(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022086863
(43)【公開日】2022-06-09
(54)【発明の名称】水中油型乳化化粧料
(51)【国際特許分類】
A61K 8/44 20060101AFI20220602BHJP
A61K 8/06 20060101ALI20220602BHJP
A61K 8/81 20060101ALI20220602BHJP
A61K 8/73 20060101ALI20220602BHJP
A61K 8/63 20060101ALI20220602BHJP
A61K 8/37 20060101ALI20220602BHJP
A61Q 19/00 20060101ALI20220602BHJP
A61K 8/84 20060101ALI20220602BHJP
【FI】
A61K8/44
A61K8/06
A61K8/81
A61K8/73
A61K8/63
A61K8/37
A61Q19/00
A61K8/84
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020199127
(22)【出願日】2020-11-30
(71)【出願人】
【識別番号】306037311
【氏名又は名称】富士フイルム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】特許業務法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】相見 牧子
(72)【発明者】
【氏名】江越 由起
(72)【発明者】
【氏名】久保 利昭
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AA081
4C083AA082
4C083AA121
4C083AA122
4C083AC011
4C083AC012
4C083AC351
4C083AC352
4C083AC391
4C083AC392
4C083AC421
4C083AC422
4C083AC711
4C083AC712
4C083AD021
4C083AD022
4C083AD071
4C083AD072
4C083AD091
4C083AD092
4C083AD211
4C083AD212
4C083AD351
4C083AD352
4C083AD531
4C083AD532
4C083BB11
4C083CC02
4C083DD33
4C083EE01
4C083EE06
(57)【要約】
【課題】グリチルレチン酸ステアリルを含み、経時安定性に優れ、かつ、使用感が良好な水中油型乳化化粧料の提供。
【解決手段】(PEG-240/デシルテトラデセス-20/HDI)コポリマーと、トリメチルグリシンと、グリチルレチン酸ステアリルと、抱水性油剤と、増粘多糖類と、アクリル系ポリマーと、水と、を含み、かつ、界面活性剤を含まないか、又は、界面活性剤の含有率が水中油型乳化化粧料の全質量に対して0質量%を超えて0.5質量%以下の範囲である水中油型乳化化粧料。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(PEG-240/デシルテトラデセス-20/HDI)コポリマーと、
トリメチルグリシンと、
グリチルレチン酸ステアリルと、
抱水性油剤と、
増粘多糖類と、
アクリル系ポリマーと、
水と、
を含み、かつ、
界面活性剤を含まないか、又は、界面活性剤の含有率が水中油型乳化化粧料の全質量に対して0質量%を超えて0.5質量%以下の範囲である水中油型乳化化粧料。
【請求項2】
抱水性油剤が、ラウロイルグルタミン酸ジ(フィトステリル/オクチルドデシル)、ラウロイルグルタミン酸ジ(コレステリル/オクチルドデシル)、ダイマージリノール酸ジ(イソステアリル/フィトステリル)、ダイマージリノール酸ジ(フィトステリル/イソステアリル/セチル/ステアリル/ベヘニル)、トリポリヒドロキシステアリン酸ジペンタエリスリチル、及びテトラ(ヒドロキシステアリン酸/イソステアリン酸)ジペンタエリスリチルからなる群より選ばれる少なくとも1種である、請求項1に記載の水中油型乳化化粧料。
【請求項3】
増粘多糖類が、ジェランガム、カラギーナン、アルカシーラン、キサンタンガム、プルラン、及びローカストビーンガムからなる群より選ばれる少なくとも1種である、請求項1又は請求項2に記載の水中油型乳化化粧料。
【請求項4】
アクリル系ポリマーが、(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C10-30))コポリマー、カルボキシビニルポリマー、及び(アクリロイルジメチルタウリンアンモニウム/VP)コポリマーからなる群より選ばれる少なくとも1種である、請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の水中油型乳化化粧料。
【請求項5】
更に、エステル油を含む、請求項1~請求項4のいずれか1項に記載の水中油型乳化化粧料。
【請求項6】
エステル油が、トリエチルへキサノイン、トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル、パルミチン酸イソプロピル、イソノナン酸イソトリデシル、エチルヘキサン酸セチル、及びミリスチン酸オクチルドデシルからなる群より選ばれる少なくとも1種である、請求項5に記載の水中油型乳化化粧料。
【請求項7】
更に、炭化水素油を含む、請求項1~請求項6のいずれか1項に記載の水中油型乳化化粧料。
【請求項8】
炭化水素油が、ワセリン、マイクロクリスタリンワックス、水添ポリイソブテン、セレシン、ミツロウ、キャンデリラロウ、シア脂、ホホバ種子油、及びヒドロキシステアリン酸からなる群より選ばれる少なくとも1種である、請求項7に記載の水中油型乳化化粧料。
【請求項9】
炭化水素油がワセリンである、請求項7又は請求項8に記載の水中油型乳化化粧料。
【請求項10】
増粘多糖類がジェランガムである、請求項1~請求項9のいずれか1項に記載の水中油型乳化化粧料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、水中油型乳化化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
グリチルレチン酸ステアリルは、抗炎症作用を有することが知られている。近年、グリチルレチン酸ステアリルによる抗炎症効果を期待して、化粧料にグリチルレチン酸ステアリルを配合することが行われている。
例えば、特許文献1には、D-パントテニルアルコール及びグリチルレチン酸ステアリルを含むクリーム等の皮膚外用組成物が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
グリチルレチン酸ステアリルは、単体では水性媒体に溶解し難い成分であるため、グリチルレチン酸ステアリルを化粧水等の水性化粧料に配合するためには、グリチルレチン酸ステアリルを界面活性剤により可溶化させるか、或いは、多量の油剤及び乳化剤(例えば、界面活性剤及びリン脂質)を使用することにより、グリチルレチン酸ステアリルを乳化粒子に含めて水性媒体に分散させた水中油型の乳化化粧料とすることが必要となる。例えば、特許文献1に記載された皮膚外用組成物では、比較的多量のイオン性界面活性剤を使用している。しかし、界面活性剤はそれ自体がべたつくため、界面活性剤を多量に含む化粧料では、肌に適用した後に、強いべたつきを感じる傾向があり、使用感が良好であるとは言い難い。グリチルレチン酸ステアリルを含む水性化粧料に対しては、肌に適用した後のべたつき感が抑制されていることに加えて、水性化粧料ならではの保湿感が得られることが求められている。
【0005】
本発明者らは、グリチルレチン酸ステアリルを水性化粧料に配合する試みとして、多量の界面活性剤を使用せずに、グリチルレチン酸ステアリルを乳化粒子に含めて水性媒体に分散させた、乳化型が水中油型である化粧料(所謂、水中油型乳化化粧料)とする検討を行った。しかし、界面活性剤の量を低減させると、乳化状態を安定に保持し難くなり、水中油型乳化化粧料の経時安定性が損なわれやすいことが判明した。
【0006】
本開示の一実施形態が解決しようとする課題は、グリチルレチン酸ステアリルを含み、経時安定性に優れ、かつ、使用感が良好な水中油型乳化化粧料を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するための具体的な手段には、以下の実施態様が含まれる。
[1] (PEG-240/デシルテトラデセス-20/HDI)コポリマーと、
トリメチルグリシンと、
グリチルレチン酸ステアリルと、
抱水性油剤と、
増粘多糖類と、
アクリル系ポリマーと、
水と、
を含み、かつ、
界面活性剤を含まないか、又は、界面活性剤の含有率が水中油型乳化化粧料の全質量に対して0質量%を超えて0.5質量%以下の範囲である、水中油型乳化化粧料。
[2] 抱水性油剤が、ラウロイルグルタミン酸ジ(フィトステリル/オクチルドデシル)、ラウロイルグルタミン酸ジ(コレステリル/オクチルドデシル)、ダイマージリノール酸ジ(イソステアリル/フィトステリル)、ダイマージリノール酸ジ(フィトステリル/イソステアリル/セチル/ステアリル/ベヘニル)、トリポリヒドロキシステアリン酸ジペンタエリスリチル、及びテトラ(ヒドロキシステアリン酸/イソステアリン酸)ジペンタエリスリチルからなる群より選ばれる少なくとも1種である、[1]に記載の水中油型乳化化粧料。
[3] 増粘多糖類が、ジェランガム、カラギーナン、アルカシーラン、キサンタンガム、プルラン、及びローカストビーンガムからなる群より選ばれる少なくとも1種である、[1]又は[2]に記載の水中油型乳化化粧料。
[4] アクリル系ポリマーが、(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C10-30))コポリマー、カルボキシビニルポリマー、及び(アクリロイルジメチルタウリンアンモニウム/VP)コポリマーからなる群より選ばれる少なくとも1種である、[1]~[3]のいずれか1つに記載の水中油型乳化化粧料。
[5] 更に、エステル油を含む、[1]~[4]のいずれか1つに記載の水中油型乳化化粧料。
[6] エステル油が、トリエチルへキサノイン、トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル、パルミチン酸イソプロピル、イソノナン酸イソトリデシル、エチルヘキサン酸セチル、及びミリスチン酸オクチルドデシルからなる群より選ばれる少なくとも1種である、[5]に記載の水中油型乳化化粧料。
[7] 更に、炭化水素油を含む、[1]~[6]のいずれか1つに記載の水中油型乳化化粧料。
[8] 炭化水素油が、ワセリン、マイクロクリスタリンワックス、水添ポリイソブテン、セレシン、ミツロウ、キャンデリラロウ、シア脂、ホホバ種子油、及びヒドロキシステアリン酸からなる群より選ばれる少なくとも1種である、[7]に記載の水中油型乳化化粧料。
[9] 炭化水素油がワセリンである、[7]又は[8]に記載の水中油型乳化化粧料。
[10] 増粘多糖類がジェランガムである、[1]~[9]のいずれか1つに記載の水中油型乳化化粧料。
【発明の効果】
【0008】
本開示の一実施形態によれば、グリチルレチン酸ステアリルを含み、経時安定性に優れ、かつ、使用感が良好な水中油型乳化化粧料が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示の水中油型乳化化粧料について詳細に説明する。以下に記載する要件の説明は、本開示の代表的な実施態様に基づいてなされることがあるが、本開示はそのような実施態様に限定されるものではなく、本開示の目的の範囲内において、適宜、変更を加えて実施することができる。
【0010】
本開示において「~」を用いて示された数値範囲は、「~」の前後に記載される数値をそれぞれ下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
本開示に段階的に記載されている数値範囲において、ある数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。また、本開示に記載されている数値範囲において、ある数値範囲で記載された上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
【0011】
本開示において、2以上の好ましい態様の組み合わせは、より好ましい態様である。
本開示において、水中油型乳化化粧料中の各成分の量は、各成分に該当する物質が水中油型乳化化粧料中に複数存在する場合には、特に断らない限り、水中油型乳化化粧料中に存在する複数の物質の合計量を意味する。
【0012】
本開示において「水相」との語は、溶剤の種類にかかわらず、「油相」に対応する語として使用する。
【0013】
本開示において「使用感」とは、べたつき感及び保湿感を意味し、「使用感が良好な水中油型乳化化粧料」とは、肌に適用した後のべたつき感が抑制され、かつ、肌に適用した後に保湿感が得られる水中油型乳化化粧料を意味する。
本開示において「保湿感」とは、肌の表面に残るしっとりとした感触を意味する。
【0014】
[水中油型乳化化粧料]
本開示の水中油型乳化化粧料は、(PEG-240/デシルテトラデセス-20/HDI)コポリマーと、トリメチルグリシンと、グリチルレチン酸ステアリルと、抱水性油剤と、増粘多糖類と、アクリル系ポリマーと、水と、を含み、かつ、界面活性剤を含まないか、又は、界面活性剤の含有率が水中油型乳化化粧料の全質量に対して0質量%を超えて0.5質量%以下の範囲である。
【0015】
本開示の水中油型乳化化粧料は、従来のグリチルレチン酸ステアリルを含む水性化粧料とは異なり、多量の界面活性剤を使用せずに、グリチルレチン酸ステアリルを乳化粒子に含めて水性媒体に分散させ、乳化型が水中油型である化粧料(所謂、水中油型乳化化粧料)とすることで、グリチルレチン酸ステアリルを水性化粧料に配合したものである。
一般に、界面活性剤の量を低減させると、乳化状態を安定に保持し難くなり、水中油型乳化化粧料の経時安定性が損なわれやすい。これに対し、本開示の水中油型乳化化粧料は、(PEG-240/デシルテトラデセス-20/HDI)コポリマー、増粘多糖類、及びアクリル系ポリマーを含むことで、界面活性剤の量を低減させた場合であっても、経時安定性に優れる。
また、界面活性剤はそれ自体がべたつくため、界面活性剤を多量に含む化粧料を肌に適用すると、強いべたつきを感じる傾向がある。これに対し、本開示の水中油型乳化化粧料は、界面活性剤を含まないか、或いは、界面活性剤を含んでも少量であるため、界面活性剤に起因するべたつき感が抑制される。さらに、本開示の水中油型乳化化粧料は、トリメチルグリシンを含むことで、肌に適用した後のべたつき感が抑制される。また、本開示の水中油型乳化化粧料は、抱水性油剤を含むことで、肌に適用した後に良好な保湿感が得られ、(PEG-240/デシルテトラデセス-20/HDI)コポリマーと組み合わせて含むことで、保湿感がより向上し得る。
以上のことから、本開示の水中油型乳化化粧料は、使用感が良好である。
【0016】
以下、本開示の水中油型乳化化粧料の各成分について、詳細に説明する。
【0017】
〔(PEG-240/デシルテトラデセス-20/HDI)コポリマー〕
本開示の水中油型乳化化粧料は、(PEG-240/デシルテトラデセス-20/HDI)コポリマーを含む。
本開示の水中油型乳化化粧料において、(PEG-240/デシルテトラデセス-20/HDI)コポリマーは、水中油型乳化化粧料の経時安定性の向上に寄与し得る。
また、本開示の水中油型乳化化粧料において、(PEG-240/デシルテトラデセス-20/HDI)コポリマーは、保湿感の向上に寄与し得る。
【0018】
「PEG」は、ポリエチレングリコールの略称であり、「HDI」は、ヘキサメチレンジイソシアネートの略称である。
【0019】
「(PEG-240/デシルテトラデセス-20/HDI)コポリマー」との名称は、化粧品の成分表示名称である。(PEG-240/デシルテトラデセス-20/HDI)コポリマーは、INCI(International Nomenclature for Cosmetic Ingredients)名では、PEG-240/HDI COPOLYMER BIS-DECYLTETRADECETH-20 ETHERという。また、(PEG-240/デシルテトラデセス-20/HDI)コポリマーは、医薬部外品の成分表示名称では、ポリエチレングリコール・デシルテトラデセス-20・ヘキサメチレンジイソシアネート共重合体という。
【0020】
(PEG-240/デシルテトラデセス-20/HDI)コポリマーは、商品名「アデカノール(登録商標) GT-700」として、(株)ADEKAから市販されている。
【0021】
本開示の水中油型乳化化粧料における(PEG-240/デシルテトラデセス-20/HDI)コポリマーの含有率は、特に限定されないが、例えば、水中油型乳化化粧料の全質量に対して、0.5質量%~3質量%であることが好ましい。
本開示の水中油型乳化化粧料における(PEG-240/デシルテトラデセス-20/HDI)コポリマーの含有率が、水中油型乳化化粧料の全質量に対して0.5質量%以上であると、水中油型乳化化粧料の経時安定性がより向上する傾向がある。また、本開示の水中油型乳化化粧料における(PEG-240/デシルテトラデセス-20/HDI)コポリマーの含有率が、水中油型乳化化粧料の全質量に対して0.5質量%以上であると、肌に適用した後に、より良好な保湿感が得られる傾向がある。
このような観点から、本開示の水中油型乳化化粧料における(PEG-240/デシルテトラデセス-20/HDI)コポリマーの含有率は、水中油型乳化化粧料の全質量に対して、0.5質量%以上であることが好ましく、0.8質量%以上であることがより好ましく、1質量%以上であることが更に好ましい。
また、本開示の水中油型乳化化粧料における(PEG-240/デシルテトラデセス-20/HDI)コポリマーの含有率が、水中油型乳化化粧料の全質量に対して3質量%以下であると、肌に適用した後のべたつき感がより抑制される傾向がある。
このような観点から、本開示の水中油型乳化化粧料における(PEG-240/デシルテトラデセス-20/HDI)コポリマーの含有率は、水中油型乳化化粧料の全質量に対して、3質量%以下であることが好ましく、2質量%以下であることがより好ましく、1.5質量%以下であることが更に好ましい。
【0022】
〔トリメチルグリシン〕
本開示の水中油型乳化化粧料は、トリメチルグリシンを含む。
本開示の水中油型乳化化粧料において、トリメチルグリシンは、べたつき感の抑制に寄与し得る。
【0023】
トリメチルグリシンは、以下に示す構造を有する化合物である。
トリメチルグリシンは、グリシンベタイン、無水ベタイン、又は、単にベタインと称されることがある。なお、トリメチルグリシンの化粧品成分表示名称は、ベタインである。
【0024】
【0025】
トリメチルグリシンは、生体内に存在する有機化合物である。
トリメチルグリシンは、例えば、テンサイ糖蜜からの抽出及び精製により得ることができる。
【0026】
トリメチルグリシンは、市販品としても入手可能である。
トリメチルグリシンの市販品としては、例えば、旭化成ケミカルズ(株)製のアミコート(商品名)、及び恵比須化学工業(株)製のBetafinBP(商品名)が挙げられる。
【0027】
本開示の水中油型乳化化粧料におけるトリメチルグリシンの含有率は、特に限定されないが、例えば、水中油型乳化化粧料の全質量に対して、0.1質量%~10質量%であることが好ましい。
本開示の水中油型乳化化粧料におけるトリメチルグリシンの含有率が、水中油型乳化化粧料の全質量に対して0.1質量%以上であると、肌に適用した後のべたつき感がより抑制される傾向がある。
このような観点から、本開示の水中油型乳化化粧料におけるトリメチルグリシンの含有率は、水中油型乳化化粧料の全質量に対して、0.1質量%以上であることが好ましく、0.5質量%以上であることがより好ましく、1質量%以上であることが更に好ましい。
本開示の水中油型乳化化粧料におけるトリメチルグリシンの含有率が多すぎると、水中油型乳化化粧料の性状が硬くなる傾向を示す。本開示の水中油型乳化化粧料におけるトリメチルグリシンの含有率が、水中油型乳化化粧料の全質量に対して10質量%以下であると、水中油型乳化化粧料の剤型をジェル(「ゲル」ともいう。以下、同じ。)にしやすくなる傾向がある。
このような観点から、本開示の水中油型乳化化粧料におけるトリメチルグリシンの含有率は、水中油型乳化化粧料の全質量に対して、10質量%以下であることが好ましく、8質量%以下であることがより好ましく、5質量%以下であることが更に好ましい。
【0028】
〔グリチルレチン酸ステアリル〕
本開示の水中油型乳化化粧料は、グリチルレチン酸ステアリルを含む。
グリチルレチン酸ステアリルは、グリチルレチン酸にステアリルアルコールをエステル結合させることで、油脂類に対する溶解性を向上させたものであり、抗炎症作用を有する成分として、化粧料〔即ち、化粧品及び医薬部外品(例えば、薬用化粧品)〕の分野において、汎用されている。
【0029】
グリチルレチン酸ステアリルとしては、市販品を使用できる。
グリチルレチン酸ステアリルの市販品としては、例えば、丸善製薬(株)製のシーオーグレチノール(商品名)、及びアルプス薬品工業(株)製のグリチルレチン酸ステアリル(商品名)が挙げられる。
【0030】
本開示の水中油型乳化化粧料におけるグリチルレチン酸ステアリルの含有率は、特に限定されないが、例えば、水中油型乳化化粧料の全質量に対して、0.01質量%~3質量%であることが好ましい。
本開示の水中油型乳化化粧料におけるグリチルレチン酸ステアリルの含有率が、水中油型乳化化粧料の全質量に対して0.01質量%以上であると、グリチルレチン酸ステアリルによる抗炎症効果をより良好に享受できる傾向がある。
このような観点から、本開示の水中油型乳化化粧料におけるグリチルレチン酸ステアリルの含有率は、水中油型乳化化粧料の全質量に対して、0.01質量%以上であることが好ましく、0.03質量%以上であることがより好ましく、0.05質量%以上であることが更に好ましい。
また、本開示の水中油型乳化化粧料におけるグリチルレチン酸ステアリルの含有率が、水中油型乳化化粧料の全質量に対して3質量%以下であると、水中油型乳化化粧料を低温環境下に置いた場合に生じ得るグリチルレチン酸ステアリルの析出がより抑制される傾向がある。
このような観点から、本開示の水中油型乳化化粧料におけるグリチルレチン酸ステアリルの含有率は、水中油型乳化化粧料の全質量に対して、3質量%以下であることが好ましく、2質量%以下であることがより好ましく、1質量%以下であることが更に好ましい。
【0031】
〔抱水性油剤〕
本開示の水中油型乳化化粧料は、抱水性油剤を含む。
本開示の水中油型乳化化粧料において、抱水性油剤は、保湿感の向上に寄与し得る。
【0032】
抱水性油剤は、それ自体が水を抱え込むことができる油剤であれば、特に限定されないが、下記の抱水性試験において測定される抱水力が100%以上であるものが好ましい。抱水力が100%以上である油剤は、自重と等量以上の水を抱え込むことができる油剤を意味する。
【0033】
-抱水性試験-
50℃に加熱した油剤10gをガラス容器に量り取り、撹拌する。撹拌中の油剤に50℃の水を徐々に、水が油剤から排液してくるまで添加した後、室温(25℃)にて24時間放置する。放置後、分離した水を除去し、油剤が抱水した水の量(単位:g)を測定する。測定した水の量を油剤の量(即ち、10g)で除し、100倍して抱水力(単位:%)とする。
【0034】
抱水性油剤の具体例としては、ラウロイルグルタミン酸ジ(フィトステリル/オクチルドデシル)、ラウロイルグルタミン酸ジ(コレステリル/オクチルドデシル)、ダイマージリノール酸ジ(イソステアリル/フィトステリル)、ダイマージリノール酸(フィトステリル/イソステアリル/セチル/ステアリル/ベヘニル)、トリポリヒドロキシステアリン酸ジペンタエリスリチル、テトラ(ヒドロキシステアリン酸/イソステアリン酸)ジペンタエリスリチル、ラウロイルグルタミン酸ジ(コレステリル/ベヘニル/オクチルドデシル)、ラウロイルグルタミン酸ジ(オクチルドデシル/フィトステリル/ベヘニル)、ミリストイルメチル-β-アラニン(フィトステリル/デシルテトラデシル)、ヒドロキシステアリン酸コレステリル、ヒドロキシステアリン酸フィトステリル、オレイン酸フィトステリル、ヒマワリ種子フィトステリル、ラノリンロウ、イソステアリン酸フィトステリル、ジペンタエリトッド脂肪酸エステル(1)、ジペンタエリトッド脂肪酸エステル(2)、ヘキサオキシステアリン酸ジペンタエリトッド、及び(エチルヘキサン酸/ステアリン酸/アジピン酸)グリセリルが挙げられる。具体例として挙げた抱水性油剤は、いずれも、上記の抱水性試験において測定される抱水力が100%以上である。
これらの中でも、抱水性油剤としては、市場実績及び市場流通性の観点から、ラウロイルグルタミン酸ジ(フィトステリル/オクチルドデシル)、ラウロイルグルタミン酸ジ(コレステリル/オクチルドデシル)、ダイマージリノール酸ジ(イソステアリル/フィトステリル)、ダイマージリノール酸ジ(フィトステリル/イソステアリル/セチル/ステアリル/ベヘニル)、トリポリヒドロキシステアリン酸ジペンタエリスリチル、及びテトラ(ヒドロキシステアリン酸/イソステアリン酸)ジペンタエリスリチルからなる群より選ばれる少なくとも1種が好ましく、ラウロイルグルタミン酸ジ(フィトステリル/オクチルドデシル)がより好ましい。
【0035】
抱水性油剤としては、市販品を使用できる。
抱水性油剤の市販品の例としては、味の素(株)製のエルデュウ(登録商標) PS-203、エルデュウ(登録商標) CL-202、エルデュウ(登録商標) APS-307、エルデュウ(登録商標) CL-391、及びエルデュウ(登録商標) PC-304、日本精化(株)製のLUSPLAN(登録商標) PI-DA、Plandool(登録商標)-S、Plandool(登録商標)-H、Plandool(登録商標)-SUN、及びPlandool(登録商標)-ISS、並びに、日清オイリオ(株)製のサラコス(登録商標) WO-6、コスモール(登録商標) 168EV、サラコス(登録商標) HS、サラコス(登録商標) FH、サラコス(登録商標) PO(T)、コスモール(登録商標) 168AR、コスモール(登録商標) 168M、及びノムコート(登録商標) LAHが挙げられる。
【0036】
本開示の水中油型乳化化粧料は、抱水性油剤を1種のみ含んでいてもよく、2種以上含んでいてもよい。
【0037】
本開示の水中油型乳化化粧料における抱水性油剤の含有率は、特に限定されないが、例えば、水中油型乳化化粧料の全質量に対して、0.1質量%~10質量%であることが好ましい。
本開示の水中油型乳化化粧料における抱水性油剤の含有率が、水中油型乳化化粧料の全質量に対して0.1質量%以上であると、肌に適用した後に、より良好な保湿感が得られる傾向がある。
このような観点から、本開示の水中油型乳化化粧料における抱水性油剤の含有率は、水中油型乳化化粧料の全質量に対して、0.1質量%以上であることが好ましく、0.3質量%以上であることがより好ましく、0.5質量%以上であることが更に好ましく、1質量%以上であることが特に好ましい。
また、本開示の水中油型乳化化粧料における抱水性油剤の含有率が、水中油型乳化化粧料の全質量に対して10質量%以下であると、肌に適用した後のべたつき感がより抑制される傾向がある。
このような観点から、本開示の水中油型乳化化粧料における抱水性油剤の含有率は、水中油型乳化化粧料の全質量に対して、10質量%以下であることが好ましく、8質量%以下であることがより好ましく、5質量%以下であることが更に好ましく、3質量%以下であることが特に好ましい。
【0038】
〔増粘多糖類〕
本開示の水中油型乳化化粧料は、増粘多糖類を含む。
本開示の水中油型乳化化粧料において、増粘多糖類は、水中油型乳化化粧料の経時安定性の向上に寄与し得る。
【0039】
増粘多糖類は、特に限定されない。
増粘多糖類には、多糖類及びその誘導体が含まれる。
増粘多糖類は、天然物由来の多糖類及びその誘導体であってもよく、化学合成により得られた多糖類及びその誘導体であってもよい。ここで、天然物には、動物、植物、及び微生物が含まれる。
増粘多糖類として用いられる多糖類の誘導体としては、多糖類における糖の一部に、アルキル基、ポリエチレンオキシド基、ポリプロピレンオキシド基等を結合させたもの、グルコース、ラクトース、スクロース等の単体又はそれら糖を構成単位とする高分子を結合させたものなどが挙げられる。
【0040】
増粘多糖類の具体例としては、ジェランガム、カラギーナン、アルカシーラン、キサンタンガム、プルラン、ローカストビーンガム、ヒドロキシプロピルキサンタンガム、グアガム、ヒドロキシプロピルグアーガム、アクリル酸Naグラフトデンプン、アラビアガム、カラヤガム、タマリンドガム、及びヒドロキシエチルセルロースが挙げられる。
これらの中でも、増粘多糖類としては、例えば、様々な剤型の水中油型乳化化粧料への応用のしやすさの観点から、ジェランガム、カラギーナン、アルカシーラン、キサンタンガム、プルラン、ローカストビーンガム、ヒドロキシプロピルキサンタンガム、グアガム、ヒドロキシプロピルグアーガム、及びアクリル酸Naグラフトデンプンからなる群より選ばれる少なくとも1種が好ましい。
また、増粘多糖類としては、例えば、水中油型乳化化粧料の経時安定性及び使用感の観点から、ジェランガム、カラギーナン、アルカシーラン、キサンタンガム、プルラン、及びローカストビーンガムからなる群より選ばれる少なくとも1種が好ましく、ジェランガム及びアルカシーランから選ばれる少なくとも1種がより好ましく、ジェランガムが更に好ましい。
【0041】
本開示の水中油型乳化化粧料は、増粘多糖類を1種のみ含んでいてもよく、2種以上含んでいてもよい。
【0042】
本開示の水中油型乳化化粧料における増粘多糖類の含有率は、特に限定されないが、例えば、水中油型乳化化粧料の全質量に対して、0.05質量%~3質量%であることが好ましい。
本開示の水中油型乳化化粧料における増粘多糖類の含有率が、水中油型乳化化粧料の全質量に対して0.05質量%以上であると、水中油型乳化化粧料の経時安定性がより向上する傾向がある。
このような観点から、本開示の水中油型乳化化粧料における増粘多糖類の含有率は、水中油型乳化化粧料の全質量に対して、0.05質量%以上であることが好ましく、0.08質量%以上であることがより好ましく、0.1質量%以上であることが更に好ましい。
また、本開示の水中油型乳化化粧料における増粘多糖類の含有率が、水中油型乳化化粧料の全質量に対して3質量%以下であると、肌に適用した後のべたつき感がより抑制される傾向がある。
このような観点から、本開示の水中油型乳化化粧料における増粘多糖類の含有率の上限は、水中油型乳化化粧料の全質量に対して、3質量%以下であることが好ましく、2質量%以下であることがより好ましく、1質量%以下であることが更に好ましく、0.8質量%以下であることが特に好ましい。
【0043】
〔アクリル系ポリマー〕
本開示の水中油型乳化化粧料は、アクリル系ポリマーを含む。
本開示の水中油型乳化化粧料において、アクリル系ポリマーは、水中油型乳化化粧料の経時安定性の向上に寄与し得る。
【0044】
本開示において「アクリル系ポリマー」とは、(メタ)アクリロイル基を有するモノマーに由来する構成単位を含むポリマーを意味する。また、本開示において「(メタ)アクリロイル」は、「アクリロイル」及び「メタクリロイル」の両方を包含する用語である。
【0045】
アクリル系ポリマーの重量平均分子量は、特に限定されないが、例えば、5,000~20,000,000であることが好ましく、10,000~10,000,000であることがより好ましい。
アクリル系ポリマーの重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により、ポリスチレンを標準物質として測定される。
【0046】
アクリル系ポリマーの具体例としては、(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C10-30))コポリマー、カルボキシビニルポリマー、(アクリル酸Na/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマー、(アクリロイルジメチルタウリンアンモニウム/VP)コポリマー、(アクリロイルジメチルタウリンアンモニウム/アクリル酸カルボキシエチルアンモニウム)クロスポリマー、及び(アクリロイルジメチルタウリンアンモニウム/メタクリル酸ベヘネス-25)クロスポリマーが挙げられる。
これらの中でも、アクリル系ポリマーとしては、例えば、様々な剤型の水中油型乳化化粧料への応用のしやすさの観点から、(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C10-30))コポリマー、カルボキシビニルポリマー、(アクリル酸Na/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマー、(アクリロイルジメチルタウリンアンモニウム/VP)コポリマー、及び(アクリロイルジメチルタウリンアンモニウム/アクリル酸カルボキシエチルアンモニウム)クロスポリマーからなる群より選ばれる少なくとも1種が好ましい。
また、アクリル系ポリマーとしては、例えば、肌に適用した後に、より良好な保湿感が得られるとの観点から、(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C10-30))コポリマー、カルボキシビニルポリマー、及び(アクリロイルジメチルタウリンアンモニウム/VP)コポリマーからなる群より選ばれる少なくとも1種が好ましい。
「VP」は、ビニルピロリドンの略称である。
【0047】
アクリル系ポリマーとしては、市販品を使用できる。
アクリル系ポリマーの市販品の例としては、ルーブリゾール(株)製のPemulen(登録商標) TR-2、Pemulen(登録商標) TR-1、Carbopol(登録商標) Ultrez 20 Polymer、Carbopol(登録商標) Ultrez 21 Polymer、Carbopol(登録商標) Ultrez 10、Carbopol(登録商標) ETD 2020 Polymer、Carbopol(登録商標) ETD 2050 Polymer、及びCarbopol(登録商標) 1382 Polymer、クラリアントジャパン(株)製のAristoflex(登録商標) AVC、Aristoflex(登録商標) HMB、及びAristoflex(登録商標) TAC、並びに、SEPPIC S.A.社製のSIMULGEL(登録商標) EGが挙げられる。
【0048】
本開示の水中油型乳化化粧料は、アクリル系ポリマーを1種のみ含んでいてもよく、2種以上含んでいてもよい。
【0049】
本開示の水中油型乳化化粧料におけるアクリル系ポリマーの含有率は、特に限定されないが、例えば、水中油型乳化化粧料の全質量に対して、0.05質量%~3質量%であることが好ましい。
本開示の水中油型乳化化粧料におけるアクリル系ポリマーの含有率が、水中油型乳化化粧料の全質量に対して0.05質量%以上であると、水中油型乳化化粧料の経時安定性がより向上する傾向がある。
このような観点から、本開示の水中油型乳化化粧料におけるアクリル系ポリマーの含有率は、水中油型乳化化粧料の全質量に対して、0.05質量%以上であることが好ましく、0.08質量%以上であることがより好ましく、0.1質量%以上であることが更に好ましい。
また、本開示の水中油型乳化化粧料におけるアクリル系ポリマーの含有率が、水中油型乳化化粧料の全質量に対して3質量%以下であると、肌に適用した後のべたつき感がより抑制される傾向がある。
このような観点から、本開示の水中油型乳化化粧料におけるアクリル系ポリマーの含有率の上限は、水中油型乳化化粧料の全質量に対して、3質量%以下であることが好ましく、2質量%以下であることがより好ましく、1質量%以下であることが更に好ましい。
【0050】
〔水〕
本開示の水中油型乳化化粧料は、水を含む。
水は、化粧料に使用可能な水であれば、特に限定されない。
水の具体例としては、天然水、精製水、蒸留水、イオン交換水、純水、及び超純水〔例えば、Milli-Q(登録商標)水〕が挙げられる。
これらの中でも、水としては、不純物が少ないという観点から、精製水、蒸留水、イオン交換水、純水、又は超純水が好ましい。
【0051】
本開示の水中油型乳化化粧料における水の含有率は、特に限定されないが、例えば、水中油型乳化化粧料の全質量に対して、50質量%~99質量%であることが好ましく、60質量%~97質量%であることがより好ましく、70質量%~95質量%であることが更に好ましい。
【0052】
〔界面活性剤〕
本開示の水中油型乳化化粧料は、界面活性剤を含まないか、又は、界面活性剤の含有率が水中油型乳化化粧料の全質量に対して0質量%を超えて0.5質量%以下の範囲であり、界面活性剤を含まないか、又は、界面活性剤の含有率が水中油型乳化化粧料の全質量に対して0質量%を超えて0.3質量%以下の範囲であることが好ましく、界面活性剤を含まないか、又は、界面活性剤の含有率が水中油型乳化化粧料の全質量に対して0質量%を超えて0.1質量%以下の範囲であることがより好ましく、界面活性剤を含まないか、又は、界面活性剤の含有率が水中油型乳化化粧料の全質量に対して0質量%を超えて0.05質量%以下の範囲であることが更に好ましく、界面活性剤を含まないことが特に好ましい。
本開示の水中油型乳化化粧料は、界面活性剤を含まないか、又は、界面活性剤の含有率が水中油型乳化化粧料の全質量に対して0質量%を超えて0.5質量%以下の範囲であると、肌に適用した後のべたつき感が抑制される傾向がある。
また、本開示の水中油型乳化化粧料は、界面活性剤を含まないか、又は、界面活性剤の含有率が水中油型乳化化粧料の全質量に対して0質量%を超えて0.5質量%以下の範囲であると、界面活性剤による肌への刺激が生じないか、又は、界面活性剤による肌への刺激が生じ難い。
【0053】
界面活性剤は、特に限定されない。
界面活性剤としては、例えば、化粧料〔即ち、化粧品及び医薬部外品(例えば、薬用化粧品)〕の分野において、一般に界面活性剤として使用されている成分が挙げられる。
界面活性剤は、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤、又はノニオン性界面活性剤のいずれであってもよく、これらの組み合わせであってもよい。
一般に、イオン性界面活性剤は、肌への刺激が懸念される。
本開示の水中油型乳化化粧料は、界面活性剤を含まないか、又は、界面活性剤の含有率が水中油型乳化化粧料の全質量に対して0質量%を超えて0.5質量%以下の範囲であるため、界面活性剤が、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、及び両性界面活性剤からなる群より選ばれる少なくとも1種のイオン性界面活性剤であっても、界面活性剤による肌への刺激が生じないか、又は、界面活性剤による肌への刺激が生じ難い。
【0054】
〔エステル油〕
本開示の水中油型乳化化粧料は、更に、エステル油を含むことが好ましい。
本開示の水中油型乳化化粧料において、エステル油は、水中油型乳化化粧料の製造適性の向上に寄与し得る。
【0055】
エステル油は、特に限定されないが、例えば、水中油型乳化化粧料の製造適性がより向上し得るとの観点から、低粘度のエステル油であることが好ましい。
本開示において、「低粘度のエステル油」とは、25℃にしたときの粘度が100mPa・s以下であるエステル油を意味する。エステル油の粘度は、B型粘度計を用いて測定される値である。
【0056】
エステル油の具体例としては、トリエチルへキサノイン、トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル、パルミチン酸イソプロピル、イソノナン酸イソトリデシル、エチルヘキサン酸セチル、ミリスチン酸オクチルドデシル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸イソセチル、パルミチン酸エチルヘキシル、エチルヘキサン酸ヘキシルデシル、ネオペンタン酸イソステアリル、ネオペンタン酸オクチルドデシル、イソノナン酸イソトリデシル、イソステアリン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、イソノナン酸イソノニル、ネオペンタン酸イソデシル、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、ジエチルヘキサン酸ネオペンチルグリコール、ジカプリン酸PG、ジカプリル酸PG、トリエチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、テトラエチルヘキサン酸ペンタエリスリチル、及びイソステアリン酸ヘキシルデシルが挙げられる。なお、上記「PG」は、プロピレングリコールの略称である。具体例として挙げたエステル油は、いずれも低粘度のエステル油である。
これらの中でも、エステル油としては、例えば、使用感及び市場実績の観点から、トリエチルへキサノイン、トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル、パルミチン酸イソプロピル、イソノナン酸イソトリデシル、エチルヘキサン酸セチル、及びミリスチン酸オクチルドデシルからなる群より選ばれる少なくとも1種が好ましい。
【0057】
本開示の水中油型乳化化粧料は、エステル油を含む場合、エステル油を1種のみ含んでいてもよく、2種以上含んでいてもよい。
【0058】
本開示の水中油型乳化化粧料におけるエステル油の含有率は、特に限定されない。
本開示の水中油型乳化化粧料がエステル油を含む場合、エステル油の含有率は、水中油型乳化化粧料の全質量に対して、0.1質量%~15質量%であることが好ましく、0.2質量%~10質量%であることがより好ましく、0.5質量%~5質量%であることが更に好ましい。
【0059】
〔炭化水素油〕
本開示の水中油型乳化化粧料は、更に、炭化水素油を含むことが好ましい。
本開示の水中油型乳化化粧料において、炭化水素油は、保湿感の向上に寄与し得る。
【0060】
炭化水素油の具体例としては、ワセリン、マイクロクリスタリンワックス、水添ポリイソブテン、セレシン、ミツロウ、キャンデリラロウ、シア脂、ホホバ種子油、ヒドロキシステアリン酸、スクワラン、及び流動パラフィンが挙げられる。
これらの中でも、炭化水素油としては、例えば、保湿感の向上の観点から、ワセリン、マイクロクリスタリンワックス、水添ポリイソブテン、セレシン、ミツロウ、キャンデリラロウ、シア脂、ホホバ種子油、及びヒドロキシステアリン酸からなる群より選ばれる少なくとも1種が好ましく、ワセリンがより好ましい。
【0061】
本開示の水中油型乳化化粧料は、炭化水素油を含む場合、炭化水素油を1種のみ含んでいてもよく、2種以上含んでいてもよい。
【0062】
本開示の水中油型乳化化粧料における炭化水素油の含有率は、特に限定されない。
本開示の水中油型乳化化粧料が炭化水素油を含む場合、炭化水素油の含有率は、水中油型乳化化粧料の全質量に対して、0.1質量%~15質量%であることが好ましく、0.2質量%~10質量%であることがより好ましく、0.5質量%~5質量%であることが更に好ましい。
【0063】
〔その他の成分〕
本開示の水中油型乳化化粧料は、本開示の効果を損なわない範囲において、必要に応じて、既述の成分以外の成分(所謂、その他の成分)を含んでいてもよい。
その他の成分としては、例えば、化粧料において通常用いられる添加成分(以下、単に「添加成分」ともいう。)が挙げられる。
【0064】
<添加成分>
本開示の水中油型乳化化粧料は、添加成分を含んでいてもよい。
添加成分としては、例えば、化粧料(所謂、化粧品及び薬用化粧品)に使用した際に有用な美容効果(保湿効果、美白効果、整肌効果等)を示す機能性成分が挙げられる。
このような機能性成分としては、パルミチン酸L-アスコルビル等のアスコルビン酸誘導体;β-カロテン、アスタキサンチン、ゼアキサンチン、リコピン、ルテイン等のカロテノイド;トコフェロール、トコトリエノール等のビタミンE;パルミチン酸レチノール等のレチノール誘導体;コエンザイムQ10等のユビキノン;グリセリン、1,3-ブチレングリコール(化粧品の成分表示名称:BG)、ジプロピレングリコール(DPG)等の多価アルコール;ヒアルロン酸、エリスリトール、キシリトール、グルコース、ソルビトール、トレハロース等の多糖類;グルコシルセラミド、ガラクトシルセラミド等のスフィンゴ糖脂質;加水分解コラーゲン、水溶性コラーゲン等のコラーゲン;アセチルヒドロキシプロリン等のアミノ酸;加水分解シロバナルーピンタンパク;ニコチン酸アミド;ポリエチレングリコール;アセンヤクエキス;ヒオウギエキス;グリチルリチン酸ジカリウムなどが挙げられる。
上記以外の添加成分としては、抗酸化剤、シリコーン油剤(シクロペンタシロキサン、ジメチコン等)、緩衝剤(クエン酸、リン酸等)、pH調整剤(水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、塩酸等)、防腐剤(フェノキシエタノール、エチルへキシルグリセリン等)、紫外線吸収剤、抗炎症剤、着色剤、香料等が挙げられる。
これらの添加成分は、1つの成分が2つ以上の機能を担うものであってもよい。
【0065】
本開示の水中油型乳化化粧料は、増粘多糖類としてジェランガムを含む場合、添加成分として塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム等の塩を含むことが好ましい。ジェランガムと塩とを併用することで、水中油型乳化化粧料の剤型をジェルにする場合に、ジェルの強度をより向上させることができる。
【0066】
本開示の水中油型乳化化粧料は、その他の成分を含む場合、その他の成分を1種のみ含んでいてもよく、2種以上含んでいてもよい。
【0067】
本開示の水中油型乳化化粧料がその他の成分を含む場合、その他の成分の含有率は、特に限定されず、目的に応じて、適宜設定できる。
【0068】
-乳化粒子の平均粒子径-
本開示の水中油型乳化化粧料における乳化粒子の平均粒子径は、特に限定されないが、例えば、15μm以下であることが好ましく、10μm以下であることがより好ましく、6μm以下であることが更に好ましい。
本開示の水中油型乳化化粧料における乳化粒子の平均粒子径の下限は、特に限定されないが、例えば、1μm以上であることが好ましい。
【0069】
本開示において、乳化粒子の「平均粒子径」とは、体積平均粒子径を意味する。
乳化粒子の平均粒子径は、水中油型乳化化粧料を超純水にて10倍に希釈し、粒度分布計を用いて、動的光散乱法により測定される。
粒度分布計としては、例えば、マイクロトラック・ベル(株)製のナノトラックUPA(商品名)を好適に使用できる。但し、粒度分布計は、これに限定されない。
【0070】
[水中油型乳化化粧料の用途]
本開示の水中油型乳化化粧料は、化粧品又は医薬部外品(所謂、薬用化粧品)として、好適に用いることができる。
【0071】
[水中油型乳化化粧料の剤型]
本開示の水中油型乳化化粧料の剤型は、特に限定されない。
本開示の水中油型乳化化粧料の剤型としては、例えば、液状、ジェル、乳液、クリーム等が挙げられる。
【0072】
[水中油型乳化化粧料の製造方法]
本開示の水中油型乳化化粧料の製造方法は、特に限定されない。
本開示の水中油型乳化化粧料は、(PEG-240/デシルテトラデセス-20/HDI)コポリマーと、トリメチルグリシンと、グリチルレチン酸ステアリルと、抱水性油剤と、増粘多糖類と、アクリル系ポリマーと、水と、必要に応じて、エステル油と、炭化水素油と、既述の添加成分と、を用いて、公知の水中油型乳化化粧料の製造方法に従って、製造できる。
【0073】
本開示の水中油型乳化化粧料の好ましい製造方法は、例えば、少なくとも(PEG-240/デシルテトラデセス-20/HDI)コポリマー、トリメチルグリシン、増粘多糖類、アクリル系ポリマー、及び水を含む水相組成物と、少なくともグリチルレチン酸ステアリル及び抱水性油剤を含む油相組成物とを混合して、乳化分散を行う方法である。
【0074】
水相組成物は、例えば、(PEG-240/デシルテトラデセス-20/HDI)コポリマーと、トリメチルグリシンと、増粘多糖類と、アクリル系ポリマーと、水と、所望により配合される添加成分のうち水性の添加成分と、を混合することにより調製できる。
水相組成物の調製に際しては、水相組成物に配合される全ての成分を一度に混合してもよく、水相組成物に配合される各成分をいくつかに分けて混合してもよい。
水相組成物に配合される成分は、水相組成物中において、単に混合されていればよいが、均一に混合されていることが好ましい。
混合方法は、特に限定されない。
混合方法としては、例えば、撹拌により混合する方法が挙げられる。
撹拌には、一般的な撹拌器具又は撹拌装置を使用できる。
【0075】
撹拌温度は、特に限定されないが、例えば、突沸を防ぐ観点から、100℃以下に設定することが好ましく、60℃~90℃に設定することがより好ましい。
温度を調整する手段は、特に限定されない。
温度を調整する手段としては、一般的な加熱装置(例えば、ウォーターバス)を使用できる。
撹拌時間は、特に限定されず、撹拌器具又は撹拌装置の種類、水相組成物の組成等に応じて、適宜設定できる。
撹拌温度及び撹拌時間の好ましい態様の一例としては、撹拌温度が80℃であり、かつ、撹拌時間が1時間である態様が挙げられる。
【0076】
油相組成物は、例えば、グリチルレチン酸ステアリルと、抱水性油剤と、所望により配合される添加成分のうち油性の添加成分(例:エステル油、炭化水素油等)と、を混合することにより調製できる。
油相組成物の調製に際しては、油相組成物に配合される全ての成分を一度に混合してもよく、油相組成物に配合される各成分をいくつかに分けて混合してもよい。
油相組成物に配合される成分は、油相組成物中において、単に混合されていればよいが、均一に混合されていることが好ましい。
混合方法は、特に限定されない。
混合方法としては、例えば、撹拌により混合する方法が挙げられる。
撹拌には、一般的な撹拌器具又は撹拌装置を使用できる。
【0077】
撹拌温度は、特に限定されないが、例えば、60℃~90℃に設定することが好ましい。
温度を調整する手段は、特に限定されない。
温度を調整する手段としては、一般的な加熱装置(例えば、ウォーターバス)を使用できる。
撹拌時間は、特に限定されず、撹拌器具又は撹拌装置の種類、油相組成物の組成等に応じて、適宜設定できる。
撹拌温度及び撹拌時間の好ましい態様の一例としては、撹拌温度が80℃であり、かつ、撹拌時間が1時間である態様が挙げられる。
【0078】
乳化分散の方法は、特に限定されない。
油相組成物と水相組成物とを一度に混合して、乳化分散を行ってもよいが、水相組成物を撹拌し、撹拌中の水相組成物に、油相組成物を少しずつ添加しながら混合して、乳化分散を行うことが好ましい。
乳化分散の際には、例えば、スターラー、インペラー、ホモミキサー、連続流通式剪断装置等の剪断作用を利用する通常の乳化手段を用いることができる。
更なる粒子径の均一化を図る目的で、乳化分散を複数回行ってもよい。
【0079】
油相組成物と水相組成物との比率(油相組成物/水相組成物)は、特に限定されないが、例えば、質量基準で、1/99~50/50とすることが好ましく、3/97~40/60とすることがより好ましく、5/95~30/70とすることが更に好ましく、10/90~20/80とすることが特に好ましい。
【実施例0080】
以下、本開示の水中油型乳化化粧料を実施例により更に具体的に説明する。但し、本開示の水中油型乳化化粧料は、その主旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
【0081】
[水中油型乳化化粧料の製造]
〔実施例1〕
下記の表1に記載の成分のうち、(PEG-240/デシルテトラデセス-20/HDI)コポリマーと、トリメチルグリシンと、増粘多糖類であるジェランガムと、アクリル系ポリマーである(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C10-30))コポリマーと、水と、その他の水性の添加成分とを容器に入れ、80℃のウォーターバス中で、スターラーを用いて、1時間撹拌することにより、水相組成物を得た。
次に、下記の表1に記載の成分のうち、グリチルレチン酸ステアリルと、抱水性油剤であるラウロイルグルタミン酸ジ(フィトステリル/オクチルドデシル)と、エステル油であるトリエチルヘキサノインと、炭化水素油であるワセリンと、その他の油性の添加成分とを容器に入れ、80℃のウォーターバス中で、スターラーを用いて、1時間撹拌することにより、油相組成物を得た。
次に、真空乳化撹拌装置〔型式:PVQ-3/7UN、みづほ工業(株)製〕を用いて、水相組成物を撹拌し、撹拌中の水相組成物に、油相組成物を少しずつ添加しながら混合することにより、実施例1の水中油型乳化化粧料を得た。
【0082】
〔実施例2~実施例8〕
実施例1において、水中油型乳化化粧料の組成を表1に記載の組成に変更したこと以外は、実施例1と同様の操作を行い、実施例2~実施例8の各水中油型乳化化粧料を得た。
【0083】
〔実施例9~実施例22〕
実施例1において、水中油型乳化化粧料の組成を表2に記載の組成に変更したこと以外は、実施例1と同様の操作を行い、実施例9~実施例22の各水中油型乳化化粧料を得た。
【0084】
〔比較例1~比較例6〕
実施例1において、水中油型乳化化粧料の組成を表3に記載の組成に変更したこと以外は、実施例1と同様の操作を行い、比較例1~比較例6の各水中油型乳化化粧料を得た。
【0085】
[平均粒子径の測定]
実施例1~実施例22の各水中油型乳化化粧料における乳化粒子の平均粒子径を、下記に示す方法により測定した。
調製直後(調製から24時間以内)の水中油型乳化化粧料を、蒸留水を用いて20倍に希釈した。次いで、希釈後の水中油型乳化化粧料中における乳化粒子の平均粒子径(体積平均粒子径)を、雰囲気温度25℃の環境下、粒度分布計レーザ回折/散乱式粒度分布測定装置〔型式:LA-960、(株)堀場製作所製〕を用いて、粒度分布を測定した。その結果、実施例1~実施例22の各水中油型乳化化粧料における乳化粒子の平均粒子径は、いずれも2μm~6μmの範囲内であった。
【0086】
[評価]
実施例1~実施例22及び比較例1~比較例6の各水中油型乳化化粧料について、下記に示す評価を行った。結果を表1~表3に示す。
【0087】
1.経時安定性
水中油型乳化化粧料の粘度変化及び外観変化(詳細には、分離)を指標として、水中油型乳化化粧料の経時安定性の評価を行った。
まず、調製翌日の水中油型乳化化粧料の25℃における粘度(単位:mPa・s;以下、同じ。)を測定した。ここで得られた粘度を「初期粘度」とする。
なお、粘度の測定は、測定装置として、B型粘度計〔商品名:TVB-10M型粘度計、東機産業(株)製〕を用い、使用ローター:No.4、及び、回転数:6rpm(revolutions per minute)の条件にて行った。
また、調製直後の水中油型乳化化粧料を70g秤量し、ガラス瓶に入れて密閉し、保管用サンプルを作製した。作製した保管用サンプルを、50℃に設定した恒温槽に入れて保管した。保管から1ヵ月後に、恒温槽から保管用サンプルを取り出し、ガラス瓶内の水中油型乳化化粧料を目視にて観察し、分離の有無を確認した。そして、分離が確認されなかった水中油型乳化化粧料については、25℃における粘度を、上記と同様の方法により測定した。ここで得られた粘度を「経時粘度」という。
初期粘度及び経時粘度から、下記の式(1)に基づき、粘度変化率(%)を算出した。
【0088】
粘度変化率(%)=[(初期粘度-経時粘度)/初期粘度]×100 ・・・式(1)
【0089】
上記の観察により分離が確認されず、かつ、粘度変化率が30%未満であれば、経時安定性に優れる水中油型乳化化粧料であると判断した。なお、表1~表3では、粘度変化率が30%未満である場合を「安定」と表記し、粘度変化率が30%以上である場合を「不安定」と表記し、分離が確認された場合を「分離」と表記した。
【0090】
2.使用感
水中油型乳化化粧料について、下記の(1)及び(2)の使用感の評価を行った。なお、上記の「1.経時安定性」の評価において、「不安定」又は「分離」と評価されたものについては、使用感の評価を行わなかった。
【0091】
(1)べたつき感
水中油型乳化化粧料の使用感の1つとして、べたつき感の評価を行った。
評価モニター3名に、雰囲気温度25℃及び50%RHの環境下で、調製直後の水中油型乳化化粧料を指で顔に塗り広げてもらった後、塗り広げた部分の肌を手で触ってもらい、べたつきの有無及び程度を判定してもらった。
各評価モニターの判定結果を、下記の評価基準に従ってランク付けした後、各ランクの評価点を、A:4点、B:3点、C:2点、D:1点として、3名の評価点の平均値を算出した。なお、平均値の算出に際しては、小数点以下1桁目を四捨五入した。そして、平均値に対応する評価ランクを評価結果とした。
評価結果が「A」、「B」、又は「C」であれば、肌に適用した後のべたつき感が抑制された水中油型乳化化粧料であると判断した。最も優れる評価ランクは「A」である。
【0092】
-評価基準-
A:べたつきが全く感じられない。
B:べたつきが僅かに感じられるが、気にならないレベルである。
C:べたつきが感じられるが、許容できるレベルである
D:べたつきが強く感じられる。
【0093】
(2)保湿感
水中油型乳化化粧料の使用感の1つとして、保湿感の評価を行った。
評価モニター3名に、雰囲気温度25℃及び50%RHの環境下で、調製直後の水中油型乳化化粧料を指で顔に塗り広げてもらい、塗り広げてから1分後に、肌の表面に残るしっとりとした感触(所謂、保湿感)の有無及び程度を判定してもらった。
各評価モニターの判定結果を、下記の評価基準に従ってランク付けした後、各ランクの評価点を、A:4点、B:3点、C:2点、D:1点として、3名の評価点の平均値を算出した。なお、平均値の算出に際しては、小数点以下1桁目を四捨五入した。そして、平均値に対応する評価ランクを評価結果とした。
評価結果が「A」、「B」、又は「C」であれば、肌に適用した後のべたつき感が抑制された水中油型乳化化粧料であると判断した。最も優れる評価ランクは「A」である。
【0094】
-評価基準-
A:肌の表面に残るしっとりとした感触が非常に強い。
B:肌の表面に残るしっとりとした感触が強い。
C:肌の表面に残るしっとりとした感触が僅かにある。
D:肌の表面に残るしっとりとした感触が全くない。
【0095】
【0096】
【0097】
【0098】
表1~表3中、組成の欄に記載の「-」は、該当する成分を含まないことを意味する。
表3中、評価の欄に記載の「-」は、該当する評価を行わなかったことを意味する。
表1~表3では、便宜上、(PEG-240/デシルテトラデセス-20/HDI)コポリマー、トリメチルグリシン、グリチルレチン酸ステアリル、抱水性油剤、増粘多糖類、アクリル系ポリマー、水、エステル油、炭化水素油、及びその他の成分に該当する成分を、それぞれ「(A)」、「(B)」、「(C)」、「(D)」、「(E)」、「(F)」、「(G)」、「(H)」、「(I)」、及び「(J)」に分類して表記した。
【0099】
表1~表3に記載の各成分の詳細は、以下のとおりである。
<(A):(PEG-240/デシルテトラデセス-20/HDI)コポリマー>
・(PEG-240/デシルテトラデセス-20/HDI)コポリマー〔商品名:アデカノール(登録商標) GT-700、(株)ADEKA製〕
<(B):トリメチルグリシン>
・トリメチルグリシン〔商品名:アミノコート(登録商標)、旭化成ファインケム(株)製〕
<(C):グリチルレチン酸ステアリル>
・グリチルレチン酸ステアリル〔商品名:シーオーグレチノール(登録商標)、丸善製薬(株)製〕
【0100】
<(D):抱水性油剤>
・ラウロイルグルタミン酸ジ(フィトステリル/オクチルドデシル)〔商品名:エルデュウ(登録商標) PS-203、味の素(株)製〕
・ラウロイルグルタミン酸ジ(コレステリル/オクチルドデシル)〔商品名:エルデュウ(登録商標) CL-202、味の素(株)製〕
・ダイマージリノール酸ジ(イソステアリル/フィトステリル)〔商品名:LUSPLAN(登録商標) PI-DA、日本精化(株)製〕
・ダイマージリノール酸ジ(フィトステリル/イソステアリル/セチル/ステアリル/ベヘニル)〔商品名:Plandool(登録商標)-S、日本精化(株)製〕
・トリポリヒドロキシステアリン酸ジペンタエリスリチル〔商品名:サラコス(登録商標) WO-6、日清オイリオ(株)製〕
・テトラ(ヒドロキシステアリン酸/イソステアリン酸)ジペンタエリスリチル〔商品名:コスモール(登録商標) 168EV、日清オイリオ(株)製〕
【0101】
<(E):増粘多糖類>
・ジェランガム〔商品名:KELCOGEL(登録商標) CG-HA、三晶(株)製〕
・カラギーナン〔商品名:GENUGEL(登録商標) SWG-J、三晶(株)製〕
・アルカシーラン〔商品名:アルカシーラン、伯東(株)製〕
・プルラン〔商品名:化粧品用プルラン、(株)林原製〕
・ローカストビーンガム/キサンタンガム〔商品名:ノムコート(登録商標) CG、日清オイリオ(株)製〕
【0102】
<(F):アクリル系ポリマー>
・(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C10-30))コポリマー〔商品名:Pemulen(登録商標) TR-2、ルーブリゾール(株)製〕
・カルボキシビニルポリマー〔商品名:Carbopol(登録商標) ETD 2050 Polymer、ルーブリゾール(株)製〕
・(アクリロイルジメチルタウリンアンモニウム/VP)コポリマー〔商品名:Aristoflex(登録商標) AVC、クラリアントジャパン(株)製〕
【0103】
<(G):水>
・水(精製水)
<(H):エステル油>
・トリエチルヘキサノイン〔商品名:T.I.O、日清オイリオ(株)製〕
<(I):炭化水素油>
・ワセリン〔商品名:サンホワイト(登録商標) P-200、日興リカ(株)製〕
【0104】
<(J):その他の成分>
・塩化ナトリウム〔富士フイルム和光純薬(株)製〕
・グリセリン〔阪本薬品(株)製〕(多価アルコール)
・BG〔ダイセル化学(株)製〕(多価アルコール)
・DPG〔交洋ファインケミカル(株)製〕(多価アルコール)
・水溶性コラーゲン〔商品名:コラーゲンP(PF)、新田ゼラチン(株)製〕
・加水分解コラーゲン〔商品名:コラーゲン・トリペプチドF、ゼライス(株)製〕
・アセチルヒドロキシプロリン〔商品名:AHYP、協和発酵バイオ(株)製〕
・トコフェロール〔商品名:リケンEオイル800、理研(株)製〕
・パルミチン酸レチノール〔商品名:理研Aパルミテート1000(E)、理研ビタミン(株)製〕
・フェノキシエタノール〔富士フイルム和光純薬(株)製〕(防腐剤)
・水酸化カリウム〔富士フイルム和光純薬(株)製〕(pH調整剤)
・PEG-60水添ヒマシ油〔日光ケミカルズ(株)製〕(界面活性剤)
【0105】
表1及び表2に示すように、実施例の水中油型乳化化粧料は、いずれも経時安定性に優れることが確認された。また、実施例の水中油型乳化化粧料は、いずれも、肌に適用した後のべたつき感が抑制され、かつ、肌に適用した後に保湿感が得られ、使用感が良好であることが確認された。
【0106】
一方、表3に示すように、(PEG-240/デシルテトラデセス-20/HDI)コポリマーを含まない比較例1の水中油型乳化化粧料は、実施例の水中油型乳化化粧料と比較して、経時安定性に劣ることが確認された。
トリメチルグリシンを含まない比較例2の水中油型乳化化粧料は、肌に適用した後にべたつきが強く感じられ、使用感が良好ではないことが確認された。
抱水性油剤を含まない比較例3の水中油型乳化化粧料は、肌に適用した後、肌の表面に残るしっとりとした感触が全くなく、使用感が良好ではないことが確認された。
増粘多糖類を含まない比較例4の水中油型乳化化粧料は、実施例の水中油型乳化化粧料と比較して、経時安定性に劣ることが確認された。
アクリル系ポリマーを含まない比較例5の水中油型乳化化粧料は、実施例の水中油型乳化化粧料と比較して、経時安定性に劣ることが確認された。
界面活性剤の含有率が水中油型乳化化粧料の全質量に対して0.5質量%を超える比較例6の水中油型乳化化粧料は、肌に適用した後にべたつきが強く感じられ、使用感が良好ではないことが確認された。