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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022092976
(43)【公開日】2022-06-23
(54)【発明の名称】植物の成長を制御する資材
(51)【国際特許分類】
   A01N 25/26 20060101AFI20220616BHJP
   A01P 21/00 20060101ALI20220616BHJP
   A01N 59/16 20060101ALI20220616BHJP
   A01N 59/20 20060101ALI20220616BHJP
   A01N 59/00 20060101ALI20220616BHJP
   A01N 59/06 20060101ALI20220616BHJP
   A01P 13/00 20060101ALI20220616BHJP
【FI】
A01N25/26
A01P21/00
A01N59/16 Z
A01N59/20 Z
A01N59/00 C
A01N59/06 Z
A01P13/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020206003
(22)【出願日】2020-12-11
(71)【出願人】
【識別番号】000173809
【氏名又は名称】一般財団法人電力中央研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100101236
【弁理士】
【氏名又は名称】栗原 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100166914
【弁理士】
【氏名又は名称】山▲崎▼ 雄一郎
(72)【発明者】
【氏名】橋田 慎之介
(72)【発明者】
【氏名】寺添 斉
(72)【発明者】
【氏名】小林 卓也
【テーマコード(参考)】
4H011
【Fターム(参考)】
4H011AB01
4H011AB03
4H011BA01
4H011BB18
4H011BC19
4H011DA05
4H011DF01
4H011DH29
(57)【要約】
【課題】所望の場所に配置することで植物の生育を所定の状態に維持する。
【解決手段】所望成分(例えば、石炭灰に含まれる金属元素)を含む成分固化物2に溶出促進剤3が内包されて資材1が構成され、溶出促進剤3で成分固化物2の所望成分(金属元素)の溶出を制御し、植物の生育を抑制する金属元素により、メンテナンスフリーで植物の生育状況を所望状態に維持する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所望成分を含む成分固化物と、
成分固化物の溶出を制御する制御機構とを備えた
ことを特徴とする植物の成長を制御する資材。
【請求項2】
請求項1に記載の植物の成長を制御する資材において、
制御機構として、成分固化物に溶出促進剤が内包されている
ことを特徴とする植物の成長を制御する資材。
【請求項3】
請求項1に記載の植物の成長を制御する資材において、
制御機構として、成分固化物に溶出促進剤が内包され、成分固化物が生分解性素材のシートで外包されている
ことを特徴とする植物の成長を制御する資材。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の植物の成長を制御する資材において、
所望成分は、植物の成育を抑制する抑草作用を有する金属元素である
ことを特徴とする植物の成長を制御する資材。
【請求項5】
請求項4に記載の植物の成長を制御する資材において、
前記金属元素は、
ホウ素(B)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、モリブデン(Mo)、鉄(Fe)、リチウム(Li)、コバルト(Co)、亜鉛(Zn)のうち、少なくとも一種類を含む
ことを特徴とする植物の成長を制御する資材。
【請求項6】
請求項5に記載の植物の成長を制御する資材において、
少なくとも一種類の金属元素は、
ホウ素(B)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、モリブデン(Mo)、コバルト(Co)のうちのいずれかである
ことを特徴とする植物の成長を制御する資材。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、植物の成長を所望の状態に調整するための成分固化物を有する植物の成長を制御する資材に関する。
【背景技術】
【0002】
送電線の敷地、河川堤防、道路法面、中央分離帯、空港着陸帯等では、浸食防止、安全確保、景観確保、基盤浸食防止、飛び砂防止等のために、植物を植えて緑化が図られることがある。緑化のための植物は、成長しすぎると、防犯上、見栄え上、機能上、悪影響を及ぼす虞があるため、定期的に草刈等のメンテナンスが必要になっている。しかし、このような緑化の場所は、人が入りにくい場所であるため、メンテナンスには多大な労力と時間、費用がかかるのが現状であった。
【0003】
このため、従来から、定期的な草刈作業に代えて、除草剤等を用いて植物を枯らせることで植物が成長しないようにし、植物の必要以上の成長による悪影響を無くしている(例えば、特許文献1)。特許文献1に示された技術は、除草剤に成長を抑制する剤を混ぜて、除草の負担を軽減する技術となっている。
【0004】
緑化を行う地域は、植物の量が減少しても存在し続けることが、環境イメージの点等において重要であるが、特許文献1の技術を用いた場合、除草を行う技術であるため、除草を行った後は、緑化の地域に植物が生えていない状態になってしまう。緑化の地域で除草を行い、植物を無くした状態にすると、見栄えや安全性に対する印象を含めた景観を損なうことになり、緑化の地域では除草を実施することは得策ではないのが現状である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特表2013-540775号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記状況に鑑みてなされたもので、所望の場所に配置することで植物の生育を所定の状態に維持することができる植物の成長を制御する資材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願発明の植物の成長を制御する資材は、植物を所定の状態で生育を維持させる技術で、金属元素を用い、金属元素の溶出を制御することで植物の成長を所望の状態に抑制したり、除草剤の溶出を制御して植物がなくならないように制御したりし、メンテナンスフリーで植物の生育状態を所定の状態に維持することができるようにしたものである。
【0008】
上記目的を達成するための請求項1に係る本発明の植物の成長を制御する資材は、所望成分(例えば、石炭灰に含まれる金属元素、除草剤等)を含む成分固化物と、成分固化物の溶出を制御する制御機構とを備えたことを特徴とする。
【0009】
請求項1に係る本発明では、制御機構により成分固化物の溶出を制御することにより、例えば、成分固化物として石炭灰に含まれる金属元素を有する固化体を用い、金属元素の溶出を制御することで植物の成長を所望の状態に抑制したり、除草剤を含む固化体から除草剤の溶出を制御して植物がなくならないように制御したりすることで、メンテナンスフリーで植物の生育状況を所望状態に維持することができる。
【0010】
この結果、所望の場所に配置することで植物の生育を所定の状態に維持することが可能になる。
【0011】
そして、請求項2に係る本発明の植物の成長を制御する資材は、請求項1に記載の植物の成長を制御する資材において、制御機構として、成分固化物に溶出促進剤が内包されていることを特徴とする。
【0012】
請求項2に係る本発明では、成分固化物に溶出促進剤(強アルカリ物質、強酸物質)が内包されているので、成分固化物と溶出促進剤との割合等を制御することで、成分の溶出状況(溶出条件)を調整することができる。任意の数の植生固化体を固めて、所望の大きさの固化物を構成することができる。
【0013】
また、請求項3に係る本発明の植物の成長を制御する資材は、請求項1に記載の植物の成長を制御する資材において、制御機構として、成分固化物に溶出促進剤が内包され、成分固化物が生分解性素材のシートで外包されていることを特徴とする。
【0014】
請求項3に係る本発明では、成分固化物に溶出促進剤(強アルカリ物質、強酸物質)が内包されているので、成分固化物と溶出促進剤との割合等を制御することで、成分の溶出状況(溶出条件)を調整することができ、成分固化物が生分解性素材のシートで外包されているので、生分解性素材のシートが土壌中で微生物によって徐々に分解されて成分の溶出の量や時期が制御される。任意の数の植生固化体を固めて、所望の大きさの固化物を構成することができる。
【0015】
また、請求項4に係る本発明の植物の成長を制御する資材は、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の植物の成長を制御する資材において、所望成分は、植物の成育を抑制する抑草作用を有する金属元素であることを特徴とする。
【0016】
請求項4に係る本発明では、抑草作用を有する金属元素を(例えば、石炭灰に含まれる金属元素を)、植物の育成を阻害して成長を抑制する所望成分として用いることができる。
【0017】
また、請求項5に係る本発明の植物の成長を制御する資材体は、請求項4に記載の植物の成長を制御する資材体において、前記金属元素は、ホウ素(B)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、モリブデン(Mo)、鉄(Fe)、リチウム(Li)、コバルト(Co)、亜鉛(Zn)のうち、少なくとも一種類を含むことを特徴とする。
【0018】
また、請求項6に係る本発明の植物の成長を制御する資材は、請求項5に記載の植物の成長を制御する資材において、少なくとも一種類の金属は、少なくとも一種類の金属元素は、ホウ素(B)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、モリブデン(Mo)、コバルト(Co)のうちのいずれかであることを特徴とする。
【0019】
請求項5、6に係る本発明では、所定の濃度の範囲で、環境基準を満たした状態で植物の成長を調節することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明の植物の成長を制御する資材は、所望の場所に配置することで植物の生育を所定の状態に維持することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の一実施例に係る植物の成長を制御する資材の概略構成図である。
図2】本発明の一実施例に係る植物の成長を制御する資材を用いた固化物の外観図である。
図3】成分固化物としてホウ素(B)の固化物を用いた場合の効果の説明図である。
図4】本発明の一実施例に係る植物の成長を制御する資材を用いた固化物の使用例の説明図である。
図5】本発明の一実施例に係る植物の成長を制御する資材を用いた固化物の使用例の説明図である。
図6】本発明の他の実施例に係る植物の成長を制御する資材の概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本願発明の植物の成長を制御する資材は、植物を所定の状態で生育を維持させる技術で、金属元素を用い、金属元素の溶出を制御することで植物の成長を所望の状態に抑制したり、除草剤の溶出を制御して植物がなくならないように制御したりし、メンテナンスフリーで植物の生育状態を所定の状態に維持することができるようにしたものである。
【0023】
図1には本発明の一実施例に係る植物の成長を制御する資材の概略構成、図2には本発明の一実施例に係る植物の成長を制御する資材を用いた固化物の外観の状況を示してある。
【0024】
図1に示すように、植物の成長を制御する資材としての資材1は、所望成分(例えば、石炭灰に含まれる金属元素)を含む成分固化物2を備え、成分固化物2には、溶出促進剤3(強アルカリ物質、強酸物質)が内包されている(制御機構)。
【0025】
成分固化物2の態様、溶出促進剤3(溶液)の態様を任意に選択することで、制御したい植物の状況を選択して調整することができる。また、成分固化物2と溶出促進剤3との体積割合や、断面の面積割合等を制御することで、所望成分(金属元素)の溶出状況(溶出条件)を調整することができる。
【0026】
図2に示すように、任意の数(多数)の資材1が植生土や砂、砂利等の栽培資材5で固められ、所望の大きさの固化物6が形成されている。
【0027】
固化物6には植物の成育を阻害して成長を調節する抑草作用を有する金属元素を含む成分固化物2が存在し、溶出促進剤3により、成分固化物2の金属元素の溶出が任意の状態に制御される。
【0028】
このため、固化物6を所望の場所に配置(設置)することで、抑草作用を有する金属元素により、植物の成育が阻害されて成長が任意の状態(所望の状態)に調節される。即ち、植物の形態である、葉、根、茎、の大きさや色、開花時期等が所望の状態に調節されて成長の状態が制御され、メンテナンスフリーで所望の大きさや色等の状態が維持される(植物の生育状態が所定の状態に維持される)。
【0029】
上述した実施例では、所望成分として、石炭灰に含まれる金属元素を例に挙げて説明したが、除草剤、植物の種、土壌改良剤(保水力調整剤、pHを調整する剤等)等、植物の生育に影響を与える成分を適用することが可能である。
【0030】
この結果、所望の場所に配置することで植物の生育を所定の状態に維持することが可能になる。
【0031】
所望成分である、石炭灰に含まれる金属元素としては、ホウ素(B)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、モリブデン(Mo)、鉄(Fe)、リチウム(Li)、コバルト(Co)、亜鉛(Zn)のうち、少なくとも一種類が含まれている。少なくとも一種類の金属元素は、ホウ素(B)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、モリブデン(Mo)、コバルト(Co)のうちのいずれかであることが好ましい。
【0032】
以上の金属元素を用いることで、所定の濃度の範囲で溶出を調整することができ、環境基準を満たした状態で植物の成長を任意の状態に制御して調節することができる。
【0033】
同じ敷地の中で、建築物や建設物等の保護を目的として植物を成長させる場合や、見栄えを優先することを目的として植物を成長させる場合等、場所や使用目的、使用時季等に応じて所望成分の種類が異なる資材1(固化物6)を設置することができる。
【0034】
これにより、任意の資材1を有する固化物6を準備して設置することで、必要な建築物や建設物等が存在する地域の特性等に応じて、簡単に、しかも、複数の形態の選択肢の状況から任意の目的の緑地、任意の景観の緑地をメンテナンスフリーで構築することができる。しかも、固化物6を交換することで、簡単に変更することができる。
【0035】
上述した金属元素を用いた場合の植物の形態制御の状況は、資材1の成分固化物2の金属元素の種類、組み合わせ等により、任意の状況を得ることができる。
【0036】
例えば、葉の面積を抑制し、重量はあまり抑制せずに質感は保つ状況に調整したり、葉の面積はあまり抑制せず、重量を抑制して質感を軽くしたり、葉の面積、及び、重量を抑制し、植物全体の見た目、質感ともに軽度の状態にしたりすることができる。
【0037】
図3には、資材1の成分固化物2の金属元素として、ホウ素(B)を用いた場合の効果の説明を示してある。
【0038】
図3(a)はホウ素(B)の濃度(mg/l)と緑化の度合いであるクロロフィルの量との関係のグラフ、図3(b)はホウ素(B)の濃度(mg/l)と葉の重量との関係のグラフ、図3(c)は基準となる濃度(例えば、10mg/l)での発芽率の経日変化のグラフを示してある。
【0039】
図3(a)に示すように、ホウ素(B)を用いた場合、1(mg/l)、5(mg/l)、10(mg/l)、50(mg/l)、100(mg/l)と濃度が高くなると、緑色の度合いが低くなり、図3(b)に示すように、濃度が高くなると、重量が軽くなっている。図3(c)に示すように、例えば、10(mg/l)の濃度において、ほぼ4日まで発芽を続け、4日以降は発芽が止まる。
【0040】
資材1の成分固化物2の金属元素としてホウ素(B)を用いた場合、濃度が高くなるにしたがって、緑色の度合いが低くなり、葉の大きさはほとんど変化しないが、重量が軽くなる(質感が減る)ことがわかる。
【0041】
資材1の成分固化物2の金属元素としてアルミニウム(Al)を用いた場合、濃度が高くなっても、緑色の度合いはあまり変化せず、葉の大きさはほとんど変化しないが、重量が軽くなる(質感が減る)ことが確認されている。
【0042】
資材1の成分固化物2の金属元素として銅(Cu)を用いた場合、濃度が高くなるにしたがって、緑色の度合いが低くなり、葉の大きさが大幅に小さくなり、重量も軽くなる(質感が減る)ことが確認されている。
【0043】
資材1の成分固化物2の金属元素としてモリブデン(Mo)を用いた場合、濃度が高くなると、緑色の度合いが大幅に低くなり、葉の大きさが大幅に小さくなり、重量も大幅に軽くなる(質感が大幅に減る)ことが確認されている。
【0044】
資材1の成分固化物2の金属元素として鉄(Fe)を用いた場合、濃度が高くなると、緑色の度合いが低くなり、葉の大きさはほとんど変化しないが、重量が軽くなる(質感が減る)ことが確認されている。
【0045】
資材1の成分固化物2の金属元素としてリチウム(Li)を用いた場合、濃度が高くなると、緑色の度合いが大幅に低くなり、葉の大きさが大幅に小さくなり、重量が大幅に軽くなる(質感が大幅に減る)ことが確認されている。
【0046】
資材1の成分固化物2の金属元素としてコバルト(Co)を用いた場合、濃度が高くなると、緑色の度合いが大幅に低くなり、葉の大きさが大幅に小さくなり、重量が大幅に軽くなる(質感が大幅に減る)ことが確認されている。
【0047】
資材1の成分固化物2の金属元素として亜鉛(Zn)を用いた場合、濃度が高くなるにしたがって、緑色の度合いが低くなり、葉の大きさが小さくなり、重量も軽くなる(質感)ことが確認されている。
【0048】
上述したように、資材1の成分固化物2の金属元素として、ホウ素(B)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、モリブデン(Mo)、鉄(Fe)、リチウム(Li)、コバルト(Co)、亜鉛(Zn)のうちのいずれか、もしくは、適宜を組み合わせたものを用いることで、所定の濃度の範囲で、環境基準を満たした状態で植物の成長を、メンテナンスフリーで調節することができる。
【0049】
図4には本発明の一実施例に係る資材1を用いた固化物6を送電線の敷地に適用した状況を示してあり、図4(a)は全体の状況、図4(b)は鉄塔の足元を拡大した状況である。
【0050】
送電線11が張られる鉄塔12は、人が入りにくい場所であることが多い。送電線11の敷地は、景観の観点から緑化が図られる。緑化のための植物は、成長しすぎると、防犯上、見栄え上、機能上、悪影響を及ぼす虞がある。
【0051】
図4(a)に示すように、送電線11の敷地の鉄塔12の基礎部分の周囲には、複数の固化物6が敷き詰められている。即ち、図4(b)に示すように、鉄塔12の基礎ブロック12aの周囲の所望の範囲には、複数の固化物6が敷き詰められている。また、鉄塔12へのアクセス路13には、複数の固化物6が経路に沿って敷き詰められている。
【0052】
固化物6には植物14の成育を阻害して成長を調節する抑草作用を有する金属元素を含む成分固化物2が存在し、溶出促進剤3により、成分固化物2の金属元素の溶出が任意の状態に制御される。
【0053】
このため、鉄塔12の基礎ブロック12aの周囲、及び、鉄塔12へのアクセス路13は、植物14の形態である、葉、根、茎、の大きさや色、開花時期等が任意に調節されて成長の状態が所望の状態に制御され、所望の大きさや色等の状態がメンテナンスフリーで維持される。
【0054】
固化物6を敷き詰めるだけの簡単な施工で、鉄塔12の基礎ブロック12aの周囲、及び、鉄塔12へのアクセス路13における植物14の形態が調節されて成長の状態が制御され、所望の大きさや色等の状態が維持される。これにより、植物14の形態(大きさや色、開花時期等)を所定の範囲で維持する(制御する)ことが可能になり、鉄塔12の基礎ブロック12aの周囲、及び、鉄塔12に対して、必要以上に植物が成長することを抑制することができる。
【0055】
つまり、立ち入りが困難な場所である鉄塔12の基礎ブロック12aの周囲(鉄塔12の足元)の植物を長期間低草で維持することができ、景観や設備保護に対して有利となる。また、山間部の鉄塔12へのアクセス路13に固化物6を施工し、植物14を長期間低草で維持するように制御する(調整する)ことで、特別なメンテナンスを要することなく、アクセス路13を長期間確保することができる。
【0056】
図5には本発明の一実施例に係る資材1を用いた固化物6を交叉点の縁石ブロックに適用した状況を示してあり、図5(a)は全体の状況、図5(b)は縁石ブロックを拡大した状況である。
【0057】
図5(a)に示すように、交叉点の歩道の角部等には、所定の範囲で歩道の路面と車道との間に突起状の仕切りを形成する縁石部16が形成されている。即ち、図5(b)に示すように、縁石部16は、複数の固化物6が帯状に敷き詰められることで、突起状の仕切が形成されている。
【0058】
縁石部16(固化物6)の下側の周縁には、砂や土、落ち葉等が溜まり、砂や土、落ち葉などの堆肥に植物(雑草)が成長する虞がある。固化物6には植物の成育を阻害して成長を調節する抑草作用を有する金属元素を含む成分固化物2が存在し、溶出促進剤3により、成分固化物2の金属元素の溶出が任意の状態に制御される。
【0059】
このため、縁石部16(固化物6)の下側の周縁は、堆積物18が堆積しても植物(雑草)の成長が抑制され、植物(雑草)が生えない状態がメンテナンスフリーで維持される。尚、縁石部16の部位の他に、任意の場所に固化物6(資材1)を配置することができ、所望の範囲で植物(雑草)が生えない状態をメンテナンスフリーで維持することができる。
【0060】
固化物6を敷き詰めて縁石部16を構成することで、交叉点の縁石部16の下側の周囲に砂や土、落ち葉が堆積しても、植物(雑草)の成長を抑制することができる。これにより、植物(雑草)の成長を抑制することが可能になり、縁石部16(固化物6)の下側の周縁に対して、植物(雑草)が成長することを抑制することができる。
【0061】
上述した固化物6は、植物の形態が調節されて成長の状態を任意の状態に調整して制御することに適しているあらゆる場所に適用することができる。例えば、太陽光発電設備の敷地のパネルの下面、給・排水設備の配管の下側面、道路などの法面、休耕田や畑の一時的な植生管理(病害虫発生防除等)が必要な土地に、固化物6を敷き詰めることで、植物の成長の状態を任意の所望の状態に調整・制御することができる。
【0062】
図6に基づいて植物の成長を制御する資材の他の実施例を説明する。
【0063】
図6には本発明の他の実施例に係る植物の成長を制御する資材の概略構成を示してある。図1に示した部材と同一部材には同一符号を付してある。
【0064】
図6に示すように、植物の成長を制御する資材としての資材21は、所望成分(例えば、石炭灰に含まれる金属元素)を含む成分固化物2を備え、成分固化物2には、溶出促進剤3(強アルカリ物質、強酸物質)が内包されている。そして、成分固化物2が生分解性素材のシート22(微生物で分解されるシート)で外包されている(制御機構)。
【0065】
成分固化物2の態様、溶出促進剤3(溶液)の態様を任意に選択することで、制御したい植物の状況を選択して調整することができる。また、成分固化物2と溶出促進剤3との体積割合や、断面の面積割合等を制御することで、所望成分(金属元素)の溶出状況(溶出条件)を調整することができる。
【0066】
そして、成分固化物2が生分解性素材のシート22で外包されているので、生分解性素材のシート22が土壌中で微生物によって徐々に分解されて所望成分の溶出の量や時期が制御される。資材21は、植生土や砂、砂利等の栽培資材5(図2参照)で固めることで、所望の大きさの固化物を形成することができる。
【0067】
このため、資材21(固化物)を所望の場所に配置(設置)することで、抑草作用を有する金属元素により、植物の成育が阻害されて成長が任意の状態(所望の状態)に調節される。即ち、植物の形態である、葉、根、茎、の大きさや色、開花時期等が所望の状態に調節されて成長の状態が制御され、メンテナンスフリーで所望の大きさや色等の状態が維持される(植物の生育状態が所定の状態に維持される)。
【0068】
そして、生分解性素材のシート22が土壌中で微生物によって徐々に分解されるので、所望成分の溶出の量や時期を細かく調整(制御)することができる。
【産業上の利用可能性】
【0069】
本発明は植物の成長を所望の状態に調整するための成分固化物を有する植物の成長を制御する資材の産業分野で利用することができる。
【符号の説明】
【0070】
1、21 資材
2 成分固化物
3 溶出促進剤
5 栽培資材
6 固化物
11 送電線
12 鉄塔
13 アクセス路
14 植物
16 縁石部
18 堆積物
22 シート(生分解性素材のシート)
図1
図2
図3
図4
図5
図6