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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022096216
(43)【公開日】2022-06-29
(54)【発明の名称】たこ焼きの製造方法
(51)【国際特許分類】
   A23L 35/00 20160101AFI20220622BHJP
【FI】
A23L35/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020209194
(22)【出願日】2020-12-17
(71)【出願人】
【識別番号】000231637
【氏名又は名称】株式会社ニップン
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 博信
(72)【発明者】
【氏名】高峰 裕行
(72)【発明者】
【氏名】安藤 慎太郎
【テーマコード(参考)】
4B036
【Fターム(参考)】
4B036LF14
4B036LH13
4B036LH22
4B036LP02
4B036LP17
4B036LT02
(57)【要約】
【課題】フライ等の油ちょう調理を行い、中心温度が85℃以上になった直後に取りだしても、良好なサク感を有するたこ焼きを製造できる焼成調理済み冷凍たこ焼きを提供することを目的とする。
【解決手段】調理器具を用いてたこ焼き生地を焼成調理し、その後冷凍することを含む、焼成調理済み冷凍たこ焼きを製造する方法であって、前記たこ焼き生地の小麦粉100質量部に対して、前記生地内の油脂と前記調理器具に用いる油脂の合計量が10~68質量部となるように調整して前記焼成調理を行う(ただし、生地内の油脂は少なくとも2質量部、調理器具に用いる油脂は少なくとも4質量部である)ことを特徴とする、焼成調理済み冷凍たこ焼きを製造する方法により上記課題が解決される。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
調理器具を用いてたこ焼き生地を焼成調理し、その後冷凍することを含む、焼成調理済み冷凍たこ焼きを製造する方法であって、
前記たこ焼き生地の小麦粉100質量部に対して、前記生地内の油脂と前記調理器具に用いる油脂の合計量が10~68質量部となるように調整して前記焼成調理を行う(ただし、生地内の油脂は少なくとも2質量部、調理器具に用いる油脂は少なくとも4質量部である)ことを特徴とする、焼成調理済み冷凍たこ焼きを製造する方法。
【請求項2】
たこ焼き生地の小麦粉100質量部に対して、調理器具に用いる油脂が少なくとも20質量部である、請求項1記載の焼成調理済み冷凍たこ焼きを製造する方法。
【請求項3】
たこ焼き生地の小麦粉100質量部に対して、生地内の油脂が25質量部以下である、請求項1または2記載の焼成調理済み冷凍たこ焼きを製造する方法。
【請求項4】
生地内の油脂の量と、調理器具に用いる油脂の量との比が、10:90~80:20である、請求項1~3のいずれか1項記載の焼成調理済み冷凍たこ焼きを製造する方法。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項に記載の製造方法により得られる焼成調理済み冷凍たこ焼き。
【請求項6】
請求項5に記載の焼成調理済み冷凍たこ焼きを加熱調理する方法であって、少なくとも中心温度が85℃となったら加熱調理を終了することを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はたこ焼きの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
たこ焼きは主原料である小麦粉に塩や各種調味料、卵、だし汁等を加えてバッターとし、たこを加え、特殊な焼き型を用いて球状に焼成して得られる食品である。たこ焼きは一般的に表面の皮がサクッとしていて、内部に適度なトロミを保持した食感のものが好まれる傾向にある。
一般的には焼成直後の物を喫食することが多いが、近年では原価が安い・調理が簡単であるといった背景から、居酒屋等で焼成後冷凍されたたこ焼きを再加熱して提供されることも少なくない。こういった居酒屋では冷凍たこ焼きをそのままレンジアップするのでなく、「皮感へのサク感付与」や「丸い形状を維持したままでの提供」を目的として、フライ調理を行うことが多く見られる。
加熱されたたこ焼き用焼き台の焼き穴内において生地を球状に成形した後、油を焼き穴内のたこ焼きに直接かからない様に焼き穴とたこ焼きとの間に注入し、再度加熱焼炙する方法が開示されている(特許文献1)。この方法によれば焼成直後はサクサクした好ましい食感であるが、冷凍後にフライした場合のサクサク感は十分ではない。
穀物粉、液状油及び水を含有する生地に、たこを内包させて焼成した後、凍結させてなる冷凍たこ焼きであって、前記液状油が、生地100質量部に対して、2~9質量部配合されることを特徴とする冷凍たこ焼きが開示されている(特許文献2)。これは、ソフトで口溶けがよくトロミのあるたこ焼きを得る方法であり、サクサク感のあるたこ焼きを得ることはできない。
小麦粉、粉末油脂及び澱粉エーテルの混合物を主原料としたたこ焼き用ミックスであり、柔らかく、内部がクリーミーで良好な食感を有し、冷凍保存して、解凍した場合も同様の食感を保持するような製品を得ることができる(特許文献3)。これは、冷凍し解凍した場合でも柔らかくトロミを有しているたこ焼きに関するものであり、皮のサクサク感を求めたものではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001-78731号公報
【特許文献2】特開2013-042745号公報
【特許文献3】特開平06-062813号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
冷凍たこ焼きの解凍調理に用いられるたこ焼きのフライヤー調理は簡易的に嗜好性の高い食感に仕上げられるものの、たこ焼きの中心温度が85℃になる程度の比較的短いフライ時間ではサクっとした食感が弱く、サクッとした食感を強めるためにフライ時間を長くしてしまうと皮のヒキが強くなりすぎて、フライヤー調理では嗜好性の低いたこ焼きが出来上がってしまうことが問題であった。
したがって、本発明の課題は、焼成調理済み冷凍たこ焼きをフライ等の油ちょう調理を行い、中心温度が85℃以上になった直後に取りだしても、良好なサク感を有するたこ焼きの提供である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
たこ焼き生地の小麦粉100質量部に対して、前記生地内の油脂と調理器具に用いる油脂の合計量が12~65質量部となるように調整して焼成調理を行う(ただし、生地内の油脂は少なくとも2質量部、調理器具に用いる油脂は少なくとも4質量部である)ことを特徴とする、焼成調理済み冷凍たこ焼きを製造する方法により、解凍調理において、中心温度が85℃以上になった直後に取り上げても、良好なサク感を有するたこ焼きが得られた。
【0006】
本発明は、以下の態様を包含する。
〔1〕調理器具を用いてたこ焼き生地を焼成調理し、その後冷凍することを含む、焼成調理済み冷凍たこ焼きを製造する方法であって、
前記たこ焼き生地の小麦粉100質量部に対して、前記生地内の油脂と前記調理器具に用いる油脂の合計量が10~68質量部となるように調整して前記焼成調理を行う(ただし、生地内の油脂は少なくとも2質量部、調理器具に用いる油脂は少なくとも4質量部である)ことを特徴とする、焼成調理済み冷凍たこ焼きを製造する方法。
〔2〕たこ焼き生地の小麦粉100質量部に対して、調理器具に用いる油脂が少なくとも20質量部である、前記〔1〕記載の焼成調理済み冷凍たこ焼きを製造する方法。
〔3〕たこ焼き生地の小麦粉100質量部に対して、生地内の油脂が25質量部以下である、前記〔1〕または〔2〕記載の焼成調理済み冷凍たこ焼きを製造する方法。
〔4〕生地内の油脂の量と、調理器具に用いる油脂の量との比が、10:90~80:20である、前記〔1〕~〔3〕のいずれか1項記載の焼成調理済み冷凍たこ焼きを製造する方法。
〔5〕前記〔1〕~〔4〕のいずれか1項に記載の製造方法により得られる焼成調理済み冷凍たこ焼き。
〔6〕前記〔5〕に記載の焼成調理済み冷凍たこ焼きを加熱調理する方法であって、少なくとも中心温度が85℃となったら加熱調理を終了することを特徴とする方法。
【発明の効果】
【0007】
中心まで火が通る(中心温度85℃)程度の比較的短いフライ時間でも歯切れ良く、多層感のあるサクサクした皮を有したたこ焼きを製造することが出来る。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の方法は、調理器具を用いてたこ焼き生地を焼成調理し、その後冷凍することを含む、焼成調理済み冷凍たこ焼きを製造する方法であって、
前記たこ焼き生地の小麦粉100質量部に対して、前記生地内の油脂と前記調理器具に用いる油脂の合計量が10~68質量部となるように調整して前記焼成調理を行う(ただし、生地内の油脂は少なくとも2質量部、調理器具に用いる油脂は少なくとも4質量部である)ことを特徴とする、焼成調理済み冷凍たこ焼きを製造する方法である。
【0009】
本発明において「たこ焼き」は、主原料である小麦粉に塩や各種調味料、卵、だし汁等を加えてバッターとし、たこやその他の具材を加え、特殊な焼き型を用いて球状に焼成して得られる食品である。
本発明における「焼成調理済み冷凍たこ焼き」は、焼成調理後に冷凍したものである。
【0010】
本発明の特徴は、焼成調理済み冷凍たこ焼きを製造する方法において、たこ焼き生地の小麦粉100質量部に対して、前記生地内に油脂を添加し、前記油脂量と、焼成調理のための調理器具、特に調理する面(例えば、たこ焼き器の凹部)に用いる油脂の量との合計を一定量となるように調整して焼成調理を行うことである。
前記合計量は10~68質量部であり、ただし、前記生地内の油脂は、たこ焼き生地の小麦粉100質量部に対して、少なくとも2質量部、前記調理器具に用いる油脂は、たこ焼き生地の小麦粉100質量部に対して少なくとも4質量部である。かかる量に調整することにより、焼成調理した冷凍たこ焼きを、たこ焼きフライヤーのような加熱調理器により、心まで火が通る(中心温度85℃)程度の比較的短い時間で加熱調理しても、サクサクした食感を得ることができる。
【0011】
たこ焼き生地の小麦粉100質量部に対して、生地中の油脂と焼成調理のための調理器具に用いる油脂との合計量は、好ましくはが12~65質量部、より好ましくは20~63質量部、さらに好ましくは26~60質量部となるように調整する。
合計量が10質量部以上であれば、皮のサクサク感・多層感が強くなり好ましい。68質量部を超えるとサクサクを超えてザクザク感・歯切れの悪さが出てしまうため、好ましくない。
【0012】
また、生地中の油脂量は、上記油脂合計量を満たす範囲において、少なくとも2質量部であり、好ましくは少なくとも4質量部であり、より好ましくは少なくとも8質量部であり、25質量部以下であることが好ましく、より好ましくは22質量部以下であり、さらに好ましくは20質量部以下である。
【0013】
調理器具に用いる油脂量は、上記油脂合計量を満たす範囲において、少なくとも4質量部であり、好ましくは少なくとも8質量部であり、より好ましくは少なくとも16質量部であり、50質量部以下であることが好ましく、より好ましくは44質量部以下であり、さらに好ましくは40質量部以下である。
本発明において調理器具は、いわゆる従来から知られているたこ焼き器のように、半球状の凹部を有するものであり、凹部は、穴径φ42~50mm×深さ20~25mm程度の半球状凹部であることが好ましく、穴径φ45~48mm×深さ23~25mm程度であることがより好ましい。
【0014】
油脂は、生地及び調理器具の双方に添加することが必要であり、その比率は、生地内の油脂の量と、調理器具に用いる油脂の量との比が、10:90~80:20であることが好ましく、10:90~70:30がより好ましく、20:80~50:50がより好ましく、20:80~40:60がさらに好ましい。
【0015】
生地中あるいは調理器具に用いる油脂に関しては、特に限定無く使用出来る。植物油脂(例えば、菜種油、大豆油、コーン油、ひまわり油、オリーブ油、ゴマ油、サフラワー油、綿実油、米油、パーム油など)、動物油脂(例えば、豚脂、牛脂、鶏油、バターなど)のいずれも使用することができる。油脂の性状は、常温で液体、ペースト状、固体のいずれでもよい。油脂は、精製油(サラダ油など)、ショートニングなどであってもよい。
よりシャープで歯切れの良い食感(サクサク感)を出すならば、たこ焼き生地ないしはたこ焼きミックスにショートニングを使用することが好ましい。
また、より良い食感が得られるという観点から、生地及び/または調理器具に、コーン油を使用することが好ましい。
油脂に配合されている乳化剤の種類・量に関しても、特に制限なく使用できる。
調理器具への油脂の添加は、生地を流し込む前に添加することが好ましい。
【0016】
本発明のたこ焼きの生地に用いる小麦粉は強力粉、中力粉、薄力粉又は全粒粉のいずれであってもよいが、薄力粉が好ましい。
たこ焼きの食感を調整する為に小麦粉以外の穀粉や澱粉を添加してもよい。ここでの穀粉としては澱粉を含有する穀類を粉末化したものであれば特に制限はなく、穀類としては例えば米、大麦、ライ麦、エン麦、トウモロコシ、ヒエ、アワ、モロコシ、キビ等が挙げられる。澱粉としては例えば、馬鈴薯澱粉、甘藷澱粉、インゲンマメ澱粉、小麦澱粉、大麦澱粉、米澱粉、コーン澱粉等が挙げられる。なお、澱粉・穀粉は予めα化したもの(α化澱粉・α化穀粉)を用いてもよい。小麦粉以外の穀粉や澱粉を添加する場合には、小麦粉と穀粉及び澱粉の合計量に対し、小麦粉は少なくとも80質量%含まれることが好ましい。また、小麦粉以外の穀粉や澱粉を添加する場合には、これらの穀粉や澱粉の量を小麦粉の量と見做して、油脂量を調整する。例えば、小麦粉80質量部に他の穀粉を20質量部用いた場合には、小麦粉と他の穀粉の合計100質量部に対して、生地内の油脂と調理器具に用いる油脂の合計量が10~68質量部となるように調整する。
【0017】
本発明におけるたこ焼き生地は、小麦粉(他の穀粉や澱粉をさらに含んでいてもよい)、油脂、水、を少なくとも含む。場合によってだし、調味料、干しエビ粉、すりおろした山芋等を添加してバッターを作製し、さらに全卵等の液状材料、たこ、キャベツ、ネギ等の具材(固形材料)を含んでいてもよい。固形材料は生地100質量部に対して10~50質量部程度となるように入れる事が通常である。
本発明におけるたこ焼き生地は、小麦粉100質量部に対し、水を250~300質量部程度入れることが好ましく、270~290質量部程度であることがより好ましい。牛乳、卵等の液状材料を添加する場合にはそれらの量に応じて水の量を適宜調整することが好ましい。
【0018】
本発明において、たこ焼き風の味付けをする場合、原料中に食塩、調味料、卵、ネギ、紅生姜を添加することが出来る。
【0019】
本発明におけるたこ焼きの製造方法は特に限定されず、生地と調理器具内にあらかじめ油脂を添加しておくことを除いて、通常のたこ焼きの製造手順に従って、例えば170~200℃で10~25分程度焼成してたこ焼きを製造する。具体的には例えば、半球状の凹部を有するたこ焼き器を用いて、あらかじめ120~250℃に熱した凹部に所定量の油脂を添加した後、生地を流し込んだ後ぶつ切りにしたたこと揚げ玉を投入し、凹部内で回転させながら焼成・成形することによりたこ焼きを得ることができる。たこをあらかじめ生地に添加・混合し、油脂とたこを含む生地を、たこ焼き器の凹部(予め所定量の油脂を添加)に流し込み焼成・成形してもよい。たこ焼きの大きさ、形状は特に限定されず、例えば1個当たり10~100gの球状や半球状などにすることができる。
【0020】
上記焼成調理済みたこ焼きをその後冷凍する。冷凍方法は特に限定されない。例えば、エアーブラスト冷凍法、液化ガス冷凍法、コンタクト冷凍法、ブラスト冷凍法のいずれの冷凍法による冷凍機を使用してもよい。凍結したたこ焼きは-18℃以下で冷凍保存することができる。例えば急速冷凍機を使用し、-30~-80℃で30~60分間という条件下に行ってもよい。
【0021】
本発明の焼成調理済み冷凍たこ焼きは、油ちょうにより解凍加熱を行うことが好ましい。特に、中心温度が75℃で少なくとも1分間、あるいは中心温度が85℃に到達するまで加熱することが好ましい。例えば、180℃で4分間油ちょうすることによりかかる温度を達成することができる。本発明の焼成調理済み冷凍たこ焼きは、少なくとも中心温度が85℃に到達したら加熱調理を終了してもよい。
本発明の冷凍たこ焼きは上述の解凍加熱を行った際、良好なサク感を有するたこ焼きを製造することができる。
【実施例0022】
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
【0023】
製造例1
薄力小麦粉(日本製粉株式会社製、「ダイヤ」)25質量部に、水72質量部、全卵3質量部を加えて、3分間攪拌して、たこ焼き生地(100質量部)とした。たこ焼き生地を、190℃に熱したサラダ油を引いたたこ焼き器の凹部(穴径φ45mm×深さ25mm)に流し込み、揚玉5質量部、ネギ3質量部、紅生姜3質量部、ぶつ切りしたタコ20質量部を投入した。たこ焼き器に接した生地が焼けてきたら、生地を反転させて更に熱が通るまで焼成し、球形のたこ焼きを得た。
得られたたこ焼きを半球状のケースに入れ、室温で放冷した後、-30℃の急速冷凍機で1時間冷凍した。その後、-20℃で24時間保管した後、180℃のサラダ油で4分間油ちょうした。
【0024】
製造例2
薄力小麦粉(日本製粉株式会社製、「ダイヤ」)25質量部に、水69質量部、全卵3質量部を加えて、3分間攪拌した後、サラダ油3質量部を添加し2分間攪拌し、たこ焼き生地(100質量部)とした。攪拌後のたこ焼き生地を、190℃に熱したサラダ油3.5質量部を入れたたこ焼き器の凹部(穴径φ45mm×深さ25mm)に流し込み、揚玉、ネギ、紅生姜、ぶつ切りしたタコを投入した。たこ焼き器に接した生地が焼けてきたら、生地を反転させて更に熱が通るまで焼成し、球形のたこ焼きを得た。
得られたたこ焼きを半球状のケースに入れ、室温で放冷した後、-30℃の急速冷凍機で1時間冷凍した。その後、-20℃で24時間保管した後、180℃のサラダ油で4分間油ちょうした。
【0025】
試験例1 油脂量の検討
たこ焼き生地に添加した油脂量と焼成時にたこ焼き器に投入した油脂量を表1に記載した量にした以外は製造例2に従ってたこ焼きを製造した。
得られたたこ焼きについて、油ちょう直後に10名のパネラーにより評価基準表に従って表面の食感(皮のサクサク感)を評価した。なお、常法である製造例1に従って製造したたこ焼きを2点とした(対照例)。結果を表1-1及び1-2に示す。
油の合計量が12~60質量部(小麦粉100質量部に対して)の実施例1~5において、フライ後の中心温度が85℃に達するまでの短い調理時間で、歯入りがよくサクサクした良好な食感のたこ焼きを得ることができた。油の合計量が所定量よりも少なすぎたり多すぎたりした場合、あるいは生地には所定量の油脂が含まれるが、調理器具には油脂を含まない場合は、良好な食感のたこ焼きが得られなかった(比較例1~3)。
【0026】
評価基準表
【0027】
表1-1

*1:調理器具にはサラダ油(コーン)を引いて調理した。量は0.1質量部以下である。
【0028】
表1-2

*2:調理器具にはサラダ油(コーン)を引いて調理した。量は0.1質量部以下である。
【0029】
試験例2 たこ焼き生地に添加する油脂の種類
たこ焼き生地に添加する油脂を表2に記載のものにし、焼成時にたこ焼き器に投入する油をサラダ油(コーン)にした以外は製造例2に従ってたこ焼きを製造し、試験例1と同様に評価した。結果を表2に示す。
【0030】
表2
【0031】
生地中に入れる油脂の種類を、サラダ油(コーン)から、サラダ油(大豆)、ショートニング、ラードに変えて同様にたこ焼きを作製したところ、いずれも歯入りがよくサクサクした良好な食感のたこ焼きを得ることができた(実施例6~8)。
【0032】
試験例3 たこ焼き器に投入する油脂の種類
たこ焼き生地に添加する油脂をサラダ油(コーン)にし、焼成時にたこ焼き器に投入する油を表3に記載のものにした以外は製造例2に従ってたこ焼きを製造し、試験例1と同様に評価した。結果を表3に示す。
【0033】
表3
【0034】
調理器具中に入れる油脂の種類を、サラダ油(コーン)から、サラダ油(大豆)、ショートニング、ラードに変えた場合、いずれも歯入りがよくサクサクした良好な食感のたこ焼きを得ることができた(実施例9~11)。