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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022095573
(43)【公開日】2022-06-28
(54)【発明の名称】液体抗バイオフィルム組成物
(51)【国際特許分類】
   A01N 31/16 20060101AFI20220621BHJP
   C11D 3/20 20060101ALI20220621BHJP
   C11D 1/83 20060101ALI20220621BHJP
   C11D 3/48 20060101ALI20220621BHJP
   C11D 3/386 20060101ALI20220621BHJP
   A01P 3/00 20060101ALI20220621BHJP
   A01N 25/02 20060101ALI20220621BHJP
   D06M 13/07 20060101ALI20220621BHJP
   D06M 13/08 20060101ALI20220621BHJP
【FI】
A01N31/16
C11D3/20 ZNA
C11D1/83
C11D3/48
C11D3/386
A01P3/00
A01N25/02
D06M13/07
D06M13/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021202985
(22)【出願日】2021-12-15
(31)【優先権主張番号】20214664.3
(32)【優先日】2020-12-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】508020155
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】Carl-Bosch-Strasse 38, 67056 Ludwigshafen am Rhein, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】特許業務法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】メンノ ハーツェンカンプ
(72)【発明者】
【氏名】デジャン カグリック
(72)【発明者】
【氏名】ケネス バーレット
【テーマコード(参考)】
4H003
4H011
4L033
【Fターム(参考)】
4H003AB03
4H003AB19
4H003AB31
4H003AC08
4H003BA12
4H003DA01
4H003DC02
4H003EA21
4H003EB04
4H003EB06
4H003EB08
4H003EC01
4H003EC02
4H003EC03
4H003ED02
4H003ED28
4H003FA28
4H003FA34
4H011AA01
4H011AA03
4H011BA05
4H011BB03
4H011BC03
4H011BC06
4H011BC07
4H011BC21
4H011DA13
4L033AB04
4L033AC10
4L033BA04
4L033BA05
(57)【要約】      (修正有)
【課題】抗バイオフィルム活性(洗浄する装置及び/又は物品の表面上でのバイオフィルム形成が阻害又は低減されることを意味する)を有する洗剤配合物を提供する。
【解決手段】(a)式(I)

(式中、R1、R2及びR3はH及びClから選択され、R1、R2及びR3のうちの少なくとも1つはClである)による少なくとも1つの塩素化ヒドロキシジフェニルエーテル、
(b)DNAse活性を示す少なくとも1つの化合物、並びに
(c)アニオン性界面活性剤及び非イオン性界面活性剤から選択される少なくとも1つの化合物を含む、液体組成物。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)式(I)
【化1】
(式中、R1、R2及びR3はH及びClから選択され、R1、R2及びR3のうちの少なくとも1つはClである)
による少なくとも1つの塩素化ヒドロキシジフェニルエーテル、
(b)DNAse活性を示す少なくとも1つの化合物、並びに
(c)アニオン性界面活性剤及び非イオン性界面活性剤から選択される少なくとも1つの化合物
を含む、液体組成物。
【請求項2】
成分(c)が少なくとも1つのアニオン性界面活性剤及び少なくとも1つの非イオン性界面活性剤を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
液体組成物が抗バイオフィルム活性を有する、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
フィルムが緑膿菌及び/又は黄色ブドウ球菌を含む、請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
好ましくはプロテアーゼ、リパーゼ、アミラーゼ、セルラーゼ、マンナン分解酵素、及びそれらの混合物から選択される少なくとも1つのヒドロラーゼをさらに含む、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項6】
DNAse活性を有する液体組成物に、式(I)による少なくとも1つの塩素化ヒドロキシジフェニルエーテルを添加することによって、液体抗バイオフィルム組成物を提供する方法。
【請求項7】
洗浄及びクリーニングのために請求項1から3のいずれか一項に記載の成分(a)及び(b)を含む液体組成物を使用することによって、洗浄装置及びクリーニング装置に存在する硬質及び/若しくは可撓性の表面並びに/又はテキスタイル表面上でのバイオフィルム形成を、好ましくはグラム陽性菌の増殖を、低減及び/又は阻害する方法であって、微生物増殖の低減及び/又は阻害が、成分(a)及び(b)の非存在下での微生物増殖と比較して決定される、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塩素化ヒドロキシジフェニルエーテルの群から選択される少なくとも1つの化合物、DNAse活性を示す少なくとも1つの化合物並びにアニオン性界面活性剤及び非イオン性界面活性剤から選択される少なくとも1つの化合物を含む、液体組成物に関する。本発明はまた、(a)水と定期的に接触する装置、例えば、洗濯機のような洗浄装置の表面上のバイオフィルムの形成を低減及び/若しくは阻害する、並びに/又は、(b)水と定期的に接触する材料、例えば、硬質表面及び/若しくはテキスタイルのような洗浄される物品上での微生物の増殖を低減及び/若しくは阻害する、液体組成物の使用にも関する。
【背景技術】
【0002】
微生物の増殖では、微生物の増殖に関し浮遊性の態様とバイオフィルムの態様が区別される。バイオフィルム中で増殖する微生物細胞は、同一生物体の浮遊細胞とは生理学的に異なり、浮遊細胞は、対照的に、液体培地中で漂う場合もあり遊泳している場合もある単細胞である。「バイオフィルム」は通常、細胞が互いに粘着し、表面にも粘着する頻度が高い微生物のコンソーシアムを含む。一態様では、バイオフィルムは、浮遊性の微生物の表面への付着によって形成を開始すると言われている。コロニー形成が開始すると、バイオフィルムは細胞の分裂と動員の組合せによって増殖する。バイオフィルム内の細胞は、細胞外高分子物質(EPS)と呼ばれることが多い、細胞外マトリックス内に通常は包埋している。EPSは、細胞外多糖類、タンパク質、脂質及びDNAを一般に含んでいる。バイオフィルム中で増殖するこういった細菌は、衛生上の問題の原因、例えば、微生物汚染の源であり、病気や少なくとも悪臭源を場合によってはもたらす。
【0003】
バイオフィルムは、固体表面上に、並びに柔らかい表面、例えばテキスタイル上にも形成することができ、従来の消毒の方法に一般に耐性がある。また、洗剤の適用、UV照射及び抗生物質に対する耐性の増加も観察された。特に、バイオフィルムは粘着性である場合が多く、汚れはそのようなバイオフィルムを含む表面に付着している場合もある。さらに、バイオフィルムは、バイオフィルムの分解に起因する可能性のある、例えば洗浄済み部品上又は洗浄機のチューブ中の、望ましくない臭気の源である場合もある。バイオフィルムは、洗浄装置の長期的な機能に悪影響を与える恐れがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明によって解決しようとする一課題とは、抗バイオフィルム活性(洗浄する装置及び/又は物品の表面上でのバイオフィルム形成が阻害又は低減されることを意味する)を有する洗剤配合物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、(a)塩素化ヒドロキシジフェニルエーテルの群から選択される少なくとも1つの化合物、(b)DNAse活性を示す少なくとも1つの化合物、並びに(C)アニオン性界面活性剤及び非イオン性界面活性剤から選択される少なくとも1つの化合物を含む、液体組成物を提供することによって、本課題を解決した。
【発明を実施するための形態】
【0006】
特許請求の範囲を含めて、本明細書の全体にわたって、「1つの~を含む(comprising one)」又は「1つの~を含む(comprising a)」という用語は、特に明記しない限り、用語「少なくとも1つの~を含む(comprising at least one)」と同義であると理解されたく、「~の間」は、その両限界を含むと理解されたい。
【0007】
「1つの(a)」、「1つの(an)」、及び「その(the)」という用語は、冠詞の文法的目的語の1つ又は1つより多く(すなわち、少なくとも1つ)を指すのに使用される。
【0008】
「及び/又は」という用語は、「及び」と「又は」との意味を包含する。
【0009】
本明細書内での「できる/し得る/してもよい/ことがある(may)」という表現の使用は、個々の実施形態を示すものであり、単なる任意選択の機能を示すものではない。
【0010】
濃度、重量比又は量の任意の範囲を指定する際、特定の任意の上限の濃度、重量比又は量を、それぞれ、特定の任意の下限の濃度、重量比又は量に関連付けることができることに留意されたい。
【0011】
一態様では本発明は、
成分(a):式(I)による塩素化ヒドロキシジフェニルエーテルから選択される少なくとも1つの化合物、
成分(b):DNAse活性を示す少なくとも1つの化合物並びに
成分(c):アニオン性界面活性剤及び非イオン性界面活性剤から選択される少なくとも1つの化合物、
を含む液体組成物に関する。
【0012】
本発明の組成物は、一実施形態では、20℃及び101.3kPaで液体である。液体には、好ましくは25℃で1500mPa*s未満の粘度を有する注ぐことができる液体が含まれる。実施形態では、25℃での粘度は1000mPa*s未満、より好ましくは800mPa*s未満である。
【0013】
成分(a)
成分(a)は、式(I):
【0014】
【化1】
(式中、R1、R2及びR3はH及びClから選択され、R1、R2及びR3のうちの少なくとも1つはClである)
による塩素化ヒドロキシジフェニルエーテルの群から選択される少なくとも1つの化合物を含む。
【0015】
一実施形態では、式(I)による化合物は、R1、R2及びR3のうちの少なくとも2つがClであることを特徴とする。
【0016】
好ましい一実施形態では、R1及びR2はClであり、R3はHである(4.4'-ジクロロ2-ヒドロキシジフェニルエーテル、このような化合物は本明細書ではDCPP又はDiclosanとも呼ばれる)。
【0017】
さらに別の実施形態では、R1、R2、及びR3の全てはClである(2,4,4'-トリクロロ-2'-ヒドロキシジフェニルエーテル、このような化合物は本明細書ではTriclosanとも呼ばれる)である。
【0018】
成分(b)
本発明の組成物は、DNAse活性を示す少なくとも1つの化合物を含む。DNAse活性を示す化合物は、DNA中のホスホジエステル結合の加水分解切断を通常は触媒するDNAseを含む。DNaseは、例えば、EC3.1.11、EC3.1.12、EC3.1.15、EC3.1.16、EC3.1.21.X(式中、X=1、2、3、4、5、6、7、8又は9)、EC3.1.22.Y(式中、Y=1、2、4、又は5)、EC3.1.23、EC3.1.24、EC3.1.25、及びEC3.1.30.Z(式中、Z=1又は2)及びEC3.1.31.1に分類される。好ましくは、DNAseはクラスEC3.1.21.x(式中、x=1、2、3、4、5、6、7、8又は9)、EC3.1.22.y(式中、y=1、2、4又は5)、EC3.1.30.z(式中、z=1又は2)、EC3.1.31.1及びそれらの混合物のいずれかから選択される:
・クラスE.C.3.1.21.xのヌクレアーゼは、3'ヒドロキシルで切断して、5'ホスホモノエステルを遊離する。x=1であるものが特に好ましい。
・クラスE.C.3.1.22.yのヌクレアーゼは、5'ヒドロキシルで切断して、3'ホスホモノエステルを遊離する。クラスE.C.3.1.30.zの酵素は、DNAとRNAの両方に作用し、5'-ホスホモノエステルを遊離するので、好ましい場合がある。クラスE.C.3.1.31.2からの適切な例はUS2012/0135498Aに、例えば、その中の配列番号3に記載されている。
・クラスE.C.3.1.31.1からのヌクレアーゼ酵素は、3'ホスホモノエステルを生成する。
【0019】
DNAse活性又はDNA分解活性とは、酵素1分子当たり1分当たりに変換される基質の分子に関する(分子活性)、通常は酵素1ミリグラム当たりのユニット(比活性)として表される、酵素、好ましくはDNAseによって及ぼされる触媒効果を意味する。DNAse活性は、当業者に知られている試験スキームによって決定される。例えば、DNAse活性は、DNase Test Agar with Methyl Green(BD、Franklin Lakes、NJ、米国)で決定することができるが、これは供給者のマニュアルに従って調製する必要がある。要約すると、寒天21gを水500mlに溶解し、次いで121℃で15分間オートクレーブ処理する。オートクレーブした寒天を水浴中で10~48℃に加減し、寒天20mlをペトリ皿に注ぎ、室温にてインキュベーションにより凝固させる。凝固した寒天プレートに酵素溶液5μlを添加し、スポットした酵素溶液の周囲の無色ゾーンとしてDNAse活性を観察する。DNAse活性は或いは、供給者のマニュアルに従ってDNAseAlert(商標)Kit(11-02-01-04、IDT lntegrated DNA Technologies)を使用することによって決定してもよい。要約すると、DNase試料95μlをマイクロタイタープレートで基質5μlと混合し、BMG Labtech製のClariostar(登録商標)マイクロタイターリーダーを使用して蛍光を即座に測定する(励起536nm、発光556nm)。適切な任意の試験スキームを使用してDNAseの活性を決定することができる。
【0020】
DNAseは酵素である。本発明の文脈において酵素は、「ポリペプチド配列」(本明細書では「アミノ酸配列」とも呼ばれる)によって特定される。本発明において「酵素」という用語は、酵素活性を有する「ポリペプチド」という用語と同義的に使用される。
【0021】
ペプチド配列は、共に酵素活性を有する親酵素及び/又はそれらの変異体酵素に関する。本明細書で酵素は、酵素的に活性である又は酵素変換を及ぼすポリペプチドであり、これは、酵素が基質に作用し、これらを産物に変換することを意味する。
【0022】
本明細書の「酵素」という用語は、酵素の不活性変異体を除外することが好ましい。したがって、本発明による変異体酵素とは、酵素活性を有する機能的変異体であることが好ましく、この場合、酵素活性はそれぞれの親酵素が及ぼすのと同じ種類のものである。
【0023】
ポリペプチド配列は、酵素の「活性部位」を含む三次元構造を指定し、次にこれが酵素の触媒活性を決定する。ポリペプチド配列は配列番号によって特定され得る。世界知的所有権機関(WIPO)標準ST.25(1998)に従って、本明細書のアミノ酸は、第1文字を大文字として使用する三文字表記又は対応する1文字を使用して表される。酵素名は、国際生化学分子生物学連合(IUBMB)の命名法委員会の推奨に基づいて当業者に知られている。酵素名には、EC(酵素委員会)番号、推奨名、別名(あれば)、触媒活性及びその他の因子が含まれる。
【0024】
(「親酵素」とも呼ばれる親タンパク質又は酵素の)「親」配列は、(例えば、1つ以上のアミノ酸置換、挿入、欠失又はこれらの組合せを導入することによって)変更を配列に導入して、親配列の「変異体」をもたらすための出発配列である。親配列という用語は、(さらなる)変更を導入するための出発配列として使用される、野生型酵素の配列及び合成的に作製された配列を含む。本明細書では、「親配列」及び「親酵素」という用語は互換的に使用される。
【0025】
「酵素変異体」又は「配列変異体」又は「変異体酵素」という用語は、ある程度、アミノ酸配列が親酵素と異なる酵素を指す。特に指示がない限り、変異体酵素は「酵素活性を有する」。
【0026】
配列変異体を記載する場合、以下の通り記載される命名法が使用される:
アミノ酸置換は、親酵素の元のアミノ酸、続いてアミノ酸配列中の位置の番号、続いて置換されたアミノ酸を示すことによって記載される。アミノ酸欠失は、親酵素の元のアミノ酸、続いてアミノ酸配列中の位置の番号、続いてアステリスク「*」を示すことによって記載される。アミノ酸挿入は、親酵素の元のアミノ酸、続いてアミノ酸配列中の位置の番号、続いて元のアミノ酸及び追加のアミノ酸を示すことによって記載される。既存のアミノ酸残基と同一のアミノ酸残基が挿入される場合、命名法の縮重が起こることが明らかである。異なる変更をある位置で導入することができる場合、その異なる変更はコンマによって分けられる。
【0027】
酵素変異体は、一実施形態では、親酵素と比較した場合の配列同一性によって定義される。配列同一性は通常、「%配列同一性」又は「%同一性」として示される。配列同一性を計算するために、第1のステップで、配列アラインメントを作成しなければならない。本発明によると、ペアワイズグローバルアラインメントを作成しなければならず、これは2つの配列をその完全長にわたって整列させなければならないことを意味し、これは通常、アラインメントアルゴリズムと呼ばれる数学的アプローチを使用することによって作成される。
【0028】
本発明によると、アラインメントは、Needleman及びWunschのアルゴリズム(J. Mol. Biol. (1979) 48, p. 443-453)を使用することによって作製される。好ましくは、プログラム「NEEDLE」(The European Molecular Biology Open Software Suite(EMBOSS))が、プログラムデフォルトパラメータ(ギャップオープン=10.0、ギャップ伸長=0.5及び行列=EBLOSUM62)を使用して本発明の目的に使用される。
【0029】
本発明によると、%同一性の以下の計算が適用される:%同一性=(同一の残基/その完全長にわたる本発明のそれぞれの配列を示しているアラインメント領域の長さ)×100。
【0030】
一実施形態では、酵素変異体は、それぞれの親酵素のアミノ酸配列と少なくともn%同一である(「n」は10~100の間の整数である)アミノ酸配列として記載される。一実施形態では、変異体酵素は、親酵素の完全長アミノ酸配列と比較した場合に少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%又は少なくとも99%同一であり、酵素変異体は酵素活性を有する。
【0031】
本明細書での変異体酵素とは、それぞれの親酵素の酵素活性と比較した場合に、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は少なくとも100%の酵素活性を有する変異体酵素を意味する。一実施形態では、変異体酵素は、それぞれの親酵素と比較した場合、酵素活性の増加を有する。増加とは、それぞれの親酵素の酵素活性と比較した場合の100%超の酵素活性を意味する。好ましい実施形態では、酵素活性の増加とは、ある特定の温度である特定の時間にわたる酵素の保存後にそれぞれの親酵素と比較した場合の酵素活性の増加を意味する。
【0032】
DNAse活性を有するポリペプチドについては以前に、例えば、真菌DNaseについて記載している、国際公開第2015/155350号(NovozymesA/S)及び国際公開第2015/155351号(NovozymesA/S)に記載されている。ビブリッセア・フラボビレンス(Vibrissea flavovirens)、ペニシリウム・レチクリスポルム(Penicillium reticulisporum)、アクレモニウム・ジクロモスポルム(Acremonium dichromosporum)、プリュージア・アエムランス(Preussia aemulans)、タマネギ炭疽病菌(Colletotrichum circinans)、バッカクキン科(Clavicipitaceae)、トリクルス・スピラリス(Trichurus spiralis)、ピレノカエトプシス属の種(Pyrenochaetopsis sp)、アスペルギルス・シドウィ(Aspergillus sydowii)、クラドスポリウム・クラドスポリオイデス(Cladosporium cladosporioides)、リノクラジエラ属の種(Rhinocladiella sp.)、ピロネマ・ドメスチクム(Pyronema domesticum)、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)、フィアロフォラ・ゲニクラータ(Phialophora geniculata)、パラデンドリフィエラ・サリナ(Paradendryphiella salina)、アスペルギルス・インズエタス(Aspergillus insuetus)、プルプレオシルリウム・リラシナム(Purpureocillium lilacinum)、ワルクピエラ・スピヌロサ(Warcupiella spinulosa)、ステノカルペラ・マイディス(Stenocarpella maydis)、アクロフィアフォラ・フシスポラ(Acrophialophora fusispora)、ケトミウム・ルティアム(Chaetomium luteum)、又はアルトリニウム・アルンディニス(Arthrinium arundinis)から得ることができる。
【0033】
DNAseは、一実施形態では、バシラス(Bacillus)、例えば、バシラス・シビー(Bacillus cibi)、バシラス・ホリコシー(Bacillus horikoshii)、バシラス・ホルネッキアエ(Bacillus horneckiae)、バシラス・イドリエンシス(Bacillus idriensis)、バシラス・アルギコーラ(Bacillus algicola)、バシラス・ビエトナメンシス(Bacillus vietnamensis)、バシラス・ファジンポエンシス(Bacillus hwajinpoensis)、パエニバシラス・ムシラギノサス(Paenibacillus mucilanginosus)、バシラス・インディカス(Bacillus indicus)、バシラス・ルシフェレンシス(Bacillus luciferensis)、バシラス・マリスフラビ(Bacillus marisflavi)及びそれらの変異体から得られる。
【0034】
一実施形態では、成分(b)に含まれる少なくとも1つのDNAseは、国際公開第2019/081724号又は国際公開第2019/081721号の配列番号1~24及び配列番号27~28と少なくとも80%同一であるアミノ酸配列を有する、ポリペプチドから選択される。変異体DNAseは、モチーフ[D,M,L][S,T]GYSR[D,N](国際公開第2019/081724号又は国際公開第2019/081721号の配列番号25)とASXNRSKG(国際公開第2019/081724号又は国際公開第2019/081721号の配列番号26)とのうちの1つ又は両方を含む。
【0035】
一実施形態では、少なくとも1つのDNAseは、
米国特許第9,675,736号に開示の配列番号4及びその変異体、
欧州特許第3088502号に開示の配列番号1~3及びそれらの変異体、並びに
国際公開第2017/001471号に開示の配列番号1~6及びそれらの変異体
から選択される。
【0036】
一実施形態では、少なくとも1つのDNAseは、[G,Y,W,F,A,H]NI[R,Q,D,E,V](国際公開第2017/060493号の配列番号73)、SDH[D,H,L]P[国際公開第2017/060493号の配列番号74)及びGGNI[R,Q](国際公開第2017/060493号の配列番号75)から選択されるモチーフのうちの1つ以上を含むポリペプチドから選択される。好ましくは、全て国際公開第2017/060493号に開示されている配列番号6、7、10、27、30、33、36、39、42、45、48、51、57、60、63、66、69及び72から選択されるポリペプチドと比較した場合、DNAseは、少なくとも80%、少なくとも82%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を有する。一実施形態では、少なくとも1つのDNAseは、全て国際公開第2017/060493号に開示されている配列番号10、27及び63のポリペプチドと少なくとも85%の配列同一性を有するポリペプチドから選択される。一実施形態では、少なくとも1つのDNAseは、全て国際公開第2017/060493号に開示されている配列番号7、39、48及び60のポリペプチドと少なくとも95%の配列同一性を有するポリペプチドから選択される。一実施形態では、少なくとも1つのDNAseは、国際公開第2017/060493号に開示の配列番号42のポリペプチドと少なくとも99%の配列同一性を有するポリペプチドである。
【0037】
一実施形態では、本出願の配列表による配列番号1の完全長ポリペプチド配列と比較した場合、成分(b)に含まれる少なくとも1つのDNAseは、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%又は少なくとも99%同一である。好ましくは、DNAseは、本出願の配列表による配列番号1のポリペプチド配列を有する。
【0038】
配列番号1は、以下のアミノ酸配列を有することを特徴とする:
MKKWMAGLFLAAAVLLCLMVPQQIQGASLYDKVLYFPLSRYPETGDHIKDAIADGHSDICTIDRDGADKRRQESLKGIPTKPGYDRDEWPMAVCEEGGAGADVRYVTPSDNRGAGSWVGNQMSGYPDGTRVLFIVQ
【0039】
成分(c)
成分(c)は、アニオン性界面活性剤及び非イオン性界面活性剤からなる群から選択される少なくとも1つの界面活性剤を含む。
【0040】
アニオン性界面活性剤(AIS)
一実施形態では、本発明の液体組成物は、少なくとも1つのアニオン性界面活性剤(AIS)を含む。アニオン性界面活性剤は、それらに限定されないが、疎水性基及びスルフェート、スルホネート及びカルボキシレートから通常は選択される少なくとも1つの水可溶化アニオン性基を含有して、水溶性化合物を形成する表面活性化合物を含む。
【0041】
一実施形態では本発明の液体組成物は、一般式(AIS I)の化合物:
【0042】
【化2】
から選択される少なくとも1つのアニオン性界面活性剤を含む。
【0043】
一般式(AIS I)の可変要素は、以下の通り定義される:
R1は、C1~C23-アルキル(例えば1-、2-、3-、4-C1~C23-アルキル)及びC2~C23-アルケニルから選択され、アルキル及び/又はアルケニルは直鎖又は分岐であり、2-、3-、又は4-アルキルは、例は、n-C7H15、n-C9H19、n-C11H23、n-C13H27、n-C15H31、n-C17H35、i-C9H19、i-C12H25である。
R2は、H、C1~C20-アルキル及びC2~C20-アルケニルから選択され、アルキル及び/又はアルケニルは直鎖又は分岐である。
R3及びR4は、互いに独立に、C1~C16-アルキルから選択され、アルキルは直鎖又は分岐であり、例は、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、イソペンチル、sec-ペンチル、ネオペンチル、1,2-ジメチルプロピル、イソアミル、n-ヘキシル、イソへキシル、sec-ヘキシル、n-ヘプチル、n-オクチル、2-エチルへキシル、n-ノニル、n-デシル、イソデシルである。
A-は、-RCOO-、-SO3 -及びRSO3 -から選択され、Rは直鎖又は分岐C1~C8-アルキル及びC1~C4ヒドロキシアルキルから選択され、アルキルである。化合物は、A-がSO3 -の場合、(脂肪)アルコール/アルキル(エトキシ/エーテル)スルフェート[(F)A(E)S]と、A-が-RCOO-の場合、(脂肪)アルコール/アルキル(エトキシ/エーテル)カルボキシレート[(F)A(E)C]と、呼ばれ得る。
M+は、H及び塩形成カチオンから選択される。塩形成カチオンは一価であっても多価であってもよく、したがって、M+は1/v Mv+に等しい。例としては、それらに限定されないが、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、アンモニウム、並びにモノ-、ジ、及びトリエタノールアミンのアンモニウム塩が挙げられる。
【0044】
mは、ゼロ~200、好ましくは1~80、より好ましくは3~20の範囲である、n及びoは、互いに独立に、ゼロ~100の範囲である、nは好ましくは1~10、より好ましくは1~6の範囲である、oは好ましくは1~50、より好ましくは4~25の範囲である。m、n及びoの合計は少なくとも1であり、好ましくはm、n及びoの合計は5~100の範囲、より好ましくは9~50の範囲である。
【0045】
一般式(AIS I)のアニオン性界面活性剤は、任意の構造、ブロックコポリマー又はランダムコポリマーであり得る。
【0046】
一実施形態では、本発明の液体組成物は、式(AIS I)による少なくとも1つのアニオン性界面活性剤を含み、R1はn-C11H23であり、R2はHであり、A-はSO3 -であり、m、n及びoは0である。M+は好ましくはNH4 +である。このような化合物は、本明細書ではラウリル硫酸アンモニウム(ALS)と呼ばれ得る。
【0047】
一実施形態では、本発明の液体組成物は、式(AIS I)による少なくとも1つのアニオン性界面活性剤を含み、R1はn-C11H23であり、R2はHから選択され、A-はSO3 -であり、mは2~5であり、好ましくは3であり、並びにn及びoは0である。M+は好ましくはNa+である。このような化合物は、本明細書ではラウリルエーテルスルフェート(LES)、好ましくはラウリルエーテル硫酸ナトリウム(SLES)と呼ばれ得る。
【0048】
本発明の液体組成物は、一実施形態では、一般式(AIS I)の化合物から選択される少なくとも2つのアニオン性界面活性剤を含み、前記アニオン性界面活性剤のうちの一方は、R1がC11であり、R2がHであり、mが2であり、n及びo=0、A-がSO3 -であり、M+がNa+であることを特徴とし、他方の界面活性剤は、R1がC13であり、R2がHであり、mが2であり、n及びo=0、A-がSO3 -であり、M+がNa+であることを特徴とする。
【0049】
さらに適切なアニオン性界面活性剤には、C12~C18スルホ脂肪酸アルキルエステル(例えばC12~C18スルホ脂肪酸メチルエステル)、C10~C18-アルキルアリールスルホン酸(例えばn-C10~C18-アルキルベンゼンスルホン酸)及びC10~C18アルキルアルコキシカルボキシレートの塩(M+)が含まれる。全ての場合でM+は塩形成カチオンから選択される。塩形成カチオンは一価であっても多価であってもよく、したがって、M+は1/v Mv+に等しい。例としては、それらに限定されないが、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、アンモニウム、並びにモノ-、ジ、及びトリエタノールアミンのアンモニウム塩が挙げられる。
【0050】
さらなる適切なアニオン性界面活性剤の非限定的な例としては、分岐アルキルベンゼンスルホネート(BABS)、フェニルアルカンスルホネート、アルファ-オレフィンスルホネート(AOS)、オレフィンスルホネート、アルケンスルホネート、アルカン-2,3-ジイルビス(スルフェート)、ヒドロキシアルカンスルホネート及びジスルフォネート、第二級アルカンスルホネート(SAS)、パラフィンスルホネート(PS)、スルホン化脂肪酸グリセロールエステル、アルキル-又はアルケニルコハク酸、アミノ酸の脂肪酸誘導体、スルホコハク酸のジエステル及びモノエステルが挙げられる。
【0051】
一実施形態では、液体組成物は、一般式(AIS II)の化合物:
【0052】
【化3】
(式中、式(AIS II)のR1はC10~C13アルキルである)
から選択される少なくとも1つのアニオン性界面活性剤を含む。一実施形態では本発明の液体組成物は、式(AIS II)による化合物の塩、好ましくはナトリウム塩を含む。一実施形態では本発明の液体組成物は、一般式(AIS II)の化合物から選択される少なくとも2つのアニオン性界面活性剤を含み、前記アニオン性界面活性剤のうちの一方は、R1がC10であることを特徴とし、他方の界面活性剤は、R1がC13であることを特徴とする。液体組成物は、一実施形態では、一般式(AIS II)の化合物のナトリウム塩から選択される少なくとも2つのアニオン性界面活性剤を含み、前記アニオン性界面活性剤のうちの一方は、R1がC10であることを特徴とし、他方の界面活性剤は、R1がC13であることを特徴とする。このような化合物は、本明細書ではLAS(直鎖アルキルベンゼンスルホネート)とも呼ばれ得る。
【0053】
一実施形態では、本発明の液体組成物は、一般式(AIS III)の化合物:
【0054】
【化4】
から選択される少なくとも1つのアニオン性界面活性剤を含み、これは、N-アシルアミノ酸界面活性剤とも呼ばれ得る。
【0055】
一般式(AIS III)の可変要素は、以下の通り定義される:
R19は、直鎖又は分岐C6~C22-アルキル及び直鎖又は分岐C6~C22-アルケニル、例えばオレイルから選択される。
R20はH及びC1~C4-アルキルから選択される。
R21は、H、メチル、-(CH2)3NHC(NH)NH2、-CH2C(O)NH2、-CH2C(O)OH、-(CH2)2C(O)NH2、-(CH2)2C(O)OH、(イミダゾール-4-イル)-メチル、-CH(CH3)C2H5、-CH2CH(CH3)2、-(CH2)4NH2、ベンジル、ヒドロキシメチル、-CH(OH)CH3、(インドール-3-イル)-メチル、(4-ヒドロキシ-フェニル)-メチル、イソプロピル、-(CH2)2SCH3、及び-CH2SHから選択される。
R22は-COOX及び-CH2SO3Xから選択される(式中、XはLi+、Na+及びK+から選択される)。
【0056】
適切なN-アシルアミノ酸界面活性剤の非限定的な例としては以下のものである:
N-アシル化グルタミン酸のモノ-及びジ-カルボン酸塩(例えば、ナトリウム、カリウム、アンモニウム並びにモノ-、ジ、及びトリエタノールアミンのアンモニウム塩)、例えば、ココイルグルタミン酸ナトリウム、ラウロイルグルタミン酸ナトリウム、ミリストイルグルタミン酸ナトリウム、パルミトイルグルタミン酸ナトリウム、ステアロイルグルタミン酸ナトリウム、ココイルグルタミン酸二ナトリウム、ステアロイルグルタミン酸二ナトリウム、ココイルグルタミン酸カリウム、ラウロイルグルタミン酸カリウム、及びミリストイルグルタミン酸カリウム;N-アシル化アラニンのカルボン酸塩(例えば、ナトリウム、カリウム、アンモニウム並びにモノ-、ジ、及びトリエタノールアミンのアンモニウム塩)、例えば、ココイルアラニンナトリウム、及びラウロイルアラニントリエタノールアミン;N-アシル化グリシンのカルボン酸塩(例えば、ナトリウム、カリウム、アンモニウム並びにモノ-、ジ、及びトリエタノールアミンのアンモニウム塩)、例えば、ココイルグリシンナトリウム及びココイルグリシンカリウム;N-アシル化サルコシンのカルボン酸塩(例えば、ナトリウム、カリウム、アンモニウム並びにモノ-、ジ、及びトリエタノールアミンのアンモニウム塩)、例えば、ラウロイルサルコシンナトリウム、ココイルサルコシンナトリウム、ミリストイルサルコシンナトリウム、オレオイルサルコシンナトリウム、及びラウロイルサルコシンアンモニウム。
【0057】
一実施形態では、本発明の液体組成物は、石けんの群から選択される少なくとも1つのアニオン性界面活性剤を含む。適切なのは、飽和及び不飽和C12~C18脂肪酸の、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、オレイン酸、(水和)エルカ酸の塩(M+)である。M+は塩形成カチオンから選択される。塩形成カチオンは一価であっても多価であってもよく、したがって、M+は1/v Mv+に等しい。例としては、それらに限定されないが、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、アンモニウム、並びにモノ-、ジ、及びトリエタノールアミンのアンモニウム塩が挙げられる。
【0058】
適切な石けんのさらなる非限定的な例としては、天然脂肪酸に、例えば、獣脂、ココナッツ油、パーム核油、月桂樹油、オリーブ油又はカノーラ油に由来する石けん混合物が挙げられる。そのような石けん混合物は、石けんが由来する天然脂肪酸に応じて、様々な量のラウリン酸及び/又はミリスチン酸及び/又はパルミチン酸及び/又はステアリン酸及び/又はオレイン酸及び/又はリノール酸の石けんを含む。
【0059】
適切なアニオン性界面活性剤のさらなる非限定的な例としては、天然脂肪酸に、例えば、獣脂、ココナッツ油、パーム核油、月桂樹油、オリーブ油又はカノーラ油に由来するスルフェート、スルホネート又はカルボキシレートの塩(M+)が挙げられる。そのようなアニオン性界面活性剤は、石けんが由来する天然脂肪酸に応じて、様々な量のラウリン酸及び/又はミリスチン酸及び/又はパルミチン酸及び/又はステアリン酸及び/又はオレイン酸及び/又はリノール酸のスルフェート、スルホネート又はカルボキシレートを含む。
【0060】
一実施形態では、本発明の液体組成物は、異なる2つ以上のアニオン性界面活性剤の混合物を含む。一実施形態では、液体組成物は、一般式(AIS I)の化合物から選択される少なくとも2つのアニオン性界面活性剤を含み、前記アニオン性界面活性剤のうちの一方は、R1がC11であり、R2がHであり、mが2であり、n及びo=0、A-がSO3 -であり、M+がNa+であることを特徴とし、他方の界面活性剤は、R1がC13であり、R2がHであり、mが2であり、n及びo=0、A-がSO3 -であり、M+がNa+であることを特徴とする。別の実施形態では、液体組成物は、一般式(AIS II)の化合物から選択される少なくとも2つのアニオン性界面活性剤を含み、前記アニオン性界面活性剤のうちの一方は、R1がC10であることを特徴とし、他方の界面活性剤は、R1がC13であることを特徴とする。
【0061】
一実施形態では、本発明の液体組成物は、少なくとも1つのアニオン性界面活性剤を含み、アニオン性界面活性剤の総量は、全て液体組成物の総重量に対して0~50重量%の範囲、好ましくは0.5~45重量%の範囲にあり得る。
【0062】
一実施形態では本発明の液体組成物は、全て液体組成物の総重量に対して、0.5~25重量%の範囲、1~20重量%の範囲又は1.5~15%の範囲の量の、少なくとも2つのアニオン性界面活性剤を含み、少なくとも2つのアニオン性界面活性剤は一般式(AIS I)の化合物から選択され、前記アニオン性界面活性剤のうちの一方は、R1がC11であり、R2がHであり、mが2であり、n及びo=0、A-がSO3 -であり、M+がNa+であることを特徴とし、他方の界面活性剤は、R1がC13であり、R2がHであり、mが2であり、n及びo=0、A-がSO3 -であり、M+がNa+であることを特徴とする。
【0063】
一実施形態では本発明の液体組成物は、全て液体組成物の総重量に対して、0.5~25重量%の範囲、1~20重量%の範囲又は1.5~15%の範囲の量の、少なくとも2つのアニオン性界面活性剤を含み、少なくとも2つのアニオン性界面活性剤は一般式(AIS II)の化合物から選択され、前記アニオン性界面活性剤のうちの一方は、R1がC10であることを特徴とし、他方の界面活性剤は、R1がC13であることを特徴とする。
【0064】
非イオン性界面活性剤(NIS)
一実施形態では、本発明の液体組成物は少なくとも1つの非イオン性界面活性剤を含む。
【0065】
一実施形態では本発明の液体組成物は、一般式(NIS Ia)及び(NIS Ib)の化合物:
【0066】
【化5】
から選択される少なくとも1つの非イオン性界面活性剤(NIS)を含む。
【0067】
一般式(NIS Ia)及び(NIS Ib)の可変要素は、以下の通り定義される:
R1は、C1~C23アルキル及びC2~C23アルケニルから選択され、アルキル及び/又はアルケニルは直鎖又は分岐であり、例は、n-C7H15、n-C9H19、n-C11H23、n-C13H27、n-C15H31、n-C17H35、i-C9H19、i-C12H25である。
R2は、H、C1~C20アルキル及びC2~C20アルケニルから選択され、アルキル及び/又はアルケニルは直鎖又は分岐である。
R3及びR4は、互いに独立に、C1~C16アルキルから選択され、アルキルは直鎖又は分岐であり、例は、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、イソペンチル、sec-ペンチル、ネオペンチル、1,2-ジメチルプロピル、イソアミル、n-ヘキシル、イソへキシル、sec-ヘキシル、n-ヘプチル、n-オクチル、2-エチルへキシル、n-ノニル、n-デシル、イソデシルである。
R5はH及びC1~C18アルキルから選択され、アルキルは直鎖又は分岐である。
【0068】
一般式(NIS Ia)及び(NIS Ib)の整数は、以下の通り定義される:
mは、ゼロ~200、好ましくは1~80、より好ましくは3~20の範囲である、n及びoは、互いに独立に、ゼロ~100の範囲である、nは好ましくは1~10、より好ましくは1~6の範囲である、oは好ましくは1~50、より好ましくは4~25の範囲である。m、n及びoの合計は少なくとも1であり、好ましくはm、n及びoの合計は5~100の範囲、より好ましくは9~50の範囲である。
【0069】
式(NIS Ia)による化合物は、本明細書ではアルキルポリエチレングリコールエーテル(AEO)とも呼ばれ得る。式(NIS Ib)による化合物は、本明細書ではアルキルフェノールポリエチレングリコールエーテル(APEO)とも呼ばれ得る。
【0070】
一実施形態では、本発明の液体組成物は、一般式(NIS Ia)から選択される少なくとも1つの非イオン性界面活性剤を含み、mは3~11の範囲であり、好ましくは7以下である、n及びoは0であり、R1はC12~C14であり、R2及びR5はHである。好ましくは、液体組成物は、一般式(NIS Ia)の化合物から選択される少なくとも2つの非イオン性界面活性剤を含み、前記非イオン性界面活性剤の一方は、R1がC12であり、R2及びR5がHであり、mが7であり、n及びo=0を特徴とし、他方の界面活性剤はR1がC14であり、R2及びR5がHであり、mが7であり、n及びo=0を特徴とする。
【0071】
一実施形態では、本発明の液体組成物は、一般式(NIS Ia)の化合物から選択される少なくとも2つの非イオン性界面活性剤を含み、前記非イオン性界面活性剤の一方は、R1がn-C11H23であり、R5がHであり、mが7であり、n及びo=0を特徴とし、他方の界面活性剤はR1がC13H27であり、R5がHであり、mが7であり、n及びo=0を特徴とする。
【0072】
一般式(NIS Ia)及び(NIS Ib)の非イオン性界面活性剤は任意の構造であり得、それはブロック構造又はランダム構造であり、式(NIS Ia)及び(NIS Ib)の表示された配列に限定されない。
【0073】
一実施形態では、本発明の液体組成物は、一般式(NIS II)の化合物:
【0074】
【化6】
から選択される少なくとも1つの非イオン性界面活性剤を含み、これはアルキルポリグリコシド(APG)とも呼ばれ得る。
【0075】
一般式(NIS II)の可変要素は、以下の通り定義される:
R1は、C1~C17アルキル及びC2~C17アルケニルから選択され、アルキル及び/又はアルケニルは直鎖又は分岐であり、例は、n-C7H15、n-C9H19、n-C11H23、n-C13H27、n-C15H31、n-C17H35、i-C9H19、i-C12H25である。
R2は、H、C1~C17アルキル及びC2~C17アルケニルから選択され、アルキル及び/又はアルケニルは直鎖又は分岐である。
G1は、炭素原子数4~6の単糖類から、例えばグルコース及びキシロースから選択される。
一般式(NIS II)の整数wは1.1~4の範囲であり、wは平均数である。
【0076】
一実施形態では、本発明の液体組成物は、一般式(NIS III)の化合物:
【0077】
【化7】
から選択される少なくとも1つの非イオン性界面活性剤を含む。
【0078】
一般式(NIS III)の可変要素は以下の通り定義される:
AOは、エチレンオキシド(EO)、プロピレンオキシド(PO)、ブチレンオキシド(BO)、及びそれらの混合物から選択される。
R6は、C5~C17アルキル及びC5~C17アルケニルから選択され、アルキル及び/又はアルケニルは直鎖又は分岐である。
R7は、H、C1~C18-アルキルから選択され、アルキルは直鎖又は分岐である。
一般式(NIS III)の整数yは、1~70、好ましくは7~15の範囲の数である。
【0079】
一実施形態では、本発明の液体組成物は、一般式(NIS IV):
【0080】
【化8】
の少なくとも1つの非イオン性界面活性剤を含む。
【0081】
ここで、式(NIS IV)では以下が適用される:
AOは同一の又は異なるアルキレンオキシドであり、CH2-CH2-O、(CH2)3-O、(CH2)4-O、CH2CH(CH3)-O、CH(CH3)-CH2-O-及びCH2CH(n-C3H7)-Oから選択される。
R1は、直鎖(直鎖状、n-)又は分岐C4~C30-アルキルから、及び少なくとも1個のC-C二重結合を有する直鎖状又は分岐C4~C30-アルキレンから選択される。R1は好ましくは、直鎖状又は分岐C4~C30-アルキル、n-C4~C30-アルキル、n-C7~C15アルキル、又はn-C10~C12-アルキルから選択される。
R2は、直鎖(直鎖状、n-)又は分岐C1~C30-アルキルから、及び少なくとも1個のC-C二重結合を有する直鎖状又は分岐C2~C30-アルキレンから選択される。R2は好ましくは、直鎖状又は分岐C6~C20-アルキル、好ましくは直鎖状又は分岐C8~C12-アルキル、より好ましくは直鎖状又は分岐C10~C12-アルキルから選択される。
一般式(NIS IV)の整数xは好ましくは、5~70、10~60、15~50又は20~40の範囲の数である。
【0082】
好ましい実施形態では、本発明の洗剤配合物は、式(NIS IV)による少なくとも1つの非イオン性界面活性剤を含み、R1はn-C3~C17アルキルであり、R2は直鎖又は分岐C8~C14アルキルである。好ましくは、AOは、-(CH2CH2O)x2-(CH2CH(CH3)-O)x3、-(CH2CH2O)x2-(CH(CH3)CH2-O)x3、及び-(CH2CH2O)x4から選択され、ここで、x2及びx4は15~50の範囲の数であり、x3は1~15の範囲の数である。
【0083】
好ましい実施形態では、本発明の洗剤配合物は、式(NIS IV)による少なくとも1つの非イオン性界面活性剤を含み、R1はn-C8アルキルであり、R2は分岐C11アルキルであり、AOはCH2-CH2-Oであり、xは22である。
【0084】
好ましい実施形態では、本発明の洗剤配合物は、式(NIS IV)による少なくとも1つの非イオン性界面活性剤を含み、R1はn-C8アルキルであり、R2はn-C8~C10アルキルであり、AOはCH2-CH2-Oであり、xは40である。
【0085】
好ましい実施形態では、本発明の洗剤配合物は、式(NIS IV)による少なくとも1つの非イオン性界面活性剤を含み、R1はn-C8アルキルであり、R2はn-C10アルキルであり、AOは、-(CH2CH2O)x2-(CH2CH(CH3)-O)x3、-(CH2CH2O)x2-(CH(CH3)CH2-O)x3から選択され、ここで、x2は22でありx3は1である。
【0086】
一実施形態では少なくとも1つの非イオン性界面活性剤は、ソルビタンエステル及び/又はエトキシ化若しくはプロポキシ化ソルビタンエステルから選択される。非限定的な例は、商品名SPAN及びTWEENで販売されている製品である。
【0087】
非イオン性界面活性剤は、アルコキシ化モノ-又はジ-アルキルアミン、脂肪酸モノエタノールアミド(FAMA)、脂肪酸ジ-エタノールアミド(FADA)、エトキシ化脂肪酸モノエタノールアミド(EFAM)、プロポキシ化脂肪酸モノエタノールアミド(PFAM)、ポリヒドロキシアルキル脂肪酸アミド、又はグルコサミンのN-アシルN-アルキル誘導体(グルカミド、GA、又は脂肪酸グルカミド、FAGA)、及びそれらの組合せからさらに選択され得る。
【0088】
一実施形態では、本発明の液体組成物は、少なくとも1つの非イオン性界面活性剤を含み、非イオン性界面活性剤の総量は、全て液体組成物の総重量に対して、0%~80%の範囲、好ましくは0.5重量%~70重量%の範囲にあり得る。
【0089】
一実施形態では、本発明の液体組成物は、全て液体組成物の総重量に対して、0.3重量%~30重量%の範囲、0.4重量%~20重量%の範囲、又は0.5%~10%の範囲の少なくとも1つの非イオン性界面活性剤を含む。一実施形態では、少なくとも1つの非イオン性界面活性剤は、一般式(NIS Ia)による界面活性剤から選択され、mは7、n及びoは0であり、R1はC12~C14であり、R2及びR5はHである。一実施形態では、本発明の液体組成物は、一般式(NIS Ia)の化合物から選択される2つの非イオン性界面活性剤を含み、前記非イオン性界面活性剤の一方は、R1がC12であり、R2及びR5がHであり、mが7であり、n及びo=0を特徴とし、他方の界面活性剤はR1がC14であり、R2及びR5がHであり、mが7であり、n及びo=0を特徴とする。
【0090】
一実施形態では、式(NIS IV)による少なくとも1つの非イオン性界面活性剤を含む洗剤配合物は、好ましくは上記に開示のものは、自動食器洗浄洗剤である。好ましくは、自動食器洗浄洗剤は、全て洗剤配合物の総重量に対して、約0.3重量%~10重量%の範囲、約0.5重量%~5重量%の範囲、又は約1%~3%の範囲の式(NIS IV)による少なくとも1つの化合物を含む。一実施形態では、少なくとも1つの非イオン性界面活性剤は式(NIS IV)による化合物であり、R1はn-C8アルキルであり、R2は分岐C11アルキルであり、AOはCH2-CH2-Oであり、xは22である。
【0091】
一実施形態では、本発明の液体組成物は、異なる2つ以上の非イオン性界面活性剤の混合物を含む。
【0092】
本発明の一態様では、成分(c)は、少なくとも1つのアニオン性界面活性剤及び少なくとも1つの非イオン性界面活性剤を含み、アニオン性界面活性剤と非イオン性界面活性剤との重量比は5:1~1:5、好ましくは2:1~1:4である。
【0093】
本発明の別の態様では、液体組成物は、4:1~1:4のアニオン性界面活性剤と非イオン性界面活性剤との重量比を有する。好ましくは、前記液体組成物は、洗濯及び/又は手動食器洗浄及び/又は医療機器の洗浄用の洗剤である。
【0094】
成分(d)
一態様では、本発明の液体組成物は、DNAseとは異なる少なくとも1つのヒドロラーゼを含む成分(d)を含む。一実施形態では、本発明の液体組成物は、少なくとも1つのプロテアーゼ及び/又は少なくとも1つのアミラーゼ及び/又は少なくとも1つのセルラーゼ及び/又は少なくとも1つのリパーゼ及び/又は少なくとも1つのマンナナーゼを含む。好ましくは、本発明の組成物は、好ましくは細胞外高分子物質から選択される細胞外マトリックス成分を分解することができる、DNAseとは異なる少なくとも1つのヒドロラーゼを含む。EPSの例としては、それらに限定されないが、多糖類、タンパク質及び脂質が挙げられる。
【0095】
一実施形態では、DNAseとは異なるヒドロラーゼはタンパク質を加水分解することができる。
【0096】
一実施形態では、DNAseとは異なるヒドロラーゼは、β-1,4-グリコシド結合を加水分解することができ、好ましくは、アミロペクチン、アミロース及びセルロースから選択される基質を分解することができる。
【0097】
一実施形態では、DNAseとは異なるヒドロラーゼは、β-1,6-グリコシド結合を加水分解することができ、好ましくは、ポリ-N-アセチルグルコサミンを分解することができる。
【0098】
プロテアーゼ
一態様では、本発明の組成物は少なくとも1つのプロテアーゼを含む。プロテアーゼはクラスEC3.4のメンバーであり、これには、アミノペプチダーゼ(EC3.4.11)、ジペプチダーゼ(EC3.4.13)、ジペプチジル-ペプチダーゼ及びトリペプチジル-ペプチダーゼ(EC3.4.14)、ペプチジル-ジペプチダーゼ(EC3.4.15)、セリン型カルボキシペプチダーゼ(EC3.4.16)、メタロカルボキシペプチダーゼ(EC3.4.17)、システイン型カルボキシペプチダーゼ(EC3.4.18)、オメガペプチダーゼ(EC3.4.19)、セリンエンドペプチダーゼ(EC3.4.21)、システインエンドペプチダーゼ(EC3.4.22)、アスパラギン酸エンドペプチダーゼ(EC3.4.23)、メタロ-エンドペプチダーゼ(EC3.4.24)、スレオニンエンドペプチダーゼ(EC3.4.25)又は未知の触媒機序のエンドペプチダーゼ(EC3.4.99)が含まれる。
【0099】
好ましい実施形態では、少なくとも1つのプロテアーゼはセリンプロテアーゼ(EC3.4.21)から選択される。セリンプロテアーゼ又はセリンペプチダーゼは、触媒活性部位にセリンを有し、これが触媒反応中に基質と共有結合付加物を形成することによって特徴付けられる。本発明の文脈におけるセリンプロテアーゼは、キモトリプシン(例えば、EC3.4.21.1)、エラスターゼ(例えば、EC3.4.21.36)、エラスターゼ(例えば、EC3.4.21.37又はEC3.4.21.71)、グランザイム(例えば、EC3.4.21.78又はEC3.4.21.79)、カリクレイン(例えば、EC3.4.21.34、EC3.4.21.35、EC3.4.21.118又はEC3.4.21.119)、プラスミン(例えば、EC3.4.21.7)、トリプシン(例えば、EC3.4.21.4)、トロンビン(例えば、EC3.4.21.5)及びサブチリシンからなる群から選択される。サブチリシンはサブチロペプチダーゼ(subtilopeptidase)、例えばEC3.4.21.62としても知られており、EC3.4.21.62は以下で「サブチリシン」とも呼ばれる。
【0100】
プロテアーゼは、「プロテアーゼ活性」又は「タンパク質分解活性」を及ぼす活性タンパク質である。タンパク質分解活性は、定義される時間経過でのプロテアーゼ又はタンパク質分解酵素によるタンパク質の分解の速度に関連する。
【0101】
タンパク質分解活性を分析する方法は文献で周知である(例えば、Gupta et al. (2002), Appl. Microbiol. Biotechnol. 60: 381-395参照)。タンパク質分解活性は、基質としてスクシニル-Ala-Ala-Pro-Phe-p-ニトロアニリドを使用することによって決定され得る(Suc-AAPF-pNA、短AAPF;例えばDelMar et al. (1979), Analytical Biochem 99, 316-320参照)。pNAはタンパク質分解切断によって基質分子から切断され、遊離pNAの黄色の放出をもたらし、OD405を測定することによってこれを定量化することができる。
【0102】
本発明の好ましい実施形態では、少なくとも1つのプロテアーゼが、以下から選択される:バシラス・アミロリクエファシエンスBPN'由来のサブチリシン(Vasantha et al. (1984) J. Bacteriol. Volume 159, p. 811-819及びJA Wells et al. (1983) in Nucleic Acids Research, Volume 11, p. 7911-7925によって記載されている)、バシラス・リケニフォルミス由来のサブチリシン(サブチリシンCarlsberg;EL Smith et al. (1968) in J. Biol Chem, Volume 243, pp. 2184-2191及びJacobs et al. (1985) in Nucl. Acids Res, Vol 13, p. 8913-8926に開示されている)、サブチリシンPB92(アルカリプロテアーゼPB92の元の配列は欧州特許第283075号に記載されている)、国際公開第89/06279号に開示されているサブチリシン147及び/又は309(それぞれEsperase(登録商標)、Savinase(登録商標))、国際公開第91/02792号に開示されているバシラス・レンタス由来のサブチリシン、例えば国際公開第95/23221号に記載されているバシラス・レンタスDSM5483由来のサブチリシン又はバシラス・レンタスDSM5483の変異体、ドイツ特許第10064983号に開示されているバシラス・アルカロフィルス(DSM11233)由来のサブチリシン、国際公開第2003/054184号に開示されているバシラス・ギブソニイ(DSM14391)由来のサブチリシン、国際公開第2003/056017号に開示されているバシラス属の種(DSM14390)由来のサブチリシン、国際公開第2003/055974号に開示されているバシラス属の種(DSM14392)由来のサブチリシン、国際公開第2003/054184号に開示されているバシラス・ギブソニイ(DSM14393)由来のサブチリシン、国際公開第2005/063974号に記載されている配列番号4を有するサブチリシン、国際公開第2005/103244号に記載されている配列番号4を有するサブチリシン、国際公開第2005/103244号に記載されている配列番号7を有するサブチリシン、及びドイツ特許出願第102005028295.4号に記載されている配列番号2を有するサブチリシン。
【0103】
一実施形態では、本発明の組成物は、国際公開第89/06279号の表Iの配列a)として開示されているサブチリシン309(本明細書でSavinaseと呼ばれ得る)又はこれと少なくとも80%同一で、タンパク質分解活性を有する変異体を少なくとも含む。
【0104】
適切なプロテアーゼには、上に開示されている親酵素の完全長ポリペプチド配列と比較した場合に、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%又は少なくとも99%同一である、タンパク質分解活性を有するプロテアーゼ変異体が含まれる。
【0105】
一実施形態では、少なくとも1つのプロテアーゼは、欧州特許第1921147号に記載されている配列番号22(バシラス・レンタスDSM5483に由来する成熟アルカリプロテアーゼの配列である)、又はそれと少なくとも80%同一であり、タンパク質分解活性を有するプロテアーゼを有する。欧州特許第1921147号に記載されている配列番号22に由来するサブチリシンプロテアーゼの好ましい変異体は、タンパク質分解活性を有する、以下の位置:3、4、9、15、24、27、33、36、57、68、76、77、87、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、106、118、120、123、128、129、130、131、154、160、167、170、194、195、199、205、206、217、218、222、224、232、235、236、245、248、252及び274(BPNの番号付けによる)の1つ以上のアミノ酸置換を特徴とする。最も好ましくは、このようなプロテアーゼは、Asp32、His64及びSer221位(BPNの番号付けによる)で変異していない。
【0106】
一実施形態では、前記プロテアーゼは、101位(BPNの番号付けによる)にアミノ酸、グルタミン酸(E)、又はアスパラギン酸(D)、又はアスパラギン(N)、又はグルタミン(Q)、又はアラニン(A)、又はグリシン(G)、又はセリン(S)を有することにより特徴付けられ、タンパク質分解活性を有する。一実施形態では、前記プロテアーゼは、1つ以上のさらなる置換:(a)3位のスレオニン(3T)、(b)4位のイソロイシン(4I)、(c)63位のアラニン、スレオニン又はアルギニン(63A、63T又は63R)、(d)156位のアスパラギン酸又はグルタミン酸(156D又は156E)、(e)194位のプロリン(194P)、(f)199位のメチオニン(199M)、(g)205位のイソロイシン(205I)、(h)217位のアスパラギン酸、グルタミン酸又はグリシン(217D、217E又は217G)、(i)(a)~(h)による2個以上のアミノ酸の組合せを含む。少なくとも1つのプロテアーゼは、欧州特許第1921147号に記載されている配列番号22と少なくとも80%同一であり得、((a)~(h)による)1個のアミノ酸又は(i)による組合せをアミノ酸101E、101D、101N、101Q、101A、101G又は101S(BPNの番号付けによる)と共に含み、タンパク質分解活性を有することにより特徴付けられる。一実施形態では、前記プロテアーゼは、変異(BPNの番号付けによる)R101E、又はS3T+V4I+V205I、又はR101E及びS3T、V4I及びV205I、又はS3T+V4I+V199M+V205I+L217Dを含むことにより特徴付けられる。
【0107】
一実施形態では、欧州特許第1921147号に記載されている配列番号22によるプロテアーゼは、変異(BPNの番号付けによる)S3T+V4I+S9R+A15T+V68A+D99S+R101S+A103S+I104V+N218Dを含むことにより特徴付けられる。
【0108】
本発明によれば、本発明の液体組成物は、上記に開示の2つ以上のプロテアーゼを含む。
【0109】
少なくとも1つのプロテアーゼを含む組成物は、本明細書に開示のものから選択される少なくとも1つのプロテアーゼ安定剤も通常は含む。
【0110】
アミラーゼ
一実施形態では、本発明の液体組成物は少なくとも1つのアミラーゼを含む。本発明による「アミラーゼ」(アルファ及び/又はベータ)は、細菌又は真菌由来のもの(それぞれEC3.2.1.1及び3.2.1.2)を含む。化学修飾された又はタンパク質操作された突然変異体が含まれる。
【0111】
本発明のアミラーゼは、多糖のグルコシド結合の(内部)加水分解を伴う「アミロース分解活性」又は「アミラーゼ活性」を有する。アルファ-アミラーゼ活性は、当業者に知られているアルファ-アミラーゼ活性を測定するアッセイによって決定され得る。アルファ-アミラーゼ活性を測定するアッセイの例には以下がある:
アルファ-アミラーゼ活性は、基質としてPhadebas錠剤を使用する方法(Phadebas Amylase Test、Magle Life Scienceによって供給される)によって決定することができる。デンプンをアルファ-アミラーゼによって加水分解して、可溶性青色断片を得る。620nmで分光光度的に測定される、得られた青色溶液の吸光度は、アルファ-アミラーゼ活性の関数である。測定された吸光度は、所与の条件セット下での当のアルファ-アミラーゼの比活性(活性/mg純粋なアルファ-アミラーゼタンパク質)に正比例する。
【0112】
一実施形態では、少なくとも1つのアミラーゼは以下から選択される:
・国際公開第95/10603号に記載されている配列番号2を有するバシラス・リケニフォルミス(Bacillus licheniformis)由来のアミラーゼ。アミロース分解活性を有する、以下の位置:15、23、105、106、124、128、133、154、156、178、179、181、188、190、197、201、202、207、208、209、211、243、264、304、305、391、408及び444の1つ以上の置換を含む適切な変異体が国際公開第95/10603号に記載されている。変異体は、国際公開第94/02597号、国際公開第94/018314号、国際公開第97/043424号及び国際公開第99/019467号の配列番号4に記載されている。
・国際公開第02/10355号に開示されている配列番号6を有するB.ステアロサーモフィルス(B.stearothermophilus)由来のアミラーゼ又は任意選択で野生型配列に対してC末端短縮化を有するアミラーゼ。配列番号6の適切な変異体には、181及び/若しくは182位の欠失並びに/又は193位の置換を含むものが含まれる。
・国際公開第99/19467号に開示されている配列番号6を有するバシラス属の種(Bacillus sp.)707由来のアミラーゼ。配列番号6の好ましい変異体は、以下の位置:R181、G182、H183、G184、N195、I206、E212、E216及びK269の1つ以上の置換、欠失又は挿入を有するものである。
・本明細書でSP-722とも記載される、国際公開第96/23872号に記載されている配列番号2又は配列番号7を有するバシラス・ハルマパルス(Bacillus halmapalus)由来のアミラーゼ。好ましい変異体は国際公開第97/3296号、国際公開第99/194671号及び国際公開第2013/001078号に記載されている。
・国際公開第00/22103号に開示されている配列番号4を有するバシラス属の種DSM12649由来のアミラーゼ及びその機能的変異体。
・国際公開第2009/061380号に開示されている配列番号2を有するバシラス属菌株TS-23由来のアミラーゼ及びその機能的変異体。
・国際公開第2013/184577号に開示されている配列番号1を有するサイトファガ属の種(Cytophaga sp.)由来のアミラーゼ。
・国際公開第2010/104675号に開示されている配列番号1を有するバシラス・メガテリウム(Bacillus megaterium)DSM90由来のアミラーゼ及びその機能的変異体。
・国際公開第00/60060号に記載されている配列番号2のアミノ酸1~485を含むバシラス属の種由来のアミラーゼ及びその機能的変異体。
・好ましくは国際公開第2016/092009号に記載されている配列番号3によるアミラーゼから選択される、バシラス・アミロリクエファシエンス(Bacillus amyloliquefaciens)由来のアミラーゼ及びその機能的変異体。
・国際公開第2006/002643号に記載されている配列番号12を有するアミラーゼ又は前記配列番号12中の置換Y295F及びM202LITVを含むアミラーゼ変異体。
・国際公開第2011/098531号に記載されている配列番号6を有するアミラーゼ又は前記配列番号6中の193[G,A,S,T又はM]、195[F,W,Y,L,I又はV]、197[F,W,Y,L,I又はV]、198[Q又はN]、200[F,W,Y,L,I又はV]、203[F,W,Y,L,I又はV]、206[F,W,Y,N,L,I,V,H,Q,D又はE]、210[F,W,Y,L,I又はV]、212[F,W,Y,L,I又はV]、213[G,A,S,T又はM]及び243[F,W,Y,L,I又はV]からなる群から選択される1つ以上の位置の置換を含むアミラーゼ変異体。
・国際公開第2013/001078号に記載されている配列番号1を有するアミラーゼ又は前記配列番号1中の位置G304、W140、W189、D134、E260、F262、W284、W347、W439、W469、G476及びG477に対応する2つ以上の(数個の)位置の変更を含むアミラーゼ変異体。
・国際公開第2013/001087号に記載されている配列番号2を有するアミラーゼ又は前記配列番号2中の位置181+182若しくは182+183若しくは183+184の欠失を含み、任意選択で前記配列番号2中のW140、W159、W167、Q169、W189、E194、N260、F262、W284、F289、G304、G305、R320、W347、W439、W469、G476及びG477に対応する位置のいずれかの1つ若しくは2つ以上の改変を含むアミラーゼ変異体。
・例えば国際公開第2006/066594号に記載されている、上記アミラーゼからのハイブリッドアルファ-アミラーゼであるアミラーゼ及びその機能的変異体、
・国際公開第2014/183920号の配列番号2と少なくとも90%の同一性を有するA及びBドメイン並びに国際公開第2014/183920号の配列番号6と少なくとも90%の同一性を有するCドメインを有する国際公開第2014/183920号によるハイブリッドアミラーゼであって、アミロース分解活性を有するハイブリッドアミラーゼ、好ましくはハイブリッドアルファ-アミラーゼは国際公開第2014/183920号の配列番号23と少なくとも95%同一であり、アミロース分解活性を有する、ハイブリッドアミラーゼ、
・国際公開第2014/183921号に開示されている配列番号2、配列番号15、配列番号20、配列番号23、配列番号29、配列番号26、配列番号32及び配列番号39と少なくとも75%の同一性を有するA及びBドメイン並びに国際公開第2014/183921号の配列番号6と少なくとも90%の同一性を有するCドメインを有する国際公開第2014/183921号によるハイブリッドアミラーゼであって、アミロース分解活性を有するハイブリッドアミラーゼ、好ましくは、ハイブリッドアルファ-アミラーゼは国際公開第2014/183921号に開示されている配列番号30と少なくとも95%同一であり、アミロース分解活性を有する、ハイブリッドアミラーゼ。
【0113】
一実施形態では、本発明の液体組成物は、上記に開示の2つ以上のアミラーゼを含む。
【0114】
セルラーゼ
一実施形態では、本発明の液体組成物は、セロビオヒドロラーゼ(1,4-P-D-グルカンセロビオヒドロラーゼ、EC3.2.1.91)、エンド-ss-1,4-グルカナーゼ(エンド-1,4-P-D-グルカン4-グルカノヒドロラーゼ、EC3.2.1.4)及びss-グルコシダーゼ(EC3.2.1.21)から選択される少なくとも1つを含む。好ましくは、組成物は、好ましくはエンドグルカナーゼ(EC3.2.1.4)から選択される、グリコシルヒドロラーゼファミリー7(GH7、pfam00840)の少なくとも1つのセルラーゼを含む。
【0115】
「セルラーゼ」、「セルラーゼ酵素」又は「セルロース分解酵素」は、セルロースの加水分解に関与する酵素である。「セルラーゼ活性」又は「セルロース分解活性」を測定するアッセイは当業者に知られている。例えば、セルロース分解活性は、セルラーゼがカルボキシメチルセルロースを還元炭水化物に加水分解し、その還元能力はHoffman, W. S., J. Biol. Chem. 120, 51 (1937)に従って、フェリシアン化物反応によって比色測定で決定されるという事実によって決定され得る。
【0116】
本発明によるセルラーゼには細菌又は真菌由来のものが含まれる。一実施形態では、少なくとも1つのセルラーゼが、セルロース結合ドメインを含むセルラーゼから選択される。一実施形態では、少なくとも1つのセルラーゼが、触媒ドメインのみを含むセルラーゼから選択され、これはセルラーゼがセルロース結合ドメインを欠くことを意味する。
【0117】
一実施形態では、液体組成物は、国際公開第95/02675号の配列番号2によるポリペプチド配列と80%同一である少なくとも1つのセルラーゼを含む。一実施形態では、組成物は、国際公開第2004/053039号の配列番号4によるポリペプチド配列と80%同一である少なくとも1つのセルラーゼを含む。一実施形態では、液体組成物は、国際公開第2002/99091号の配列番号2によるポリペプチド配列と80%同一である少なくとも1つのセルラーゼを含む。
【0118】
一実施形態では、本発明の液体組成物は、上記に開示の2つ以上のセルラーゼ、好ましくはエンドグルカナーゼ(EC3.2.1.4)を含む。
【0119】
リパーゼ
一態様では、本発明の液体組成物は少なくとも1つのリパーゼを含む。「リパーゼ」、「脂質分解酵素」、「脂質エステラーゼ」は全て、ECクラス3.1.1(「カルボン酸エステルヒドロラーゼ」)の酵素を指す。リパーゼは、リパーゼ活性(又は脂質分解活性、トリアシルグリセロールリパーゼ、EC3.1.1.3)、クチナーゼ活性(EC3.1.1.74、クチナーゼ活性を有する酵素は本明細書でクチナーゼと呼ばれ得る)、ステロールエステラーゼ活性(EC3.1.1.13)及び/又はワックスエステルヒドロラーゼ活性(EC3.1.1.50)を有する活性タンパク質を意味する。
【0120】
脂質分解活性を決定する方法は文献で周知である(例えば、Gupta et al. (2003), Biotechnol. Appl. Biochem. 37, p. 63-71参照)。例えば、リパーゼ活性は、基質パルミチン酸パラ-ニトロフェニル(パルミチン酸-pNP、C:16)のエステル結合加水分解によって測定され得、黄色であり、405nmで検出することができるpNPを放出する。
【0121】
リパーゼには、細菌又は真菌由来のもの及び有用であると当業者に知られているものが含まれる。
【0122】
一実施形態では、少なくとも1つのリパーゼは真菌トリアシルグリセロールリパーゼ(ECクラス3.1.1.3)から選択される。真菌トリアシルグリセロールリパーゼは、サーモマイセス・ラヌギノーサ(Thermomyces lanuginosa)のリパーゼから選択され得る。一実施形態では、少なくとも1つのサーモマイセス・ラヌギノーサリパーゼは、米国特許第5,869,438号の配列番号2のアミノ酸1~269によるトリアシルグリセロールリパーゼ及び脂質分解活性を有するその変異体から選択される。好ましくは、少なくとも1つのサーモマイセス・ラヌギノーサリパーゼは、米国特許第5,869,438号の配列番号2と少なくとも80%同一であり得、アミノ酸T231R及びN233Rを有することにより特徴付けられ得る。前記サーモマイセス・ラヌギノーサリパーゼ変異体は、以下のアミノ酸交換:Q4V、V60S、A150G、L227G、P256Kの1つ以上を好ましくはさらに含む。
【0123】
一実施形態では、本発明の液体組成物は上記で開示の少なくとも2つのリパーゼを含む。
【0124】
マンナン分解酵素
一実施形態では、本発明の液体組成物は、β-マンノシダーゼ(EC3.2.1.25)、エンド-1,4-β-マンノシダーゼ(EC3.2.1.78)及び1,4-β-マンノビオシダーゼ(EC3.2.1.100)から選択され少なくとも1つのマンナン分解酵素を含む。好ましくは、少なくとも1つのマンナン分解酵素は、エンド-1,4-β-マンノシダーゼ(EC3.2.1.78)の群、本明細書でエンド-β-1,4-D-マンナナーゼ、β-マンナナーゼ又はマンナナーゼと呼ばれる酵素の群から選択される。
【0125】
マンナナーゼ活性を有するポリペプチドは、当技術分野で知られている標準的な試験手順に従って、例えば試験する溶液を、0.2%AZCLガラクトマンナン(イナゴマメ)、すなわち、Megazyme社製のカタログ番号I-AZGMA(Megazymeのインターネットアドレス:http://www.megazyme.com/Purchase/index.html)として入手可能なエンド-1,4-ベータ-D-マンナナーゼのアッセイ用の基質を含有する寒天プレート中に打ち抜かれた4mm直径の孔に塗布することによってマンナナーゼ活性について試験され得る。
【0126】
一実施形態では、本発明の液体組成物は、ファミリー5又は26のアルカリマンナナーゼから選択される少なくとも1つのマンナナーゼを含む。「アルカリマンナナーゼ」という用語は、7~12、好ましくは7.5~10.5の範囲の所与のpHでその最大活性の少なくとも40%の酵素活性を有するマンナナーゼを包含することを意図している。
【0127】
一実施形態では、本発明の組成物に含まれる少なくとも1つのマンナナーゼは、例えばJP-0304706[バシラス属の種由来のベータ-マンナナーゼ]、JP-63056289[アルカリ、熱安定性ベータ-マンナナーゼ]、JP-63036774[アルカリ性pHでベータ-マンナナーゼ及びベータ-マンノシダーゼを産生するバシラス属微生物FERM P-8856]、JP-08051975[好アルカリ性のバシラス属の種AM-001由来のアルカリベータ-マンナナーゼ]、国際公開第97/11164号[バシラス・アミロリクエファシエンス由来のマンナナーゼ]、国際公開第91/18974号[極端なpH及び温度で活性のマンナナーゼ]、国際公開第2014/100018号[バシラス・サーキュランス又はバシラス・レンタス菌株CMG1240(Bleman1;米国特許第5,476,775号参照)からクローニングされたエンド-(3-マンナーゼ1]に記載されている、バシラス属生物に由来するマンナナーゼから選択される。適切なマンナナーゼは国際公開第99/064619号に記載されている。
【0128】
一実施形態では、本発明の液体組成物に含まれる少なくとも1つのマンナナーゼは、米国特許第6,566,114号の配列番号2と80%同一であるポリペプチドである。本発明の液体組成物に含まれる少なくとも1つのマンナナーゼは、例えば国際公開第93/24622号に又は国際公開第2011/085747号に開示されている、トリコデルマ属(Trichoderma)生物に由来するマンナナーゼから選択される。
【0129】
本発明によるマンナナーゼ変異体は、上に開示される対応する親酵素の完全長ポリペプチド配列と比較した場合に、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%又は少なくとも99%同一である。
【0130】
一実施形態では、本発明の液体組成物は、上記に開示の2つ以上のマンナン分解酵素、好ましくはエンド-1,4-β-マンノシダーゼ(EC3.2.1.78)を含む。
【0131】
さらなる成分
溶媒
一実施形態では、本発明の液体組成物は、5重量%~95重量%の範囲、5重量%~70重量%の範囲、5重量%~50%重量%の範囲、又は50重量%~95重量%の範囲の量の水を含み、前記重量%は全て液体組成物の総重量に対してである。
【0132】
一実施形態では、本発明の液体組成物は、好ましくは水と混和する有機溶媒から選択される少なくとも1つの有機溶媒を含む。このような有機溶媒の例としては、それらに限定されないが、アセトアルデヒド、酢酸、アセトン、アセトニトリル、ブタン-2-オール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、2-ブトキシエタノール、2-(2-ブトキシエトキシ)エタノール、酪酸、2-エトキシエタノール、ジエタノールアミン、ジエチレングリコール、ジエチレントリアミン、ジプロピレングリコール、ジメチルホルムアミド、ジメトキシエタン、ジメチルスルホキシド、1,4-ドキサン、エタノール、エチルアミン、エチレングリコール、ギ酸、フルフリルアルコール、ヘキシレングリコール、メタノール、2-メトキシエタノール、メチルジエチアノールアミン、メチルイソシアニド、N-メチル-2-ピロリドン、1-プロパノール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,2,3-プロパントリオール、1,2-ペンタンジオール、1,5-ペンタンジオール、2-プロパノール、プロパン酸、プロピレングリコール、2-プロポキシエタノール、2-(2-プロポキシエトキシ)エタノール、ピリジン、テトラヒドロフラン、トリエチレングリコールが挙げられる。
【0133】
好ましくは、本発明の液体組成物は、エタノール、n-プロパノール、iso-プロパノール、n-ブタノール、iso-ブタノール、sec.-ブタノール、エチレングリコール、1,2-プロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,2,3-プロパントリオール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、ジエチレングリコール、2-(2-ブトキシエトキシ)エタノール、2-(2-プロポキシエトキシ)エタノール、ヘキシレングリコール、2-メトキシエタノール、2-エトキシエタノール、及び2-プロポキシ-エタノールから選択される少なくとも1つの有機溶媒を含み、エタノール、イソプロパノール又は1,2-プロピレングリコールがより好ましい。
【0134】
本発明の液体組成物は、液体組成物の総重量に対して0重量%~30重量%、2重量%~25重量%、5重量%~20重量%の範囲の量の有機溶媒を通常は含む。一実施形態では、本発明の液体組成物は、5%~10%の有機溶媒、好ましくは1,2-プロピレングリコールを含む。
【0135】
水溶性容器に、例えば水溶性ポリマーフィルムで製造された小袋に封入されると決定された液体組成物は、小袋の保存安定性を確保するように可能な限り少ない水を含むのが好ましい。本明細書での小袋の保存安定性とは、小袋が洗浄プロセスで使用される前の保存期間中にポリマーフィルムが漏出性とはならないことを意味する。
【0136】
液体組成物それ自体を安定化する化合物
「液体組成物それ自体を安定化する化合物」は、保存安定性を確保するのに有効な量で液体組成物の保存安定性を確立することができる任意の化合物を意味する。
【0137】
当業者にとっての液体組成物に関しての保存安定性は、製品の外観及び用量の均一性を通常は含む。
【0138】
製品の外観は、製品のpHによる、及び化合物、例えば、酸化防止剤、粘度調整剤、乳化剤などの存在による影響を受ける。
【0139】
用量の均一性は、製品の均質性に通常は関連している。
【0140】
本発明による組成物は、アルカリ性であることもあり、又は中性若しくは弱酸性pH値、例えば、6~14、6.5~13、8~10.5、若しくは8.5~9.0を示すこともある。
【0141】
一実施形態では、本発明の液体組成物は、酸形態で又はその塩として、2-フェノキシエタノール、グルタルアルデヒド、2-ブロモ-2-ニトロプロパン-1,3-ジオール、及びギ酸からなる群から選択される少なくとも1つの保存剤を含む。
【0142】
一実施形態では、液体組成物は、洗剤配合物の総重量に対して0.01重量%~5重量%又は0.1重量%~2重量%の濃度の、そのような保存剤、好ましくは2-フェノキシエタノールを含む。
【0143】
別の実施形態では、液体組成物は、洗剤配合物の総重量の5ppm~5000ppm又は20ppm~1000ppmの濃度の、保存剤、好ましくは2-ブロモ-2-ニトロペンタン-1,3-ジオールを含む。
【0144】
本発明のさらに別の実施形態では、液体組成物は、洗剤配合物の総重量の2ppm~5000ppm又は10ppm~2000ppmの濃度のグルタルアルデヒドを含む。
【0145】
本発明のさらに別の実施形態では、液体組成物は、洗剤配合物の総重量に対して、0.01重量%~3重量%又は0.05重量%~0.5重量%の濃度のギ酸(酸又はその塩として)を含む。
【0146】
一態様では、本発明の液体組成物は、ホウ素含有化合物、ポリオール、ペプチドアルデヒド、他の安定剤、及びこれらの混合物から選択される、少なくとも1つの酵素安定剤を含む。
【0147】
ホウ素含有化合物は、ホウ酸及びその誘導体から、ボロン酸及びその誘導体、例えばアリールボロン酸及びその誘導体から、これらの塩から、並びにそれらの混合物から選択される。ホウ酸は本明細書ではオルトホウ酸とも呼ばれ得る。
【0148】
一実施形態では、少なくとも1つのホウ素含有化合物は、アリールボロン酸及びその誘導体からなる群から選択される。一実施形態では、ホウ素含有化合物は、フェニルボロン酸(PBA)とも呼ばれるベンゼンボロン酸(BBA)、その誘導体、及びこれらの混合物からなる群から選択される。一実施形態では、フェニルボロン酸誘導体は、式(1a)及び式(1b)の誘導体:
【0149】
【化9】
(式中、
R1は、水素、ヒドロキシ、非置換又は置換C1~C6アルキル、及び非置換又は置換C1~C6アルケニルからなる群から選択され、好ましい実施形態では、Rは、ヒドロキシ及び非置換C1アルキルからなる群から選択され、
R2は、水素、ヒドロキシ、非置換又は置換C1~C6アルキル、及び非置換又は置換C1~C6アルケニルからなる群から選択され、好ましい実施形態では、Rは、H、ヒドロキシ及び置換C1アルキルからなる群から選択される)
からなる群から選択される。
【0150】
一実施形態では、フェニルボロン酸誘導体は、4-ホルミルフェニルボロン酸(4-FPBA)、4-カルボキシフェニルボロン酸(4-CPBA)、4-(ヒドロキシメチル)フェニルボロン酸(4-HMPBA)、及びp-トリルボロン酸(p-TBA)からなる群から選択される。
【0151】
一実施形態では、本発明の液体組成物は、2~6個のヒドロキシル基を含有するポリオールから選択される少なくとも1つのポリオールを含む。好ましくは、少なくとも1つのポリオールは、グリコール、プロピレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,2-ブタンジオール、1,2-ペンタンジオール、エチレングリコール、ヘキシレングリコール、グリセロール、ソルビトール、マンニトール、エリトリトール、グルコース、フルクトース、ラクトース及びそれらの混合物から選択される。
【0152】
一実施形態では、液体組成物は、ジ-、トリ-又はテトラペプチドアルデヒド及びそのアルデヒド類似体(N末端保護基を任意選択で含む形態か若しくは国際公開第09/118375号及び国際公開第98/13459号に記載されているような形態どちらかの形態のB1-BO-R(式中、Rは、H、CH3、CX3、CHX2若しくはCH2X(X=ハロゲン)であり、BOは、単一アミノ酸残基(一実施形態では、任意選択で置換された脂肪族若しくは芳香族側鎖を有する)であり、B1は、1つ以上のアミノ酸残基(一実施形態では1、2若しくは3つ)からなる))から選択される少なくとも1つのペプチドアルデヒド、又はタンパク質型のプロテアーゼ阻害剤、例えば、RASI、BASI、WASI(イネ、オオムギ及びコムギの二官能性アルファ-アミラーゼ/サブチリシン阻害剤)又はCI2若しくはSSIを含む。
【0153】
一部の実施形態では、少なくとも1つのペプチド安定剤は、式(2)の化合物:
【0154】
【化10】
それらの塩から選択される。
式(2)中のR1、R2、R3、R4、R5及びZは、以下の通り定義される:
R1は、NH-CHR1-COが、Gly、Ala、Val、Leu、Ile、Met、Pro、Phe、Trp、Ser、Thr、Asp、Gln、Tyr、Cys、Lys、Arg、His、Asn、Glu、m-チロシン、3,4-ジヒドロキシフェニルアラニン、Nva、又はNleのL又はD-アミノ酸残基であるような基である。好ましくは、R1は、NH-CHR1-COが、Ala、Val、Gly、Arg、Leu、Phe、Ile、His又はThrのL又はD-アミノ酸残基であるような基である。より好ましくは、R1は、NH-CHR1-COが、Ala、Val、Gly、Arg、Leu、Ile又はHisのL又はD-アミノ酸残基であるような基である。
R2は、NH-CHR2-COが、Gly、Ala、Val、Leu、Ile、Met、Pro、Phe、Trp、Ser、Thr、Asp、Gln、Tyr、Cys、Lys、Arg、His、Asn、Glu、m-チロシン、3,4-ジヒドロキシフェニルアラニン、Nva、又はNleのL又はD-アミノ酸残基であるような基である。好ましくは、R2は、NH-CHR2-COが、Ala、Cys、Gly、Pro、Ser、Thr、Val、Nva又はNleのL又はD-アミノ酸残基であるような基である。より好ましくは、R2は、NH-CHR2-COが、Ala、Gly、Pro又はValのL又はD-アミノ酸残基であるような基である。
R3は、NH-CHR3-COが、Tyr、m-チロシン、3,4-ジヒドロキシフェニルアラニン、Phe、Val、Ala、Met、Nva、Leu、Ile又はNle又はアルキル基を有するその他の非天然アミノ酸のL又はD-アミノ酸残基であるような基である。好ましくは、R3は、NH-CHR3-COが、Tyr、Phe、Val、Ala又はLeuのL又はD-アミノ酸残基であるような基である。
【0155】
一実施形態では、R1は、NH-CHR1-COがGly又はValのL又はD-アミノ酸残基であるような基であり、R2は、NH-CHR2-COがAlaのL又はD-アミノ酸残基であるような基であり、R3は、NH-CHR3-COがTyr、Ala又はLeuのL又はD-アミノ酸残基であるような基である。
【0156】
一実施形態では、R1は、NH-CHR1-COがValのL又はD-アミノ酸残基であるような基であり、R2は、NH-CHR2-COがAlaのL又はD-アミノ酸残基であるような基であり、R3は、NH-CHR3-COがLeuのL又はD-アミノ酸残基であるような基である。
【0157】
一実施形態では、R4及びR5は、互いに独立に、メチル、エチル、イソプロピル、2-ブチル又は3-ペンチルから選択される。より好ましくは、R4及びR5は両方ともメチル、エチル、イソプロピル、2-ブチル又は3-ペンチルである。
【0158】
Zは、水素、N末端保護基、及び任意選択でN末端保護基を含む1つ以上のアミノ酸残基から選択される。好ましくは、ZはN末端保護基である。
【0159】
ZがN末端保護基を含む1つ以上のアミノ酸残基である場合、N末端保護基は、小脂肪族基、例えば、ホルミル、アセチル、フルオレニルメチルオキシカルボニル(Fmoc)、tert-ブチルオキシカルボニル(Boc)、メトキシカルボニル(Moc)、メトキシアセチル(Mac)、カルバミン酸メチル又はメチルアミノカルボニル/メチル尿素基であるのが好ましい。トリペプチドの場合、N末端保護基は、嵩高い芳香族基、例えば、ベンゾイル(Bz)、ベンジルオキシカルボニル(Cbz)、p-メトキシベンジルカルボニル(MOZ)、ベンジル(Bn)、p-メトキシベンジル(PMB)又はp-メトキシフェニル(PMP)であるのが好ましい。
【0160】
さらに適切なN末端保護基は、2014年にJohn Wiley & Sons, Incによって発行されたPeter G.M.WutsによるGreene's Protective Groups in Organic Synthesis、第5版に、及びIsidro-Llobetら、Amino Acid-Protecting Groups、Chem. Rev. 2009 109(6)、2455-2504に記載されている。
【0161】
好ましい実施形態では、ペプチド安定剤は、式(2)による化合物から選択され、
・R1及びR2は、NH-CHR1-CO及びNH-CHR2-COがそれぞれ、Ala、Cys、Gly、Pro、Ser、Thr、Val、Nva、又はNleから選択されるL又はD-アミノ酸残基であるような基であり、R3は、NH-CHR3-COが、Tyr、m-チロシン、3,4-ジヒドロキシフェニルアラニン、Phe、Val、Ala、Met、Nva、Leu、Ile又はNleから選択されるL又はD-アミノ酸残基であるような基であり、
並びに、
・N末端保護基Zは、ベンジルオキシカルボニル(Cbz)、p-メトキシベンジルカルボニル(MOZ)、ベンジル(Bn)、ベンゾイル(Bz)、p-メトキシベンジル(PMB)、p-メトキシフェニル(PMP)、ホルミル、アセチル(Ac)、メチルオキシ、アルコキシカルボニル、メトキシカルボニル、フルオレニルメチルオキシカルボニル(Fmoc)、又はtert-ブチルオキシカルボニル(Boc)から選択される。
【0162】
一実施形態では、液体組成物は、液体組成物の総重量に対して約0.1~2重量%の少なくとも1つのペプチド安定剤を含む。好ましくは、液体組成物は、液体組成物の総重量に対して約0.15~1重量%、又は0.2~0.5重量%、又は約0.3重量%の少なくとも1つのペプチド安定剤を含む。より好ましくは、液体組成物は、液体組成物の総重量に対して約0.3重量%の、
・R1が、NH-CHR1-COがValのL又はD-アミノ酸残基であるような基であり、R2が、NH-CHR2-COがAlaのL又はD-アミノ酸残基であるような基であり、R3が、NH-CHR3-COがLeuのL又はD-アミノ酸残基であるような基であり、並びに
・N末端保護基Zがベンジルオキシカルボニル(Cbz)である
ことを特徴とする式(2)によるペプチド安定剤を含む。
【0163】
一実施形態では、本発明の液体組成物は、上記で開示の少なくとも1つのポリオール及び上記で開示の少なくとも1つのペプチド安定剤を含む。
【0164】
一実施形態では、本発明の液体組成物は、好ましくはNaCl又はKCl、乳酸、ギ酸のアルカリ塩から選択される塩、及びそれらの混合物を含む。
【0165】
一実施形態では、本発明の液体組成物は、そのようなイオンを酵素に提供する、最終組成物中の亜鉛(II)、カルシウム(II)及び/又はマグネシウム(II)イオン(E)、並びに他の金属イオン(例えば、バリウム(II)、スカンジウム(II)、鉄(II)、マンガン(II)、アルミニウム(III)、錫(II)、コバルト(II)、銅(II)、ニッケル(II)及びオキソバナジウム(IV))の水溶性供給源を含む。
【0166】
本明細書では液体組成物それ自体を安定化する化合物は、保存安定性を確保するのに有効な量で液体組成物の保存安定性を確立するために必要とされる酵素安定剤及び抗菌化合物以外の任意の化合物を意味する。
【0167】
当業者にとっての液体組成物に関しての保存安定性は、製品の外観及び用量の均一性を通常は含む。
【0168】
製品の外観は、製品のpHによる、及び化合物、例えば、酸化防止剤、粘度調整剤、乳化剤などの存在による影響を受ける。
【0169】
用量の均一性は、製品の均質性に通常は関連している。
【0170】
本発明の組成物は、アルカリ性であることもあり、又は中性若しくは弱酸性pH値、例えば、6~14、6.5~13、8~10.5、若しくは8.5~9.0を示すこともある。
【0171】
成分(b)を含む均質な液体組成物を提供するための成分(a)の使用
一態様では、本発明は、抗バイオフィルム活性を有する均質な液体酵素含有組成物を提供する。本明細書での均質性とは、液体が相分離のない均質な液体であることを意味する。
【0172】
本発明は、成分(b)を含む均質な液体組成物を提供するための、本明細書に開示の成分(a)の使用を提供し、ここで、液体組成物は好ましくは抗バイオフィルム活性を有する。
【0173】
本発明は、DNAse活性を有する液体組成物に、式(I)による少なくとも1つの塩素化ヒドロキシジフェニルエーテルを添加することによって、液体抗菌組成物を提供する方法に関する。好ましくは、組成物は抗バイオフィルム活性を有する。
【0174】
液体抗菌組成物は、一実施形態では、4℃で少なくとも7日間、保存において安定である。液体抗菌組成物は、別の実施形態では、30℃又は37℃で少なくとも7日間、保存において安定である。
【0175】
一実施形態では保存安定性とは、液体抗菌組成物の均質性の安定性を意味する。液体抗菌組成物の均質性の安定性とは、保存時間中に相分離が生じないことを好ましくは意味する。
【0176】
別の実施形態では、保存安定性とはDNAse活性の保存安定性を意味する。DNAse安定性の保存安定性とは、保存前のDNAse活性と比較した場合、保存後の残存DNAse活性が少なくとも60%であることを、好ましくは意味する。保存後の残存DNAse活性は、保存前のDNAse活性と比較した場合、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、又は少なくとも90%であることが好ましい。
【0177】
液体組成物の使用
本発明の液体組成物は、本明細書では「洗剤配合物」又は「洗浄配合物」と呼ばれ、汚れた物質を洗浄することを目的とした配合物を意味する。洗浄は、洗濯を意味することもあり、又は硬質表面洗浄を意味することもある。本発明による汚れた物質は、テキスタイル及び/又は硬質表面を含む。
【0178】
用語「洗濯」は、家庭用洗濯と工業用洗濯の両方に関し、本発明の洗剤配合物を含む溶液でテキスタイルを処理するプロセスを意味する。洗濯プロセスは、技術的装置、例えば、家庭用又は工業用洗濯機を使用することによって行われることがある。或いは、洗濯プロセスは、手で行われることもある。
【0179】
用語「テキスタイル」は、任意のテキスタイル材料、例えば、糸(編むこと及び織ることに使用される、天然又は合成繊維で製造された単糸)、糸中間体、繊維、不織素材、天然素材、合成素材など、並びにこれらの素材で製造された布製品(繊維を織ること、編むこと又はフェルト加工することにより製造されたテキスタイル)、例えば、衣服(テキスタイルで製造された任意の衣類)、布及び他の物品を意味する。
【0180】
用語「繊維」は、天然繊維、合成繊維、及びこれらの混合物を含む。天然繊維の例は、植物(例えば、亜麻、ジュート、綿)の繊維、又はコラーゲン、ケラチン及びフィブロインのようなタンパク質を含む動物由来の繊維(例えば、絹、羊毛、アンゴラ、モヘア、カシミヤ)である。合成起源の繊維の例は、ポリウレタン繊維、例えば、Spandex(登録商標)若しくはLycra(登録商標)、ポリエステル繊維、ポリオレフィン、例えばエラストフィン、又はポリアミド繊維、例えばナイロンである。繊維は、単繊維であることもあり、又はテキスタイル、例えばニットウェア、織物若しくは不織物の一部であることもある。
【0181】
用語「硬質表面洗浄」は、本明細書では、硬質表面の洗浄と定義され、この硬質表面は、家庭における任意の硬質表面、例えば、床、備え付け家具、壁、衛生陶器、ガラス、カトラリーを含む金属表面、又は食器を含み得る。したがって、用語「硬質表面洗浄」は、食器を洗浄するあらゆる形態、例えば、手動又は自動食器洗浄機(ADW)により洗浄する形態を指す、「食器洗浄」も意味する。食器洗浄は、あらゆる形態の食事用食器セット、例えば、平皿、カップ、グラス、ボール、あらゆる形態のカトラリー、例えば、スプーン、ナイフ、フォーク及び給仕用具、並びに陶器、プラスチック、例えばメラミン、金属、磁器、ガラス及びアクリル樹脂の洗浄を含むが、これらに限定されない。
【0182】
一態様では、本発明は、洗浄(washing)装置及びクリーニング(cleaning)装置に存在する硬質及び/若しくは可撓性の表面上での並びに/又はテキスタイル表面でのバイオフィルム形成を、阻害及び/又は低減する方法であって、
(1)本発明の液体組成物を使用すること、
(2)液体組成物と表面を接触させること、並びに
(3)それにより、1つ以上の微生物が表面に付着すること及び/又は表面上で増殖すること及び/又は表面上にバイオフィルムを形成することを防止すること、
によって、阻害及び/又は低減する方法に関する。
【0183】
好ましくは、本発明の液体組成物は、本発明の液体組成物と表面を接触させる前又は最中に、洗浄装置中又は容器中で水で希釈される。好ましくは、液体組成物は水中に1:100~1:3000に希釈される。
【0184】
微生物増殖の低減とは、本発明の洗剤配合物と接触する、洗浄及びクリーニング器具や装置に存在する硬質及び可撓性の表面上での又はテキスタイル表面上でのバイオフィルム形成が、成分(a)及び/又は成分(b)を欠く洗剤配合物と接触させたそのような表面上でのバイオフィルム形成と比較したいずれの場合でも、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、又は少なくとも95%低減することを意味する。一実施形態では、バイオフィルム形成は完全に又はほぼ完全に阻害され、これは、「実質的にバイオフィルムがない」ことが形成されることを意味する。「実質的にバイオフィルムがない」とは、成分(a)及び/又は成分(b)を欠く洗剤配合物と接触させた装置又はテキスタイル表面上でのバイオフィルム形成と比較して、約20%未満、約18%未満、約15%未満、又は約12%未満のバイオフィルムが形成されることを意味する。
【0185】
一実施形態では、上記の実施形態によるバイオフィルムは、細菌及び菌類の群から選択される少なくとも1つの微生物を含む。
【0186】
本発明によるバイオフィルムに含まれる細菌は、細菌の細胞壁の超構造及び化学組成の著しい差に起因するグラム染色保持特性に基づいて、主要な2群、グラム陽性とグラム陰性に分けることができる。
【0187】
本発明の一態様では、バイオフィルム中で増殖する少なくとも1つの微生物は、グラム陽性菌から、好ましくは球菌及び桿菌から選択される。一実施形態では、少なくとも1つの微生物は、カタラーゼ陽性球菌から、例えば、ブドウ球菌属(Staphylococcus)及びミクロコッカス属(Micrococcus)から選択される。別の実施形態では、少なくとも1つの微生物は、グラム陰性球菌から、例えばストレプトコッカス属(Streptococcus)から選択される。ブドウ球菌は、コアグラーゼ陽性種(例えば黄色ブドウ球菌(S.aureus))とコアグラーゼ陰性種(例えば表皮ブドウ球菌(S.epidermidis)、S.サプロフィティクス(S.saprophyticus))に細分することができる。好ましい実施形態では、少なくとも1つの微生物はコアグラーゼ陽性ブドウ球菌から選択される。より好ましくは、少なくとも1つの微生物は黄色ブドウ球菌である。
【0188】
グラム陽性菌はまた、アエロミクロビウム属(Aeromicrobium)、ミクロバクテリウム属(Microbacterium)、及びミクロコッカス属から選択することができる。
【0189】
本発明の一態様では、本発明によるバイオフィルム中で増殖する少なくとも1つの微生物は、グラム陰性菌から、好ましくはグラム陰性プロテオバクテリアから選択される。プロテオバクテリアは以下の綱:アルファプロテオバクテリア(Alphaproteobacteria)、ベータプロテオバクテリア(Betaproteobacteria)、ガンマプロテオバクテリア(Gammaproteobacteria)、デルタプロテオバクテリア(Deltaproteobacteria)、イプシロンプロテオバクテリア(Epsilonproteobacteria)、ゼータプロテオバクテリア(Zetaproteobacteria)、アシディチオバシラ(Acidithiobacilla)、ヒドロジェンフィリア(Hydrogenophilia)、及びオリゴフレクスス(Oligoflexia)に通常は細分される。
【0190】
アルファプロテオバクテリアとしては、それらに限定されないが、ブルセラ属(Brucella)、リゾビウム属(Rhizobium)、アグロバクテリウム属(Agrobacterium)、カウロバクター属(Caulobacter)、リケッチア属(Rickettsia)、ボルバキア属(Wolbachia)が挙げられる。好ましくは、本発明によるバイオフィルム中で増殖する少なくとも1つの微生物は、カウロバクター目(Caulobacterales)からのものであり、より好ましくはブレバンジモナス属(Brevundimonas)からのものである。
【0191】
ベータプロテオバクテリアとしては、それらに限定されないが、以下の属:ボルデテラ属(Bordetella)、ラルストニア属(Ralstonia)、ナイセリア属(Neisseria)、ニトロソモナス属(Nitrosomonas)が挙げられる。
【0192】
ガンマプロテオバクテリアとしては、それらに限定されないが、以下の属:エシェリキア属(Escherichia)、赤痢菌属(Shigella)、サルモネラ属(Salmonella)、ステノトロホモナス属(Stenotrophomonas)、エルシニア属(Yersinia)、ブクネラ属(Buchnera)、ヘモフィルス属(Haemophilus)、ビブリオ属(Vibrio)、シュードモナス属(Pseudomonas)が挙げられる。好ましくは、少なくとも1つの微生物は、エンテロバクター目(Enterobacterales)、キサントモナス目(Xanthomonadales)及びシュードモナス目(Pseudomonadales)から選択される。好ましくは、少なくとも1つの微生物は、大腸菌(Escherichia coli)、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)及びシュードモナス・プチダ(Pseudomonas putida)の各種から選択される。
【0193】
菌類は、ミクロボトリウム菌綱(Microbotryomycetes)から、好ましくはロドトルラ属(Rhodotorula)から、例えば、ロドトルラ・ムチラギノーザ(Rhodotorula mucilaginosa)、R.グルティニス(R.glutinis)及びR.ミヌタ(R.minuta)から選択される種から選択することができる。
【0194】
菌類はまた、サッカロミケス綱(Saccharomycetes)から、好ましくはサッカロミセス目(Saccharomycetales)から、より好ましくはカンジダ属(Candida)、例えばからカンジダ・アルビカンス(Candida albicans)種から選択することができる。
【0195】
洗剤配合物中の個々の洗剤成分及び使用量は、当業者に公知である。好適な洗剤成分は、とりわけ、界面活性剤、ビルダー、ポリマー、アルカリ、漂白系、蛍光増白剤、泡抑制剤及び安定剤、ヒドロトロープ、並びに防錆剤を含む。さらなる例は、例えば、「Complete Technology Book on Detergents with Formulations (Detergent Cake, Dishwashing Detergents, Liquid & Paste Detergents, Enzyme Detergents, Cleaning Powder & Spray Dried Washing Powder)」、Engineers India Research Institute (EIRI)、第6版(2015年)に記載されている。当業者用のもう1つの参考図書は、「Detergent Formulations Encyclopedia」、Solverchem Publications、2016年である。
【0196】
成分が液体洗剤配合物にそれを混合することによって組成物に既に供給されている場合、これらの成分が所望の目的に効果的であるべきである場合、本発明の組成物を含む洗剤配合物は濃度的に調整する必要があることが理解される。目的には、製品の劣化に対する安定化及び洗浄性能が含まれる。
【0197】
洗剤成分は、洗剤配合物の最終用途において1つより多くの機能を果たすことがあり、したがって、本明細書で特定の機能に関連して言及されるいずれの洗剤成分も、洗剤配合物の最終用途において別の機能も果たすことがある。洗剤配合物の最終用途における特定の洗剤成分の機能は、洗剤配合物中のその量、すなわち洗剤成分の有効量に、通常は依存する。
【0198】
用語「有効量」は、汚れの有効な除去及び/若しくは有効な洗浄条件(例えば、pH、泡立ちの量)を提供する個々の成分の量、光学的利益(例えば、蛍光増白、色移り防止)を有効にもたらすためのある特定の成分の量、並びに/又は処理を有効に補助するある特定の成分(処理、保存及び使用中に物理的特性を維持するもの、例えば、粘度調整剤、ヒドロトロープ、乾燥剤)の量を含む。
【0199】
一実施形態では、洗剤配合物は、2つより多くの洗剤成分の配合物であり、少なくとも1つの成分は、汚れの除去に有効であり、少なくとも1つの成分は、最適な洗浄条件の提供に有効であり、少なくとも1つの成分は、洗剤の物理的特性の維持に有効である。
【0200】
本発明の液体洗剤配合物は、…重量%の量の成分(a)及び、…重量%の量の成分(b)を含み、前記重量%は全て液体洗剤配合物の総重量に対してである。
【0201】
一実施形態では、本発明の洗剤配合物は20℃及び101.3kPaで液体である。
【0202】
本発明の一実施形態では、液体洗剤配合物は、1つ以上の粘度調整剤を含む。好適な粘度調整剤の非限定的な例としては、寒天、カラギーナン、トラガカント、アラビアガム、キサンタンガム、アルギン酸塩、ペクチン、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、デンプン、ゼラチン、ローカストビーンガム、架橋ポリ(メタ)アクリレート、例えば、ビス-(メタ)アクリルアミドで架橋されたポリアクリル酸、さらにケイ酸、粘土、例えば、これに限定されないが、モントリロナイト、ゼオライト、デキストリン、及びカゼインが挙げられる。粘度調整剤は、所望の粘度をもたらすのに有効な量で含まれ得る。
【0203】
本発明の一実施形態では、液体洗剤配合物は、有機溶媒、例えば、エタノール、イソプロパノール、エチレングリコール、1,2-プロピレングリコール、及び通常の条件下で水混和性である非限定的なさらなる有機溶媒であり得る、1つ以上のヒドロトロープを含む。好適なヒドロトロープのさらなる例は、トルエンスルホン酸の、キシレンスルホン酸の、及びクメンスルホン酸のナトリウム塩である。ヒドロトロープは、水へのわずかな溶解度しか示さない化合物の溶解を助長する又は可能にする量で通常は含まれる。
【0204】
一実施形態では、本発明の液体洗剤配合物は、漂白剤不含であり、例えば、無機過酸化物化合物、又は塩素系漂白剤、例えば次亜塩素酸ナトリウム不含であり、これは、本発明による液体洗剤配合物が、合計で0.01重量%以下の無機過酸化物化合物及び塩素系漂白剤を含むことを意味し、前記重量%は、各場合において液体洗剤配合物の総重量に対してである。
【0205】
洗濯
一実施形態では、本発明の液体組成物は液体洗濯用洗剤である。通常、洗濯用洗剤は、好ましくは、式(NIS-1)による少なくとも1つの非イオン性界面活性剤、及び/又は式(AS-I)による少なくとも1つのアニオン性界面活性剤及び/若しくは式(AS-II)による少なくとも1つのアニオン性界面活性剤から選択される、比較的高量の界面活性剤を含む。
【0206】
一実施形態では、液体洗濯用洗剤は、約5重量%~50重量%の範囲の量、好ましくは約10重量%~40重量%の範囲の量のアニオン性界面活性剤を含み、前記重量%は全て液体洗濯用洗剤組成物の総重量に対してである。
【0207】
一実施形態では、液体洗濯用洗剤は、約5重量%~50重量%の範囲の量の、好ましくは約5重量%~40重量%の範囲の量の非イオン性界面活性剤を含み、前記重量%は全て液体洗濯用洗剤組成物の総重量に対してである。
【0208】
一実施形態では、本発明の液体洗濯用洗剤は、本明細書に開示の少なくとも1つのヒドロラーゼを含む。好ましくは、本明細書に開示の少なくとも1つのプロテアーゼは、本発明の液体組成物の添加によって、1つ以上の洗剤成分と組み合わされる。好ましくは、少なくとも1つのプロテアーゼは、約0.005重量%~0.15重量%、より好ましくは約0.01重量%~0.1重量%の量で含まれ、前記重量%は全て洗剤配合物の総重量に対してである。
【0209】
一実施形態では、液体洗濯用洗剤は、好ましくは約0.001重量%~0.005重量%、より好ましくは0.001重量%~0.002重量%の量の、本明細書に開示の少なくとも1つのリパーゼをさらに含み、前記重量%は全て洗剤配合物の総重量に対してである。少なくとも1つのリパーゼは、本明細書に開示のサーモマイセス・ラヌギノーサリパーゼ及びその変異体から選択される真菌トリアシルグリセロールリパーゼから選択される。
【0210】
一実施形態では、液体洗濯用洗剤は、好ましくは約0.001重量%~0.015重量%、より好ましくは0.002重量%~0.015重量%の量の、本明細書に開示の少なくとも1つのアルファ-アミラーゼをさらに含み、前記重量%は全て洗剤配合物の総重量に対してである。
【0211】
一実施形態では、液体洗濯用洗剤は、好ましくは約0.001重量%~0.01重量%、より好ましくは0.002重量%~0.009重量%の量の、本明細書に開示の少なくとも1つのセルラーゼをさらに含み、前記重量%は全て洗剤配合物の総重量に対してである。少なくとも1つのセルラーゼは、エンドグルカナーゼ(EC3.2.1.4)から、好ましくは、本明細書に開示の、国際公開第91/17244号の図14A~Eに開示されているアミノ酸配列を有するもの及びそれらの変異体から選択される。
【0212】
一実施形態では、液体洗濯用洗剤は、好ましくは約0.0005重量%~0.005重量%、より好ましくは0.0005重量%~0.002重量%の量の、本明細書に開示の少なくとも1つのマンナナーゼをさらに含み、前記重量%は全て洗剤配合物の総重量に対してである。少なくとも1つのマンナナーゼは、本明細書に開示のエンド-1,4-β-マンノシダーゼ(EC3.2.1.78)から選択される。
【0213】
一実施形態では、液体洗濯用洗剤は、1重量%~10重量%の範囲、1.5重量%~7重量%の範囲、又は2重量%~5重量%の範囲の全て上記に開示の通りの量の、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、メチルグリシンジアセテート(MGDA)、及びグルタミン酸ジアセテート(GLDA)から選択される少なくとも1つのアミノカルボキシレートを含み、前記重量%は全て液体洗濯用洗剤の総重量に対してである。
【0214】
一実施形態では、液体洗濯用洗剤は、0.1重量%~10重量%の範囲、0.5重量%~8重量%の範囲、1重量%~5重量%の範囲、又は2重量%~4重量%の範囲のクエン酸を含み、前記重量%は全て洗剤配合物の総重量に対してである。一実施形態ではクエン酸は、ギ酸塩との混合物、例えばクエン酸Na:ギ酸Na=9:1として提供される。
【0215】
一実施形態では、液体洗濯用洗剤は、0.5重量%~3.0重量%の範囲、又は1.0重量%~2.5重量%の範囲の量の、好ましくはHEDP及びDTPMPから選択される、本明細書に開示の少なくとも1つのホスホネートを含み、前記重量%は全て洗剤配合物の総重量に対してである。
【0216】
一実施形態では、液体洗濯用洗剤は、ポリエチレンコア及びポリエチレンオキシドシェルをベースとする少なくとも1つのエトキシ化ポリエチレンイミンポリマーを含む。好ましくは、ポリエチレンイミンコア分子は、500~5000g/molの範囲の平均分子量MWを有するポリエチレンイミンである。より好ましいのは500~1000g/molの分子量であり、さらにより好ましいのは600~800g/molのMWである。エトキシ化ポリマーは、-NH基1個当たり平均で5~50個、好ましくは10~30個、さらにより好ましくは15~25個のEO(エトキシ)基を有し、5,000~20,0000、好ましくは8,000~100,000、より好ましくは8,000~50,000、さらにより好ましくは10,000~30,000、そして最も好ましくは10,000~20,000g/molの範囲の平均分子量MWをもたらす。好ましくは、少なくとも1つのエトキシ化ポリエチレンイミンポリマーは、約0.5重量%~5重量%、約1重量%~4重量%、又は約1.5重量%~3重量%の範囲の量で含まれ、前記重量%は全て液体洗濯用洗剤の総重量に対してである。
【0217】
一実施形態では、液体洗濯用洗剤は、好ましくは2000~10,000g/mol、より好ましくは3,000~8,000、最も好ましくは4,000~6,000の範囲の平均分子量Mwを有する少なくとも1つのエトキシ化ヘキサメチレンジアミンポリマーを含むが、これは四級化されているのが好ましく任意選択であるが硫酸化されているのが好ましい。好ましくは、エトキシ化ヘキサメチレンジアミンポリマーは、四級化されており任意選択であるが硫酸化されているのが好ましいが、-NH基1個当たり平均で10~50個、好ましくは15~40個、さらにより好ましくは20~30個のEO(エトキシ)基を含有し、2,000~10,000g/mol、より好ましくは3,000~8,000、最も好ましくは4,000~6,000の範囲の平均分子量MWをもたらす。好ましい実施形態では、エトキシ化ヘキサメチレンジアミンは、四級化及びまた硫酸化されており、好ましくは、2個のカチオン性アンモニウム基及び2個のアニオン性硫酸基を有する。好ましくは、少なくとも1つのエトキシ化ヘキサメチレンジアミンポリマーは、約0.5重量%~5重量%、約1重量%~4重量%、又は約1.5重量%~3重量%の範囲の量で含まれ、前記重量%は全て液体洗濯用洗剤の総重量に対してである。
【0218】
自動食器洗浄
一実施形態では、本発明の液体組成物は、液体自動食器洗浄洗剤である。
【0219】
通常、自動食器洗浄洗剤は、有意な量のアニオン性界面活性剤を含まない。本発明の一態様では、液体自動食器洗浄洗剤は、約0重量%~3重量%の量の、好ましくは1重量%未満の量のアニオン性界面活性剤を含み、より好ましくはアニオン性界面活性剤を含まないが、前記重量%は全て液体自動食器洗浄洗剤組成物の総重量に対してである。
【0220】
本発明の一態様では、液体自動食器洗浄洗剤は、約0重量%~10重量%の量の、好ましくは5重量%未満の量の、より好ましくは3重量%未満の量の非イオン性界面活性剤を含み、前記重量%は全て液体自動食器洗浄洗剤組成物の総重量に対してである。
【0221】
好ましくは、本発明の液体自動食器洗浄洗剤は、式(NIS-IV)による少なくとも1つの非イオン性界面活性剤を含み、より好ましくは、R1はn-C8アルキルであり、R2は分岐C11アルキルであり、AOはCH2-CH2-Oであり、xは22である。自動食器洗浄洗剤は、約0.3重量%~10重量%の範囲、約0.5重量%~5重量%の範囲、又は約1重量%~3重量%の範囲の量のそのような化合物を含むことが好ましく、前記重量%は全て液体自動食器洗浄洗剤の総重量に対してである。
【0222】
一実施形態では、液体自動食器洗浄洗剤は、洗剤配合物の総重量に対して5重量%~15重量%の量の、上記で開示の少なくとも1つのアミノカルボキシレートを含む。
【0223】
好ましくは、自動食器洗浄洗剤は、
・0.1重量%~15重量%の範囲、1重量%~10重量%の範囲、3重量%~8重量%の範囲、又は2.5重量%~5重量%の範囲(前記重量%は全て洗剤配合物の総重量に対してである)の量の、上記に開示のエチレンジアミン四酢酸(EDTA)及び/又はジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)及び/又はメチルグリシン二酢酸(MGDA)及び/又はグルタミン酸二酢酸(GLDA)、
・任意選択で、0.1重量%~10重量%の範囲、0.5重量%~8重量%の範囲、1重量%~5%重量%の範囲又は2重量%~4重量%の範囲の量(前記重量%は全て洗剤配合物の総重量に対してである)のクエン酸であって、一実施形態ではギ酸塩との混合物、例えばクエン酸Na:ギ酸Na=9:1として供給されるクエン酸、
・任意選択で、0.1重量%~5重量%の範囲、0.5重量%~3重量%の範囲、又は1重量%~2重量%の範囲(前記重量%は全て洗剤配合物の総重量に対してである)の量の少なくとも1つのホスホネートであって、ポリホスホン酸の、例えばジホスホン酸の誘導体、例えばHEDPのナトリウム塩、及びアミノポリホスホン酸の誘導体、例えばアミノアルキレンホスホン酸、例えばDTPMPから好ましくは選択されるホスホネート、
・任意選択で、0重量%~10重量%、0.5重量%~7重量%、1重量%~5重量%、又は2.5重量%~5重量%の範囲(前記重量%は全て洗剤配合物の総重量に対してである)の量の少なくとも1つのポリカルボキシレートであって、同じ不飽和カルボン酸である反復モノマーを有するホモポリマー、例えばポリアクリル酸(PAA)、並びに少なくとも2つの異なる不飽和カルボン酸である反復モノマーを有するコポリマー、例えば、アクリル酸とメタクリル酸のコポリマー、アクリル酸又はメタクリル酸とマレイン酸及び/又はフマル酸とのコポリマーから選択され、前記ポリアクリル酸のホモポリマーは部分的に中和又はスルホン化され得る、ポリカルボキシレート、
を含むビルダー系を含む。
【0224】
一実施形態では、本発明の液体自動食器洗浄洗剤は、プロテアーゼ、アミラーゼ、及びリパーゼから選択され本明細書に開示の少なくとも1つのヒドロラーゼを含む。本明細書に開示の少なくとも1つのプロテアーゼは、本発明の液体組成物の添加によって、1つ以上の洗剤成分と組み合わされる。好ましくは、少なくとも1つのプロテアーゼは、約0.10重量%~0.25重量%、より好ましくは約0.12重量%~0.21重量%の量で含まれ、前記重量%は全て液体自動食器洗浄洗剤の総重量に対してである。
【0225】
一実施形態では、液体自動食器洗浄洗剤は、好ましくは約0.002重量%~0.015重量%、より好ましくは0.004~0.01重量%の量の、本明細書に開示の少なくとも1つのアルファ-アミラーゼをさらに含み、前記重量%は全て洗剤配合物の総重量に対してである。
【0226】
一実施形態では、液体自動食器洗浄洗剤は、少なくとも1つの亜鉛塩を含む。亜鉛塩は水溶性及び水不溶性の亜鉛塩から選択されるのが好ましい。これに関連して、本発明の文脈内で、水不溶性であるとは、25℃での蒸留水中で0.1g/l以下の溶解度を有する亜鉛塩を指すのに使用される。したがって、水により高い溶解度を有する亜鉛塩は、本発明の文脈内で水溶性亜鉛塩と呼ばれる。
【0227】
亜鉛塩は、安息香酸亜鉛、グルコン酸亜鉛、乳酸塩亜鉛、ギ酸亜鉛、ZnCl2、ZnSO4、酢酸亜鉛、クエン酸亜鉛、Zn(NO3)2、Zn(CH3SO3)2及び没食子酸亜鉛、好ましくはZnCl2、ZnSO4、酢酸亜鉛、クエン酸亜鉛、Zn(NO3)2、Zn(CH3SO3)2及び没食子酸亜鉛から選択することができる。
【0228】
本発明の別の実施形態では、亜鉛塩は、ZnO、ZnO・aq、Zn(OH)2及びZnCO3から選択される。ZnO・aqが好ましい。
【0229】
本発明の一実施形態では、亜鉛塩は、10nm~100μmの範囲の平均粒径(重量平均)を有する酸化亜鉛から選択される。
【0230】
亜鉛塩中のカチオンは、例えば、アンモニア配位子又は水配位子と複合体を形成した錯化形で存在することができ、特に水和形態で存在することができる。表記を単純化するために、本発明の文脈内では、配位子は水配位子である場合、一般に省略される。
【0231】
本発明による混合物のpHを調整する方法に応じて、亜鉛塩を変更することができる。したがって、本発明による配合物を調製するために酢酸亜鉛又はZnCl2を使用することが例えば可能であるが、これは、水性環境においてpH8又は9にて、ZnO、Zn(OH)2又はZnO・aqに変換するが、これらは非錯化形態で又は錯化形態で存在することができる。
【0232】
亜鉛塩は好ましくは、溶解形態で又はコロイド形態で液体洗剤配合物中に存在する。
【0233】
本発明の一実施形態では、本発明の自動食器洗浄配合物は、それぞれの場合に当該配合物の固形分に基づいて、合計で0.05~0.4重量%の範囲の亜鉛塩を含む。本明細書では、亜鉛塩の分率は亜鉛又は亜鉛イオンとして与えられる。これから、対イオンの分率を計算することができる。
【実施例0234】
[実施例1]
全体として、バイオフィルムを、上記に開示の成分(a)及び/又は成分(b)の存在下でマイクロタイタープレートで栄養培地で培養した。培養後、バイオフィルムを染料(サフラニン)で染色し、次いで、染料を溶媒に再溶解した。540nmでの染料溶液の吸光度は、ウェルで増殖したバイオフィルムの量の尺度である。
【0235】
成分(a)は、1,2プロピレングリコールに30%溶液の形で添加した、4,4'-ジクロロ2-ヒドロキシジフェニルエーテル(CAS-No.3380-30-1)であったが、これは商業用製品Tinosan HP 100である。
【0236】
成分(b)は、約33%の濃度でタンパク質配列
MKKWMAGLFLAAAVLLCLMVPQQIQGASLYDKVLYFPLSRYPETGDHIKDAIADGHSDICTIDRDGADKRRQESLKGIPTKPGYDRDEWPMAVCEEGGAGADVRYVTPSDNRGAGSWVGNQMSGYPDGTRVLFIVQ
を有するDNAseを含有する凍結乾燥粉末であった。
【0237】
試験生物、緑膿菌DSM1117と黄色ブドウ球菌DSM20231の両方を、トリプチケースソイ寒天培地で35℃で24時間培養した。初代継代を+4℃で9日間保存した。
【0238】
接種材料を:
35℃で200mL振とうフラスコにて水で希釈した30%TSB*+グルコース2.5g/Lの200ml中での初代継代の、
(i)緑膿菌について5つの単一コロニー及び
(ii)黄色ブドウ球菌について2つの単一コロニー
を、撹拌速度およそ160rpmのシェーカー上で24時間、懸濁することによって調製した。この一晩培養物の光学密度(OD)を、595nm(OD595nm)で測光法で決定し、60%TSB+グルコース5g/L中でOD595nm=0.4に調整した。
*TSB100%とは、トリプチケースソイブイヨン培地:カゼインペプトン17g、大豆ペプトン3g、NaCl 5g、K2HPO4 2.5gを含有する水性培地1L、である。
【0239】
成分(a)、成分(b)及び成分(a)+(b)の溶液を、脱イオン水中の最終試験濃度の2倍で調製し、滅菌ろ過し、75μlを透明な96ウェルマイクロタイタープレートのウェルに添加した。さらに、マイクロタイタープレートの上記ウェルにOD595nm=0.4細胞懸濁液(接種材料)75μLを移し、合計で容量150μlを得た。かくして、バイオフィルムを、30%TSB+グルコース2.5g/Lで培養した。プレートを湿式チャンバー内で33℃及び40rpmで24時間インキュベートした。
【0240】
インキュベーション後、浮遊細胞を含有する上清をピペットで除去し、ウェルを0.85%NaCl溶液195μLで3回洗浄した。NaCl溶液を除去した後、プレートをティッシュ上で軽くたたいてウェル内の残留NaClを最小限とし、空のプレートを層流中で乾燥した。
【0241】
サフラニン(グラムサフラニン、Sigma-Aldrich)をバイオフィルム染色用に使用した。1ウェルあたり175μLを使用し、室温(RT)で30分間放置した。
【0242】
上清をピペットで除去し、ウェルを0.85%NaCl溶液195μLで4回洗浄し、最終的に液体をピペットで除去し、プレートをティッシュ上で軽くたたいてウェル内の残留NaClを最小限とした。空のプレートを層流中で乾燥した。ウェルを、脱イオンH2O中の30%酢酸(染料溶媒)175μLで満たした。上下のピペッティングによって染料をさらに溶解し、液体をフレッシュマイクロタイタープレートに移した。
【0243】
サフラニン溶液の吸光度は540nmでプレートリーダーを使用して決定した。
【0244】
各組成物について、少なくとも3つのウェルで並行して試験した。3より多くの平均結果を取った。これらの平均吸光度値のそれぞれから、ブランクのバックグラウンド吸光度値(増殖培地を含むが細菌を含まない少なくとも3つのウェルの平均)を減じた。この正味平均吸光度が、ウェル内部に形成されたバイオフィルムの量の測定値である。
【0245】
ブランク実験の場合、最高量のバイオフィルムが見られ、バイオフィルム阻害効果は0%である(定義上)。バイオフィルム形成を全く与えない有効成分(正味吸光度=0)によって、100%のバイオフィルム阻害効果が示される。
【0246】
5つの系について試験した:
(1)バイオフィルム増殖培地にいずれの抗バイオフィルム剤も無添加、代わりに生理食塩水溶液を添加した。(「作用剤なしのブランク実験」)
(2)増殖培地への10ppm成分(b)の添加、ここで、表示ppmとは、マイクロタイタープレートの各ウェルのL単位の液体の体積に対するmg単位の凍結乾燥粉末の重量を指す
(3)増殖培地への20ppm成分(b)の添加。ここで、表示ppmとは、マイクロタイタープレートの各ウェルのL単位の液体の体積に対するmg単位の凍結乾燥粉末の重量を指す
(4)増殖培地への0.6ppm成分(a)(すなわち、4,4'-ジクロロ2-ヒドロキシジフェニルエーテル)の添加。ここで、表示ppmは、マイクロタイタープレートの各ウェルのL単位の液体の体積に対するmg単位の成分(a)の重量を指す
(5)2ppm成分(a)と10ppm成分(b)の組合せの添加
【0247】
【表1】
【0248】
[実施例2]
以下の液体洗濯用洗剤配合物を調製することができる:
【0249】
【表2】
AEO:Lutensol AO7(BASF);一般式(Ia)の化合物から選択される2つの非イオン性界面活性剤、前記非イオン性界面活性剤の一方は、R1がC12であり、R2及びR5がHであり、mが7であり、n及びo=0を特徴とし、他方の界面活性剤はR1がC14であり、R5がHであり、mが7であり、n及びo=0を特徴とする。
AES:Texapon N70(BASF);一般式(AIS Ia)の化合物から選択される2つのアニオン性界面活性剤、前記アニオン性界面活性剤のうちの一方は、R1がC11であり、R2がHであり、mが2であり、n及びo=0、A-がSO3 -であり、M+がNa+であることを特徴とし、他方の界面活性剤は、R1がC13であり、R2がHであり、mが2であり、n及びo=0、A-がSO3 -であり、M+がNa+であることを特徴とする。
LAS:Maranil DBS/LC(BASF);一般式(AIS II)の化合物から選択される2つのアニオン性界面活性剤、前記アニオン性界面活性剤のうちの一方は、R1がC10であることを特徴とし、他方の界面活性剤は、R1がC13であることを特徴とする。
ヤシ脂肪酸:Edenor K12-18(Emery Oleochemicals)
任意選択でプロテアーゼ:R101E置換を伴う、欧州特許第1921147号に記載の配列番号22によるポリペプチド配列を有するプロテアーゼ。
【0250】
上記配合物は、界面活性剤、溶媒、脂肪酸、クエン酸及びNaOH及び水を含有するプレミックスを最初に調製することによって90%まで調製される。本プレミックスは、全ての成分を適当量の水に添加すること、及び室温での撹拌によって調製される。続いて、NaOHを使用してpHをpH=8.5に設定した。次いで、室温で撹拌することにより最終配合物を調製した:90%の本プレミックス、プロテアーゼあり/なしの適当な濃度の組成物及び水を100%となるまで。
【配列表フリーテキスト】
【0251】
配列番号2:タンパク質:人工的(国際公開第2019/081724号の配列番号25のモチーフ)
配列番号3:タンパク質:人工的(国際公開第2019/081724号の配列番号26のモチーフ)
配列番号4:タンパク質:人工的(国際公開第2017/060493号の配列番号73のモチーフ)
配列番号5:タンパク質:人工的(国際公開第2017/060493号の配列番号74のモチーフ)
配列番号6:タンパク質:人工的(国際公開第2017/060493号の配列番号75のモチーフ)
【配列表】
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【外国語明細書】