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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022098709
(43)【公開日】2022-07-04
(54)【発明の名称】粘着テープ及び粘着剤
(51)【国際特許分類】
   C09J 7/38 20180101AFI20220627BHJP
   C09J 11/08 20060101ALI20220627BHJP
   C09J 153/02 20060101ALI20220627BHJP
【FI】
C09J7/38
C09J11/08
C09J153/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020212269
(22)【出願日】2020-12-22
(71)【出願人】
【識別番号】000002886
【氏名又は名称】DIC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100177471
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 眞治
(74)【代理人】
【識別番号】100163290
【弁理士】
【氏名又は名称】岩本 明洋
(74)【代理人】
【識別番号】100149445
【弁理士】
【氏名又は名称】大野 孝幸
(72)【発明者】
【氏名】山川 大輔
【テーマコード(参考)】
4J004
4J040
【Fターム(参考)】
4J004AA06
4J004AA07
4J004AB01
4J004CA04
4J004CB03
4J004CC02
4J004DA01
4J004DB03
4J004EA01
4J004FA05
4J004FA08
4J040BA172
4J040BA192
4J040BA202
4J040DM001
4J040DM011
4J040HB36
4J040JA02
4J040JA09
4J040JA12
4J040JB09
4J040KA23
4J040KA26
4J040KA29
4J040LA06
4J040MA10
4J040MA11
4J040MA12
4J040MB03
4J040NA05
4J040NA12
4J040NA16
4J040NA17
4J040NA19
4J040PA23
4J040PA33
(57)【要約】
【課題】本発明は、特にポリオレフィン系発泡体に対して優れた接着力を有する粘着テープ及び粘着剤を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明は、スチレン-イソプレンブロック共重合体(A)と、粘着付与樹脂(B)とを含有し、スチレン-イソプレンブロック共重合体(A)は、スチレン-イソプレンジブロック共重合体(a1)及びスチレン-イソプレントリブロック共重合体(a2)を含有し、上記粘着付与樹脂(B)の含有量がスチレン-イソプレンブロック共重合体(A)100質量部に対して75質量部以上であり、上記粘着付与樹脂(B)は石油樹脂(b1)とロジン系樹脂(b2)とを含有し、上記石油樹脂(b1)と上記ロジン系樹脂(b2)との配合比(b1:b2)が2:1~10:1の範囲内である粘着剤層を有することを特徴とする、粘着テープ及び上記粘着剤層を形成可能な粘着剤を提供する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
スチレン-イソプレンブロック共重合体(A)と、粘着付与樹脂(B)とを含有し、
スチレン-イソプレンブロック共重合体(A)は、スチレン-イソプレンジブロック共重合体(a1)及びスチレン-イソプレントリブロック共重合体(a2)を含有し、
前記粘着付与樹脂(B)の含有量がスチレン-イソプレンブロック共重合体(A)100質量部に対して75質量部以上であり、
前記粘着付与樹脂(B)は石油樹脂(b1)とロジン系樹脂(b2)とを含有し、
前記石油樹脂(b1)と前記ロジン系樹脂(b2)との配合比(b1:b2)が2:1~10:1の範囲内である粘着剤層を有することを特徴とする、粘着テープ。
【請求項2】
前記石油樹脂(b1)の含有量が、前記粘着付与樹脂(B)100質量%中に60質量%以上である、請求項1に記載の粘着テープ。
【請求項3】
前記石油樹脂(b1)が、脂肪族系石油樹脂、芳香族系石油樹脂、及び脂肪族・芳香族共重合系石油樹脂からなる群から選択される少なくとも1種である、請求項1または2までのいずれか1項に記載の粘着テープ。
【請求項4】
前記ロジン系樹脂(b2)が、重合ロジン系樹脂である、請求項1~3までのいずれか1項に記載の粘着テープ。
【請求項5】
前記スチレン-イソプレンブロック共重合体(A)中の下記化学式(1)で示される構造単位が10~80質量%である請求項1~4までのいずれか1項に記載の粘着テープ。
【数1】
【請求項6】
前記スチレン-イソプレンブロック共重合体(A)の全量に対するスチレン-イソプレンジブロック共重合体(a1)の割合が10質量%~80質量%である、請求項1~5のいずれか1項に記載の粘着テープ。
【請求項7】
以下の測定方法でポリオレフィン系発泡体に対するT字ピール接着力を測定したときに、前記ポリオレフィン系発泡体の材料破壊が生じて剥離する、請求項1~6のいずれか1項に記載の粘着テープ。
(測定方法)
20mm幅×100mm長さに切断した前記粘着テープの両面に、ポリオレフィン系発泡体からなる被着体をそれぞれ貼り合わせた後、その上面を2kgローラーで1往復させて圧着し、60℃の環境下に24時間放置したものを試験片として、23℃の環境下で前記試験片の一方の前記被着体の片端を、テンシロン引張試験機の引っ張り装置部の下側チャックへ固定し、もう一方の前記被着体の片端を、テンシロン引張試験機の引っ張り装置部の上側チャックへ固定し、50mm/分の速度で上側チャックを引っ張ることにより、T字ピール接着力を測定する。
【請求項8】
以下の測定方法で測定される、ポリオレフィン系発泡体に対するT字ピール接着力15N/20mm以上である、請求項1~7のいずれか1項に記載の粘着テープ。
(測定方法)
20mm幅×100mm長さに切断した前記粘着テープの両面に、ポリオレフィン系発泡体からなる被着体をそれぞれ貼り合わせた後、その上面を2kgローラーで1往復させて圧着し、60℃の環境下に24時間放置したものを試験片として、23℃の環境下で前記試験片の一方の前記被着体の片端を、テンシロン引張試験機の引っ張り装置部の下側チャックへ固定し、もう一方の前記被着体の片端を、テンシロン引張試験機の引っ張り装置部の上側チャックへ固定し、50mm/分の速度で上側チャックを引っ張ることにより、T字ピール接着力を測定する。
【請求項9】
スチレン-イソプレンブロック共重合体(A)と、粘着付与樹脂(B)とを含有し、
スチレン-イソプレンブロック共重合体(A)は、スチレン-イソプレンジブロック共重合体(a1)及びスチレン-イソプレントリブロック共重合体(a2)を含有し、
前記粘着付与樹脂(B)の含有量がスチレン-イソプレンブロック共重合体(A)100質量部に対して75質量部以上であり、
粘着付与樹脂(B)は石油樹脂(b1)とロジン系樹脂(b2)とを含有し、
前記石油樹脂(b1)と前記ロジン系樹脂(b2)との配合比(b1:b2)が2:1~10:1の範囲内である粘着剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば電子機器等を構成する部品の固定に使用可能な粘着剤及び粘着テープに関するものである。
【背景技術】
【0002】
スチレン-イソプレンブロック共重合体を含有するゴム系粘着剤は、ポリエチレンやポリプロピレン等の被着体に対して良好な初期接着力を有することから、例えば電子機器を構成する部品や自動車内外装部材の固定に際し好適に使用されている。
【0003】
例えば特許文献1には、ゴム系粘着剤を用いた粘着テープとして、例えば基材の両面にゴム系粘着剤層を有する両面粘着テープであって、上記ゴム系粘着剤層がスチレン系樹脂と所定の粘着付与樹脂からなる両面粘着テープが開示されている。
【0004】
上記両面粘着テープは、ポリオレフィン系樹脂を含む部材には良好な接着性を発現し得ると開示されているが、更に接着性を改善する余地があった。とりわけ、応力を分散しやすい発泡体部材や、剛体部材の貼り合わせでは、貼り合わせ時の加圧を十分にできず、粘着テープと部材との密着性が十分に得られにくく、粘着テープと部材との界面剥離が生じやすいといった接着不良が懸念されていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2019-52280号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂を含む被着体、特にポリオレフィン系発泡体に対して優れた接着力を有する粘着テープ及び粘着剤を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明は、スチレン-イソプレンブロック共重合体(A)と、粘着付与樹脂(B)とを含有し、スチレン-イソプレンブロック共重合体(A)は、スチレン-イソプレンジブロック共重合体(a1)及びスチレン-イソプレントリブロック共重合体(a2)を含有し、上記粘着付与樹脂(B)の含有量がスチレン-イソプレンブロック共重合体(A)100質量部に対して75質量部以上であり、上記粘着付与樹脂(B)は石油樹脂(b1)とロジン系樹脂(b2)とを含有し、上記石油樹脂(b1)と上記ロジン系樹脂(b2)との配合比(b1:b2)が2:1~10:1の範囲内である粘着剤層を有することを特徴とする粘着テープを提供する。
【0008】
また、本発明は上記粘着剤層を構成することが可能な粘着剤を提供する。
【発明の効果】
【0009】
本発明の粘着テープ及び粘着剤は、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂を含む被着体、特にポリオレフィン系発泡体に対して優れた接着力を有する。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の粘着テープは、所定の組成の粘着剤層を有する。以下、本発明の粘着テープ及び上記粘着剤の形成に用いられる粘着剤について説明する。
【0011】
1.粘着剤層
本発明の粘着テープの粘着剤層は、スチレン-イソプレンジブロック共重合体(a1)とスチレン-イソプレントリブロック共重合体(a2)とを含有するスチレン-イソプレンブロック共重合体(A)、及び、粘着付与樹脂(B)を含有する粘着剤からなる。本発明における粘着剤層及び上記粘着剤層を構成する粘着剤は、上記粘着付与樹脂(B)の含有量がスチレン-イソプレンブロック共重合体(A)100質量部に対して75質量部以上であることを特徴とする。また、上記粘着付与樹脂(B)は石油樹脂(b1)とロジン系樹脂(b2)とを含有し、上記石油樹脂(b1)と上記ロジン系樹脂(b2)との配合比(b1:b2)が2:1~10:1の範囲内であることを特徴とする。
【0012】
上記粘着剤層及び上記粘着剤層を構成する粘着剤が、特定のスチレン系樹脂(A)と共に、特定の粘着付与樹脂(B)を、所定の配合量で含有することで、ポリオレフィン系樹脂を主成分とする被着体、特に応力を分散しやすく十分な密着性が得られにくいポリオレフィン系発泡体に対して高い接着(粘着)力を示すことができる。
【0013】
また、上記粘着剤層及び上記粘着剤層を構成する粘着剤は、上述した特定の組成を有することで、ポリオレフィン系発泡体に対する高い接着性に加えて、熱に晒される環境での使用においても、経時的な界面剥離が生じにくく高い保持力を発揮することができ、優れた熱耐久性を有することができる。
【0014】
-スチレン-イソプレンブロック共重合体(A)-
本発明における粘着剤層及び上記粘着剤層を構成する粘着剤に含まれるスチレン-イソプレンブロック共重合体(A)としては、下記化学式(1)で示される構造単位を有するものを使用する。上記構造単位は、具体的にはスチレンに由来する構造であることが好ましい。
【0015】
上記スチレン-イソプレンブロック共重合体(A)は、上記スチレン-イソプレンブロック共重合体(A)の全質量に対して、下記化学式(1)で示される構造単位を10質量%~80質量%の範囲で有するものを使用することが好ましく、12~60質量%の範囲で有するものを使用することがより好ましく、15~40質量%の範囲で有するものを使用することが更に好ましく17~35質量%の範囲で有するものを使用することがよりいっそう好ましい。これにより、ポリオレフィン系材料やポリエステル系材料をはじめとするポリオレフィン系樹脂を主成分とする被着体、中でもポリオレフィン系発泡体に対する密着性が高く、より一層優れた初期接着性発揮することが可能な粘着剤層とすることができるからである。また、熱耐久性に優れた粘着剤層とすることができる。
【0016】
【数1】
【0017】
なお、上記構造単位の量は、スチレン-イソプレンブロック共重合体(A)の合計質量に対する上記式(1)で示される構造の質量割合を指す。
【0018】
本発明においては、上記スチレン-イソプレンブロック共重合体(A)は、上記スチレン-イソプレンジブロック共重合体(a1)とスチレン-イソプレントリブロック共重合体(a2)とを含有する。上記スチレン-イソプレンブロック共重合体(A)が、上記スチレン-イソプレンジブロック共重合体(a1)とスチレン-イソプレントリブロック共重合体(a2)との混合物であることが好ましい。上記(a1)及び(a2)の混合物である上記スチレン-イソプレンブロック共重合体(A)の製造方法としては、上記(a1)及び(a2)をそれぞれ別々に製造した後にそれらを混合する方法、または、スチレンとイソプレンとをそれぞれ別々に重合させることによってポリスチレン及びポリイソプレンを製造し、それらを反応させることで上記(a1)及び(a2)の混合物を得る方法によって製造することができる。
【0019】
上記スチレン-イソプレンブロック共重合体(A)の全量に対するスチレン-イソプレンジブロック共重合体(a1)の割合が10質量%~80質量%の範囲であることが好ましく、中でも15質量%~75質量%の範囲であることが更に好ましく、20質量%~70質量%の範囲であることが更に好ましく、25質量%~65質量%の範囲であることがより好ましい。また、上記スチレン-イソプレンブロック共重合体(A)が、スチレン-イソプレンジブロック共重合体(a1)とスチレン-イソプレントリブロック共重合体(a2)とからなる混合物において、上記スチレン-イソプレンブロック共重合体(A)は、スチレン-イソプレンジブロック共重合体(a1)とスチレン-イソプレントリブロック共重合体(a2)の合計質量に対して、上記スチレン-イソプレンジブロック共重合体(a1)を10質量%~80質量%の範囲で含有するものを使用することが好ましく、中でも15質量%~75質量%の範囲で含有するものを使用することが好ましく、20質量%~70質量%の範囲で含有するものを使用することが更に好ましく、25質量%~65質量%の範囲で使用することがよりいっそう好ましい。ポリオレフィン系材料やポリエステル系材料をはじめとするポリオレフィン系樹脂を主成分とする被着体、中でもポリオレフィン系発泡体に対して密着性が高く、より一層優れた初期接着性を発揮することが可能な粘着剤層とすることができるからである。また、熱耐久性に優れた粘着剤層とすることができるからである。
【0020】
また、上記スチレン-イソプレンブロック共重合体(A)としては、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)を用い標準ポリスチレン換算で測定された重量平均分子量(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー、東ソー社製SC-8020、高分子量カラムTSKgelGMHHR-H、溶媒:テトラヒドロフラン)が1万~80万の範囲であるものを使用することが好ましく、3万~50万の範囲であるものを使用することがより好ましく、5万~30万の範囲であるものを使用することがよりいっそう好ましい。上記範囲であることで、加熱流動性や溶剤希釈時の相溶性を確保できるため製造工程における作業性が良好でありながら、ポリオレフィン系樹脂を主成分とする被着体、中でもポリオレフィン系発泡体に対して優れた密着性及び高い初期接着性を備え、さらに熱耐久性に優れた接着層を得るうえでより好ましい。
【0021】
上記スチレン-イソプレンブロック共重合体(A)は、例えば、線状構造や分岐構造または多分岐構造などの単一構造のものを使用することが出来るが、異なる構造のものを混合して使用することも可能である。線状構造が豊富なスチレン系樹脂を粘着剤層に使用した際は本発明の粘着テープに優れた接着性能を与える。一方、分岐構造や多分岐構造でありながら分子末端にスチレンブロックを配したものは擬似的架橋構造を取ることができ、優れた凝集力を与えることができるため、高い保持力を与えることができる。これらは必要な特性にあわせて混合して使用することが好ましい。
【0022】
上記スチレン-イソプレンブロック共重合体(A)は、例えばスチレンとイソプレンとをそれぞれ別々に重合させることによってポリスチレン及びポリイソプレンを製造し、それらを反応させる方法、スチレンを重合させることによって重合体を得た後、上記重合体とイソプレンとを反応させる方法等の従来知られた方法により製造することができる。
【0023】
-粘着付与樹脂(B)-
本発明における粘着剤層及び上記粘着剤層を構成する粘着剤に使用する粘着付与樹脂(B)は、石油樹脂(b1)とロジン系樹脂(b2)とを含有し、上記石油樹脂(b1)と上記ロジン系樹脂(b2)との配合比(b1:b2)が2:1~10:1の範囲内であることを特徴とする。また、上記粘着付与樹脂(B)の含有量は、スチレン-イソプレンブロック共重合体(A)100質量部に対して75質量部以上である。これにより、上述した特定のスチレン系樹脂(A)との併用により、ポリオレフィン系樹脂を主成分とする被着体、中でもポリオレフィン系発泡体に対して密着性が高く、より一層優れた初期接着性を発揮することが可能な粘着層とすることができる。
【0024】
上記粘着付与樹脂(B)は、石油樹脂(b1)と上記ロジン系樹脂(b2)との配合比(b1:b2)が2:1~10:1の範囲内であればよく、中でも3:1~8:1の範囲内であることが好ましく、3:1~6:1の範囲内が更に好ましく、4:1~6:1の範囲内がより好ましい。ポリオレフィン系樹脂を主成分とする被着体、中でもポリオレフィン系発泡体に対する接着力を高めることができるからである。なお、上記石油樹脂(b1)と上記ロジン系樹脂(b2)との配合比(b1:b2)とは、質量比である。
【0025】
また、粘着剤層及び上記粘着剤層を構成する粘着剤に含まれる上記粘着付与樹脂(B)の含有量は、スチレン-イソプレンブロック共重合体(A)100質量部に対して75質量部以上であればよく、中でも80質量部~200質量部の範囲で使用することが好ましく、90質量部~180質量部の範囲で使用することがより好ましく、100質量部~160質量部の範囲で使用することがさらに好ましい。スチレン-イソプレンブロック共重合体(A)100質量部に対する粘着付与樹脂(B)の配合量を上記範囲内とすることで、ポリオレフィン系樹脂を主成分とする被着体、中でもポリオレフィン系発泡体に対して密着性が高く、より一層優れた初期接着性を発揮することが可能な粘着剤層とすることができるからである。また、熱耐久性に優れた粘着剤層とすることができるからである。
【0026】
=石油樹脂(b1)=
上記石油樹脂(b1)としては、軟化点が80℃以上であることが好ましく、中でも80℃~160℃の範囲内が好ましく、90℃~150℃の範囲内が更に好ましく、一層優れた接着性と優れた耐熱性の観点から100℃~130℃の範囲内がより好ましい。石油樹脂(b1)の軟化点が上記の範囲にあることで、粘着剤層及び上記粘着剤層を構成する粘着剤の凝集力を維持したまま接着性の向上を図れるため、ポリオレフィン系樹脂を主成分とする被着体、中でもポリオレフィン系発泡体に対して一層優れた接着性を発現できるからである。上記軟化点は、JISK2207に規定の方法(乾球式)で測定された値を指す。
【0027】
上記石油樹脂(b1)としては、例えば常温(23℃)で固体状のものを使用することが好ましく、脂肪族系石油樹脂、芳香族系石油樹脂、脂肪族・芳香族共重合系石油樹脂、これらの水素添加物(例えば脂環族系石油樹脂、脂肪族・脂環族系石油樹脂)、クマロン系樹脂、クマロンインデン系樹脂等の石油樹脂を使用することができる。中でも上記石油樹脂(b1)が、脂肪族系石油樹脂、芳香族系石油樹脂、及び脂肪族・芳香族共重合系石油樹脂からなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。スチレン-イソプレンブロック共重合体(A)との相溶性が高く、ポリオレフィン系樹脂を主成分とする被着体、中でもポリオレフィン系発泡体に対して優れた接着性を発現できるからである。また、粘着剤層を形成する前において、粘着剤が優れた溶液での貯蔵安定性を確保できるからである。
【0028】
前脂肪族系石油樹脂としては、ペンテン、ペンタジエン、イソプレン等から得られるC系石油樹脂を好ましく使用することができ、例えば、エスコレッツ1202、1304、1401(東燃化学合同会社製)、ウイングタック95(グッドイヤー・タイヤ・アンド・ラバー・カンパニー製)、クイントンK100、R100、F100(日本ゼオン株式会社製)、ピコタック95、ピコペール100(理化ハーキュレス製)等を使用することができる。
【0029】
上記芳香族系石油樹脂としては、インデン、メチルインデン、ビニルトルエン、スチレン、α-メチルスチレン、β-メチルスチレン等から得られるC系石油樹脂を好ましく使用することができる。
【0030】
上記脂肪族/芳香族共重合系石油樹脂としては、上記したC系石油樹脂とC系石油樹脂との共重合体であるC系/C系石油樹脂を好ましく使用することができ、例えば、エスコレッツ2101(トーネックス製)、クイントンG115(日本ゼオン製)、ハーコタック1149(理化ハーキュレス製)等を使用することができる。
【0031】
上記脂環族系石油樹脂としては、上記したC系石油樹脂に水素添加して得られるが、例えば、エスコレッツ5300(トーネックス製)、アルコンP-100(荒川化学工業製)、リガライトR101(理化ファインテク製)等を使用することができる。
【0032】
粘着剤層及び上記粘着剤層を構成する粘着剤中の石油樹脂(b1)は、1種単独で含まれていても良く、2種以上含まれていても良い。
【0033】
石油樹脂(b1)は、ロジン系樹脂(b2)との配合比率を満たした上で、粘着付与樹脂(B)中で最も多く含まれることが好ましく、中でも石油樹脂(b1)含有量が、粘着付与樹脂(B)の全量(100質量%)中60質量%以上であることが好ましく、75質量%以上であることが更に好ましく、80質量%以上であることがより好ましい。スチレン-イソプレンブロック共重合体(A)との相溶性が高い石油樹脂(b1)の量を上記の範囲で含むことで、ポリオレフィン系樹脂を主成分とする被着体、中でもポリオレフィン系発泡体に対して優れた接着性を発現できるからである。また、また、粘着剤層を形成する前において、粘着剤が優れた溶液での貯蔵安定性を確保できる
【0034】
=ロジン系樹脂(b2)=
上記ロジン系樹脂(b2)としては、ロジン骨格を有する樹脂が挙げられ、例えばロジン樹脂、(メタ)アクリル酸、フマル酸、マレイン酸等の不飽和酸で変性した不飽和酸変性ロジン、フェノール、アルキルフェノール等のフェノール類で変性したロジンフェノール、ロジン樹脂を不均化して得られる不均化ロジン樹脂、ロジン樹脂を重合して得られる重合ロジン樹脂等のロジン樹脂類;上記ロジン樹脂類とアルコール類とのエステル化物であるロジンエステル樹脂;ロジン樹脂類やロジンエステル樹脂を水素化して得られる水素化ロジン系樹脂や水素化ロジンエステル樹脂;等が挙げられる。中でも粘着剤層の凝集力を高め、ポリオレフィン系樹脂を主成分とする被着体、中でもポリオレフィン系発泡体に対して優れた接着性能を発現する点で、重合ロジン樹脂が好ましい。
【0035】
上記ロジン系樹脂(b2)は、軟化点が80℃以上であることが好ましく、中でも90℃~200℃の範囲内が好ましく、100℃~180℃の範囲内が更に好ましく、110℃~160℃の範囲内がより好ましい。ロジン系樹脂(b2)の軟化点が上記の範囲にあることで、粘着剤層の凝集力を高め、ポリオレフィン系樹脂を主成分とする被着体、中でもポリオレフィン系発泡体に対して優れた接着性能を発現するからである。上記軟化点は、JISK2207に規定の方法(乾球式)で測定された値を指す。
【0036】
粘着剤層及び上記粘着剤層を構成する粘着剤中のロジン系樹脂(b2)は1種単独で含まれていても良く、2種以上含まれていても良い。
【0037】
=その他の粘着付与樹脂(b3)=
本発明における粘着剤層及び上記粘着剤層を構成する粘着剤は、粘着付与樹脂(B)として石油樹脂(b1)及びロジン系樹脂(b2)を少なくとも含有するが、上記樹脂(b1)及び樹脂(b2)以外の樹脂(b3)を含んでいても良い。樹脂(b3)としては、公知の粘着付与樹脂が挙げられ、例えばテルペン系樹脂、フェノール系樹脂、ケトン系樹脂等が挙げられる。上記樹脂(b3)の含有量は、粘着付与樹脂(B)の全量(100質量%)中20質量%以下であることが好ましく、中でも10質量%以下であることが好ましく、1質量%以下であることがさらに好ましく、特に0質量%、すなわち実質的に粘着付与樹脂(B)が1種又は2種以上の石油樹脂(b1)及び1種又は2種以上のロジン系樹脂(b2)で構成されることが好ましい。
【0038】
-任意成分-
本発明における粘着剤層及び上記粘着剤層を構成する粘着剤は、上記した成分のほかに必要に応じて、その他のポリマー成分、架橋剤、粘着剤に一般的に使用できる老化防止剤、紫外線吸収剤、充填剤、顔料、増粘剤等の添加剤を、本発明の効果を損なわない範囲で使用することができる。なかでも、老化防止剤を含有することが、より一層優れた熱耐久性を向上させるうえで好ましい。
【0039】
上記老化防止剤としては、例えばフェノール系老化防止剤を使用することが、スチレン-イソプレンブロック共重合体(A)の耐熱安定性を効果的に向上させることができ、その結果、良好な初期接着性を維持し、かつ、より一層優れた熱耐久性を備えた粘着剤及び粘着テープを得ることができるため好ましい。
【0040】
上記フェノール系老化防止剤としては、一般に立体障害性基を有するフェノール系化合物であり、モノフェノール型、ビスフェノール型、ポリフェノール型が代表的である。具体例としては、2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノール、2,2’-メチレンビス(4-メチル-6-t-ブチルフェノール)、2,2’-メチレンビス(4-エチル-6-t-ブチルフェノール)、4,4’-チオビス(6-t-ブチル-3-メチルフェノール)、4,4’-ブチリデンビス-(3-メチル-6-t-ブチルフェノール)、テトラキス-[メチレン-3-(3’5’-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、n-オクタデシル-3-(4’-ヒドロキシ-3’5’-ジ-t-ブチルフェニル)プロピオネート等を単独または2種以上組み合わせ使用することができる。
【0041】
上記フェノール系老化防止剤は、上記スチレン-イソプレンブロック共重合体(A)100質量部に対し、0.1質量部~5質量部の範囲で使用することが好ましく、0.5質量部~3質量部の範囲で使用することが、スチレン-イソプレンブロックコポリマーの耐熱安定性を効果的に向上させることができ、その結果、良好な初期接着性を維持し、かつ、より一層優れた熱耐久性を備えた粘着剤及び粘着テープを得ることができる。
【0042】
上記老化防止剤としては、上記フェノール系老化防止剤と、リン系老化防止剤(加工安定剤とも言われる)、アミン系老化防止剤、イミダゾール系老化防止剤等のその他老化防止剤を組み合わせ使用してもよく、とりわけ、上記フェノール系老化防止剤とリン系老化防止剤とを組み合わせ使用することが、良好な初期接着性を維持し、かつ、より一層優れた熱耐久性を備えた粘着剤及び粘着テープを得ることができる。なお、上記リン系老化防止剤は、高温環境下において経時的にわずかに変色(黄変)する場合があるため、その使用量は、上記初期接着性と熱耐久性と変色防止とのバランスを考慮し適宜設定することが好ましい。
【0043】
-粘着剤層-
本発明における粘着剤層は、乾燥後厚さが5μm~300μmの厚さを有するものを使用することが好ましく、10μm~200μmの厚さのものを使用することが、ポリオレフィン系樹脂を主成分とする被着体、中でもポリオレフィン系発泡体に対してより一層優れた初期接着力を備えた粘着テープを得るうえでより好ましい。
【0044】
2.その他
-粘着テープの構成及び物性-
本発明の粘着テープは、上述の粘着剤層を有すればよく、具体的な態様としては、基材(中芯)の片面または両面に、直接または他の層を介して粘着剤層が積層された片面粘着テープまたは両面粘着テープ、粘着剤層のみから構成されるいわゆる基材レスの両面粘着テープ等が挙げられる。
【0045】
上記基材としては、例えばポリエステルフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリイミドフィルム等のプラスチックフィルムや、ウレタン、ポリエチレン、ゴム系等のフォーム体、不織布、布、金属箔、紙等公知のものを使用することができる。中でも、不織布を使用することが、被着体が有する凹凸面に対する密着性が向上し、その結果、優れた初期接着力を発現可能な粘着テープが得られるため好ましい。
【0046】
上記不織布としては、好ましくはパルプ、レーヨン、マニラ麻、アクリロニトリル、ナイロン、ポリエステル等の繊維によって構成されるものを使用することができる。また、上記不織布としては、引張強度を向上させるために、ビスコースのような熱可塑性樹脂をバインダーとした含浸処理などの処理をしても良い。
【0047】
また、上記不織布としては、その坪量が5g/m~150g/mの範囲であるものを使用することが好ましく、10g/m~100g/mの範囲であるものを使用することがより好ましく、15g/m~50g/mの範囲であるものを使用することが、粘着テープの引張強度が向上し、かつ貼付作業性を向上できるためより好ましい。
【0048】
上記基材は、10μm~300μmの厚さのものを使用することが好ましく、30μm~200μmの厚さのものを使用することがより好ましく、50μm~150μmの厚さのものを使用することが、粘着テープの引張強度が向上し、かつ貼付作業性を向上できるためより好ましい。
【0049】
本発明の粘着テープは、粘着剤層の表面に離型ライナーを有していても良い。離型ライナーとしては、公知のものを用いることができる。
【0050】
本発明の粘着テープは、10μm~400μmの範囲の総厚さを有するものであることが好ましく、50μm~300μmの範囲の総厚さを有するものであることが、より一層優れた初期接着力を備えた粘着テープを得るうえで好ましい。なお、粘着テープの総厚さには、離型ライナーの厚さは含まれないものとする。
【0051】
また、本発明の粘着テープは、例えば枚葉、ロール状の製品形態で使用することができる。
【0052】
本発明の粘着テープは、以下の測定方法でポリオレフィン系発泡体に対するT字ピール接着力を測定したときに、上記ポリオレフィン系発泡体の材料破壊が生じて剥離することが好ましい。また、本発明の粘着テープは、以下の測定条件で測定される、ポリオレフィン系発泡体に対するT字ピール接着力が、15(N/20mm)以上であることが好ましく、18(N/20mm)以上であることがさらに好ましく、20(N/20mm)以上であることがより好ましい。ポリオレフィン系樹脂を主成分とする被着体、中でもポリオレフィン系発泡体に対して優れた接着力を発揮することができるからである。
【0053】
(測定方法)
20mm幅×100mm長さに切断した上記粘着テープの両面に、ポリオレフィン系発泡体からなる被着体をそれぞれ貼り合わせた後、その上面を2kgローラーで1往復させて圧着し、60℃の環境下に24時間放置したものを試験片として、23℃の環境下で上記試験片の一方の上記被着体の片端を、テンシロン引張試験機の引っ張り装置部の下側チャックへ固定し、もう一方の上記被着体の片端を、テンシロン引張試験機の引っ張り装置部の上側チャックへ固定し、50mm/分の速度で上側チャックを引っ張り、T字ピール接着力を測定する。
【0054】
上記測定方法をより詳述すれば、上記粘着テープのT字ピール接着力は、粘着テープを20mm幅×100mm長さに切断し、23℃50%RH雰囲気下で、上記粘着テープの両面に被着体としてポリエチレン(PE)系発泡体を貼り合わせて2kgローラー1往復加圧貼付した後、60℃の環境下に24時間放置して粘着テープとPE発泡体とを密着させたものを試験片とし、23℃の環境下で上記試験片の一方の上記被着体の片端をテンシロン引張試験機の引っ張り装置部の下側チャックへ固定し、もう一方の被着体の端を、テンシロン引張試験機の引っ張り装置部の上側チャックへ固定し、50mm/分の速度で上側チャックを引っ張ること得られた接着力(T字ピール接着力)測定値とすることができる。
【0055】
本発明の粘着テープは、特に応力を分散しやすく十分な密着性が得られにくいポリオレフィン系発泡体に対して高い接着(粘着)力を示すことができるが、ポリオレフィン系発泡体に限らず、ポリオレフィン系樹脂を主成分とする種々の被着体に対して高い接着力を示すことが可能である。
【0056】
また、本発明の粘着テープは、上述した効果に加えて、優れた熱耐久性を発揮することができる。詳述すれば、本発明の粘着テープは、下記の測定方法により測定される落下するまでの時間が24時間以上であることが好ましい。
【0057】
(測定方法)
粘着テープの一方の粘着面を厚さ25μmのポリエチレンテレフタレートフィルムで裏打ちし、25mm幅×100mm長さに切断したものを、23℃及び50%RH雰囲気下で、清潔で表面平滑なステンレス板(360番耐水研磨紙でヘアライン研磨処理)の表面に貼付面積が25mm×25mmになるように載置し、その上面を2kgローラーで1往復させることによってそれらを圧着させ、23℃の環境下に1時間放置することによって試験片を作製し、上記試験片を構成するステンレス板を固定した状態で、上記粘着テープに40℃の環境下で0.5kgの荷重をかけた時から、上記粘着テープがステンレス板から落下するまでの時間を測定する。
【0058】
-粘着テープの製造方法-
本発明の粘着テープの製造方法は、積層構成に応じて適宜選択することができる。製造方法としては、例えば上記基材の片面または両面に、上述のスチレン-イソプレンブロック共重合体(A)及び粘着付与樹脂(B)を少なくとも含有する粘着剤を塗工し乾燥させ粘着剤層を形成することによって製造する方法、離型ライナーに上記粘着剤を塗工し乾燥させることによって粘着剤層を製造し、それを基材の片面または両面に転写する方法、離型ライナーに上記粘着剤を塗工し乾燥させることによって粘着剤層を製造し、上記粘着剤層の表面に別の離型ライナーを貼合する方法等が挙げられる。
【0059】
上記粘着剤は、スチレン-イソプレンブロック共重合体(A)と、粘着付与樹脂(B)とを含有し、スチレン-イソプレンブロック共重合体(A)は、スチレン-イソプレンジブロック共重合体(a1)及びスチレン-イソプレントリブロック共重合体(a2)を含有し、上記粘着付与樹脂(B)の含有量がスチレン-イソプレンブロック共重合体(A)100質量部に対して75質量部以上であり、粘着付与樹脂(B)は石油樹脂(b1)とロジン系樹脂(b2)とを含有し、上記石油樹脂(b1)と上記ロジン系樹脂(b2)との配合比(b1:b2)が2:1~10:1の範囲内である。粘着剤の組成の詳細については、上述の「1.粘着剤層」の項で説明した通りである。
【0060】
上記粘着剤を塗工する方法としては、例えばロールコーターやダイコーター等を用いる方法が挙げられる。
【0061】
上記粘着剤は、良好な塗工作業性を確保するうえで、有機溶剤を含有することができる。上記有機溶剤の種類は特に限定されず、ゴム系粘着剤等に汎用される有機溶剤を用いることができる。上記粘着剤に含まれる上記有機溶剤は、スチレン-イソプレンブロック共重合体(A)及び粘着付与樹脂(B)の合計100質量部に対して、40質量部~400質量部の範囲で使用することが好ましい。なお、粘着テープにおける粘着剤層は、有機溶剤を除いた粘着剤により構成される。
【0062】
-用途-
本発明の粘着テープは、例えばテレビ、冷蔵庫、エアコン、炊飯器、空気清浄機、洗濯機、掃除機、電子レンジ、パソコン等の家電製品や、複写機、プリンター等のOA機器の製造場面で好適に使用することができる。具体的には、本発明の粘着テープは、上記家電製品またはOA機器を構成するきょう体等の部品と、発泡体、フェルト、ゴム等の緩衝材やクッション材との固定、上記きょう体等の部品間の固定等に使用することができる。
【0063】
上記きょう体等の部品としては、例えばポリオレフィン系樹脂やポリエステル系樹脂等が挙げられる。また、上記緩衝材やクッション材としては、例えばポリオレフィン系発泡体やポリエステル系発泡体やフェルトや不織布等が挙げられる。
【0064】
上記緩衝材やクッション材は、例えば上記家電製品やOA機器と、床等の設置面との間に位置する滑り止め(グリップ部材)、各種部品の微振動を抑制する部材等が挙げられる。
【0065】
また、本発明の粘着テープは、例えばインストルメントパネル、ルーフライニング、ドアトリムなどの自動車内装部材と、発泡体、フェルト等の緩衝材やクッション材との固定等に好適に使用することができる。
【0066】
上記緩衝材やクッション材としては、例えばドアやウインドウの隙間を埋めるためのゴム材料、吸音材、防振材、滑り止め材が挙げられる。
【0067】
更に、本発明の粘着テープは、例えばスポーツシューズのクッション性のあるミドルソールとアッパー部材の固定等にも好適に使用することができる。
【0068】
本開示は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本開示の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本開示の技術的範囲に包含される。
【実施例0069】
以下、実施例により、本発明を更に詳しく説明する。
【0070】
[実施例1]
(粘着剤Aの調製)
スチレン-イソプレンブロック共重合体組成物(A1)(スチレン-イソプレンジブロック共重合体及びスチレン-イソプレントリブロック共重合体の混合物、上記化学式(1)で示されるスチレン由来の構造単位24質量%、上記組成物(A1)の全量に対するスチレン-イソプレンジブロック共重合体の割合が40質量%)100質量部、粘着付与樹脂(b1)としてクイントンG115(日本ゼオン株式会社製のC系/C系石油樹脂、軟化点115℃)80質量部、粘着付与樹脂(b2)としてペンセルD-160(荒川化学工業株式会社製の重合ロジンエステル樹脂、軟化点150℃~165℃)20質量部、老化防止剤(テトラキス-[メチレン-3-(3’5’-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン)1質量部を混合し、溶媒としてトルエン100質量部に溶解させることによって粘着剤Aを得た。
【0071】
上記粘着剤Aをアプリケーターにより乾燥後の厚さが300μmになるように離型紙上に塗布し、80℃5分間乾燥させることによって、粘着テープAを作製した。
【0072】
[実施例2]
(粘着剤Bの調製)
スチレン-イソプレンブロック共重合体組成物(A1)(スチレン-イソプレンジブロック共重合体及びスチレン-イソプレントリブロック共重合体の混合物、上記化学式(1)で示されるスチレン由来の構造単位24質量%、上記組成物(A1)の全量に対するスチレン-イソプレンジブロック共重合体の割合が40質量%)100質量部、粘着付与樹脂(b1)としてクイントンG115(日本ゼオン株式会社製のC系/C系石油樹脂、軟化点115℃)120質量部、粘着付与樹脂(b2)としてペンセルD-160(荒川化学工業株式会社製の重合ロジンエステル樹脂、軟化点150℃~165℃)30質量部、老化防止剤(テトラキス-[メチレン-3-(3’5’-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン)1質量部を混合し、溶媒としてトルエン100質量部に溶解させることによって粘着剤Bを得た。
【0073】
上記粘着剤Bをアプリケーターにより乾燥後の厚さが300μmになるように離型紙上に塗布し、80℃5分間乾燥させることによって、粘着テープBを作製した。
【0074】
[実施例3]
(粘着剤Cの調製)
スチレン-イソプレンブロック共重合体組成物(A2)(スチレン-イソプレンジブロック共重合体及びスチレン-イソプレントリブロック共重合体の混合物、上記化学式(1)で示されるスチレン由来の構造単位24質量%、上記組成物(A2)の全量に対するスチレン-イソプレンジブロック共重合体の割合が60質量%)100質量部、粘着付与樹脂(b1)としてクイントンG115(日本ゼオン株式会社製のC系/C系石油樹脂、軟化点115℃)80質量部、粘着付与樹脂(b2)としてペンセルD-160(荒川化学工業株式会社製の重合ロジンエステル樹脂、軟化点150℃~165℃)20質量部、老化防止剤(テトラキス-[メチレン-3-(3’5’-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン)1質量部を混合し、溶媒としてトルエン100質量部に溶解させることによって粘着剤Cを得た。
【0075】
上記粘着剤Cをアプリケーターにより乾燥後の厚さが300μmになるように離型紙上に塗布し、80℃5分間乾燥させることによって、粘着テープCを作製した。
【0076】
[実施例4]
(粘着剤Dの調製)
スチレン-イソプレンブロック共重合体組成物(A2)(スチレン-イソプレンジブロック共重合体及びスチレン-イソプレントリブロック共重合体の混合物、上記化学式(1)で示されるスチレン由来の構造単位24質量%、上記組成物(A2)の全量に対するスチレン-イソプレンジブロック共重合体の割合が60質量%)100質量部、粘着付与樹脂(b1)としてクイントンG115(日本ゼオン株式会社製のC系/C系石油樹脂、軟化点115℃)120質量部、粘着付与樹脂(b2)としてペンセルD-160(荒川化学工業株式会社製の重合ロジンエステル樹脂、軟化点150℃~165℃)30質量部、老化防止剤(テトラキス-[メチレン-3-(3’5’-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン)1質量部を混合し、溶媒としてトルエン100質量部に溶解させることによって粘着剤Dを得た。
【0077】
上記粘着剤Dをアプリケーターにより乾燥後の厚さが300μmになるように離型紙上に塗布し、80℃5分間乾燥させることによって、粘着テープDを作製した。
【0078】
[実施例5]
(粘着剤Eの調製)
スチレン-イソプレンブロック共重合体組成物(A2)(スチレン-イソプレンジブロック共重合体及びスチレン-イソプレントリブロック共重合体の混合物、上記化学式(1)で示されるスチレン由来の構造単位24質量%、上記組成物(A2)の全量に対するスチレン-イソプレンジブロック共重合体の割合が60質量%)100質量部、粘着付与樹脂(b1)としてクイントンG115(日本ゼオン株式会社製のC系/C系石油樹脂、軟化点115℃)90質量部、粘着付与樹脂(b2)としてペンセルD-160(荒川化学工業株式会社製の重合ロジンエステル樹脂、軟化点150℃~165℃)15質量部、老化防止剤(テトラキス-[メチレン-3-(3’5’-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン)1質量部を混合し、溶媒としてトルエン100質量部に溶解させることによって粘着剤Eを得た。
【0079】
上記粘着剤Eをアプリケーターにより乾燥後の厚さが300μmになるように離型紙上に塗布し、80℃5分間乾燥させることによって、粘着テープEを作製した。
【0080】
[実施例6]
(粘着剤Fの調製)
スチレン-イソプレンブロック共重合体組成物(A2)(スチレン-イソプレンジブロック共重合体及びスチレン-イソプレントリブロック共重合体の混合物、上記化学式(1)で示されるスチレン由来の構造単位24質量%、上記組成物(A2)の全量に対するスチレン-イソプレンジブロック共重合体の割合が60質量%)100質量部、粘着付与樹脂(b1)としてクイントンG115(日本ゼオン株式会社製のC系/C系石油樹脂、軟化点115℃)75質量部、粘着付与樹脂(b2)としてペンセルD-160(荒川化学工業株式会社製の重合ロジンエステル樹脂、軟化点150℃~165℃)15質量部、老化防止剤(テトラキス-[メチレン-3-(3’5’-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン)1質量部を混合し、溶媒としてトルエン100質量部に溶解させることによって粘着剤Fを得た。
【0081】
上記粘着剤Fをアプリケーターにより乾燥後の厚さが300μmになるように離型紙上に塗布し、80℃5分間乾燥させることによって、粘着テープFを作製した。
【0082】
[比較例1]
(粘着剤Gの調製)
スチレン-イソプレンブロック共重合体組成物(A2)(スチレン-イソプレンジブロック共重合体及びスチレン-イソプレントリブロック共重合体の混合物、上記化学式(1)で示されるスチレン由来の構造単位24質量%、上記組成物(A2)の全量に対するスチレン-イソプレンジブロック共重合体の割合が60質量%)100質量部、粘着付与樹脂(b1)としてクイントンG115(日本ゼオン株式会社製のC系/C系石油樹脂、軟化点115℃)70質量部、粘着付与樹脂(b2)としてペンセルD-160(荒川化学工業株式会社製の重合ロジンエステル樹脂、軟化点150℃~165℃)5質量部、老化防止剤(テトラキス-[メチレン-3-(3’5’-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン)1質量部を混合し、溶媒としてトルエン100質量部に溶解させることによって粘着剤Gを得た。
【0083】
上記粘着剤Gをアプリケーターにより乾燥後の厚さが300μmになるように離型紙上に塗布し、80℃5分間乾燥させることによって、粘着テープFを作製した。
【0084】
[比較例2]
(粘着剤Hの調製)
スチレン-イソプレンブロック共重合体組成物(A2)(スチレン-イソプレンジブロック共重合体及びスチレン-イソプレントリブロック共重合体の混合物、上記化学式(1)で示されるスチレン由来の構造単位24質量%、上記組成物(A2)の全量に対するスチレン-イソプレンジブロック共重合体の割合が60質量%)100質量部、粘着付与樹脂(b1)としてクイントンG115(日本ゼオン株式会社製のC系/C系石油樹脂、軟化点115℃)75質量部、老化防止剤(テトラキス-[メチレン-3-(3’5’-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン)1質量部を混合し、溶媒としてトルエン100質量部に溶解させることによって粘着剤Hを得た。
【0085】
上記粘着剤Hをアプリケーターにより乾燥後の厚さが300μmになるように離型紙上に塗布し、80℃5分間乾燥させることによって、粘着テープHを作製した。
【0086】
[比較例3]
(粘着剤Iの調製)
スチレン-イソプレンブロック共重合体組成物(A2)(スチレン-イソプレンジブロック共重合体及びスチレン-イソプレントリブロック共重合体の混合物、上記化学式(1)で示されるスチレン由来の構造単位24質量%、上記組成物(A2)の全量に対するスチレン-イソプレンジブロック共重合体の割合が60質量%)100質量部、粘着付与樹脂(b1)としてクイントンG115(日本ゼオン株式会社製のC系/C系石油樹脂、軟化点115℃)40質量部、粘着付与樹脂(b2)としてペンセルD-160(荒川化学工業株式会社製の重合ロジンエステル樹脂、軟化点150℃~165℃)40質量部、老化防止剤(テトラキス-[メチレン-3-(3’5’-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン)1質量部を混合し、溶媒としてトルエン100質量部に溶解させることによって粘着剤Iを得た。
【0087】
上記粘着剤Iをアプリケーターにより乾燥後の厚さが300μmになるように離型紙上に塗布し、80℃5分間乾燥させることによって、粘着テープIを作製した。
【0088】
[比較例4]
(粘着剤Jの調製)
スチレン-イソプレンブロック共重合体組成物(A2)(スチレン-イソプレンジブロック共重合体及びスチレン-イソプレントリブロック共重合体の混合物、上記化学式(1)で示されるスチレン由来の構造単位24質量%、上記組成物aの全量に対するスチレン-イソプレンジブロック共重合体の割合が60質量%)100質量部、粘着付与樹脂(b1)としてクイントンG115(日本ゼオン株式会社製のC系/C系石油樹脂、軟化点115℃)40質量部、粘着付与樹脂(b2)としてペンセルD-160(荒川化学工業株式会社製の重合ロジンエステル樹脂、軟化点150℃~165℃)10質量部、老化防止剤(テトラキス-[メチレン-3-(3’5’-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン)1質量部を混合し、溶媒としてトルエン100質量部に溶解させることによって粘着剤Jを得た。
【0089】
上記粘着剤Jをアプリケーターにより乾燥後の厚さが300μmになるように離型紙上に塗布し、80℃5分間乾燥させることによって、粘着テープJを作製した。
【0090】
[比較例5]
(粘着剤Kの調製)
スチレン-イソプレンブロック共重合体組成物(A2)(スチレン-イソプレンジブロック共重合体及びスチレン-イソプレントリブロック共重合体の混合物、上記化学式(1)で示されるスチレン由来の構造単位24質量%、上記組成物(A2)の全量に対するスチレン-イソプレンジブロック共重合体の割合が60質量%)100質量部、粘着付与樹脂(b2)としてペンセルD-160(荒川化学工業株式会社製の重合ロジンエステル樹脂、軟化点150℃~165℃)75質量部、老化防止剤(テトラキス-[メチレン-3-(3’5’-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン)1質量部を混合し、溶媒としてトルエン100質量部に溶解させることによって粘着剤Kを得た。
【0091】
上記粘着剤Kをアプリケーターにより乾燥後の厚さが300μmになるように離型紙上に塗布し、80℃5分間乾燥させることによって、粘着テープKを作製した。
【0092】
[T字ピール接着力の測定方法]
上記粘着テープを20mm幅×100mm長さに切断したものの両面に、ポリエチレン(PE)系発泡体(積水化学工業株式会社製ソフトロンS#0502、見掛け密度200kg/m、厚み2.0mm)を貼り合わせた後、その上面を2kgローラーで1往復させることよってそれらを圧着させ、60℃の環境下に24時間放置してPE発泡体と十分に密着させることによって試験片を作製した。
【0093】
23℃の環境下で上記試験片の被着体の片端を、テンシロン引張試験機の引っ張り装置部の下側チャックへ固定し、被着体のもう一方の端を、テンシロン引張試験機の引っ張り装置部の上側チャックへ固定し、50mm/分の速度で上側チャックを引っ張ることによって、その接着力(T字ピール接着力)を測定した。
【0094】
[T字ピール判定方法]
T字ピール測定の総合判定は以下の通りとした。
接着力が20N/20mm以上で且つ、PE系発泡体が破断して剥がれる場合:〇
接着力が20N/20mm未満で且つ、PE系発泡体が破断して剥がれる場合:△
粘着剤層とPE系発泡体の界面で剥がれる場合:×
【0095】
[保持力の評価方法]
上記粘着テープの一方の粘着面を厚さ25μmのポリエチレンテレフタレートフィルムで裏打ちし、25mm幅×100mm長さに切断したものを、23℃及び50%RH雰囲気下で、清潔で表面平滑なステンレス板(360番耐水研磨紙でヘアライン研磨処理)の表面に貼付面積が25mm×25mmになるように載置し、その上面を2kgローラーで1往復させることによってそれらを圧着させ、23℃の環境下に1時間放置することによって試験片を作製した。
【0096】
上記試験片を構成するステンレス板を固定した状態で、上記粘着テープに40℃の環境下で0.5kgの荷重をかけた時から、上記粘着テープがステンレス板から落下するまでの時間を測定した。24時間以上経過しても粘着テープが落下しなかった場合、表1及び2において「>24」と表記した。
【0097】
実施例及び比較例の粘着シートの組成及び評価結果を下記表に示す。
【0098】
【表1】
【0099】
【表2】