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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022089103
(43)【公開日】2022-06-15
(54)【発明の名称】測定システムおよびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G01B 21/00 20060101AFI20220608BHJP
【FI】
G01B21/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020201370
(22)【出願日】2020-12-03
(71)【出願人】
【識別番号】000137694
【氏名又は名称】株式会社ミツトヨ
(74)【代理人】
【識別番号】100166545
【弁理士】
【氏名又は名称】折坂 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】浅水 隆考
(72)【発明者】
【氏名】清水 政明
【テーマコード(参考)】
2F069
【Fターム(参考)】
2F069AA31
2F069AA57
2F069AA61
2F069GG01
2F069GG07
2F069GG65
2F069QQ01
(57)【要約】      (修正有)
【課題】選択した測定プログラムが測定しようとしている対象物に適したものなのかを、視覚的に確認できる測定システムを提供する。
【解決手段】対象物の測定に関する測定プログラムと、当該対象物の三次元形状に対応した重畳表示情報とを対応付けて記憶する測定プログラムデータベースと、現実空間に重畳して仮想空間に定義された情報を表示する複合現実表示が可能な表示手段と、選択された前記測定プログラムに対応する重畳表示情報を測定プログラムデータベースから取得し、取得した重畳表示情報を表示手段に対象物に重ねて複合現実表示させる表示制御手段と、を備える測定システム。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被測定物の種類に関連付けて、測定箇所についての条件設定およびガイダンス情報を含む測定箇所情報を記憶する被測定物情報データベースと、
前記被測定物について測定を実施する測定機と
被写体の画像を撮影する撮像部と、
表示部と
前記撮像部が撮影した画像に基づいて被測定物の種類を特定する被測定物特定部と、
前記被測定物特定部で特定された種類の前記被測定物に対応する前記測定箇所情報を前記被測定物情報データベースから取得する被測定物情報取得部と、
前記被測定物情報取得部により取得された前記測定箇所情報に含まれるガイダンス情報を前記表示部に表示させ、当該測定箇所情報に含まれる測定条件を前記測定機に設定する設定部と
を備える測定システム。
【請求項2】
前記被測定物情報データベースは、前記被測定物の種類に関連付けて前記被測定物に付される種類識別コードを記憶し、
前記被測定物特定部は、前記撮像部が撮影した前記被測定物の画像に写る前記種類識別コードに基づき前記被測定物の種類を特定する
ことを特徴とする請求項1に記載の測定システム。
【請求項3】
前記被測定物情報取得部が前記被測定物における複数の測定箇所についての測定箇所情報を取得した場合、前記設定部は、利用可能な前記測定機を各測定箇所に割り当て、割り当てた測定箇所に応じたガイダンス情報を各測定機の前記表示部に表示させ、割り当てた測定箇所に応じた測定条件を各測定機の前記測定機に設定する
ことを特徴とする請求項1または2に記載の測定システム。
【請求項4】
前記被測定物情報データベースは、前記被測定物の個体に関連付けて、個体ごとに異なる個体識別コードを記憶し、
前記被測定物特定部は、前記個体識別コードに基づき前記被測定物の個体を特定し、
前記測定機による測定結果を、前記被測定物特定部が特定した前記個体識別コードに関連付けて前記被測定物情報データベースに格納させる測定データ格納部をさらに備える
ことを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載の測定システム。
【請求項5】
前記被測定物情報データベースが記憶する条件設定は、測定条件を示す図面指示記号を含んだ設計図面のデータを含む
ことを特徴とする請求項1から4の何れか1項に記載の測定システム。
【請求項6】
測定システムは、
可能な測定が異なる複数種類の前記測定機を備え、
前記設定部は、測定箇所情報に含まれる測定条件での測定が可能な測定機を特定し、特定した前記測定機を当該測定条件での測定を行う測定箇所に割り当てる
ことを特徴とする請求項1から5の何れか1項に記載の測定システム。
【請求項7】
前記測定システムは、
前記測定機と通信可能に構成された制御端末と、
を備え、
前記撮像部、前記被測定物特定部、前記被測定物情報取得部、および前記設定部は、前記制御端末に設けられ、
前記表示部は前記測定機に設けられる
ことを特徴とする請求項1から6の何れか1項に記載の測定システム。
【請求項8】
前記測定システムは、
前記被測定物情報データベースを備え、前記制御端末と通信可能に構成されたデータベース装置をさらに備える
ことを特徴とする請求項7に記載の測定システム。
【請求項9】
コンピュータを請求項7または8に記載の測定システムにおける制御端末として機能させることを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は測定システムに関し、より詳しくは、測定機で測定を行う対象物に適した測定プログラムを選択できるようにする測定プログラム選択補助装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
被測定物(ワーク)の寸法、形状、表面性状等を測定・評価するための様々な測定機が実現され、製品の開発や製造の現場で活用されている。このような測定機を用いて測定を実施する際には、測定機に対し事前に適切な測定条件を設定する必要がある。
【0003】
例えば、表面粗さ測定機を用いて測定を実施する場合、測定条件(種々の設定パラメータ、取得データを処理して測定結果を算出するための演算式、測定結果の評価基準等)を、測定するワーク毎に(かつ、ワークに複数の測定箇所がある場合には測定箇所ごとに)設定した上で、ワーク毎にどの部分を測定すべきかを図面等を参照しながら正しい測定箇所に測定機を配置して測定を実施する必要がある(例えば特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第5349364号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、測定機に設けられた入力インタフェース(物理ボタン、タッチパネル等)を用いて測定条件の設定を行うには手間がかかる。特に、測定条件を変えながら測定を繰り返す状況や複数の測定機を使用して測定を行う状況では、測定条件の設定に多大な労力がかかり非効率的である。また、ワークの種類に応じて決められている測定箇所や測定条件を、図面等を参照して確認しながら測定を行う必要があり、作業効率が良いとは言えない。
【0006】
また、複数の測定機を使ってワークの複数の測定箇所を並行して測定する場合には、測定箇所に応じて、用いる測定機に対し正しい測定条件を設定した上で、正しい測定箇所について測定を実施する必要があるところ、このような作業は非常に煩雑で非効率であり、また、ミスが生じる可能性が低くなかった。
【0007】
本発明は、上記の課題に鑑みなされたものであり、測定機への測定条件の設定を容易とし、測定ミスを抑制することができる測定システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一実施形態に係る測定システムは、被測定物の種類に関連付けて、測定箇所についての条件設定およびガイダンス情報を含む測定箇所情報を記憶する被測定物情報データベースと、測定物について測定を実施する測定機と、被写体の画像を撮影する撮像部と、表示部と、被撮像部が撮影した画像に基づいて被測定物の種類を特定する被測定物特定部と、被測定物特定部で特定された種類の被測定物に対応する測定箇所情報を被測定物情報データベースから取得する被測定物情報取得部と、被測定物情報取得部により取得された測定箇所情報に含まれるガイダンス情報を表示部に表示させ、当該測定箇所情報に含まれる測定条件を測定機に設定する設定部とを備える。
【0009】
本発明では、被測定物情報データベースは、被測定物の種類に関連付けて被測定物に付される種類識別コードを記憶するとよく、被測定物特定部は、撮像部が撮影した被測定物の画像に写る種類識別コードに基づき被測定物の種類を特定するとよい。
【0010】
本発明では、被測定物情報取得部が被測定物における複数の測定箇所についての測定箇所情報を取得した場合、設定部は、利用可能な測定機を各測定箇所に割り当て、割り当てた測定箇所に応じたガイダンス情報を各測定機の表示部に表示させ、割り当てた測定箇所に応じた測定条件を各測定機の測定機に設定するとよい。
【0011】
本発明では、被測定物情報データベースは、被測定物の個体に関連付けて、個体ごとに異なる個体識別コードを記憶するとよく、被測定物特定部は、個体識別コードに基づき被測定物の個体を特定するとよい。そして、測定システムは、測定機による測定結果を、被測定物特定部が特定した個体識別コードに関連付けて被測定物情報データベースに格納させる測定データ格納部をさらに備えるとよい。
【0012】
本発明では、被測定物情報データベースが記憶する条件設定は、測定条件を示す図面指示記号を含んだ設計図面のデータを含むとよい。
【0013】
本発明では、測定システムは、可能な測定が異なる複数種類の測定機を備えてもよい。この場合、設定部は、測定箇所情報に含まれる測定条件での測定が可能な測定機を特定し、特定した測定機を当該測定条件での測定を行う測定箇所に割り当てるとよい。
【0014】
本発明では、測定システムは、測定機と通信可能に構成された制御端末と、を備えるとよい。そして、撮像部、被測定物特定部、被測定物情報取得部、および設定部は、制御端末に設けられ、表示部は測定機に設けられるとよい。
【0015】
本発明では、測定システムは、被測定物情報データベースを備え制御端末と通信可能に構成されたデータベース装置をさらに備えるとよい。
【0016】
また、本発明の一実施形態に係るプログラムは、コンピュータを上記の測定システムにおける制御端末として機能させることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】測定システム1の構成を模式的に示す図である。
図2】測定機2の一例として、ハンディタイプの表面粗さ測定機の構成を示している。
図3】制御端末3の構成を示すブロック図である。
図4】データベース装置4の構成を示すブロック図である。
図5】測定システム1を用いて、被測定物Wの測定を実施する手順を例示するフローチャートである。
図6】表示部35における測定箇所情報の表示画面の一例を示している。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明に係る実施形態を、図面を参照しながら説明する。
【0019】
図1は、本発明の一実施形態に係る測定システム1の構成を模式的に示す図である。図1に示すように、測定システム1は、測定機2、制御端末3、およびデータベース装置4を備える。
【0020】
測定機2は、被測定物について測定を実施する。図2は測定機2の一例として、ハンディタイプの表面粗さ測定機の構成を示している。なお本実施形態では測定システム1は、測定機2として2台の表面粗さ測定機を備える場合を例に説明するが、測定機2は1台でもよいし、3台以上であってもよい。また、測定システム1は、測定機2として表面粗さ測定機に加えて/代えて、表面粗さ測定機以外の測定機を備えてもよい。
【0021】
測定機2は、図2に示すように、駆動検出部20、制御部22、記憶部23、入力部24、表示部25、通信部26等を備える。
【0022】
駆動検出部20は、詳細を図2に示すように、検出部ケース201と、この検出部ケース201内に設けられた駆動手段202と、この駆動手段202によって測定方向に沿って直線移動される検出器203とを含んで構成されている。
【0023】
駆動手段202は、例えば、検出部ケース201に固定された駆動源としてのモータを備え、当該モータに連結された送りねじ軸を回転させ、検出器203と連結され送りねじ軸に螺合されナット部材を送りねじ軸に沿って移動させることにより検出器203を直線移動させるとよい。
【0024】
検出器203は、その先端に揺動可能に支持されたスタイラスアーム204を備える。また、検出器203は、スタイラスアーム204の基端の揺動量を検出する検出素子205を備える。スタイラスアーム204の先端には、スタイラスアーム204の軸線に対して直角に突設されたスタイラス206を有するスタイラスチップ207が設けられる。
【0025】
スタイラス206が被測定物Wの表面に沿って移動していくと、被測定物Wの表面性状(例えば表面粗さ)によってスタイラス206が上下動される。すると、スタイラス206の上下動が検出素子205によって検出信号として検出され、この上下動に伴う検出信号とスタイラス206のトレース方向(駆動手段202が検出器203を直線移動させる方向)の移動距離とから被測定物Wの表面粗さが測定される。
【0026】
制御部22は、CPU(Central Processing Unit)などのプロセッサであり、記憶部23に記憶されたプログラムを実行して、測定機2の諸機能を実現すべく測定機2における各構成要素を制御する。
【0027】
記憶部23は、HDDやフラッシュメモリ等の記憶媒体であり、制御部22が実行する各種プログラム、入力部24の操作や制御端末3との通信により設定される測定条件、ガイダンス情報、測定により得られたデータ等を記憶する。例えば、記憶部23は、設定された測定条件に従って駆動検出部20を制御して測定を実施するための測定プログラム、表示部25の表示画面と入力部24への入力をもとにユーザに対し操作インタフェースを提供するユーザインタフェースプログラム等を記憶するとよい。
【0028】
入力部24は、ユーザによる操作を受け付ける入力手段である。本実施形態における測定機2は、物理ボタンおよびタッチパネルを備える。タッチパネルには、静電的な導電性を持つ物体を接触させることにより検知する方式(例えば、静電容量方式)やタッチパネルが押下されることにより検知する方式(例えば、抵抗膜方式)などがあるが、複数の位置での接触又は押下を同時に検出可能な方式であればいかなる方式であっても構わない。
【0029】
表示部25は、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ等の表示素子により構成される。表示部25は、測定機2の筐体の背面(被測定物Wと接する側とは反対の面)に設けられる。表示部25に重畳して入力部24のタッチパネルが設けられ、表示部25と入力部24のタッチパネルは、制御部22による制御の下で協働し、いわゆるタッチパネルディスプレイとして機能する。
【0030】
通信部26は、制御端末3との通信を行う通信インタフェースである。制御端末3との通信は有線通信としてもよいが無線通信とすることが好ましい。通信部26は、例えば、Bluetooth(登録商標)により制御端末3と通信するとよい。通信部26は、制御端末3との通信を確立する際に自陣の情報を知らせるためのアドバタイズ信号を所定のインターバル(例えば数秒周期)で送信する。アドバタイズ信号には測定機2の種類・機種を示す情報、測定機2の個体の識別情報等を含むとよい。
【0031】
制御端末3は、本発明における測定機制御装置に相当し、測定機2を用いた測定をユーザが円滑に行うための測定支援機能を提供する端末である。制御端末3は、スマートフォン、タブレット等の携帯情報端末により実現するとよい。図3は、制御端末3の構成を示すブロック図である。図3に示すように、制御端末3は、制御部31、記憶部32、撮像部33、入力部34、表示部35、および通信部36を備える。
【0032】
制御部31は、CPU(Central Processing Unit)などのプロセッサであり、記憶部32に記憶されたプログラムを実行して、制御端末3の諸機能を実現すべく制御端末3における各構成要素を制御する。
【0033】
記憶部32は、制御部31にて実行されるプログラムや、当該プログラムで用いられるデータ等を記憶する。例えば、記憶部32は、撮像部33が撮像した被測定物Wの画像に基づいて被測定物Wの種類を特定する被測定物特定プログラム、被測定物特定プログラムで特定された種類の被測定物Wに対応する測定箇所情報を後述するデータベース装置4の記憶部42に格納された被測定物情報データベースDBから取得する被測定物情報取得プログラム、被測定物情報取得プログラムにより取得された測定箇所情報に含まれるガイダンス情報を測定機2の表示部25に表示させるとともに当該測定箇所情報に含まれる測定条件を測定機2に設定する設定プログラム等を記憶する。すなわち、制御部31は、記憶部32に格納された上記の各プログラムを実行することにより、本発明における被測定物特定部、被測定物情報取得部、および設定部の機能を実現する。各プログラムの詳細については、測定システム1の動作とともに後述する。
【0034】
撮像部33は、被写体の画像を撮影する。撮像部33は、例えば、CMOS(Complementary Metal-Oxide Semiconductor)イメージセンサやCCD(Charge Coupled Device)イメージセンサなどの固体撮像素子を備え、被写体の像を電気信号に変換して画像データとして出力する。撮像部33が出力する画像データは、記憶部32に一時的に記憶される。
【0035】
入力部34は、ユーザによる操作を受け付ける入力手段である。本実施形態における制御端末3は、物理ボタンおよびタッチパネルを備える。タッチパネルには、静電的な導電性を持つ物体を接触させることにより検知する方式(例えば、静電容量方式)やタッチパネルが押下されることにより検知する方式(例えば、抵抗膜方式)などがあるが、複数の位置での接触又は押下を同時に検出可能な方式であればいかなる方式であっても構わない。
【0036】
表示部35は、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ等の表示素子により構成される。表示部35は、制御端末3の筐体の前面に広く設けられる。表示部35に重畳して入力部34のタッチパネルが設けられ、表示部35と入力部34のタッチパネルは、制御部31による制御の下で協働し、いわゆるタッチパネルディスプレイとして機能する。
【0037】
通信部36は、測定機2およびデータベース装置4との通信を行う通信インタフェースである。測定機2との通信は有線通信としてもよいが無線通信とすることが好ましい。通信部36は、例えば、Bluetoothにより測定機2と通信するとよい。データベース装置4との通信も有線通信としてもよいが無線通信とすることが好ましい。通信部36は、例えば、無線LANまたはWifi(登録商標)によりデータベース装置4と通信するとよい。なお、通信部36は、測定機2およびデータベース装置4と、共通の方式で通信するようにしてもよい。
【0038】
データベース装置4は、例えば、コンピュータシステムであり、キーボード、マウス、タッチパネル等の入出力装置、CPU(Central Processing Unit)等の演算部及びRAM(Random Access Memory)、ROM(read only memory)等の記憶装置を備えた本体、CRT(Cathode Ray Tube)やLCD(Liquid Crystal Display)等の表示装置等から構成される。図4は、データベース装置4の構成を示すブロック図である。
【0039】
図4に示すように、データベース装置4は、少なくとも、制御部41、記憶部42、及び通信部43を備える。制御部41は、CPUなどのプロセッサであり、プログラムを実行して、データベース装置4における処理を統括的に制御する。
【0040】
記憶部42は、制御部41にて実行されるプログラムや、当該プログラムで用いられるデータ等を記憶する。例えば、記憶部42は、被測定物Wの種類を識別する種類識別コードに関連付けて、測定箇所情報を記憶する被測定物情報データベースDBを格納する。測定箇所情報は、当該被測定物Wにおける測定箇所についての測定条件、当該測定箇所を案内するためのガイダンス情報とを含むとよい。被測定物情報データベースDBは、1つの種類の被測定物Wに対して複数の測定箇所についての測定箇所情報を関連付けて記憶してもよい。測定条件は、測定機2に設定する各種のパラメータや測定結果を演算するための計算式等を含むとよい。具体的には、測定条件は、測定時の検出器203の移動速度、測定レンジ、評価長さ等の駆動検出部20でのデータ取得の際の条件を規定するパラメータ、粗さ規格の種類、粗さパラメータの種類、データに適用するフィルタ等の取得したデータから所望の測定結果を演算する条件を定めるパラメータ、測定結果に対する合否判定の条件を定めるパラメータ(上限・下限)等を含むとよい。また、測定条件は、被測定物Wの設計図面のデータとしてもよい。この場合、設計図面を解析して図面指示記号を認識し、図面指示記号に基づき条件設定を取得してもよい。ガイダンス情報は、測定箇所の写真、測定箇所の図面、CADデータ、説明文を含むとよい。被測定物情報データベースDBは、被測定物Wに関連付けて、測定箇所の位置を示す情報(例えば座標等)、CADデータ等も記憶してもよい。
【0041】
また記憶部42は、被測定物情報データベースDBに対する操作を行うためのデータベース管理プログラムを記憶する。データベース管理プログラムは、制御部41により実行されることにより、例えば、制御端末3からの照会に応じて被測定物情報データベースDBから、照会された被測定物Wについての測定条件とガイダンス情報とを抽出する機能を実現する。
【0042】
通信部43は、制御端末3との通信を行う通信インタフェースである。制御端末3との通信は有線通信としてもよいが無線通信とすることが好ましい。通信部43は、例えば、無線LANまたはWifi(登録商標)により制御端末3と通信するとよい。
【0043】
なお、データベース装置4は、上記の各構成が物理的に一体として構成されていなくてもよい。例えば、上記構成要素の一部または全部が遠隔地に分散して配置されていてもよく、それらが協働してデータベース装置4として機能するようにすればよい。また、データベース装置4は制御端末3あるいは測定機2と一体として構成されてもよい。
【0044】
〔測定システムの動作〕
次に、本実施形態に係る測定システム1の動作について、2台の測定機2を使って、被測定物Wの2つの測定箇所を測定する場合を例に説明する。本例では、被測定物Wには、当該被測定物Wの種類を識別するための種類識別コードを含んだQRコード(登録商標)が貼付されているものとする。また、データベース装置4の被測定物情報データベースDBには、被測定物Wの種類識別コードに関連付けて、測定箇所情報(すなわち、測定条件、ガイダンス情報等)が予め記憶されている。
【0045】
図5は、本実施形態に係る測定システム1を用いて、被測定物Wの測定を実施する手順を例示するフローチャートである。
【0046】
初めに、ユーザは、制御端末3を用いて被測定物Wの画像を撮像する(ステップS10)。このとき、撮像される画像には被測定物Wに貼付されたQRコードが写るようにする。続いて、制御端末3の制御部31は、ステップS10で撮像された画像について被測定物特定プログラムを実行し、画像に写る被測定物Wの種類を特定する(ステップS20)。そして、制御端末3の制御部31は、ステップS20にて特定された被測定物Wの種類について記憶部42の被測定物情報データベースDBに照会し、当該種類に対応する測定箇所情報を取得する(ステップS30)。
【0047】
制御部31はステップS30にて取得した被測定物Wについての測定箇所情報を、表示部35に表示させる(ステップS40)。図6は、表示部35における測定箇所情報の表示画面の一例を示している。例えば図6に示したように、測定箇所に目印(番号等)付された被測定物Wの外観(全体像)とともに、測定箇所の一覧を示すとよい。各測定箇所に対応して、後段の手順で用いられる操作インタフェース(接続ボタンB1、および測定ボタンB2)が表示される。
【0048】
続いて、ステップS40で表示された表示部35の操作画面において、所望の測定箇所について、下記のステップS50からステップS90の手順を順に行うことで、測定が実行される。
【0049】
まず、ユーザが表示部35の操作画面に所望の測定箇所についての接続ボタンB1を押して通信部36と通信部26との通信を確立する(ステップS50)。具体的には、接続ボタンB1が押されると、通信部36は、周囲にある測定機2の通信部26から送信されているアドバタイズ信号をスキャンし、見つかった測定機2の中で、当該測定箇所の測定に用いることのできるものに対し接続要求を行い、通信を確立する。なお、測定に用いることのできる測定機2が複数見つかった場合、それらのうちいずれか1つと通信を確立するとよい。なお、測定システム1は、可能な測定が異なる複数種類の測定機2を備えてもよく、「測定に用いることのできる測定機2」とは、対象とする測定箇所についての測定条件での測定が可能な測定機2を意味する。制御端末3の制御部31は、このような「測定に用いることのできる測定機2」を特定し、特定した測定機2を当該測定条件での測定を行う測定箇所に割り当てて通信を確立する。
【0050】
なお、被測定物Wに複数の測定箇所がある場合、1つの測定箇所について接続ボタンB1を押すと、利用可能な測定機2を、接続ボタンB1を押した測定箇所以外の測定箇所も含め各測定箇所に割り当て、割り当てた測定箇所に応じたガイダンス情報を測定機2の表示部25に表示させ、割り当てた測定箇所に応じた測定条件を各測定機2に設定するとよい。このようにすれば、測定箇所ごとにステップS50を実施する手間を省くことができる。
【0051】
続いて、ステップS60において、通信が確立した測定機2に対し、制御端末3から対象となる測定箇所についての測定箇所情報(すなわち、測定条件とガイダンス情報)が送信され、当該測定箇所情報が測定機2に適用される。すなわち、測定条件が測定機2の記憶部23に記憶され、ガイダンス情報は測定機2の25に表示される。ユーザは、表示部25に表示されたガイダンス情報を見ながら被測定物Wの測定箇所に適切に測定機2を配置する。なお、ガイダンス情報は制御端末3の表示部35にも表示されるようにしてもよい。
【0052】
ステップS60を経て、測定の準備が整うと、ユーザが表示部35の操作画面にて測定ボタンB2を押すことにより測定機2による測定が実行される(ステップS70)。すなわち、測定機2の制御部22が駆動検出部20を制御して測定データを取得し、さらに測定条件に含まれる演算式や判定条件により、制御部22が測定データから測定結果を求める。
【0053】
制御部22が求めた測定結果は、表示部25に表示されるとともに通信部26を介して制御端末3に送られ、制御端末3の表示部35にも測定結果が表示される(ステップS80)。表示部35に表示される測定結果は、測定箇所に対応付けて表示されるようにしてもよい。
【0054】
このようにして制御端末3が測定機2から得た測定結果は、測定結果とともに表示部35に表示される保存ボタンをユーザが押す等の操作により、通信部36を介してデータベース装置4に送信され、データベース装置4の記憶部42に記録される(ステップS90)。
【0055】
未測定の測定箇所がある場合には処理をステップS50に戻し、すべての測定箇所について測定が完了している場合には、当該被測定物Wについての測定は終了する。
【0056】
本実施形態に係る測定システム1は、以上で説明した構成及び動作により、被測定物Wの各測定箇所に応じた測定条件を、制御端末3がデータベース装置4の被測定物情報データベースDBから抽出して測定機2に転送することで、迅速かつ正確に測定条件を設定することができる。また、測定箇所に測定機2を配置する方法を示すガイダンス情報が測定機2の表示部25に表示されるので、ユーザは迷うことなく測定機2を被測定物Wの測定箇所に正しく配置することができる。
【0057】
〔実施形態の変形〕
なお、上記に本発明の実施形態を説明したが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。例えば、上記の実施形態では、QRコードには種類識別コードが含まれたが、QRコードは、被測定物Wの種類を識別するための種類識別コードに加え/代えて、被測定物Wの個体を識別するための個体識別コードを含んでもよい。QRコードが含むのは、個体識別コードのみでもよいし、種類識別コードのみでもよい。個体識別コードのみの場合には、DBが、個体識別コードに関連付けて被測定物Wの種類を記憶するようにすれば、個体識別コードから被測定物Wの種類を特定することが可能となる。
【0058】
被測定物Wの個体を識別可能な構成では、被測定物情報データベースDBにおいて、ワークの個体識別コードに関連付けて測定値を記録してもよい。すなわち、測定実行後に得られた測定結果を制御端末3からデータベース装置4に送信して、個体識別コードに関連付けて当該測定結果を記録するよう構成するとよい。このようにすれば、後で個体ごとの測定結果をトレースすることが可能となる。
【0059】
また、上記の実施形態では、被測定物Wの画像に写るQRコードに基づき被測定物Wの種類(種類識別コード)を特定する例を説明したが、被測定物Wの外観や3次元形状に基づき被測定物Wの種類を特定するようにしてもよい。具体的には、制御端末3またはデータベース装置4で実行されるプログラムにより、被測定物Wの形状の参照モデル(CADデータ、画像等)と画像に写る被測定物Wの外観を対比して種類を特定するように構成するとよい。
【0060】
また、上記の実施形態では、測定システム1は、測定機2、制御端末3、およびデータベース装置4の3種のハードウェアにより構成されたが、これらのいくつかが1つのハードウェアに統合されてもよい。例えば、測定機2と制御端末3が1つのハードウェアにより実現されてもよい。
【0061】
また、上記の実施形態では、測定システム1が、1つの被測定物Wについて、当該被測定物Wにおける複数の測定箇所を測定機2により順番に測定する測定手順を例に説明したが、複数の測定機2によって被測定物Wにおける複数の測定箇所を同時に、あるいは並行して測定するようにしてもよい。この場合、上記実施形態では、表示部35に表示される操作画面において、個々の測定箇所に対応付けて測定ボタンB2が設けられたが、この測定ボタンB2に代えて/加えて、接続および測定条件の設定が完了している測定機2に対して一括して測定を実行する一括測定ボタンを設け、この一括測定ボタンが押された場合には、測定の準備ができた複数の測定箇所について一括して測定を実施するように構成してもよい。このようにすれば、測定の準備をまとめて行い、複数の測定箇所を一度に測定することで測定に要する操作を簡略化するとともに、測定時間を短縮することができる。
【0062】
また、一括測定ではなく、一回の測定実行操作に応じて測定の準備ができた複数の測定箇所について所定の順番に測定を実行するように構成してもよい。測定時の振動等により同時測定が好ましくない場合には、このようなシーケンシャルな測定が有効である。
【0063】
また、前述の各実施形態に対して、当業者が適宜、構成要素の追加、削除、設計変更を行ったものや、各実施形態の特徴を適宜組み合わせたものも、本発明の要旨を備えている限り、本発明の範囲に含有される。
【符号の説明】
【0064】
1 測定システム
2 測定機
20 駆動検出部
22 制御部
23 記憶部
24 入力部
25 表示部
26 通信部
3 制御端末
31 制御部
32 記憶部
33 撮像部
34 入力部
35 表示部
36 通信部
4 データベース装置
41 制御部
42 記憶部
43 通信部
W…被測定物
図1
図2
図3
図4
図5
図6