(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022097388
(43)【公開日】2022-06-30
(54)【発明の名称】半導体フォトレジスト用組成物およびそれを用いたパターン形成方法
(51)【国際特許分類】
G03F 7/004 20060101AFI20220623BHJP
G03F 7/40 20060101ALI20220623BHJP
G03F 7/26 20060101ALI20220623BHJP
G03F 7/11 20060101ALI20220623BHJP
G03F 7/20 20060101ALI20220623BHJP
【FI】
G03F7/004 531
G03F7/004
G03F7/40 521
G03F7/26 511
G03F7/11 503
G03F7/20 521
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021183873
(22)【出願日】2021-11-11
(31)【優先権主張番号】10-2020-0178620
(32)【優先日】2020-12-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】590002817
【氏名又は名称】三星エスディアイ株式会社
【氏名又は名称原語表記】SAMSUNG SDI Co., LTD.
【住所又は居所原語表記】150-20 Gongse-ro,Giheung-gu,Yongin-si, Gyeonggi-do, 446-902 Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】八田国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】文 京 守
(72)【発明者】
【氏名】姜 恩 美
(72)【発明者】
【氏名】金 宰 賢
(72)【発明者】
【氏名】金 智 敏
(72)【発明者】
【氏名】禹 昌 秀
(72)【発明者】
【氏名】田 桓 承
(72)【発明者】
【氏名】蔡 承 龍
(72)【発明者】
【氏名】韓 承
【テーマコード(参考)】
2H196
2H197
2H225
【Fターム(参考)】
2H196AA25
2H196BA01
2H196BA13
2H196EA07
2H196GA03
2H196HA23
2H196KA02
2H196KA18
2H197CA01
2H197CA05
2H197CA06
2H197CA08
2H197CA09
2H197CA10
2H197CE01
2H197GA01
2H197HA03
2H197JA22
2H225AB03
2H225AC52
2H225AM61P
2H225AN39P
2H225AN80P
2H225CA12
2H225CB14
2H225CC01
2H225CD05
(57)【要約】
【課題】保存安定性および感度特性に優れた半導体フォトレジスト用組成物を提供する。
【解決手段】下記化学式1で表される有機スズ化合物と、置換された有機酸、少なくとも2個の酸官能基を含む有機酸、および置換または非置換のスルホン酸からなる群より選択される少なくとも1種の有機酸化合物との縮合物;ならびに溶媒を含む半導体フォトレジスト用組成物と、それを用いたパターン形成方法に関する。
化学式1に係る具体的な内容は、明細書上で定義されたものと同様である。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記化学式1で表される有機スズ化合物と、置換された有機酸、少なくとも2個の酸官能基を含む有機酸、および置換または非置換のスルホン酸からなる群より選択される少なくとも1種の有機酸化合物との縮合物;ならびに
溶媒を含む、半導体フォトレジスト用組成物:
【化1】
前記化学式1において、
R
1は、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数3~20のシクロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数2~20のアルケニル基、置換もしくは非置換の炭素数2~20のアルキニル基、置換もしくは非置換の炭素数6~30のアリール基、または-L-O-R
dであり、
R
a、R
b、およびR
cは、それぞれ独立して、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数3~20のシクロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数2~20のアルケニル基、置換もしくは非置換の炭素数2~20のアルキニル基、置換もしくは非置換の炭素数6~30のアリール基、またはこれらの組み合わせであり、
Lは、単結合、または置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキレン基であり、
R
dは、置換または非置換の炭素数1~20のアルキル基である。
【請求項2】
前記縮合物は、前記有機スズ化合物由来の構成単位および前記有機酸化合物由来の構成単位を85:15~99:1の質量比で含む、請求項1に記載の半導体フォトレジスト用組成物。
【請求項3】
前記置換された有機酸は、ヘテロ原子、ヘテロ原子を含む原子団、およびこれらの組み合わせのうち少なくとも1つで置換され、
前記ヘテロ原子は、硫黄原子(S)、窒素原子(N)、酸素原子(O)、リン原子(P)、およびフッ素原子(F)からなる群より選択される少なくとも1種であり、
前記ヘテロ原子を含む原子団は、-OH、-SH、-NH2、-S-、および-S-S-からなる群より選択される少なくとも1種である、請求項1または2に記載の半導体フォトレジスト用組成物。
【請求項4】
前記有機酸化合物は、グリコール酸、マロン酸、コハク酸、1,2,3,4-ブタンテトラカルボン酸、クエン酸、酒石酸、トリカルバリル酸、乳酸、チオグリコール酸、ジチオジグリコール酸、チオジグリコール酸、フタル酸、マレイン酸、L-アスパラギン酸、p-トルエンスルホン酸、メチルスルホン酸、およびベンゼンスルホン酸からなる群より選択される少なくとも1種である、請求項1~3のいずれか1項に記載の半導体フォトレジスト用組成物。
【請求項5】
前記有機酸化合物のpKaは5以下である、請求項1~4のいずれか1項に記載の半導体フォトレジスト用組成物。
【請求項6】
前記縮合物は、オリゴマー、ポリマー、およびこれらの組み合わせのうちの少なくとも1種である、請求項1~5のいずれか1項に記載の半導体フォトレジスト用組成物。
【請求項7】
前記縮合物は加水分解縮合物を含む、請求項1~6のいずれか1項に記載の半導体フォトレジスト用組成物。
【請求項8】
前記半導体フォトレジスト用組成物は、界面活性剤、架橋剤、レベリング剤、またはこれらの組み合わせの添加剤をさらに含む、請求項1~7のいずれか1項に記載の半導体フォトレジスト用組成物。
【請求項9】
基板上にエッチング対象膜を形成する工程;
前記エッチング対象膜上に、請求項1~8のいずれか1項に記載の半導体フォトレジスト用組成物を塗布してフォトレジスト膜を形成する工程;
前記フォトレジスト膜をパターニングしてフォトレジストパターンを形成する工程;および
前記フォトレジストパターンをエッチングマスクとして用いて、前記エッチング対象膜をエッチングする工程、
を含む、パターン形成方法。
【請求項10】
前記フォトレジストパターンを形成する工程は、5~150nmの波長範囲の光を使用する、請求項9に記載のパターン形成方法。
【請求項11】
前記基板と前記フォトレジスト膜との間に形成されるレジスト下層膜を形成する工程をさらに含む、請求項9または10に記載のパターン形成方法。
【請求項12】
前記フォトレジストパターンは、5~100nmの幅を有する、請求項9~11のいずれか1項に記載のパターン形成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は半導体フォトレジスト用組成物およびそれを用いたパターン形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
次世代の半導体デバイスを製造するための要素技術の一つとして、EUV(極端紫外線)リソグラフィが注目されている。EUVリソグラフィは、露光光源として波長13.5nmのEUV光を用いるパターン形成技術である。EUVリソグラフィによれば、半導体デバイス製造プロセスの露光工程で、きわめて微細なパターン(例えば20nm以下)を形成できることが実証されている。
【0003】
極端紫外線(extreme ultraviolet、EUV)リソグラフィの実現は、16nm以下の空間解像度(spatial resolutions)で行い得る互換可能なフォトレジストの現像(development)を必要とする。現在、伝統的な化学増幅型(CA:chemically amplified)フォトレジストは、次世代デバイスのための解像度(resolution)、フォトスピード(photospeed)、フィーチャー粗さ(feature roughness)、およびラインエッジ粗さ(line edge roughnessまたはLER)に対する仕様(specifications)を満たすために、日々研究開発されている。
【0004】
このような高分子型フォトレジストで起きる酸触媒反応(acid catalyzed reactions)に起因する固有の像ぶれ(intrinsic image blur)は、小さいフィーチャー(feature)の大きさで解像度を制限するが、これは電子線(e-beam)リソグラフィにおいて長い間知られている事実である。化学増幅型(CA)フォトレジストは、高い感度(sensitivity)のために設計されたが、これらの典型的な元素構成(elemental makeup)が13.5nmの波長ではフォトレジストの吸光度を低下させ、その結果、感度を減少させるので、部分的にはEUV露光下でさらに困難になることがある。
【0005】
CAフォトレジストはまた、小さいフィーチャーの大きさで粗さ(roughness)イシューによる困難性があり、部分的に酸触媒工程の本質に起因し、フォトスピード(photospeed)が減少することによって、ラインエッジ粗さ(LER)が増加することが実験により示された。CAフォトレジストの欠点および問題に起因して、半導体産業では新たな類型の高性能フォトレジストに対する要求がある。
【0006】
上記で説明した化学増幅型フォトレジスト組成物の欠点を克服するために、無機系感光性組成物が研究されてきた。無機系感光性組成物の場合、主に非化学増幅型メカニズムによる化学的変性により、現像剤組成物による除去に耐性を有するネガティブトーンパターニングに使用される。無機系組成物の場合、炭化水素に比べて高いEUV吸収率を有する無機系元素を含有しており、非化学増幅型メカニズムによっても感度を確保することができ、確率的な効果に対しても感度は低く、ラインエッジ粗さおよび欠陥数も少ないと知られている。
【0007】
タングステン、ニオブ(niobium)、チタン(titanium)、および/またはタンタル(tantalum)と混合されたタングステンのペルオキソポリ酸(peroxopolyacids)に基づいた無機フォトレジストは、パターニングのための放射感受性材料(radiation sensitive materials)用として報告されてきた(特許文献1および非特許文献1参照)。
【0008】
これらの材料は遠紫外線(deep UV)、X線、および電子線ソースであって、二重層構成(bilayer configuration)に大きなフィーチャーをパターニングすることにおいて効果的であった。さらに最近では、プロジェクションEUV露光によって、15nmハーフピッチ(HP)を現像するために、ペルオキソ錯化剤(peroxo complexing agent)とともに陽イオンハフニウムメタルオキシドサルフェート(cationic hafnium metal oxide sulfate,HfSOx)材料を使用する場合は印象的な性能を示した(特許文献2および非特許文献2参照)。このシステムは、非CAフォトレジスト(non-CA photoresist)の最上の性能を示し、実行可能なEUVフォトレジストのための要件に近いフォトスピードを有する。しかし、ペルオキソ錯化剤を有するハフニウムメタルオキシドサルフェート材料(hafnium metal oxide sulfate materials)はいくつかの現実的な欠点を有する。第1に、この材料は高い腐食性の硫酸/過酸化水素混合物でコートされ、保存安定性が良くない。第2に、複合混合物として性能改善のための構造変更が容易でない。第3に、25重量%程度のきわめて高い濃度のTMAH(tetramethylammonium hydroxide)溶液などで現像されなければならない。
【0009】
最近では、スズを含む分子が極端紫外線の吸収に優れることが知られてから活発な研究がなされている。その1つである有機スズ高分子の場合、光吸収またはこれによって生成された二次電子によってアルキル配位子が解離することにより、周辺鎖とのオキソ結合による架橋によって、有機系現像液で除去されないネガティブトーンパターニングが可能である。
【0010】
ただし、このような有機スズ系のフォトレジストは水分に敏感である短所がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】米国特許第5061599号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2011/0045406号明細書
【非特許文献】
【0012】
【非特許文献1】H.Okamoto, T.Iwayanagi, K.Mochiji, H.Umezaki, T.Kudo,Applied Physics Letters,49(5),298-300,1986
【非特許文献2】J.K.Stowers, A.Telecky, M.Kocsis, B.L.Clark, D.A.Keszler, A.Grenville, C.N.Anderson, P.P.Naulleau,Proc.SPIE,7969,796915, 2011
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明の一実施形態は、保存安定性および感度特性に優れた半導体フォトレジスト用組成物を提供する。
【0014】
本発明の他の実施形態は、上記半導体フォトレジスト用組成物を用いたパターン形成方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の一実施形態による半導体フォトレジスト用組成物は、下記化学式1で表される有機スズ化合物と、置換された有機酸、少なくとも2個の酸官能基を含む有機酸、および置換または非置換のスルホン酸からなる群より選択される少なくとも1種の有機酸化合物との縮合物;ならびに溶媒を含む。
【0016】
【0017】
前記化学式1において、
R1は、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数3~20のシクロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数2~20のアルケニル基、置換もしくは非置換の炭素数2~20のアルキニル基、置換もしくは非置換の炭素数6~30のアリール基、または-L-O-Rdであり、
Ra、RbおよびRcは、それぞれ独立して、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数3~20のシクロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数2~20のアルケニル基、置換もしくは非置換の炭素数2~20のアルキニル基、置換もしくは非置換の炭素数6~30のアリール基、またはこれらの組み合わせであり、
Lは、単結合、または置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキレン基であり、
Rdは、置換または非置換の炭素数1~20のアルキル基である。
【0018】
上記縮合物は、上記有機スズ化合物由来の構成単位および上記有機酸化合物由来の構成単位を、85:15~99:1の質量比で含み得る。
【0019】
上記置換された有機酸は、ヘテロ原子、ヘテロ原子を含む原子団、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される少なくとも1種で置換され、上記ヘテロ原子は、硫黄原子(S)、窒素原子(N)、酸素原子(O)、リン原子(P)、およびフッ素原子(F)からなる群より選択される少なくとも1種であり、上記ヘテロ原子を含む原子団は、-OH、-SH、-NH2、-S-および-S-S-からなる群より選択される少なくとも1種であり得る。
【0020】
上記有機酸化合物は、グリコール酸、マロン酸、コハク酸、1,2,3,4-ブタンテトラカルボン酸、クエン酸、酒石酸、トリカルバリル酸、乳酸、チオグリコール酸、ジチオジグリコール酸、チオジグリコール酸、フタル酸、マレイン酸、L-アスパラギン酸、p-トルエンスルホン酸、メチルスルホン酸、およびベンゼンスルホン酸からなる群より選択される少なくとも1種であり得る。
【0021】
上記有機酸化合物のpKaは、5以下であり得る。
【0022】
上記縮合物はオリゴマー、ポリマーおよびこれらの組み合わせのうち少なくとも一つであり得る。
【0023】
上記縮合物は加水分解縮合物を含み得る。
【0024】
上記半導体フォトレジスト用組成物は、界面活性剤、架橋剤、レベリング剤、またはこれらの組み合わせの添加剤をさらに含み得る。
【0025】
本発明の他の実施形態によるパターン形成方法は、基板上にエッチング対象膜を形成する工程、前記エッチング対象膜上に前述した半導体フォトレジスト用組成物を塗布してフォトレジスト膜を形成する工程、前記フォトレジスト膜をパターニングしてフォトレジストパターンを形成する工程、および前記フォトレジストパターンをエッチングマスクとして用いて前記エッチング対象膜をエッチングする工程を含む。
【0026】
上記フォトレジストパターンを形成する工程は、5~150nmの波長範囲の光を使用し得る。
【0027】
上記パターン形成方法は、上記基板と上記フォトレジスト膜との間に形成されるレジスト下層膜を形成する工程をさらに含み得る。
【0028】
上記フォトレジストパターンは、5nm~100nmの幅を有し得る。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、保存安定性および感度特性に優れた半導体フォトレジスト用組成物が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】本発明の一実施形態による半導体フォトレジスト用組成物を用いたパターン形成方法を説明するための断面概略図である。
【
図2】本発明の一実施形態による半導体フォトレジスト用組成物を用いたパターン形成方法を説明するための断面概略図である。
【
図3】本発明の一実施形態による半導体フォトレジスト用組成物を用いたパターン形成方法を説明するための断面概略図である。
【
図4】本発明の一実施形態による半導体フォトレジスト用組成物を用いたパターン形成方法を説明するための断面概略図である。
【
図5】本発明の一実施形態による半導体フォトレジスト用組成物を用いたパターン形成方法を説明するための断面概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、添付する図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明すると、以下のとおりである。ただし、本発明を説明するにあたり、既に公知の機能あるいは構成に係る説明は、本発明の要旨を明瞭にするために省略する。
【0032】
本発明を明確に説明するために、説明と関係ない部分を省略し、明細書全体にわたって同一または類似の構成要素に対しては同じ参照符号を付ける。また、図面に示す各構成の大きさおよび厚さは、説明の便宜上任意に示したので、本発明は必ずしも示されたところに限定されない。
【0033】
図面において、複数の層および領域を明確に表現するために厚さを誇張して示した。そして、図面において、説明の便宜上、一部の層および領域の厚さを誇張して示した。層、膜、領域、板などの部分が他の部分「上に」または「の上に」あるというとき、これは、他の部分の「すぐ上に」ある場合だけでなく、その中間にまた他の部分がある場合も含む。
【0034】
本明細書において、「置換」とは、水素原子が重水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アミノ基、置換もしくは非置換の炭素数1~30のアルキルアミノ基、ニトロ基、置換もしくは非置換の炭素数1~40のシリル基(例えば炭素数1~10のアルキルシリル基)、炭素数1~30のアルキル基、炭素数1~10のハロアルキル基、炭素数3~30のシクロアルキル基、炭素数6~30のアリール基、炭素数1~20のアルコキシ基、またはシアノ基に置換されたことを意味する。本明細書において、「非置換」とは、水素原子が他の置換基に置換されずに水素原子として残っていることを意味する。
【0035】
本明細書において、「アルキル(alkyl)基」とは、別段の定義がない限り、直鎖状または分枝鎖状の脂肪族炭化水素基を意味する。アルキル基はいかなる二重結合や三重結合をも含んでいない「飽和アルキル(saturated alkyl)基」であり得る。
【0036】
上記アルキル基は、炭素数1~20のアルキル基であり得る。より具体的には、アルキル基は、炭素数1~10のアルキル基または炭素数1~6のアルキル基でもあり得る。例えば、炭素数1~4のアルキル基は、アルキル鎖に1~4個の炭素原子が含まれることを意味し、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、およびt-ブチル基からなる群より選択される基であることを示す。
【0037】
上記アルキル基の具体的な例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、t-ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などを意味する。
【0038】
本明細書において、「シクロアルキル(cycloalkyl)基」とは、別段の定義がない限り、1価の環状脂肪族炭化水素基を意味する。
【0039】
本明細書において、「アルケニル(alkenyl)基」とは、別段の定義がない限り、直鎖状または分枝鎖状の脂肪族炭化水素基として、1つ以上の二重結合を含む脂肪族不飽和アルケニル(unsaturated alkenyl)基を意味する。
【0040】
本明細書において、「アルキニル(alkynyl)基」とは、別段の定義がない限り、直鎖状または分枝鎖状の脂肪族炭化水素基として、1つ以上の三重結合を含む脂肪族不飽和アルキニル(unsaturated alkynyl)基を意味する。
【0041】
本明細書において、「アリール(aryl)基」とは、環状の置換基のすべての元素がp-軌道を有しており、これらp-軌道が共役(conjugation)を形成している置換基を意味し、単環または縮合多環(すなわち、炭素原子の隣接する対を分け合う環)官能基を含む。
【0042】
以下、本発明の一実施形態による半導体フォトレジスト用組成物を説明する。
【0043】
本発明の一実施形態による半導体フォトレジスト用組成物は、縮合物および溶媒を含み、上記縮合物は下記化学式1で表される有機スズ化合物と、置換された有機酸、少なくとも2個の酸官能基を含む有機酸、および置換または非置換のスルホン酸からなる群より選択される少なくとも1種の有機酸化合物と、の縮合物である。
【0044】
【0045】
上記化学式1において、
R1は、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数3~20のシクロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数2~20のアルケニル基、置換もしくは非置換の炭素数2~20のアルキニル基、置換もしくは非置換の炭素数6~30のアリール基、または-L-O-Rdであり、
Ra、Rb、およびRcは、それぞれ独立して、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数3~20のシクロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数2~20のアルケニル基、置換もしくは非置換の炭素数2~20のアルキニル基、置換もしくは非置換の炭素数6~30のアリール基、またはこれらの組み合わせであり、
Lは、単結合、または置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキレン基であり、
Rdは、置換または非置換の炭素数1~20のアルキル基である。
【0046】
本明細書において、縮合物とは、縮合反応によって生成される生成物を通称するものとして、上記縮合反応とは、少なくとも2個の有機化合物分子が活性原子または原子団を中心に結合されることにより、水、アンモニア、塩化水素などの単分子を放出する反応を意味する。ここでは、2個の分子が単に結合することにより生成される化合物も縮合物の範疇に含む。
【0047】
上記生成物は、モノマー、オリゴマー、ポリマー、およびこれらの組み合わせが含まれ得る。
【0048】
本発明の一実施形態として、上記化学式1のR1は、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数2~20のアルケニル基、置換もしくは非置換の炭素数2~20のアルキニル基、またはこれらの組み合わせであり得る。
【0049】
具体的な例として、上記化学式1のR1は、置換または非置換の炭素数3~20のアルキル基であり得る。
【0050】
例えば、上記化学式1のR1は、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、t-ブチル基、またはこれらの組み合わせであり得る。
【0051】
例として、上記化学式1のRa、Rb、およびRcは、それぞれ独立して、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数2~20のアルケニル基、置換もしくは非置換の炭素数2~20のアルキニル基、またはこれらの組み合わせであり得る。
【0052】
例えば、Ra、Rb、およびRcは、それぞれ独立して、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、t-ブチル基、エテニル基、またはこれらの組み合わせであり得る。
【0053】
上記Ra、Rb、およびRcは、それぞれ同一であってもよいし異なっていてもよい。
【0054】
例として、上記置換された有機酸は、ヘテロ原子、ヘテロ原子を含む原子団、およびこれらの組み合わせのうち少なくとも一つに置換され、
上記ヘテロ原子は、硫黄原子(S)、窒素原子(N)、酸素原子(O)、リン原子(P)、およびフッ素原子(F)からなる群より選択されるの少なくとも1種であり、
上記ヘテロ原子を含む原子団は、-OH、-SH、-NH2、-S-および-S-S-からなる群より選択される少なくとも1種であり得る。
【0055】
本明細書における置換された有機酸とは、例えば1個の酸官能基を含み、かつ酸官能基が連結される炭化水素鎖に含まれる炭素原子および水素原子のうち少なくとも1種がヘテロ原子、ヘテロ原子を含む原子団、およびこれらの組み合わせのうち少なくとも1種で置換されたものを意味する。
【0056】
例えば、置換された有機酸は、酸官能基が連結される炭化水素鎖の末端に位置する炭素原子および水素原子のうち少なくとも1種、炭化水素鎖の中間に位置する炭素原子および水素原子のうち少なくとも1種、およびこれらの組み合わせのうち少なくとも1種がヘテロ原子、ヘテロ原子を含む原子団、およびこれらの組み合わせのうち少なくとも1種で置換されうる。
【0057】
上記置換された有機酸の例としては、グリコール酸、乳酸、チオグリコール酸、L-アスパラギン酸などが挙げられる。
【0058】
本明細書における酸官能基とは、例えばカルボキシル基であり得る。
【0059】
上記の少なくとも2個の酸官能基を含む有機酸は、例えば酸官能基を2個~4個含む有機酸であり得る。このような有機酸の例としては、マロン酸、コハク酸、1,2,3,4-ブタンテトラカルボン酸、クエン酸、酒石酸、トリカルバリル酸、ジチオジグリコール酸、チオジグリコール酸、フタル酸、およびマレイン酸などが挙げられる。
【0060】
一方、本明細書における置換または非置換のスルホン酸とは、少なくとも1つの-S(O)2OH基を含む有機酸を意味する。
【0061】
置換または非置換のスルホン酸の例としては、p-トルエンスルホン酸、メチルスルホン酸、およびベンゼンスルホン酸などが挙げられる。
【0062】
一方、上記有機酸化合物のpKaは5以下、例えば4以下であり得る。
【0063】
pKaは、水溶液内で酸(HA)がH+とA-に解離するときの酸解離定数であるKaにマイナスログ(-log)を取った値であり、pKa値が大きくなるほど当該酸はさらに弱酸であることを意味する。1つの有機酸分子内に2個以上の酸解離官能基が存在する場合、該当分子のpKa値は、pKaが最も低い官能基の値に決定される。
【0064】
有機酸化合物のpKa値が上記の範囲である場合、有機スズ化合物との縮合物形成が容易であり、得られる縮合物は、オリゴマー以上の高分子で形成されることにより外部の水分の浸透力が減少し得る。
【0065】
そのため、上記化学式1で表される有機スズ化合物、および有機酸化合物が縮合反応して形成された縮合物を含む半導体フォトレジスト組成物の保存安定性に優れる。
【0066】
上記化学式1で表される有機スズ化合物、および有機酸化合物が縮合反応して形成された縮合物内で、上記有機酸化合物から誘導される基はリガンドの役割を果たし、かつ有機スズ化合物を連結させ、そのため最終生成物としての縮合物は、オリゴマー、ポリマーおよびこれらの組み合わせのうち少なくとも1つであり得る。
【0067】
例として、上記縮合物は加水分解縮合物を含み得る。
【0068】
上記縮合物は、上記有機スズ化合物由来の構成単位および上記有機酸化合物由来の構成単位を85:15~99:1の質量比で含み得る。質量比がこのような範囲であるとき、膜形成特性、溶解性、屈折率、および現像液に対する溶解速度などでより有利である。
【0069】
例として、上記縮合物は、上記有機スズ化合物および上記有機酸化合物を、90:10~99:1の質量比で含み得る。具体的には、90:10~97:3の質量比で含み得る。
【0070】
また、上記縮合物は、1,000~30,000g/molの重量平均分子量(Mw)を有することができ、例として1,000~20,000g/molであり得、他の例としては1,000~10,000g/molであり得る。重量平均分子量が上記の範囲であるとき、膜形成特性、溶解性、屈折率および現像液に対する溶解速度などにおいてより有利である。なお、当該重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により、測定することができる。
【0071】
上記縮合物を得る条件は、特に制限されるものではない。
【0072】
例えば、上記化学式1で表される有機スズ化合物および上記有機酸化合物を、PGMEA(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)、エタノール、2-プロパノール、アセトン、酢酸ブチルなどの溶媒に希釈し、必要に応じて反応に必要な水と触媒としての酸(塩酸、酢酸、硝酸など)を加えた後攪拌して、縮重合反応を完結することによって、目的とする縮合物を得ることができる。
【0073】
ここで使用される溶媒、酸または塩基触媒の種類や量は制限なく、任意に選択してもよい。必要な反応時間は、反応物の種類や濃度、反応温度などに応じて多様であるが、通常15分~30日の時間である。しかし、反応時間はこのような範囲に制限されるものではない。
【0074】
一般に使用されるフォトレジスト組成物の場合、エッチング耐性が不足して高いアスペクト比(縦横比)によりパターンが崩れる恐れがある。
【0075】
一方、本発明の一実施形態による半導体フォトレジスト用組成物は、前述の縮合物と溶媒とを含むことが好ましい。
【0076】
本発明の一実施形態による半導体フォトレジスト組成物に含まれる溶媒は、有機溶媒であり得、例として、芳香族化合物類(例えば、キシレン、トルエン)、アルコール類(例えば、4-メチル-2-ペンタノール、4-メチル-2-プロパノール、1-ブタノール、メタノール、イソプロピルアルコール、1-プロパノール、プロピレングリコールモノメチルエーテル)、エーテル類(例えば、アニソール、テトラヒドロフラン)、エステル類(n-ブチルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチルアセテート、エチルラクテート)、ケトン類(例えば、メチルエチルケトン、2-ヘプタノン)、これらの混合物などを含み得るが、これらに限定されるものではない。
【0077】
本発明の一実施形態による半導体フォトレジスト用組成物は、場合によって添加剤をさらに含み得る。添加剤の例としては、界面活性剤、架橋剤、レベリング剤またはこれらの組み合わせが挙げられる。
【0078】
界面活性剤としては、例えば、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルピリジニウム塩、ポリエチレングリコール、第4級アンモニウム塩、またはこれらの組み合わせを使用できるが、これらに限定されるものではない。
【0079】
架橋剤としては、例えば、メラミン系架橋剤、置換尿素系架橋剤、アクリル系架橋剤、エポキシ系架橋剤、またはポリマー系架橋剤などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。少なくとも2個の架橋形成置換基を有する架橋剤として、例えば、メトキシメチル化グリコールウリル、ブトキシメチル化グリコールウリル、メトキシメチル化メラミン、ブトキシメチル化メラミン、メトキシメチル化ベンゾグアナミン、ブトキシメチル化ベンゾグアナミン、4-ヒドロキシブチルアクリレート、アクリル酸、ウレタンアクリレート、アクリルメタクリレート、1,4-ブタンジオールジグリシジルエーテル、グリシドール、ジグリシジル1,2-シクロヘキサンジカルボキシレート、トリメチルプロパントリグリシジルエーテル、1,3-ビス(グリシドキシプロピル)テトラメチルジシロキサン、メトキシメチル化尿素、ブトキシメチル化尿素、またはメトキシメチル化チオ尿素などの化合物を使用することができる。
【0080】
レベリング剤は、印刷時の塗膜平坦性を向上させるためのものであり、商業的な方法で入手可能な公知のレベリング剤を使用することができる。
【0081】
これらの添加剤の使用量は、所望の物性によって容易に調節することができ、省略することもできる。
【0082】
また、本発明に係る半導体レジスト用組成物は、基板との密着力などの向上のために(例えば、半導体レジスト用組成物の基板との接着力向上のために)、接着力向上剤として、シランカップリング剤を添加剤として使用することができる。シランカップリング剤としては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリス(β-メトキシエトキシ)シラン;または3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-アクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、p-スチリルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン;トリメトキシ[3-(フェニルアミノ)プロピル]シランなどの炭素-炭素不飽和結合含有シラン化合物などを使用できるが、これらに限定されるものではない。
【0083】
本発明の半導体フォトレジスト用組成物によれば、高いアスペクト比を有するパターンを形成してもパターン崩れが発生しない。したがって、例えば、5~100nmの幅を有する微細パターン、例えば、5~80nmの幅を有する微細パターン、例えば、5~70nmの幅を有する微細パターン、例えば、5~50nmの幅を有する微細パターン、例えば、5~40nmの幅を有する微細パターン、例えば、5~30nmの幅を有する微細パターン、例えば、5~20nmの幅を有する微細パターンを形成するために、5~150nmの波長範囲の光を使用するフォトレジスト工程、例えば、5~100nmの波長範囲の光を使用するフォトレジスト工程、例えば、5~80nmの波長範囲の光を使用するフォトレジスト工程、例えば、5~50nmの波長範囲の光を使用するフォトレジスト工程、例えば、5~30nmの波長範囲の光を使用するフォトレジスト工程、例えば、5~20nmの波長範囲の光を使用するフォトレジスト工程に使用することができる。したがって、本発明の一実施形態による半導体フォトレジスト用組成物を用いると、13.5nm波長のEUV光源を使用する極端紫外線リソグラフィを実現することができる。
【0084】
また、本発明の他の一実施形態によれば、上述した半導体フォトレジスト用組成物を使用してパターンを形成する方法を提供することができる。一例として、製造されたパターンは、フォトレジストパターンであり得る。より具体的には、ネガティブ型フォトレジストパターンであり得る。
【0085】
本発明の一実施形態によるパターン形成方法は、基板上にエッチング対象膜を形成する工程、前記エッチング対象膜上に前述した半導体フォトレジスト用組成物を塗布してフォトレジスト膜を形成する工程、前記フォトレジスト膜をパターニングしてフォトレジストパターンを形成する工程、および前記フォトレジストパターンをエッチングマスクとして用いて前記エッチング対象膜をエッチングする工程を含む。
【0086】
以下、上述した半導体フォトレジスト用組成物を使用してパターンを形成する方法について、
図1~5を参照しながら説明する。
図1~5は、本発明による半導体フォトレジスト用組成物を用いたパターン形成方法を説明するための断面概略図である。
【0087】
図1を参照すると、まずエッチング対象物を設ける。エッチング対象物の例としては、半導体基板100上に形成される薄膜102であり得る。以下では、エッチング対象物が薄膜102の場合に限り説明する。薄膜102上に残留する汚染物などを除去するために、薄膜102の表面を洗浄する。薄膜102は、例えばシリコン窒化膜、ポリシリコン膜またはシリコン酸化膜であり得る。
【0088】
次に、洗浄された薄膜102の表面上に、レジスト下層膜104を形成するためのレジスト下層膜形成用組成物を、スピンコート方式を適用してコートする。ただし、本発明の実施形態は、必ずしもこれに限定されるものではなく、公知の多様なコート方法、例えばスプレーコート、ディップコート、ナイフエッジコート、印刷法、例えばインクジェット印刷およびスクリーン印刷などを用いることもできる。
【0089】
レジスト下層膜をコートする工程は省略することができ、以下ではレジスト下層膜をコートする場合について説明する。
【0090】
その後、乾燥およびベーキング工程を行って、薄膜102上にレジスト下層膜104を形成する。ベーキング処理は、100~500℃で行い、例えば100~300℃で行い得る。
【0091】
レジスト下層膜104は、基板100とフォトレジスト膜106との間に形成され、基板100とフォトレジスト膜106との界面または層間ハードマスク(hardmask)から反射する照射線が意図されないフォトレジスト領域に散乱する場合、フォトレジスト線幅(linewidth)の不均一およびパターン形成性を妨げることを防止することができる。
【0092】
図2を参照すると、レジスト下層膜104の上に上述した半導体フォトレジスト用組成物をコートして、フォトレジスト膜106を形成する。フォトレジスト膜106は、基板100上に形成された薄膜102の上に、上述した半導体フォトレジスト用組成物をコートした後、熱処理工程により硬化した形態であり得る。
【0093】
より具体的には、半導体フォトレジスト用組成物を使用してパターンを形成する工程は、上述した半導体レジスト用組成物を薄膜102が形成された基板100上にスピンコート、スリットコート、インクジェット印刷などで塗布する工程、および塗布された半導体フォトレジスト用組成物を乾燥してフォトレジスト膜106を形成する工程を含み得る。
【0094】
半導体フォトレジスト用組成物については既に詳細に説明したので、重複する説明は省略する。
【0095】
次に、フォトレジスト膜106が形成されている基板100を加熱する第1ベーキング工程を行う。第1ベーキング工程は80~120℃の温度で行い得る。
【0096】
図3を参照すると、フォトレジスト膜106を選択的に露光する。
【0097】
露光工程で使用できる光の例としては、i-線(波長365nm)、KrFエキシマレーザー(波長248nm)、ArFエキシマレーザー(波長193nm)などの短波長を有する光だけでなく、EUV(Extreme UltraViolet;波長13.5nm)、E-Beam(電子線)などの高エネルギー波長を有する光などが挙げられる。
【0098】
より具体的には、本発明の一実施形態による露光用の光は、5~150nmの波長範囲を有する短波長光であり得、EUV(Extreme UltraViolet;波長13.5nm)、E-Beam(電子線)などの高エネルギー波長を有する光であり得る。
【0099】
上記フォトレジストパターンを形成する工程において、ネガティブ型パターンを形成することができる。
【0100】
フォトレジスト膜106のうち、露光領域106aは、有機金属化合物間の縮合などの架橋反応によって重合体を形成することにより、フォトレジスト膜106の未露光領域106bと互いに異なる溶解度を有するようになる。
【0101】
次に、基板100に第2ベーキング工程を行う。第2ベーキング工程は90~200℃の温度で行い得る。第2ベーキング工程を行うことによって、フォトレジスト膜106の露光領域106aは、現像液に溶解し難い状態となる。
【0102】
図4には、現像液を用いて、未露光領域に該当するフォトレジスト膜106bを溶解させて除去することによって形成されたフォトレジストパターン108が示されている。具体的には、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)などの有機溶媒を使用して、未露光領域に該当するフォトレジスト膜106bを溶解させた後除去することによって、ネガティブトーンイメージに該当するフォトレジストパターン108が完成される。
【0103】
上記で説明したように、本発明の一実施形態によるパターン形成方法で使用される現像液は有機溶媒であり得る。一実施形態によるパターン形成方法で使用される有機溶媒の例としては、例えば、メチルエチルケトン、アセトン、シクロヘキサノン、2-ヘプタノンなどのケトン類、4-メチル-2-プロパノール、1-ブタノール、イソプロパノール、1-プロパノール、メタノールなどのアルコール類、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチルアセテート、エチルラクテート、n-ブチルアセテート、ブチロラクトンなどのエステル類、ベンゼン、キシレン、トルエンなどの芳香族化合物、またはこれらの組み合わせが挙げられる。
【0104】
上記で説明したように、i-線(波長365nm)、KrFエキシマレーザー(波長248nm)、ArFエキシマレーザー(波長193nm)等の波長を有する光だけでなく、EUV(Extreme UltraViolet;波長13.5nm)、E-Beam(電子線)などの高エネルギーを有する光などによって露光されて形成されたフォトレジストパターン108は、5~100nm厚さの幅を有することができる。上記フォトレジストパターン108は、5~90nm、5~80nm、5~70nm、5~60nm、5~50nm、5~40nm、5~30nm、5~20nmの厚さの幅で形成され得る。
【0105】
一方、上記フォトレジストパターン108は、50nm以下、例えば40nm以下、例えば30nm以下、例えば20nm以下、例えば15nm以下のハーフピッチ(half-pitch)および、10nm以下、5nm以下、3nm以下、2nm以下の線幅粗さを有するピッチを有することができる。
【0106】
次に、上記フォトレジストパターン108をエッチングマスクとして、上記レジスト下層膜104をエッチングする。上記のようなエッチング工程により有機膜パターン112が形成される。形成された上記有機膜パターン112も、フォトレジストパターン108に対応する幅を有することができる。
【0107】
図5を参照すると、フォトレジストパターン108をエッチングマスクに適用して、露出した薄膜102をエッチングする。その結果、薄膜102は薄膜パターン114として形成される。
【0108】
薄膜102のエッチングは、例えばエッチングガスを使用した乾式エッチングで行うことができる。エッチングガスは、例えばCHF3、CF4、Cl2、BCl3およびこれらの混合ガスを使用することができる。
【0109】
EUV光源を使用して行われた露光工程によって形成されたフォトレジストパターン108を用いて形成された薄膜パターン114は、フォトレジストパターン108に対応する幅を有することができる。例として、フォトレジストパターン108と同様に5~100nmの幅を有することができる。例えば、EUV光源を使用して行われた露光工程によって形成された薄膜パターン114は、フォトレジストパターン108と同様に、5~90nm、5~80nm、5~70nm、5~60nm、5~50nm、5~40nm、5~30nm、5~20nmの幅を有することができ、より具体的には20nm以下の幅で形成され得る。
【実施例0110】
以下、上述した半導体フォトレジスト用組成物の製造に関する実施例により本発明をさらに詳細に説明する。しかし、本発明の技術的特徴は、下記の実施例によって限定されるものではない。
【0111】
合成例1:有機スズ化合物1の合成
下記化学式A-1で表される化合物(10g、25.6mmol)に25mlの酢酸を常温でゆっくり滴下した後、110℃で24時間加熱還流した。
【0112】
その後、温度を常温に下げ、酢酸を真空蒸留して、下記化学式B-1で表される有機スズ化合物1を得た(収率:90%)。
【0113】
【0114】
合成例2:有機スズ化合物2の合成
下記化学式A-2で表される化合物(10g、25.4mmol)に、25mlのアクリル酸を常温でゆっくり滴下した後、110℃で24時間加熱還流した。
【0115】
その後、温度を常温に下げ、アクリル酸を真空蒸留して、下記化学式B-2で表される有機スズ化合物2を得た(収率:50%)。
【0116】
【0117】
合成例3:有機スズ化合物3の合成
下記化学式A-3で表される化合物(10g、23.7mmol)に、25mlのプロピオン酸を常温でゆっくり滴下した後、110℃で24時間加熱還流した。
【0118】
その後、温度を常温に下げ、プロピオン酸を真空蒸留して、下記化学式B-3で表される有機スズ化合物3を得た(収率:95%)。
【0119】
【0120】
合成例4:有機スズ化合物4の合成
上記合成例2の化学式A-2で表される化合物(10g、25.4mmol)に、25mlのイソブチル酸を常温でゆっくり滴下した後、110℃で24時間加熱還流した。
【0121】
その後、温度を常温に下げ、イソブチル酸を真空蒸留して、下記化学式B-4で表される有機スズ化合物4を得た(収率:95%)。
【0122】
【0123】
合成例5:有機スズ化合物5の合成
下記化学式A-4で表される化合物(10g、24.6mmol)に、25mlのプロピオン酸を常温でゆっくり滴下した後、110℃で24時間加熱還流した。
【0124】
その後、温度を常温に下げ、プロピオン酸を真空蒸留して、下記化学式B-5で表される有機スズ化合物5を得た(収率:90%)。
【0125】
【0126】
実施例1~7
合成例1~5で得られた有機スズ化合物それぞれに対して、下記表1に示した有機酸化合物を混合した後、PGMEA(5質量%脱イオン水を含む、Propylene glycol methyl ether acetate)を添加し、固形分20質量%の濃度の溶液を製造した。
【0127】
上記溶液を80℃で24時間攪拌した後常温に冷まし、追加のPGMEAで固形分が3質量%になるように希釈し、下記実施例1~7による縮合物含有溶液を製造した。その後、0.1μm PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)シリンジフィルタ(syringe filter)で濾過してフォトレジスト組成物を製造した。
【0128】
【0129】
比較例1~5
合成例1~5で得られた有機スズ化合物を、それぞれPGMEAに固形分3質量%の濃度で溶かし、0.1μm PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)製シリンジフィルタ(syringe filter)で濾過して、フォトレジスト組成物を製造した。
【0130】
評価1:感度およびラインエッジ粗さ(LER)の評価
実施例1~7および比較例1~5による組成物を円形のシリコンウェハー上に1500rpmで30秒間スピンコーティングして得られたフィルムを、40nm Half-pitchのナノ線パターンが形成されるように、100kV加速電圧の極端紫外線(E-beam)に露光させた。露光した薄膜を、170℃で60秒間ベーキングした後、2-heptanoneが入ったペトリ皿に30秒間浸漬して取り出した。その後、同一の溶剤で10秒間洗浄した。最終的に、150℃で180秒間ベーキングした後、FE-SEM(field emission scanning electron microscopy)によりパターンイメージを得た。FE-SEMイメージから確認された形成された線のCD(Critical Dimension)サイズおよびラインエッジ粗さ(LER)を測定した後、下記基準により感度およびラインエッジ粗さを評価して、下記表2に示した。
【0131】
※評価基準
(1)感度
1000uC/cm2エネルギーで測定されたCDサイズを、下記基準により評価してその結果を表2に示す:
◎:40nm以上
○:35nm以上40nm未満
△:35nm未満
×:パターンが確認されない。
【0132】
(2)ラインエッジ粗さ(LER)
○:4nm以下
△:4nm超7nm以下
×:7nm超。
【0133】
評価2:保存安定性の評価
一方、上述した実施例1~7および比較例1~5によるフォトレジスト組成物について、下記のような基準として保存安定性を評価し、下記表2に示した:
[保存安定性]
常温(20±5℃)条件で、実施例1~7および比較例1~5によるフォトレジスト組成物を特定期間放置した時、沈殿が発生する程度を肉眼で観察し、下記の保存可能な基準により2段階で評価した:
※評価基準
○:6ヶ月以上保存可能
△:3ヶ月以上6ヶ月未満保存可能
×:6ヶ月未満保存可能。
【0134】
【0135】
表2を参照すると、実施例1~7による半導体フォトレジスト用組成物は、比較例1~5に比べて、保存安定性においてさらに優れることが分かり、半導体フォトレジスト用組成物を用いて形成されたパターンも、実施例1~7の場合が比較例1~5に対してさらに優れた感度およびラインエッジ粗さ(LER)を示すことを確認することができる。
【0136】
以上、本発明の特定の実施例を説明し図示したが、本発明は記載された実施例に限定されるものではなく、本発明の思想および範囲を逸脱せず多様に修正および変形できることはこの技術の分野で通常の知識を有する者に自明である。したがって、このような修正例または変形例は本発明の技術的思想や観点から個別に理解されてはならず、変形した実施例は本発明の特許請求範囲に属するといえる。