(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022078880
(43)【公開日】2022-05-25
(54)【発明の名称】監視制御システム、監視制御方法、及び、通信アダプタ
(51)【国際特許分類】
H04L 12/46 20060101AFI20220518BHJP
H04L 12/66 20060101ALI20220518BHJP
H04Q 9/00 20060101ALI20220518BHJP
【FI】
H04L12/46 100C
H04L12/66 A
H04Q9/00 311J
【審査請求】有
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020189843
(22)【出願日】2020-11-13
(71)【出願人】
【識別番号】000173809
【氏名又は名称】一般財団法人電力中央研究所
(71)【出願人】
【識別番号】000215202
【氏名又は名称】通研電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002343
【氏名又は名称】特許業務法人 東和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】坂 泰孝
(72)【発明者】
【氏名】パウデル サロジュ
(72)【発明者】
【氏名】瀬戸 好弘
(72)【発明者】
【氏名】大谷 哲夫
(72)【発明者】
【氏名】山本 勝也
(72)【発明者】
【氏名】山口 亮
【テーマコード(参考)】
5K030
5K033
5K048
【Fターム(参考)】
5K030GA19
5K030HC01
5K030HC14
5K030HD03
5K030HD06
5K030JA11
5K030LB15
5K033AA09
5K033CB02
5K033DA06
5K033DB19
5K048AA02
5K048BA22
5K048BA32
5K048HA01
5K048HA02
5K048HA03
(57)【要約】
【課題】変電所側システムをIEC61850に準拠した設備に置き換えていく場合に、各電力会社による独自の通信アダプタの開発負担を少なくする。
【解決手段】監視制御システムは、国際標準IEC61850以外であって各社固有の通信プロトコルによるデータ伝送を行うTC親局10と、前記国際標準IEC61850に準拠した通信プロトコルによるデータ伝送を行うTC子局20と、TC親局10とTC子局20との間に配置された通信アダプタ30を有していており、通信アダプタ30は、各社固有の通信プロトコルにおける第1変数と仮想的な各社共通の中間変数とを相互に変換する第1変換部と、中間変数と国際標準IEC61850に準拠した通信プロトコルにおける第2変数とを相互に変換する第2変換部を有している。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
国際標準IEC61850以外の通信プロトコルにしたがって各社固有の通信方式によるデータ伝送を行う監視制御装置親局と、前記国際標準IEC61850に準拠した通信プロトコルによるデータ伝送を行う監視制御装置子局と、
前記監視制御装置親局と前記監視制御装置子局との間に配置された通信アダプタと、を有する監視制御システムであって、
前記通信アダプタは、
前記各社固有の通信方式における第1変数と仮想的な各社共通の中間変数とを相互に変換する第1変換部と、
前記中間変数と前記国際標準IEC61850に準拠した通信プロトコルにおける第2変数とを相互に変換する第2変換部を、有することを特徴とする、監視制御システム。
【請求項2】
前記国際標準IEC61850以外の通信プロトコルが、HDLC通信プロトコル、CDT通信プロトコル方あるいは、PMCN通信プロトコルであることを特徴とする、請求項1に記載の監視制御システム。
【請求項3】
前記第1変数が、前記各社固有の伝送フレームに含まれる制御情報としての種別コードであることを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載の監視制御システム。
【請求項4】
前記第1変数が、前記各社固有の伝送フレームに含まれる制御方向を示す制御値であることを特徴とする、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の監視制御システム。
【請求項5】
前記第2変数が、前記国際標準IEC61850に準拠した通信プロトコルにおける情報モデルの情報種別であることを特徴とする、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の監視制御システム。
【請求項6】
前記通信アダプタは、前記各社固有の通信方式の伝送フレームに含まれるポジション情報と、前記国際標準IEC61850に準拠した通信プロトコルにおける情報モデルとを対応付けるマッピング定義に基づいて、前記ポジション情報と前記情報モデルを相互に変換することを特徴とする、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の監視制御システム。
【請求項7】
前記監視制御装置子局は、監視制御対象機器との間で前記国際標準IEC61850に準拠した通信プロトコルによるデータ伝送を行うことを特徴とする、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の監視制御システム。
【請求項8】
国際標準IEC61850以外の通信プロトコルにしたがって各社固有の通信方式によるデータ伝送を行う監視制御装置親局と、前記国際標準IEC61850に準拠した通信プロトコルによるデータ伝送を行う監視制御装置子局との間でデータ伝送を行う、監視制御方法であって、
前記各社固有の通信方式における第1変数と仮想的な各社共通の中間変数とを相互に変換する第1ステップと、
前記中間変数と前記国際標準IEC61850に準拠した通信プロトコルにおける第2変数とを相互に変換する第2ステップを、有することを特徴とする、監視制御方法。
【請求項9】
前記国際標準IEC61850以外の通信プロトコルが、HDLC通信プロトコル、CDT通信プロトコル方あるいは、PMCN通信プロトコルであることを特徴とする、請求項8に記載の監視制御方法。
【請求項10】
国際標準IEC61850以外の通信プロトコルにしたがって各社固有の通信方式によるデータ伝送を行う監視制御装置親局と、前記国際標準IEC61850に準拠した通信プロトコルによるデータ伝送を行う監視制御装置子局との間に配置された、通信アダプタであって、
前記各社固有の通信方式における第1変数と仮想的な各社共通の中間変数とを相互に変換する第1変換部と、
前記中間変数と前記国際標準IEC61850に準拠した通信プロトコルにおける第2変数とを相互に変換する第2変換部を、有することを特徴とする、通信アダプタ。
【請求項11】
前記国際標準IEC61850以外の通信プロトコルが、HDLC通信プロトコル、CDT通信プロトコル方あるいは、PMCN通信プロトコルであることを特徴とする、請求項10に記載の通信アダプタ。
【請求項12】
前記第1変数が、前記各社固有の伝送フレームに含まれる制御情報としての種別コードであることを特徴とする、請求項10又は請求項11に記載の通信アダプタ。
【請求項13】
前記第1変数が、前記各社固有の伝送フレームに含まれる制御方向を示す制御値であることを特徴とする、請求項10から請求項12のいずれか1項に記載の通信アダプタ。
【請求項14】
前記第2変数が、前記国際標準IEC61850に準拠した通信プロトコルにおける情報モデルの情報種別であることを特徴とする、請求項10から請求項13のいずれか1項に記載の通信アダプタ。
【請求項15】
前記各社固有の通信方式の伝送フレームに含まれるポジション情報と、前記国際標準IEC61850に準拠した通信プロトコルにおける情報モデルとを対応付けるマッピング定義に基づいて、前記ポジション情報と前記情報モデルを相互に変換することを特徴とする、請求項10から請求項14のいずれか1項に記載の通信アダプタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、監視制御システム、監視制御方法、及び、通信アダプタに関する。
【背景技術】
【0002】
発送電分離後のコストダウン、及び、国際標準化対応を背景として、国際電気標準会議(IEC:International Electrotechnical Commission)が定めた国際標準であるIEC61850は、今後、電力系統の運用管理のグローバルスタンダードになると見込まれている。これに伴い、各電力会社では、IEC61850を適用した監視制御システムへの移行がなされて行くと予想される。
【0003】
しかし、IEC61850と互換性のない従来システム、例えば、アナログ配電盤などの変電所設備や制御用計算機などの制御所設備をIEC61850に準拠したシステムへ一括して取り替えることはコスト面からも困難が伴う。このため、従来システムとIEC61850に準拠したシステムが併存することが予想される。例えば、特許文献1には、国際標準に準拠した設備と国際標準に準拠していない設備とを併存した状態で運用する監視制御システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示された監視制御システムは、親局となる制御所側をIEC61850に準拠したシステムで構築する一方、子局となる変電所側のシステムは、国際標準に準拠しない従来の通信方式で通信を行うものであり、制御所側と変電所側との間に中継部としてGW(ゲートウェイ)を設け、通信プロトコルの変換を行っている。このように、従来システムとIEC61850に準拠したシステムが混在する間は、両者の通信を行うための通信アダプタが必要となる。
【0006】
そして、親局となる制御所側を従来の通信方式で通信を行うシステムのままとし、子局となる変電所側の設備をIEC61850に準拠したシステムで構築した場合、従来の通信方式では、例えば、通信プロトコル、ペイロード、ポジションなどが電力会社ごとに異なり、通信プロトコルが同じであったとしても、ペイロードのフォーマットが電力会社ごとに異なるといった課題がある。このため、各電力会社は、変電所の設備をIEC61850に準拠したシステムに置き換えるにあたって、電力会社の通信方式ごとに個別に通信アダプタを開発する必要が生じる。
【0007】
本発明は、これらの実情に鑑みてなされたものであり、変電所側システムをIEC61850に準拠した設備に置き換えていく際に、様々な従来の通信方式に対して、各電力会社で共通の処理やデータを意味する仮想的な中間変数を利用することにより、各電力会社独自の通信アダプタの開発負担を少なくした、監視制御システム、監視制御方法、及び、通信アダプタを提供することをその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の第1の技術手段は、国際標準IEC61850以外の通信プロトコルにしたがって各社固有の通信方式によるデータ伝送を行う監視制御装置親局と、前記国際標準IEC61850に準拠した通信プロトコルによるデータ伝送を行う監視制御装置子局と、前記監視制御装置親局と前記監視制御装置子局との間に配置された通信アダプタと、を有する監視制御システムであって、前記通信アダプタは、前記各社固有の通信方式における第1変数と仮想的な各社共通の中間変数とを相互に変換する第1変換部と、前記中間変数と前記国際標準IEC61850に準拠した通信プロトコルにおける第2変数とを相互に変換する第2変換部を、有することを特徴とする。これにより、従来システムの監視制御装置子局をIEC61850に準拠した設備に置き換える際に、各電力会社独自の通信アダプタの開発負担を少なくすることができる。
【0009】
本発明の第2の技術手段は、第1の技術手段において、前記国際標準IEC61850以外の通信プロトコルが、HDLC通信プロトコル、CDT通信プロトコル、あるいは、PMCN通信プロトコルであることを特徴とする。これにより、監視制御装置親局が、国際標準IEC61850以外の通信プロトコルとして、HDLC通信プロトコル、CDT通信プロトコル、あるいは、PMCN通信プロトコルを用いた従来システムであっても適用できる。
【0010】
本発明の第3の技術手段は、第1又は第2の技術手段において、前記第1変数が、前記各社固有の伝送フレームに含まれる制御情報としての種別コードであることを特徴とする。これにより、監視制御システムに、各社独自の種別コードが用いられていても構わない。
【0011】
本発明の第4の技術手段は、第1から第3のいずれか1つの技術手段において、前記第1変数が、前記各社固有の伝送フレームに含まれる制御方向を示す制御値であることを特徴とする。これにより、監視制御システムに、各社独自の制御方向を示す制御値が用いられていても構わない。
【0012】
本発明の第5の技術手段は、第1から第4のいずれか1つの技術手段において、前記第2変数が、前記国際標準IEC61850に準拠した通信プロトコルにおける情報モデルの情報種別であることを特徴とする。これにより、監視制御装置子局からのレポートの内容が状態表示情報であるか計測表示情報であるかを把握でき、監視制御装置親局に的確に伝えることができる。
【0013】
本発明の第6の技術手段は、第1から第5のいずれか1つの技術手段において、前記通信アダプタは、前記各社固有の通信方式の伝送フレームに含まれるポジション情報と、前記国際標準IEC61850に準拠した通信プロトコルにおける情報モデルとを対応付けるマッピング定義に基づいて、前記ポジション情報と前記情報モデルを相互に変換することを特徴とする。これにより、各社独自のポジション情報を用いていたとしても、IEC61850に準拠した情報モデルに変換することができるので、監視制御装置親局と監視制御装置子局との通信を円滑に行うことができる。
【0014】
本発明の第7の技術手段は、第1から第6のいずれか1つの技術手段において、前記監視制御装置子局は、監視制御対象機器との間で前記国際標準IEC61850に準拠した通信プロトコルによるデータ伝送を行うことを特徴とする。これにより、例えば、変電所内において、監視制御装置子局は下位の監視制御対象機器と直接通信ができ、統一したシステムを構築することができる。
【0015】
本発明の第8の技術手段は、国際標準IEC61850以外の通信プロトコルにしたがって各社固有の通信方式によるデータ伝送を行う監視制御装置親局と、前記国際標準IEC61850に準拠した通信プロトコルによるデータ伝送を行う監視制御装置子局との間でデータ伝送を行う、監視制御方法であって、前記各社固有の通信方式における第1変数と仮想的な各社共通の中間変数とを相互に変換する第1ステップと、前記中間変数と前記国際標準IEC61850に準拠した通信プロトコルにおける第2変数とを相互に変換する第2ステップを、有することを特徴とする。これにより、従来システムの監視制御装置子局をIEC61850に準拠した設備に置き換える際に、各電力会社独自の通信アダプタの開発負担を少なくすることができる。
【0016】
本発明の第9の技術手段は、第8の技術手段において、前記国際標準IEC61850以外の通信プロトコルが、HDLC通信プロトコル、CDT通信プロトコル方あるいは、PMCN通信プロトコルであることを特徴とする。これにより、監視制御装置親局が、国際標準IEC61850以外の通信プロトコルとして、HDLC通信プロトコル、CDT通信プロトコル、あるいは、PMCN通信プロトコルを用いた従来システムであっても適用できる。
【0017】
本発明の第10の技術手段は、国際標準IEC61850以外の通信プロトコルにしたがって各社固有の通信方式によるデータ伝送を行う監視制御装置親局と、前記国際標準IEC61850に準拠した通信プロトコルによるデータ伝送を行う監視制御装置子局との間に配置された、通信アダプタであって、前記各社固有の通信方式における第1変数と仮想的な各社共通の中間変数とを相互に変換する第1変換部と、前記中間変数と前記国際標準IEC61850に準拠した通信プロトコルにおける第2変数とを相互に変換する第2変換部を、有することを特徴とする。これにより、従来システムの監視制御装置子局をIEC61850に準拠した設備に置き換える際に、各電力会社独自の通信アダプタの開発負担を少なくすることができる。
【0018】
本発明の第11の技術手段は、第10の技術手段において、前記国際標準IEC61850以外の通信プロトコルが、HDLC通信プロトコル、CDT通信プロトコル、あるいは、PMCN通信プロトコルであることを特徴とする。これにより、監視制御装置親局が、国際標準IEC61850以外の通信プロトコルとして、HDLC通信プロトコル、CDT通信プロトコル、あるいは、PMCN通信プロトコルを用いた従来システムであっても適用できる。
【0019】
本発明の第12の技術手段は、第10又は第11の技術手段において、前記第1変数が、前記各社固有の伝送フレームに含まれる制御情報としての種別コードであることを特徴とする。これにより、監視制御システムに、各社独自の種別コードが用いられていても構わない。
【0020】
本発明の第13の技術手段は、第10から第12のいずれか1つの技術手段において、前記第1変数が、前記各社固有の伝送フレームに含まれる制御方向を示す制御値であることを特徴とする。これにより、監視制御システムに、各社独自の制御方向を示す制御値が用いられていても構わない。
【0021】
本発明の第14の技術手段は、第10から第13のいずれか1つの技術手段において、前記第2変数が、前記国際標準IEC61850に準拠した通信プロトコルにおける情報モデルの情報種別であることを特徴とする。これにより、監視制御装置子局からのレポートの内容を、監視制御装置親局に的確に伝えることができる。
【0022】
本発明の第15の技術手段は、第10から第14のいずれか1つの技術手段において、前記各社固有の通信方式の伝送フレームに含まれるポジション情報と、前記国際標準IEC61850に準拠した通信プロトコルにおける情報モデルとを対応付けるマッピング定義に基づいて、前記ポジション情報と前記情報モデルを相互に変換することを特徴とする。これにより、各社独自のポジション情報を用いていたとしても、IEC61850に準拠した情報モデルに変換することができるので、監視制御装置親局と監視制御装置子局との通信を円滑に行うことができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、変電所側システムをIEC61850に準拠した設備に置き換えていく場合に、各電力会社による独自の通信アダプタの開発負担を少なくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本発明に係る監視制御システムの一例を、従来システムとの対比で説明するための図である。
【
図2】本発明に係る通信アダプタの一例と中間変数について説明するための図である。
【
図3】本発明で用いる中間通信サービスについて説明するための図である。
【
図4】本発明で用いるマッピング定義の一例について説明するための図である。
【
図5】制御コードと中間制御値の一例について説明するための図である。
【
図6】状態値に関するデータ種別と変換条件について説明するための図である。
【
図7】計測値に関するデータ種別と変換条件について説明するための図である。
【
図9A】本発明における選択制御のシーケンスの例を
図9Bとともに示す図である。
【
図9B】本発明における選択制御のシーケンスの例を
図9Bとともに示す図である。
【
図10】
図9A、
図9Bに示す選択制御のシーケンスにおいてTC親局から受信するHDLC伝送フレームの例を示す図である。
【
図11】
図9A、
図9Bに示す選択制御のシーケンスで用いるマッピング定義の例を示す図である。
【
図12】
図9A、
図9Bに示す選択制御のシーケンスにおいてTC子局から送信されるReportの例を示す図である。
【
図13】Reportの内容を格納するテーブルの例を示す図である。
【
図14】
図9A、
図9Bに示す選択制御のシーケンスにおいてTC親局へ送信するHDLC伝送フレームの例を示す図である。
【
図15】本発明における状態表示のシーケンスの例を示す図である。
【
図16】
図15に示す状態表示のシーケンスにおけるTC親局へのHDLC伝送フレームの例を示す図である。
【
図17】本発明における計測表示のシーケンスの例を示す図である。
【
図18】
図17に示す計測制御のシーケンスにおいてTC子局から送信されるReportの例を示す図である。
【
図19】Reportの内容を格納するテーブルの例を示す図である。
【
図20】
図17に示す計測表示のシーケンスにおいてTC親局へ送信するHDLC伝送フレームの例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を参照しながら、本発明の監視制御システム、監視制御方法、及び、通信アダプタに係る好適な実施形態について説明する。以下の説明において、異なる図面においても同じ符号を付した構成は同様のものであるとして、その説明を省略する場合がある。なお、本発明はこれらの実施形態での例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された事項の範囲内及び均等の範囲内におけるすべての変更を含む。また、複数の実施形態について組み合わせが可能である限り、本発明は任意の実施形態を組み合わせたものを含む。
【0026】
以下の説明においては、IEC61850以外の通信プロトコルとして、HDLC(High Level Data Link Control)通信プロトコルの場合について説明するが、IEC61850以外の通信プロトコルとしては、CDT(Cyclic Digita1 data Transmission)通信プロトコル、あるいは、PMCN(Protocol for Mission Critical industrial Network use)通信プロトコルであってもよく、また他の通信プロトコルであってもよい。また、本説明では、IEC61850は国際標準を意味し、単に「61850」と記す場合がある。
【0027】
(実施形態1)
図1は、本発明に係る監視制御システムの一例を、従来システムとの対比で説明するための図であり、
図1(A)に示す監視制御システム1’が従来システムであり、
図1(B)の監視制御システム1が本発明に係る監視制御システムを示している。そして、本実施形態の監視制御システム1は、制御所2のシステムと変電所3のシステムを含む。
【0028】
本実施形態の監視制御システム1の制御所2は、例えば、監視制御装置子局(以下、「TC子局」という。)20との間でデータの授受を行う監視制御装置親局(以下、「TC親局」という。)10、及び、監視制御アプリケーションを実行する計算機11とから構成されている。TC親局10は、IEC61850以外の通信プロトコルとしてHDLC(High-level Data Link Control)通信プロトコルによる通信インターフェースを有している。なお、以下の説明では、HDLC通信プロトコルによる通信方式を「HDLC通信方式」と呼ぶ。
【0029】
変電所3は、例えば、TC子局20、監視制御対象機器であるIED(Intelligent Electronic Device)21、及び、HMI(Human Machine Interface)22から構成されている。TC子局20、IED21、及び、HMI22は、ステーションバス23によって繋がれており、装置間では、IEC61850に準拠した通信プロトコルに基づく通信方式(以下、「IEC61850通信方式」ともいう。)によるデータ伝送を行うことが可能になっている。このため、TC子局20は、IEC61850通信方式による通信インターフェースを有する。IED21は、IEC61850に準拠した監視制御対象機器であり、例えば、遮断器、変圧器といった機器を制御する装置である。
【0030】
ここで、
図1(A)に示す監視制御システム1’を参照すると、制御所2の構成は本発明に係る監視制御システム1と同様であるが、変電所3’の構成が異なっている。従来の変電所3’では、配電盤41、制御盤42、CT(変流器)/VT(計器用変圧器)43などが、TC(テレコン)(TM(テレメータ))盤40に接続された構成になっており、TC子局20に該当するTC(TM)盤40とTC親局10との間は、従来のHDLCによる通信プロトコルであるHDLC通信方式が採用されている。
【0031】
本実施形態の監視制御システム1と従来の監視制御システム1’を対比した場合、本実施形態の監視制御システム1は、従来の監視制御システム1’における変電所3’側だけを、IEC61850に準拠したシステムに変更したシステムになっている。このため、通信プロトコルの違いから、TC親局10とTC子局20との間では、直接データ伝送ができない。この対策として、本実施形態では、変電所3内に、TC親局10とTC子局20との間のデータ伝送を円滑に行うための通信アダプタ30を設けている。なお、
図1では、通信アダプタ30は変電所3内に設けているが、通信アダプタ30は必ずしも変電所3内に設置する必要はない。また、
図1(B)では、1個所の制御所2と1個所の変電所3を図示しているが、それぞれ複数個所であってかまわない。
【0032】
本実施形態の通信アダプタ30は、基本的には、HDLC通信プロトコルとIEC61850に準拠した通信プロトコルとのプロトコル変換を行うものである。しかし、従来の監視制御システムにおける通信方式は、通信プロトコル、ペイロード、ポジションなどが電力会社ごとに異なっていたり、通信プロトコルが同じであったとしても、ペイロードのフォーマットが電力会社ごとに異なっていたりするという問題がある。本実施形態の通信アダプタ30はこれに対処するためのものであり、以下に、通信アダプタ30の機能について説明する。なお、通信アダプタ30のハードウェア構成については、その説明を省略するが、CPU、ROM、RAMを備えており、例えば、ROMに格納されたプログラムをCPUが実行することにより、所与の機能を実現している。
【0033】
図2は、本発明に係る通信アダプタの一例と中間変数について説明するための図である。通信アダプタ30は、HDLC処理部30AとIEC61850処理部30Bからなる。HDLC処理部30Aは、HDLC通信処理部31及び個別変換部32を有しており、IEC61850処理部30Bは共通変換部33及びIEC61850通信処理部34を有している。ここで、HDLC処理部30Aが本発明の第1変換部に相当し、IEC61850処理部30Bが本発明の第2変換部に相当する。
【0034】
HDLC通信処理部31は、TC親局10との間で従来のHDLC通信方式での処理を行う機能を有しており、従来システムのソフトウェアを利用することができる。個別変換部32は、従来のHDLC通信方式における伝送フレームのペイロードの内容を、仮想的な各社共通の中間変数に変換する機能を有しており、各社固有のHDLC通信方式毎に開発される。共通変換部33は仮想的な各社共通の中間変数をIEC61850通信方式における変数に変換する機能を有しており、各社共通で使用することができる。また、IEC61850通信処理部34は、TC子局20との間でIEC61850通信方式での処理を行う機能を有しており、各社共通で使用することができる。このように、本実施形態の監視制御システムでは、HDLC処理部30AとIEC61850処理部30Bとのインターフェースとして中間変数を用いることにより、従来あるいは各社共通のソフトウェアによる処理部分が多くなるようにしている。
【0035】
ここで、TC親局10側を上流、TC子局20側を下流とした場合、個別変換部32から共通変換部33に伝えられる下りの中間変数は、
図2のデータD1で示すように、[伝送項目]、[中間制御値]、[中間通信サービス]、[orIdent]、[Test]を含んでいる。下りの各中間変数の内容は、次のとおりである。なお、本明細書では、変数については[]で囲み、数値については「」で囲んで説明することがある。
[伝送項目]:従来の通信方式における下り方向のポジション(群/個(ワード/ポジション)、計測アドレス)を表現する変数であり、後述するマッピング定義により、IEC61850情報モデルへ変換される。
[中間制御値]:各社で異なる制御コードの意味を全社共通に扱える中間変数として表現しなおした変数である。
[中間通信サービス]:HDLC通信方式における各社で異なる制御種別コードが持つ意味を共通の中間変数として表現しなおした変数である。
[orIdent]:IEC61850の通信方式において、選択制御指令内に付与され、送信元を表現する任意の識別子を表現する変数である。
[Test]は、IEC61850通信方式における、制御指令内に付与される試験ビットを表現する変数である。
【0036】
また、共通変換部33から個別変換部32に伝えられる上りの中間変数は、
図2のデータD2で示すように、[伝送項目]、[状態/計測値]、[追加動作]、[中間通信サービス]、[不良要因]、[装置不良]、[試験ビット]、[SeqNum]、[ReasonCode]、[AddCause]を含んでいる。上りの各中間変数の内容は、次のとおりである。
[伝送項目]:従来の通信方式における上り方向のポジション(群/個(ワード/ポジション)、計測アドレス)を表現する変数であり、後述するマッピング定義により、IEC61850情報モデルから従来の通信方式のポジションへ変換される。
[状態/計測値]:状態値/計測値の値を表現する変数である。
[追加動作]:HDLC通信処理部31で実施する追加処理を表現する変数である。
[中間通信サービス]:HDLC通信方式における各社で異なる制御種別コードが持つ意味を共通の中間変数として表現しなおした変数である。
[不良要因]:中間通信サービスが「応答 (マイナス)」である場合に、マイナス要因を表現する変数である。
[装置不良]:通信アダプタ30の内部/外部の不良(内部異常、LAN回線接続断など)を表現する変数である。
[試験ビット]:試験モードにおける上り情報であることを示す変数である。
[SeqNum]:IEC61850通信方式におけるReportのシーケンス番号を表現する変数である。
[ReasonCode]:IEC61850通信方式におけるReportの発行理由を表現する変数である。
[AddCause]:IEC61850通信方式における選択制御不成功時の要因を表現する変数である。
【0037】
本実施形態では、通信方式によらない共通部分を最大化し、かつ、個別の通信方式に対応するために、中間変数として中間通信サービスを用いている。また、HDLC通信方式におけるポジションとIEC61850情報モデルとの対応表であるマッピング定義を定め、マッピング定義に基づく変換を行っている。さらに、各社で異なる制御コードの意味を全社共通に扱うために、中間変数として中間制御値を用いている。以下に、これらについて説明する。
【0038】
(中間通信サービス)
図3は、本発明で用いる中間通信サービスについて説明するための図である。
図3(A)は、各電力会社で用いているHDLC通信方式における選択制御用のペイロードに含まれる制御種別コードと、IEC61850通信方式が提供するIEC61850通信サービスとの間のインターフェースとなる中間変数としての中間通信サービスを示している。また、
図3(B)は、各種の中間通信サービスを示す図である。
【0039】
図3(A)で示すように、各電力会社のHDLC通信方式では、同じHDLC通信方式が用いられていても、例えば、電力会社A社と電力会社B社とでは、選択制御用のペイロードに異なる制御用種別コードが用いられることがある。しかし、各電力会社における選択制御用のペイロード(制御用フレーム)内の制御用種別コードが持つ意味は、全社共通であるため、IEC61850通信サービスへの変換が可能である。例えば、電力会社A社のある制御用種別コードXの意味がIED21の選択を意味するものであった場合、IEC61850通信サービスでは、SelectWithValueに該当するとした場合、電力会社B社のある制御用種別コードYが電力会社A社の制御用種別コードXと異なっていても、その意味がIED21の選択を意味するものであれば、IEC61850通信サービスでは、SelectWithValueに対応させることができる。本実施形態では、このように、HDLC通信方式では表記上各社で異なる制御用種別コードであっても、制御用種別コードの持つ意味が同じ場合は、中間通信サービスとして、例えば、「選択指令_要求」として定義し、IEC61850通信サービスへ変換する前に、
図2に示す通信アダプタ30の個別変換部32によって、全社共通に使用できる中間変数に変換している。
【0040】
そして、通信アダプタ30の共通変換部33において、「選択指令_要求」の中間通信サービスをIEC61850通信サービスにおけるSelectWithValueに変換している。このように、従来の通信方式から中間通信サービスへの変換さえ行うことができれば、IEC61850の知識がなくても、各電力会社で異なる制御種別用コードからIEC61850通信サービスへの変換が可能となる。
【0041】
このことは、他の制御用種別コードであっても同様である。各電力会社で異なる制御種別コードが用いられていても、その意味するところが同じであれば、全社共通の中間通信サービスへの変換が可能となる。例えば、各電力会社の制御種別用コードをIEC61850通信サービスのOperateに対応する「制御指令_要求」、あるいは、IEC61850通信サービスのCancelに対応する「解除指令_要求」に変換できれば、IEC61850通信サービスへの変換が可能となる。
【0042】
図3(B)に示すように、本実施形態では、従来のHDLC通信方式における下りの伝送フレームのペイロードに含まれる制御用種別コード以外に、上りの情報に含まれる、返送用種別コード、表示用種別コード、あるいは、計測用種別コードについては、IEC61850通信サービスから、各社共通に使用できる中間変数としての中間通信サービスを介して、HDLC通信方式における各種種別コードに変換している。各中間通信サービスの内容は、IEC61850通信サービスが提供するサービス内容であり、その詳細については説明を省略する。
【0043】
(マッピング定義)
図4は、本実施形態で用いるマッピング定義の一例について説明するための図である。マッピング定義は、ポジションとIEC61850情報モデルを対応付けたものであり、
図4(A)は、電力会社A社のマッピング定義や電力会社B社のマッピング定義を用いて、HDLC通信方式のポジションをIEC61850情報モデルに変換することを示している。本実施形態では、IEC61850情報モデルへの変換は、
図2に示す通信アダプタ30の共通変換部33で行っている。
【0044】
図4(A)に示すように、HDLC通信方式におけるポジションは、例えば、変圧器のタップ制御において自動/手動を切り替える場合の機能に対して、電力会社A社では、「43LR」というポジション名称を有しており、ポジションのコードとし「○群×個」が用いられる。また、電力会社B社では、「43A」というポジション名称を有しており、ポジションのコードとし「■群▲個」が用いられる。一方、IEC61850通信方式では、変圧器のタップ制御において自動/手動を切り替える場合の機能に対して、「ATCC.Auto」というIEC61850情報モデルに対するIEC61850通信サービスの1つであるControlサービスが対応する。このため、各電力会社がポジションとIEC61850情報モデルとの対応を示すマッピング定義を作成し、通信アダプタ30がそのマッピング定義を読み込むことによって、各社の通信方式の違いによらず共通の方法でIEC61850情報モデルとの変換を行っている。
【0045】
図4(B)は、マッピング定義の一例を示している。
図4(B)では、マッピング定義100として、[上り/下り]、[伝送項目]、[IEC61850情報モデル]、[データ種別]、[情報種別]、[変換条件]、[入力値範囲]として[最小値]及び[最大値]の各項目を有するテーブルを示している。ここで、各項目の内容は次のとおりである。
[上り/下り(U/D)]:通信メッセージ(処理)の方向を示す。
[伝送項目]:従来の通信方式のペイロードに含まれるポジション/データアドレス(群$個(W$Pos))を示す。
[IEC61850情報モデル]:従来の通信方式の各ポジションに対応するIEC61850の論理ノード(LN:Logical Node)、データオブジェクト(DO:Data Object)、及び、データ属性(DA:Data Attribute)を有している。IEDを特定するために、先頭にIEDのコードがつけられる。
[データ種別]:従来の通信方式の制御値、状態値、計測値への変換種別(規則)を示す。
[情報種別]:該当ポジションが状態表示あるいは計測表示であるかを判断するための値である。
[変換条件]:状態値、計測値変換の条件を判断するための値である。
[最大値/最小値]:BCD変換時に“999”又は “999999”に相当する値である。
マッピング定義の各項目の使用例については、後述する。
【0046】
(中間制御値)
図5は、制御コードと中間制御値の一例について説明するための図である。従来のHDLC通信方式では、制御の方向を示す制御コードは、各電力会社で異なる場合が多い。
一方、IEC61850通信方式では、下り情報として、例えば、IEC61850情報モデルに対して、IEC61850通信サービスの1つであるControlサービスのパラメータである[ctlVal]が制御の方向を示す。[ctlVal]は、IEC61850情報モデルの型によって異なる値が使用される。本通信アダプタでは、変換テーブル201に示すように、例えば、3種類の[データ種別]として、「BOOL」、「Tcmd」、「Mod」を定義する。そして、各データ種別の値によって制御の内容が異なっている。例えば、[データ種別]が「BOOL」の場合、[ctlVal]の値は「TRUE」又は「FALSE」のいずれかとなり、[データ種別]が「Tcmd」の場合は、[ctlVal]の値は「0:stop」から「3:reserved」の値をとることができる。このため、本実施形態では、各電力会社で用いている従来のHDLC通信方式における制御コードを、全社共通で利用可能な中間変数としての[中間制御値(OP/CL)]に一旦変換し、さらにこの中間制御値を、IEC61850通信方式に対応するデータ種別に応じた[ctlVal]の値に変換している。
【0047】
例えば、HDLC通信方式においては、制御コードは2値の値しかとれない。このため、通信アダプタ30の個別変換部32は、HDLC通信方式における[制御コード]の「011」を[中間制御値]として「CL」に変換し、さらに、共通変換部33が、この制御コードに対応したIEC61850通信方式に対応する[データ種別]が「BOOL」の場合に、[ctlVal]の値を「TRUE」に変換している。同様に、HDLC通信方式における[制御コード]の「011」を[中間制御値]に対応する「CL」に変換し、さらに、この制御コードに対応したIEC61850通信方式に対応する[データ種別]が「Tcmd」の場合に、[ctlVal」の値を「2:higher」に変換している。このように、下り情報に含まれる制御コードについては、制御コードの値を中間制御値に変換し、さらに、Controlサービスのパラメータ[ctlVal]に対応する[データ種別]に応じた値に変換している。
【0048】
図6は、状態値に関するデータ種別と変換条件について説明するための図であり、変換条件が「1」の場合を示している。IEC61850に準拠したシステムでは、IED21の状態値を示す上り情報が、TC子局20からのReport(レポート)としてTC親局10に伝えられる。Reportは、IEC61850通信方式で提供される通信サービスであり、状態変化などのイベント伝送のほか、計測データの定周期伝送、あるいは、異常・警報などの通知のために使用される通信サービスである。このReportサービスでは、論理ノードのデータオブジェクトの値や状態に応じて、予めデータセットで定義された通信メッセージがReportとして生成され、送付される。
【0049】
そして、このReportの中に、IED21の状態値を示すデータ属性[stVal]が含まれていた場合、通信アダプタ30は、[stVal]の状態値を、データ種別と変換条件に応じて、変換テーブル202にしたがってHDLC通信方式における状態値に変換している。
図6に示す変換テーブル202は、変換条件が「1」の場合の変換テーブルを示しており、a接点(ノーマリーオープンの接点)入力を示している。変換条件「0」の変換テーブルは図示していないが、b接点 (ノーマリークローズの接点) 入力の場合の変換テーブルとなる。
【0050】
図6に示すように、データ属性[stVal]は様々な値をとる。本通信アダプタでは、[stVal]の値を[データ種別]として、例えば、「BOOL」、「Beh」、「Dpos」、「Health」の4つのデータ種別を定義する。そして、各[データ種別]で示される状態値は、「BOOL」では「TRUE」と「FALSE」の2値であるが、IEC61850通信方式では、例えば、データ種別が「Dpos」、「Beh」、「Health」の場合に、2値より多い数の状態値が生成される。一方、HDLC通信方式で表現できる状態値は2値に制限されている。このため、本実施形態では、例えば、[変換条件]が「1」で[データ種別]が「BOOL」の場合、[stVal]の値「TRUE」を、HDLC通信方式における状態値「1」に変換し、[stVal]の値「FALSE」を、HDLC通信方式における状態値「0」に変換している。また、状態値が2値より多い値をとる、「Dpos」、「Beh」、「Health」については、[stVal]の予め決めた2つの値をHDLC通信方式における状態値「1」又は「0」に変換し、その他の値については、監視制御システム1の機能に支障がないように、別途状態値変換定義を定めている。
【0051】
図7は、計測値に関する[データ種別]と[変換条件]について説明するための図である。IEC61850に準拠したシステムでは、IED21からの計測値を示す上り情報が、TC子局20からのReportとしてTC親局10に伝えられる。この場合、TC子局20から通信アダプタ30に伝えられる計測値は、データ属性[stVal]の値として、例えば、[データ種別]が「FLOAT32」や、「INT8/32/64」のいずれかが用いられる。そして、TC子局20が数値として受け取りたい値の形式の選択肢に応じて、予め[変換条件]を定めておくことによって、通信アダプタ30は、変換テーブル203にしたがって、TC子局20からのデータ属性[stVal]の値を、TC親局10が所望する数値の形式である変換条件にしたがって変換し、TC親局10に伝えている。
【0052】
例えば、最小値/最大値の入力値範囲が0~800であり、入力値の[データ種別]が「FLOAT32」で入力値が“500”であるとすると、[変換条件]が「0」の場合は、
図6に示す変換テーブル203では、HDLC通信方式での計測値が「BCD3桁」であり、この場合の出力値の範囲が0から±999であるため、入力値を0~±999のスケール範囲に相対値変換し、BCD3桁でTC親局10に送信している。具体的には、出力値=入力値×出力フルスケール値(999)÷入力値範囲の値となるように変換し、入力値“500”に対して出力値“624”(=500×999÷800)を得た後、この出力値をBCD3桁の数値としてTC親局10に送信している。このように、[変換条件]が「0:BCD3桁」、又は、「1:BCD6桁」の場合は、最小値/最大値として設定された値が、BCDの「999」、又は、「999999」に相当し、IEC61850通信方式における計測値は、フルスケールを999又は999999として按分した値のBCDとなる。
【0053】
[変換条件]が「3」、「4」の場合は、通信アダプタ30は、IEC61850通信方式における計測値をそのままBCD変換する。例えば、IEC61850通信方式における計測値が“125”(INT8)の場合、BCDは“125(0001 0010 0101)2”となる。
【0054】
図8は、情報種別について説明するための図である。IEC61850に準拠したシステムでは、Reportとして受信したIEC61850情報モデルが、従来のHDLC通信方式における状態表示か計測表示かを判断するために、
図8に示す[情報種別]の変換テーブル204にしたがって変換している。
図8に示す変換テーブルでは、[情報種別]が「0」であれば「状態表示」を示しており、[情報種別]が「1」であれば「計測表示」を示している。
【0055】
(選択制御シーケンス)
次に、本実施形態の監視制御システムあるいは監視制御方法における選択制御のシーケンスについて、例として、TC親局10からTC子局20へ開閉器の入方向の選択制御を行い、正常に制御が行われた場合について説明する。また、前提として、制御対象開閉器の[伝送項目]が「A群B個」であり、[IEC61850情報モデル]が、「IEDLD$CSWI1$Pos」であるとする。
図9A、
図9Bは、本発明における選択制御のシーケンスの例を示す図であり、
図10は、
図9A、
図9Bに示す選択制御のシーケンスにおいてTC親局10から受信するHDLC伝送フレームの例を示す図である。
図9A、
図9Bでは、TC親局10を左側に、TC子局20を右側に記載し、TC親局10とTC子局20の間に通信アダプタ30を記載している。
図9A、
図9Bでは、右側に向かう矢印が下りであり、左側に向かう矢印が上りとなる。上り、下りの方向は、他の図においても同様である。
【0056】
また、
図11は、
図9A、
図9Bに示す選択制御のシーケンスで用いるマッピング定義の例を示す図であり、
図12は、
図9A、
図9Bに示す選択制御のシーケンスにおいてTC子局20から送信されるReportの例を示す図である。さらに、
図13は、Reportの内容を格納するテーブルの例を示す図であり、
図14は、
図9A、
図9Bに示す選択制御のシーケンスにおいてTC親局10へ送信するHDLC伝送フレームの例を示す図である。
【0057】
まず、
図9Aを参照すれば、通信アダプタ30のHDLC通信処理部31は、TC親局10との間でHDLC通信方式によるデータ伝送を行い、TC親局10から、HDLC通信方式におけるHDLC伝送フレームを受信する(ステップS101)。HDLC伝送フレームは、フラグシーケンス(F)、アドレスフィールド(A)、制御コード(C)、情報フレーム(I)、及び、フレームチェックシーケンス(FCS)から構成されており、
図10に示すように、ペイロードとなる情報フレーム301には、フレーム長、送信元装置アドレス、種別コード、パケット通番、日、時、分、秒、選択コード、制御コードなどが含まれている。
【0058】
図10に示すHDLC伝送フレームの情報フレーム301は、TC親局10からの選択制御における入制御時の情報フレームの例を示しており、情報フレーム301には、送信元の装置アドレスを示すBCDコード、選択制御を表す種別コード「30h」、HDLC通信方式のポジションに相当する伝送項目を表す選択コード「A群B個」、HDLC通信方式での制御値(制御方向)を表す制御コード「011」の各データが含まれている。これらの、種別コード、伝送項目、制御値(HDLC)は、先述したように、それぞれ各電力会社で統一されておらず、固有の値をとっている。そして、HDLC通信処理部31は、TC親局10から受信した選択制御指令情報である情報フレーム301の中から、[伝送項目](
図10中では選択コードと表記)、[制御値(HDLC)]、[種別コード]、[送信元アドレス]を抽出し、個別変換部32に伝える。なお、[伝送項目]の「A群B個」は、「A$B」として送られる。HDLC通信処理部31から個別変換部32に伝えられるデータの値は、
図9AのデータD11に示すとおりである。
【0059】
次に、ステップS102で、個別変換部32は、これらのデータを受信すると、[制御値(HDLC)]を該当する[中間制御値]に変換するとともに、[種別コード]を該当する[中間通信サービス]に変換し、さらに、[送信元アドレス(BCDコード)]を、[orIdent]として制御元を表す任意の識別子(Octet64型)に変換する。具体的には、制御値(HDLC)である「011」は、該当する[中間制御値]の「CL」に変換され、また、[種別コード]の「30h」は、該当する[中間通信サービス]である「選択&制御指令_要求」に変換される、そして、
図2に示す中間変数(下り)として、[伝送項目]、[中間制御値]、[中間通信サービス]、[orIdent]、及び、[Test]は、共通変換部33に送られる。中間変数(下り)の各値は、
図9AのデータD12に示すとおりである。
【0060】
次に、ステップS103に移り、共通変換部33は、個別変換部32から送られてきた中間変数の[伝送項目]を基に、メモリに保存してあるマッピング定義101を参照し、マッピング定義101内に[伝送項目]が存在する場合、該当する[IEC61850情報モデル]と[データ種別]を読み出す。具体的には、
図11に示すマッピング定義101を参照すれば、下り方向での伝送項目である「A$B」を基に、[IEC61850情報モデル]として「IEDLD$CSWI1$Pos」が読み出され、[データ種別]として「BOOL」が読み出される。
【0061】
また、共通変換部33は、個別変換部32から送られてきた[中間通信サービス]を基に、[連続処理]の「True」と「False」を判断する。本実施形態では、[連続処理]は「True」となる。また、受信した[伝送項目]を記憶する。さらに、[中間通信サービス]を、該当するIEC61850通信サービスを表現する変数として[ACSI:abstract communication service interface(アブストラクト通信サービスインタフェース)]に変換する。具体的には、[中間通信サービス]が「選択&制御指令_要求」の場合は、
図3(B)に示す変換テーブル90にしたがって、[ACSI]の「SelVal_req」として変換される。なお、
図3(B)に示す変換テーブル90では、「選択&制御指令_要求」は、選択要求を意味する「SelVal_req」と制御要求を意味する「Oper_req」に変換されることを示しているが、後述するように、IEC61850通信サービスのSelVal_reqとOper_reqは連続してTC子局20に送信される。
【0062】
さらに、共通変換部33は、個別変換部32から送られてきた[中間制御値]を、マッピング定義101から読み出した[データ種別]を基に、IEC61850通信方式における[制御値(61850)]に変換する。具体的には、中間制御値が「CL」であり、データ種別が「BOOL」の場合は、
図5に示す変換テーブル201にしたがって、[制御値(61850)]は「TRUE」となる。そして、共通変換部33は、IEC61850通信方式で使用される変換後のデータをIEC61850通信処理部34へ送る。共通変換部33がIEC61850通信処理部34へ送りデータの各値は、
図9AのデータD13に示すとおりである。
【0063】
次に、ステップS104に移り、IEC61850通信処理部34は、TC子局20への通信準備として、共通変換部33から送られてきた、[ACSI]、[IEC61850情報モデル]、[制御値(61850)]、[orIdent]、[Test]を基に、SBOw(Select Before Operate with enhanced security:二挙動制御)に必要な情報を、[SelVal_req]の情報を格納しているメモリに格納する。そして、受信した[ACSI]を基に、TC子局20へSelVal_reqを送るための送信フォーマットを作成し、Timestampを付与した後、TC子局20へIEC61850通信サービスのSelVal_reqを送信する。
【0064】
TC子局20は、通信アダプタ30からの、IEC61850通信サービスのSelVal_reqを受信すると、SelVal_reqの選択要求で指定されたIED21を選択し、選択が完了すると(ステップS105)、選択が完了した旨([stSeld]の値が「True」)のReportを通信アダプタ30に送信する。
【0065】
通信アダプタ30のIEC61850通信処理部34は、TC子局20からのReportを受信すると、Reportに含まれる受信内容をメモリに格納する(ステップS106)。また、Reportに含まれる[RptID]に基づいて、Reportの[DataRef]を特定するとともに、所定の変数[global_stSeld]の値を[stSeld]の値に応じて「True」又は「False」にセットする。本実施形態では、[global_stSeld]は「True」にセットされる。そして、Reportの内容に基づいて作成した[DataRef]を含むデータを共通変換部33へ送信する。なお、[global_stSeld]は本通信アダプタにて多重選択防止を実施するために用意した変数である。TC子局20にて多重選択防止の処理を実現できる場合には、[global_stSeld]は不使用としてもよい。
【0066】
共通変換部33はIEC61850通信処理部34から送られてきたデータから、選択完了を認識する(ステップS107)。また、共通変換部33は、データに含まれる[DataRef]内の要素と一致する[IEC61850情報モデル」が存在するか否かをマッピング定義101に基づいて判断する。本実施形態では、[DataRef]内の要素[stSeld]が[IEC61850情報モデル]にないため、IEC61850通信処理部34から送られてきたデータは破棄される。
【0067】
次に、ステップS108に移り、IEC61850通信処理部34がTC子局20からIEC61850通信サービスを受信すると、受信したIEC61850通信サービスの種別を識別し、[ACSI]として共通変換部33に通知する。共通変換部33は、IEC61850通信処理部34から受信し[ACSI]が「SelVal_resp+」であり、[global_stSeld]が「True」であり、かつ、[連続処理]が「True」を条件として、[ACSI]を「Oper_req」とするデータをIEC61850通信処理部34に通知する(ステップS109)。
【0068】
IEC61850通信処理部34では、共通変換部33から受信したデータの[ACSI]が「Oper_req」の場合、ステップS104でメモリに格納した「SelVal_req」の情報を、「Oper_req」を格納しているメモリにコピー・格納する。そして、IEC61850通信処理部34は、「Oper_req」を格納しているメモリの情報に基づいて、送信フォーマット作成し、Timestampを付与した後、TC子局20へIEC61850通信サービスOper_reqを送信する(ステップS110)。
【0069】
次に、ステップS111に移り、IEC61850通信処理部34がTC子局20からIEC61850通信サービスを受信すると、受信したIEC61850通信サービスの種別を識別し、[ACSI]として共通変換部33に通知する。
【0070】
次に、ステップS112に移り、共通変換部33は、IEC61850通信処理部34から、[ACSI]が「Oper_resp+」の通信メッセージを受信すると、該当する[ACSI]が「Report」と該当する[ACSI]が「CmdTerm_req+」もしくは「CmdTerm_req-」であるデータの受信を待つ。
【0071】
一方、通信アダプタ30からIEC61850通信サービスのOper_reqを受信したTC子局20は、既にSelVal_reqの選択要求で指定されたIED21に接続される図示しない遮断器に対して制御指令を送出し、遮断器を入動作させる(ステップS113)。そして、当該遮断器の入動作によって、IED21に状態変化(状変)が発生したことを受けて、TC子局20はTC親局10に向けて、状変のReportを通報する(ステップS114)。
【0072】
通信アダプタ30は、TC子局20からの通信を受信し、[ACSI]を判断する。IEC61850通信処理部34は、[ACSI]が「Report」の場合、メモリ内にReportの内容を格納する(ステップS115)。ここで、TC子局20から送信されるReportについて説明する。Reportは、
図12に示すレポートフォーマット401が用いられ、複数のパラメータ名称の値(Value)を有している。
【0073】
レポートフォーマット401において、各パラメータ名称の内容は次のとおりである。
[RptID]:個々のReportを識別するための識別子である。
[OptFlds]:Reportに含ませる追加情報(オプション)の有無を示す。
[SeqNum]:OptFldsによるオプションで、Reportのシーケンス番号を示す。
[TimeOfEntry]:OptFldsによるオプションで、Report生成時刻を示す。
[DatSet]:OptFldsによるオプションで、Reportとして伝達するデータ(状態値/計測値など)の塊(データセット)の名称である。
[BufOvfl]:OptFldsによるオプションで、送信バッファのオーバフロー発生の有無を示す。
[EntryID]:OptFldsによるオプションで、Reportが送信キューにエントリされた際の識別子である。
[ConfRev]:OptFldsによるオプションで、当該ReportのRCB設定のリビジョン番号を示す。
[SubSeqNum]:Reportのサブシーケンス番号であり、送信するデータが大きい場合、Reportを分割して送信する。分割有無はReportを送出する装置の判断による。
[MoreSegmentFollow]:OptFldsによるオプションで1つのReport内容が、複数のReportに分割されて送信される場合に、後続のReportは当該Reportの一部であることを示す。
[Inclusion-bitstring]:データセットとして登録した要素のうち、Reportとして送信されたValueが、当該データセットのどの要素であるかを表す。
[Value(s)]:Reportとして伝達されるデータの値である。
[ReasonCode]:OptFldsによるオプションで、Reportが送信される起因(データの値変化、値更新、品質変化など)を表す。
【0074】
ステップS115で受信するReportには、[RptID]、[OptFlds]、[SeqNum]、[Inclusion-bitstring]、[Value(s)]、及び、[ReasonCode]の値が含まれている(
図12参照)。次に、IEC61850通信処理部34は、メモリに格納したReport内容を読み出して、
図13に示す[RptID]と[DataReference]を対応付けたテーブル501の[RptID]と[inclusion-bitstring]に対応する要素に対して、[Value]を書き込む。さらに、ステップS115において、IEC61850通信処理部34は、[装置不良]、[DataRef]、[Value]、[SeqNum]、[ReasonCode]、[ACSI]、[AddCause]を含むデータを作成して、共通変換部33に送る。IEC61850通信処理部34から共通変換部33に送られるデータの値は、
図9BのデータD14に示すとおりである。
【0075】
次に、ステップS116に移り、共通変換部33は、IEC61850通信処理部34からのデータを受信すると、メモリ内に格納しているマッピング定義101(
図11)に基づいて、データの[DataRef]内の要素と一致する[IEC61850情報モデル]が存在するかどうか判断する。[IEC61850情報モデル]が存在すれば、[IEC61850情報モデル]に対応する[伝送項目]、[データ種別]、[情報種別]、[変換条件]、[最大値]を読み出し、対応する[Value]を[状態/計測値(61850)]とする。
【0076】
また、[DataRef]に当該[IEC61850情報モデル]に対応する[q]が存在する場合、[品質]に変換する。さらに、[DataRef]に当該[IEC61850情報モデル]に対応する[t]が存在する場合、[t]に対応する[Value]を[状態/計測値(61850)]に付与する。本実施形態の場合、[品質]は[good]となる。具体的には、受信した[DataRef]内の要素「IEDLD$CSWI1$Pos$stVal」は、
図11に示すマッピング定義101を参照すると、[IEC61850情報モデル]の「IEDLD$CSWI1$Pos$stVal」と一致する、このため、[伝送項目]として「A$B」、[データ種別]として「Dpos」、[情報種別]として「0」、[変換条件]として「1」が読み出され、[品質]、[状態/計測値(61850)]を含むデータを作成する。
【0077】
ここで作成されるデータの内容は次の通りである。
[伝送項目]:A$B
[データ種別]:Dpos
[情報種別]:0
[変換条件]:1
[フルスケール]:null
[品質]:good
[状態/計測値(61850)]:2,utc-time
[装置不良]:null
[試験ビット]:False
[ReasonCode]:40h
[SeqNum]:シーケンス番号
[ACSI]:Report
[AddCause]: null
そして、ステップS103で記憶した下りの[伝送項目]と上りの[伝送項目]が一致する場合、Reportの内容をメモリに記憶し、[ACSI]が「CmdTerm_req+」もしくは「CmdTerm_req-」の受信を待つ。
【0078】
次に、ステップS117に移り、通信アダプタ30が、TC子局20から、CmdTerm_req+を受信すると、IEC61850通信処理部34は、共通変換部33へ、[ACSI]を「CmdTerm_req+」とするデータを伝える。
【0079】
共通変換部33は、[ACSI]が「CmdTerm_req+」であるデータを受信すると、当該制御対象に関するデータの[品質]を基に、変換テーブル90にしたがって、[ACSI]を[中間通信サービス]に変換する。具体的には、前記[品質]は「good」であるため、[ACSI]における「CmdTerm_req+」は、[中間通信サービス]の「選択&制御指令_応答+」に変換される。また、[状態/計測値(61850)]は、[データ種別]、[変換条件]に基づいて、中間変数としての[状態/計測値]に変換される。具体的には、[変換条件]が「1」であるため、
図6に示す変換テーブル202が適用され、[データ種別]が「Dpos」で、「61850(stVal)」で示される[状態/計測値(61850)]が「2」であるため、[状態/計測値]は「1」となる(ステップS118)。このような変換を行った後、共通変換部33は、
図2で示す中間変数(上り)を作成し、個別変換部32へ伝える。中間変数(上り)の各値は、
図9BのデータD15に示すとおりである。
【0080】
個別変換部32は、共通変換部から送られてきた中間変数を受信すると、受信した[中間通信サービス]を該当するHDLC通信方式の[種別コード]に変換する。具体的には、[中間通信サービス]の「選択&制御指令_応答+」は、[種別コード]として、例えば、「31h」に変換される。また、受信した[伝送項目]に対し、[中間通信サービス]が「選択&制御指令_応答+」の場合で、[ReasonCode]が「40h」の場合、[状態/計測値]の値、[SeqNum]、[Timestamp]を基に、状変コードを識別し、この状変コードを[状態/計測値(HDLC)]とする。具体的には、[伝送項目]の「A$B」、[状態/計測値]の値の「1」、「シーケンス番号」、及び、[Timestamp]の「utc-time」から、[状態/計測値(HDLC)]が、例えば「81h」となる。また、[結果]として「1000 0000(制御結果ok)」が生成される(ステップS119)。そして、個別変換部32から、HDLC通信方式に必要な各項目の値に変換されたデータが、HDLC通信処理部31に送られる。HDLC通信処理部31に送られるデータは、
図9BのデータD16に示すとおりである。
【0081】
HDLC通信処理部31では、個別変換部32から送られてきたデータの、[伝送項目]、[種別コード]、[制御値(HDLC)]、[状態/計測値(HDLC)]、[制御結果]を基に、
図14に示すように、HDLC通信方式に必要な伝送フレームの情報フレーム(ペイロード)302を作成し、TC親局10に応動表示状変情報として送信する(ステップS120)。作成される情報フレーム302には、フレーム長、送信元装置アドレス、種別コード、パケット通番、日、時、分、秒、選択コード、制御コード、選択/制御結果、データアドレス、状変コードなどが含まれる。なお、[状態/計測値(HDLC)]の「81h」は、情報フレーム(ペイロード)302では状変コードとして送られる。
【0082】
(状態表示シーケンス)
次に、本実施形態の監視制御システムあるいは監視制御方法において、状態表示が正常に行われた際のシーケンスについて説明する。前提として、開閉器状態表示の[伝送項目]が「A群B個」であり、[IEC61850情報モデル]が、「IEDLD$CSWI1$Pos$stVal」であり、開閉器が“切”から“入”に変化した場合であるとする。
図15は、本発明における状態表示のシーケンスの例を示す図であり、
図16は、
図15に示す状態表示のシーケンスにおけるTC親局10へのHDLC伝送フレームの例を示す図である。
【0083】
監視制御システム1では、IED21に状態変化(状変)が発生した際に、IED21から、TC子局20、通信アダプタ30を介して、TC親局10へ状変情報が伝達される。この場合、TC子局20から通信アダプタ30に、Reportが送られる。このReportは、
図12で示したレポートフォーマット401とほぼ同様であり、パラメータ名称の[RptID]、[OptFlds]、[SeqNum]、[Inclusion-bitstring]、[Value(s)]、及び、[ReasonCode(s)]の値が含まれている。
【0084】
まず、ステップS201において、通信アダプタ30は、TC子局20からのReportを受信すると、[ACSI]を判断する。IEC61850通信処理部34は、[ACSI]が「Report」の場合、メモリ内にReport内容を格納する。次に、IEC61850通信処理部34は、メモリ内のReport内容を読み出して、
図13に示す[RptID]と[DataReference]を対応付けたテーブル501の[RptID]と[inclusion-bitstring]に対応する要素に対して、[Value]を書き込む。さらに、IEC61850通信処理部34は、[装置不良]、[DataRef]、[Value]、[SeqNum]、[ReasonCode]、[ACSI]、[AddCause]を含むデータを作成して、共通変換部33に送る。データの内容は、
図15のデータD21に示すとおりである。
【0085】
次に、ステップS202において、共通変換部33は、IEC61850通信処理部34からのデータを受信すると、メモリ内に格納しているマッピング定義101(
図11)に基づいて、通信メッセージの[DataRef]内の要素と一致する[IEC61850情報モデル]が存在するかどうか判断する。[IEC61850情報モデル]が存在すれば、[IEC61850情報モデル]に対応する[伝送項目]、[データ種別]、[情報種別]、[変換条件]、[フルスケール]を読み出し、対応する[Value]を[状態/計測値(61850)]とする。また、[DataRef]に当該[IEC61850情報モデル]に対応する[q]が存在する場合、[品質]に変換する。さらに、[DataRef]に当該[IEC61850情報モデル]に対応する[t]が存在する場合、[t]に対応する[Value]を[状態/計測値(61850)]に付与したデータを作成する。
【0086】
具体的には、受信した[DataRef]内の要素「IEDLD$CSWI1$Pos$stVal」は、
図11に示すマッピング定義101を参照すると、[IEC61850情報モデル]の「IEDLD$CSWI1$Pos$stVal」と一致する、このため、[伝送項目]として「A$B」、[データ種別]として「Dpos」、[情報種別]として「0」、[変換条件]として「1」、[フルスケール]として「NULL」が読み出され、[品質]、[状態/計測値(61850)]を含むデータが作成される。本実施形態の場合、[品質]は「good」となる。
【0087】
次に、データの[情報種別]、[品質]を基に、
図3(B)に示す変換テーブル90にしたがって、[IEC61850通信サービス]を[中間通信サービス]に変換する。具体的には、データの[情報種別]は「0」であるため、
図8の変換テーブル204より、「状態表示」となり、品質は「good」であるため、IEC61850通信サービスにおける[Report]は、[中間通信サービス]の「状態表示+」に変換される。このように、情報種別は、本発明の中間変数に変換される本発明の第2変数の一つに相当する。
【0088】
また、[状態/計測値(61850)]は、[データ種別]、[変換条件]に基づいて、中間変数としての[状態/計測値]に変換される。具体的には、
図6に示す、[変換条件]が「1」の場合の変換テーブル202を参照すると、[状態/計測値(61850)](
図6では61850(stVal))が「2」、[データ種別]が「Dpos」、[変換条件]が「1」であるため、[状態/計測値]は「1」となる。このような変換を行った後、共通変換部33は、
図2で示す中間変数(上り)を作成し、個別変換部32へ伝える。中間変数(上り)の各値は、
図15のデータD22に示すとおりである。
【0089】
次に、ステップS203に移り、個別変換部32は、共通変換部33から送られてきた中間変数を受信すると、受信した[中間通信サービス]を該当するHDLC通信方式の[種別コード]に変換する。具体的には、[中間通信サービス]の「状態表示+」は、[種別コード]として、例えば、「14h」に変換される。また、受信した[伝送項目]に対し、[中間通信サービス]が「状態表示+」の場合で、[ReasonCode]が「40h」の場合、[状態/計測値]の値、[SeqNum]、[Timestamp]を基に、状変コードを識別し、この状変コードを[状態/計測値(HDLC)]とする。具体的には、[伝送項目]の「A$B」、[状態/計測値]の値の「1」、「シーケンス番号」、及び、[Timestamp]の「utc-time」から、[状態/計測値(HDLC)]は、例えば「01h」となる。そして、個別変換部32から、HDLC通信方式に必要な各項目の値に変換されたデータが、HDLC通信処理部31に送られる。HDLC通信処理部31に送られるデータは、
図15に示すデータD23のとおりである。
【0090】
次に、ステップS204において、HDLC通信処理部31は、個別変換部32から送られてきたデータの、[伝送項目]、[種別コード]、[状態/計測値(HDLC)]を基に、
図16に示すように、HDLC通信方式に必要な伝送フレームの情報フレーム(ペイロード)303を作成し、TC親局10に表示状変時情報(単独型)として送信する。作成される情報フレーム303には、フレーム長、送信元装置アドレス、種別コード、パケット通番、日、時、分、秒、データアドレス1、状変コードなどが含まれる。
【0091】
(計測表示シーケンス)
次に、本実施形態の監視制御システム1あるいは監視制御方法において、計測表示が正常に行われた際のシーケンスについて説明する。前提として、当該計測の伝送項目がXXX(データアドレス)であり、[IEC61850情報モデル]が、「IEDLD$MMXU1$PPV$phsAB$cVal$mag$f」の場合であるとする。
図17は、本発明における計測表示のシーケンスの例を示す図であり、
図18は、
図17に示す計測表示のシーケンスにおいてTC子局からの送信されるReportの例を示す図である。また、
図19は、Reportの内容を格納するテーブルの例を示す図であり、
図20は、
図17に示す計測表示のシーケンスにおいてTC親局へ送信するHDLC伝送フレームの例を示す図である。
【0092】
監視制御システム1では、IED21から、送電線の電圧、電流等の計測値が、TC子局20、通信アダプタ30を介して、TC親局10へ伝達される。この場合、TC子局20から通信アダプタ30に、Reportが送られる。このReportは、
図18に示すように、レポートフォーマット401とほぼ同様であり、パラメータ名称の[RptID]、[OptFlds]、[SeqNum]、[Inclusion-bitstring]、[Value(s)]、及び、[ReasonCode(s)]の値が含まれている。各パラメータ名称の値は、例えば、
図18に示すとおりである。
【0093】
まず、ステップS301で、通信アダプタ30は、TC子局20からのReportを受信すると、[ACSI]を判断する。IEC61850通信処理部34は、[ACSI]が「Report」の場合、メモリ内にReport内容を格納する。次に、IEC61850通信処理部34は、メモリ内のReport内容を読み出して、
図19に示す[RptID]と[DataReference]を対応付けたテーブル502の[RptID]と[inclusion-bitstring]に対応する要素に対して、[Value]を書き込む。さらに、IEC61850通信処理部34は、[装置不良]、[DataRef]、[Value]、[SeqNum]、[ReasonCode]、[ACSI]、[AddCause]を含むデータを作成して、共通変換部33に送る。データの内容は、
図17のデータD31に示すとおりである。
【0094】
次に、ステップS302に進み、共通変換部33は、IEC61850通信処理部34からの通信メッセージを受信すると、メモリ内に格納しているマッピング定義101(
図11)に基づいて、通信メッセージの[DataRef]内の要素と一致する[IEC61850情報モデル]が存在するかどうか判断する。[IEC61850情報モデル]が存在すれば、[IEC61850情報モデル]に対応する[伝送項目]、[データ種別]、[情報種別]、[変換条件]、[フルスケール]を読み出し、対応する[Value]を[状態/計測値(61850)]とする。また、[DataRef]に当該[IEC61850情報モデル]に対応する[q]が存在する場合、[品質]に変換する。さらに、[DataRef]に当該[IEC61850情報モデル]に対応する[t]が存在する場合、[t]に対応する[Value]を[状態/計測値(61850)]に付与したデータを作成する。
【0095】
具体的には、受信した[DataRef]内の要素「IEDLD$MMXU1$PPV$phsAB$cVal$mag$f」は、
図11に示すマッピング定義101を参照すると、[IEC61850情報モデル]の「IEDLD$MMXU1$PPV$phsAB$cVal$mag$f」と一致する、このため、[伝送項目]として「XXX」、[データ種別]として「FLOAT32」、[情報種別]として「1」、[変換条件]として「0」、[最大値]として「90KV」が読み出され、[品質]、[状態/計測値(61850)]を含むデータが作成される。本実施形態の場合、[品質]は「good」となる。
【0096】
次に、データの[情報種別]、[品質]を基に、
図3(B)に示す変換テーブル90にしたがって、[IEC61850通信サービス]を[中間通信サービス]に変換する。具体的には、[情報種別]は「1」であるため、
図8の変換テーブル204より、「計測表示」となり、品質は「good」であるため、[ACSI]における[Report」は、[中間通信サービス]の「計測表示+」に変換される。
【0097】
また、[状態/計測値(61850)]は、[データ種別]、[変換条件]に基づいて、中間変数としての[状態/計測値]に変換される。具体的には、
図7に示す変換テーブル203を参照すると、[データ種別]が「FLOAT32」、[変換条件]が「0:BCD3桁」であるため、[状態/計測値(61850)](
図6では61850(stVal))の「FLOAT32」の値が、[状態/計測値]では「BCD3桁」に変換される。その際、フルスケールが「90KV」であるため、フルスケールを「999」としてBCD3桁に変換する。このような変換を行った後、共通変換部33は、
図2で示す中間変数(上り)を作成し、個別変換部32へ伝える。中間変数(上り)の各値は、
図17のデータD32に示すとおりである。
【0098】
次に、ステップS303に移り、個別変換部32は、共通変換部33から送られてきた中間変数を受信すると、受信した[中間通信サービス]を該当するHDLC通信方式の[種別コード]に変換する。具体的には、[中間通信サービス]の「計測表示+」は、[種別コード]として、例えば、「2xh」に変換される。そして、個別変換部32から、HDLC通信方式に必要な各項目の値に変換されたデータが、HDLC通信処理部31に送られる。HDLC通信処理部31に送られるデータは、
図17のデータD33に示すとおりである。
【0099】
次に、ステップS304において、HDLC通信処理部31は、個別変換部32から送られてきたデータをメモリに記録する。メモリに記憶した、[伝送項目]、[種別コード]、[状態/計測値(HDLC)]を基に、
図20に示すように、HDLC通信方式に必要な伝送フレームの情報フレーム(ペイロード)304を作成し、TC親局10に高速定周期計測として送信する。作成される情報フレーム304には、フレーム長、送信元装置アドレス、種別コード、パケット通番、日、時、分、秒、データアドレス1、計測データ1が含まれる。なお、メモリの計測値の更新頻度は、TC子局20から送信されてくるReportの[Integrity」の時間間隔(例えば、500ms)で更新される。また、TC子局20への計測データに関するペイロード送信間隔は、HDLC通信処理部31自身の周期(低速:10S、高速:3S)や要求時、定時計測に合わせて送信される。
【0100】
以上、本発明の実施形態では、TC親局10側がHDLC通信方式の場合について説明したが、本発明は、各電力会社によって、通信プロトコルが同じであっても、ペイロードのフォーマットやポジションについて各社独自の運用をしている場合に適用できるものであり、IEC61850以外の通信プロトコルとして、例えば、CDT通信プロトコル、PMCN通信プロトコルであってもよく、また他の通信プロトコルであってもよい。
【符号の説明】
【0101】
1、1'…監視制御システム、2…制御所、3、3'…変電所、10…TC親局、11…計算機、20…TC子局、21…IED、22…HMI、23…ステーションバス、30…通信アダプタ、30A…HDLC処理部、30B…IEC61850処理部、31…HDLC通信処理部、32…個別変換部、33…共通変換部、34…IEC61850通信処理部、40…TC(TM)盤、41…配電盤、42…制御盤、90…変換テーブル、100、101…マッピング定義、201~204…変換テーブル、301~304…情報フレーム、401、402…レポートフォーマット、501、502…テーブル。
【手続補正書】
【提出日】2022-05-11
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
国際標準IEC61850以外の通信プロトコルにしたがって各社固有の通信方式によるデータ伝送を行う監視制御装置親局と、前記国際標準IEC61850に準拠した通信プロトコルによるデータ伝送を行う監視制御装置子局と、
前記監視制御装置親局と前記監視制御装置子局との間に配置された通信アダプタと、を有する監視制御システムであって、
前記通信アダプタは、
前記各社固有の通信方式における第1変数と仮想的な各社共通の中間変数とを相互に変換する第1変換部と、
前記中間変数と前記国際標準IEC61850に準拠した通信プロトコルにおける第2変数とを相互に変換する第2変換部を、有し、
前記通信アダプタは、前記各社固有の通信方式の伝送フレームに含まれるポジション情報と、前記国際標準IEC61850に準拠した通信プロトコルにおける情報モデルとを対応付けるマッピング定義に基づいて、前記ポジション情報と前記情報モデルを相互に変換することを特徴とする、監視制御システム。
【請求項2】
国際標準IEC61850以外の通信プロトコルにしたがって各社固有の通信方式によるデータ伝送を行う監視制御装置親局と、前記国際標準IEC61850に準拠した通信プロトコルによるデータ伝送を行う監視制御装置子局と、
前記監視制御装置親局と前記監視制御装置子局との間に配置された通信アダプタと、を有する監視制御システムであって、
前記通信アダプタは、
前記各社固有の通信方式における第1変数と仮想的な各社共通の中間変数とを相互に変換する第1変換部と、
前記中間変数と前記国際標準IEC61850に準拠した通信プロトコルにおける第2変数とを相互に変換する第2変換部を、有し、
前記第1変換部では、前記第1変数としての種別コードと前記中間変数としての中間通信サービスとの変換が実行され、
前記第2変換部では、前記中間通信サービスと前記第2変数としてのアブストラクト通信サービスインタフェースとの変換が実行されることを特徴とする、監視制御システム。
【請求項3】
前記通信アダプタは、前記各社固有の通信方式の伝送フレームに含まれるポジション情報と、前記国際標準IEC61850に準拠した通信プロトコルにおける情報モデルとを対応付けるマッピング定義に基づいて、前記ポジション情報と前記情報モデルを相互に変換することを特徴とする、請求項2に記載の監視制御システム。
【請求項4】
前記国際標準IEC61850以外の通信プロトコルが、HDLC通信プロトコル、CDT通信プロトコルあるいは、PMCN通信プロトコルであることを特徴とする、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の監視制御システム。
【請求項5】
前記第1変数が、前記各社固有の伝送フレームに含まれる制御情報としての種別コードであることを特徴とする、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の監視制御システム。
【請求項6】
前記第1変数が、前記各社固有の伝送フレームに含まれる制御方向を示す制御値であることを特徴とする、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の監視制御システム。
【請求項7】
前記第2変数が、前記国際標準IEC61850に準拠した通信プロトコルにおける情報モデルの情報種別であることを特徴とする、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の監視制御システム。
【請求項8】
前記監視制御装置子局は、監視制御対象機器との間で前記国際標準IEC61850に準拠した通信プロトコルによるデータ伝送を行うことを特徴とする、請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の監視制御システム。
【請求項9】
国際標準IEC61850以外の通信プロトコルにしたがって各社固有の通信方式によるデータ伝送を行う監視制御装置親局と、前記国際標準IEC61850に準拠した通信プロトコルによるデータ伝送を行う監視制御装置子局との間でデータ伝送を行う、監視制御方法であって、
前記各社固有の通信方式における第1変数と仮想的な各社共通の中間変数とを相互に変換する第1ステップと、
前記中間変数と前記国際標準IEC61850に準拠した通信プロトコルにおける第2変数とを相互に変換する第2ステップを、有し、
前記各社固有の通信方式の伝送フレームに含まれるポジション情報と、前記国際標準IEC61850に準拠した通信プロトコルにおける情報モデルとを対応付けるマッピング定義に基づいて、前記ポジション情報と前記情報モデルとが相互に変換されることを特徴とする、監視制御方法。
【請求項10】
国際標準IEC61850以外の通信プロトコルにしたがって各社固有の通信方式によるデータ伝送を行う監視制御装置親局と、前記国際標準IEC61850に準拠した通信プロトコルによるデータ伝送を行う監視制御装置子局との間でデータ伝送を行う、監視制御方法であって、
前記各社固有の通信方式における第1変数と仮想的な各社共通の中間変数とを相互に変換する第1ステップと、
前記中間変数と前記国際標準IEC61850に準拠した通信プロトコルにおける第2変数とを相互に変換する第2ステップを、有し、
前記第1ステップでは、前記第1変数としての種別コードと前記中間変数としての中間通信サービスとの変換が実行され、
前記第2ステップでは、前記中間通信サービスと前記第2変数としてのアブストラクト通信サービスインタフェースとの変換が実行されることを特徴とする、監視制御方法。
【請求項11】
前記国際標準IEC61850以外の通信プロトコルが、HDLC通信プロトコル、CDT通信プロトコルあるいは、PMCN通信プロトコルであることを特徴とする、請求項9又は10に記載の監視制御方法。
【請求項12】
国際標準IEC61850以外の通信プロトコルにしたがって各社固有の通信方式によるデータ伝送を行う監視制御装置親局と、前記国際標準IEC61850に準拠した通信プロトコルによるデータ伝送を行う監視制御装置子局との間に配置された、通信アダプタであって、
前記各社固有の通信方式における第1変数と仮想的な各社共通の中間変数とを相互に変換する第1変換部と、
前記中間変数と前記国際標準IEC61850に準拠した通信プロトコルにおける第2変数とを相互に変換する第2変換部を、有し、
前記通信アダプタは、前記各社固有の通信方式の伝送フレームに含まれるポジション情報と、前記国際標準IEC61850に準拠した通信プロトコルにおける情報モデルとを対応付けるマッピング定義に基づいて、前記ポジション情報と前記情報モデルを相互に変換することを特徴とする、通信アダプタ。
【請求項13】
国際標準IEC61850以外の通信プロトコルにしたがって各社固有の通信方式によるデータ伝送を行う監視制御装置親局と、前記国際標準IEC61850に準拠した通信プロトコルによるデータ伝送を行う監視制御装置子局との間に配置された、通信アダプタであって、
前記各社固有の通信方式における第1変数と仮想的な各社共通の中間変数とを相互に変換する第1変換部と、
前記中間変数と前記国際標準IEC61850に準拠した通信プロトコルにおける第2変数とを相互に変換する第2変換部を、有し、
前記第1変換部では、前記第1変数としての種別コードと前記中間変数としての中間通信サービスとの変換が実行され、
前記第2変換部では、前記中間通信サービスと前記第2変数としてのアブストラクト通信サービスインタフェースとの変換が実行されることを特徴とする、通信アダプタ。
【請求項14】
前記各社固有の通信方式の伝送フレームに含まれるポジション情報と、前記国際標準IEC61850に準拠した通信プロトコルにおける情報モデルとを対応付けるマッピング定義に基づいて、前記ポジション情報と前記情報モデルを相互に変換することを特徴とする、請求項13に記載の通信アダプタ。
【請求項15】
前記国際標準IEC61850以外の通信プロトコルが、HDLC通信プロトコル、CDT通信プロトコルあるいは、PMCN通信プロトコルであることを特徴とする、請求項12から請求項14のいずれか1項に記載の通信アダプタ。
【請求項16】
前記第1変数が、前記各社固有の伝送フレームに含まれる制御情報としての種別コードであることを特徴とする、請求項12から請求項15のいずれか1項に記載の通信アダプタ。
【請求項17】
前記第1変数が、前記各社固有の伝送フレームに含まれる制御方向を示す制御値であることを特徴とする、請求項12から請求項16のいずれか1項に記載の通信アダプタ。
【請求項18】
前記第2変数が、前記国際標準IEC61850に準拠した通信プロトコルにおける情報モデルの情報種別であることを特徴とする、請求項12から請求項17のいずれか1項に記載の通信アダプタ。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の第1の技術手段は、国際標準IEC61850以外の通信プロトコルにしたがって各社固有の通信方式によるデータ伝送を行う監視制御装置親局と、前記国際標準IEC61850に準拠した通信プロトコルによるデータ伝送を行う監視制御装置子局と、前記監視制御装置親局と前記監視制御装置子局との間に配置された通信アダプタと、を有する監視制御システムであって、前記通信アダプタは、前記各社固有の通信方式における第1変数と仮想的な各社共通の中間変数とを相互に変換する第1変換部と、前記中間変数と前記国際標準IEC61850に準拠した通信プロトコルにおける第2変数とを相互に変換する第2変換部を、有し、前記通信アダプタは、前記各社固有の通信方式の伝送フレームに含まれるポジション情報と、前記国際標準IEC61850に準拠した通信プロトコルにおける情報モデルとを対応付けるマッピング定義に基づいて、前記ポジション情報と前記情報モデルを相互に変換することを特徴とする。これにより、従来システムの監視制御装置子局をIEC61850に準拠した設備に置き換える際に、各電力会社独自の通信アダプタの開発負担を少なくすることができる。また、各社独自のポジション情報を用いていたとしても、IEC61850に準拠した情報モデルに変換することができるので、監視制御装置親局と監視制御装置子局との通信を円滑に行うことができる。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0009】
本発明の第2の技術手段は、国際標準IEC61850以外の通信プロトコルにしたがって各社固有の通信方式によるデータ伝送を行う監視制御装置親局と、前記国際標準IEC61850に準拠した通信プロトコルによるデータ伝送を行う監視制御装置子局と、前記監視制御装置親局と前記監視制御装置子局との間に配置された通信アダプタと、を有する監視制御システムであって、前記通信アダプタは、前記各社固有の通信方式における第1変数と仮想的な各社共通の中間変数とを相互に変換する第1変換部と、前記中間変数と前記国際標準IEC61850に準拠した通信プロトコルにおける第2変数とを相互に変換する第2変換部を、有し、前記第1変換部では、前記第1変数としての種別コードと前記中間変数としての中間通信サービスとの変換が実行され、前記第2変換部では、前記中間通信サービスと前記第2変数としてのアブストラクト通信サービスインタフェースとの変換が実行されることを特徴とする。これにより、従来システムの監視制御装置子局をIEC61850に準拠した設備に置き換える際に、各電力会社独自の通信アダプタの開発負担を少なくすることができる。具体的には、中間通信サービスを、該当するIEC61850通信サービスを表現する変数としてアブストラクト通信サービスインタフェースに変換することができる。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0010】
本発明の第3の技術手段は、第2の技術手段において、前記通信アダプタは、前記各社固有の通信方式の伝送フレームに含まれるポジション情報と、前記国際標準IEC61850に準拠した通信プロトコルにおける情報モデルとを対応付けるマッピング定義に基づいて、前記ポジション情報と前記情報モデルを相互に変換することを特徴とする。これにより、各社独自のポジション情報を用いていたとしても、IEC61850に準拠した情報モデルに変換することができるので、監視制御装置親局と監視制御装置子局との通信を円滑に行うことができる。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0011
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0011】
本発明の第4の技術手段は、第1から第3のいずれか1つの技術手段において、前記国際標準IEC61850以外の通信プロトコルが、HDLC通信プロトコル、CDT通信プロトコルあるいは、PMCN通信プロトコルであることを特徴とする。これにより、監視制御装置親局が、国際標準IEC61850以外の通信プロトコルとして、HDLC通信プロトコル、CDT通信プロトコル、あるいは、PMCN通信プロトコルを用いた従来システムであっても適用できる。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0012
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0012】
本発明の第5の技術手段は、第1から第4のいずれか1つの技術手段において、前記第1変数が、前記各社固有の伝送フレームに含まれる制御情報としての種別コードであることを特徴とする。これにより、監視制御システムに、各社独自の種別コードが用いられていても構わない。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0013
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0013】
本発明の第6の技術手段は、第1から第5のいずれか1つの技術手段において、前記第1変数が、前記各社固有の伝送フレームに含まれる制御方向を示す制御値であることを特徴とする。これにより、監視制御システムに、各社独自の制御方向を示す制御値が用いられていても構わない。
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0014
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0014】
本発明の第7の技術手段は、第1から第6のいずれか1つの技術手段において、前記第2変数が、前記国際標準IEC61850に準拠した通信プロトコルにおける情報モデルの情報種別であることを特徴とする。これにより、監視制御装置子局からのレポートの内容が状態表示情報であるか計測表示情報であるかを把握でき、監視制御装置親局に的確に伝えることができる。
【手続補正9】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0015
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0015】
本発明の第8の技術手段は、第1から第7のいずれか1つの技術手段において、前記監視制御装置子局は、監視制御対象機器との間で前記国際標準IEC61850に準拠した通信プロトコルによるデータ伝送を行うことを特徴とする。これにより、例えば、変電所内において、監視制御装置子局は下位の監視制御対象機器と直接通信ができ、統一したシステムを構築することができる。
【手続補正10】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0016
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0016】
本発明の第9の技術手段は、国際標準IEC61850以外の通信プロトコルにしたがって各社固有の通信方式によるデータ伝送を行う監視制御装置親局と、前記国際標準IEC61850に準拠した通信プロトコルによるデータ伝送を行う監視制御装置子局との間でデータ伝送を行う、監視制御方法であって、前記各社固有の通信方式における第1変数と仮想的な各社共通の中間変数とを相互に変換する第1ステップと、前記中間変数と前記国際標準IEC61850に準拠した通信プロトコルにおける第2変数とを相互に変換する第2ステップを、有し、前記各社固有の通信方式の伝送フレームに含まれるポジション情報と、前記国際標準IEC61850に準拠した通信プロトコルにおける情報モデルとを対応付けるマッピング定義に基づいて、前記ポジション情報と前記情報モデルとが相互に変換されることを特徴とする。これにより、従来システムの監視制御装置子局をIEC61850に準拠した設備に置き換える際に、各電力会社独自の通信アダプタの開発負担を少なくすることができる。また、各社独自のポジション情報を用いていたとしても、IEC61850に準拠した情報モデルに変換することができるので、監視制御装置親局と監視制御装置子局との通信を円滑に行うことができる。
【手続補正11】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0017
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0017】
本発明の第10の技術手段は、国際標準IEC61850以外の通信プロトコルにしたがって各社固有の通信方式によるデータ伝送を行う監視制御装置親局と、前記国際標準IEC61850に準拠した通信プロトコルによるデータ伝送を行う監視制御装置子局との間でデータ伝送を行う、監視制御方法であって、前記各社固有の通信方式における第1変数と仮想的な各社共通の中間変数とを相互に変換する第1ステップと、前記中間変数と前記国際標準IEC61850に準拠した通信プロトコルにおける第2変数とを相互に変換する第2ステップを、有し、前記第1ステップでは、前記第1変数としての種別コードと前記中間変数としての中間通信サービスとの変換が実行され、前記第2ステップでは、前記中間通信サービスと前記第2変数としてのアブストラクト通信サービスインタフェースとの変換が実行されることを特徴とする。これにより、従来システムの監視制御装置子局をIEC61850に準拠した設備に置き換える際に、各電力会社独自の通信アダプタの開発負担を少なくすることができる。具体的には、中間通信サービスを、該当するIEC61850通信サービスを表現する変数としてアブストラクト通信サービスインタフェースに変換することができる。
【手続補正12】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0018
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0018】
本発明の第11の技術手段は、第9又は第10の技術手段において、前記国際標準IEC61850以外の通信プロトコルが、HDLC通信プロトコル、CDT通信プロトコルあるいは、PMCN通信プロトコルであることを特徴とする。これにより、監視制御装置親局が、国際標準IEC61850以外の通信プロトコルとして、HDLC通信プロトコル、CDT通信プロトコル、あるいは、PMCN通信プロトコルを用いた従来システムであっても適用できる。
【手続補正13】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0019
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0019】
本発明の第12の技術手段は、国際標準IEC61850以外の通信プロトコルにしたがって各社固有の通信方式によるデータ伝送を行う監視制御装置親局と、前記国際標準IEC61850に準拠した通信プロトコルによるデータ伝送を行う監視制御装置子局との間に配置された、通信アダプタであって、前記各社固有の通信方式における第1変数と仮想的な各社共通の中間変数とを相互に変換する第1変換部と、前記中間変数と前記国際標準IEC61850に準拠した通信プロトコルにおける第2変数とを相互に変換する第2変換部を、有し、前記通信アダプタは、前記各社固有の通信方式の伝送フレームに含まれるポジション情報と、前記国際標準IEC61850に準拠した通信プロトコルにおける情報モデルとを対応付けるマッピング定義に基づいて、前記ポジション情報と前記情報モデルを相互に変換することを特徴とする。これにより、従来システムの監視制御装置子局をIEC61850に準拠した設備に置き換える際に、各電力会社独自の通信アダプタの開発負担を少なくすることができる。また、各社独自のポジション情報を用いていたとしても、IEC61850に準拠した情報モデルに変換することができるので、監視制御装置親局と監視制御装置子局との通信を円滑に行うことができる。
【手続補正14】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0020
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0020】
本発明の第13の技術手段は、国際標準IEC61850以外の通信プロトコルにしたがって各社固有の通信方式によるデータ伝送を行う監視制御装置親局と、前記国際標準IEC61850に準拠した通信プロトコルによるデータ伝送を行う監視制御装置子局との間に配置された、通信アダプタであって、前記各社固有の通信方式における第1変数と仮想的な各社共通の中間変数とを相互に変換する第1変換部と、前記中間変数と前記国際標準IEC61850に準拠した通信プロトコルにおける第2変数とを相互に変換する第2変換部を、有し、前記第1変換部では、前記第1変数としての種別コードと前記中間変数としての中間通信サービスとの変換が実行され、前記第2変換部では、前記中間通信サービスと前記第2変数としてのアブストラクト通信サービスインタフェースとの変換が実行されることを特徴とする。これにより、従来システムの監視制御装置子局をIEC61850に準拠した設備に置き換える際に、各電力会社独自の通信アダプタの開発負担を少なくすることができる。具体的には、中間通信サービスを、該当するIEC61850通信サービスを表現する変数としてアブストラクト通信サービスインタフェースに変換することができる。
【手続補正15】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0021
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0021】
本発明の第14の技術手段は、第13の技術手段において、前記各社固有の通信方式の伝送フレームに含まれるポジション情報と、前記国際標準IEC61850に準拠した通信プロトコルにおける情報モデルとを対応付けるマッピング定義に基づいて、前記ポジション情報と前記情報モデルを相互に変換することを特徴とする。これにより、監視制御装置子局からのレポートの内容を、監視制御装置親局に的確に伝えることができる。
【手続補正16】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0022
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0022】
本発明の第15の技術手段は、第12から第14のいずれか1つの技術手段において、前記国際標準IEC61850以外の通信プロトコルが、HDLC通信プロトコル、CDT通信プロトコルあるいは、PMCN通信プロトコルであることを特徴とする。これにより、監視制御装置親局が、国際標準IEC61850以外の通信プロトコルとして、HDLC通信プロトコル、CDT通信プロトコル、あるいは、PMCN通信プロトコルを用いた従来システムであっても適用できる。
本発明の第16の技術手段は、第12から第15のいずれか1つの技術手段において、前記第1変数が、前記各社固有の伝送フレームに含まれる制御情報としての種別コードであることを特徴とする。これにより、監視制御システムに、各社独自の種別コードが用いられていても構わない。
本発明の第17の技術手段は、第12から第16のいずれか1つの技術手段において、前記第1変数が、前記各社固有の伝送フレームに含まれる制御方向を示す制御値であることを特徴とする。これにより、監視制御システムに、各社独自の制御方向を示す制御値が用いられていても構わない。
本発明の第18の技術手段は、第12から第17のいずれか1つの技術手段において、前記第2変数が、前記国際標準IEC61850に準拠した通信プロトコルにおける情報モデルの情報種別であることを特徴とする。これにより、監視制御装置子局からのレポートの内容を、監視制御装置親局に的確に伝えることができる。