IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社トクヤマの特許一覧

特開2022-817114-ハロゲノベンジルアミン誘導体の製造方法
<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022081711
(43)【公開日】2022-06-01
(54)【発明の名称】4-ハロゲノベンジルアミン誘導体の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C07C 231/12 20060101AFI20220525BHJP
   C07C 233/13 20060101ALI20220525BHJP
   A61K 31/47 20060101ALN20220525BHJP
   A61P 31/04 20060101ALN20220525BHJP
【FI】
C07C231/12
C07C233/13
A61K31/47
A61P31/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2019070370
(22)【出願日】2019-04-02
(71)【出願人】
【識別番号】000003182
【氏名又は名称】株式会社トクヤマ
(72)【発明者】
【氏名】関 雅彦
【テーマコード(参考)】
4C086
4H006
【Fターム(参考)】
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA04
4C086BC28
4C086MA01
4C086MA04
4C086ZB35
4H006AA02
4H006AC30
4H006BA66
4H006BC10
4H006BE03
4H006BJ50
4H006BM30
4H006BM73
4H006BV22
(57)【要約】
【課題】 4-ハロゲノベンジルアミン誘導体を、位置選択的に得る製造方法を提供する。
【解決手段】
下記式(1)
【化1】
(式中、RおよびRは独立して、水素、またはアミノ基の保護基を表す。ここで、RおよびRは共に水素ではない。)
で表わされる1-メチルベンジルアミン誘導体をハロゲン化剤と、
酸解離定数(pKa)が-4.0以上-2.0以下のブレンドステッド酸存在下、接触させることによる、4-ハロゲノベンジルアミン誘導体の製造方法を提供する。
【選択図】 なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(1)
(式中、RおよびRは独立して、水素、またはアミノ基の保護基を表す。ここで、RおよびRは共に水素ではない。)
で表わされる1-メチルベンジルアミン誘導体を、ハロゲン化剤と、
酸解離定数(pKa)が-4.0以上、-2.0以下のブレンドステッド酸存在下、接触させることによる、下記式(2)
(式中、RおよびRは独立して、水素、またはアミノ基の保護基を表す。ここで、RおよびRは共に水素ではない。Xはハロゲンを表す。)
で表わされる4-ハロゲノベンジルアミン誘導体の製造方法。
【請求項2】
前記ハロゲン化剤が、N-ハロゲノスクシンイミド、N-ハロゲノフタルイミド、
下記式(3)
(式中、Xはハロゲンを表す。)
で表わされる1,3-ジハロゲノ-5,5-ジメチルヒダントインから選ばれる少なくとも一種である、請求項1記載の4-ハロゲノベンジルアミン誘導体の製造方法。
【請求項3】
前記アミノ基の保護基がトリフルオロアセチル基である、請求項1記載の4-ハロゲノベンジルアミン誘導体の製造方法。
【請求項4】
前記酸解離定数(pKa)が-4.0以上、-2.0以下のブレンステッド酸が硫酸である、請求項1記載の4-ハロゲノベンジルアミン誘導体の製造方法。
【請求項5】
前記ハロゲンが塩素、臭素、またはヨウ素である、請求項1または2記載の4-ハロゲノベンジルアミン誘導体の製造方法。
【請求項6】
前記1,3-ジハロゲノ-5,5-ジメチルヒダントインが、1,3-ジクロロ-5,5-ジメチルヒダントイン、1,3-ジブロモ-5,5-ジメチルヒダントイン、または1,3-ジヨード-5,5-ジメチルヒダントインである、請求項2記載の4-ハロゲノベンジルアミン誘導体の製造方法。
【請求項7】
前記N-ハロゲノスクシンイミドおよびN-ハロゲノフタルイミドが、それぞれN-ブロモスクシンイミド(NBS)およびN-ブロモフタルイミドである、請求項2記載の4-ハロゲノベンジルアミン誘導体の製造方法。
【請求項8】
前記製造方法における反応温度が、-20~20℃である、請求項1から7のいずれか1項に記載の4-ハロゲノベンジルアミン誘導体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガレノキサシン等の重要な合成中間体である4-ハロゲノベンジルアミン誘導体の新規な製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
下記式(4)
【0003】
【化1】
【0004】
で示されるガレノキサシン等のキノロンカルボン酸骨格を有する化合物は、キノロン系合成抗菌剤として感染症の治療に用いられている(特許文献1参照)。
【0005】
該ガレノキサシンの合成中間体である、下記式(2)
【0006】
【化2】
【0007】
で示される4-ハロゲノベンジルアミン誘導体は、無置換ベンジルアミン誘導体のハロゲン化により合成されている。この合成例として、下記式(5)
【0008】
【化3】
【0009】
で示される(R)-N-トリフルオロアセチル-1-メチルベンジルアミンを、メタンスルホン酸存在下、下記式(6)
【0010】
【化4】
【0011】
で示される1,3-ジブロモ-5、5-ジメチルヒダントイン(DBDMH)を接触させ、前記式(2)で示される4-ハロゲノベンジルアミン誘導体(4-ブロモベンジルアミン誘導体)を得る合成法が報告されている(非特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】国際公開第1997/29102号
【非特許文献】
【0013】
【非特許文献1】Bioorg.Med.Chem.Lett.2002,No.12,p.795~798.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
しかしながら、前記合成法では、反応の位置選択性が、4-ブロモベンジルアミン誘導体/2-ブロモベンジルアミン誘導体=3:2であり、合成目的とする4-ブロモベンジルアミン誘導体を得るための反応の位置選択性が低かった。また、高価なメタンスルホン酸が必要な点も問題だった。
【0015】
従って、本発明の目的は、合成目的とする4-ハロゲノベンジルアミン誘導体を得るためのハロゲン化反応の位置選択性を向上させ、安価なブレンステッド酸を用いる4-ハロゲノベンジルアミン誘導体の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意検討を重ねた。その結果、メタンスルホン酸に代えて、酸解離定数(pKa)が-4.0以上-2.0以下であり、安価なブレンステッド酸を用いて、前記式(5)で示される(R)-N-トリフルオロアセチル-1-メチルベンジルアミンを、ハロゲン化剤と反応させたところ、反応が低温で速やかに進行し、より高い位置選択性でハロゲン化され、目的物である4-ハロゲノベンジルアミン誘導体が得られる製法を見出し、本発明を完成させるに至った。
【0017】
すなわち本発明は、下記式(1)
【0018】
【化5】
【0019】
(式中、RおよびRは独立して、水素、またはアミノ基の保護基を表す。ここで、RおよびRは共に水素ではない。)
で表わされる1-メチルベンジルアミン誘導体を、ハロゲン化剤と、
酸解離定数(pKa)が-4.0以上-2.0以下のブレンドステッド酸存在下、接触させることによる、下記式(2)
【0020】
【化6】
【0021】
(式中、RおよびRは独立して、水素、またはアミノ基の保護基を表す。ここで、RおよびRは共に水素ではない。Xはハロゲンを表す。)
で表わされる4-ハロゲノベンジルアミン誘導体の製造方法に関する。
【0022】
前記本発明の4-ハロゲノベンジルアミン誘導体の製造方法では、以下の態様を好適にとり得る。
(1)ハロゲン化剤が、N-ハロゲノスクシンイミド、N-ハロゲノフタルイミド、
下記式(3)
【0023】
【化7】
【0024】
(式中、Xはハロゲンを表す。)
で表わされる1,3-ジハロゲノ-5,5-ジメチルヒダントインから選ばれる少なくとも一種であること。
(2)アミノ基の保護基がトリフルオロアセチル基であること。
(3)酸解離定数(pKa)が-4.0以上-2.0以下のブレンステッド酸が硫酸であること。
(4)ハロゲンが塩素、臭素、またはヨウ素であること。
(5)前記1,3-ジハロゲノ-5,5-ジメチルヒダントインが、1,3-ジクロロ-5,5-ジメチルヒダントイン、1,3-ジブロモ-5,5-ジメチルヒダントイン、または1,3-ジヨード-5,5-ジメチルヒダントインであること。
(6)前記N-ハロゲノスクシンイミドおよびN-ハロゲノフタルイミドが、それぞれN-ブロモスクシンイミド(NBS)およびN-ブロモフタルイミドであること。
(7)前記製造方法における反応温度が、-20~20℃であること。
【発明の効果】
【0025】
本発明は、ガレノキサシン等を合成する際に重要な4-ハロゲノベンジルアミン誘導体の製造方法に関する発明である。酸解離定数(pKa)が-4.0以上-2.0以下と強酸であり、より安価なブレンステッド酸を用いることにより、反応が低温で速やかに進行し、ハロゲン化の位置選択性良く、前記式(1)におけるベンゼン環の4-位の水素が置換された、目的物である4-ハロゲノベンジルアミン誘導体を得ることができる。この製造方法により、工業的に効率良く、4-ハロゲノベンジルアミン誘導体を得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0026】
下記式(1)
【0027】
【化8】
【0028】
(式中、RおよびRは独立して、水素、またはアミノ基の保護基を表す。ここで、RおよびRは共に水素ではない。)
で表わされる1-メチルベンジルアミン誘導体を、ハロゲン化剤と、
酸解離定数(pKa)が-4.0以上-2.0以下のブレンドステッド酸存在下、接触させることによる、下記式(2)
【0029】
【化9】
【0030】
(式中、RおよびRは独立して、水素、またはアミノ基の保護基を表す。ここで、RおよびRは共に水素ではない。Xはハロゲンを表す。)
で表わされる4-ハロゲノベンジルアミン誘導体の製造方法である。
【0031】
前記式中、RおよびRは独立して、水素、またはアミノ基の保護基である。ここで、RおよびRは共に水素ではない。「RおよびRは共に水素ではない」とは、RおよびRのいずれか1つが水素である時、残りのRまたはRは、アミノ基の保護基であることを意味する。
【0032】
前記アミノ基の保護基としては、カルバメート系、アミド系、イミド系、スルホンアミド系の保護基等が挙げられる。かかるアミノ基の保護基としては、カルバメート系、またはアミド系の保護基が好適である。具体的には、メトキシカルボニル基、またはトリフルオロアセチル基が挙げられ好ましい。
【0033】
好ましいRおよびRは、メトキシカルボニル基および水素、またはトリフルオロアセチル基および水素である。また、より好ましいRおよびRは、トリフルオロアセチル基および水素である。
【0034】
前記式(2)および(3)におけるハロゲンとしては、塩素、臭素、またはヨウ素が挙げられる。好ましいハロゲンは、臭素、またはヨウ素である。
【0035】
(ハロゲン化剤)
前記、N-ハロゲノスクシンイミドとしては、N-ブロモスクシンイミド、N-クロロスクシンイミド等が挙げられる。好ましいN-ハロゲノスクシンイミドは、N-ブロモスクシンイミドである。これらのN-ハロゲノスクシンイミドは、単独あるいは混合して用いることができる。
【0036】
前記、N-ハロゲノフタルイミドとしては、N-ブロモフタルイミド、N-クロロフタルイミド、N-ヨードフタルイミド等が挙げられる。好ましいN-ハロゲノフタルイミドは、N-ブロモフタルイミドである。これらのN-ハロゲノフタルイミドは、単独あるいは混合して用いることができる。
【0037】
前記、1,3-ジハロゲノ-5,5-ジメチルヒダントインとしては、1,3-ジクロロ-5,5-ジメチルヒダントイン、1,3-ジブロモ-5,5-ジメチルヒダントイン、1,3-ジヨード-5,5-ジメチルヒダントイン等が挙げられる。好ましい1,3-ジハロゲノ-5,5-ジメチルヒダントインは、1,3-ジブロモ-5,5-ジメチルヒダントインである。これらの1,3-ジハロゲノ-5,5-ジメチルヒダントインは、単独あるいは混合して用いることができる。
【0038】
前記、N-ハロゲノスクシンイミド、N-ハロゲノフタルイミド、1,3-ジハロゲノ-5,5-ジメチルヒダントインの使用量は、特に制限されるものではない。式(1)で表される1-メチルベンジルアミン誘導体に対して、0.5~2当量使用することが好ましく、0.5~1当量使用することがより好ましい。
【0039】
(ブレンステッド酸)
前記、酸解離定数(pKa)が-4.0以上-2.0以下のブレンステッド酸としては、硫酸等が挙げられる。好ましい酸解離定数(pKa)が-4.0以上-2.0以下のブレンステッド酸は、硫酸である。該ブレンステッド酸は、単独あるいは混合して用いることができる。
【0040】
前記ブレンステッド酸の使用量は、特に制限されるものではない。式(1)で表される1-メチルベンジルアミン誘導体に対して、0.01~100当量使用することが好ましく、0.1~10当量使用することがより好ましい。
【0041】
(溶媒)
本発明の製造方法において、用いる溶媒としては、1-メチルベンジルアミン誘導体のハロゲン化に用いられる溶媒を好適に用いることができる。かかる溶媒としては具体的には、酢酸エチル、酢酸メチル、酢酸ブチル、酢酸イソプロピル、アセトニトリル、プロピオニトリル、THF、2-メチルTHF、1,4-ジオキサン、tert-ブチルメチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、ジメトキシエタン、ジグライム、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2-ジクロロエタン、クロロベンゼン、トルエン、キシレン、ヘキサン、ヘプタン等が挙げられる。これらの溶媒は、単独あるいは混合して用いることができる。好ましい溶媒は、塩化メチレン、クロロホルム、クロロベンゼンである。
【0042】
前記溶媒の使用量は、特に制限されるものではない。式(1)で表される1-メチルベンジルアミン誘導体に対して、反応溶媒を1~100倍容量を使用することが好ましく、2~10倍容量を使用することがより好ましい。
【0043】
(反応温度)
本発明の製造方法における反応温度は、特に制限されるものではない。具体的には、通常、-40~100℃の範囲で実施することができる。また、-20~20℃の範囲で実施することが好ましい。-10~20℃の範囲で実施することがさらに好ましい。
【0044】
(反応時間)
本発明の製造方法における反応時間は、特に制限されるものではない。具体的には、通常、0.5~48時間の範囲で実施することができる。また、1~24時間の範囲で実施することが好ましい。
【0045】
前記の反応により、式(3)で表される4-ハロゲノベンジルアミン誘導体を得ることができる。
【0046】
(酸解離定数、pKa)
酸解離定数(pKa)は、水中での酸の強さ(水素イオンの解離しやすさ)を定量的に表す。酸から水素イオンが放出される解離反応を考え、その平衡定数 Kaの負の常用対数pKaを表している。pKaが小さいほど強い酸であることを示している。
【0047】
硫酸の酸解離定数(pKa)は、-3.0である「Evans pKa Table」。
【0048】
本発明は、下記の項などを包含する。
【0049】
項1.
下記式(1)
【0050】
【化10】
【0051】
(式中、RおよびRは独立して、水素、またはアミノ基の保護基を表す。ここで、RおよびRは共に水素ではない。)
で表わされる1-メチルベンジルアミン誘導体を、ハロゲン化剤と、
酸解離定数(pKa)が-4.0以上、-2.0以下のブレンドステッド酸存在下、接触させることによる、下記式(2)
【0052】
【化11】
【0053】
(式中、RおよびRは独立して、水素、またはアミノ基の保護基を表す。ここで、RおよびRは共に水素ではない。Xはハロゲンを表す。)
で表わされる4-ハロゲノベンジルアミン誘導体の製造方法。
【0054】
項2.
前記ハロゲン化剤が、N-ハロゲノスクシンイミド、N-ハロゲノフタルイミド、
下記式(3)
【0055】
【化12】
【0056】
(式中、Xはハロゲンを表す。)
で表わされる1,3-ジハロゲノ-5,5-ジメチルヒダントインから選ばれる少なくとも一種である、項1記載の4-ハロゲノベンジルアミン誘導体の製造方法。
【0057】
項3.
前記アミノ基の保護基がトリフルオロアセチル基である、項1記載の4-ハロゲノベンジルアミン誘導体の製造方法。
【0058】
項4.
前記酸解離定数(pKa)が-4.0以上、-2.0以下のブレンステッド酸が硫酸である、項1記載の4-ハロゲノベンジルアミン誘導体の製造方法。
【0059】
項5.
前記ハロゲンが塩素、臭素、またはヨウ素である、項1または2記載の4-ハロゲノベンジルアミン誘導体の製造方法。
【0060】
項6.
前記1,3-ジハロゲノ-5,5-ジメチルヒダントインが、1,3-ジクロロ-5,5-ジメチルヒダントイン、1,3-ジブロモ-5,5-ジメチルヒダントイン、または1,3-ジヨード-5,5-ジメチルヒダントインである、項2記載の4-ハロゲノベンジルアミン誘導体の製造方法。
【0061】
項7.
前記N-ハロゲノスクシンイミドおよびN-ハロゲノフタルイミドが、それぞれN-ブロモスクシンイミド(NBS)およびN-ブロモフタルイミドである、項2記載の4-ハロゲノベンジルアミン誘導体の製造方法。
【0062】
項8.
前記製造方法における反応温度が、-20~20℃である、項1から7のいずれか1項に記載の4-ハロゲノベンジルアミン誘導体の製造方法。
【実施例0063】
以下に実施例を挙げて、本発明を詳細に説明するが、具体例であって、本発明はこれらにより限定されるものではない。
【0064】
H-NMR の測定では、日本電子社製 400MHzの測定装置を使用した。
【0065】
HPLCの分析では、Waters社製 e2695測定装置を使用した。HPLCの分析条件は、下記の通りである。
HPLC分析条件:
サンプル濃度:0.5%THF
注入量:5μL
検出波長:210nm
流速:1.0mL/min
カラム温度:30℃
移動相:50~100% アセトニトリル(0~20min)
充填剤:X Bridge C18 5μm (4.6x150mm)
<実施例1>
【0066】
【化13】
【0067】
(R)-N-トリフルオロアセチル-1-メチルベンジルアミン(1.00g、4.60mmol)の塩化メチレン(5mL)溶液を-5℃まで冷却し、硫酸(1.17g、11.97mmol)を加え30分攪拌した。この溶液に1,3-ジブロモ-5,5-ジメチルヒダントイン(DBDMH)(0.66g、2.31mmol)を同温で加え、-5℃で3時間攪拌した。さらに、20℃で18時間撹拌した。
【0068】
反応終了後、反応液をHPLC分析したところ、生成物の異性体混合比は、4-ブロモベンジルアミン誘導体/2-ブロモベンジルアミン誘導体=75:25だった。
【0069】
HPLCにおける保持時間は、4-ブロモベンジルアミン誘導体が5.912min、2-ベンジルアミン誘導体が5.588minであった。
【0070】
上記反応液に、1N-亜硫酸水素ナトリウム(5mL)、水(10mL)で順次洗浄し、硫酸マグネシウム上乾燥、濾過、減圧濃縮した。濃縮残渣にジエチルエーテル(5mL)を加え、20℃で2時間攪拌後、濾過、乾燥することにより、(R)-4-ブロモ-N-トリフルオロアセチル-1-メチルベンジルアミン(4-ブロモベンジルアミン誘導体)を得た(0.54g、4-ブロモベンジルアミン誘導体のみ含有、収率:40%)。
【0071】
[物性評価]
得られた4-ブロモベンジルアミン誘導体((R)-4-ブロモ-N-トリフルオロアセチル-1-メチルベンジルアミン)のH-NMRの分析結果を以下に示す。
H-NMR(CDCl):δ 1.57 (d, J=7.0 Hz, 3H), 5.10 (q, J=7.0 Hz, 1H), 6.57 (brs, 1H), 7.20 (d, J=8.0Hz, 2H), 7.51 (d, J=8.0Hz, 2H)。
【0072】
<ベンジルアミン誘導体の製造例1>
【0073】
【化14】
【0074】
(R)-1-メチルベンジルアミン(13.8g、113.9mmol)の塩化メチレン(200mL)溶液を0℃まで冷却し、ピリジン(22.5g、284.5mmol)を加え、同温で30分攪拌を行った。ここへ、トリフルオロ酢酸無水物(29.9g、142.4mmol)を5℃以下で40分かけて滴下した。滴下終了後、20℃で3時間攪拌した。
【0075】
反応終了後、反応液に0.5N-HCl(200mL)を加え5分攪拌した後、分液した。水層を塩化メチレン(50mL)で抽出した。有機層を合わせ、0.5N-HCl(150mL)、水(150mL×2)、飽和重曹水(150mL)で洗浄、硫酸マグネシウム上乾燥、濾過、減圧濃縮した。濃縮残渣にヘキサン(150mL)を加えて、20℃で1時間攪拌、濾過、乾燥を行うことにより、(R)-N-トリフルオロアセチル-1-メチルベンジルアミンを得た(21g、収率:定量的)。
【産業上の利用可能性】
【0076】
本発明における4-ハロゲノベンジルアミン誘導体は、キノロン系合成抗菌剤として感染症の治療に用いられているガレノキサシンの中間体として用いることができる。また、本発明における4-ハロゲノベンジルアミン誘導体の製造方法は、前記感染症の治療薬を合成する製造方法として用いることができる。