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  • 特開-静電チャック、基板固定装置 図1
  • 特開-静電チャック、基板固定装置 図2
  • 特開-静電チャック、基板固定装置 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022095187
(43)【公開日】2022-06-28
(54)【発明の名称】静電チャック、基板固定装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/683 20060101AFI20220621BHJP
   H02N 13/00 20060101ALI20220621BHJP
【FI】
H01L21/68 R
H02N13/00 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020208364
(22)【出願日】2020-12-16
(71)【出願人】
【識別番号】000190688
【氏名又は名称】新光電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】大沼 崇
(72)【発明者】
【氏名】竹元 啓一
【テーマコード(参考)】
5F131
【Fターム(参考)】
5F131AA02
5F131AA03
5F131AA32
5F131BA03
5F131BA04
5F131BA19
5F131CA09
5F131DA33
5F131DA42
5F131EA03
5F131EB11
5F131EB12
5F131EB14
5F131EB15
5F131EB18
5F131EB56
5F131EB78
5F131EB79
5F131EB84
(57)【要約】
【課題】静電チャックにおいて、放電の発生を抑制する。
【解決手段】本静電チャックは、吸着対象物が載置される載置面を有する基体と、前記基体に内蔵された電極と、を有し、前記基体には、前記載置面側に開口し、前記電極までは達しない溝が設けられ、前記基体の厚さ方向において、前記溝の底面と前記電極との間に、前記溝に近い側から、セラミックスからなる低抵抗領域と、前記低抵抗領域よりも体積抵抗率が高いセラミックスからなる高抵抗領域と、が順次配置されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸着対象物が載置される載置面を有する基体と、前記基体に内蔵された電極と、を有し、
前記基体には、前記載置面側に開口し、前記電極までは達しない溝が設けられ、
前記基体の厚さ方向において、前記溝の底面と前記電極との間に、
前記溝に近い側から、セラミックスからなる低抵抗領域と、前記低抵抗領域よりも体積抵抗率が高いセラミックスからなる高抵抗領域と、が順次配置されている、静電チャック。
【請求項2】
前記高抵抗領域は、平面視で、前記溝と重複する領域に設けられる、請求項1に記載の静電チャック。
【請求項3】
前記溝は、平面視で環状に設けられ、
前記高抵抗領域は、前記溝と重複する領域に環状に設けられる、請求項2に記載の静電チャック。
【請求項4】
複数の前記溝が、平面視で互いに接しないように同心円状に設けられ、
前記高抵抗領域は、平面視で、各々の前記溝と重複する領域に環状に設けられる、請求項3に記載の静電チャック。
【請求項5】
前記高抵抗領域は、前記溝よりも幅が広い、請求項1乃至4の何れか一項に記載の静電チャック。
【請求項6】
前記高抵抗領域は、前記電極の前記溝側の面に接している、請求項1乃至5の何れか一項に記載の静電チャック。
【請求項7】
前記溝の底面に開口するガス排出部が設けられ、
前記ガス排出部は、前記高抵抗領域を貫通する、請求項1乃至6の何れか一項に記載の静電チャック。
【請求項8】
前記高抵抗領域は酸化アルミニウムから形成され、体積抵抗率が1015Ωm以上である、請求項1乃至7の何れか一項に記載の静電チャック。
【請求項9】
ジョンセン・ラーベック型である、請求項1乃至8の何れか一項に記載の静電チャック。
【請求項10】
ベースプレートと、
前記ベースプレートの一方の面に搭載された請求項1乃至9の何れか一項に記載の静電チャックと、を有する基板固定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、静電チャック、基板固定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ICやLSI等の半導体装置を製造する際に使用される成膜装置(例えば、CVD装置やPVD装置等)やプラズマエッチング装置は、ウェハを真空の処理室内に精度良く保持するためのステージを有する。
【0003】
このようなステージとして、例えば、ベースプレートに搭載された静電チャックにより、吸着対象物であるウェハを吸着保持する基板固定装置が提案されている。例えば、静電チャックの基体には静電電極が内蔵され、基体のウェハを吸着保持する載置面には凹凸構造が形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2016/158110号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、ウェハを吸着保持する載置面に凹凸構造を有する場合、凹部の底面と基体に内蔵された静電電極との距離が近づくため、放電が生じやすくなるおそれがある。
【0006】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、静電チャックにおいて、放電の発生を抑制することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本静電チャックは、吸着対象物が載置される載置面を有する基体と、前記基体に内蔵された電極と、を有し、前記基体には、前記載置面側に開口し、前記電極までは達しない溝が設けられ、前記基体の厚さ方向において、前記溝の底面と前記電極との間に、前記溝に近い側から、セラミックスからなる低抵抗領域と、前記低抵抗領域よりも体積抵抗率が高いセラミックスからなる高抵抗領域と、が順次配置されている。
【発明の効果】
【0008】
開示の技術によれば、静電チャックにおいて、放電の発生を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第1実施形態に係る基板固定装置を簡略化して例示する図である。
図2】第1実施形態に係る基板固定装置の製造工程を例示する図である。
図3】第1実施形態の変形例1に係る基板固定装置を簡略化して例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して発明を実施するための形態について説明する。なお、各図面において、同一構成部分には同一符号を付し、重複した説明を省略する場合がある。
【0011】
〈第1実施形態〉
[基板固定装置の構造]
図1は、第1実施形態に係る基板固定装置を簡略化して例示する図であり、図1(a)は断面図、図1(b)は平面図である。図1を参照すると、基板固定装置1は、主要な構成要素として、ベースプレート10と、接着層20と、静電チャック30とを有している。基板固定装置1は、静電チャック30により吸着対象物である基板(例えば、半導体ウェハ等)を吸着保持する装置である。
【0012】
ベースプレート10は、静電チャック30を搭載するための部材である。ベースプレート10の厚さは、例えば、20~40mm程度である。ベースプレート10は、例えば、アルミニウムや超硬合金等の金属材料や、その金属材料とセラミックスとの複合材料等から形成され、プラズマを制御するための電極等として利用できる。例えば、入手のし易さ、加工のし易さ、熱伝導性が良好である等の点から、アルミニウム又はその合金を使用し、その表面にアルマイト処理(絶縁層形成)を施したものが好適に使用できる。
【0013】
例えば、ベースプレート10に所定の高周波電力を給電することで、発生したプラズマ状態にあるイオン等を静電チャック30上に吸着された基板に衝突させるためのエネルギーを制御し、エッチング処理を効果的に行うことができる。
【0014】
ベースプレート10の内部に、冷媒流路が設けられてもよい。冷媒流路は、例えば、ベースプレート10の内部に環状に形成された孔である。基板固定装置1の外部から冷媒流路に、例えば、冷却水やガルデン等の冷媒が導入される。冷媒流路に冷媒を循環させベースプレート10を冷却することで、静電チャック30上に吸着された基板を冷却できる。
【0015】
静電チャック30は、接着層20を介して、ベースプレート10の一方の面に搭載されている。接着層20は、例えば、シリコーン系接着剤である。接着層20の厚さは、例えば、0.01~1.0mm程度である。接着層20は、ベースプレート10と静電チャック30を接着すると共に、セラミックス製の静電チャック30とアルミニウム製のベースプレート10との熱膨張率の差から生じるストレスを低減させる効果を有する。なお、ベースプレート10に対して静電チャック30をネジにより固定してもよい。
【0016】
静電チャック30は、主要な構成要素として、基体31と、静電電極32と、高抵抗領域33とを有している。基体31の上面は、吸着対象物が載置される載置面31aである。静電チャック30の平面形状は、基板の形状に応じて形成されるが、例えば、円形である。静電チャック30の吸着対象物であるウェハの直径は、例えば、8、12、又は18インチである。静電チャック30は、ジョンセン・ラーベック型静電チャックである。
【0017】
なお、平面視とは対象物を基体31の載置面31aの法線方向から視ることを指し、平面形状とは対象物を基体31の載置面31aの法線方向から視た形状を指すものとする。
【0018】
基体31は誘電体であり、基体31としては、例えば、酸化アルミニウム(Al)や窒化アルミニウム(AlN)等のセラミックスを用いる。基体31には、例えば、酸化チタンが添加されている。基体31は、助剤として、例えば、ケイ素(Si)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、アルミニウム(Al)、及びイットリウム(Y)から選択される2種以上の元素の酸化物を含んでもよい。基体31の厚さは、例えば、0.5~10mm程度、基体31の比誘電率(1kHz)は、例えば、9~10程度である。
【0019】
静電電極32は、薄膜電極であり、基体31に内蔵されている。静電電極32は、基板固定装置1の外部に設けられた電源に接続され、電源から所定の電圧が印加されると、基板との間に静電気による吸着力を発生させる。これにより、静電チャック30の基体31の載置面31a上に基板を吸着保持できる。吸着保持力は、静電電極32に印加される電圧が高いほど強くなる。静電電極32は、単極形状でも、双極形状でも構わない。静電電極32の材料としては、例えば、タングステン、モリブデン等を用いる。
【0020】
基体31の内部に、基板固定装置1の外部から電圧を印加することで発熱し、基体31の載置面31aが所定の温度となるように加熱する発熱体を設けてもよい。
【0021】
静電チャック30及びベースプレート10の内部には、静電チャック30に吸着保持される基板を冷却するガスを供給するガス供給部11が設けられている。ガス供給部11は、ガス流路111と、ガス注入部112と、ガス排出部113とを備えている。
【0022】
ガス流路111は、例えば、ベースプレート10の内部に環状に形成された孔である。ガス注入部112は、一端がガス流路111に連通し、ベースプレート10の内部を通って、他端がベースプレート10の下面から外部に露出する孔であり、基板固定装置1の外部からガス流路111に不活性ガス(例えば、HeやAr等)を導入する。
【0023】
基体31には、載置面31a側に開口し、静電電極32までは達しない溝31xが設けられている。溝31xは、例えば、平面視で基体31に環状に設けられている。溝31xの短手方向の断面形状は、例えば、矩形である。溝31xの幅は、例えば、0.5mm~2mm程度である。基体31の載置面31aを基準とした溝31xの深さは、例えば、0.1mm~0.5mm程度である。
【0024】
ガス排出部113は、一端がガス流路111に連通し、他端が基体31の載置面31aに設けられた溝31xの底面から外部に露出し、ガス流路111に導入された不活性ガスを基板の下面側に排出する。言い換えれば、ガス排出部113は、溝31xの底面に開口し、溝31xの底面から基体31の厚さ方向に、高抵抗領域33を貫通し、さらに接着層20を貫通してベースプレート10の内部に形成されたガス流路111と連通する。
【0025】
ガス排出部113は、平面視において、溝31xの底面に点在している。つまり、ガス排出部113は、平面視において、溝31xの底面に所定間隔で環状に設けられている。ガス排出部113の個数は、必要に応じて適宜決定できるが、例えば、10個~100個程度である。溝31x内にガスを供給することで、載置面31aに吸着した基板の取り外しを容易化できる。
【0026】
ところで、溝31xの底面と静電電極32の上面との距離は、載置面31aと静電電極32の上面との距離よりも短いため、溝31xの近傍では放電が生じやすい。特に、低抵抗特性を得るために基体31に酸化チタン等が添加されている場合、基体31を構成するセラミックスの粒子が大きくなり、密度の低下やセラミックスの脆弱化が生じる。このため、基体31内に空隙等の欠陥が生じやすく、放電の原因となる。溝31xの近傍のように静電電極32の上面との距離が短いと、小さな空隙でも放電が発生しやすい。
【0027】
静電チャック30では、基体31の厚さ方向において、溝31xの底面と静電電極32の上面(溝31x側の面)との間に、高抵抗領域33が設けられている。高抵抗領域33は、例えば、静電電極32の上面に接して配置される。高抵抗領域33は、基体31の他の領域よりも体積抵抗率の高い領域である。なお、図1等では、便宜上、高抵抗領域33を基体31と別符号としているが、高抵抗領域33は基体31を構成するセラミックスの一部である。
【0028】
すなわち、基体31には、基体31の厚さ方向において、溝31xと静電電極32との間に、溝31xに近い側から、セラミックスからなる低抵抗領域と、低抵抗領域よりも体積抵抗率が高いセラミックスからなる高抵抗領域33とが順次配置されている。基体31において、高抵抗領域33以外の全領域が低抵抗領域である。
【0029】
高抵抗領域33の体積抵抗率は、例えば、1015Ωm以上である。基体31における高抵抗領域33以外の領域(すなわち、低抵抗領域)の体積抵抗率は、例えば、1010~1012Ωm程度である。溝31xと静電電極32との間に高抵抗領域33を設けることで、溝31xの近傍における放電の発生を抑制可能となる。
【0030】
高抵抗領域33は、基体31の主要な部分を構成する低抵抗領域よりも体積抵抗率の高い材料であれば何を用いて形成してもよいが、例えば、稠密で高抵抗かつ高耐電圧特性を有した酸化アルミニウム(アルミナ)から形成することが好ましい。例えば、酸化チタン等が添加されていない酸化アルミニウムを用いることで、低抵抗領域よりも体積抵抗率の高い領域を形成できる。ただし、高抵抗領域33を形成する材料は酸化アルミニウム単体には限定されず、Si、Ca、Mg等の酸化物を添加したものであってもよい。
【0031】
放電に対する抑制効果を高める観点から、高抵抗領域33は、平面視で、溝31xと重複する領域に設けることが好ましい。例えば、溝31xが平面視で環状に設けられる場合は、高抵抗領域33は溝31xと重複する領域に環状に設けられることが好ましい。また、高抵抗領域33の幅は溝31xと同じであっても良いが、放電に対する抑制効果を高める観点から、高抵抗領域33の幅は溝31xよりも広いことが好ましい。高抵抗領域33の厚さは、10μm以上30μm以下であることが好ましい。高抵抗領域33の厚さが10μm以上であれば、放電を抑制する効果が十分に得られる。また、高抵抗領域33の厚さが30μm以下であれば、高抵抗領域33の周辺に位置する低抵抗領域や静電電極32との間に良好な密着性が得られる。
【0032】
[基板固定装置の製造方法]
図2は、第1実施形態に係る基板固定装置の製造工程を例示する図であり、図1(a)に対応する断面を示している。ここでは、図2を参照しながら、静電チャック30を作製する工程を中心に説明する。
【0033】
まず、図2(a)に示す工程では、グリーンシート311を準備し、グリーンシート311にペースト331を印刷する。ペースト331は、焼成により高抵抗領域33となる材料である。ペースト331は、例えば、酸化チタン等が添加されていない稠密で高抵抗かつ高耐電圧特性を有したペースト状の酸化アルミニウム(アルミナペースト)である。ペースト331は、例えば、平面視で、後の工程で溝31xを形成する領域と重複するように設けることができる。ペースト331が必要な厚さになるように、複数回の印刷を繰り返してもよい。
【0034】
次に、図2(b)に示す工程では、グリーンシート311に、ペースト331を覆うように金属ペースト321を所定パターンで印刷する。金属ペースト321は、焼成により静電電極32となる材料である。金属ペースト321は、例えば、タングステンペーストやモリブデンペーストである。そして、金属ペースト321を印刷後、ペースト331及び金属ペースト321が形成されたグリーンシート311を、金属ペースト321をグリーンシート312側に向けてグリーンシート312上に積層する。
【0035】
次に、図2(c)に示す工程では、図2(b)に示す構造体を焼成し、必要に応じて表面研磨等を行う。焼成により、グリーンシート311とグリーンシート312とが一体化し、基体31が形成される。また、焼成により、金属ペースト321から静電電極32が形成され、ペースト331から高抵抗領域33が形成される。
【0036】
次に、図2(d)に示す工程では、溝31xや溝31xの底面に開口するガス排出部113を形成する。ガス排出部113は、溝31xの底面から基体31の厚さ方向に、高抵抗領域33を貫通して基体31の下面側から露出するように形成する。溝31xやガス排出部113は、例えば、ブラスト処理やドリル加工等により形成できる。
【0037】
図2(d)に示す工程の後、予めガス流路111、ガス注入部112、冷却機構等を形成したベースプレート10を準備し、ベースプレート10上に接着層20(未硬化)を形成する。そして、図2(d)に示す構造体を、接着層20を介してベースプレート10の一方の面に搭載し、接着層20を硬化させる。以上の工程により、図1に示す基板固定装置1が完成する。
【0038】
このように、静電チャック30の基体31の厚さ方向において、溝31xと静電電極32との間に高抵抗領域33を設けることで、静電電極32に通じる脆弱箇所があっても、高抵抗領域33により載置面31a側から静電電極32に放電する経路が遮断される。その結果、溝31xの近傍における放電の発生を抑制できる。
【0039】
高抵抗領域33は、特に基体31の主要部分の体積抵抗率が比較的低く放電が発生しやすいジョンセン・ラーベック型静電チャックに適用すると有効である。ただし、高抵抗領域33は、クーロン力型静電チャックに適用してもよい。
【0040】
なお、高抵抗領域33は、溝31xが環状に設けられていない場合や、溝31xにガス排出部113が開口していない場合にも放電抑制効果を奏する。
【0041】
〈第1実施形態の変形例1〉
第1実施形態の変形例1では、複数の溝を有する静電チャックを備えた基板固定装置の例を示す。なお、第1実施形態の変形例1において、既に説明した実施の形態と同一構成部についての説明は省略する場合がある。
【0042】
図3は、第1実施形態の変形例1に係る基板固定装置を簡略化して例示する図であり、図3(a)は断面図、図3(b)は平面図である。図3を参照すると、基板固定装置1Aには、2つの溝31xが、平面視で互いに接しないように同心円状に設けられている。各々の溝31xの底面にガス排出部113が開口している。基体31の厚さ方向において、各々の溝31xと静電電極32との間に、高抵抗領域33が設けられている。高抵抗領域33は、例えば、平面視で、各々の溝31xと重複する領域に環状に設けられる。
【0043】
このように、静電チャック30の基体31に、載置面31aに開口する2つの溝31xを設けてもよい。この場合も、各々の溝31xと静電電極32との間に高抵抗領域33を設けることで、各々の溝31xの近傍における放電の発生を抑制可能となる。
【0044】
また、載置面31aに開口する各々の溝31xの底面にガス排出部113が開口することで、吸着対象物である基板を効果的に冷却できる。また、各々の溝31x内にガスを供給することで、載置面31aに吸着した基板の取り外しを一層容易化できる。なお、載置面31aに開口する3つ以上の溝31xを設けてもよい。
【0045】
以上、好ましい実施形態等について詳説したが、上述した実施形態等に制限されることはなく、特許請求の範囲に記載された範囲を逸脱することなく、上述した実施形態等に種々の変形及び置換を加えることができる。
【0046】
例えば、本発明に係る基板固定装置の吸着対象物としては、半導体ウェハ(シリコンウェハ等)以外に、液晶パネル等の製造工程で使用されるガラス基板等を例示できる。
【符号の説明】
【0047】
1、1A 基板固定装置
10 ベースプレート
11 ガス供給部
20 接着層
30 静電チャック
31 基体
31a 載置面
31x 溝
32 静電電極
33 高抵抗領域
111 ガス流路
112 ガス注入部
113 ガス排出部
図1
図2
図3