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特開2022-95981分離膜、その製造方法、及びそれを含むリチウム電池
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  • 特開-分離膜、その製造方法、及びそれを含むリチウム電池 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022095981
(43)【公開日】2022-06-28
(54)【発明の名称】分離膜、その製造方法、及びそれを含むリチウム電池
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/449 20210101AFI20220621BHJP
   H01M 50/443 20210101ALI20220621BHJP
   H01M 50/426 20210101ALI20220621BHJP
   H01M 50/42 20210101ALI20220621BHJP
   H01M 50/414 20210101ALI20220621BHJP
   H01M 50/429 20210101ALI20220621BHJP
   H01M 50/434 20210101ALI20220621BHJP
   H01M 50/451 20210101ALI20220621BHJP
   H01M 50/44 20210101ALI20220621BHJP
   H01M 50/417 20210101ALI20220621BHJP
   H01M 50/403 20210101ALI20220621BHJP
   H01M 50/489 20210101ALI20220621BHJP
   H01M 50/454 20210101ALI20220621BHJP
【FI】
H01M50/449
H01M50/443 E
H01M50/426
H01M50/42
H01M50/414
H01M50/429
H01M50/434
H01M50/451
H01M50/44
H01M50/417
H01M50/403 D
H01M50/489
H01M50/443 B
H01M50/443 C
H01M50/443 M
H01M50/454
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022071476
(22)【出願日】2022-04-25
(62)【分割の表示】P 2019039716の分割
【原出願日】2019-03-05
(31)【優先権主張番号】10-2018-0026533
(32)【優先日】2018-03-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】590002817
【氏名又は名称】三星エスディアイ株式会社
【氏名又は名称原語表記】SAMSUNG SDI Co., LTD.
【住所又は居所原語表記】150-20 Gongse-ro,Giheung-gu,Yongin-si, Gyeonggi-do, 446-902 Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】金 佳仁
(72)【発明者】
【氏名】金 容慶
(72)【発明者】
【氏名】李 政潤
(57)【要約】
【課題】分離膜、その製造方法、及びそれを含むリチウム電池を提供する。
【解決手段】基材、及び基材の少なくとも一面に配置されたコーティング層を含み、該コーティング層は、第1有機粒子及び第2有機粒子を含み、第1有機粒子の平均粒径は、第2有機粒子の平均粒径より大きく、第1有機粒子は、コーティング層の表面の陥没部から、0.1μmないし0.5μmの高さに突出しており、コーティング層の表面積の5%以上30%未満に該当する面積比で、コーティング層の表面に分布されている分離膜であり、該分離膜を使用する場合、向上された電極との接着力、絶縁性及び通気度を有し、リチウム電池の寿命特性が向上する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材、及び前記基材の少なくとも一面に配置されたコーティング層を含み、
前記コーティング層は、第1有機粒子及び第2有機粒子を含み、
前記第1有機粒子の平均粒径は、第2有機粒子の平均粒径より大きく、
前記第1有機粒子は、前記コーティング層の表面の陥没部から、0.1μmないし0.5μmの高さに突出しており、前記コーティング層の表面積の5%以上30%未満に該当する面積比で、前記コーティング層の表面に分布されている分離膜。
【請求項2】
前記第1有機粒子の平均粒径は、0.3μmないし0.7μmであることを特徴とする請求項1に記載の分離膜。
【請求項3】
前記第1有機粒子のガラス転移温度Tは、40℃ないし70℃であることを特徴とする請求項1に記載の分離膜。
【請求項4】
前記第1有機粒子は、ポリスチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリロニトリル、ポリビニリデン、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレンオキシド、酢酸セルロース、アクリレート及びアゾジカーボンアミドからなる群のうちから選択された1種以上であることを特徴とする請求項1に記載の分離膜。
【請求項5】
前記第2有機粒子の平均粒径は、0.15μmないし0.35μmであることを特徴とする請求項1に記載の分離膜。
【請求項6】
前記第2有機粒子内に含有された鉄(Fe)含量は、1ppm以下であることを特徴とする請求項1に記載の分離膜。
【請求項7】
前記第2有機粒子の熱分解温度は、200℃以上であることを特徴とする請求項1に記載の分離膜。
【請求項8】
前記第2有機粒子は、架橋されたポリスチレン、または架橋されたポリメチルメタクリレートであることを特徴とする請求項1に記載の分離膜。
【請求項9】
前記第1有機粒子または第2有機粒子は、コア・シェル構造を有することを特徴とする請求項1に記載の分離膜。
【請求項10】
前記コーティング層内の第1有機粒子及び第2有機粒子の重量比は、50:50ないし10:90であることを特徴とする請求項1に記載の分離膜。
【請求項11】
前記コーティング層は、ボヘマイト、アルミナ(Al)、BaSO、MgO、Mg(OH)、クレイ、シリカ(SiO)、SnO、CeO、NiO、CaO、ZnO、ZrO、Y、SrTiO、BaTiO、MgF、及びTiOのうちから選択された1種以上の無機粒子をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の分離膜。
【請求項12】
前記コーティング層の厚みは、0.3μmないし3.0μmであることを特徴とする請求項1に記載の分離膜。
【請求項13】
前記コーティング層は、セルロースナノ纎維をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の分離膜。
【請求項14】
前記コーティング層は、溶融点(T)が100℃ないし130℃である第3有機粒子をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の分離膜。
【請求項15】
前記第3有機粒子の平均粒径は、0.1μmないし1.0μmであることを特徴とする請求項14に記載の分離膜。
【請求項16】
前記第3有機粒子は、ポリエチレンワックスであることを特徴とする請求項14に記載の分離膜。
【請求項17】
前記コーティング層は、水系バインダをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の分離膜。
【請求項18】
請求項1ないし17のうちいずれか1項に記載の分離膜を製造する方法であって、
(a)第1有機粒子及び第2有機粒子を含むスラリーを準備する段階と、
(b)基材の少なくとも一面に、前記スラリーを塗布した後、乾燥させる段階と、
を含む分離膜の製造方法。
【請求項19】
正極と、
負極と、
前記正極と負極の間に介在する請求項1ないし17のうちいずれか1項に記載の分離膜と、
を含むリチウム電池。
【請求項20】
前記分離膜は、通気度増大率が、15sec/100mlないし50sec/100mlであり、絶縁破壊電圧(BDV)が0.5kVないし3.0kVであり、コーティング層によるBDV上昇が、0.1kV/μm以上であり、水分含量が、400ppm以下であり、ベンディング強度が100Nないし700Nであることを特徴とする請求項19に記載のリチウム電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分離膜、その製造方法、及びそれを含むリチウム電池に関する。
【背景技術】
【0002】
各種機器の小型化、高性能化に符合するように、リチウム電池の小型化、軽量化が重要になっている。また、電気車両(electric vehicle)などの分野に適用されるように、リチウム電池の放電容量、エネルギー密度及びサイクル特性が重要になっている。そのような用途に符合するように、単位体積当たり放電容量が多く、エネルギー密度が高く、寿命特性にすぐれるリチウム電池が要求される。
【0003】
リチウム電池において、正極と負極との間に、短絡を防止するために、分離膜が配置される。正極、負極、及び前記正極及び負極との間に配置された分離膜を含む電極組立体が巻き取られ、ゼリーロール形態を有することになり、前記電極組立体において、正極/負極と分離膜との接着力を向上させるために、ゼリーロールが圧延される。
【0004】
リチウム電池の分離膜として、オレフィン系重合体が多用されている。該オレフィン系重合体は、柔軟性にすぐれ、疎水性特性により、電解液含浸性が不十分であり、100℃以上の高温において、急激な熱収縮により、電池の短絡が発生してしまう。
【0005】
それを解決するために、多孔性オレフィン系重合体基材上の一面上に、セラミックスをコーティングし、強度及び耐熱性を向上させた分離膜が提示された。しかし、セラミックスがコーティングされた分離膜は、負極/正極との接着力が弱く、充放電時、電池の体積が急激に変化し、電池の変形が発生しやすい。
【0006】
従って、セラミックスがコーティングされた分離膜と、正極/負極との接着力向上のために、セラミックス上にバインダの追加された分離膜が提示された。しかし、セラミックス上にバインダが追加された分離膜も、気孔率が低下し、内部抵抗が増大し、分離膜厚が厚くなり、バインダの電解液内において、スウェルリングにより、リチウム電池が劣化されやすいという問題点がある。
【0007】
また、セラミックスをコーティング物質として使用する場合、コーティング厚を薄くするために、極微粒子を使用しなければならないが、微粒子の比表面積による水分含量増加により、セル寿命劣化を引き起こしてしまう。
【0008】
従って、そのような従来技術の限界を克服し、分離膜の膜厚を薄くしながらも、電極間の優秀な接着力を有し、絶縁性及び通気度にすぐれる分離膜が要求される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明が解決しようとする課題は、向上された電極との接着力、絶縁性及び通気度を有する分離膜を提供することである。
【0010】
本発明が解決しようとする課題は、また、前記分離膜の製造方法を提供することである。
【0011】
また他の態様は前記分離膜を含むリチウム電池を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
一態様により、
基材、及び前記基材の少なくとも一面に配置されたコーティング層を含み、
前記コーティング層は、第1有機粒子及び第2有機粒子を含み、
前記第1有機粒子の平均粒径は、第2有機粒子の平均粒径より大きく、
前記第1有機粒子は、コーティング層表面の陥没部から、0.1μmないし0.5μmの高さに突出しており、コーティング層表面積の5%以上30%未満に該当する面積比で、コーティング層表面に分布されている分離膜が提供される。
【0013】
他の態様により、
前記分離膜を製造する方法として、
(a)第1有機粒子及び第2有機粒子を含むスラリーを準備する段階と、
(b)基材の少なくとも一面に、前記スラリーを塗布した後、乾燥させる段階を含む、分離膜の製造方法が提供される。
【0014】
さらに他の態様により、
正極と、
負極と、
前記正極と負極との間に介在する前記分離膜と、を含むリチウム電池が提供される。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、新規構成のコーティング層を含む分離膜を採用することにより、向上された電極との接着力、絶縁性及び通気度を有し、リチウム電池の寿命特性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】例示的な具現例によるリチウム電池の模式図である。
図2】例示的な具現例による分離膜コーティング層の模式図である。
図3】例示的な具現例による分離膜の表面に対する走査電子顕微鏡(SEM)写真である。
図4】例示的な具現例による分離膜の断面に対する走査電子顕微鏡(SEM)写真である。
図5】製造例1及び比較製造例1による、それぞれ第2有機粒子(有機フィラ)及び無機フィラの粒径分布を示すグラフである。
図6】実施例1ないし3、及び比較例4によるリチウム電池に対する充放電サイクル結果である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の一実施例による、分離膜、前記分離膜の製造方法、及びそれを含むリチウム電池について詳細に説明する。以下において、例示として提示されるが、それにより、本発明が制限されるものではなく、本発明は、特許請求の範囲の範疇によってのみ定義されるものである。本明細書において「平均粒径」とは一般的なレーザー回折・光散乱法に基づく粒度分布測定により測定した体積基準の粒度分布おいて、微粒子側からの累積50%に相当する粒径(D50粒径、メジアン径ともいう。)をいう。 本明細書において、各粒子の粒径は、実際の粒子の幾何学的大きさによって表現される。例えば、非球状粒子の粒径は、粒子の末端を接続した直径の最大値である。
【0018】
[分離膜]
一具現例による分離膜は、基材、及び前記基材の少なくとも一面に配置されたコーティング層を含み、前記コーティング層は、第1有機粒子及び第2有機粒子を含み、前記第1有機粒子の平均粒径は、第2有機粒子の平均粒径より大きく、前記第1有機粒子は、コーティング層表面から、0.1μmないし0.5μmの高さに突出しており、コーティング層表面積の5%以上30%未満に該当する面積比で、コーティング層表面に分布されている。
【0019】
本発明による分離膜は、コーティング層内接着機能を行う第1有機粒子と、フィラ機能を行う第2有機粒子とを含むことにより、別途の接着層を具備せずとも、分離膜と電極との結合力を上昇させ、優秀な絶縁性及び通気度を示すことを特徴とする。
【0020】
本発明の分離膜において、前記基材は、多孔性基材であり得る。前記多孔性基材は、ポリオレフィンを含む多孔性膜であり得る。該ポリオレフィンは、優秀な短絡防止効果を有し、またシャットダウン効果により、電池安全性を向上させることができる。例えば、前記多孔性基材は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリ塩化ビニルのようなポリオレフィン、及びそれらの混合物あるいは共重合体などの樹脂からなる膜であり得るが、必ずしもそれらに限定されるものではなく、当該技術分野で使用される多孔性膜であるならば、いずれも可能である。例えば、ポリオレフィン系樹脂からなる多孔性膜、ポリオレフィン系の纎維を製織した多孔性膜、ポリオレフィンを含む不織布、絶縁性物質粒子の集合体などが使用される。例えば、ポリオレフィンを含む多孔性膜は、前記基材上に形成されるコーティング層を製造するためのバインダ溶液の塗布性にすぐれ、分離膜の膜厚を薄くし、電池内活物質の比率を高め、単位体積当たり容量を増大させることができる。
【0021】
例えば、多孔性基材の材料として使用するポリオレフィンは、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのホモ重合体、共重合体、またはそれらの混合物であり得る。該ポリエチレンは、低密度、中密度、高密度のポリエチレンであってもよく、機械的強度の観点で、高密度のポリエチレンが使用される。また、該ポリエチレンは、柔軟性を付与する目的で、2種以上を混合することができる。該ポリエチレンの作製に使用する重合触媒は、特別に制限されるものではなく、チーグラー・ナッタ系触媒やフィリップス系触媒やメタロセン系触媒などを使用することができる。機械的強度と高透過性とを両立させる観点で、ポリエチレンの重量平均分子量は、10万ないし1,200万であってもよく、例えば、20万ないし300万であり得る。該ポリプロピレンは、ホモ重合体、ランダム共重合体、ブロック共重合体であってもよく、それらを、単独、または2以上混合して使用することができる。また、重合触媒は、特別に制限されるものではなく、チーグラー・ナッタ系触媒やメタロセン系触媒などを使用することができる。また、立体規則性も、特別に制限されるものではなく、イソタクチック、シンジオタクチックまたはアタクチックを使用することができる。また、本発明の効果を阻害しない範囲で、該ポリオレフィンには、ポリエチレン以外あるいはポリプロピレン以外のポリオレフィン、及び酸化防止剤などの添加剤を添加することができる。
【0022】
例えば、該多孔性基材は、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィンを含み、2層以上の多層膜が使用され、ポリエチレン/ポリプロピレン2層分離膜、ポリエチレン/ポリプロピレン/ポリエチレン3層分離膜、ポリプロピレン/ポリエチレン/ポリプロピレン3層分離膜のような混合多層膜が使用されもするが、それらに限定されるものではなく、当該技術分野において、多孔性基材として使用される材料及び構成であるならば、いずれも可能である。
【0023】
例えば、該多孔性基材は、ジエン系単量体を含む単量体組成物を重合して製造されるジエン系重合体を含んでもよい。前記ジエン系単量体は、共役ジエン系単量体、非共役ジエン系単量体であり得る。例えば、前記ジエン系単量体は、1,3-ブタジエン、イソプレン、2-クロロ-1,3-ブタジエン、2,3-ジメチル-1,3-ブタジエン、2-エチル-1,3-ブタジエン、1,3-ペンタジエン、クロロプレン、ビニルピリジン、ビニルノルボルネン、ジシクロペンタジエン及び1,4-ヘキサジエンからなる群のうちから選択された1以上を含むが、必ずしもそれらに限定されるものではなく、当該技術分野において、ジエン系単量体として使用されるものであるならば、いずれも可能である。
【0024】
該分離膜において、多孔性基材の厚みは、1μmないし100μmであり得る。例えば、該多孔性基材の厚みは、1μmないし30μmであり得る。例えば、該多孔性基材の厚みは、5μmないし20μmであり得る。例えば、該多孔性基材の厚みは、5μmないし15μmであり得る。例えば、該多孔性基材の厚みは、5μmないし10μmであり得る。該多孔性基材の厚みが1μm未満であるならば、該分離膜の機械的物性を維持し難く、多孔性基材の厚みが100μm超過であるならば、リチウム電池の内部抵抗が増大してしまい、電池容量具現に制約がある。
【0025】
該分離膜において、該多孔性基材の気孔度は、5%ないし95%であり得る。該気孔度が5%未満であるならば、リチウム電池の内部抵抗が増大し、該気孔度が95%超過であるならば、該多孔性基材の機械的物性を維持し難い。
【0026】
該分離膜において、該多孔性基材の気孔サイズは、0.01μmないし10μmであり得る。例えば、該分離膜において、該多孔性基材の気孔サイズは、0.01μmないし5μmであり得る。例えば、該分離膜において、該多孔性基材の気孔サイズは、0.01μmないし1μmであり得る。該多孔性基材の気孔サイズが0.01μm未満であるならば、リチウム電池の内部抵抗が増大し、該多孔性基材の気孔サイズが10μm超過であるならば、該多孔性基材の機械的物性を維持し難く、リチウム析出及び電圧降下などの問題が発生してしまう。
【0027】
前記コーティング層は、第1有機粒子及び第2有機粒子を含んでもよい。具体的には、図2は、例示的な具現例による分離膜コーティング層の模式図を図示し、図3及び図4は、それぞれ例示的な具現例による分離膜の表面及び断面に対する走査電子顕微鏡(SEM)写真である。
【0028】
図2ないし図4に示されているように、第1有機粒子200及び第2有機粒子300は、コーティング層内で混合されている。すなわち、本発明の分離膜に含まれるコーティング層は、第1有機粒子及び第2有機粒子が別途層として構成されているのではなく、互いに混合された形態の層として構成される。ここで、前記第1有機粒子は、分離膜と電極との接着力を良好にさせる電極接着剤と作用し、多孔性コーティング層の表面の陥没部からエンボシング形態を形成し、一定高以上に突出している。
【0029】
すなわち、前記第1有機粒子は、多孔性コーティング層表面の陥没部からエンボシング形態に突出し、電極接着剤として作用する。そのために、前記第1有機粒子の平均粒径は、第2有機粒子の平均粒径より大きく、コーティング層表面の陥没部から、0.1μmないし0.5μmの高さのエンボシング形態に突出している。例えば、第1有機粒子は、コーティング層表面の陥没部から、0.1μmないし0.4μmの高さに突出している。例えば、第1有機粒子は、コーティング層表面の陥没部から、0.2μmないし0.3μmの高さに突出している。そのために、前記第1有機粒子は、第2有機粒子に対して、1.1倍ないし5倍の平均粒径を有することができる。例えば、図4に示すように、コーティング層の表面は、第1の有機粒子からなる突出部(101)と突出した第1の有機粒子の間に配置されている陥没部(102)を含む凹凸構造、すなわち、エンボス構造を有する。例えば、コーティング層の表面では、第1の有機粒子からなる突出部の最高点と第1の有機粒子との間の陥没部の最低点と突出部の最高点との間の高さの差(103)が0.1μmないし0.5μmである。
【0030】
前記第1有機粒子の平均粒径は、0.3μmないし0.7μmであり得る。例えば、前記第1有機粒子の平均粒径は、0.3μmないし0.5μmであり得る。例えば、前記第1有機粒子の平均粒径は、0.4μmないし0.5μmであり得る。前記第1有機粒子の平均粒径が0.3μm未満であるならば、周辺より突出さず、電極接着剤としての機能を発揮し難く、通気度確保が困難であり、抵抗が大きくなるという問題が生じてしまう。また、前記第1有機粒子の平均粒径が0.7μm超過であるならば、コーティング後、分離膜厚が過度に厚く、電池抵抗の大きくなるという問題がある。
【0031】
前記第1有機粒子間の平均隔離距離は、0.5μmないし5.0μmであり得る。例えば、前記第1有機粒子間の平均隔離距離は、0.5μmないし3.0μmであり得る。例えば、前記第1有機粒子間の平均隔離距離は、0.5μmないし1μmであり得る。前記第1有機粒子間の平均隔離距離が0.5μm未満であるならば、通気度確保が困難であり、抵抗が大きくなるという問題が生じ、前記第1有機粒子間の平均隔離距離が5μm超過であるならば、電極接着剤としての機能を発揮し難くなる。
【0032】
前記コーティング層に使用される第1有機粒子は、当業界で使用可能な有機物粒子であり、粘着性を有さなければならない。そのために、該第1有機粒子は、電極組立体のラミネーションが行われる温度より低いガラス転移温度Tを有することが望ましい。例えば、前記第1有機粒子のガラス転移温度Tは、40℃ないし70℃であり得る。前記範囲を外れ、第1有機粒子のガラス転移温度Tが過度に高い場合、電極との接着力のために、プレス温度を上げることになれば、電解液副反応が生じる問題点があり、一方、過度に低い場合、コーティング後、乾燥温度でフィルム化し、電池抵抗が増大する問題点がある。
【0033】
前記第1有機粒子は、電解液による膨潤度の面においても、リチウム電池への使用に望ましいものでなければならず、具体的には、前記第1有機粒子は、電解液に、約50℃ないし70℃で70時間ないし80時間放置したとき、約200%ないし1,000%の膨潤度を示す球形の粒子であり得る。該膨潤度が200%未満である場合、電極と分離膜との接着面積縮小により、水中でセル厚が増大し、1,000%超過である場合、第2有機粒子と分離膜との気孔を塞ぎ、抵抗が増大する。また、スラリー製造段階において、溶媒または分散液で溶解されず、コーティング後、粒子形態が維持されてこそ、通気度低下を最小化することができる。
【0034】
前記第1有機粒子の具体的な例としては、ポリスチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリロニトリル、ポリビニリデン、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレンオキシド、酢酸セルロース、アクリレート系、アゾジカーボンアミドなどを使用することができるが、それらに制限されるものではない。
【0035】
前記第1有機粒子は、単一粒子であるか、あるいは単一粒子が集まってなる二次粒子の形態であり得る。
【0036】
前記第1有機粒子は、コーティング層表面積の5%以上30%未満に該当する面積比で、コーティング層表面にも分布される。例えば、前記第1有機粒子は、コーティング層表面積の5%ないし20%に該当する面積比で、コーティング層表面にも分布される。例えば、前記第1有機粒子は、コーティング層表面積の5%ないし15%に該当する面積比で、コーティング層表面にも分布される。前記第1有機粒子のコーティング層面積比が5%未満である場合、電極接着剤として、優秀な接着効果を示し難く、前記第1有機粒子のコーティング層面積比が、30%以上である場合、抵抗上昇によるセル性能劣化が生じる。
【0037】
前記第2有機粒子は、フィラとして作用し、無機物フィラに比べ、均一な薄膜コーティングが可能であり、通気性、耐熱性及び絶縁性の面で有利である。
【0038】
具体的には、前記第2有機粒子は、分離膜内において、支持体の役割を行うことができる。例えば、高温において、該分離膜が収縮するとき、該有機フィラが該分離膜を支持し、該分離膜の収縮を抑制することができる。また、該分離膜上に配置されたコーティング層が有機フィラを含むことにより、十分な気孔率が確保され、機械的特性が向上する。従って、バインダ含量を減らし、フィラを相対的にさらに含む分離膜を含むリチウム電池は、向上された安全性を確保することができる。
【0039】
前記第2有機粒子の平均粒径は、0.15μmないし0.35μmであり得る。例えば、前記第2有機粒子の平均粒径は、0.2μmないし0.3μmであり得る。前記第2有機粒子の平均粒径が前記範囲である場合、均一厚の薄膜コーティング層を形成し、分離膜厚を低減させることができ、適切な空隙率を有することができる。
【0040】
前記第2有機粒子内に含有された鉄(Fe)含量は、1ppm以下であり得る。例えば、前記第2有機粒子内に含有された鉄(Fe)含量は、0.01ppmないし1ppmであり得る。該鉄の含量は、イオン結合プラズマ(ICP:inductively coupled plasma)分析を介して測定可能である。前記コーティング層が有機物を含み、鉄(Fe)の含量が前述のように非常に少ない。そのように極微量の鉄を含んだ分離膜は、耐熱性に非常にすぐれる。前記第2有機粒子は、架橋された高分子(cross-linked polymer)であり得る。前記第2有機粒子は、ガラス転移温度Tが示されない、高度に架橋された高分子であってもよく、高度に架橋された高分子を使用する場合、耐熱性が改善され、高温において、多孔性基材の収縮を効果的に抑制することができる。また、前記第2有機粒子の熱分解温度(thermal decomposition temperature)は、200℃以上であり得る。例えば、前記第2有機粒子の熱分解温度は、200℃ないし500℃であり得る。
【0041】
前記第2有機粒子は、例えば、アクリレート系化合物及びその誘導体、ジアリルフタレート系化合物及びその誘導体、ポリイミド系化合物及びその誘導体、ポリウレタン系化合物及びその誘導体、それらの共重合体、またはそれらの組み合わせを含んでもよいが、それらに限定されるものではなく、当該技術分野において、フィラとして使用されるものであるならば、いずれも可能である。例えば、前記第2有機粒子は、架橋されたポリスチレン粒子、架橋されたポリメチルメタクリレート粒子であり得る。
【0042】
前記第1有機粒子または第2有機粒子は、コア・シェル構造であり得る。例えば、前記第1有機粒子は、コア・シェル構造であり得る。例えば、前記第2有機粒子は、コア・シェル構造であり得る。例えば、前記第1有機粒子及び第2有機粒子は、いずれもコア・シェル構造であり得る。
【0043】
前記コア・シェル構造は、コア部及びシェル部を含み、前記シェル部の重量は、前記コア部の総重量を基準に、50重量%以上であり得る。コアとして、前述のそれぞれの第1有機粒子または第2有機粒子化合物を含んでもよく、所定温度で溶融され、シャットダウン機能を有する物質を含んでもよい。
【0044】
前記シェルに含まれる物質は、溶融点Tが130℃以下である熱可塑性樹脂であり得る。具体的には、ポリエチレン(PE)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、ポリアクリロニトリル(PAN)、スチレン-アクリロニトリル(SAN)、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン(ABS)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)などであり得る。
【0045】
前記第2有機粒子がコア・シェル構造である場合、130℃以上の高温において、溶融点が130℃以下である第2有機粒子のシェル部が溶融され、溶融されたシェル部が、粒子間の間隔(空隙)、及び分離膜の気孔を塞ぎ、シャットダウン効果を付与するように機能することができる。
【0046】
前記コーティング層内の第1有機粒子及び第2有機粒子の重量比は、50:50ないし10:90であり得る。例えば、前記第1有機粒子及び第2有機粒子の重量比は、50:50ないし20:80であり得る。例えば、前記第1有機粒子及び第2有機粒子の重量比は、50:50ないし30:70であり得る。前記第1有機粒子及び第2有機粒子の重量比が50:50未満である場合、電極とバインダとの接触面積が増大し、セル抵抗が増大し、前記第1有機粒子及び第2有機粒子の重量比が10:90超過である場合、優秀な電極接着効果を示し難い。
【0047】
前記コーティング層は、第1有機粒子及び第2有機粒子以外に、無機粒子をさらに含んでもよい。前記無機粒子は、第2有機粒子と共に、フィラとして作用し、第2有機粒子と混合され、均一な薄膜コーティングが可能であり、分離膜の耐熱性を改善させ、セル抵抗をさらに低下させることができる。
【0048】
前記無機粒子は、金属酸化物、準金属酸化物、またはそれらの組み合わせであり得る。具体的には、前記無機粒子は、ボヘマイト(boehmite)、アルミナ(Al)、BaSO、MgO、Mg(OH)、クレイ(clay)、シリカ(SiO)及びTiOのうちから選択された1以上であり得る。例えば、前記無機粒子は、AlO(OH)、Al、SiO、TiO、SnO、CeO、NiO、CaO、ZnO、MgO、ZrO、Y、SrTiO、BaTiO、MgF、Mg(OH)、またはそれらの組み合わせであり得る。前記コーティング層は、前記基材の一面または両面にも配置される。例えば、前記基材の一面にだけコーティング層が配置され、他面には、コーティング層が配置されない。例えば、前記コーティング層は、前記基材の両面にも配置される。
【0049】
前記コーティング層の一面の厚みは、0.3μmないし3.0μmであり得る。すなわち、本発明の分離膜に含まれるコーティング層は、第1有機粒子と第2有機粒子との平均粒径、及びそれらの重量比を所定範囲に限定することにより、コーティング層の電極接着力だけではなく、基材に対する結着力を上昇させ、均一なコーティングが可能であり、コーティング層の薄膜化を可能なものにする。例えば、前記コーティング層の一面の厚みは、0.3μmないし2.0μmであり得る。例えば、前記コーティング層の一面の厚みは、0.3μmないし1.5μmであり得る。例えば、前記コーティング層の一面の厚みは、0.3μmないし1.0μmであり得る。例えば、前記コーティング層の一面の厚みは、0.3μmないし0.5μmであり得る。例えば、前記コーティング層の一面の厚みが0.5μmであり、他面の厚みが0.5μmであり得る。コーティング層の厚みが前記範囲を満足する場合、それを含む分離膜、が向上された接着力と通気度とを提供することができる。特に、1μm以下のコーティング層を形成することが可能であり、全体分離膜厚だけではなく、電極組立体の厚みを最小化することができ、それを介して、電池の体積当たり容量を極大化させることができる。
【0050】
前記コーティング層は、セルロースナノ纎維をさらに含んでもよい。該セルロースナノ纎維をさらに含むことにより、コーティング層内の第1有機粒子及び第2有機粒子の結合をさらに堅固にさせ、分離膜の耐熱性を向上させることができる。前記セルロースナノ纎維は、別途のバインダ高分子を使用しないとしても、セルロースナノ纎維自体の粘着性により、接着機能を示すことができる。
【0051】
前記セルロースは、植物体の細胞膜の主成分として、植物纎維を構成するので、纎維素であると言うことができ、D-グルコースが、(1→4)-β型のグリコシド結合であり、真っ直ぐな鎖状に結合した高分子化合物を意味する。そのようなセルロースの種類としては、ナノサイズの木質材料から分離されたセルロースナノ纎維、海藻ナノ纎維、菌を培養して得たバクテリアセルロースなどがあり、具体的には、エチルセルロース(ethylcellulose)、メチルセルロース(methylcellulose)、ヒドロキシプロピルセルロース(hydroxypropyl cellulose)、ヒドロキシエチルセルロース(hydroxyethyl cellulose)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(hydroxypropyl methylcellulose)、ヒドロキシエチルメチルセルロース(hydroxyethyl methylcellulose)、カルボキシメチルセルロース(carboxy methylcellulose)、酢酸セルロース(cellulose acetate)、三酢酸セルロース(cellulose triacetate)、酢酸フタル酸セルロース(cellulose acetate phthalate)、ニトロセルロース(nitrocellulose)、酢酸酪酸セルロース、酢酸プロピオン酸セルロースなどがある。
【0052】
前記セルロースナノ纎維の平均径は、1nmないし300nmであり得る。例えば、セルロースナノ纎維の平均径は、1nmないし200nmであり得る。例えば、セルロースナノ纎維の平均径は、10nmないし100nmであり得る。例えば、セルロースナノ纎維の平均径は、10nmないし50nmであり得る。セルロースナノ纎維の平均径が1nm未満であるならば、セルロースを纎維状に製造する工程自体に、困難さが生じ、セルロースナノ纎維の粘度が、必要以上に増大するという問題が生じてしまう。また、セルロースナノ纎維の平均径が300nm超過であるならば、セルロースナノ纎維の厚みが、必要以上に増大してしまい、セルロースナノ纎維の表面粗度(roughness)が劣化するという問題が生じる。
【0053】
セルロースナノ纎維の平均長は、1nmないし500nmであり得る。例えば、セルロースナノ纎維の平均長は、1nmないし300nmであり得る。例えば、セルロースナノ纎維の平均長は、10nmないし200nmであり得る。例えば、セルロースナノ纎維の平均長は、10nmないし100nmであり得る。セルロースナノ纎維の平均長が1nm未満であるならば、セルロースナノ纎維の粘度が、必要以上に増大するという問題が生じ、セルロースナノ纎維の平均径が500nm超過であるならば、セルロースナノ纎維の表面粗度が劣化するという問題が生じる。
【0054】
前記コーティング層は、シャットダウン機能を有する第3有機粒子をさらに含んでもよい。すなわち、第3有機粒子は、所定温度で溶融されて、分離膜内の気孔を密閉させ、電流の流れを遮断することができる。前記シャットダウンとは、リチウム電池の温度上昇により、分離膜内気孔が詰まることにより、リチウムイオンが移動することができなくなり、熱爆走を阻止することを言い、シャットダウン温度は、そのようなシャットダウンが示される温度を意味する。
【0055】
すなわち、本発明によれば、リチウム電池が高温に露出される場合、熱爆走が生じる前に、前記第3有機粒子がまず溶け、前記分離膜基材の少なくとも一面に、高分子薄膜を形成したり、前記分離膜基材の気孔に浸透したりして、電解液の移動を妨害し、電流フローを遮断することにより、リチウム電池の安全性を向上させることができる。
【0056】
前記第3有機粒子の溶融点Tは、100℃ないし130℃であり得る。例えば、第3有機粒子の溶融点は、110℃ないし120℃であり得る。前記多孔性基材のシャットダウン温度より低いほど、リチウム電池に熱爆走が生じる前、前記多孔性基材の気孔を事前に塞ぐことにより、リチウム電池の安全性をさらに向上させることができる。
【0057】
前記第3有機粒子の平均粒径は、分離膜の製造過程の間、分離膜内気孔が詰まらないように保証される限り、原則的に自由に選択可能である。前記第3有機粒子の平均粒径は、分離膜内多孔性基材の気孔サイズより大きいことが望ましく、例えば、前記第3有機粒子の平均粒径は、0.1μmないし1μmであり得る。例えば、第3有機粒子の平均粒径は、0.1μmないし0.5μmであり得る。例えば、第3有機粒子の平均粒径は、0.2μmないし0.3μmであり得る。
【0058】
前記第3有機粒子の種類としては、例えば、天然ワックスまたは人造ワックス、(低融点)重合体、例えば、ポリオレフィンまたはその混合物であってもよく、その場合、第3有機粒子は、粒子が目的とするシャットダウン温度で溶融され、分離膜内気孔を密閉し、さらにイオン流出を防止するように選択される。具体的には、第3有機粒子は、ポリエチレンワックスであることが望ましい。
【0059】
前記コーティング層は、フィラ機能を行う第2有機粒子間の結着性強化のために、有機バインダ高分子をさらに含んでもよい。そのような有機バインダ高分子の具体的な例としては、ポリフッ化ビニリデン-ヘキサフルオロプロピレン、ポリフッ化ビニリデン-トリクロロエチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリブチルアクリレート、ポリアクリロニトリル、ポリビニルピロリドン、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、エチレン酢酸ビニル共重合体(polyethylene-co-vinyl acetate)、ポリエチレンオキシド、ポリアリレート(polyarylate)、酢酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、酢酸プロピオン酸セルロース、シアノエチルプルラン、シアノエチルポリビニルアルコール、シアノエチルセルロース、シアノエチルスクロース、プルラン)、カルボキシルメチルセルロースなどを使用することができるが、それらに制限されるものではない。コーティング層中のバインダーの量は、第1の有機粒子および第二有機粒子を含む全有機粒子100重量部に対して、0~50重量部、1~30重量部、または5~15重量部であり得る。
【0060】
バインダ高分子の溶媒としては、使用するバインダ高分子と、溶解度指数が類似しており、沸騰点が低いものが望ましい。それは、均一な混合と、その後の溶媒除去とを容易にするためである。使用可能な溶媒の例としては、アセトン、テトラヒドロフラン、塩化メチレン、クロロホルム、ジメチルホルムアミド、N-メチル-2-ピロリドン、シクロヘキサン、水、またはそれらの混合体などがある。
【0061】
また、前記コーティング層に含まれるバインダは、ガラス転移温度T値が-50℃以上であり、コーティングして乾燥させた後、粒子状に存在する水系バインダであり得る。例えば、前記バインダは、アクリレートまたはスチレンを含んでもよい。前記水系バインダを使用する場合、均一なコーティングが可能であり、通気性の面で有利である。前記コーティング層に含まれるバインダとして、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドンなどをさらに適用することができ、第1有機粒子及び第2有機粒子の結着、並びにそれらと分離膜との結着力を強化させることができる。
【0062】
前記コーティング層は、単層構造または多層構造であり得る。該多層構造は2層構造、3層構造、4層構造であり得るが、必ずしもそのような構造に限定されるものではなく、要求される分離膜特性によっても選択される。
【0063】
前記コーティング層が分離膜の両面に配置される場合、該コーティング層は、同一組成を有することができる。前記分離膜の両面に同一組成を有するコーティング層が配置されることにより、分離膜の一面及び他面であり、同一接着力が電極活物質層に作用し、リチウム電池の体積変化が均一に抑制される。
【0064】
[分離膜の製造方法]
【0065】
他の具現例による分離膜の製造方法は、前述の分離膜を製造する方法として、(a)第1有機粒子及び第2有機粒子を含むスラリーを準備する段階と、(b)基材の少なくとも一面に、前記スラリーを塗布した後、乾燥させる段階と、を含む。
【0066】
前記(b)過程中、前記基材の両面に、前記スラリーを塗布し、そのとき、前記スラリーを、前記基材の両面に同時に塗布することができる。
【0067】
前記スラリーは、セルロースナノ纎維、または溶融点Tが100℃ないし130℃である第3有機粒子を追加して含んでもよい。
【0068】
前記分離膜は、スラリーを基材上に塗布することによっても形成される。前記スラリーを塗布する方法は、特別に限定されるものではなく、当該技術分野で使用される方法であるならば、いずれも可能である。例えば、印刷、圧縮、押入、ローラ塗布、ブレード塗布、刷毛塗布、ディッピング塗布、噴射塗布または流延塗布などの方法によっても形成される。
【0069】
前記多孔性コーティング層形成用スラリーをコーティングした直後、またはほぼ同時に、粘着層形成のために水系バインダ化合物の水性分散液を多孔性コーティング層に塗布することができる。また、前記粘着層形成のための分散液の分散媒として、水が使用される。
【0070】
該乾燥は、当業界に公知されている方法を使用することができ、使用された溶媒の蒸気圧を考慮した温度範囲において、オーブンまたは加熱式チャンバを使用し、バッチ式または連続式で可能である。前記乾燥は、前記スラリー内に存在する溶媒をほぼ除去し、それは、生産性などを考慮し、できる限り迅速に行うことが望ましく、例えば1分以下、望ましくは30秒以下の間に施される。
【0071】
前記分離膜の通気時間増大量は、15sec/100mlないし50sec/100mlであり得る。例えば、分離膜の通気時間増大量は、15sec/100mlないし40sec/100mlであり得る。例えば、分離膜の通気時間増大量は、15sec/100mlないし30sec/100mlであり得る。前記通気度範囲において、リチウム電池の内部抵抗増大が効果的に抑制される。
【0072】
前記分離膜の絶縁破壊電圧(BDV:breakdown voltage)は、0.5kVないし3.0kVであり得る。例えば、前記分離膜の絶縁破壊電圧は、0.6kVないし2.5kVであり得る。例えば、前記分離膜の絶縁破壊電圧は、0.7kVないし2.0kVであり得る。例えば、前記分離膜の絶縁破壊電圧は、0.8kVないし1.8kVであり得る。前記絶縁破壊電圧範囲において、電池異物によるshort不良及びOCV降下などの不良を改善することができる。
【0073】
前記分離膜のコーティング層によるBDV上昇は、0.1kV/μm以上であり得る。例えば、前記分離膜のコーティング層によるBDV上昇は、0.13kV/μm以上であり得る。例えば、前記分離膜のコーティング層によるBDV上昇は、0.16kV/μm以上であり得る。例えば、前記分離膜のコーティング層によるBDV上昇は、0.16kV/μmないし0.2kV/μmであり得る。無機粒子は、高電圧で伝導性特性があり、絶縁性強化に効率的ではない。本発明においては、有機粒子で構成されたコーティング層を介して、絶縁特性を強化させることができ、薄膜コーティングによる絶縁性低下を改善することができる。
【0074】
前記分離膜の水分含量は、400ppm以下であり得る。例えば、前記分離膜の水分含量は、350ppm以下であり得る。例えば、前記分離膜の水分含量は、200ppmないし350ppmであり得る。例えば、前記分離膜厚対比で、水分含量の比率は、40ppm/μm以下であり得る。電池内において、水分は、副反応により、HF生成、副産物によるセル劣化などを引き起こす。本発明のコーティング層は、有機粒子で構成されているために、水分の吸着及び含湿を抑制することができる。
【0075】
前記のような製造方法によって製造された本発明の分離膜は、リチウム電池の分離膜としても使用される。
【0076】
[リチウム電池]
他の具現例によるリチウム電池は、正極と、負極と、前記正極と負極との間に介在する前述の分離膜と、を含む。前記リチウム電池が前述の分離膜を含むことにより、電極(正極及び負極)と分離膜との接着力が増大するので、リチウム電池充放電時の体積変化が抑制される。従って、リチウム電池の体積変化に伴うリチウム電池の劣化が抑制され、リチウム電池の安全性及び寿命特性が向上する。
【0077】
前記リチウム電池の3ポイントベンディング強度は、100Nないし700Nであり得る。例えば、リチウム電池の3ポイントベンディング強度は、150Nないし700Nであり得る。例えば、リチウム電池の3ポイントベンディング強度は、200Nないし700Nであり得る。例えば、リチウム電池の3ポイントベンディング強度は、300Nないし700Nであり得る。該ベンディング強度が100N以下である場合、電極と分離膜との接着強度が低く、充放電過程で生じるセルの変形を抑制することができず、電池の形態変化が生じる。
【0078】
前記リチウム電池は、例えば、次のような方法によっても製造される。
【0079】
まず、負極活物質、導電剤、バインダ及び溶媒が混合された負極活物質組成物が準備される。前記負極活物質組成物が金属集電体上に直接コーティングされ、負極板が製造される。代案として、前記負極活物質組成物が、別途の支持体上にキャスティングされた後、前記支持体から剥離されたフィルムが金属集電体上にラミネーションされ、負極板が製造される。前記負極は、前述の形態に限定されるものではなく、前記形態以外の形態であってもよい。
【0080】
前記負極活物質は、非炭素系材料であり得る。例えば、前記負極活物質は、リチウムと合金を形成することができる金属、リチウムと合金を形成することができる金属の合金、及びリチウムと合金を形成することができる金属の酸化物からなる群のうちから選択された1以上を含んでもよい。
【0081】
例えば、前記リチウムと合金可能な金属は、Si、Sn、Al、Ge、Pb、Bi、SbSi-Y合金(前記Yは、アルカリ金属、アルカリ土類金属、13~16族元素、遷移金属、希土類元素、またはそれらの組み合わせ元素であり、Siではない)、Sn-Y合金(前記Yは、アルカリ金属、アルカリ土類金属、13~16族元素、遷移金属、希土類元素、またはそれらの組み合わせ元素であり、Snではない)などであり得る。前記元素Yとしては、Mg、Ca、Sr、Ba、Ra、Sc、Y、Ti、Zr、Hf、Rf、V、Nb、Ta、Db、Cr、Mo、W、Sg、Tc、Re、Bh、Fe、Pb、Ru、Os、Hs、Rh、Ir、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、B、Al、Ga、Sn、In、Ge、P、As、Sb、Bi、S、Se、Te、Po、またはそれらの組み合わせであり得る。
【0082】
例えば、前記遷移金属酸化物は、リチウムチタン酸化物、バナジウム酸化物、リチウムバナジウム酸化物などであり得る。
【0083】
例えば、前記非遷移金属酸化物は、SnO、SiO(0<x<2)などであり得る。
【0084】
具体的には、前記負極活物質は、Si、Sn、Pb、Ge、Al、SiO(0<x≦2)、SnO(0<y≦2)、LiTi12、TiO、LiTiO、LiTiからなる群のうちから選択された1以上であり得るが、必ずしもそれらに限定されるものではなく、非炭素系負極活物質として、当該技術分野で使用されるものであるならば、いずれも可能である。
【0085】
また、前記非炭素系負極活物質と炭素系材料との複合体も使用され、前記非炭素系材料以外に、炭素系負極活物質を追加して含んでもよい。
【0086】
前記炭素系材料としては、結晶質炭素、非晶質炭素、またはそれらの混合物であり得る。前記結晶質炭素は、無定形(non-shaped)、板状、鱗片状(flake)、球形または纎維型の天然黒鉛または人造黒鉛のような黒鉛であってもよく、前記非晶質炭素は、低温焼成炭素(soft carbon)またはハードカーボン(hard carbon)、メゾ相ピッチ(mesophase pitch)炭化物、焼成されたコークスなどであり得る。
【0087】
前記導電剤としては、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、天然黒鉛、人造黒鉛、カーボンブラック、アセチレンブラック、炭素纎維、銅・ニッケル・アルミニウム・銀などの金属粉末・金属纎維などを使用することができ、またポリフェニレン誘導体などの導電性材料を、1種、または1種以上を混合して使用することができるが、それらに限定されるものではなく、当該技術分野において、導電剤として使用されるものであるならば、いずれも使用される。また、前述の結晶性炭素系材料が導電剤としても追加される。
【0088】
前記バインダとしては、フッ化ビニリデン/ヘキサフルオロプロピレンコポリマー、ポリフッ化ビニリデン、ポリアクリロニトリル、ポリメチルメタクリレート、ポリテトラフルオロエチレン、及びその混合物、またはスチレンブタジエンゴム系ポリマーなどが使用されるが、それらに限定されるものではなく、当該技術分野において、バインダとして使用されるものであるならば、いずれも使用される。
【0089】
前記溶媒としては、N-メチルピロリドン、アセトンまたは水などが使用されるが、それらに限定されるものではなく、当該技術分野で使用されるものであるならば、いずれも使用される。
【0090】
前述の負極活物質、導電剤、バインダ及び溶媒の含量は、リチウム電池で一般的に使用されるレベルである。リチウム電池の用途及び構成により、前述の導電剤、バインダ及び溶媒のうち1以上が省略されてもよい。
【0091】
一方、前記負極製造に使用されるバインダが、前記分離膜のコーティング層に含まれるバインダ組成物と同一であってもよい。
【0092】
次に、正極活物質、導電剤、バインダ及び溶媒が混合された正極活物質組成物が準備される。前記正極活物質組成物が、金属集電体上に直接コーティングされて乾燥され、正極板が製造される。代案として、前記正極活物質組成物が、別途の支持体上にキャスティングされた後、前記支持体から剥離されたフィルムが金属集電体上にラミネーションされ、正極板が製造される。
【0093】
前記正極活物質として、リチウムコバルト酸化物、リチウムニッケルコバルトマンガン酸化物、リチウムニッケルコバルトアルミニウム酸化物、リチウム鉄リン酸化物及びリチウムマンガン酸化物からなる群のうちから選択された1以上を含んでもよいが、必ずしもそれらに限定されるものではなく、当該技術分野において、利用可能な全ての正極活物質が使用される。
【0094】
例えば、Li1-bB’(前記式で、0.90≦a≦1.8及び0≦b≦0.5である);Li1-bB’2-c(前記式で、0.90≦a≦1.8、0≦b≦0.5、0≦c≦0.05である);LiE2-bB’4-c(前記式で、0≦b≦0.5、0≦c≦0.05である);LiNi1-b-cCoB’α(前記式で、0.90≦a≦1.8、0≦b≦0.5、0≦c≦0.05、0<α≦2である);LiNi1-b-cCoB’2-αF’α(前記式で、0.90≦a≦1.8、0≦b≦0.5、0≦c≦0.05、0<α<2である);LiNi1-b-cCoB’2-αF’(前記式で、0.90≦a≦1.8、0≦b≦0.5、0≦c≦0.05、0<α<2である);LiNi1-b-cMnB’α(前記式で、0.90≦a≦1.8、0≦b≦0.5、0≦c≦0.05、0<α≦2である);LiNi1-b-cMnB’2-αF’α(前記式で、0.90≦a≦1.8、0≦b≦0.5、0≦c≦0.05、0<α<2である);LiNi1-b-cMnB’2-αF’(前記式で、0.90≦a≦1.8、0≦b≦0.5、0≦c≦0.05、0<α<2である);LiNi(前記式で、0.90≦a≦1.8、0≦b≦0.9、0≦c≦0.5、0.001≦d≦0.1である);LiNiCoMn(前記式で、0.90≦a≦1.8、0≦b≦0.9、0≦c≦0.5、0≦d≦0.5、0.001≦e≦0.1である);LiNiG(前記式で、0.90≦a≦1.8、0.001≦b≦0.1である);LiCoG(前記式で、0.90≦a≦1.8、0.001≦b≦0.1である);LiMnG(前記式で、0.90≦a≦1.8、0.001≦b≦0.1である);LiMn(前記式で、0.90≦a≦1.8、0.001≦b≦0.1である);QO;QS;LiQS;V;LiV;LiI’O;LiNiVO;Li3-f(PO(0≦f≦2);Li3-fFe(PO(0≦f≦2);LiFePOの化学式のうちいずれか一つによって表現される化合物を使用することができる。
【0095】
前記化学式において、Aは、Ni、Co、Mn、またはそれらの組み合わせであり、B’は、Al、Ni、Co、Mn、Cr、Fe、Mg、Sr、V、希土類元素、またはそれらの組み合わせであり、Dは、O、F、S、P、またはそれらの組み合わせであり、Eは、Co、Mn、またはそれらの組み合わせであり、F’は、F、S、P、またはそれらの組み合わせであり、Gは、Al、Cr、Mn、Fe、Mg、La、Ce、Sr、V、またはそれらの組み合わせであり、Qは、Ti、Mo、Mn、またはそれらの組み合わせであり、I’は、Cr、V、Fe、Sc、Y、またはそれらの組み合わせであり、Jは、V、Cr、Mn、Co、Ni、Cu、またはそれらの組み合わせである。
【0096】
ここで、その化合物表面にコーティング層を有するものも使用することができ、または前記化合物と、コーティング層を有する化合物とを混合して使用することもできるということは言うまでもない。そのコーティング層は、コーティング元素の酸化物、コーティング元素の水酸化物、コーティング元素のオキシ水酸化物、コーティング元素のオクシカーボネート、またはコーティング元素のヒドロキシカーボネートのコーティング元素化合物を含んでもよい。それらコーティング層をなす化合物は、非晶質であっても結晶質であってもよい。前記コーティング層に含まれるコーティング元素としては、Mg、Al、Co、K、Na、Ca、Si、Ti、V、Sn、Ge、Ga、B、As、Zr、またはそれらの混合物を使用することができる。コーティング層形成工程は、前記化合物にそのような元素を使用し、正極活物質の物性に悪影響を与えない方法(例えば、スプレーコーティング法、浸漬法など)によってコーティングすることができれば、いかなるコーティング法を使用してもよいが、それについては、当該分野の当業者に周知の内容であるので、詳細な説明は、省略する。
【0097】
例えば、LiNiO、LiCoO、LiMnO2(x=1、2)、LiNi1-xMn(0<x<1)、LiNi1-x-yCoMn(0≦x≦0.5、0≦y≦0.5)、LiFeO、V、TiS、MoSなどが使用される。
【0098】
正極活物質組成物において、導電剤、バインダ及び溶媒は、前記負極活物質組成物の場合と同一のものを使用することができる。一方、前記正極活物質組成物及び/または負極活物質組成物に可塑剤をさらに付加し、電極板内部に気孔を形成することも可能である。
【0099】
前述の正極活物質、導電剤、一般的なバインダ及び溶媒の含量は、リチウム電池で一般的に使用するレベルである。リチウム電池の用途及び構成により、前述の導電剤、一般的なバインダ及び溶媒のうち1以上が省略されてもよい。
【0100】
一方、前記正極製造に使用されるバインダが、前記分離膜のコーティング層に含まれるバインダ組成物と同一であってもよい。
【0101】
次に、前記正極と負極との間に、前述の分離膜が配置される。
【0102】
正極/分離膜/負極を含む電極組立体において、正極と負極との間に配置された分離膜は、前述のように、基材、及び前記基材の少なくとも一面に配置されたコーティング層を含み、前記コーティング層は、第1有機粒子及び第2有機粒子を含み、前記第1有機粒子の平均粒径は、第2有機粒子の平均粒径より大きく、前記第1有機粒子は、コーティング層表面から、0.1μmないし0.5μmの高さに突出しており、コーティング層表面積の5%以上30%未満に該当する面積比で、コーティング層表面に分布されている分離膜である。
【0103】
該分離膜は、別途に準備され、正極と負極との間に配置されることができる。代案として、該分離膜は、正極/分離膜/負極を含む電極組立体を、ゼリーロール状に巻き取った後、該ゼリーロールを電池ケースまたはパウチに収容し、電池ケースまたはパウチが収容された状態において、ゼリーロールを加圧下で熱的軟化させて初期充電(pre-charging)し、充電されたゼリーロールを加圧下で充放電させる化成段階を通過させることによって準備される。さらに具体的な分離膜の製造方法は、前述の分離膜製造方法部分を参照する。
【0104】
次に、電解質が準備される。
【0105】
前記電解質は、液体またはゲル(gel)状であり得る。
【0106】
例えば、前記電解質は、有機電解液であり得る。また、前記電解質は、固体であってもよい。例えば、ボロン酸化物、リチウム酸窒化物などであってもよいが、それらに限定されるものではなく、当該技術分野において、固体電解質として使用されるものであるならば、いずれも使用可能である。前記固体電解質は、スパッタリング法などの方法で、前記負極上にも形成される。
【0107】
例えば、有機電解液が準備される。該有機電解液は、有機溶媒にリチウム塩が溶解されても製造される。
【0108】
前記有機溶媒は、当該技術分野において、有機溶媒として使用されるものであるならば、いずれも使用される。例えば、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、フルオロエチレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、メチルプロピルカーボネート、エチルプロピルカーボネート、メチルイソプロピルカーボネート、ジプロピルカーボネート、ジブチルカーボネート、ベンゾニトリル、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、2-メチルテトラヒドロフラン、γ-ブチロラクトン、ジオキソラン、4-メチルジオキソラン、N,N-ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ジオキサン、1,2-ジメトキシエタン、スルホラン、ジクロロエタン、クロロベンゼン、ニトロベンゼン、ジエチレングリコール、ジメチルエーテル、またはそれらの混合物などである。
【0109】
前記リチウム塩も、当該技術分野において、リチウム塩として使用されるものであるならば、いずれも使用される。例えば、LiPF、LiBF、LiSbF、LiAsF、LiClO、LiCFSO、Li(CFSON、LiCSO、LiAlO、LiAlCl、LiN(C2x+1SO)(C2y+1SO)(ただし、x、yは、自然数である)、LiCl、LiI、またはそれらの混合物などである。
【0110】
図1から分かるように、前記リチウム電池1は、正極3、負極2及び分離膜4を含む。前述の正極3、負極2及び分離膜4がゼリーロール状に、巻き取られたり、折り畳まれた死して、電池ケース5に収容される。次に、前記電池ケース5に有機電解液が注入され、キャップ(cap)アセンブリ6に密封され、リチウム電池1が完成される。前記電池ケースは、円筒状、角形、薄膜型などであり得る。例えば、前記リチウム電池は、薄膜型電池であり得る。前記リチウム電池は、リチウムイオン電池であり得る。前記リチウム電池は、リチウムポリマー電池であってもよい。
【0111】
前述の正極3と負極2との間に分離膜4が配置され、電極組立体が形成される。前記電極組立体がバイセル構造に積層されたり、ゼリーロール状に巻き取られた後、有機電解液に含浸され、得られた結果物がパウチに収容されて密封されれば、リチウムイオンポリマー電池が完成される。
【0112】
また、前記電極組立体は、複数個積層されて電池パックを形成し、そのような電池パックが、高容量及び高出力が要求される全機器に使用されることができる。例えば、ノート型パソコン、スマートフォン、電気車両(EV:electric vehicle)などにも使用される。
【0113】
特に、前記リチウム電池は、高率特性及び寿命特性にすぐれるので、電気車両(EV)に適する。例えば、プラグインハイブリッド車両(PHEV:plug-in hybrid electric vehicle)などのハイブリッド車両に適する。
【0114】
以下の実施例及び比較例を介して、本創意的概念についてさらに詳細に説明する。ただし、該実施例は、本創意的概念を例示するためのものであり、それらのみにより、本創意的概念の範囲が限定されるものではない。
【実施例0115】
(分離膜の製造)
[製造例1:第1有機粒子のコーティング層表面面積比:15%]
第2有機粒子(フィラ)として、平均粒径(D50)0.23μmの架橋されたポリメチルメタクリレート(PMMA;ZEON)75重量部、及び第1有機粒子(電極接着剤:PMMA;ZEON)として、平均粒径(D50)0.4μmのポリスチレン25重量部を、フッ素系ポリビニルアルコール(PVA;Kuraray)バインダ10重量部と混合し、コーティング層形成用スラリーを製造した。前記第1有機粒子の60℃電解液に72時間放置後のスウェリング程度が800%であった。
【0116】
前記コーティング層形成用スラリーを、厚み7.5μm、通気時間110秒、BDV 0.85KVのポリエチレン多孔性基材両面にグラビア印刷し、多孔性基材の断面に、厚み0.5μmの第1有機粒子と第2有機粒子とのブレンドコーティング層がそれぞれ配置された分離膜を両面コーティングして製造した。前記コーティング層の厚みは、両面基準で、0.5/0.5μmであった。該分離膜厚は、8.5μmであった。そのとき、前記ポリエチレン多孔性基材を、100ccの空気が通過するのにかかる時間は、131秒であり、BDV 1.01Kvで水分含量は、287ppmである。
【0117】
製造例1及び下記比較製造例1による、それぞれ第2有機粒子(フィラ)及び無機フィラの粒径分布を図5に示した。
【0118】
図5に示されているように、製造例1の第2有機粒子(フィラ)の場合、均一な粒径分布を有するのに比べ、比較製造例1の無機フィラの場合、広い粒径分布を示した。
【0119】
[製造例2:第1有機粒子のコーティング層表面面積比:7%]
第2有機粒子85重量部と第1有機粒子15重量部とを混合し、バインダとして、ポリビニルアルコール(PVA)の代わりに、アクリレートを使用したことを除いては、製造例1と同一方法によって、分離膜を製造した。
【0120】
[製造例3:第1有機粒子のコーティング層表面面積比:28%]
第2有機粒子54重量部と第1有機粒子46重量部とを混合し、バインダとして、ポリビニルアルコール(PVA)の代わりに、アクリレートを使用したことを除いては、製造例1と同一方法によって、分離膜を製造した。
【0121】
[製造例4:コーティング層厚み:1.0/1.0μm]
コーティング層形成用スラリーを、多孔性基材の断面に、厚み1.0μmで両面コーティングし、コーティング層の厚みが、両面基準で、1.0/1.0μmであることを除いては、製造例1と同一方法によって、分離膜を製造した。
【0122】
[比較製造例1:第1有機粒子及び無機粒子を使用]
第2有機粒子の代わりに、無機粒子として、平均粒径0.4~0.6μm(体積基準D50)のアルミナ(AES-11;住友化学(株))を使用したことを除いては、製造例1と同一方法によって、分離膜を製造した。
【0123】
[比較製造例2:無機粒子使用]
厚み12μmの多孔性基材の一面上に、厚み2μmのセラミックスコーティング層が配置された分離膜(SK;T14-715CB)をそのまま入手して使用した。
【0124】
[比較製造例3:第1有機粒子のコーティング層表面面積比:3%]
第2有機粒子97重量部と第1有機粒子3重量部とを混合したことを除いては、製造例1と同一方法によって、分離膜を製造した。
【0125】
[比較製造例4:第1有機粒子のコーティング層表面面積比:35%]
第2有機粒子45重量部と第1有機粒子55重量部とを混合したことを除いては、製造例1と同一方法によって、分離膜を製造した。
【0126】
[比較製造例5:平均粒径0.35μmの無機粒子コーティング]
第2有機粒子の代わりに、平均粒径が0.35μm(体積基準D50)である無機粒子(Nabaltec)を使用したことを除いては、製造例1と同一方法によって、分離膜を製造した。
【0127】
[比較製造例6:平均粒径0.15μmの無機粒子コーティング]
第2有機粒子の代わりに、平均粒径が0.15μm(体積基準D50)である無機粒子(Evonik)を使用したことを除いては、製造例1と同一方法によって、分離膜を製造した。
【0128】
[比較製造例7:平均粒径0.35μmの無機粒子コーティング及びコーティング層厚:1.0/1.0μm]
第2有機粒子の代わりに、平均粒径が0.35μm(体積基準D50)である無機粒子(Nabaltec)を使用し、コーティング層形成用スラリーを、多孔性基材の断面に、厚み1.0μmで両面コーティングし、コーティング層厚が両面基準で、1.0/1.0μmであることを除いては、製造例1と同一方法によって、分離膜を製造した。
【0129】
(リチウム電池の製造)
[実施例1]
(負極の製造)
平均粒径25μmの黒鉛粒子(C1SR、日本炭素)97重量%、スチレン-ブタジエンゴム(SBR)バインダ(Zeon)1.5重量%及びカルボキシメチルセルロース(CMC、NIPPON A&L)1.5重量%を混合した後、蒸溜水に投入し、機械式撹拌機を使用して60分間撹拌し、負極活物質スラリーを製造した。前記スラリーを、ドクターブレードを使用し、10μm厚の銅集電体上に塗布し、100℃の熱風乾燥機で0.5時間乾燥させた後、真空、120℃の条件で、4時間もう一度乾燥させ、圧延(roll press)して負極板を製造した。
【0130】
(正極の製造)
LiCoO 297重量%、導電剤としてのカーボンブラック粉末1.5重量%及びポリフッ化ビニリデン(PVdF、SOLVAY)1.5重量%を混合し、N-メチル-2-ピロリドン溶媒に投入した後、機械式撹拌機を使用して30分間撹拌し、正極活物質スラリーを製造した。前記スラリーを、ドクターブレードを使用し、20μm厚のアルミニウム集電体上に塗布し、100℃の熱風乾燥機で0.5時間乾燥させた後、真空、120℃の条件で4時間もう一度乾燥させ、圧延して正極板を製造した。
【0131】
(電極組立体ゼリーロール)
前述のところにおいて製造した、正極板と負極板との間に、前記製造例1で製造された分離膜を介在させた後、巻き取って電極組立体ゼリーロールを準備した。該ゼリーロールをパウチに挿入して電解液を注入した後、パウチを真空密封させた。
【0132】
電解液は、1.3MのLiPFが、エチレンカーボネート(EC)/エチルメチルカーボネート(EMC)/ジエチルカーボネート(DEC)の3/5/2(体積比)混合溶媒に溶解されたものを使用した。
【0133】
パウチに挿入されたゼリーロールに、250kgf/cmの圧力を加えながら、1時間70℃の温度で熱的軟化(thermal softening)させながら、SOCの50%まで初期充電させた。
【0134】
次に、前記パウチからガスを除去し、前記ゼリーロールに200kgf/cmの圧力を加えながら、1時間45℃の温度で、0.2C rateの電流で、電圧が4.3Vに至るまで定電流充電し、4.3Vを維持しながら、電流が0.05Cになるまで定電圧充電した。次に、放電時、電圧が3.0Vに至るまで、0.2Cの定電流で放電するサイクルを5回反復して化成段階を遂行した。
【0135】
[実施例2ないし4]
製造例2ないし4で製造された分離膜をそれぞれ使用したことを除いては、実施例1と同一方法でリチウム電池を製造した。
【0136】
[比較例1ないし7]
比較製造例1ないし7で製造された分離膜をそれぞれ使用したことを除いては、実施例1と同一方法でリチウム電池をそれぞれ製造した。
【0137】
[評価例1:分離膜の表面モルフォロジー測定]
製造例1の分離膜に対して、表面及び断面のイメージを走査電子顕微鏡(SEM)で測定し、その結果をそれぞれ図3及び図4に示した。
【0138】
図3及び図4に示されているように、第1有機粒子が、エンボシング状に突出しているところを確認することができる。図4に示されているように、第1有機粒子はコーティング層の表面の第1の有機粒子の間に配置された陥没部から0.1μmないし0.5μmの高さに突出していた。
【0139】
また、製造例1ないし4、並びに比較製造例5及び6の分離膜コーティング層のモルフォロジー特性を走査電子顕微鏡(SEM)イメージから測定し、その測定結果を下記表1に示した。
【0140】
【表1】
【0141】
表1に示されているように、第1有機粒子及び第2有機粒子を含む製造例1ないし3の分離膜の場合、第1有機粒子の面積比が、それぞれコーティング層表面積の15%、7%及び28%であるということが分かり、そのとき、第1有機粒子の面積(13μm×9μm)当たり個数は、それぞれ90個、40個及び160個であることが分かった。コーティング厚が、両面基準で1.0/1.0μmと厚い製造例4の分離膜の場合、第1有機粒子の面積比、及び面積(13μm×9μm)当たり個数は、製造例1の分離膜と類似しているということが分かった。
【0142】
また、第2有機粒子の代わりに、無機粒子を使用した比較製造例5及び6の分離膜の場合も、第1有機粒子の面積比、及び面積(13μm×9μm)当たり個数は、製造例1の分離膜と類似している。ただし、無機粒子の平均粒径(D50)が0.35μmである比較製造例5の分離膜の場合、局所的な未コーティングが発生した。
【0143】
[評価例2:分離膜の絶縁性評価]
実施例1ないし4、及び比較例1ないし7で製造したリチウム電池に対して、分離膜の絶縁性(BDV:breakdown voltage)を評価し、その結果を下記表2に示した。BDVは、分離膜をSUSプレートの間におき、KIKISUI社TOS5301を使用し、ACモードで電流は、0.3mAで固定し、電圧は、0.3Kvまで8secの昇圧速度で高めつつ、昇圧が止まる(破断(short))地点の電圧を測定した。
【0144】
[評価例3:分離膜の通気度評価]
化成段階を経た実施例1ないし4、及び比較例1ないし7のパウチからゼリーロールを取り出し、分離膜を分離して通気度を評価した。
【0145】
ここで、該通気度は、測定装備(EG01-55-1MR、朝日セイコー)を介し、100ccの空気が分離膜を通過するのにかかる時間(単位:秒)を測定する方式で測定し、その結果を下記表2に示した。
【0146】
[評価例4:分離膜の水分度評価]
化成段階を経た実施例1ないし4、及び比較例1ないし7のパウチからゼリーロールを取り出し、分離膜を分離し、水分度を評価し、その結果を下記表2に示した。ここで、前記水分度は(Karl-Fischer)測定方法によって測定した。
【0147】
[評価例5:負極と分離膜との接着力評価]
化成段階を経た実施例1ないし4、及び比較例1ないし7のパウチにおいて、電極と分離膜との接着力を評価した。該接着力は3点ベンディング(3 Point Bending)(INSTRON)測定法を利用し、正極活物質層及び負極活物質層と、分離膜との接着力を測定した。具体的には、化成段階を経たパウチセルを、5mm/minの速度でプレスし、ゼロ点(zero-point)から5mmベンディング(bending)時までのMax値(N、MPa)を測定し、その結果を下記表2に示した。
【0148】
【表2】
【0149】
表2に示されているように、フィラとして、第2有機粒子を採用した実施例1ないし4で使用された分離膜は、絶縁破壊電圧(BDV)が0.9kV以上であるのに比べ、フィラとして、無機物粒子を採用した比較例1と、単に無機物粒子のみを含む比較例2とで使用された分離膜は、絶縁破壊電圧(BDV)が0.9kV未満と低く示された。また、実施例1で使用された分離膜は、コーティング層によるBDV上昇は、0.16kV/μmであるに比べ、フィラとして0.15μm無機粒子を採用した比較例6で使用された分離膜は、コーティング層によるBDV上昇は、0.06kV/μmと低く、フィラとして、0.35μm無機粒子を採用した比較例7で使用された分離膜は、絶縁破壊電圧(BDV)が0.752kVと低く示された。その結果から、本発明の第2有機粒子をフィラとして採用した場合、無機物粒子をフィラで採用した場合に比べ、分離膜の絶縁性にすぐれるということが分かる。
【0150】
また、フィラとして第2有機粒子を採用した実施例1で使用された分離膜は、通気度増大率が、Δ30未満である一方、フィラとして、0.15μm無機粒子を採用した比較例6で使用された分離膜は、通気度増大率がΔ30以上と高く示された。ただし、コーティング層厚が1.0/1.0μmで厚い実施例4で使用された分離膜は、通気度増大率がΔ44であり、若干高く示された。
【0151】
また、フィラとして、第2有機粒子を採用した実施例1ないし4で使用された分離膜は、水分度が400ppm以下である一方、比較例6で使用された分離膜は、水分度が2,429ppmと非常に高く示された。
【0152】
また、フィラとして、第2有機粒子を採用した実施例1ないし4のリチウム電池は、接着力(ボンディング強度)が250Nないし500N範囲である一方、フィラとして、無機物粒子を採用した比較例1と、単に無機物粒子のみを含む比較例2とのリチウム電池は、接着力(ボンディング強度)がそれぞれ208N及び58Nと低く示された。また、コーティング層表面積に対して、第1有機粒子の面積比が3%である分離膜を使用した比較例3のリチウム電池は、接着力(ボンディング強度)が220Nと低く示され、コーティング層表面積に対して、第1有機粒子の面積比が35%である分離膜を使用した比較例4のリチウム電池は、接着力(ボンディング強度)が510Nと過度に高いように示された。
【0153】
結論として、本発明の一実施例による分離膜、及びそれを使用したリチウム電池の場合、従来の分離膜、及びそれを使用したリチウム電池に対して、分離膜の絶縁性、通気度、水分度及び接着力において、望ましい範囲でいずれも優秀な特性を示した。
【0154】
[評価例6:充放電サイクル特性評価]
実施例1ないし3、及び比較例4の4.4Vリチウム電池に対して、25℃、1atmで、1,50,100,150,200,250,300,350,400及び450サイクルで、0.2C充電に0.02Cカットオフ及び0.2C放電に対し、2.75Vカットオフ条件を使用し、残りサイクル条件では、1C充電に対し、0.1Cカットオフ、かつ1C放電に対し、3Vカットオフ条件を使用し、サイクル充放電を行った。その結果を図6に示した。
【0155】
図6に示されているように、第1有機粒子のコーティング層表面積比が、それぞれ15%、7%及び28%に該当する実施例1、実施例2及び実施例3のリチウム電池は、第1有機粒子のコーティング層表面積比が35%である比較例4のリチウム電池に比べ、優秀な充放電サイクル特性を示した。
【産業上の利用可能性】
【0156】
本発明の、分離膜、その製造方法、及びそれを含むリチウム電池は、例えば、電池関連の技術分野に効果的に適用可能である。
【符号の説明】
【0157】
1 リチウム電池
2 負極
3 正極
4 分離膜
5 電池ケース
6 キャップアセンブリ
100 分離膜コーティング層
200 第1有機粒子
300 第2有機粒子
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【手続補正書】
【提出日】2022-05-23
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材、及び前記基材の少なくとも一面に配置されたコーティング層を含み、
前記コーティング層は、第1有機粒子及び第2有機粒子を含み、
前記第1有機粒子の平均粒径は、第2有機粒子の平均粒径より大きく、
前記第1有機粒子の平均粒径は、0.3μmないし0.7μmであり、
前記第2有機粒子の平均粒径は、0.15μmないし0.35μmであり、
前記コーティング層内の第1有機粒子及び第2有機粒子の重量比は、50:50ないし10:90であり、
前記第1有機粒子のガラス転移温度T は、40℃ないし70℃であり、
前記第2有機粒子がフィラ機能を有し、
前記第1有機粒子は、ポリスチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリロニトリル、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレンオキシド、酢酸セルロース及びアゾジカーボンアミドからなる群のうちから選択された1種以上である、分離膜。
【請求項2】
前記第2有機粒子内に含有された鉄(Fe)含量は、0.01ppmないし1ppmであることを特徴とする請求項1に記載の分離膜。
【請求項3】
前記第2有機粒子の熱分解温度は、200℃以上であることを特徴とする請求項1に記載の分離膜。
【請求項4】
前記第2有機粒子は、架橋されたポリスチレン、または架橋されたポリメチルメタクリレートであることを特徴とする請求項1に記載の分離膜。
【請求項5】
前記第1有機粒子または第2有機粒子は、コア・シェル構造を有することを特徴とする請求項1に記載の分離膜。
【請求項6】
前記コーティング層は、ボヘマイト、アルミナ(Al)、BaSO、MgO、Mg(OH)、クレイ、シリカ(SiO)、SnO、CeO、NiO、CaO、ZnO、ZrO、Y、SrTiO、BaTiO、MgF、及びTiOのうちから選択された1種以上の無機粒子をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の分離膜。
【請求項7】
前記コーティング層の厚みは、0.3μmないし3.0μmであることを特徴とする請求項1に記載の分離膜。
【請求項8】
前記コーティング層は、セルロースナノ纎維をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の分離膜。
【請求項9】
前記コーティング層は、溶融点(T)が100℃ないし130℃である第3有機粒子をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の分離膜。
【請求項10】
前記第3有機粒子の平均粒径は、0.1μmないし1.0μmであることを特徴とする請求項に記載の分離膜。
【請求項11】
前記第3有機粒子は、ポリエチレンワックスであることを特徴とする請求項に記載の分離膜。
【請求項12】
前記コーティング層は、水系バインダをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の分離膜。
【請求項13】
請求項1ないし12のうちいずれか1項に記載の分離膜を製造する方法であって、
(a)第1有機粒子及び第2有機粒子を含むスラリーを準備する段階と、
(b)基材の少なくとも一面に、前記スラリーを塗布した後、乾燥させる段階と、
を含む分離膜の製造方法。
【請求項14】
正極と、
負極と、
前記正極と負極の間に介在する請求項1ないし12のうちいずれか1項に記載の分離膜と、
を含むリチウム電池。
【請求項15】
前記分離膜は、絶縁破壊電圧(BDV)が0.5kVないし3.0kVであり、コーティング層によるBDV上昇が、0.1kV/μm以上であり、水分含量が、400ppm以下であることを特徴とする請求項14に記載のリチウム電池。