で強く擦っても傷つきがないコンベア速度(m/分)によって、下記の評価基準に従い評価した。コンベア速度の数値が大きいほど乾燥性が良好であることを示す。
【0090】
A:コンベア速度が50m/分以上であった。
B:コンベア速度が30m/分以上40m/分未満であった。
C:コンベア速度が30m/分未満であった。
【0091】
実施例5~8で得られた活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(1)~(4)及び比較例3~5で得られた活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(R1)~(R3)の組成及び硬化性に関する評価結果を表2に示す。
【0092】
【0093】
表2中の略語は、以下のものを示す。
EOTMPTA:トリメチロールプロパンEO変性トリアクリレート
DPHA:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート
OTA-480:PO変性グリセリントリアクリレート(ダイセル・オルネクス株式会社製「OTA-480」)
【0094】
表2中の「光重合開始剤(1)」は、α-アミノアルキルフェノン(IGM Resins社製「Omnirad 907」)と、4,4’-ビスジメチルアミノベンゾフェノン(大同化成工業株式会社製「EAB-SS」)とを、[α-アミノアルキルフェノン/4,4’-ビスジメチルアミノベンゾフェノン]が1/1となる質量割合で混合させたものを示す。
【0095】
(実施例9~12:活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(5)~(8)の調製)
下記表3に示す割合で各成分を配合し、ミキサ-(単軸ディゾールバ-)を用いて撹拌した後、配合物を3本ロールミルを用いて練肉し、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物からなる印刷インキを調製した。得られた印刷インキについて、下記条件で種々の評価を行った。結果を表3に示す。
【0096】
[インキ流動性の評価方法]
<インキ流動性の評価1 ダイアメーター値の測定>
スプレッドメ-タ-法(平行板粘度計)によりJIS K5101(2204)及びJIS K5701(2000)に則った方法で測定を実施した。水平に置いた2枚の平行板の間に挟まれた印刷インキが、荷重板の自重(115グラム)によって、同心円状に広がる特性を経時的に観察し、60秒後のインキの広がり直径(mm)をダイアメーター値として下記の基準に従い評価した。ダイアメーター値が大きいほど流動性が良好であることを示す。
【0097】
A:ダイアメーター値が37mm以上であった。
B:ダイアメーター値が34mm以上37mm未満であった。
C:ダイアメーター値が34mm未満であった。
【0098】
<インキ流動性の評価2 ガラス板流動性の測定>
25℃に空調した室内において、地平面と70゜の角度をなすガラス板の上端に印刷インキ1.0mlを置き、1日後に流動した距離を測定した。数値が大きいほど流動性が良好であることを示す。
【0099】
[ミスチング性の評価方法]
インコメ-タ-式ミスチング試験機に印刷インキ1.31mlを測り取り、機械温度32℃、1200rpmで三分間回転させた。回転に伴い印刷インキが飛び回転体に沿って並べた紙の質量増加変化でミスチングの優劣を下記の基準に従い評価した。紙の質量変化が小さい程、印刷インキが紙に飛び散らず、耐ミスチング性が良好であったことを示す。
【0100】
A:質量変化が0.050g未満であった。
B:質量変化が0.050g以上0.075g未満であった。
C:質量変化が0.075g以上であった。
【0101】
[インキ乾燥性の評価方法]
簡易展色機(豊栄精工株式会社製「RIテスター」)を用い、前記印刷インキ0.10mlを使用して、RIテスターのゴムロール及び金属ロール上に均一に引き伸ばし、透明PETタック紙(DIC株式会社製「ダイタック UVPET透明25EMH-S」)の表面に約220cm2の面積範囲に均一に塗布されるように展色し、展色物を作製した。印刷インキ塗布後の展色物に紫外線(UV)照射を行い、印刷インキを硬化させて、印刷物を得た。具体的には、水冷メタルハライドランプ(出力100W/cm 1灯)及びベルトコンベアを搭載したUV照射装置(アイグラフィックス株式会社製、コ-ルドミラ-付属)を使用し、展色物をコンベア上に載せ、ランプ直下(照射距離11cm)を以下に述べる所定条件で通過させた。各条件における紫外線照射量は紫外線積算光量計(ウシオ電機株式会社製「UNIMETER UIT-150-A/受光機UVD-C365」)を用いて測定した。
【0102】
硬化性は、照射直後に爪スクラッチ法にて印刷物表面の傷付きの有無を確認した。前記UV照射装置のコンベア速度(m/分)を変化させながら展色物に紫外線を照射し、硬化後に爪で強く擦っても傷付きが無い最速のコンベア速度(m/分)を測定し、下記の評価基準に従い評価した。コンベア速度の数値が大きいほど印刷インキの硬化性が良好であることを示す。
【0103】
A:コンベア速度が50m/分以上であった。
B:コンベア速度が30m/分以上50m/分未満であった。
C:コンベア速度が30m/分未満であった。
【0104】
[光沢の評価方法]
簡易展色機(豊栄精工株式会社製「RIテスター」)を用い、硬化性評価で用いた展色物上に未硬化状態でUV硬化型オーバープリントニス(DIC株式会社製「UVカルトン ACT OPニス」)0.15mlを重ね刷りした。硬化性評価と同条件のUV照射装置で、コンベア速度を30m/分に設定し、印刷インキ及びオーバープリントニスを硬化させた。得られた印刷物について、印刷表面の光沢を測定し、下記の評価基準に従い評価した。光沢の数値が高いほどインキのオーバープリントニス受理性が良好であることを示す。
【0105】
A:光沢が55以上であった。
B:光沢が45以上55未満であった。
C:光沢が45未満であった。
【0106】
[高速印刷適正の評価方法]
上述のインキ流動性、ミスチング性、インキ乾燥性、及び印刷物表面の光沢の評価結果を、各項目においてA=3点、B=2点、C=0点と点数付けを行い、合計点数に応じて高速印刷適を下記の基準に従い評価した。
【0107】
A(合計点数が9点以上):高速印刷適正あり
B(合計点数が6点以上、9点未満):使用可能範囲内だが、配合等による改良が必要
C(合計点数が6点未満):高速印刷適正なし
【0108】
【0109】
表3中の略語は、以下のものを示す。
EOTMPTA:トリメチロールプロパンEO変性トリアクリレート
【0110】
印刷インキの調製に用いた各成分の詳細は以下の通りである。
EOTMPTA:トリメチロールプロパンEO変性トリアクリレート
顔料:DIC株式会社製「SYMULER FAST YELLOW 4342」
体質顔料:含水ケイ酸マグネシウム(松村産業株式会社製「ハイフィラ-#5000PJ」)
ワックス:ポリオレフィンワックス(Shamrock Technologies社製「S-381-N1」)
重合禁止剤:N-ニトロソフェニルヒドロキシルアミシアルミニウム塩(和光純薬工業株式会社製「Q-1301」)
重合開始剤(Y-1):α-アミノアルキルフェノン(IGM Resins社製「Omnirad 907」)
重合開始剤(Y-2):4,4’-ビスジメチルアミノベンゾフェノン(大同化成株式会社製「EAB-SS」)
【0111】
表2及び3に示した実施例5~12は、本発明の(メタ)アクリル樹脂を用いた活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の例である。この活性エネルギー線硬化性樹組成物の硬化物は、塗膜外観及び乾燥性に優れ、また、インキ流動性、ミスチング性、インキ乾燥性、印刷物表面の光沢、及び高速印刷適正にも優れることが確認できた。
【0112】
一方、比較例3、4、6及び7は、本発明にて規定するアゾ系開始剤を用いずに得たアクリル樹脂を含有する活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の例である。この活性エネルギー線硬化性樹組成物の硬化物は、塗膜外観及び乾燥性には優れるものの、インキ乾燥性、印刷物表面の光沢、及び高速印刷適正が不十分であることが確認できた。
【0113】
一方、比較例5は、ウレタン(メタ)アクリレート樹脂を用いた活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の例である。この活性エネルギー線硬化性樹組成物の硬化物は、インキ流動性、ミスチング性、インキ乾燥性、及び高速印刷適正が不十分であることが確認できた。