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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022095482
(43)【公開日】2022-06-28
(54)【発明の名称】測定機
(51)【国際特許分類】
   G01B 21/00 20060101AFI20220621BHJP
【FI】
G01B21/00 L
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020208838
(22)【出願日】2020-12-16
(71)【出願人】
【識別番号】000137694
【氏名又は名称】株式会社ミツトヨ
(74)【代理人】
【識別番号】100166545
【弁理士】
【氏名又は名称】折坂 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】鵜戸 章平
(72)【発明者】
【氏名】金松 敏裕
【テーマコード(参考)】
2F069
【Fターム(参考)】
2F069AA31
2F069AA42
2F069AA61
2F069DD01
2F069DD09
2F069GG01
2F069JJ06
2F069MM01
(57)【要約】      (修正有)
【課題】定盤などに固定具で固定することなく転倒の抑制を図ることができる測定機を提供する。
【解決手段】高さ方向を第1方向Zとして、第1方向に移動可能な測定部を有する筐体10と、筐体に設けられた姿勢維持部20と、を備え、姿勢維持部は、筐体に回転可能に支持される回転体であって、第1方向と直交する方向Y、Zに平行な回転軸Axを有する回転体を有する回転部21と、回転体に回転力を与える動力源を有する駆動部22と、を有する測定機1Aである。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
高さ方向を第1方向として、前記第1方向に移動可能な測定部を有する筐体と、
前記筐体に設けられた姿勢維持部と、
を備え、
前記姿勢維持部は、
前記筐体に回転可能に支持される回転体であって、前記第1方向と交差する第2方向に平行な第1回転軸を有する第1回転体と、
前記第1回転体に回転力を与える第1動力源と、
を有することを特徴とする測定機。
【請求項2】
前記筐体に回転可能に支持される回転体であって、前記第1方向および前記第2方向と交差する第3方向に平行な第2回転軸を有する第2回転体と、
前記第2回転体に回転力を与える第2動力源と、をさらに有することを特徴とする請求項1記載の測定機。
【請求項3】
前記筐体に回転可能に支持される回転体であって、前記第2方向および前記第3方向と交差する方向に平行な第3回転軸を有する第3回転体と、
前記第3回転体に回転力を与える第3動力源と、をさらに有することを特徴とする請求項2記載の測定機。
【請求項4】
前記姿勢維持部は、前記姿勢維持部を除いた構成を含む前記筐体の重心位置よりも下に配置されたことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の測定機。
【請求項5】
振動に関する情報を受信する受信部と、
前記受信部で受信した前記振動に関する情報に基づき前記動力源に指示を与える駆動制御部と、をさらに備えた請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の測定機。
【請求項6】
前記受信部は、前記振動に関する情報として緊急地震速報を受信し、
前記駆動制御部は、前記受信部で前記緊急地震速報を受けた際に前記動力源を駆動する指示を与えることを特徴とする請求項5記載の測定機。
【請求項7】
前記受信部は、前記振動に関する情報として振動計で測定した振動値を受信し、
前記駆動制御部は、前記受信部で予め設定された閾値を越える振動値を受信した場合、前記動力源を駆動する指示を与えることを特徴とする請求項5記載の測定機。
【請求項8】
前記姿勢維持部を商用電源とは独立して駆動するためのバッテリーをさらに備えたことを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の測定機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、対象物の寸法や形状などを測定する測定機に関し、より詳しくは、転倒抑制機能を有する測定機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
対象物の寸法や形状などを測定する測定機において、特許文献1には高さを測定するハイトゲージが開示される。ハイトゲージのような細長い筐体を有する測定機では重心位置が高いことから、地震による揺れや、横から力が加わった場合に転倒しやすい。このため、揺れに対する何らかの対策が必要になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-012712号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
測定機における転倒防止の対策としては、定盤や机などの固定物に測定機を固定しておくことが考えられる。しかし、定盤に対する移動機構(例えば、エアー浮上による移動機構)が設けられた測定機では定盤等に固定しておくことはできない。また、このような移動機構が設けられていない測定機であっても、測定機の保管場所から測定場所まで測定機を持ち出して利用するような場合など、測定機を頻繁に移動する必要がある場合には固定具による固定は現実的ではない。
【0005】
本発明は、定盤などに固定具で固定することなく転倒の抑制を図ることができる測定機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、高さ方向を第1方向として、第1方向に移動可能な測定部を有する筐体と、筐体に設けられた姿勢維持部と、を備え、姿勢維持部は、筐体に回転可能に支持される回転体であって、第1方向と交差する方向に平行な第1回転軸を有する第1回転体と、第1回転体に回転力を与える第1動力源と、を有することを特徴とする測定機である。
【0007】
このような構成によれば、第1動力源によって第1回転体を回転させることによってジャイロ効果が発生し、測定機に姿勢を維持する力を与えることができる。
【0008】
上記測定機において、筐体に回転可能に支持される回転体であって、第1方向および第2方向と交差する第3方向に平行な第2回転軸を有する第2回転体と、第2回転体に回転力を与える第2動力源と、をさらに有していてもよい。このように、第1回転体および第2回転体の回転によって、互いに交差する2軸の方向に姿勢を維持する力を筐体に与えることができる。
【0009】
上記測定機において、筐体に回転可能に支持される回転体であって、第2方向および前記第3方向と交差する方向に平行な第3回転軸を有する第3回転体と、第3回転体に回転力を与える第3動力源と、をさらに有していてもよい。このように、第1回転体、第2回転体および第3回転体の回転によって、互いに交差する3軸の方向に姿勢を維持する力を筐体に与えることができる。なお、第3回転軸は、第1方向に平行とするとよい。
【0010】
上記測定機において、姿勢維持部は、姿勢維持部を除いた構成を含む筐体の重心位置よりも下に配置されていることが好ましい。姿勢維持部の位置を筐体の重心位置よりも低く配置することで、測定機の安定性が高まる。
【0011】
上記測定機において、の振動に関する情報を受信する受信部と、受信部で受信した振動に関する情報に基づき駆動部に指示を与える駆動制御部と、をさらに備えていてもよい。これにより、受信部で受信した振動に関する情報に基づき回転体の回転が制御され、必要に応じて姿勢維持部による姿勢維持機能を発揮させることができる。
【0012】
上記測定機において、受信部は、振動に関する情報として緊急地震速報を受信し、駆動制御部は、受信部で緊急地震速報を受けた際に動力源を駆動する指示を与えるようにしてもよい。これにより、受信部で緊急地震速報を受けた際に回転体を回転させて、地震発生前から姿勢維持機能を働かせることができる。
【0013】
上記測定機において、受信部は、振動に関する情報として振動計で測定した振動値を受信し、駆動制御部は、受信部で予め設定された閾値を越える振動値を受信した場合、動力源を駆動する指示を与えるようにしてもよい。これにより、振動計で測定した振動値が閾値を超えた段階で回転体を回転させて姿勢維持機能を働かせることができる。
【0014】
上記測定機において、姿勢維持部を外部電源とは独立して駆動するための内部バッテリーをさらに備えていることが好ましい。これにより、停電などの影響で外部電源が遮断された場合でも、内部バッテリーによって姿勢維持部を動作させて姿勢維持機能を発揮させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】第1実施形態に係るハイトゲージを例示する斜視図である。
図2】第1実施形態に係るハイトゲージの姿勢維持部の構成例を示す模式図である。
図3】第2実施形態に係るハイトゲージの姿勢維持部の構成例を示す模式図である。
図4】第3実施形態に係るハイトゲージの姿勢維持部の構成例を示す模式図である。
図5】第4実施形態に係るハイトゲージの構成を例示する模式図である。
図6】第4実施形態に係るハイトゲージの姿勢維持部の動作を例示するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下の説明では、同一の部材には同一の符号を付し、一度説明した部材については適宜その説明を省略する。
【0017】
〔第1実施形態〕
図1は、第1実施形態に係るハイトゲージを例示する斜視図である。
図1に示すハイトゲージ1Aは測定機の一例である。ハイトゲージ1Aは、定盤100の定盤面100a上に載置された対象物の高さを測定する。ここで、本実施形態において、高さ方向をZ方向(第1方向の例)、Z方向と直交する方向の1つをX方向(第2方向の例)、Z方向およびX方向と直交する方向をY方向(第3方向の例)とする。
【0018】
ハイトゲージ1Aは、Z方向に移動可能な測定部を有する筐体10と、筐体10に設けられた姿勢維持部20とを備える。筐体10は、ベース11と、ベース11に立設された支柱12とを有する。支柱12にはZ方向に移動可能な測定子13(測定部)を有するスライダ14と、スライダ14の高さ方向の変位量を検出する変位センサ45とが設けられる。
【0019】
ベース11には、定盤面100aに向けて浮上用エアーを噴射してベース11を定盤面100aに対して浮上させるエアー噴射手段120が設けられていてもよい。エアー噴射手段120による移動機構を備える場合、グリップ部15に設けられたボタン15aを押すことでエアー噴射手段120からエアーを噴射させる。このエアーの噴射によってベース11を定盤面100aから浮上させた状態でグリップ部15を持ってハイトゲージ1Aを任意に位置へ移動させる。ボタン15aを離すことでエアーの噴射が停止して、ベース11の浮上が解除される。グリップ部15の上方にはLCDなどの表示装置16およびキー入力部17を有する表示操作部18が設けられる。
【0020】
図2は、第1実施形態に係るハイトゲージの姿勢維持部の構成例を示す模式図である。
姿勢維持部20は、筐体10における例えば支柱12内に配置される。姿勢維持部20は、回転部21と駆動部22とを有する。回転部21は、筐体10に回転可能に支持される回転体210を有する。駆動部22は、回転体210に回転力を与えるモータ220(動力源)を有する。回転体210は例えば円盤である。回転体210は、Z方向と直交する方向に平行な回転軸Axを有する。
【0021】
本実施形態では、回転体210としてX方向に平行な第1回転軸Ax1を有する第1回転体211と、第1回転体211に回転力を与える第1モータ221(第1動力源)とが設けられる。ここで、第1回転軸Ax1は、Z方向と直交する方向に平行な回転軸Axの一つである。第1モータ221は支柱12の内部で支柱12に固定される。したがって、第1回転体211は、第1モータ221を介して支柱12に回転可能に支持される状態となる。
【0022】
本実施形態に係るハイトゲージ1Aのように、例えば平面視で略長方形状の設置領域を有するベース11に、Z方向に延在する支柱12が接続されている測定機の場合、ベース11の設置領域における短辺側には転倒しにくく、長辺側には転倒しやすい。このような構造において、例えば、ベース11の設置領域における短辺に沿った方向をX方向、長辺に沿った方向をY方向とした場合、X軸方向に転倒しやすいので、第1回転体211の第1回転軸Ax1をX方向に平行に設ける。
【0023】
この状態で第1回転体211を第1モータ221によって回転させることでジャイロ効果が発生する。第1回転体211の回転によるジャイロ効果は第1回転体211の第1回転軸Ax1に姿勢を維持する力を筐体10(支柱12)に与えることになる。したがって、支柱12を含む筐体10の姿勢はX方向に維持するように働き、その結果、筐体10の長辺側への転倒を抑制することができる。
【0024】
なお、上記では、第1回転体211の第1回転軸Ax1をX方向に平行に配置する例を説明したが、Y方向に平行に配置してもよい。また、ベース11の設置領域の形状によって必ずしもX方向やY方向に平行でなくてもよい。Z方向に直交する方向に平行に第1回転軸Ax1を配置するように第1回転体211が配置されていることが好ましい。
【0025】
〔第2実施形態〕
図3は、第2実施形態に係るハイトゲージの姿勢維持部の構成例を示す模式図である。
第2実施形態に係るハイトゲージ1Bの姿勢維持部20では、X方向に平行な第1回転軸Ax1を有する第1回転体211および第1回転体211の動力源である第1モータ221に加え、Y方向に平行な第2回転軸Ax2を有する第2回転体212および第2回転体212の動力源である第2モータ222(第2動力源)が設けられる。
【0026】
第2モータ222は支柱12の内部で支柱12に固定される。したがって、第2回転体212は、第2モータ222を介して支柱12に回転可能に支持される状態となる。支柱12内のスペースを有効利用するため、第2モータ222は第1モータ221の上に重ねられるように配置される。
【0027】
この状態で第1回転体211を第1モータ221によって回転させ、第2回転体212を第2モータ222によって回転させることで、それぞれの回転体210の回転によるジャイロ効果が発生する。すなわち、第1回転体211の回転によるジャイロ効果は第1回転体211の第1回転軸Ax1に姿勢を維持する力を筐体10(支柱12)に与えることになる。
【0028】
また、第2回転体212の回転によるジャイロ効果は第2回転体212の第2回転軸Ax2に姿勢を維持する力を筐体10(支柱12)に与えることになる。したがって、支柱12を含む筐体10の姿勢はX方向およびY方向の両方に維持するように働き、その結果、筐体10の長辺側および短辺側の両方への転倒を抑制することができる。
【0029】
〔第3実施形態〕
図4は、第3実施形態に係るハイトゲージの姿勢維持部の構成例を示す模式図である。
第3実施形態に係るハイトゲージ1Cの姿勢維持部20では、第1回転体211および第1モータ221、第2回転体212および第2モータ222に加え、Z方向に平行な第3回転軸Ax3を有する第3回転体213および第3回転体213の動力源である第3モータ223(第3動力源)が設けられる。
【0030】
第3モータ223は支柱12の内部で支柱12に固定される。したがって、第3回転体213は、第3モータ223を介して支柱12に回転可能に支持される状態となる。支柱12内のスペースを有効利用するため、第3モータ223は第2モータ222の上に重ねられるように配置される。すなわち、第1モータ221、第2モータ222および第3モータ223はZ方向に重ねられるように配置される。
【0031】
この状態で第1回転体211を第1モータ221によって回転させ、第2回転体212を第2モータ222によって回転させ、第3回転体213を第3モータ223によって回転させることで、それぞれの回転体210の回転によるジャイロ効果が発生する。すなわち、第1回転体211の回転によるジャイロ効果は第1回転体211の第1回転軸Ax1に姿勢を維持する力を筐体10(支柱12)に与えることになる。
【0032】
また、第2回転体212の回転によるジャイロ効果は第2回転体212の第2回転軸Ax2に姿勢を維持する力を筐体10(支柱12)に与えることになる。さらに、第3回転体213の回転によるジャイロ効果は第3回転体213の第3回転軸Ax3に姿勢を維持する力を筐体10(支柱12)に与えることになる。したがって、支柱12を含む筐体10の姿勢はX方向、Y方向およびZ方向の3方向に維持するように働き、その結果、筐体10の全方向への転倒を抑制することができる。
【0033】
ここで、第1~第3実施形態のいずれの例においても、姿勢維持部20は、姿勢維持部20を除いた構成を含む筐体10の重心位置よりも下に配置されていることが好ましい。姿勢維持部20は回転体210とモータ220とを有し、十分なジャイロ効果を得るために回転体210は比較的重く設けられている。このため、姿勢維持部20を筐体10の重心位置よりも下に配置することで、測定機の安定性が高まる。
【0034】
〔第4実施形態〕
図5は、第4実施形態に係るハイトゲージの構成を例示する模式図である。
第4実施形態に係るハイトゲージ1Dは、姿勢維持部20に加え、振動に関する情報を受信する受信部30と、受信部30で受信した振動に関する情報に基づき駆動部22に指示を与える駆動制御部40とをさらに備える。
【0035】
受信部30は、振動に関する情報として、例えば緊急地震速報を受信する機能を有する。緊急地震速報は地震早期警報システムの一つであり、地震の発生直後に、各地での強い揺れの到達時刻や震度を予想し、揺れが到達する数秒から数十秒前に発せられる警報のことである。
【0036】
駆動制御部40は、受信部30で緊急地震速報を受けた際に駆動部22にモータ220を駆動するよう指示を与える。
【0037】
また、受信部30は、振動に関する情報として振動計(図示せず)で測定した振動値を受信する機能を有していてもよい。振動計は測定機の外部に設けられているものでもよいし、測定機(例えば、筐体10)に設けられているものでもよい。
【0038】
駆動制御部40は、受信部30で予め設定された閾値を越える振動値を受信した場合、駆動部22にモータ220を駆動する指示を与える。
【0039】
図6は、第4実施形態に係るハイトゲージの姿勢維持部の動作を例示するフローチャートである。
先ず、ステップS101に示すように、ハイトゲージ1Dが待機状態または測定中の状態の場合、ステップS102に示すようにモータ220の駆動停止を維持する。すなわち、駆動制御部40は、モータ220に駆動を指示しない。これにより、何らかの振動に関する情報を受信しない限り、ハイトゲージ1Dの待機状態または測定中において回転体210は回転せず、回転体210の回転による影響(振動など)を与えることなく対象物の測定を行うことができる。
【0040】
次に、ステップS103に示すように、受信部30によって振動に関する情報を受信したか否かの判断を行う。駆動制御部40は、待機状態または測定中の状態で、受信部30によって振動に関する情報を受信したか否かを逐次判断する。受信部30で振動に関する情報を受信しない場合(ステップS103でNo)、モータ220の駆動停止を維持する(ステップS102)。
【0041】
受信部30で振動に関する情報を受信した場合(ステップS103でYes)、ステップS104に示すように、駆動条件を満たしたか否かの判断を行う。駆動制御部40は、例えば、受信部30で受信した振動に関する情報が緊急地震速報であったり、予め設定された閾値を超える振動値であったりした場合に駆動条件を満たしていると判断する。
【0042】
駆動条件を満たしていない場合(ステップS104でNo)、モータ220の駆動停止を維持する(ステップS102)。一方、駆動条件を満たしている場合(ステップS104でYes)、ステップS105に示すように、駆動制御部40はモータ220を駆動するための制御信号を駆動部22に送る。これにより、回転体210が回転して、筐体10の姿勢維持機能が働くことになる。
【0043】
次に、ステップS106に示すように、振動停止後、一定時間を経過したか否かの判断を行う。すなわち、振動が続いている間、モータ220を駆動して回転体210を回転させ、筐体10の姿勢維持機能を働かせる。振動が停止した後、一定時間を経過するまではモータ220を駆動し続けて回転体210を回転させておき(ステップS106でNo)、一定時間を経過した段階で(ステップS106でYes)、ステップS107に示すようにモータ220を停止する。
【0044】
このような制御によって、本実施形態に係るハイトゲージ1Dでは、待機状態や測定中において振動に関する情報を受信部30で受信しない場合や、駆動条件を満たすほどの振動に関する情報を受信しない限り、モータ220は駆動せず回転体210の回転は行われない。これにより、回転体210を常に回転させておく場合に比べて省電力化を図ることができるとともに、測定中にモータ220や回転体210の回転による影響を測定に与えることがなくなる。
【0045】
また、受信部30で振動に関する情報を受信し、駆動条件を満たしている場合にはモータ220を駆動して回転体210を回転させ、筐体10の姿勢維持機能を働かせる。これにより、振動によって倒れやすい状況になると回転体210の回転によって筐体の姿勢が維持され、ハイトゲージ1Dの転倒防止を図ることができる。例えば、受信部30で緊急地震速報を受信した場合、駆動制御部40によっていち早くモータ220を駆動して回転体210を回転させることで、地震による揺れが始まる前に回転体210を回転させて、地震によるハイトゲージ1Dの転倒を未然に防ぐことができるようになる。
【0046】
なお、モータ220の駆動によって回転体210が回転して筐体の姿勢維持機能が働いている状態からモータ220の駆動を停止させる方法として、オペレータによる手動(例えば、表示操作部18の操作)でモータ220の駆動を停止させてもよいし、緊急地震速報を受信してから予め設定された時間が経過した後にモータ220の駆動を停止させてもよい。
【0047】
また、ハイトゲージ1Dにおいて、姿勢維持部20を商用電源とは独立して駆動するためのバッテリー50をさらに備えていることが好ましい。これにより、地震による停電などで商用電源を喪失した場合でも、バッテリー50によって姿勢維持部20を動作させて姿勢維持機能を発揮させることができる。
【0048】
また、図5に示すハイトゲージ1Dでは、回転部21の回転体210として第1回転体211を備え、駆動部22のモータ220として第1モータ221を備える例を示したが、図3に示すように第2回転体212および第2モータ222をさらに備えていてもよいし、図4に示すように第3回転体213および第3モータ223をさらに備えていてもよい。
【0049】
以上説明したように、実施形態によれば、定盤100などに固定することなく転倒防止を図ることができるハイトゲージ1A、1B、1Cおよび1Dを提供することが可能となる。
【0050】
〔実施形態の変形〕
なお、上記に本実施形態を説明したが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。例えば、本実施形態では、Z方向を第1方向、X方向を第2方向、Y方向を第3方向の例として、第1方向、第2方向および第3方向が互いに直交する例を示したが、第1方向、第2方向および第3方向は必ずしも直交していなくても互いに交差していればよい。ただし、転倒防止効果をより高める観点から、第1方向、第2方向および第3方向は互いに直交していることが望ましい。また、回転体210は筐体10に回転可能に支持されていれば筐体10(支柱12)の内部ではなく外部に設けられていてもよい。
【0051】
また、動力源はモータ220に限定されず、例えばゼンマイのような機械的な動力源であってもよい。また、本発明は、ハイトゲージ以外の測定機(例えば、粗さ・輪郭測定機、画像測定機)であっても適用可能である。
【0052】
また、前述の各実施形態に対して、当業者が適宜、構成要素の追加、削除、設計変更を行ったものや、各実施形態の特徴を適宜組み合わせたものも、本発明の要旨を備えている限り、本発明の範囲に含有される。
【産業上の利用可能性】
【0053】
以上のように、本発明は、高さ方向に測定用のヘッドなど移動可能な構成を有する測定機に好適に利用可能である。
【符号の説明】
【0054】
1A,1B,1C,1D…ハイトゲージ
10…筐体
11…ベース
12…支柱
13…測定子
14…スライダ
15…グリップ部
15a…ボタン
16…表示装置
17…キー入力部
18…表示操作部
20…姿勢維持部
21…回転部
22…駆動部
30…受信部
40…駆動制御部
45…変位センサ
50…バッテリー
100…定盤
100a…定盤面
120…エアー噴射手段
210…回転体
211…第1回転体
212…第2回転体
213…第3回転体
220…モータ
221…第1モータ
222…第2モータ
223…第3モータ
Ax…回転軸
Ax1…第1回転軸
Ax2…第2回転軸
Ax3…第3回転軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6