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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022097831
(43)【公開日】2022-07-01
(54)【発明の名称】研削装置及び研削装置の駆動方法
(51)【国際特許分類】
   B24B 49/02 20060101AFI20220624BHJP
   B24B 41/06 20120101ALI20220624BHJP
   B24B 49/12 20060101ALI20220624BHJP
   B24B 7/04 20060101ALI20220624BHJP
   B23Q 17/00 20060101ALI20220624BHJP
   B23Q 17/24 20060101ALI20220624BHJP
   H01L 21/304 20060101ALI20220624BHJP
【FI】
B24B49/02 Z
B24B41/06 A
B24B49/12
B24B7/04 A
B23Q17/00 F
B23Q17/24 Z
H01L21/304 631
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020211013
(22)【出願日】2020-12-21
(71)【出願人】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】100075384
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 昂
(74)【代理人】
【識別番号】100172281
【弁理士】
【氏名又は名称】岡本 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100206553
【弁理士】
【氏名又は名称】笠原 崇廣
(74)【代理人】
【識別番号】100189773
【弁理士】
【氏名又は名称】岡本 英哲
(74)【代理人】
【識別番号】100184055
【弁理士】
【氏名又は名称】岡野 貴之
(74)【代理人】
【識別番号】100185959
【弁理士】
【氏名又は名称】今藤 敏和
(72)【発明者】
【氏名】関家 一馬
【テーマコード(参考)】
3C029
3C034
3C043
5F057
【Fターム(参考)】
3C029EE12
3C029EE20
3C034AA08
3C034BB73
3C034BB84
3C034BB93
3C034CA04
3C034CB13
3C034DD10
3C034DD18
3C043BA04
3C043BA09
3C043BA12
3C043BA16
3C043BA17
3C043CC04
3C043CC12
3C043DD05
3C043DD06
3C043DD14
5F057AA19
5F057CA11
5F057DA11
5F057FA13
5F057GB13
(57)【要約】
【課題】不適切なテープが貼着された被加工物を研削することを防止できる研削装置を提供する。
【解決手段】測定ユニットによる測定に基づいて、カセットから搬出された後でチャックテーブルに搬入される前の被加工物ユニットの厚みの値を把握する。ここで、被加工物ユニットの厚みの値は、被加工物及びそれに貼着されたテープの厚みのそれぞれの値を合算した値である。そのため、当該測定に基づけば、被加工物に貼着されたテープが所望の厚みを有するものであるか、すなわち、所望の種類のものであるかを判断できる。換言すると、チャックテーブルに搬入される前に被加工物ユニットが研削対象であるか否かを判断できる。その結果、不適切なテープが貼着された被加工物が研削されることが防止される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被加工物の一方の面にテープが貼着された被加工物ユニットを収容するカセットを載置するためのカセット載置台と、
該被加工物ユニットを保持するためのチャックテーブルと、
該被加工物ユニットを該カセットと該チャックテーブルとの間で搬送するための搬送機構と、
該搬送機構に保持された該被加工物ユニットの厚みの値又は該被加工物ユニットの厚みの値の算出に用いられる値を測定するための第一の測定ユニットと、
該チャックテーブルに保持された該被加工物ユニットを研削するための研削ユニットと、
各構成要素を制御するための制御ユニットと、を備え、
該制御ユニットは、該カセットから搬出された後で該チャックテーブルに搬入される前の該被加工物ユニットに対する該第一の測定ユニットによる測定に基づいて得られる該被加工物ユニットの厚みの値に応じて該被加工物ユニットが研削対象であるか否かを判断する判断部を備えることを特徴とする、研削装置。
【請求項2】
該制御ユニットは、該被加工物および該テープのそれぞれの厚みの値を記憶するための記憶部を備え、
該判断部は、該記憶部に記憶された該被加工物および該テープの厚みの値のそれぞれを合算した値と、該第一の測定ユニットによる測定に基づいて得られた該被加工物ユニットの厚みの値と、を比較して、該被加工物に所望のテープが貼着されているか否かを判断することを特徴とする、請求項1に記載の研削装置。
【請求項3】
該第一の測定ユニットは、該搬送機構に保持された該被加工物ユニットの一方の面側に設けられ、該被加工物ユニットの一方の面までの距離を測定する第一の非接触式距離測定器と、該搬送機構に保持された該被加工物ユニットの一方の面の裏面である他方の面側に設けられ、該被加工物ユニットの他方の面までの距離を測定する第二の非接触式距離測定器と、を備えることを特徴とする、請求項1又は2に記載の研削装置。
【請求項4】
該チャックテーブルに保持された該被加工物ユニットの厚みの値又は該被加工物ユニットの厚みの値の算出に用いられる値を測定するための第二の測定ユニットをさらに備え、
該判断部は、該第二の測定ユニットによる測定に基づいて得られる該被加工物ユニットの厚みの値と、該第一の測定ユニットによる測定に基づいて得られる該被加工物ユニットの厚みの値と、を比較して、該第二の測定ユニットが正常に動作しているか否かを判断することを特徴とする、請求項1乃至3のいずれかに記載の研削装置。
【請求項5】
被加工物の一方の面にテープが貼着された被加工物ユニットを収容するカセットを載置するためのカセット載置台と、該被加工物ユニットを保持するためのチャックテーブルと、該被加工物ユニットを該カセットと該チャックテーブルとの間で搬送するための搬送機構と、該搬送機構に保持された該被加工物ユニットの厚みの値又は該被加工物ユニットの厚みの値の算出に用いられる値を測定するための第一の測定ユニットと、該チャックテーブルに保持された該被加工物ユニットを研削するための研削ユニットと、各構成要素を制御するための制御ユニットと、を備える研削装置の駆動方法であって、
該カセット載置台に載置された該カセットから該被加工物ユニットを該搬送機構が搬出する第一の搬出ステップと、
該搬出ステップで該カセットから搬出された該被加工物ユニットの厚みの値又は該被加工物ユニットの厚みの値の算出に用いられる値を該第一の測定ユニットが測定する第一の測定ステップと、
該第一の測定ステップでの測定に基づいて得られる該被加工物ユニットの厚みの値に応じて該被加工物ユニットが研削対象であるか否かを該制御ユニットが判断する第一の判断ステップと、
該第一の判断ステップで該被加工物ユニットが研削対象であると判断された場合に該搬送機構が該被加工物ユニットを該チャックテーブルに搬入し、該第一の判断ステップで該被加工物ユニットが研削対象ではないと判断された場合に該搬送機構が該被加工物ユニットを再び該カセットに搬入する搬入ステップと、
を備えることを特徴とする、研削装置の駆動方法。
【請求項6】
該研削装置は、該チャックテーブルに保持された該被加工物ユニットの厚みの値又は該被加工物ユニットの厚みの値の算出に用いられる値を測定するための第二の測定ユニットをさらに備え、
該搬入ステップで該チャックテーブルに搬入された該被加工物ユニットを該研削ユニットが研削する研削ステップと、
該研削ステップで研削された該被加工物ユニットの厚みの値又は該被加工物ユニットの厚みの値の算出に用いられる値を該第二の測定ユニットが測定する第二の測定ステップと、
該第二の測定ステップで厚みの値が測定された該被加工物ユニットを該搬送機構が該チャックテーブルから搬出する第二の搬出ステップと、
該第二の搬出ステップで該チャックテーブルから搬出された該被加工物ユニットの厚みの値又は該被加工物ユニットの厚みの値の算出に用いられる値を該第一の測定ユニットが測定する第三の測定ステップと、
該第二の測定ステップによる測定に基づいて得られる該被加工物ユニットの厚みの値と、該第三の測定ステップによる測定に基づいて得られる該被加工物ユニットの厚みの値と、を比較して、該第二の測定ユニットが正常に動作しているか否かを該制御ユニットが判断する第二の判断ステップと、
を備えることを特徴とする、請求項5に記載の研削装置の駆動方法。
【請求項7】
該研削装置は、該チャックテーブルに保持された該被加工物ユニットの厚みの値又は該被加工物ユニットの厚みの値の算出に用いられる値を測定するための第二の測定ユニットをさらに備え、
該搬入ステップで該チャックテーブルに搬入された該被加工物ユニットを研削する前に、該被加工物ユニットの厚みの値又は該被加工物ユニットの厚みの値の算出に用いられる値を該第二の測定ユニットが測定する第四の測定ステップと、
該第四の測定ステップによる測定に基づいて得られる該被加工物ユニットの厚みの値と、該第一の測定ステップによる測定に基づいて得られる該被加工物ユニットの厚みの値と、を比較して、該第二の測定ユニットが正常に動作しているか否かを該制御ユニットが判断する第三の判断ステップと、
を備えることを特徴とする、請求項5に記載の研削装置の駆動方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、研削装置及び研削装置の駆動方法に関する。
【背景技術】
【0002】
IC(Integrated Circuit)及びLSI(Large Scale Integration)等のデバイスのチップは、携帯電話及びパーソナルコンピュータ等の各種電子機器において不可欠の構成要素である。このようなチップは、例えば、多数のデバイスが表面に形成されたウェーハを薄化した後に個々のデバイスを含む領域毎に分割することで製造される。
【0003】
ウェーハを薄化する方法としては、例えば、環状に離散して配置された複数の研削砥石を備える研削ホイールと被加工物を吸引保持するチャックテーブルとを有する研削装置による研削が挙げられる。このような研削装置でウェーハを薄化する場合、研削に先立ってウェーハの表面にテープ(保護テープ)が貼着されることが多い(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
そして、テープが貼着されたウェーハの表面側をチャックテーブルが吸引保持した状態で、ウェーハの裏面側を複数の研削砥石が研削することでウェーハが薄化される。このようにデバイスが形成されたウェーハの表面にテープを貼着することで、ウェーハが研削される際にデバイスに加わる衝撃が緩和されてデバイスの破損が防止される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007-288031号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のテープは、その種類によって厚み及び接着強度等に違いがある。そのため、ウェーハ等の被加工物に貼着されるテープは、研削条件等に応じて使い分けられている。そして、研削装置においては、所望のテープが貼着された被加工物(被加工物ユニット)を収容するカセットから当該被加工物ユニットがチャックテーブルに搬送されて研削される。
【0007】
ここで、被加工物へのテープの貼着は専用の装置を用いて行われるが、消耗品であるテープの交換又は補充は、オペレータが手動で行っている。そのため、この装置に不適切なテープがセットされた状態で被加工物へのテープの貼着が行われるおそれがある。
【0008】
また、被加工物ユニットのカセットへの収容及び/又は被加工物ユニットを収容するカセットの研削装置への搬入は、オペレータが手動で行うことがある。そのため、不適切なテープが貼着された被加工物を収容するカセットが研削装置に搬入されるおそれがある。
【0009】
さらに、異なる種類のテープであっても、それらの色及び触感は、類似していることが多い。そのため、被加工物が研削装置において研削されるのに先立って、オペレータが被加工物に貼着されたテープを見る又は触ることで、その種類を確認することは困難である。
【0010】
これらの点に鑑み、本発明の目的は、不適切なテープが貼着された被加工物を研削することを防止できる研削装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一側面によれば、被加工物の一方の面にテープが貼着された被加工物ユニットを収容するカセットを載置するためのカセット載置台と、該被加工物ユニットを保持するためのチャックテーブルと、該被加工物ユニットを該カセットと該チャックテーブルとの間で搬送するための搬送機構と、該搬送機構に保持された該被加工物ユニットの厚みの値又は該被加工物ユニットの厚みの値の算出に用いられる値を測定するための第一の測定ユニットと、該チャックテーブルに保持された該被加工物ユニットを研削するための研削ユニットと、各構成要素を制御するための制御ユニットと、を備え、該制御ユニットは、該カセットから搬出された後で該チャックテーブルに搬入される前の該被加工物ユニットに対する該第一の測定ユニットによる測定に基づいて得られる該被加工物ユニットの厚みの値に応じて該被加工物ユニットが研削対象であるか否かを判断する判断部を備える、研削装置が提供される。
【0012】
さらに、本発明の一側面においては、該制御ユニットは、該被加工物および該テープのそれぞれの厚みの値を記憶するための記憶部を備え、該判断部は、該記憶部に記憶された該被加工物および該テープの厚みの値のそれぞれを合算した値と、該第一の測定ユニットによる測定に基づいて得られた該被加工物ユニットの厚みの値と、を比較して、該被加工物に所望のテープが貼着されているか否かを判断することが好ましい。
【0013】
また、本発明の一側面においては、該第一の測定ユニットは、該搬送機構に保持された該被加工物ユニットの一方の面側に設けられ、該被加工物ユニットの一方の面までの距離を測定する第一の非接触式距離測定器と、該搬送機構に保持された該被加工物ユニットの一方の面の裏面である他方の面側に設けられ、該被加工物ユニットの他方の面までの距離を測定する第二の非接触式距離測定器と、を備えることが好ましい。
【0014】
また、本発明の一側面においては、該チャックテーブルに保持された該被加工物ユニットの厚みの値又は該被加工物ユニットの厚みの値の算出に用いられる値を測定するための第二の測定ユニットをさらに備え、該判断部は、該第二の測定ユニットによる測定に基づいて得られる該被加工物ユニットの厚みの値と、該第一の測定ユニットによる測定に基づいて得られる該被加工物ユニットの厚みの値と、を比較して、該第二の測定ユニットが正常に動作しているか否かを判断することが好ましい。
【0015】
本発明の他の側面によれば、被加工物の一方の面にテープが貼着された被加工物ユニットを収容するカセットを載置するためのカセット載置台と、該被加工物ユニットを保持するためのチャックテーブルと、該被加工物ユニットを該カセットと該チャックテーブルとの間で搬送するための搬送機構と、該搬送機構に保持された該被加工物ユニットの厚みの値又は該被加工物ユニットの厚みの値の算出に用いられる値を測定するための第一の測定ユニットと、該チャックテーブルに保持された該被加工物ユニットを研削するための研削ユニットと、各構成要素を制御するための制御ユニットと、を備える研削装置の駆動方法であって、該カセット載置台に載置された該カセットから該被加工物ユニットを該搬送機構が搬出する第一の搬出ステップと、該搬出ステップで該カセットから搬出された該被加工物ユニットの厚みの値又は該被加工物ユニットの厚みの値の算出に用いられる値を該第一の測定ユニットが測定する第一の測定ステップと、該第一の測定ステップでの測定に基づいて得られる該被加工物ユニットの厚みの値に応じて該被加工物ユニットが研削対象であるか否かを該制御ユニットが判断する第一の判断ステップと、該第一の判断ステップで該被加工物ユニットが研削対象であると判断された場合に該搬送機構が該被加工物ユニットを該チャックテーブルに搬入し、該第一の判断ステップで該被加工物ユニットが研削対象ではないと判断された場合に該搬送機構が該被加工物ユニットを再び該カセットに搬入する搬入ステップと、を備える、研削装置の駆動方法が提供される。
【0016】
さらに、本発明の他の側面においては、該研削装置は、該チャックテーブルに保持された該被加工物ユニットの厚みの値又は該被加工物ユニットの厚みの値の算出に用いられる値を測定するための第二の測定ユニットをさらに備え、該搬入ステップで該チャックテーブルに搬入された該被加工物ユニットを該研削ユニットが研削する研削ステップと、該研削ステップで研削された該被加工物ユニットの厚みの値又は該被加工物ユニットの厚みの値の算出に用いられる値を該第二の測定ユニットが測定する第二の測定ステップと、該第二の測定ステップで厚みの値が測定された該被加工物ユニットを該搬送機構が該チャックテーブルから搬出する第二の搬出ステップと、該第二の搬出ステップで該チャックテーブルから搬出された該被加工物ユニットの厚みの値又は該被加工物ユニットの厚みの値の算出に用いられる値を該第一の測定ユニットが測定する第三の測定ステップと、該第二の測定ステップによる測定に基づいて得られる該被加工物ユニットの厚みの値と、該第三の測定ステップによる測定に基づいて得られる該被加工物ユニットの厚みの値と、を比較して、該第二の測定ユニットが正常に動作しているか否かを該制御ユニットが判断する第二の判断ステップと、を備えることが好ましい。
【0017】
あるいは、本発明の他の側面においては、該研削装置は、該チャックテーブルに保持された該被加工物ユニットの厚みの値又は該被加工物ユニットの厚みの値の算出に用いられる値を測定するための第二の測定ユニットをさらに備え、該搬入ステップで該チャックテーブルに搬入された該被加工物ユニットを研削する前に、該被加工物ユニットの厚みの値又は該被加工物ユニットの厚みの値の算出に用いられる値を該第二の測定ユニットが測定する第四の測定ステップと、該第四の測定ステップによる測定に基づいて得られる該被加工物ユニットの厚みの値と、該第一の測定ステップによる測定に基づいて得られる該被加工物ユニットの厚みの値と、を比較して、該第二の測定ユニットが正常に動作しているか否かを該制御ユニットが判断する第三の判断ステップと、を備えることが好ましい。
【発明の効果】
【0018】
本発明においては、第一の測定ユニットによる測定に基づいて、カセットから搬出された後でチャックテーブルに搬入される前の被加工物ユニットの厚みの値を把握できる。ここで、被加工物ユニットの厚みの値は、被加工物及びそれに貼着されたテープの厚みのそれぞれの値を合算した値である。
【0019】
そのため、当該測定に基づけば、被加工物に貼着されたテープが所望の厚みを有するものであるか、すなわち、所望の種類のものであるかを判断できる。換言すると、チャックテーブルに搬入される前に被加工物ユニットが研削対象であるか否かを判断できる。その結果、不適切なテープが貼着された被加工物が研削されることが防止される。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1図1は、研削装置の一例を模式的に示す斜視図である。
図2図2は、被加工物ユニットの一例を模式的に示す斜視図である。
図3図3は、測定ユニットの一例を模式的に示す側面図である。
図4図4は、ターンテーブル及びその周辺の構造の一例を模式的に示す平面図である。
図5図5は、制御ユニットの一例を模式的に示すブロック図である。
図6図6は、研削装置の駆動方法の一例を模式的に示すフローチャートである。
図7図7は、研削装置の駆動方法の別の例を模式的に示すフローチャートである。
図8図8は、研削装置の駆動方法の別の例を模式的に示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
添付図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。図1は、本発明の研削装置の一例を模式的に示す斜視図である。なお、図1に示されるX軸方向(前後方向)及びY軸方向(左右方向)は、水平面上において互いに直交する方向であり、また、Z軸方向(上下方向)は、X軸方向及びY軸方向に直交する方向(鉛直方向)である。
【0022】
図1に示される研削装置2は、各種の構成要素を支持する基台4を備える。基台4の上面前端側には開口4aが形成されており、開口4a内には搬送機構6が設けられている。搬送機構6は、例えば、複数の関節を持つロボットアームである。図2は、搬送機構6によって搬送される被加工物ユニットの一例を模式的に示す斜視図である。
【0023】
図2に示される被加工物ユニット11は、円盤状の被加工物13を有する。被加工物13は、例えば、シリコン(Si)等の半導体材料からなるウェーハである。被加工物13の表面13a側は、互いに交差する複数の分割予定ライン15で複数の領域に区画されており、各領域には、IC又はLSI等のデバイス17が形成されている。
【0024】
なお、被加工物13の材質、形状、構造及び大きさ等に制限はない。例えば、被加工物13は、他の半導体材料、セラミックス、樹脂及び金属等の材料でなる基板であってもよい。同様に、デバイス17の種類、数量、形状、構造、大きさ及び配置等にも制限はない。
【0025】
また、被加工物13の表面13aには、被加工物13の径と概ね等しい径を有するフィルム状のテープ19が貼着されている。テープ19は、例えば、樹脂からなり、被加工物13の裏面13b側を研削する際に表面13a側に加わる衝撃を緩和してデバイス17を保護する。
【0026】
そして、本実施形態では、被加工物ユニット11の一方の面11a(テープ19の被加工物13に貼着されない側の面19a)側が保持された状態で、一方の面11aの裏面である他方の面11b(被加工物13の裏面13b)側が研削される。
【0027】
図1に示される開口4aの前方には、被加工物ユニット11を収容するカセット8a,8bを載置するためのカセット載置台10a,10bが設けられている。そして、搬送機構6は、被加工物ユニット11を保持して搬送できるだけでなく、被加工物ユニット11の上下を反転させることもできる。
【0028】
また、開口4aの後方には、搬送機構6に保持された被加工物ユニット11の厚みの値を算出するために利用される測定ユニット(第一の測定ユニット)12が設けられている。図3は、測定ユニット12を模式的に示す側面図である。
【0029】
測定ユニット12は、Z軸方向に沿って延在する四角柱状の支持部14と、支持部14の前面(搬送機構6)側に固定され、かつ、X軸方向に沿って延在する四角柱状の上面側測定器16及び下面側測定器18とを有する。上面側測定器16及び下面側測定器18は、Z軸方向において離隔し、また、レーザビームを利用して測定対象との距離を測定する非接触式距離測定器である。
【0030】
具体的には、上面側測定器16は、下方に向かってレーザビームを投光する投光部16aと、測定対象の上面(例えば、被加工物ユニット11の他方の面11b)によって反射されたレーザビームを受光する受光部16bとを有する。そして、上面側測定器16は、投光されたレーザビームと受光されたレーザビームとの位相差等に基づいて測定対象の上面までの距離を測定する。
【0031】
同様に、下面側測定器18は、上方に向かってレーザビームを投光する投光部18aと、測定対象の下面(例えば、被加工物ユニット11の一方の面11a)によって反射されたレーザビームを受光する受光部18bとを有する。そして、下面側測定器18は、投光されたレーザビームと受光されたレーザビームとの位相差等に基づいて測定対象の下面までの距離を測定する。
【0032】
なお、投光部16aは、例えば、測定対象の上面(例えば、被加工物13の裏面13b)において反射される波長の光を投光する光源と、この光源からの光を測定対象へと導くレンズ及び/又はミラーとを含む。同様に、投光部18aは、例えば、測定対象の下面(例えば、テープ19の面19a)において反射される波長の光を投光する光源と、この光源からの光を測定対象へと導くレンズ及び/又はミラーとを含む。
【0033】
そのため、投光部16aから投光される光の波長と、投光部18aから投光される光の波長とは異なっていてもよい。また、受光部16b,16bは、例えば、測定対象で反射された光を受光素子へと導くレンズ及び/又はミラーと、測定対象で反射された光を検出するCMOSイメージセンサ等の受光素子とを含む。
【0034】
図1に示される開口4aの斜め後方(測定ユニット12の側方)には、被加工物ユニット11の位置を調整するための位置調整機構20が設けられている。位置調整機構20は、例えば、円盤状のテーブルと、テーブルの周囲に配置された複数のピンとを備える。
【0035】
テーブルの径方向に沿って複数のピンが移動することで、例えば、カセット8aから搬送機構6によって搬出され、位置調整機構20のテーブルに載せられた被加工物ユニット11の中心が、X軸方向及びY軸方向において所定の位置に合わせられる。なお、本実施形態では、裏面11bが上を向くように被加工物ユニット11が位置調整機構20のテーブルに載せられる。
【0036】
また、本実施形態では、カセット8aから搬送機構6によって搬出された被加工物ユニット11は、測定ユニット12の上面側測定器16と下面側測定器18との間に外周部が位置付けられて、その厚みの値が算出された後に位置調整機構20に搬入される。
【0037】
測定ユニット12の後方には、被加工物ユニット11を保持して後方に搬送する搬送機構22が設けられている。搬送機構22は、被加工物ユニット11の上面(本実施形態では、裏面11b)側を吸引して保持する保持パッドと、この保持パッドに接続されたアームとを備える。そして、搬送機構22は、アームによって保持パッドを旋回させることで、位置調整機構20で位置が調整された被加工物ユニット11を後方に搬送する。
【0038】
搬送機構22の後方には、円盤状のターンテーブル24が設けられている。ターンテーブル24は、モータ等の回転駆動源(不図示)に接続されており、Z軸方向に対して概ね平行な回転軸の周りを回転する。ターンテーブル24の上面には、被加工物ユニット11を保持できる3個のチャックテーブル26が設けられている。
【0039】
3個のチャックテーブル26は、ターンテーブル24の周方向に沿って概ね等間隔に設けられている。なお、ターンテーブル24上に設けられるチャックテーブル26の数等に制限はない。
【0040】
図4は、ターンテーブル24及びその周辺の構造を模式的に示す平面図である。なお、図4では、説明の便宜上、一部の要素が破線で表現されている。搬送機構22は、保持パッドで保持した被加工物ユニット11を、搬送機構22に隣接する搬入搬出領域A(図4参照)に配置されたチャックテーブル26へと搬入する。
【0041】
ターンテーブル24は、例えば、図1及び図4において矢印で示される方向に回転し、各チャックテーブル26を、搬入搬出領域A、粗研削領域B、仕上げ研削領域Cの順に移動させる。各チャックテーブル26は、モータ等の回転駆動源(不図示)に接続されており、Z軸方向に対して概ね平行な回転軸の周りを回転する。
【0042】
各チャックテーブル26は、例えば、ステンレス鋼等の金属材料からなる円盤状の枠体を有する。この枠体の上面側には円形状の開口を上端に持つ凹部が形成されており、この凹部にはセラミックス等からなる円盤状のポーラス板が固定されている。
【0043】
チャックテーブル26の上面は、中心が外縁よりも僅かに突出した円錐の側面に相当する形状に構成されており、被加工物ユニット11の下面(本実施形態では、表面11a)側を保持する保持面26aとして機能する。すなわち、各チャックテーブル26は、被加工物ユニット11を保持する保持面26aを上部に備えている。
【0044】
この保持面26aは、チャックテーブル26の内部に形成された吸引路(不図示)等を介して真空ポンプ等の吸引源(不図示)に接続されている。チャックテーブル26に搬入された被加工物ユニット11は、保持面26aに作用する吸引源の負圧によって下面側を吸引される。
【0045】
図1に示されるように、粗研削領域B及び仕上げ研削領域Cの後方(ターンテーブル24の後方)には、それぞれ、柱状の支持構造28が設けられている。各支持構造28の前面側には、Z軸移動機構30が設けられている。各Z軸移動機構30は、Z軸方向に概ね平行な一対のガイドレール32を備えており、ガイドレール32には、移動プレート34がスライドできる態様で取り付けられている。
【0046】
各移動プレート34の後面(裏面)側には、ボールねじを構成するナット(不図示)が固定されており、このナットには、ガイドレール32に対して概ね平行なねじ軸36が回転できる態様で連結されている。ねじ軸36の一端部には、モータ38が接続されている。モータ38によってねじ軸36を回転させることで、移動プレート34はガイドレール32に沿ってZ軸方向に移動する。
【0047】
各移動プレート34の前面(表面)側には、固定具40が設けられている。各固定具40には、被加工物ユニット11を研削するための研削ユニット42が支持されている。各研削ユニット42は、固定具40に固定されるスピンドルハウジング44を備えている。
【0048】
各スピンドルハウジング44には、Z軸方向に対して概ね平行な回転軸となるスピンドル46が回転できる態様で収容されている。各スピンドル46の下端部は、スピンドルハウジング44の下端面から露出している。このスピンドル46の下端部には、円盤状のマウント48が固定されている。
【0049】
粗研削領域B側の研削ユニット42のマウント48の下面には、粗研削用の第1研削ホイール50aが装着されている。粗研削用の第1研削ホイール50aは、ステンレス鋼又はアルミニウム等の金属でマウント48と概ね同径に形成された第1ホイール基台を備えている。
【0050】
第1ホイール基台の下面には、粗研削に適したダイヤモンド等の砥粒がビトリファイド又はレジノイド等のボンドで固定されてなる複数の第1研削砥石が環状に配置されている。また、粗研削領域B側の研削ユニット42のスピンドルハウジング44には、スピンドル46の上端側に接続されるモータ等の第1回転駆動源(不図示)が収容されている。
【0051】
第1回転駆動源の動力によって、スピンドル46とともに第1研削ホイール50aが回転する。第1研削ホイール50aの傍には、被加工物ユニット11と第1研削砥石とが接触する部分(加工点)に純水等の液体(研削液)を供給できる液体供給用ノズル(不図示)が設けられている。ただし、この液体供給用ノズルの代わりに、又は、液体供給用ノズルとともに、液体の供給に使用される液体供給口が第1研削ホイール42aに設けられていても良い。
【0052】
同様に、仕上げ研削領域C側の研削ユニット42のマウント48の下面には、仕上げ研削用の第2研削ホイール50bが装着されている。仕上げ研削用の第2研削ホイール50bは、ステンレス鋼又はアルミニウム等の金属でマウント48と概ね同径に形成された第2ホイール基台を備えている。
【0053】
第2ホイール基台の下面には、仕上げ研削に適したダイヤモンド等の砥粒がビトリファイド又はレジノイド等のボンドで固定されてなる複数の第2研削砥石が環状に配置されている。また、仕上げ研削領域C側の研削ユニット42のスピンドルハウジング44には、スピンドル46の上端側に接続されるモータ等の第2回転駆動源(不図示)が収容されている。
【0054】
第2回転駆動源の動力によって、スピンドル46とともに第2研削ホイール50bが回転する。第2研削ホイール50bの傍には、被加工物ユニット11と第2研削砥石とが接触する部分(加工点)に純水等の液体(研削液)を供給できる液体供給用ノズル(不図示)が設けられている。ただし、この液体供給用ノズルの代わりに、又は、液体供給用ノズルとともに、液体の供給に使用される液体供給口が第2研削ホイール50bに設けられていても良い。
【0055】
各チャックテーブル26に保持された被加工物ユニット11は、上述した2組の研削ユニット42によって順に研削される。具体的には、粗研削領域Bのチャックテーブル26に保持された被加工物ユニット11は、粗研削領域B側の研削ユニット42で研削され、仕上げ研削領域Cのチャックテーブル26に保持された被加工物ユニット11は、仕上げ研削領域C側の研削ユニット42で研削される。
【0056】
図1に示されるように、仕上げ研削領域C側の研削ユニット42の前方には、仕上げ研削後の被加工物ユニット11の厚みの値を算出するために利用される測定ユニット(第二の測定ユニット)52が設けられている。
【0057】
測定ユニット52は、測定対象の上面(本実施形態では、被加工物ユニット11の裏面11b)に先端が接触可能な第1測定部と、チャックテーブル26の保持面26aに先端が接触可能な第2測定部とを有する。そして、第1測定部及び第2測定部のそれぞれは、鉛直方向における先端の位置(高さ)を測定する。すなわち、第2測定ユニット52は、2つの接触式位置(高さ)測定器を含む。
【0058】
搬入搬出領域Aの前方、かつ、搬送機構22の側方には、研削された後の被加工物ユニット11を保持して前方に搬送する搬送機構54が設けられている。搬送機構54は、被加工物ユニット11の上面(本実施形態では、裏面11b)側を吸引して保持する保持パッドと、この保持パッドに接続されたアームとを備える。そして、搬送機構54は、アームによって保持パッドを旋回させることで、研削された後の被加工物ユニット11をチャックテーブル26から前方に搬送する。
【0059】
搬送機構54の前方には、搬送機構54によって搬出された被加工物ユニット11を洗浄する洗浄ユニット56が設けられている。洗浄ユニット56は、例えば、被加工物ユニット11の下面(本実施形態では、表面11a)側を保持した状態で回転するスピンナーテーブルと、スピンナーテーブルによって保持された被加工物ユニット11の上面(本実施形態では、裏面11b)側に洗浄用の流体を噴射するノズルとを備えている。
【0060】
この洗浄ユニット56で洗浄された被加工物ユニット11は、搬送機構6によって搬送される。例えば、被加工物ユニット11は、測定ユニット12の上面側測定器16と下面側測定器18との間に外周部が位置付けられて、その厚みの値が算出された後にカセット8bに搬入される。あるいは、被加工物ユニット11は、洗浄ユニット56から直接カセット8bに搬入されてもよい。
【0061】
さらに、研削装置2は、上記の構成要素以外の構成要素を備えてもよい。例えば、研削装置2は、オペレータからの指示を研削装置2へ入力するタッチセンサと、オペレータに向けて各種の情報を出力するディスプレイとによって構成されるタッチパネルを備えてもよい。
【0062】
研削装置2の各構成要素の動作は、研削装置2に内蔵される制御ユニットによって制御される。図5は、研削装置に内蔵される制御ユニットの一例を模式的に示すブロック図である。図5に示される制御ユニット58は、例えば、研削装置2の構成要素を制御するための信号を生成する処理部60と、処理部60において用いられる各種の情報(データ及びプログラム等)を記憶する記憶部62とを有する。
【0063】
なお、記憶部62においては、例えば、研削装置2において研削対象となる被加工物ユニット11を構成する被加工物13及びテープ19のそれぞれの厚みの値と、測定ユニット12の上面側測定器16と下面側測定器18との間隔の値とが予め記憶されている。
【0064】
処理部60の機能は、記憶部62に記憶されたプログラムを読みだして実行するCPU(Central Processing Unit)等によって具現される。また、記憶部62の機能は、DRAM(Dynamic Random Access Memory)、SRAM(Static Random Access Memory)及びNAND型フラッシュメモリ等の半導体メモリと、HDD(Hard Disk Drive)等の磁気記憶装置との少なくとも一つによって具現される。
【0065】
処理部60は、搬送部64、測定部66、研削部68及び判断部70を備える。処理部60においては、これらの機能部が異時又は同時に独立して処理を行う。また、処理部60は、搬送部64、測定部66、研削部68及び判断部70以外の機能部を有していてもよい。例えば、処理部60は、上記のタッチパネルの構成要素であるディスプレイの表示を制御する表示部を有してもよい。
【0066】
搬送部64は、搬送機構6、搬送機構22及び搬送機構54の動作を制御する。例えば、搬送部64は、被加工物ユニット11の外周部が測定ユニット12の上面側測定器16と下面側測定器18との間の位置(測定位置)に位置付けられるように搬送機構6の動作を制御する。
【0067】
測定部66は、測定ユニット12及び測定ユニット52の動作を制御する。例えば、測定部66は、外周部が上記の測定位置に位置付けられた被加工物ユニット11の上面と上面側測定器16との距離(第1距離)、及び、この被加工物ユニット11の下面と下面側測定器18との距離(第2距離)を測定するように測定ユニット12の動作を制御する。
【0068】
研削部68は、ターンテーブル24、チャックテーブル26及び研削ユニット42並びにこれらに関連する構成要素の動作を制御する。例えば、研削部68は、チャックテーブル26に保持された被加工物ユニット11が研削されるようにこれらの動作を制御する。
【0069】
判断部70は、測定ユニット12による測定に基づいて被加工物ユニット11の厚みの値を算出する。例えば、判断部70は、記憶部62に記憶された測定ユニット12の上面側測定器16と下面側測定器18との間隔の値から第1距離及び第2距離を減算して被加工物ユニット11の厚みの値を算出する。
【0070】
さらに、判断部70は、測定ユニット12による測定に基づいて得られる被加工物ユニット11の厚みの値に応じて被加工物ユニット11が研削対象であるか否かを判断する。例えば、判断部70は、記憶部62に記憶された被加工物13及びテープ19の厚みの値のそれぞれを合算した値と、算出された被加工物ユニット11の厚みの値と、を比較して、被加工物13に所望のテープ19が貼着されているか否かを判断する。
【0071】
そして、判断部70は、被加工物13に所望のテープ19が貼着されていると判断された場合に被加工物ユニット11が研削対象であると判断し、被加工物13に所望のテープ19が貼着されていないと判断された場合に被加工物ユニット11が研削対象ではないと判断する。
【0072】
図6は、研削装置2の駆動方法の一例を模式的に示すフローチャートである。この駆動方法においては、まず、カセット載置台10aに載置されたカセット8aから被加工物ユニット11を搬送機構6が搬出する(搬出ステップ:S1)。そして、搬送機構6は、被加工物ユニット11を上記の測定位置に位置付ける。
【0073】
次いで、被加工物ユニット11の厚みの値の算出に用いられる値、すなわち、上記の第1距離及び第2距離を測定ユニット12が測定する(測定ステップ:S2)。そして、制御ユニット58の判断部70は、上述のとおり、被加工物ユニット11の厚みの値を算出する。
【0074】
次いで、被加工物ユニット11の厚みの値に応じて被加工物ユニット11が研削対象であるか否かを判断部70が判断する(判断ステップ:S3)。具体的には、判断部70は、上述のとおり、被加工物13に所望のテープ19が貼着されているか否かに基づいて被加工物ユニット11が研削対象であるか否かを判断する。
【0075】
そして、被加工物ユニット11が研削対象であると判断された場合(S3:YES)には、被加工物ユニット11をチャックテーブル26に搬入する(搬入ステップ:S4)。具体的には、搬送機構6が被加工物ユニット11を位置調整機構20に搬入し、搬送機構22が位置調整機構20で位置が調整された被加工物ユニット11を位置調整機構20から搬出してチャックテーブル26に搬入する。
【0076】
チャックテーブル26に被加工物ユニット11が搬入されれば、被加工物ユニット11を研削する(研削ステップ:S5)。他方、被加工物ユニット11が研削対象ではないと判断された場合(S3:NO)には、被加工物ユニット11を再びカセット8aに搬入する(搬入ステップ:S6)。
【0077】
上述のとおり、研削装置2及びその駆動方法においては、測定ユニット12による測定に基づいて、カセット8aから搬出された後でチャックテーブル26に搬入される前の被加工物ユニット11の厚みの値を把握できる。ここで、被加工物ユニット11の厚みの値は、被加工物13及びそれに貼着されたテープ19の厚みのそれぞれの値を合算した値である。
【0078】
そのため、当該測定に基づけば、被加工物13に貼着されたテープ19が所望の厚みを有するものであるか、すなわち、所望の種類のものであるかを判断できる。換言すると、チャックテーブル26に搬入される前に被加工物ユニット11が研削対象であるか否かを判断できる。その結果、不適切なテープ19が貼着された被加工物13が研削されることが防止される。
【0079】
さらに、研削装置2においては、測定ユニット(第二の測定ユニット)52が正常に動作しているか否かを確認することもできる。図7は、このような確認を行う研削装置2の駆動方法の一例を模式的に示すフローチャートである。この駆動方法においては、まず、チャックテーブル26に保持された被加工物ユニット11を研削する(研削ステップ:S11)。
【0080】
次いで、チャックテーブル26に保持された被加工物ユニット11の厚みの値の算出に用いられる値、すなわち、鉛直方向における被加工物ユニット11の上面の位置(高さ)とチャックテーブル26の保持面26aの位置(高さ)を測定ユニット52が測定する(測定ステップ:S12)。
【0081】
そして、判断部70は、測定ユニット52による測定に基づいて被加工物ユニット11の厚みの値を算出する。具体的には、判断部70は、被加工物ユニット11の上面の位置(高さ)とチャックテーブル26の保持面26aの位置(高さ)との差を被加工物ユニット11の厚みの値として算出する。
【0082】
なお、測定ユニット52による測定は、被加工物ユニット11が研削される前から研削された後まで連続して行われてもよい。この場合、上記のタッチパネルの構成要素であるディスプレイを制御して、研削中の被加工物ユニット11の厚さを随時オペレータに報知すること等ができる。
【0083】
次いで、チャックテーブル26から被加工物ユニット11を搬出する(搬出ステップ:S13)。具体的には、搬送機構54が被加工物ユニット11を洗浄ユニット56に搬入し、搬送機構6が洗浄ユニット56で洗浄された被加工物ユニット11を洗浄ユニット56から搬出して上記の測定位置に位置付ける。
【0084】
次いで、被加工物ユニット11の厚みの値の算出に用いられる値、すなわち、上記の第1距離及び第2距離を測定ユニット(第一の測定ユニット)12が測定する(測定ステップ:S14)。そして、制御ユニット58の判断部70は、上述のとおり、被加工物ユニット11の厚みの値を算出する。
【0085】
次いで、測定ユニット52による測定に基づいて得られる被加工物ユニット11の厚みの値と、測定ユニット12による測定に基づいて得られる被加工物ユニット11の厚みの値と、を比較して、測定ユニット52が正常に動作しているか否かを判断部70が判断する(判断ステップ:S15)。
【0086】
例えば、判断部70は、両値が等しければ測定ユニット52が正常に動作していると判断し、両値が異なれば測定ユニット52が正常に動作していないと判断する。あるいは、判断部70は、両値の差が所定の閾値以下である場合に測定ユニット52が正常に動作していると判断し、両値の差が所定の閾値を超えている場合に測定ユニット52が正常に動作していないと判断してもよい。この場合、記憶部62は、この閾値を予め記憶していてもよい。
【0087】
そして、測定ユニット52が正常に動作していないと判断された場合(S15:NO)には、その旨をオペレータに報知する(報知ステップ:S16)。例えば、タッチパネルの構成要素であるディスプレイにエラーメッセージ(測定ユニット52が正常に動作していないことを示すメッセージ)を表示する。その後、搬送機構6が被加工物ユニット11をカセット載置台10bに載置されたカセット8bに搬入する(搬入ステップ:S17)。
【0088】
他方、測定ユニット52が正常に動作していると判断された場合(S15:YES)には、特段の処理を行うことなく、搬送機構6が被加工物ユニット11をカセット載置台10bに載置されたカセット8bに搬入する(搬入ステップ:S17)。
【0089】
また、測定ユニット(第二の測定ユニット)52が正常に動作しているか否かの確認は、被加工物ユニット11の研削前に行うこともできる。図8は、このような確認を行う研削装置2の駆動方法の一例を模式的に示すフローチャートである。この駆動方法においては、まず、カセット載置台10aに載置されたカセット8aから被加工物ユニット11を搬送機構6が搬出する(搬出ステップ:S21)。
【0090】
次いで、被加工物ユニット11の厚みの値の算出に用いられる値、すなわち、上記の第1距離及び第2距離を測定ユニット(第一の測定ユニット)12が測定する(測定ステップ:S22)。そして、制御ユニット58の判断部70は、上述のとおり、被加工物ユニット11の厚みの値を算出する。
【0091】
次いで、被加工物ユニット11をチャックテーブル26に搬入する(搬入ステップ:S23)。具体的には、搬送機構6が被加工物ユニット11を位置調整機構20に搬入し、搬送機構22が位置調整機構20で位置が調整された被加工物ユニット11を位置調整機構20から搬出してチャックテーブル26に搬入する。
【0092】
次いで、チャックテーブル26に保持された被加工物ユニット11の厚みの値の算出に用いられる値、すなわち、鉛直方向における被加工物ユニット11の上面の位置(高さ)とチャックテーブル26の保持面26aの位置(高さ)を測定ユニット(第二の測定ユニット)52が測定する(測定ステップ:S24)。
【0093】
そして、判断部70は、測定ユニット52による測定に基づいて被加工物ユニット11の厚みの値を算出する。具体的には、判断部70は、被加工物ユニット11の上面の位置(高さ)とチャックテーブル26の保持面26aの位置(高さ)との差を被加工物ユニット11の厚みの値として算出する。
【0094】
次いで、測定ユニット52による測定に基づいて得られる被加工物ユニット11の厚みの値と、測定ユニット12による測定に基づいて得られる被加工物ユニット11の厚みの値と、を比較して、測定ユニット52が正常に動作しているか否かを判断部70が判断する(判断ステップ:S25)。
【0095】
例えば、判断部70は、両値が等しければ測定ユニット52が正常に動作していると判断し、両値が異なれば測定ユニット52が正常に動作していないと判断する。あるいは、判断部70は、両値の差が所定の閾値以下である場合に測定ユニット52が正常に動作していると判断し、両値の差が所定の閾値を超えている場合に測定ユニット52が正常に動作していないと判断してもよい。この場合、記憶部62は、この閾値を予め記憶していてもよい。
【0096】
そして、測定ユニット52が正常に動作していないと判断された場合(S25:NO)には、その旨をオペレータに報知する(報知ステップ:S26)。例えば、タッチパネルの構成要素であるディスプレイにエラーメッセージ(測定ユニット52が正常に動作していないことを示すメッセージ)を表示する。
【0097】
図7及び図8のそれぞれに示される研削装置2の駆動方法においては、測定ユニット(第二の測定ユニット)52による測定に基づいて得られる被加工物ユニット11の厚みの値と、測定ユニット(第一の測定ユニット)12による測定に基づいて得られる被加工物ユニット11の厚みの値と、を比較することで測定ユニット52が正常に動作しているかが確認される。
【0098】
そのため、測定ユニット52の故障又は動作不良を早期に発見することができる。これにより、被加工物ユニット11に対する研削が過剰になる又は不足することによる加工不良の発生等の問題を早期に発見することが可能になる。
【0099】
また、研削装置2においては、被加工物ユニット11が研削対象であるか否かの確認及び測定ユニット(第二の測定ユニット)52が正常に動作しているか否かの確認が共に測定ユニット(第一の測定ユニット)12を用いて行われる。そのため、研削装置2は、両者の確認を行う個別の構成要素を備える研削装置と比較して、構造が簡略化されている点で好ましい。
【0100】
なお、研削装置2は、本発明の研削装置の一例に過ぎず、本発明の研削装置は、研削装置2に限定されない。例えば、測定ユニット12及び測定ユニット52は、被加工物ユニット11の厚さを直接的に測定する測定ユニットに置換されてもよい。同様に、測定ユニット12は、測定対象に接触した状態で測定を行う測定ユニットに置換されてもよく、また、測定ユニット52は、測定対象に接触していない状態で(非接触で)測定を行う測定ユニットに置換されてもよい。
【0101】
また、図6図8に示される研削装置2の駆動方法は、本発明の研削装置の駆動方法の一例に過ぎず、本発明の研削装置の駆動方法は、図6図8のいずれかに示される研削装置2の駆動方法に限定されない。例えば、図6図8に含まれる各ステップが任意に組み合わせられた研削装置の駆動方法も本発明の研削装置の駆動方法の一例である。
【0102】
その他、上述した実施形態及び変形例にかかる構造及び方法等は、本発明の目的の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜変更して実施できる。
【符号の説明】
【0103】
11 :被加工物ユニット(11a:表面、11b:裏面)
13 :被加工物(13a:表面、13b:裏面)
15 :分割予定ライン
17 :デバイス
19 :テープ(19a:被加工物に貼着されない側の面)
2 :研削装置
4 :基台(4a:開口)
6 :搬送機構
8a,8b :カセット
10a,10b:カセット載置台
12 :測定ユニット
14 :支持部
16 :上面側測定器(16a:投光部、16b:受光部)
18 :下面側測定器(18a:投光部、18b:受光部)
20 :位置調整機構
22 :搬送機構
24 :ターンテーブル
26 :チャックテーブル(26a:保持面)
28 :支持構造
30 :Z軸移動機構
32 :ガイドレール
34 :移動プレート
36 :ねじ軸
38 :モータ
40 :固定具
42 :研削ユニット
44 :スピンドルハウジング
46 :スピンドル
48 :マウント
50a :第1研削ホイール
50b :第2研削ホイール
52 :測定ユニット
54 :搬送機構
56 :洗浄ユニット
58 :制御ユニット
60 :処理部
62 :記憶部
64 :搬送部
66 :測定部
68 :研削部
70 :判断部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8