(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022079718
(43)【公開日】2022-05-26
(54)【発明の名称】発光装置
(51)【国際特許分類】
H01S 5/02253 20210101AFI20220519BHJP
【FI】
H01S5/02253
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022061594
(22)【出願日】2022-04-01
(62)【分割の表示】P 2021092356の分割
【原出願日】2017-11-30
(71)【出願人】
【識別番号】000226057
【氏名又は名称】日亜化学工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】橋本 卓弥
(72)【発明者】
【氏名】岡久 英一郎
(57)【要約】
【課題】透光部等の破損を低減して信頼性の高い発光装置を提供する。
【解決手段】一形態に係る発光装置200は、本体部11及び枠部12を有する基体10と、1以上のレーザ素子20と、開口が設けられた支持部31及び透光部32を有する蓋体30と、透光部32の上方に配置されるレンズ体40と、を備える。支持部31は、枠部12の上面に固定される第1部位31aと、第1部位31aの内側において第1部位31aよりも低い位置に設けられた、レンズ体40が配置される第2部位31bと、第2部位31bの内側において第2部位31bよりも低い位置に設けられた、透光部32が配置される第3部位31cと、を有し、透光部32とレンズ体40との熱膨張係数差は、透光部32と本体部11との熱膨張係数差よりも小さい。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体部と、前記本体部の上面に設けられ、第1開口を形成する上面を有する枠部と、を有する基体と、
前記枠部の内側であって前記本体部の上面に設けられた1以上のレーザ素子と、
前記枠部の上面に固定され且つ前記枠部の前記第1開口の内側に第2開口が設けられた支持部と、前記第2開口を塞ぐように設けられた透光部と、を有する蓋体と、
前記枠部の前記第1開口の内側、かつ、前記透光部の上方において、前記支持部に配置されるレンズ体と、を備える発光装置。
【請求項2】
前記支持部は、
前記枠部の上面に固定される第1部位と、
前記第1部位の内側において前記第1部位よりも低い位置に設けられた、前記レンズ体が配置される第2部位と、
前記第2部位の内側において前記第2部位よりも低い位置に設けられた、前記透光部が配置される第3部位と、を有する、請求項1に記載の発光装置。
【請求項3】
前記支持部において、前記第2部位と前記第3部位は同じ厚みである、請求項2に記載の発光装置。
【請求項4】
前記レンズ体は、レンズ部を有し、
前記レンズ体のレンズ部の頂点は、前記枠部の上面よりも高い位置にある、請求項1に記載の発光装置。
【請求項5】
前記レンズ体の厚みは、前記透光部の厚みよりも大きい、請求項1に記載の発光装置。
【請求項6】
前記レンズ体は、レンズ部と、前記レンズ部を取り囲む非レンズ部と、を有し、
前記レンズ体の前記非レンズ部の厚みは、前記透光部の厚みよりも大きい、請求項1に記載の発光装置。
【請求項7】
前記透光部の厚みは、1mm以下である、請求項5または6に記載の発光装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
基体と、基体の上面に固定された半導体レーザ素子と、半導体レーザ素子を取り囲むように設けられた蓋体と、蓋体の貫通孔を塞ぐように蓋体に接合された透光性部材と、を備える発光装置が知られている。この発光装置において、蓋体には、上面視で貫通孔を取り囲むように、断面が略U字状の湾曲部が形成されている。そして、蓋体の膨張による変形を湾曲部で吸収させて、透光性部材にクラックが入ることを防止している(例えば、特許文献1の
図1)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような発光装置においては、透光性部材の破損をより低減できる余地がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一形態に係る発光装置は、本体部と、前記本体部の上面に設けられ、第1開口を形成する上面を有する枠部と、を有する基体と、前記枠部の内側であって前記本体部の上面に設けられた1以上のレーザ素子と、前記枠部の上面に固定され且つ前記枠部の前記第1開口の内側に第2開口が設けられた支持部と、前記第2開口を塞ぐように設けられた透光部と、を有する蓋体と、前記枠部の前記第1開口の内側、かつ、前記透光部の上方において、前記支持部に配置されるレンズ体と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】
図1は、実施形態に係る発光装置の斜視図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係る発光装置の上面図である。
【
図6】
図6は、導光部材と蓋とを含む発光装置の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明を実施するための形態を、図面を参照しながら以下に説明する。ただし、以下に示す形態は、本発明の技術思想を具体化するためのものであって、本発明を限定するものではない。なお、各図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を明確にするために誇張していることがある。本明細書では、発光装置の光取出し面側(
図3の上側)を上方とし、その反対側(
図3の下側)を下方とする。また、リードピン13が延びる方向と平行な方向をX方向といい、リードピン13が延びる方向に垂直な方向をY方向という。
【0008】
<実施形態>
図1に本実施形態に係る発光装置200の斜視図を示し、
図2に発光装置200の上面図を示し、
図3に
図2のIII-IIIにおける断面図を示し、
図4に
図3の破線枠内の拡大図を示し、
図5に
図2のV-Vにおける断面図を示す。
【0009】
図1~
図5に示すように、発光装置200は、本体部11及び本体部11の上面に設けられた枠部12を有する基体10と、枠部12の内側であって本体部11の上面に設けられた1以上のレーザ素子20と、枠部12の上面に固定され且つ枠部12の内側に開口が設けられた支持部31と、開口を塞ぐように設けられた透光部32と、を有する蓋体30と、透光部32の上方に配置されるレンズ体40と、を備える。このとき、支持部31は、枠部12の上面に固定される第1部位31aと、第1部位31aの内側において第1部位31aよりも低い位置に設けられた、レンズ体40が配置される第2部位31bと、第2部位31bの内側において第2部位31bよりも低い位置に設けられた、透光部32が配置される第3部位31cと、を有し、透光部32とレンズ体40との熱膨張係数差は、透光部32と本体部11との熱膨張係数差よりも小さい。
【0010】
発光装置200によれば、レーザ素子20が配置される空間を封止する透光部32等の破損を低減することができる。以下、この点について詳述する。
【0011】
発光ダイオード素子に比べてレーザ素子は発熱しやすいため、一般的に、レーザ素子は比較的熱伝導率の高い材料からなる本体部に載置される。熱伝導率の高い材料としては、例えば銅等の金属材料が挙げられるが、これらの材料は比較的熱膨張係数が大きい。つまり、本体部は、他の部材に比較して熱膨張係数が大きい傾向にある。したがって、レーザ素子の駆動で生じる熱により、本体部に熱が伝わると、本体部が膨張して外側に広がりやすくなるため、本体部に固定された枠部も外側に広がりやすくなり、透光部32が破損しやすくなる。
【0012】
そこで、発光装置200では、蓋体30に含まれる支持部31として、枠部12の上面に固定される第1部位31aと、第1部位31aの内側において第1部位31aよりも低い位置に設けられた、レンズ体40が配置される第2部位31bと、第2部位31bの内側において第2部位31bよりも低い位置に設けられた、透光部32が配置される第3部位31cと、を含むものを用いている。つまり、2か所以上の段を設け、1つの段にレンズ体40を、その段よりも内側に位置する段に透光部32を、それぞれ配置している。そして、透光部32とレンズ体40の熱膨張係数差を透光部32と本体部11との熱膨張係数差よりも小さくしている。これらの構成によれば、レンズ体40により透光部32にかかる応力を低減することができるため、透光部32の破損を低減することができる。
【0013】
以下、発光装置200の構成要素について説明する。
【0014】
(基体10)
基体10は、本体部11と、本体部11の上面に設けられた枠部12と、を有する。
【0015】
本体部11には、レーザ素子20が実装されるため、比較的熱伝導率の高い材料が用いられる。発光装置200では、本体部11として、銅を主成分として含む金属材料を用いている。なお、本明細書において、「主成分として含む」とは、全体の重量の50%を超えてある材料を含むことをいう。本体部11としては、全体の重量の99%以上の銅を含むものを用いることが好ましい。
【0016】
発光装置200では、本体部11の上面において、レーザ素子20を配置する領域が、枠部12を固定する領域よりも上方に位置しているものを用いる。つまり、本体部11として、部分的に上方に凸状になっているものを用いており、凸部の上面にレーザ素子20が配置されている。これにより、本体部11の反りによる、レーザ素子20の剥がれを低減することができる。
【0017】
枠部12は、上方から視て本体部11に固定された全てのレーザ素子20を取り囲むように、本体部11の上面に固定されている。枠部12としては、後述する蓋体30の支持部31と熱膨張係数の近い材料を用いることが好ましい。これにより、枠部12と支持部31とを溶接する際の熱で透光部32が破損することを抑制することができる。枠部12としては、例えば、鉄を主成分として含む材料を用いることができる。発光装置200では、鉄を主成分として含む材料として、ニッケル鉄合金を用いている。この他に、鉄を主成分として含む材料としては、ステンレス鋼、コバールが挙げられる。発光装置200では、枠部12は、蓋体30を固定する部分を含む第1枠部と、第1枠部の外側面に設けられた第2枠部と、により枠部12は構成されているが、第1枠部のみから構成されていてもよい。
【0018】
枠部12の上面の外縁は、上面視で四角形としている。これにより、レーザ素子20を直線状に配置することができるため、レーザ素子20の配置ばらつきを低減することができる。枠部12の上面の外縁は、円形としてもよい。この場合は、支持部31の全体において支持部31にかかる応力を均等にすることができるため、透光部32の破損を低減しやすくできる。枠部12には、4つのリードピン13が固定されている。なお、リードピン13の数は、Y方向におけるレーザ素子20の数に応じて変更することができる。
【0019】
(レーザ素子20)
基体10の本体部11の上面には、1以上のレーザ素子20が配置されている。2以上のレーザ素子20が本体部11の上面に配置されていることが好ましく、ここでは、14個のレーザ素子20が配置されている。レーザ素子20の数が多くなるほどレーザ素子20全体で発生する熱量が多くなり、本体部11が反りやすくなるため、本実施形態による透光部32の破損を低減する効果が顕著となる。X方向におけるレーザ素子20の数は、Y方向におけるレーザ素子20の数よりも多いことが好ましい。Y方向におけるレーザ光の広がりに比べてX方向におけるレーザ光の広がりが狭いため、本体部11を大きくすることなく本体部11に配置できるレーザ素子20の数を増やすことができるためである。また、本体部11の大きさを大きくする必要がないため、本体部11が反りやすくなることを抑制できる。
【0020】
本体部11に配置される2以上のレーザ素子20のうちの少なくとも1つには、窒化物半導体が含まれることが好ましく、GaN系の半導体が含まれることがより好ましい。GaN系の半導体を含むレーザ素子20は集塵しやすいため、気密封止による集塵低減の効果が顕著となる。発光装置200では、すべてのレーザ素子20がGaN系の半導体を含む。GaN系の半導体としては、例えば、GaN、InGaN、及びAlGaNの少なくとも1つを含むものを用いることができる。レーザ素子20の発光ピーク波長は、420nm~570nmの範囲内にあることが好ましく、430nm~550nmの範囲内にあることがより好ましい。
【0021】
図3~
図5に示すように、レーザ素子20は、本体部11の上面と平行に光が照射されるように配置されている。つまり、レーザ素子20は、その光出射端面が本体部11の上面と垂直になるように配置されている。これにより、レーザ素子20の主面を本体部11と平行に実装することができるため、レーザ素子20で生じる熱を発散しやすくできる。各レーザ素子20は各サブマウント70に固定されており、レーザ素子20はサブマウント70を介して本体部11に実装されている。これにより、各レーザ素子20の光出射端面における発光点から本体部11の上面までの距離をサブマウント70の厚みの分だけ大きくすることができるため、レーザ素子20から放射された光を効率よく後述する光反射体90に照射することができる。
【0022】
サブマウント70としては、本体部11の熱膨張係数と各レーザ素子20の熱膨張係数との間の熱膨張係数を有するものを用いることが好ましい。これにより、レーザ素子20の剥がれや、サブマウント70の剥がれを抑制することができる。レーザ素子20として窒化物半導体を含む材料を用いる場合は、サブマウント70として、例えば、窒化アルミニウム、又は炭化ケイ素を用いる。各サブマウント70には金属膜が設けられており、各レーザ素子20はAu-Sn等の導電層により各サブマウント70に固定されている。
【0023】
図3及び
図4に示すように、各レーザ素子20は、ワイヤ60(金属細線)により、リードピン13と電気的に接続されている。ここでは、リードピン13の下方にはレーザ素子が配置されていないサブマウント80が配置されている。そして、X方向に並ぶ2以上のレーザ素子20のうちの一端に配置されたレーザ素子20とサブマウント80とをワイヤ60により電気的に接続し、サブマウント80とリードピン13とをワイヤ60により電気的に接続している。これにより、ワイヤ60の長さが長くなることを低減できるため、ワイヤ60の破断を抑制しやすくなる。サブマウント80の材料は、サブマウント70と同様のものを用いることができる。
【0024】
図5に示すように、本体部11の上面であって枠部12の内側には1以上の光反射体90が配置されている。光反射体90は、各レーザ素子20から出射される光を透光部32に向けて反射させるものである。ここでは、レーザ素子20の数と同じ数の光反射体90が、サブマウント70を介することなく本体部11に固定されている。光反射体90を用いることにより、各レーザ素子20からの光が光反射体90を経由することなく透光部32に直接照射される場合に比較して、各レーザ素子の光出射端面からレンズ体40の光入射面までの光の行路を長くすることができるため、光反射体90と各レーザ素子20との
実装ずれによる影響を小さくすることができる。
【0025】
光反射体90としては、少なくとも一面に光反射面を有する光学素子を用いる。光学素子としては、主材が石英若しくはBK7等のガラス、アルミニウム等の金属、又はSi等の熱に強い材料からなり、光反射面が金属や誘電体多層膜等の反射率の高い材料からなるものを用いることができる。
【0026】
(蓋体30)
枠部12の上面には、蓋体30が固定されている。蓋体30は、上方から視て枠部12の内側で開口した支持部31と、開口を塞ぐ透光部32と、を有する。蓋体30に関する以下の説明では、「平行」とは基準面に対して完全に平行なものだけではなく、10度以下で傾くものも含まれる。また、「垂直」とは基準面に対して完全に垂直なものだけではなく、10度以下で傾くものも含まれる。
【0027】
支持部31の材料は、枠部12と溶接しやすくするために、比較的熱伝導率の低い材料を用いる。例えば、枠部12で例示した材料と同様の材料を用いることができる。発光装置200では、基体10と蓋体30とにより、レーザ素子20が配置された空間は気密封止された空間となっている。
【0028】
支持部31は、
図4に示すように、枠部12の上面に固定される第1部位31aと、第1部位31aの内側において第1部位31aよりも低い位置に設けられた、レンズ体40が配置される第2部位31bと、第2部位31bの内側において第2部位31bよりも低い位置に設けられた、透光部32が配置される第3部位31cと、を少なくとも有する。
図4に示すように、第1部位31a~第3部位31cは、本体部11の下面と平行な領域を含むことが好ましい。これにより、枠部12への固定や、レンズ体40及び透光部32の固定を容易に行うことができる。なお、第2部位31bは平坦な領域を含まなくてもよい。
【0029】
発光装置200では、支持部31は、上方から視て第2部位31bと第3部位31cとの間に、第2部位31bよりも低い位置で且つ第3部位31cよりも高い位置に設けられた第4部位31dを有する。これにより、支持部31と透光部32とを第1接合材33を用いて接合する際に、第1接合材33が第2部位31bに這い上がることを低減することができ、レンズ体40を固定しやすくなる。第4部位31dは、本体部11の下面と平行な領域を含む。なお、第4部位31dはなくてもよい。つまり、第2部位31bと第3部位31cとが後述する第6部位31fにより繋げられていてもよい。
【0030】
支持部31は、第1部位31aと第2部位31bとを繋ぐ第5部位31eを有することができる。発光装置200では、第5部位31eは、枠部12から内側に離間した位置において、第2部位31bよりも低い位置で下に凸となるように屈曲している。言い換えると、第5部位31eは、枠部12に接しないように、第1部位31aから第2部位31bよりも低い位置まで延伸してから内側上方に屈曲して第2部位31bに接続されるように設けられている。これにより、第5部位31eのうちの下方に延伸する領域で弾性変形して応力を吸収させやすくできる。さらに、上方に屈曲する領域で物理的な強度を確保することができるため、レンズ体40や透光部32の破損を低減できる。また、第5部位31eに屈曲する領域を設けることにより、過剰な第2接合材50をとどめることができる。第2接合材と第1接合材とが接触すると、レーザ素子からの光が第2接合材に当たり、第2接合材が劣化する可能性があるところ、発光装置200によれば、第2接合材50を外側に寄せて配置することにより第2接合材50が内側に入って第1接合材33と接触することを抑制することができる。第5部位31eの最上部から最下部までの長さは、例えば、1.5mm以上4mm以下の範囲内とすることができる。第5部位31eの最下部は、第3部位31cの最下部よりも低いことが好ましい。これにより、第5部位31eの最上部から最下部までの長さを長くできるため、応力を吸収しやすくすることができる。
【0031】
支持部31は、第2部位31bと第4部位31dとを繋ぐ第6部位31fを有する。第6部位31fは、内側から外側に向かって広がるように傾斜した領域を含む。このとき、本体部11の下面に対して垂直な面から30度以下の範囲で傾斜していることが好ましい。これにより、第4部位31dと第2部位31bとを繋ぐ第6部位31fをある程度急峻な領域とすることができるため、第1接合材33の第2部位31bへの這い上がりを低減しやすくなる。
【0032】
支持部31は、第3部位31cと第4部位31dとを繋ぐ第7部位31gを有する。これにより、透光部32の位置合わせを行いやすくなる。第7部位31gは本体部の下面に対して垂直な面から15度以下の範囲で傾斜する領域を含むことが好ましい。これにより、第1接合材33の第4部位31dへの這い上がりを低減しやすくなる。
【0033】
支持部31は、比較的薄く、一定の厚みで構成されることが好ましい。つまり、支持部31は薄板であることが好ましい。これにより、支持部31をプレス加工にて製造することができるので、製造時におけるコストを低減することができる。例えば、支持部31の厚みは全体的に、0.03mm以上0.2mm以下の範囲内であることが好ましく、0.05mm以上1.5mm以下の範囲内であることがより好ましい。発光装置200では、支持部31のうちの少なくとも枠部12に固定されている領域を除く領域は、一定の厚みで構成されている。つまり、第2部位31b~第7部位31gは同じ厚みである。なお、第1部位31aを枠部12に溶接で固定する場合は、その部分が若干薄くなる場合もある。ここでいう厚みとは、第1部位31a~第4部位31dは上下方向、第5部位31e~第7部位31gは左右方向の長さである。また、ここでいう「同じ厚み」には、±10%以下の厚みの差は含まれる。
【0034】
透光部32は、支持部31の開口を塞ぐように、第3部位31cに固定されている。ここでは、第3部位31cの上面に透光部32が固定されており、透光部32の外縁が、上方から視て開口の外縁よりも外側に位置するように設けられている。
【0035】
発光装置200では、透光部32の材料として、ガラスを用いている。このほかに、例えば、サファイアを用いることができる。透光部32の厚み(上下方向の長さ)は、0.5mm以上1mm以下の範囲内であることが好ましい。前述の下限値以上とすることにより透光部32の強度を確保することができ、前述の上限値以下とすることにより光反射体90からレンズ体40までの距離を小さくすることができる。
【0036】
透光部32は、第1接合材33により支持部31に固定されている。第1接合材33としては、透光部32及び支持部31に比較的近い熱膨張係数を有する材料を用いることができる。第1接合材33は、レーザ素子20への集塵を低減するために、無機材料であることが好ましい。第1接合材33としては、例えば、低融点のガラスを用いることができる。
【0037】
(レンズ体40)
レンズ体40は、透光部32から上方に離間して配置され、レーザ素子20からの光の配光を制御する。レンズ体40は、支持部31の第1部位31aの内縁よりも内側に固定されている。これにより、第1部位31aの上面に他の部材を固定しやすくなる。例えば、
図6及び
図7に示すように、レンズ体40への集塵を低減するために、第1部位31aの上面に筒状の導光部材100を固定し、導光部材100の端部を蓋110で覆うことができる。つまり、導光部材100の一端と第1部位31aとが固定され、導光部材100の他端と蓋110とが固定されている。これにより、比較的大きな塵等がレンズ体40に付着することを低減することができる。支持部31と導光部材100と蓋110とにより構成される空間は、気密封止された空間とすることが好ましい。これにより、レンズ体40が配置される空間に比較的小さな塵が侵入することを抑制することができるため、発光装置200の信頼性を向上させることができる。
【0038】
発光装置200では、筒状の導光部材100として、内部に中空が設けられた四角錘台のものを用いている。なお、筒状の導光部材100として、内部に中空が設けられた四角柱のものや、内部に中空が設けられた円柱のもの等を用いてもよい。また、
図6及び
図7では、導光部材100として、導光部材100の一端から他端に向かって幅が狭くなるものを用いているが、一端から他端に向かって同じ幅の中空が設けられているものや、一端から他端に向かって幅が広くなるものを用いてもよい。蓋110としては、透光性のものを用いることができ、例えば、ガラスやサファイア等を用いることができる。支持部31と導光部材100と蓋110とにより構成される空間内には、波長変換部材やレンズ等の部材が配置されていてもよい。
【0039】
発光装置200では、レンズ体40として、レンズ体40に設けられたレンズ部41を通過する光が平行光に近づくコリメートレンズを用いている。なお、ここでいうコリメートレンズは、レンズ部41で光を完全に平行にするものも含む。
【0040】
レンズ体40と透光部32との熱膨張係数差はできるだけ小さいことが好ましい。これにより、透光部32の破損を低減しやすくなる。レンズ体40と透光部32との熱膨張係数差は、例えば、5×10-6/℃以下とすることができ、2×10-6/℃以下とすることが好ましい。レンズ体40としては、ショット製の「B270」や「BK7」(硼珪酸ガラス)などのガラス等を用いることができる。
【0041】
図2に示すように、レンズ体40は、上方から視て、複数のレンズ部41と、複数のレンズ部41を取り囲む非レンズ部42と、を有する。ここでは、複数のレンズ部41及び非レンズ部42は同じ材料により、一体で構成されている。そして、
図4に示すように、非レンズ部42と第2部位31bとが第2接合材50により接続されている。これにより、レーザ光が第2接合材50に当たることを低減しながら、レンズ体40を支持部31に固定することができる。上方から視て、第2部位31bは、枠部12の内縁に沿うように設けられており、レンズ体40は第2部位31bにおいて枠状に固定されている。つまり、発光装置200における上下方向のどの断面においても、レンズ体40は、枠部12の内側において支持部31に固定されている。これにより、枠部12が外側に広がるように引っ張られてもレンズ体40で広がりを抑えることができるため、透光部32の破損を低減できる。なお、レンズ体40の全体の熱膨張係数が透光部32の熱膨張係数に近いもので、レンズ部41と非レンズ部42とは別材料により構成されているものをレンズ体40として用いてもよい。
【0042】
レンズ部41は、レーザ光の広がりの小さい方向において、隣り合うレンズ部と連続して設けられている。つまり、レンズ部41は、X方向において連続して設けられている。これにより、レンズ体40を小さくすることができ、発光装置200全体として小さくすることができる。
【0043】
第2接合材50は、第1接合材33よりもヤング率が小さい材料であることが好ましい。第2接合材50は、第1接合材33よりも枠部12に近い領域に設けられるため応力がかかりやすくなるが、比較的ヤング率の小さい材料を用いることにより第2接合材50やレンズ体40の破損を低減することができる。第2接合材50としては、樹脂を用いることが好ましく、紫外線硬化型の樹脂を用いることがより好ましい。紫外線硬化型の樹脂を用いることにより、第2接合材50が硬化されるまでの時間を考慮しながらレンズ体40を調整する必要がなくなるため、レンズ体40の位置を正確に調整しやすくなる。なお、
図4において、第2接合材50が、支持部31において応力を緩和させる第5部位31eに接しているが、第2部位31bにのみ設けられていてもよい。このように、第5部位31eに接する場合でも、ヤング率の小さい材料を用いているため、第5部位31eでの応力緩和の効果を得ることができると考えられる。
【産業上の利用可能性】
【0044】
実施形態に記載の発光装置200は、プロジェクタ等に使用することができる。
【符号の説明】
【0045】
10…基体
11…本体部
12…枠部
13…リードピン
20…レーザ素子
30…蓋体
31…支持部
31a…第1部位
31b…第2部位
31c…第3部位
31d…第4部位
31e…第5部位
31f…第6部位
31g…第7部位
32…透光部
33…第1接合材
40…レンズ体
41…レンズ部
42…非レンズ部
50…第2接合材
60…ワイヤ
70、80…サブマウント
90…光反射体
100…導光部材
110…蓋
200…発光装置