IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社ディスコの特許一覧

特開2022-99712スピンコーター、及びスピンコート方法
<>
  • 特開-スピンコーター、及びスピンコート方法 図1
  • 特開-スピンコーター、及びスピンコート方法 図2
  • 特開-スピンコーター、及びスピンコート方法 図3
  • 特開-スピンコーター、及びスピンコート方法 図4
  • 特開-スピンコーター、及びスピンコート方法 図5
  • 特開-スピンコーター、及びスピンコート方法 図6
  • 特開-スピンコーター、及びスピンコート方法 図7
  • 特開-スピンコーター、及びスピンコート方法 図8
  • 特開-スピンコーター、及びスピンコート方法 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022099712
(43)【公開日】2022-07-05
(54)【発明の名称】スピンコーター、及びスピンコート方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/027 20060101AFI20220628BHJP
   H01L 21/683 20060101ALI20220628BHJP
   H01L 21/301 20060101ALI20220628BHJP
   G03F 7/16 20060101ALI20220628BHJP
   B05C 11/08 20060101ALI20220628BHJP
   B05C 11/10 20060101ALI20220628BHJP
   B05D 1/40 20060101ALI20220628BHJP
【FI】
H01L21/30 564C
H01L21/68 P
H01L21/78 Z
G03F7/16 502
B05C11/08
B05C11/10
B05D1/40 A
H01L21/30 564D
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020213676
(22)【出願日】2020-12-23
(71)【出願人】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 智章
(72)【発明者】
【氏名】高橋 邦充
(72)【発明者】
【氏名】木村 悠一
(72)【発明者】
【氏名】小田中 健太郎
【テーマコード(参考)】
2H225
4D075
4F042
5F063
5F131
5F146
【Fターム(参考)】
2H225CA12
2H225EA13N
2H225EA13P
4D075AC64
4D075AC84
4D075AC88
4D075AC93
4D075AC94
4D075CA48
4D075DA08
4D075DC22
4D075EA05
4F042AA02
4F042AA07
4F042BA05
4F042BA08
4F042BA12
4F042BA25
4F042BA27
4F042DA01
4F042DA08
4F042EB05
4F042EB09
4F042EB18
4F042EB21
5F063DF19
5F063FF04
5F063FF11
5F131BA12
5F131BA15
5F131CA06
5F131EA06
5F131EB03
5F146JA02
5F146JA10
5F146JA16
(57)【要約】
【課題】形成した被覆層に気泡が混入することを抑制できること。
【解決手段】スピンコーター1は、基板に液体を塗布して液体で基板に被覆層を形成するスピンコーターであって、基板を回転自在に保持する保持面31を含むスピンナテーブル30と、スピンナテーブル30で保持された基板に液体を吐出する吐出口51を有した液体供給ノズル50と、スピンナテーブル30で保持された基板に吐出口51が対面する位置からスピンナテーブル30で保持された基板の外に吐出口51が位置づけられる位置の間で液体供給ノズル50を移動させる揺動モータ60と、を備え、液体の吐出開始及び吐出停止は、スピンナテーブル30で保持された基板の外に吐出口51が位置づけられた状態で実施される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に液体を塗布して該液体で基板に被覆層を形成するスピンコーターであって、
基板を回転自在に保持する保持面を含むスピンナテーブルと、
該スピンナテーブルで保持された基板に該液体を吐出する吐出口を有した液体供給ノズルと、
該スピンナテーブルで保持された基板に該吐出口が対面する位置から該スピンナテーブルで保持された基板の外に該吐出口が位置づけられる位置の間で該液体供給ノズルを移動させる移動手段と、を備え、
該液体の吐出開始及び吐出停止は、該スピンナテーブルで保持された基板の外に該吐出口が位置づけられた状態で実施される、スピンコーター。
【請求項2】
基板に液体を塗布して該液体で基板に被覆層を形成するスピンコート方法であって、
回転自在なスピンナテーブルで基板を保持する保持ステップと、
該スピンナテーブルで保持された基板の外側に吐出口が対面する位置に液体供給ノズルを位置づけた状態で該液体の吐出を開始する吐出開始ステップと、
該吐出開始ステップを実施した後、該吐出口から該液体を吐出しつつ該吐出口が基板に対面する位置へと該液体供給ノズルを移動させる第1移動ステップと、
該第1移動ステップを実施した後、該液体の吐出を停止することなく、該スピンナテーブルで保持された基板の外側に該吐出口が位置づく位置へと該液体供給ノズルを退避させる第2移動ステップと、
該第2移動ステップを実施した後、該液体の吐出を停止させる吐出停止ステップと、を備えたスピンコート方法。
【請求項3】
少なくとも該第1移動ステップと該第2移動ステップの実施中、該スピンナテーブルは回転し、
該第1移動ステップにおける該液体供給ノズルの移動速度は、該第2移動ステップにおける該液体供給ノズルの退避速度よりも速い速度に設定される、請求項2に記載のスピンコート方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板に液体を塗布して該液体で基板に被覆層を形成するスピンコーター、スピンコート方法に関する。
【背景技術】
【0002】
レーザー加工で生じるデブリがウェーハ表面に付着するのを防止するため、あらかじめウェーハ表面に水溶性樹脂からなる保護膜を形成している。そして、保護膜の形成には、従来からスピンコーターが広く利用されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-216291号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
形成された保護膜に気泡が残存していると、後のアライメント工程でパターンが検出し難くなりアライメントエラーが起きかねない。また、気泡によって十分にウェーハ上のデバイスを保護できないおそれもある。
【0005】
一方、スピンコーターは、フォトマスクの製造時にもレジスト膜をコーティングするのに広く利用されており、気泡が残存すると塗布ムラやベーク時の発泡が問題となる。
【0006】
本発明の目的は、形成した被覆層に気泡が混入することを抑制できるスピンコーター、及びスピンコート方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明のスピンコーターは、基板に液体を塗布して該液体で基板に被覆層を形成するスピンコーターであって、基板を回転自在に保持する保持面を含むスピンナテーブルと、該スピンナテーブルで保持された基板に該液体を吐出する吐出口を有した液体供給ノズルと、該スピンナテーブルで保持された基板に該吐出口が対面する位置から該スピンナテーブルで保持された基板の外に該吐出口が位置づけられる位置の間で該液体供給ノズルを移動させる移動手段と、を備え、該液体の吐出開始及び吐出停止は、該スピンナテーブルで保持された基板の外に該吐出口が位置づけられた状態で実施されることを特徴とする。
【0008】
本発明のスピンコート方法は、基板に液体を塗布して該液体で基板に被覆層を形成するスピンコート方法であって、回転自在なスピンナテーブルで基板を保持する保持ステップと、該スピンナテーブルで保持された基板の外側に吐出口が対面する位置に液体供給ノズルを位置づけた状態で該液体の吐出を開始する吐出開始ステップと、該吐出開始ステップを実施した後、該吐出口から該液体を吐出しつつ該吐出口が基板に対面する位置へと該液体供給ノズルを移動させる第1移動ステップと、該第1移動ステップを実施した後、該液体の吐出を停止することなく、該スピンナテーブルで保持された基板の外側に該吐出口が位置づく位置へと該液体供給ノズルを退避させる第2移動ステップと、該第2移動ステップを実施した後、該液体の吐出を停止させる吐出停止ステップと、を備えたことを特徴とする。
【0009】
前記スピンコート方法において、少なくとも該第1移動ステップと該第2移動ステップの実施中、該スピンナテーブルは回転し、該第1移動ステップにおける該液体供給ノズルの移動速度は、該第2移動ステップにおける該液体供給ノズルの退避速度よりも速い速度に設定されても良い。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、形成した被覆層に気泡が混入することを抑制することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、実施形態1に係るスピンコーターの構成例を一部断面で示す斜視図である。
図2図2は、図1に示されたスピンコーターにより被覆層が形成された基板の斜視図である。
図3図3は、実施形態1に係るスピンコート方法の流れを示すフローチャートである。
図4図4は、図3に示されたスピンコート方法の保持ステップを模式的に示す断面図である。
図5図5は、図3に示されたスピンコート方法の吐出開始ステップを模式的に示す平面図である。
図6図6は、図3に示されたスピンコート方法の吐出開始ステップを模式的に示す断面図である。
図7図7は、図3に示されたスピンコート方法の第1移動ステップを模式的に示す平面図である。
図8図8は、図3に示されたスピンコート方法の第2移動ステップを模式的に示す平面図である。
図9図9は、図3に示されたスピンコート方法の吐出停止ステップを模式的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の実施形態に記載した内容により本発明が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成は適宜組み合わせることが可能である。また、本発明の要旨を逸脱しない範囲で構成の種々の省略、置換又は変更を行うことができる。
【0013】
〔実施形態1〕
本発明の実施形態1に係るスピンコーターを図面に基づいて説明する。図1は、実施形態1に係るスピンコーターの構成例を一部断面で示す斜視図である。図2は、図1に示されたスピンコーターにより被覆層が形成された基板の斜視図である。
【0014】
実施形態1に係る図1に示されたスピンコーター1は、図2に示す基板200に液体2(図5に示す)を塗布して、液体2で基板200に被覆層210を形成するものである。図1に示されたスピンコーター1の液体2の塗布対象の基板200は、シリコンを母材とする円板状の半導体ウェーハやサファイア、SiC(炭化ケイ素)などを母材とする光デバイスウェーハなどのウェーハである。
【0015】
実施形態1において、基板200は、図2に示すように、互いに交差する複数の分割予定ライン201によって区画された表面202の各領域にデバイス203が形成されている。デバイス203は、IC(Integrated Circuit)、又はLSI(Large Scale Integration)等の集積回路、CCD(Charge Coupled Device)、又はCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等のイメージセンサである。
【0016】
基板200は、分割予定ライン201に沿って母材に対して吸収性を有する波長のレーザービームが照射されるなどして、分割予定ライン201に沿ってアブレーション加工などが施されて、個々のデバイス203に分割される。なお、本発明では、スピンコーター1が液体2を塗布する基板200は、前述したウェーハに限定されない。また、実施形態1では、基板200は、表面202の裏側の裏面204が外周縁に環状フレーム205が装着されたテープ206に貼着されて、環状フレーム205の開口208内にテープ206により支持された状態で、液体2が塗布され、被覆層210が表面202に形成される。
【0017】
実施形態1に係るスピンコーター1は、レーザービームが照射されるなどしてアブレーション加工が施される前に、基板200の表面202に液体2を塗布して、液体2により構成される被覆層210を基板200の表面202に形成する装置である。被覆層210は、基板200にアブレーション加工が施される際に発生するデブリがデバイス203に付着することを抑制するためのものである。
【0018】
なお、実施形態1において、液体2は、例えば、ポリビニルアルコール(polyvinyl alcohol:PVA)またはポリビニルピロリドン(Polyvinylpyrrolidone:PVP)等で構成された水溶性の液状の樹脂である。なお、本発明では、液体2として、例えば、株式会社ディスコ社製のHogomax(登録商標)を用いることができる。
【0019】
スピンコーター1は、図1に示すように、ケーシング10と、電動モータ20と、スピンナテーブル30と、複数のクランプ32と、昇降ユニット40と、液体供給ノズル50と、移動手段としての揺動モータ60と、洗浄液供給ノズル70と、洗浄ノズル用揺動モータ80と、図示しない制御ユニット100とを備える。なお、図1は、ケーシング10の一部分を切り欠いて示している。
【0020】
ケーシング10は、円筒状の周壁11と、周壁11の下端に外縁が連なった円盤状の底壁12と、周壁11の下端から下方に延在した脚部13とを備える。底壁12には、ドレンホース14内と連通して、ケーシング10内の液体2を排出するための排出口15が設けられている。また、ケーシング10は、底壁12の中央に、電動モータ20の出力軸22を内側に通す貫通孔16と、貫通孔16の内縁から立設した円筒状の内側周壁17とを設けている。周壁11と、底壁12と、内側周壁17とは、互いに同軸となる位置に配置されている。
【0021】
電動モータ20は、電力が供給されることでモータ本体21から突出した出力軸22を軸心回りに回転するものである。実施形態1では、電動モータ20は、出力軸22が内側周壁17内に通されて、鉛直方向と平行に配置されている。出力軸22は、周壁11、底壁12及び内側周壁17と、同軸となる位置に配置されている。
【0022】
スピンナテーブル30は、基板200を回転自在に保持する保持面31を含む。スピンナテーブル30は、円盤形状に形成され、一方の表面である保持面31上に基板200を保持するものである。スピンナテーブル30は、保持面31が多孔質材であるポーラスセラミック等から形成され、保持面31が図示しない吸引源に接続している。スピンナテーブル30は、他方の表面の中心に電動モータ20の出力軸22が取り付けられて、出力軸22と同軸に配置されている。
【0023】
スピンナテーブル30は、吸引源により保持面31が吸引されることで、保持面31に載置された基板200を吸引、保持する。実施形態1では、スピンナテーブル30は、保持面31に表面202の裏側の裏面204をテープ206を介して吸引保持して、表面202を露出させた状態で基板200を吸引保持する。また、スピンナテーブル30は、電動モータ20の軸心回りに回転する出力軸22により軸心回りに回転される。スピンナテーブル30は、電動モータ20の出力軸22により軸心回りに回転されることで、保持面31に吸引保持した基板200を回転自在に保持することとなる。
【0024】
クランプ32は、スピンナテーブル30よりも外周側に周方向に間隔をあけて複数設けられている。クランプ32は、基板200を開口208の内側に支持する環状フレーム205をクランプする。
【0025】
昇降ユニット40は、スピンナテーブル30を鉛直方向に沿って昇降させるものである。昇降ユニット40は、複数のエアシリンダ41を備える。エアシリンダ41は、電動モータ20のモータ本体21の外周面に取り付けられたシリンダ本体42と、シリンダ本体42から下方に伸縮自在に設けられた伸縮ロッド43とを備える。
【0026】
昇降ユニット40は、伸縮ロッド43をシリンダ本体42から伸長することで、電動モータ20及びスピンナテーブル30を上昇させる。昇降ユニット40は、伸縮ロッド43をシリンダ本体42に縮小することで、電動モータ20及びスピンナテーブル30を下降させる。また、電動モータ20の出力軸22には、スピンナテーブル30及び電動モータ20が下降した際に内側周壁17の上側の開口を塞ぐ、閉塞壁18(図4に示す)が取り付けられている。
【0027】
液体供給ノズル50は、スピンナテーブル30で保持された基板200に液体2を吐出する吐出口51を有している。液体供給ノズル50は、図示しない液体供給源から液体2が供給される配管であって、鉛直方向に沿って延在した鉛直延在部52と、鉛直延在部52の上端から水平方向に延在し、鉛直延在部52から離れた側の先端にスピンナテーブル30で保持された基板200に対面する吐出口51を有した水平延在部53とを備えている。液体供給ノズル50は、図示しない液体供給源から供給された液体2を吐出口51から吐出して、スピンナテーブル30で保持された基板200の表面202上に液体2を塗布する。
【0028】
揺動モータ60は、電力が供給されることでモータ本体61に回転自在に支持された図示しない出力軸を軸心回りに回転するものである。揺動モータ60は、モータ本体61がケーシング10の底壁12の下面に取り付けられ、出力軸が液体供給ノズル50の鉛直延在部52に取り付けられている。揺動モータ60は、出力軸を回転することで、スピンナテーブル30で保持された基板200に吐出口51が対面する位置からスピンナテーブル30で保持された基板200よりも外周側に吐出口51が位置付けられる位置の間で液体供給ノズル50を鉛直延在部52を中心に揺動(移動させる)ものである。
【0029】
洗浄液供給ノズル70は、スピンナテーブル30で保持された基板200に洗浄液(例えば、純水)を供給する洗浄液吐出口71を有している。洗浄液供給ノズル70は、図示しない洗浄液供給源から洗浄液が供給される配管であって、鉛直方向に沿って延在した鉛直延在部72と、鉛直延在部72の上端から水平方向に延在し、鉛直延在部72から離れた側の先端にスピンナテーブル30で保持された基板200に対面する洗浄液吐出口71を有した水平延在部73とを備えている。洗浄液供給ノズル70は、図示しない洗浄液供給源から供給された洗浄液を洗浄液吐出口71から吐出して、スピンナテーブル30で保持された基板200の表面202上に洗浄液を供給する。
【0030】
洗浄ノズル用揺動モータ80は、電力が供給されることでモータ本体81に回転自在に支持された図示しない出力軸を軸心回りに回転するものである。洗浄ノズル用揺動モータ80は、モータ本体81がケーシング10の底壁12の下面に取り付けられ、出力軸が洗浄液供給ノズル70の鉛直延在部72に取り付けられている。洗浄ノズル用揺動モータ68は、出力軸を回転することで、スピンナテーブル30で保持された基板200に洗浄液吐出口71が対面する位置からスピンナテーブル30で保持された基板200よりも外周側に洗浄液吐出口71が位置付けられる位置の間で洗浄液供給ノズル70を鉛直延在部72を中心に揺動(移動させる)ものである。
【0031】
制御ユニット100は、スピンコーター1を構成する上述した各構成要素をそれぞれ制御するものである。即ち、制御ユニット100は、基板200に対する液体2の塗布動作をスピンコーター1に実行させるものである。制御ユニット100は、CPU(central processing unit)のようなマイクロプロセッサを有する演算処理装置と、ROM(read only memory)又はRAM(random access memory)のようなメモリを有する記憶装置と、入出力インターフェース装置とを有するコンピュータである。
【0032】
制御ユニット100の演算処理装置は、記憶装置に記憶されているコンピュータプログラムに従って演算処理を実施して、スピンコーター1を制御するための制御信号を、入出力インターフェース装置を介してスピンコーター1の上述した構成要素に出力する。また、制御ユニット100は、加工動作の状態や画像などを表示する液晶表示装置などにより構成される表示ユニット、オペレータが塗布条件などを登録する際に用いる入力ユニットなどと接続されている。入力ユニットは、表示ユニットに設けられたタッチパネルと、キーボード等とのうち少なくとも一つにより構成される。
【0033】
次に、実施形態1に係るスピンコート方法を図面に基づいて説明する。図3は、実施形態1に係るスピンコート方法の流れを示すフローチャートである。実施形態1に係るスピンコート方法は、スピンコーター1により基板200の表面202に液体2を塗布して、基板200の表面202に被覆層210を形成する方法である。実施形態1に係るスピンコート方法は、図3に示すように、保持ステップ1001と、吐出開始ステップ1002と、第1移動ステップ1003と、塗布ステップ1004と、第2移動ステップ1005と、吐出停止ステップ1006と、を備える。
【0034】
(保持ステップ)
図4は、図3に示されたスピンコート方法の保持ステップを模式的に示す断面図である。保持ステップ1001は、回転自在なスピンナテーブル30で基板200を保持するステップである。
【0035】
保持ステップ1001では、スピンコーター1は、オペレータにより、塗布条件が制御ユニット100に登録され、オペレータから塗布動作の開始指示を制御ユニット100が受け付けると開始する。保持ステップ1001では、スピンコーター1の制御ユニット100は、図4に示すように、揺動モータ60,80を制御して、スピンナテーブル30よりも外周側に吐出口51,71が位置付けられる位置にノズル50,70を位置付け、昇降ユニット40を制御して、エアシリンダ41の伸縮ロッド43を伸長して、スピンナテーブル30を上方に位置付ける。
【0036】
保持ステップ1001では、スピンコーター1は、保持面31に基板200の裏面204がテープ206を介して載置される。保持ステップ1001では、スピンコーター1は、制御ユニット100が吸引源を制御して、保持面31に基板200の裏面204を吸引保持するとともに、クランプ32で環状フレーム205をクランプする。
【0037】
(吐出開始ステップ)
図5は、図3に示されたスピンコート方法の吐出開始ステップを模式的に示す平面図である。図6は、図3に示されたスピンコート方法の吐出開始ステップを模式的に示す断面図である。吐出開始ステップ1002は、スピンナテーブル30で保持された基板200の外側に吐出口51が対面する位置に液体供給ノズル50を位置づけた状態で液体2の吐出を開始するステップである。
【0038】
吐出開始ステップ1002では、スピンコーター1の制御ユニット100が、昇降ユニット40を制御して、エアシリンダ41の伸縮ロッド43を縮小して、スピンナテーブル30を下方に位置付ける。吐出開始ステップ1002では、スピンコーター1の制御ユニット100が、電動モータ20を制御して、スピンナテーブル30及びスピンナテーブル30に保持された基板200を軸心回りに回転する。実施形態1では、吐出開始ステップ1002では、スピンコーター1の電動モータ20は、スピンナテーブル30及びスピンナテーブル30に保持された基板200を軸心回りの一方向3に回転する。
【0039】
吐出開始ステップ1002では、スピンコーター1の制御ユニット100が、図5に示すように、スピンナテーブル30で保持された基板200の外側に吐出口51が対面する位置に液体供給ノズル50を位置づけた状態で、液体供給源を制御して液体2を液体供給ノズル50に供給する。吐出開始ステップ1002では、スピンコーター1は、図6に示すように、液体供給ノズル50の吐出口51からの液体2の吐出を開始する。このために、吐出開始ステップ1002では、吐出口51からの液体2の吐出を開始する前に、液体供給ノズル50内に侵入しいていた気体を液体2とともに吐出口51から吐出して、気体を液体供給ノズル50内から除去する。
【0040】
なお、実施形態1において、スピンコーター1は、吐出開始ステップ1002では、スピンナテーブル30を10rpm以上でかつ30rpm以下の回転数で回転させる。しかしながら、本発明において、スピンコーター1は、吐出開始ステップ1002では、スピンナテーブル30を軸心回りに回転させなくても良い。
【0041】
(第1移動ステップ)
図7は、図3に示されたスピンコート方法の第1移動ステップを模式的に示す平面図である。第1移動ステップ1003は、吐出開始ステップ1002を実施した後、吐出口51から液体2を吐出しつつ吐出口51が基板200の表面202に対面する位置へと液体供給ノズル50を移動させるステップである。
【0042】
第1移動ステップ1003では、スピンコーター1の制御ユニット100が、吐出口51から液体2を吐出したまま、揺動モータ60を制御して、液体供給ノズル50を吐出開始ステップ1002時の図7中の点線で示す位置から吐出口51がスピンナテーブル30に保持された基板200の表面202の中心に対面する図7中の実線で示す位置まで移動させる。実施形態1において、第1移動ステップ1003では、液体供給ノズル50の吐出口51を20mm/sec以上でかつ30mm/sec以下の速度で移動させる。
【0043】
(塗布ステップ)
塗布ステップ1004は、スピンナテーブル30に保持された基板200の表面202に被覆層210を形成するステップである。塗布ステップ1004では、スピンコーター1の制御ユニット100は、液体供給源を制御して吐出口51からの液体2の吐出を継続しつつ電動モータ20を制御して、スピンナテーブル30を軸心回りに回転する。なお、本発明では、塗布ステップ1004では、スピンコーター1は、スピンナテーブル30を軸心回りに回転しつつ揺動モータ60により吐出口51が基板200の表面202に沿って移動するように、液体供給ノズル50を揺動させても良い。
【0044】
塗布ステップ1004では、基板200の表面202に塗布された液体2は、スピンナテーブル30の回転により発生する遠心力によって、基板200の表面202上を中心側から外周側に向けて流れていき、基板200の表面202の全面に塗布される。また、基板200の表面202の外縁から落下した液体2は、ケーシング10にケーシング10の底壁12上に流れ落ち、排出口15及びドレンホース14内を通って排出される。
【0045】
塗布ステップ1004では、スピンコーター1は、所定時間、吐出口51から液体2を吐出しつつスピンナテーブル30を軸心回りに回転する。なお、実施形態1において、塗布ステップ1004では、スピンコーター1は、スピンナテーブル30を軸心回りの一方向3に回転する。
【0046】
(第2移動ステップ)
図8は、図3に示されたスピンコート方法の第2移動ステップを模式的に示す平面図である。第2移動ステップ1005は、第1移動ステップ1003を実施した後、液体2の吐出を停止することなく、スピンナテーブル30で保持された基板200よりも外周側に吐出口51が位置づく位置へと液体供給ノズル50を退避させるステップである。
【0047】
第2移動ステップ1005では、スピンコーター1の制御ユニット100が、吐出口51からの液体2の吐出を停止することとなく、揺動モータ60を制御して、液体供給ノズル50を塗布ステップ1004時の図8中の点線で示す位置からスピンナテーブル30で保持された基板200よりも外周側に吐出口51が位置づく図8中の実線で示す位置へと移動させる。実施形態1において、第2移動ステップ1005では、液体供給ノズル50の吐出口51の退避速度を3mm/sec以上でかつ10mm/sec以下の速度、即ち、第1移動ステップ1003の吐出口51の移動速度よりも低速とする。
【0048】
こうして、実施形態1において、スピンコーター1は、少なくとも第1移動ステップ1003と第2移動ステップ1005の実施中、スピンナテーブル30が、軸心回りに回転する。また、実施形態1において、スピンコーター1は、第1移動ステップ1003における液体供給ノズル50の吐出口51の移動速度は、第2移動ステップ1005における液体供給ノズル50の吐出口51の退避速度よりも速い速度に設定される。
【0049】
また、第2移動ステップ1005では、スピンコーター1は、スピンナテーブル30を軸心回りの第1移動ステップ1003と同じ方向の一方向に回転する。しかしながら、発明では、第2移動ステップ1005では、スピンコーター1は、スピンナテーブル30を軸心回りの第1移動ステップ1003と一方向3の逆向きの他の方向4(図8に示す)に回転しても良い。
【0050】
また、実施形態1では、第2移動ステップ1005のスピンナテーブル30で保持された基板200よりも外周側に吐出口51が位置づく液体供給ノズル50の位置は、第1移動ステップ1003開始時のスピンナテーブル30で保持された基板200の外側に吐出口51が対面する液体供給ノズル50の位置と同じあるが、本発明では、これらの位置が互いに異なっていても良い。
【0051】
また、本発明では、吐出開始ステップ1002及び第1移動ステップ1003においてスピンナテーブル30を軸心回りに回転させていなかった場合には、第2移動ステップ1005中にスピンナテーブル30を軸心回りに回転して塗布ステップ1004を実施しても良く、第2移動ステップ1005実施後にスピンナテーブル30を軸心回りに回転して塗布ステップ1004を実施しても良い。
【0052】
また、本発明は、塗布ステップ1004を省略しても良い。即ち、本発明のスピンコーター1及びスピンコート方法は、第1移動ステップ1003として基板200の外周側から液体2を吐出させた吐出口51が基板200の中心に到達したら、直ちに第2移動ステップ1005として基板200の外周外側へと吐出口51を移動させて、被覆層210の塗布を完了しても良い。
【0053】
(吐出停止ステップ)
図9は、図3に示されたスピンコート方法の吐出停止ステップを模式的に示す断面図である。吐出停止ステップ1006は、第2移動ステップ1005を実施した後、液体2の吐出を停止させるステップである。
【0054】
吐出停止ステップ1006では、スピンコーター1の制御ユニット100は、第2移動ステップ1005実施後、即ち吐出口51がスピンナテーブル30で保持された基板200よりも外周側に位置付けられると液体供給源を制御して、図9に示すように、液体2の液体供給ノズル50への供給を停止して、吐出口51からの液体2の吐出を停止する。こうして、スピンコーター1は、液体2の吐出開始及び吐出停止は、スピンナテーブル30で保持された基板200よりも外周側に吐出口51が位置づけられた状態で実施される。
【0055】
なお、基板200の表面202に塗布された液体2は、乾燥されて、液体2が含む水溶性の樹脂で構成される被覆層210を基板200の表面202上に形成する。
【0056】
本願の出願人は、形成した被覆層210に気泡が混入する原因として被覆層210上に液体2が滴下すると、被覆層210と滴下した液体2の滴との間に空気を噛み込み気泡が混入する点と、液体2の吐出開始時では吐出が安定せずに液体供給ノズル50内の気体が気泡として液体2に混入する点を見出した。
【0057】
そこで、以上のように、実施形態1に係るスピンコーター1は、液体2の吐出開始及び吐出停止は、スピンナテーブル30で保持された基板200よりも外周側に吐出口51が位置づけられた状態で実施されるので、吐出開始時の液体供給ノズル50内の気体が気泡として入り込んだ液体2がスピンナテーブル30で保持された基板200よりも外周側で吐出されるとともに、基板200上に連続して安定吐出された液体2を供給することができる。その結果、実施形態1に係るスピンコーター1は、基板200上に吐出される液体2に気泡の混入を抑制でき、形成した被覆層210に気泡が混入することを抑制することができるという効果を奏する。
【0058】
実施形態1に係るスピンコート方法は、吐出開始ステップ1002においてスピンナテーブル30で保持された基板200よりも外周側に吐出口51が位置づけられた状態で液体2の吐出を開始し、吐出停止ステップにおいてスピンナテーブル30で保持された基板200よりも外周側に吐出口51が位置づけられた状態で液体2の吐出を停止する。その結果に、実施形態1に係るスピンコート方法は、基板200上に連続して安定吐出された液体2を供給することができ、基板200上に吐出される液体2に気泡の混入を抑制でき、形成した被覆層210に気泡が混入することを抑制することができるという効果を奏する。
【0059】
また、実施形態1に係るスピンコーター1及びスピンコート方法は、第1移動ステップ1003における液体供給ノズル50の吐出口51の移動速度が、第2移動ステップ1005における液体供給ノズル50の吐出口51の退避速度よりも速い速度に設定されるので、スピンナテーブル30が回転していても吐出口51が素早く基板200の中心上に位置付けるので、液体2を基板200の表面202の全体に塗布することができる。
【0060】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【符号の説明】
【0061】
1 スピンコーター
2 液体
30 スピンナテーブル
31 保持面
50 液体供給ノズル
51 吐出口
60 揺動モータ(移動手段)
200 基板
210 被覆層
1001 保持ステップ
1002 吐出開始ステップ
1003 第1移動ステップ
1005 第2移動ステップ
1006 吐出停止ステップ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9