IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社日清製粉グループ本社の特許一覧

<>
  • 特開-横ピロー包装機及び横ピロー包装方法 図1
  • 特開-横ピロー包装機及び横ピロー包装方法 図2
  • 特開-横ピロー包装機及び横ピロー包装方法 図3
  • 特開-横ピロー包装機及び横ピロー包装方法 図4
  • 特開-横ピロー包装機及び横ピロー包装方法 図5
  • 特開-横ピロー包装機及び横ピロー包装方法 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022008283
(43)【公開日】2022-01-13
(54)【発明の名称】横ピロー包装機及び横ピロー包装方法
(51)【国際特許分類】
   B65B 51/16 20060101AFI20220105BHJP
【FI】
B65B51/16 100
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021121709
(22)【出願日】2021-07-26
(62)【分割の表示】P 2019176346の分割
【原出願日】2015-11-12
(31)【優先権主張番号】P 2014243683
(32)【優先日】2014-12-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000226998
【氏名又は名称】株式会社日清製粉グループ本社
(74)【代理人】
【識別番号】100112427
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 芳洋
(72)【発明者】
【氏名】野村 光生
【テーマコード(参考)】
3E094
【Fターム(参考)】
3E094AA13
3E094BA12
3E094CA10
3E094DA07
3E094EA04
3E094GA01
3E094GA03
3E094HA02
(57)【要約】      (修正有)
【課題】高速運転させた場合においてもセンターシールのシール強度を高く維持する。
【解決手段】表面側の基材フィルムと、基材フィルムの融点よりも低い融点を有する裏面側のシーラントフィルムにより構成される帯状フィルムの裏面幅方向両端部を合わせて冷凍食品を包み、裏面幅方向両端部を合わせたセンターシール部をシールするセンターシーラと、冷凍食品を包んだ帯状フィルムの冷凍食品の両側の部位を幅方向にシール及びカットするエンドシーラとを備え、センターシーラは、冷凍食品を包んだ帯状フィルムのセンターシール部を挟持し加熱する一対の第1加熱ローラ8A、8Bと、第1加熱ローラにより加熱されたセンターシール部を挟持し加熱する一対の第2加熱ローラ10A,10Bと、第1及び第2加熱ローラの温度を基材フィルムの融点よりも低く、シーラントフィルムの融点よりも高くなる温度に制御する温度制御部を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも表面側の基材フィルムと、前記基材フィルムの融点よりも低い融点を有する裏面側のシーラントフィルムにより構成される帯状フィルムの裏面幅方向両端部を合わせて冷凍食品を包み、前記裏面幅方向両端部を合わせたセンターシール部をシールするセンターシーラと、前記冷凍食品を包んだ前記帯状フィルムの前記冷凍食品の両側の部位を幅方向にシール及びカットするエンドシーラとを備える横ピロー包装機において、
前記センターシーラは、
前記冷凍食品を包んだ前記帯状フィルムの前記センターシール部を挟持し、加熱する一対の第1加熱ローラと、
前記第1加熱ローラにより挟持され加熱された前記センターシール部を挟持し、加熱する一対の第2加熱ローラと、
前記第1加熱ローラ及び前記第2加熱ローラの温度を前記基材フィルムの融点よりも低く、かつ前記シーラントフィルムの融点よりも高い温度であって、かつシールされる前記センターシール部のシール強度がJISZ0238に定められた方法により測定された際に15N/15mm以上となる温度に制御する温度制御部と、
前記第1加熱ローラ及び前記第2加熱ローラにより加熱された前記センターシール部を冷却及び圧着する一対の圧着ローラと、
を備えることを特徴とする横ピロー包装機。
【請求項2】
前記センターシール部を前記第1加熱ローラにより加熱する前に予熱する予熱部を備えることを特徴とする請求項1記載の横ピロー包装機。
【請求項3】
少なくとも表面側の基材フィルムと、前記基材フィルムの融点よりも低い融点を有する裏面側のシーラントフィルムにより構成される帯状フィルムの裏面幅方向両端部を合わせて冷凍食品を包み、前記裏面幅方向両端部を合わせたセンターシール部をシールするセンターシーラと、前記冷凍食品を包んだ前記帯状フィルムの前記冷凍食品の両側の部位を幅方向にシール及びカットするエンドシーラとを備える横ピロー包装機を用いて前記冷凍食品を横ピロー包装する横ピロー包装方法において、
前記センターシーラの一対の第1加熱ローラを用いて、前記冷凍食品を包んだ前記帯状フィルムの前記センターシール部を挟持し、前記センターシール部を前記基材フィルムの融点よりも低く、かつ前記シーラントフィルムの融点よりも高い温度に加熱する第1工程と、
前記センターシーラの一対の第2加熱ローラを用いて、前記第1加熱ローラにより挟持され加熱された前記センターシール部を挟持し、前記センターシール部を前記基材フィルムの融点よりも低く、かつ前記シーラントフィルムの融点よりも高い温度に加熱する第2工程と、
前記センターシーラにより一対の圧着ローラを用いて、前記第1加熱ローラ及び前記第2加熱ローラにより加熱された前記センターシール部を冷却及び圧着する工程と、
を含み、
前記第1工程及び前記第2工程のそれぞれは、前記第1加熱ローラ及び前記第2加熱ローラのそれぞれの温度を、シールされる前記センターシール部のシール強度がJISZ0238に定められた方法により測定された際に15N/15mm以上となる温度に加熱することを特徴とする横ピロー包装方法。
【請求項4】
前記センターシール部を前記第1加熱ローラにより加熱する前に予熱する工程を含むことを特徴とする請求項3記載の横ピロー包装方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、横ピロー包装機に関するものであり、特に冷凍食品を包装するための横ピロー包装機及び該横ピロー包装機を用いた横ピロー包装方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
被包装物を包装する横ピロー包装機は、センターシーラ及びエンドシーラを備えている。上流側に配置されるセンターシーラは、連続して供給される帯状フィルムの裏面幅方向両端部を合わせることにより所定間隔で順次供給される被包装物を包み、帯状フィルムの裏面幅方向両端部を合わせたセンターシール部をシールする。下流側に配置されるエンドシーラは、センターシーラより搬送されてくる被包装物を包んだ帯状フィルムの被包装物の両側に設けられたエンドシール部を幅方向にシール及びカットする(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載されているように、センターシーラは、一対の搬送ローラと一対の加熱ローラを備えている。上流側に配置される一対の搬送ローラは、被包装物を包んだ帯状フィルムの裏面幅方向両端部を合わせたセンターシール部を挟持して帯状フィルムを搬送する。下流側に配置される一対の加熱ローラは、搬送されてきた帯状フィルムのセンターシール部を挟持して加熱する。帯状フィルムのセンターシール部は、一対の加熱ローラにより加熱され加圧されることにより熱圧着される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003-212222号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、センターシール部に対して一対の加熱ローラにより加熱し加圧する時間は、ボックスモーション機構等を用いてエンドシール部をシールするエンドシーラの加熱加圧時間と比べて極端に短いため、センターシールのシール強度は、エンドシールのシール強度より低いという問題があった。また、横ピロー包装機の運転の高速化が求められているが、横ピロー包装機の運転速度を速くした場合一対の加熱ローラの回転速度もそれにつれて速くなるため、加熱加圧時間が更に短くなるという問題があった。
【0006】
更に、センターシールのシール強度を高くするために一対の加熱ローラによる加熱温度を高く設定した場合、加熱によりフィルムの表面が微小に融けて、融けたフィルムが加熱ローラの表面に付着する。この付着が蓄積すると、付着汚れによる加熱ムラが生じるため、加熱ローラを定期的に洗浄する必要があった。
【0007】
本発明の目的は、高速運転させた場合においてもセンターシールのシール強度を高く維持することができる横ピロー包装機及び該横ピロー包装機を用いた横ピロー包装方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の横ピロー包装機は、少なくとも表面側の基材フィルムと、前記基材フィルムの融点よりも低い融点を有する裏面側のシーラントフィルムにより構成される帯状フィルムの裏面幅方向両端部を合わせて冷凍食品を包み、前記裏面幅方向両端部を合わせたセンターシール部をシールするセンターシーラと、前記冷凍食品を包んだ前記帯状フィルムの前記冷凍食品の両側の部位を幅方向にシール及びカットするエンドシーラとを備える横ピロー包装機において、前記センターシーラは、前記冷凍食品を包んだ前記帯状フィルムの前記センターシール部を挟持し、加熱する一対の第1加熱ローラと、前記第1加熱ローラにより挟持され加熱された前記センターシール部を挟持し、加熱する一対の第2加熱ローラと、前記第1加熱ローラ及び前記第2加熱ローラの温度を前記基材フィルムの融点よりも低く、かつ前記シーラントフィルムの融点よりも高い温度であって、かつシールされる前記センターシール部のシール強度がJISZ0238に定められた方法により測定された際に15N/15mm以上となる温度に制御する温度制御部と、前記第1加熱ローラ及び前記第2加熱ローラにより加熱された前記センターシール部を冷却及び圧着する一対の圧着ローラと、を備えることを特徴とする。
【0009】
また、本発明の横ピロー包装機は、前記センターシール部を前記第1加熱ローラにより加熱する前に予熱する予熱部を備えることを特徴とする。
【0010】
また、本発明の横ピロー包装方法は、少なくとも表面側の基材フィルムと、前記基材フィルムの融点よりも低い融点を有する裏面側のシーラントフィルムにより構成される帯状フィルムの裏面幅方向両端部を合わせて冷凍食品を包み、前記裏面幅方向両端部を合わせたセンターシール部をシールするセンターシーラと、前記冷凍食品を包んだ前記帯状フィルムの前記冷凍食品の両側の部位を幅方向にシール及びカットするエンドシーラとを備える横ピロー包装機を用いて前記冷凍食品を横ピロー包装する横ピロー包装方法において、前記センターシーラの一対の第1加熱ローラを用いて、前記冷凍食品を包んだ前記帯状フィルムの前記センターシール部を挟持し、前記センターシール部を前記基材フィルムの融点よりも低く、かつ前記シーラントフィルムの融点よりも高い温度に加熱する第1工程と、前記センターシーラの一対の第2加熱ローラを用いて、前記第1加熱ローラにより挟持され加熱された前記センターシール部を挟持し、前記センターシール部を前記基材フィルムの融点よりも低く、かつ前記シーラントフィルムの融点よりも高い温度に加熱する第2工程と、前記センターシーラにより一対の圧着ローラを用いて、前記第1加熱ローラ及び前記第2加熱ローラにより加熱された前記センターシール部を冷却及び圧着する工程と、を含み、前記第1工程及び前記第2工程のそれぞれは、前記第1加熱ローラ及び前記第2加熱ローラのそれぞれの温度を、シールされる前記センターシール部のシール強度がJISZ0238に定められた方法により測定された際に15N/15mm以上となる温度に加熱することを特徴とする。
【0011】
また、本発明の横ピロー包装方法は、前記センターシール部を前記第1加熱ローラにより加熱する前に予熱する工程を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、高速運転させた場合においてもセンターシールのシール強度を高く維持することができる横ピロー包装機及び該横ピロー包装機を用いた横ピロー包装方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】実施の形態に係るセンターシーラの概略構成を示す図である。
図2】加熱ローラの設定温度に対するセンターシールのシール強度を示すグラフである。
図3】加熱ローラの設定温度に対するセンターシールのシール強度を示すグラフである。
図4】ポリプロピレンの融点と凝固点の示差走査熱量測定結果を示すグラフである。
図5】直鎖状低密度ポリエチレンの融点と凝固点の示差走査熱量測定結果を示すグラフである。
図6】従来のセンターシーラの概略構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態に係る横ピロー包装機について説明する。この実施の形態に係る横ピロー包装機は、帯状フィルムを連続して供給し、且つ被包装物である冷凍食品を所定間隔で順次供給する供給部(図示せず)、センターシーラ及びエンドシーラ(図示せず)を備えている。
【0015】
図1は、実施の形態に係る横ピロー包装機が備えるセンターシーラの概略を示す図である。センターシーラ2は、図1に示すように、一対の搬送ローラ4A,4B、一対の予熱バー6A,6B、一対の第1加熱ローラ8A,8B、一対の第2加熱ローラ10A,10B、一対の圧着ローラ12A,12B、制御部14、第1モータ16、第2モータ18、第3モータ20、第4モータ22、第1ヒーター24、第2ヒーター26、及び第3ヒーター28を備えている。
【0016】
一対の搬送ローラ4A,4Bは、図示しない供給部の下流側であって一対の予熱バー6A,6Bの上流側に配置されており、図中矢印方向にそれぞれ回転可能に構成されている。図示しない供給部により供給された帯状フィルム及び冷凍食品は、帯状フィルムの裏面幅方向両端部を合わせることにより冷凍食品が包まれた状態で一対の搬送ローラ4A,4Bまで搬送される。一対の搬送ローラ4A,4Bは、帯状フィルムの裏面幅方向両端部を合わせたセンターシール部を挟持し、回転することにより帯状フィルムを下流側に搬送する。
【0017】
一対の予熱バー6A,6Bは、一対の搬送ローラ4A,4Bの下流側であって一対の第1加熱ローラ8A,8Bの上流側に配置されている。予熱バー6Aと6Bとの間には微小な隙間が形成されており、一対の搬送ローラ4A,4Bにより搬送されてきた帯状フィルムのセンターシール部は予熱バー6Aと6Bとの間の隙間を通過する。一対の予熱バー6A,6Bは、後述する第1ヒーター24により加熱されており、一対の第1加熱ローラ8A,8B及び一対の第2加熱ローラ10A,10Bによる加熱の前に、センターシール部を予熱する。
【0018】
一対の第1加熱ローラ8A,8Bは、一対の予熱バー6A,6Bの下流側であって一対の第2加熱ローラ10A,10Bの上流側に配置されており、図中矢印方向にそれぞれ回転可能に構成されている。一対の第1加熱ローラ8A,8Bは、後述する第2ヒーター26により加熱されており、一対の予熱バー6A,6Bにより予熱された帯状フィルムのセンターシール部を挟持し、加熱する。また、一対の第1加熱ローラ8A,8Bは、回転することにより帯状フィルムを下流側に搬送する。
【0019】
一対の第2加熱ローラ10A,10Bは、一対の第1加熱ローラ8A,8Bの下流側であって一対の圧着ローラ12A,12Bの上流側に配置されており、図中矢印方向にそれぞれ回転可能に構成されている。一対の第2加熱ローラ10A,10Bは、後述する第3ヒーター28により加熱されており、一対の第1加熱ローラ8A,8Bにより加熱された帯状フィルムのセンターシール部を挟持し、更に加熱する。また、一対の第2加熱ローラ10A,10Bは、回転することにより帯状フィルムを下流側に搬送する。
【0020】
一対の圧着ローラ12A,12Bは、一対の第2加熱ローラ10A,10Bの下流側であって図示しないエンドシーラの上流側に配置されており、図中矢印方向にそれぞれ回転可能に構成されている。一対の圧着ローラ12A,12Bは、ヒーターに接続されていないため加熱されておらず、一対の第2加熱ローラ10A,10Bにより加熱された帯状フィルムのセンターシール部を冷却及び圧着する。また、一対の圧着ローラ12A,12Bは、回転することにより帯状フィルムを下流側に搬送する。
【0021】
制御部14は、センターシーラ2の各部を統括的に制御する。制御部14には、第1モータ16、第2モータ18、第3モータ20、第4モータ22、第1ヒーター24、第2ヒーター26、及び第3ヒーター28が接続されている。第1モータ16は、制御部14の制御に従い、一対の搬送ローラ4A,4Bを図中矢印方向に回転させる。制御部14は、第1モータ16の駆動を制御することにより、一対の搬送ローラ4A,4Bの回転速度を制御する。同様に、第2モータ18、第3モータ20及び第4モータ22のそれぞれは、制御部14の制御に従い、一対の第1加熱ローラ8A,8B、一対の第2加熱ローラ10A,10B及び一対の圧着ローラ12A,12Bのそれぞれを図中矢印方向に回転させる。制御部14は、第2モータ18、第3モータ20及び第4モータ22のそれぞれの駆動を制御することにより、一対の第1加熱ローラ8A,8B、一対の第2加熱ローラ10A,10B及び一対の圧着ローラ12A,12Bのそれぞれの回転速度を制御する。
【0022】
第1ヒーター24は、制御部14の制御に従い、一対の予熱バー6A,6Bを加熱する。制御部14は、第1ヒーター24による加熱を制御することにより、一対の予熱バー6A,6Bの温度を制御する。同様に、第2ヒーター26及び第3ヒーター28のそれぞれは、制御部14の制御に従い、一対の第1加熱ローラ8A,8B及び一対の第2加熱ローラ10A,10Bのそれぞれを加熱する。制御部14は、第2ヒーター26及び第3ヒーター28のそれぞれによる加熱を制御することにより、一対の第1加熱ローラ8A,8B及び一対の第2加熱ローラ10A,10Bのそれぞれの温度を制御する。
【0023】
この実施の形態に係る横ピロー包装機を用いて冷凍食品を帯状フィルムにより横ピロー包装する場合には、まず、供給部から連続して供給される帯状フィルムの裏面幅方向両端部を合わせることにより、供給部から所定間隔で順次供給される冷凍食品を帯状フィルムで包む。冷凍食品を包んだ帯状フィルムは、供給部からセンターシーラ2に搬送される。制御部14は、予め第1モータ16により一対の搬送ローラ4A,4Bを所定の回転速度で回転させており、一対の搬送ローラ4A,4Bは、供給部から搬送されてきた帯状フィルムの裏面幅方向両端部を合わせたセンターシール部を挟持し、回転することにより帯状フィルムを下流側に搬送する。制御部14は、予め第1ヒーター24を用いて一対の予熱バー6A,6Bを所定の温度に加熱しており、一対の予熱バー6A,6Bは、一対の搬送ローラ4A,4Bから搬送されてきた帯状フィルムのセンターシール部を予熱する。
【0024】
制御部14は、予め第2モータ18により一対の第1加熱ローラ8A,8Bを所定の回転速度で回転させ、且つ第2ヒーター26を用いて一対の第1加熱ローラ8A,8Bを所定の温度に加熱している。一対の第1加熱ローラ8A,8Bは、一対の予熱バー6A,6Bにより予熱された帯状フィルムのセンターシール部を挟持し、加熱するとともに、回転することにより帯状フィルムを下流側に搬送する。
【0025】
制御部14は、予め第3モータ20により一対の第2加熱ローラ10A,10Bを所定の回転速度で回転させ、且つ第3ヒーター28を用いて一対の第2加熱ローラ10A,10Bを所定の温度に加熱している。一対の第2加熱ローラ10A,10Bは、一対の第1加熱ローラ8A,8Bにより加熱された帯状フィルムのセンターシール部を挟持し、更に加熱するとともに、回転することにより帯状フィルムを下流側に搬送する。
【0026】
制御部14は、予め第4モータ22により一対の圧着ローラ12A,12Bを所定の回転速度で回転させている。一対の圧着ローラ12A,12Bは、一対の第1加熱ローラ8A,8B及び一対の第2加熱ローラ10A,10Bにより加熱された帯状フィルムのセンターシール部を圧着及び冷却するとともに、回転することにより帯状フィルムを下流側、即ちエンドシーラ(図示せず)に搬送する。センターシーラ2により冷凍食品を包んだ帯状フィルムのセンターシール部がシールされた後、帯状フィルムは、エンドシーラに搬送される。エンドシーラは、冷凍食品を包んだ帯状フィルムの冷凍食品の両側の部位を幅方向にシール及びカットする。これにより、冷凍食品が帯状フィルムにより横ピロー包装される。
【0027】
この実施の形態に係る横ピロー包装機によれば、2つの一対の加熱ローラ(一対の第1加熱ローラ8A,8B及び一対の第2の加熱ローラ10A,10B)を備えているため、加熱ローラによるセンターシール部の加熱加圧時間を長くすることができ、高速運転させた場合においてもセンターシールのシール強度を高く維持することができる。また、加熱加圧時間を長くすることができるため、加熱ローラの温度を高く設定する必要がなく、帯状フィルムが融けて加熱ローラに付着するのを防止することができる。
【0028】
ここで、帯状フィルムは複数枚の樹脂フィルムを貼り合わせた複数層により構成されており、表面側の基材フィルムとしてはPET(ポリエチレンテレフタレート)、ナイロン、OPP(延伸ポリプロピレン)等、裏面側のシーラントフィルムとしてはPP(未延伸ポリプロピレン)、LLDPE(直鎖状低密度ポリエチレン)、LDPE(低密度ポリエチレン)等が一般的に用いられる。一般に基材フィルムの融点よりも融点の低い物質をシーラントフィルムとして使用し、所定の温度にしたとき基材フィルムは融けないが、シーラントフィルムは融けることで接着剤として機能し、帯状フィルムの裏面幅方向両端部及び筒軸方向両側部は、シーラントフィルムによりシールされる。
【0029】
図2は、基材フィルムとして厚さ20μmのOPP及びシーラントフィルムとして厚さ30μmのLLDPEを貼り合わせた帯状フィルムを用いた場合において、加熱ローラの設定温度(℃)に対するセンターシールの15mm幅のサンプルにおけるシール強度(N/15mm)を示すグラフである。図3は、基材フィルムとして厚さ20μmのOPP及び厚さ12μmのPET、並びにシーラントフィルムとして厚さ30μmのLLDPEを順次貼り合わせた帯状フィルムを用いた場合において、加熱ローラの設定温度(℃)に対するセンターシールのシール強度(N/15mm)を示すグラフである。なお、本願におけるシール強度はJISZ0238に定められた方法により測定した。
【0030】
図2及び図3のグラフAは、図6のような圧着ローラを備えず一対の加熱ローラ8A,8Bのみを備えた従来のセンターシーラ30を95rpm(略95個/分)で運転させた場合、グラフBは、従来のセンターシーラ30を110rpm(略110個/分)で運転させた場合、グラフCは、図1のようなこの実施の形態に係るセンターシーラ2を110rpm(略110個/分)で運転させた場合の設定温度に対するシール強度を示している。なお、センターシーラ2においては、第1加熱ローラ8A,8B及び第2加熱ローラ10A,10Bの両方が設定温度に設定される。なお、本願において95rpm(略95個/分)とは、帯状フィルムがセンターシール及びエンドシールされた後、切り離された時点における個数が1分間に略95個であるときの横ピロー包装機の運転速度をいう。
【0031】
従来のセンターシーラ30を用いた場合には、例えば15N/15mm以上のシール強度を得ようとすると、図2のグラフA及びBに示すようにいくら加熱しても実現できないか、図3のグラフA及びBに示すように加熱ローラの設定温度を165℃より高くする必要があった。実際の製造工程では加熱ローラを約200℃に加熱して使用しており、基材フィルムを構成するOPPの融点(165℃)より高い温度(約200℃)に設定された加熱ローラにより帯状フィルムを加熱した場合、OPPが少し融け、加熱ローラの表面に付着する。そして、加熱ローラ表面への付着物が蓄積し、蓄積した付着物が加熱ムラを引き起こす。加熱ムラが生じるとシール精度が低下するため、加熱ローラの表面を定期的に清掃する必要があった。
【0032】
これに対し、この実施の形態に係るセンターシーラ2を用いた場合には、図2及び図3のグラフCに示すように、例えば15N/15mm以上のシール強度を得ようとすると、加熱ローラ(第1加熱ローラ8A,8B及び第2加熱ローラ10A,10B)の設定温度を165℃より低くすることができる。即ち、加熱ローラの設定温度が基材フィルムを構成するOPPの融点である165℃より低い温度であっても高いシール強度を維持することができる。したがって、加熱ローラの設定温度を低くすることができ、OPP等の基材フィルムが融けるのを防止することができるため、付着物による加熱ムラの発生や加熱ローラの清掃頻度を低減することができる。
【0033】
また、この実施の形態に係る横ピロー包装機によれば、一対の圧着ローラ12A,12Bを備えているため、一対の第1加熱ローラ8A,8B及び一対の第2加熱ローラ10A,10Bにより加熱された帯状フィルムのセンターシール部を迅速に冷却することができる。
【0034】
図4は、PP(ポリプロピレン)の融点(℃)と凝固点(℃)の示差走査熱量測定(DSC(mW))結果を示すグラフ、図5は、LLDPE(直鎖状低密度ポリエチレン)の融点(℃)と凝固点(℃)の示差走査熱量測定(DSC(mW))結果を示すグラフである。なお、株式会社リガク製Thermo Plus EVO DSC8230の示差走査熱量計(DSC)を用いて示差走査熱量測定を行った。図4及び図5に示すように、冷凍食品を包装する包装材のシーラントフィルムとして一般的に用いられるPPは、同様にシーラントフィルムとして一般的に用いられるLLDPEと比較して、融点と凝固点との差が大きい。したがって、シーラントフィルムとしてPPが用いられた場合、帯状フィルムは、PPの融点より高温で加熱され、センターシールされた後PPの凝固点まで冷却されるのに時間を要する。凝固点までの冷却時間が長くなると、凝固点以上の温度が長く保たれるため、PPの結晶性が高まり、硬く脆くなる。
【0035】
また、PPのガラス転移温度は約-18℃であり、ガラス転移温度より低い温度となった場合、PPはガラス化し、硬く脆くなる傾向がある。特に、結晶化したPPは、ガラス化した場合、更に硬く脆くなる。PPは、上述したように冷凍食品を包装する包装材のシーラントフィルムとして一般的に用いられるため、-18℃未満で搬送されるケースが多い。したがって、PPをシーラントフィルムとして用い、そのPPが結晶化及びガラス化した場合、冷凍食品を包装した包装材を-18℃未満で搬送している際に揺れや落下により包装材が割れる可能性が高くなる。したがって、PPの結晶化を防止するため、即ちPPの非晶性を維持するためには融点から凝固点に至るまでの冷却時間を短くする必要がある。この実施の形態に係る横ピロー包装機によれば、一対の圧着ローラ12A,12Bを備えているため、帯状フィルムのセンターシール部を迅速に冷却することができ、PPの非晶性を維持することができる。
【0036】
さらに、シーラントフィルムが融けている時間が長いと凝固収縮が生じる。これは、帯状フィルムを製作する際にシーラントフィルム内に応力が残っていて、その残留応力はシーラントフィルムが融けたときに解消するように働くことで収縮が生じるが、シーラントフィルムは基材フィルムとの接合面で固定されているため基材フィルムがシーラントフィルムによって引っ張られるからである。この凝固収縮が冷却後に固定化され、貼り合わされた基材フィルムとの間に新たに残留応力を生じ、包装材の強度低下の原因となる。したがって、シーラントフィルムが融けている時間を短くし凝固収縮が生じないように融点から凝固点に至るまでの冷却時間を短くする必要があり、この実施の形態に係る横ピロー包装機によれば、一対の圧着ローラ12A,12Bを備えているため、帯状フィルムのセンターシール部を迅速に冷却することができ、シーラントフィルムの凝固収縮を抑制することができる。
【0037】
また、加熱ローラは高温であり、特に冷凍食品製造工場で使用した場合大きな空調負荷になるだけでなく、輻射等により加熱ローラ周辺に位置する他の装置等を温めてしまい、製造する冷凍食品に悪影響を与える可能性がある。特に従来のセンターシーラにおいてはより高温であるので、その影響力が大きかったが、本願発明に係る横ピロー包装機においては、より低い温度に設定できることからその影響を受けにくくすることが出来る。
【0038】
なお、この実施の形態においては、一対の加熱ローラを2つ備えるセンターシーラを例に挙げて説明したが、一対の加熱ローラを3つ以上備えるセンターシーラを用いてもよい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6