(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022098875
(43)【公開日】2022-07-04
(54)【発明の名称】チャックテーブル機構
(51)【国際特許分類】
H01L 21/683 20060101AFI20220627BHJP
H01L 21/301 20060101ALI20220627BHJP
【FI】
H01L21/68 P
H01L21/78
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020212519
(22)【出願日】2020-12-22
(71)【出願人】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】100075177
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 尚純
(74)【代理人】
【識別番号】100113217
【弁理士】
【氏名又は名称】奥貫 佐知子
(74)【代理人】
【識別番号】100202496
【弁理士】
【氏名又は名称】鹿角 剛二
(74)【代理人】
【識別番号】100202692
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 吉文
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 智章
【テーマコード(参考)】
5F063
5F131
【Fターム(参考)】
5F063AA29
5F063FF01
5F063FF09
5F131AA02
5F131BA31
5F131BA32
5F131BA37
5F131CA09
5F131CA24
5F131CA46
5F131DA13
5F131DA32
5F131DA33
5F131DA36
5F131DA42
5F131DB62
5F131DB72
5F131DB76
5F131EA05
5F131EA22
5F131EB01
5F131EB31
5F131EB32
(57)【要約】 (修正有)
【課題】チャックテーブルが重くても、チャックテーブルをテーブルベースに容易に装着できるチャックテーブル機構を提供する。
【解決手段】チャックテーブル機構3は、被加工物を吸引保持する保持面34a及び保持面34aの反対側の下面30bを備えたチャックテーブル30と、テーブルベース120と、を含む。テーブルベース120は、支持面122と、環状凸部124と、回転規制ピン125と、下面保持吸引孔126と、を備える。チャックテーブル30の下面30bには、環状凸部係合凹部と、回転規制ピン係合凹部とが配設され、チャックテーブル30をテーブルベース120の支持面122に装着する際に下面保持吸引孔126に圧縮エアーHを供給して、チャックテーブル30の下面30bとテーブルベース120の支持面122との間にエアー層を形成する圧縮エアー供給手段140を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被加工物を吸引保持する保持面及び該保持面の反対側の下面を備えたチャックテーブルと、該チャックテーブルの下面を着脱自在に支持するテーブルベースと、を含み、
該テーブルベースは、該チャックテーブルの下面を支持する支持面と、該支持面の中央部に形成された中央吸引孔を囲繞する環状凸部と、該環状凸部の外周側に隣接して形成された該チャックテーブルの回転を規制する回転規制ピンと、該支持面に形成された該チャックテーブルの下面を吸引保持する下面保持吸引孔と、を備え、
該チャックテーブルの下面には、該環状凸部が係合する環状凸部係合凹部と、該回転規制ピンが係合する回転規制ピン係合凹部とが配設され、
該テーブルベースの支持面に形成された該環状凸部、及び該回転規制ピンは、弾性部材を介して上下方向に進退自在に構成され、
該チャックテーブルを該テーブルベースの支持面に装着する際に該下面保持吸引孔に圧縮エアーを供給して、該チャックテーブルの下面と該テーブルベースの支持面との間にエアー層を形成する圧縮エアー供給手段を備えた、チャックテーブル機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被加工物を吸引保持する保持面を備えたチャックテーブルと、該チャックテーブルを着脱自在に支持するテーブルベースと、を備えたチャックテーブル機構に関する。
【背景技術】
【0002】
IC、LSI等の複数のデバイスが、分割予定ラインによって区画され表面に形成されたウエーハは、研削装置によって裏面が研削され、所望の厚みに形成された後、レーザー加工装置、切削装置等の加工装置によって個々のデバイスチップに分割され、携帯電話、パソコン等の電気機器に利用される。
【0003】
加工装置は、ウエーハを吸引保持する保持テーブルを備え、該保持テーブルに保持されたウエーハを研削手段、レーザー照射手段、切削手段等の各加工手段によって、ウエーハを所望の形態に加工する。
【0004】
また、ウエーハの直径は、5インチ、6インチ、8インチ等と複数種類存在し、ウエーハの大きさに対応したチャックテーブルを用意し、ウエーハの大きさに応じてチャックテーブルを適宜交換している(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、作業者がチャックテーブルを持ってテーブルベースに載せ、テーブルベース側の凸部と、チャックテーブルの下面側において該テーブルベース側の凸部を係合させる凹部とを一致させるのに時間が掛かり、重量物(10~30kg)であるチャックテーブルをテーブルベースに装着するのが困難であるという問題がある。
【0007】
本発明は、上記事実に鑑みなされたものであり、その主たる技術課題は、チャックテーブルが重くても、チャックテーブルをテーブルベースに容易に装着できるチャックテーブル機構を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記主たる技術課題を解決するため、本発明によれば、被加工物を吸引保持する保持面及び該保持面の反対側の下面を備えたチャックテーブルと、該チャックテーブルの下面を着脱自在に支持するテーブルベースと、を含み、該テーブルベースは、該チャックテーブルの下面を支持する支持面と、該支持面の中央部に形成された中央吸引孔を囲繞する環状凸部と、該環状凸部の外周側に隣接して形成された該チャックテーブルの回転を規制する回転規制ピンと、該支持面に形成された該チャックテーブルの下面を吸引保持する下面保持吸引孔と、を備え、該チャックテーブルの下面には、該環状凸部が係合する環状凸部係合凹部と、該回転規制ピンが係合する回転規制ピン係合凹部とが配設され、該テーブルベースの支持面に形成された該環状凸部、及び該回転規制ピンは、弾性部材を介して上下方向に進退自在に構成され、該チャックテーブルを該テーブルベースの支持面に装着する際に該下面保持吸引孔に圧縮エアーを供給して、該チャックテーブルの下面と該テーブルベースの支持面との間にエアー層を形成する圧縮エアー供給手段を備えた、チャックテーブル機構が提供される。
【発明の効果】
【0009】
本発明のチャックテーブル機構は、被加工物を吸引保持する保持面及び該保持面の反対側の下面を備えたチャックテーブルと、該チャックテーブルの下面を着脱自在に支持するテーブルベースと、を含み、該テーブルベースは、該チャックテーブルの下面を支持する支持面と、該支持面の中央部に形成された中央吸引孔を囲繞する環状凸部と、該環状凸部の外周側に隣接して形成された該チャックテーブルの回転を規制する回転規制ピンと、該支持面に形成された該チャックテーブルの下面を吸引保持する下面保持吸引孔と、を備え、該チャックテーブルの下面には該環状凸部が係合する環状凸部係合凹部と、該回転規制ピンが係合する回転規制ピン係合凹部とが配設されて、該テーブルベースの支持面に形成された該環状凸部及び該回転規制ピンは、弾性部材を介して上下方向に進退自在に構成され、該チャックテーブルを該テーブルベースの支持面に装着する際に該下面保持吸引孔に圧縮エアーを供給して、該チャックテーブルの下面と該テーブルベースの支持面との間にエアー層を形成する圧縮エアー供給手段を備えているので、テーブルベースに装着するチャックテーブルが比較的重い重量物であっても、チャックテーブルの下面とテーブルベースの支持面との間にエアー層が形成されて、チャックテーブルの水平方向の移動が容易になり、チャックテーブルのテーブルベースに対する装着が困難であるという問題が解消する。また、テーブルベースの支持面に形成された環状凸部、及び回転規制ピンは、弾性部材を介して上下方向に進退自在に構成されていることにより、テーブルベース上でチャックテーブルを水平方向に移動させる際に、チャックテーブルの下面が該環状凸部、回転規制ピンによって損傷することが防止される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】チャックテーブル機構が装着された切削装置の斜視図である。
【
図2】
図1の切削装置に装着されたチャックテーブル機構の一部を拡大して分解した斜視図である。
【
図3】(a)
図2に示すテーブルベースの平面図、(b)(a)のA-A断面図である。
【
図4】(a)5インチ用のチャックテーブルの斜視図、B-B断面図、平面図、(b)6インチ用のチャックテーブルの斜視図、C-C断面図、平面図、(c)8インチ用のチャックテーブルの斜視図、D-D断面図、平面図である。
【
図5】テーブルベースにチャックテーブルを載置して吸引保持させる実施態様を示す斜視図である。
【
図6】(a)~(c)
図5に示す実施態様を、経過に応じて示すチャックテーブル及びテーブルベースの一部拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明に基づいて構成されるチャックテーブル機構に係る実施形態について、添付図面を参照しながら、詳細に説明する。
【0012】
図1には、本実施形態のチャックテーブル機構3が適用された切削装置1が示されている。図示の実施形態における切削装置1は、略直方体状の装置ハウジング2を備え、被加工物であるウエーハWを保持する保持手段として配設されたチャックテーブル機構3と、チャックテーブル機構3に保持されたウエーハWを切削する切削ブレード41を備えた切削手段4と、を含み構成されている。なお、本実施形態において加工されるウエーハWは、図に示すように、例えば、直径が6インチの略円板形状の半導体ウエーハであって、複数のデバイスが分割予定ラインによって区画された表面に形成されたものであり、粘着テープTを介して環状のフレームFに支持されている。
【0013】
さらに、切削装置1は、複数のウエーハWを収容するカセット5(2点鎖線で示す)と、カセット5に収容されたウエーハWを搬出して仮置きする仮置きテーブル6と、仮置きテーブル6にウエーハWを搬出する搬出入手段7と、仮置きテーブル6に搬出されたウエーハWをチャックテーブル機構3上に旋回して搬送する搬送手段8と、切削手段4により切削加工されたウエーハWを洗浄する洗浄手段9(詳細は省略している)と、切削加工されたウエーハWをチャックテーブル機構3から洗浄手段9へ搬送する洗浄搬送手段11と、チャックテーブル機構3上のウエーハWを撮像する撮像手段12と、図示を省略する制御手段と、を備えている。カセット5は、図示しない昇降手段によって上下に移動可能に配設されたカセットテーブル5a上に載置されており、カセット5からウエーハWを搬出入手段7によって搬出する際には、カセット5の高さが適宜調整される。
【0014】
装置ハウジング2内には、チャックテーブル機構3と切削手段4とを相対的に加工送りする手段であって、チャックテーブル機構3を切削送り方向である矢印Xで示すX軸方向に移動させるX軸送り手段(図示は省略する)が配設されている。
【0015】
図2には、切削装置1に装着されるチャックテーブル機構3であって、上記したウエーハWを吸引保持するチャックテーブル30をチャックテーブル機構3から上方に取り外した状態の斜視図が示されている。チャックテーブル機構3は、図に示すように、6インチ径のウエーハWを吸引保持する保持面34a及び保持面34aの反対側の下面30bを備えたチャックテーブル30と、チャックテーブル30の下面30bを着脱自在に支持するテーブルベース120とを備えている。チャックテーブル30は、図示しない回転駆動機構によって回転可能に構成されている。
【0016】
テーブルベース120は、上記したチャックテーブル30の下面30bを支持する支持面122と、支持面122の中央部に形成された中央吸引孔123を囲繞する環状凸部124と、環状凸部124の外周側に隣接して形成されたチャックテーブル30の回転移動を規制する回転規制ピン125と、支持面122に形成されたチャックテーブル30の下面30bを吸引保持する下面保持吸引孔126、126と、を備えている。
図3(a)に示すテーブルベース120の平面図、及び
図3(b)に示す
図3(a)のA-A断面図から理解されるように、環状凸部124、及び回転規制ピン125は、弾性部材S1、S2を介して上下方向に進退自在に構成されている。なお、本実施形態において採用される弾性部材S1、S2は、コイルスプリングであり、より好ましくは円錐ばねである。
【0017】
図2に示すように、本実施形態のチャックテーブル機構3を構成するテーブルベース120の下面保持吸引孔126、126には、圧縮エアー供給手段140、吸引手段150が接続されている。圧縮エアー供給手段140は、圧縮エアー供給路142、圧縮エアー供給路142上に配設された開閉弁144、及び連通路146を介して、テーブルベース120の下面保持吸引孔126に圧縮エアーHを供給する。また、吸引手段150は、吸引経路152、及び吸引経路152上に配設された開閉弁154を介して、圧縮エアーHの供給にも使用される連通路146に接続され、吸引手段150を作動してテーブルベース120の下面保持吸引孔126に吸引負圧Vを供給することができる。なお、支持面122の中央部に形成された中央吸引孔123に対しても、図示を省略する圧縮エアー供給路及び吸引経路が接続されており、下面保持吸引孔126、126とは別に、任意のタイミングで圧縮エアーH、又は吸引負圧Vを適宜切り替えて供給することができるように構成されている。
【0018】
本実施形態のチャックテーブル機構3は、外径寸法が異なる複数のチャックテーブルが使用できるようにチャックテーブルが着脱自在に構成されており、
図2、及び
図4(b)に示す6インチ径のウエーハWを保持するためのチャックテーブル30のみならず、
図4(a)に示す5インチ径のウエーハWを保持するチャックテーブル20、
図4(c)に示す8インチ径のウエーハWを保持するチャックテーブル40を支持することができる。
図4(a)には、上段から、チャックテーブル20の斜視図、チャックテーブル20のB-B断面図、チャックテーブル20の平面図が示されている。同様に、
図4(b)には、上段から、チャックテーブル30の斜視図、チャックテーブル30のC-C断面図、チャックテーブル30の平面図が示され、
図4(c)には、上段から、チャックテーブル40の斜視図、チャックテーブル40のD-D断面図、チャックテーブル40の平面図が示されている。
【0019】
図4(a)から理解されるように、チャックテーブル20は、5インチ径のウエーハWを吸引保持する保持面24aを備えた円盤状の吸着チャック24と、吸着チャック24を囲繞して外周を支持すると共に図示を省略する圧縮エアー供給手段、吸引手段に連通され、圧縮エアー、吸引負圧を吸着チャック24に供給する枠体22と、から少なくとも構成される。吸着チャック24と、枠体22とにより、内部空間221が形成されている。チャックテーブル20の下面20bには、該内部空間221に連通され上記したテーブルベース120に形成された環状凸部124が係合する環状凸部係合凹部222と、テーブルベース120に形成された回転規制ピン125が係合する回転規制ピン係合凹部223とが配設されている。テーブルベース120の環状凸部124が該環状凸部係合凹部222に係合し、テーブルベース120に形成された回転規制ピン125が該回転規制ピン係合凹部223に係合することにより、テーブルベース120にチャックテーブル20が支持される際の位置が一義的に決まる。なお、枠体22は、SUS等の金属から形成され、吸着チャック24は、例えばアルミナ(Al
2O
3)等の多孔質セラミックスから形成される。
【0020】
図4(b)には、
図4(a)に示されたチャックテーブル20に対し、保持されるウエーハのサイズが6インチである点で異なるチャックテーブル30が示されている。
図4(b)に示されるチャックテーブル30は、6インチ径のウエーハWを吸引保持する保持面34aを備えた円盤状の吸着チャック34と、吸着チャック34を囲繞して外周を支持すると共に図示を省略する圧縮エアー供給手段、吸引手段に連通され、圧縮エアー、吸引負圧を吸着チャック34に供給する枠体32と、から少なくとも構成される。吸着チャック34と、枠体32とにより、内部空間321が形成されている。チャックテーブル30の下面30bには、該内部空間321に連通され上記したテーブルベース120に形成された環状凸部124が係合する環状凸部係合凹部322と、テーブルベース120に形成された回転規制ピン125が係合する回転規制ピン係合凹部323とが配設されている。テーブルベース120の環状凸部124が該環状凸部係合凹部322に係合し、テーブルベース120に形成された回転規制ピン125が該回転規制ピン係合凹部323に係合することにより、テーブルベース120にチャックテーブル30が支持される際の位置が一義的に決まる。なお、チャックテーブル20と同様に、枠体32は、SUS等の金属から形成され、吸着チャック34は、例えばアルミナ(Al
2O
3)等の多孔質セラミックスから形成される。
【0021】
図4(c)には、
図4(a)、
図4(b)に示されたチャックテーブル20、30に対し、保持されるウエーハのサイズが8インチ径である点で異なるチャックテーブル40が示されている。
図4(c)に示されるチャックテーブル40は、8インチ径のウエーハWを吸引保持する保持面44aを備えた円盤状の吸着チャック44と、吸着チャック44を囲繞して外周を支持すると共に図示を省略する圧縮エアー供給手段、吸引手段に連通され、圧縮エアー、吸引負圧を吸着チャック44に供給する枠体42と、から少なくとも構成される。吸着チャック44と、枠体42とにより、内部空間421が形成されている。チャックテーブル40の下面40bには、該内部空間421に連通され上記したテーブルベース120に形成された環状凸部124が係合する環状凸部係合凹部422と、テーブルベース120に形成された回転規制ピン125が係合する回転規制ピン係合凹部423とが配設されている。テーブルベース120の環状凸部124が該環状凸部係合凹部422に係合し、テーブルベース120に形成された回転規制ピン125が該回転規制ピン係合凹部423に係合することにより、テーブルベース120にチャックテーブル40が固定される際の位置が一義的に決まる。なお、チャックテーブル20、30と同様に、枠体42は、SUS等の金属から形成され、吸着チャック44は、例えばアルミナ(Al
2O
3)等の多孔質セラミックスから形成される。
【0022】
上記した環状凸部係合凹部222、322、422は全て同一の寸法であり、回転規制ピン係合凹部223、323、423も同一の寸法で形成される。また、環状凸部係合凹部222及び回転規制ピン係合凹部223、環状凸部係合凹部322及び回転規制ピン係合凹部323、環状凸部係合凹部422及び回転規制ピン係合凹部423の位置関係は、それぞれが同一になるように設定される。
【0023】
図2に戻り説明を続けると、本実施形態のチャックテーブル機構3は、テーブルベース120が配置されるテーブル基台110を備え、テーブル基台110及びテーブルベース120の間に配置される4つのクランプ機構130と、を備えている。テーブル基台110は、円柱状に形成され、図示しないサーボモータによって所望の角度になるように回転駆動可能に構成されている。テーブルベース120は、平面視で円形をなしており、5インチ用のチャックテーブル20と略同一の直径に設定されている。
【0024】
クランプ機構130は、テーブル基台110とテーブルベース120との間であって、周方向に90°の角度で均等に4つ配設されている。各クランプ機構130は、外方に突出する一対のガイドレール131と、ガイドレール131に沿って径方向に移動可能に装着されるクランプ部132と、クランプ部132をガイドレール131に固定するためのロック部133とから構成される。
【0025】
クランプ部132は、クランプ部132に供給されるエアーによって矢印R1で示す方向に回転駆動されるクランプ爪134を備え、このクランプ爪134によって、チャックテーブル30上に載置されるウエーハWを保持するフレームFを押し下げて、クランプ部132に固定する。
【0026】
ガイドレール131には、チャックテーブル機構3に載置されるウエーハを保持する環状のフレームの大きさに合わせて矢印R2で示す方向に移動させられるクランプ部132を固定するための位置決め用凹溝が複数個形成されている。図に示される位置決め用凹溝131aは、8インチのウエーハを保持するフレームを保持する際にクランプ部132を固定するためのものであり、位置決め用凹溝131bは、6インチのウエーハを保持するフレームを保持する際にクランプ部132を固定するためのものである。
図2に示されるクランプ部132は、5インチのウエーハWを保持するフレームFを固定する位置に位置付けられており、5インチ用の位置決め用凹溝131c(
図5を参照)に、ロック部133の先端部(図示は省略する)が係合させられている。
【0027】
本実施形態のチャックテーブル機構3が装着された切削装置1は、概ね上記した構成を備えており、
図2、
図5、
図6を参照しながら、本実施形態のチャックテーブル機構3の機能、及び作用について説明する。なお、以下の実施形態では、6インチ径のウエーハWを保持するチャックテーブル30をテーブルベース120に載置して装着する際の実施態様について説明する。
【0028】
チャックテーブル30をテーブルベース120に載置するに際し、まず、
図2に示す圧縮エアー供給手段140を作動させると共に開閉弁144を開とし、圧縮エアー供給路142、開閉弁144、及び連通路146を介して、テーブルベース120の下面保持吸引孔126から圧縮エアーHを噴出させる。次いで、
図5に示すように、チャックテーブル30を作業者が両手で持ち、切削装置1に装着されたチャックテーブル機構3のテーブルベース120の支持面122に上方から載置する。ここで、作業者が、チャックテーブル30をテーブルベース120上に載置する場合、初期の状態では、
図6(a)に示すように、テーブルベース120の環状凸部124及び回転規制ピン125と、チャックテーブル30の下面30b側に形成された環状凸部係合凹部322及び回転規制ピン係合凹部323(破線で示す)との位置が一致しないため、両者は係合せず、チャックテーブル30の下面30bに押されて、環状凸部124及び回転規制ピン125は、テーブルベース120の内部側に退避した状態となっている。
【0029】
ここで、上記した圧縮エアー供給手段140が作動していることから、チャックテーブル30の下面30bとテーブルベース120の支持面122との間に、上記したテーブルベース120の下面保持吸引孔126から圧縮エアーHが供給されて、
図6(a)に示すようにエアー層Pが形成される。これにより、テーブルベース120の支持面122上でチャックテーブル30が僅かに浮上した状態となり、作業者は、重量物であるチャックテーブル30を水平(
図5において、X方向、Y方向で規定される平面)方向に容易に移動させることができ、
図6(b)に示すように、テーブルベース120に形成された環状凸部124を、チャックテーブル30の下面30bに形成された環状凸部係合凹部322に、容易に位置付けることができる。環状凸部124が、環状凸部係合凹部322に位置付けられると、弾性部材S1の作用により、環状凸部124が上昇して、環状凸部124と環状凸部係合凹部322とが係合する。
【0030】
環状凸部124が、環状凸部係合凹部322に係合することで、テーブルベース120に対して、チャックテーブル30の中心位置が固定されて、
図5に示す矢印R3で示す回転方向にのみ移動可能な状態となる。ここで、作業者は、R3で示す方向にチャックテーブル30を回転させることで、
図6(c)に示すように、テーブルベース120の回転規制ピン125を、チャックテーブル30の回転規制ピン係合凹部323に位置付けて、弾性部材S2の作用により回転規制ピン125を上昇させて、回転規制ピン125と回転規制ピン係合凹部323とを係合させる。
【0031】
上記したように、環状凸部124を環状凸部係合凹部322に係合させると共に、回転規制ピン125を回転規制ピン係合凹部323に係合させることで、テーブルベース120に対するチャックテーブル30の位置が固定される。テーブルベース120にチャックテーブル30が固定されたならば、開閉弁144を閉とすると共に、圧縮エアー供給手段140の作動を停止して圧縮エアーHの供給を停止し、チャックテーブル機構3のテーブルベース120に対するチャックテーブル30の装着が完了する。
【0032】
テーブルベース120に対するチャックテーブル30の装着が完了したならば、切削装置1において、上記したウエーハWに対する切削加工を実施する。切削加工を実施するに際しては、上記した吸引手段150を作動すると共に開閉弁154を開として、下面保持吸引孔126に吸引負圧を供給して、テーブルベース120に対してチャックテーブル30を吸引固定する。次いで、チャックテーブル30の保持面34a上に被加工物であるウエーハWを載置し、上記したクランプ機構130を作動してウエーハWを支持するフレームFを把持すると共に、図示を省略する吸引経路を介して中央吸引孔123に吸引負圧を供給して、ウエーハWをチャックテーブル30に保持する。チャックテーブル30にウエーハWを保持したならば、図示を省略するX軸送り手段を作動して、チャックテーブル機構3を上記した撮像手段12の直下に位置付けて撮像してアライメント工程を実施する。次いで、該アライメント工程により検出したウエーハWの加工位置の位置情報に基づいて、チャックテーブル機構3を切削手段4の直下に位置付け、切削手段4の切削ブレード41によってウエーハWの分割予定ライン14を切削して、ウエーハWを個々のデバイスチップに分割する(詳細については省略する)。ウエーハWを個々のデバイスチップに分割したならば、クランプ機構130を作動してフレームFの把持を解除すると共に、図示を省略する圧縮エアー供給路を介して、中央吸引孔123に圧縮エアーVを供給して、チャックテーブル30からウエーハWを搬出する。なお、上記した実施形態では、チャックテーブル機構3に対して、6インチ径のウエーハWを保持するチャックテーブル30をテーブルベース120に装着する例を示したが、5インチ径のウエーハWを保持するチャックテーブル20、8インチ径のウエーハWを保持するチャックテーブル40を装着する場合も、上記した手順によって同様に装着することができ、その詳細については省略する。
【0033】
上記した実施形態によれば、テーブルベース120に装着するチャックテーブル30が比較的重い重量物であっても、チャックテーブル30の下面30bとテーブルベース120の支持面122との間に、エアー層Pが形成されることにより、チャックテーブル30の水平方向の移動が容易になり、チャックテーブル30のテーブルベース120に対する装着が困難であるという問題が解消する。また、テーブルベース120の支持面122に形成された環状凸部124、及び回転規制ピン125は、弾性部材S1、S2を介して上下方向に進退自在に構成されていることにより、テーブルベース120上でチャックテーブル30を水平方向に移動させる際に、チャックテーブル30の裏面30bに引っ掛かりチャックテーブル30の下面30bが環状凸部、回転規制ピンによって損傷することが防止される。
【0034】
なお、上記した実施形態では、本実施形態のチャックテーブル機構3を切削装置1に適用した例を示したが、本発明はこれに限定されず、例えば、レーザー加工装置、研削装置に適用することもできる。また、テーブルベース120に支持されるチャックテーブルの種類が、5インチ、6インチ、8インチであるように説明したが、他のサイズを支持するものであってもよく、上記した実施形態に限定されない。
【符号の説明】
【0035】
1:切削装置
2:装置ハウジング
3:チャックテーブル機構
20、30、40:チャックテーブル
20b、30b、40b:下面
22、32、42:枠体
222、322、422:環状凸部係合凹部
223、323、423:回転規制ピン係合凹部
24、34、44:吸着チャック
24a、34a、44a:保持面4:切削手段
41:切削ブレード
5:カセット
6:仮置きテーブル
7:搬出入手段
8:搬送手段
9:洗浄手段
11:洗浄搬送手段
12:撮像手段
110:テーブル基台
120:テーブルベース
122:支持面
123:中央吸引孔
124:環状凸部
125:回転規制ピン
126:下面保持吸引孔
130:クランプ機構
131:ガイドレール
131a~131c:位置決め用凹溝
132:クランプ部
133:ロック部
134:クランプ爪
140:圧縮エアー供給手段
142:圧縮エアー供給路
144:開閉弁
146:連通路
150:吸引手段
152:吸引経路
154:開閉弁
S1、S2:弾性部材(円錐ばね)