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特開2022-90436冷蔵又は冷凍野菜の製造方法及び惣菜類の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022090436
(43)【公開日】2022-06-17
(54)【発明の名称】冷蔵又は冷凍野菜の製造方法及び惣菜類の製造方法
(51)【国際特許分類】
   A23L 19/00 20160101AFI20220610BHJP
   A23B 7/05 20060101ALI20220610BHJP
【FI】
A23L19/00 Z
A23B7/05
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020202836
(22)【出願日】2020-12-07
(71)【出願人】
【識別番号】000226998
【氏名又は名称】株式会社日清製粉グループ本社
(74)【代理人】
【識別番号】110002170
【氏名又は名称】特許業務法人翔和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石田 一晃
(72)【発明者】
【氏名】夏目 裕樹
(72)【発明者】
【氏名】濱▲崎▼ 美紀
(72)【発明者】
【氏名】篠崎 純子
【テーマコード(参考)】
4B016
4B169
【Fターム(参考)】
4B016LC02
4B016LG05
4B016LG08
4B016LG10
4B016LK06
4B016LP03
4B016LP05
4B016LP06
4B016LP11
4B169CA02
4B169CA06
4B169HA01
4B169HA06
4B169HA09
4B169KB10
4B169KC08
4B169KC31
(57)【要約】
【課題】冷蔵又は冷凍状態から再加熱した後においても良好な食感と調理感のある外観を有する冷蔵又は冷凍野菜を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明は、野菜に、100℃以上300℃以下の水蒸気を用いた加熱を行う蒸気処理工程、
蒸気処理工程で処理した野菜を、120℃以上200℃以下の油脂と接触させて加熱する加熱時間1秒以上60秒以下の油加熱工程、及び、
油加熱工程で処理した野菜を冷蔵又は冷凍する工程を有する、冷蔵又は冷凍野菜の製造方法を提供することにより、上記目的を達成する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
野菜に、100℃以上300℃以下の水蒸気を用いた加熱を行う蒸気処理工程、
蒸気処理工程で処理した野菜を、120℃以上200℃以下の油脂と接触させて加熱する加熱時間1秒以上60秒以下の油加熱工程、及び、
油加熱工程で処理した野菜を冷蔵又は冷凍する工程を有する、冷蔵又は冷凍野菜の製造方法。
【請求項2】
野菜は、1個当たりの大きさが、5cm四方以内である、請求項1に記載の冷蔵又は冷凍野菜の製造方法。
【請求項3】
野菜は、1個当たりの重さが、15g以下である請求項1又は2に記載の冷蔵又は冷凍野菜の製造方法。
【請求項4】
野菜は、ニンジン、ピーマン、ブロッコリー、アスパラガス、シシトウ、カボチャ、キャベツ及びモヤシから選ばれる1種又は2種以上である、請求項1から3のいずれか1項に記載の冷蔵又は冷凍野菜の製造方法。
【請求項5】
油加熱工程が、野菜に、加熱した油脂を流下させて油かけを行う工程である、請求項1から4のいずれか1項に記載の冷蔵又は冷凍野菜の製造方法。
【請求項6】
蒸気処理工程において、140℃以上300℃以下の水蒸気を用いる、請求項1から5のいずれか1項に記載の冷蔵又は冷凍野菜の製造方法。
【請求項7】
蒸気処理工程の加熱時間が30秒以上4分以下である、請求項1から6のいずれか1項に記載の冷蔵又は冷凍野菜の製造方法。
【請求項8】
蒸気処理工程において、野菜の中心温度が85℃になるまで、加熱する、請求項1から7のいずれか1項に記載の冷蔵又は冷凍野菜の製造方法。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか1項に記載の製造方法で得られた冷蔵又は冷凍野菜を用いて、惣菜類を製造する、惣菜類の製造方法。





【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加熱済みの冷蔵又は冷凍野菜を製造する製造方法及び当該製造方法により得られた冷蔵又は冷凍野菜を用いる惣菜類の製造方法に関する。
【0002】
従来、野菜の歯ごたえのある食感を得るために種々の調理法が知られている。
特許文献1には、野菜に加熱油脂を均一に油かけする工程、及び該油かけした野菜を炒める工程を含む野菜の調理方法が記載されている。同文献には、当該方法により、食感に優れ、色調・艶が良く、離水量が少なくボリューム感が維持され、かつ保存性に優れた野菜炒めが得られると記載されている。
【0003】
特許文献2には、ナス,ダイコン,カブ,キュウリ等を過熱蒸気雰囲気下で相対的に酸素濃度が低い還元下で表面部が加熱処理することが記載されている。同文献には、当該処理によりその後の漬け物にする際の変色が抑制され、塩や酢等の浸透性が向上するほか、冷凍保存する際には、解凍時のベチャベチャ感がなくなり、冷凍耐性が向上すると記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002-238489号公報
【特許文献2】特開2019-075999号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、中食市場は拡大を続けており、市販の惣菜類として様々なものが提案されている。その中で惣菜類に対する美味しさや見た目への要求はますます強いものとなっている。惣菜類の具材の中でも、野菜は肉などに比べて水分量が多いことなどから、加熱済みの野菜は、冷蔵又は冷凍及びその後の加熱を経ることで食感が低下しやすい。中でも特に、揚げびたし、チンジャオロース、ホイコーロー等の野菜の揚げ物や炒め物等については、揚げ感や炒め感といった調理感のある外観を得るために油調工程や高温での炒め工程が必要であるところ、油調又は高温での炒めを経た野菜を冷蔵又は冷凍すると、再加熱後に歯ごたえある食感を得ることが難しいという課題が存在した。
【0006】
上記の課題に関し、特許文献1では、加熱済み野菜を冷蔵又は冷凍を経て再度加熱した後に歯ごたえある食感を得ることは考慮されておらず、そのための工程は何ら検討されていない。
また特許文献2に記載のように、過熱水蒸気による加熱処理を経て得られた冷蔵又は冷凍野菜は、再度加熱した場合に歯ごたえある食感は一応得られるものの、揚げ感や炒め感といった調理感のある外観が得られない。
【0007】
従って本発明の課題は、冷蔵又は冷凍状態から再加熱した後においても良好な食感と調理感のある外観を有する冷蔵又は冷凍野菜を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、野菜に、100℃以上300℃以下の水蒸気を用いた加熱を行う蒸気処理工程、
蒸気処理工程で処理した野菜を、120℃以上200℃以下の油脂と接触させて加熱する加熱時間1秒以上60秒以下の油加熱工程、及び、
油加熱工程で処理した野菜を冷蔵又は冷凍する工程を有する、冷蔵又は冷凍野菜の製造方法を提供するものである。
【0009】
また本発明は、前記方法で得られた冷蔵又は冷凍野菜を用いて、惣菜類を製造する、惣菜類の製造方法を提供するものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明により、冷蔵又は冷凍後に再加熱した後においても良好な食感を有し、且つ調理感のある外観を有する冷蔵又は冷凍野菜を提供することができる。また本発明により、当該冷蔵又は冷凍野菜を用いた惣菜類を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明をその好適な実施態様に基づき説明する。
本発明は、野菜に、100℃以上300℃以下の水蒸気を用いた加熱を行う蒸気処理工程、
蒸気処理工程で処理した野菜を、120℃以上200℃以下の油脂と接触させて加熱する加熱時間1秒以上60秒以下の油加熱工程、及び、
油加熱工程で処理した野菜を冷蔵又は冷凍する工程を有する、冷蔵又は冷凍野菜の製造方法に関する。
なお、以下、時間についての「N秒」及び「M分」の記載はそれぞれ「N秒間」「M分間」の意味である(N及びMはそれぞれ数値である)。
【0012】
本発明者は、冷蔵又は冷凍後に再加熱した場合に、炒め感又は揚げ感のある外観を有しつつ歯ごたえある食感が得られる加熱済み野菜の製造方法について鋭意検討した。加熱済みの冷蔵又は冷凍野菜を製造するには、衛生面から、それらを85℃に達温させる必要がある。一方で本発明者が検討したところ、未加熱状態の野菜を単に炒めたり揚げたりして85℃まで達温して冷蔵又は冷凍した野菜は、焦げてしまうか、或いは、再加熱した場合に、食感が柔らかくなったり、しぼんだりしやすいことが判った。本発明者は上記の現象は過加熱に起因して焦げが生じたり、野菜中の水分が蒸発して外観がしぼんだり、野菜中のペクチンが分解して軟化して柔らかい食感となったものと推測した。そして、揚げ感又は炒め感のある外観を得つつ歯ごたえのある食感を得るためには、過加熱を回避することが必要と考えた。更に、過加熱を回避しながら野菜を加熱することが可能と思われる各種製法を検討した結果、本発明の上記製法に想到した。
【0013】
(蒸気処理工程)
本発明の対象となる野菜としては、キャベツ、ネギ、白菜、ほうれん草、シソ、シュンギク、レタス、コマツナ、チンゲンサイ等の葉菜類;ブロッコリー、カリフラワー等の花菜類;レンコン等の地下茎菜類;モヤシ等の新芽菜類;タケノコなどの新芽以外の芽菜類;アスパラガス、ニンニク、ショウガ、タマネギ等の茎菜類・鱗茎菜類・根茎菜類;ニンジン、カブ、大根、ゴボウなどの根菜類;ナス、トマト、ピーマン、トウガラシ、カボチャ、シシトウなどの果菜類;サツマイモ、ジャガイモ等のイモ類;大豆、グリーンピース、そら豆等の豆類;マイタケ、シイタケ、マツタケ、エノキタケ、ブナシメジ、エリンギ、キクラゲ等のキノコ類;コーン、スイートコーン、ベビーコーン等のトウモロコシ類等が挙げられる。
【0014】
中でも、水分量が多く本発明に適用することによる効果が高い点から、葉菜類、花菜類、新芽菜類、茎菜類・鱗茎菜類・根茎菜類、根菜類、果菜類から選ばれる少なくとも一種を用いることが好ましく、特に汎用性や食感向上の点から、野菜がニンジン、ピーマン、ナス、ブロッコリー、カリフラワー、アスパラガス、シシトウ、カボチャ、キャベツ、白菜、モヤシから選ばれる1種又は2種以上であることが好ましく、ニンジン、ピーマン、ブロッコリー、アスパラガス、シシトウ、カボチャ、キャベツ、モヤシから選ばれる1種又は2種以上であることが特に好ましい。
【0015】
蒸気処理工程に供する野菜は、未加熱の状態であることが、歯ごたえある食感に係る本発明の効果が容易に得られる点で好ましい。しかしながら食感に係る本発明の効果が得られる限度において蒸気処理工程に供する野菜は予め加熱されていてもよい。未加熱の状態とは、例えば70℃以上1秒以上の加熱処理が施されていないことを指し、60℃以上1秒以上の加熱処理が施されていないことを指すことが好ましく、50℃以上1秒以上の加熱処理が施されていないことを指すことが特に好ましい。
【0016】
本発明に用いる野菜は、1個あたり15g以下であることが野菜全体に火を通しやすく、調理感を得ながら歯ごたえある食感を一層容易に得やすい点で好ましい。ここでいう1個あたりとは、切断した野菜であればカット片1個あたりを指す。或いは、手などで裂いて分けた野菜であれば裂いた1片1個あたりを指す。また、モヤシであれば1本あたり、シシトウであればシシトウ果実1つ当たり、豆であれば豆1粒当たりを指す(以下で野菜1個という場合は、当該意味で使用する)。これらの点から、野菜は、1個あたり15g以下であることがより好ましく、10g以下であることが更に好ましい。なお、野菜1個の重さの下限としては、作業性の点から0.1g以上が好ましく挙げられ、1g以上がより好ましい。
【0017】
野菜は、1個あたり15g以下という場合、蒸気処理工程に供する野菜の少なくとも1個が15g以下であればよい。しかしながら、好ましくは蒸気処理工程に供する野菜のうち、個数基準で60%以上について、重さが15g以下であることが好ましく、80%以上について、重さが15g以下であることがより好ましく、90%以上について、重さが15g以下であることが特に好ましい。
【0018】
本発明に用いる野菜は1個あたりの大きさが、5cm四方以内であることが野菜全体に火を通しやすく、調理感のある外観を得ながら歯ごたえある食感を一層容易に得やすい点で好ましい。大きさが5cm四方以内とは、野菜を任意の水平な平面に置いて、その外形の縦、横、高さを測定したときに、縦、横、高さのうち、最も小さい寸法以外の2つの寸法がそれぞれ5cm以下であることを指す。例えば野菜を平面において、縦、横、高さを測定し、縦が4cm、横が4cm、高さが3cmである場合は、当該野菜は5cm四方以内に該当する。なお、ここでいう縦とは、野菜を前記の平面に置いて上方から当該野菜を当該平面に投影視したときに、投影視した形状における最大長さであり、横とは当該最大長さと直交する方向の長さである。なお、最大長さとは前記投影視した形状を横断する線分のうち、最大の線分の長さを指す。なお採寸の際の野菜の前記平面への置き方は任意であり、一つの置き方で測定した縦、横、高さの寸法について、最も小さな寸法以外の2つの寸法が5cm以下であることが確認できれば、別の置き方で測定した縦、横、高さの寸法のうち最も小さな寸法以外の2つの寸法が5cm以下でない場合であっても、「5cm四方以内」に該当するものとする。野菜は、それを前記平面において、その外形の縦、横、高さを測定したときに、縦、横、高さのうち、少なくとも1つの寸法が1cm以上であることが好ましく、2cm以上であることがより好ましい。野菜は、それを平面において、その外形の縦、横、高さを測定したときに、縦、横、高さのうち、少なくとも2つの寸法が1cm以上であることがより好ましく、2cm以上であることが更に好ましい。尚、特に切断した又は手で裂いた野菜について1個あたりの大きさが、5cm四方以内であることが好ましい。
【0019】
野菜は、1個あたりの大きさが、5cm四方以内である場合、蒸気処理工程に供する野菜の少なくとも1個が5cm四方以内であればよい。しかしながら、好ましくは個数基準で60%以上について、5cm四方以内であることが好ましく、80%以上について、5cm四方以内であることがより好ましく、90%以上について、5cm四方以内であることが特に好ましい。
【0020】
蒸気処理工程に供する野菜には、該野菜とともに肉や魚などの別具材を混合させてもよい。また調味料、衣材、酸化防止剤やpH調整剤などの食品添加物、ミネラル等の各種成分を野菜に前もって添加しておいてもよい。蒸気処理工程に供する全材料中、野菜の割合は60質量%以上であることが好ましく、80質量%以上であることがより好ましく、90質量%以上であることが特に好ましい。
【0021】
蒸気処理工程は、100℃以上300℃以下の水蒸気を用いて野菜を加熱する。本発明者は、100℃以上300℃以下という高温の水蒸気を野菜と接触させる蒸気処理工程によれば、その後高温の油と接触させた後に冷蔵又は冷凍させ、次いで再加熱しても、野菜の表面の硬さを維持しやすく、良好な食感が得られるほか、外観も良好とできることを知見した。この理由は明確ではないが、水蒸気加熱によれば、物理的衝撃なく均一加熱が可能で、加熱時間の制御が容易であり、色調や歩留まりへの悪影響を抑制しやすい。本工程においては、水蒸気の温度が100℃以上であることで、急速に野菜を加熱できることの利点があり、300℃以下であることで、過度に野菜を加熱させない利点となる。水蒸気は100℃超である場合は、100℃以上で沸騰気化した飽和水蒸気をさらに加熱して得られる過熱水蒸気を用いる。野菜の表面に乾燥効果を与え、加熱した油脂をかけた時の調理の効果を向上させることの点から水蒸気の温度は、140℃以上であることがより好ましい。またこれらの観点から最も好ましい水蒸気の温度は180℃以上270℃以下である。
【0022】
蒸気処理工程は、野菜の中心温度が85℃に達するまで行うことが、衛生面、及び食材の適度な食感を得ることの点から好ましい。ここで、野菜の中心温度は針状プローブ温度計を野菜の中心部に差し込むことで測定することができる。温度を測定する野菜の中心位置は目視により判断される。中心位置は食品分野における技術常識の範囲内で定められるが、例えば以下とすることができる。
例えば、ブロッコリーの場合には、茎部と花蕾とから構成されているが、最も太い茎における中心軸線の長手方向の中心点部分を中心位置とする。アスパラガスの茎については、茎の中心軸線における長手方向の中心点を中心位置とする。アスパラガスと同様に略円筒状をしているモヤシについてもアスパラガスと同様であり、円筒状の中心軸線における長手方向の中心点を中心位置とする。キャベツは葉を平面視したときの中心部分における厚さ方向の中心を中心位置とする。ピーマンも同様に、1個における果皮表面を平面視したときの中心点における厚さ方向の中心を中心位置とする。シシトウは略円筒状の果皮の内側に存在する、種子に囲まれた中心部分に温度計を差し込み測定する。また、ニンジン、カボチャ、ジャガイモ、サツマイモ等で不定形な塊状の場合には、食材内でどの表面からも最も遠い部分を中心位置と設定する。例えば平坦な断面と曲面とで囲まれている物体であればそれらの表面のうち該物体内で最も近い表面との距離を最も大きくする点とする。なお、その他の野菜についても、上記に倣い、中心温度を測定できる。
【0023】
なお、蒸気処理工程の好適な加熱時間としては、野菜の種類や野菜の1個の大きさに応じて適宜調整すればよい。しかしながら、例えば、10秒以上10分以下であることが、得られる野菜の食感、外観の点で好ましく、より好ましくは20秒以上7分以下であり、特に好ましくは30秒以上4分以下である。ここで、蒸気処理工程の加熱時間とは、野菜が100℃以上300℃以下の水蒸気と接触した状態にある時間である。
【0024】
特に、野菜がニンジン等の根菜類やカボチャ、イモ類、レンコン等の地下茎菜類、豆類又はトウモロコシ類である場合における蒸気処理工程の加熱時間の例としては、10秒以上10分以下が好ましく挙げられ、より好ましくは20秒以上7分以下であり、更に好ましくは30秒以上5分以下である。
【0025】
また、野菜がピーマン、シシトウ等のカボチャ以外の果菜類やキノコ類、花菜類、キャベツ等の葉菜類、モヤシなどの芽菜類である場合における蒸気処理工程の加熱時間の例としては、10秒以上10分以下が好ましく挙げられ、より好ましくは15秒以上5分以下であり、更に好ましくは20秒以上2分以下である。
【0026】
また、野菜がアスパラガスなどの茎菜類・鱗茎菜類・根茎菜類、タケノコである場合は、蒸気処理工程の加熱時間の例としては、10秒以上10分以下が好ましく挙げられ、より好ましくは20秒以上7分以下であり、更に好ましくは30秒以上5分以下である。
【0027】
蒸気処理工程に使用する水蒸気量としては、歯ごたえがあり外観の良好な野菜が一層得やすい点、及び野菜表面の水分を低下させやすい点から、20kg/時間以上300kg/時間以下が好ましく挙げられ、30kg/時間以上200kg/時間以下が更に好適である。
【0028】
蒸気処理工程に使用する水蒸気全量は、蒸気処理工程に供する野菜1gに対し、1g以上100g以下の範囲内であることが、歯ごたえがあり外観の良好な野菜が一層得やすい点から好ましく、2g以上50g以下の範囲内であることがより好ましい。
【0029】
100℃以上300℃以下の水蒸気を用いた調理機器としては、水蒸気を食材に直接吹き付ける水蒸気噴射型、水蒸気を食材に直接吹き付けるのではなく、庫内を蒸気で満たす水蒸気充満型の2種類があり、どちらを使用してもよい。
【0030】
上記の蒸気処理工程により処理した野菜を油加熱工程に供する。本発明の製造方法は、蒸気処理工程と油加熱工程との間に、別工程を有していてもよい。そのような別工程としては、静置工程や調味工程、食品添加物の添加工程、重量調整工程等が挙げられる。蒸気処理工程と油加熱工程との間には、積極的な加熱工程や積極的な冷却工程を有しないことが、野菜の温度制御の容易性の点から好ましい。特に、蒸気処理工程と油加熱工程とは連続的に行うことが、野菜の温度制御が容易である点で好ましい。蒸気処理工程と油加熱工程とを連続的に行うとは、蒸気処理工程による水蒸気と野菜との接触終了時点から、油加熱工程における野菜と油との接触開始までの時間が1時間以内であることを意味することが好ましく、20分間以内であることを意味することが特に好ましい。
【0031】
(油加熱工程)
油加熱工程は、蒸気処理工程による処理後の野菜と、120℃以上200℃以下の油脂とを接触させる、加熱時間が1秒以上60秒以下の工程である。油脂と野菜とを接触させる方法としては、鍋中の加熱油脂で野菜を揚げる一般的な油ちょうであってもよく、或いは、野菜に対し、加熱油脂を上から流下させて野菜に加熱油脂をかける方法が挙げられる。後者である場合、短時間の加熱において加熱時間調整がしやすく、また油脂の温度調整もしやすい点で好ましい。
【0032】
油加熱工程において用いる油脂の温度は120℃以上であることで、揚げ感、炒め感のある外観が得られるほか、調理香の付与の点で有利である。油加熱工程において用いる油脂の温度は200℃以下であることで、冷蔵又は冷凍野菜を再加熱したときの過加熱に起因した見た目や食感の劣化を回避できる。この観点から、油加熱工程において用いる油脂の温度は120℃以上270℃以下であることがより好ましく、150℃以上210℃以下であることが特に好ましい。
【0033】
油加熱工程の加熱時間は1秒以上60秒以下である。1秒以上であることで、炒め感又は揚げ感のある外観が得られ、60秒以下であることで、冷蔵又は冷凍野菜を再加熱したときの過加熱に起因した見た目や食感の劣化を回避できる。この観点から、油加熱工程における加熱時間は2秒以上50秒以下であることがより好ましく、3秒以上15秒以下であることが特に好ましい。
【0034】
油加熱工程において油脂と野菜との接触は連続的であってもよく、不連続的であってもよい。不連続的とは例えば油脂を間欠的に野菜にかける場合が挙げられる。油加熱工程における加熱時間とは、120℃以上200℃以下の油との接触時間を指す。例えば油かけを連続的に行う場合には、油かけが開始して野菜と加熱油脂が接触開始してから接触終了するまでの時間を指す。間欠的に油かけを行う場合、各回の油かけの間の間隙時間を含まない、各回の油かけによる野菜と加熱油脂との接触時間を全て足した時間とする。
【0035】
油加熱工程で用いる油脂の総流量は野菜1gに対し1g以上200g以下であることが、揚げ感又は炒め感が効率よく得やすい点で好ましく、2g以上100g以下であることがより好ましい。
【0036】
油加熱工程において用いる油脂は食用油脂であれば特に限定はされず、パーム油、パーム核油、ヤシ油、ココアバター、シア脂、サル脂、牛脂、豚脂、イリッペ脂、大豆油、菜種油、綿実油、サフラワー油、ひまわり油、米油、コーン油、ゴマ油、アマニ油、オリーブ油、乳脂等や、これらの加工油脂(水素添加油、分別油、エステル交換油)など特に限定なく使用することができる。特に本発明では25℃で常温の液状油を用いることが連続製造での取り扱いが容易な点から好ましい。
【0037】
油加熱工程終了後の野菜は、必要に応じて冷却させて、冷蔵又は冷凍により保存させる。油加熱工程終了後の野菜は、その後の加熱工程を経ずに冷凍されることが、再加熱時に歯ごたえのある食感と良好な外観を有する冷蔵又は冷凍野菜が容易に得られる点で好ましい。油加熱工程後の野菜は冷蔵又は冷凍前に冷却することが、温度制御の容易性や衛生面の点で好ましい。冷却は送風冷却、真空冷却等の各種方法を採用できる。冷蔵は通常0℃超15℃未満で行われ、5℃以上10℃以下がより好ましい。冷凍は通常-50℃以上0℃以下で行われ、-10℃以上-45℃以下がより好ましい。
【0038】
上記で得られた冷蔵又は冷凍後の野菜は、例えば惣菜類の製造に用いることができる。惣菜類の種類としては、煮物類、焼き物類、茹で物類、蒸し物類、炒め物類、揚げ物類、汁物類、丼もの類、丼もの以外の飯類、麺類、サラダ類等が挙げられる。本発明の惣菜類の製造方法においては、冷蔵又は冷凍野菜が既に加熱済みであることから、そのまま盛り付けに使用したり、他具材や調味液等と混合する等、簡便な工程により、惣菜類を完成させることが可能である。
【0039】
冷蔵又は冷凍野菜を加熱する場面は、惣菜類の製造時及び喫食時のいずれの場合もありうる。例えば冷蔵又は冷凍野菜を惣菜類の製造に供する際に加熱し、得られた惣菜類を喫食時に再度加熱するということもありうるが、本発明ではそのような再々加熱においても良好な食感と見た目良い外観を有する野菜が得られる。惣菜類の製造工程において、冷蔵又は冷凍野菜の加熱方法は適宜、目的とする惣菜類の種類に適した方法を採用すればよい。また喫食時における冷蔵若しくは冷凍野菜又はそれを用いて得られた惣菜類の加熱方法は、マイクロウェーブ加熱、オーブン加熱等が挙げられ、また、フライパン等を用いて冷蔵又は冷凍野菜又はそれを含む食品を炒めたり、食品を包材に密閉した状態でボイル加熱したりしてもよく、特に限定されない。
【実施例0040】
以下、実施例に基づいて本発明を説明するが、本発明は下記実施例に限定されるものではない。下記の各実施例、比較例において、冷蔵保存は10℃で行い、冷凍保存は-18℃で行った。また、油加熱工程に用いる油脂としては、なたね油を用いた。また油かけは、野菜を油に当たりやすいように重なり部分がないように広げ、流下位置の上方から投影視したときに加熱油脂を流下した部分が野菜位置の全体を含むように且つ流下した部分全体に亘り面積当たりの流下量が均一となるように油脂を流下させた。
【0041】
〔実施例1-1~1-4〕
未加熱のニンジンの根の皮をむき、5cm四方以内の乱切りにした(縦約3cm、横約3cm、高さ3cm未満)。1個あたりの重さは約7.0gであった。得られた乱切りニンジン200gを、蒸気処理工程として、連続式水蒸気調理機(中西製作所製、SVロースター、水蒸気噴射型)を用いて表1記載の温度の水蒸気にて表1に記載の加熱時間で加熱した。水蒸気量は100kg/時間に設定した。蒸気加熱後のニンジンの中心温度が85℃に達していることを確認した。
次いで、油加熱工程として、蒸気処理工程後のニンジンに対し、油かけ機により、表1に記載の温度の油を、表1に記載の加熱時間にて上からかけた。油かけ機の油の総流量はピーマン1gに対し、10gであった。蒸気加熱終了から、油かけ開始までの時間は10分以内であった。油かけ終了後のニンジンは、10℃で冷風冷却した後、表1に示す保存処理を行った。
【0042】
〔比較例1-1~1-2、1-4~1-5〕
油加熱工程を行わなかった以外は、それぞれ実施例1-1~1-4と同様とした。
【0043】
〔比較例1-3、1-6〕
蒸気処理工程を行わず、油かけ時間(油加熱工程の加熱時間)を表1の時間とする以外は実施例1-1と同様の油加熱工程を行った。その点以外は実施例1-1、1-3とそれぞれ同様とした。
【0044】
(評価)
1日冷蔵保存した冷蔵ニンジンについて皿に100gを盛りつけた後に、電子レンジで600W、20秒間加熱した。また7日冷凍保存した冷凍ニンジンについて皿に100gを盛りつけた後に、電子レンジで600W、1分40秒間加熱した。加熱後のニンジンについて、以下の評価基準で評価した。
【0045】
<評価基準>
●外観
〇:調理感(揚げ感又は炒め感)がある。
△:調理感(揚げ感又は炒め感)が少ない。
×:調理感(揚げ感又は炒め感)がない、又は焦げている。
●食感
〇:歯ごたえがあり良い。
△:歯ごたえが少ない。
×:やわらかい、又はふにゃついている。
【0046】
【表1】
【0047】
表1に示す通り、所定温度、時間の蒸気処理工程と、所定温度、時間の油加熱工程とを組み合わせた各実施例では調理感のある外観と、歯ごたえのある食感とが得られることが判る。
【0048】
〔実施例2-1~2-4〕
未加熱のピーマン果実を、5cm四方以内(縦約3cm、横約3cm、高さ約1cm未満)に切った。1個あたりの重さは約2.1gであった。得られたカットピーマン200gについて、蒸気処理工程として、実施例1-1で用いたのと同じ調理機を用いて表2記載の温度の水蒸気にて表2に記載の加熱時間で加熱した。水蒸気量は100kg/時間に設定した。蒸気加熱後のピーマンの中心温度が85℃に達していることを確認した。
次いで、蒸気処理工程後のピーマンに対し、油加熱工程として、油かけ機により、表2に記載の温度の油を、表2に記載の加熱時間にて上からかけた。油かけ機の油の総流量はピーマン1gに対し、34gであった。油かけ機の油の流量は5g/(cm・秒)であった。蒸気加熱終了から、油かけ開始までの時間は10分以内であった。油かけ終了後のピーマンは、10℃で冷風冷却した後、表2に示す保存処理を行った。
【0049】
〔比較例2-1~2-2、2-4~2-5〕
油加熱工程を行わなかった以外は、それぞれ実施例2-1~2-4と同様とした。
【0050】
〔比較例2-3、2-6〕
蒸気処理工程を行わず、油かけ時間を表2の時間とする以外は実施例2-1と同様の油加熱工程を行った。その点以外は実施例2-1、2-3とそれぞれ同様とした。
【0051】
(評価)
1日冷蔵保存した冷蔵ピーマンについて皿に100gを盛りつけた後に、電子レンジで600W、20秒間加熱した。また7日冷凍保存した冷凍ピーマンについて皿に100gを盛りつけた後に、電子レンジで600W、1分40秒間加熱した。加熱後のピーマンについて上記の<評価基準>にて評価した。結果を表2に示す。
【0052】
【表2】
【0053】
〔実施例3-1~3-4〕
未加熱のブロッコリーを、房ごとに切り分け、5cm四方以内(縦約3cm、横約3cm、高さ3cm未満)の大きさとした。カットしたブロッコリー1個あたりの重さは約4.0gであった。得られたカットブロッコリー200gについて、蒸気処理工程として、実施例1-1で用いたのと同じ調理機を用いて表3記載の温度の水蒸気にて表3に記載の加熱時間で加熱した。水蒸気量は100kg/時間に設定した。蒸気加熱後のブロッコリーの中心温度が85℃に達していることを確認した。
次いで、蒸気処理工程後のブロッコリーに対し、油加熱工程として、油かけ機により、表3に記載の温度の油を、表3に記載の加熱時間にて上からかけた。油かけ機の油の総流量はブロッコリー1gに対し、18gであった。蒸気加熱終了から、油かけ開始までの時間は10分以内であった。油かけ終了後のブロッコリーは、10℃で冷風冷却した後、表3に示す保存処理を行った。
【0054】
〔比較例3-1~3-2、3-4~3-5〕
油加熱工程を行わなかった以外は、それぞれ実施例3-1~3-4と同様とした。
【0055】
〔比較例3-3、3-6〕
蒸気処理工程を行わず、油かけ時間を表3の時間とする以外は実施例3-1と同様の油加熱工程を行った。その点以外は実施例3-1、3-3とそれぞれ同様とした。
【0056】
(評価)
1日冷蔵保存した冷蔵ブロッコリーについて皿に200gを盛りつけた後に、電子レンジで600W、20秒間加熱した。また7日冷凍保存した冷凍ブロッコリーについて皿100gを盛りつけた後に、電子レンジで600W、1分40秒間加熱した。加熱後のブロッコリーについて上記の<評価基準>にて評価した。結果を表3に示す。
【0057】
【表3】
【0058】
〔実施例4-1~4-4〕
未加熱のアスパラガスを、長さ約5cmに切断した。カットしたアスパラガス1個あたりの重さは約3.4gであった。得られたカットアスパラガス200gについて、蒸気処理工程として、実施例1-1で用いたのと同じ調理機を用いて表4記載の温度の水蒸気にて表4に記載の加熱時間で加熱した。水蒸気量は100kg/時間に設定した。蒸気加熱後のアスパラガスの中心温度が85℃に達していることを確認した。
次いで、蒸気処理工程後のアスパラガスに対し、油加熱工程として、油かけ機により、表4に記載の温度の油を、表4に記載の加熱時間にて上からかけた。油かけ機の油の総流量はアスパラガス1gに対し7gであった。蒸気加熱終了から、油かけ開始までの時間は10分以内であった。油かけ終了後のアスパラガスは、10℃で冷風冷却した後、表4に示す保存処理を行った。
【0059】
〔比較例4-1~4-2、4-4~4-5〕
油加熱工程を行わなかった以外は、それぞれ実施例4-1~4-4と同様とした。
【0060】
〔比較例4-3、4-6〕
蒸気処理工程を行わず、油かけ時間を表4の時間とする以外は実施例4-1と同様の油加熱工程を行った。その点以外は実施例4-1、4-3とそれぞれ同様とした。
【0061】
(評価)
1日冷蔵保存した冷蔵アスパラガスについて皿に100gを盛りつけた後に、電子レンジで600W、20秒間加熱した。また7日冷凍保存した冷凍アスパラガスについて皿に100gを盛りつけた後に、電子レンジで600W、1分40秒間加熱した。加熱後のアスパラガスについて上記の<評価基準>にて評価した。結果を表4に示す。
【0062】
【表4】
【0063】
〔実施例5-1~5-4〕
未加熱のシシトウ果実(1個あたりの重さは約4.8g)の200gについて、蒸気処理工程として、実施例1-1で用いたのと同じ調理機を用いて表5記載の温度の水蒸気にて表5に記載の加熱時間で加熱した。水蒸気量は100kg/時間に設定した。蒸気加熱後のシシトウの中心温度が85℃に達していることを確認した。
次いで、蒸気処理工程後のシシトウに対し、油加熱工程として、油かけ機により、表5に記載の温度の油を、表5に記載の加熱時間にて上からかけた。油かけ機の油の総流量はシシトウ1gに対し5gであった。蒸気加熱終了から、油かけ開始までの時間は10分以内であった。油かけ終了後のシシトウは、10℃で冷風冷却した後、表5に示す保存処理を行った。
【0064】
〔比較例5-1~5-2、5-4~5-5〕
油加熱工程を行わなかった以外は、それぞれ実施例5-1~5-4と同様とした。
【0065】
〔比較例5-3、5-6〕
蒸気処理工程を行わず、油かけ時間を表5の時間とする以外は実施例5-1と同様の油加熱工程を行った。その点以外は実施例5-1、5-3とそれぞれ同様とした。
【0066】
(評価)
1日冷蔵保存した冷蔵シシトウについて皿に100gを盛りつけた後に、電子レンジで600W、20秒間加熱した。また7日冷凍保存した冷凍シシトウについて皿に100gを盛りつけた後に、電子レンジで600W、1分40秒間加熱した。加熱後のシシトウについて上記の<評価基準>にて評価した。結果を表5に示す。
【0067】
【表5】
【0068】
〔実施例6-1~6-4〕
未加熱のカボチャを5cm四方以内(縦約3cm、横約3cm、高さ3cm未満)にカットした(1個あたりの重さは約12.8g)。カットしたカボチャ200gについて、蒸気処理工程として、実施例1-1で用いたのと同じ調理機を用いて表6記載の温度の水蒸気にて表6に記載の加熱時間で加熱した。水蒸気量は100kg/時間に設定した。蒸気加熱後のカボチャの中心温度が85℃に達していることを確認した。
次いで、蒸気処理工程後のカボチャに対し、油加熱工程として、油かけ機により、表6に記載の温度の油を、表6に記載の加熱時間にて上からかけた。油かけ機の油の総流量はカボチャ1gに対し、6gであった。蒸気加熱終了から、油かけ開始までの時間は10分以内であった。油かけ終了後のカボチャは、10℃で冷風冷却した後、表6に示す保存処理を行った。
【0069】
〔比較例6-1~6-2、6-4~6-5〕
油加熱工程を行わなかった以外は、それぞれ実施例6-1~6-4と同様とした。
【0070】
〔比較例6-3、6-6〕
蒸気処理工程を行わず、油かけ時間を表6の時間とする以外は実施例6-1と同様の油加熱工程を行った。その点以外は実施例6-1、6-3とそれぞれ同様とした。
【0071】
(評価)
1日冷蔵保存した冷蔵カボチャについて皿に100gを盛りつけた後に、電子レンジで600W、20秒加熱した。また7日冷凍保存した冷凍カボチャについて皿に100gを盛りつけた後に、電子レンジで600W、1分40秒間加熱した。加熱後のカボチャについて上記の<評価基準>にて評価した。結果を表6に示す。
【0072】
【表6】
【0073】
〔実施例7-1~7-4〕
未加熱のキャベツを1個当たりの重さが3.7g程度となるようにカットした。カットしたキャベツ200gについて、蒸気処理工程として、実施例1-1で用いたのと同じ調理機を用いて表7記載の温度の水蒸気にて表7に記載の加熱時間で加熱した。水蒸気量は100kg/時間に設定した。蒸気加熱後のキャベツの中心温度が85℃に達していることを確認した。
次いで、蒸気処理工程後のキャベツに対し、油加熱工程として、油かけ機により、表7に記載の温度の油を、表7に記載の加熱時間にて上からかけた。油かけ機の油の総流量はキャベツ1gに対し19gであった。蒸気加熱終了から、油かけ開始までの時間は10分以内であった。油かけ終了後のキャベツは、10℃で冷風冷却した後、表7に示す保存処理を行った。
【0074】
〔比較例7-1~7-2、7-4~7-5〕
油加熱工程を行わなかった以外は、それぞれ実施例7-1~7-4と同様とした。ただし、比較例7-4の蒸気加熱時間は表7に示す時間とした。
【0075】
〔比較例7-3、7-6〕
蒸気処理工程を行わず、油かけ時間を表7の時間とする以外は実施例7-1と同様の油加熱工程を行った。その点以外は実施例7-1、7-3とそれぞれ同様とした。
【0076】
(評価)
1日冷蔵保存した冷蔵キャベツについて皿に100gを盛りつけた後に、電子レンジで600W、20秒間加熱した。また7日冷凍保存した冷凍キャベツについて皿に100gを盛りつけた後に、電子レンジで600W、1分40秒間加熱した。加熱後のキャベツについて上記の<評価基準>にて評価した。結果を表7に示す。
【0077】
【表7】
【0078】
〔実施例8-1~8-4〕
未加熱のモヤシ(1個当たりの重さが0.8g)200gについて、蒸気処理工程として、実施例1-1で用いたのと同じ調理機を用いて表8記載の温度の水蒸気にて表8に記載の加熱時間で加熱した。水蒸気量は100kg/時間に設定した。蒸気加熱後のモヤシの中心温度が85℃に達していることを確認した。
次いで、蒸気処理工程後のモヤシに対し、油加熱工程として、油かけ機により、表8に記載の温度の油を、表8に記載の加熱時間にて上からかけた。油かけ機の油の総流量はモヤシ1gに対し15gであった。蒸気加熱終了から、油かけ開始までの時間は10分以内であった。油かけ終了後のモヤシは、10℃で冷風冷却した後、表8に示す保存処理を行った。
【0079】
〔比較例8-1~8-2、8-4~8-5〕
油加熱工程を行わなかった以外は、それぞれ実施例8-1~8-4と同様とした。
【0080】
〔比較例8-3、8-6〕
蒸気処理工程を行わず、油かけ時間を表8の時間とする以外は実施例8-1と同様の油加熱工程を行った。その点以外は実施例8-1、8-3とそれぞれ同様とした。
【0081】
(評価)
1日冷蔵保存した冷蔵モヤシについて皿に100gを盛りつけた後に、電子レンジで600W、20秒間加熱した。また7日冷凍保存した冷凍モヤシについて皿に100gを盛りつけた後に、電子レンジで600W、1分40秒間加熱した。加熱後のモヤシについて上記の<評価基準>にて評価した。結果を表8に示す。
【0082】
【表8】