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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022088567
(43)【公開日】2022-06-14
(54)【発明の名称】発光モジュール
(51)【国際特許分類】
   H01L 33/62 20100101AFI20220607BHJP
【FI】
H01L33/62
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022056501
(22)【出願日】2022-03-30
(62)【分割の表示】P 2021006953の分割
【原出願日】2021-01-20
(31)【優先権主張番号】P 2020015089
(32)【優先日】2020-01-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000226057
【氏名又は名称】日亜化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】新樹グローバル・アイピー特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】酒巻 聡
(57)【要約】      (修正有)
【課題】小型化が可能な発光モジュールの製造方法を提供する。
【解決手段】基板と光源20とを含む中間体を準備する工程(光源は基板の上面に第1及び第2方向に沿って配置される複数の夫々が上面側に露出する第1及び第2電極を備える)と、中間体の上面に第1及び第2配線を含む配線を形成する工程とを有し、配線を形成する工程は、第1電極毎に設けられる第1電極から第2方向に延伸する第1延伸部と、第1方向に延伸し、複数の第1延伸部を電気的に接続する第1接続部とを含む第1配線50と、第2電極毎に設けられ、第2電極から第1方向に延伸する第2延伸部とを形成する工程と、複数の第1接続部を覆い、複数の第2延伸部の夫々の少なくとも一部が露出する絶縁部材を形成する工程と、第2方向に延伸し、第1接続部上の絶縁部材上に配置され、複数の第2延伸部を電気的に接続する第2接続部を形成し、第2配線60を形成する工程とを含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、前記基板の上面に第1方向および前記第1方向とは異なる第2方向に沿って配
置される複数の光源であって、それぞれが上面側に露出する第1電極及び第2電極を備え
る光源と、を含む中間体を準備する工程と、
前記中間体の上面に第1配線及び第2配線を含む配線を形成する工程と、を有し、
前記配線を形成する工程は、
前記第1電極毎に設けられる前記第1電極から前記第2方向に延伸する第1延伸部と、
前記第1方向に延伸し、複数の前記第1延伸部を電気的に接続する第1接続部と、を含む
第1配線と、前記第2電極毎に設けられ、前記第2電極から前記第1方向に延伸する第2
延伸部と、を形成する工程と、
前記複数の第1接続部を覆い、複数の前記第2延伸部のそれぞれの少なくとも一部が露
出する絶縁部材を形成する工程と、
前記第2方向に延伸し、前記第1接続部上の前記絶縁部材上に配置され、複数の前記第
2延伸部を電気的に接続する第2接続部を形成し、第2配線を形成する工程と、を含む発
光モジュールの製造方法。
【請求項2】
上面視において、前記第1延伸部の延伸方向における長さは、前記第1延伸部の延伸方
向と垂直な方向における幅よりも長い、請求項1に記載の発光モジュールの製造方法。
【請求項3】
上面視において、前記第2延伸部の延伸方向における長さは、前記第2延伸部の延伸方
向と垂直な方向における幅よりも長い、請求項1又は2に記載の発光モジュールの製造方
法。
【請求項4】
前記第1延伸部が、上面視において前記第1電極から前記第2電極とは反対側に延びる
第1部分と、前記第2方向に延伸し、前記第1部分と前記第1接続部との間を接続する第
2部分とを有し、
前記第2延伸部が、上面視において前記第2電極から前記第1電極とは反対側に延びる
第3部分と、前記第1方向に延伸し、前記第3部分と前記第2接続部との間を接続する第
4部分とを有する請求項1又は2に記載の発光モジュールの製造方法。
【請求項5】
前記第1接続部と、前記第1延伸部が一体に形成されている請求項1又は2に記載の発
光モジュールの製造方法。
【請求項6】
前記第1接続部、第1延伸部及び第2接続部が、めっきにより形成される、請求項1~
5のいずれか1つに記載の発光モジュールの製造方法。
【請求項7】
前記基板の上に、前記光源の周囲を被覆する被覆層を有する、請求項1~6のいずれか
1つに記載の発光モジュールの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、発光モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
発光ダイオード等の発光素子を用いた発光装置は、液晶ディスプレイのバックライトや
ディスプレイ等の各種の光源として広く利用されている。このような発光装置としては、
配線を有する基板の上に発光素子を載置した構造が提案されている。例えば下記の特許文
献1は、基板の上面に配線を有し、その配線に発光素子の下面の電極を接続した発光装置
を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002-329896号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、発光装置のさらなる小型化が求められている。発光装置を小型化するためには、
発光素子と配線を高精度に配置する必要がある。
本開示は、小型化が可能な発光モジュールの製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様の発光モジュールの製造方法は、基板と、前記基板の一方の主面上に第
1方向および前記第1方向とは異なる第2方向に沿って配置される複数の光源であって、
それぞれが上面側に露出する第1電極及び第2電極を備える光源と、を含む中間体を準備
する工程と、前記中間体の上面に第1配線及び第2配線を含む配線を形成する工程と、を
有し、前記配線を形成する工程は、前記第1電極毎に設けられる前記第1電極から前記第
2方向に延伸する第1延伸部と、前記第1方向に延伸し、複数の前記第1延伸部を電気的
に接続する第1接続部と、を含む第1配線と、前記第2電極毎に設けられ、前記第2電極
から前記第1方向に延伸する第2延伸部と、を形成する工程と、前記複数の第1接続部を
覆い、複数の前記第2延伸部のそれぞれの少なくとも一部が露出する絶縁部材を形成する
工程と、前記第2方向に延伸し、前記第1接続部上の前記絶縁部材上に配置され、複数の
前記第2延伸部を電気的に接続する第2接続部を形成し、第2配線を形成する工程と、を
含む。
【発明の効果】
【0006】
本開示の一態様に係る発光モジュールの製造方法によれば、小型化が可能な発光モジュ
ールを実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施形態に係る発光モジュールの概略上面図である。
図2図1のうち光源およびその周辺を拡大して示す模式上面図である。
図3図1のうち光源およびその周辺を拡大して示す模式上面図である。
図4図3の光源およびその周辺をさらに拡大して示す模式上面図である。
図5A】実施形態に係る発光モジュールの図1のV-V’線における概略断面図である。
図5B】実施形態に係る発光モジュールの図1のVB-VB’線における概略断面図である。
図6】実施形態に係る発光モジュールにおける光源の概略断面図である。
図7】実施形態に係る発光モジュールの製造工程を示す概略断面図である。
図8】実施形態に係る発光モジュールの製造工程を示す概略断面図である。
図9】実施形態に係る発光モジュールの製造工程を示す概略断面図である。
図10】実施形態に係る発光モジュールの製造工程を示す概略断面図である。
図11】実施形態に係る発光モジュールの製造工程を示す概略断面図である。
図12】実施形態に係る発光モジュールの製造工程を示す概略断面図である。
図13】実施形態に係る発光モジュールの製造工程を示す概略断面図である。
図14】実施形態に係る発光モジュールの製造工程を示す概略上面図である。
図15】実施形態に係る発光モジュールの製造工程を示す概略断面図である。
図16】実施形態に係る発光モジュールの製造工程を示す概略断面図である。
図17】実施形態に係る発光モジュールの製造工程を示す概略断面図である。
図18】実施形態に係る発光モジュールの製造工程を示す概略断面図である。
図19】実施形態に係る発光モジュールの製造工程を示す概略断面図である。
図20】実施形態に係る発光モジュールの製造工程を示す概略上面図である。
図21】実施形態に係る発光モジュールにおける光源の概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、発明の実施形態について適宜図面を参照して説明する。但し、以下に説明する形
態は、本発明の技術思想を具体化するためのものであって、特定的な記載がない限り、本
発明を以下のものに限定しない。また、図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を
明確にするため、誇張していることがある。
以下、図面に基づいて本発明を詳細に説明する。なお、以下の説明では、必要に応じて
特定の方向や位置を示す用語(例えば、「上」、「下」、及びそれらの用語を含む別の用
語)を用いるが、それらの用語の使用は図面を参照した発明の理解を容易にするためであ
って、それらの用語の意味によって本発明の技術的範囲が制限されるものではない。また
、複数の図面に表れる同一符号の部分は同一もしくは同等の部分又は部材を示す。
さらに以下に示す実施形態は、本発明の技術思想を具体化するための発光モジュールを
例示するものであって、本発明を以下に限定するものではない。また、以下に記載されて
いる構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、特定的な記載がない限り、本発
明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、例示することを意図したものである。また
、一の実施の形態、実施例において説明する内容は、他の実施の形態、実施例にも適用可
能である。また、図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を明確にするため、誇張
していることがある。
【0009】
図1は、本実施形態に係る製造方法によって得られる発光モジュールの概略上面図であ
る。図2及び図3は、図1のうち光源20およびその周辺を拡大して示す。図5A及び5
Bは、本実施形態に係る製造方法によって得られる発光モジュールの概略断面図である。
図6は、本実施形態に係る発光モジュールにおける光源の概略断面図である。
発光モジュールは、基板10と、基板10の上面に設けられる複数の光源と、光源の周
囲に設けられる被覆層30と、絶縁部材40と、第1配線50及び第2配線60とを備え
ている。複数の光源20は、複数の行および列を含む二次元状に配置される。複数の光源
20の配置は、二次元状に限定されず、ハニカム状の配置等、任意であってよい。
【0010】
図1および図2に示す例において、発光モジュール100は、第1方向および第2方向
に沿って光源20が複数配置されている。なお、本明細書において、「第1方向」は、複
数の光源20の行が延びる方向(図1では左右方向)を差し、「第2方向」は、複数の光
源20の列が延びる方向(図1では上下方向)を指す。
【0011】
この例では、光源20のそれぞれは、上面視において正方形状を有している。正方形の
一辺の長さは、例えば15μm以上1000μm以下程度の範囲であり得る。この例では
、発光モジュールの外形も正方形状である。正方形状の発光モジュールの縦方向の長さお
よび横方向の長さは、例えば8cmおよび6cmである。発光モジュール100中の光源
20の数や形状は、任意に設定可能であり、発光モジュール100の形状も任意に設定し
てよい。
【0012】
光源20は、同一面側に正負一対の第1電極23a及び第2電極23bを備える電極形
成面20cと、電極形成面20cと反対側の発光面20aとを有する。光源20は、発光
面20aが基板10の上面に対向するように、直接又は接合部材等を介して配置される。
【0013】
光源20は、発光素子21を有する。発光素子21の発光面21a上に透光性部材22
が設けられている。発光素子21は、透光性接着部材24によって透光性部材22に接着
されている。透光性部材22は、発光素子21の発光面21aを覆うとともに、発光素子
の側面21bよりも外側の領域に広がっている。
【0014】
発光素子21の側面21bは、被覆部材26で覆われている。被覆部材26は、光源2
0の電極形成面20cの一部を構成する。被覆部材26は、発光素子21の第1電極23
a及び第2電極23bの表面が露出するように発光素子21の電極形成面にも設けられて
いる。
【0015】
被覆層30は、光源20の側面20bを覆うように設けられている。図5A及び5Bに
示す例においては、光源20の電極形成面20cは、被覆層30から露出している。光源
20の電極形成面20cは、第1電極23aおよび第2電極23bが配置される領域以外
を被覆層30で覆っていてもよい。
【0016】
第1配線50は、光源20及び被覆層30の上に配置される。第1配線50は、第1延
伸部51と、第1接続部52とを含む。第1延伸部51は、各光源20の第1電極23a
毎に設けられ、第1電極23aから第2方向に延伸する。第1接続部52は、第1方向に
延伸し、複数の第1延伸部51を電気的に接続する。第1接続部52には、外部端子55
が設けられている。発光モジュールの第1接続部52と第1延伸部51は一体に形成され
ている。
【0017】
第2配線60は、光源20および被覆層30の上に配置される。第2配線60は、第2
延伸部61と、第2接続部62とを含む。第2延伸部61は、各光源20の第2電極23
b毎に設けられ、第2電極23bから第1方向に延伸する。上面視において、第2延伸部
61の延伸方向における長さは、第2延伸部61の延伸方向と垂直な方向における幅より
も長い。第2延伸部61を第2電極23b上から長く引き出すことにより、複数の第2延
伸部61と接続する第2接続部62を形成する際に、位置合わせを容易に行うことができ
る。
【0018】
絶縁部材40は、複数の第1接続部52を覆うように設けられている。図5A及び5B
に示す例においては、絶縁部材40は、光源20、第1配線50、第2延伸部61および
被覆層30の上に配置されている。絶縁部材40は、複数の第2延伸部61のそれぞれの
少なくとも一部が露出する開口部を備えている。この開口部は、上面視において、第2電
極23bから離れた位置に設けられている。
第2接続部62は、第2方向に延伸し、絶縁部材40の開口部の位置において、複数の
第2延伸部61を電気的に接続する。第2接続部62には、外部端子55が設けられてい
る(図1参照)。
【0019】
図4は、図3の光源20およびその周辺をさらに拡大して示す上面図である。図4にお
いて方形状の光源20の電極形成面20cの対向する角部に第1電極23aおよび第2電
極23bが設けられている。図4において、第1電極23aおよび第2電極23bは、直
角三角形であり、方形状である光源20の電極形成面20cの対角線に沿って離隔してい
る。第1延伸部51は、上面視において第1電極23aから第2電極23bとは反対側の
電極形成面20cの角部に向かって延びる第1部分51aと、第2方向に延伸し、第1部
分51aと第1接続部52との間を接続する第2部分51bとを有している。上面視にお
いて、第1部分51aの延伸方向における長さ51aLは、第1部分51aの延伸方向と
垂直な方向における幅51aWよりも長い。また、第2延伸部61は、上面視において第
2電極23bから第1電極23aとは反対側の電極形成面20cの角部に向かって延びる
第3部分61cと、第1方向に延伸し、第3部分61cと第2接続部62との間を接続す
る第4部分61dとを有している。上面視において、第3部分61cの延伸方向における
長さ61cLは、第3部分61cの延伸方向と垂直な方向における幅61cWよりも長い
。これにより、第1延伸部51と第2延伸部61との間でのショートを効果的に防止する
ことができる。なお、第1電極23aおよび第2電極23bの上面視における形状は、三
角形に限定されるものではなく、例えば長方形でもよい。
【0020】
以下、発光モジュールの製造方法について、図7図13図15図19に示す模式
断面図に基づいて詳細に説明する。
【0021】
(中間体を準備する工程)
基板10上に、複数の光源20及び被覆層30を配置した中間体90を準備する。
図7に示すように、基板10上に、複数の光源20を配置する。複数の光源20は、基
板10の上面に第1方向および第2方向に沿って配置する。光源20は、電極形成面20
cを上に向け、かつ発光面20aを下に向けた状態で配置する。発光モジュールにおいて
、複数の光源20を所定の間隔を空けて配置する。また、複数の光源20を間隔を空けず
に光源20の側面同士を接触させて配置してもよい。この場合、後述する被覆層30を形
成する工程を省略して、複数の光源20の上に第1配線50および第2配線60を配置す
ることができる。
【0022】
基板10は、光源20を載置することが可能なものである。基板10の形状は、特に限
定されないが、上面が平坦であることが好ましい。基板10と光源20とは、透光性の接
合部材により貼り合わされている。接合部材としては、例えば、エポキシ樹脂等を用いる
ことができる。
【0023】
次に、基板10上であって、光源20の周囲に被覆層30を形成する。被覆層30は、
基板に被覆層30の材料を塗布して設ける。塗布方法は、スピンコータによるスピンコー
ト法、ディスペンサによる吐出など特に限定されない。被覆層30は、例えば、ポリイミ
ド、エポキシ樹脂を用いることができる。
【0024】
被覆層30は、基板10及び光源20を覆うように被覆層30の材料を設けた後、光源
20の第1電極23a及び第2電極23bが露出するまで被覆層30の一部を除去するこ
とにより形成することができる。
【0025】
(配線を形成する工程)
得られた中間体の上面に、第1配線50及び第2配線60を含む配線を形成する。配線
を形成する工程は、第1配線50と第2延伸部61とを形成する工程と、絶縁部材40を
形成する工程と、第2接続部62を形成して第2配線を形成する工程とを含む。
【0026】
(第1配線50と第2延伸部61とを形成する工程)
まず、第1延伸部51と第1接続部52とを含む第1配線50と、第2配線60の一部
である第2延伸部61とを形成する。各々の光源20の第1電極23a及び第2電極23
bの位置を検出し、各々の第1電極23a及び第2電極23bの位置に対応して、第1延
伸部51及び第2延伸部61を形成する。第1配線50及び第2延伸部61は、第1金属
層71及び第2金属層72を積層して形成する。
【0027】
第1配線50と第2延伸部61とを形成する工程においては、まず、図8に示すように
、光源20と被覆層30上の略全面に、第1金属層71をスパッタ等で形成する。第1金
属層71は、後工程である第2金属層72を形成する工程において、第2金属層72を電
解めっき法で形成する際のシード層として用いられる。第1金属層71の積層構造として
は、例えば、基板10側からTi/Cu等が挙げられる。
【0028】
次に、図9に示すように、第1金属層71の上にレジスト81を設ける。レジスト81
は、上面視において、第1延伸部51、第1接続部52及び第2延伸部61に対応した開
口部を有するように形成される。レジスト81は予め検出された第1電極23a及び第2
電極23bの位置に対応して、紫外領域のレーザ光等を用いた直接描画をすることで望ま
しい形状に形成できる。
【0029】
次に、図10に示すように、レジスト81の開口部内に、電解めっき法によって第2金
属層72を形成する。第2金属層72は、第1金属層71を電解めっきのシード層、すな
わち電流経路として用い、レジストの開口部内でめっき成長させることで形成される。第
2金属層72としては、例えば、Cuが挙げられる。
【0030】
次に、図11に示すように、レジストを除去して、第1金属層71を露出させる。続い
て、図12に示すように、エッチングにより第2金属層72の一部を除去して薄膜化する
とともに、第2金属層72が形成されていない領域の第1金属層71を除去する。これに
よって、第1金属層71と第2金属層72が積層されてなる第1配線50および第2延伸
部61が形成される。エッチングは、ドライエッチング、ウェットエッチングのいずれで
もよい。
【0031】
図2に示すように、光源20が上面視において四角形状である場合、一対の第1電極2
3aおよび第2電極23bの上面視における形状を三角形として、光源20上において対
角に位置するように形成することが好ましい。これにより、小型の光源においても、一対
の第1電極23aおよび第2電極23bを第1方向及び第2方向に広く確保することがで
きるため、その上に形成する一対の第1延伸部51および第2延伸部61と接合する面積
を十分に確保することができる。
【0032】
(絶縁部材40を形成する工程)
次に、図13に示すように、第1配線50および第2延伸部61の上に、絶縁部材40
を形成する。絶縁部材40は、少なくとも第1接続部52の上であって、第1接続部52
と後述する第2接続部62との間に形成すればよい。図13に示す例では、絶縁部材40
は、第1配線50および第2延伸部61の上に形成する。絶縁部材40の形成後、例えば
フォトリソグラフィによる絶縁部材40のパターニングによって、第1配線50および第
2延伸部61を覆い、かつ、上面視において第2延伸部61に重なる位置に開口部41が
設けられた絶縁部材40を形成する。図14は、絶縁部材40を形成した後の、発光モジ
ュールの一部を拡大して模式的に示す。図14に示すように、絶縁部材40の開口部41
は、第2延伸部61に重なる位置に設けられ、開口部41の位置において、第2延伸部6
1の一部が露出されている。絶縁部材40としては、例えば、シリコーン系、エポキシ系
の感光性の樹脂等を用いることができる。絶縁部材40は、例えばトランスファーモール
ド、圧縮成形、ポッティング、印刷、スプレー等の方法で形成され、光源20および絶縁
層30の上において、第1配線50および第2延伸部61を内部に埋設する厚さ(例えば
2μm~500μm程度)に形成される。
【0033】
(第2接続部62を形成する工程)
次に、複数の第2延伸部61を電気的に接続する第2接続部62を形成する。第2接続
部62は、第3金属層73及び第4金属層74を積層して形成する。
第2接続部62を形成する工程においては、まず、図15に示すように、絶縁部材40
と開口部に露出する第2延伸部61上の略全面に、第3金属層73をスパッタ等で形成す
る。第3金属層73は、後工程である第4金属層74を形成する工程において、第4金属
層74を電解めっき法で形成する際のシード層として用いられる。第3金属層73の積層
構造としては、第1金属層71と同様の材料を用いることができ、例えば、支持部材10
側からTi/Cu等が挙げられる。
【0034】
次に、図16に示すように、第3金属層73の上にレジスト83を設ける。レジスト8
3は、第2接続部62に対応した開口部84を有するように形成される。
【0035】
次に、図17に示すように、レジスト83の開口部84内に、電解めっき法によって第
4金属層74を形成する。第4金属層74は、第3金属層73を電解めっきのシード層、
すなわち電流経路として用い、レジストの開口部内でめっき成長させることで形成される
。第4金属層74としては、第2金属層72と同様の材料を用いることができ、例えば、
Cuが挙げられる。
【0036】
次に、図18に示すように、レジストを除去して、第3金属層73を露出させる。さら
に、エッチングにより第4金属層74の一部を除去して薄膜化するとともに、第4金属層
74が形成されていない領域の第3金属層73を除去する。これによって、図19に示す
ように、第3金属層73と第4金属層74が積層されてなる第2接続部62が形成される
。第2接続部62は、図20に示すように、第2方向に延び、開口部41を介して、第2
の方向に並ぶ第2延伸部61に開口部41の位置で電気的に接続される。これにより、第
2接続部61は、第2方向に並ぶ光源20の第2電極23b同士を電気的に接続する。第
2接続部62を形成する工程において、外部端子55を同時に形成してもよい。
【0037】
このようにして、図5A及び5Bに示す構造の発光モジュール100を得ることができ
る。第1配線50の第1延伸部51および第2配線60の第2延伸部61は、光源20の
第1電極23aおよび第2電極23bの位置に対応して形成するため、光源20の第1電
極23aおよび第2電極23bと第1配線50および第2配線60を確実に接続すること
ができる。例えば、図3に示すように光源20を配置する工程等において光源20の位置
ズレが生じたとしても、第1延伸部51の第1部分51aの角度、第2延伸部61の第3
部分61cの角度、第1延伸部51の第2部分51bの長さおよび第2延伸部61の第4
部分61dの長さをそれぞれ変更することで、第1電極23aおよび第2電極23bに対
して第1延伸部51および第2延伸部61を高精度に配置することができる。これにより
、基板上に形成した配線に対して光源の電極を対向させて配置する場合と比較して、光源
20の第1電極23aおよび第2電極23bと第1配線50および第2配線60の位置ズ
レによる接続不良を抑制することができる。第1配線50と第2延伸部61を同一の工程
で形成することにより、製造工程を簡略化することができる。第1配線50と第2延伸部
61を積層することなく設けることができるため、発光モジュールの厚みを低減すること
ができる。また、光源の電極に対して設ける第2延伸部61と、第2接続部62を別の工
程で形成することにより、効率よく第2配線を形成することができる。
【0038】
以下、発光モジュールの各構成要素について説明する。
【0039】
(基板10)
基板10は、上面に光源20および被覆層30を配置することが可能なものであれば、
その形状は特に限定されないが、上面が平坦であることが好ましい。基板10は、絶縁性
のものを用いることができる。基板10は、透光性であることが好ましいが、これに限定
されない。基板10としては、例えば、ガラスやセラミック等を用いることが好ましい。
また、基板10として、可撓性を有するものを用いてもよい。基板10の厚みは特に限定
されるものではないが、例えば、0.1mm~1mm程度である。
【0040】
図5A及び5Bに示す例においては、基板10の上面は平坦である。基板10の上面は
必ずしも平坦である必要はなく、上面に各光源20に対応した凹部を設け、その凹部内に
光源20を配置してもよい。
【0041】
(被覆層30)
被覆層30は、光源20の側面を覆っている。被覆層30は、光反射性の材料を用いる
ことができる。光反射性の被覆層30は、光源20から出射される光に対して60%以上
の反射率を有することが好ましく、90%以上の反射率を有することがさらに好ましい。
光反射性の被覆層30の材料は、白色の顔料等を含有させた樹脂を用いることができる。
特に、光反射材(または光散乱材)として酸化チタンを含有させたシリコーン樹脂が好ま
しい。これにより、基板10の一面を被覆するために比較的大量に用いられる材料として
酸化チタンのような安価な原材料を多く用いることで、発光モジュールを安価にすること
ができる。また、被覆層30は、白色の顔料等を含有していない樹脂等の透光性の材料で
形成してもよい。
【0042】
被覆層30を形成する樹脂材料の母材としては、シリコーン樹脂、フェノール樹脂、エ
ポキシ樹脂、BTレジン、ポリフタルアミド(PPA)等を用いることができる。光反射
材としては、金属の粒子、または、母材よりも高い屈折率を有する無機材料もしくは有機
材料の粒子を用いることができる。光反射材の例は、二酸化チタン、酸化ケイ素、二酸化
ジルコニウム、チタン酸カリウム、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、
ムライト、酸化ニオブ、硫酸バリウムの粒子、または、酸化イットリウムおよび酸化ガド
リニウム等の各種希土類酸化物の粒子等である。
【0043】
(第1配線50、第2配線60)
第1配線50および第2配線60は、光源20の第1電極23aおよび第2電極23b
と電気的に接続される。第1配線50および第2配線60を設けることにより、例えば複
数の光源20同士を電気的に接続することができ、ローカルディミング等に必要な回路を
容易に形成することができる。
【0044】
第1配線50および第2配線60の材料としては、電気抵抗が低い材料が好ましく、C
u、Au及びAlよりなる群から選択される少なくとも一つを含むものが挙げられる。な
かでも、Cuを用いることが好ましい。第1配線50および第2配線60の厚みは特に限
定されるものではないが、例えば、10nm~100μm程度である。
【0045】
(光源20)
図6に示す例では、光源は、発光素子21に加えて、透光性部材22、透光性接着部材
24、被覆部材26を含む。光源は、透光性部材22、透光性接着部材24及び被覆部材
26を省略して、発光素子21のみで構成してもよい。光源20の厚みは特に限定される
ものではないが、例えば、100μm~1mm程度である。
【0046】
(発光素子21)
発光素子21は、一対の電極を同じ面側に設けている。発光素子21は、窒化物半導体
等から構成される既知の半導体発光素子を適用できる。また、発光素子21は、所望の発
光色を得るために任意の波長のものを選択することができる。
【0047】
発光素子21としては、様々な発光波長の発光ダイオードを利用することができる。ま
た、所望の発光色を得るために、後述する蛍光体と組み合わせてもよい。特に、白色の発
光を得るには、青色を発光する窒化物半導体発光素子と、青色光を吸収して黄色光や緑色
光や赤色光を発する蛍光体とを組み合わせることが好ましい。
【0048】
(透光性部材22)
透光性部材22は、発光素子21の発光面21aに設けられる。透光性部材22として
は、透明樹脂、ガラス等を用いることができる。透明樹脂としては、耐久性、成形のしや
すさ等の観点から、シリコーン樹脂等を用いることが好ましい。
図21に示すように、光源20における透光性部材22は、発光素子21の上面、つま
り発光面21aと側面21bを覆っていてもよい。
【0049】
透光性部材22は、波長変換部材を含有させることができる。波長変換部材は、発光素
子21からの光を吸収して他の波長の光を発光することが可能な蛍光体を含む。これによ
り、発光モジュール100は、発光素子21からの光と波長変換部材で波長変換された光
との混色光、例えば、白色光を外部に出射することができる。発光素子21の種類及び蛍
光体の種類を選択することにより、出射光の色を適宜調整することができる。蛍光体は、
発光素子21が発する光によって励起され、発光素子21が発する光の波長とは異なる波
長の光を発する。例えば、蛍光体として、YAG蛍光体、βサイアロン蛍光体、KSF系
蛍光体又はMGF系蛍光体等のフッ化物系蛍光体、CASN系蛍光体等の窒化物蛍光体な
どを用いることができる。透光性部材22は、複数種類の蛍光体を含んでいてもよい。ま
た、上記蛍光体の層を複数積層させてもよい。
【0050】
また、発光モジュール100の上面または下面に波長変換シートを設けてもよい。波長
変換シートは、典型的には、蛍光体の粒子が分散されたシート状の樹脂である。このよう
な波長変換シートを用いることにより、発光モジュール100の上面または下面に蛍光体
を均一に配置することができる。このような構成においては、透光性部材22が蛍光体等
を含有することは必須ではない。
【符号の説明】
【0051】
100 発光モジュール
10 基板
20 光源
21 発光素子
21a 発光面
21b 側面
22 透光性部材
23a 第1電極
23b 第2電極
24 透光性接着部材
26 被覆部材
30 被覆層
40 絶縁部材
50 第1配線
51 第1延伸部
52 第1接続部
55 外部端子
60 第2配線
61 第2延伸部
62 第2接続部
71 第1金属層
72 第2金属層
73 第3金属層
74 第4金属層
81、83 レジスト
84 開口部
90 中間体
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21