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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022089761
(43)【公開日】2022-06-16
(54)【発明の名称】硬化性シリコーン組成物
(51)【国際特許分類】
   C08L 83/07 20060101AFI20220609BHJP
   C08L 83/05 20060101ALI20220609BHJP
   C08K 5/3445 20060101ALI20220609BHJP
【FI】
C08L83/07
C08L83/05
C08K5/3445
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021161641
(22)【出願日】2021-09-30
(31)【優先権主張番号】P 2020202319
(32)【優先日】2020-12-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】719000328
【氏名又は名称】ダウ・東レ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】入江 正和
【テーマコード(参考)】
4J002
【Fターム(参考)】
4J002CP043
4J002CP141
4J002CP142
4J002DJ017
4J002EU106
4J002FD017
4J002FD036
(57)【要約】
【課題】 硬化性が良好で、常温において十分なポットライフを有する硬化性シリコーン組成物を提供する。
【解決手段】 (A)一分子中に少なくとも2つのアルケニル基を有するオルガノポリシロキサン、(B)一分子中に少なくとも2つのケイ素原子結合水素原子を有するオルガノポリシロキサン、(C)ヒドロシリル化反応用触媒、および(D)一般式:
【化1】
(式中、各Rは独立に、炭素数1~6のアルキル基、または炭素数3~6のアルケニル基であり、但し、少なくとも一つのRは前記アルケニル基であり、各Rは独立に、水素原子、または炭素数1~6のアルキル基である。)で表されるグリコールウリル化合物から少なくともなる硬化性シリコーン組成物。
【選択図】 なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)一分子中に少なくとも2つのアルケニル基を有するオルガノポリシロキサン 100質量部、
(B)一分子中に少なくとも2つのケイ素原子結合水素原子を有するオルガノポリシロキサン (A)成分中のアルケニル基の合計1モルに対して、本成分中のケイ素原子結合水素原子が0.1~10モルとなる量、
(C)触媒量のヒドロシリル化反応用触媒、および
(D)一般式:
【化1】
(式中、各Rは独立に、炭素数1~6のアルキル基、または炭素数3~6のアルケニル基であり、但し、少なくとも一つのRは前記アルケニル基であり、各Rは独立に、水素原子、または炭素数1~6のアルキル基である。)
で表されるグリコールウリル化合物 0.001~0.3質量部
から少なくともなる硬化性シリコーン組成物。
【請求項2】
(B)成分が、式:HRSiO1/2(式中、各Rは独立に、炭素数1~12のアルキル基、炭素数6~12のアリール基、炭素数7~12のアラルキル基、または炭素数3~12のフロロアルキル基である。)で表されるシロキサン単位を有するオルガノポリシロキサンである、請求項1に記載の硬化性シリコーン組成物。
【請求項3】
(B)成分が、式:HRSiO1/2(式中、各Rは独立に、前記と同じ基である。)で表されるシロキサン単位、および式:SiO4/2で表されるシロキサン単位を有するオルガノポリシロキサンである、請求項2に記載の硬化性シリコーン組成物。
【請求項4】
(B)成分が、式:HRSiO1/2で表されるシロキサン単位、および式:RSiO3/2(式中、各Rは独立に、前記と同じ基である。)で表されるシロキサン単位を有するオルガノポリシロキサンである、請求項2に記載の硬化性シリコーン組成物。
【請求項5】
(D)成分が、式:
【化2】
で表されるグリコールウリル化合物である、請求項1に記載の硬化性シリコーン組成物。
【請求項6】
さらに、(E)前記(D)成分以外のヒドロシリル化反応抑制剤を有する、請求項1に記載の硬化性シリコーン組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は硬化性シリコーン組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
ヒドロシリル化反応用触媒の存在下、付加反応で硬化する硬化性シリコーン組成物は、加熱により速やかに硬化して、耐熱性や耐候性に優れるシリコーン硬化物を形成することから、広く利用されている。しかし、このような硬化性シリコーン組成物は、その硬化性を促進しようとすると、室温でのポットライフが著しく短くなるという課題がある。
【0003】
このため、特許文献1には、トリアゾール系化合物を配合することにより、硬化性シリコーン組成物の硬化開始時間および硬化時間を制御することが提案され、また、特許文献2には、アセチレンアルコールの誘導体を配合することにより、硬化性シリコーン組成物のポットライフを延長することが提案されているが、いずれも硬化性とポットライフを両立させるには至っていない。
【0004】
一方、特許文献3には、ヒドロシリル化反応用触媒を含有する硬化性シリコーン組成物にグリコールウリル化合物を配合し、透明性、耐熱性、耐硫化性および密着性に優れた硬化物を形成することが提案されている。しかし、特許文献3には、上記目的を達成するために、アルケニル基含有オルガノポリシロキサンとケイ素原子結合水素原子含有オルガノポリシロキサンの合計100質量部に対して、グリコールウリル化合物を0.1~50質量部配合することが記載されているものの、その実施例では、1~50質量部も配合しており、このような組成物では、もはや硬化性とポットライフの両立は困難である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2014-122271号公報
【特許文献2】特表2019-504919号公報
【特許文献3】特開2015-129274号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、硬化性が良好で、常温において十分なポットライフを有する硬化性シリコーン組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の硬化性シリコーン組成物は、
(A)一分子中に少なくとも2つのアルケニル基を有するオルガノポリシロキサン 100質量部、
(B)一分子中に少なくとも2つのケイ素原子結合水素原子を有するオルガノポリシロキサン (A)成分中のアルケニル基の合計1モルに対して、本成分中のケイ素原子結合水素原子が0.1~10モルとなる量、
(C)触媒量のヒドロシリル化反応用触媒、および
(D)一般式:
【化1】
(式中、各Rは独立に、炭素数1~6のアルキル基、または炭素数3~6のアルケニル基であり、但し、少なくとも一つのRは前記アルケニル基であり、各Rは独立に、水素原子、または炭素数1~6のアルキル基である。)
で表されるグリコールウリル化合物 0.001~0.3質量部
から少なくともなることを特徴とする。
【0008】
本組成物において、(B)成分は、式:HRSiO1/2(式中、各Rは独立に、炭素数1~12のアルキル基、炭素数6~12のアリール基、炭素数7~12のアラルキル基、または炭素数3~12のフロロアルキル基である。)で表されるシロキサン単位を有するオルガノポリシロキサンであることが好ましい。また、(B)成分は、式:HRSiO1/2(式中、各Rは独立に、前記と同じ基である。)で表されるシロキサン単位、および式:SiO4/2で表されるシロキサン単位を有するオルガノポリシロキサン、あるいは、式:HRSiO1/2で表されるシロキサン単位、および式:RSiO3/2(式中、各Rは独立に、前記と同じ基である。)で表されるシロキサン単位を有するオルガノポリシロキサンであることが好ましい。
【0009】
本組成物において、(D)成分は、式:
【化2】
で表されるグリコールウリル化合物であることが好ましい。
【0010】
本組成物は、さらに、(E)前記(D)成分以外のヒドロシリル化反応抑制剤を有することが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明の硬化性シリコーン組成物は、硬化性が良好で、常温において十分なポットライフを有するという特徴がある。
【発明を実施するための形態】
【0012】
<硬化性シリコーン組成物>
(A)成分は本組成物の主剤であり、一分子中に少なくとも2つのアルケニル基を有するオルガノポリシロキサンである。(A)成分中のアルケニル基としては、ビニル基、アリル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、へプテニル基、オクテニル基、ノネニル基、デセニル基等の炭素数2~12のアルケニル基が例示され、好ましくは、ビニル基、ヘキセニル基である。また、(A)成分中のアルケニル基以外のケイ素原子に結合する基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基等の炭素数1~12のアルキル基;フェニル基、トリル基、キシリル基等の炭素数6~12のアリール基;ベンジル基、フェネチル基等の炭素数7~12のアラルキル基;3,3,3-トリフロロプロピル基、4,4,4,3,3-ペンタフロロブチル基、5,5,5,4,4,3,3-へプタフロロペンチル基、6,6,6,5,5,4,4,3,3-ノナフロロヘキシル基、7,7,7,6,6,5,5,4,4,3,3-ウンデカフロロヘプチル基等の炭素数3~12のフロロアルキル基が例示され、好ましくは、メチル基、フェニル基、3,3,3-トリフロロプロピル基である。本組成物を硬化して得られるシリコーン硬化物の耐油性や耐寒性を向上させるため、(A)成分はフロロアルキル基を有することが好ましい。その場合、(A)成分中のフロロアルキル基の割合は限定されないが、好ましくは、ケイ素原子結合全有機基の5モル%以上、10モル%以上、あるいは20モル%以上であり、一方、70モル%以下、あるいは60モル%以下であり、前記下限と上限との任意の範囲内である。さらに、また、本発明の目的を損なわない範囲で、(A)成分中のケイ素原子に、少量の水酸基、あるいはメトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基を結合してもよい。
【0013】
(A)成分の分子構造は限定されず、例えば、直鎖状、分岐鎖状、一部分岐を有する直鎖状、樹脂状が挙げられる。また、(A)成分の25℃における粘度は限定されないが、好ましくは、25℃において、少なくとも100mPa・sの粘度を有する液状のものから生ゴム状である。(A)成分が液状である場合、その25℃における粘度は、好ましくは、100~100,000mPa・sの範囲内、あるいは500~50,000mPa・sの範囲内である。これは、(A)成分の粘度が上記範囲の下限以上であると、得られるシリコーン硬化物の機械的強度が向上するからであり、一方、上記範囲の上限以下であると、本組成物の取扱作業性や充填性が向上するからである。なお、(A)成分の25℃における粘度は、JIS K7117-1に準拠した回転粘度計によって測定することができる。一方、(A)成分が生ゴム状である場合、そのJIS K 6249に規定される25℃におけるウイリアムス可塑度は、好ましくは、100~800の範囲内、あるいは100~400の範囲内である。
【0014】
このような(A)成分としては、例えば、分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン、分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルフェニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルビニルポリシロキサン、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端シラノール基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチル(3,3,3-トリフルオロプロピル)シロキサン共重合体、分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン・メチル(3,3,3-トリフルオロプロピル)シロキサン共重合体、分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルフェニルシロキサン・メチル(3,3,3-トリフルオロプロピル)シロキサン共重合体、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチル(3,3,3-トリフルオロプロピル)シロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体、およびこれらの2種以上の混合物が挙げられる。
【0015】
(B)成分は、本組成物の架橋剤であり、一分子中に少なくとも2つのケイ素原子結合水素原子を有するオルガノポリシロキサンである。(B)成分中の水素原子以外のケイ素原子に結合する基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基等の炭素数1~12のアルキル基;フェニル基、トリル基、キシリル基等の炭素数6~12のアリール基;ベンジル基、フェネチル基等の炭素数7~12のアラルキル基;3,3,3-トリフロロプロピル基、4,4,4,3,3-ペンタフロロブチル基、5,5,5,4,4,3,3-へプタフロロペンチル基、6,6,6,5,5,4,4,3,3-ノナフロロヘキシル基、7,7,7,6,6,5,5,4,4,3,3-ウンデカフロロヘプチル基等の炭素数3~12のフロロアルキル基が例示され、好ましくは、メチル基、フェニル基、3,3,3-トリフロロプロピル基である。なお、本組成物を硬化して得られるシリコーン硬化物の耐油性や耐寒性を向上させるため、(A)成分がフロロアルキル基を有する場合、(B)成分もフロロアルキル基を有することが好ましい。その場合、(B)成分中のフロロアルキル基の割合は限定されないが、好ましくは、ケイ素原子結合全有機基の5モル%以上、10モル%以上、あるいは15モル%以上であり、一方、70モル%以下、60モル%以下、50モル%以下、あるいは40モル%以下であり、前記下限と上限との任意の範囲内である。さらに、また、本発明の目的を損なわない範囲で、(B)成分中のケイ素原子に、少量の水酸基、あるいはメトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基を結合してもよい。
【0016】
(B)成分の分子構造は限定されず、例えば、直鎖状、分岐鎖状、一部分岐を有する直鎖状、環状、樹脂状が挙げられる。また、(B)成分の粘度は限定されないが、好ましくは、25℃における動粘度が1~10,000mm/sの範囲内、あるいは1~2,000mm/sの範囲内のものである。これは、(B)成分の粘度が上記範囲の下限以上であると、得られるシリコーン硬化物の機械的強度が向上するからであり、一方、上記範囲の上限以下であると、本組成物の取扱作業性や充填性が向上するからである。なお、(B)成分の粘度は、JIS K2283:2000「原油及び石油製品-動粘度試験方法及び粘度指数算出方法」に準拠した粘度計によって測定することができる。
【0017】
このような(B)成分としては、例えば、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンポリシロキサン、分子鎖両末端トリメチルシロキシ封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンシロキサン・メチル(3,3,3-トリフロロプロピル)シロキサン共重合体、分子鎖両末端トリメチルシロキシ封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン・メチル(3,3,3-トリフロロプロピル)シロキサン共重合体、両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖メチル(3,3,3-トリフロロプロピル)ポリシロキサン、分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖メチル(3,3,3-トリフロロプロピル)ポリシロキサン、分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン・メチル(3,3,3-トリフロロプロピル)シロキサン共重合体、およびこれらの2種以上の混合物が挙げられる。
【0018】
なお、一般に、(B)成分として、式:HRSiO1/2で表されるシロキサン単位を有するオルガノポリシロキサンを用いた場合、硬化性シリコーン組成物のポットライフが短くなる傾向があるが、本組成物においては、(B)成分が、式:HRSiO1/2で表されるシロキサン単位を有するオルガノポリシロキサンである場合、特に、(D)成分の配合によるポットライフの延長効果が顕著となる。なお、式中のRは独立に、炭素数1~12のアルキル基、炭素数6~12のアリール基、炭素数7~12のアラルキル基、または炭素数3~12のフロロアルキル基であり、前記と同様の基が例示される。
【0019】
このような(B)成分としては、式:HRSiO1/2で表されるシロキサン単位、および式:SiO4/2で表されるシロキサン単位を有し、任意に、式:RSiO2/2で表されるシロキサン単位や式:RSiO3/2で表されるシロキサン単位を含んでもよいオルガノポリシロキサン、式:HRSiO1/2で表されるシロキサン単位、および式:RSiO3/2で表されるシロキサン単位を有し、任意に、式:RSiO2/2で表されるシロキサン単位や式:SiO4/2で表されるシロキサン単位を含んでもよいオルガノポリシロキサン、あるいは、式:HRSiO1/2で表されるシロキサン単位、および式:RSiO2/2で表されるシロキサン単位を有し、任意に、式:SiO4/2で表されるシロキサン単位や式:RSiO3/2で表されるシロキサン単位を含んでもよいオルガノポリシロキサンが例示され、具体的には、平均単位式:
[HRSiO1/2](SiO4/2)
で表されるオルガノポリシロキサン、平均単位式:
[HRSiO1/2](RSiO3/2)
で表されるオルガノポリシロキサン、一般式:
HRSiO(RSiO)SiR
で表されるオルガノポリシロキサン、あるいは一般式:
HRSiO(RSiO)(HRSiO)SiR
で表されるオルガノポリシロキサンが例示される。
【0020】
上式中、Rは前記と同じである。また、aは0<a≦4を満たす数であり、好ましくは、0.5≦a≦1.8を満たす数である。また、bは0<b≦3を満たす数であり、好ましくは、0.5≦b≦1.8を満たす数である。さらに、m、nは、(B)成分の25℃における動粘度が1~10,000mm/sの範囲内、あるいは1~2,000mm/sの範囲内となる正の数である。
【0021】
(B)成分の含有量は、(A)成分中のアルケニル基の合計1モルに対して、本成分中のケイ素原子結合水素原子が0.1~10モルとなる範囲内の量であり、好ましくは、0.5~10モルの範囲内となる量、0.8~5モルの範囲内となる量、1.1~5モルの範囲内となる量である。これは、(B)成分の含有量が上記範囲の下限以上であると、本組成物が充分に硬化するからであり、一方、上記範囲の上限以下であると、得られるシリコーン硬化物の耐熱性が良好となるからである。
【0022】
(C)成分は、本組成物の硬化を促進するためのヒドロシリル化反応用触媒である。(C)成分としては、白金系触媒、パラジウム系触媒、ロジウム系触媒が例示され、好ましくは、白金系触媒である。この白金系触媒としては、塩化白金酸、塩化白金酸六水和物、二塩化白金、塩化白金酸のアルコール溶液、白金のオレフィン錯体、白金のカルボニル錯体、白金のアルケニルシロキサン錯体、白金のジケトン錯体、白金のオレフィン錯体等の非マイクロカプセル型ヒドロシリル化反応用触媒、これらの白金系触媒を分散もしくは含有する、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、シリコーン樹脂等の軟化点が40~170℃の樹脂からなるマイクロカプセル型ヒドロシリル化反応用触媒が例示される。また、白金のアルケニルシロキサン錯体において、アルケニルシロキサンとしては、例えば、1,3-ジビニルテトラメチルジシロキサン、1,1,3,3-テトラビニルジメチルジシロキサン、ジメチルビニルシロキシ基封鎖メチル(3,3,3-トリフルオロプロピル)シロキサンオリゴマーが挙げられる。
【0023】
(C)成分の含有量は、本組成物の硬化を促進する触媒量であり、具体的には、本組成物に対する本成分中の触媒金属が質量単位で0.1~1,000ppmの範囲内となる量、0.1~500ppmの範囲内となる量、あるいは、0.1~250ppmの範囲内となる量である。これは、(C)成分の含有量が、上記範囲の下限以上であると、本組成物の硬化が十分に促進されるからであり、一方、上記範囲の上限以下であると、得られるシリコーン硬化物に着色等の問題を生じにくいからである。
【0024】
(D)成分は、本組成物の硬化性を調整するためのグリコールウリル化合物であり、一般式:
【化3】
で表される。
【0025】
式中、各Rは独立に、炭素数1~6のアルキル基、または炭素数3~6のアルケニル基である。Rのアルキルとしては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基が例示される。また、Rのアルケニル基としては、アリル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基が例示される。なお、上式中、少なくとも一つのRは前記アルケニル基であり、好ましくは、アリル基である。
【0026】
また、上式中、各Rは独立に、水素原子、または炭素数1~6のアルキル基である。Rのアルキル基としては、前記R1のアルキルと同様の基が例示される。
【0027】
このような(D)成分としては、次式で表されるグリコールウリル化合物が例示される。
【化4】
【化5】
【化6】
【化7】
【0028】
本組成物中、(D)成分の含有量は、上記(A)成分100質量部に対して、0.001~0.3質量部の範囲内であり、好ましくは、0.001~0.2質量部の範囲内である。また、前記(C)成分として、マイクロカプセル型ヒドロシリル化反応用触媒を用いた場合には、好ましくは、0.001~0.3質量部の範囲内、あるいは、0.001~0.2質量部の範囲内であり、一方、非マイクロカプセル型ヒドロシリル化反応用触媒を用いた場合には、好ましくは、0.001~0.3質量部の範囲内、0.001~0.2質量部の範囲内、あるいは0.001~0.15質量部の範囲内である。これは、(D)成分の含有量が、上記範囲の下限以上であると、本組成物の室温でのポットライフが十分となるからであり、一方、上記範囲の上限以下であると、本組成物の硬化性が良好であり、また、得られるシリコーン硬化物の圧縮永久ひずみ率を小さくすることができるからである。
【0029】
また、本組成物には、(D)成分と共に、本組成物の硬化速度を調節するため、前記(D)成分以外の(E)ヒドロシリル化反応抑制剤を含有してもよい。この(E)成分としては、2-メチル-3-ブチン-2-オール、3,5-ジメチル-1-ヘキシン-3-オール、3-メチル-1-ペンチン―3-オール、2-フェニル-3-ブチン-2-オール、1-エチニル-1-シクロヘキサノール、2-エチニルイソプロパノール、2-エチニルブタン-2-オール等のアルキンアルコール;トリメチル(3,5-ジメチル-1-ヘキシン-3-オキシ)シラン、ジメチルビス(3-メチル-1-ブチノキシ)シラン、メチルビニルビス(3-メチル-1-ブチン-3-オキシ)シラン、および[(1,1-ジメチル-2-プロピニル)オキシ]トリメチルシラン等のシリル化アセチレンアルコール;2-イソブチル-1-ブテン-3-イン、3,5-ジメチル-3-ヘキセン-1-イン、3-メチル-3-ペンテン-1-イン、3-メチル-3-ヘキセン-1-イン、1-エチニルシクロヘキセン、3-エチル-3-ブテン-1-イン、および3-フェニル-3-ブテン-1-イン等とエンイン化合物;ジアリルマレエート、ジメチルマレエート、ジエチルフマレート、ジアリルフマレート、ビス-2-メトキシ-1-メチルエチルマレエート、モノオクチルマレエート、モノイソオクチルマレエート、モノアリルマレエート、モノメチルマレエート、モノエチルフマレート、モノアリルフマレート、および2-メトキシ-1-メチルエチルマレエート等の不飽和カルボン酸エステル;1,3,5,7-テトラメチル-1,3,5,7-テトラビニルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7-テトラメチル-1,3,5,7-テトラヘキセニルシクロテトラシロキサン等のアルケニルシロキサン;その他、ベンゾトリアゾールが例示される。
【0030】
(E)成分の含有量は限定されないが、好ましくは、(A)成分および(B)成分の合計100質量部に対して、5質量部以下、または、3質量部以下であり、一方、その下限は0.01質量部以上、または0.1質量部以上である。(E)成分の含有量は、前記の上限と下限とを組み合わせた任意の範囲とすることができる。
【0031】
本組成物には、本組成物を硬化して得られるシリコーン硬化物の機械的特性を向上させるためにシリカ微粉末を含有してもよい。このシリカ微粉末としては、ヒュームドシリカ等の乾式法シリカ、沈澱シリカ等の湿式法シリカが挙げられ、さらにそれらの表面が、オルガノシラン、ヘキサオルガノジシラザン、ジオルガノポリシロキサン、ジオルガノシクロポリシロキサン等の有機ケイ素化合物で疎水化処理された微粉末状シリカも使用できる。このシリカ微粉末のBET比表面積は限定されないが、好ましくは、50m/g~500m/gの範囲内、あるいは100~500m/gの範囲内である。
【0032】
シリカ微粉末の含有量は限定されないが、得られるシリコーン硬化物の機械的特性が良好であることから、(A)成分100質量部に対して、5質量部以上であることが好ましく、一方、本組成物の成形性が良好であることから、(A)成分100質量部に対して、200質量部以下であることが好ましい。
【0033】
また、本組成物には、本発明の目的を損なわない程度で、その他に硬化性シリコーン組成物に通常使用される各種の配合剤を配合してもよい。この配合剤としては、けいそう土、石英粉末、炭酸カルシウム等の増量充填剤;アルミナ、酸化亜鉛、窒化ホウ素等の熱伝導性向上剤;水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム等の難燃性向上剤;アセチレンブラック、ファーネスブラック、チャンネルブラック等のカーボンブラック;酸化チタン、弁柄等の顔料;希土類酸化物、セリウムシラノレート、セリウム脂肪酸塩等の耐熱性向上剤;ステアリン酸、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウムなどの脂肪酸及びそれらの金属塩等の金型離型剤;アルコキシシラン、ジフェニルシランジオール、カーボンファンクショナルシラン、分子鎖両末端シラノール基封鎖ジオルガノシロキサンオリゴマー等の分散剤;ビニルトリメトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、アリルトリエトキシシラン、ハイドロジェントリエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン等のアルコキシシラン;分子鎖両末端シラノール基封鎖のジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体オリゴマー、分子鎖両末端シラノール基封鎖のメチルビニルシロキサンオリゴマー等の分子鎖両末端シラノール基封鎖のアルケニル基含有ジオルガノシロキサンオリゴマーと、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシランや2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等のエポキシ基含有アルコキシシランとの反応混合物;前記の分子鎖両末端シラノール基封鎖のアルケニル基含有ジオルガノシロキサンオリゴマーと、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシランとの反応混合物;前記エポキシ基含有アルコキシシランと3-アミノプロピルトリエトキシシランの反応混合物;その他、トリス(3-トリメトキシシリルプロピル)イソシアヌレート等の接着付与剤が例示される。
【0034】
本組成物を硬化する方法は限定されず、金型成形、圧縮成形、トランスファー成形、射出成形、押出成形、カレンダー成形等を用いることができる。また、その硬化方法も限定されず、スチーム加硫、熱風加硫等の周知の硬化方法を選択することができる。
【実施例0035】
本発明の硬化性シリコーン組成物を実施例により詳細に説明する。なお、本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。また、実施例中、粘度や可塑度等の特性は、特に限定しない限り、室温(25℃)における値である。また、粘度(Pa・s)は、JIS K7117-1に準拠した回転粘度計を使用して測定した値であり、動粘度(mm/s)は、JIS Z8803に準拠したウベローデ型粘度計によって測定した値であり、硬化性シリコーン組成物の硬化性、ポットライフ(粘度変化)、および得られるシリコーン硬化物の物性を次のようにして測定した。
【0036】
<硬化性>
硬化性シリコーン組成物を、JIS K6300に準じたキュラストメーターIII型(JSR製)を用いて、130℃/3分の条件で、次の加硫特性を測定した。
T10:加硫が10%進行する(即ち、加硫曲線においてトルクが最大トルク値MHの10%に達するまで)のに要した加熱初期からの時間(=加硫開始点)
T90:加硫が90%進行する(即ち、加硫曲線においてトルクが最大トルク値MHの10%に達するまで)のに要した加熱初期からの時間(=最適加硫点)
【0037】
<ポットライフ(粘度変化)>
硬化性シリコーン組成物の25℃における調製直後の初期粘度(Pa・s)、およびそれを25℃で所定時間静置後の粘度(Pa・s)を、それぞれ、JIS K7117-2:1999に規定の方法に準拠した回転型レオメーター(TA Instruments社製の粘弾性測定装置AR500)で測定した。なお、この測定は、直径20mm、2°のコーンプレートを用いて、シェアレートを10.0(S-1)とした。
【0038】
<硬さ>
JIS K6253に規定されたタイプA硬さ試験機を用いた試験方法に準じ、厚さ2mmの試験片を3枚重ねて使用した。
【0039】
<圧縮永久歪み率>
JIS K6262に規定の方法に準じて、180℃、25%圧縮という条件で、22時間後の圧縮永久ひずみ率を測定した。
【0040】
<実施例1-14、比較例1-6>
表1-3に示した組成となるよう下記の成分を均一に混合して硬化性シリコーン組成物を調製した。なお、表中のSiH/Viは、(A)成分中のアルケニル基の合計1モルに対する(B)成分中のケイ素原子結合水素原子のモル数を示している。
【0041】
(A)成分として、次の成分を用いた。
(a-1):粘度10,000mPa・sの分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン(ビニル基の含有量=約0.13質量%)
(a-2):粘度40,000mPa・sの分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン(ビニル基の含有量=約0.09質量%)
(a-3):粘度40,000mPa・sの分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体(ビニル基の含有量=約0.13質量%)
【0042】
(B)成分として、次の成分を用いた。
(b-1):動粘度25mm/sの平均単位式:
[H(CH)SiO1/2]1.6(SiO4/2)
で表されるオルガノポリシロキサン(ケイ素原子結合水素原子の含有量=約0.97質量%)
(b-2):動粘度10mm/sの、式:H(CH)SiO1/2で表されるシロキサン単位、式:(CH)SiO2/2で表されるシロキサン単位、および式:H(CH)SiO2/2で表されるシロキサン単位からなる分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体(ケイ素原子結合水素原子の含有量=約0.39質量%)
(b-3):動粘度5mm/sの、式:(CH)SiO1/2で表されるシロキサン単位、式:(CH)SiO2/2で表されるシロキサン単位、および式:H(CH)SiO2/2で表されるシロキサン単位からなる分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体(ケイ素原子結合水素原子の含有量=約0.77質量%)
(b-4):動粘度10mm/sの、式:H(CH)SiO1/2で表されるシロキサン単位、および式:(CH)SiO2/2で表されるシロキサン単位からなる分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン(ケイ素原子結合水素原子の含有量=約0.16質量%)
(b-5):動粘度15mm/sの、式:(CH)SiO1/2で表されるシロキサン単位、式:(CH)SiO2/2で表されるシロキサン単位、式:H(CH)SiO2/2で表されるシロキサン単位、および式:CHSiO3/2で表されるシロキサン単位からなる分子鎖末端がトリメチルシロキシ基で封鎖された分岐鎖状のジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体(ケイ素原子結合水素原子の含有量=約0.83質量%)
【0043】
(C)成分として、次の成分を用いた。
(c-1):白金の1,3-ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体の1,3-ジビニルテトラメチルジシロキサン溶液(白金金属の含有量=約6,700ppm)
【0044】
(D)成分として、次の成分を用いた。
(d-1):式:
【化8】
で表されるグリコールウリル化合物(四国化成工業株式会社製の商品名TA-G)
【0045】
また、(D)成分の比較として、次の成分を用いた。
(d-2):N,N’-ジアリルシアヌル酸化合物(四国化成工業株式会社製の商品名LDAIC)
(d-3):トリアリルイソシアヌレート
(d-4):ビス(N,N’-ジアリルシアヌル酸)化合物(四国化成工業株式会社製の商品名DD-1)
【0046】
また、(E)成分として、次の成分を用いた。
(e-1):1-エチニル-シクロヘキサン-1-オール 2質量部と粘度10,000mPa・sの分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン(ビニル基の含有量=約0.13質量%) 98質量部の混合物
【0047】
また、(F)成分として、次の成分を用いた。
(f-1):BET比表面積が255m/gのヒュームドシリカ
【0048】
なお、上記(f-1)成分は次のようにして調製したシリカマスターバッチとして配合したが、表1-3中では、各成分を分けて記載した。
【0049】
<シリカマスターバッチの調製>
上記(a-2)成分 100質量部、上記(f-1)成分 40質量部、ヘキサメチルジシラザン 7質量部、水 1.7質量部、粘度20mPa・sの分子鎖両末端ジメチルヒドロキシシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体(ビニル基含有量=約10.9質量%) 0.2質量部をロスミキサーに投入し、室温で均一になるまで混合した後、減圧下、200℃で2時間加熱処理して流動性のあるシリカマスターバッチを調製した。
【0050】
【表1】
【0051】
【表2】
【0052】
【表3】
【0053】
<実施例15-18、比較例7>
表4に示した組成となるよう上記成分に加え、下記の成分を均一に混合して硬化性シリコーン組成物を調製した。なお、表中のSiH/Viは、(A)成分中のアルケニル基の合計1モルに対する(B)成分中のケイ素原子結合水素原子のモル数を示している。
【0054】
(A)成分として、次の成分を用いた。
(a-4):粘度50,000mPa・sの分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖メチル(3,3,3-トリフロロプロピル)ポリシロキサン(ビニル基の含有量=約0.15質量%)
【0055】
(B)成分として、次の成分を用いた。
(b-4):動粘度7mm/sで、平均単位式:
[H(CH)SiO1/2]1.5(CFSiO3/2)
で表される分岐鎖状のオルガノポリシロキサン(ケイ素原子結合水素原子の含有量=約0.60質量%)
【0056】
(C)成分として、次の成分を用いた。
(c-2):白金の1,3-ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体の1,3-ジビニルテトラメチルジシロキサン溶液を、シリコーン樹脂でマイクロカプセル化したガラス転移点が約65℃のカプセル型触媒を40質量%含有する粘度2,200mPa・sの分子鎖両末端ビニルジメチルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン分散液(白金金属の含有量=約4,000ppm)
【0057】
また、(E)成分として、次の成分を用いた。
(e-2):2-メチル-3-ブチン-2-オール
【0058】
また、(F)成分として、上記(f-1)成分、および(f-2)成分を用いた。
なお、実施例15-18、および比較例7では、(f-1)成分を前記と同様に調製したシリカマスターバッチとして配合したが、表4中では、各成分を分けて記載した。
(f-2):平均粒子径約14μmの酸化セリウム粉末
【0059】
【表4】
【0060】
<実施例19-22、比較例8-9>
表5に示した組成となるよう上記成分に加え、下記の成分を均一に混合して硬化性シリコーン組成物を調製した。なお、表中のSiH/Viは、(A)成分中のアルケニル基の合計1モルに対する(B)成分中のケイ素原子結合水素原子のモル数を示している。
【0061】
(A)成分として、上記(a-1)成分および(a-2)成分の他、次の成分を用いた。
(a-5):粘度340mPa・sの分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体(ビニル基の含有量=約1.17質量%)
【0062】
(B)成分として、上記(b-1)成分を用いた。
【0063】
(C)成分として、上記(c-2)成分の他に、次の成分を用いた。
(c-3):白金の1,3-ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体の1,3-ジビニルテトラメチルジシロキサン溶液を、アクリル樹脂でマイクロカプセル化したガラス転移点が約65℃のカプセル型触媒を40質量%含有する粘度2,200mPa・sの分子鎖両末端ビニルジメチルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン分散液(白金金属の含有量=約4,000ppm)
【0064】
また、(E)成分として、上記(e-1)成分を用いた。
【0065】
また、(F)成分として、次の成分を用いた。
(f-3):BET比表面積が400m/gのヒュームドシリカ
【0066】
なお、実施例19-22、および比較例8-9では、(f-3)成分を次のようにして調製したシリカマスターバッチとして配合したが、表5中では、各成分を分けて記載した。
【0067】
<シリカマスターバッチの調製>
上記(a-2)成分 100質量部、上記(f-3)成分 50質量部、ヘキサメチルジシラザン 10質量部、テトラメチルジビニルシラザン 0.36重量部、水 2質量部、粘度20mPa・sの分子鎖両末端ジメチルヒドロキシシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体(ビニル基含有量=約10.9質量%) 0.26質量部をロスミキサーに投入し、室温で均一になるまで混合した後、減圧下、200℃で2時間加熱処理して流動性のあるシリカマスターバッチを調製した。
【0068】
【表5】
【産業上の利用可能性】
【0069】
本発明の硬化性シリコーン組成物は、硬化性が良好で、常温で十分なポットライフを有するので、例えば、金型成形、圧縮成形、トランスファー成形、射出成形、押出成形、あるいはカレンダー成形に用いるシリコーン材料として好適である。