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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022093403
(43)【公開日】2022-06-23
(54)【発明の名称】半導体装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/60 20060101AFI20220616BHJP
   H01L 33/62 20100101ALI20220616BHJP
【FI】
H01L21/60 311S
H01L33/62
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022066975
(22)【出願日】2022-04-14
(62)【分割の表示】P 2017226008の分割
【原出願日】2017-11-24
(71)【出願人】
【識別番号】000226057
【氏名又は名称】日亜化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108062
【弁理士】
【氏名又は名称】日向寺 雅彦
(74)【代理人】
【識別番号】100168332
【弁理士】
【氏名又は名称】小崎 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100172188
【弁理士】
【氏名又は名称】内田 敬人
(72)【発明者】
【氏名】三賀 大輔
(72)【発明者】
【氏名】多留木 統
(57)【要約】
【課題】基板と半導体素子との位置合わせ精度が高く、機械的強度が高い半導体装置の製造方法を提供する。
【解決手段】半導体装置の製造方法は、基板と、前記基板上に設けられた複数のパッドと、を含む第1構造体を準備する工程と、支持基板と、前記支持基板上に配置された半導体層と、前記半導体層上に配置された複数の発光素子部と、を含む第2構造体を準備する工程と、前記第1構造体の各前記パッドと前記第2構造体の各前記発光素子部とが対向する状態で、前記パッドと前記発光素子部とを複数のバンプを介して接合する工程と、前記複数のバンプ間に導電材料を配置して導電部材を形成する工程と、前記複数の発光素子部をそれぞれ分離するように前記支持基板および前記半導体層を除去する工程と、を備える。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、前記基板上に設けられた複数のパッドと、を含む第1構造体を準備する工程と、
支持基板と、前記支持基板上に配置された半導体層と、前記半導体層上に配置された複数の発光素子部と、を含む第2構造体を準備する工程と、
前記第1構造体の各前記パッドと前記第2構造体の各前記発光素子部とが対向する状態で、前記パッドと前記発光素子部とを複数のバンプを介して接合する工程と、
前記複数のバンプ間に導電材料を配置して導電部材を形成する工程と、
前記複数の発光素子部をそれぞれ分離するように前記支持基板および前記半導体層を除去する工程と、
を備える半導体装置の製造方法。
【請求項2】
前記接合する工程において、
接合する前の前記複数のバンプそれぞれは先端が尖っており、
前記先端は、前記パッドの上面に接する、請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項3】
前記導電材料は、前記バンプの側面、前記パッドの上面および前記発光素子部の下面に配置する、請求項1または2に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項4】
前記導電部材は、前記導電材料によって囲まれたボイドを含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項5】
前記導電部材を形成する工程の後に、前記第1構造体と前記第2構造体との間にアンダーフィル材料を配置する工程をさらに備える、請求項1~4のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
実施形態は、半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
発光装置等の半導体装置には、実装基板上に複数のパッドを設け、この複数のパッドにバンプを介して発光ダイオード(Light Emitting Diode:LED)等の半導体素子を搭載するものがある。このような半導体装置においては、バンプを小型化するほど、実装基板に対して半導体素子を高精度に位置決めすることができる。しかしながら、バンプを小型化すると、実装基板と半導体素子との間の機械的強度が低下する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009-71156号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
実施形態は、基板と半導体素子との位置合わせ精度が高く、機械的強度が高い半導体装置の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態に係る半導体装置の製造方法は、第1構造体の複数のパッドに、バンプを介して、半導体素子を接合する工程を備える。前記第1構造体は、基板、前記基板上に設けられた前記複数のパッド、前記パッド間に配置され前記パッド同士を接続する導電膜、及び、前記導電膜を覆う絶縁層、を含む。前記方法は、前記バンプの表面に導電材料を電解めっきする工程と、前記導電膜を絶縁化する工程と、を備える。
【発明の効果】
【0006】
実施形態によれば、基板と半導体素子との位置合わせ精度が高く、機械的強度が高い半導体装置の製造方法を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す平面図である。
図2】実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す端面図である。
図3】実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す端面図である。
図4】実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す端面図である。
図5図4の領域Aを示す端面図である。
図6】実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す端面図である。
図7】実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す端面図である。
図8】実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す端面図である。
図9】実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す端面図である。
図10】実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す端面図である。
図11】実施形態に係る半導体装置を示す平面図である。
図12】実施形態に係る半導体装置を示す端面図である。
図13図12の領域Bを示す端面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施形態について説明する。
図1は、本実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す平面図である。
図2図4は、本実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す端面図である。
図5は、図4の領域Aを示す端面図である。
図6図10は、本実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す端面図である。
図11は、本実施形態に係る半導体装置を示す平面図である。
図12は、本実施形態に係る半導体装置を示す端面図である。
図13は、図12の領域Bを示す端面図である。
【0009】
以下、図面に基づいて詳細に説明する。複数の図面に表れる同一符号の部分は同一もしくは同等の部分又は部材を示す。
さらに以下は、本発明の技術思想を具体化するための半導体装置の製造方法を例示するものであって、本発明を以下に限定するものではない。また、構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、特定的な記載がない限り、本発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、例示することを意図したものである。各図面が示す部材の大きさや位置関係等は、理解を容易にする等のために誇張している場合がある。
【0010】
(半導体装置1)
本実施形態に係る発光装置の製造方法によって得られる半導体装置1の構成について、図11及び図12を参照して説明する。
半導体装置1は、基板11と、基板11上に設けられた複数のパッド12と、複数のパッド12間に設けられ、複数のパッド12に接した絶縁膜45と、パッド12上に接合された半導体素子23と、パッド12と半導体素子23との間に設けられ、パッド12及び半導体素子23に接続された導電部材42と、を備える。導電部材42は、バンプ30とめっき層41とを含む。
【0011】
(半導体装置1の製造方法)
先ず、図1及び図2に示すように、第1構造体10を用意する。第1構造体10においては、1枚の基板11が設けられている。基板11は例えば絶縁性部材からなる実装用の基板である。
【0012】
基板11上には、複数のパッド12が設けられている。複数のパッド12は、相互に離隔しており、例えば、マトリクス状に配列されている。なお、図1においては、図を簡略化するために、9つのパッド12しか示していないが、基板11上には、より多くのパッド12が設けられていてもよい。パッド12は、導電材料からなり、例えば、金属材料からなり、例えば、金(Au)等の貴金属からなる。各パッド12の形状は、例えば矩形の板状である。
【0013】
パッド12間には、導電膜13が設けられている。導電膜13の平面視形状は、例えば、パッド12間の隙間を埋めるような格子状である。導電膜13は、パッド12の材料とは異なる導電材料で形成され、例えば、酸化又は窒化等の化学反応により絶縁材料となり得る金属材料が挙げられる。このような金属材料は、例えば、アルミニウム(Al)、マグネシウム(Mg)、亜鉛(Zn)、鉛(Pb)、錫(Sn)、インジウム(In)等からなる群より選択された少なくとも一種を含む金属材料が挙げられる。なかでもアルミニウム(Al)を単独で用いることが好ましい。アルミニウムは高温、高湿下に一定時間晒すことで酸化され酸化アルミニウム(Al)とすることができる。導電膜13の側面は、パッド12の側面に接している。これにより、導電膜13はパッド12同士を電気的に接続している。つまり、基板11上の複数のパッド12は、導電膜13を介して電気的に接続されている。
【0014】
導電膜13上には、導電膜13を覆う絶縁層14が設けられている。絶縁層14は、例えばシリコン酸化物(SiO)等の絶縁性材料からなる。上方から見て、絶縁層14の形状は、例えば、導電膜13よりも太い幅の格子状である。絶縁層14は、導電膜13の上面を被覆するとともに、パッド12の上面の少なくとも一部を被覆している。
【0015】
一方、第1構造体10とは別に、第2構造体20を用意する。第2構造体20は、例えば支持基板上に複数の半導体素子がアレイ状に形成された構造体である。第2構造体20においては、例えばサファイア等の支持基板21の下面に、半導体層22が形成されている。半導体層22の下面には、半導体素子としての発光素子部23が複数形成されている。発光素子部23は、第2構造体20の下面を第1構造体10の上面に重ねたときに、第1構造体10のパッド12に対向する位置に配置されている。すなわち、半導体層22の下面には、複数の発光素子部23が相互に離隔し、マトリクス状に配列されている。
【0016】
次に、第1構造体10のパッド12に、バンプを介して半導体素子(つまり第2構造体20の発光素子部23)を接合する。
各発光素子部23の下面には、複数のバンプ30が形成されている。バンプ30は、例えば、金からなる。バンプ30は例えば先鋭バンプであり、バンプ30の先端、すなわち、下端が尖っている。
【0017】
次に、図3に示すように、第1構造体10上に第2構造体20を配置する。このとき、第2構造体20の各半導体素子、すなわち、各発光素子部23が、第1構造体10の各パッド12に対向するように、第2構造体20を第1構造体10に対して配置する。この結果、各発光素子部23の下面側に形成されたバンプ30の先端が、パッド12の上面に当接する。
【0018】
次に、例えば、第2構造体20に第1構造体10に向かう方向の荷重、及び超音波を印加することにより、バンプ30をパッド12に接合する。これにより、半導体素子である発光素子部23が、バンプ30を介して、パッド12に接合される。なお、本明細書において、「接合」とは、複数の部材同士が電気的に接続されると共に、機械的に連結されることをいう。これにより、第1構造体10にバンプ30を介して第2構造体20が接合された第3構造体40が作製される。
【0019】
次に、前記バンプの表面に導電材料を電解めっきする。
図4に示すように、第3構造体40に導電材料、例えば、貴金属、例えば金を電解めっきする。これにより、バンプ30の表面に、導電材料、例えば、金からなるめっき層41が形成される。
【0020】
このとき、基板11上の複数のパッド12は、導電膜13を介して相互に接続されており、バンプ30はいずれかのパッド12に接続されているため、めっき層41は、全てのパッド12の表面、及び、全てのバンプ30の表面に形成される。バンプ30及びめっき層41により、導電部材42が構成される。導電部材42の表面はめっき層41によって形成され、バンプ30は導電部材42の内部に配置される。なお、導電膜13は絶縁層14によって覆われているため、導電膜13の表面には、めっき層41は形成されない。
【0021】
図5に示すように、めっき層41は、隣り合うバンプ30間において、バンプ30の側面及びパッド12の上面に形成される。更に、めっき層41は、発光素子部23の下面の一部にも形成される。このため、バンプ30間において、隣り合うバンプの表面に形成されためっき層41同士が隙間なく密着し、めっき層41により複数のバンプ30が一体となる場合もあり、密着するめっき層41間にボイド43が形成される場合もあり、隣接するめっき層41の一部が接することにより凹部44が形成される場合もある。いずれの場合も、めっき層41は隣接するバンプ30間に形成されるため、ボイド43の表面及び凹部44の表面を含む導電部材42の表面の形状は、凹面状を有する。また、隣り合うバンプ30同士が導電材料からなるめっき層41によって相互に接続されて、電気的に一体化する。
【0022】
次に、導電膜13を絶縁化する。
図6に示すように、第3構造体40に対して、高温、高湿且つ高圧の環境下で酸化処理を施す。これにより、導電膜13が酸化されて金属酸化物となり、絶縁膜45が形成される。すなわち、導電膜13が絶縁化する。この結果、パッド12同士が絶縁膜45によって電気的に分離される。なお、パッド12、バンプ30及びめっき層41は、例えば金等の貴金属により形成されているため、酸化されにくい。
【0023】
次に、図7に示すように、流動性のアンダーフィル材料47を第1構造体10と第2構造体20との間に充填する。アンダーフィル材料47は、樹脂材料からなる母材中に無機材料からなるフィラーを添加した材料とする。アンダーフィル材料47の熱膨張を抑制するためには、フィラーの割合を可及的に多くして、樹脂材料の割合を可及的に少なくすることが好ましい。その後、アンダーフィル材料47を硬化させる。
【0024】
次に、図8に示すように、第3構造体40から支持基板21(図7参照)を除去する。
【0025】
次に、図9に示すように、例えばエッチバック法により、第3構造体40から半導体層22(図8参照)を除去する。これにより、複数の発光素子部23が相互に電気的に分離される。発光素子部23の下面は導電部材42に覆われ、側面はアンダーフィル材料47に覆われ、上面は外部に露出する。
なお、半導体層22は除去されずに、複数の発光素子部23は半導体層22で電気的に繋がっていてもよい。
【0026】
次に、図10に示すように、例えばエッチング加工を施して、発光素子部23の上面を粗面化する。これにより、発光素子部23からの光取り出し効率が向上する。
【0027】
次に、図11図13に示すように、発光素子部23の上面に、蛍光体層49を形成する。蛍光体層49は、例えば、スプレーによる塗布、又は、蛍光体を含有する透光部材を配置することにより形成する。蛍光体層49においては、透明樹脂材料からなる母材中に、蛍光体粒子が分散されている。このようにして、本実施形態に係る半導体装置1が製造される。
【0028】
次に、本実施形態の製造方法により製造された半導体装置1の構成について説明する。
【0029】
(基板11、パッド12)
基板11は、半導体素子としての発光素子部23を配置させるための部材であり、半導体素子と外部電極を電気的に接続するためのパッド12を有する。基板11の主な材料としては、絶縁性材料が好ましく、例えば、アルミナや窒化アルミニウム等のセラミックス、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、BTレジン、ポリフタルアミド等の樹脂を挙げることができる。なお、樹脂を用いる場合には、必要に応じて、ガラス繊維、酸化ケイ素、酸化チタン、アルミナ等の無機フィラーを樹脂に混合してもよい。これにより、機械的強度の向上や熱膨張率の低減、光反射率の向上を図ることができる。また、基板11は、金属部材の表面に絶縁性材料を形成したものでもよい。パッド12は、上記絶縁性材料の上に、所定のパターンで形成される。パッド12の材料として、少なくとも最表面に金、銀、プラチナ等の貴金属を含むことが好ましい。パッドは、めっき、蒸着、スパッタ等によって形成することができる。
【0030】
(絶縁膜45、絶縁層14)
パッド12間には、絶縁材料、例えば金属酸化物、例えばアルミニウム酸化物からなる絶縁膜45が設けられている。絶縁膜45の側面は、パッド12の側面に接している。上方から見て、絶縁膜45の形状は、パッド12間を埋める格子状である。絶縁膜45上、及び、パッド12における絶縁膜45側の部分上には、絶縁層14が設けられている。絶縁層14は、絶縁材料、例えば、絶縁膜45とは異なる絶縁材料からなり、例えばシリコン酸化物からなる。絶縁膜45の下面は基板11に接し、側面はパッド12に接し、上面は絶縁層14に接している。
【0031】
(半導体素子)
半導体素子としては、発光ダイオードを用いることが好ましい。発光ダイオードは、任意の波長のものを選択することができる。例えば、青色、緑色の発光ダイオードとしては、ZnSeや窒化物系半導体(InAlGa1-X-YN、0≦X、0≦Y、X+Y≦1)、GaPを用いたものを用いることができる。また、赤色の発光ダイオードとしては、GaAlAs、AlInGaPなどを用いることができる。さらに、これ以外の材料からなる発光ダイオードを用いることもできる。用いる半導体素子の組成や発光色、大きさや、個数などは目的に応じて適宜選択することができる。蛍光体を有する発光装置とする場合には、その蛍光体を効率良く励起できる短波長が発光可能な窒化物半導体(InAlGa1-X-YN、0≦X、0≦Y、X+Y≦1)が好適に挙げられる。半導体層の材料やその混晶度によって発光波長を種々選択することができる。
【0032】
実施形態の半導体素子は、同一面側に正負の電極を有する発光素子であり、正負の電極が導電性接合部材を介して基板上にフリップチップ実装されている。発光素子は、電極の形成された下面と対向する上面を主な光出射面としている。このような発光素子は、バンプや導電ペーストなどの導電性接合部材を用いて基板上に接続されるため、金属ワイヤなどで接続される発光素子と比較して、電極と基板との接触面積を大きくでき、接続抵抗を低くできる。
【0033】
(導電部材42)
各パッド12上には、導電部材42が設けられている。導電部材42はパッド12に接し、従ってパッド12に接続されている。導電部材42においては、パッド12に接した複数のバンプ30と、バンプ30間に設けられた導電性のめっき層41が設けられている。めっき層41は、バンプ30の側面、パッド12の上面、発光素子部23の下面に設けられている。バンプ30及びめっき層41は、導電材料からなり、例えば貴金属からなり、例えば金からなる。バンプ30の材料とめっき層41の材料は同じでもよく、相互に異なっていてもよい。バンプ30の材料とめっき層41の材料が同じである場合は、バンプ30とめっき層41との界面が明瞭に観察されない場合もある。
【0034】
導電部材42の表面は、めっき層41によって構成されており、バンプ30は導電部材42の内部に存在している。導電部材42には、ボイド43及び/又は凹部44が形成されていてもよい。導電部材42がボイド43及び/又は凹部44を有する場合、ボイド43及び凹部44の内面にもめっき層41が露出している。ボイド43の内面及び凹部44の内面を含めて、導電部材42の側面の形状は凹面状である。
【0035】
(蛍光体層49)
蛍光体層は、例えば、樹脂、ガラス、セラミックス等の透光性材料を蛍光体のバインダーとして混合したものを用いることができる。なかでも、蛍光体層49は、透光性の樹脂材料に蛍光体粒子を含有させた蛍光体含有樹脂層であることが好ましい。樹脂材料としては、フェニルシリコーン樹脂やジメチルシリコーン樹脂を用いることができる。蛍光体としては、公知の蛍光体を適宜選択することができる。例えば、青色発光素子または紫外線発光素子で励起可能な蛍光体としては、セリウムで賦活されたイットリウム・アルミニウム・ガーネット系蛍光体(YAG:Ce)、セリウムで賦活されたルテチウム・アルミニウム・ガーネット系蛍光体(LAG:Ce)、ユウロピウムおよび/またはクロムで賦活された窒素含有アルミノ珪酸カルシウム系蛍光体(例えばCaO-Al-SiO:Eu)、ユウロピウムで賦活されたシリケート系蛍光体((Sr,Ba)SiO:Eu)、β サイアロン蛍光体、CASN系蛍光体(CaAlSiN:Eu)、SCASN系蛍光体((Sr,Ca)AlSiN:Eu)等の窒化物系蛍光体、KSF系蛍光体(KSiF:Mn)、硫化物系蛍光体、量子ドット蛍光体等が挙げられる。これらの蛍光体と、青色発光素子または紫外線発光素子と組み合わせることにより、所望の発光色の発光装置(例えば白色系の発光装置)を製造することができる。白色に発光可能な半導体装置1とする場合、蛍光体層49に含有される蛍光体の種類、濃度によって白色となるよう調整される。樹脂を含む溶媒に添加される蛍光体の濃度は、例えば、5~50質量%程度である。
【0036】
(アンダーフィル材料47)
基板11上には、アンダーフィル材料47が設けられている。アンダーフィル材料47においては、樹脂材料からなる母材中に、無機材料からなるフィラーが含有されている。発光素子部23の全体、絶縁膜45、絶縁層14、パッド12及び導電部材42の大部分、蛍光体層49の上面を除く部分は、アンダーフィル材料47で被覆されている。蛍光体層49の上部は、アンダーフィル材料47から露出している。
【0037】
次に、本実施形態の効果について説明する。
本実施形態によれば、図2に示すように、バンプ30を細く形成することにより、図3に示す半導体素子を接合する工程において、バンプ30をパッド12に対して精度良く位置決めすることができる。また、小さいエネルギーでバンプ30をパッド12に接合できる。バンプ30として先鋭バンプを使用すれば、位置決めの精度はより向上し、接合に必要なエネルギーはより減少する。
【0038】
そして、図4に示すバンプの表面に導電材料を電解めっきする工程において、バンプ30の表面、パッド12の上面、及び発光素子部23の下面に、導電性材料によるめっき層41を形成する。これにより、バンプ30がめっき層41で被覆された導電部材42が形成される。このように、バンプ30がめっき層41で被覆されることにより、バンプ30よりも体積の大きな導電部材42が、パッド12と発光素子部23との間の電流経路となり、実効的な電流経路を太らせることができる。この結果、パッド12と発光素子部23との間の電気抵抗が減少する。また、パッド12と発光素子部23との間の機械的強度が向上する。更に、パッド12と発光素子部23との間の熱伝導性が向上し、発光素子部23の放熱性が向上する。
【0039】
また、バンプ30間にめっき層41を形成することにより、アンダーフィル材料47の充填量を低減できる。この結果、アンダーフィル材料47に起因する熱応力を低減することができる。
【0040】
更に、図4及び図5に示す電解めっき工程においては、パッド12間に導電膜13が設けられているため、全てのパッド12及びこれらのパッド12に当接したバンプ30を電気的に接続し、全てのパッド12及び全てのバンプ30の表面に、めっき層41を形成することができる。その後、図6に示す導電膜を絶縁化する工程において、導電膜13を酸化して絶縁膜45とすることにより、パッド12同士を絶縁することができる。
【0041】
また、以上説明した半導体装置の製造方法においては、バンプ30が形成された発光素子部23とパッド12とを接合するとして説明したが、例えばバンプ30はパッド12上に形成され、バンプ30が形成されたパッド12と発光素子部23の下面とを接合してもよい。この場合でも、パッド12上に、バンプ30を細く形成することにより、半導体素子を接合する工程において、バンプ30を発光素子部23に対して精度良く位置決めすることができる。また、小さいエネルギーでバンプ30を発光素子部23に接合できる。
【0042】
このように、本実施形態によれば、基板と半導体素子との位置合わせ精度が高く、機械的強度が高い半導体装置及びその製造方法を実現できる。
【0043】
前述の実施形態は、本発明を具現化した例であり、本発明はこの実施形態には限定されない。例えば、前述の実施形態において、いくつかの構成要素若しくは工程を追加、削除又は変更したものも本発明に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明は、例えば、発光装置及び演算装置等に利用することができる。
【符号の説明】
【0045】
1:半導体装置
10:第1構造体
11:基板
12:パッド
13:導電膜
14:絶縁層
20:第2構造体
21:支持基板
22:半導体層
23:半導体素子(発光素子部)
30:バンプ
40:第3構造体
41:めっき層
42:導電部材
43:ボイド
44:凹部
45:絶縁膜
47:アンダーフィル材料
49:蛍光体層
A、B:領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13