(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022080056
(43)【公開日】2022-05-27
(54)【発明の名称】カーボンホルダーの再生方法、シリコンの製造方法及びカーボンホルダー
(51)【国際特許分類】
C04B 35/52 20060101AFI20220520BHJP
C01B 33/035 20060101ALI20220520BHJP
H01L 21/205 20060101ALI20220520BHJP
B24B 5/04 20060101ALI20220520BHJP
B24B 7/22 20060101ALI20220520BHJP
【FI】
C04B35/52
C01B33/035
H01L21/205
B24B5/04
B24B7/22 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020191009
(22)【出願日】2020-11-17
(71)【出願人】
【識別番号】000003182
【氏名又は名称】株式会社トクヤマ
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】阪井 純也
(72)【発明者】
【氏名】箱守 明
【テーマコード(参考)】
3C043
4G072
5F045
【Fターム(参考)】
3C043AA12
3C043CC02
4G072AA01
4G072BB01
4G072BB12
4G072HH04
4G072HH09
4G072MM01
4G072NN01
4G072NN14
4G072RR01
4G072RR11
4G072RR30
4G072UU01
5F045AA03
5F045AB03
5F045AC01
5F045AC05
5F045AE29
5F045AF03
5F045BB08
5F045EB06
5F045EJ03
5F045EK05
5F045EM02
(57)【要約】
【課題】カーボンホルダーを再利用して品質が十分に担保されたシリコンを得る。
【解決手段】カーボンホルダー(30)の再生方法において、芯線保持部(20)と電極(40)との間に接合され、カーボンから構成されるカーボンホルダー(30)について、芯線保持部(20)と接合される第1部位(34)が形成された第1端面(31)と、電極(40)と接合される第2部位(35)が形成された第2端面(32)と、の間に延在する側面(33)を、表面粗さ(Ra)が50μm以下となるように研削する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリコンを析出させるためのシリコン芯線を保持する芯線保持部と、前記シリコン芯線への通電を行うための電極と、の間に接合されるとともに、カーボンから構成されるカーボンホルダーの再生方法であって、
前記カーボンホルダーが、前記シリコン芯線へのシリコンの析出処理に使用された後、当該カーボンホルダーの再利用のために、前記芯線保持部と接合される第1部位が形成された前記カーボンホルダーの第1端面と、前記電極と接合される第2部位が形成された前記カーボンホルダーの第2端面と、の間に延在する側面を、表面粗さ(Ra)が50μm以下となるように研削することを特徴とするカーボンホルダーの再生方法。
【請求項2】
前記カーボンホルダーの前記側面に加えて、前記カーボンホルダーの前記第1端面も表面粗さ(Ra)が50μm以下となるように研削することを特徴とする請求項1に記載のカーボンホルダーの再生方法。
【請求項3】
前記カーボンホルダーの前記第1端面に、当該第1端面の少なくとも一部を覆うとともに前記芯線保持部の周囲を囲む環状部材が設けられていることを特徴とする請求項1に記載のカーボンホルダーの再生方法。
【請求項4】
前記環状部材と前記芯線保持部との間に隙間が形成されるように、前記カーボンホルダーの前記第1端面に前記環状部材が設けられていることを特徴とする請求項3に記載のカーボンホルダーの再生方法。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載のカーボンホルダーの再生方法により再生されたカーボンホルダーを、前記芯線保持部と、前記電極との間に接合して、前記シリコン芯線からシリコンを析出させることを特徴とするシリコンの製造方法。
【請求項6】
シリコンを析出させるためのシリコン芯線を保持する芯線保持部と、前記シリコン芯線への通電を行うための電極と、の間に接合されるとともに、カーボンから構成されるカーボンホルダーであって、
前記シリコン芯線へのシリコンの析出処理に使用された後、前記芯線保持部と接合される第1部位が形成された前記カーボンホルダーの第1端面と、前記電極と接合される第2部位が形成された前記カーボンホルダーの第2端面と、の間に延在する側面が、表面粗さ(Ra)が50μm以下となるように研削されたものであることを特徴とするカーボンホルダー。
【請求項7】
前記カーボンホルダーの前記第1端面に、当該第1端面の少なくとも一部を覆うとともに前記芯線保持部の周囲を囲む環状部材が設けられていることを特徴とする請求項6に記載のカーボンホルダー。
【請求項8】
シリコンを析出させるためのシリコン芯線を保持する芯線保持部と、前記シリコン芯線への通電を行うための電極と、の間に接合されるとともに、カーボンから構成されるカーボンホルダーであって、
前記芯線保持部と接合される第1部位が形成された前記カーボンホルダーの第1端面と、前記電極と接合される第2部位が形成された前記カーボンホルダーの第2端面と、の間に延在する側面の表面粗さ(Ra)が50μm以下であり、
前記カーボンホルダーの前記第1端面に、当該第1端面の少なくとも一部を覆うとともに前記芯線保持部の周囲を囲む環状部材が設けられていることを特徴とするカーボンホルダー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カーボンホルダーの再生方法、シリコンの製造方法及びカーボンホルダーに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、還元炉での多結晶シリコンの製造に使用されたカーボン部品に対し、当該カーボン部品の表面に付着する付着物をカーボン母材ごと削り取る処理を行うカーボン部品の再生方法が開示されている。当該カーボン部品の再生方法では、カーボン部品の表面に付着する付着物を削り取る処理の後、カーボン部品を流通型反応炉内で塩素ガス処理して、還元炉での多結晶シリコンの製造に再使用する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示のカーボン部品の再生方法では、カーボン部品の表面に付着する付着物を削り取る処理の後、カーボン部品を塩素ガス処理しなければ、品質が十分に担保された多結晶シリコンを得ることが困難であった。本発明の一態様は、カーボンホルダーを再利用して品質が十分に担保されたシリコンを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係るカーボンホルダーの再生方法は、シリコンを析出させるためのシリコン芯線を保持する芯線保持部と、前記シリコン芯線への通電を行うための電極と、の間に接合されるとともに、カーボンから構成されるカーボンホルダーの再生方法であって、前記カーボンホルダーが、前記シリコン芯線へのシリコンの析出処理に使用された後、当該カーボンホルダーの再利用のために、前記芯線保持部と接合される第1部位が形成された前記カーボンホルダーの第1端面と、前記電極と接合される第2部位が形成された前記カーボンホルダーの第2端面と、の間に延在する側面を、表面粗さ(Ra)が50μm以下となるように研削する。
【0006】
シリコンの析出処理が行われた後、カーボンホルダーの表面には異物が付着する。そこで、カーボンホルダーの表面粗さが50μm以下となるように、カーボンホルダーの側面を研削することが好ましい。これにより、カーボンホルダーの表面に付着した異物を十分に除去したことになり、研削後のカーボンホルダーに対して塩素ガス処理を行わなくても、当該カーボンホルダーを再利用して品質が十分に担保されたシリコンを得ることができる。
【0007】
前記カーボンホルダーの前記側面に加えて、前記カーボンホルダーの前記第1端面も表面粗さ(Ra)が50μm以下となるように研削してもよい。カーボンホルダーの第1端面も研削することにより、第1端面を研削しない場合に比べて、カーボンホルダーの第1端面に付着した異物も十分に除去したことになる。これにより、研削後のカーボンホルダーを再利用したとき、シリコンの析出処理によって得られるシリコンの品質を向上することができる。
【0008】
前記カーボンホルダーの前記第1端面に、当該第1端面の少なくとも一部を覆うとともに前記芯線保持部の周囲を囲む環状部材が設けられていてもよい。カーボンホルダーの第1端面に環状部材が設けられることにより、当該第1端面に異物が付着することを低減することができる。これにより、第1端面に環状部材が設けられない場合に比べて、研削後のカーボンホルダーを再利用したとき、シリコンの析出処理によって得られるシリコンの品質を向上することができる。
【0009】
前記環状部材と前記芯線保持部との間に隙間が形成されるように、前記カーボンホルダーの前記第1端面に前記環状部材が設けられていてもよい。シリコンの析出処理が行われる場合、シリコン芯線に析出したシリコンが環状部材と一体となることを回避することができる。これにより、環状部材を再利用することができる。
【0010】
本発明の一態様に係るシリコンの製造方法は、前記カーボンホルダーの再生方法により再生されたカーボンホルダーを、前記芯線保持部と、前記電極との間に接合して、前記シリコン芯線からシリコンを析出させてもよい。
【0011】
本発明の一態様に係るカーボンホルダーは、シリコンを析出させるためのシリコン芯線を保持する芯線保持部と、前記シリコン芯線への通電を行うための電極と、の間に接合されるとともに、カーボンから構成されるカーボンホルダーであって、前記シリコン芯線へのシリコンの析出処理に使用された後、前記芯線保持部と接合される第1部位が形成された前記カーボンホルダーの第1端面と、前記電極と接合される第2部位が形成された前記カーボンホルダーの第2端面と、の間に延在する側面が、表面粗さ(Ra)が50μm以下となるように研削されたものである。
【0012】
前記カーボンホルダーの前記第1端面に、当該第1端面の少なくとも一部を覆うとともに前記芯線保持部の周囲を囲む環状部材が設けられていてもよい。
【0013】
本発明の一態様に係るカーボンホルダーは、シリコンを析出させるためのシリコン芯線を保持する芯線保持部と、前記シリコン芯線への通電を行うための電極と、の間に接合されるとともに、カーボンから構成されるカーボンホルダーであって、前記芯線保持部と接合される第1部位が形成された前記カーボンホルダーの第1端面と、前記電極と接合される第2部位が形成された前記カーボンホルダーの第2端面と、の間に延在する側面の表面粗さ(Ra)が50μm以下であり、前記カーボンホルダーの前記第1端面に、当該第1端面の少なくとも一部を覆うとともに前記芯線保持部の周囲を囲む環状部材が設けられている。
【0014】
カーボンホルダーの第1端面に環状部材を設けることにより、カーボンホルダーを使用した際(再利用時を含む)、第1端面・側面に付着するシリコンの析出量を低減することができる。使用していない新品の、表面粗さ(Ra)が50μm以下のカーボンホルダーに環状部材を設けた場合であっても、当然、第1端面・側面に付着するシリコンの析出量を低減することができる。その結果、カーボンホルダーを再利用する際に(繰り返し使用を含む)、第1端面・側面に付着したシリコンを除去するための研削作業の負荷を低減できる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の一態様によれば、カーボンホルダーを再利用して品質が十分に担保されたシリコンを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の実施形態1に係るカーボンホルダーとその付近の断面構成を示す断面図である。
【
図2】
図1に示すカーボンホルダーの側面を研削する処理を説明するための図である。
【
図3】本発明の実施形態2に係るカーボンホルダーとその付近の断面構成を示す断面図である。
【
図4】
図3に示すカーボンホルダーとその付近の断面構成と、
図3に示す構成とは別のカーボンホルダーとその付近の断面構成と、を示す断面図である。
【
図5】本発明の実施例4に係るカーボンホルダーとその付近の断面構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
〔実施形態1〕
<カーボンホルダー30とその付近の構成>
図1は、本発明の実施形態1に係るカーボンホルダー30とその付近の断面構成を示す断面図である。
図1において電極40からシリコン芯線10に向かう方向を上方向と称し、シリコン芯線10から電極40に向かう方向を下方向と称する。シリコン芯線10、芯線保持部20及びカーボンホルダー30は、シリコンを製造するための反応器に収容される。当該反応器は、底部60と、底部60に対して着脱可能な蓋部と、から構成されている。当該蓋部については図示を省略している。
【0018】
図1に示すように、芯線保持部20は、シリコン芯線10を保持するとともに、カーボンから構成される。シリコン芯線10は、シリコンを析出させるためのものである。シリコン芯線10はU字形状を有し、芯線保持部20及びカーボンホルダー30を介して、電極40と電気的に接続される。
【0019】
芯線保持部20の上方の一部は、シリコン芯線10にシリコンが析出するにつれて、シリコン芯線10にシリコンが析出することにより形成されるシリコンロッドに埋没する。芯線保持部20は、シリコン芯線10を保持することにより、シリコン芯線10に形成されたシリコンロッドを保持するものである。
【0020】
芯線保持部20は、シリコン芯線10及びカーボンホルダー30と接合された状態で、上方向に向かうにつれて先細りするテーパー形状となっている傾斜面21を有する。また、芯線保持部20は下方向に向かって突出する突出部22を有する。芯線保持部20は、突出部22でカーボンホルダー30の第1部位34と接合する。芯線保持部20は使い捨てのものである。
【0021】
カーボンホルダー30は、芯線保持部20と電極40との間に接合されるとともに、カーボンから構成される。カーボンホルダー30は、電極40の内部が冷却媒体50によって冷却されている場合、芯線保持部20の熱が熱伝導により電極40を加熱することを低減する。カーボンホルダー30は、第1端面31と、第2端面32と、側面33と、を有する。
【0022】
第1端面31は、カーボンホルダー30における芯線保持部20側の上面である。第1端面31には、芯線保持部20の突出部22と接合される第1部位34が形成されている。第1部位34は、芯線保持部20の突出部22と嵌合する凹形状を有する。第2端面32は、カーボンホルダー30における電極40側の下面である。第2端面32には、電極40の突出部41と接合される第2部位35が形成されている。第2部位35は、電極40の突出部41と嵌合する凹形状を有する。カーボンホルダー30の側面33は、第1端面31と第2端面32との間に延在する。
【0023】
側面33の形状は、カーボンホルダー30における上下方向に沿った中心軸を含む平面でカーボンホルダー30を切断した切断面において、当該中心軸から所定距離だけ離れた直線となる形状であることが好ましい。また、側面33の形状は、カーボンホルダー30の上記中心軸を回転軸として、当該直線を1回転させて形成される形状であることが好ましい。
【0024】
側面33は、このような形状の一例として、円筒形状を有してもよく、円錐から頂点が切り取られた図形の側面と同一の形状を有してもよい。側面33がこのような形状を有することにより、カーボンホルダー30の再利用のために側面33を研削する場合、旋盤を用いて側面33を容易に研削することができる。
【0025】
電極40は、シリコン芯線10への通電を行うためのものである。電極40は、反応器の底部60に設置される。電極40と底部60との間には、電極40から底部60に電流が流れることを防ぐために、絶縁部材70が設けられている。電極40の材質は、炭素材料であってもよく、冷却媒体50によって冷却可能な構造とするため、SUS等の金属材料であってもよい。
【0026】
電極40の内部には、シリコン芯線10にシリコンを析出させる際に高電流を流すことによる電極40の抵抗加熱で高温化することを防ぐために、電極40の内部を水冷によって冷却する構造となっている。電極40に高電流が流れること、及び、反応器からの熱輻射によって電極40が過熱することを防ぐために、電極40は冷却媒体50によって冷却されることが好ましい。
【0027】
<シリコンの製造方法>
次に、シリコンの製造方法について説明する。当該製造方法で製造されるシリコンは、例えば多結晶シリコンである。まず、反応器の底部60に反応器の蓋部が装着された状態で、反応器内にシリコン析出用の原料ガスを供給する。この場合において、電極40からシリコン芯線10に通電することにより、シリコン芯線10へのシリコンの析出処理を実行する。反応器内に供給されるシリコン析出用の原料ガスとしては、例えば、トリクロロシランやモノシラン等のシラン化合物のガスが使用される。
【0028】
<カーボンホルダー30の再生方法>
図2は、
図1に示すカーボンホルダー30の側面33を研削する処理を説明するための図である。
図2を用いてカーボンホルダー30の再生方法を説明する。カーボンホルダー30が、シリコン芯線10へのシリコンの析出処理に使用された後、反応器の底部60から反応器の蓋部を開放する。析出処理したシリコン芯線10を含むシリコンロッドは、芯線保持部20とともに反応器から取り出す。芯線保持部20が取り出された後のカーボンホルダー30を、電極40から取り外す。そして、カーボンホルダー30を反応器から取り出す。
【0029】
カーボンホルダー30の再利用のために、電極40から取り外したカーボンホルダー30の側面33を、表面粗さ(Ra)が50μm以下となるように研削する。本実施形態に係る表面粗さ(Ra)は、算術平均粗さRaを示している。以下、算術平均粗さRaについては単に表面粗さと称する。なお、未使用のカーボンホルダー30の側面33の表面粗さは50μm以下である。
【0030】
側面33を研削するとき、
図2に示すように、カーボンホルダー30を再利用するために、カーボンホルダー30の表面からの深さが0.20mm以上となる範囲、さらに好ましくは0.25mm以上となる範囲について、側面33の当該範囲を研削する処理を実行する。なお、1回のカーボンホルダー30の再利用時に研削する深さの上限値は、当然のことながら高くなり過ぎるとカーボンホルダー30を再利用できる回数が減るため、0.50mm程度とすることが好ましい。
【0031】
このように、上記深さが0.20mm以上となる範囲について側面33の当該範囲を研削することが好ましい。カーボンホルダー30が使用される前、カーボンホルダー30を上下方向に直交する平面で切断した切断面の直径が100mmである場合には、側面33を研削することによって以下の通りとなる。
【0032】
このカーボンホルダー30を使用してシリコンの析出処理を行った後、カーボンホルダー30を取り出して、表面からの深さが0.25mmとなる範囲について側面33の当該範囲を研削する。側面33を研削した後、側面33が研削されたカーボンホルダー30を再利用してシリコンの析出処理を再度行う。さらに、再利用したカーボンホルダー30を取り出して、表面からの深さが0.25mmとなる範囲について側面33の当該範囲を再度研削した後、カーボンホルダー30を再利用する。このとき、カーボンホルダー30の再利用は2回目となり、2回目の再利用時のカーボンホルダー30の当該直径は99mmとなる。
【0033】
側面33を研削する場合、ダイヤモンド刃が取り付けられた旋盤を用いることが好ましい。このとき、ダイヤモンド刃から側面33の汚染の原因となる異物が生じない。このため、側面33が汚染されることを低減することができる。なお、側面33を研削する場合、グラインダ等の研磨機、サンドペーパーまたは耐水ペーパーを用いてもよい。
【0034】
また、より好ましくは、表面粗さが30μm以下となるように側面33を研削する。さらに好ましくは、表面粗さが1μm以上30μm以下となるように側面33を研削する。表面粗さが50μmより大きい場合、側面33の凹部に付着した異物を十分に除去できず、研削後のカーボンホルダー30に対して塩素ガス処理が必要になる。
【0035】
表面粗さが30μm以下である場合、表面粗さが30μmより大きく50μm以下である場合に比べて、カーボンホルダー30を再利用したときに得られるシリコンの品質をさらに向上することができる。また、表面粗さが1μm以上である場合、切削機での加工で側面33を仕上げることができるため、研削の操作が容易であり経済性を向上することができる。
【0036】
また、カーボンホルダー30の側面33に加えて、カーボンホルダー30の第1端面31も表面粗さが50μm以下となるように研削することが好ましい。側面33の研削に関して上記で説明した内容は、第1端面31の研削に対しても適用される。
【0037】
第1端面31も研削することにより、第1端面31を研削しない場合に比べて、第1端面31に付着した異物も十分に除去したことになる。これにより、研削後のカーボンホルダー30を再利用したとき、シリコンの析出処理によって得られるシリコンの品質を向上することができる。
【0038】
さらに、第2端面32の表面粗さは、側面33の表面粗さと同一であってもよく、異なっていてもよい。ただし、第2端面32の表面粗さは、側面33の表面粗さよりも小さいことが好ましい。例えば、第2端面32の表面粗さが1μm以上5μm以下であるとともに、側面33の表面粗さが10μm以上30μm以下であることが好ましい。
【0039】
カーボンホルダー30に対する研削処理の後、カーボンホルダー30の表面に空気を吹きかけることにより、カーボンホルダー30の表面に残った異物を除去する。ここまでの処理が実行されることによりカーボンホルダー30が再生される。
【0040】
カーボンホルダー30の再生方法により再生されたカーボンホルダー30を、芯線保持部20と、電極40との間に接合する。そして、反応器の底部60に反応器の蓋部が装着された状態で、反応器内にシリコン析出用の原料ガスを供給する。この場合において、電極40からシリコン芯線10に通電することにより、シリコン芯線10からシリコンを析出させる。
【0041】
シリコンの析出処理が行われた後、カーボンホルダー30の表面には異物が付着する。そこで、カーボンホルダー30の表面粗さが50μm以下となるように、カーボンホルダー30の側面33を研削することが好ましい。これにより、カーボンホルダー30の表面に付着した異物を十分に除去したことになり、研削後のカーボンホルダー30に対して塩素ガス処理を行わなくても、カーボンホルダー30を再利用して品質が十分に担保されたシリコンを得ることができる。
【0042】
より具体的には、カーボンホルダー30の表面粗さが50μm以下となり、カーボンホルダー30の表面が高度に平滑化されたことにより、カーボンホルダー30を再利用して得られるシリコンへの汚染を抑制することができる。このため、仮に塩素ガス処理を行わなくても、カーボンホルダー30を再利用することができる。
【0043】
また、研削後のカーボンホルダー30に対して塩素ガス処理を行わなくてもよいため、塩素ガス処理を行うための設備を設ける必要がなくなることから、当該設備の設置にかかる費用を削減することができる。また、塩素ガスの消費にかかる費用も削減することができる。なお、本実施形態においては、研削後のカーボンホルダー30に対して塩素ガス処理を行ってもよい。この場合、カーボンホルダー30を再利用して得られるシリコンの品質をさらに向上することができる。
【0044】
〔実施形態2〕
本発明の実施形態2について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、実施形態1にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
図3は、本発明の実施形態2に係るカーボンホルダー30とその付近の断面構成を示す断面図である。
【0045】
図3に示すように、カーボンホルダー30の第1端面31には、第1端面31の少なくとも一部を覆うとともに芯線保持部20の周囲を囲む環状部材80が設けられている。この構成によれば、第1端面31に異物が付着することを低減することができる。これにより、第1端面31に環状部材80が設けられない場合に比べて、研削後のカーボンホルダー30を再利用したとき、シリコンの析出処理によって得られるシリコンの品質を向上することができる。
【0046】
環状部材80は、カーボンから構成されるとともに、カーボンホルダー30における上下方向に沿った中心軸から離れる方向に、側面33から例えば1cmだけ突出している。換言すると、上から見た場合、環状部材80は、カーボンホルダー30の外周より例えば1cmだけ突出している。第1端面31に環状部材80を設けられることにより、第1端面31に異物が付着することを低減することができるため、第1端面31を研削する処理を省略することができる。これにより、製造コストを削減することができる。
【0047】
環状部材80を上から見た場合、環状部材80の形状は環状であり、環状部材80は内側壁面81及び外側壁面82を有する。内側壁面81は芯線保持部20の傾斜面21の一部を囲んでおり、外側壁面82を上から見た場合、外側壁面82は、カーボンホルダー30の側面33よりも外側に位置する。
【0048】
図3において、カーボンホルダー30における上下方向に沿った中心軸を含む平面で、芯線保持部20、カーボンホルダー30及び環状部材80を切断した切断面を考える。この切断面において、芯線保持部20の傾斜面21と、環状部材80の内側壁面81と、の最短距離をUM、環状部材80における上下方向に沿った厚みをD1とする。また、カーボンホルダー30の側面33と、環状部材80の外側壁面82と、の最短距離をWMとする。距離WMは、上下方向に直交する左右方向に沿った距離である。
【0049】
さらに、上から見た場合において、環状部材80の外径をLO、環状部材80の内径をLI、第1端面31と同一の面上の芯線保持部20の外径をMO、カーボンホルダー30の外径をNOとする。以下、上記MOについては芯線保持部20の外径MOと称する。環状部材80の外径LOは例えば100mm以上120mm以下であり、環状部材80の内径LIは例えば50mm以上60mm以下であり、芯線保持部20の外径MOは例えば35mm以上40mm以下である。以上の大きさは、所望とするシリコンロッドの大きさ(析出するシリコンロッドの大きさ)、使用するカーボンホルダー30の大きさ、芯線保持部20の大きさ等により適宜調整すればよい。
【0050】
厚みD1は5mm以上15mm以下であり、距離WMは5mm以上15mm以下であることが好ましい。環状部材80の内径LIは、芯線保持部20の外径MOより大きく、環状部材80の外径LOは、カーボンホルダー30の外径NOより大きいことが好ましい。tanθ=D1/UMと定義すると、角度θは40°以上60°以下であることが好ましい。これにより、環状部材80の内径LIと、芯線保持部20の外径MOと、の差が適切になり、環状部材80と芯線保持部20との間に隙間SPが形成される。
【0051】
つまり、環状部材80と芯線保持部20との間に隙間SPが形成されるように、カーボンホルダー30の第1端面31に環状部材80が設けられていることが好ましい。シリコンの析出処理が行われる場合、シリコン芯線10に析出したシリコンが環状部材80と一体となることを回避することができる。これにより、環状部材80を再利用することができる。
【0052】
図4は、
図3に示すカーボンホルダー30とその付近の断面構成と、
図3に示す構成とは別のカーボンホルダーとその付近の断面構成と、を示す断面図である。
図4の符号101は、環状部材80Aの内径が第1端面31と同一の面上の芯線保持部20Aの外径と略同一である場合を示す。この場合、環状部材80Aの上面に析出したシリコンS1と、芯線保持部20Aに析出したシリコンS2と、が一体となる。
【0053】
なお、析出させるシリコンロッドの大きさは、所望の大きさとなるように、装置の形状等を変更すればよいため、限定されるものではない。ただし、大きくなり過ぎると、環状部材80Aの上面にシリコンS1が析出し易くなる。このため、特に、上から見た場合のシリコンS2の外径が150mmより大きくなると、シリコンS2からの熱輻射により環状部材80Aの上面が加熱され、環状部材80Aの上面にシリコンS1が析出する傾向が高くなる。
【0054】
これにより、環状部材80Aを再利用することができなくなり、環状部材80Aにかかるコストが高くなる。析出させるシリコンロッドの大きさは、上記の通り制限されるものではないが、本発明の一態様においては、シリコンロッドの外径が100mm以上150mm以下であることが好ましい。
【0055】
図4の符号102は、環状部材80Bの内径と、芯線保持部20の外径MOと、の差が、
図4の符号103に示す構成に比べて小さい場合を示す。この場合、環状部材80Bの上面に析出したシリコンS3と、芯線保持部20に析出したシリコンS4と、が一体となる。このため、環状部材80Bを再利用することができなくなる。
【0056】
図4の符号103は、
図3に示す構成と同様である場合を示す。この場合、環状部材80の内径LIと、芯線保持部20の外径MOと、の差が適切であるため、環状部材80の上面に析出したシリコンS5と、芯線保持部20に析出したシリコンS6と、が一体にならない。このため、環状部材80を再利用することができる。
【0057】
図4の符号104は、環状部材80Cの内径と、芯線保持部20の外径MOと、の差が、
図4の符号103に示す構成に比べて大きい場合を示す。この場合、カーボンホルダー30の第1端面31において、環状部材80Cから露出する部分が多くなり、カーボンホルダー30の第1端面31に異物が付着する。このため、カーボンホルダー30を再利用したときに得られるシリコンの品質が低下する。
【0058】
図4の符号103に示す構成、つまり、
図3に示す構成の通り、環状部材80の内径LIと、芯線保持部20の外径MOと、の差は適切であることが好ましい。この場合、環状部材80の内径LIと、芯線保持部20の外径MOと、の差が適切になり、環状部材80の上面に析出したシリコンS5と、芯線保持部20に析出したシリコンS6と、が一体にならず、環状部材80を再利用することができる。
【0059】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【実施例0060】
以下、本発明を実施例によりさらに説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。なお、説明の便宜上、各部材については実施形態2にて使用した符号を用いる。以下の実施例1~3及び比較例1~3では、シリコン析出終了後に表面に対し所定の研削を行ったカーボンホルダー30及び環状部材80の個数を100個として実験を行った。カーボンホルダー30及び環状部材80については、反応器内に複数配置した。
【0061】
<前提条件>
以下の実施例及び比較例においてシリコンロッドの製造条件(使用したシリコン芯線の長さを含む)は、カーボンホルダー30・環状部材80(鍔)の態様を変化させた以外は同一の条件を採用した。シリコン芯線10は、断面積が10mm×10mmの角柱状のものを使用した。
【0062】
<シリコンロッドの品質評価;規格外品比率αi/αoについて>
実施例及び比較例で評価した規格外品比率αi/αoとは、以下のシリコンの品質評価方法で用いられる数値である。通常、
図5で示した通り、析出処理後のシリコン芯線10を含むシリコンロッドは、芯線保持部20の一部を巻き込んでいるため、反応器から芯線保持部20とともに取り出される。
【0063】
取り出されたシリコンロッドは、シリコンの析出時に、芯線保持部20及びカーボンホルダー30からの不純物(リン、ボロン、ヒ素、アルミニウム、カーボン、金属成分)を取り込む。このため、
図5において、芯線保持部20の上端面から所定の高さまでに位置するシリコンを規格外品として、機械的破砕(ハンマー等による破砕)で分離して、分別する場合がある。なお、芯線保持部20近傍のシリコンは、不純物を多く含む可能性があるため、その部分を除去して製品化する場合がある。
【0064】
今回の実験においては、不純物の合計量が特定量以上(参考例を含め、実施例及び比較例全て不純物が同じ量以上)であるシリコンロッドの部分(規格外品)の重量で評価した。同じ製造条件の場合には、それぞれの製造されたシリコンロッドにおいて、規格外品(除去したシリコンロッドの部分)の平均重量のバラツキが5%以下となる製造装置(ベルジャー)を使用した。
【0065】
なお、同じ製造条件とは、使用する装置、ガス供給量の他、未使用(新品;同一規格を満足する)のカーボンホルダー30及び芯線保持部20を使用すること、同じ長さのシリコン芯線10を使用することを含む、全ての製造条件が同じであることを指す。なお、品質規格の条件にもよるが、シリコン析出後のシリコン芯線10を含むシリコンロッドの全重量に対して、規格外品の重量割合は1質量%以上2質量%以下程度となる。
【0066】
実施例及び比較例においては、まず、未使用のカーボンホルダー30を使用してシリコンロッドを製造する。そして、シリコンロッドの全重量に対する規格外品の重量割合αoを求める(オリジナルのカーボンホルダー30を用いた場合のαoを求める。)。次いで、実施例及び比較例として、使用済のカーボンホルダー30を表1に示す条件で処理(環状部材80を設けることを含む)して、同じ製造条件でシリコンロッドを製造する。オリジナルのカーボンホルダー30を使用した場合と同じ品質規格となるように、得られたシリコンロッドから規格外品を取り除き、実施例及び比較例(カーボンホルダーの再利用時)における規格外品の重量割合αiを求める。
【0067】
そして、それぞれのαoの値で、それに対応するαiの値を割ることにより、実施例及び比較例の規格外品比率αi/αoを求めた。この規格外品比率αi/αoが高くなると、カーボンホルダー30の再利用時に、不純物が多く含まれることになり、再利用し難くなることを指す。
【0068】
<その他の評価について>
実施例及び比較例において、カーボンホルダー30を再利用してシリコンロッドを製造した際に、再利用後のカーボンホルダー30へ付着しているシリコンを目視にて確認して評価した。また、再利用時に環状部材80を使用した実施例おける、環状部材80の再利用の比率は、利用された環状部材80の数に対する再利用できた環状部材80の比率である。
【0069】
<参考例、実施例1~7及び比較例1~2>
参考例、実施例1~7及び比較例1~2の各条件(カーボンホルダー30の再利用条件)、並びに、その評価結果を表1に示す。参考例は、未使用のカーボンホルダー30を使用した場合の代表的な結果である。各実施例1~7及び比較例1~2を行う前には、当然のことながら、それぞれ未使用のカーボンホルダー30を使用してシリコンロッドを製造し、オリジンルの規格外品の重量割合αoを求めている。
【0070】
表1に示すように、比較例1は、未使用のカーボンホルダー30を使用してシリコンロッドを製造し(参考例)、その使用したカーボンホルダー30(第1端面31及び側面33の表面粗さは400μm)をそのまま再使用して、シリコンロッドを製造した例である。
【0071】
比較例2は、未使用のカーボンホルダー30を使用してシリコンロッドを製造し(参考例)、その使用したカーボンホルダー30の第1端面31及び側面33の表面粗さを100μm(深さは0.05mm)となるように研削し、その研削したカーボンホルダー30を使用して、シリコンロッドを製造した例である。この比較例1、2では、規格外品比率αi/αoが3以上となって規格外品比率が高くなり、カーボンホルダー30の再利用には不向きであることが分かった。
【0072】
実施例7は、未使用のカーボンホルダー30を使用してシリコンロッドを製造し(参考例)、その使用したカーボンホルダー30の第1端面31及び側面33の表面粗さを25μm(深さは0.25mm)となるように研削し、その研削したカーボンホルダー30を使用して、シリコンロッドを製造した例である。実施例7では、規格外品比率αi/αoが1.6となり、使用後のカーボンホルダー30の表面研削を十分に行うことにより、カーボンホルダー30を再利用できることが分かった。
【0073】
実施例1~6は、それぞれ未使用のカーボンホルダー30を使用してシリコンロッドを製造し(参考例)、その使用したカーボンホルダー30の第1端面31及び側面33の表面粗さを25μm(深さは0.25mm)となるように研削し、さらに、表1に示した形状のカーボン製の環状部材80を第1端面31上に設けて、シリコンロッドを再度製造した例である。
【0074】
実施例1~6では、規格外品比率αi/αoが実施例7より小さくなりシリコンの品質が向上することを確認できた。特に、実施例1、2では、第1端面31にシリコンの析出がなく、環状部材80の再利用率も高く、好適な条件であることが分かった。また、以上の実施例1~6の結果より、未使用のカーボンホルダー30上に環状部材80を設けた場合であっても、得られるシリコンロッドの品質は維持されることが明らかである。
【0075】
実施例4では、角度θが60°より大きい73°であるため、距離UMが小さくなり、
図4の符号102に示す場合と同様に、環状部材80の上面に析出したシリコンと、芯線保持部20に析出したシリコンと、が一体となる。このため、環状部材80の再利用の比率が低くなった。
【0076】
また、実施例3では、角度θが40°より小さい場合、
図4の符号104に示す場合と同様に、距離UMが大きくなることで、カーボンホルダー30の第1端面31に異物が付着し、規格外品比率αi/αoが実施例1~6の中では高めの値となった。実施例5では、距離WMが5mmより小さい3mmであるため、カーボンホルダー30の側面33の一部にシリコンが析出し、規格外品比率αi/αoも実施例1~6の中では高めの値となった。なお、距離WMが15mmより大きい場合、隣接する環状部材80間の距離が小さくなることで、環状部材80間で放電が生じる可能性が高くなり実用的ではない。
【0077】
実施例6では、環状部材80における上下方向に沿った厚みD1が5mmより小さい3mmであるため、環状部材80が軽量となり、シリコンの析出処理中に原料ガスが反応器内を流れることによって、環状部材80の位置が変動した。これにより、環状部材80の再利用の比率が低くなった。
【0078】
なお、厚みD1が15mmより大きい場合、環状部材80のサイズが大きくなるため、環状部材80にかかるコストが高くなり実用的ではない。また、実施例1,2と実施例4とを比較して明らかな通り、環状部材80を設けた場合、角度θは40°以上60°以下とすることにより、環状部材80の再利用率を高くできることが明らかである。
【0079】
【表1】
<実施例8>
図5に記載の形状の芯線保持部20を使用して、シリコンロッドを製造した。実施例1~7と同じく、まずは、未使用のカーボンホルダー30を使用してシリコンロッドを製造し(参考例)、その使用したカーボンホルダー30の第1端面31及び側面33の表面粗さを25μm(深さは0.25mm)となるように研削し、さらに、
図5に示した形状のカーボン製の環状部材80を第1端面31上に設けて、シリコンロッドを再度製造した例である。環状部材80における上下方向に沿った厚みD1は10mmとし、距離WMは10mmとした。
【0080】
詳細には、
図5のような芯線保持部20を用いた。また、
図5に示すように、実施例8では、距離UMが8.5mmとなる環状部材80を用いた。そして、実施例8は、tanθ=D1/UM≒1.18となり、角度θは45°以上60°以下の角度となる。実施例8においては、規格外品比率αi/αo=1.0となり、第1端面31へのシリコンの析出はなく、環状部材80の再利用率は100%であった。