(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022086585
(43)【公開日】2022-06-09
(54)【発明の名称】搬送装置、および成膜装置
(51)【国際特許分類】
C23C 14/00 20060101AFI20220602BHJP
C23C 14/56 20060101ALI20220602BHJP
C23C 16/44 20060101ALI20220602BHJP
H05B 33/10 20060101ALI20220602BHJP
H01L 51/50 20060101ALI20220602BHJP
【FI】
C23C14/00 B
C23C14/56 G
C23C16/44 J
C23C16/44 F
H05B33/10
H05B33/14 A
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020198683
(22)【出願日】2020-11-30
(71)【出願人】
【識別番号】591065413
【氏名又は名称】キヤノントッキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】特許業務法人大塚国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100076428
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 康徳
(74)【代理人】
【識別番号】100115071
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 康弘
(74)【代理人】
【識別番号】100112508
【弁理士】
【氏名又は名称】高柳 司郎
(74)【代理人】
【識別番号】100116894
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 秀二
(74)【代理人】
【識別番号】100130409
【弁理士】
【氏名又は名称】下山 治
(74)【代理人】
【識別番号】100134175
【弁理士】
【氏名又は名称】永川 行光
(74)【代理人】
【識別番号】100188868
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 智丈
(74)【代理人】
【識別番号】100221327
【弁理士】
【氏名又は名称】大川 亮
(72)【発明者】
【氏名】砂川 貴宏
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 功康
【テーマコード(参考)】
3K107
4K029
4K030
【Fターム(参考)】
3K107AA01
3K107BB01
3K107FF15
3K107GG04
3K107GG31
3K107GG32
3K107GG42
4K029AA09
4K029AA24
4K029BB03
4K029BD01
4K029DA10
4K029HA02
4K029HA03
4K029HA04
4K029JA01
4K029KA02
4K029KA03
4K029KA09
4K030CA06
4K030CA17
4K030GA02
4K030GA12
4K030KA45
4K030LA18
(57)【要約】 (修正有)
【課題】インライン型の成膜装置において、搬送空間の天井を覆う防着板のメンテナンスを容易にする、搬送装置を提供する。
【解決手段】基板を搬送しながら成膜するインライン型の成膜装置の搬送装置であって、前記搬送装置の搬送空間の天井を形成する天井部26と、前記天井部の内面を覆う複数の防着板501~504と、前記天井部から前記防着板を着脱可能にする着脱構造27と、を備える搬送装置。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を搬送しながら成膜するインライン型の成膜装置の搬送装置であって、
前記搬送装置の搬送空間の天井を形成する天井部と、
前記天井部の内面を覆う複数の防着板と、
前記天井部から前記防着板を着脱可能にする着脱構造と、
を備えることを特徴とする搬送装置。
【請求項2】
前記着脱構造は、前記天井部に沿って前記防着板を移動させるスライド構造であることを特徴とする請求項1に記載の搬送装置。
【請求項3】
前記スライド構造は、
前記天井部と前記防着板との一方に設けられたガイドローラと、
前記天井部と前記防着板との他方に設けられ、前記ガイドローラが転動する転動面と、を含む、
ことを特徴とする請求項2に記載の搬送装置。
【請求項4】
前記スライド構造は、基板の搬送方向に対して交差する方向に前記防着板を移動させることを特徴とする請求項2または3に記載の搬送装置。
【請求項5】
前記搬送空間を囲む側壁部を備え、
前記天井部は前記側壁部に対して着脱可能であることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の搬送装置。
【請求項6】
前記天井部は、複数の前記防着板が前記天井部に装着された状態で前記側壁部から着脱可能であることを特徴とする請求項5に記載の搬送装置。
【請求項7】
前記側壁部の内側には側壁防着板が設けられ、
前記側壁防着板は、前記天井部の内面を覆う前記複数の防着板のうち、前記側壁防着板と隣接する防着板と、上下方向に重なる部分を有することを特徴とする請求項5または6に記載の搬送装置。
【請求項8】
前記防着板は、隣接する他の防着板と上下方向に重なる部分を有する、ことを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の搬送装置。
載の搬送装置。
【請求項9】
基板を搬送しながら成膜するインライン型の成膜装置であって、
基板を搬送する搬送ユニットと、
前記搬送ユニットの下方に配置され、前記搬送ユニットによって搬送される基板に蒸着材料を放出する蒸着ユニットと、
を備え、
前記搬送ユニットは、
前記搬送ユニットの搬送空間の天井を形成する天井部と、
前記天井部の内面を覆う複数の防着板と、
前記天井部から前記防着板を着脱可能にする着脱構造と、
を備えることを特徴とする成膜装置。
【請求項10】
前記蒸着ユニットは前記搬送ユニットに対して相対的に移動可能であることを特徴とする請求項9に記載の成膜装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板の搬送装置、および成膜装置に関する。
【背景技術】
【0002】
有機ELディスプレイ等の製造においては、マスクを用いて基板上に蒸着物質を成膜するインライン型の成膜装置が知られている。引用文献1には、成膜のためのチャンバ内で基板を搬送しながら成膜を行う成膜装置が示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、チャンバ空間の天井部には、成膜装置が備える蒸発源から放出された蒸発材料がチャンバ空間の壁に付着、堆積することを防ぐための防着板が設けられる。また、天井部の防着板に付着して凝固した蒸発材料が、基板上や成膜装置の駆動構造に落下して成膜不良や成膜装置の動作不良が生じることを防ぐために、定期的に防着板を交換または洗浄するメンテナンス作業の必要がある。
【0005】
本発明は、インライン型の成膜装置の搬送空間の天井を覆う防着板のメンテナンスを容易にする技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一側面によれば、基板を搬送しながら成膜するインライン型の成膜装置の搬送装置であって、
前記搬送装置の搬送空間の天井を形成する天井部と、
前記天井部の内面を覆う複数の防着板と、
前記天井部から前記防着板を着脱可能にする着脱構造と、
を備えることを特徴とする搬送装置が提供される。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、インライン型の成膜装置の搬送空間の天井を覆う防着板のメンテナンスを容易にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図3】搬送ユニットと蒸着ユニットの分離を示す図。
【
図7】天面側からの天面防着板の取り外しを示す図。
【
図8】側面側からの天面防着板の取り外しを示す図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。尚、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。実施形態には複数の特徴が記載されているが、これらの複数の特徴の全てが発明に必須のものとは限らず、また、複数の特徴は任意に組み合わせられてもよい。さらに、添付図面においては、同一若しくは同様の構成に同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
【0010】
<成膜装置の概要>
図1(A)および
図1(B)は、本実施形態に係る成膜装置を示す概略図である。
図1(A)および
図1(B)に示す本実施形態に係る成膜装置1は、基板を搬送しながら製膜するインライン型の成膜装置である。本実施形態に係る成膜装置1は、例えば、スマートフォン用の有機EL表示装置の表示パネルなどの電子デバイスの製造ラインに適用される。成膜装置1は、搬送ユニット2、蒸着ユニット3、フレーム4を含む。
【0011】
搬送ユニット2は、基板上に形成する薄膜パターンに対応する開口パターンをもつメタルマスクなどのマスクによってマスクされた基板が配置されたマスクトレイを搬入口5から搬出口6まで搬送するための装置である。また、搬送ユニット2の底面には、蒸着ユニット3の蒸着源から放出された蒸着材料がマスクトレイに配置された基板に蒸着されるよう、開口が配置される。
【0012】
蒸着ユニット3は、後述する蒸着源を有し、蒸着ユニット3の天面側には搬送ユニット2によって搬送される基板に蒸着材料を放出するための開口を有する。また、蒸着ユニット3またはフレーム4に配置された昇降機構41およびスライド機構42によって、後述する搬送ユニット2と蒸着ユニット3との分離が行われる。
【0013】
フレーム4は、搬送ユニット2と蒸着ユニット3とを支持するための構造である。本実施形態では、フレーム4が昇降機構41およびスライド機構42を備えるものとして説明を行うが、昇降機構およびスライド機構の少なくとも一つが蒸着ユニット3に備えられてもよい。
【0014】
また、
図1(B)に示すように、本実施形態では、成膜装置1は3つの蒸着ユニット3A~3C(総称して蒸着ユニット3とする)を備え、搬送される基板に1種類以上の蒸着材料を連続して蒸着することができる。なお、
図1(B)の例では、昇降機構41は省略して示されている。蒸着ユニット3の数、およびそれぞれの蒸着ユニット3が放出する蒸着材料の種類は任意に変更可能である。また、昇降機構41およびスライド機構42は、複数の蒸着ユニット3をまとめて昇降またはスライドさせてもよいし、別個に昇降またはスライドさせてもよい。
【0015】
図2(A)~
図2(D)は、本実施形態に係る成膜装置1の成膜処理を示す。ここで、
図1(A)の成膜装置1の面XZでの断面図を示す。なお、
図2(A)~
図2(D)では、フレーム4は省略して示されている。
【0016】
図2(A)は、基板が配置されたマスクトレイ201が搬入口5から搬入された状態の成膜装置1を示す。搬送ユニット2はそれぞれの蒸着ユニット3に対応する開口21A~21C(総称して開口21とする)を備える。蒸着ユニット3はそれぞれに対応する蒸着源31A~31C(総称して蒸着源31とする)を備える。
図2(A)において、搬入されたマスクトレイ201は、搬送ユニット2が備える複数の搬送ローラ22によって、搬送ユニット2の開口21上に搬送される。
【0017】
図2(B)は、マスクトレイ201が開口21A上に搬送され、蒸着ユニット3Aの蒸着源31Aから蒸着材料を放出している状態の成膜装置1を示す。
図2(B)では、基板が搬送されている状態で、蒸着源31Aから上方に向かって蒸着材料が放出されている。これによって、マスクパターンに従って基板上に蒸着材料が蒸着される。本実施形態に係る成膜装置1は、マスクトレイ201が移動している状態で蒸着を行うものとして説明するが、マスクトレイ201が開口21上に位置する状態で移動を一時停止または減速するようマスクトレイ201の搬送速度を制御してもよい。これによって、成膜装置1は基板上に適切な厚みの蒸着材料が蒸着するよう制御することができる。
【0018】
図2(C)は、蒸着された基板が搬送ユニット2によって搬送され、次の蒸着ユニット3Bに対応する開口21B上にマスクトレイ201が搬送されている状態を示す。ここで、蒸着ユニット3Bの蒸着源31Bから蒸着材料が放出される。そして成膜装置1はマスクトレイ201の搬送を進めて次の蒸着ユニット3Cによって次の蒸着を行い、
図2(D)に示すように、蒸着が完了したマスクトレイ201が、搬出口6から搬出される。このように、搬送ユニット2の搬送ローラ22によって搬入口5から搬出口6まで搬送されるまでに複数の蒸着ユニット3から蒸着を行うことができる。
【0019】
続いて、
図3(A)および
図3(B)を参照して、搬送ユニット2と蒸着ユニット3との分離について説明する。蒸着ユニット3の蒸着源31から放出された蒸着材料が搬送ユニット2の側壁や天面に付着し、落下して搬送中の基板に付着することで、蒸着処理が失敗する場合がある。また、搬送ユニット2の側壁や天面に付着した蒸着材料が落下して搬送ローラ22に付着することで搬送している基板が汚損したり、搬送ローラ22の動作不良が生じる場合がある。このため、搬送ユニット2の側壁や天面には防着板が設けられ、防着板を定期的に洗浄または交換するメンテナンスが必要になる。
【0020】
また、搬送ローラ22とマスクトレイ201との接触によって生じる粉塵が、搬送ローラの回転や蒸着材料の放出によって生じる気流によって舞い上がり、基板や成膜装置1の駆動構造に付着し、成膜処理の失敗や搬送ユニット2の動作不良が生じる場合がある。このため、搬送ローラ22には、生じた粉塵が散らばることを防ぐための集塵カバーが設けられ、集塵カバーの交換または清掃などのメンテナンスを定期的に行うことがある。
【0021】
このような場合、搬送ユニット2と蒸着ユニット3とを分離し、搬送ユニット2の底面側の開口21から搬送ユニット2内の搬送空間にアクセスすることで、メンテナンスの際の作業の利便性が向上する。搬送ユニット2と蒸着ユニット3との分離では、
図3(A)に示すように、フレーム4が備える昇降機構41によって、蒸着ユニット3が搬送ユニット2に対して相対的に下方に移動する。なお、本実施形態に係る蒸着ユニット3は、後述するように、搬送ユニット2と接続された場合に開口21よりもZ軸上方に進入する部分を備えるため、昇降機構41による蒸着ユニット3の降下が必要となる。これによって、搬送ユニット2に対して水平方向に蒸着ユニット3が移動することが可能となる。
【0022】
続いて、
図3(B)に示すように、フレーム4が備えるスライド機構42によって、蒸着ユニット3が搬送ユニット2に対して相対的に水平に移動する。これによって、フレーム4に保持された搬送ユニット2の下方から搬送ユニット2内部の搬送空間にアクセスすることができ、メンテナンスの利便性を向上することができる。また、蒸着ユニット3の上方から蒸着ユニット3内にアクセスすることができるため、蒸着ユニット3のメンテナンスの利便性も向上することができる。
【0023】
続いて、
図4に、搬送ユニット2の構造を示す。搬送ユニット2は、底面の開口21、複数の搬送ローラ22、天面防着部23、側壁防着部24、筐体25、天面蓋26を含む。なお、
図4において側壁防着部24は一部のみが図示されている。
【0024】
天面防着部23は、搬送ユニット2内の搬送路の天面側に蒸着する蒸着材料の除去などのメンテナンスを容易にするように、筐体25から取り外し可能に配置される。本実施形態では、天面蓋26に天面防着部23が配置され、筐体25から天面蓋26を取り外すと、天面蓋26とともに天面防着部23も筐体25から取り外される。また、天面防着部23は複数の防着板(天面防着板)によって形成され、それぞれの天面防着板は別個に筐体25または天面蓋26から取り外すことができる。天面蓋26が複数の天面防着板を支持する構造については
図5および
図6を参照して後述する。また、筐体25、天面蓋26、および天面防着部23の詳細な構造については
図5および
図6を参照して後述する。
【0025】
側壁防着部24は、搬送ユニット2内の筐体25の側壁から脱着可能な防着板を含み、筐体25の内側の側壁に蒸着材料が蒸着することを防ぐ。メンテナンスの際には、側壁防着部24を筐体25から取り外し、交換又は洗浄することでメンテナンス作業を容易に行うことができる。なお、本実施形態に係る側壁防着部24も複数の側壁防着板によって形成され、それぞれの側壁防着板も別個に筐体25から取り外すことができる。
【0026】
天面蓋26は、筐体25の天面側に配置され、天面蓋26を上方に持ち上げることで筐体25から天面蓋26を取り外すことができる。これによって、筐体25の天面側から搬送空間にアクセスすることができる。すなわち、天面蓋26は搬送ユニット2の内部の搬送空間の天井を形成する天井部であり、筐体25は搬送空間の側壁を形成する側壁部である。また、天面防着部23は搬送空間の天井部を覆う防着部であり、側壁防着部24は搬送空間の側壁部を覆う防着部である。
【0027】
続いて、
図5を参照して搬送ユニット2の詳細な構造について説明する。
図5は、
図4の面401での搬送ユニット2の断面図である。また、
図5では、蒸着ユニット3も図示されている。
【0028】
図5では、天面蓋26にはガイドローラ27が配置され、天面防着板501~504は、ガイドローラ27によって支持される。すなわち、ガイドローラ27と、天面防着板501~504のガイドローラ27に当接する部分が、天面蓋26に沿って防着板を移動可能に支持するスライド構造(着脱構造)として機能する。本実施形態では、ガイドローラ27の移動方向は、基板の搬送方向と交差する方向であり、
図5ではY軸方向である。なお、
図5の例では、天面蓋26にガイドローラ27が配置され、天面防着板501~504は、ガイドローラ27が転動する転動面を含むものとして図示している。しかしながら別の例では、天面蓋26にレールが配置され、当該レールに沿って転動するローラが天面防着板501~504に配置されてもよい。また、天面蓋26が天面防着板501~504を着脱可能に支持する着脱構造としては、スライド構造以外にもフック型の留め部材などの任意の構造を用いてもよい。
【0029】
また、円506~508に示すように、天面防着板と水平な面においてスライド方向と交差する方向で隣り合う天面防着板はラビリンス構造を形成する。ここでラビリンス構造とは、防着板が覆う面に対して垂直な方向、すなわち上下方向で隣接する防着板が重なり合うことを意味する。天面防着板501~504では、上下(Z軸)方向で隣接する防着板が重なり合う。これによって、隣接する天面防着板501~504の位置が多少変化しても、天面防着板501~504が搬送空間の天井の内面を覆うことができ、ガイドローラ27、天面蓋26、および筐体25に蒸着材料が付着することを防ぐことができる。
【0030】
また、円509に示すように、筐体25の側面に取りつけられ、搬送空間の側面を覆う側壁防着部24は、側壁防着部24に隣接する天面防着板501とラビリンス構造を形成する。これによって、天面防着板501の位置が多少変化しても、ガイドローラ27、天面蓋26、および筐体25に蒸着材料が付着することを防ぐことができる。
【0031】
また、本実施形態に係る天面蓋26は、筐体25との係合構造を有し、筐体25と天面蓋26との係合を解除することで筐体25から取り外すことができる。筐体25から天面蓋26を取り外す際には、天面蓋26に設けられたフック穴505にクレーンのフックを取りつけることで、クレーンを用いて天面蓋26を取り外すことができる。
【0032】
続いて、
図6を参照して搬送ユニット2の詳細な構造について説明する。
図6では、
図4の面402での搬送ユニット2の断面図である。また、
図6では蒸着ユニット3も図示されている。
【0033】
図6では、ガイドローラ27のスライド方向上の一方では搬送ユニット2の筐体25または天面蓋26に設けられたストッパ606に当たる。また、スライド方向上の他方ではカバー28に当たる。カバー28は、ガイドローラ27によって天面防着板601~605を取り外し可能にするか否かを切り替え可能な係止構造である。
図6の例では、カバー28は天面防着板601~605を天面蓋26から個別に取り外すことはできない閉状態である。一方、
図8を参照して後述するように、カバー28を開状態に切り替えることで、閉状態でカバー28が覆っていた筐体25の開口から天面防着板601~605をガイドローラ27に沿って個別に取り外すことができる。また、筐体25の開口から個別にガイドローラ27に沿って天面防着板を取りつけて、ストッパ606または既に取りつけられた他の天面防着板に当接するまでスライドさせることで、天面防着板をスライド方向で位置合わせすることなく取りつけることができる。このように、脱着構造としてスライド構造を採用することで、天面防着板を着脱する際の作業の効率が向上する。
【0034】
また、円607~610に示すように、スライド方向で隣り合う防着板同士も、ラビリンス構造を形成する。これによって、スライド方向で前後の隣接する天面防着板601~605の位置が多少変化しても、ガイドローラ27、天面蓋26、および筐体25に蒸着材料が付着することを防ぐことができる。
【0035】
また、スライド方向で同一列の天面防着板601~605は、同じ形状を有する。これによって、防着板を設置する順序を考慮する必要がなく、天面防着板を着脱する作業が容易になる。
【0036】
また、円611~612に示すように、筐体25の側面に取りつけられ、搬送空間の側面を覆う側壁防着部24は、側壁防着部24に隣接する天面防着板601、605とラビリンス構造を形成する。これによって、天面防着板601、605の位置が多少変化しても、ガイドローラ27、天面蓋26、および筐体25に蒸着材料が付着することを防ぐことができる。
【0037】
また、搬送ローラ22は、シャフト621を介して搬送ローラ駆動部622によって駆動される。
【0038】
続いて、
図7(A)~
図7(B)を参照して、天面側から天面防着部23の取り外しを行う処理について説明する。
【0039】
図7(A)では、天面蓋26をクレーン(不図示)によって垂直上方に持ち上げる。一例では、そして、
図7(B)に示すように、天面防着部23が天面蓋26に設けられたガイドローラ27に支持された状態で天面蓋26ごと移動させることで、一度に天面防着部23を筐体25から取り外すことができる。本実施形態では、天面蓋26に取り付けられた天面防着板を交換することでメンテナンスを行うものとして説明するが、天面蓋26に天面防着板を取りつけたまま、天面防着板に付着した蒸着材料を洗浄することでメンテナンスを行ってもよい。天面蓋26を筐体25から取り外した状態で天面防着板の交換や洗浄といった作業を行うことができるため、筐体25内で作業するのに比べて容易に作業を行うことができ、防着板のメンテナンス作業の利便性が向上する。
【0040】
続いて、
図8(A)~
図8(C)を参照して、側壁から天面防着板の取り外しを行う処理について説明する。
【0041】
図8(A)では、カバー28が開状態に切り替えられ、カバー28に面する側壁防着部24が取り外されることで、天面防着板601~605がガイドローラ27に沿って筐体25に対してスライド移動することが可能になる。作業者は、
図8(B)に示すように、カバー28側の開口から天面防着板605をスライドさせて筐体25から取り外すことができる。続いて、
図8(C)に示すように、カバー28側の開口から天面防着板604を取り外す。このように、天面防着板をスライドさせるだけで天面蓋26から天面防着板を取り外すことが可能になるため、筐体25内での複雑な作業が必要なくなり、防着板のメンテナンス作業の利便性が向上する。
【0042】
<他の実施形態>
発明は上記実施形態に制限されるものではなく、発明の精神及び範囲から離脱することなく、様々な変更及び変形が可能である。従って、発明の範囲を公にするために請求項を添付する。
【符号の説明】
【0043】
1 成膜装置、2 搬送ユニット、3 蒸着ユニット、23 天面防着板、26 天面蓋