(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022094512
(43)【公開日】2022-06-27
(54)【発明の名称】鼻腔洗浄用組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 47/14 20060101AFI20220620BHJP
A61K 9/08 20060101ALI20220620BHJP
A61K 31/14 20060101ALI20220620BHJP
A61K 9/12 20060101ALI20220620BHJP
A61P 11/02 20060101ALI20220620BHJP
【FI】
A61K47/14
A61K9/08
A61K31/14
A61K9/12
A61P11/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020207440
(22)【出願日】2020-12-15
(71)【出願人】
【識別番号】000186588
【氏名又は名称】小林製薬株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100124431
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 順也
(74)【代理人】
【識別番号】100174160
【弁理士】
【氏名又は名称】水谷 馨也
(74)【代理人】
【識別番号】100175651
【弁理士】
【氏名又は名称】迫田 恭子
(72)【発明者】
【氏名】佐伯 貴史
【テーマコード(参考)】
4C076
4C206
【Fターム(参考)】
4C076AA12
4C076AA24
4C076AA25
4C076BB25
4C076CC10
4C076DD08E
4C076DD08W
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4C076DD38
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4C076DD46W
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4C076FF15
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4C206AA01
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4C206FA41
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4C206MA03
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4C206MA33
4C206MA37
4C206MA79
4C206NA08
4C206ZA34
4C206ZA59
(57)【要約】
【課題】本発明の目的は、防腐剤を含み、鼻腔粘膜に対する刺激が緩和されている鼻腔洗浄用組成物を提供することである。
【解決手段】防腐剤としてパラオキシ安息香酸エステルを選択し、これとノニオン性界面活性剤とを組み合わせて鼻腔洗浄用組成物に配合することによって、防腐剤を含んでいながらも、鼻腔粘膜に対する刺激を効果的に緩和できる。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パラオキシ安息香酸エステル、及びノニオン性界面活性剤を含有する、鼻腔洗浄用組成物。
【請求項2】
更に第四級アンモニウム塩を含有する、請求項1に記載の鼻腔洗浄用組成物。
【請求項3】
滴下又は噴霧により鼻腔内に内容物を液滴状にして吐出できる容器に収容されている、請求項1又は2に記載の鼻腔洗浄用組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、防腐剤を含み、鼻腔粘膜に対する刺激が緩和されている鼻腔洗浄用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
鼻腔粘膜は、直接外界に露出されており、外界からの刺激に対して敏感に反応する上皮組織である。鼻腔粘膜に、花粉、微生物、ハウスダスト等の異物が付着すると、耐え難い不快感を生じたり、アレルギー疾患や感染症等の各種疾患を発症したりすることが知られている。このような鼻腔粘膜症状を予防又は改善するには、鼻腔洗浄用組成物によって粘膜に付着した異物を除去することが有効になる。また、鼻腔粘膜は、皮膚等の他の上皮組織とは異なり、表皮に覆われていないため、鼻腔洗浄用組成物には、鼻腔粘膜に対する刺激性に配慮して処方することが必要とされている。
【0003】
鼻腔洗浄用組成物には、外出時に使用したり、繰り返し使用したりすることがあるため、防腐性能を有していることが求められている。そこで、従来、塩化ベンザルコニウム等の防腐剤を配合した鼻腔洗浄用組成物の処方が種々報告されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
防腐剤には刺激性があるため、防腐剤を含む鼻腔洗浄用組成物には、防腐剤による刺激を緩和できる処方検討が必要であるが、従来、鼻腔洗浄用組成物に含まれる防腐剤の刺激を緩和できる製剤技術については、十分な検討がなされていない。
【0006】
そこで、本発明は、防腐剤を含み、鼻腔粘膜に対する刺激が緩和されている鼻腔洗浄用組成物を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、前記課題を解決すべく鋭意検討を行ったところ、防腐剤としてパラオキシ安息香酸エステルを選択し、これとノニオン性界面活性剤とを組み合わせて鼻腔洗浄用組成物に配合することによって、防腐剤を含んでいながらも、鼻腔粘膜に対する刺激を効果的に緩和できることを見出した。本発明は、かかる知見に基づいて、更に検討を重ねることにより完成したものである。
【0008】
即ち、本発明は、下記に掲げる態様の発明を提供する。
項1. パラオキシ安息香酸エステル、及びノニオン性界面活性剤を含有する、鼻腔洗浄用組成物。
項2. 更に第四級アンモニウム塩を含有する、項1に記載の鼻腔洗浄用組成物。
項3. 滴下又は噴霧により鼻腔内に内容物を液滴状にして吐出できる容器に収容されている、項1又は2に記載の鼻腔洗浄用組成物。
【発明の効果】
【0009】
本発明の鼻腔洗浄用組成物は、パラオキシ安息香酸エステルとノニオン性界面活性剤を含むことにより、パラオキシ安息香酸エステルによる防腐性能を有しつつ、鼻腔粘膜に対する刺激を緩和することができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
1.鼻腔洗浄用組成物
本発明の鼻腔洗浄用組成物は、パラオキシ安息香酸エステル、及びノニオン性界面活性剤を含有することを特徴とする。以下、本発明の鼻腔洗浄用組成物について詳述する。
【0011】
[パラオキシ安息香酸エステル]
本発明の鼻腔洗浄用組成物は、パラオキシ安息香酸エステルを含有する。本発明の鼻腔洗浄用組成物では、パラオキシ安息香酸エステルを含むことにより、防腐性能を具備することが可能になっている。
【0012】
本発明において、パラオキシ安息香酸エステルとは、パラオキシ安息香酸のアルキルエステル又はベンジルエステルである。パラオキシ安息香酸のアルキルエステルにおけるアルキル基としては、例えば、炭素数1~5の直鎖状又は分岐状のアルキル基が挙げられる。
【0013】
パラオキシ安息香酸エステルとして、具体的には、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸プロピル、パラオキシ安息香酸イソプロピル、パラオキシ安息香酸ブチル、パラオキシ安息香酸イソブチル、パラオキシ安息香酸ベンジル等が挙げられる。
【0014】
これらのパラオキシ安息香酸エステルは、1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0015】
これらのパラオキシ安息香酸エステルの中でも、鼻腔粘膜に対する刺激をより一層効果的に緩和するという観点から、好ましくはパラオキシ安息香酸メチルが挙げられる。
【0016】
本発明の鼻腔洗浄用組成物におけるパラオキシ安息香酸エステルの含有量については、付与すべき防腐性能等に応じて適宜設定すればよいが、例えば、0.005~0.5重量%、好ましくは0.01~0.3重量%、より好ましくは0.05~0.2重量%が挙げられる。
【0017】
[ノニオン性界面活性剤]
本発明の鼻腔洗浄用組成物は、ノニオン性界面活性剤を含有する。パラオキシ安息香酸エステルとノニオン性界面活性剤を併用することによって、鼻腔粘膜に対する刺激を効果的に緩和することが可能になる。
【0018】
本発明で使用されるノニオン性界面活性剤としては、鼻腔内に適用可能であることを限度として、特に制限されないが、例えば、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル等が挙げられる。これらのノニオン性界面活性剤は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0019】
これらのノニオン性界面活性剤の中でも、鼻腔粘膜に対する刺激をより一層効果的に緩和するという観点から、好ましくはポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油が挙げられる。
【0020】
ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルを構成する酸化エチレン(EO)の平均付加モル数としては、特に制限されないが、例えば、5~40モル、好ましくは10~30モル、より好ましくは15~25モルが挙げられる。ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルを構成する脂肪酸の炭素数としては、特に制限されないが、例えば、10~22個、好ましくは14~22個、より好ましくは16~20個が挙げられる。ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルとして、具体的には、モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン、トリオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン、トリステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、モノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、モノパルミチン酸ポリオキシエチレンソルビタン、モノラウリン酸ポリオキシエチレンソルビタン等が挙げられる。これらのポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルの中でも、好ましくは酸化エチレン(EO)の平均付加モル数が20であるモノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン(ポリソルベート80)、酸化エチレン(EO)の平均付加モル数が20であるモノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン(ポリソルベート60)が挙げられる。
【0021】
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油における酸化エチレン(EO)の平均付加モル数としては、特に制限されないが、例えば、5~100モル、好ましくは20~80モル、より好ましくは40~80モルが挙げられる。これらの中でも、好ましくはポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油80が挙げられる。
【0022】
本発明の鼻腔洗浄用組成物におけるノニオン性界面活性剤の含有量としては、例えば、0.005~5重量%が挙げられる。鼻腔粘膜に対する刺激をより一層効果的に緩和するという観点から、本発明の鼻腔洗浄用組成物におけるノニオン性界面活性剤の含有量として、好ましくは0.01~2重量%、より好ましくは0.1~0.5重量%、更に好ましくは0.2~0.5重量%が挙げられる。
【0023】
本発明の鼻腔洗浄用組成物において、パラオキシ安息香酸エステルとノニオン性界面活性剤の比率については、特に制限されないが、例えば、パラオキシ安息香酸エステルの総量1重量部当たり、ノニオン性界面活性剤が総量で0.01~200重量部が挙げられる。鼻腔粘膜に対する刺激をより一層効果的に緩和するという観点から、パラオキシ安息香酸エステルの総量1重量部当たり、ノニオン性界面活性剤が総量で、好ましくは0.05~100重量部、より好ましくは0.1~20重量部、更に好ましくは2~10重量部が挙げられる。
【0024】
[第四級アンモニウム塩]
本発明の鼻腔洗浄用組成物は、必要に応じて、第四級アンモニウム塩を含んでいてもよい。第四級アンモニウム塩自体には刺激性があるが、本発明の鼻腔洗浄用組成物では、パラオキシ安息香酸エステルとノニオン性界面活性剤を含むことにより、更に第四級アンモニウム塩を含んでいても刺激を十分に緩和させることができる。
【0025】
本発明で使用される第四級アンモニウム塩としては、鼻腔内に適用可能であることを限度として、特に制限されないが、例えば、防腐作用を有する第四級アンモニウム塩を好適に使用できる。このような第四級アンモニウム塩としては、具体的には、塩化ベンザルコニウム、塩化セチルピリジニウム、塩化ベンゼトニウム、塩化デカリニウム、塩化アルキルジメチルアンモニウム、塩化アルキルトリメチルアンモニウム、塩化メチルベンゼトニウム、塩化ラウロイルコラミノホルミルメチルピリジニウム等が挙げられる。これらの第四級アンモニウム塩は、水和物等の溶媒和物の形態であってもよい。
【0026】
これらの第四級アンモニウム塩は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0027】
これらの第四級アンモニウム塩の中でも、好ましくは塩化ベンザルコニウムが挙げられる。
【0028】
本発明の鼻腔洗浄用組成物に第四級アンモニウム塩を含有させる場合、その含有量については、特に制限されないが、例えば、0.00005~0.1重量%、好ましくは0.0001~0.1重量%、より好ましくは0.001~0.05重量%が挙げられる。
【0029】
本発明の鼻腔洗浄用組成物に第四級アンモニウム塩を含有させる場合、パラオキシ安息香酸エステルと第四級アンモニウム塩の比率については、特に制限されないが、例えば、パラオキシ安息香酸エステルの総量100重量部当たり、第四級アンモニウム塩が総量で0.01~20重量部、好ましくは0.1~10重量部、より好ましくは1~5重量部が挙げられる。
【0030】
[アルカリ金属の無機塩]
本発明の鼻腔洗浄用組成物は、浸透圧の調節等のために、必要に応じて、アルカリ金属の無機塩を含んでいてもよい。
【0031】
アルカリ金属の無機塩としては、鼻腔内に適用可能であることを限度として、特に制限されないが、例えば、アルカリ金属の塩化物、アルカリ金属の炭酸塩等が挙げられる。アルカリ金属の塩化物としては、具体的には、塩化ナトリウム、塩化カリウム等が挙げられる。アルカリ金属の炭酸塩としては、具体的には、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸カリウム等が挙げられる。これらのアルカリ金属の無機塩は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。これらのアルカリ金属の無機塩の中でも、好ましくはアルカリ金属の塩化物、より好ましくは塩化ナトリウムが挙げられる。アルカリ金属の無機塩を含有させる場合、当該無機塩の含有量については、特に制限されないが、例えば、0.01~5重量%、好ましくは0.1~3重量%、より好ましくは0.3~2重量%が挙げられる。
【0032】
[多価アルコール]
本発明の鼻腔洗浄用組成物は、必要に応じて多価アルコールを含んでいてもよい。本発明の鼻腔洗浄用組成物に多価アルコールが含まれる場合には、鼻腔粘膜に対する刺激を格段顕著に緩和することができる。
【0033】
本発明で使用される多価アルコールとしては、鼻腔内に適用可能であることを限度として、特に制限されないが、例えば、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、ジプロピレングリコール等の2価アルコール;グリセリン等の3価アルコールが挙げられる。
【0034】
これらの多価アルコールは、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0035】
これらの多価アルコールの中でも、鼻腔粘膜に対する刺激をより一層効果的に緩和するという観点から、好ましくは2価アルコール、より好ましくはプロピレングリコールが挙げられる。
【0036】
本発明の鼻腔洗浄用組成物に多価アルコールを含有させる場合、その含有量については、特に制限されないが、例えば、0.01~10重量%が挙げられる。鼻腔粘膜に対する刺激をより一層効果的に緩和するという観点から、好ましくは0.1~5重量%、より好ましくは0.3~2重量%が挙げられる。
【0037】
[その他の成分]
本発明の鼻腔洗浄用組成物には、前記成分の他に、本発明の効果を損なわない範囲で、製剤化等に必要とされる他の基剤や添加剤が含まれていてもよい。このような基剤や添加剤については、薬学的に許容されることを限度として特に制限されないが、例えば、炭素数1~5の1価低級アルコール、ノニオン性界面活性剤以外の界面活性剤、着色剤、増粘剤、pH調整剤、湿潤剤、安定化剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、粘着剤、緩衝剤、溶解補助剤、可溶化剤、キレート剤、香料等、水の添加剤が挙げられる。これらの基材や添加剤は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0038】
[剤型・用途・製品形態]
本発明の鼻腔洗浄用組成物は液剤であり、水に対して、配合される各成分を所定量添加して溶解させ、必要に応じて滅菌処理に供することにより調製される。
【0039】
本発明の鼻腔洗浄用組成物は、鼻腔内の洗浄に使用される。本発明の鼻腔洗浄用組成物を用いて鼻腔内を洗浄する方法としては、例えば、本発明の鼻腔洗浄用組成物を一方の鼻腔に導入し、当該鼻腔から当該鼻腔洗浄用組成物をそのまま流し出す方法;本発明の鼻腔洗浄用組成物を鼻腔に導入し、口から当該鼻腔洗浄用組成物を流し出す方法;本発明の鼻腔洗浄用組成物を一方の鼻腔に導入し、他方の鼻腔から当該鼻腔洗浄用組成物を流し出す方法等が挙げられる。また、本発明の鼻腔洗浄用組成物を鼻腔内に導入する際には、液滴状(特に、ミスト状)にして導入してもよく、また液流として導入してもよい。
【0040】
本発明の鼻腔洗浄用組成物は、鼻腔内に内容物を吐出できる容器に収容して使用される。当該容器は、滴下又は噴霧により内容物を液滴状にして吐出できる容器であってもよく、また、内容物を液流として吐出できる容器であってもよい。本発明の鼻腔洗浄用組成物を収容する容器の好適な一例として、点鼻剤用の容器、即ち、滴下又は噴霧により鼻腔内に内容物を液滴状にして吐出できる容器が挙げられる。
【実施例0041】
以下に実施例を示して本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0042】
試験例1
表1に示す組成の鼻腔洗浄用組成物(液剤)を調製した。得られた鼻腔洗浄用組成物について、鼻腔粘膜に対する刺激の程度を評価した。具体的には、先ず、鼻腔内にミスト状で噴霧できる容器(汎用されている点鼻剤容器)に鼻腔洗浄用組成物を収容した。次いで、被験者10名が、片方の鼻腔内に約0.15mlの鼻腔洗浄用組成物をミスト状で噴霧し、鼻腔内の洗浄を行い、鼻腔内洗浄時の刺激の程度を評価した。鼻腔内洗浄時の刺激の程度は、「刺激を感じない」を0点、「強い刺激を感じる」を100点とする、VAS(Visual Analogue Scale)法によるアンケートによって行い、被験者10名のアンケート結果の平均値を求め、小数点第一位を四捨五入した値とした。
【0043】
結果を表1に示す。ノニオン性界面活性剤を含まない鼻腔洗浄用組成物において、パラオキシ安息香酸メチルを含む場合には鼻腔内洗浄時に刺激が感じられ、更に、パラオキシ安息香酸メチルと塩化ベンザルコニウムを含む場合には鼻腔内洗浄時に刺激がさらに強くなっていた(比較例1及び2)。これに対して、パラオキシ安息香酸メチルと共にノニオン性界面活性剤を含む場合には、鼻腔内洗浄時の刺激が十分に緩和されていた(実施例1~7)。また、パラオキシ安息香酸メチルと塩化ベンザルコニウムの双方を含んでいても、ノニオン性界面活性剤を含む場合には、鼻腔内洗浄時の刺激を十分に緩和できていた(実施例2及び4~7)。更に、ノニオン性界面活性剤と共にプロピレングリコールを含んでいる場合には、鼻腔内洗浄時の刺激が格段顕著に緩和されていた(実施例5)。また、実施例5の鼻腔内洗浄用組成物においてプロピレングリコールの含有量を2重量%へ変更した場合も、鼻腔内洗浄時の刺激が格別顕著に緩和されていた。
【0044】
【0045】
試験例2
表1の比較例1及び2、実施例1~7の鼻腔洗浄用組成物におけるパラオキシ安息香酸メチルを、パラオキシ安息香酸エチル又はパラオキシ安息香酸プロピルに変更した鼻洗浄用組成物を調製し、試験例1と同様の方法で鼻腔内洗浄時の刺激の程度を評価した。ノニオン性界面活性剤を含まない鼻洗浄用組成物において、パラオキシ安息香酸エチル又はパラオキシ安息香酸プロピルを含む場合には鼻腔内洗浄時に刺激が感じられた。これに対して、パラオキシ安息香酸エチル又はパラオキシ安息香酸プロピルと共にノニオン性界面活性剤を含む場合には、実施例1~7の結果と同様に鼻腔内洗浄時の刺激が十分に緩和されていた。
【0046】
試験例3
表1の実施例1~5の鼻腔洗浄用組成物におけるポリソルベート80をモノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン(ポリソルベート60)又はポリオキシエチレン硬化ヒマシ油80に変更した鼻洗浄用組成物(液剤)を調製し、試験例1と同様の方法で鼻腔内洗浄時の刺激の程度を評価したところ、実施例1~5の結果と同様に鼻腔内洗浄時の刺激が緩和されていた。
【0047】
処方例
表2に示す組成の鼻腔洗浄用組成物(液剤)を調製した。得られた鼻腔洗浄用組成物について、試験例1と同様の方法で、鼻腔粘膜に対する刺激の程度を評価した。処方例1~6は、いずれも比較例1と比較して鼻腔内洗浄時の刺激が十分に緩和されていた。
【0048】