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特開2022-97101コンクリート組成物、及び、コンクリート組成物の製造方法
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  • 特開-コンクリート組成物、及び、コンクリート組成物の製造方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022097101
(43)【公開日】2022-06-30
(54)【発明の名称】コンクリート組成物、及び、コンクリート組成物の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C04B 28/02 20060101AFI20220623BHJP
   C04B 18/14 20060101ALI20220623BHJP
   C04B 22/06 20060101ALI20220623BHJP
【FI】
C04B28/02
C04B18/14 Z
C04B22/06 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020210493
(22)【出願日】2020-12-18
(71)【出願人】
【識別番号】000183266
【氏名又は名称】住友大阪セメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002734
【氏名又は名称】特許業務法人藤本パートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】小田部 裕一
(72)【発明者】
【氏名】三浦 真司
【テーマコード(参考)】
4G112
【Fターム(参考)】
4G112MA01
4G112PA28
4G112PB04
4G112PC12
(57)【要約】
【課題】顆粒状のシリカフュームを用いて形成することができると共に、硬化してコンクリートとなった際に該コンクリートの自己収縮を低減させることができるコンクリート組成物、及び、コンクリート組成物の製造方法を提供することを課題とする。
【解決手段】本発明に係るコンクリート組成物は、セメントと、シリカフュームと、細骨材と、粗骨材と、水とを含むコンクリート組成物であって、前記シリカフュームは、顆粒状のシリカフュームを含み、前記セメントと水との水セメント比(W/C)が、16質量%以上24質量%以下である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
セメントと、シリカフュームと、細骨材と、粗骨材と、水とを含むコンクリート組成物であって、
前記シリカフュームは、顆粒状のシリカフュームを含み、
前記セメントと水との水セメント比(W/C)が、16質量%以上24質量%以下である、
コンクリート組成物。
【請求項2】
前記シリカフュームのかさ密度は、0.55g/cm以上0.70g/cm以下である、請求項1に記載のコンクリート組成物。
【請求項3】
前記シリカフュームの含有量は、セメントに対して5質量%以上20質量%以下である、請求項1又は2に記載のコンクリート組成物。
【請求項4】
セメントと、シリカフュームと、細骨材と、粗骨材と、水とを練り混ぜる混練工程を有し、
前記シリカフュームは、顆粒状のシリカフュームを含み、
前記混練工程において、
前記セメントと水との水セメント比(W/C)が、16質量%以上24質量%以下となるように練り混ぜる、コンクリート組成物の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンクリート組成物、及び、コンクリート組成物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
コンクリートの高強度化、粘性低減を図るために、コンクリート材料としてシリカフュームが用いられることがある。コンクリート用シリカフュームは、製品形態によって、粉体シリカフューム、粒体シリカフューム、シリカフュームスラリーの3種類に分類される(JIS A 6207:2016)。
【0003】
粒体シリカフュームのような顆粒状のシリカフュームは、粉体シリカフュームと比較して粒径が大きいことから、コンクリートの流動性や強度特性の観点で粉体シリカフュームに劣ると考えられていた。そのため、高強度コンクリートを製造する場合には、粉体シリカフュームが用いられることが多く、例えば、特許文献1には、顆粒状のシリカフュームを粉砕して得られた粉末状のシリカフューム(粉体シリカフューム)を用いた高強度セメント質硬化体が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2015-189621号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、粉体シリカフュームのような粉体材料を他の材料と分けて貯蔵する場合、貯蔵容器中で下側に位置する粉体材料は、上側に位置する粉体材料の重さによる圧力によって圧縮され、貯蔵容器の下部に設けられた排出口付近で固まることがある。このように、排出口付近で粉体材料が固まると排出口から粉体材料を排出し難くなる。そのため、貯蔵容器の排出口付近にはバイブレーターやエアレーターを設置し、振動や空気圧送により粉体材料の固まりを解砕する工夫がなされている。
【0006】
しかしながら、粉体シリカフュームは、粒径が非常に小さい超微粒子であるため、振動によっては固まりを十分に解砕することができない。また、空気圧送により固まりを解砕しようとすると、大量の粉塵が発生し作業環境が悪化する。このように、粉体シリカフュームは、取扱いが難しい面があるため、取扱いが容易な顆粒状のシリカフュームを高強度コンクリートのコンクリート材料として活用することが望まれている。
【0007】
また、特許文献1のように、コンクリート材料として粉末状のシリカフュームを用いると、コンクリート材料が硬化してコンクリートとなった際に、該コンクリートの自己収縮が大きくなる虞がある。
【0008】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、顆粒状のシリカフュームを用いて形成することができると共に、硬化してコンクリートとなった際に該コンクリートの自己収縮を低減させることができるコンクリート組成物、及び、コンクリート組成物の製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係るコンクリート組成物は、セメントと、シリカフュームと、細骨材と、粗骨材と、水とを含むコンクリート組成物であって、前記シリカフュームは、顆粒状のシリカフュームを含み、前記セメントと水との水セメント比(W/C)が、16質量%以上24質量%以下である。
【0010】
前記コンクリート組成物は、シリカフュームが顆粒状のシリカフュームを含むことにより、前記コンクリート組成物が硬化してコンクリートになった際に、該コンクリートの自己収縮を低減させることができる。また、コンクリート組成物の流動性を改善し、練混ぜ時間を短縮することができる。さらに、前記コンクリート組成物は、水セメント比(W/C)が、上記範囲であることにより、コンクリートの強度低下を抑制することができる。
【0011】
本発明に係るコンクリート組成物は、前記シリカフュームのかさ密度が0.55g/cm以上0.70g/cm以下であってもよい。
【0012】
前記コンクリート組成物は、斯かる構成により、コンクリート組成物が硬化してコンクリートになった際に、該コンクリートの自己収縮を低減させることができる。また、コンクリート組成物の流動性を改善し、練混ぜ時間を短縮することができる。さらに、シリカフュームのかさ密度が上記範囲であることにより、シリカフュームが貯蔵時に圧縮、振動作用を受けた場合でも、かさ容積の著しい減少が起こりにくくなる。これにより、シリカフュームを貯蔵する際の圧力によって発生する固まりを振動や空気圧送により解砕することができる。
【0013】
本発明に係るコンクリート組成物は、前記シリカフュームの含有量がセメントに対して5質量%以上20質量%以下であってもよい。
【0014】
前記コンクリート組成物は、斯かる構成により、コンクリート組成物が硬化してコンクリートになった際に、該コンクリートの自己収縮を低減させることができる。また、コンクリート組成物の流動性を改善し、練混ぜ時間を短縮することができる。
【0015】
本発明に係るコンクリート組成物の製造方法は、セメントと、シリカフュームと、細骨材と、粗骨材と、水とを練り混ぜる混練工程を有し、前記シリカフュームは、顆粒状のシリカフュームを含み、前記混練工程において、前記セメントと水との水セメント比(W/C)が、16質量%以上24質量%以下となるように練り混ぜる。
【0016】
前記コンクリート組成物の製造方法は、シリカフュームが顆粒状のシリカフュームを含むことにより、コンクリート組成物が硬化してコンクリートになった際に、該コンクリートの自己収縮を低減させることができる。また、コンクリート組成物の流動性を改善し、練混ぜ時間を短縮することができる。さらに、前記コンクリート組成物の製造方法は、水セメント比(W/C)が、上記範囲であることにより、コンクリートの強度低下を抑制することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、顆粒状のシリカフュームを用いて形成することができると共に、硬化してコンクリートとなった際に該コンクリートの自己収縮を低減させることができるコンクリート組成物、及び、コンクリート組成物の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】実施例2、実施例5及び比較例2の自己収縮ひずみの測定値の変化を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本実施形態に係るコンクリート組成物、及び、該コンクリート組成物の製造方法について説明する。
【0020】
<コンクリート組成物>
本実施形態に係るコンクリート組成物は、セメントと、シリカフュームと、細骨材と、粗骨材と、水とを含む。
【0021】
セメント(C)としては、特に限定されるものではなく、例えば、JIS R 5210で規定される普通ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメント、超早強ポルトランドセメント、中庸熱ポルトランドセメント、低熱ポルトランドセメント、耐硫酸塩ポルトランドセメント、白色ポルトランドセメント等のポルトランドセメント、超速硬セメント、アルミナセメント等が挙げられる。また、前記ポルトランドセメントにフライアッシュ、高炉スラグ等を混合した各種混合セメントも使用することができる。なお、セメントは、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0022】
セメントの配合量は、特に限定されるものではなく、例えば、コンクリート組成物の単位体積に対する質量割合が500kg/m以上1050kg/m以下とすることができる。セメントが2種以上含まれる場合、前記配合量は、セメントの合計配合量である。
【0023】
シリカフューム(SF)は、二酸化けい素を主成分とする微粒子(具体的には、非晶質の球状微粒子)である。また、シリカフュームは、金属シリコン又はフェロシリコンをアーク電気炉で製造する時に発生する排ガス等から捕集することができる。シリカフュームのかさ密度は、特に限定されるものではなく、例えば、コンクリートの自己収縮を低減させる観点から、0.55g/cm以上0.70g/cm以下であることが好ましく、0.57g/cm以上0.70g/cm以下であることがより好ましい。なお、かさ密度とは、一定容積の容器に粉体を充填し、その内容積を体積としたときの密度のことをいう。
【0024】
シリカフュームの配合量は、特に限定されるものではなく、例えば、コンクリート組成物の流動性を改善し、練混ぜ時間を短縮させる観点から、セメントに対して5質量%以上20質量%以下が好ましく、8質量%以上15質量%以下がより好ましい。
【0025】
シリカフュームは、顆粒状のシリカフュームを含む。顆粒状のシリカフュームは、BET比表面積が1m/g以上のシリカフューム超微粒子を凝集させることで得ることができる。顆粒状のシリカフュームのかさ密度は、例えば、0.55g/cm以上0.70g/cm以下が好ましく、0.57g/cm以上0.70g/cm以下がより好ましい。また、顆粒状のシリカフュームの含有量は、特に限定されるものではなく、例えば、シリカフューム全体に対して75質量%以上100質量%以下とすることができる。
【0026】
顆粒状のシリカフュームは、例えば、85質量%以上98質量%以下の二酸化けい素、0.6質量%以上2.0質量%以下の酸化マグネシウムを含有するものであってもよい。
【0027】
シリカフュームは、顆粒状のシリカフューム以外に粉状のシリカフュームを含んでいてもよい。本実施形態において、顆粒状のシリカフュームと粉状のシリカフュームが混在しているシリカフュームは、半顆粒状のシリカフュームという。粉状のシリカフュームとは、JIS A 6207:2016に規定される粉体シリカフュームを指す。粉状のシリカフュームのかさ密度は、特に限定されるものではなく、例えば、0.25g/cm以上0.40g/cm以下が好ましい。粉状のシリカフュームの含有量は、特に限定されるものではなく、例えば、シリカフューム全体に対して0質量%以上25質量%以下とすることができる。
【0028】
細骨材(S)としては、例えば、JIS A 5308附属書Aレディミクストコンクリート用骨材で規定される山砂、川砂、陸砂、海砂、砕砂、石灰石砕砂等の天然由来の砂、高炉スラグ、電気炉酸化スラグ、フェロニッケルスラグ等のスラグ由来の砂、再生骨材、人工軽量骨材、回収骨材等が挙げられる。なお、これらの細骨材は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0029】
細骨材の配合量は、特に限定されるものではなく、例えば、コンクリート組成物の単位体積に対する質量割合が400kg/m以上900kg/m以下とすることができる。細骨材が2種以上含まれる場合、前記配合量は、細骨材の合計配合量である。
【0030】
粗骨材(G)としては、特に限定されるものではなく、例えば、川砂利、山砂利、海砂利等の天然骨材、砂岩、硬質砂岩、硬質石灰岩、玄武岩、安山岩等の砕石等の人工骨材、再生骨材等が挙げられる。粗骨材は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0031】
粗骨材の配合量は、特に限定されるものではなく、例えば、コンクリート組成物の単位体積に対する質量割合が650kg/m以上950kg/m以下とすることができる。粗骨材が2種以上含まれる場合、前記配合量は、粗骨材の合計配合量である。
【0032】
水(W)としては、特に限定されるものではなく、例えば、水道水、工業用水、回収水、地下水、河川水、雨水等を使用することができる。水の配合量は、特に限定されるものではなく、例えば、コンクリート組成物の単位体積に対する質量割合が150kg/m以上180kg/m以下とすることができる。
【0033】
水セメント比(W/C)は、コンクリートの強度低下を抑制する観点から、16質量%以上であり、18質量%以上であることが好ましく、20質量%以上であることがより好ましい。また、水セメント比は、24質量%以下であり、24質量%未満であってもよい。
【0034】
コンクリート組成物は、さらに、混和材を含んでいてもよい。混和材としては、例えば、フライアッシュ、セメントキルンダスト、高炉フューム、高炉水砕スラグ微粉末、高炉除冷スラグ微粉末、転炉スラグ微粉末、半水石膏、膨張材、石灰石微粉末、生石灰微粉末、ドロマイト微粉末等の無機質微粉末、ナトリウム型ベントナイト、カルシウム型ベントナイト、アタパルジャイト、セピオライト、活性白土、酸性白土、アロフェン、イモゴライト、シラス(火山灰)、シラスバルーン、カオリナイト、メタカオリン(焼成粘土)、合成ゼオライト、人造ゼオライト、人工ゼオライト、モルデナイト、クリノプチロライト等の無機物系フィラーが挙げられる。混和材は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0035】
コンクリート材料は、さらに、混和剤を含んでいてもよい。混和剤としては、例えば、AE剤、AE減水剤、高性能減水剤、流動化剤、分離低減剤、凝結遅延剤(例えば、酒石酸等)、凝結促進剤(例えば、硫酸アルミニウム等)、急結剤、収縮低減剤、起泡剤、発泡剤、防水剤、消泡剤等が挙げられる。なお、混和剤は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0036】
本実施形態に係るコンクリート組成物は、セメントと、シリカフュームと、細骨材と、粗骨材と、水とを含むコンクリート組成物であって、シリカフュームが顆粒状のシリカフュームを含むことにより、前記コンクリート組成物が硬化してコンクリートになった際に、該コンクリートの自己収縮を低減させることができる。また、コンクリート組成物の流動性を改善し、練混ぜ時間を短縮することができる。さらに、前記コンクリート組成物は、水セメント比(W/C)が、16質量%以上24質量%以下であることにより、コンクリートの強度低下を抑制することができる。
【0037】
本実施形態に係るコンクリート組成物は、シリカフュームのかさ密度が0.55g/cm以上0.70g/cm以下であることにより、コンクリート組成物が硬化してコンクリートになった際に、該コンクリートの自己収縮を低減させることができる。また、コンクリート組成物の流動性を改善し、練混ぜ時間を短縮することができる。さらに、シリカフュームのかさ密度が0.55g/cm以上0.70g/cm以下であることにより、シリカフュームが貯蔵時に圧縮、振動作用を受けた場合でも、かさ容積の著しい減少が起こりにくくなる。これにより、シリカフュームを貯蔵する際の圧力によって発生する固まりを振動や空気圧送により解砕することができる。
【0038】
本実施形態に係るコンクリート組成物は、シリカフュームの含有量がセメントに対して5質量%以上20質量%以下であることにより、コンクリート組成物が硬化してコンクリートになった際に、該コンクリートの自己収縮を低減させることができる。また、コンクリート組成物の流動性を改善し、練混ぜ時間を短縮することができる。
【0039】
<コンクリート組成物の製造方法>
本実施形態に係るコンクリート組成物の製造方法は、セメントと、シリカフュームと、細骨材と、粗骨材と、水とを練り混ぜる混練工程を有する。シリカフュームは、顆粒状のシリカフュームを含む。
【0040】
混練工程では、まず、セメント、シリカフューム、及び細骨材を混合する。次に、水を添加して混練した後、粗骨材を添加して混練する。各材料を混合する手段としては、特に限定されるものではなく、従来公知の方法を用いることができる。また、練混ぜ温度は、特に限定されるものではなく、例えば、5℃以上35℃以下で行うことができる。
【0041】
混練工程において、セメントと水との水セメント比(W/C)が、16質量%以上24質量%以下となるように練り混ぜる。
【0042】
本実施形態に係るコンクリート組成物の製造方法は、シリカフュームが顆粒状のシリカフュームを含むことにより、コンクリート組成物が硬化してコンクリートになった際に、該コンクリートの自己収縮を低減させることができる。また、コンクリート組成物の流動性を改善し、練混ぜ時間を短縮することができる。前記コンクリート組成物の製造方法は、水セメント比(W/C)が、16質量%以上24質量%以下であることにより、コンクリートの強度低下を抑制することができる。
【実施例0043】
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
【0044】
<コンクリート組成物の材料>
水(W):上水道水
セメント(LC):低熱ポルトランドセメント(住友大阪セメント社製)
シリカフューム(SF):945SD(エルケムジャパン社製)
SF-RD(巴工業社製)
940U(エルケムジャパン社製)
細骨材(S):山砂
粗骨材(G):硬質砂岩
混和剤(高性能減水剤):SSP-104(竹本油脂社製)
混和剤(消泡剤):AFK-2(竹本油脂社製)
【0045】
上記シリカフュームのかさ密度、粉じん量、及びPロート流下時間を表1に示す。かさ密度は、100gの試料を圧密せずに乾いた250mLメスシリンダーに静かに入れ、試料上面を圧密せずに注意深く慣らし、ゆるみかさ体積を最小目盛2mLまで読み取り、試料質量をゆるみかさ体積で除した値である。粉じん量は、試料500gを300mmの高さから自由落下させた時の300mmの高さにおける粉じん量をデジタル粉じん計(柴田科学株式会社製ダストメイトLD-3K2型)で測定した。また、Pロート流下時間は、JSCE-F521に基づいて測定した。
【0046】
【表1】
【0047】
<コンクリート組成物の作製>
上記の各材料を、表2に示す配合で混合し、二軸強制練りミキサにて混練して、各コンクリート組成物を作製した。具体的には、まず、セメント、シリカフューム、細骨材を前記ミキサにて15秒間空練りした後、水を添加して3分間混練した。次に、粗骨材を添加して60秒間混錬し、5分間静置後、排出させた。コンクリート組成物は、スランプフローの目安を650±100mm、空気量の目安を3%として作製した。なお、表2の単位kg/mは、コンクリート組成物の単位体積に対する質量割合を示したものである。
【0048】
【表2】
【0049】
<自己収縮ひずみの測定>
実施例2、実施例5、及び比較例2のコンクリート組成物について、日本コンクリート工学協会「超流動コンクリートの自己収縮試験方法」に基づいて、自己収縮ひずみを測定した。測定値を表3に示す。また、自己収縮ひずみの測定値の変化を示すグラフを図1に示す。
【0050】
【表3】
【0051】
<フレッシュ性状の測定>
作製した硬化前の各コンクリート組成物について、ISO 1920-2:2005に基づいて、500mmフロー到達時間を測定した。スランプフロー、及びフロー停止時間は、JIS A 1150:2014に基づいて測定した。また、コンクリート温度は、JIS A 1156:2014に基づいて測定した。また、空気量は、JIS A 1128:2019に基づいて測定した。測定値を表4に示す。
【0052】
【表4】
【0053】
<圧縮強度の測定>
作製した各コンクリート組成物についてJIS A 1108:2018に基づいて供試体を作製し、圧縮強度を測定した。圧縮強度は、設計基準強度(80、90、100、110N/mm)ごとに目標強度(96、108、120、132N/mm)を定め、材齢28日における圧縮強度の測定値が目標強度以上であったものを「〇」と評価し、目標強度未満であったものを「×」と評価した。圧縮強度の測定結果及び評価結果については表5に示す。なお、目標強度は、式(1)により、算出した。
【0054】
F=(fc+S)+2σ (1)
式中、fcは設計基準強度、Sは構造体強度補正値、σは標準偏差(製造実績がない場合は0.1×(fc+S))を意味する。
【0055】
【表5】
【0056】
表3の結果から分かるように、実施例2及び5は、比較例2と比較して自己収縮ひずみが小さいことが認められる。この結果は、水セメント比が同一である他の実施例と他の比較例との比較においても、同様になると考えられる。つまり、本発明の構成要件をすべて満たすコンクリート組成物は、硬化してコンクリートとなった際に、該コンクリートの自己収縮を低減させることができる。
【0057】
表4の結果から分かるように、実施例1~6のコンクリート組成物は、比較例1~3のコンクリート組成物に比べて、各水セメント比における500mmフロー到達時間が短いことが認められる。つまり、コンクリート組成物が本発明の構成要件をすべて満たすことで、流動性を改善させることができ、練混ぜ時間を短縮することができる。また、表5の結果から分かるように、実施例1~6のコンクリート組成物は、硬化してコンクリートとなった際に、設計基準強度が80N/mmの場合において、いずれも目標強度96N/mm以上の圧縮強度を示すことが認められる。つまり、コンクリート組成物が本発明の構成要件をすべて満たすことで、コンクリートの強度低下を抑制することができる。
図1