(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022085770
(43)【公開日】2022-06-08
(54)【発明の名称】プラズモニック材料探索方法およびプラズモニック材料探索装置
(51)【国際特許分類】
G01N 31/00 20060101AFI20220601BHJP
G01N 21/41 20060101ALI20220601BHJP
【FI】
G01N31/00 D
G01N21/41 101
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020197634
(22)【出願日】2020-11-27
(71)【出願人】
【識別番号】000183303
【氏名又は名称】住友金属鉱山株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】304024430
【氏名又は名称】国立大学法人北陸先端科学技術大学院大学
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】吉田 智大
(72)【発明者】
【氏名】前園 涼
(72)【発明者】
【氏名】本郷 研太
【テーマコード(参考)】
2G042
2G059
【Fターム(参考)】
2G042AA03
2G042CB06
2G059CC16
2G059EE01
2G059MM01
2G059MM02
2G059MM03
(57)【要約】
【課題】プラズモニック材料を効率的に探索する。
【解決手段】ハイブリッド汎関数を用いて導電物質の電磁波吸収を算出する工程と、前記導電物質の情報を説明変数とし且つ前記電磁波吸収を目的変数とする予測モデルを生成する工程と、前記予測モデルに基づいて任意の導電物質の電磁波吸収を予測する工程と、予測した前記電磁波吸収が所定の閾値以下である導電物質を選択する工程と、選択した前記導電物質の電磁波吸収をハイブリッド汎関数を用いて算出する工程と、算出した前記電磁波吸収が前記所定の閾値以下である導電物質を選択する工程と、を含む、プラズモニック材料探索方法。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一原理計算により第1導電物質群の導電物質の電磁波吸収を算出する予測用電磁波吸収算出工程と、
前記第1導電物質群の導電物質の情報と、前記予測用電磁波吸収算出工程で算出した前記第1導電物質群の導電物質の電磁波吸収と、を用いて予測モデルを生成する予測モデル生成工程と、
前記予測モデルに基づいて第2導電物質群の導電物質の電磁波吸収を予測する予測工程と、
前記第2導電物質群の導電物質のうち、前記予測工程で予測した電磁波吸収が予め設定した閾値以下である導電物質を候補物質として選択する候補物質選択工程と、
前記候補物質の電磁波吸収を、ハイブリッド汎関数を用いて算出する電磁波吸収算出工程と、
前記候補物質のうち、前記電磁波吸収算出工程で算出した電磁波吸収が前記閾値以下である導電物質を選択する選択工程と、を含む、
プラズモニック材料探索方法。
【請求項2】
前記予測用電磁波吸収算出工程では、
ハイブリッド汎関数を用いた第一原理計算により前記第1導電物質群の導電物質の誘電関数を算出し、
前記誘電関数の虚部から前記第1導電物質群の導電物質の電磁波吸収を算出する、
請求項1に記載のプラズモニック材料探索方法。
【請求項3】
前記予測用電磁波吸収算出工程は、
一般汎関数を用いて、前記第1導電物質群の導電物質の電磁波吸収を算出する第1予測用電磁波吸収算出工程と、
ハイブリッド汎関数を用いて、前記第1導電物質群の一部の導電物質の電磁波吸収を算出する第2予測用電磁波吸収算出工程と、を有し、
前記予測モデル生成工程は、
前記第1導電物質群の導電物質の情報を説明変数とし且つ前記第1予測用電磁波吸収算出工程で算出した電磁波吸収を目的変数とする第1予測モデルを生成する第1予測モデル生成工程と、
前記第1予測モデルを、前記第1導電物質群の一部の導電物質の情報、及び前記第2予測用電磁波吸収算出工程で算出した電磁波吸収を用いて、転移学習により第2予測モデルに転移する第2予測モデル生成工程と、を有し、
前記予測工程では、前記予測モデルとして前記第2予測モデルを用いる、
請求項1に記載のプラズモニック材料探索方法。
【請求項4】
前記第1予測モデル生成工程では、
第1予測用電磁波吸収算出工程では、ニューラルネットワークを用いて前記第1予測モデルを生成する、
請求項3に記載のプラズモニック材料探索方法。
【請求項5】
前記第2予測用電磁波吸収算出工程では、
ハイブリッド汎関数を用いた第一原理計算により前記第1導電物質群の一部の導電物質の誘電関数を算出し、
前記誘電関数の虚部から前記第1導電物質群の一部の導電物質の電磁波吸収を算出する、
請求項3または4に記載のプラズモニック材料探索方法。
【請求項6】
第1導電物質群の導電物質の情報と、第一原理計算により算出した前記第1導電物質群の導電物質の電磁波吸収とを用いて生成された予測モデルに基づいて第2導電物質群の導電物質の電磁波吸収を予測する電磁波吸収予測部と、
前記第2導電物質群の導電物質のうち、予測した前記電磁波吸収が予め設定した閾値以下である導電物質を候補物質として判定する候補物質判定部と、
前記候補物質の電磁波吸収を、ハイブリッド汎関数を用いて算出する電磁波吸収算出部と、
前記候補物質のうち、算出した前記候補物質の電磁波吸収が閾値以下である導電物質を選定する導電物質選定部と、を有する、
プラズモニック材料探索装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラズモニック材料探索方法およびプラズモニック材料探索装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プラズモニック材料は、古くはステンドグラス、近年ではバイオケミカルセンサー、癌などの病変部位の検出、近赤外線遮蔽材料やメタマテリアルなど様々な分野で使用されている。プラズモニック材料は、その特性であるプラズモン共鳴を利用するため、金属や合金などの導電材料であることが好ましい。また、プラズモン共鳴により入射光に対してどの程度電場が増強されるかも、プラズモニック材料の重要な特性である。
【0003】
このようなプラズモニック材料としては、金、銀などの金属、アンチモンドープ酸化錫、錫ドープ酸化インジウムなどのキャリアをドープした半導体が用いられている。ところが、これらのプラズモニック材料は、貴金属や希少金属を含むため高コストであること、耐候性に課題があることなどの問題がある。そのため、新規プラズモニック材料の発見が望まれている。
【0004】
新規プラズモニック材料を探索する方法として、物質の誘電関数を測定し、その誘電関数からプラズモニック材料を判定する方法がある。プラズモン共鳴による電場増強を大きくするためには、物質中でのエネルギーロスが少ない材料、つまり照射した電磁波の吸収が小さい材料が好ましい。物質中でのエネルギーロスは、物質の誘電関数の虚部で記述される。そのため、プラズモニック材料の候補物質に対して誘電関数を測定することで、プラズモニック材料の探索が可能となる。しかし、候補物質すべてに対して分光エリプソメトリーなどの方法で実験的に誘電関数を測定することは多大な労力を必要とする。
【0005】
新規プラズモニック材料を探索する別方法として、物質の誘電関数を密度汎関数理論(DFT:Density Functional Theory)などの第一原理計算により算出する方法がある。例えば、非特許文献1には、ハイブリッド汎関数を用いた第一原理計算により高精度で誘電関数を計算できることが示されている。しかし、ハイブリッド汎関数を用いた第一原理計算は計算コストが非常に高く、この方法も候補物質すべてに対する現実的な時間スケールでの実施は実質的に不可能である。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】S. Yoshida, K. Maki, and K. Adachi, The Journal of Chemical Physics, 144, 234702 (2016)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
プラズモニック材料を探索する方法として、物質の誘電関数を求めるいくつかの方法があるが、いずれの方法も膨大な数の物質について誘電関数を求めなければならないため、実験的にも計算的にも実施が困難である。
【0008】
本発明の課題は、プラズモニック材料を効率的に探索することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を達成するため、本発明のプラズモニック材料探索方法は、第一原理計算により第1導電物質群の導電物質の電磁波吸収を算出する予測用電磁波吸収算出工程と、前記第1導電物質群の導電物質の情報と、前記予測用電磁波吸収算出工程で算出した前記第1導電物質群の導電物質の電磁波吸収と、を用いて予測モデルを生成する予測モデル生成工程と、前記予測モデルに基づいて第2導電物質群の導電物質の電磁波吸収を予測する予測工程と、前記第2導電物質群の導電物質のうち、前記予測工程で予測した電磁波吸収が予め設定した閾値以下である導電物質を候補物質として選択する候補物質選択工程と、前記候補物質の電磁波吸収を、ハイブリッド汎関数を用いて算出する電磁波吸収算出工程と、前記候補物質のうち、前記電磁波吸収算出工程で算出した電磁波吸収が前記閾値以下である導電物質を選択する選択工程と、を含む。
【発明の効果】
【0010】
本発明の一態様によれば、プラズモニック材料を効率的に探索することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】実施形態に係るプラズモニック材料探索方法のフローチャートである。
【
図2】実施形態における予測用電磁波吸収算出工程の一例である。
【
図3】第2実施形態に係るプラズモニック材料探索方法のフローチャートである。
【
図4】実施形態における転移学習のイメージ図である。
【
図5】実施形態に係るプラズモニック材料探索装置の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本開示の実施形態について、図面を参照して説明する。
【0013】
<プラズモニック材料探索方法>
図1は、第1実施形態に係るプラズモニック材料探索方法のフローチャートである。
図2は、第1実施形態における予測用電磁波吸収算出工程の一例である。第1実施形態のプラズモニック材料探索方法は、予測用電磁波吸収算出工程、予測モデル生成工程、予測工程、候補物質選択工程、電磁波吸収算出工程、及び選択工程を含む。
【0014】
第1実施形態では、まず、予測用電磁波吸収算出工程を実行する。予測用電磁波吸収算出工程では、第一原理計算により第1導電物質群の導電物質の電磁波吸収を算出する(ステップS1)。ここで、第一原理計算とは、量子力学のシュレディンガー方程式に則して、物質中の電子の運動をコンピュータにより計算する方法を示す。第一原理計算には、例えば、一般汎関数、ハイブリッド汎関数等を用いることができる。
【0015】
本実施形態では、探索候補となるM個の導電物質の結晶構造が記憶されているデータベースから、N個の導電物質の結晶構造を取得する(
図1、ステップS1)。ここで、M、Nはモデル作成に必要な数を示す。また、NはMより小さい2以上の整数を示す。N個の導電物質は、本実施形態における第1導電物質群の導電物質の一例である。
【0016】
具体的には、
図2に示すように、取得したN個の結晶構造を用いて、ハイブリッド汎関数を用いた第一原理計算から各導電物質の誘電関数εを算出する(
図2、ステップS11)。そして、算出した誘電関数εの虚部Im[ε]から、下記式(1)に基づいて電磁波吸収を算出する(
図2、ステップS12)。
【0017】
電磁波吸収=∫Im[ε]dλ (1)
【0018】
ここで、電磁波吸収は、誘電関数の虚部を波長で積分した値を示す。すなわち、誘電関数εは波長λに依存した量である。波長の積分範囲は、目的に応じて選ぶことができる。例えば、可視光の波長領域でプラズモニック材料として使用したい場合、積分範囲を380nm~780nmとすることができる。
【0019】
次に、予測モデル生成工程を実行する。予測モデル生成工程では、第1導電物質群の導電物質の情報と、予測用電磁波吸収算出工程で算出した第1導電物質群の導電物質の電磁波吸収と、を用いて予測モデルを生成する(
図1、ステップS2)。ここで、予測モデルは、導電物質の電磁波吸収を予測するモデルである。
【0020】
予測モデルの生成に用いられる導電物質の情報は、特に制限されるものではない。例えば、導電物質に含まれる各元素のある物性値の加重平均値、最大値、最小値、平均値、結晶の動径分布関数、CGCNN(Crystal Graph Convolutional Neural Network)などを用いることができる。
【0021】
予測モデルを生成する手法は、特に制限されるものではない。例えば、導電物質の情報を説明変数とし且つ予測用電磁波吸収算出工程で算出した導電物質の電磁波吸収を目的変数として予測モデルを作成する。このような予測モデルの作成には、例えば、ニューラルネットワークやガウス過程回帰を用いることができる。
【0022】
次に、予測工程を実行する。予測工程では、予測モデルに基づいて第2導電物質群の導電物質の電磁波吸収を予測する(
図1、ステップS3)。ここで、第2導電物質群の導電物質は、上述のM個の導電物質からN個の導電物質を除いた導電物質(M-N個の導電物質)に対応する。具体的には、予測モデル生成工程で生成した予測モデルを用いて、M-N個の導電物質の電磁波吸収を予測する。
【0023】
次に、候補物質選択工程を実行する。候補物質選択工程では、第2導電物質群の導電物質のうち、予測工程で予測した電磁波吸収が予め設定した閾値以下である導電物質を候補物質として選択する(
図1、ステップS4)。具体的には、予測したM-N個の導電物質の電磁波吸収が閾値δ以下であるかを判定する。なお、閾値δの値は、条件に応じて適宜変更して用いることができるが、好ましいプラズモニック材料を考慮して、例えばδ=3.5と定められる。
【0024】
候補物質選択工程において、予測した電磁波吸収が閾値δ以下の場合は、後述する電磁波吸収算出工程(
図1、ステップS5)へ進む。一方、予測した電磁波吸収が閾値δを超えた場合は、予測工程(
図1、ステップS3)に戻って、該予測工程、及び候補物質選択工程を繰り返す(
図1、ステップS3~S4)。
【0025】
次に、電磁波吸収算出工程を実行する。電磁波吸収算出工程では、候補物質選択工程で選択された候補物質の電磁波吸収を、ハイブリッド汎関数を用いて算出する(
図1、ステップS5)。具体的には、候補物質選択工程で選択した候補物質の誘電関数を、ハイブリッド汎関数による第一原理計算により算出する。そして、算出した誘電関数εの虚部Im[ε]から候補物質の電磁波吸収を算出する。
【0026】
なお、ハイブリッド汎関数による第一原理計算により候補物質の誘電関数を算出する方法は任意であり、例えば、上述の第1導電物質群の導電物質の誘電関数を算出する場合と同様に算出することができる(
図2、ステップS11参照)。また、誘電関数の虚部から候補物質の電磁波吸収を算出する方法は任意であるが、例えば、上述の第1導電物質群の導電物質の電磁波吸収を算出する場合と同様に算出することができる(
図2、ステップS12参照)。
【0027】
次に、選択工程を実行する。選択工程では、候補物質のうち、電磁波吸収算出工程で算出した電磁波吸収が閾値以下である導電物質を選択する。電磁波吸収が閾値以下である導電物質を選択する方法は任意であり、例えば、上述の候補物質選択工程で候補物質を選択する場合と同様に算出することができる(
図1、ステップS4参照)。
【0028】
選択工程において、算出した電磁波吸収が閾値δ以下の導電物質については、好ましいプラズモニック材料として、該導電物質の結晶構造、誘電関数、電磁波吸収を出力し、記録する。一方、算出した電磁波吸収が閾値δを超える場合は、予測工程(
図1、ステップS3)に戻って、該予測工程、候補物質選択工程、電磁波吸収算出工程、及び選択工程を繰り返す(
図1、ステップS3~S6)。
【0029】
そして、上記予測工程、候補物質選択工程、電磁波吸収算出工程、及び選択工程(ステップS5~S6)をM-N個の物質すべてに対して実施した場合は、プラズモニック材料の探索を終了する。一方、上記ステップS5~S6がM-N個の物質すべてに対して実施されていない場合は、ステップS5に戻って、以降の各ステップを繰り返す(
図1、ステップS5~S6)。
【0030】
本実施形態のプラズモニック材料探索方法では、上記の予測用電磁波吸収算出工程、予測モデル生成工程、予測工程、候補物質選択工程、電磁波吸収算出工程、及び選択工程(ステップS1~S6の各工程を実行することにより、プラズモニック材料を多数の候補物質の中から短期間で探索することが可能となる。そのため、本実施形態によれば、プラズモニック材料を効率的に探索することができる。
【0031】
また、本実施形態のプラズモニック材料探索方法では、上述のように、第1導電物質群の導電物質の電磁波吸収をハイブリッド汎関数を用いた第一原理計算で得られた導電物質の誘電関数の虚部から算出することで(
図2、ステップS11、ステップS12)、プラズモニック材料を多数の候補物質の中から高い精度で探索することができる。
【0032】
図3は、第2実施形態に係るプラズモニック材料探索方法のフローチャートである。なお、第2実施形態において、第1実施形態と共通する部分については、説明を省略する。第2実施形態では、予測用電磁波吸収算出工程が、第1予測用電磁波吸収算出工程と第2予測用電磁波吸収算出工程とを有する。
【0033】
予測用電磁波吸収算出工程の第1予測用電磁波吸収算出工程では、一般汎関数を用いて、第1導電物質群の導電物質の電磁波吸収を算出する。第1導電物質群の導電物質は、第1実施形態と同様に、探索候補となるM個の導電物質中のN個の導電物質を用いることができる。
【0034】
一般汎関数は、特に限定されず、例えば、PBE汎関数(交換相関汎関数)等を用いることができる。第1導電物質群の導電物質の電磁波吸収を算出は、第1実施形態においてハイブリッド汎関数に代えて一般汎関数を用いた第一原理計算により第1導電物質群の導電物質の誘電関数の虚部から算出することができる(
図2、ステップS11、ステップS12参照)。
【0035】
予測用電磁波吸収算出工程の第2予測用電磁波吸収算出工程では、ハイブリッド汎関数を用いて、第1導電物質群の一部の導電物質の電磁波吸収を算出する(
図3、ステップS21)。第1導電物質群の一部の導電物質は、上述のN個の導電物質Nから取得したL個の導電物質に対応する。ここで、Lはモデル作成に必要な数を示す。また、LはNより小さい2以上の整数を示す。
【0036】
ハイブリッド汎関数は、特に限定されず、例えば、HSE06汎関数等を用いることができる。また、第1導電物質群の一部の導電物質の電磁波吸収を算出は、第1実施形態と同様に、ハイブリッド汎関数を用いた第一原理計算で得られた第1導電物質群の導電物質の誘電関数の虚部から算出することができる(
図2、ステップS11、ステップS12参照)。
【0037】
また、第1実施形態では、予測モデル生成工程が、第1予測モデル生成工程と第2予測モデル生成工程とを有する。予測モデル生成工程の第1予測モデル生成工程では、第1導電物質群の導電物質の情報を説明変数とし且つ第1予測用電磁波吸収算出工程で算出した電磁波吸収を目的変数とする第1予測モデルを生成する。
【0038】
第1予測モデルの生成に用いられる導電物質の情報は、特に制限されず、例えば、第1実施形態と同様に、第1導電物質群の導電物質に含まれる各元素のある物性値の加重平均値等を用いることができる。また、第1予測モデルを生成する手法は、特に制限されず、例えば、第1実施形態と同様に、ニューラルネットワークやガウス過程回帰を用いることができる。
【0039】
予測用電磁波吸収算出工程の第2予測モデル生成工程では、第1予測モデルを、第1導電物質群の一部の導電物質の情報、及び第2予測用電磁波吸収算出工程で算出した電磁波吸収を用いて、転移学習により第2予測モデルに転移する(
図3、ステップS22)。
【0040】
第1導電物質群の一部の導電物質は、上述のN個の導電物質中のL個の導電物質に対応する。また、第2予測モデルの生成に用いられる導電物質の情報は、特に制限されず、例えば、第1実施形態と同様に、第1導電物質群の導電物質に一部の含まれる各元素のある物性値の加重平均値等を用いることができる。
【0041】
ここで、転移学習は、データが多数存在し確度の高い予測モデルの生成が可能なカテゴリから、データが少数しかなく確度の高い予測モデルの生成が困難なカテゴリへ予測モデルを転移することで、データが少数しかないカテゴリで確度の高いモデルを生成する手法の総称である。
【0042】
本実施形態では、一般汎関数として一般化勾配近似を用いて生成した第1予測モデルを転移させ、ハイブリッド汎関数を用いて生成した第2予測モデルを作成する。一般化勾配近似により算出した誘電関数は、実測値との一致はよくないが、計算時間はハイブリッド汎関数の数~数十分の一であるため、確度の高い予測モデルを作成するための十分な量のデータを短期間で作成することが可能である。
【0043】
転移する手法は、例えば第1予測モデルをニューラルネットワークにした場合、導電物質の情報を説明変数とし且つ一般化勾配近似により算出した導電物質の電磁波吸収を目的変数とする学習済みモデルのニューラルネットワークを、上述のハイブリッド汎関数を用いて生成した第2予測モデルに転移する。
【0044】
具体的には、
図4に示すように、ニューラルネットワーク10において、隠れ層11のパラメータ(層の数やノード数、重み)を固定し、最後の隠れ層12から出力される値をインプットとする予測器(図示せず)を追加する。この予測器には、例えば線形回帰、決定木回帰、Lasso回帰、Ridge回帰、Elastic-Net回帰、勾配ブースト回帰、ランダムフォレスト回帰などを用いる。予測器の学習には、ハイブリッド汎関数により算出した導電物質の電磁波吸収を使用する。
【0045】
また、第1予測モデルをガウス過程回帰にした場合は、コクリギング(Co-kriging)により第2予測モデルに転移し、ハイブリッド汎関数により算出した電磁波吸収で学習する。
【0046】
このようにして得られた予測モデル(第2予測モデル)を用いて、以下、第1実施形態と同様に、予測工程(
図1、ステップS3)に進んで、該予測工程、候補物質選択工程、電磁波吸収算出工程、及び選択工程を実行し、必要に応じてこれらの工程を繰り返す(
図1、ステップS3~S6参照)。
【0047】
第2実施形態のプラズモニック材料探索方法では、上述のように予測モデルを転移学習により作成することで、プラズモニック材料の探索に利用できる予測モデルを少ない導電物質から生成することができる。そのため、本実施形態によれば、プラズモニック材料をより短期間で探索することができる。
【0048】
<プラズモニック材料探索装置>
図5は、実施形態に係るプラズモニック材料探索装置の模式図である。本実施形態のプラズモニック材料探索装置では、既述のプラズモニック材料探索方法が実施され、プラズモニック材料を探索することができる。このため、すでに説明した事項について重複する部分の説明を省略する場合がある。
【0049】
図5に示すように、本実施形態のプラズモニック材料探索装置20は、データ記憶部21と、電磁波吸収予測部22と、候補物質判定部23と、電磁波吸収算出部24と、導電物質選定部25と、を有する。
【0050】
以下各部位について説明する。
【0051】
(データ記憶部)
データ記憶部21には、導電物質の結晶構造のデータが記憶されている。データ記憶部21は、例えばRAM(Random Acess Memory)、ROM(Read Only Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)などが挙げられる。なお、データ記憶部21に記憶される導電物質の結晶構造のデータは、入力手段(図示せず)により適宜入力することができる。
【0052】
(電磁波吸収予測部)
電磁波吸収予測部22は、第1導電物質群の導電物質の情報と、第一原理計算により算出した第1導電物質群の導電物質の電磁波吸収とを用いて生成された予測モデルに基づいて第2導電物質群の導電物質の電磁波吸収を予測する。具体的には、上述の実施形態に係るプラズモニック材料探索方法における予測用電磁波吸収算出工程、予測モデル生成工程、および予測工程が実行される(
図1、ステップS1~ステップS3)。
【0053】
電磁波吸収予測部22は、第1導電物質群の導電物質の情報として導電物質の結晶構造をデータ記憶部21から取得することができる。電磁波吸収予測部22において、第一原理計算により算出した第1導電物質群の導電物質の電磁波吸収は、予め記憶装置222に記憶されたものを用いてもよい。
【0054】
電磁波吸収予測部22は、例えばコンピュータの一種であり、CPU(Central Processing Unit)221と、記憶装置222と、キーボードなどの外部機器からの信号を受けるための入力インターフェース223とを有することができる。なお、記憶装置222としては、例えばRAM、ROM、HDD、SSDなどが挙げられる。
【0055】
図5に示すように、電磁波吸収予測部22は、データ記憶部21とデータのやり取りができるように、データ記憶部21とケーブル26により接続しておくことができる。
【0056】
CPU221は、データ記憶部21から取得した結晶構造データと、導電物質(第1導電物質群の導電物質)の電磁波吸収とから、上述のように導電物質の電磁波吸収を予測する予測モデルを作成し、記憶装置222に記憶する制御を行うことができる。
【0057】
(候補物質判定部)
候補物質判定部23は、第2導電物質群の導電物質のうち、予測した電磁波吸収が予め設定した閾値以下である導電物質を候補物質として判定する。具体的には、上述の実施形態に係るプラズモニック材料探索方法における候補物質選択工程が実行される(
図1、ステップS4)。
【0058】
候補物質判定部23は、例えばコンピュータの一種であり、CPU231と、記憶装置232と、キーボードなどの外部機器からの信号を受けるための入力インターフェース233とを有することができる。なお、記憶装置232としては、例えばRAM、ROM、HDD、SSDなどが挙げられる。
【0059】
予め設定した閾値は、記憶装置232に記憶されており、電磁波吸収予測部22は、データ記憶部21から予め設定した閾値を取得することができる。
【0060】
図5に示すように、候補物質判定部23は、電磁波吸収予測部22とデータのやり取りができるように、電磁波吸収予測部22とケーブル26により接続しておくことができる。
【0061】
CPU231は、電磁波吸収予測部22から第2導電物質群の導電物質を取得し、該第2導電物質群の導電物質から候補物質を選択し、選択された候補物質のデータを記憶装置232に記憶する制御を行うことができる。
【0062】
(電磁波吸収算出部)
電磁波吸収算出部24は、候補物質の電磁波吸収を、ハイブリッド汎関数を用いて算出する。具体的には、上述の実施形態に係るプラズモニック材料探索方法における電磁波吸収算出工程が実行される(
図1、ステップS5)。
【0063】
電磁波吸収算出部24は、例えばコンピュータの一種であり、CPU241と、記憶装置242を有することができる。なお、記憶装置242としては、例えばRAM、ROM、HDD、SSDなどが挙げられる。
【0064】
図5に示すように、電磁波吸収算出部24は、候補物質判定部23とデータのやり取りができるように、候補物質判定部23とケーブル26により接続しておくことができる。
【0065】
CPU241は、候補物質判定部23から候補物質の電磁波吸収を取得し、該候補物質の電磁波吸収を算出し、結果を記憶装置242に記憶する制御を行うことができる。
【0066】
(導電物質選定部25)
導電物質選定部25は、候補物質のうち、電磁波吸収算出部で算出した電磁波吸収が閾値以下である導電物質を選定する。具体的には、上述の実施形態に係るプラズモニック材料探索方法における選択工程が実行される(
図1、ステップS6)。
【0067】
導電物質選定部25は、例えばコンピュータの一種であり、CPU251と、記憶装置252と、キーボードなどの外部機器からの信号を受けるための入力インターフェース253とを有することができる。なお、記憶装置252としては、例えばRAM、ROM、HDD、SSDなどが挙げられる。
【0068】
図5に示すように、導電物質選定部25は、電磁波吸収算出部24とデータのやり取りができるように、電磁波吸収算出部24とケーブル26により接続しておくことができる。
【0069】
CPU251は、電磁波吸収算出部24から候補物質の電磁波吸収を取得し、該候補物質の電磁波吸収からプラズモニック材料として好適な導電物質を選定し、選定結果を記憶装置252に記憶する制御を行うことができる。
【0070】
導電物質選定部25は、表示装置27と接続しておき、表示装置27に物質の結晶構造、誘電関数、電磁波吸収を出力させ、表示させることもできる。また、導電物質選定部25は、データ記憶部21に図示しないケーブル等により接続され、プラズモニック材料として好適な導電物質の選定結果をデータ記憶部21に記憶してもよい。
【0071】
なお、本実施形態のプラズモニック材料探索装置において、電磁波吸収予測部22では、ハイブリッド汎関数を用いた第一原理計算により第1導電物質群の導電物質の誘電関数を算出し、該誘電関数の虚部から第1導電物質群の導電物質の電磁波吸収を算出する(
図2、ステップS11、ステップS12)。
【0072】
また、本実施形態のプラズモニック材料探索装置では、電磁波吸収予測部において、一般汎関数を用いて、第1導電物質群の導電物質の電磁波吸収を算出し、ハイブリッド汎関数を用いて、第1導電物質群の一部の導電物質の電磁波吸収を算出し、第1導電物質群の導電物質の情報を説明変数とし且つ第1導電物質群の導電物質の電磁波吸収を目的変数とする第1予測モデルを生成し、第1予測モデルを、第1導電物質群の一部の導電物質の情報、及び第1導電物質群の一部の導電物質の電磁波吸収を用いて、転移学習により第2予測モデルに転移する(
図3、ステップS21~ステップS24)。
【0073】
具体的には、上述の実施形態に係るプラズモニック材料探索方法における、予測用電磁波吸収算出工程の第1予測用電磁波吸収算出工程と第2予測用電磁波吸収算出工程、及び予測モデル生成工程の第1予測モデル生成工程と第2予測モデル生成工程が実行される(
図3、ステップS21~ステップS24)。
【0074】
本実施形態のプラズモニック材料探索装置は、このような電磁波吸収予測部22、候補物質判定部23、電磁波吸収算出部24、及び導電物質選定部25を有する(
図1、ステップS1~ステップS6)。これにより、本実施形態のプラズモニック材料探索装置では、プラズモニック材料の探索を短期間で網羅的に実施することができる。
【0075】
本実施形態のプラズモニック材料探索装置では、上述のように、第1導電物質群の導電物質の電磁波吸収がハイブリッド汎関数を用いた第一原理計算で得られた導電物質の誘電関数の虚部から算出される(
図2、ステップS11、ステップS12)。これにより、本実施形態のプラズモニック材料探索装置では、プラズモニック材料を多数の候補物質の中から高い精度で探索することができる。
【0076】
また、本実施形態のプラズモニック材料探索装置では、上述のように予測モデルを転移学習により作成することで、プラズモニック材料の探索に利用できる予測モデルを少ない導電物質から生成することができる(
図3、ステップS21~ステップS24)。そのため、本実施形態のプラズモニック材料探索装置によれば、プラズモニック材料をより短期間で探索することができる。
【実施例0077】
以下、プラズモニック材料探索装置20を用いて、プラズモニック材料を探索した。プラズモニック材料の候補として、材料データベース「マテリアルプロジェクト(Materials Project)からバンドギャップが0として登録されている2元、3元物質、計9026物質の候補物質を用意した。なお、この9026物質は、上述のM個の導電物質に対応する。
【0078】
ターゲット波長を可視光とし、電磁波吸収の積分範囲を380nm~780nmとした。予測モデルの作成に用いる導電物質の情報として、組成に含まれる各元素の物性値の加重平均、加重分散、加重和、最大値、最小値を用いた。例えば、2元物質AwABwBの場合、物性値fについては、元素A、Bの物性値fA、fBを用いて以下のように示される。
【0079】
加重平均:fave=(wAfA+wBfB)/(wA+wB)
加重分散:fvar=[wA(fA-fave)2+wB(fB-fave)2]/(wA+wB)
加重和:fsum=wAfA+wBfB
最大値:fmax=max(fA,fB)
最小値:fmin=min(fA,fB)
【0080】
物性値fは、周期、陽子数、原子番号、原子半径、Rahmによる原子半径、原子体積、原子質量、無機結晶構造データベース(ICSD:Inorganic Crystal Structure Database)の原子体積、格子定数、ファンデルワールス(vdW)半径、AlvarezによるvdW半径、BatsanovによるvdW半径、BondiによるvdW半径、DREIDING FFのvdW半径、MM3 FFのvdW半径、RowlandとTaylorによるvdW半径、TruhlarによるvdW半径、UFFのvdW半径、Braggによる共有結合半径、Cerderoによる共有結合半径、Pyykkoによる共有結合半径の単結合距離、Pyykkoによる共有結合半径の二重結合距離、Pyykkoによる共有結合半径の三重結合距離、Slaterによる共有結合半径、vdW係数C6、GouldとBuckoによるvdW係数C6、295Kにおける密度、プロトン親和力、双極分極率、電子親和力、電気陰性度、Allenスケールの電気陰性度、Ghoshスケールの電気陰性度、Mullikenスケールの電気陰性度、DFTのバンドギャップ、DFTのエネルギー、DFTによるBCCの格子定数、DFTによるFCCの格子定数、DFTの磁気モーメント、DFTの体積、HHI係数、20℃の比熱、気相塩基度、第一イオン化エネルギー、融解熱、生成熱、モル比熱容量、比熱容量、蒸発熱、熱膨張係数、沸点、ブリネル硬度、圧縮率、融点、金属結合半径の単結合距離、金属結合半径の最近接距離、25℃の熱伝導率、音速、ビッカース硬度、分極率、ヤング率、ポアソン比、モル体積、全非占有電子数、全価電子数、非占有d電子数、d価電子数、非占有f電子数、f価電子数、非占有p電子数、p電子数、非占有s電子数、s価電子数とした。なお、導電物質の情報の算出には、PythonライブラリXenonPyを使用した。
【0081】
導電物質の電磁波吸収を予測する予測モデルの作成手法として、ニューラルネットワークを用いた転移学習を選択した。971物質について、一般化勾配近似により電磁波吸収を算出した。なお、この971物質は、上述のN個の導電物質に対応する。
【0082】
計算は、平面波基底第一原理計算ソフトであるVASP(Vienna Ab initio Simulation Package)を用いて、DFTの範疇で、PBE汎関数(交換相関汎関数)を用いて行った。また、PAW(projector augmented wave)ポテンシャルを用い、平面カットオフは520eV、k点密度は0.4Å-1とした。この結果を用いて、一般化勾配近似による電磁波吸収の予測モデルを作成した。この計算は、上述の予測用電磁波吸収算出工程または予測モデル生成部における一般汎関数を用いた第一原理計算の一例である。
【0083】
上記の971物質の中から163物質について、ハイブリッド汎関数により電磁波吸収を算出した。なお、この163物質は、上述のL個の導電物質に対応する。
【0084】
計算は、平面波基底第一原理計算ソフトであるVASPを用いて、DFTの範疇で、HSE06汎関数を用いて行った。また、PAWポテンシャルを用い、平面カットオフは520eV、k点密度は0.6Å-1とした。この計算は、上述のハイブリッド汎関数を用いた第一原理計算の一例である。
【0085】
転移学習により、一般化勾配近似による電磁波吸収の予測モデルを、ハイブリッド汎関数による電磁波吸収の予測モデルへ転移し、163物質のハイブリッド汎関数による電磁波吸収のデータを用いて学習させた。転移学習にはPythonライブラリXenonPyを用いた。
【0086】
残りの8863物質について、ハイブリッド汎関数による電磁波吸収の予測モデルにより、ハイブリッド汎関数による電磁波吸収を予測した。なお、この8863物質は、上述のM個の導電物質(9026物質)からL個の導電物質(163物質)を除いたM-L個の導電物質に対応する。
【0087】
閾値をδ=3.5とし、候補物質の選択または判定を実施した。なお、閾値(δ=3.5)には、既知のプラズモニック材料であるタングステン酸セシウム(Cs2WO4)の電磁波吸収を用いた。ハイブリッド汎関数による電磁波吸収の予測値が閾値δ以下となるものは82物質あった。
【0088】
上記82物質に対して、ハイブリッド汎関数により電磁波吸収を算出した。計算は、平面波基底第一原理計算ソフトであるVASPを用いて、DFTの範疇で、HSE06汎関数を用いて行った。また、PAWポテンシャルを用い、平面カットオフは520eV、k点密度は0.4Å-1とした。この計算は、上述の電磁波吸収算出工程または電磁波吸収算出部におけるハイブリッド汎関数を用いた第一原理計算の一例である。
【0089】
閾値をδ=3.5とし、電磁波吸収が閾値以下の導電物質の選択または判定を実施した。ハイブリッド汎関数による電磁波吸収が閾値以下となるものは46物質あった。これら46物質は、プラズモニック材料として好適な材料であるといえる。なお、本実施形態により発見されたプラズモニック材料としては、例えば、Ba2CuO3が挙げられる。
【0090】
本実施例により、9026物質の中から可視光領域でプラズモニック材料となる物質を短期間で網羅歴に探索・発見することができた。また、本実施形態によれば、プラズモニック材料の探索が短期間で網羅的に実施できるため、開発期間の短縮が可能になる。
【0091】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内において、種々の変形、変更が可能である。