(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022096333
(43)【公開日】2022-06-29
(54)【発明の名称】硫酸プラントの転化器触媒の篩別装置および篩別方法
(51)【国際特許分類】
C01B 17/90 20060101AFI20220622BHJP
C01B 17/79 20060101ALI20220622BHJP
B01J 38/00 20060101ALI20220622BHJP
B01J 23/22 20060101ALI20220622BHJP
B07B 1/22 20060101ALI20220622BHJP
B07B 1/28 20060101ALI20220622BHJP
B07B 1/46 20060101ALI20220622BHJP
B01J 8/02 20060101ALI20220622BHJP
【FI】
C01B17/90 Z
C01B17/79
B01J38/00 301Z
B01J23/22 M
B07B1/22 Z
B07B1/28 B
B07B1/46 K
B01J8/02 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020209385
(22)【出願日】2020-12-17
(71)【出願人】
【識別番号】000183303
【氏名又は名称】住友金属鉱山株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000811
【氏名又は名称】特許業務法人貴和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中村 佳
(72)【発明者】
【氏名】佐々井 茂
【テーマコード(参考)】
4D021
4G070
4G169
【Fターム(参考)】
4D021AA01
4D021AA13
4D021AB02
4D021AC01
4D021CA07
4D021CA11
4D021DA01
4D021DA13
4D021EA10
4G070AA01
4G070AB04
4G070BB01
4G070CA10
4G070CB18
4G070DA11
4G169AA03
4G169AA10
4G169BB04B
4G169BC54B
4G169CB81
4G169DA06
4G169EA01X
4G169EA08
4G169ED10
4G169GA18
(57)【要約】
【課題】篩別機を用いた転化器触媒の篩別工程における発塵を抑止できる篩別装置および篩別方法を提供する。
【解決手段】篩別機3の篩下排出部9からカバー4の外側まで伸長する配管5と、カバー4の外側において、配管5に接続可能であり、篩下排出部9から配管5を通じて粉化した触媒Pを吸引し、かつ、収容することが可能な真空装置6とが備えられる。真空装置6により、スクリーンから篩い分けられた粉化した触媒Pは、篩下排出部9から配管5を通して、真空吸引されるため、篩別機3からの発塵が防止される。真空装置6の吸引量は、篩別機3の内部が負圧となるように調整される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
スクリーンと、該スクリーンを振動または回転させる機構とを備える、篩別機と、
前記篩別機に転化器の触媒層から取り出した転化器触媒を供給するための供給部と、
篩別により前記スクリーン上に残った触媒を排出するための篩上排出部と、
前記篩別により前記スクリーンから篩い分けられた粉化した触媒を排出するための篩下排出部と、
前記篩別機と、前記篩上排出部と、前記篩下排出部とを覆うカバーと、
前記篩下排出部に接続され、該篩下排出部から前記カバーの外側まで伸長する配管と、
前記カバーの外側において、前記配管に接続可能であり、前記篩下排出部から前記配管を通じて前記粉化した触媒を吸引し、かつ、収容することが可能な真空装置と、
を備える、
硫酸プラントにおける転化器触媒の篩別装置。
【請求項2】
前記真空装置は、前記配管に配管接続機構により接続可能であって、前記粉化した触媒を吸引するための真空吸引器と、前記粉化した触媒を収納する容器とを装着した、吸上車からなる、請求項1に記載の硫酸プラントにおける転化器触媒の篩別装置。
【請求項3】
前記転化器の触媒層と前記供給部を接続する移送用配管と、前記触媒層から前記転化器触媒を取り出し、かつ、該転化器触媒を前記供給部まで移送するための移送装置をさらに備える、請求項1または2に記載の硫酸プラントにおける転化器触媒の篩別装置。
【請求項4】
請求項1~3のいずれかに記載の硫酸プラントにおける転化器触媒の篩別装置を用い、
前記転化器の触媒層から移送された転化器触媒を前記供給部に供給する工程と、
前記篩別機により、前記供給部から供給された前記転化器触媒を前記スクリーンにより篩別し、
前記スクリーン上に残った触媒を前記篩上排出部から排出する工程と、
前記真空装置により、前記スクリーンから篩い分けられた粉化した触媒を、前記篩下排出部および前記配管を介して、真空吸引および収容する工程と、
を備える、
硫酸プラントにおける転化器触媒の篩別方法。
【請求項5】
前記真空装置による吸引量を、前記篩別機の内部が負圧となるように調整する、請求項4に記載の硫酸プラントにおける転化器触媒の篩別方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、硫酸プラントの転化器において、SO2ガスをSO3ガスに転化する際に用いられる、触媒の篩別方法に関する。
【背景技術】
【0002】
硫酸製造工程では、転化器において、原料ガスであるSO2をSO3ガスに転化し、吸収塔において、SO3ガスを気液接触により循環硫酸に吸収させることで、硫酸が製造される。
【0003】
硫酸プラントの転化器内には、五酸化バナジウム(V2O5)を含有する触媒が、全5層の触媒層に充填されており、この触媒層をSO2ガスが通過することでSO3ガスに転化される。触媒は、高温(400℃~600℃)かつ高圧下に存在するため、その使用期間が長くなるにつれて、触媒自体の強度が失われ、圧力により粉砕され、粉化する。粉化した触媒は、たとえば直径が5mm以下の微粉体からなり、かかる微粉体が触媒層の間隙を埋めることで、触媒層における圧力損失が増大する。かかる圧力損失の増大は、処理ガス量の低下やブロワー消費電力の増大などの硫酸プラントにおける操業上の問題を招く。
【0004】
このため、定期的に触媒を払い出しして、失われた分の触媒を補充するとともに、払い出した触媒について、粉化した触媒と正常な触媒を分別するための篩別を実施し、粉化した触媒のみを除去して、正常な触媒を再利用している。
【0005】
この触媒の篩別には、たとえば、特開2017-148687号公報に記載されているような、スクリーン(篩網)を用いた篩別機が用いられる。篩別機には、スクリーンを上下に振動させて、投入物の篩別を行う振動式篩別機と、筒状のスクリーンを回転させることで、投入物の篩別を行う回転式篩別機があり、いずれのタイプの篩別機も触媒の篩別に用いることができる。いずれの篩別機でも、投入ホッパーまたは投入シューターなどの供給部から、投入物である触媒をスクリーン上に投入し、たとえば直径が5mm以下の微粉体のみをスクリーン下に篩い落とすことにより、粉化した触媒と正常な触媒とを篩別する。粉化した触媒と正常な触媒は、いずれも排出ホッパーまたは排出シューターなどのそれぞれの排出部から排出される。
【0006】
触媒の分別および再利用にあたっては、触媒を取り出す作業と、触媒を篩別する作業と、再充填する作業が必要とされ、その自動化を図ることが求められている。また、篩別機を用いた篩別作業においては、粉化した触媒は軽いため、容易に発塵する。触媒成分である五酸化バナジウムは有害物質であるため、その発塵は環境上の問題となる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このように、硫酸プラントにおける転化器において用いられる触媒の篩別時に、発塵が起こらないように対策を講じる必要性がある。たとえば、転化器から触媒を取り出し、篩別機に移送する作業については、ブロワーなどと、移送のためのチューブ、パイプ、ホースなどからなる配管設備とを組み合わせて、触媒を自動的に転化器から取り出し、発塵を防止しつつ、篩別機まで移送することが検討されている。
【0008】
一方、篩別機における篩別時においても、有害物質である五酸化バナジウムを主成分とする触媒が発塵し、環境上の問題となる。このため、鋼板や養生布シートなどからなる防塵カバーにより篩別機全体を囲って、発塵を抑制する対策が施されている。しかしながら、鋼板や養生布のずれやその隙間から発塵が発生した場合、篩別機による触媒の篩別を一時中断して、発塵対策を施した上で、触媒の篩別を再開する必要がある。発塵対策を施している期間は、触媒の篩別を実施することができないため、触媒の篩別の工程が予定よりも遅延するなど、工程管理の面での問題も発生する。
【0009】
本発明は、硫酸プラントにおける転化器の触媒層に用いた触媒を、篩別機を用いて篩別する際に、粉化した触媒の飛散を防止することが可能な、硫酸プラントの転化器触媒の篩別装置および篩別方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一態様の硫酸プラントにおける転化器触媒の篩別装置は、
スクリーンと、該スクリーンを振動または回転させる機構とを備える、篩別機と、
前記篩別機に転化器の触媒層から取り出した転化器触媒を供給するための供給部と、
篩別により前記スクリーン上に残った触媒を排出するための篩上排出部と、
前記篩別により前記スクリーンから篩い分けられた粉化した触媒を排出するための篩下排出部と、
前記篩別機と、前記篩上排出部と、前記篩下排出部とを覆うカバーと、
前記篩下排出部に接続された、該篩下排出部から前記カバーの外側まで伸長する配管と、
前記カバーの外側において、前記配管に接続可能であり、前記篩下排出部から前記配管を通じて前記粉化した触媒を吸引し、かつ、収容することが可能な真空装置と、
を備えることを特徴とする。
【0011】
前記真空装置は、前記配管に配管接続機構により接続可能であって、前記粉化した触媒を吸引するための真空吸引器と、前記粉化した触媒を収納する容器とを装着した、吸上車からなることができる。
【0012】
本発明の一態様の硫酸プラントの転化器触媒の篩別装置は、前記転化器の触媒層と前記供給部を接続する移送用配管と、前記触媒層から前記転化器触媒を取り出し、かつ、該転化器触媒を前記供給部まで移送するための移送装置をさらに備えることができる。
【0013】
本発明の一態様の硫酸プラントにおける転化器触媒の篩別方法は、本発明の硫酸プラントにおける転化器触媒の篩別装置を用い、次の工程により、前記転化器触媒を処理することを特徴とする。
【0014】
すなわち、本発明の一態様の硫酸プラントにおける転化器触媒の篩別方法は、
前記転化器の触媒層から移送された転化器触媒を前記供給部に供給する工程と、
前記篩別機により、前記供給部から供給された前記転化器触媒を前記スクリーンにより篩別し、
前記スクリーン上に残った触媒を前記篩上排出部から排出する工程と、
前記真空装置により、前記スクリーンから篩い分けられた粉化した触媒を、前記篩下排出部および前記配管を介して、真空吸引および収容する工程と、
を備えることを特徴とする。
【0015】
前記真空装置による吸引量を、前記篩別機の内部が負圧となるように調整することが好ましい。
【発明の効果】
【0016】
本発明の一態様の硫酸プラントにおける転化器触媒の篩別装置および篩別方法では、篩別機の篩下排出部(落ち口)から、配管を介して、外部の真空装置に直接接続された構成が採られており、粉化した触媒(微粉体)を、配管を介して、直接真空装置で吸引することが可能であるため、篩別機の篩下排出部から真空装置における粉化した触媒の収納容器までの間で、発塵する可能性がなくなる。このため、環境面の問題および発塵に起因する工程の遅延が発生しない。
【0017】
また、篩別機の篩下排出部に、篩別装置から外部にあるフレキシブルコンテナバッグへと粉化した触媒を排出および充填するためのベルトコンベアの設置が不要となるため、ベルトコンベアおよび篩下排出口に取り付けられる専用のシュートを設置するスペースを省略することが可能となる。本発明では、篩別装置の設置場所に制限がある場合であっても、吸上車などからなる真空装置を篩別装置の近辺に配置する必要がないため、かかる設置場所への篩別装置の設置が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】
図1は、本発明の一態様の一例に係る触媒篩別装置の構成を示す概略図である。
【
図2】
図2は、比較例に係る触媒篩別装置の構成を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
篩別機における発塵の原因としては、篩別機により篩別された粉化した触媒(微粉体)の排出から運搬用の収納容器への収納までにおける粉化した触媒の落下を挙げることができる。すなわち、篩別機により篩別した粉化した触媒と正常な触媒は、いずれも排出ホッパーまたは排出シューターなどのそれぞれの排出部から排出され、それぞれベルトコンベアなどにより運搬され、フレキシブルコンテナバッグなどに収容される。この際、篩別機の排出部からベルトコンベアへの落ち口、ベルトコンベアによる運搬時、および、ベルトコンベア落ち口などにて発塵が生じる。
【0020】
本発明では、篩別機のスクリーン下に分配される粉化した触媒用の篩下排出部に、篩別機より離隔した位置まで伸長する配管を接続し、真空装置により直接微粉体を吸引し回収することで、粉化した触媒の発塵箇所をなくすことにより、発塵が発生しにくくなる転化器触媒の篩別装置および篩別方法が提供される。このため、発塵による転化器触媒の篩別を中断する期間がなくなるため、工程管理面の問題もともに解決することが可能となる。
【0021】
以下、
図1を参照しつつ、本発明の一実施形態の一例に係る、硫酸プラントにおける転化器触媒の篩別装置および篩別方法について、説明する。
【0022】
(篩別装置)
本例の硫酸プラントにおける転化器触媒の篩別装置1は、硫酸プラントにおける転化器2の内部にある触媒層に配置され、原料ガスであるSO2をSO3ガスに転化するために使用される転化器触媒を篩い分けして、再利用可能な正常な触媒Cと粉化した触媒(微粉体)Pとに篩い分けして、それぞれ回収するために使用される。硫酸プラントの転化器2に用いられる触媒としては、五酸化バナジウム(V2O5)を挙げることができるが、これに限定されない。
【0023】
本例の篩別装置1は、篩別機3と、カバー4と、配管5と、真空装置6とを備える。
【0024】
篩別機3としては、一般的には、スクリーン(網)を上下に振動させて、投入物の篩別を行う振動式篩別機と、筒状のスクリーンを回転させることで、投入物の篩別を行う回転式篩別機があり、いずれのタイプの篩別機も篩別に用いることができる。通常、転化器触媒の篩別には、振動式篩別機が用いられる。本発明の篩別機としては、公知のさまざまなタイプの振動式篩別機および回転式篩別機を適用することが可能である。
【0025】
篩別機3の内部には、図示しないスクリーン(網)が設置される。スクリーンは、表裏を貫通する孔が設けられた、シート状や板状の部材である。スクリーンは、篩別機3内の空間を上下に分離するように設置され、篩別機3に供給された触媒のうち、所定の大きさよりも小さい粉化した触媒Pは孔を通過させて、所定の大きさよりも大きく、再利用可能な正常な触媒Cをスクリーン上に残留させる。転化器触媒の用途では、スクリーンとしては、たとえば、直径5.0mm以下の微粉体のみを篩い落とすことができる大きさおよび形状の篩い目を有する。なお、スクリーンとしては、通常、ステンレス製あるいは鋼製の織金網が用いられる。スクリーンの目開きは、上述のように所定の大きさよりも小さい粉化した触媒Pのみを通過させることができれば、その種類および形状は制限されない。
【0026】
篩別機3は、転化器2の触媒層から取り出した転化器触媒を供給するための供給部7と、篩別によりスクリーン上に残った触媒Cを排出するための篩上排出部8と、篩別によりスクリーンから篩い分けられた粉化した触媒Pを排出するための篩下排出部9とを備える。
【0027】
また、篩別機3と、篩上排出部8と、篩下排出部9とは、カバー4により全体として覆われており、篩別装置1の外側の空間とは遮断される。カバー4は、通常、ポリエチレンクロスあるいは合成繊維布製の養生布シート、あるいは、ステンレスなどの鋼板を材料として構成することができる。
【0028】
供給部7は、ステンレスなどの鋼製のホッパーまたはシュートにより形成されることが好ましい。移送された転化器触媒を上方から篩別機3に供給する場合には、供給部7はホッパーにより形成されることが好ましい。あるいは、転化器触媒を転化器の触媒層から移送するための配管を、供給部7を構成するシュートあるいは篩別機3の供給口に直接接続することができる。後者の場合、供給に際して、転化器触媒の落下時および/またはスクリーンへの衝突時における発生した粉塵が篩別機3の外側に漏出することを防止できる。ただし、本例の篩別機3では、後述するように、篩別機3が負圧となるため、供給部7にホッパーを設置し、転化器触媒を上方から供給する場合でも、粉塵の漏出は十分に防止できる。
【0029】
篩上排出部8は、ステンレスなどの鋼製のホッパーおよび/またはシュートにより形成されることが好ましい。篩上排出部8は、スクリーン上に残った、再利用可能な正常な触媒Cを、移送手段あるいは収容手段に供給する。触媒Cは、その落下や衝突によっても発塵することがほとんどないため、篩上排出部8から触媒Cを適切に落下させる構造を篩上排出部8は備えていれば十分である。
【0030】
正常な触媒Cを、篩上排出部8から、篩別装置1(カバー4)の外側に運搬するための移送手段としては、通常、任意のベルトコンベア10が用いられる。ベルトコンベア10で装置1外に運搬された正常な触媒Cは、フレキシブルコンテナバッグ(フレコン)11などの運搬可能な収容手段に収容され、フレキシブルコンテナバッグ11内で保管される、あるいは、その後、転化器2の触媒層に配置される触媒として再利用される。
【0031】
なお、カバー4が、フレキシブルコンテナバッグ11の収納および取り出し用の構造を備えている場合には、ベルトコンベア10を省略して、篩上排出部8の下方に、適宜フレキシブルコンテナバッグ11を配置することも可能である。また、図示の例では、篩上排出部8は、篩別機3の底面に配置されているが、篩別機3の側面に設置する構造も採用できる。
【0032】
本例の篩別機3の篩下排出部9は、篩下排出部9から篩別装置1(カバー4)の外側まで伸長する配管5に直接接続される。配管5としては、粉塵の漏出を防止できる限り、ナイロン製、ウレタン製、ステンレスなどの鋼製のチューブ、パイプ、ホースなどの任意の配管を適用することが可能である。配管5は、篩別機3の篩下排出部9の排出口に対して、配管用継手を介して、固定あるいは着脱可能に接続することが可能である。この場合、篩下排出部9(篩別機3)の下方には、ホッパーあるいはシュートなどが配置されないため、その分、篩別機3の設置空間を小さくすることが可能となる。ただし、篩下排出部9に、ホッパーおよび/またはシュートを設置して、その排出口に配管5を接続することも可能である。
【0033】
本例の篩別装置1では、配管5は、篩別装置1(カバー4)の外側で、真空装置6に接続される。真空装置6としては、篩下排出部9から配管5を通じて粉化した触媒Pを吸引し、かつ、収容することが可能であれば、任意の構造を備えた真空装置を採用することができる。
【0034】
真空装置6は、通常、配管5に継手などの配管接続機構により接続可能であって、かつ、粉化した触媒Pを吸引するための真空吸引器と、粉化した触媒Pを収納する容器とを備える。真空吸引器としては、任意の真空ポンプを適用することが可能である。本例の篩別装置1において、好ましい真空装置として、真空ポンプとタンク容器が装着された吸上車(バキュームカー)を適用することが好ましい。吸上車を適用することで、有害な粉塵である五酸化バナジウムなどの粉化した触媒Pを密封状態のまま、次工程の処理施設などに運搬することが可能となる。また、吸上車を用いることで、真空装置6を構成する真空ポンプおよびタンクを恒常的に設置するためのスペースを省略することが可能となる。
【0035】
本例の硫酸プラントの転化器触媒の篩別装置1では、転化器2の触媒層から篩別機3の供給部7までの転化器触媒の移送手段は任意である。ただし、転化器2の触媒層と供給部7との間を、ナイロン製、ウレタン製、ステンレスなどの鋼製のチューブ、パイプ、ホースなどからなる任意の移送用配管12で接続して、転化器2の触媒層から転化器触媒を供給部7まで直接移送することも可能である。この場合の移送装置としては、図示しないブロワーなどの吸引装置を適用することが可能である。ただし、その他の転化器触媒の運搬手段により、転化器2の触媒層から供給部7まで移送する場合も、本発明の範囲内である。
【0036】
(篩別方法)
本例の硫酸プラントにおける転化器触媒の篩別方法は、上述した本例の硫酸プラントにおける転化器触媒の篩別装置を用い、次の工程により、転化器触媒を処理することを特徴とする。
【0037】
(1)最初に、硫酸プラントの転化器2の触媒層から、充填されている転化器触媒を取り出し、たとえば、移送用配管12を介して移送して、篩別機3の供給部7、たとえば、供給ホッパーに供給される。
【0038】
(2)供給部7を構成する供給ホッパー内の転化器触媒は、篩別機3内のスクリーン上に投入され、スクリーンの振動あるいは回転により動かされて、篩別される。
【0039】
(3)スクリーン上に残った触媒Cを篩上排出部8から排出する。篩上排出部8から排出された触媒Cは、ベルトコンベア10を通じて、ベルトコンベア10の下流側に配置されたシュートに投入および貯留され、該シュートを介して、フレキシブルコンテナバッグ11に充填される。
【0040】
(4)スクリーンから篩い分けられた粉化した触媒Pは、真空装置6により、篩下排出部9および配管5を介して真空吸引され、吸上車などの真空装置6のタンクに収容される。なお、真空装置6の吸引量は、篩別機3の内部が負圧となるように調整することが好ましい。篩別機3の内部を負圧とすることにより、篩別機3の内部での発塵を抑制することが可能となり、篩別機3の内部で発生した粉塵が、供給部7あるいは篩上排出部8などの開放部分を介して、篩別機3の外側に漏出することを防止することが可能となる。
【0041】
真空装置6として、吸上車(バキュームカー)を稼働していて、粉化した触媒Pを収容する吸上車のタンクの容量が一杯となった場合には、転化器触媒の篩別を一時中止して、吸上車を移動させて、粉化した触媒Pを仮置き場などに移し替えた後、再度、吸上車を配管5に接続して、触媒篩別を再開することができる。
【実施例0042】
本発明の篩別装置のように、篩下排出部9と真空装置6とを配管5を介して接続した構造の篩別装置1と、
図2に示すように、篩下排出部9の下方に、粉化した触媒Pを篩別装置1aの外部に運搬するためのベルトコンベア10を設置し、フレキシブルコンテナバッグ11に充填する構造の篩別装置とを用いて、篩別装置からの発塵の状況を比較した。
【0043】
(実施例)
篩別機3として、振動ふるい機を用いた。転化器2の触媒層から、ブロア装置および篩別機3まで配置された移送用配管12を用いて、転化器触媒を移送した。移送用配管12の下流側の開口から、転化器触媒を篩別機3の供給口に落下させて、転化器触媒を篩別機3のステンレス製のスクリーン(目開き:5mm)上に投入した。篩別機3のスクリーン下に分配された粉化した触媒Pを、篩下排出部9に繋がれたホースからなる配管5を通じて、真空装置6である吸上車で回収を行った。篩別機3のスクリーン上に分配された正常な触媒Cについては、篩上排出部8の下方に設置されたベルトコンベア10を通して、フレキシブルコンテナバッグ11に回収および充填した。
【0044】
実施例の篩別装置1では、篩別を行った期間中、粉化した触媒(微粉末)に起因する篩別機3からの発塵は確認されず、触媒篩別工程を突発的に停止することなく、転化器触媒の篩別を予定通り完了することができた。
【0045】
(比較例)
篩別機3のスクリーン下に分配された粉化した触媒Pについても、篩下排出部9の下方に設置されたベルトコンベア10を通して、フレキシブルコンテナバッグ11に回収および充填したこと以外は、実施例と同様にして、転化器触媒の篩別工程を行った。
【0046】
篩上排出部8と篩下排出部9の両方の下方にベルトコンベア10を設置する必要から、比較例1の篩別装置1aは、実施例の篩別装置1と同じ設置空間に設置することができず、より広い設置空間を要した。
【0047】
比較例の篩別装置1aでは、篩別を行った期間中、粉化した触媒(微粉末)が舞い上がり、カバー4内において、大量の粉塵が確認された。また、粉塵の一部は、カバー4の隙間から篩別装置1aの外部に漏出していることも確認された。このため、1日に1回触媒篩別工程を停止して、カバー4の隙間の修復および粉塵の篩別装置1aからの除去作業を1回あたり2時間必要とした。