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特開2022-87054基材処理装置の反応チャンバー内に配置されるように構成されたインジェクター
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022087054
(43)【公開日】2022-06-09
(54)【発明の名称】基材処理装置の反応チャンバー内に配置されるように構成されたインジェクター
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/31 20060101AFI20220602BHJP
   H01L 21/22 20060101ALI20220602BHJP
   H01L 21/324 20060101ALI20220602BHJP
   C23C 16/455 20060101ALI20220602BHJP
【FI】
H01L21/31 F
H01L21/22 511S
H01L21/324 R
C23C16/455
【審査請求】未請求
【請求項の数】22
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021191186
(22)【出願日】2021-11-25
(31)【優先権主張番号】63/119,216
(32)【優先日】2020-11-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】519237203
【氏名又は名称】エーエスエム・アイピー・ホールディング・ベー・フェー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ルシアン・シー・イディラ
(72)【発明者】
【氏名】クリス・ジー・エム・デ・リーデル
【テーマコード(参考)】
4K030
5F045
【Fターム(参考)】
4K030CA04
4K030EA03
4K030EA05
4K030EA06
4K030GA06
4K030KA45
5F045AA06
5F045AB31
5F045AD01
5F045AE01
5F045BB08
5F045DP19
5F045DQ05
5F045EC02
5F045EF01
5F045EF02
5F045EF03
5F045EF11
5F045EK06
(57)【要約】
【課題】本発明は、反応チャンバー内にガスを注入するための基材処理装置の反応チャンバー内の配置のために構成されたインジェクターを提供する。
【解決手段】インジェクターは、第一の軸に沿って細長くてもよく、また第一の軸に沿って延在する、かつ少なくとも一つのガス入口開口部および少なくとも一つのガス出口開口部が設けられた内部ガス伝導チャネルを有して構成されてもよい。インジェクターは、第一の軸および第二の軸に垂直な第三の軸に沿って延在するインジェクターの奥行きよりも実質的に大きい、第一の軸に垂直な第二の軸に沿って延在する幅を有してもよい。インジェクターの壁は、変化する厚さを有してもよい。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
反応チャンバー内にガスを注入するために基材処理装置の前記反応チャンバー内に配置されるように構成されたインジェクターであって、該インジェクターは第一の軸に沿って実質的に細長であり、該インジェクターは前記第一の軸に沿って延在する内部ガス伝導チャネルを備えて構成され、該インジェクターには少なくとも一つのガス入口開口部および少なくとも一つのガス出口開口部が設けられ、該インジェクターは前記第一の軸に垂直な第二の軸に沿った幅を有し、前記幅が、前記第一の軸および前記第二の軸に垂直な第三の軸に沿った該インジェクターの奥行きよりも実質的に大きく、該インジェクターの壁の厚さが変化している、インジェクター。
【請求項2】
前記インジェクターの壁の厚さが前記第二の軸に沿って変化している、請求項1に記載のインジェクター。
【請求項3】
前記インジェクターの壁の厚さが前記第三の軸に沿って変化している、請求項1に記載のインジェクター。
【請求項4】
前記インジェクターの壁の厚さが、前記第二の軸および前記第三の軸に沿って該壁の外周にわたって変化している、請求項1に記載のインジェクター。
【請求項5】
前記インジェクターの壁の厚さが、前記第一の軸の大部分に沿って変化している、請求項1に記載のインジェクター。
【請求項6】
前記内部ガス伝導チャネルが実質的に楕円形状の断面を有することによって、前記内部ガス伝導チャネルが前記第三の軸よりも前記第二の軸に沿って実質的に大きく延在し、前記実質的に楕円形状の断面が、前記壁の厚さが増大していることによって前記第二の軸の方向の中間で部分的にくびれている、請求項1に記載のインジェクター。
【請求項7】
前記実質的に楕円形状の断面が、前記壁に設けられかつ前記内部ガス伝導チャネルの中に延在する球状部によって、前記第二の軸の方向の中間で部分的にくびれている、請求項6に記載のインジェクター。
【請求項8】
前記球状部の表面が、前記第一の軸に平行な軸に対して一定の半径を有する円を部分的に辿る、請求項7に記載のインジェクター。
【請求項9】
前記インジェクターが、前記インジェクターの第一の端に一つのガス入口開口部を有する、請求項1に記載のインジェクター。
【請求項10】
前記インジェクターが、前記第一の端と反対側の第二の端に単一のガス出口開口部を有する、請求項9に記載のインジェクター。
【請求項11】
前記インジェクターが、前記第一の端と反対側の第二の端で長さ方向に沿って複数のガス出口穴を有する、請求項9に記載のインジェクター。
【請求項12】
前記第三の軸の方向における前記インジェクターの奥行きが、第二の端に向かって減少している、請求項1に記載のインジェクター。
【請求項13】
前記インジェクター内部の前記内部ガス伝導チャネルの水平内側断面積が、100mm~1500mmである、請求項1に記載のインジェクター。
【請求項14】
基材処理装置であって、
チューブと、
前記チューブの内部に延在するように構成された閉鎖ライナーと、
前記チューブの内部にガスを提供するインジェクターと、
前記内部からガスを除去するためのガス排気ダクトと、を備え、
前記閉鎖ライナーが、下端のライナー開口部によって区切られた実質的に円筒状の壁と、上端の上部閉鎖部を備え、前記閉鎖ライナーが、前記ライナー開口部の上方のガスに対して実質的に閉鎖されていて、前記インジェクターが請求項1に記載のインジェクターである、基材処理装置。
【請求項15】
前記基材処理装置が複数のインジェクターを備え、前記複数のインジェクターのうちの少なくとも一つが異なる長さを有する、請求項14に記載の基材処理装置。
【請求項16】
前記複数のインジェクターのうちの最も長いインジェクターが、前記閉鎖ライナーの前記上部閉鎖部を閉じるように内部に延在している、請求項15に記載の基材処理装置。
【請求項17】
前記複数のインジェクターのうちの最も長いインジェクターが単一のガス出口穴を有する、請求項15に記載の基材処理装置。
【請求項18】
前記複数のインジェクターのうちの最も長いインジェクターが複数のガス出口穴を有する、請求項15に記載の基材処理装置。
【請求項19】
前記複数のインジェクターのうちの最も短いインジェクターが複数のガス出口穴を有する、請求項15に記載の基材処理装置。
【請求項20】
前記閉鎖ライナーが実質的に円筒状であり、前記インジェクター内部の前記内部ガス伝導チャネルの水平内側断面積が、前記実質的に円筒状のライナーの外周の接線方向の寸法が半径方向の寸法よりも大きくなる形状を有する、請求項14に記載の基材処理装置。
【請求項21】
前記インジェクターが前記閉鎖ライナーの上部閉鎖部の近くまで内部で延在し、前記インジェクターが、前記上部閉鎖部に近づくにつれて半径方向の寸法が減少している形状を有する、請求項20に記載の基材処理装置。
【請求項22】
前記閉鎖ライナーがフランジ上に支持され、前記閉鎖ライナーと前記チューブの間の周方向空間から前記ガスを前記ガス排気ダクトへと除去するために、前記閉鎖ライナーと前記フランジの間にガス排気開口部が設けられている、請求項14に記載の基材処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、反応チャンバー内にガスを注入するために基材処理装置の反応チャンバー内に配置されるように構成されたインジェクターに関する。インジェクターは、第一の軸に沿って実質的に細長くてもよく、また第一の軸に沿って延在する、かつ少なくとも一つのガス入口開口部および少なくとも一つのガス出口開口部が設けられた内部ガス伝導チャネルを備えて構成されてもよい。インジェクターは、第一の軸に垂直な第二の軸に沿って延在する幅を有し、その幅は、第一の軸および第二の軸に垂直な第三の軸に沿って延在するインジェクターの奥行きよりも実質的に大きくなり得る。
【背景技術】
【0002】
基材、例えば半導体ウエハを処理するための、縦型炉などの基材処理装置は、ベルジャー形状のプロセスチューブの周りに定置された加熱要素を含んでもよい。プロセスチューブの上端は、例えばドーム形状の構造によって閉鎖されていてもよく、プロセスチューブの下端面は開放していてもよい。
【0003】
下端はフランジによって部分的に閉鎖されていてもよい。チューブおよびフランジによって境界付けられた内部は、反応チャンバーを形成し、その中で、取り扱われるウエハが処理されてもよい。フランジには、ウエハを搬送するウエハボートを反応チャンバーの中に挿入するための入口開口部が設けられてもよい。ウエハボートは、垂直方向に移動可能に配置され、かつフランジにある入口開口部を閉め切るように構成されるドア上に定置されてもよい。
【0004】
フランジは、一つ以上のインジェクターを支持して、反応チャンバーにガスを提供してもよい。この目的のために、インジェクターは、内部ガス伝導チャネルを有して構成されてもよい。加えて、ガス排気ダクトが、フランジ内に設けられてもよい。このガス排気は、反応チャンバーからガスを送り出すための真空ポンプに接続されてもよい。反応チャンバー内にインジェクターによって提供されるガスは、ウエハ上の堆積反応のための反応(プロセス)ガスであってもよい。この反応ガスはまた、ウエハ以外の他の表面上にも堆積する場合があり、例えば内部ガス伝導チャネル内に堆積する場合がある。これらの堆積によって作り出された層は、インジェクターの詰まりおよび/または破損を引き起こす場合がある。
【発明の概要】
【0005】
従って、改善されたインジェクターが必要とされる場合がある。
【0006】
一実施形態において、反応チャンバー内にガスを注入するために基材処理装置の反応チャンバー内に配置されるように構成されたインジェクターが提供され得て、インジェクターは、第一の軸に沿って実質的に細長く、かつ第一の軸に沿って延在する内部ガス伝導チャネルを備えて構成され、かつ少なくとも一つのガス入口開口部および少なくとも一つのガス出口開口部が設けられ、またインジェクターは第一の軸に垂直な第二の軸に沿って延在する幅を有し得て、その幅は、第一の軸および第二の軸に垂直な第三の軸に沿って延在するインジェクターの奥行きよりも実質的に大きく、インジェクターの壁は、変化する厚さを有する。
【0007】
本発明の様々な実施形態は、互いに別個に適用されてもよく、または組み合わされてもよい。本発明の実施形態は、図面に示される一部の実施例を参照しながら、発明を実施するための形態においてさらに解明されるであろう。
【0008】
当然のことながら、図内の要素は単純化および明瞭化のために例示されていて、必ずしも実寸に比例して描かれていない。例えば、図内の要素のうちの幾つかの寸法は、本開示の例示された実施形態の理解の向上を助けるために他の要素に対して相対的に誇張されている場合がある。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】インジェクターを含む縦型炉のチューブの断面図を示す。
図2図1のチューブの概略上面図を示す。
図3図1および図2の縦型炉で使用する、一実施形態によるインジェクターの断面を示す。
図4a図1の縦型炉で使用する、別の実施形態によるインジェクターを概略的に示す。
図4b図1の縦型炉で使用する、別の実施形態によるインジェクターを概略的に示す。
図4c図1の縦型炉で使用する、別の実施形態によるインジェクターを概略的に示す。
図4d図1の縦型炉で使用する、別の実施形態によるインジェクターを概略的に示す。
図4e図1の縦型炉で使用する、別の実施形態によるインジェクターを概略的に示す。
図5】チューブ内に配置された図4a~図4eのインジェクターを図示する。
【発明を実施するための形態】
【0010】
この出願において、同様のまたは対応する特徴は、同様のまたは対応する参照符号によって示される。様々な実施形態の説明は、図に示される例に限定されず、また発明を実施するための形態および特許請求の範囲において使用される参照番号は、図に示される実施例について記述されるものを限定することを意図していない。
【0011】
図1は縦型炉の断面図を示す。縦型炉は、反応チャンバーを形成するプロセスチューブ12と、反応チャンバーを加熱するように構成されたヒーターHとを備えてもよい。ライナー2は、プロセスチューブ12に沿って設けられてもよく、ライナー2は、下端のライナー開口部および上端のドーム形状の上部閉鎖部2dによって区切られた実質的に円筒状の壁を備えてもよい。
【0012】
プロセスチューブ12の開口部を少なくとも部分的に閉鎖するためにフランジ3が設けられてもよい。垂直方向に移動可能に配置されたドア14は、フランジ3の中央入口開口部Oを閉め切るように構成されてもよく、また基材Wを保持するように構成されているウエハボートBを支持するように構成されてもよい。ドア14にはペデスタルRが設けられてもよい。ペデスタルRは、反応チャンバー内のウエハボートBを回転させるように回転されてもよい。
【0013】
図1に示す実施例において、ライナー2は、外側の実質的に円筒状の表面2aおよび内側の実質的に円筒状の表面2bを有する実質的に円筒状のライナー壁を備えてもよい。フランジ3は、チューブ開口部と、ライナー2の下端面2cによってより正確に画定されたライナー開口部とを少なくとも部分的に閉鎖するように構成されてもよい。フランジ3は、
ライナー2の反応チャンバーI内に基材Wを搬送するように構成されたボートBを挿入する、および取り出すように構成された入口開口部Oと、
ガスF、例えばプロセスガスを反応チャンバーIに提供するガス入口16と、
反応チャンバーIからガスを除去するためのガス排気ダクト7と、を備える。
【0014】
基材処理装置は、ケイ素前駆体を含有するための容器を有してもよく、またガス入口16を介して細長いインジェクター17に動作可能に接続されてもよい。インジェクター17は、ライナー2の実質的に円筒状の壁に沿って、より高い第二の端に向かって、反応チャンバーIの中に垂直に延在するように構築および配置されてもよい。インジェクターは、インジェクターの第一の下端でフランジ3によって支持されてもよく、また反応チャンバー内にガスを注入するためのインジェクター開口部を備えてもよい。一つ以上のインジェクター17を使用して、プロセスガスを反応チャンバーIに提供してもよい。一つのインジェクター17が図2に示される。
【0015】
反応チャンバーIからガスを除去するためのガス排気ダクト7は、インジェクター開口部18の下方に構築および配置されてもよい。このようにして、ライナー2の反応チャンバー内に下降流Fが作り出されてもよい。この下降流Fは、基材W、ボートB、ライナー2、および/または支持フランジ3からの反応副産物および粒子の汚染物を、処理された基材Wから離れるように排気ダクト7へと下向きに搬送する場合がある。
【0016】
ライナー2のライナー開口部の下方に、反応チャンバーIからガスを除去するためのガス排気ダクト7を設けてもよい。これは、反応チャンバーの汚染源がライナー2とフランジ3の間の接触によって形成される場合があるので、有益である場合がある。この場合も、下降流Fは、ライナー-フランジ界面からの粒子を、処理された基材から離れるように排気へと下向きに搬送してもよい。
【0017】
ガス排気開口部8は、ライナー2とチューブ12の間の周方向空間からガスを除去するために、ライナー2とフランジ3の間に構築および配置されてもよい。このようにして、周方向空間内の圧力と内部空間I内の圧力を等しくしてもよく、また低圧縦型炉内ではチューブ12を囲む周囲の大気圧よりも低くしてもよい。縦型炉には、反応チャンバーからガスを除去するための圧力制御システムが設けられてもよい。
【0018】
このようにして、ライナー2は、大気圧を補償する必要がないので、やや薄く、かつ比較的に弱い材料で作製されてもよい。これは、ライナー2の材料を選ぶうえで、より大きい自由度を作り出す。ライナー2の材料の熱膨張は、反応チャンバー内で基材上に堆積された材料に匹敵するように選ばれてもよい。後者は、ライナーの膨張とライナー上にも堆積された材料の膨張とが同じである場合があるという利点を有する。後者は、ライナー2の温度変化の結果として、堆積した材料が脱落するリスクを最小化する。
【0019】
チューブ12は、チューブの内部の低圧に対して大気圧を補償しなければならない場合があるので、やや厚く、かつ比較的に強い圧縮強度の材料で作製されてもよい。例えば、低圧プロセスチューブ12は5~8mm、好ましくはおおよそ6mmの厚さの石英で作製される可能性がある。石英は、0.59×10-6-1の非常に低い熱膨張係数(CTE)(表1を参照)を有し、これは装置における熱変動に対応することをより簡単にする。堆積した材料のCTEはより高い(例えば、SiのCTE=3×10-6-1、SiのCTE=2.3×10-6-1)場合があるが、その差は比較的に小さい場合がある。石英製のチューブ上にフィルムが堆積する時、チューブが多数の大きい熱サイクルを経る時でさえも付着する場合があるが、汚染のリスクが高まる場合がある。
【0020】
ライナー2は、チューブ2の内部上のいかなる堆積も回避する場合があり、従ってチューブ12上の堆積が脱落するリスクを軽減する場合がある。従って、チューブは石英から作製されてもよい。
【0021】
炭化ケイ素のライナー2(SiCのCTE=4×10-6-1)は堆積したフィルムとライナーの間のCTEのさらにより良好な一致を与える場合があり、結果として、ライナーからの堆積したフィルムの除去が必要とされる場合がある前に、より大きい累積厚さをもたらす。CTEの不一致は、堆積したフィルムのクラックおよび剥がれ落ち、ならびに対応して高い粒子数をもたらす。これは望ましくなく、SICライナー2を使用することによって軽減される場合がある。同じ機構がインジェクター17に対しても作用する場合がある。しかしながら、インジェクター17の場合、異なる熱膨張を有する材料があまりに多く堆積すると、インジェクターが破損する場合がある。従って、炭化ケイ素またはケイ素でインジェクター17を製造することが有利である場合がある。
【0022】
【表1】
【0023】
材料がライナー2および/またはインジェクター17にとって好適であるかどうかは、堆積される材料に依存する場合がある。従って、ライナー2および/またはインジェクター17用として、堆積材料に対して実質的に同一の熱膨張を有する材料を使用することができることは有利である。従って、ライナー2および/またはインジェクター17用に石英よりも比較的に高い熱膨張を有する材料を使用することができることが有利である場合がある。例えば、炭化ケイ素SICを使用してもよい。炭化ケイ素ライナーは、大気圧を補償する必要がないため、4~6mm、好ましくは5mmの厚さであってもよい。圧力補償はチューブで行われてもよい。
【0024】
約4×10-6-1~6×10-6-1のCTEを有する金属および金属化合物材料(TaN、HfO、およびTaOなど)を堆積させるシステムの場合、ライナーおよびインジェクター材料は好ましくは、約4×10-6-1~9×10-6-1のCTEを有してもよく、例えば炭化ケイ素を含む。
【0025】
さらにより高いCTEを有する材料の堆積のためには、例えば表2に図示の通り、ライナー材料および/またはインジェクター材料を選んでもよい。
【0026】
【表2】
【0027】
チューブ12内に、ライナー2bの外面とプロセスチューブ12との間の周方向空間SにパージガスPを提供するためにパージガス入口19を設けてもよい。パージガス入口は、フランジ3からライナーの上端に向かってライナー2の円筒状の壁の外面に沿って垂直方向に延在するパージガスインジェクター20を備える。周方向空間SへのパージガスPは、ガス排気開口部8内に流れを作り出し、矢印で図示の通り、排気チューブ7から周方向空間Sへのプロセスガスの拡散に対抗する場合がある。
【0028】
フランジ3は上面を有してもよい。ライナー2は、ライナー壁2aの外側円筒面に接続され、かつ各々が下向きに方向付けられた支持面を有してもよい支持部材4によって支持されてもよい。ライナーはまた、ライナーの下面2cでフランジ3の上面上に直接支持されてもよく、その一方で上面とライナー2の間のガス排気開口部8を可能にする。
【0029】
支持部材4の支持面は、ライナー2の内側円筒面2bから半径方向外向きに位置付けられてもよい。この実施例において、支持部材4の支持面はまた、それらが取り付けられているライナー2の外側円筒面2aから半径方向外向きに位置付けられてもよい。支持部材4の下向きに方向付けられた支持面は、フランジ3の上面と接触し、かつライナー2を支持してもよく、その一方で上面とライナー2の間のガス排気開口部8を可能にする。
【0030】
閉鎖部の支持フランジ3は、ライナー2の反応チャンバー、およびライナー2と低圧チューブ12の間の環状空間からガスを除去するためのガス排気開口部8を含んでもよい。ガス排気開口部8の少なくとも幾つかは、フランジ3の上面とライナー2との間に設けられてもよい。ガス排気開口部の少なくとも幾つかは、ライナー開口部の近くに設けられてもよい。ガス排気開口部8は、反応チャンバー、およびプロセスチューブ12とライナー2の間の周方向空間からガスを引き出すために、排気ダクト7を介してポンプと流体接続してもよい。
【0031】
図2は、図1のチューブの概略上面図である。図は、基材を搬送するように構成されたボートを挿入するための開口部13を形成する、内側の実質的に円筒状の表面2bおよび外側の実質的に円筒状の表面2aを画定する円筒状の壁を有するライナー2を示す。
【0032】
この実施例において、ライナー2は、ライナー2の外側円筒面2aの外周に沿って均等に離間した三つの支持部材4を有する。フランジには、フランジの上面3aから上向きに延在する位置決め突起部5が設けられてもよい。位置決め突起部5は、支持部材4をその接線方向の端面上に係合してもよい。結果として、位置決め突起部5は、支持フランジ3に対するライナー2のためにセンタリング機能を有する。
【0033】
支持部材4を形成するライナー2およびノッチは、石英、ケイ素、または炭化ケイ素から製造されてもよい。反応チャンバーを区切るライナー2は、インジェクター17または温度測定システムを反応チャンバー内に収容するために、半径方向外向きに延在するバルジ2eを有してもよい。
【0034】
図3は、図1および図2の縦型炉で使用する、一実施形態によるインジェクター17の断面を概略的に示す。インジェクター17は、ガスを反応チャンバーI内に注入するために、縦型炉の反応器内の配置のために構成されてもよい。インジェクター17は、ガスを搬送するための内部ガス伝導チャネル20を有して構成されてもよい。インジェクター17は、第一の軸に沿って実質的に細長くてもよく、また内部ガス伝導チャネル20は、第一の軸に沿って延在してもよい。
【0035】
インジェクター17は、第一の軸および第二の軸に垂直な第三の軸Yに沿って延在するインジェクターの奥行きよりも実質的に大きい、第一の軸に垂直な第二の軸Xに沿って延在する幅を有してもよい。インジェクター17の壁22は、変化する厚さを有してもよい。インジェクター17の壁22は、第二の軸Xに沿って変化する厚さを有してもよい。壁22の変化する厚さは、10~60%の間で変化してもよい。例えば、40%は図示の通り、2.5~3.5mmである。
【0036】
インジェクター17の内部ガス伝導チャネル20は、実質的に楕円形状の断面を有してもよい。内部ガス伝導チャネル20は、それが第三の軸Yにおける奥行きに沿って延在するよりも実質的に大きい、第二の軸Xにおける幅に沿って延在してもよい。実質的に楕円形状の断面は、ドリル加工およびフライス加工に適合するために、固定半径を有する複数の円から構築されてもよい。丸みを付けた角部はまた、角部における応力および汚染の蓄積を回避する。円の半径は、1~10mmであってもよく、例えば円は5mmの半径を有する。インジェクター17内部の内部ガス伝導チャネル20の水平内側断面積は、100~1500mmであってもよく、200~500mmであることが好ましく、250~350mmであることが最も好ましい。
【0037】
実質的に楕円形状のガス伝導チャネル20は、中間で部分的にくびれてもよい。ここで、くびれる(括れる、ピンチオフ)とは、内部ガス伝導チャネル20が第三の方向においてより小さい奥行きを有することを意味する。中間とは、第二の方向Xにおけるインジェクター17の幅に対する中間を指す。くびれは、変化する厚さを有する壁22によって達成されてもよい。例えば、ガス伝導チャネル20は、その幅の中間において増大した厚さを有する壁22によって、くびれる。
【0038】
実質的に楕円形状のガス伝導チャネル20は、壁22をより厚くする、かつガス伝導チャネル20の中に延在しガス伝導チャネル20をくびれさせる球状部24によって、第二の方向の中間において部分的に挟まれてもよい。球状部24の表面は、球状部の円を部分的に辿ってもよい。球状部の円は、第一の軸と平行な軸に対して一定の半径を有してもよい。半径は10~50mmであってもよく、15~30mmであることが好ましく、図示の通り、23mmであってもよい。
【0039】
インジェクター17の壁22は、第三の軸Yに沿って変化する厚さを有してもよい。第三の軸Yに沿って変化する厚さは、7mm辺りの比較的に小さい変化であってもよい。
【0040】
インジェクター17の壁22は、その外周にわたって第二の軸Xおよび第三の軸Yに沿った変化する厚さを有してもよい。壁22の変化する厚さは、4~60%で変化してもよい。
【0041】
インジェクター17の壁22は、第一の軸の大部分に沿って変化する厚さを有してもよい。このようにして、必要とされる所に強度が加えられてもよい。
【0042】
ガス出口開口部25は、3~15mmの半径を有してもよく、4~10mmの半径を有することが好ましく、5~9mm(例えば8mm)の半径を有することが最も好ましい。
【0043】
図4a~図4eは、図1および図5の縦型炉で使用する、別の実施形態によるインジェクター17a、17b、17cを概略的に示す。図4a~図4eのインジェクター17a、17b、17cは各々、反応チャンバーI内の特定の高さでプロセスガスを提供するように特異的に構成されてもよい。従って、図4a~図4eのインジェクター17a、17b、17cは、図5に図示の通り、一緒に協働するように最適化されてもよい。代替的に、各インジェクター17は、図2に図示の通り、単独で使用されてもよい。インジェクター17a、17b、17cは、第一の軸Zに沿って実質的に細長くてもよい。
【0044】
インジェクター17a、17b、17cは、プロセスガスを搬送するために内部ガス伝導チャネル20を有して構成されてもよい。内部ガス伝導チャネル20は、第一の軸Zに沿って延在してもよい。インジェクター17a、17b、17cの内部ガス伝導チャネル20は、実質的に楕円形状の断面を有してもよい。
【0045】
内部ガス伝導チャネル20は、第二の軸Xに沿って10~50mm延在してもよく、20~30mm(例えば約25mm)延在することが好ましい。内部ガス伝導チャネル20は、第三の軸Yに沿って延在するよりも実質的に大きく第二の軸Xに沿って延在してもよい。内部ガス伝導チャネル20は、第三の軸Yに沿って8~30mm延在してもよく、10~20mm(例えば約12mm)延在することが好ましい。
【0046】
実質的に楕円形状の断面は、1~10mmの半径を有する円、例えば5mmの半径を有する円から構築されてもよい。これは、角部が1~10mm(例えば5mm)の最小の丸みを有することになるので、ガス伝導チャネル20における真っすぐな角部を回避する。
【0047】
インジェクター17内部の内部ガス伝導チャネル20の水平内側断面積は、100~1500mmであってもよく、200~500mmであることが好ましく、250~350mmであることが最も好ましい。
【0048】
実質的に楕円形状のガス伝導チャネル20は、中間で部分的にくびれてもよい。ここで、くびれる(括れる、ピンチオフ)とは、内部ガス伝導チャネル20が第三の方向Yにおいてより小さいことを意味する。中間とは、第二の方向Xにおけるインジェクター17a、17b、17cの幅に対する中間を指す。くびれは、中間で増大した厚さを有する壁22によって達成されてもよい。
【0049】
実質的に楕円形状のガス伝導チャネル20は、壁22に設けられた、かつガス伝導チャネル20の中に延在する球状部24によって、第二の方向の中間において部分的にくびれてもよい。球状部24の表面は、円を部分的に辿ってもよい。円は、第一の軸と平行な軸に対して一定の半径を有してもよい。半径は10~50mmであってもよく、15~30mmであることが好ましく、図示の通り、23mmであってもよい。
【0050】
インジェクター17a、17b、17cは、図4cに図示の通り、第一の軸および第二の軸に垂直な第三の軸Yに沿って延在するインジェクターの奥行きよりも実質的に大きい、第一の軸に垂直な第二の軸Xに沿って延在する幅を有してもよい。インジェクター17a、17b、17cの壁22は、変化する厚さを有してもよい。
【0051】
インジェクター17a、17b、17cの壁22は、第三の軸Yに沿って変化する厚さを有してもよい。インジェクター17a、17b、17cの壁22は、その外周にわたって第二の軸Xおよび第三の軸Yに沿った変化する厚さを有してもよい。インジェクター17a、17b、17cの壁22は、第一の軸Xの大部分に沿って変化する厚さを有してもよい。
【0052】
インジェクター17a、17bは、マルチホールインジェクターと呼ばれてもよく、また図4aおよび図4bに図示の通り、第一の端21と対向する第二の端23でその長さ方向に沿って複数のガス出口穴25を有する。ガス出口開口部25は、3~15mmの半径を有してもよく、4~10mmの半径を有することが好ましく、5~9mm(例えば6mm)の半径を有することが最も好ましい。複数のインジェクター17a、17b、17cのうちのより長いインジェクター17aは、図4aに図示の通りの複数のガス出口穴25を有してもよく、また内部内で、閉鎖ライナー2の上部閉鎖部2d(図1および図5)の近くまで延在してもよい。複数のインジェクター17a、17b、17cのうちのより短いインジェクター17bは、図4bに図示の通りの複数のガス出口穴25を有してもよく、またボートBの中間に延在してもよい。
【0053】
ガス伝導チャネル20のサイズは、インジェクター17a、17b、17cがフランジ3の近くでガス入口16に接続してもよい第一の端21にて、より小さくてもよい。第一の端21の近くでは温度がより低いので、プロセスガスは内部チャネル20において第一の端21の近くで、より少なく堆積する。
【0054】
第三の方向Yにおけるインジェクター17a、17b、17cの奥行きは、第二の端23に向かって減少していてもよい。内部I内で、閉鎖ライナー2の上部閉鎖部2dの近くまで延在するインジェクターは、図1で上部閉鎖部に近いほど減少している半径方向の寸法を有する形状を有してもよい。
【0055】
図4a~図4eのインジェクター17a、17b、17cは各々、反応チャンバーI内の特定の高さでプロセスガスを提供するように特異的に構成されてもよい。従って、インジェクター17a、17b、17cのうちの少なくとも一つは異なる長さを有し得る。
【0056】
図4aおよび図4eに図示の通りの複数のインジェクター17のうちのより長いインジェクター17a、17cは内部I内で、図1および図5に図示の通り、閉鎖ライナー2の上部閉鎖部2dの近くまで延在してもよい。複数のインジェクター17a、17b、17cのうちのより長いインジェクター17cは、図4dに図示の通り、第二の端23に単一のガス出口穴25を有してもよい。このインジェクターは、ダンプインジェクター17cと呼ばれてもよく、これはその細長い長さ方向に沿って閉鎖されていて、その第二の端23にて単一のプロセスガス出口を一つのみ有する。図4eは、側面にガス出口穴25がないことを除いて、上記の図4cに関連して説明したものと同じ特性を有する、このダンプインジェクターの断面を図示する。
【0057】
ダンプインジェクターの第二の端23にある単一のガス出口穴25は、上記の図4cに関連して説明したものと同じ特性を有してもよい。ダンプインジェクターの単一のガス出口穴25は、100~1500mmであってもよく、200~500mmであることが好ましく、250~350mmであることが最も好ましい。従って、図4a~図4eのインジェクター17a、17b、17cは、図5に図示の通り、一緒に協働するように最適化されてもよい。
【0058】
図5は、図4a~図4eのインジェクター17a、17b、17cがどのようにチューブ2内に配置されうるかを図示する。インジェクター17a、17bは、伝導チャネルから反応チャンバーIの中にガスを搬送するために、インジェクター17a、17bに沿って細長い方向に延在する一連の出口開口部25を備えたマルチホールインジェクターであってもよい(図4aおよび図4bを参照)。複数のインジェクター17a、17b、17cのうちのより短いインジェクター17bおよび/またはより長いインジェクター17aは、複数のガス出口穴25を有してもよい。出口開口部25は、実質的に丸みが付いていてもよい。一連の出口開口部25は、マルチホールインジェクター17a、17bの表面にわたって線に沿って整列されてもよい。
【0059】
出口開口部25は、反応チャンバーI内のプロセスガスの混合を改善するように、マルチホールインジェクターの細長い方向に対して実質的に垂直な少なくとも二つの異なる方向にガスが注入されるように構成されてもよい。一連の開口部25は従って、インジェクター17の表面にわたって少なくとも二本の線に沿って整列されてもよい。開口部を有する第一の線は図4aおよび図4bに示されてもよく、開口部25を有する同様の第二の線は、図5に図示の通り、インジェクター17のもう一方の側上に構成されてもよい。第一の線に沿った一連の開口部25は、ガスが第一の方向で注入されるように構成されてもよく、また第二の線に沿った一連の開口部25は、ガスが第二の方向に注入されるように構成されてもよい。第一の方向および第二の方向は、互いに30度~180度の角度下であってもよい。
【0060】
出口開口部25は、図5に図示の通り、同じ高さにて対で設けられてもよい。代替的に、出口開口部25は、インジェクター17の強度を改善するために、等しくない高さにて対で設けられてもよい。二つの出口開口部は、半径方向の均一性を改善するために、ガスを二方向で、例えば約90度の角度下で注入してもよい。
【0061】
一連の開口部のうちの開口部25間の距離は、図4aおよび図4bにおいて、マルチホールインジェクター17の第一の端21から第二の端23へ向かう場合、一定であってもよい。有利なことに、各出口開口部25は、出口開口部25を通るプロセスガスの実質的に等しい流れを有してもよい。
【0062】
一連の出口開口部のうちの出口開口部25間の距離はまた、マルチホールインジェクター17の第一の端21から第二の端23に向かう場合、減少するように設計されてもよい。後者は、プロセスガスが第一の端21から第二の端23に搬送される場合、圧力損失を補償するために有益である場合がある。
【0063】
マルチホールインジェクターのための出口開口部の面積は、1~200mmであってもよく、7~100mmであることが好ましく、13~80mmであることがより好ましい。より大きい開口部は、開口部内の堆積層によって開口部が詰まるのにより長い時間がかかるという利点を有する場合がある。出口開口部25の数は、2~40個であってもよく、3~30個であることが好ましく、5~15個であることがより好ましい。
【0064】
複数のインジェクター17a、17b、17cのうちのより長いインジェクター17cは、図4dに図示の通り、第二の端に単一のガス出口穴を有してもよい。このインジェクター17cは、ダンプインジェクター17cと呼ばれてもよく、これはその細長い長さ方向に沿って閉鎖されていて、ライナーの上部閉鎖2dの近くのその第二の端にて単一のプロセスガス出口を一つのみ有する。ダンプインジェクターの第二の端にある単一のガス出口穴は、上記の図4d、図4eに関連して説明したものと同じ特性を有してもよい。
【0065】
ガスインジェクター17の出口開口部25は、開口部の詰まりを減らすように構成されてもよい。出口開口部は、内部から外部への凹形状を有してもよい。インジェクターの外側の出口開口部25の表面積よりも大きい、インジェクターの内部の表面上の開口部の表面積を有する凹形状は、詰まりを低減する場合がある。内部の面積が大きいほど、圧力、従って堆積がより大きい内側で、より多くの堆積が可能になる。外側で圧力が低下し、従って堆積もより遅くなり、より小さい面積が内部のより大きい直径と同じ堆積を集める場合がある。
【0066】
反応速度は典型的に圧力の増加とともに増加するので、インジェクターで圧力を減少させることは、インジェクター17内の反応速度の減少をもたらす可能性がある。インジェクター内部の圧力が低いことの追加的な利点は、インジェクターを通るガス体積が低圧で膨張することであり、原料ガスの流れが一定の場合、インジェクター内部の原料ガスの滞留時間はそれに対応して短くなる。両方の組み合わせによって、原料ガスの分解が低減される場合があり、これによってインジェクター内の堆積も低減される場合がある。
【0067】
インジェクター17を介して反応チャンバーI内に注入されて、ウエハボートB内のウエハW上に層を堆積させる場合があるプロセスガスはまた、内部ガス伝導チャネル上またはインジェクター17の外面上に堆積する場合がある。この堆積は、インジェクター17に引張応力または圧縮応力を生じさせる場合がある。この応力は、インジェクター17に破損を生じさせる場合があり、これは縦型炉のダウンタイムおよび/またはウエハWへの損傷を生じさせる場合がある。従って、インジェクター内の堆積がより少ないことは、インジェクター17の寿命を延ばし、かつ縦型炉をより経済的にさせる場合がある。
【0068】
インジェクター17の温度変化は、これらの応力をさらに増大させる場合がある。応力を軽減するために、インジェクターは、プロセスガスで堆積された材料の熱膨張係数を有しうる材料から作製されてもよい。例えば、ガスインジェクターは、プロセスガスによって窒化ケイ素が堆積される場合に窒化ケイ素から、またはケイ素が堆積される場合にケイ素から、または酸化ケイ素が堆積される時に酸化ケイ素から作製されてもよい。従って、インジェクター内の堆積層の熱膨張は、インジェクターの熱膨張とより良好に一致する場合があり、ガスインジェクターが温度変化中に破損する可能性を低減する。
【0069】
炭化ケイ素はまた、インジェクター17にとって好適な材料である場合がある。炭化ケイ素は、多くの堆積された材料と一致する場合がある熱膨張を有する。
【0070】
インジェクター内部の圧力が低いことの不利点は、インジェクターの伝導が著しく減少することである。これは、インジェクターの全長にわたる開口部パターンにわたる原料ガスの流れの分配の不良につながることになり、原料ガスの大部分は、インジェクターの入口端の近くの穴から流出するであろう。
【0071】
インジェクターの長さ方向に沿ったインジェクター内部のプロセスガスの流れを容易にするために、インジェクターには、大きい内側断面を有する内部ガス伝導チャネルが設けられてもよい。本発明によるインジェクターを反応チャンバー内部に収容することができるようにするために、インジェクター17の接線方向サイズは半径方向のサイズよりも大きくてもよく、またライナー2にはインジェクターを収容するために外向きに延在するバルジが設けられてもよい。
【0072】
一実施形態において、二成分膜の二つの構成成分を提供する二つの原料ガスは、インジェクターに入る前にガス供給システム内で混合される。これはボートの長さにわたって、注入されたガスの均一な組成を確実にするための最も簡単なやり方である。しかしながら、これは必須ではない。代替的に、二つの異なる原料ガスを別個のインジェクターを介して注入し、注入後に反応チャンバー内で混合することができる。
【0073】
二つのインジェクター分岐の使用は、幾つかの調整を可能にする。実質的に同じ組成のガスが、別個の原料ガス供給を介してインジェクターの両方の部分に供給される場合、ボート全体にわたる堆積速度の均一性を微調整するために、異なるインジェクター分岐に供給される流れは、異なるように選ばれることができる。ボート全体にわたる二成分膜の組成を微調整するために、異なる組成のガスをインジェクターの二つのラインに供給することも可能である。しかしながら、注入ガスの組成が両方のインジェクターラインで同じである場合に、最良の結果が達成される場合がある。
【0074】
インジェクター17は、その第一の端21にてフランジ3によって支持される場合があるので、インジェクター17は、図1に図示の通り、非常に長くかつ薄い構造であるため、その第二の端23にて僅かに揺れる場合がある。従って、ライナー2、インジェクター17、およびウエハボートBを、三つの間に十分な空間があるように設計することが望ましい、または必要である。
【0075】
インジェクター17の外側の側壁は、インジェクターの第二の端23に向かって、インジェクターの長さの少なくとも10%にわたって、好ましくは30%、より好ましくは50%、さらにより好ましくは100%にわたって、テーパー状であってもよい。第二の端23にてインジェクター17にテーパーを付けることによって、ライナー2とその第二の端23の近くの反応チャンバーI内のウエハボートとの間の、公差が最も厳しい小さい空間内で、インジェクター17はより小さい空間しか占めない場合がある。従って、テーパー状の第二の端23を有するインジェクター17が小さい空間内に位置付けられうる所での公差は、少し緩和される場合がある。
【0076】
従って、閉鎖ライナーの上部閉鎖部の近くまで内部内で延在するインジェクターは、上部閉鎖部に近づくにつれて減少している半径方向の寸法を有する形状を有してもよい。また、ライナー2が使用されていない縦型炉において、第二の端23にてテーパー形状を有するインジェクター17は、チューブとボートの間のインジェクターの位置決めの公差を緩和するのに有用である場合がある。
【0077】
インジェクター17は、複数の分岐(例えば二つの分岐)を備えてもよく、各々には別個のガス供給導管接続が設けられる。一方の分岐は、プロセスガスを反応チャンバーの下部の中に注入してもよく、またもう一方の分岐は、プロセスガスを反応チャンバーの上部の中に注入する。分岐は、接続部によって接続されてもよい。しかしながら、インジェクターが二つ以上のインジェクター分岐を備えることは本発明にとって必須ではない。分岐は、その第二の端にて部分的にテーパー状であってもよい。
【0078】
インジェクター17は、セラミックで製造されてもよい。セラミックは、炭化ケイ素(SiC)、酸化ケイ素(SiOx)、ケイ素、または酸化アルミニウム(AlOx)から選択されてもよい。インジェクターは、最初にインジェクターが形成され、次にインジェクターが焼成されてセラミックを硬化させるプロセスで製造されてもよい。
【0079】
プレセラミックポリマーは、1000~1100℃の範囲の温度での熱分解を通してセラミック製品を形成する場合がある前駆体として使用されてもよい。こうした様態において炭化ケイ素を得るための前駆体材料は、ポリカルボシラン、ポリ(メチルシリン)、およびポリシラザンを含んでもよい。プレセラミックポリマーの熱分解を通して得られた炭化ケイ素材料は、ポリマー由来セラミックまたはPDCとして知られている場合がある。
【0080】
プレセラミックポリマーの熱分解は最も多くの場合、比較的に低い温度で不活性雰囲気下で実施される。ポリマーは、セラミック炭化ケイ素への熱分解の前に様々な形状へと形成されることができるので、この熱分解方法は有利である。熱分解の前に、材料は非常に軟質であり、従って形態に形作るのはより簡単である。
【0081】
インジェクター17は、上部部分に接続された底部部分を備えてもよく、上部部分はわずかにテーパー状であってもよく、また第二の端23にて終了する。底部部分は、第一の端21から開始し、30~40cmの長さであってもよく、実質的に真っすぐであってもよい。
【0082】
底部部分には、接続パイプ27が設けられてもよい(図4a、図4bを参照)。接続パイプ27は、インジェクター17を位置付け、かつ保持するために、フランジ3(図1において)の穴内に篏合されてもよい。インジェクターの第一の端21上のこうした構築は、インジェクター17の膨張を可能にするので、インジェクターが加熱される場合に有利である場合がある。不利点は、特に第二の端23にてインジェクター17の多少の揺れを許容する場合があることである。
【0083】
第二の端23をテーパー状にすることによって、インジェクター17の揺れに対する耐性を増大してもよい。上部部分は、第一の端での断面積よりも1~80%、好ましくは3~40%、最も好ましくは4~20%小さい断面積を第二の端23にて有してもよい。上部部分は、第一の端21での壁の厚さよりも2~50%、好ましくは5~30%、最も好ましくは10~20%である壁の厚さを第二の端にて有してもよい。
【0084】
インジェクター17は、第一の端での断面積よりも1~80%、好ましくは3~40%、最も好ましくは4~20%小さい断面積を第二の端にて有してもよい。インジェクターは、第一の端21での壁の厚さよりも2~50%、好ましくは5~30%、最も好ましくは10~20%小さい壁の厚さを第二の端23にて有してもよい。
【0085】
特定の実施形態を上記で説明してきたが、当然のことながら記載した以外の方法で本発明を実施してもよい。上記の説明は例示的であり、限定的ではないことが意図される。それ故に、添付の特許請求の範囲の範囲から逸脱することなく、前述の通りの本発明に修正がなされてもよいことは当業者に明らかであろう。様々な実施形態は組み合わせて適用されてもよく、または互いに独立して適用されてもよい。
図1
図2
図3
図4a
図4b
図4c
図4d
図4e
図5
【外国語明細書】