(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022094568
(43)【公開日】2022-06-27
(54)【発明の名称】発光装置
(51)【国際特許分類】
F21S 2/00 20160101AFI20220620BHJP
F21V 8/00 20060101ALI20220620BHJP
【FI】
F21S2/00 340
F21V8/00 320
F21V8/00 310
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020207524
(22)【出願日】2020-12-15
(71)【出願人】
【識別番号】000226057
【氏名又は名称】日亜化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】平出 紀明
【テーマコード(参考)】
3K244
【Fターム(参考)】
3K244AA05
3K244AA06
3K244BA12
3K244BA28
3K244BA31
3K244BA48
3K244CA02
3K244DA01
3K244DA25
3K244EA03
3K244EA16
3K244KA02
3K244KA09
3K244KA17
3K244KA19
(57)【要約】
【課題】導光部材への光入射効率の低下を抑制しつつ、光源と導光部材との接触を防止すること。
【解決手段】本発光装置は、光を発する光源と、前記光を導光する導光部材と、前記光源と[0]前記導光部材における前記光が入射する光入射端面との間の距離を規定する規定部と、を有し、前記規定部は、前記光源と前記光入射端面との間で前記光を通過させる光通過部材と、前記光通過部材と前記光入射端面との間で前記光を透過させる光透過部材と、を有し、前記光源は前記光透過部材と離隔している。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光を発する光源と、
前記光を導光する導光部材と、
前記光源と前記導光部材における前記光が入射する光入射端面との間の距離を規定する規定部と、を有し、
前記規定部は、
前記光源と前記光入射端面との間で前記光を通過させる光通過部材と、
前記光通過部材と前記光入射端面との間で前記光を透過させる光透過部材と、を有し、
前記光源は前記光透過部材と離隔している発光装置。
【請求項2】
前記光通過部材と前記光透過部材は接触している請求項1に記載の発光装置。
【請求項3】
前記光透過部材と前記光入射端面は接触している請求項1又は2に記載の発光装置。
【請求項4】
光反射性粒子を含有し、前記光源が載置される載置面上で前記光源の外周に沿って設けられた樹脂層を有し、
前記載置面に対する前記樹脂層の高さは、前記載置面に対する前記光源の発光面の高さより高く、前記載置面に対する前記光通過部材の高さ以下である請求項1乃至3の何れか1項に記載の発光装置。
【請求項5】
前記導光部材における前記光入射端面側の端部を保持する保持部を有する請求項1乃至4の何れか1項に記載の発光装置。
【請求項6】
前記導光部材における前記光が出射する光出射端面を押圧する押圧部材を有する請求項1乃至5の何れか1項に記載の発光装置。
【請求項7】
前記押圧部材による押圧力を緩和させる弾性部材を有する請求項6に記載の発光装置。
【請求項8】
前記導光部材は、前記導光部材における前記光が出射する光出射端面側の端部が前記光出射端面に交差する方向に伸縮可能である請求項1乃至5の何れか1項に記載の発光装置。
【請求項9】
前記導光部材は、前記光入射端面に近づくにつれて細くなるテーパ形状を有する請求項1乃至8の何れか1項に記載の発光装置。
【請求項10】
前記導光部材は、前記光入射端面に沿った平面内に、第1導光部材と、第2導光部材と、を含み、
前記第1導光部材の中心軸は、前記第2導光部材の中心軸に対して傾きを有する請求項1乃至9の何れか1項に記載の発光装置。
【請求項11】
前記第1導光部材の中心軸と、前記第2導光部材の中心軸との軸間距離は、入射側よりも出射側の方が大きい請求項10に記載の発光装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、発光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
店舗施設等の空間演出のために、店舗施設の壁面や床面、店舗施設に設けられた看板等への配光を制御する発光装置が知られている。また発光装置として、複数のLED素子と、各LED素子の発する光を導光する複数のロッドとを備え、複数のロッドの出射面が近接、接触又は一体化されて一纏まりに配置されたものが開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の装置では、LED素子等の光源が発する光がロッド等の導光部材に入射する効率の低下を抑制しつつ、光源と導光部材との接触を防止することに改善の余地がある。
【0005】
本開示は、導光部材への光入射効率の低下を抑制しつつ、光源と導光部材との接触を防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一実施形態に係る発光装置は、光を発する光源と、前記光を導光する導光部材と、前記光源と前記導光部材における前記光が入射する光入射端面との間の距離を規定する規定部と、を有し、前記規定部は、前記光源と前記光入射端面との間で前記光を通過させる光通過部材と、前記光通過部材と前記光入射端面との間で前記光を透過させる光透過部材と、を有し、前記光源は前記光透過部材と離隔している。
【発明の効果】
【0007】
本開示の一実施形態によれば、導光部材への光入射効率の低下を抑制しつつ、光源と導光部材との接触を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施形態に係る発光装置の全体構成例を示す図であり、
図1(a)は光照射方向側から視た斜視図、
図1(b)は光照射方向とは反対側から視た斜視図である。
【
図2】実施形態に係る発光装置の全体構成例を示す分解斜視図である。
【
図3】実施形態に係る導光部材アレイの構成例を示す図であり、
図3(a)は正面図、
図3(b)は側面図、
図3(c)は背面図である。
【
図4】実施形態に係るホルダ部材の構成例を示す図である。
【
図5】実施形態に係るLED及びLED実装基板の構成例を示す図である。
【
図6】実施形態に係るLED周辺の構成を示す断面図であり、
図6(a)は第1例の図、
図6(b)は第2例の図である。
【
図7】ホルダ部材、導光部材アレイ及び窓部材の分解斜視図であり、
図7(a)は光照射方向側から視た図、
図7(b)は光照射方向とは反対側から視た図である。
【
図8】LED実装基板、スペーサ、ガラス板及びホルダ部材の分解斜視図である。
【
図9】実施形態に係るガラス板の作用例を示す図であり、
図9(a)は比較例を示す図、
図9(b)は実施形態を示す図である。
【
図10】実施形態に係る窓部材及び板バネの作用例を示す図である。
【
図11】変形例に係る発光装置の構成例を示す分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して発明を実施するための形態について説明する。なお、以下の説明では、複数の図面に表れる同一符号の部分は、同一もしくは同等の部分又は部材を示す。
【0010】
また以下に示す実施形態は、本発明の技術思想を具体化するための発光装置を例示するものであって、本発明を以下に示す実施形態に限定するものではない。以下に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、特定的な記載がない限り、本発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、例示することを意図したものである。また図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を明確にするため、誇張している場合がある。
【0011】
以下に示す図でX軸,Y軸,Z軸により方向を示す場合があるが、X軸に沿うX方向は、実施形態に係る発光装置が備える複数の光源が配列する配列平面内での所定方向を示し、Y軸に沿うY方向は、配列平面内でX方向に直交する方向を示し、Z軸に沿うZ方向は、配列平面に直交する方向を示すものとする。
【0012】
またX方向で矢印が向いている方向を+X方向、+X方向の反対方向を-X方向と表記し、Y方向で矢印が向いている方向を+Y方向、+Y方向の反対方向を-Y方向と表記し、Z方向で矢印が向いている方向を+Z方向、+Z方向の反対方向を-Z方向と表記する。実施形態では、発光装置は一例として+Z方向側に光を照射するものとする。但し、このことは、発光装置の使用時における向きを制限するわけではなく、発光装置の向きは任意である。
【0013】
<発光装置1の構成>
まず、実施形態に係る発光装置1の構成について説明する。
【0014】
(全体構成例)
図1は、発光装置1の全体構成の一例を説明する図であり、
図1(a)は光照射方向(+Z方向)側から発光装置1を視た斜視図、
図1(b)は-Z方向側から発光装置1を視た斜視図である。
【0015】
図1に示すように、発光装置1は、光を透過する窓部材16と、光が通過する開口部10とを+Z方向側に有し、外形が略円柱状の形状に形成されている。開口部10は、窓部材16の内側(-Z方向側)に設けられている。発光装置1は、駆動回路2からの駆動電圧の印加により発する光を開口部10及び窓部材16を通して+Z方向側に照射できる。
【0016】
発光装置1は、例えば建物の壁又は天井に固定され、建物の内部又は外部の空間を照明する照明装置として使用される。或いは、店舗施設の壁又は天井に固定され、店舗施設を空間演出するためのダウンライトやスポットライト、間接照明等の用途に使用される。また発光装置1は、車両等の移動体に搭載され、移動体の周囲を照明するヘッドライト等の用途にも使用できる。
【0017】
なお、
図1では外形が略円柱状の発光装置1を例示したが、これに限定されるものではなく、角柱状等の任意の外形形状に発光装置1を形成可能である。
【0018】
次に
図2は、発光装置1の全体構成の一例を説明する分解斜視図である。
図2に示すように、発光装置1は、LED(Light Emitting Diode)実装基板11と、規定部40と、ホルダ部材14と、導光部材アレイ15と、窓部材16と、板バネ17とを有する。
【0019】
発光装置1は、LED実装基板11、スペーサ12、ガラス板13及びホルダ部材14をZ方向に沿ってこの順で重ね合わせ、ホルダ部材14に設けられた雌ねじ孔に固定ネジ19を螺合して固定する。
【0020】
また発光装置1は、ホルダ部材14、導光部材アレイ15及び窓部材16をZ方向に沿ってこの順で重ね合わせ、窓部材16における凸部161に設けられた雌ネジ孔161aに、板バネ17を介して固定ネジ18を螺合して固定する。
【0021】
LED実装基板11は略正方形状の板状部材であり、LED等の光源や各種電気素子を実装可能な配線を備える基板である。LED実装基板11には、例えばアルミニウムや銅等のメタルベースの2層プリント基板等を適用できる。紙エポキシ基板やガラスエポキシ基板等のメタルベース以外の基板も適用できるが、放熱性の点でメタルベース基板が好適である。
【0022】
LED実装基板11は、18個のLED111を備えている。なお、LED111は18個のLEDの総称表記である。各LED111は光を発する光源の一例であり、LED実装基板11の+Z方向側の面である載置面112に実装される。
【0023】
またLED実装基板11は、電気ケーブルを介して駆動回路2と接続するためのコネクタ113を備えている。各LED111は、LED実装基板11を介して駆動回路2に電気的に接続し、駆動回路2から印加される駆動電圧に応答して光を発する。
【0024】
LED111は、例えば白色光を発するが、これに限定されるものではなく、単色光であってもよいし、また白色光の中でも電球色や昼白色、昼光色等の各種を選択可能である。
【0025】
LED111として、例えば日亜化学工業(株)の製品番号NFSWE11A等を適用できる。なお、導光部材アレイ15への光の入射効率の点で、LED111から側面方向に向かう光を少なくすることが好ましい。
【0026】
規定部40は、スペーサ12と、ガラス板13とを有し、LED111と導光部材151との間の距離を規定する。
【0027】
スペーサ12は、LED111と、導光部材アレイ15に含まれる導光部材151の光入射端面151iとの間でLED111が発する光を通過させる光通過部材の一例である。スペーサ12は、Z方向において、LED111が載置される載置面112と、光入射端面151iとの間に設けられている。光入射端面151iは、LED111に対向して配置され、LED111が発する光が導光部材151内に入射する端面である。スペーサ12の厚みは、LED111の厚みよりも大きいことが好ましい。
【0028】
スペーサ12は略矩形状の板状部材であり、LED実装基板11と重ね合わせた際にLED実装基板11に実装された18個のLED111のそれぞれと1対1で対応する位置に、矩形状の孔である18個のスペーサ貫通孔121を備えている。なお、スペーサ貫通孔121は18個のスペーサ貫通孔の総称表記である。
【0029】
スペーサ12は、板状部材にレーザ加工法等でスペーサ貫通孔121を形成して製作できる。スペーサ12の材質は特に制限されないが、空隙が経時変動しないように十分な強度があって、LED111の発熱に対する放熱性が高い点でアルミニウムが好適である。またフレア光又はゴースト光等を低減するために、スペーサ12に黒染め等の表面処理を施すとより好適である。
【0030】
スペーサ12におけるスペーサ貫通孔121が形成された領域以外の平面領域の-Z方向側は、LED実装基板11のLED111の載置側の面に接触し、該平面領域の+Z方向側はガラス板13に接触する。この状態でLED実装基板11、スペーサ12及びガラス板13がホルダ部材14に固定されることで、スペーサ貫通孔121を介して対向するLED111と導光部材151との間の距離が所定距離に規定される。該所定距離はLED111の発光面と導光部材151における光入射端面151iとの間の距離に対応する。スペーサ12の板厚とガラス板13の板厚に基づき、該所定距離が規定される。
【0031】
ガラス板13は、スペーサ12と光入射端面151iとの間に設けられ、LED111が発する光を透過する光透過部材の一例である。ガラス板13は、LED111が発する光に対して透過性を有するガラス材料を含んで構成された板状部材である。ガラス板13の厚みは、薄ければ薄いほど入射効率が上がるが、強度を確保する必要もある。入射効率の低下を考慮すると、1.0mm以下であることが好ましく、さらに好ましくは0.5mm以下である。一例として板厚は0.21mmである。LED111が発する光の反射を低減し、導光部材への入射効率を上げるために、ガラス板13のLED111側の面又はLED111側の面および反対側の面の両方に反射防止(AR;Anti-Reflection)膜をコーティング等により設けることが好ましい。
【0032】
ホルダ部材14は、中空に形成され、+Z方向側が開放された箱状部材である。またホルダ部材14は-Z方向側の底面部に18個の保持孔144を備えている。ホルダ部材14は、導光部材アレイ15に含まれる18個の導光部材151の端部を、1対1で対応して18個の保持孔144に挿入した状態で、導光部材アレイ15を内側に保持する。また、ホルダ部材14の+Z方向側に設けられた前面部には2個の嵌合貫通孔141が形成されている。なお、保持孔144については
図4を参照して別途図示する。
【0033】
ホルダ部材14は、例えば樹脂材料を射出成形して製作される。LED111が発する光が発光装置1から外部に漏れ出したり、太陽光等の可視光が発光装置1の外部から内部に進入したりすることを防ぐために、ホルダ部材14の樹脂材料は、LED111が発する光及び可視光に対して透過性を有さないことが好ましい。また、LED111が発する熱やLED111が発する光の照射による熱変形を抑制する線膨張係数をもつ材料であることが好ましい。例えば樹脂材料には、熱可塑性樹脂であるポリフェニレンサルファイド(PPS; Poly Phenylene Sulfide)樹脂、ポリカーボネート(PC;Polycarbonate)樹脂、アクリル(PMMA;Poly Methyl Methacrylate)樹脂、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS;Acrylonitrile butadiene styrene)樹脂、又はポリエーテルエーテルケトン(PEEK;Poly Ether Ether Ketone)樹脂等を適用できる。但し、樹脂に限定されるものではなく、アルミウム合金等の金属材料を用いてホルダ部材14を構成してもよい。
【0034】
導光部材アレイ15は、配列平面内に2次元アレイ状に配列する18個の導光部材151を備える。なお、導光部材151は18個の導光部材の総称表記である。各導光部材151は、光入射端面151iに近づくにつれて細くなるテーパ形状を有し、導光部材151における導光方向に交差する断面は正方形状に形成されている。
【0035】
なお、テーパ形状とは、細長い部材の直径、幅又は厚み等が先細りになっている形状をいう。本実施形態では、光入射端面151iに近づくにつれて細くなる形状であれば、個々の導光部材151の側面部の傾きが導光部材151の中心軸に対して対称になっていなくてもテーパという。本実施形態では、個々の導光部材の中心軸に交差する断面は矩形状に形成されているが、矩形に限定されるものではなく、円形等の他の形状であってもよい。
【0036】
光出射端面151o側では隣接する導光部材151同士は繋がっており、18個の光出射端面151oは発光装置1の開口部10を構成する。導光部材アレイ15の光入射端面151i側では、隣接する導光部材151同士は分離しており、隣接する導光部材151同士の側面間の間隔は、光入射端面151iに近づくにつれて広くなる。なお、光入射端面151iは18個の導光部材151における各光入射端面の総称表記であり、光出射端面151oは18個の導光部材151における各光出射端面の総称表記である。
【0037】
LED111が発する光は、光入射端面151iを通って導光部材151内に入射する。入射した光は、導光部材151のテーパ面である側面で全反射を繰り返しながら導光部材151内を導光され、光出射端面151oを通って出射する。
【0038】
導光部材アレイ15は、LED111が発する光に対して透過性を有する樹脂材料を射出成形することで、18個の導光部材151を一体にして製作される。樹脂材料には、シリコーン樹脂、ポリカーボネート樹脂又はアクリル樹脂等を適用できる。
【0039】
窓部材16は、LED111が発する光に対して透過性を有する樹脂材料を含んで構成された板状部材である。窓部材16は、導光部材151における光出射端面151oを押圧する押圧部材の一例である。窓部材16は、ホルダ部材14が備える2個の嵌合貫通孔141に対応する位置に2個の凸部161を有する。各凸部161は雌ネジ孔161aを含んでいる。窓部材16は、樹脂材料を射出成形して製作される。樹脂材料には、アクリル樹脂又はポリカーボネート樹脂等を使用できる。窓部材16をガラス材料で構成することもできる。
【0040】
窓部材16は、導光部材アレイ15を保持した状態のホルダ部材14に対し、嵌合貫通孔141に凸部161が嵌合されるように取り付けられる。この状態で、凸部161の雌ネジ孔161aに、板バネ17を介して固定ネジ18を螺合することで、ホルダ部材14と窓部材16が結合される。
【0041】
窓部材16は、ホルダ部材14に結合し、光出射端面151oを押圧する。窓部材16は、光出射端面151oを押圧しないようにホルダ部材14に結合し、導光部材151が膨張した場合には、窓部材16は光出射端面151oを押圧する。また窓部材16は、ホルダ部材14内へのゴミや埃等の侵入を防止し、また導光部材アレイ15が外部の物体に直接ぶつかることを防ぐ保護部材としても機能する。
【0042】
板バネ17は、ステンレス等の金属材料を含んで構成される板状部材である。板バネ17は薄板で弾性を有し、窓部材16による光出射端面151oに対する押圧力を緩和させる弾性部材の一例である。
【0043】
板バネ17を介することでホルダ部材14と窓部材16との結合力が緩和され、板バネ17を介さない場合と比較して、窓部材16は+Z方向側に動きやすくなる。これにより、導光部材151が熱膨張等で+Z方向側に伸長した場合に、窓部材16が光出射端面151oを-Z方向側に押圧する押圧力が緩和されるようになっている。
【0044】
なお、
図2に示したLED111、スペーサ貫通孔121及び導光部材151の個数又は配置、並びに各部材の外形形状等は一例であり、発光装置1の目的に応じてこれらを適宜選択できる。
【0045】
(導光部材アレイ15の構成例)
次に
図3を参照して、導光部材アレイ15の構成について説明する。
図3は、導光部材アレイ15の構成の一例を説明する図であり、
図3(a)は正面図、
図3(b)は側面図、
図3(c)は背面図である。
【0046】
図3に示すように、導光部材アレイ15は、光入射端面151iに沿った配列平面内に18個の導光部材151を有する。各導光部材151は、光入射端面151iと、光出射端面151oとを有する。光入射端面151iは何れも一辺が2.2[mm]の略正方形、光出射端面151oは何れも一辺が10.0[mm]の略正方形に形成されている。また導光部材アレイ15の高さ(Z方向の長さ)は35[mm]である。
【0047】
上述したサイズは一例であり、導光部材151の形状は、LED111の仕様と発光装置1の配光角の仕様に基づき決定される。ここで、発光装置1の配光角とは、発光装置1と照射パターンにおける中心位置とを結ぶ線と、発光装置1から照射パターンにおける照度が1/2となる位置とを結ぶ線とがなす角度の2倍の角度をいう。この配光角は、空間上での照射パターンにおける照度が1/2になる角度である「1/2ビーム角」に対応する。
【0048】
例えば、光入射端面151iは、0.2[mm]四方以上20[mm]四方以下とすることができ、LED111の出射面のサイズよりも大きいサイズであってもよい。また、光出射端面151oは0.2[mm]四方以上100[mm]四方以下であってもよい。導光部材アレイ15の高さ(Z方向の長さ)は3[mm]以上400[mm]以下であってもよい。発光装置1の配光角は、1/2ビーム角で20度以上120度以下としてもよい。
【0049】
図3(a)に示すように、導光部材アレイ15の中央部には、X方向に沿って3個、Y方向に沿って4個の合計12個の導光部材151が行列配置されている。また+X方向側の端部に3個の導光部材151がY方向に沿って配列し、-X方向側の端部に3個の導光部材151がY方向に沿って配列している。
【0050】
次に
図3(b)を参照して、複数の導光部材151間の中心軸傾き及び距離を説明する。
【0051】
導光部材151のうちの導光部材151aは、光入射端面151aiと、光出射端面151aoとを有する。導光部材151aは第1導光部材の一例である。導光部材151aの中心軸151acは、光入射端面151aiの中心と光出射端面151aoの中心の両方を通る軸である。
【0052】
また導光部材151のうちの導光部材151bは、光入射端面151biと、光出射端面151boとを有する。導光部材151bは第2導光部材の一例である。導光部材151bの中心軸151bcは、光入射端面151biの中心と光出射端面151boの中心の両方を通る軸である。
【0053】
中心軸151acはZ方向に対して傾き角度θで傾いている。中心軸151bcはZ方向に対して傾いていない。従って、中心軸151acと中心軸151bcは、傾き角度θで傾いている。
【0054】
また、軸間距離diは、光入射端面151i側における中心軸151acと中心軸151bcの軸間距離である。軸間距離doは、光出射端面151o側における中心軸151acと中心軸151bcの軸間距離である。軸間距離doは軸間距離diより長い。換言すると、中心軸151acと中心軸151bcとの軸間距離は、入射側よりも出射側の方が大きい。
【0055】
この構成により、導光部材アレイ15を有する発光装置1は、+Z方向に進むにつれて広がる発散光を照射することができる。
【0056】
また、
図3(c)に示すように各導光部材151の中心軸151c(総称表記)は、ランダムに異なる方向に傾いている。但し、
図3に示す各導光部材151の中心軸151cの傾きは一例であって、各導光部材151の中心軸151cが任意の方向に傾くように導光部材アレイ15を構成可能である。
【0057】
なお、導光部材151の個数、配置、大きさ及び中心軸の傾き等は、上述したものに限定されるものではなく、目的に応じて適宜選択可能である。また導光部材151として正方形状の断面形状を有するものと示したが、これに限定されるものではない。例えば、長方形状、多角形状、円形状又は楕円形状の断面形状を有するものであってもよい。スペーサ貫通孔121の断面形状及び保持孔144の断面形状においても同様である。
【0058】
さらに、本実施形態では、光が導光部材151の側面で全反射することで導光部材151内を伝搬する例を示すが、これに限定されるものではない。導光部材151の側面に反射面等の偏向面を設け、光が導光部材151の側面で偏向することで導光部材151内を伝搬可能に構成することもできる。
【0059】
(ホルダ部材14の構成例)
次に
図4は、ホルダ部材14の構成の一例を説明する図である。
図4は、ホルダ部材14を+Z方向側から視た斜視図である。
図4に示すように、ホルダ部材14における+Z方向側に設けられた前面部142には、嵌合貫通孔141が形成されている。またホルダ部材14における-Z方向側に設けられた底面部143には、18個の保持孔144が形成されている。なお、
図14では18個の保持孔144のうちの一部は隠れて見えていない。
【0060】
保持孔144は、断面が正方形状または長方形状の貫通孔である。導光部材151の光入射端面151i側の端部が保持孔144に挿入されることで、保持孔144は該端部を保持できる。保持孔144は、導光部材151における光入射端面151i側の端部を保持する保持部の一例である。
【0061】
図3(c)に示したように、光入射端面151iの中心は等間隔に配列していないため、光入射端面151iの位置に応じて保持孔144は非等間隔で配列している。
【0062】
ここで、導光部材アレイ15は軟質のシリコーン樹脂を含むため、光入射端面151i側の細い部分は、衝撃等で動きやすくなる。この細い部分が動くと、導光部材151内を導光される光の導光状態が変化する場合がある。
【0063】
本実施形態では、保持孔144のそれぞれで各導光部材151の光入射端面151i側の端部を保持することで、導光部材151における光入射端面151i側の細い部分の位置変動が抑制されるようになっている。
【0064】
(LED111及びLED実装基板11の構成例)
次に
図5を参照して、LED111及びLED実装基板11の構成について説明する。
図5は、LED111及びLED実装基板11の構成の一例を説明する図である。
【0065】
図5に示すように、LED111は、発光素子111aと、蛍光体層111bと、フィレット111dと、一対の電極111eとを有するパッケージである。但し、LED111は、これら以外の構成を含んでもよい。
【0066】
蛍光体層111bは、フィレット111dを接合部材として発光素子111aに接合している。発光素子111aの下面、側面及びフィレット111dは、光反射性粒子を含有する白樹脂22により被覆されている。一方、蛍光体層111bの側面は白樹脂22で被覆されていない。一対の電極111eは、白樹脂220から露出しており、LED実装基板11の配線と接続している。
【0067】
白樹脂22に含有される光反射性粒子は、LED111が発光する光に対して光反射性を有する粒子であり、例えば白色の酸化チタン粒子、ガラスビーズ、炭酸カルシウム粒子、アルミニウム粉、マイカ粒子等である。
【0068】
また
図5に示すように、LED実装基板11は、ベース基板11aa上に第1絶縁層11b、第1銅箔11c、第2絶縁層11d、第2銅箔11e及び第3絶縁層11f等をこの順に積層している。第1銅箔11cと、第2銅箔11eとは銅メッキ11gを介して導通している。
【0069】
(LED111周辺の構成例)
次に
図6を参照して、LED111周辺の構成について説明する。
図6は、LED111周辺の構成を示す断面図である。
図6(a)は第1例を示し、
図6(b)は第2例を示す。なお、
図6は、発光装置1における各部材を結合後のLED111周辺の構成を示している。また、
図6(a)の第1例と、
図6(b)の第2例では、白樹脂20のZ方向における高さ(厚み)のみが異なっている。
【0070】
図6に示すように、発光装置1は、LED実装基板11における載置面112上にLED111を有する。また発光装置1は、LED111の周囲に、白樹脂20と、スペーサ12と、ガラス板13と、ホルダ部材14の底面部143と、導光部材151における光入射端面151i側の端部とを配置している。LED111はスペーサ12におけるスペーサ貫通孔121が設けられた位置に配置されている。
【0071】
本実施形態に係る載置面112に対する白樹脂20の高さは、載置面112に対するオーバーコート層111cの高さより高く、載置面112に対するスペーサ12の高さ以下である。蛍光体層111bの上面は、光源の発光面に対応する。
【0072】
図6(a)は、載置面112に対する白樹脂20の高さh1が載置面112に対するLED111の発光面である蛍光体層111bの高さh2より高い場合を例示している。
図6(b)は、載置面112に対する白樹脂20の高さh1'が載置面112に対するスペーサ12の高さh3と等しい場合を例示している。
【0073】
ここで、LED111から発せられる光の一部は、LED111の側面方向に伝搬する場合がある。このような光の多くは、導光部材151に入射しないため、LED111から導光部材151への光の入射効率が低下する。
【0074】
本実施形態では、白樹脂20を設けることで、LED111の側面方向に伝搬する光をLED111の中心に向けて反射させる。これにより、LED111の側方に向かって伝搬する光を光入射端面151iに導いて入射させることができ、光の入射効率の低下を抑制できるようになっている。
図6(a)に示す伝搬光21と、
図6(b)に示す伝搬光21'は、LED111の側方に向かって伝搬し、白樹脂20で反射されて、光入射端面151iに導かれる光の一例を示している。
【0075】
なお、本実施形態では白樹脂20を設けているが、白樹脂20を設けることは必須ではなく、白樹脂20の高さh1は、蛍光体層111bの高さh2より低くてもよい。
【0076】
また、
図6に示すように、ガラス板13は、-Z方向側の面をスペーサ12の+Z方向側の面に接触している。またガラス板13は、+Z方向側の面を導光部材151の光入射端面151iに接触している。
【0077】
光入射端面151iとスペーサ12との間にガラス板13が設けられることで、光入射端面151iがLED111側に移動することを防ぎ、LED111と導光部材151との間の距離変動を抑制できるようになっている。LED111と導光部材151との間の距離はスペーサ12とガラス板13の厚みによって規定される。
【0078】
<各部材の結合例>
次に、
図7及び
図8を参照して、各部材の結合の様子について説明する。
図7は、ホルダ部材14、導光部材アレイ15及び窓部材16が結合される様子を説明する分解斜視図である。
図7(a)は+Z方向側から視た図、
図7(b)は-Z方向側から視た図である。また
図8は、LED実装基板11、スペーサ12、ガラス板13及びホルダ部材14が結合される様子を説明する分解斜視図である。
【0079】
図7(a)に示すように、ホルダ部材14が内部に導光部材アレイ15を収容して保持した後、凸部161が嵌合貫通孔141に嵌合されるようにして、窓部材16がホルダ部材14に取り付けられる。
【0080】
その後、
図7(b)に示すように、嵌合貫通孔141に嵌合された状態の凸部161と固定ネジ18との間に板バネ17を配置し、凸部161の雌ねじ孔161aに固定ネジ18を螺合することで、ホルダ部材14、導光部材アレイ15及び窓部材16が結合される。
【0081】
また、
図8に示すように、LED実装基板11、スペーサ12及びガラス板13は、この順で重ね合わされた状態で、ホルダ部材14の底面部143の-Z方向側の面に接触される。この際に、ホルダ部材14に設けられた位置決め凸部145が、スペーサ12の位置決め貫通孔122と、LED実装基板11の位置決め貫通孔114に挿入されるようにする。
【0082】
これにより、導光部材151とLED111がスペーサ貫通孔121を介して対向するように、配列平面内での位置合わせがなされる。なお、位置決め凸部145、位置決め貫通孔122及び位置決め貫通孔114からなる組は少なくとも2組以上が設けられると好適である。
【0083】
その後、固定ネジ19を雌ネジ孔146に螺合することで、LED実装基板11、スペーサ12及びガラス板13はホルダ部材14に結合される。
【0084】
<ガラス板13、窓部材16及び板バネ17の作用>
次に、
図9及び
図10を参照して、ガラス板13、窓部材16及び板バネ17の各作用について説明する。まず、
図9は、ガラス板13の作用の一例を説明する図である。
図9(a)は比較例に係るガラス板13を設けない場合を説明する図、
図9(b)は本実施形態に係るガラス板13を設けた場合を説明する図である。
【0085】
図9(a)及び
図9(b)は、Z方向に長さLを有する導光部材151と、LED111の周辺の構成を示している。また
図9(a)及び
図9(b)は、発光装置の発熱や発光装置周辺の温度上昇等で膨張し、導光部材151がZ方向に沿って伸び量ΔLだけ伸長した場合を例示している。なお、導光部材151は、導光部材アレイ15に含まれる導光部材151のうちの1つのみを表示している。
【0086】
図9(a)では、ガラス板13が設けられていないため、太線で示す光入射端面151iが-Z方向側に伸び量ΔLだけ移動している。これにより、伸長していない場合に対して光入射端面151iとLED111との距離が伸び量ΔLだけ短くなる。
【0087】
光入射端面151iとLED111との距離の変動により、LED111の発光面である蛍光体層111bと導光部材151の光入射端面151iが接触すると、蛍光体層111bと光入射端面151iとの間に空気層が介在しなくなる。その結果、空気層との界面でLED111側に反射されて蛍光体層111bに再入射する光成分が減少し、発光装置1が照射する光の色味が青色側([0]高色温度側)にシフトする場合がある。
【0088】
また、例えば熱の影響により導光部材151が膨張して光入射端面151iがLED111に接触すると、照射光の色味が変化するだけでなく、接触によりLED111が故障する場合がある。一方で、接触を回避するために、光入射端面151iとLED111との間の距離を予め大きくすると、光入射端面151iへの光の入射効率が低下する。
【0089】
換言すると、入射効率の観点では、LED111の蛍光体層111bと光入射端面151iはできるだけ近づけるほうが、入射効率が向上するため好ましい。しかし、近づけすぎると導光部材151が膨張した際に蛍光体層111bと光入射端面151iとが接触し、発光装置1が照射する光の色味が変化したり、LED111が故障したりする場合がある。
【0090】
一方で、オーバーコート層111cと光入射端面151iとの距離を予め大きくすると、LED111が発する光の光入射端面151iへの入射効率が低下する。
【0091】
本実施形態では、ガラス板13を設けているため、光入射端面151iがLED111側に移動せず、スペーサ12とガラス板13で規定する光入射端面151iとLED111との距離が維持される。これにより、光入射端面151iとオーバーコート層111cとの接触を防止することができる。これにより、発光装置1が照射する光の色味変化を抑制可能になっている。接触によりLED111が故障することも抑制可能である。
【0092】
また光入射端面151iとLED111との距離を予め大きくすることなく、光入射端面151iとLED111との距離を最小限に規定できるため、光入射端面151iへの光の入射効率を大きく低下させることなく、光入射端面151iとLED111との接触を防止可能になっている。
【0093】
また、オーバーコート層111cとガラス板13が接触した場合にも、オーバーコート層111cとガラス板13の間に空気層を介在しないため、同様に色味変化が生じる場合がある。これに対し、オーバーコート層111cとガラス板13との間にスペーサ12を設けることで、オーバーコート層111cとガラス板13の間の空気層を確保する。これにより、色味変化や接触による故障等を抑制可能になっている。
【0094】
なお、
図9(b)では、太線で示す光出射端面151oをZ方向に伸縮可能とし、光出射端面151oを+Z方向側に伸び量ΔLだけ伸長させる例を示したが、光出射端面151oを窓部材等で押圧して導光部材151の+Z方向への伸長を抑制するように構成することもできる。
【0095】
また
図9では中心軸がZ方向に平行な導光部材151を例示したが、中心軸がZ方向に対して傾いている導光部材151においても同様の作用が得られる。
【0096】
次に
図10は、窓部材16及び板バネ17の作用の一例を説明する図である。
図10は、導光部材アレイ15に含まれる導光部材151のうちの1つの導光部材151のみを表示している。
【0097】
ここで、光出射端面151o側を伸縮可能にすることもできるが(
図9(b)参照)、光出射端面151oの移動により照射光の特性が変化する場合があるため、光出射端面151oの移動も抑制した方がより好ましい。しかし、移動を抑制するために光出射端面151oを押圧すると、伸び量が大きくなった場合等に導光部材151に応力が加わる。この応力により、導光部材151の形状が変化し、照射光の向き等が変わることで配光状態が変化する場合がある。
【0098】
そのため、本実施形態では、窓部材16を光出射端面151oに接触させ、伸長する光出射端面151oを押圧することで光出射端面151oの移動を抑制する。また伸び量が大きくなった場合には板バネ17の作用で窓部材16による押圧力を緩和する。
【0099】
図10において、導光部材151が熱膨張等で伸長すると、光出射端面151oが窓部材16を力T1で押し、窓部材16は力T1の反力となる押圧力T2で光出射端面151oを押圧する。窓部材16は押圧力T2により光出射端面151oの移動を抑制できる。
【0100】
また窓部材16はホルダ部材14との間に板バネ17を介在させて固定ネジ18により固定される。板バネ17は弾性部材で変形しやすいため、導光部材151の伸び量が大きくなり、力T1が大きくなると、板バネ17が変形する。この板バネ17の変形により、窓部材16による押圧力が緩和される。
【0101】
このようにして、導光部材151の伸び量が大きくなった場合等に導光部材151に加わる応力を抑制し、導光部材151内を導光される光50の状態変化を抑え、発光装置1による照射光の配光状態の変化が抑制されるようになっている。
【0102】
なお、窓部材16が光出射端面151oの移動を抑えながら、導光部材151に加わる応力を抑制できるように、導光部材151に加わる応力の許容量等に応じて板バネ17のばね定数を予め決定すると好適である。
【0103】
<発光装置1の効果>
以上説明したように、本実施形態では、LED111(光源)とLED111からの光が入射する導光部材151の光入射端面151iとの間で光を通過させるスペーサ12(光通過部材)と、スペーサ12と光入射端面151iとの間で光を透過させるガラス板13(光透過部材)とを有する規定部40を設けている。LED111と光入射端面151iはスペーサ12及びガラス板13を介して離隔している。これにより、導光部材への光入射効率の低下を抑制しつつ、光源と導光部材との接触を防止することができる。
【0104】
ガラス板13が光入射端面151iのLED111側への移動を抑制するため、熱膨張等で導光部材151が伸長する場合にも、LED111のオーバーコート層111cと光入射端面151iとの接触を防止できる。これにより、発光装置1が照射する光の色味等の特性が該接触に伴って変化することを防止でき、また該接触によるLED111の故障を防止できる。
【0105】
さらに、オーバーコート層111cと光入射端面151iとの接触防止のために両者の距離を大きくしなくてもよいため、LED111が発する光の光入射端面151iへの入射効率の低下も抑制できる。
【0106】
また本実施形態では、光反射性粒子を含有する白樹脂20(樹脂層)を載置面112上でLED111の外周に沿って設けている。載置面112に対する白樹脂20の高さは、載置面112に対するLED111のオーバーコート層111cの高さより高く、載置面112に対するスペーサ12の高さ以下である。
【0107】
この構成により、LED111からLED111の側面方向に伝搬する光は、白樹脂20によりLED111の中心に向けて反射される。これにより、LED111の側面方向に伝搬する光を光入射端面151iに導いて導光部材151に入射させることができ、光の入射効率の低下を抑制することができる。
【0108】
また本実施形態では、保持孔144(保持部)は導光部材151の光入射端面151i側の端部を保持する。これにより、導光部材151における光入射端面151i側の細い部分の位置変動を抑制し、発光装置1による照射光の特性を安定化させることができる。
【0109】
また本実施形態では、窓部材16(押圧部材)は導光部材151における光出射端面151oを押圧する。これにより光出射端面151oの移動による照射光の特性変化を抑制することができる。
【0110】
また本実施形態では、板バネ17(弾性部材)は、窓部材16による導光部材151への押圧力を緩和させる。これにより、導光部材151の伸び量が大きくなった場合等に導光部材151に加わる応力を抑え、導光部材151内を導光される光50の状態変化を抑制でき、発光装置1による照射光の配光状態等の特性変化を抑制することができる。
【0111】
なお、光出射端面151oと窓部材16が接触しないように配置することで、導光部材151における光出射端面151o側の端部が光出射端面151oに交差する方向に伸縮する余地を設けてもよい。つまり、導光部材151は、光出射端面151o側の端部が光出射端面151oに交差する方向に伸縮可能であってもよい。このような構成でも、導光部材151の伸び量が大きくなった場合等に導光部材151に加わる応力を抑え、導光部材151内を導光される光50の状態変化を抑制でき、発光装置1による照射光の配光状態の変化を抑制することができる。
【0112】
また本実施形態では、導光部材151は、光入射端面151iに近づくにつれて細くなるテーパ形状を有する。
【0113】
また導光部材151は、光入射端面151iに沿った配列平面内に、導光部材151a(第1導光部材)と、導光部材151b(第2導光部材)とを含み、導光部材151aの中心軸151acは、導光部材151bの中心軸151bcに対して傾きを有する。
【0114】
また、導光部材151aの中心軸151acと、導光部材151bの中心軸151bcとの軸間距離は、入射側よりも出射側の方が大きい。
【0115】
これらの構成により、発光装置1による照射光を所望の状態に発散させることができる。
【0116】
発光装置1は、複数のLED111の発光を個別に制御して、発光装置1による光照射位置、光照射方向又は光照射範囲等を自在に変更できる。
【0117】
<変形例>
次に、変形例に係る発光装置1aについて説明する。なお、上述した実施形態で説明したものと同じ構成部には、同じ部品番号を付し、重複する説明を適宜省略する。
【0118】
上述した実施形態では、導光部材151における光入射端面151i側の端部を保持する保持部の一例としての保持孔144をホルダ部材14が備える構成を例示したが、これに限定されるものではない。例えば、ホルダ部材14とは別部材に設けた保持部により、導光部材151における光入射端面151i側の端部を保持することもできる。
【0119】
図11は、このような変形例に係る発光装置1aの構成の一例を説明する分解斜視図である。
図11に示すように、発光装置1aは、LED実装基板11aと、スペーサ12aと、ガラス板13と、保持部材30と、導光部材アレイ15aとを有する。
【0120】
ここで、発光装置1aでは、導光部材アレイ15aが備える導光部材151aの個数、配置及び形状は、発光装置1における導光部材151と異なっているが、光を導光する機能は導光部材151と同様である。またLED111aの個数及び配置はLED111とは異なっているが、光を発する機能はLED111と同様である。さらにスペーサ貫通孔121aの個数及び配置はスペーサ貫通孔121とは異なっているが、距離を規定する機能はスペーサ貫通孔121と同様である。従って、ここではこれらの重複する説明を省略する。
【0121】
保持部材30は、9個の導光部材151aのそれぞれに1対1で対応して設けられた9個の保持孔31を有する。保持孔31は、導光部材151aにおける光入射端面151ai側の端部を保持する保持部の一例である。このように、ホルダ部材14とは別部材に設けた保持孔31により、導光部材151aにおける光入射端面151ai側の端部を保持し、保持孔144と同様の作用効果を得ることができる。
【0122】
以上説明したように、変形例に係る発光装置1aにおいても上述した実施形態と同様に、導光部材への光入射効率の低下を抑制しつつ、光源と導光部材との接触を防止することができる。LED111aと導光部材151aとの間の距離変動によるLED111aの発光面と導光部材151aの光入射端面151aiの接触を防止でき、発光装置1aが照射する光の色味変化等の特性変化やLED111aの故障等を抑制することができる。
【0123】
以上、好ましい実施形態等について詳説したが、上述した実施形態等に制限されることはなく、特許請求の範囲に記載された範囲を逸脱することなく、上述した実施形態等に種々の変形及び置換を加えることができる。
【0124】
例えば、上述した実施形態では、発光装置が出射光の広がり角度等の導光特性が等しい導光部材を含む導光部材アレイを有する構成を例示したが、これに限定されるものではない。出射光の広がり角度が相対的に狭い挟角の導光部材を含む挟角導光部材アレイと、出射光の広がり角度が相対的に広い広角の導光部材を含む広角導光部材アレイとを用いて発光装置を構成してもよい。
【0125】
また、出射光の広がり角度が3通り以上の導光部材アレイを用いて発光装置を構成してもよい。出射光の広がり角度以外の導光特性が異なる複数種類の導光部材アレイを用いて発光装置を構成してもよい。
【符号の説明】
【0126】
1 発光装置
10 開口部
11 LED実装基板
111 LED(光源の一例)
111b 蛍光体層(発光面の一例)
112 載置面
113 コネクタ
114 位置決め貫通孔
12 スペーサ(光通過部材の一例)
121 スペーサ貫通孔
122 位置決め貫通孔
13 ガラス板(光透過部材の一例)
14 ホルダ部材
141 嵌合貫通孔
142 前面部
143 底面部
144 保持孔(保持部の一例)
145 位置決め凸部
15 導光部材アレイ
151 導光部材
151i 光入射端面
151o 光出射端面
151a 導光部材(第1導光部材の一例)
151ac 中心軸
151b 導光部材(第2導光部材の一例)
151bc 中心軸
16 窓部材(押圧部材の一例)
161 凸部
17 板バネ(弾性部材の一例)
18、19 固定ネジ
2 駆動回路
20 白樹脂(樹脂層の一例)
21、21'伝搬光
30 保持部材
31 保持孔
40 規定部
di、do 軸間距離
θ 傾き角度
h1、h1' 載置面112に対する白樹脂20の高さ
h2 載置面112に対するオーバーコート層111cの高さ
h3 載置面112に対するスペーサ12の高さ
L 長さ
ΔL 伸び量
T1 力
T2 押圧力