(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022094601
(43)【公開日】2022-06-27
(54)【発明の名称】注出用スパウトおよび包装容器
(51)【国際特許分類】
B65D 25/42 20060101AFI20220620BHJP
B65D 47/06 20060101ALN20220620BHJP
B65D 47/24 20060101ALN20220620BHJP
【FI】
B65D25/42 B
B65D47/06
B65D47/24 120
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020207576
(22)【出願日】2020-12-15
(71)【出願人】
【識別番号】000224101
【氏名又は名称】藤森工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【弁理士】
【氏名又は名称】大浪 一徳
(74)【代理人】
【識別番号】100155066
【弁理士】
【氏名又は名称】貞廣 知行
(72)【発明者】
【氏名】市丸 直弘
【テーマコード(参考)】
3E062
3E084
【Fターム(参考)】
3E062AB01
3E062BA20
3E062BB02
3E062BB09
3E062BB10
3E062KA02
3E062KB03
3E062KB15
3E062KB17
3E084AB01
3E084BA02
3E084GA08
3E084GB30
3E084JA20
3E084KA20
3E084LA30
3E084LB02
(57)【要約】
【課題】受け側容器との接続の際に液の漏出を抑えることができる注出用スパウトおよび包装容器を提供する。
【解決手段】注出用スパウト10は、流体が流れる注出流路16が形成され、先端14bが開口された筒状の注出体20と、注出体20内に軸線方向に変位可能に挿入され、注出流路16を開閉する弁体30と、を備える。弁体30の先端部24の少なくとも一部は、注出流路16を閉止する閉止位置P1において注出体20の先端14bから突出する。弁体30は、注出体20の先端14bからの突出寸法が増減するように前記軸線方向に変位させることによって、閉止位置P1と、注出流路16を開放する開放位置とを切り替えできる。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体が流れる注出流路が形成され、先端が開口された筒状の注出体と、
前記注出体内に軸線方向に変位可能に挿入され、前記注出流路を開閉する弁体と、
を備え、
前記弁体の先端部の少なくとも一部は、前記注出流路を閉止する閉止位置において前記注出体の先端から突出し、
前記弁体は、前記注出体の前記先端からの突出寸法が増減するように前記軸線方向に変位させることによって、前記閉止位置と、前記注出流路を開放する開放位置とを切り替えできる、注出用スパウト。
【請求項2】
前記弁体は、前記注出体の前記先端からの突出寸法が小さくなるときに前記閉止位置から前記開放位置に移行し、かつ、前記注出体の前記先端からの突出寸法が大きくなるときに前記前記開放位置から閉止位置に移行する、請求項1記載の注出用スパウト。
【請求項3】
前記弁体は、係止凸部を備え、
前記注出体に、前記係止凸部が係止して前記弁体の変位を規制する段部が形成されている、請求項1または2に記載の注出用スパウト。
【請求項4】
請求項1~3のうちいずれか1項に記載の注出用スパウトと、前記注出用スパウトが取り付けられる容器本体と、を備える包装容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、注出用スパウトおよび包装容器に関する。
【背景技術】
【0002】
可動部材の軸線方向の変位によって注出口が開閉される注出用スパウトが提案されている(例えば、特許文献1を参照)。注出用スパウトは、受け側の容器に接続し、可動部材の変位により注出口を開放する。これにより、液を受け側の容器に供給する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記注出用スパウトは、受け側容器と接続する際に液の漏出を抑えることが求められている。
【0005】
本発明の一態様は、受け側容器との接続の際に液の漏出を抑えることができる注出用スパウトおよび包装容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、流体が流れる注出流路が形成され、先端が開口された筒状の注出体と、前記注出体内に軸線方向に変位可能に挿入され、前記注出流路を開閉する弁体と、を備え、前記弁体の先端部の少なくとも一部は、前記注出流路を閉止する閉止位置において前記注出体の先端から突出し、前記弁体は、前記注出体の前記先端からの突出寸法が増減するように前記軸線方向に変位させることによって、前記閉止位置と、前記注出流路を開放する開放位置とを切り替えできる、注出用スパウトを提供する。
【0007】
前記弁体は、前記注出体の前記先端からの突出寸法が小さくなるときに前記閉止位置から前記開放位置に移行し、かつ、前記注出体の前記先端からの突出寸法が大きくなるときに前記前記開放位置から閉止位置に移行することが好ましい。
【0008】
前記弁体は、前記弁体は、係止凸部を備え、前記注出体に、前記係止凸部が係止して前記弁体の変位を規制する段部が形成されていることが好ましい。
【0009】
本発明のさらに他の態様は、前記注出用スパウトと、前記注出用スパウトが取り付けられる容器本体と、を備える包装容器を提供する。
【発明の効果】
【0010】
本発明の一態様は、受け側容器との接続の際に液の漏出を抑えることができる注出用スパウトおよび包装容器を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】実施形態の注出用スパウトの分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態につき、図面を参照して説明する。
【0013】
[注出用スパウト]
図1は、実施形態の注出用スパウト10の分解斜視図である。
図2は、注出体20の断面図である。
図3は、弁体30の正面図である。
図4および
図5は、注出用スパウト10の断面図である。以下の説明においては、
図4に即して上下の位置関係を仮に定める。すなわち、
図4において上に向かう方向を上方という。
図4において下に向かう方向を下方という。ここで定めた位置関係は、注出用スパウト10の使用時の姿勢を限定しない。
【0014】
図1に示すように、注出用スパウト10は、注出体20と、弁体30とを備える。
図2における注出体20の上端は基端であり、
図2における注出体20の下端は先端である。
図3における弁体30の上端は基端であり、
図3における弁体30の下端は先端である。
【0015】
(注出体)
注出体20は、取付部11と、連結筒部12と、フランジ部13と、注出筒部14と、を備える。注出体20は、全体として筒状に形成されている。C1は、注出体20の中心軸である。中心軸C1は、取付部11、連結筒部12および注出筒部14の中心軸である。中心軸C1に沿う方向は、注出体20の軸線方向である。注出体20において「平面視」は、中心軸C1と平行な方向から見ることをいう。
【0016】
取付部11は、いわゆる舟形状とされている。取付部11の中央部には、中心軸C1に沿う流通孔11aが形成されている。流通孔11aは平面視において円形状とされている。流通孔11aの内周面の上部には、下方に向かって外径が小さくなるテーパ状の傾斜部11bが形成されている。傾斜部11bは、取付部11の上面に達している。
図2に示すように、取付部11は、内容液(流体)を収容する容器本体35に取り付けられる。
【0017】
連結筒部12は、取付部11の下面の中央部から下方に延出している。連結筒部12は、筒状とされている。連結筒部12の内部空間は、流通孔12aである。流通孔12aは平面視において円形状とされている。
フランジ部13は、連結筒部12の下端部の外周面から外方に突出する。フランジ部13は、中心軸C1に垂直な板状とされている。
【0018】
注出筒部14は、フランジ部13の下面から下方に延出している。注出筒部14は、円筒状とされている。注出筒部14の内部空間は、流通孔14aである。流通孔14aは平面視において円形状とされている。流通孔14aは、注出筒部14の先端14bにおいて開口している。この開口を先端開口14cという。先端開口14cは、内容液が流出する流出口となる。
【0019】
流通孔14aの内径は、連結筒部12の下端における内径より大きい。そのため、注出筒部14の上端には、流通孔14aと流通孔12aとの内径差によって段部15が形成されている。
【0020】
取付部11、連結筒部12および注出筒部14の内部空間である流通孔11a,12a,14aは、内容液(流体)が流れる注出流路16である。
【0021】
(弁体)
図4に示すように、弁体30は、注出体20の注出流路16に挿入される。弁体30は、注出体20の軸線方向(中心軸C1に沿う方向)に変位可能である。
【0022】
図3に示すように、弁体30は、閉止部21と、基部22と、延出部23と、先端部24と、一対の係止腕部(係止凸部)25とを備える。C2は、弁体30の中心軸である。中心軸C2は、閉止部21、基部22、延出部23、および先端部24の中心軸である。中心軸C2は中心軸C1(
図4参照)に一致する。
閉止部21は、円板状(または円柱状)に形成されている。閉止部21の外径は、流通孔11aの内径より大きい。閉止部21は、流通孔11aの上端開口を閉止することができる(
図4参照)。
【0023】
閉止部21の外周面の下部には、下方に向かって外径が小さくなるテーパ状の傾斜部21aが形成されている。傾斜部21aは、流通孔11aの傾斜部11bに液密に当接可能である(
図4参照)。中心軸C2に対する傾斜部21aの傾斜角度は、中心軸C1に対する傾斜部11bの傾斜角度と等しい。傾斜部21aは、傾斜部11bに面的に当接することが好ましい(
図4参照)。
【0024】
図1および
図3に示すように、基部22は、基柱26と、中間板27とを備える。
基柱26は、閉止部21の下面から下方に突出している。基柱26は、例えば、中心軸C2と直交する断面が十字状となる柱状とされている。中間板27は、基柱26の先端(下端)に設けられている。中間板27は、中心軸C2に垂直な円板状とされている。
【0025】
延出部23は、中間板27の下面の中央部から下方に延出している。延出部23の、中心軸C2と直交する断面は、例えば円形状、矩形状、十字形状などであってよい。
【0026】
先端部24は、有蓋円筒状に形成されている。先端部24は、天板部28と、筒状部29と、複数の突起31とを備える。
天板部28は、中心軸C2に垂直な円板状に形成されている。
筒状部29は、天板部28の周縁から垂下する円筒状とされている。筒状部29の外径は、延出部23の外形寸法(例えば、外径)より大きい。筒状部29の外径は、注出筒部14の内径より小さい。
【0027】
図3に示すように、突起31は、筒状部29の先端29aに形成されている。突起31は、先端29aの端面から下方に突出している。複数の突起31は、筒状部29の周方向(中心軸C2の軸周り方向)に位置を違えて設けられている。
【0028】
図1および
図3に示すように、係止腕部25は、延出部23の外周面から斜め上方に直線的に延出している。係止腕部25は、延出部23の外周面から拡径方向に上昇するように傾斜して延出している。係止腕部25の、長さ方向に直交する断面の形状は、矩形状、円形状などであってよい。係止腕部25は、弾性的に曲げ変形できる。
【0029】
一対の係止腕部25は、中心軸C1に対して回転対称となる位置(中心軸C1の軸周り方向に約180°ずれた位置)に形成されている。2つの係止腕部25の傾斜角度は、互いに同じである。2つの係止腕部25の長さは、互いに同じである。2つの係止腕部25の先端25aの高さ位置は、互いに同じである。
【0030】
図5に示すように、2つの係止腕部25の先端25aの、中心軸C2からの距離は、段部15に係止可能となるよう定められている。本実施形態では、中心軸C2を中心として2つの係止腕部25の先端25aを通る円の最大径に比べて、段部15の内径は小さい。そのため、先端25aは段部15に係止可能となる。先端25aが段部15に係止可能であると、弁体30の上方変位(基端側への変位)が規制される。そのため、注出体20からの弁体30の脱落を抑制できる。
係止腕部25は、弾性的に曲げ変形できるため、弁体30を注出流路16に基端側から挿入する際には、係止腕部25を内方に曲げ変形させることができる。
【0031】
図4に示すように、弁体30は、「閉止位置P1」をとることができる。閉止位置P1では、閉止部21の傾斜部21aは、流通孔11aの傾斜部11bに当接する。そのため、流通孔11a(注出流路16)は、閉止部21によって閉止される。
閉止位置P1では、弁体30の下端を含む部分は、注出筒部14の先端14bから下方に突出している。詳しくは、先端部24の下部は、注出筒部14の先端14bから下方に突出している。
【0032】
図5に示すように、弁体30は、「開放位置P2」をとることもできる。開放位置P2にある弁体30は、閉止位置P1にある弁体30に比べて高い位置にある。開放位置P2では、閉止部21は流通孔11aの傾斜部11bから離れている。そのため、流通孔11a(注出流路16)は開放される。したがって、容器本体35内の内容液は、注出流路16を通して先端開口14cから注出用スパウト10の外に流出することができる。
【0033】
弁体30は、注出体20の軸線方向(上下方向)に変位することで、閉止位置P1と開放位置P2とを切り替え可能である。
【0034】
[包装容器]
図4および
図5に示すように、注出用スパウト10と、容器本体35とは、「包装容器34」を構成する。
【0035】
[注出用スパウトの使用方法]
次に、注出用スパウト10の使用方法について、
図4および
図5を参照して説明する。
図4に示すように、使用開始時には、弁体30は、容器本体35内の内容液に下方に押されることにより、閉止位置P1にある。注出体20の注出流路16は、弁体30によって閉止されている。
【0036】
注出用スパウト10は、下部(例えば、注出筒部14、および弁体30の下部)を受け側容器(図示略)に挿入することなどによって、受け側容器(図示略)に接続することができる。注出用スパウト10を、接続のために受け側容器(図示略)に近づけ、挿入する際には、弁体30は閉止位置P1を保つ。そのため、注出用スパウト10を受け側容器(図示略)に接続する際に、内容液の漏出は起こりにくい。
【0037】
図5に示すように、弁体30の先端部24を当接対象物(例えば、受け側容器内の当接部位。図示略)に当接させ、その状態で注出用スパウト10をさらに下降させる。これにより、注出体20は下降する。一方、当接対象物によって先端部24に加えられる軸線方向の力によって、弁体30は、その高さ位置を維持する。そのため、弁体30は、注出体20に対して軸線方向に相対的に変位し、注出筒部14の先端14bからの突出寸法が小さくなる。弁体30は、閉止位置P1から開放位置P2に移行する。
【0038】
開放位置P2では、閉止部21は取付部11から離れ、流通孔11a(注出流路16)は開放される。したがって、容器本体35内の内容液は、注出流路16を通して注出筒部14の先端開口14cから流出する。内容液は、受け側容器(図示略)内に流入する。
【0039】
図4に示すように、注出用スパウト10を上昇させると、注出体20は上昇する。一方、弁体30は、その高さ位置を維持する。そのため、弁体30は閉止位置P1に戻り、注出流路16は閉止される。
【0040】
注出用スパウト10を受け側容器(図示略)から引き抜くことによって、注出用スパウト10と受け側容器(図示略)との接続を解除することができる。弁体30は閉止位置P1にあるため、注出用スパウト10を受け側容器(図示略)に対して接続解除する際に、内容液の漏出は起こりにくい。
【0041】
[実施形態の注出用スパウトが奏する効果]
注出用スパウト10では、弁体30は、注出筒部14の先端14bからの突出寸法が増減するように変位させることによって、閉止位置P1と開放位置P2とを切り替えできる。そのため、先端部24に加える軸線方向の力を調整することによって、注出流路16を開閉できる(
図4および
図5参照)。弁体30は、受け側容器(図示略)への挿入前、および引き抜き後には開放位置P2とならない。よって、注出用スパウト10では、受け側容器(図示略)に接続する際、および、接続を解除する際に、内容液の漏出は起こりにくい。
【0042】
注出用スパウト10は、弁体30と注出体20とを相対的に昇降させるだけで閉止位置P1と開放位置P2とを切り替えできる。これらの操作において、操作者は注出用スパウト10に捻りを加える必要がない。よって、注出用スパウト10の接続および接続解除の操作は容易である。
【0043】
弁体30は、先端14bからの突出寸法が小さくなるときに閉止位置P1から開放位置P2に移行する。そのため、注出用スパウト10は、受け側容器(図示略)に接続する際に、受け側容器に接近する方向の動作を利用して容易に注出流路16を開放し、内容液を受け側容器(図示略)に供給できる。
弁体30は、先端14bからの突出寸法が大きくなるときに開放位置P2から閉止位置P1に移行する。そのため、注出用スパウト10は、受け側容器(図示略)との接続を解除する際に、受け側容器から離れる方向の動作を利用して容易に注出流路16を閉止することができる。
【0044】
本発明は上述の実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。例えば、閉止位置P1においては、先端部24は、一部のみが注出筒部14の先端14bから突出していてもよいし、全体が先端14bから突出していてもよい。すなわち、閉止位置P1においては、先端部24の少なくとも一部が先端14bから突出していればよい。
【0045】
上述の実施形態では、弁体30は、2つの係止腕部25を備えるが、係止腕部の数は1でもよいし、複数(2以上の任意の数)でもよい。
【0046】
本発明の注出用スパウトは、容器の内容物の詰替えや補充に好適に適用できる。特に、詰替えや補充時の液漏れが問題となる内容物を用いる場合、例えば、印刷用インク、トイレタリー用品、調味料、医薬品、燃料などを対象とする場合に好適である。
【符号の説明】
【0047】
10…注出用スパウト、14b…先端、15…段部、16…注出流路、20…注出体、24…先端部、25…係止腕部(係止凸部)、30…弁体、34…包装容器、35…容器本体、P1…閉止位置、P2…開放位置。