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特開2022-96173教示用プローブ及び該プローブを備えるロボット教示システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022096173
(43)【公開日】2022-06-29
(54)【発明の名称】教示用プローブ及び該プローブを備えるロボット教示システム
(51)【国際特許分類】
   B25J 9/22 20060101AFI20220622BHJP
   G05B 19/42 20060101ALI20220622BHJP
【FI】
B25J9/22 A
G05B19/42 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020209125
(22)【出願日】2020-12-17
(71)【出願人】
【識別番号】304021277
【氏名又は名称】国立大学法人 名古屋工業大学
(71)【出願人】
【識別番号】591113024
【氏名又は名称】株式会社近藤製作所
(71)【出願人】
【識別番号】514162575
【氏名又は名称】株式会社ファインテクノ
(71)【出願人】
【識別番号】000116622
【氏名又は名称】愛知県
(74)【代理人】
【識別番号】110000394
【氏名又は名称】特許業務法人岡田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】森田 良文
(72)【発明者】
【氏名】犬塚 秀紀
(72)【発明者】
【氏名】田中 宏樹
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 善夫
(72)【発明者】
【氏名】壁谷 好久
(72)【発明者】
【氏名】藤原 敬弘
(72)【発明者】
【氏名】大羽 達也
(72)【発明者】
【氏名】小池 浩一
(72)【発明者】
【氏名】酒井 昌夫
【テーマコード(参考)】
3C269
3C707
【Fターム(参考)】
3C269AB33
3C269BB09
3C269SA02
3C269SA07
3C707AS12
3C707BS12
3C707JU08
3C707LS02
3C707MT01
(57)【要約】
【課題】ワークに対して精度良く位置決めできかつ効率良く教示データを得ることができる教示用プローブが従来必要とされている。
【解決手段】教示用プローブ10は、ワーク6の形状を教示するために用いられる。教示用プローブ10は、端面当接部13と側面当接部14と収容スペース15を有する。端面当接部13は、ワーク6の端面6aに2点以上の端面接触点13c,13d、あるいは端面接触点13c,13dで構成される線または面で当接する。側面当接部14は、ワーク6の側面6bに2点以上の側面接触点14c,14d、あるいは側面接触点14c,14dで構成される線または面で当接する。収容スペース15は、ワーク6の端面6aと側面6bによって形成される角部6cを収容するように端面当接部13と側面当接部14の間に形成される。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークの形状を教示するための教示用プローブであって、
ワークの端面に2点以上の端面接触点、あるいは前記2点以上の端面接触点で構成される線または面で当接する端面当接部と、
前記ワークの側面に2点以上の側面接触点、あるいは前記2点以上の側面接触点で構成される線または面で当接する側面当接部と、
前記ワークの前記端面と前記側面によって形成される前記ワークの角部を収容するように前記端面当接部と前記側面当接部の間に形成される収容スペースを有する教示用プローブ。
【請求項2】
請求項1に記載の教示用プローブであって、
前記端面当接部は、直線状に延出する端面第1当接縁と、前記端面第1当接縁と離間して直線状に延出する端面第2当接縁を有する教示用プローブ。
【請求項3】
請求項1または2に記載の教示用プローブであって、
前記側面当接部は、直線状に延出する側面第1当接縁と、前記側面第1当接縁と離間して直線状に延出する側面第2当接縁を有する教示用プローブ。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1つに記載の教示用プローブであって、
プローブ本体から延出してロボットに連結される連結部と、
前記連結部を中心に前記プローブ本体の外周に配置された複数の教示領域を備え、前記複数の教示領域がそれぞれ前記端面当接部と前記側面当接部と前記収容スペースを具備する教示用プローブ。
【請求項5】
請求項1~3のいずれか1つに記載の教示用プローブであって、
前記端面当接部と前記側面当接部が形成されたプローブ本体と、
前記プローブ本体から延出してロボットに連結される連結部を有する教示用プローブ。
【請求項6】
請求項5に記載の教示用プローブであって、
前記連結部に対して前記プローブ本体が回転可能に取付けられる教示用プローブ。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか1つに記載の教示用プローブを備えるロボット教示システムであって、
前記ワークに当接させた前記教示用プローブの角度と位置を検出する検出手段と、
前記検出手段の信号に基づいて前記ワークの所定箇所に関するデータを計算する計算手段と、
予めワークの形状の種類を1つ以上記憶する記憶手段と、
前記ワークの形状を特定するために必要な前記形状の種類に応じた測定点数を前記計算手段が得ることで前記ワークの形状を特定する形状特定手段を有するロボット教示システム。
【請求項8】
請求項7に記載のロボット教示システムであって、
前記記憶手段は、前記形状として円形を記憶し、
前記形状特定手段は、3点の前記測定点数を得て前記ワークを特定するロボット教示システム。
【請求項9】
請求項7または8に記載のロボット教示システムであって、
前記形状特定手段によって得た前記ワークの形状に対して前記ワークへの押込量もしくは前記ワークからの離間量を実現するロボットの位置と姿勢を求め、前記計算手段で得た前記ワークの所定箇所に関するデータを前記押込量もしくは前記離間量で補正して前記ロボットの軌道を生成するエディタ手段を有するロボット教示システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロボットに動作を教示する教示用プローブおよび該プローブを備える直接教示法によるロボット教示システムに関する。例えば、ロボットに動作を教示する際に、該プローブが複数の回転関節を持つ多関節ロボットのアームに取付けられて教示者の手によってアームとともに移動される。
【背景技術】
【0002】
多関節ロボットは、様々な用途で利用される。例えば、成形後のワークの角部に生じたバリを取るために、多関節ロボットのアームの先端に工具を取付ける。回転する工具は、加工対象のワークの角部に押付けられ、かつ角部に沿って移動される。これによりワークの角部のバリが工具によって除去される。工具をロボットによって移動させるために、ロボットの動作が予め教示(ティーチング)される。
【0003】
ロボットの教示方法として、教示ペンダントを用いた方法が従来知られている。例えば、教示ペンダントを使って、工具の先端をワーク上の複数の測定点に押付ける。工具には力センサが設けられている場合がある。教示ペンダントは、各測定点における工具の位置と姿勢及びワークへの押付け力のデータを得る。ロボットは、教示ペンダントで得たデータに基づいて動作を決定する。アームの先端に取付けられた工具は、例えば各測定点を順に通過するように移動する。これにより工具がワークの角部に沿って移動する。
【0004】
しかし従来の教示方法によると、各測定点に押付けられる工具の位置と姿勢(向き及び角度)は、教示者の目視によって調整される。そのため教示者によって工具の位置と姿勢に差異が生じる。また同じ教示者である場合でも、測定点毎に工具の姿勢が異なる場合がある。そのため好適なデータを得ることが容易でなく、ロボットの作業の精確性、安定性を高めることが容易でない。
【0005】
またロボットは、測定点の間を最短の直線上で移動する傾向がある。そのため直線上でない軌道上を移動させる場合には、多くの測定点が必要であった。例えば工具の先端を直径0.2mの円周軌道で移動させる場合は、一般に20点以上の測定点を設けている。そのため教示作業に多くの工数と多くの時間が必要であった。
【0006】
各測定点の間を例えば円弧軌道で補完し、ロボットを補完した軌道に沿って動作させる技術が従来知られている。これにより測定点数を少なくできる。特許文献1に開示された制御方法によると、多関節ロボットを少なくとも3つの測定点の間を円弧補完した軌道で移動させ、ロボットに取付けられた工具の姿勢も補完して移動させる。特許文献2に開示された制御方法によると、多関節ロボットを作業開始点から作業終了点まで補完した経路上において定めた速度で動作させる。すなわち特異点に関係なくロボットを動作させる。
【0007】
他の教示方法として、教示者がロボットを直接動かして教示する方法がある。ロボットのアームの先端には、教示の際に工具を模した教示用プローブが取付けられる。工具及び教示用プローブは、例えば複数のワイヤとロボットのアームに連結される。各ワイヤが引出された長さによって教示用プローブの位置と姿勢を検出できる。そのためアームを無理無く移動させつつ教示用プローブを速く移動させることができる。そしてワイヤの長さの変化に基づいてアームを実際に移動させるための動作のデータを得る。かくして教示を高速でかつ簡易に行うことができる。しかもロボットのアームは、教示の際に概略の軌道を得ることができる。そのため概略軌道から補完することで無理の無い姿勢でロボットを円滑に移動させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平4-100114号公報
【特許文献2】特開2012-196754号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら工具の位置と姿勢は、教示者の目視によって決定される。そのため教示によって得られるデータを精度良く得ることができない場合がある。またワークは様々な形状を有し、例えば円弧形状、多角形形状、スプライン曲線形状等を有する。ワークの形状に関わらずに精度良くロボットを移動させるために、従前は多くの測定点を測定していた。
【0010】
また工具の移動は、教示者の目視で調整される。そのため工具の位置と姿勢を精度良く得ることが容易でない。また工具をワークに押付ける押付け力は、教示者とロボットで異なる場合がある。そのため教示したロボットが意図しない動作をする場合がある。ワークに当てる際に位置と姿勢の精度を良くできかつ効率良く教示データを得ることができる教示用プローブ、またはそのような教示用プローブを用いた教示システムは、従来には見当たらなかった。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本開示の1つの特徴によれば教示用プローブは、ワークの形状を教示するために用いられる。教示用プローブは、端面当接部と側面当接部と収容スペースを有する。端面当接部は、ワークの端面に2点以上の端面接触点、あるいは2点以上の端面接触点で構成される線または面で当接する。側面当接部は、ワークの側面に2点以上の側面接触点、あるいは2点以上の側面接触点で構成される線または面で当接する。収容スペースは、ワークの端面と側面によって形成されるワークの角部を収容するように端面当接部と側面当接部の間に形成される。なおワークの端面と側面は、互いに交差する方向に延出し、互いに交差することで角部を形成するワークの表面の2面を指す。教示用プローブは、角部を有する例えば円筒状のワークの一部に立体的にフィットするように構成される。
【0012】
したがって角部に邪魔されることなく、端面当接部と側面当接部がそれぞれワークの端面と側面に当てられる。しかも端面当接部と側面当接部は、それぞれがワークの端面または側面に2点以上または線または面で当たる。そのため端面と端面当接部が2点以上または線または面で接触することで、側面に対する側面当接部の位置と姿勢(向き及び角度)が拘束される。また、側面と側面当接部が2点以上または線または面で接触することで、端面に対する端面当接部の位置と姿勢が拘束される。そのため端面当接部と側面当接部は、端面または側面との各接触点で相互に拘束を受ける。これによりワークの角部に当てられる教示用プローブの位置と姿勢の精度が良くなる。しかも教示用プローブが装着されたロボットを教示者の手で動かして教示する際に、教示用プローブをワークの角部に対して精度良くかつ迅速に位置決めできる。
【0013】
しかも端面当接部と側面当接部は、2点以上の接触点、あるいはその接触点で構成される線または面でワークと接触する。そのため端面当接部と側面当接部は、2点の接触でワークに対して最低限の位置決めがなされる。さらに端面当接部と側面当接部は、それぞれが2点以上または線または面でワークと接触することにより、様々なワークの形状や面性状に対して当接した位置と姿勢で確実に位置決めされる。かくして教示用プローブを用いた教示データの精度が良くなる。しかも教示用プローブは、ワークの角部に対して簡易に位置決めされるため、短い時間でワークに位置決めされる。かくして教示用プローブを用いて効率良く教示データを得ることができる。
【0014】
本開示の他の特徴によれば端面当接部は、直線状に延出する端面第1当接縁と、端面第1当接縁と離間して直線状に延出する端面第2当接縁を有する。したがって教示の際に端面第1当接縁と端面第2当接縁のそれぞれがワークの端面に当接する。例えばワークの端面が曲面である際、端面第1当接縁と端面第2当接縁がそれぞれ1点でワークの端面に当接する。これにより端面当接部は、確実に2点以上でワークの端面に当接する。これにより教示用プローブの位置と姿勢がワークの端面に対して安定する。そのため教示用プローブの位置と姿勢の教示データの精度が良くなる。
【0015】
本開示の他の特徴によれば側面当接部は、直線状に延出する側面第1当接縁と、側面第1当接縁と離間して直線状に延出する側面第2当接縁を有する。したがって教示の際に側面第1当接縁と側面第2当接縁のそれぞれがワークの側面に当接する。例えばワークの側面が曲面である際、側面第1当接縁と側面第2当接縁がそれぞれ1点でワークの側面に当接する。これにより側面当接部は、確実に2点以上でワークの側面に当接する。これにより教示用プローブの位置と姿勢がワークの側面に対して安定する。そのため教示用プローブの位置と姿勢の教示データの精度が良くなる。
【0016】
本開示の他の特徴によれば教示用プローブは、プローブ本体から延出してロボットに連結される連結部と、連結部を中心にプローブ本体の外周に配置された複数の教示領域を備える。複数の教示領域がそれぞれ端面当接部と側面当接部と収容スペースを具備する。したがって連結部を軸中心に回転させることなく、あるいは少ない回転量で教示領域の1つをワークに当接させることができる。これによりさらに短い時間で教示を行うことができる。
【0017】
本開示の他の特徴によれば教示用プローブは、端面当接部と側面当接部が形成されたプローブ本体と、プローブ本体から延出してロボットに連結される連結部を有する。したがって連結部の位置と姿勢を検出することでプローブ本体の位置と姿勢を得ることができる。例えば、プローブ本体と連結部が一体になっている場合は、連結部の軸回りの角度を得ることでプローブ本体の角度を得て、端面当接部と側面当接部の位置と姿勢(向き及び角度)を得ることができる。そのため連結部の位置と姿勢というシンプルなパラメータで教示データを得ることができる。
【0018】
本開示の他の特徴によれば連結部に対してプローブ本体が回転可能に取付けられる。したがってプローブ本体を連結部中心に回転させることで端面当接部と側面当接部を測定点に当接させることができる。ロボットのアームに例えば回転工具を取付けてワークを加工する場合は、教示に必要なデータは、回転工具の軸中心の位置と傾き角度である。このような場合は、プローブ本体の連結部に対する角度のデータが不要になる。そのような場合に、簡易な本構成を利用できる。これにより教示用プローブの製作コストを抑えることができる。
【0019】
本開示の他の特徴は、教示用プローブを備えるロボット教示システムに関する。ワークに当接させた教示用プローブの角度と位置を検出手段が検出する。検出手段の信号に基づいてワークの所定箇所に関するデータを計算手段が計算する。予めワークの形状の種類を記憶手段が1つ以上記憶する。ワークの形状を特定するために必要な形状の種類に応じた測定点数を計算手段が得ることで、形状特定手段がワークの形状を特定する。したがってワークの形状に応じた必要な測定点数によってワークの形状を得ることができる。その結果、少ない測定点数でワークの形状を特定、及び補完できる。その結果、効率よくワークを測定できる。
【0020】
本開示の他の特徴によれば記憶手段は、形状として円形を記憶する。形状特定手段は、3点の測定点数を得てワークを特定する。したがってワークが円形状を有する場合には、3点と少ない測定点数でワークを特定できる。これにより教示の工数と時間を少なくして効率良く教示できる。
【0021】
本開示の他の特徴によればロボット教示システムは、形状特定手段によって得たワークの形状に対してワークへの指定した押込量もしくはワークからの指定した離間量を実現するロボットの位置と姿勢を求めるエディタ手段を有する。エディタ手段は、計算手段で得たワークの所定箇所に関するデータを押込量もしくは離間量で補正してロボットの軌道を生成する。
【0022】
したがってワークへの指定した押込量を予め考慮することなくワークに教示用プローブを当接させて教示できる。あるいはワークから指定した離間量で離間させることなくワークに教示用プローブを当接させて教示できる。そのため教示用プローブを測定点に対して精度良く位置決めできる。これにより教示用プローブの位置と姿勢を精度良く検出できる。しかもロボットに連結された工具のワークへの押込量もしくはワークからの離間量は、作業に合わせてエディタ手段で求めることができる。これによりワークの測定点の以外の箇所に対してロボットに同じ精度で作業させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本開示の教示用プローブが装着されるロボット装置の概略図である。
図2】多関節ロボットの回転関節を模式的に示す概略図である。
図3】ロボット装置の側面図である。
図4】第1実施形態に係る教示用プローブの斜視図である。
図5】第1実施形態に係る教示用プローブの側面図である。
図6】第1実施形態に係る教示用プローブの正面図である。
図7】円筒形状のワークに当接させた教示用プローブの斜視図である。
図8】円柱形状のワークに当接させた教示用プローブの斜視図である。
図9】第1実施形態に係るロボット教示システムのブロック図である。
図10】第1実施形態に係る教示用プローブを用いたロボット軌道の教示を示すフローチャートである。
図11】エンドエフェクタとワークの測定点及び補完点を示す概略図である。
図12】エンドエフェクタとワークの角部を示す断面図である。
図13】第2実施形態に係る教示用プローブの斜視図である。
図14】第3実施形態に係る教示用プローブの斜視図である。
図15】第3実施形態に係る教示用プローブを用いた教示の概略図である。
図16】第4実施形態に係る教示用プローブの斜視図である。
図17】第4実施形態に係る教示用プローブの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本開示の第1実施形態を図1~12に基づいて説明する。本開示の教示用プローブ10は、図1に示すようにロボット装置1が備える多関節ロボット2の先端2eに装着される。ロボット装置1は、多関節ロボット2と制御装置4を有する。多関節ロボット2は、制御装置4から送られる指令に基づいて駆動する。多関節ロボット2の先端2eにエンドエフェクタ3が着脱自在に装着される。エンドエフェクタ3は、作業に基づいて交換可能であり、例えば、バリ取り作業用のブラシや、エアシリンダを使ったハンド等が用いられる。エンドエフェクタ3は、例えばエンジンのシリンダブロックや工作機械の鋳物等のワークの表面を加工する。ワークは、例えば円筒、円柱、角柱、非軸対称の異形等の様々な形状を有する。教示の際にはエンドエフェクタ3に代えて教示用プローブ10が装着される。教示用プローブ10が備えるプローブ本体11の中心軸線11eは、エンドエフェクタ3の工具軸線3bと同軸である。
【0025】
図2に示すように多関節ロボット2は、基部から先端2eまでの間に4つのアーム2a~2dと6つの回転関節R1~R6を有する。回転関節R1~R6は,例えばサーボモータ等の駆動部を有してそれぞれの軸中心回りに回転する。回転関節R1は、多関節ロボット2の基部に支持されたアーム2aの中心軸線に沿って備えられる。回転関節R2は、アーム2aとアーム2bを連結しかつ回転関節R1と軸方向が直交して備えられる。回転関節R3は、アーム2bとアーム2cを連結しかつ回転関節R2と軸方向が平行に備えられる。回転関節R4は、アーム2cの中心軸線に沿いかつ回転関節R3と軸方向が直交して備えられる。回転関節R5は、アーム2cとアーム2dを連結しかつ回転関節R4と軸方向が直交して備えられる。回転関節R6は、アーム2dの中心軸線に沿いかつ回転関節R5と軸方向が直交して備えられる。回転関節R4,R6の回転軸は、回転関節R5の回転軸上で交差する。
【0026】
図3に示すように多関節ロボット2の先端2eと教示用プローブ10の間にパラレルワイヤ機構5が設けられる。パラレルワイヤ機構5は、ベース5aと可動プラットフォーム5bと6本のワイヤ5cを有する。ベース5aと可動プラットフォーム5bは、6本のワイヤ5cで連結されて互いに略平行に並ぶ。可動プラットフォーム5bは、ベース5aに対して略平行に変位できる。教示用プローブ10が可動プラットフォーム5bに装着される。可動プラットフォーム5bが初期位置の場合の6本のワイヤ5cの引き出し長さを初期値として、可動プラットフォーム5bが変位後に引き出されたワイヤ5cの長さを測定する。これにより変位後の可動プラットフォーム5b及び教示用プローブ10の位置と姿勢を求めることができる。
【0027】
図4に示すように教示用プローブ10は、矩形箱形のプローブ本体11と、プローブ本体11に連結される円柱形状の連結部12を有する。連結部12は、プローブ本体11の長手方向の基端面11aの中央からプローブ本体11の長手方向に延出する。プローブ本体11の中心軸線11eと連結部12の中心軸線12aは同軸である。プローブ本体11は、中心軸線11eを中心に回転可能に連結部12に支持される。プローブ本体11は、連結部12に対して回転しないように連結されていても良い。連結部12は可動プラットフォーム5b(図1参照)に支持される。プローブ本体11と連結部12が一体である場合、連結部12は中心軸線12aを中心に回転可能に可動プラットフォーム5bに支持される。
【0028】
図4に示すようにプローブ本体11は、中心軸線11eに沿って延出する正面11bと、正面11bの両端と交差しかつ中心軸線11eに沿って延出する一対の側面11c,11dを有する。プローブ本体11は、正面11b及び側面11c,11dが切欠かれた収容スペース15を有する。図5に示すように収容スペース15は、側面11c,11dの面直方向から見て三角形の切欠き形状である。図6に示すように収容スペース15は、正面11bの面直方向から見て矩形である。プローブ本体11は、例えば円筒状のワーク6の角部6c(図7参照)を収容スペース15に収容しかつワーク6の一部と立体的にフィットする。
【0029】
図4に示すようにプローブ本体11は、端面当接部13と側面当接部14を有する。収容スペース15は、端面当接部13と側面当接部14の間に形成される。端面当接部13は、図示左方の側面11c上で直線状に延出する端面第1当接縁13aと、図示右方の側面11d上で直線状に延出する端面第2当接縁13bを有する。図5に示すように端面第1当接縁13aと端面第2当接縁13bは、側面11c,11dと交差する平面上に並ぶ。端面第1当接縁13aと端面第2当接縁13bは、プローブ本体11の中心軸線11eに対して例えば45°の傾斜角度A2で傾斜して延出する。
【0030】
図4に示すように側面当接部14は、図示左方の側面11c上で直線状に延出する側面第1当接縁14aと、図示右方の側面11d上で直線状に延出する側面第2当接縁14bを有する。図5に示すように側面第1当接縁14aと側面第2当接縁14bは、側面11c,11dと交差して延出する同一平面上に並ぶ。側面第1当接縁14aは、端面第1当接縁13aと例えば90°の切欠き角度A1で交差する。側面第2当接縁14bは、端面第2当接縁13bと例えば90°の切欠き角度A1で交差する。切欠き角度A1は、ワーク6の端面6aと側面6bが交差する角度と同じ大きさに設定される。
【0031】
図7にワークの一例を示す。ワーク6は、円筒形状である。ワーク6の端面6aは平面状に延出する。ワーク6の側面6bは、円弧状に湾曲した円筒の内周面である。端面6aと側面6bは、例えば90°で交差する。端面6aと側面6bは、互いに交差することで円弧状の角部6cを形成する。端面6aには端面第1当接縁13aと端面第2当接縁13bが当接する。端面第1当接縁13aは、端面接触点13cで端面6aと当接し、あるいは端面接触点13cを有して構成される線または面で端面6aと当接する。端面第2当接縁13bは、端面接触点13dで端面6aと当接し、あるいは端面接触点13dを有して構成される線または面で端面6aと当接する。端面第1当接縁13aと端面第2当接縁13bが互いに離間しているため、端面接触点13cと端面接触点13dも互いに離間している。かくして端面当接部13は、2点以上で端面6aと接する。端面第1当接縁13aと端面第2当接縁13bは、中心軸線11eに対して傾斜角度A2(図5参照)で傾斜している。そのため中心軸線11eが端面6aに対して傾斜角度A2で傾斜する。
【0032】
図7に示すように側面6bには側面第1当接縁14aと側面第2当接縁14bが当接する。側面第1当接縁14aと側面第2当接縁14bの間には収容スペース15が設けられる。そのため円弧状に湾曲した側面6bに側面第1当接縁14aと側面第2当接縁14bを両方当てることができる。側面第1当接縁14aは、側面接触点14cで側面6bと当接し、あるいは側面接触点14cを有して構成される線または面で側面6bと当接する。側面第2当接縁14bは、側面接触点14dで当接し、あるいは側面接触点14dを有して構成される線または面で側面6bと当接する。側面接触点14cと側面接触点14dは、端面接触点13cと端面接触点13dと同様に互いに離間している。かくして側面当接部14は、2点以上で側面6bと接する。
【0033】
図7に示すように端面6aと側面6bが交差するワーク6の角部6cは、収容スペース15に収容される。切欠き角度A1は角部6cの角度と同じ大きさで設定される。そのため端面第1当接縁13a,端面第2当接縁13bが端面6aに倣いかつ側面第1当接縁14a,側面第2当接縁14bが側面6bに倣う。これにより教示用プローブ10は、姿勢が安定した状態でワーク6と当接する。教示用プローブ10の位置と姿勢は、エンドエフェクタ3の先端部3a(図1参照)が角部6cと当接する際のエンドエフェクタ3の位置と姿勢に相当する。なお教示用プローブ10とワーク6の位置関係によっては、側面当接部14が端面6aに当接しかつ端面当接部13が側面6bに当接しても良い。
【0034】
図7に示すように端面当接部13は、端面接触点13c,13dの2点のみで端面6aに接触する場合、端面接触点13c,13dを通る軸線13g回りに回転し得る。側面当接部14は、側面接触点14c,14dの2点のみで側面6bに接触する場合、側面接触点14c,14dを通る軸線14g回りに回転し得る。
【0035】
例えば軸線13gと軸線14gが非平行になるように教示用プローブ10を設ける。これにより軸線13g回りの端面当接部13の回転と、軸線14g回りの側面当接部14の回転が相互に干渉する。しかも軸線14gは、端面6aの法線に対して傾斜して延出する。そのため端面当接部13が端面接触点13c,13dで端面6aと接触することで、側面当接部14の軸線14g回りの回転が抑制される。また、側面当接部14が側面接触点14c,14dで側面6bと接触することで、端面当接部13の軸線13g回りの回転が抑制される。かくして端面当接部13と側面当接部14は、端面6aまたは側面6bと2点で接触することで相互に位置と姿勢を拘束する。さらに端面当接部13と側面当接部14は、各接触点が2点以上であることで相互の位置と姿勢をより確実に拘束する。
【0036】
図8にワークの他の例を示す。ワーク7は、円柱形状である。ワーク7の端面7aは平面状に延出する円形である。ワーク6の側面7bは、円弧状に湾曲した円柱の外周面である。端面7aと側面7bは、例えば90°で交差する。端面7aには端面第1当接縁13aと端面第2当接縁13bが当接する。端面第1当接縁13aは、端面接触点13e、あるいは端面接触点13eを有して構成される線または面で端面7aと当接する。端面第2当接縁13bは、端面接触点13f、あるいは端面接触点13fを有して構成される線または面で端面7aと当接する。そのため端面当接部13は、2点以上で端面7aと接する。中心軸線11eは、端面7aに対して傾斜角度A2(図5参照)で傾斜する。
【0037】
図8に示すように側面7bには側面第1当接縁14aと側面第2当接縁14bが当接する。側面第1当接縁14aと側面第2当接縁14bの間には収容スペース15が設けられる。そのため円弧状に湾曲した側面7bに側面第1当接縁14aと側面第2当接縁14bを両方当てることができる。側面第1当接縁14aは、側面接触点14e、あるいは側面接触点14eを有して構成される線または面で側面7bと当接する。側面第2当接縁14bは、側面接触点14f、あるいは側面接触点14fを有して構成される線または面で側面7bと当接する。そのため側面当接部14は、2点以上で側面7bと接する。端面7aと側面7bが交差するワーク7の角部7cは、収容スペース15に収容される。切欠き角度A1は角部7cと同じ大きさで設定される。そのため教示用プローブ10がワーク7の端面7a及び側面7bと当接する際に姿勢が安定する。
【0038】
図9に示すようにロボット装置1を教示するロボット教示システム20は、検出手段21を有する。検出手段21は、パラレルワイヤ機構5とワイヤ長さ測定手段21aを有する。ワイヤ長さ測定手段21aは、パラレルワイヤ機構5の6本のワイヤ5c(図1参照)の引き出し長さを測定する。検出手段21は、6本のワイヤ5cの引き出し長さに基づいてワーク6,7に当接させた教示用プローブ10の位置と姿勢(向き及び角度)を検出する。
【0039】
図9に示すようにロボット教示システム20の制御装置4は、計算手段22と記憶手段23と形状特定手段24を有する。記憶手段23は、例えば円弧形状、多角形形状、スプライン曲線形状等のワークの形状のデータを記憶する。また、記憶手段23は、教示の際の教示用プローブ10(図1参照)の位置と姿勢のデータ及び多関節ロボット2(図1参照)の動きを記憶する。計算手段22は、記憶手段23からワークの形状のデータを読出し、形状の種類に応じた測定点数を設定する。形状特定手段24は、検出手段21から測定点における教示用プローブ10の位置と姿勢の検出値を得て、ワーク6,7の形状を特定する。計算手段22は、検出手段21で得た検出値と、形状特定手段24で特定したワーク6,7の形状と、記憶手段23で記憶した多関節ロボット2の動きに基づいて、教示用プローブ10の姿勢と位置を計算する。制御装置4は、計算手段22と電気的に接続されるロボット駆動手段28を有する。ロボット駆動手段28は、多関節ロボット2(図1参照)に駆動の指令を出力する。
【0040】
図9に示すようにロボット教示システム20は、エディタ手段25を有する。エディタ手段25は制御装置4と電気的に接続される。エディタ手段25は、制御装置と一体に設けられていても良い。エディタ手段25は、教示の際に検出手段21または計算手段22または形状特定手段24で得たデータを編集できる。あるいはエディタ手段25は、記憶手段23に記憶されている教示に必要なデータを編集できる。エディタ手段25でできる編集は、例えば変数の変更、複数のデータの合成、複数のデータを対比することによる調整等である。そのため、例えばエディタ手段25を用いて教示用プローブ10(図1参照)の姿勢と位置の計算値を編集できる。例えば教示用プローブ10の軌道を編集して、エンドエフェクタ3の先端部3a(図1参照)が角部6c,7cに対して所定の押込量または所定の離間量で変位した軌道に編集できる。例えば教示用プローブ10の姿勢の計算値を編集して、エンドエフェクタ3の先端部3aが角部6c,7cと接する角度を常時一定になるように調整できる。
【0041】
このようにエディタ手段25を用いることで、教示で得たデータを例えば所定の押込量または所定の離間量等(オフセット量)で補正できる。また、オフセット量はエディタ手段25を用いて調整できる。例えばエンドエフェクタ3の先端部3aの先端形状に応じてオフセット量を調整できる。例えばワーク6,7の材質に応じてオフセット量を調整できる。例えばエンドエフェクタ3でワーク6,7のバリ取りをする際には、エディタ手段25を用いて所定の押込量に設定できる。例えばエンドエフェクタ3で塗料をワーク6,7に吹き付ける際には、エディタ手段25を用いて所定の離間量に設定できる。かくしてエンドエフェクタ3の軌道を好適に設定できる。
【0042】
図9に示すようにロボット教示システム20は、入力部26と表示部27を有する。入力部26は、例えばキーボードやスイッチ、タッチパネル等を備える。表示部27は、例えばディスプレイや点灯・消灯をするランプ等を備える。入力部26と表示部27は、それぞれ制御装置4とエディタ手段25に電気的に接続される。制御装置4に接続される入力部26及び表示部27と、エディタ手段25に接続される入力部26及び表示部27は、同じであっても良いしそれぞれ別であっても良い。教示者は、表示部27に表示された情報を確認しながら入力部26を操作する。
【0043】
図11,12を参照してエンドエフェクタ3とワーク6の位置と姿勢の関係について説明する。例えば丸棒形状のエンドエフェクタ3を軸回りに回転させ、エンドエフェクタ3の先端部3aをワーク6の角部6cに当てる。これにより角部6cのバリを取ることができる。例えば先端部3aを直径0.2mの円形状の角部6cに沿って移動させてバリ取り作業をする。先端部3aを角部6cに沿って円滑に移動させるためには、例えば角部6cの1周当たりで20点の教示点が必要である。本開示の実施形態では、20点の教示点のうち3点を、教示用プローブ10(図7参照)を当接させて位置と姿勢を測定する測定点6dに設定する。残りの17点を、教示用プローブ10を当接させたものと仮定して位置と姿勢をエディタ手段25で推定する補完点6eに設定する。
【0044】
図12に示すようにエンドエフェクタ3の工具軸線3bが端面6aに対して傾斜角度A3で傾斜する。教示用プローブ10の端面第1当接縁13aと端面第2当接縁13bの傾斜角度A2(図5参照)は、傾斜角度A3と同じ大きさに設定される。そのため工具軸線3bの傾斜角度A3を維持して先端部3aを角部6cに当ててバリ取り作業ができる。
【0045】
図10にしたがってロボット教示システム20を利用してロボット装置1の軌道を教示するフローを説明する。まず教示者は、図5,7を参照するようにステップ(以下、STと略記する)01でワーク6の形状を選択して図9に示す入力部26に入力する。記憶手段23が、入力部26からの信号に基づいたワーク6の形状のデータを読出し、計算手段22にデータを送信する(ST02)。計算手段22がワーク6の形状の種類に応じた測定点数を設定する(ST03)。例えばワーク6の角部6cが円形である場合は、3点の測定点数を設定する。
【0046】
図1,5,7を参照するように教示者は、教示用プローブ10とパラレルワイヤ機構5を多関節ロボット2の先端2eに装着する(ST04)。教示者は、多関節ロボット2を動かして、教示用プローブ10を計算手段22で設定したワーク6の測定点に当接させる(ST05)。端面当接部13が端面6aに当接しかつ側面当接部14が側面6bに当接する。検出手段21が測定点に当接させた教示用プローブ10の位置と姿勢を検出する(ST06)。検出した値と、教示用プローブ10を動かす際の多関節ロボット2の動作は記憶手段23に記憶される。計算手段22は、設定された全ての測定点で教示用プローブ10の位置と姿勢を測定したか、記憶手段23に記憶されたデータに基づいて確認する(ST07)。未測定の測定点がある場合にはST05の測定に戻る。全ての測定点のデータが得られると、形状特定手段24が教示用プローブ10の位置と姿勢の測定データからワーク6の形状を特定する(ST08)。
【0047】
計算手段22は、特定されたワーク6の形状と多関節ロボット2の動きに基づいて角部6c上の補完点を計算する(ST09)。計算手段22は、測定点のデータに基づいて補完点における教示用プローブ10の位置と姿勢を計算する(ST10)。エディタ手段25は、角部6cに対するエンドエフェクタ3の先端部3aの所定の押込量または離間量のデータを予め得ている。エディタ手段25は、所定の押込量または離間量のデータに基づいて教示用プローブ10の位置と姿勢のデータを所定量ずらした値に編集する(ST11)。これにより教示用プローブ10の軌道を所定の押込量または離間量でずらしたエンドエフェクタ3の軌道が計算される。
【0048】
エディタ手段25は、教示用プローブ10の姿勢を所定の値に編集する(ST12)。これにより、例えば端面6aに対する中心軸線11eの傾斜角度を一定にできる。教示者は、教示用プローブ10に代えてエンドエフェクタ3を多関節ロボット2の先端2eに装着する(ST13)。以上でロボット装置1の軌道の教示が完了する。
【0049】
上述するように教示用プローブ10は、図7に示すようにワーク6の形状を教示するために用いられる。教示用プローブ10は、端面当接部13と側面当接部14と収容スペース15を有する。端面当接部13は、ワーク6の端面6aに2点以上の端面接触点13c,13d、あるいは端面接触点13c,13dで構成される線または面で当接する。側面当接部14は、ワーク6の側面6bに2点以上の側面接触点14c,14d、あるいは側面接触点14c,14dで構成される線または面で当接する。収容スペース15は、ワーク6の端面6aと側面6bによって形成される角部6cを収容するように端面当接部13と側面当接部14の間に形成される。
【0050】
したがって角部6cに邪魔されることなく、端面当接部13と側面当接部14がそれぞれ端面6aと側面6bに当てられる。しかも端面当接部13と側面当接部14は、それぞれがワーク6の端面6aまたは側面6bに2点以上または線または面で当たる。そのため端面6aと端面当接部13が2点以上または線または面で接触することで、側面6bに対する側面当接部14の位置と姿勢(向き及び角度)が拘束される。また、側面6bと側面当接部14が2点以上または線または面で接触することで、端面6aに対する端面当接部13の位置と姿勢が拘束される。そのため端面当接部13と側面当接部14は、端面6aまたは側面6bとの各接触点で相互に拘束を受ける。これにより角部6cに当てられる教示用プローブ10の位置と姿勢の精度が良くなる。しかも教示用プローブ10が装着された多関節ロボット2(図1参照)を教示者の手で動かして教示する際に、教示用プローブ10を角部6cに対して精度良くかつ迅速に位置決めできる。
【0051】
しかも端面当接部13と側面当接部14は、2点以上の接触点、あるいはその接触点で構成される線または面でワーク6と接触する。そのため端面当接部13と側面当接部14は、2点の接触でワーク6に対して最低限の位置決めがなされる。さらに端面当接部13と側面当接部14は、それぞれが2点以上または線または面でワーク6と接触することにより、ワーク6の形状や面性状に対して当接した位置と姿勢で確実に位置決めされる。かくして教示用プローブ10を用いた教示データの精度が良くなる。しかも教示用プローブ10は、角部6cに対して簡易に位置決めされるため、短い時間でワーク6に位置決めされる。かくして教示用プローブ10を用いて効率良く教示データを得ることができる。
【0052】
図4に示すように端面当接部13は、直線状に延出する端面第1当接縁13aと、端面第1当接縁13aと離間して直線状に延出する端面第2当接縁13bを有する。したがって教示の際に端面第1当接縁13aと端面第2当接縁13bのそれぞれがワーク6の端面6a(図7参照)に当接する。例えば端面6aが曲面である際、端面第1当接縁13aと端面第2当接縁13bがそれぞれ1点で端面6aに当接する。これにより端面当接部13は、確実に2点以上で端面6aに当接する。これにより教示用プローブ10の位置と姿勢が端面6aに対して安定する。そのため教示用プローブ10の位置と姿勢の教示データの精度が良くなる。
【0053】
図4に示すように側面当接部14は、直線状に延出する側面第1当接縁14aと、側面第1当接縁14aと離間して直線状に延出する側面第2当接縁14bを有する。したがって教示の際に側面第1当接縁14aと側面第2当接縁14bのそれぞれがワーク6の側面6b(図7参照)に当接する。例えば側面6bが曲面である際、側面第1当接縁14aと側面第2当接縁14bがそれぞれ1点で側面6bに当接する。これにより側面当接部14は、確実に2点以上で側面6bに当接する。これにより教示用プローブ10の位置と姿勢が側面6bに対して安定する。そのため教示用プローブ10の位置と姿勢の教示データの精度が良くなる。
【0054】
図4に示すように教示用プローブ10は、端面当接部13と側面当接部14が形成されたプローブ本体11と、プローブ本体11から延出してロボット装置1(図1参照)に連結される連結部12を有する。したがって連結部12の位置と姿勢を検出することでプローブ本体11の位置と姿勢を得ることができる。例えば、プローブ本体11と連結部12が一体になっている場合は、連結部12の中心軸線12a回りの角度を得ることでプローブ本体11の中心軸線11e回りの角度を得る。これにより端面当接部13と側面当接部14の位置と姿勢(向き及び角度)を得ることができる。そのため連結部12の位置と姿勢というシンプルなパラメータで教示データを得ることができる。
【0055】
図4に示すように連結部12に対してプローブ本体11が回転可能に取付けられる。したがってプローブ本体11を連結部12の中心軸線12aを中心に回転させることで端面当接部13と側面当接部14を測定点に当接させることができる。多関節ロボット2(図1参照)に例えば回転工具のエンドエフェクタ3を取付けてワーク6(図7参照)を加工する場合は、教示に必要なデータは、回転工具の軸中心の位置と傾き角度である。このような場合は、プローブ本体11の連結部12に対する角度のデータが不要になる。そのような場合に、簡易な本構成を利用できる。これにより教示用プローブ10の製作コストを抑えることができる。
【0056】
図9に示すように教示用プローブ10(図1参照)を備えるロボット教示システム20は、ワーク6(図7参照)に当接させた教示用プローブ10の角度と位置を検出手段21が検出する。検出手段21の信号に基づいてワーク6の所定箇所に関するデータを計算手段22が計算する。予めワーク6の形状の種類を記憶手段23が1つ以上記憶する。ワーク6の形状を特定するために必要な形状の種類に応じた測定点数を計算手段22が得ることで、形状特定手段24がワーク6の形状を特定する。したがってワーク6の形状に応じた必要な測定点数によってワーク6の形状を得ることができる。その結果、少ない測定点数でワーク6の形状を特定、及び補完できる。その結果、効率よくワーク6を測定できる。
【0057】
図9に示すように記憶手段23は、形状として円形を記憶する。形状特定手段24は、3点の測定点数を得てワーク6(図7参照)を特定する。したがってワーク6が円形状を有する場合には、3点と少ない測定点数でワーク6を特定できる。これにより教示の工数と時間を少なくして効率良く教示できる。
【0058】
図9に示すようにロボット教示システム20は、形状特定手段24によって得たワーク6(図7参照)の形状に対してワーク6への指定した押込量もしくはワーク6からの指定した離間量を実現するロボット装置1の位置と姿勢を求めるエディタ手段25を有する。エディタ手段25は、計算手段22で得たワーク6の所定箇所に関するデータを押込量もしくは離間量で補正してロボット装置1の軌道を生成する。
【0059】
したがってワーク6への指定した押込量を予め考慮することなくワーク6に教示用プローブ10(図1参照)を当接させて教示できる。あるいはワーク6から指定した離間量で離間させることなくワーク6に教示用プローブ10を当接させて教示できる。そのため教示用プローブ10を測定点に対して精度良く位置決めできる。これにより教示用プローブ10の位置と姿勢を精度良く検出できる。しかもロボット装置1に連結されたエンドエフェクタ3(図1参照)のワーク6への押込量もしくはワーク6からの離間量は、作業に合わせてエディタ手段25で求めることができる。これによりワーク6の測定点の以外の箇所に対してロボット装置1に同じ精度で作業させることができる。
【0060】
次に本開示の第2実施形態を図13に基づいて説明する。第2実施形態では図4に示す教示用プローブ10に代えて、図13に示す教示用プローブ30を用いる。教示用プローブ30は、プローブ本体31と、プローブ本体31に連結される円柱形状の連結部32を有する。連結部32は、プローブ本体31の基端面31fから延出する。プローブ本体31の中心軸線31eと連結部32の中心軸線32aは互いに同軸である。プローブ本体31は、中心軸線32aを中心に回転可能にまたは固定されて連結部32に支持される。連結部32は可動プラットフォーム5b(図1参照)に支持される。プローブ本体31と連結部32が一体である場合、連結部32は可動プラットフォーム5bに対して中心軸線32aを中心に回転可能である。
【0061】
図13に示すようにプローブ本体31は、矩形箱形の教示領域31aを3つ有する。教示領域31aは、中心軸線31eを中心にして概ね120°間隔で設けられる。3つの教示領域31aは同じ形状である。教示領域31aは、中心軸線31eの径方向外方を向く正面31bと、正面31bの両端と交差しかつ中心軸線31eに沿って延出する一対の側面31c,31dを有する。プローブ本体31は、正面31b及び側面31c,31dが切欠かれた収容スペース35を有する。収容スペース35は、側面31c,31dの面直方向から見て三角形の切欠き形状である。収容スペース35は、正面31bの面直方向から見て矩形である。
【0062】
図13に示すようにプローブ本体31は、端面当接部33と側面当接部34を有する。収容スペース35は、端面当接部33と側面当接部34の間に形成される。端面当接部33は、側面31c上で直線状に延出する端面第1当接縁33aと、側面31d上で直線状に延出する端面第2当接縁33bを有する。端面第1当接縁33aと端面第2当接縁33bは同一平面上に並ぶ。端面第1当接縁33aと端面第2当接縁33bは、図5に示す端面第1当接縁13aと端面第2当接縁13bと同様に、プローブ本体31の中心軸線31eに対して例えば45°の傾斜角度で傾斜して延出する。
【0063】
図13に示すように側面当接部34は、側面31c上で直線状に延出する側面第1当接縁34aと、側面31d上で直線状に延出する側面第2当接縁34bを有する。側面第1当接縁34aと側面第2当接縁34bは同一平面上に並ぶ。側面第1当接縁34a及び側面第2当接縁34bは、端面第1当接縁33a及び端面第2当接縁33bと例えば90°の切欠き角度で交差する。切欠き角度は、ワーク6の端面6aと側面6bが交差する角度と同じ大きさに設定される。
【0064】
図1,13を参照するように連結部32に回転可能に支持されるプローブ本体31は、中心軸線31e回りの角度が検出される。エンドエフェクタ3は、例えば工具軸線3bと交差する所定の方向へ向けて塗料を吹き付けるスプレーガンである。工具軸線3bを中心にエンドエフェクタ3を回転させて所定の角度でワーク6(図7参照)に塗料を吹き付ける。そのためエンドエフェクタ3の工具軸線3b回りの角度を記憶する必要がある。図13に示す中心軸線31eは、工具軸線3bと同軸に設定される。そのため連結部32に対するプローブ本体31の角度を検出することで、工具軸線3bに対するエンドエフェクタ3の角度を記憶できる。
【0065】
あるいはエンドエフェクタ3は、例えば工具軸線3bを中心に回転する回転工具である。換言するとエンドエフェクタ3は工具軸線3bを中心とする軸対称である。そのため工具軸線3bに対するエンドエフェクタ3の角度を記憶しなくても良い。図13に示す教示用プローブ30は、中心軸線31eの回りに複数の教示領域31aを有する。そのためプローブ本体31を中心軸線31e回りに回転させることなく、あるいは少ない回転量で、複数の教示領域31aのいずれか1つがワーク6に当たる。
【0066】
上述するように教示用プローブ30は、図13に示すようにプローブ本体31から延出してロボット装置1(図1参照)に連結される連結部32と、連結部32を中心にプローブ本体31の外周に配置された複数の教示領域31aを備える。複数の教示領域31aがそれぞれ端面当接部33と側面当接部34と収容スペース35を具備する。したがってプローブ本体31を中心軸線31e回りに回転させることなく、あるいは少ない回転量で教示領域31aの1つをワーク6(図7参照)に当接させることができる。これによりさらに短い時間で教示を行うことができる。
【0067】
図13に示すように教示用プローブ30は、端面当接部33と側面当接部34が形成されたプローブ本体31と、プローブ本体31から延出してロボット装置1に連結される連結部32を有する。したがって連結部32の位置と姿勢を検出することでプローブ本体31の位置と姿勢を得ることができる。例えば、プローブ本体31と連結部32が一体になっている場合は、連結部32の中心軸線32a回りの角度を得ることでプローブ本体31の中心軸線31e回りの角度を得る。これにより端面当接部33と側面当接部34の位置と姿勢(向き及び角度)を得ることができる。そのため連結部32の位置と姿勢というシンプルなパラメータで教示データを得ることができる。
【0068】
図13に示すように連結部32に対してプローブ本体31が回転可能に取付けられる。したがってプローブ本体31を中心軸線32a回りに回転させることで端面当接部33と側面当接部34を測定点に当接させることができる。多関節ロボット2(図1参照)の先端に例えば回転工具のエンドエフェクタ3を取付けてワーク6(図7参照)を加工する場合は、教示に必要なデータは、回転工具の軸中心の位置と傾き角度である。このような場合は、プローブ本体31の連結部32に対する角度のデータが不要になる。そのような場合に、簡易な本構成を利用できる。これにより教示用プローブ30の製作コストを抑えることができる。
【0069】
次に本開示の第3実施形態を図14,15に基づいて説明する。第3実施形態では図4に示す教示用プローブ10に代えて、図14に示す教示用プローブ40を用いる。教示用プローブ40は、プローブ本体41と、プローブ本体41に連結される円柱形状の連結部42を有する。プローブ本体41は、連結部42の中心軸線42aを中心に回転可能にまたは固定されて連結部42に支持される。連結部42は可動プラットフォーム5b(図1参照)に支持される。
【0070】
図14に示すようにプローブ本体41は、矩形平板状の基端部41aを有する。基端部41aの図示上面に連結部42が連結される。プローブ本体41は、基端部41aの図示下方に平面状の端面当接部43を有する。端面当接部43から円柱形状の側面当接部44が延出する。側面当接部44は、端面当接部43と例えば90°で交差して延出する。端面当接部43と側面当接部44の間に収容スペース45が形成される。基端部41aは、側面当接部44の延出方向に沿って延出する正面41bを有する。連結部42は、正面41bから離れる方向に傾斜して基端部41aに連結される。連結部42の中心軸線42aは、側面当接部44の中心軸線44aと例えば135°の傾斜角度A4で交差する。そのため中心軸線42aは、端面当接部43の延出方向に対して例えば45°の傾斜角度で傾斜する。
【0071】
図15に示すように端面当接部43は、ワーク6の端面6aと2点以上の端面接触点、あるいは2点以上の端面接触点を有して構成される線または面で当接する。側面当接部44の円柱形状の側面は、円筒形状のワーク6の内周面である側面6bと2点以上の側面接触点、あるいは2点以上の側面接触点を有して構成される線または面で当接する。ワーク6の角部6cは、端面当接部43と側面当接部44の間の収容スペース45(図14参照)に収容される。
【0072】
図14,15に示すように端面当接部43と側面当接部44の中心軸線44aが交差する角度は、例えば90°であり端面6aと側面6bが交差すると同じ大きさに設定される。連結部42の中心軸線42aは、端面6aに対して例えば45°の傾斜角度で傾斜する。中心軸線42aは、工具軸線3b(図1参照)と同軸に設定される。そのため中心軸線42aの位置と姿勢に基づいて、角部6cに対するエンドエフェクタ3の位置と姿勢を設定できる。例えば端面6aに対する工具軸線3bの傾斜角度が45°で維持されるようにエンドエフェクタ3の先端部3aをワーク6に当てることができる。
【0073】
上述するように教示用プローブ40は、図14,15に示すように端面当接部43と側面当接部44と収容スペース45を有する。端面当接部43は、ワーク6の端面6aに2点以上の端面接触点、あるいは2点以上の端面接触点で構成される線または面で当接する。側面当接部44は、ワーク6の側面6bに2点以上の側面接触点、あるいは2点以上の側面接触点で構成される線または面で当接する。収容スペース45は、ワーク6の端面6aと側面6bによって形成される角部6cを収容するように端面当接部43と側面当接部44の間に形成される。
【0074】
したがって角部6cに邪魔されることなく、端面当接部43と側面当接部44がそれぞれ端面6aと側面6bに当てられる。しかも端面当接部43と側面当接部44は、それぞれがワーク6の端面6aまたは側面6bに2点以上または線または面で当たる。そのため端面当接部43と側面当接部44は、端面6aまたは側面6bとの各接触点で相互に拘束を受ける。そのため教示用プローブ40は、角部6cに精確な姿勢(向き及び角度)で位置決めされる。これにより教示用プローブ40を用いた教示データの精度が良くなる。しかも端面当接部43と側面当接部44は、2点以上または線または面の接触でワーク6の形状や面性状に対して確実に位置決めされる。さらに教示用プローブ40は、角部6cに対して簡易に位置決めされるため、短い時間でワーク6に位置決めされる。かくして教示用プローブ40を用いて効率良く教示データを得ることができる。
【0075】
次に本開示の第4実施形態を図16,17に基づいて説明する。第4実施形態では図4に示す教示用プローブ10に代えて、図16に示す教示用プローブ50を用いる。教示用プローブ50は、プローブ本体51と、プローブ本体51に連結される円柱形状の連結部52を有する。プローブ本体51は、連結部52の中心軸線52aを中心に回転可能にまたは固定されて連結部52に支持される。連結部52は可動プラットフォーム5b(図1参照)に支持される。
【0076】
図16に示すようにプローブ本体51は、矩形平板状の基端部51aを有する。基端部51aの図示上面に連結部52が連結される。プローブ本体51は、基端部51aの図示下方に平面状の端面当接部53を有する。プローブ本体51は、基端部51aと交差して連結部52と反対側に向けて延出する延出部51bを有する。
【0077】
図16,17に示すように延出部51bは、側面第1当接縁54aと側面第2当接縁54bを具備する側面当接部54を有する。側面第1当接縁54aは、図示左方のプローブ本体51の側面51c上で直線状に図示下方へ向けて延出する。側面第2当接縁54bは、図示右方の側面51d上で直線状に図示下方へ向けて延出する。端面当接部53と側面当接部54の間に収容スペース55が形成される。側面第1当接縁54aと側面第2当接縁54bは、端面当接部53と例えば90°で交差する。連結部52の中心軸線52aは、側面第1当接縁54aまたは側面第2当接縁54bと例えば135°の傾斜角度A5で交差する。そのため中心軸線52aは、端面当接部53の延出方向に対して例えば45°の傾斜角度で傾斜する。
【0078】
図17に示す端面当接部53は、ワーク6(図7参照)の端面6aと2点以上の端面接触点、あるいは2点以上の端面接触点を有して構成される線または面で当接する。側面第1当接縁54aと側面第2当接縁54bは、それぞれ側面6bと2点以上の側面接触点、あるいは2点以上の側面接触点を有して構成される線または面で当接する。ワーク6の角部6cは収容スペース55に収容される。端面当接部53と側面第1当接縁54aまたは側面第2当接縁54bが交差する角度は、例えば90°で端面6aと側面6bが交差すると同じ大きさに設定される。連結部52の中心軸線52aは、端面6aに対して例えば45°の傾斜角度で傾斜する。中心軸線52aは、工具軸線3b(図1参照)と同軸に設定される。そのため、例えば端面6aに対する工具軸線3bの傾斜角度が45°で維持されるようにエンドエフェクタ3の先端部3aをワーク6に当てることができる。
【0079】
上述するように教示用プローブ50は、図16に示すように端面当接部53と側面当接部54と収容スペース55を有する。端面当接部53は、ワーク6(図7参照)の端面6aに2点以上の端面接触点、あるいは2点以上の端面接触点で構成される線または面で当接する。側面当接部54は、ワーク6の側面6bに2点以上の側面接触点、あるいは2点以上の側面接触点で構成される線または面で当接する。収容スペース55は、ワーク6の端面6aと側面6bによって形成される角部6cを収容するように端面当接部53と側面当接部54の間に形成される。したがって教示用プローブ50を用いることで、教示用プローブ40(図14参照)を用いる場合と同様の効果を得ることができる。そのため教示用プローブ50を用いた教示データの精度が良くなる。さらに教示用プローブ50を用いて短い時間で効率良く教示データを得ることができる。
【0080】
以上説明した各実施形態のロボット装置1、教示用プローブ10,30,40,50及びロボット教示システム20には様々な変更を加えることができる。例えば多関節ロボット2の先端2eにパラレルワイヤ機構5を取付ける構成を例示した。これに代えて、例えばワイヤ5cを用いずにベース5aと可動プラットフォーム5bを複数のリンクで繋ぐパラレルリンク機構を用いても良い。例えばベース5aと可動プラットフォーム5bの相互の位置、姿勢の関係を、光センサ、磁気センサ、カメラ等の非接触センサで測定する構成であってもよい。多関節ロボット2の軸数は6軸に限らず5軸以下あるいは7軸以上であっても良い。
【0081】
教示用プローブ10,30,40,50は、円筒形状または円柱形状のワーク6,7に限らず、例えば多角形形状、スプライン曲線形状等の様々な形状のワークに適用できる。例えばワークの角部が直線状である場合は、2点を教示することで直線軌道を生成できる。例えばワークの角部が多角形である場合は、多角形の各辺に相当する複数の直線をそれぞれ教示する。さらにエディタ手段25を併用して複数の直線を組み合わせることで多角形の軌道を生成できる。例えばワークの角部が自由曲線である場合は、エディタ手段25を用いて複数の直線と複数の円弧を組み合わせることで自由曲線に近い軌道を生成できる。なお、複数の直線に相当する箇所はそれぞれ2点以上で教示し、複数の円弧に相当する箇所はそれぞれ3点以上で教示する。このようにエディタ手段25を用いることで、教示した複数の軌道を組み合わせて複雑な軌道を生成できる。かくして様々な形状の軌道を教示できる。
【0082】
直線状に延出する端面第1当接縁13a及び端面第2当接縁13bを有する端面当接部13と、直線状に延出する側面第1当接縁14a及び側面第2当接縁14bを有する側面当接部14を例示した。これに代えて、例えば端面当接部13と側面当接部14は、曲線形状や曲面形状等を有していても良い。例えば角部6cが丸みを有する場合に合わせて、端面第1当接縁13aと側面第1当接縁14a、端面第2当接縁13bと側面第2当接縁14bがそれぞれ曲線で連結されていても良い。
【0083】
端面第1当接縁13aと側面第1当接縁14aが交差する切欠き角度A1、及び端面第2当接縁13bと側面第2当接縁14bと交差する切欠き角度A1は、ワーク6の角部6cの形状によって適宜変更して良い。中心軸線11eに対する端面第1当接縁13a及び端面第2当接縁13bの傾斜角度A2は、エンドエフェクタ3を角部6cに当てる角度に応じて適宜変更して良い。
【0084】
エンドエフェクタ3は、ワーク6と当接する軌道に対して所定の押込量または離間量で変位した軌道で動く場合がある。そのため、例えば教示用プローブ10をロボット装置1に取付ける際に、プローブ本体11の中心軸線11eとエンドエフェクタ3の工具軸線3bが所定の距離でずれるように取付けても良い。
【0085】
エンドエフェクタ3は、多関節ロボット2の先端2eに弾性的に保持される場合がある。これによりエンドエフェクタ3をワーク6に対して所定の押込量で変位させる際に、ワーク6の端面6aに対する工具軸線3bの傾斜角度A3が変化する場合がある。そのため、例えば傾斜角度A2を、傾斜角度A3よりも大きくまたは小さく設定しても良い。例えば傾斜角度A2は、傾斜角度A3に対して-5°~+5°の範囲で設定される。
【0086】
中心軸線31eの軸回りに略同じ角度間隔で3つの教示領域31aを有する教示用プローブ30を例示した。これに代えて教示用プローブ30は、例えば2つまたは4つ以上の教示領域31aを有していても良く、各教示領域の間隔が異なっていても良い。教示領域31aがすべて同じ形状である教示用プローブ30を例示した。これに代えて教示用プローブ30は、例えば中心軸線31eに対する端面第1当接縁33a及び端面第2当接縁33bの傾斜角度がそれぞれ異なる複数の教示領域31aを備えていても良い。
【0087】
円柱形状の側面当接部44を有する教示用プローブ40を例示した。これに代えて教示用プローブ40は、例えば円錐状、角柱状等の様々な形状の側面当接部44を有していても良い。教示用プローブ50が側面当接部54を具備する平板状の延出部51bを有する構成を例示した。これに代えて教示用プローブ50は、例えば円弧状に湾曲した面形状、一対の棒状等の様々な形状の延出部51bを有していても良い。
【符号の説明】
【0088】
1…ロボット装置
2…多関節ロボット、2a,2b,2c,2d…アーム
R1、R2,R3,R4,R5,R6…回転関節
3…エンドエフェクタ、3a…先端部、3b…工具軸線
4…制御装置
5…パラレルワイヤ機構、5a…ベース、5b…可動プラットフォーム、5c…ワイヤ
6…ワーク、6a…端面、6b…側面、6c…角部、6d…測定点、6e…補完点
7…ワーク、7a…端面、7b…側面、7c…角部
10…教示用プローブ
11…プローブ本体
11a…基端面、11b…正面、11c,11d…側面、11e…中心軸線
12…連結部、12a…中心軸線
13…端面当接部、13a…端面第1当接縁、13b…端面第2当接縁
13c,13d,13e,13f…端面接触点、13g…軸線
14…側面当接部、14a…側面第1当接縁、14b…側面第2当接縁
14c,14d,14e,14f…側面接触点、14g…軸線
15…収容スペース
A1…切欠き角度、A2…傾斜角度
20…ロボット教示システム
21…検出手段、21a…ワイヤ長さ測定手段
22…計算手段
23…記憶手段
24…形状特定手段
25…エディタ手段
26…入力部
27…表示部
28…ロボット駆動手段
30…教示用プローブ
31…プローブ本体、31a…教示領域、31b…正面、31c,31d…側面
31e…中心軸線、31f…基端面
32…連結部、32a…中心軸線
33…端面当接部、33a…端面第1当接縁、33b…端面第2当接縁
34…側面当接部、34a…側面第1当接縁、34b…側面第2当接縁
35…収容スペース
40…教示用プローブ
41…プローブ本体、41a…基端部、41b…正面
42…連結部、42a…中心軸線
43…端面当接部
44…側面当接部、44a…中心軸線
45…収容スペース
A4…傾斜角度
50…教示用プローブ
51…プローブ本体、51a…基端部、51b…延出部、51c,51d…側面
52…連結部、52a…中心軸線
53…端面当接部
54…側面当接部、54a…側面第1当接縁、54b…側面第2当接縁
55…収容スペース
A5…傾斜角度
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17