(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022094761
(43)【公開日】2022-06-27
(54)【発明の名称】粘着テ-プ
(51)【国際特許分類】
C09J 7/38 20180101AFI20220620BHJP
C09J 201/00 20060101ALI20220620BHJP
C09J 11/08 20060101ALI20220620BHJP
C09J 183/04 20060101ALI20220620BHJP
C09J 7/22 20180101ALI20220620BHJP
【FI】
C09J7/38
C09J201/00
C09J11/08
C09J183/04
C09J7/22
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020207838
(22)【出願日】2020-12-15
(71)【出願人】
【識別番号】000002886
【氏名又は名称】DIC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100177426
【弁理士】
【氏名又は名称】粟野 晴夫
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 大亮
(72)【発明者】
【氏名】末次 輝太
【テーマコード(参考)】
4J004
4J040
【Fターム(参考)】
4J004AA10
4J004AA14
4J004AB01
4J004AC03
4J004CA03
4J004CC02
4J004CD08
4J004DB02
4J004EA05
4J004FA05
4J004FA07
4J040DF021
4J040DF022
4J040DF031
4J040DF032
4J040DF051
4J040DF082
4J040DM001
4J040EF282
4J040EK032
4J040JA09
4J040KA05
4J040KA16
4J040KA23
4J040KA26
4J040KA37
4J040LA03
4J040NA19
(57)【要約】
【課題】本発明は、優れた耐衝撃性及び良好な切断加工性を両立した粘着テ-プを提供することを目的とする。
【解決手段】本発明は、粘着層を備えた粘着テ-プであって、
前記粘着層が、数平均1次粒子径3~45μmのシリコーン複合フィラーと、数平均1次粒子径5~45μmのマイクロバルーンと、粘着剤樹脂とを含有し、
前記粘着剤樹脂100質量部に対して、前記シリコーン複合フィラーの含有量が10~50質量部であり、前記マイクロバルーンの含有量が1~25質量部であることを特徴とする、粘着テ-プである。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
粘着層を備えた粘着テ-プであって、
前記粘着層が、数平均1次粒子径3~45μmのシリコーン複合フィラーと、数平均1次粒子径5~50μmのマイクロバルーンと、粘着剤樹脂とを含有し、
前記粘着剤樹脂100質量部に対して、前記シリコーン複合フィラーの含有量が10~50質量部であり、前記マイクロバルーンの含有量が1~25質量部であることを特徴とする、粘着テ-プ。
【請求項2】
粘着層を備えた粘着テープであって、
前記粘着層が、平均粒径10~40μmのシリコーン複合フィラーと、平均粒径10~50μmのマイクロバルーンと、粘着剤樹脂とを含有する粘着層用組成物から形成され、
前記粘着剤樹脂100質量部に対して、前記シリコーン複合フィラーの含有量が10~50質量部であり、前記マイクロバルーンの含有量が1~25質量部であることを特徴とする、粘着テープ。
【請求項3】
前記粘着層の全体積に対する前記マイクロバルーンの体積割合は、5~30体積%占める、請求項1又は2に記載の粘着テ-プ。
【請求項4】
前記マイクロバルーンは第1樹脂を含有する表層を有する中空体粒子であり、前記表層の表面に無機材料が添着されている、請求項1~3のいずれか1項に記載の粘着テ-プ。
【請求項5】
前記粘着層の平均厚さを1としたときに、前記粘着層の厚さに対する前記シリコーン複合フィラーの数平均1次粒子径の比が、0.1~0.7の範囲内である、請求項1~4のいずれか1項に記載の粘着テ-プ。
【請求項6】
前記粘着層の平均厚さを1としたときに、前記粘着層の厚さに対する前記マイクロバルーンの数平均1次粒子径の比が、0.1~0.5の範囲内である、請求項1~5のいずれか1項に記載の粘着テ-プ。
【請求項7】
前記粘着層用組成物は、アクリル変性シリコーンを更に含有し、
前記アクリル変性シリコーンの含有量は、前記粘着剤樹脂100質量部に対して0.1~30質量部である、請求項2~6のいずれか1項に記載の粘着テ-プ。
【請求項8】
基材をさらに備え、前記基材の片面又は両面に前記粘着層が設けられている、請求項1~7のいずれか1項に記載の粘着テ-プ。
【請求項9】
前記基材の破断伸度は、400~1500%である、請求項8に記載の粘着テ-プ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粘着テ-プに関する。
【背景技術】
【0002】
粘着テ-プは、優れた作業性及び瞬時に接着する特性を有するため、利便性が高く、接合手段として、情報機器及びIT・家電製品などを含む電子機器、自動車等の各産業分野で、部品固定用途や、部品の仮固定用途、製品情報を表示するラベル用途等に広範に使用されている。中でも端末機器等の電子機器の構成部材の接合手段に使用される粘着テ-プには、接着強度だけでなく、剥がれ又はズレ等を生じさせない保持力が要求されると同時に、当該構成部材の交換又は端末機器のリサイクルによる解体時における被着体の損壊がない剥離又は除去作業の容易性も求められる。
【0003】
接着強度及び剥離又は除去作業の容易性を備えた粘着テ-プに関する技術として、例えば特許文献1が挙げられる。当該特許文献1の技術は、せん断粘着力、破断強度、破断時伸び及び除去作業の中断後の引張りについて検討されており、当該特許文献1の粘着シ-トは、所定のせん断接着力と所定の破断強度及び破断時伸びとを有するため、被着体に良好に接着し、かつ損傷することなく除去できる旨が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1では、粘弾性体の耐久性を示す保持力については検討されていないため、電子機器の使用期間中に粘着テ-プの剥がれ又はズレ等が生じるおそれがある。また、電子機器、特に持ち運び用途の端末機器は、持ち運び又は使用時に誤って落下させてしまう可能性が高いため、落下衝撃により端末機器が解体しないよう固定用の粘着テ-プには耐衝撃性の向上が求められている。
そのため、要求される耐衝撃性を確保するためには粘着層を極度に柔軟化(弾性率を低下)させることが必要となる。しかしながら、粘着層が柔軟化すると、打ち抜き又はスリット加工において切断加工性が悪くなるという新たな問題が生じる。
【0006】
そこで、本発明は、上記の課題に鑑みてなされた発明であり、優れた耐衝撃性及び良好な切断加工性を両立した粘着テ-プを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、上記問題点に鑑み、鋭意研究し、実験を重ねた結果、所定のシリコーン複合フィラーと、所定のマイクロバルーンと、粘着剤樹脂とを特定の比率で混合した粘着剤樹脂層を備えた粘着テ-プを用いることにより、上記の課題を解決しうることを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は以下のとおりである。
【0008】
〔1〕本実施形態は、粘着層を備えた粘着テ-プであって、前記粘着層が、数平均1次粒子径3~45μmのシリコーン複合フィラーと、数平均1次粒子径5~50μmのマイクロバルーンと、粘着剤樹脂とを含み、
前記粘着剤樹脂100質量部に対して、前記シリコーン複合フィラーの含有量が10~50質量部であり、前記マイクロバルーンの含有量が1~25質量部であることを特徴とする、粘着テ-プである。
〔2〕本実施形態は、粘着層を備えた粘着テ-プであって、前記粘着層が、平均粒径10~40μmのシリコーン複合フィラーと、平均粒径10~50μmのマイクロバルーンと、粘着剤樹脂とを含有する粘着層用組成物から形成され、
前記粘着剤樹脂100質量部に対して、前記シリコーン複合フィラーの含有量が10~50質量部であり、前記マイクロバルーンの含有量が1~25質量部であることを特徴とする、粘着テ-プである。
〔3〕本実施形態において、前記粘着層の全体積に対する前記マイクロバルーンの体積割合は、5~30体積%占めることが好ましい。
〔4〕本実施形態において、前記マイクロバルーンは、第1樹脂を含有する表層を有する中空体粒子であり、前記表層の表面に無機材料が添着されている、請求項1又は2に記載の粘着テ-プ。
〔5〕本実施形態において、前記粘着層の平均厚さを1としたときに、前記粘着層の厚さに対する前記シリコーン複合フィラーの数平均1次粒子径の比が、0.1~0.7の範囲内であることが好ましい。
〔6〕本実施形態において、前記粘着層の平均厚さを1としたときに、前記粘着層の厚さに対する前記マイクロバルーンの数平均1次粒子径の比が、0.1~0.5の範囲内であることが好ましい。
〔7〕本実施形態において、前記粘着層はアクリル変性シリコーンを更に含有し、前記アクリル変性シリコーンの含有量は前記粘着剤樹脂100質量部に対して0.1~30質量部であることが好ましい。
〔9〕本実施形態において、基材をさらに備え、前記基材の片面又は両面に前記粘着層が設けられていることが好ましい。
〔10〕本開示において、前記基材の破断伸度は、400~1500%であることが好ましい。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、優れた耐衝撃性及び良好な切断加工性を両立した粘着テ-プを提供する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施例において耐衝撃性の評価方法に使用する試験片10の概略平面図である。
【
図2】実施例において耐衝撃性の評価方法を説明する概略説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態(以下、「本実施形態」と言う。)について詳細に説明するが、本発明は以下の記載に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
【0012】
(粘着テ-プ)
本実施形態の粘着テ-プは粘着層を備え、そして当該粘着層は、数平均1次粒子径3~45μmのシリコーン複合フィラーと、数平均1次粒子径5~50μmのマイクロバルーンと、粘着剤樹脂とを有する。換言すると、前記粘着層は、平均粒径10~40μmのシリコーン複合フィラーと、平均粒径10~50μmのマイクロバルーンと、粘着剤樹脂とを含有する粘着層用組成物から形成される。また、前記粘着層中の前記シリコーン複合フィラーの含有量が、前記粘着剤樹脂100質量部に対して、10~50質量部である。さらに、前記粘着層中の前記マイクロバルーンの含有量が、前記粘着剤樹脂100質量部に対して、1~25質量部である。
本実施形態の粘着テ-プは、所定の数平均1次粒子径のシリコーン複合フィラー及びマイクロバルーンが粘着剤樹脂を含むマトリックス中に分散された粘着層を備えるため、優れた耐衝撃性と、良好な切断加工性とを確保できる。また、本実施形態の粘着テ-プは、粘着剤樹脂と、所定の平均粒径を有するシリコーン複合フィラー及びマイクロバルーンとを有する粘着層用組成物から形成された粘着層を有するため、粘着剤樹脂を含むマトリックス中にシリコーン複合フィラー及びマイクロバルーンが分散しやすくなる。
本明細書における「平均粒径」と「数平均1次粒子径」とは、両者の測定方法が異なるため、本明細書では両者を区別している。本明細書における「平均粒径」は、粒子単体(例えば、シリコーン複合フィラー又はマイクロバルーンのいずれか)をレーザー回折散乱法により測定した体積平均粒子径をいう。一方、本明細書における「数平均1次粒子径」は、シリコーン複合フィラー及びマイクロバルーンが混合した系において、電子顕微鏡画像から算出した1次粒子径の数平均をいう。本発明におけるシリコーン複合フィラー又はマイクロバルーンの「平均粒径」及び「数平均1次粒子径」の測定方法の詳細は後述する。
なお、同一の粒子に対して異なる“粒子の大きさ”を規定した理由は、2種以上の粒子を含む混合系において、現状の分析機器などを用いても各粒子の大きさを特定し難い場合があるため、粘着層の形成前の原料である各粒子の大きさを示す「平均粒径」と、形成された粘着層中の各粒子の大きさを示す「数平均1次粒子径」とを併記している。
【0013】
本実施形態の粘着テ-プは粘着層を有していればよく、必要により基材層をさらに設けてもよい。すなわち、本実施形態の粘着テ-プは、基材層と、当該基材層の一方の面又は両面に粘着層を有することが好ましい。以下、粘着テ-プの構成要素である粘着層と、任意要素である基材層とを説明する。
【0014】
[粘着層]
本実施形態において、粘着テ-プは、粘着力を発揮するための粘着層を有する。前記粘着層は、数平均1次粒子径3~45μmのシリコーン複合フィラーと、数平均1次粒子径5~50μmのマイクロバルーンと、粘着剤樹脂とを含有する。換言すると、粘着層は、平均粒径10~40μmのシリコーン複合フィラーと、平均粒径10~50μmのマイクロバルーンと、粘着剤樹脂と、を含有する粘着層用組成物から形成される。そして、本実施形態の粘着層において、前記粘着剤樹脂100質量部に対し、前記シリコーン複合フィラーを10~50質量部含有し、かつ前記マイクロバルーンを1~25質量部含有する。
【0015】
また、本実施形態において、粘着層又は粘着層用組成物は、シリコーン複合フィラー、マイクロバルーン及び粘着剤樹脂の必須成分以外にも、必要に応じて更に、アクリル変性シリコーン、粘着層任意成分、溶媒(例えば、公知の有機溶剤)又はその他粘着剤樹脂を含有してもよい。
さらに、本実施形態における粘着層の外表面の摩擦力は、0.1~5.0Nであることが好ましく、0.12~4.8Nであることがより好ましく、0.3~4.0Nであることがさらに好ましく、0.5~3.0Nであることが特に好ましい。
本実施形態の粘着テープにおいて、粘着層の外表面の摩擦力が上記範囲であると、粘着テ-プの伸長方向が被着体の貼付面に対して比較的大きい角度、例えば垂直方向である場合であっても、また、速い速度で伸長させた場合であっても、より簡易に且つより速やかに粘着テ-プを剥がすことができる。
本実施形態において、粘着層の外表面の摩擦力が上記範囲を達成する具体的な手段としては、粘着層が、数平均1次粒子径3~45μmのシリコーン複合フィラーと、数平均1次粒子径5~50μmのマイクロバルーンと、粘着剤樹脂と、アクリル変性シリコーンとを含有する形態が挙げられる。したがって、本実施形態の粘着層を形成する粘着層用組成物は、シリコーン複合フィラーと、マイクロバルーンと、粘着剤樹脂と、アクリル変性シリコーンとを含有し、前記シリコーン複合フィラーは平均粒径10~40μmの粒子を使用し、前記マイクロバルーンは平均粒径10~50μmの粒子を使用することが好ましい。
【0016】
<シリコーン複合フィラー>
本実施形態の粘着層は、シリコーン複合フィラーを含有する。粘着層中におけるシリコーン複合フィラーは、3~45μmの数平均1次粒子径を有する。一方、粘着層用組成物を調製する際に使用する原料のシリコーン複合フィラーは、10~40μmの平均粒径を有する。
本実施形態におけるシリコーン複合フィラーは、シリコーンレジンによりゴム粒子の表面が被覆されていることが好ましい。
所定の数平均1次粒子径を有するシリコーン複合フィラーが粘着層に存在すると、キャビティ-又はせん断降伏がマトリックス中に分散している前記フィラー近傍に多数発生して衝撃時のエネルギーを吸収するため、耐衝撃性が向上すると考えられる。特に、コアとしてゴム粒子、シェルとしてシリコーンレジンを有するコア-シェル型のシリコーン複合フィラーを使用すると、表面のシリコーンレジン被覆の効果により、フィラー同士の凝集を抑制することができる。それにより、上記粘着層におけるシリコーン複合フィラーの分散性が向上するため、衝撃時にはシリコーン複合フィラーの表面と粘着層用組成物にはごく微小のキャビティ-が発生し、効率よく衝撃時のエネルギーを吸収するため、耐衝撃性がより向上すると考えられる。
しかし、要求される耐衝撃性を重視して、粘着層におけるフィラーの充填率を上げると、粘着剤樹脂の相対量が低下して接着性能が低下する。この耐衝撃性と接着性能とのトレ-ドオフの関係は、後述のマイクロバルーンの配合時にも同様の傾向が見られる。ところが、所定のシリコーン複合フィラーと後述するマイクロバルーンとが粘着層に共存すると、高い接着力を維持しつつ、かつ耐衝撃性が向上することが確認された。その理由は定かではないが、互いに異なる粒径と材料のフィラー及びマイクロバルーンが混在すると、フィラー同士あるいはバル-ン同士の凝集を抑制して粘着層の分散状態が良好になった結果と考えられる。また、粘着層用組成物とシリコーン複合フィラーとの間では、衝撃力でクレイズ発生する可能性よりも、シリコーン複合フィラーの界面との微小な剥がれによる気泡(キャビティ-)が無数に発生して衝撃のエネルギーを吸収していると推定している。
【0017】
また、粘着層が、シリコーン複合フィラーを含むことにより、粘着テ-プが伸長した際に当該フィラーが粘着層から露出し、粘着層と被着体との接着面積が小さくなるとともに、接着面に介在する前記フィラーによって摩擦抵抗が下がるので、接着力を効果的に低減させることができる。したがって、粘着テ-プの伸長方向が被着体の貼付面に対して比較的大きい角度、例えば垂直方向(「90°方向」と称することもある)である場合であっても、また、速い速度で伸長させた場合であっても、より簡易に且つより速やかに粘着テ-プを剥がす除去容易性にも優れる。
【0018】
なお、粘着層又は粘着層用組成物にシリコーン複合フィラー等を含有させると、当該フィラーの添加による接着性能の低減が生じる恐れがある。しかし、シリコーン複合フィラーは粘着層用組成物又は粘着層中での分散性が良好であるため、前記フィラーを添加することによる接着性能の低減が抑えられ、粘着テ-プによる接着力を確保することができる。分散性が良好になる理由は定かではないが、シリコーン複合フィラーは、表面のシリコーンレジンの効果により表面エネルギーが低く粒子間の密着が起こりにくくなり、二次粒子などの凝集が生じない、あるいは生じにくいと推定される。
【0019】
本実施形態におけるシリコーン複合フィラーとしては、表面の一部又は全部にシリコーンレジンを有する粒子であることが好ましい。当該シリコーン複合フィラーは、内部の材料をシリコーンレジン以外の化合物とすることができる(換言すれば、例えば、シリコーンレジン以外の粒子であって、その表面をシリコーンレジンが被覆したもの)。好ましくは、内部の材料がシリコーンゴムのようにゴム弾性を有するゴム粒子である。フィラーの内部の材料が弾性を有する弾性材料であると、より効果的に粘着層の接着性能を確保することができる。この理由は定かではないが、粘着層又は粘着層用組成物を形成する際に当該フィラーが溶剤などと共に混合されると、全体がシリコーンレジンであるフィラーである場合と比較して、シリコーン複合フィラーが、シリコーンレジン表面を透過した溶剤を吸油し、粘着剤樹脂に対して相溶性を発現する、あるいは凝集を抑制することができるためと推定される。そして、相溶性が向上することにより、粘着層の接着性能の低減がより抑制される。シリコーン複合フィラーは単独で用いてもよいし2種以上を混合して併用してもよい。
【0020】
本実施形態の好ましいシリコーン複合フィラーは、コアをゴム粒子とし、当該コアの一部又は全部被覆するシェルをシリコーンレジンとする複合粒子が好ましい。
上記ゴム粒子としては、アクリルゴム粒子、NBRゴム粒子又はシリコーンゴム粒子が挙げられ、シリコーンゴム粒子が好ましい。また、シリコーンゴム粒子としては、ジメチルポリシロキサン、オールガノポリシロキサン又はポリオールガノシルセスオキサンを架橋した構造が好ましく、炭素原子数1~20の1価の有機基から選択される基を有するオールガノポリシロキサン又はオールガノポリシルセスキオキサンから調製することが好ましい。当該1価の有機基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等のアルキル基;フェニル基、トリル基等のアリ-ル基;ビニル基、アリル基等のアルケニル基;β-フェニルエチル基、β-フェニルプロピル基等のアラルキル基;クロロメチル基、3,3,3-トリフルオロプロピル基等の1価ハロゲン化炭化水素基;エポキシ基、アミノ基、メルカプト基、アクリロキシ基、メタクリロキシ基;からなる群から選択される1種又は2種以上の基が挙げられる。
上記シリコーンレジンとしては、ポリオールガノシルセスキオキサン微粉末であるシリコーンレジンパウダ-、例えば、特公昭40-16917号公報、特開昭54-72300号公報、特開昭60-13813号公報、特開平3-244636号公報、特開平4-88023号公報に記載のシリコーンレジンなどが挙げられる。
【0021】
コアがシリコーンゴムであり、かつシェルがシリコーンレジンであるシリコーン複合フィラーとしては、具体的には、直鎖状のオールガノポリシロキサンを三次元架橋させてなるシリコーンゴム粒子(特開昭63-77942号公報、特開平3-93834号公報、特開平04-198324号公報参照)、または、シリコーンゴムを粉末化した粒子(米国特許第3843601号明細書、特開昭62-270660号公報、特開昭59-96,122号公報参照)などの表面を(R’SiO3/2)n(R’は置換又は非置換の一価炭化水素基を表す)で表される三次元網目状に架橋した構造を持つポリオールガノシルセスキオキサン硬化物であるシリコーンレジンで被覆した構造の粒子(特開平7-196815号公報参照)が挙げられる。また、シリコーン複合フィラー自体がシリコーンレジンで形成される粒子としては、ポリオールガノシルセスキオキサン微粉末を用いることができる。また、前記フィラーは、単独で使用しても、あるいは2種以上を混合して使用してもよい。
【0022】
上記シリコーン複合フィラーとしては、トレフィルE-500、トレフィルE-600、トレフィルE-601、トレフィルE-850等がそれぞれ上記の商品名で東レ・ダウコ-ニング・シリコーン(株)から、また、KMP-600、KMP-601、KMP-602、KMP-605、X-52-7030等が信越化学工業(株)から市販されているものが使用できる。また、これら2種以上の混合物を使用することもできる。
【0023】
本実施形態において、シリコーン複合フィラーの形状としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、規則的な形状であってもよく、不規則な形状であってもよい。前記フィラーの形状の具体例としては、多角形状、立方体状、楕円状、球状、棒状、針状、平板状、鱗片状などが挙げられるが、これらの中でも、前記フィラーの形状としては、楕円状、球状、多角形状が好ましく、より好ましくは球状である。フィラーの形状が、楕円状、球状、棒状、多角形状などの形状であると、粘着テ-プが伸長した際に、粘着層の被着体に対する滑りが良好となり、より簡易に且つより速やかに粘着テ-プを剥がすことができる。これらの形状のシリコーン複合フィラーは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0024】
本実施形態において、粘着層用組成物に使用するシリコーン複合フィラーの粒度分布(D90/D10)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、2.5~20が好ましく、耐衝撃性の点で、2.5~15がより好ましく、2.5~5が更に好ましい。粘着層用組成物に使用するシリコーン複合フィラーの粒度分布(D90/D10)が好ましい範囲内であると、より簡易に且つより速やかに粘着テ-プを剥がすことができ、粘着テ-プの基材の厚さが薄い場合であっても千切れにくく、かつ、耐衝撃性、せん断接着力、及び割裂接着力に優れる。一方、粘着層用組成物に使用するシリコーン複合フィラーの粒度分布(D90/D10)が、2.5未満であると、伸長剥離性を損なうことがあり、20を超えると、耐衝撃性、せん断接着力、割裂接着力等の接着性能を損なうことがある。
本実施形態における粘着層用組成物に使用するシリコーン複合フィラーの粒度分布(D90/D10)は、レーザー回折散乱法を用いた測定機(マイクロトラック)を使用することにより粒子の平均粒径を測定して、粒度分布に換算することで得られる。
【0025】
本実施形態において、粘着層中に存在するシリコーン複合フィラーの数平均1次粒子径は、3~45μmであり、好ましくは5~40μmであり、より好ましくは10~35μmであり、さらに好ましくは10~33μmであり、最も好ましくは10~32μmである。
一方、粘着層用組成物に使用するシリコーン複合フィラーの平均粒径は、5~50μmであり、好ましくは8~48μmであり、より好ましくは12~45μmであり、さらに好ましくは13~43μmであり、最も好ましくは14~40μmである。本実施形態の粘着テ-プに対して落下衝撃力が加わった際に、粘着層用組成物又は粘着剤樹脂とシリコーン複合フィラーとの界面に形成されるキャビティ-により、好適な耐落下衝撃性が得られやすくなる。また、粘着テ-プを引き伸ばして剥がす作業を伴う際には、より簡易に且つより速やかに粘着テ-プを剥がすことができる。例えば、粘着テ-プが基材層を有する場合、当該粘着テ-プの基材の厚さが薄い場合であってもより千切れにくく、かつ、耐衝撃性、せん断接着力、及び割裂接着力により優れた効果を奏する。
シリコーン複合フィラーの数平均1次粒子径が3μm未満であると、落下衝撃力が加わった際に粘着剤樹脂とシリコーン複合フィラーとの界面に形成されるキャビティ-が小さくなりすぎて、好適な耐落下衝撃性が発揮されにくくなる場合がある。一方、シリコーン複合フィラーの粒子の数平均1次粒子径が45μmを超えると、粗大粒子が存在し易くなるため粘着層の厚みよりも大きな粗大粒子が混在してしまう懸念があり、好適な粘着力を得にくくなる場合がある。また、耐落下衝撃性、耐衝撃性、せん断接着力、割裂接着力等の接着性能を損なうことがある。また、同様の理由から、シリコーン複合フィラーの平均粒径が10μm以上であると、形成した粘着層において好適な耐落下衝撃性が発揮されやすくなる場合がある。そして、シリコーン複合フィラーの平均粒径が40μm以下であると、好適な粘着力が発揮されやすくなる。
なお、本明細書において、「シリコーン複合フィラーの平均粒径」は、粘着層用組成物に添加する前のシリコーン複合フィラー単体の粒子の大きさをいい、レーザー回折散乱法を用いた測定機(マイクロトラック)により測定した体積平均粒径をいう。
シリコーン複合フィラーの平均粒径の測定は、後述の実施例の欄に記載の測定条件を使用している。
【0026】
本明細書において、「シリコーン複合フィラーの数平均1次平均粒子径」は、粘着層中に存在するシリコーン複合フィラーの粒子の大きさをいい、粘着層中に存在するシリコーン複合フィラーの数平均1次平均粒子径は、以下の方法を用いて測定する。まず、液体窒素下で冷却させた粘着テ-プをミクロト-ムにより無作為に3箇所切断し、3個の断片をサンプルとした。そして、それぞれのサンプルに対して走査型電子顕微鏡を用いて倍率400倍の写真を撮影した後、撮影された3枚の写真から、中空体の粒子をマイクロバルーンとし、中実体の粒子をシリコーン複合フィラーと選別した。その後、画像解析ソフトを用いて二値化処理(例えば大津の二値化処理)により算出した中空体及び中実体の断面積を円の面積とみなし、中空体及び中実体それぞれの円相当径を測定した。そして、3枚の写真内の中空体及び中実体の合計個数とそれぞれに対応する円相当径とを算出して、以下の式(A)からシリコーン複合フィラーの数平均1次平均粒子径を算出した。
【数1】
(上記数式(A)中、nは中実体であるシリコーン複合フィラーの合計数を表し、Σd
pは撮影した写真中の中実体の外径に囲まれた領域の面積から算出した円相当径の総和を表す。)また、数平均1次平均粒子径の測定には、日立卓上顕微鏡MiniscopeTM3030Plusを使用した。
【0027】
本実施形態において、シリコーン複合フィラーの数平均1次粒子径と、粘着層の平均厚さとの比は、特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができる。[シリコーン複合フィラーの数平均1次粒子径/粘着層の平均厚さ]で表される、粘着層の厚さに対するシリコーン複合フィラーの数平均1次粒子径との比が、5/100以上であることが好ましく、5/100~95/100であることがより好ましく、10/100~75/100が更に好ましく、20/100~60/100が特に好ましい。前記比率が5/100以上であると、本実施形態の粘着テ-プに対して落下衝撃力が加わった際に粘着層用組成物又は粘着剤樹脂とシリコーン複合フィラーとの界面にキャビティ-が形成されやすく、粗大粒子が存在し難くなるため、耐落下衝撃性が良好となる。また、粘着テ-プを引き伸ばして剥がす作業においては、より簡易に且つより速やかに粘着テ-プを剥がすことができる。したがって、例えば、粘着テ-プが基材層を有する場合、当該粘着テ-プの基材層の厚さが薄い場合であっても千切れにくい。また、比率が95/100以下であると、耐落下衝撃性、耐衝撃性、せん断接着力、割裂接着力等の接着性能もより優れる点で有利である。
【0028】
粘着層における、シリコーン複合フィラーの含有量は、粘着剤樹脂100質量部に対して、3~50質量部であるが、5~45質量部であることが好ましく、7.5~40質量部であることがより好ましい。粘着剤樹脂100質量部に対するシリコーン複合フィラーの含有量が10質量部以上であることにより、耐衝撃性及び切断加工性の両立、あるいは剥離容易性を確保することができる。また、粘着剤樹脂100質量部に対するシリコーン複合フィラーの含有量が50質量部以下であることにより、被着体への粘着層の残留、耐衝撃性の低下、また、せん断接着力又は割裂接着力の低下を防止することができる。粘着層におけるフィラーの含有量は、粘着層用組成物を調製する際に、適宜調製することができる。
【0029】
本実施形態において、粘着層全体の体積に対する、シリコーン複合フィラーの体積比は、5~50%であることが好ましく、10~50%がより好ましく、15~50%がさらに好ましく、20~50%が最も好ましい。フィラーの体積比が5%以上であることにより、より簡易に且つより速やかに粘着テ-プを剥がすことができる。また、シリコーン複合フィラーの体積比が50%以下であることにより、被着体への粘着層の残留、耐衝撃性の低下、また、せん断接着力又は割裂接着力の低下を防止することができる。
【0030】
なお、本明細書における粘着層に対するシリコーン複合フィラーの体積割合(体積%)は、下記式(1)~(3)より算出することができる。
粘着剤樹脂*1の質量A(g)/粘着剤樹脂*1の密度A(g/cm3)=粘着剤樹脂*1の体積A(cm3)・・・式(1)
シリコーン複合フィラーの質量B(g)/粒子の密度B(g/cm3)=シリコーン複合フィラーの体積B(cm3)・・・式(2)
シリコーン複合フィラーの体積B(cm3)/(粘着剤樹脂*1の体積A(cm3)+シリコーン複合フィラーの体積B(cm3))×100=シリコーン複合フィラーの体積割合(体積%)・・・式(3)
なお、上記式(1)及び(3)において、*1で表される粘着剤樹脂は、後述のその他の成分を含んでいてもよい。
密度は、JIS Z 8804に準拠して測定した値である。
【0031】
本実施形態におけるシリコーン複合フィラーは、市販品を購入してもあるいは公知の製造方法により調製してもよい。本実施形態におけるシリコーン複合フィラーの製造方法は特に制限されることはなく、公知の方法を採用することができる。例えば、特開平7-196815号に記載されている方法に従って作ることができる。即ち、平均粒径が2μm超40μm未満の球状のゴム粒子(例えば、球状シリコーンゴム微粒子)の水分散液に、アルカリ性物質又はアルカリ性水溶液と、オールガノトリアルコキシシランとを添加し、前記オールガノトリアルコキシシランを球状シリコーンゴム微粒子表面上で加水分解して重合させることによりシリコーン複合フィラー前駆体を調製した後、当該前駆体を乾燥させて目的物であるシリコーン複合フィラーを製造する。
【0032】
<マイクロバルーン>
本実施形態の粘着層は、マイクロバルーンを含有する。粘着層中におけるマイクロバルーンは、5~50μmの数平均1次粒子径を有する。一方、粘着層用組成物を調製する際に使用する原料のマイクロバルーンは、10~50μmの平均粒径を有する。
所定の数平均1次粒子径を有するマイクロバルーンが粘着層に存在すると、キャビティ-又はせん断降伏がマトリックス中に分散しているマイクロバルーン近傍に多数発生して衝撃時のエネルギーを吸収するため、耐衝撃性が向上すると考えられる。しかし、要求される耐衝撃性を重視して、粘着層におけるマイクロバルーンの充填率を上げると、弾性率が向上し、切断加工性は向上するものの、粘着剤樹脂の相対量が低下して接着性能が低下する。特にこの傾向は、粘着層と基材層とを備えた粘着テ-プを用いた場合、基材層に対する粘着層のアンカリング不良が発生するため顕著に表れる。しかし、上記のシリコーン複合フィラーとマイクロバルーンとを併用して粘着層に添加すると、高い接着力を維持しつつ、かつ耐衝撃性を確保できる。その理由は定かではないが、互いに異なる粒径及び材料のフィラーとマイクロバルーンとが混在すると、フィラー同士あるいはバル-ン同士の凝集が互いに抑制されて、粘着層の分散状態が良好になった結果と考えられる。
【0033】
本実施形態におけるマイクロバルーンは、中空体であり、かつ当該中空体単体の平均粒径(=外直径)が10~50μmである。また、当該マイクロバルーンは、必要により、ブタン、イソブタン等の揮発性炭化水素を含有してもよい。なお、ここでいう中空体(単体)の平均粒径(=外直径)が10~50μmとは、マイクロバルーンが膨張した後の平均粒径を表す。
本実施形態におけるマイクロバルーンを粘着層用組成物に添加する際、未膨張のマイクロバルーンを予め熱処理などにより膨張した膨張済のマイクロバルーンを用いることが好ましい。また、未膨張のマイクロバルーンを用いて粘着層の前駆体(粘着層用樹脂組成物の塗膜など)又は粘着層を形成する際に、マイクロバルーンを膨張させてもよい。当該未膨張のマイクロバルーンとしては、膨張していない熱可塑性樹脂製のマイクロバルーンなどを挙げることができる。
【0034】
一方、粘着層中に存在するマイクロバルーンの数平均1次粒子径も同様に、マイクロバルーンが膨張した後の外直径を表す。本実施形態において、粘着層に含まれるマイクロバルーンは、数平均1次粒子径が5~50μmの中空体であればよく、膨張済のマイクロバルーンであることが好ましい。
【0035】
本実施形態において、粘着層用組成物に添加するマイクロバルーンの膨張後の平均粒子は、10~50μmが好ましく、より好ましくは15~50μm、さらに好ましくは18~45μmである。マイクロバルーンの平均粒径が好ましい範囲内であると、より簡易に且つより速やかに粘着テ-プを剥がすことができ、粘着テ-プの基材の厚さが薄い場合であっても千切れにくく、かつ、耐衝撃性、せん断接着力、及び割裂接着力に優れる。一方、マイクロバルーンの平均粒径が10μm未満であると求める耐衝撃性が得られず、50μmを超えるとせん断接着力、割裂接着力等の接着性能を損なうことがある。
なお、本明細書において、「マイクロバルーンの平均粒径」は、粘着層用組成物に添加する前のマイクロバルーン単体の粒子の大きさをいい、レーザー回折散乱法を用いた測定機(マイクロトラック)により測定した体積平均粒径をいう。
マイクロバルーンの平均粒径の測定は、後述の実施例の欄に記載の測定条件を使用している。
【0036】
本明細書において、「マイクロバルーンの数平均1次平均粒子径」は、粘着層中に存在するマイクロバルーン単体の粒子の大きさをいい、粘着層中に存在するマイクロバルーンの数平均1次平均粒子径は、以下の方法を用いて測定する。まず、液体窒素下で冷却させた粘着テ-プをミクロト-ムにより無作為に3箇所切断し、3個の断片をサンプルとした。そして、それぞれのサンプルに対して走査型電子顕微鏡を用いて倍率400倍の写真を撮影した後、撮影された3枚の写真から、中空体の粒子をマイクロバルーンとし、中実体の粒子をシリコーン複合フィラーと選別した。その後、画像解析ソフトを用いて二値化処理(例えば大津の二値化処理)により算出した中空体及び中実体の断面積を円の面積とみなし、中空体及び中実体それぞれの円相当径を測定した。そして、3枚の写真内の中空体及び中実体の合計個数とそれぞれに対応する円相当径とを算出して、以下の式(B)から中空体であるマイクロバルーンの数平均1次平均粒子径を算出した。
【数2】
(上記数式(B)中、mは中空体であるマイクロバルーンの合計数を表し、ΣD
pは撮影した写真中の中空体の外径に囲まれた領域の面積から算出した円相当径の総和を表す。)また、マイクロバルーンの数平均1次平均粒子径の測定には、シリコーン複合フィラーと同様の日立卓上顕微鏡MiniscopeTM3030Plusを使用した。
【0037】
本実施形態において、マイクロバルーンの外形は特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、球状、楕円状、多角形状、立方体状、棒状、針状、平板状、鱗片状、又は不定形などが挙げられる。
【0038】
本実施形態におけるマイクロバルーンは、外殻である表層に密封された構造であり、有機材料(例えば、熱可塑性樹脂)を外殻に用いたマイクロバルーン又は無機材料(例えば、ホウケイ酸ガラス、シリカ、カーボン、セラミック等)を外殻に用いたマイクロバルーンのいずれも使用できるが、有機マイクロバルーンが好ましい。また、有機マイクロバルーンを使用する場合、特に熱の作用によってマイクロバルーンに作用を及ぼすことにより、外側の外殻が柔らかくなる。同時に、中空体内部に封入された液状の発泡剤ガス等がそれの気体の状態に変わる。この際、マイクロバルーンが不可逆的に拡大し、三次元的に膨張する。内圧と外圧が等しくなった時に膨張が終了する。外殻は維持されるため、独立気泡型の発泡体を得ることができる。
【0039】
本実施形態において、粘着層に含まれるマイクロバルーンは、膨張済のマイクロバルーンであることが好ましい。また、本実施形態において、粘着層を形成する粘着層用組成物においては、粘着層の形成に未膨張のマイクロバルーンを用いる。当該未膨張のマイクロバルーンは、膨張していない熱可塑性樹脂製のマイクロバルーンを挙げることができる。
本実施形態において、マイクロバルーンは、外殻である表層として第1樹脂を用いたものが好ましく用いられる。より詳細には、本実施形態における好適なマイクロバルーンは、第1樹脂を含む表層を有する中空体粒子であることが好ましい。
【0040】
上記第1樹脂は、熱可塑性樹脂が好ましい。また、第1樹脂としては、アクリルニトリル系樹脂であることが好ましく、具体的には、塩化ビニリデン/アクリロニトリル共重合体、メチルメタクリレ-ト/アクリロニトリル共重合体、メタクリロニトリル/アクリロニトリル共重合体等を挙げることができる。
上記マイクロバルーンの具体例としては、ディアリテ社(Dualite Corporation)製のディアリテ(Dualite)(登録商標)シリ-ズ、アクツォノベル社(Akzo Nobel)製のエクスパンセル(Expancel)シリ-ズ、松本油脂製薬社製のマツモトマイクロスフェア-(登録商標)シリ-ズ、中空ガラス粒子(シリカバル-ン、アルミナバル-ンなど)、中空セラミックス粒子などが挙げられる。
【0041】
本実施形態において、マイクロバルーンの表面の一部又は全部を無機材料(例えば、無機微粒子)により被覆することが好ましい。当該無機材料は、炭酸カルシウム、表面処理済の炭酸カルシウム、酸化チタン、酸化ケイ素、タルク、クレイ及びカーボンブラックからなる群から選択される少なくとも1種又は2種以上の無機粉末であることが好ましい。マイクロバルーンを無機材料により表面被覆すると、生産性、分散性、耐衝撃性の向上の観点で好ましい。また、当該無機材料を、必要により、チタネート系カップリング剤、アルミネート系カップリング剤を用いて表面処理してもよい。
本実施形態において用いられるマイクロバルーンは、第1樹脂を含む表層を有する中空体粒子であり、且つ前記表層の表面に無機材料が添着されていることが好ましい。また、本実施形態において、炭酸カルシウムがマイクロバルーン表面の一部又は全部に添着していることが好ましい。これにより、耐衝撃性の効果がより向上する。
【0042】
本実施形態において、マイクロバルーンの数平均1次粒子径と、粘着層の平均厚さとの比は、特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができる。[マイクロバルーンの数平均1次粒子径/粘着層の平均厚さ]で表される、粘着層の厚さに対するマイクロバルーンの数平均1次粒子径との比が、0.1~1.0の範囲であることが好ましく、0.2~0.9であることがより好ましく、0.2~0.8が更に好ましく、0.3~0.7が特に好ましい。前記比が0.1以上であると、好適な耐衝撃性が得られやすく、また、前記比が1.0以下であること、せん断接着力、割裂接着力等の接着性能もより優れる点で有利である。
【0043】
粘着層における、マイクロバルーンの含有量は、粘着剤樹脂100質量部に対して、1~25質量部であるが、2~25質量部であることが好ましく、3~23質量部であることがさらに好ましく、4~20質量部であることがよりいっそう好ましい。粘着剤樹脂100質量部に対するマイクロバルーンの含有量が1質量部以上であることにより、耐衝撃性及び切断加工性の両立、あるいは剥離容易性を確保することができる。また、粘着剤樹脂100質量部に対するマイクロバルーンの含有量が50質量部以下であることにより、被着体への粘着層の残留、耐衝撃性の低下、また、せん断接着力又は割裂接着力の低下を防止することができる。
粘着層におけるマイクロバルーンの含有量は、粘着層用組成物を調製する際に、適宜調製することができる。
【0044】
粘着層全体の体積に対する、マイクロバルーンの体積割合は、3~40体積%を占めることが好ましく、5~35体積%がより好ましく、8~30体積%がさらに好ましく、10~30体積%が最も好ましい。マイクロバルーンの体積割合が3体積%以上であることにより、より簡易に且つより速やかに粘着テ-プを剥がすことができる。また、マイクロバルーンの体積割合が40体積%以下であることにより、被着体への粘着層の残留、耐衝撃性の低下、また、せん断接着力又は割裂接着力の低下を防止することができる。
【0045】
なお、本明細書における粘着層に対するマイクロバルーンの体積割合は、下記式(4)~(6)より算出することができる。
粘着剤樹脂*1の質量A(g)/粘着剤樹脂*1の密度A(g/cm3)=粘着剤樹脂*1の体積A(cm3)・・・式(4)
マイクロバルーンの質量B(g)/マイクロバルーンの密度B(g/cm3)=マイクロバルーンの体積B(cm3)・・・式(5)
マイクロバルーンの体積B(cm3)/(粘着剤樹脂*1の体積A(cm3)+マイクロバルーンの体積B(cm3))×100=マイクロバルーンの体積割合(体積%)・・・式(6)
なお、上記式(4)及び(6)において、*1で表される粘着剤樹脂は、後述のその他の成分を含んでいてもよいことを表す。
上記密度は、JIS Z 8804に準拠して測定した値である。
【0046】
<アクリル変性シリコーン>
本実施形態において、粘着層はさらにアクリル変性シリコーンを含有してもよい。すなわち、前記粘着層は、数平均1次粒子径3~45μmのシリコーン複合フィラーと、数平均1次粒子径5~50μmのマイクロバルーンと、粘着剤樹脂と、アクリル変性シリコーンとを含有することが好ましい。一方、前記粘着層を形成する粘着層用組成物は、シリコーン複合フィラーと、マイクロバルーンと、粘着剤樹脂と、アクリル変性シリコーンとを含有し、前記シリコーン複合フィラーは平均粒径10~40μmの粒子を使用し、前記マイクロバルーンは平均粒径10~50μmの粒子を使用することが好ましい。粘着層又は粘着層用組成物が、アクリル変性シリコーンを含むことにより、粘着層の外表面の摩擦力を制御することができる。また、接着面に介在する当該アクリル変性シリコーンによって摩擦抵抗が下がるので、粘着テープを引き伸ばして剥がす際の接着力を効果的に低減させることができる。したがって、粘着テ-プの伸長方向が被着体の貼付面に対して比較的大きい角度、例えば垂直方向(「90°方向」と称することもある)である場合であっても、また、速い速度で伸長させた場合であっても、より簡易に且つより速やかに粘着テ-プを剥がすことができる。なお、粘着層用組成物にアクリル変性シリコーン等のフィラーを含有させると、当該フィラーの添加による接着性能の低減が生じる虞がある。しかし、当該アクリル変性シリコーンのアクリル変性部が粘着層用組成物又は粘着層中の粘着剤樹脂と親和性を有し、当該粒子が組成物又は粘着層中で粘着剤成分を取り込むことにより膨潤状態になるため、粘着層用組成物又は粘着層の弾性が維持されやすく、粘着テ-プの接着性能の低減が抑えることができる。
【0047】
また、本実施形態において、粘着層用組成物又は粘着層にアクリル変性シリコーンをさらに含有する場合、あるいは粘着層の外表面の摩擦力が0.1~5.0Nの範囲、好ましくは0.12~4.8Nの範囲である場合は、粘着テ-プは基材層を有することが好ましい。本実施形態の粘着テ-プの好ましい態様としては、基材層と、当該基材層の一方の面又は両面に粘着層を有し、前記粘着層は、数平均1次粒子径3~45μmのシリコーン複合フィラーと、数平均1次粒子径5~50μmのマイクロバルーンと、粘着剤樹脂と、アクリル変性シリコーンとを含有することが好ましい。本実施形態の粘着テ-プの好ましい別の態様としては、基材層と、当該基材層の一方の面又は両面に粘着層とを有し、前記粘着層は、平均粒径10~40μmのシリコーン複合フィラーと、平均粒径10~50μmのマイクロバルーンと、粘着剤樹脂と、アクリル変性シリコーンとを含有する粘着層用組成物から形成されることが好ましい。
粘着層及び当該粘着層に接する基材層を備える粘着テ-プにおいて、アクリル変性シリコーンのシリコーン部位が摺動性を与えるため、基材層への接着面に介在するアクリル変性シリコーンによって摩擦抵抗が下がるので、接着力を効果的に低減させることができる。したがって、粘着テ-プを伸長剥離する場合、より簡易に且つより速やかに粘着テ-プを剥がすことができる。
また、粘着層及び当該粘着層に接する基材層を備える粘着テ-プにおいて、マイクロバルーン及びシリコーン複合フィラーが粘着層に存在することにより、当該粘着層が弾性変形しやすくなるため、耐衝撃性が向上し、かつアクリル変性シリコーンのアクリル変性部が粘着剤樹脂と親和性を有することにより、粘着層の凝集力が向上し、保持力又は切断加工性が向上する。
本実施形態における粘着層中に存在するアクリル変性シリコーンは、共存する粘着剤樹脂に対して高い親和性を示すことにより、製品である粘着テープからアクリル変性シリコーンの有無及びその含有量を特定し難い場合がある。そのため、アクリル変性シリコーンの存在及びその含有量を特定する代替として、例えば、本実施形態における粘着層は、数平均1次粒子径3~45μmのシリコーン複合フィラーと、数平均1次粒子径5~50μmのマイクロバルーンと、粘着剤樹脂とを含有し、粘着層の外表面の摩擦力が0.1~0.5Nであることを規定してもよい。
本実施形態において、アクリル変性シリコーンが粘着層中に含有していると、当該粘着層の表面の摩擦力が低くなる傾向がある。また、粘着層の摩擦力が低いと、90°剥離の際に滑りやすく剥離が容易になるという効果を奏する。
本実施形態における粘着層の外表面の摩擦力は、0.1~5.0Nであることが好ましく、0.3~4.0Nであることがより好ましく、0.5~3.0Nであることがさらに好ましい。
本明細書における粘着層の動摩擦係数は、被着体(基材層以外)と接触する側の粘着層の表面の動摩擦係数をいい、粘着層の摩擦力は、後述する実施例の欄で説明する摩擦力の測定に記載した試験方法で測定している。
より詳細には、本明細書における粘着層の外表面の摩擦力は、綿帆布に対する23℃における摩擦力をいい、0.1~5.0Nであることが好ましく、0.3~4.0Nであることがより好ましく、0.5~3.0Nであることがさらに好ましい。
なお、本実施形態の粘着層の外表面とは、被着体との接着面をいい、換言すると、粘着層における対向する2つの表面の内、基材層側とは反対側の表面をいう。そして、本実施形態の粘着テープにおいて、少なくとも1以上の粘着層の外表面の摩擦力が0.1~5.0Nであればよい。
なお、本明細書における綿帆布は、綿製であり、9号綿帆布[(旧JIS L3102を準用)、原糸撚り(経糸10/2、緯糸10/3)、密度(経糸44~48本/inch、緯糸33~37本/inch)、重さ510g/m2)]を使用し、摩擦力の測定雰囲気は、温度23℃、湿度は50%RHである。
【0048】
本実施形態において、アクリル変性シリコーンとしては、下記一般式(I)で示されるポリオールガノシロキサンと、アクリル酸エステル単量体及び/又はメタクリル酸エステル単量体と、これと共重合可能な官能基含有単量体との、乳化グラフト重合体が挙げられる。
【化1】
(上記一般式(I)中、R
1及びR
2はそれぞれ独立して、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基又は炭素数6~20のアリ-ル基を示し、X
1、X
2、X
3、X
4、X
5、及びX
6はそれぞれ独立して、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基、炭素数6~20のアリ-ル基、炭素数1~20のアルコキシ基又はヒドロキシル基を示し、Y
1及びY
2はそれぞれ独立して、X
1又は-[O-Si(X
7)(X
8)]
c-X
9で示される基を示し、X
7、X
8、及びX
9はそれぞれ独立して、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基、炭素数6~20のアリ-ル基、炭素数1~20のアルコキシ基又はヒドロキシル基を示し、X
1、X
2、X
3、X
4、X
5、X
6、X
7、X
8、及びX
9並びにY
1及びY
2中の少なくとも2個の基はヒドロキシル基であり、a、b及びcはそれぞれ独立して、0≦a≦1,000の正数、100≦b≦10,000の正数、1≦c≦1,000を満たす正数である。)
【0049】
一般式(I)において、R1又はR2で表される炭素数1~20のアルキル基は、直鎖状であっても分岐鎖状であってもよく、また環状であってもよい。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基等が挙げられる。これらのアルキル基は、ハロゲン原子、アクリロキシ基、メタクリロキシ基、カルボキシ基、アルコキシ基、アルケニルオキシ基、アミノ基、アルキル,アルコキシもしくは(メタ)アクリロキシ置換アミノ基で置換されていてもよい。
【0050】
R1又はR2で表される炭素数6~20のアリ-ル基としては、フェニル基、トリル基、ナフチル基等が挙げられる。R1又はR2としては、好ましくはメチル基である。
一般式(I)において、X1~X9で表される炭素数1~20のアルキル基及び炭素数6~20のアリ-ル基としては、R1又はR2で例示したアルキル基及びアリ-ル基とそれぞれ同様の基が挙げられる。
【0051】
X1~X9で表される炭素数1~20のアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基、デシルオキシ基、テトラデシルオキシ基等が挙げられる。
【0052】
一般式(I)において、a、b及びcは0≦a≦1,000の正数、100≦b≦10,000の正数、1≦c≦1,000の正数であるが、aは好ましくは0~200の正数である。aが1,000より大きくなると得られる皮膜の強度が不十分となる。bは好ましくは1,000~5,000の正数である。bが100未満では皮膜の柔軟性が乏しいものとなり、10,000より大きいと粒子のような固形になりにくくなる。cは好ましくは1~200の正数である。
また、一般式(I)で示されるポリオールガノシロキサンは、架橋性の面から1分子中に少なくとも2個、好ましくは2~4個のヒドロキシル基を有し、そのヒドロキシル基は分子鎖両末端に有するものが好ましい。
上記アクリル変性シリコーンに用いられるアクリル酸エステル単量体又はメタクリル酸エステル単量体としては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n-ブチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸シクロヘキシル等が挙げられる。
【0053】
アクリル酸エステル単量体及び/又はメタクリル酸エステル単量体と共重合可能な官能基含有単量体としては、カルボキシル基、アミド基、ヒドロキシル基、ビニル基、アリル基等を含む不飽和結合を有する単量体等が挙げられる。
【0054】
本実施形態におけるアクリル変性シリコーンは、上記一般式(I)で示されるポリオールガノシロキサン100質量部に対して、アクリル酸エステル単量体及び/又はメタクリル酸エステル単量体が10~100質量部、これと共重合可能な官能基含有単量体が0.01~20質量部を混合し、乳化グラフト重合して得られるものが好ましい。乳化グラフト重合における条件は、特に限定されず、重合時に用いる開始剤としては、通常アクリル系ポリマ-に用いる公知のラジカル開始剤を使用できる。また、乳化剤も公知のアニオン系界面活性剤やノニオン系界面活性剤を使用できる。
【0055】
本実施形態における粘着層用組成物に使用可能なアクリル変性シリコーンは、ポリオールガノシロキサンの一部が(メタ)アクリル系単量体によって変性されている高分子を含有する形態であればよく、例えば、固形状、粉体状、粒子状又は溶液状のいずれであっても特に制限されることはない。そして、本実施形態における粘着層用組成物に使用可能なアクリル変性シリコーンの形状は、特に制限されることはなく、目的に応じて適宜選択することができ、規則的な形状であってもよく、不規則な形状であってもよい。アクリル変性シリコーンが粒状の場合の具体例としては、多角形状、立方体状、楕円状、球状、針状、平板状、鱗片状などが挙げられるが、これらの中でも、粒子の形状としては、楕円状、球状、多角形状が好ましく、より好ましくは球状である。粒子形状が、楕円状、球状、多角形状などの形状であると、粘着テ-プが伸長した際に、粘着層の被着体に対する滑りが良好となり、より簡易に且つより速やかに粘着テ-プを剥がすことができる。これらの形状の粒子は、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。また、アクリル変性シリコーンとして粒状のものを使用する場合、アクリル変性シリコーンの平均粒径は、好ましくは10~400μmであり、好ましくは15~400μmである。
本実施形態のアクリル変性シリコーンとして粒状のものを使用する場合は、下記に挙げる方法で造粒し粉体化される。即ち、スプレ-ドライ乾燥、気流式乾燥等が挙げられるが、生産性を考えるとスプレ-ドライヤ-が好ましい。粉体化は熱間乾燥することが好ましく、80~150℃で処理することが好ましい。
本実施形態に使用可能なアクリル変性シリコーンとしては、例えば、シャリ-ヌ R-170、シャリ-ヌ R-170S、シャリ-ヌ R-770、シャリ-ヌ R-773、シャリ-ヌ R-200(以上、日信化学工業(株)製)などの市販品を使用することもできる。
【0056】
本実施形態において、粘着層用組成物における、アクリル変性シリコーンの含有量は、粘着剤樹脂100質量部に対して、0.1~10質量部であるが、0.3~8質量部であることが好ましく、0.5~5質量部であることがより好ましく、1.0~5質量部であることが更に好ましい。粘着剤樹脂100質量部に対する粒子の含有量が0.1質量部以上であることにより、より簡易に且つより速やかに粘着テ-プを剥がすことができる。また、粘着剤樹脂100質量部に対する粒子の含有量が10質量部以下であることにより、耐衝撃性が悪くなったり、また、せん断接着力や割裂接着力が弱くなったりすることを防止することができる。また、粘着層におけるアクリル変性シリコーンの含有量も上記と同様の範囲を適用できる。
粘着層におけるアクリル変性シリコーンの含有量は、粘着層用組成物を調製する際に、適宜調製することができる。また、本実施形態おいて、アクリル変性シリコーンは、ポリオールガノシロキサンのみから構成されるシリコーン粒子を実質的に含まないことが好ましい。
【0057】
<粘着剤樹脂>
本実施形態における粘着剤樹脂としては、特に制限はなく、公知の物の中から適宜選択することができ、例えば、アクリル系粘着剤樹脂、ゴム系粘着剤樹脂、その他の粘着剤樹脂(例えば、ウレタン系粘着剤樹脂、シリコーン系粘着剤樹脂、又は混合粘着剤等)などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、優れた耐衝撃性などの粘着テ-プとしての物性と加工性を両立する観点から、粘着剤樹脂としては、アクリル系粘着剤樹脂を含むことが好ましい。
本実施形態において、粘着層の総量(100質量%)に対して、粘着剤樹脂が30~90質量%含有することが好ましく、35~80質量%含有することがより好ましく、40~70質量%含有することがさらに好ましい。粘着層に粘着剤樹脂が上記範囲占めていると、接着力を維持しつつ、かつ剥離又は除去容易性がより発揮される。
【0058】
<<アクリル系粘着剤樹脂>>
上記アクリル系粘着剤樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アクリル重合体が挙げられ、必要に応じて粘着付与樹脂(a1)、架橋剤等の添加剤又は粘着層任意成分を粘着層又は粘着層用組成物に添加してもよい。
【0059】
アクリル重合体は、例えば、(メタ)アクリレ-ト単量体を重合させることによって製造することができる。
上記(メタ)アクリレ-ト単量体としては、例えば、炭素原子数1~12のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレ-トなどを使用することができる。
炭素原子数1~12のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレ-トの具体例としては、メチル(メタ)アクリレ-ト、エチル(メタ)アクリレ-ト、n-ブチル(メタ)アクリレ-ト、イソブチル(メタ)アクリレ-ト、t-ブチル(メタ)アクリレ-ト、n-ヘキシル(メタ)アクリレ-ト、n-オクチル(メタ)アクリレ-ト、イソオクチル(メタ)アクリレ-ト、イソノニル(メタ)アクリレ-ト、シクロヘキシル(メタ)アクリレ-ト、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレ-トなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0060】
炭素原子数1~12のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレ-トとしては、炭素原子数4~12のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレ-トを使用することが好ましく、炭素原子数4~8のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレ-トを使用することがより好ましく、n-ブチルアクリレ-トを使用することが、被着体に対する優れた密着性を確保する上で特に好ましい。
【0061】
炭素原子数1~12のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレ-トは、アクリル重合体の製造に使用する単量体の全量に対して、80~98.5質量%の範囲で使用することが好ましく、90~98.5質量%の範囲で使用することがより好ましい。
【0062】
アクリル重合体の製造に使用可能な単量体としては、上述のものの他に、必要に応じて高極性ビニル単量体を使用することができる。
高極性ビニル単量体としては、例えば、水酸基を有する(メタ)アクリル単量体、カルボキシル基を有する(メタ)アクリル単量体、アミド基を有する(メタ)アクリル単量体等の(メタ)アクリル単量体、酢酸ビニル、エチレンオキサイド変性琥珀酸アクリレ-ト、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルフォン酸等のスルホン酸基含有単量体などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0063】
水酸基を有するビニル単量体の具体例としては、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレ-ト、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレ-ト、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレ-ト、6-ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレ-ト等の(メタ)アクリル単量体などが挙げられる。
【0064】
水酸基を有するビニル単量体は、粘着剤樹脂としてイソシアネート系架橋剤を含有するものを使用する場合に使用することが好ましい。具体的には、水酸基を有するビニル単量体としては、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレ-ト、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレ-ト、6-ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレ-トを使用することが好ましい。
【0065】
水酸基を有するビニル単量体は、アクリル重合体の製造に使用する単量体の全量に対して、0.01~1.0質量%の範囲で使用することが好ましく、0.03~0.3質量%の範囲で使用することがより好ましい。
【0066】
カルボキシル基を有するビニル単量体の具体例としては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコーン酸、マレイン酸、(メタ)アクリル酸2量体、クロトン酸、エチレンオキサイド変性琥珀酸アクリレ-ト等の(メタ)アクリル単量体などが挙げられる。これらの中でも、アクリル酸が好ましい。
【0067】
アミド基を有するビニルの具体例としては、N-ビニルピロリドン、N-ビニルカプロラクタム、アクリロイルモルホリン、アクリルアミド、N,N-ジメチルアクリルアミド等の(メタ)アクリル単量体などが挙げられる。
【0068】
高極性ビニル単量体は記アクリル重合体の製造に使用する単量体の全量に対して、1.5質量%~20質量%の範囲で使用することが好ましく、1.5質量%~10質量%の範囲で使用することがより好ましく、2質量%~8質量%の範囲で使用することが、凝集力、保持力、接着性の点でバランスのとれた粘着層を形成できるため更に好ましい。
【0069】
アクリル重合体の製造方法としては特に制限はなく、公知の方法の中から、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、単量体を、溶液重合法、塊状重合法、懸濁重合法、乳化重合法等の重合方法で重合させる方法などが挙げられる。これらの中でも、アクリル重合体は、溶液重合法、塊状重合法で製造することが好ましい。
【0070】
アクリル重合体の重合の際には、必要に応じて、過酸化ベンゾイルや過酸化ラウロイル等の過酸化物系熱重合開始剤、アゾビスイソブチルニトリル等のアゾの熱重合開始剤、アセトフェノン系光重合開始剤、ベンゾインエーテル系光重合開始剤、ベンジルケタ-ル系光重合開始剤、アシルフォスフィンオキシド系光重合開始剤、ベンゾイン系光重合開始剤、ベンゾフェノン系光重合開始剤などを使用することができる。
本実施形態において、アクリル重合体は、単独重合体であっても、あるいは多元共重合体(2元~7元共重合体)であってもよく、さらには、これらの混合物であってもよい。
【0071】
前記方法で得られたアクリル重合体の重量平均分子量は、ゲルパーミエ-ションクロマトグラフ(GPC)を用い、標準ポリスチレン換算で測定された重量平均分子量が、30万~300万であるものを使用することが好ましく、50万~250万であるものを使用することがより好ましい。
【0072】
ここで、GPC法によるアクリル重合体の重量平均分子量の測定は、GPC装置(HLC-8329GPC、東ソ-株式会社製)を用いて測定される、標準ポリスチレン換算値であり、測定条件は以下のとおりである。
[測定条件]
・ サンプル濃度:0.5質量%(テトラヒドロフラン(THF)溶液)
・ サンプル注入量:100μL
・ 溶離液:THF
・ 流速:1.0mL/分
・ 測定温度:40℃
・ 本カラム:TSKgel GMHHR-H(20)2本
・ ガ-ドカラム:TSKgel HXL-H
・ 検出器:示差屈折計
・ 標準ポリスチレン分子量:1万~2,000万(東ソ-株式会社製)
【0073】
本実施形態において、上記アクリル重合体としては、以下の一般式(II)で表されるトリブロック共重合体又は一般式(III)で表されるジブロック共重合体が好ましい。以下、本実施形態におけるアクリル重合体の好ましい態様について説明する。
【0074】
--トリブロック共重合体--
本実施形態の粘着テ-プの粘着層は、下記一般式(II):
【化2】
(上記一般式(II)中、A、B及びCはそれぞれ独立して、繰り返し単位を表し、A及びCはそれぞれ独立して、メタクリル酸アルキルエステル単量体単位を表し、Bはアクリル酸アルキルエステル単量体単位を表し、p、q及びrはそれぞれ独立して、各単量体単位の重合度を表し、AとCとは同一であっても或いは異なる化学構造を有するメタクリル酸アルキルエステル単量体単位であってもよい。上記一般式(II)中の、*は他の原子との結合を表す結合手である。)で表される繰り返し単位を有するトリブロック共重合体を含む。
【0075】
上記一般式(II)中、A及びCは、Bとは異なる繰り返し単位を表し、メタクリル酸アルキルエステル単量体単位を表す。また、A及びCはそれぞれ独立しており、互いに同一のメタクリル酸アルキルエステル単量体単位であっても、或いは異なる化学構造を有するメタクリル酸アルキルエステル単量体単位でもよい。本明細書における「メタクリル酸アルキルエステル単量体単位」とは、メタクリル酸アルキルエステル単量体を(共)重合又はグラフト重合した場合の、メタクリル酸アルキルエステル単量体由来の構成単位、すなわちメタクリル酸エステル単量体由来の繰り返し単位をいう。本発明における、メタクリル酸アルキルエステル単量体単位は、以下の一般式(i):
【化3】
(上記一般式(i)中、R
iは、炭素原子数1~12のアルキル基を表し、当該アルキル基中の1又は2以上の水素原子は、置換基R
iiで置換されてもよく、当該置換基R
iiは、ハロゲン原子、アミノ基、又はシアノ基を表す。)で表されることが好ましい。
【0076】
上記一般式(i)中、Riは、再剥離性及び高荷重保持力の観点から、炭素原子数1~12のアルキル基がより好ましく、炭素原子数1~4のアルキル基がさらに好ましい。Riとしての、炭素原子数1~12のアルキル基は、直鎖状、分岐状、又は環状であってもよく、接着力の観点から、直鎖状又は分岐状が好ましく、直鎖状がより好ましい。該炭素原子数1~12のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、t-ブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基等の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基、並びに、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロノニル基、シクロデシル基、ジシクロペンタニル基等の環状のアルキル基が挙げられる。また、炭素原子数1~4のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、t-ブチル基等の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基、並びに、シクロブチル基等の環状のアルキル基が挙げられる。上記炭素原子数1~4のアルキル基としては、再剥離性及び高荷重保持力の観点から、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、t-ブチル基が好ましく、メチル基がより好ましい。
【0077】
上記一般式(i)中の好ましいRiは、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、t-ブチル基、又はシクロブチル基のいずれかのアルキル基であり、当該アルキル基中の1又は2以上の水素原子は、置換基R2(ハロゲン原子、アミノ基、シアノ基)で置換されてもよい。
【0078】
本実施形態において、例えば、メタクリル酸アルキルエステル単量体としては、特に限定されることはなく、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n-プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n-ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸sec-ブチル、メタクリル酸t-ブチル、メタクリル酸n-ペンチル、メタクリル酸イソペンチル、メタクリル酸n-ヘキシル、メタクリル酸2-エチルヘキシル、メタクリル酸ペンタデシル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸トリデシル、メタクリル酸2-ヘキシルデシル等が挙げられる。これらの中でも、高荷重保持力と解体性(剥離又は除去容易性)の観点から、メタクリル酸メチルが好ましい。
【0079】
上記一般式(II)中、Bは、A及びCとは異なる繰り返し単位を表し、アクリル酸アルキルエステル単量体単位を表す。本明細書における「アクリル酸アルキルエステル単量体単位」とは、アクリル酸アルキルエステル単量体を(共)重合又はグラフト重合した場合の、アクリル酸アルキルエステル単量体由来の構成単位、すなわちアクリル酸エステル単量体由来の繰り返し単位をいう。本発明における、アクリル酸アルキルエステル単量体単位は、以下の一般式(ii):
【化4】
(上記一般式(ii)中、R
iiiは、炭素原子数1~12のアルキル基を表し、当該アルキル基中の1又は2以上の水素原子は、置換基R
ivで置換されてもよく、当該置換基R
ivは、ハロゲン原子、アミノ基、又はシアノ基を表わす。)で表わされることが好ましい。
【0080】
上記一般式(ii)中、Riiiは、接着性の観点から、炭素原子数1~12のアルキル基がより好ましく、炭素原子数4~8のアルキル基がさらに好ましい。該アルキル基は、直鎖状、分岐状、又は環状であってもよく、接着性の観点から、直鎖状又は分岐状が好ましい。
【0081】
また、上記一般式(ii)中、炭素原子数1~12のアルキル基の例示は、上記一般式(i)中の、炭素原子数1~12のアルキル基の例示と同様である。
【0082】
上記一般式(ii)中の好ましいRiiiは、n-ブチル基、イソブチル基、t-ブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、又はシクロオクチル基のいずれかのアルキル基であり、当該アルキル基中の1又は2以上の水素原子は、置換基Riv(ハロゲン原子、アミノ基、シアノ基)で置換されてもよい。
【0083】
本実施形態において、アクリル酸アルキルエステル単量体としては、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n-プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n-ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸sec-ブチル、アクリル酸t-ブチル、アクリル酸アミル、アクリル酸イソアミル、アクリル酸n-ヘキシル、アクリル酸2-エチルヘキシル、アクリル酸ラウリル等が挙げられる。これらの中でも、接着力と再剥離性の両立の観点から、アクリル酸n-ブチル、アクリル酸2-エチルヘキシル、及び、これらの共重合体が好ましい。
【0084】
上記一般式(II)中、p、q及びrはそれぞれ独立して、各単量体単位の重合度を表す。p、q及びrのそれぞれの値は分子量等に関係する。p/(p+q+r)は、0.02~0.40であることが好ましく、0.05~0.37であることがより好ましい。q/(p+q+r)は、0.20~0.95であることが好ましく、0.25~0.90であることがより好ましい。r/(p+q+r)は、0.02~0.40であることが好ましく、0.05~0.37であることがより好ましい。
【0085】
本実施形態において、トリブロック共重合体は、以下の一般式(IV):
【化5】
(上記一般式(IV)中、R
i及びR
vはそれぞれ独立して、炭素原子数1~4のアルキル基を表し、当該アルキル基中の1又は2以上の水素原子は、置換基R
iiに置換されてもよく、当該置換基R
iiは、ハロゲン原子、アミノ基、又はシアノ基を表し、
R
iiiは、炭素原子数4~8のアルキル基を表し、当該アルキル基中の1又は2以上の水素原子は、置換基R
ivに置換されてもよく、当該置換基R
ivは、ハロゲン原子、アミノ基、又はシアノ基を表し、p、q及びrはそれぞれ独立して、各単量体単位の重合度を表す。)で表される繰り返し単位を有することが好ましい。
【0086】
上記一般式(IV)中、Riは、上記一般式(i)におけるRiと同様の態様を適用できる。上記一般式(IV)中、Riiiは、上記一般式(ii)におけるRiiiと同様の態様を適用できる。上記一般式(IV)中、Rvは、上記一般式(i)におけるRiと同様の態様を適用できる。また、上記一般式(IV)中、p、q及びrは、上記一般式(II)におけるp、q及びrと同様の態様を適用できる。さらに、上記一般式(IV)中、RiとRvとは同一であっても、或いは異なっていてもよい。
【0087】
本実施形態において、トリブロック共重合体が上記一般式(IV)で表わされる場合、Riは、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、t-ブチル基等の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基、並びに、シクロブチル基からなる群から選択されることが好ましく、Riiiは、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、t-ブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、又はウンデシル基からなる群から選択されることが好ましく、Rvは、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、t-ブチル基等の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基、並びに、シクロブチル基からなる群から選択されることが好ましく、p/(p+q+r)が、0.02~0.40であり、q/(p+q+r)が0.20~0.95であり、r/(p+q+r)が0.02~0.40であることが好ましい。
【0088】
本発明におけるトリブロック共重合体は、一般式(II)中のAとCとが同一であることが好ましい。具体的には、トリブロック共重合体が上記一般式(IV)で表わされる繰り返し単位を有する場合、RiとRiiiとが同一の基であり、p/(p+q+r)が、0.02~0.40であり、q/(p+q+r)が0.20~0.95であり、r/(p+q+r)が0.02~0.40であることが好ましい。
上記一般式(II)で表わされる繰り返し単位を有するトリブロック共重合体において、AとCとが同一である(A-B-A型トリブロック共重合体)場合、より高い弾性率を確保できるため、高荷重保持力、経時再剥離性、及び保存安定性に優れた接着力をより確保しやすくなる。
【0089】
本実施形態におけるトリブロック共重合体は、重量平均分子量Mwが5万~30万であることが好ましく、また、数平均分子量Mnが5万~30万であることが好ましい。より好ましくは、前記トリブロック共重合体は、重量平均分子量Mwが10万~25万であり、且つ数平均分子量Mnが10万~25万であり、さらに好ましくは、前記トリブロック共重合体は、重量平均分子量Mwが13万~23万であり、且つ数平均分子量Mnが13万~23万である。
トリブロック共重合体の重量平均分子量Mwが上記範囲であると接着性と再剥離性と高荷重保持力の観点から好ましく、トリブロック共重合体の数平均分子量Mnが上記範囲であると接着性と再剥離性と高荷重保持力の観点から好ましい。
ここで、GPC法によるトリブロック重合体の重量平均分子量Mw及び数平均分子量Mnの測定は、GPC装置(HLC-8329GPC、東ソ-株式会社製)を用いて測定される、標準ポリスチレン換算値であり、測定条件は以下のとおりである。
-測定条件-
・ サンプル濃度:0.5質量%(テトラヒドロフラン(THF)溶液)
・ サンプル注入量:100μL
・ 溶離液:THF
・ 流速:1.0mL/分
・ 測定温度:40℃
・ 本カラム:TSKgel GMHHR-H(20)2本
・ ガ-ドカラム:TSKgel HXL-H
・ 検出器:示差屈折計
・ 標準ポリスチレン分子量:1万~2,000万(東ソ-株式会社製)
【0090】
本実施形態のトリブロック共重合体及び/又は当該トリブロック共重合体の部分構造(例えば、ブロック)は、立体規則性(タクチシティ-)を有することが好ましい。具体的には、前記トリブロック共重合体及び/又は当該トリブロック共重合体の部分構造(例えば、ブロック)は、アイソタクチック、シンジオタクチック及びアタクチックのいずれの立体規則性を有してもよいし、これらのいずれかの立体規則性を有する複数のブロックを有していてもよい。
【0091】
前記トリブロック共重合体の好ましい形態としては、一般式(II)中の「-(A)p-」部のポリマ-ブロックのシンジオタクチシティ-が、65%以上のrr三連子の割合を示すことが好ましく、rr三連子の割合が75~95%であることがより好ましい。
前記トリブロック共重合体の好ましい形態としては、一般式(II)中の「-(C)r-」部のポリマ-ブロックのシンジオタクチシティ-が、65%以上のrr三連子の割合を示すことが好ましく、rr三連子の割合が75~95%であることがより好ましい。
前記トリブロック共重合体の好ましい形態としては、一般式(II)中の「-(B)q-」部のポリマ-ブロックは、アタクチックを示すことが好ましい。
【0092】
前記トリブロック共重合体が、rr三連子の割合が65%以上の「-(A)p-」部のポリマ-ブロックを有する場合、再剥離性及び高温下での保持力が良好であるという効果を奏する。
【0093】
一般的には、重合体のシンジオタクチシティ-は、3つの単量体単位で構成される連鎖(三連子)がrrである割合により表記される。本明細書では、重合体のNMR測定により算出している。具体的には、13C-NMRにおける三連子の配列を表すシグナルピ-クは、重合体の種類、測定溶媒、又は測定温度等の条件によって異なるため、それぞれの測定の条件に応じてシグナルを同定・定量する必要がある。なお、本明細書では、重水素化したクロロホルムに溶解させた試料を50℃で測定を行っている。
【0094】
前記トリブロック共重合体の好ましい形態としては、ポリメタクリル酸メチルブロック-ポリアクリル酸n-ブチルブロック-ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸エチルブロック-ポリアクリル酸n-ブチルブロック-ポリメタクリル酸エチル、ポリメタクリル酸プロピルブロック-ポリアクリル酸n-ブチルブロック-ポリメタクリル酸プロピル、ポリメタクリル酸メチルブロック-ポリアクリル酸t-ブチルブロック-ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸メチルブロック-ポリアクリル酸プロピルブロック-ポリメタクリル酸メチル等が挙げられる。
【0095】
前記トリブロック共重合体は、当該トリブロック共重合体の全体の分子量分布は、重量平均分子量/数平均分子量の比において、1.0~2.3の範囲であることが好ましく、1.00~1.50の範囲内であることがより好ましい。
【0096】
本実施形態において、一般式(II)中のAとCとが異なる繰り返し単位である場合、前記トリブロック共重合体の分子中に含まれる「-(A)p-」部のポリマ-ブロックの総重量(当該「-(A)p-」部のポリマ-ブロックの総重量をaと称する。)と、「-(B)q-」部のポリマ-ブロックの総重量(当該「-(B)q-」部のポリマ-ブロックの総重量をbと称する。)との割合は、粘着特性の観点から、a/bの質量比において、2/98~67/33の範囲内であるのが好ましく、5/95~60/40の範囲内であるのがより好ましい。
【0097】
本実施形態において、一般式(II)中のAとCとが異なる繰り返し単位である場合、前記トリブロック共重合体の分子中に含まれる「-(C)r-」部のポリマ-ブロックの総重量(当該「-(C)r-」部のポリマ-ブロックの総重量をcと称する。)と、「-(B)q-」部のポリマ-ブロックの総重量との割合は、粘着特性の観点から、c/bの質量比において、2/98~67/33の範囲内であるのが好ましく、5/95~60/40の範囲内であるのがより好ましい。
【0098】
本実施形態において、一般式(II)中のAとCとが同一の繰り返し単位である場合、前記トリブロック共重合体の分子中に含まれる「-(A)p-」部のポリマ-ブロック及び「-(C)r-」部のポリマ-ブロックの総重量(「-(A)p-」部のポリマ-ブロック及び「-(C)r-」部のポリマ-ブロックの総重量をdと称する。)と、「-(B)q-」部のポリマ-ブロックの総重量(bと称する)との割合は、粘着特性の観点から、d/bの質量比において、5/95~80/20の範囲内であるのが好ましく、10/90~75/25の範囲内であるのがより好ましい。
【0099】
前記トリブロック共重合体は、本発明の効果を損なわない限りにおいて、必要に応じて、分子側鎖中又は分子主鎖末端において、水酸基、カルボキシル基、酸無水物基、アミノ基、トリメトキシシリル基等の官能基等に変性されてもよい。
【0100】
前記トリブロック共重合体の製造方法は、特に限定されることはなく、従来公知の製造方法の中から適宜選択することができ、例えば、アニオンリビング重合法、カチオンリビング重合法によりブロック共重合体を逐次重合する方法等が挙げられる。また、前記トリブロック共重合体が立体規則性(例えば、シンジオタクチシティ-)を有する場合、有機金属錯体を用いた公知の方法を利用してもよい。
【0101】
前記トリブロック共重合体を製造する方法の一例としては、不活性の重合溶媒中において、重合開始剤を用いて、主成分であるメタクリル酸アルキルエステル単量体の重合と、主成分であるアクリル酸アルキルエステル単量体及び/又はメタクリル酸アルキルエステル単量体を主成分とするモノマ-の重合を、所望のブロック結合順序になるように順次行うことからなる手法によりトリブロック共重合体を製造することができる。
【0102】
本実施形態において、トリブロック共重合体の製造方法の一態様としては、アニオンリビング重合法により、第一に、重合溶媒中、重合開始剤を用いてメタクリル酸アルキルエステル単量体を重合し、リビング性の活性末端を有するポリメタクリル酸アルキルエステルブロック(一般式(II)中の「-(A)p-」部分に対応)を形成する。第二に、上記ポリメタクリル酸アルキルエステルのリビング性の活性末端からアクリル酸アルキルエステル単量体を重合し、リビング性の活性末端を有するメタクリル酸アルキルエステル-アクリル酸アルキルエステル二元ブロック共重合体(一般式(II)中の「-(A)p-(B)q-」部分に対応)を得る。第三に、リビング性の活性末端を有するメタクリル酸アルキルエステル-アクリル酸アルキルエステル二元ブロック共重合体の一部とカップリング剤とを反応させ、カップリングしたメタクリル酸アルキルエステル-アクリル酸アルキルエステル-メタクリル酸アルキルエステルトリブロック共重合体(一般式(II)の「-(A)p-(B)q-(C)r
-」部分に対応)を形成する。この際に、必要に応じて、アルコール等の重合停止剤と反応させることによって重合停止する。
【0103】
上記重合開始剤の例としては、有機リチウム化合物又は有機金属錯体等の有機金属化合物が挙げられる。
上記有機リチウム化合物としては、t-ブチルリチウム等のアルキルリチウム、アルキルリチウムを1,1-ジフェニルエチレン、ジフェニルメタン等と反応させて得られる化合物等が挙げられる。さらにこれら有機リチウム化合物と、例えば、リチウムクロライド等の無機塩、リチウム2-(2-メトキシエトキシ)エトキサイド等のアルコキサイドのリチウム塩、ジイソブチル(2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノキシ)アルミニウム等の有機アルミニウム化合物とを併用してもよい。
上記有機金属錯体としては、ペンタメチルシクロペンタジエニル基を配位子として有する希土類金属錯体、例えば、ビス(ペンタメチルシクロペンタジエニル)サマリウムメチルテトラヒドロフラナ-ト、ビス(ペンタメチルシクロペンタジエニル)イットリウムメチルテトラヒドロフラナ-ト等が挙げられる。さらにこれら有機金属錯体と、例えば、トリメチルアルミニウム等のアルキルアルミニウム類とを併用してもよい。
【0104】
上記重合溶媒としては、ベンゼン、トルエン、キシレン等の炭化水素溶媒;クロロホルム、塩化メチレン、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素系溶媒;テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル等のエーテル系溶媒等を使用することができる。
本実施形態の粘着層は、粘着剤樹脂全体に対して、50~100質量%が、前記トリブロック共重合体で占めることが好ましく、70~100質量%が、前記トリブロック共重合体で占めることがより好ましい。
粘着層に用いる粘着剤樹脂中の前記トリブロック共重合体の含有量が上記範囲であると、接着性と解体性と高荷重保持力を両立しやすい。
【0105】
--ジブロック共重合体--
本実施形態の粘着テ-プの粘着層は、下記一般式(III):
【化6】
(上記一般式(III)中、D及びEはそれぞれ独立して、繰り返し単位を表し、Dは、メタクリル酸アルキルエステル単量体単位を表し、Eはアクリル酸アルキルエステル単量体単位を表し、s及びtはそれぞれ独立して、各単量体単位の重合度を表す。上記一般式中(III)中、*は他の原子との結合を表す結合手である。)で表される繰り返し単位を有するジブロック共重合体を含んでもよい。
本実施形態の粘着テ-プの粘着層は、粘着剤樹脂全体に対して、0~40質量%が、上記ジブロック共重合体で占めることが好ましく、0~20質量%がより好ましい。
粘着層に用いる粘着剤樹脂中の上記ジブロック共重合体の含有量が上記範囲であると、接着性と解体性と高荷重保持力を両立しやすい。
【0106】
また、本実施形態において、粘着剤樹脂として、トリブロック共重合体とジブロック共重合体とを併用すると、高い弾性率と初期接着性を確保しやすくなるため、高荷重保持力、経時再剥離性、及び初期接着力をより確保しやすくなる。特に、粘着テ-プを引っ張った際において、粘着層中のフィラー、あるいはマイクロバルーンが表面に露出した状態を長期間維持できるため、当該フィラーの効果と相まって優れた相乗効果を発揮する。
【0107】
上記一般式(III)中のメタクリル酸アルキルエステル単量体単位及びアクリル酸アルキルエステル単量体単位は、上記一般式(II)中のメタクリル酸アルキルエステル単量体単位及びアクリル酸アルキルエステル単量体単位と同様の形態を適用できる。
前記ジブロック共重合体は、以下の一般式(V):
【化7】
(上記一般式(V)中、R
aは、炭素原子数1~12のアルキル基を表し、当該アルキル基中の1又は2以上の水素原子は、置換基R
cで置換されてもよく、当該置換基R
cは、ハロゲン原子、アミノ基、又はシアノ基を表し、R
bは、炭素原子数1~12のアルキル基を表し、当該アルキル基中の1又は2以上の水素原子は、置換基R
dで置換されてもよく、当該置換基R
dは、ハロゲン原子、アミノ基、又はシアノ基を表し、s及びtはそれぞれ独立して、各単量体単位の重合度を表わす。)で表される繰り返し単位を有することが好ましい。
【0108】
上記一般式(V)中、Raは、上記一般式(i)におけるRiと同様の態様を適用できる。上記一般式(V)中、Rbは、上記一般式(ii)におけるRiiiと同様の形態を適用できる。上記一般式(V)中の、s及びtは、上記一般式(II)におけるp及びqと同様の形態を適用できる。
【0109】
また、本実施形態において、前記ジブロック共重合体の重量平均分子量Mwが5万~30万であり、且つ数平均分子量Mnが5万~30万であることが好ましい。当該重量平均分子量の測定は、本発明におけるトリブロック共重合体の重量平均分子量の測定方法を援用できる。
【0110】
上記一般式(V)中、s及びtはそれぞれ独立して、各単量体単位の重合度を表わす。s及びtのそれぞれの値は分子量等に関係する。s/(s+t)は、0.01~0.99であることが好ましく、0.1~0.9であることがより好ましい。t/(s+t)は、0.01~0.99であることが好ましく、0.1~0.9であることがより好ましい。
【0111】
本実施形態において、ジブロック共重合体とトリブロック共重合体とを併用する場合、ジブロック共重合体の含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。本実施形態においては、トリブロック共重合体100質量部に対して、ジブロック共重合体を0~100質量部含有することが好ましく、1~50質量部含有することがより好ましく、10~50質量部含有することがさらに好ましい。粘着層における粘着剤樹脂の含有量の範囲が上記範囲であると、被着体との密着性を確保しやすくなる。
【0112】
--粘着付与樹脂(a1)--
本実施形態におけるアクリル系粘着剤樹脂は、被着体との密着性や面接着強度を向上させるため、粘着付与樹脂(a1)と併用して使用することが好ましい。
上記粘着付与樹脂(a1)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、30℃~180℃の軟化点を有する樹脂が好ましく、70℃~140℃の軟化点を有する樹脂のが、高い接着性能を備えた粘着層を形成するうえでより好ましい。なお、(メタ)アクリレ-ト系の粘着付与樹脂を使用する場合には、そのガラス転移温度が30℃~200℃のものが好ましく、50℃~160℃のものがより好ましい。
【0113】
本実施形態における粘着付与樹脂(a1)の具体例として、ロジン系粘着付与樹脂、重合ロジン系粘着付与樹脂、重合ロジンエステル系粘着付与樹脂、ロジンフェノ-ル系粘着付与樹脂、安定化ロジンエステル系粘着付与樹脂、不均化ロジンエステル系粘着付与樹脂、水添ロジンエステル系粘着付与樹脂、テルペン系粘着付与樹脂、テルペンフェノ-ル系粘着付与樹脂、石油樹脂系粘着付与樹脂、(メタ)アクリレ-ト系粘着付与樹脂などが挙げられる。これら粘着付与樹脂は、1種単独で使用してもよく、あるいは2種以上を組み合わせて使用してもよい。これらの中でも、粘着付与樹脂(a1)は、重合ロジンエステル系粘着付与樹脂、ロジンフェノ-ル系粘着付与樹脂、不均化ロジンエステル系粘着付与樹脂、水添ロジンエステル系粘着付与樹脂、テルペンフェノ-ル系樹脂、(メタ)アクリレ-ト系樹脂が好ましい。
【0114】
本実施形態において、粘着付与樹脂(a1)の使用量としては、特に制限されることはなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、粘着付与樹脂(a1)の含有量は、粘着剤樹脂又はアクリル重合体100質量部に対して、5質量部~65質量部であることが好ましく、8質量部~55質量部であることが、被着体との密着性を確保しやすくいためより好ましい。
【0115】
本実施形態において、粘着付与樹脂としてアクリル系粘着剤樹脂を使用する場合、粘着層の凝集力をより一層向上させるうえで、架橋剤を含有するものを使用することが好ましい。
【0116】
上記架橋剤は、特に制限されることはなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤、金属キレ-ト系架橋剤、アジリジン系架橋剤などが挙げられる。これら架橋剤は、1種単独で使用しても、あるいは2種以上を組み合わせて使用してもよい。なかでも、アクリル重合体の製造後に混合し、架橋反応を進行させるタイプの架橋剤が好ましく、アクリル重合体との反応性に富むイソシアネート系架橋剤及びエポキシ系架橋剤を使用することがより好ましい。
【0117】
上記イソシアネート系架橋剤として、例えば、トリレンジイソシアネート、トリフェニルメタンイソシアネート、ナフチレン-1,5-ジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、トリメチロ-ルプロパン変性トリレンジイソシアネートなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、あるいは2種以上を併用してもよい。これら架橋剤のうち、3官能のポリイソシアネート系化合物である、トリレンジイソシアネート及びこれらのトリメチロ-ルプロパン付加体、トリフェニルメタンイソシアネートが特に好ましい。
【0118】
本実施形態において、架橋度合いの指標として、粘着層をトルエンに24時間浸漬した後の不溶分を測定するゲル分率の値が用いられる。粘着層のゲル分率としては、特に制限されることはなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば当該粘着層のゲル分率として、10質量%~70質量%が好ましく、25質量%~65質量%がより好ましく、35質量%~60質量%が、凝集性と接着性がともに良好な粘着層を得るうえで更に好ましい。
【0119】
なお、上記ゲル分率は、下記方法で測定された値を指す。剥離シ-ト上に、乾燥後の厚さが50μmになるように粘着剤樹脂、更に必要に応じて添加剤を含有する粘着層用組成物を塗工し、100℃で3分間乾燥し、40℃で2日間エ-ジングしたものを50mm角に切り取り、これを試料とする。次に、予め試料のトルエン浸漬前の質量(G1)を測定しておき、トルエン溶液中に23℃で24時間浸漬した後の試料のトルエン不溶解分を300メッシュ金網で濾過することにより分離し、110℃で1時間乾燥した後の残渣の質量(G2)を測定し、下記数式(7)に従ってゲル分率が求められる。なお、試料中の導電性微粒子の質量(G3)は、試料の質量(G1)と粘着層用組成物の組成から算出する。
ゲル分率(質量%)=(G2-G3)/(G1-G3)×100 ・・・数式(7)
【0120】
本実施形態の粘着層は、粘着剤樹脂として、上記一般式(II)で表わされる繰り返し単位を有するトリブロック共重合体を含むことが好ましい。必要により、当該トリブロック共重合体以外の粘着剤樹脂として、ジブロック共重合体、アクリル系粘着剤樹脂、ゴム系粘着剤樹脂又はその他の粘着剤樹脂等を更に含んでもよい。
また、本実施形態の粘着層は、上記トリブロック共重合体の代わりに、上記一般式(
II)で表わされるジブロック共重合体、アクリル系粘着剤樹脂、ゴム系粘着剤樹脂又はその他の粘着剤樹脂を含有してもよい。
【0121】
<<ゴム系粘着剤樹脂>>
本実施形態の粘着層に使用可能なゴム系粘着剤樹脂は、特に制限はなく、一般的に粘着剤樹脂(例えば、合成ゴム系粘着剤樹脂又は天然ゴム系粘着剤樹脂等)として使用可能なゴム材料が挙げられる。また当該ゴム材料には、必要に応じて粘着付与樹脂(a2)等の添加剤を含有してもよい。
【0122】
上記ゴム材料の具体例としては、芳香族ビニル化合物と共役ジエン化合物とのブロック共重合体が挙げられる。当該ブロック共重合体としては、スチレン-イソプレン共重合体、スチレン-イソプレン-スチレン共重合体、スチレン-イソプレンブタジエン-スチレン共重合体、スチレン-ブタジエン-スチレン共重合体、スチレン-エチレン-ブチレン共重合体、スチレン-エチレン-プロピレン共重合体及びそれらの水素添加物等のスチレン系樹脂などが好ましい。ゴム材料は、1種単独で使用しても、あるいは2種以上を併用して使用してもよい。これらの中でも、スチレン系樹脂を2種以上併用すると、粘着テープに優れた接着物性と保持力とを付与できるためより好ましい。特に、スチレン-イソプレン共重合体とスチレン-イソプレン-スチレン共重合体とを組み合わせた混合物を使用することが好ましい。
【0123】
本実施形態の粘着層は、粘着剤樹脂全体(100質量%)に対して、50~100質量%が、芳香族ビニル化合物と共役ジエン化合物とのブロック共重合体で占めることが好ましく、70~100質量%が、芳香族ビニル化合物と共役ジエン化合物とのブロック共重合体で占めることがより好ましい。
【0124】
上記スチレン系樹脂は、例えば、線状構造、分岐状構造、又は多分岐状構造の単一構造を備えた樹脂を使用してもよく、あるいは異なる構造を備えた樹脂を混合して使用してもよい。前記線状構造が豊富なスチレン系樹脂を粘着層に使用すると、粘着テープが優れた接着性能を有する。一方、分岐構造又は多分岐構造であり、かつ分子末端にスチレンブロックを配した樹脂は、擬似的架橋構造を形成しうることから、優れた凝集力を発揮するため、高い保持力を粘着層に付与することができる。このため、粘着剤樹脂として使用するスチレン系樹脂は、必要な特性にあわせて混合して使用することが好ましい。
【0125】
上記スチレン系樹脂としては、該スチレン系樹脂の全質量に対して、下記一般式(1)で表される構造単位を、10質量%~80質量%の範囲で有することが好ましく、12質量%~60質量%の範囲で有することがより好ましく、15質量%~40質量%の範囲で有することが更に好ましく、17質量%~35質量%の範囲で有することが特に好ましい。これにより、優れた接着性と耐熱性とを発揮しうる。
【化8】
【0126】
本実施形態の粘着剤樹脂に使用するスチレン系樹脂として、スチレン-イソプレン共重合体とスチレン-イソプレン-スチレン共重合体とを組み合わせて使用する場合、スチレン-イソプレン共重合体とスチレン-イソプレン-スチレン共重合体との合計質量に対する、スチレン-イソプレン共重合体の含有量が、0質量%~80質量であることが好ましく、0質量%~77質量%であることがより好ましく、0質量%~75質量%であることが更に好ましく、0質量%~70質量%であることが特に好ましい。スチレン-イソプレン共重合体の含有量が前記好ましい範囲内であると、優れた接着性能と熱耐久性とを両立した粘着テープを提供できる。
【0127】
上記スチレン-イソプレン共重合体の重量平均分子量(Mw)は、1万~80万の範囲であることが好ましく、3万~50万の範囲であることがより好ましく、5万~30万の範囲であることが更に好ましい。前記重量平均分子量は、標準ポリスチレン換算でゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)を用いて測定した値である。スチレン-イソプレン共重合体の重量平均分子量が前記範囲内であると、加熱流動性又は溶剤希釈時の相溶性を確保できるため、製造工程において良好な作業性を確保しつつ、熱耐久性を備えた粘着テープを得ることができる点で好ましい。
【0128】
なお、上記GPCによるスチレン-イソプレン共重合体の重量平均分子量(Mw)の測定は、GPC装置(SC-8020、東ソー株式会社製)を用いて測定される、標準ポリスチレン換算値であり、測定条件は以下のとおりである。
-測定条件-
・ サンプル濃度:0.5質量%(THF(テトラヒドロフラン)溶液)
・ サンプル注入量:100μL
・ 溶離剤:THF
・ 流速:1.0mL/分
・ 測定温度:40℃
・ 本カラム:TSKgel(登録商標) GMHHR-H(20) 2本
・ ガードカラム:TSKgel HXL-H
・ 検出器:示差屈折計
・ 標準ポリスチレン分子量:1万~2000万(東ソー株式会社製)
【0129】
本実施形態の粘着剤樹脂に使用するスチレン系樹脂の製造方法は、特に制限されることはなく、公知の製造方法から適宜選択することができる。例えば、アニオンリビング重合法によりブロック共重合体を調製した後、必要に応じてカップリング剤を添加して反応させることにより、目的物のスチレン系樹脂を製造できる。
また、前記スチレン系樹脂の好ましい一例であるスチレン-イソプレン共重合体の製造方法も特に制限されることはなく、公知の製造方法から適宜選択することができる。例えば、アニオンリビング重合法によりスチレンブロック及びイソプレンブロックを逐次重合する方法などが挙げられる。
【0130】
さらに、前記スチレン系樹脂の好ましい一例であるスチレン-イソプレン-スチレン共重合体の製造方法は、特に制限されることはなく、公知の製造方法から適宜選択することができる。例えば、アニオンリビング重合法によりスチレンブロック及びイソプレンブロックを逐次重合する方法、又はリビング性活性末端を有するブロック共重合体を製造した後にカップリング剤と反応させてカップリングしたブロック共重合体を製造する方法などが挙げられる。
【0131】
上記スチレン-イソプレン共重合体とスチレンーイソプレンースチレン共重合体との混合物の製造方法は、特に制限されることはなく、公知の製造方法から適宜選択することができる。例えば、前記方法で製造したスチレン-イソプレン共重合体及びスチレン-イソプレン-スチレン共重合体を公知の混合手段で混合する方法などが挙げられる。
【0132】
さらには、上記スチレン-イソプレン共重合体とスチレン-イソプレン-スチレン共重合体との混合物の別の製造方法は、1回の重合工程で同時に混合物として製造してもよい。
上記スチレン-イソプレン共重合体とスチレン-イソプレン-スチレン共重合体との混合物のより具体的な製造方法は、アニオンリビング重合法を用いた以下の第一の工程~第四の工程を有することが一例として挙げられる。
第一の工程としては、重合溶媒中、アニオン重合開始剤を用いてスチレン単量体を重合し、リビング性の活性末端を有するポリスチレンブロックを形成する工程である。
第二の工程は、ポリスチレンブロックのリビング性の活性末端からイソプレンを重合し、リビング性の活性末端を有するスチレン-イソプレンジブロック共重合体を得る工程である。
そして、第三の工程は、リビング性の活性末端を有するスチレン-イソプレンジブロック共重合体の一部とカップリング剤とを反応させ、カップリングしたスチレン-イソプレン-スチレンブロック共重合体を形成する工程である。
第四の工程は、リビング性の活性末端を有するスチレン-イソプレンジブロック共重合体の残部を、重合停止剤を用いて、そのリビング性の活性末端を失活させ、スチレン-イソプレンジブロック共重合体を形成させる工程である。
【0133】
--粘着付与樹脂(a2)--
本実施形態におけるゴム系粘着剤樹脂は、被着体との密着性や面接着強度を向上させるため、粘着付与樹脂(a2)と併用して使用することが好ましい。
ゴム系粘着剤樹脂と併用する粘着付与樹脂(a2)は、特に制限されることはなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、軟化点が80℃以上の粘着付与樹脂(a3)を使用することが好ましい。これにより、優れた初期接着性と熱耐久性と両立した粘着テープを提供できる。
【0134】
ゴム系粘着剤樹脂と併用する粘着付与樹脂(a2)としては、常温(23℃)下で固体状の樹脂が好ましい。当該粘着付与樹脂の具体例としては、石油樹脂、重合ロジン系樹脂、テルペン系樹脂、ロジン系樹脂、テルペン-フェノ-ル樹脂、スチレン樹脂、クマロン-インデン樹脂、キシレン樹脂又はフェノ-ル樹脂などが挙げられる。また、当該石油樹脂としては、C5系石油樹脂、C9系石油樹脂、C5系/C9系石油樹脂、脂環族系石油樹脂などが挙げられる。これら樹脂は、1種単独で使用しても、あるいは2種以上を併用してもよい。これらの中でも、ゴム系粘着剤樹脂と併用する粘着付与樹脂は、C5系石油樹脂と重合ロジン系樹脂とを組み合わせて使用されることが、より一層優れた初期接着性と熱耐久性とを両立の観点で好ましい。
【0135】
上記石油樹脂は、スチレン系樹脂を構成する前記一般式(1)で表されるスチレン単量体単位と相溶しやすい。そのため、粘着テ-プの初期接着力と熱耐久性とをより一層向上させることができる。
【0136】
上記C5系石油樹脂は、例えば、エクソンモ-ビル社製のエスコレッツシリーズ(エスコレッツ1202、エスコレッツ1304又はエスコレッツ1401)、グッドイヤー・タイヤ・アンド・ラバー・カンパニ-製のウイングタック95、日本ゼオン株式会社製のクイントンシリーズ(クイントンK100、クイントンR100又はクイントンF100)又は理化ハーキュレス株式会社製のピコタック95若しくはピコペール100-などが挙げられる。
【0137】
上記C9系石油樹脂は、例えば、JX日鉱日石エネルギー株式会社製の日石ネオポリマーシリーズ(日石ネオポリマ-L-90、日石ネオポリマ-120、日石ネオポリマ-130、日石ネオポリマ-140、日石ネオポリマ-150、日石ネオポリマ-170S、日石ネオポリマ-160、日石ネオポリマ-E-100、日石ネオポリマ-E-130、日石ネオポリマ-130S又は日石ネオポリマ-S)、東ソー株式会社製のペトコール(登録商標)などが挙げられる。
【0138】
上記C5系/C9系石油樹脂は、C5系石油樹脂と、C9系石油樹脂との共重合体を使用することができる。C5系/C9系石油樹脂の具体例としては、例えば、エクソンモービル社製のエスコレッツ2101、日本ゼオン株式会社製のクイントンG115又は理化ハーキュレス株式会社製のハ-コタック1149-等を使用することができる。
【0139】
上記脂環族系石油樹脂は、C9系石油樹脂に水素添加して得ることができる。例えば、エクソンモービル社製のエスコレッツ5300、荒川化学工業株式会社製のアルコーンP-100、理化ハーキュレス株式会社製のリガライトR101などが挙げられる。
【0140】
粘着付与樹脂(a2)の使用量としては、特に制限されることはなく、目的に応じて適宜選択することができる。ゴム系粘着剤樹脂を構成する成分の全量(100質量%)に対して、粘着付与樹脂は、0質量%~100質量%の範囲で使用することが好ましく、0質量%~70質量%の範囲で使用することがより好ましく、0質量%~50質量%の範囲で使用することが更に好ましく、0質量%~30質量%の範囲で使用することが特に好ましい。当該好ましい範囲内で粘着付与樹脂を使用すると、粘着層と基材層との界面における密着性が向上し、かつ粘着テ-プの優れた破断伸度又は熱耐久性とが両立し易くなる。
【0141】
80℃以上の軟化点を有する粘着付与樹脂(a3)の使用量としては、特に制限されることはなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、スチレン系樹脂の全量に対して、80℃以上の軟化点を有する粘着付与樹脂を3質量%~100質量%の範囲で使用することが好ましく、5質量%~80質量%の範囲で使用することがより好ましく、より一層優れた接着性と優れた熱耐久性とを両立した粘着テ-プを提供する観点を重視する場合、5質量%~80質量%の範囲で使用することが-特に好ましい。
【0142】
また、定温環境での貼付性又は初期接着性を得る目的から、80℃以上の軟化点を有する粘着付与樹脂(a3)と、-5℃以下の軟化点を有する粘着付与樹脂(a4)と組み合わせて使用してもよい。
【0143】
当該-5℃以下の軟化点を有する粘着付与樹(a4)は、特に制限されることはなく、公知の粘着付与樹脂から目的に応じて適宜選択することができ、例えば、室温(20℃~27℃)下で液状の粘着付与樹脂(a4)を使用することが好ましい。
【0144】
-5℃以下の軟化点を有する粘着付与樹脂(a4)の具体例としては、プロセスオイル、ポリエステル又はポリブテン等の液状ゴムなどが挙げられる。これら液状ゴムは、1種単独で使用しても、あるいは2種以上を併用してもよい。より一層優れた初期接着性を発揮させる観点から、-5℃以下の軟化点を有する粘着付与樹脂(a4)として、ポリブテンを使用することが好ましい。
【0145】
-5℃以下の軟化点を有する粘着付与樹脂(a4)は、粘着付与樹脂(a2)の全量(100質量%)に対して、0質量%~40質量%の範囲占めることが好ましく、0質量%~30質量%の範囲占めることがより好ましい。
【0146】
また、-5℃以下の軟化点を有する粘着付与樹脂(a4)は、粘着剤樹脂に使用するスチレン系樹脂の全量(100質量%)に対して、0質量%~40質量%の範囲で使用することが好ましく、初期接着力を向上と良好な接着性とを有し、かつ、十分な熱耐久性を発揮する観点を重視する場合、0質量%~30質量%の範囲で使用することがより好ましい。
【0147】
80℃以上の軟化点を有する粘着付与樹脂(a3)と-5℃以下の軟化点を有する粘着付与樹脂(a4)との質量比としては、特に制限されることはなく、目的に応じて適宜選択することができる。[80℃以上の軟化点を有する粘着付与樹脂(a3)の質量/-5℃以下の軟化点を有する粘着付与樹脂(a4)の質量]で表される、-5℃以下の軟化点を有する粘着付与樹脂(a4)に対する80℃以上の軟化点を有する粘着付与樹脂(a3)の質量比が、5~50となる範囲で使用することが好ましく、優れた初期接着性と優れた保持力とを両立した粘着テ-プを得る観点を重視する場合、10~30となる範囲で使用することが-より好ましい。
【0148】
粘着剤樹脂に使用するスチレン系樹脂とゴム系粘着剤樹脂と併用する粘着付与樹脂との質量比としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、[スチレン系樹脂/ゴム系粘着剤樹脂と併用する粘着付与樹脂]で表される、粘着付与樹脂に対するスチレン系樹脂の質量比が、0.5~10.0となる範囲で使用することが好ましく、初期接着力を向上することができ、かつ、優れた熱耐久性を得る観点を重視する場合、0.6~9.0となる範囲で使用することが、より好ましい。また、質量比[スチレン系樹脂/ゴム系粘着剤樹脂と併用する粘着付与樹脂]は、1よりも大きいことが、例えば、被着体の曲面部等に貼付した際に粘着テ-プの反発力に起因した剥がれを防止(耐反発性)するうえで好ましい。
【0149】
<粘着層任意成分>
本実施形態において、粘着剤樹脂として上述したアクリル系粘着剤樹脂又はゴム系粘着剤樹脂を使用する場合、粘着層において添加する粘着層任意成分は、特に制限されることはなく、粘着テ-プの特性を損なわない範囲で適宜選択することができる。例えば、粘着剤樹脂以外のポリマ-成分、架橋剤、老化防止剤、紫外線吸収剤、充填剤、重合禁止剤、表面調整剤、帯電防止剤、消泡剤、粘度調整剤、耐光安定剤、耐候安定剤、耐熱安定剤、酸化防止剤、レベリング剤、有機顔料、無機顔料、顔料分散剤、可塑剤、軟化剤、難燃剤、金属不活性剤、シリカビ-ズ、有機ビ-ズ等の添加剤;酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化チタン、ジルコニア、五酸化アンチモン等の無機系充填剤などが挙げられる。これら粘着層任意成分は、1種単独で使用してもよく、あるいは2種以上を併用して使用してもよい。
粘着層における粘着層任意成分の含有量としては、粘着テ-プの特性を損なわない範囲で適宜選択することができる。
【0150】
<<その他の粘着剤樹脂>>
本実施形態において、その他の粘着剤樹脂として、公知のウレタン系粘着剤樹脂、シリコーン系粘着剤樹脂、又は混合粘着剤からならなる群から選択される1種又は2種以上を用いてもよい。
【0151】
<粘着層の特性>
本実施形態において、粘着層の25%伸長時応力は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.04MPa~0.4MPaが好ましく、0.05MPa~0.1MPaがより好ましい。粘着層の25%伸長時応力が、好ましい範囲内であると、粘着テ-プとして好適な接着強度を得ることができ、伸長剥離する際でも比較的容易に引き剥がすことが可能となる。一方、粘着層の25%伸長時応力が、0.04MPa未満であると、硬質な被着体同士を固定していながら粘着テ-プのせん断方向への荷重が生じた場合に粘着テ-プが剥がれてしまうことがあり、0.4MPaを超えると、粘着テ-プを引き剥がす際、該粘着テ-プを伸長させるために必要な力が過大となってしまうことがある。
粘着層の25%伸長時応力は、粘着層を、標線長さ20mm、幅10mmのダンベル状に打ち抜き、測定雰囲気23℃、50%RHの条件で、テンシロン引張試験機(型式:RTF-1210、株式会社エ-・アンド・デイ製)を用い、引張速度300mm/分間で長さ方向に引っ張り、25%伸長したときに測定した応力値を指す。
【0152】
本実施形態において、粘着層の破断強度は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが0.5MPa~2.1MPaが好ましく、1.0MPa~2.1MPaがより好ましい。粘着層の破断強度が、前記好ましい範囲内であると、粘着テ-プを引き伸ばして剥がす際にも該粘着テ-プが千切れてしまうことを抑制することができ、該粘着テ-プを伸長させるための荷重が過剰になり過ぎないため引き剥がしによる再剥離作業が容易になる。一方、粘着層の破断強度が、0.5MPa未満であると、粘着テ-プを引き伸ばして剥がす際に該粘着層の凝集破壊による糊残りが生じることがあり、2.1MPaを超えると、十分な粘着性を得ることができないことがある。なお、粘着テ-プを引き伸ばして変形させる際に必要な力は、該粘着テ-プの厚さにも依存することになり、例えば、粘着テ-プの厚さが厚く破断強度が高い粘着テ-プを引き伸ばして剥がそうとした場合にも、十分に引き伸ばすことができず剥がすことができないことがある。
上記粘着層の破断強度は、粘着層を、標線長さ20mm、幅10mmのダンベル状に打ち抜き、測定雰囲気23℃、50%RHの条件で、テンシロン引張試験機(型式:RTF-1210、株式会社エ-・アンド・デイ製)を用い、引張速度300mm/分間で長さ方向に引っ張り、破断したときに測定した応力値を指す。
【0153】
本実施形態において、粘着層の破断伸度は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、450%~1300%が好ましく、500%~1200%がより好ましく、600%~1100%が更に好ましい。粘着層の破断伸度が前記好ましい範囲内にあることで、好適な接着性と再剥離性(剥がしやすさ)を両立することができる。
上記粘着層の破断伸度は、粘着層を、標線長さ20mm、幅10mmのダンベル状に打ち抜き、測定雰囲気23℃、50%RHの条件で、テンシロン引張試験機(型式:RTF-1210、株式会社エ-・アンド・デイ製)を用い、引張速度300mm/分間で長さ方向に引っ張り、破断したときに測定した引張伸び率を指す。
【0154】
本実施形態において、粘着層の平均厚さとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、5μm~150μmであることが好ましく、20μm~120μmであることがより好ましく、40μm~110μmであることが更に好ましく、50μm~100μmであることが特に好ましい。「粘着層の厚さ」は、粘着テ-プにおける粘着層単層の厚さを意味する。例えば、粘着テ-プとして、基材層と当該基材層の両面に粘着層を有する場合、一方の面の粘着層の平均厚さと、他方の面の粘着層の平均厚さとは、同じであってもよく、異なっていてもよいが、同じ厚さであることが好ましい。
なお、本明細書において、粘着層の厚さは、次の方法により測定することができる。すなわち、粘着テ-プを液体窒素中に1分間浸漬した後、ピンセットを用いて液体窒素中で、粘着テ-プの幅方向を折り目として折り曲げて割り、該粘着テ-プの厚さ方向の割断面観察用の切片を作製する。前記切片をデシケ-タ内で常温に戻した後、前記割断面に対して電子線が垂直に入射するように試料台に固定し、電子顕微鏡を用いて、前記割断面の観察を行う。電子顕微鏡のスケ-ルを元に、前記粘着テ-プにおける粘着層の厚さを10箇所測定し、その算術平均値を粘着層の厚さとする。なお、粘着層の厚さは、一方側の表面から他方側の表面までを積層方向に沿って測った長さである。
【0155】
〔基材層〕
本実施形態の粘着テ-プは粘着層を必須とし、必要に応じて基材層を設けてもよい。本実施形態の粘着テ-プの一例として、粘着層と、当該粘着層の一方の面に設けられる基材層とを備える。本実施形態の粘着テ-プの他の一例としては、1対の粘着層と、当該1対の粘着層の間に配置される基材層とを備え、当該基材層の厚さが20~200μmであることが好ましい。また当該基材層の破断強度が1~90MPaであることが好ましい。また、当該基材層の破断伸度は400~1500%であることが好ましい。
本実施形態の基材層は、後述の基材層用組成物から形成されることが好ましい。当該基材層用組成物としては、基材用材料以外にも、必要に応じて、基材層任意成分、又は溶媒(公知の有機溶剤など)を含有してもよい。
【0156】
本実施形態に係る粘着テ-プにおいて、基材層を設ける場合、当該基材層は、伸長性を有する伸長基材であっても、または伸長性を有していない非伸長基材であってもよいが、伸張剥離の観点を重視する場合は、伸長基材であることが好ましい。なお、本明細書において、「伸長性を有する」は、400%以上の破断伸度を示すことをいい、一方、「伸長性を有していない」とは、400%未満の破断伸度を示すことをいう。したがって、非伸長基材は破断伸度が400%未満である基材を意味し、伸長基材は破断伸度が400%以上である基材を意味する。
本実施形態に係る粘着テ-プが基材層を有する形態の場合、粒子体(シリコーン複合フィラー、マイクロバルーンなど)が粘着層中に存在すると、基材層と粘着層との密着力(アンカリング力)が低下する傾向を示す。そのため、伸張剥離などの被着体からの剥離又は除去作業において、粘着層と基材層との界面が剥離するという現象が生じる場合がある。例えばマイクロバルーンと粘着剤樹脂を含む粘着層と基材層とを備えた粘着テ-プの場合は、粘着層と基材層と密着力が低下することにより、伸張剥離の際に界面剥離しやすい傾向が確認された。また、アクリル変性シリコーンと粘着剤樹脂を含む粘着層用組成物から形成された粘着層と基材層とを備えた粘着テ-プの場合は、耐衝撃性及び保持力の向上が得られない傾向が確認された。
しかし、本実施形態においては、シリコーン複合フィラー及びマイクロバルーンの異なる粒子を用いることにより、粘着層と基材層との界面剥離を軽減することが確認され、特に、シリコーン複合フィラー、マイクロバルーン及びアクリル変性シリコーンを有する粘着層を使用すると、界面剥離を効果的に抑制できる傾向が確認された。その理由は明らかではないが、アクリル変性シリコーンのアクリル変性部が粘着層中の粘着剤樹脂と親和性を有し、当該粒子が粘着層中で粘着剤成分を取り込むことにより膨潤状態になるため、粘着層の弾性が維持されやすいと推測される。
以上のことから、本実施形態の粘着テ-プが、粘着層と、当該粘着層の一方の面に設けられる基材層とを備える場合、前記粘着層又は当該粘着層を形成する粘着層用組成物は、シリコーン複合フィラー、マイクロバルーン及びアクリル変性シリコーンを有することが好ましい。これにより、耐衝撃性、切断加工性及び伸張剥離時の解体性(=剥離又は除去作業の容易性)が向上する。
【0157】
本実施形態において、基材層は、上記の特性を備えれば特に制限はなく、粘着テ-プに使用し得る公知の材料の中から適宜選択することができ、以下の基材用材料を含むことが好ましく、必要に応じて、更にその他の成分を含んでいてもよい。また、本実施形態の基材層の一例としては、伸縮性の基材層であることが好ましい。上記基材層は、単層構造であってもよく、2層、3層、又はそれ以上の複層構造であってもよい。
【0158】
本実施形態において、基材層の破断強度が1~90MPaであり、好ましくは5~90MPaであり、より好ましくは10~88MPaであり、更に好ましくは15~85MPaである。破断強度が1MPa以上であることにより、粘着テ-プを被着体よりを剥がす際において、作業者が引っ張っても千切れることなく被着体から粘着テ-プを剥がすことができる。また、破断強度が90MPa以下であることにより、作業者が、粘着テ-プを引っ張る際の応力が大きくなりすぎるのを避けることができる。
上記基材層の破断強度は、基材層を、標線長さ20mm、幅5mmのダンベル状に打ち抜き、測定雰囲気23℃、50%RHの条件で、テンシロン引張試験機(型式:RTF-1210、株式会社エ-・アンド・デイ製)を用い、引張速度500mm/分間で長さ方向に引っ張り、破断したときに測定した応力値を指す。
また、当該破断強度は、適宜材料を選択するとともに、基材層の製造工程で延伸をかけるなどの方法で調整することができる。
【0159】
本実施形態において、基材層の破断伸度が400~1500%であり、好ましくは500~1300%であり、より好ましくは600~1200%である。破断伸度が400%以上であることにより、粘着テ-プが強固に被着体に接着している場合でも、該粘着テ-プを剥がす際の応力が大きくなり過ぎない。また、破断伸度が1500%以下であることにより、粘着テ-プを剥がす際に、引き伸ばし距離が長くなりすぎず小スペ-スでの作業が可能となる。そのため、基材層の破断伸度が上記範囲の物性を満たすことにより、伸長剥離時のすべり性が向上する。
上記基材層の破断伸度は、基材層を、標線長さ20mm、幅5mmのダンベル状に打ち抜き、測定雰囲気23℃、50%RHの条件で、テンシロン引張試験機(型式:RTF-1210、株式会社エ-・アンド・デイ製)を用い、引張速度500mm/分間で長さ方向に引っ張り、破断したときに測定した引張伸び率を指す。
また、当該破断伸度は、適宜材料を選択するとともに、基材層の製造工程で延伸をかけるなどの方法で調整することができる。
【0160】
本実施形態の基材層において、100%モジュラスが0.1~5MPaであることが好ましく、より好ましくは0.5~4.5MPaであり、さらに好ましくは1~4MPaである。100%モジュラスが0.1MPa以上であることにより、粘着テ-プや被着体に負荷がかかった際にズレなどの形状変形に伴う不具合を抑制することができる。また、100%モジュラスが5MPa以下であることにより、被着体より粘着テ-プを剥がす初期段階において、作業者が、比較的軽い力で引っ張ることができる。
基材層の100%モジュラスは、基材層を、標線長さ20mm、幅5mmのダンベル状に打ち抜き、測定雰囲気23℃、50%RHの条件で、テンシロン引張試験機(型式:RTF-1210、株式会社エ-・アンド・デイ製)を用い、引張速度500mm/分間で長さ方向に引っ張り、伸度が100%の際に測定した応力値を指す。
また、当該100%モジュラスは、適宜材料を選択するとともに、基材層の製造工程で延伸をかけるなどの方法で調整することができる。
【0161】
本実施形態において、基材層のゴム硬度が20~90Aであることが好ましく、より好ましくは30~85Aであり、さらに好ましくは40~80Aである。ゴム硬度が20A以上であることにより、粘着テ-プを引き伸ばして剥がす際に該粘着テ-プのちぎれを防止することができる。また、ゴム硬度が90A以下であることにより、基材層が軟らかくなり、例えば、粘着テ-プが貼り付いた被着体を落下した際に、粘着テ-プが衝撃を吸収しやすくなり、被着体を衝撃から保護することができる(粘着テ-プの耐衝撃性を向上させることができる)。
上記基材層のゴム硬度は、ショアA硬度であり、デュロメ-タ(スプリング式ゴム硬度計)(型式:GS-719G、株式会社テクロック製)を用い、JIS K 6253に準拠して測定した値を指す。
また、当該ゴム硬度は、例えば樹脂の分子量を変更したり、スチレン単量体単位を含む場合には当該単量体単位を変更したりする等、適宜材料を選択するなどの方法で調整することができる。
【0162】
本実施形態において、基材層の厚さが20~500μmであり、好ましくは15~500μmであり、より好ましくは20~400μmである。厚さが20μm以上であることにより、粘着テ-プの強度を確保することができ、また、厚さが500μm以下であることにより、厚さが厚すぎて粘着テ-プを引っ張りにくくなることを避けることができる。
なお、本明細書において、「基材層の厚さ」とは、基材層中の任意の5点の厚さをTH-104 紙・フィルム用厚さ測定機(テスタ-産業株式会社製)を用いて測定し、それら測定値の平均値を指す。
【0163】
粘着層と基材層との厚さの比率としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、[粘着層の厚さ/基材層の厚さ]で表される、基材層の厚さに対する粘着層の厚さの比率が、1/5~5/1であることが好ましく、1/3~3/1であることがより好ましく、1/2~2/1であることが更に好ましい。基材層の厚さに対する粘着層の厚さの比率が好ましい範囲内にあると、粘着テ-プの優れた接着性と再剥離性(剥がしやすさ)を得ることができる。一方、前記比率が5/1より大きいと、粘着テ-プの再剥離工程で粘着層のみが被着体に残存してしまう可能性がある。また、前記比率が1/5より小さいと、被着体の表面が凹凸形状などの場合に粘着層が追従できずに接着強度が低下してしまう懸念がある。
本実施形態の基材層は、目的に応じて、所望の、破断強度、破断伸度、ゴム硬度及び厚さになるよう、基材用材料と、必要に応じて添加される基材層任意成分及び/又は溶媒(有機溶剤など)とを含有する基材層組成物から形成されることが好ましい。
【0164】
<基材用材料>
本実施形態の基材層に使用する基材用材料としては、上記の特定の物性を有する基材層を得ることができれば特に限定されないが、例えば、スチレン-イソプレン共重合体、スチレン-イソプレン-スチレン共重合体、スチレン-イソプレンブタジエン-スチレン共重合体、スチレン-ブタジエン-スチレン共重合体、スチレン-エチレン-ブチレン共重合体、スチレン-エチレン-プロピレン共重合体等のスチレン系樹脂;エステル系ポリウレタン、エーテル系ポリウレタン等のポリウレタン樹脂;ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂;ポリエチレンテレフタレ-ト、ポリブチレンテレフタレ-ト、ポリエチレンナフタレ-ト等のポリエステル樹脂;ポリスチレン;ポリカーボネート;ポリメチルペンテン;ポリスルホン;ポリエーテルエーテルケトン;ポリエーテルスルホン;ポリエーテルイミド;ポリイミドフィルム;フッソ樹脂;ナイロン;アクリル樹脂などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよいが、2種以上併用することが好ましい。
これらの中でも、スチレン系樹脂や、ポリウレタン樹脂は、好適な破断強度や破断伸度を得易いため好ましく、スチレン系樹脂がより好ましく、スチレン-イソプレン共重合体とスチレン-イソプレン-スチレン共重合体とを組み合わせて使用することが特に好ましい。
【0165】
--スチレン系樹脂--
スチレン系樹脂は、熱可塑性を示す樹脂であるため、押出成形や射出成形等の成形性に優れ、基材層を成形し易い。また、スチレン系樹脂は、一般的に熱可塑性樹脂と呼ばれる樹脂群の中でも特に優れた破断伸度が得られ易く、粘着シ-トの基材として好適に使用できる。
【0166】
したがって、基材用材料において、全樹脂成分に対してスチレン系樹脂が占める割合としては、50%~100%が好ましく、60%~100%がより好ましく、65%~100%が更に好ましく、70%~100%が特に好ましい。スチレン系樹脂の割合が前記好ましい範囲内であることで、破断伸度や破断強度が優れた基材層を得ることができる。
【0167】
基材用材料として使用する上記スチレン系樹脂は、粘着剤樹脂と同様に、線状構造、分岐状構造、又は多分岐状構造の単一構造を備えた樹脂を使用してもよく、あるいは異なる構造を備えた樹脂を混合して使用してもよい。線状構造が豊富なスチレン系樹脂は、基材層に優れた破断伸度を与えることができる。一方、分岐構造や多分岐構造でありながら分子末端にスチレンブロックを配したものは、擬似的架橋構造を取ることができ、優れた凝集力を与えることができる。このため、スチレン系樹脂は、必要な機械特性にあわせて混合して使用することが好ましい。
【0168】
上記スチレン系樹脂は、該スチレン系樹脂の全質量に対して、上記化学式(1)で表される構造単位を13質量%~60質量%の範囲で有するものを使用することが好ましく、15質量%~50質量%の範囲で有するものを使用することがより好ましく、15質量%~45質量%の範囲で有するものを使用することが更に好ましく、15質量%~35質量%の範囲で有するものを使用することが特に好ましい。スチレン系樹脂の全質量に対する下記化学式(1)で表される構造単位の割合が前記好ましい範囲内であることで、破断伸度や破断強度が好適な範囲で得られ易くなる。
【0169】
スチレン系樹脂として、スチレン-イソプレン共重合体とスチレン-イソプレン-スチレン共重合体とを組み合わせて使用する場合、スチレン-イソプレン共重合体とスチレン-イソプレン-スチレン共重合体との合計質量に対する、スチレン-イソプレン共重合体の含有量が、0質量%~80質量%であることが好ましく、0質量%~70質量%の範囲であることがより好ましく、0質量%~50質量%であることが更に好ましく、0質量%~30質量%であることが特に好ましい。スチレン-イソプレン共重合体の含有量が前記好ましい範囲内であると、優れた破断伸度や破断強度を維持しながら熱耐久性との両立が可能となる。
【0170】
また、スチレン-イソプレン共重合体としては、ゲルパーミエ-ションクロマトグラフ(GPC)を用い、標準ポリスチレン換算で測定された重量平均分子量が、1万~80万の範囲であるものを使用することが好ましく、3万~50万の範囲であるものを使用することがより好ましく、5万~30万の範囲であるものを使用することが更に好ましい。スチレン-イソプレン共重合体の重量平均分子量が前記好ましい範囲内であることで、加熱流動性や溶剤希釈時の相溶性を確保できるため、製造工程における作業性が良好でありながら、熱耐久性を備えた基材層を得ることができるため好ましい。
【0171】
ここで、GPC法によるスチレン-イソプレン共重合体の重量平均分子量の測定は、GPC装置(SC-8020、東ソ-株式会社製)を用いて測定される、標準ポリスチレン換算値であり、測定条件は以下のとおりである。
-測定条件-
・ サンプル濃度:0.5質量%(テトラヒドロフラン溶液)
・ サンプル注入量:100μL
・ 溶離液:テトラヒドロフラン
・ 流速:1.0mL/分
・ 測定温度:40℃
・ 本カラム:TSKgel(登録商標) GMHHR-H(20) 2本
・ ガ-ドカラム:TSKgel HXL-H
・ 検出器:示差屈折計
・ 標準ポリスチレン分子量:1万~2,000万(東ソ-株式会社製)
【0172】
スチレン-イソプレン共重合体、スチレン-イソプレン-スチレン共重合体、及びスチレン-イソプレン共重合体とスチレン-イソプレン-スチレン共重合体との混合物の製造方法としては、特に制限はなく、従来公知の製造方法の中から適宜選択することができ、アニオンリビング重合法によりブロック共重合体を得、必要に応じてカップリング剤を添加して反応させることにより得ることができる。
具体的にはスチレン-イソプレン共重合体の製造方法としては、特に制限はなく、従来公知の製造方法の中から適宜選択することができ、例えば、アニオンリビング重合法によりスチレンブロック及びイソプレンブロックを逐次重合する方法などが挙げられる。
【0173】
スチレン-イソプレン-スチレン共重合体の製造方法としては、特に制限はなく、従来公知の製造方法の中から適宜選択することができ、例えば、アニオンリビング重合法によりスチレンブロック及びイソプレンブロックを逐次重合する方法、リビング性活性末端を有するブロック共重合体を製造した後にカップリング剤と反応させてカップリングしたブロック共重合体を製造する方法などが挙げられる。
【0174】
スチレン-イソプレン共重合体とスチレン-イソプレン-スチレン共重合体との混合物の製造方法としては、特に制限はなく、従来公知の製造方法の中から適宜選択することができ、例えば、前記方法で製造したスチレン-イソプレン共重合体とスチレン-イソプレン-スチレン共重合体とを混合する方法などが挙げられる。
【0175】
また、スチレン-イソプレン共重合体とスチレン-イソプレン-スチレン共重合体との混合物の製造方法としては、ひとつの重合工程で同時に混合物として製造することも可能である。
より具体的な一態様としては、アニオンリビング重合法により、第一に、重合溶媒中、アニオン重合開始剤を用いてスチレン単量体を重合し、リビング性の活性末端を有するポリスチレンブロックを形成する。第二に、ポリスチレンブロックのリビング性の活性末端からイソプレンを重合し、リビング性の活性末端を有するスチレン-イソプレンジブロック共重合体を得る。第三に、リビング性の活性末端を有するスチレン-イソプレンジブロック共重合体の一部とカップリング剤とを反応させ、カップリングしたスチレン-イソプレン-スチレンブロック共重合体を形成する。第四に、リビング性の活性末端を有するスチレン-イソプレンジブロック共重合体の残部を、重合停止剤を用いて、そのリビング性の活性末端を失活させ、スチレン-イソプレンジブロック共重合体を形成させる。
【0176】
--ポリウレタン樹脂--
ポリウレタン樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、40℃以上の軟化点を有するものが好ましく、50℃以上の軟化点を有するものがより好ましい。また、軟化点の上限としては、100℃以下であることが好ましい。軟化点は、JIS K 2207(環球式)に準拠して測定した値を指す(以下、軟化点については同様である)。
【0177】
ポリウレタン樹脂としては、ポリオール(b1-1)とポリイソシアネート(b1-2)との反応物を好適に使用することができる。
【0178】
ポリオール(b1-1)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール、アクリルポリオールなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、ポリオール(b1-1)としては、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオールが、基材層の機械特性を得ることができるため好ましい。基材層において、耐熱性が必要となる場合はポリエステルポリオールを使用することが好ましく、耐水性や耐生分解性が必要な場合はポリエーテルポリオールを使用することが好ましい。
【0179】
ポリエステルポリオールとしては、例えば、低分子量のポリオールとポリカルボン酸とをエステル化反応して得られるポリエステル、ε-カプロラクトン等の環状エステル化合物を開環重合反応して得られるポリエステル、これらの共重合ポリエステルなどが挙げられる。
【0180】
ポリエステルポリオールの製造に使用可能な低分子量のポリオールとしては、例えば、概ね重量平均分子量が50~300程度である、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,3-ブタンジオール等の脂肪族アルキレングリコールや、シクロヘキサンジメタノ-ルなどを使用することができる。
【0181】
ポリカルボン酸としては、例えば、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸等の脂肪族ジカルボン酸;テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸;及びそれらの無水物又はエステル化物などが挙げられる。
【0182】
ポリエーテルポリオールとしては、例えば、活性水素原子を2個以上有する化合物の1種又は2種以上を開始剤として、アルキレンオキサイドを付加重合させたものなどが挙げられる。
【0183】
ポリカーボネートポリオールとしては、例えば、炭酸エステル及び/又はホスゲンと、後述する低分子量のポリオールとを反応させて得られるものを使用することができる。
【0184】
炭酸エステルとしては、例えば、メチルカーボネート、ジメチルカーボネート、エチルカーボネート、ジエチルカーボネート、シクロカーボネート、ジフェニルカーボネートなどが挙げられる。
【0185】
ポリカーボネートポリオールの製造に使用可能な、炭酸エステル及び/又はホスゲンと反応しうる低分子量のポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、2,3-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,5-ヘキサンジオール、1,6-ヘキサンジオール、2,5-ヘキサンジオール、1,7-ヘプタンジオール、1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、1,10-デカンジオール、1,11-ウンデカンジオール、1,12-ドデカンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、2-ブチル-2-エチル-1,3-プロパンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、2-エチル-1,3-ヘキサンジオール、2-メチル-1,8-オクタンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノ-ル、ハイドロキノン、レゾルシン、ビスフェノ-ルA、ビスフェノ-ルF、4,4’-ビフェノ-ルなどが挙げられる。
【0186】
ポリイソシアネート(b1-2)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、脂環式ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネート、芳香族ポリイソシアネート等を使用することができ、脂環式ポリイソシアネートなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0187】
脂環式ポリイソシアネートとしては、例えば、イソホロンジイソシアネート、1,3-ビス(イソシアナ-トメチル)シクロヘキサン、4,4’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、2,4-メチルシクロヘキサンジイソシアネート、2,6-メチルシクロヘキサンジイソシアネート、シクロヘキシレンジイソシアネート、メチルシクロヘキシレンジイソシアネート、ビス(2-イソシアナトエチル)-4-シクロヘキシレン-1,2-ジカルボキシレ-ト、2,5-ノルボルナンジイソシアネート、2,6-ノルボルナンジイソシアネート、ダイマ-酸ジイソシアネート、ビシクロヘプタントリイソシアネートなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0188】
ポリオール(b1-1)とポリイソシアネート(b1-2)とを反応させてポリウレタン樹脂(b1)を製造する方法としては、特に制限はなく、従来公知の製造方法の中から適宜選択することができ、例えば、反応容器に仕込んだポリオール(b1-1)を、常圧又は減圧条件下で加熱することにより水分を除去した後、ポリイソシアネート(b1-2)を一括又は分割して供給し反応させる方法などが挙げられる。
【0189】
ポリオール(b1-1)とポリイソシアネート(b1-2)との反応は、ポリイソシアネート(b1-2)が有するイソシアネート基(NCO)と、ポリオール(b1-1)が有する水酸基(OH)との当量比(NCO/OH当量比)が、1.0~20.0の範囲で行うことが好ましく、1.1~13.0の範囲で行うことがより好ましく、1.2~5.0の範囲で行うことが更に好ましく、1.5~3.0の範囲で行うことが特に好ましい。
【0190】
ポリオール(b1-1)とポリイソシアネート(b1-2)との反応条件としては、特に制限はなく、安全、品質、コスト等の諸条件を考慮して適宜選択することができるが、反応温度としては70℃~120℃が好ましく、反応時間としては30分間~5時間が好ましい。
【0191】
ポリオール(b1-1)とポリイソシアネート(b1-2)とを反応させる際には、必要に応じて、触媒として、例えば、三級アミン触媒、有機金属系触媒などを使用することができる。
【0192】
また、前記反応は、無溶剤の環境下で行ってもよく、有機溶剤の存在下で行ってもよい。当該有機溶剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル等のエステル系溶剤;アセトン、メチルエチルケトン、メチルブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤;メチルセロソルブアセテ-ト、ブチルセロソルブアセテ-ト等のエーテルエステル系溶剤;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶剤;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド系溶剤などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
有機溶剤は、ポリウレタン樹脂(b1)の製造途中又はポリウレタン(b1)を製造した後、減圧加熱、常圧乾燥等の適切な方法により除去してもよい。
【0193】
--基材層任意成分--
基材層における基材層任意成分としては、特に制限はなく、粘着テ-プの特性を損なわない範囲で適宜選択することができ、例えば、粘着付与樹脂(b1);基材用材料以外のポリマ-成分;架橋剤、老化防止剤、紫外線吸収剤、充填剤、重合禁止剤、表面調整剤、帯電防止剤、消泡剤、粘度調整剤、耐光安定剤、耐候安定剤、耐熱安定剤、酸化防止剤、レベリング剤、有機顔料、無機顔料、顔料分散剤、シリカビ-ズ、有機ビ-ズ等の添加剤;酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化チタン、ジルコニア、五酸化アンチモン等の無機系充填剤などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
基材層における基材層任意成分の含有量としては、粘着テ-プの特性を損なわない範囲で適宜選択することができる。
【0194】
上記粘着付与樹脂(b1)は、粘着テ-プの粘着層と、基材層との密着性を高めることや耐熱性を高める目的で使用することができる。粘着付与樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、軟化点が、80℃以上のものが好ましく、90℃以上のものがより好ましく、100℃以上のものが更に好ましく、110℃以上のものが特に好ましい。また、基材層に使用可能な粘着付与樹脂(b1)としては、例えば、上述の「-ゴム系粘着剤樹脂-」の項目で記載したものなどを使用することができ、好ましい態様等も同様である。
【0195】
老化防止剤としては、特に制限はなく、公知のものの中から目的に応じて適宜選択することができ、例えば、フェノ-ル系老化防止剤、リン系老化防止剤(「加工安定剤」と称することもある)、アミン系老化防止剤、イミダゾ-ル系老化防止剤などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、フェノ-ル系老化防止剤、リン系老化防止剤が好ましく、これらを組み合わせて使用することが、基材用材料の耐熱安定性を効果的に向上させることができ、その結果、良好な初期接着性を維持し、かつ、より一層優れた熱耐久性を備えた粘着テ-プを得ることができるため好ましい。なお、リン系老化防止剤は、高温環境下において経時的にわずかに変色(黄変)する場合があるため、その使用量は、初期接着性と熱耐久性と変色防止とのバランスを考慮し適宜設定することが好ましい。
【0196】
フェノ-ル系老化防止剤としては、一般に立体障害性基を有するフェノ-ル系化合物を使用することができ、モノフェノ-ル型、ビスフェノ-ル型、ポリフェノ-ル型が代表的である。具体例としては、2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノ-ル、2,2’-メチレンビス(4-メチル-6-t-ブチルフェノ-ル)、2,2’-メチレンビス(4-エチル-6-t-ブチルフェノ-ル)、4,4’-チオビス(6-t-ブチル-3-メチルフェノ-ル)、4,4’-ブチリデンビス-(3-メチル-6-t-ブチルフェノ-ル)、テトラキス-[メチレン-3-(3’5’-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、n-オクタデシル-3-(4’-ヒドロキシ-3’5’-ジ-t-ブチルフェニル)プロピオネートなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0197】
フェノ-ル系老化防止剤の使用量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、基材用材料100質量部に対し、0.1質量部~5質量部の範囲で使用することが好ましく、0.5質量部~3質量部の範囲で使用することが、基材用材料の耐熱安定性を効果的に向上させることができ、その結果、良好な初期接着性を維持し、かつ、より一層優れた熱耐久性を備えた粘着テ-プを得ることができる。
【0198】
<その他の層>
本実施形態の粘着テ-プでは、特に制限はなく、目的に応じて適宜その他の層を設けることもでき、例えば、プライマ-層、帯電防止層、不燃層、加飾層、導電層、熱伝導層、離型層などが挙げられる。
【0199】
<粘着テ-プの形状、特性等>
本実施形態の粘着テ-プは、粘着剤を備えるものであれば、その形状・寸法は特に限定されることはない。また、粘着テ-プの好ましい態様として、基材層と、当該基材層の片面又は両面に配置された粘着層とを備えるものであれば、その形状・寸法は特に限定されることはない。本実施形態の粘着テ-プには、例えば、所定の被着体へ貼り付けるために適した形状・寸法を有する粘着テ-プ(例えば打ち抜き加工された後の状態の粘着テ-プ)、シ-ト状の長尺の粘着テ-プ(例えば特定の形状に加工される前の粘着テ-プ)も含まれる。
また、本実施形態の粘着テ-プは、例えば被着体への貼付け又は被着体からの剥離のために、非接着性の把持領域を任意に設けることができる。
【0200】
本実施形態の粘着テ-プの厚さとしては、特に制限はなく、粘着層及び必要により設けられる基材層の厚さなどに応じて適宜選択することができるが、15μm~1000μmであることが好ましく、30μm~540μmであることがより好ましく、60μm~320μmであることが更に好ましく、70μm~300μmであることが特に好ましい。
なお、本明細書において、「粘着テ-プの厚さ」とは、粘着テ-プを、長さ方向に100mm間隔で5箇所、幅方向に切断し、各切断面において幅方向に100mm間隔で5点の粘着層の厚さをTH-104 紙・フィルム用厚さ測定機(テスタ-産業株式会社製)を用いて測定した、合計25点の厚さの平均値を指す。
【0201】
本実施形態の粘着テ-プの硬度(タイプA硬度(ショアA硬度))は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、10~90が好ましく、20~85がより好ましく、64~85が更に好ましい。粘着テ-プのショアA硬度が前記好ましい範囲内であると、粘着テ-プの引き剥がしによる再剥離作業が容易になる。一方、ショアA硬度が、10未満であると、粘着テ-プを引き伸ばして剥がす際に該粘着テ-プが千切れてしまうことがあり、90を超えると、粘着テ-プを引き伸ばして再剥離しようとした場合に、引き伸ばすための応力が高くなりすぎることで再剥離することができないことがある。
粘着テ-プのゴム硬度は、ショアA硬度であり、デュロメ-タ(スプリング式ゴム硬度計)(型式:GS-719G、株式会社テクロック製)を用い、JIS K 6253に準拠して測定した値を指す。
【0202】
本実施形態の粘着テ-プの25%伸長時応力は、0.15~82MPaであることが好ましく、0.15~10MPaがより好ましく、0.15~5MPaがさらに好ましく、0.15~2MPaが最も好ましい。粘着テ-プの25%伸長時応力が0.15MPa~82MPaであると、粘着テ-プとして好適な接着強度を得ることができ、伸長剥離する際でも比較的容易に引き剥がすことが可能となる。一方、粘着テ-プの25%伸長時応力が、0.15MPa未満であると、硬質な被着体同士を固定していながら粘着テ-プのせん断方向への荷重が生じた場合に粘着テ-プが剥がれる虞がある。また、粘着テ-プの25%伸長時応力が、82MPaを超えると、粘着テ-プを引き剥がす際、該粘着テ-プを伸長させるために必要な力が過大となってしまう傾向がある。
粘着テ-プの25%伸長時応力は、粘着テ-プを、標線長さ20mm、幅5mmのダンベル状に打ち抜き、測定雰囲気23℃、50%RHの条件で、テンシロン引張試験機(型式:RTF-1210、株式会社エ-・アンド・デイ製)を用い、引張速度500mm/分間で長さ方向に引っ張り、25%伸長したときに測定した応力値を指す。
【0203】
本実施形態の粘着テ-プの破断強度は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、10~100.0MPaが好ましく、15~90.0MPaがより好ましく、30~90.0MPaが更に好ましく、40~90.0MPaが特に好ましい。粘着テ-プの破断強度が、前記好ましい範囲内であると、粘着テ-プを早く引き伸ばして剥がす際にも該粘着テ-プが千切れてしまうことを抑制することができ、該粘着テ-プを伸長させるための荷重が過剰になり過ぎないため引き剥がしによる再剥離作業が容易になる。一方、粘着テ-プの破断強度が、10MPa未満であると、粘着テ-プを早く引き伸ばして剥がす際に該粘着テ-プが千切れてしまうことがあり、100.0MPaを超えると、粘着テ-プを引き伸ばして再剥離しようとした場合に、十分に引き伸ばすことができず再剥離することができないことがある。なお、粘着テ-プを引き伸ばして変形させる際に必要な力は、該粘着テ-プの厚さにも依存することになり、例えば、粘着テ-プの厚さが厚く破断強度が高い粘着テ-プを引き伸ばして再剥離しようとした場合にも、十分に引き伸ばすことができず再剥離することができないことがある。
粘着テ-プの破断強度は、粘着テ-プを、標線長さ20mm、幅5mmのダンベル状に打ち抜き、測定雰囲気23℃、50%RHの条件で、テンシロン引張試験機(型式:RTF-1210、株式会社エ-・アンド・デイ製)を用い、引張速度500mm/分間で長さ方向に引っ張り、破断したときに測定した応力値を指す。
【0204】
本実施形態の粘着テ-プの破断伸度は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、400~2000%が好ましく、500~1800%がより好ましく、600~1200%が更に好ましい。粘着テ-プの破断伸度が400%以上であると、粘着テ-プが強固に被着体に接着している場合でも、該粘着テ-プを再剥離する際に、被着体の貼付面に対して水平方向~垂直方向へ引き伸ばすための応力が大きくなり過ぎず、引き剥がす際においても該粘着テ-プが過剰に伸びすぎることなく容易に引き剥がすことができる。また、破断伸度が2000%以下であると、粘着テ-プを再剥離する際に、被着体の貼付面に対して水平方向~垂直方向への引き伸ばし距離が長くなりすぎず小スペ-スでの作業が可能となる。一方、破断伸度が、500%未満であると、粘着テ-プを再剥離する際に、被着体の貼付面に対して水平方向~垂直方向へ引き伸ばして剥がす際に破断を伴って剥がせないことがあり、1300%を超えると、粘着テ-プを再剥離する際に、被着体の貼付面に対して水平方向~垂直方向への引き伸ばし距離が長くなりすぎるため作業性が悪くなることがある。
粘着テ-プの破断伸度は、粘着テ-プを、標線長さ20mm、幅5mmのダンベル状に打ち抜き、測定雰囲気23℃、50%RHの条件で、テンシロン引張試験機(型式:RTF-1210、株式会社エ-・アンド・デイ製)を用い、引張速度500mm/分間で長さ方向に引っ張り、破断したときに測定した引張伸び率を指す。
【0205】
本実施形態の粘着テ-プは、所定の条件で、被着体の貼付面に対して垂直方向(90°方向)に引っ張って剥離させることができることが好ましい。具体的には、本実施形態の粘着テ-プは、後述する実施例の欄に記載の「90°伸張剥離の評価」にしたがって行った評価結果が、「粘着テ-プの切れの発生が、3回中、0回である」か、又は「粘着テ-プの切れの発生が、3回中、1回であった、及び/又は、被着体に残留した粘着層用組成物の面積が初期貼付面積に対して1/5以下未満である」。粘着テ-プがこのような物性を有することで、被着体からさらに簡易に且つさらに速やかに除去可能である。
【0206】
粘着テ-プは、耐衝撃性も優れるものである。耐衝撃性は、例えば、後述する実施例の欄における「耐衝撃性の評価」に記載の方法で確認することができる。耐衝撃性の評価において、粘着テ-プの剥がれ又は破壊が生じる撃芯の高さとしては、本発明の効果を損なわない範囲で適宜選択することができるが、30cm超であることが好ましく、40cm以上であることがより好ましく、50cm以上であることが更に好ましく、60cm以上であることが特に好ましい。前記高さが30cm以下であると、十分な耐衝撃性を得ることができない傾向がある。
【0207】
粘着テ-プの180°ピ-ル接着力は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、3~50N/20mmが好ましく、10~50N/20mmがより好ましく、15~45N/20mmが更に好ましい。180°ピ-ル接着力が、前記好ましい範囲内であると、被着体からの剥がれやズレを引き起こさず適度な接着力を有しながら、該粘着テ-プを被着体の貼付面に対して水平方向~垂直方向へ引き伸ばして再剥離する際に、容易に引き剥がすことができる。
粘着テ-プの180°ピ-ル接着力は、JIS Z 0237に準拠して測定して測定した値を指す。
【0208】
<粘着テ-プの製造方法>
本実施形態において、粘着テ-プの製造方法は、特に制限はなく、公知の方法の中から適宜選択することができる。本実施形態の粘着テ-プの製造方法では、粘着層形成工程を含むことが好ましく、必要に応じて、基材層形成工程と、積層工程とを含むことがより好ましく、更に必要に応じて、その他の層形成工程を含む。また、粘着層形成工程と、基材層形成工程とを同時に行う多層同時形成工程により製造することもできる。
【0209】
粘着層形成工程は、粘着層を形成することができる限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、上記した粘着層を形成する粘着層用組成物を用いて、剥離シ-トの表面に、ヒ-トプレス法、押し出し成型によるキャスト法、一軸延伸法、逐次二次延伸法、同時二軸延伸法、インフレ-ション法、チュ-ブ法、カレンダ-法、溶液法などの方法により粘着層を形成する方法などが挙げられる。これらの中でも、押し出し成型によるキャスト法、溶液法が好ましい。なお、粘着層用組成物には、上記のシリコーン複合フィラー、マイクロバルーン及び粘着剤樹脂の必須成分以外に、アクリル変性シリコーン、その他の粘着層任意成分又は公知の溶媒などを含んでもよい。そして、粘着層用組成物に含まれる各成分は、得られる粘着層中の、必須成分(シリコーン複合フィラー、マイクロバルーン及び粘着剤樹脂)、アクリル変性シリコーン及び粘着層任意成分の含有量が、それぞれ所定の範囲になるよう調製される。
【0210】
上記剥離シ-トとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、クラフト紙、グラシン紙、上質紙等の紙;ポリエチレン、ポリプロピレン(二軸延伸ポリプロピレン(OPP)、一軸延伸ポリプロピレン(CPP))、ポリエチレンテレフタレ-ト(PET)等の樹脂フィルム;前記紙と樹脂フィルムとを積層したラミネート紙、前記紙にクレイ又はポリビニルアルコールなどで目止め処理を施したものの片面若しくは両面に、シリコーン系樹脂等の剥離処理を施したものなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0211】
上記基材層形成工程は、基材層を形成することができる限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、上記した基材層を形成する基材組成物を用いて、ヒ-トプレス法、押し出し成型によるキヤスト法、一軸延伸法、逐次二次延伸法、同時二軸延伸法、インフレ-ション法、チュ-ブ法、カレンダ-法、溶液法などが挙げられる。これらの方法は、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、押し出し成型によるキヤスト法、インフレ-ション法、チュ-ブ法、カレンダ-法、溶液法が、基材層に好適な柔軟性や伸張性を付与する上で好ましい。なお、基材組成物には、上記の基材用材料、その他の基材層任意成分又は公知の溶媒(有機溶剤など)などを含んでもよい。また、基材層は、粘着層との密着性をより一層向上させることを目的として、表面処理が施されたものであってもよい。
上記表面処理法としては、特に制限はなく、公知の方法の中から、粘着テ-プの特性を損なわない範囲で適宜選択することができ、例えば、サンドブラスト法、表面研磨・摩擦法、コロナ放電処理法、クロム酸処理法、火炎処理法、熱風処理法、オゾン処理法、紫外線照射処理法、酸化処理法などが挙げられる。
【0212】
上記積層工程は、基材層を設ける場合、基材層と、粘着層とを積層する工程である。基材層と粘着層とを積層する方法としては、特に制限はなく、公知の方法の中から適宜選択することができ、例えば、粘着層形成工程で形成した剥離シ-トに付着した状態の粘着層と基材層とを加圧してラミネートする方法などが挙げられる。
【0213】
<粘着テ-プの用途>
本実施形態の粘着テ-プは、薄型テレビ、家電製品、OA機器等の比較的大型の電子機器を構成する板金同士の固定や外装部品と筐体との固定、携帯電子端末、カメラ、パソコーン等の比較的小型の電子機器への外装部品や電池等の剛体部品の固定などのような各産業分野での部品固定や該部品の仮固定、並びに製品情報を表示するラベルなどの用途に好適に使用できる。
【0214】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明の粘着テ-プは、上記の例に限定されることは無く、適宜変更を加えることができる。
【実施例0215】
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明は下記の実施例になんら限定されるものではない。各実施例及び比較例で得られた粘着テ-プの測定及び評価は、次の方法に基づいて行った。
【0216】
(粘着テ-プの評価方法)
(1)基材層の破断強度、破断伸度の測定
各基材層を、標線長さ20mm、幅5mmのダンベル状に打ち抜き、測定雰囲気23℃、50%RHの条件で、テンシロン引張試験機(型式:RTF-1210、株式会社エ-・アンド・デイ製)を用い、引張速度500mm/分間で長さ方向に引っ張ることで、基材層の破断強度、及び破断伸度を測定した。結果を下記表1に示す。
【0217】
(2)ゴム硬度の測定
デュロメ-タ(スプリング式ゴム硬度計)(型式:GS-719G、株式会社テクロック製)を用い、JIS K 6253に準拠して各粘着テ-プのタイプA硬度(ショアA)を測定した。
【0218】
(3)基材層及び粘着層の厚さの測定
基材層及び粘着層を、長さ方向に100mm間隔で5箇所、幅方向に切断し、各切断面において幅方向に100mm間お隔で5点の厚さをTH-104 紙・フィルム用厚さ測定機(テスタ-産業株式会社製)を用いて測定した。当該合計25点の厚さを平均して得られた値を基材層及び粘着層の厚さとした。
【0219】
(4)平均粒径及び数平均1次粒子径の測定
(平均粒径の測定)
レーザー回折散乱法を用いた測定機(マイクロトラック)を使用することにより、粘着剤用組成物に使用するシリコーン複合フィラー粒子及びマイクロバルーン粒子の平均粒径を測定した。
(数平均1次粒子径の測定)
液体窒素下で冷却させた粘着テ-プをミクロト-ムにより無作為に3箇所切断し、3個の断片をサンプルとした。そして、それぞれのサンプルに対して走査型電子顕微鏡を用いて倍率400倍の写真を撮影した後、撮影された3枚の写真から、中空体の粒子をマイクロバルーンとし、中実体の粒子をシリコーン複合フィラーと選別した。その後、画像解析ソフトを用いて二値化処理(例えば大津の二値化処理)により算出した中空体及び中実体の断面積を円の面積とみなし、中空体及び中実体それぞれの円相当径を測定した。そして、3枚の写真内の中空体及び中実体の合計個数とそれぞれに対応する円相当径とを算出して、以下の式(A)及び式(B)からシリコーン複合フィラー及びマイクロバルーンの数平均1次平均粒子径を算出した。
【数3】
(上記数式(A)中、nは中実体であるシリコーン複合フィラーの合計数を表し、Σd
pは撮影した写真中の中実体の外径に囲まれた領域の面積から算出した円相当径の総和を表す。)また、数平均1次平均粒子径の測定には、日立卓上顕微鏡MiniscopeTM3030Plusを使用した。
【数4】
(上記数式(B)中、mは中空体であるマイクロバルーンの合計数を表し、ΣD
pは撮影した写真中の中空体の外径に囲まれた領域の面積から算出した円相当径の総和を表す。)また、マイクロバルーンの数平均1次平均粒子径の測定には、シリコーン複合フィラーと同様の日立卓上顕微鏡MiniscopeTM3030Plusを使用した。
【0220】
(5)90°伸張剥離の評価
各粘着テ-プを、長さ70mm、幅10mmに切断した。このうち、長さ50mm、幅10mmを掴み手部としてはみ出させた状態で、雰囲気23℃、50%RHの条件下で、前記粘着テ-プの一方の面に清潔で表面が平滑なアルミ板(長さ150mm、幅70mm、厚さ2mm、合金番号A1050)に貼付した。次に、前記粘着テ-プにおける前記アルミ板を貼付した面とは反対側の面に、清潔で表面平滑なアクリル板(長さ150mm、幅70mm、厚さ2mm、アクリライトL、色調:無色、三菱レイヨン株式会社製)を貼付し、前記アルミ板と、前記粘着テ-プと、前記アクリル板との積層構造物に対して5kgの荷重を加えながらロ-ラ-で1往復加圧して圧着させた後、雰囲気23℃、50%RHの条件下で24時間静置したものを試験片とした。
雰囲気23℃、50%RHの条件下で、前記試験片における前記粘着テ-プの掴み手部分を該粘着テ-プの貼付面に対してアクリル板側であって90°方向(垂直方向)にテンシロン引張試験機(型式:RTF-1210、株式会社エ-・アンド・デイ製)を用いて荷重リミッタ-50Nに設定し、引張速度500mm/分間の速度で引き伸ばした。この際、テンシロン引張試験機で測定した応力を記録した。
また、外観評価としての粘着テ-プの切れの発生について、粘着テ-プ剥離後の被着体(前記アルミ板及び前記アクリル板の少なくともいずれか)への粘着層用組成物の残留の程度を目視にて確認した。
上記方法による試験を3回行い、下記評価基準に基づき再剥離性(垂直方向伸張剥離)を評価した。結果を下記表1~3に示す。
[外観評価基準]
◎:粘着テ-プの切れの発生が、3回中、0回であり、被着体に残留した粘着層用組成物がなかった。
○:粘着テ-プの切れの発生が、3回中、1回であった、及び/又は、被着体に残留した粘着層用組成物の面積が初期貼付面積に対して1/5未満であった。
△:粘着テ-プの切れの発生が、3回中、1回であり、かつ、粘着テ-プが伸長せず、被着体に残留した粘着テ-プの面積が初期貼付面積に対して1/5以上であった。
×:粘着テ-プの切れの発生が、3回中、2回以上であった、及び/又は、粘着テ-プが伸長せず、再剥離できなかった。
なお、◎及び○が、使用上問題がないものである。
【0221】
(6)接着力の評価
180°ピ-ル接着力は、JIS Z 0237に準拠して測定した。具体的には、各粘着テ-プを、長さ150mm、幅20mmに切断し、該粘着テ-プの一方の面に、厚さ25μmのPETフィルムで裏打ちした。次に、前記粘着テ-プの他方の面を、雰囲気23℃、50%RHの条件下でステンレス板(長さ100mm、幅30mm、厚さ3mm)に貼付し、前記粘着テ-プと、前記ステンレス板との積層構造物に対して2kgの荷重を加えながらロ-ラ-で1往復加圧して圧着させた後、雰囲気23℃、50%RHの条件下で1時間静置したものを試験片とした。
前記試験片における粘着テ-プを、雰囲気23℃、50%RHの条件下で、180°方向(水平方向)にテンシロン引張試験機(型式:RTF-1210、株式会社エ-・アンド・デイ製)を用いて引張速度300mm/分間の速度で引き伸ばし、前記粘着テ-プの180°ピ-ル接着力を測定した。
【0222】
(7)保持力の評価
粘着テ-プの一方の粘着面を厚さ25μmのポリエチレンテレフタレ-トフィルムで裏打ちし、20mm幅×100mm長さに切断したものを、23℃及び50%RH雰囲気下で、清潔で表面平滑なステンレス板(360番耐水研磨紙でヘアライン研磨処理)の表面に貼付面積が20mm×20mmになるように載置し、その上面を2kgロ-ラ-で1往復させることによってそれらを圧着させ、23℃の環境下に1時間放置することによって試験片を作製した。そして、前記試験片を構成するステンレス板を固定した状態で、前記粘着テ-プに70℃の環境下で1kgの荷重をかけた時から、前記粘着テ-プがステンレス板から落下するまでの時間を測定した。15時間以上経過しても粘着テ-プが落下しなかった場合、「〇」と表記し、15時間以内に粘着テ-プが落下した場合「×」と表記した。
【0223】
(8)耐衝撃性の評価
図1に示すように、長さ20mm、幅2mmに切断した各粘着テ-プ1を、それぞれ2枚用意した。アルミ板11(長さ50mm、幅25mm、厚さ0.8mm、合金番号A1050)に、前記粘着テ-プ1を40mmの間隔をあけて平行に貼付した。その粘着テ-プ1の反対面に、アクリル板12(長さ50mm、幅25mm、厚さ2.5mm、アクリライトL、色調:無色、三菱レイヨン株式会社製)を貼付し、2kgの荷重を加えながらロ-ラ-で1往復加圧して圧着させた後、雰囲気40℃、50%RHの条件下で24時間静置したものを試験片10とした。なお、
図1は、アクリル板12側から見た試験片10の概略平面図であり、説明のためにアクリル板12の位置をずらして図示しているが、実際はアクリル板12の外周とアルミ板11の外周とが平面視上重なるように配置される。
次に、
図2(左図)に示すように、被着体に粘着テープが貼り付けられた物品を想定して、試験片10のアクリル板12側に300gのステンレス製の荷重21を備えた状態で、デュポン衝撃試験機(テスタ-産業株式会社製)の台座の上に、コの字型測定台22(長さt:150mm、幅(図中符号なし):100mm、高さh:45mm、厚さw:5mmのアルミ製)を設置し、試験片10を、雰囲気23℃、50%RHの条件下で、アルミ板11側が下向きになる様にコの字型測定台22に向かって落下させた。
図2(左図)中の矢印Xは荷重21を備えた試験片10の落下方向を示す。そして、
図2(右図)は、試験片10のアルミ板11側が下向きになってコの字型測定台22に落下した状態を示す概略図である。
コの字型測定台22の高さ方向の最頂部を基準Oとして、上記基準Oから試験片10の荷重21との接着面の位置Pまでの高さHを10cmから開始して10cmずつ変化させながら、高さ毎に5回落下させ、試験片10における粘着テ-プ1の剥がれ又は破壊が認められた時の高さHを測定した。
【0224】
(9)切断加工性の評価
23℃、50%RHの恒温室において、JIS Z0237:2000の粘着力評価方法に準拠して、下記で得られた粘着層又は粘着テ-プを厚さ2mmのアクリル板(鏡面仕上げ、三菱レイヨン株式会社製「アクリライト」)の両面に貼着した。粘着層又は粘着テ-プが貼着されたアクリル板を高速カッタ-で切断したときの、粘着層又は粘着テ-プの切断端面を目視で観察し、以下の基準によって切断加工性を評価した。
〇切断箇所が再付着した。(ゴム基材テ-プの場合は、粘着テ-プそのものが伸びてしまい寸法不良が発生)
×切断箇所が再付着しなかった。(ゴム基材テ-プの場合であってもストレスなく切り離すことができた。)
(10)摩擦力の測定
粘着テープの粘着層の摩擦力(23℃)は、JIS K7125に定義される測定装置に準拠して測定をした。滑り片としては、片側にフェルトを備えたステンレス製プレート(40cm2、200g荷重)と綿帆布#9とが、両面テープ(DIC製#8800CH)を介して前記フェルト面及び前記綿帆布#9が向かいあって貼り合わされたものを準備した。なお、ここでいう綿帆布#9とは、9号綿帆布[(旧JIS L3102を準用)原糸撚り(経糸10/2、緯糸10/3)、密度(経糸44~48本/inch、緯糸33~37本/inch)、重さ510g/m2)]をいう。続いて、評価に使用する粘着テープを幅100mm×長さ200mmのサイズにカットし、粘着テープの測定対象の粘着層表面が上向きになる様に平滑で水平な試験テーブルに固定した。滑り片が粘着テープの測定対象の粘着層表面の上を滑るときの応力値を測定する。なお、本測定方法によって得られる応力値は、粘着層表面に対する摩擦力が高いことから静摩擦力が連続的に測定された状態となる。このため、応力値と滑り片の移動距離のグラフを作成し、比較的応力値が安定している移動距離範囲から移動距離50mm分の応力値を抽出し、抽出した応力値のピーク値の算術平均を摩擦力とした。
【0225】
(粘着テ-プの作製)
続いて、実施例、比較例で用いた各材料等は下記のとおりである。
〔粘着層〕
<シリコーン複合フィラー>、
・シリコーン複合フィラー(1):表面がシリコーンレジンであり、内部がシリコーンゴムである粒子(信越化学工業社製、KMP-602、平均粒径:30μm、粒度分布(D90/D10):5.2)を使用した。
・シリコーン複合フィラー(2):表面がシリコーンレジンであり、内部がシリコーンゴムである粒子(信越化学工業社製、KMP-601、平均粒径:12μm、粒度分布(D90/D10):4.4)を使用した。
・シリコーンゴムフィラー(1):シリコーンゴムで形成された粒子(表面にシリコーンレジンがない粒子)(信越化学工業社製、KMP-598、平均粒径:13μm、粒度分布(D90/D10):4.9)を使用した。
【0226】
<マイクロバルーン>
・マイクロバルーン(1):低沸点炭化水素を内包し、シェルがポリアクリロニトリルであり、かつ当該シェルをタルク被覆した中空体(製品名:MFL-81GTA 平均粒径:20μm、真比重0.23g/cm3)
・マイクロバルーン(2):低沸点炭化水素を内包し、シェルがポリアクリロニトリルであり、かつ当該シェルを炭酸カルシウム被覆した中空体(製品名:EMC-40(AS) 平均粒径:42μm、真比重0.13g/cm3)
・マイクロバルーン(3):低沸点炭化水素を内包し、シェルがポリアクリロニトリルであり、当該シェルを炭酸カルシウム被覆した中空体(製品名:EMC-80(B) 平均粒径:70μm、真比重0.13g/cm3)
【0227】
<粘着剤樹脂>
・アクリル樹脂(1):
アルゴンで内部を置換した内容積1000mlのフラスコ内に、乾燥トルエン500mlと、重合開始剤としてのビス(ペンタメチルシクロペンタジエニル)サマリウム・テトラヒドロフラナ-ト錯体〔(C5Me5)2SmMe(THF)〕0.75gの乾燥トルエン溶液80mlを加えて混合溶液を調製した。当該混合溶液に対して、0℃でメタクリル酸メチル(MMA)を12.0ml加え、0℃で30分間攪拌した。そして、系中から20mlの溶液をサンプリングした(サンプル1)。上記のMMAの重合後、重合反応系を-78℃まで冷却し、アクリル酸n-ブチル(nBA)88.0mlを第2番目の単量体として加え、-78℃で3時間攪拌を行った。そして、系中から20mlの溶液をサンプリングした(サンプル2)。上記のnBAの重合後、この重合系にMMA12.0mlを第3番目の単量体として-78℃で添加して溶液を攪拌した。溶液が均一になった後、0℃に昇温して、さらに1時間攪拌した。得られた反応混合液に、メタノ-ルを50ml加えて室温で2時間反応させることによって重合を停止した。この重合停止後の反応溶液を大量のヘキサン中に注ぎ、析出した白色沈殿物を得た。そして、白色沈殿物の一部をサンプリングした(サンプル3)。
【0228】
上記サンプル1~3中の各重合体について、NMR測定、DSC測定、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフ)測定を行った。そして、当該測定結果に基づいて、数平均分子量(Mn)、PMMA/PnBA(ポリメタクリル酸メチルブロック/ポリアクリル酸n-ブチルブロック)比等を求めたところ、上記の白色沈殿物はポリメタクリル酸メチル(PMMA)ブロック-ポリアクリル酸n-ブチル(PnBA)ブロック-ポリメタクリル酸メチル(PMMA)ブロックのトリブロック共重合体(PMMA-b-PnBA-b-PMMA)であることが確認された。また、トリブロック共重合体(PMMA-b-PnBA-b-PMMA、以下、トリブロック共重合体(1)と称する。)のPMMAブロック部のシンジオタクチシティ-は71%であり、同ブロック部のガラス転移温度は113.7℃であり、PnBAブロック部のガラス転移温度は-46.8℃であり、共重合体全体のMnは95936であり、共重合体全体のMw/Mn(分子量分布)は1.09であり、各重合体ブロックの割合はPMMA(11重量%)-PnBA(78重量%)-PMMA(11重量%)であることが確認された。
上記で得られた白色沈殿物を酢酸エチルで希釈することによって固形分45質量%のアクリル樹脂溶液(1)を得た。
・アクリル樹脂(2):
攪拌機、還流冷却管、窒素導入管、温度計、及び滴下漏斗を備えた反応容器に、n-ブチルアクリレ-ト75.94重量部、2-エチルヘキシルアクリレ-ト5重量部、シクロヘキシルアクリレ-ト15重量部、アクリル酸4重量部、4-ヒドロキシブチルアクリレ-ト0.06重量部、及び酢酸エチル200重量部を仕込み、攪拌下、窒素を吹き込みながら65℃まで昇温させて混合物(1a)を得た。次に、前記混合物(1a)に、予め酢酸エチルに溶解した2,2’-アゾビスイソブチロニトリル溶液4重量部(固形分2.5重量%)を添加し、攪拌下、65℃で10時間ホ-ルドして混合物(1b)を得た。次に、前記混合物(1b)を酢酸エチル98重量部で希釈し、200メッシュ金網でろ過することによって、重量平均分子量160万(ポリスチレン換算)のアクリル樹脂溶液(1)溶液を得た。
【0229】
<粘着層任意成分>
・粘着付与樹脂(1)
テルペンフェノ-ル系粘着付与樹脂(タマノル803L、荒川化学工業株式会社)を使用した。
・粘着付与樹脂(2)
重合ロジンエステル系粘着付与樹脂(D-125、荒川化学工業株式会社)を使用した。
・粘着付与樹脂(3)
石油系粘着付与樹脂(FTR(登録商標)6125、三井化学株式会社製)を使用した。
・アクリル変性シリコーン(1)
アクリル変性シリコーン(1)としては、シャリ-ヌR-770(日信化学工業(株)製商品名;平均粒径350μm)を使用した。
・アクリル変性シリコーン(2)
アクリル変性シリコーン(2)としては、シャリ-ヌR-773(信越化学工業(株)製商品名;平均粒径30μm)を使用した。
【0230】
〔基材層〕
<基材用材料>
・基材用材料(1)(SIS)
前記基材用材料(1)としては、スチレン-イソプレン共重合体及びスチレン-イソプレン-スチレン共重合体の混合物(以下、「SIS」と称することがある)を用いた。当該混合物は、下記化学式(5)で表されるスチレン由来の構造単位25重量%であり、前記樹脂組成物(1)の全量に対するスチレン-イソプレン共重合体の割合が17重量%のものを使用した。
【化9】
【0231】
・基材用材料(2)(SEEPS)
窒素置換し、乾燥させた耐圧容器に、溶媒としてシクロヘキサン3,000mL、開始剤として濃度10.5質量%のsec-ブチルリチウム(シクロヘキサン溶液)9.2mLを仕込み、60℃に昇温した後、スチレンを100mL加えて60分間重合した。
その後、同温度で、イソプレン270mL及びブタジエン350mLを加え、その後90分間反応させた。続いて、同温度でスチレン100mLを添加して60分間重合させた後、メタノ-ル0.52mLで重合を停止し、ブロック共重合体を含む重合反応液を得た。
この反応混合液に水素添加触媒としてパラジウムカーボン(パラジウム担持量:5質量%)を29.3g添加し、水素圧力2MPa、150℃で10時間水素添加反応を行った。放冷、放圧後、濾過によりパラジウムカーボンを除去し、濾液を濃縮し、さらに真空乾燥することにより基材用材料(2)を得た。
得られた基材用材料(2)は、スチレン含有量が30質量%、重量平均分子量が98000、分子量分布が1.03、水素添加率が98%であった。
【0232】
以下、本実施例及び比較例において使用した粘着層の形成に使用する粘着層用組成物の調製方法を説明する。
[粘着層用組成物の調製方法]
・粘着層用組成物(1)の調製方法
上記アクリル樹脂(1)の固形分100質量部に対して粘着付与樹脂(1)を36質量部加えたあと、シリコーン複合フィラー(1)17.5質量部と、マイクロバルーン(1)9.8質量部と、酢酸エチルを加え均一になるように攪拌して固形分が45%である粘着層用組成物(1)を得た。
【0233】
・粘着層用組成物(2)の調製方法
上記アクリル樹脂(2)の固形分100重量部に対して、重合ロジンエステル系粘着付与樹脂(D-125、荒川化学工業株式会社)5重量部と石油系粘着付与樹脂(FTR(登録商標)6125、三井化学株式会社製)15重量部使用とを混合攪拌したのち、シリコーン複合フィラー(1)17.5質量部と、マイクロバルーン(1)9.8質量部と、酢酸エチルを加え均一になるように攪拌して固形分が38%である混合物(1)を調製した。次に、前記混合物(1)100質量部に対し、架橋剤(バ-ノックD-40、DIC株式会社製;トリレンジイソシアネートのトリメチロ-ルプロパンアダクト体、イソシアネート基含有率7重量%、不揮発分40重量%)1.3質量部を添加し、均一になるよう攪拌混合することで粘着層用組成物(2)を得た。
【0234】
・粘着層用組成物(3)の調製方法
上記粘着層用組成物(1)と同様に、上記アクリル樹脂(1)の固形分100質量部に対して粘着付与樹脂(1)を36質量部加えたあと、シリコーン複合フィラー(2)17.5質量部と、マイクロバルーン(1)9.8質量部と、酢酸エチルを加え均一になるように攪拌して固形分が45%である粘着層用組成物(3)を得た。
【0235】
・粘着層用組成物(4)の調製方法
上記粘着層用組成物(1)と同様に、上記アクリル樹脂(1)の固形分100質量部に対して粘着付与樹脂(1)を36質量部加えたあと、シリコーン複合フィラー(1)17.5質量部と、マイクロバルーン(1)4.2質量部と、酢酸エチルを加え均一になるように攪拌して固形分が45%である粘着層用組成物(4)を得た。
【0236】
・粘着層用組成物(5)の調製方法
上記粘着層用組成物(1)と同様に、上記アクリル樹脂(1)の固形分100質量部に対して粘着付与樹脂(1)を36質量部加えたあと、シリコーン複合フィラー(1)17.5質量部と、マイクロバルーン(1)17.5質量部と、酢酸エチルを加え均一になるように攪拌して固形分が45%である粘着層用組成物(5)を得た。
【0237】
・粘着層用組成物(6)
上記粘着層用組成物(1)と同様に、上記アクリル樹脂(1)の固形分100質量部に対して粘着付与樹脂(1)を36質量部加えたあと、シリコーン複合フィラー(1)17.5質量部と、マイクロバルーン(1)17.5質量部と、アクリル変性シリコーン(1)1質量部と、酢酸エチルを加え均一になるように攪拌して固形分が45%である粘着層用組成物(6)を得た。
【0238】
・粘着層用組成物(7)
上記アクリル樹脂(2)の固形分100重量部に対して、重合ロジンエステル系粘着付与樹脂(D-125、荒川化学工業株式会社)5重量部と石油系粘着付与樹脂(FTR(登録商標)6125、三井化学株式会社製)15重量部使用とを混合攪拌したのち、シリコーン複合フィラー(1)17.5質量部と、マイクロバルーン(1)9.8質量部と、アクリル変性シリコーン(1)1質量部と、酢酸エチルを加え均一になるように攪拌して固形分が38%である混合物(2)を調製した。次に、前記混合物(2)100質量部に対し、架橋剤(バーノックD-40、DIC株式会社製;トリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体、イソシアネート基含有率7重量%、不揮発分40重量%)1.3質量部を添加し、均一になるよう攪拌混合することで粘着層用組成物(7)を得た。
【0239】
・粘着層用組成物(8)
上記粘着層用組成物(1)と同様に、上記アクリル樹脂(1)の固形分100質量部に対して粘着付与樹脂(1)を36質量部加えたあと、シリコーン複合フィラー(2)28質量部と、マイクロバルーン(2)10.1質量部と、酢酸エチルを加え均一になるように攪拌して固形分が45%である粘着層用組成物(8)を得た。
【0240】
・粘着層用組成物(9)
上記粘着層用組成物(1)と同様に、上記アクリル樹脂(1)の固形分100質量部に対して粘着付与樹脂(1)を36質量部加えたあと、酢酸エチルを加え均一になるように攪拌して固形分が45%である粘着層用組成物(9)を得た。
【0241】
・粘着層用組成物(10)
上記アクリル樹脂(1)の固形分100質量部に対して粘着付与樹脂(1)を36質量部加えたあと、マイクロバルーン(1)7.7質量部と、酢酸エチルを加え均一になるように攪拌して固形分が45%である粘着層用組成物(10)を得た。
【0242】
・粘着層用組成物(11)
上記アクリル樹脂(1)の固形分100質量部に対して粘着付与樹脂(1)を36質量部加えたあと、シリコーン複合フィラー(1)17.5質量部と、酢酸エチルを加え均一になるように攪拌して固形分が45%である粘着層用組成物(11)を得た。
【0243】
・粘着層用組成物(12)の調製方法
上記アクリル樹脂(1)の固形分100質量部に対して粘着付与樹脂(1)を36質量部加えたあと、シリコーン複合フィラー(1)17.5質量部と、マイクロバルーン(3)6.0質量部と、酢酸エチルを加え均一になるように攪拌して固形分が45%である粘着層用組成物(12)を得た。
【0244】
・粘着層用組成物(13)の調製方法
上記アクリル樹脂(1)の固形分100質量部に対して粘着付与樹脂(1)を36質量部加えたあと、シリコーン複合フィラー(2)17.5質量部と、マイクロバルーン(1)26質量部と、酢酸エチルを加え均一になるように攪拌して固形分が45%である粘着層用組成物(13)を得た。
【0245】
・粘着層用組成物(14)の調製方法
上記アクリル樹脂(1)の固形分100質量部に対して粘着付与樹脂(1)を36質量部加えたあと、シリコーンゴムフィラー(1)17.5質量部と、マイクロバルーン(1)9.8質量部と、酢酸エチルを加え均一になるように攪拌して固形分が45%である粘着層用組成物(14)を得た。
【0246】
「粘着テ-プの製造」
〔実施例1〕
上記基材用材料(1)が固形分30質量%となる様にトルエンを用いて希釈した塗布液(1)を調製した。そして、アプリケ-タ-により乾燥後の厚みが50μmになるように離型ライナ-(フィルムバイナ75E-0010GT、藤森工業株式会社製、以下同様)上に前記塗布液(1)を塗布し、65℃にて15分間乾燥させることによって基材層を作製した。次に、粘着層用組成物(1)をアプリケ-タ-により乾燥後の厚みが100μmになるように離型ライナ-(フィルムバイナ75E-0010GT、藤森工業株式会社製、以下同様)上に塗布し、85℃にて3分間乾燥させることによって粘着層を作製した。次に、前記基材層の両面における濡れ張力が56mN/mとなるようコロナ処理した後、前記粘着層を両面に貼り合わせ、前記基材層と前記粘着層との積層体に対して0.2MPaで加圧してラミネートすることによって、実施例1の粘着テ-プを製造した。得られた粘着テ-プを上記の方法で評価し、その結果を表1に示す。
また、実施例1で得られた粘着テープ中の粘着層に存在するシリコーン変性フィラー及びマイクロバルーンの数平均1次粒子径を上記の方法に従って測定した。
【0247】
〔実施例2〕
実施例1と同様の方法により、上記基材用材料(2)が固形分20質量%となる様にトルエンを用いて希釈した塗布液(2)を調製した。そして、アプリケ-タ-により乾燥後の厚みが50μmになるように離型ライナ-(フィルムバイナ75E-0010GT、藤森工業株式会社製、以下同様)上に前記塗布液(1)を塗布し、65℃にて15分間乾燥させることによって基材層を作製した。次に、粘着層用組成物(1)をアプリケ-タ-により乾燥後の厚みが100μmになるように離型ライナ-(フィルムバイナ75E-0010GT、藤森工業株式会社製、以下同様)上に塗布し、85℃にて3分間乾燥させることによって粘着層を作製した。次に、前記基材層の両面における濡れ張力が56mN/mとなるようコロナ処理した後、前記粘着層を両面に貼り合わせ、前記基材層と前記粘着層との積層体に対して0.2MPaで加圧してラミネートすることによって、実施例2の粘着テ-プを製造した。得られた粘着テ-プを上記の方法で評価し、その結果を表1に示す。また、実施例2で得られた粘着テープ中の粘着層に存在するシリコーン変性フィラー及びマイクロバルーンの数平均1次粒子径を上記の方法に従って測定した。
【0248】
〔実施例3〕
上記基材用材料(1)が固形分30質量%となる様にトルエンを用いて希釈した塗布液(1)を調製した。そして、アプリケ-タ-により乾燥後の厚みが50μmになるように離型ライナ-(フィルムバイナ75E-0010GT、藤森工業株式会社製、以下同様)上に前記塗布液(1)を塗布し、65℃にて15分間乾燥させることによって基材層を作製した。次に、粘着層用組成物(2)をアプリケ-タ-により乾燥後の厚みが100μmになるように離型ライナ-(フィルムバイナ75E-0010GT、藤森工業株式会社製、以下同様)上に塗布し、85℃にて3分間乾燥させることによって粘着層を作製した。次に、前記基材層の両面における濡れ張力が56mN/mとなるようコロナ処理した後、前記粘着層を両面に貼り合わせ、前記基材層と前記粘着層との積層体に対して0.2MPaで加圧してラミネートした後、40℃環境下で2日間養生することによって、実施例3の粘着テ-プを製造した。得られた粘着テ-プを上記の方法で評価し、その結果を表1に示す。また、実施例3で得られた粘着テープ中の粘着層に存在するシリコーン変性フィラー及びマイクロバルーンの数平均1次粒子径を上記の方法に従って測定した。
【0249】
〔実施例4〕
粘着層用組成物(1)の代わりに粘着層用組成物(3)を用いた以外は、実施例1と同様の方法で実施例4の粘着テ-プを製造した。得られた粘着テ-プを上記の方法で評価し、その結果を表1に示す。また、実施例4で得られた粘着テープ中の粘着層に存在するシリコーン変性フィラー及びマイクロバルーンの数平均1次粒子径を上記の方法に従って測定した。
【0250】
〔実施例5〕
実施例1と同様の方法により、上記基材用材料(2)が固形分20質量%となる様にトルエンを用いて希釈した塗布液(2)を調製した。そして、アプリケ-タ-により乾燥後の厚みが100μmになるように離型ライナ-(フィルムバイナ75E-0010GT、藤森工業株式会社製、以下同様)上に前記塗布液(2)を塗布し、65℃にて15分間乾燥させることによって基材層を作製した。次に、粘着層用組成物(4)をアプリケ-タ-により乾燥後の厚みが75μmになるように離型ライナ-(フィルムバイナ75E-0010GT、藤森工業株式会社製、以下同様)上に塗布し、85℃にて3分間乾燥させることによって粘着層を作製した。次に、前記基材層の両面における濡れ張力が56mN/mとなるようコロナ処理した後、前記粘着層を両面に貼り合わせ、前記基材層と前記粘着層との積層体に対して0.2MPaで加圧してラミネートすることによって、実施例5の粘着テ-プを製造した。得られた粘着テ-プを上記の方法で評価し、その結果を表1に示す。また、実施例5で得られた粘着テープ中の粘着層に存在するシリコーン変性フィラー及びマイクロバルーンの数平均1次粒子径を上記の方法に従って測定した。
【0251】
〔実施例6〕
粘着層用組成物(1)の代わりに粘着層用組成物(5)を用いた以外は、実施例1と同様の方法で実施例6の粘着テ-プを製造した。得られた粘着テ-プを上記の方法で評価し、その結果を表1に示す。また、実施例6で得られた粘着テープ中の粘着層に存在するシリコーン変性フィラー及びマイクロバルーンの数平均1次粒子径を上記の方法に従って測定した。
【0252】
〔実施例7〕
粘着層用組成物(1)の代わりに粘着層用組成物(6)を用いた以外は、実施例2と同様の方法で実施例6の粘着テ-プを製造した。得られた粘着テ-プを上記の方法で評価し、その結果を表1に示す。また、実施例7で得られた粘着テープ中の粘着層に存在するシリコーン変性フィラー及びマイクロバルーンの数平均1次粒子径を上記の方法に従って測定した。
【0253】
〔実施例8〕
粘着層用組成物(1)をアプリケ-タ-により乾燥後の厚みが150μmになるように離型ライナ-(フィルムバイナ75E-0010GT、藤森工業株式会社製、以下同様)上に塗布し、85℃にて3分間乾燥させることによって、実施例8の粘着テ-プを製造した。得られた粘着テ-プを上記の方法で評価し、その結果を表1に示す。また、実施例8で得られた粘着テープ中の粘着層に存在するシリコーン変性フィラー及びマイクロバルーンの数平均1次粒子径を上記の方法に従って測定した。
【0254】
〔実施例9〕
上記基材用材料(2)が固形分20質量%となる様にトルエンを用いて希釈した塗布液(2)を調製した。そして、アプリケ-タ-により乾燥後の厚みが50μmになるように離型ライナ-(フィルムバイナ75E-0010GT、藤森工業株式会社製、以下同様)上に前記塗布液(2)を塗布し、65℃にて15分間乾燥させることによって基材層を作製した。次に、粘着層用組成物(8)をアプリケ-タ-により乾燥後の厚みが100μmになるように離型ライナ-(フィルムバイナ75E-0010GT、藤森工業株式会社製、以下同様)上に塗布し、85℃にて3分間乾燥させることによって粘着層を作製した。次に、前記基材層の両面における濡れ張力が56mN/mとなるようコロナ処理した後、前記粘着層を両面に貼り合わせ、前記基材層と前記粘着層との積層体に対して0.2MPaで加圧してラミネートした後、40℃環境下で2日間養生することによって、実施例9の粘着テ-プを製造した。得られた粘着テ-プを上記の方法で評価し、その結果を表1に示す。また、実施例9で得られた粘着テープ中の粘着層に存在するシリコーン変性フィラー及びマイクロバルーンの数平均1次粒子径を上記の方法に従って測定した。
【0255】
〔比較例1〕
上記基材用材料(2)が固形分20質量%となる様にトルエンを用いて希釈した塗布液(2)を調製した。そして、アプリケ-タ-により乾燥後の厚みが100μmになるように離型ライナ-(フィルムバイナ75E-0010GT、藤森工業株式会社製、以下同様)上に前記塗布液(2)を塗布し、65℃にて15分間乾燥させることによって基材層を作製した。次に、粘着層用組成物(9)をアプリケ-タ-により乾燥後の厚みが75μmになるように離型ライナ-(フィルムバイナ75E-0010GT、藤森工業株式会社製、以下同様)上に塗布し、85℃にて3分間乾燥させることによって粘着層を作製した。次に、前記基材層の両面における濡れ張力が56mN/mとなるようコロナ処理した後、前記粘着層を両面に貼り合わせ、前記基材層と前記粘着層との積層体に対して0.2MPaで加圧してラミネートすることによって、比較例1の粘着テ-プを製造した。得られた粘着テ-プを上記の方法で評価し、その結果を表1に示す。また、比較例1で得られた粘着テープ中の粘着層に存在するシリコーン変性フィラー及びマイクロバルーンの数平均1次粒子径を上記の方法に従って測定した。
【0256】
〔比較例2〕
粘着層用組成物(9)の代わりに粘着層用組成物(10)を用いた以外は、比較例1と同様の方法で比較例2の粘着テ-プを製造した。得られた粘着テ-プを上記の方法で評価し、その結果を表2に示す。また、比較例2で得られた粘着テープ中の粘着層に存在するシリコーン変性フィラー及びマイクロバルーンの数平均1次粒子径を上記の方法に従って測定した。
【0257】
〔比較例3〕
粘着層用組成物(9)の代わりに粘着層用組成物(11)を用いた以外は、比較例1と同様の方法で比較例3の粘着テ-プを製造した。得られた粘着テ-プを上記の方法で評価し、その結果を表2に示す。また、比較例3で得られた粘着テープ中の粘着層に存在するシリコーン変性フィラー及びマイクロバルーンの数平均1次粒子径を上記の方法に従って測定した。
【0258】
〔比較例4〕
粘着層用組成物(9)の代わりに粘着層用組成物(12)を用いた以外は、比較例1と同様の方法で比較例4の粘着テ-プを製造した。得られた粘着テ-プを上記の方法で評価し、その結果を表2に示す。また、比較例4で得られた粘着テープ中の粘着層に存在するシリコーン変性フィラー及びマイクロバルーンの数平均1次粒子径を上記の方法に従って測定した。
【0259】
〔比較例5〕
粘着層用組成物(9)の代わりに粘着層用組成物(13)を用いた以外は、比較例1と同様の方法で比較例5の粘着テ-プを製造した。得られた粘着テ-プを上記の方法で評価し、その結果を表2に示す。また、比較例5で得られた粘着テープ中の粘着層に存在するシリコーン変性フィラー及びマイクロバルーンの数平均1次粒子径を上記の方法に従って測定した。
【0260】
〔比較例6〕
粘着層用組成物(9)の代わりに粘着層用組成物(14)を用いた以外は、比較例1と同様の方法で比較例6の粘着テ-プを製造した。得られた粘着テ-プを上記の方法で評価し、その結果を表2に示す。また、比較例6で得られた粘着テープ中の粘着層に存在するシリコーン変性フィラー及びマイクロバルーンの数平均1次粒子径を上記の方法に従って測定した。
【0261】
【0262】