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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023100358
(43)【公開日】2023-07-19
(54)【発明の名称】レーザ干渉装置
(51)【国際特許分類】
   G01B 9/02 20220101AFI20230711BHJP
   G01B 11/00 20060101ALI20230711BHJP
【FI】
G01B9/02
G01B11/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022000967
(22)【出願日】2022-01-06
(71)【出願人】
【識別番号】000137694
【氏名又は名称】株式会社ミツトヨ
(74)【代理人】
【識別番号】110000637
【氏名又は名称】弁理士法人樹之下知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】横山 雄一郎
【テーマコード(参考)】
2F064
2F065
【Fターム(参考)】
2F064AA01
2F064BB01
2F064DD02
2F064EE01
2F064FF01
2F064FF05
2F064GG16
2F064GG23
2F064GG39
2F064HH01
2F064JJ01
2F065AA02
2F065AA06
2F065AA09
2F065BB15
2F065BB25
2F065DD03
2F065EE02
2F065FF52
2F065GG04
2F065HH04
2F065JJ01
2F065LL17
2F065LL31
2F065LL37
2F065MM03
2F065QQ03
2F065QQ28
2F065QQ51
2F065UU03
(57)【要約】
【課題】熱膨張による影響を低減可能なレーザ干渉装置を提供する。
【解決手段】レーザ干渉装置1は、所定の測長方向に移動可能なスライダ3と、スライダ3に配置された対象物Wに対して測定処理を実施する光電顕微鏡5と、スライダ3に固定された測定反射体65と、光電顕微鏡5に固定された参照反射体67と、レーザ光源から出力されたレーザ光を測定光と参照光とに分割し、測定光を測長方向に沿って測定反射体65に向かって出射させ、参照光を測長方向に沿って参照反射体67に向かって出射させ、測定反射体65で反射された測定光と参照反射体67で反射された参照光との干渉光を測定するレーザ干渉計63と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の測長方向に移動可能なスライダと、
前記スライダに配置された対象物に対して所定の処理を実施する処理部と、
前記スライダに固定された測定反射体と、
前記処理部に固定された参照反射体と、
レーザ光源から出力されたレーザ光を測定光と参照光とに分割し、前記測定光を前記測長方向に沿って前記測定反射体に向かって出射させ、前記参照光を前記測長方向に沿って前記参照反射体に向かって出射させ、前記測定反射体で反射された前記測定光と前記参照反射体で反射された前記参照光との干渉光を測定するレーザ測定部と、
を備える、レーザ干渉装置。
【請求項2】
ベースに対して所定の測長方向に移動可能に設けられたスライダと、
前記スライダに固定された測定反射体と、
前記スライダに配置された対象物に対して所定の処理を実施する処理部と、
前記ベースに固定され、前記処理部を保持する保持部と、
前記保持部から、前記処理部に対向する位置まで延設されたアーム部と、
前記アーム部において、前記処理部に対向する位置に固定された参照反射体と、
レーザ光源から出力されたレーザ光を測定光と参照光とに分割し、前記測定光を前記測長方向に沿って前記測定反射体に向かって出射させ、前記参照光を前記測長方向に沿って前記参照反射体に向かって出射させ、前記測定反射体で反射された前記測定光と前記参照反射体で反射された前記参照光との干渉光を測定するレーザ測定部と、
を備える、レーザ干渉装置。
【請求項3】
前記参照反射体及び前記処理部との距離を測定する距離測定部をさらに備える、
請求項2に記載のレーザ干渉装置。
【請求項4】
前記保持部は、前記ベースに固定または前記ベースに一体となる第一保持部と、前記処理部が固定される第二保持部と、前記第二保持部を前記第一保持部に対して移動可能に保持する位置調整部と、を備え、
前記アーム部は、前記第一保持部に接続されている、
請求項2または請求項3に記載のレーザ干渉装置。
【請求項5】
前記レーザ測定部は、
前記レーザ光を測定光と参照光とに分割する光分割部と、
前記光分割部から入射された前記測定光を導光し、前記測定光を前記測定反射体に向かって前記測長方向に出射する第一導光部と、
前記光分割部から入射された前記参照光を導光し、前記参照光を前記参照反射体に向かって前記測長方向に出射する第二導光部と、を含み、
前記光分割部から前記第一導光部の光出射面までの前記測定光の経路である第一分配経路と、前記光分割部から前記第二導光部の光出射面までの前記参照光の経路である第二分配経路とは、機械的な経路長が互いに等しく、かつ、光学的な光路長が互いに等しい、
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のレーザ干渉装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザ干渉装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、計測機器や超精密加工装置等において移動体の変位を高精度に測定する手段として、レーザ干渉装置が用いられる(例えば特許文献1参照)。
例えば、図6は、特許文献1に記載のレーザ干渉装置を示す平面図である。図6に示すレーザ干渉装置100では、レーザ光源101から出射されたレーザ光がビームスプリッタ102によって測定光と参照光とに分割される。
測定光は、ビームスプリッタ102を透過してX方向に進む光であり、X方向に移動可能なスライダ103に固定された測定反射体104により反射される。
参照光は、ビームスプリッタ102で反射してY方向に進む光であり、反射鏡105により反射されることでX方向に沿って進み、ベースに固定されるブリッジ構造体106に設けられた参照反射体107で反射される。なお、特許文献1では、スライダ103上に載置された対象物に対して、ブリッジ構造体106に固定された光電顕微鏡108による測定を実施する。そして、参照反射体107は、光電顕微鏡108と、光電顕微鏡108による測定を行う測定中心と、を結ぶ直線109上に配置されている。
各反射体104,107で反射された測定光および参照光は、ビームスプリッタ102で重ね合わされて干渉光を生成する。この干渉光では、測定光の光路長と参照光の光路長との光路長差に応じて明暗が変化する。このため、スライダ103が移動する際の干渉光を光検出器110によって検出し、光検出器110の出力信号に基づいて干渉光の干渉縞を計数することにより、スライダ103の変位量を測定できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3400393号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1のようなレーザ干渉装置では、参照反射体107の位置を基準にしてスライダの移動量を測定する。本来基準とすべき位置は、処理中心であり、特許文献1のように、光電顕微鏡108で測定を実施する場合では、光電顕微鏡108による測定を行う測定中心109が処理中心となる。したがって、特許文献1においては、X方向において、測定中心109と同一となるブリッジ構造体106の一部に参照反射体107が設けられている。よって、光電顕微鏡108及び参照反射体107が設けられるブリッジ構造体106としては、不動で、かつ、変形しない剛体であることが望まれる。
しかしながら、レーザ干渉装置の運転中において、温度変動が生じると、ブリッジ構造体106の熱膨張が生じ、測定中心109と、参照反射体107とのX方向の位置がずれて測定誤差が発生する、との課題がある。また、このような熱膨張を抑制するために、高性能な温度制御が可能な恒温ブースを用いたり、ブリッジ構造体106として熱膨張係数の小さい材料を用いたりすることも考えられるが、いずれの場合でも、装置のコストアップは避けられない。
【0005】
本発明は、上記のような課題に鑑みて、熱膨張による影響を低減可能なレーザ干渉装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第一態様のレーザ干渉装置は、所定の測長方向に移動可能なスライダと、前記スライダに配置された対象物に対して所定の処理を実施する処理部と、前記スライダに固定された測定反射体と、前記処理部に固定された参照反射体と、レーザ光源から出力されたレーザ光を測定光と参照光とに分割し、前記測定光を前記測長方向に沿って前記測定反射体に向かって出射させ、前記参照光を前記測長方向に沿って前記参照反射体に向かって出射させ、前記測定反射体で反射された前記測定光と前記参照反射体で反射された前記参照光との干渉光を測定するレーザ測定部と、を備える。
【0007】
本発明では、測定反射体がスライダに固定され、参照反射体が処理部に固定される。このような構成では、例えば、ブリッジ構造体等、処理部から離れた位置に参照反射体が設けられる場合に比べて、対象物に所定の処理を実施する処理中心により近い位置に参照反射体を配置できる。これにより、処理中の温度変化等により熱膨張が発生しても、その影響を低減できる。すなわち、温度変化が生じた場合でも、参照反射体と処理中心との距離の変化が抑えられ、処理中心に対して、適正にスライダの位置を調整することが可能となる。
【0008】
本発明の第二態様のレーザ干渉装置は、ベースに対して所定の測長方向に移動可能に設けられたスライダと、前記スライダに固定された測定反射体と、前記スライダに配置された対象物に対して所定の処理を実施する処理部と、前記ベースに固定され、前記処理部を保持する保持部と、前記保持部から、前記処理部に対向する位置まで延設されたアーム部と、前記アーム部において、前記処理部に対向する位置に固定された参照反射体と、レーザ光源から出力されたレーザ光を測定光と参照光とに分割し、前記測定光を前記測長方向に沿って前記測定反射体に向かって出射させ、前記参照光を前記測長方向に沿って前記参照反射体に向かって出射させ、前記測定反射体で反射された前記測定光と前記参照反射体で反射された前記参照光との干渉光を測定するレーザ測定部と、を備える。
【0009】
本態様では、測定反射体がスライダに固定され、参照反射体が、処理部が取り付けられる保持部から処理部に対向する位置まで延出するアーム部に固定される。
処理部が保持部に対して移動可能(位置調整可能)に保持されている場合、第一態様のように、処理部に参照反射体を固定すると、参照反射体の位置変動により、参照光の光路が変化して、測定光と参照光との干渉光が得られない場合がある。これに対して、本態様では、処理部の保持部に対する位置が変動した場合でも、参照反射体の位置は固定されるので、参照光の光路が変化しない。したがって、測定光と参照光との干渉光を適正に得ることができ、これらの干渉光に基づいて、スライダの位置を測定することができる。
【0010】
本態様のレーザ干渉装置では、前記参照反射体及び前記処理部との距離を測定する距離測定部をさらに備える。
参照反射体がアーム部に固定される場合、参照反射体と処理部との位置関係を正しく把握する必要がある。これに対して、本態様では、距離測定部により、参照反射体と処理部との距離を検出でき、これにより、保持部に対する処理部の位置が変動した場合でも、参照反射体と処理部との距離を検出できる。参照反射体と処理部との距離を検出することで、処理部により処理中心の位置を正しく検出することができ、測定光と参照光との干渉光に基づいて、処理中心に対するスライダの位置を適正に調整することも可能となる。
【0011】
本態様のレーザ干渉装置では、前記保持部は、前記ベースに固定または前記ベースに一体となる第一保持部と、前記処理部が固定される第二保持部と、前記第二保持部を前記第一保持部に対して移動可能に保持する位置調整部と、を備え、前記アーム部は、前記第一保持部に接続されている。
上述したように、本態様では、保持部に対する処理部の位置を調整する位置調整部が設けられている場合でも、第二参照体の位置は不変となり、測定光と参照光との干渉光を適正に得ることができる。すなわち、処理部として、例えば、対象物に接触するタッチプローブを用いる場合、対象物に接触して対象物を加工する加工器具を用いる場合等では、処理部が対象物に接触することでその位置が変動するが、本態様では、参照反射体はアーム部に設けられているので、処理部の位置が変動しても、参照反射体の位置が変動することがない。
【0012】
第一態様及び第二態様のレーザ干渉装置において、前記レーザ測定部は、前記レーザ光を測定光と参照光とに分割する光分割部と、前記光分割部から入射された前記測定光を導光し、前記測定光を前記測定反射体に向かって前記測長方向に出射する第一導光部と、前記光分割部から入射された前記参照光を導光し、前記参照光を前記参照反射体に向かって前記測長方向に出射する第二導光部と、を含み、前記光分割部から前記第一導光部の光出射面までの前記測定光の経路である第一分配経路と、前記光分割部から前記第二導光部の光出射面までの前記参照光の経路である第二分配経路とは、機械的な経路長が互いに等しく、かつ、光学的な光路長が互いに等しい。
【0013】
本態様では、第一分配経路と第二分配経路との間で、機械的な経路長が互いに等しく、かつ、光学的な光路長が互いに等しい。このため、レーザ干渉装置に熱膨張等が生じ、第一導光部および第二導光部に配置ずれが生じた場合において、第一分配経路で生じる光路長の変化量と第二分配経路で生じる光路長の変化量とを同程度にすることができる。この結果、光路長差に生じる誤差をより低減することができ、レーザ干渉装置による測定精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一実施形態にかかるレーザ干渉装置を示す平面図。
図2図1に示すレーザ干渉装置のII-II線断面図。
図3】第一実施形態の第一導光部および第二導光部を示す模式図。
図4】第二実施形態のレーザ干渉装置を示す平面図。
図5】変形例1のレーザ干渉装置を示す平面図。
図6】従来技術のレーザ干渉装置を示す平面図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
〔第一実施形態〕
以下、本発明に係る第一実施形態について図1図3を参照して説明する。
図1は、第一実施形態のレーザ干渉装置1の概略構成を示す平面図である。図1では、レーザ光の光路を図示するために、レーザ干渉装置1のいくつかの要素の上部を切断した状態で示している。
【0016】
本実施形態のレーザ干渉装置1は、スライダ3に載置される対象物Wを観察しつつ、一方向(測長方向)に移動するスライダ3の変位量を検出可能な装置である。
具体的には、本実施形態では、線度器を対象物Wとしてスライダ3に配置し、レーザ干渉装置1は、レーザ干渉計6により検出されたスライダ3の変位量を基準とし、光電顕微鏡5により検出される線度器の目盛線間隔の偏差を算出することにより、線度器の精度評価を行う装置として構成されている。
【0017】
(レーザ干渉装置1)
まず、レーザ干渉装置1の全体的な構成について説明する。
図2は、図1におけるII―II線における矢視断面図である。
レーザ干渉装置1は、ベース2と、ベース2に対して移動可能なスライダ3と、スライダ3を駆動する駆動機構4と、スライダ3に配置される対象物Wを観察可能な光電顕微鏡5と、スライダ3の変位を検出するためのレーザ干渉計6と、を備えている。
【0018】
ベース2は、水平に配置された上面21を有しており、この上面21に対してスライダ3やレーザ干渉計6などが設置される。また、ベース2には、スライダ3を跨ぐように配置されたブリッジ構造体22が設けられている。ブリッジ構造体22の両脚は、ベース2に固定されている。
【0019】
スライダ3は、ベース2の上面21に平行な一方向(以下、X方向)に移動可能である。X方向は本発明における測長方向に相当する。
スライダ3上には、対象物Wがセットされる。この対象物Wは、後述する測定光路筒66の中心と同一線上に配置されることが好ましい。
【0020】
駆動機構4は、例えば送りねじ機構によって構成され、スライダ3をX方向に駆動する。また、駆動機構4は、スライダ3だけでなく、レーザ干渉計6のキャリッジ668にも連結されており、スライダ3と共にキャリッジ668をX方向に駆動する。
【0021】
光電顕微鏡5は、スライダ3の上方においてブリッジ構造体22に支持されている。この光電顕微鏡5は、本発明の処理部に相当し、スライダ3に載置された対象物Wに対する測定(観察)処理を行う。本実施形態において、光電顕微鏡5の観察光軸Aは、ベース2の上面21に平行かつX方向に直交する直交方向(以下、Y方向)に沿って配置されている。
レーザ干渉計6は、詳細は後述するが、干渉計の原理を利用して、スライダ3の変位を検出するための干渉光を出力する。
【0022】
(レーザ干渉計6)
次に、レーザ干渉計6の構成について説明する。
レーザ干渉計6は、本発明のレーザ測定部であり、レーザ光源61、1/2波長板62、真空チャンバー63、光束分割合成部材64、第一導光部71、第二導光部72、測定反射体65、測定光路筒66、参照反射体67、参照光路筒68、検出部69を有する。
【0023】
レーザ光源61は、例えばヘリウムネオンレーザであり、安定した周波数のレーザ光を出射する。
1/2波長板62は、レーザ光源61から出射されたレーザ光の偏光状態を調整する。また、光軸を中心に1/2波長板62を回転させる回転手段を設けてもよい。
【0024】
真空チャンバー63は、光束分割合成部材64、第一導光部71および第二導光部72を収容する容器であり、真空チャンバー63内の空間は、真空状態又は略真空となる減圧状態に維持される。また、真空チャンバー63は、レーザ光源61から出射されて1/2波長板62を透過したレーザ光が透過する窓部631を有している。
【0025】
光束分割合成部材64は、本発明の光分割部に相当し、入射光を透過光と反射光とに分割する分割面641を有する(図3参照)。本実施形態の光束分割合成部材64は、偏光ビームスプリッタにより構成されており、レーザ光源61から出射されて1/2波長板62を透過したレーザ光のうち、P偏光を透過させて測定光として出射し、S偏光を反射して参照光として出射する。上述のように、1/2波長板62を回転可能な構成としてもよく、この場合、測定光と参照光との光量比を調整することが可能となる。
また、光束分割合成部材64は、測定反射体65で反射されて戻った測定光と、参照反射体67で反射されて戻った参照光とを合成する。
【0026】
第一導光部71は、光学素子群から構成されている。この第一導光部71は、光束分割合成部材64から出射された測定光を導光し、当該測定光を測長方向(X方向)に出射することで、測定反射体65との間に直線状の測定光路Lp1を形成する。また、第一導光部71は、測定反射体65で反射され、測定光路Lp1を戻る測定光を光束分割合成部材64に導く。
【0027】
第二導光部72は、第一導光部71と同内容の光学素子群から構成されている。この第二導光部72は、光束分割合成部材64から出射された参照光を導光し、当該参照光を測長方向(X方向)に出射することで、参照反射体67との間に、測定光路Lp1に対して平行な参照光路Lp2を形成する。また、第二導光部72は、参照反射体67で反射され、参照光路Lp2を戻る参照光を光束分割合成部材64に導く。
【0028】
測定反射体65は、スライダ3に取り付けられており、スライダ3と共にX方向に移動可能である。この測定反射体65は、例えばコーナーキューブプリズムなどのリトロリフレクターであり、第一導光部71から出射された測定光を再帰反射する。
【0029】
測定光路筒66は、測定光路Lp1を囲うようにX方向に沿って配置されている。測定光路筒66の一端部は、真空チャンバー63に接続され、測定光路筒66の他端部は、測定反射体65に固定されている。この測定光路筒66は、測定反射体65がX方向に移動することによってX方向に伸縮するように構成されている。
【0030】
具体的には、測定光路筒66は、ベローズ661(蛇腹管)と、二重ベローズ662,663と、中間筒664,665とが連結されることによって構成されている。二重ベローズ662,663は、内側空間および外側空間を区画する二重構造を有しており、内側空間を真空状態に保つと共に、外側空間を大気圧に保つことで、圧力バランスをとっている。中間筒664は、X方向に移動可能なキャリッジ668によって支持されており、駆動機構4によりX方向に駆動される。
【0031】
参照反射体67は、光電顕微鏡5に固定されており、具体的には、Z方向から見た平面視で、観察光軸A上に配置されている。つまり、本実施形態では、処理部である光電顕微鏡5による対象物Wの観察中心が本発明の処理中心となり、当該光電顕微鏡5に参照反射体67が固定されている。
好ましくは、参照反射体67は、図1に示すように、X方向において、処理部である光電顕微鏡5の処理中心と同一位置、つまり、Z方向から見たXY平面視で観察光軸A上に配置される。
この参照反射体67は、例えばコーナーキューブプリズムなどのリトロリフレクターであり、第二導光部72から出射された参照光を再帰反射する。
【0032】
参照光路筒68は、参照光路Lp2を囲うようにX方向に沿って配置されている。参照光路筒68の一端部は、真空チャンバー63に接続され、参照光路筒68の他端部は、参照反射体67に固定されている。
【0033】
具体的には、参照光路筒68は、パイプ構造体681と、パイプ構造体681の両側にそれぞれ配置された二重ベローズ682,683とを有する。なお、二重ベローズ682,683は、前述した二重ベローズ662,663と同様、二重構造を有している。参照光路筒68は、伸縮することを前提としていないが、二重ベローズ682,683を有することで、レーザ干渉装置1の各要素が熱膨張した場合にX方向の負荷が生じることを防止できる。
【0034】
検出部69は、光束分割合成部材64で同一軸上に合流した測定光および参照光を干渉させることで干渉光を生成し、この干渉光を光電変換することで検出信号を出力する。この検出部69は、外部の信号処理装置に接続されており、信号処理装置によって検出信号が処理されることにより、測定反射体65の変位量等が演算される。
この検出部69の具体的な検出方式や構成は特に限定されず、公知技術を利用可能である。例えば、検出部69は、光束分割合成部材64で同一軸上に合流した測定光および参照光によるビームを複数のビームに分割し、これら複数のビームから任意の位相差を設けた複数の干渉光を生成する。そして、各干渉光をそれぞれ受光素子で受光して光電変換することで、各方向に対して変位の検出が可能な複数の検出信号を得る。
【0035】
(第一導光部71および第二導光部72)
次に、第一導光部71および第二導光部72の各構成について、図3を参照して説明する。なお、図3は、真空チャンバー63内に配置された光束分割合成部材64、第一導光部71および第二導光部72を示している。
【0036】
本実施形態において、第一導光部71および第二導光部72は、それぞれ、同一のXY平面上に配置された複数の光学素子から構成されている。
具体的には、第一導光部71は、光束分割合成部材64側から順に、直角プリズム711、偏光ビームスプリッタ712および直角プリズム713を有している。また、第二導光部72は、光束分割合成部材64側から順に、偏光ビームスプリッタ721、直角プリズム722,723を有している。
ここで、偏光ビームスプリッタ712,721は、大きさおよび材質の屈折率が互いに等しい。また、直角プリズム711,713,722,723は、大きさおよび材質の屈折率が互いに等しい。
すなわち、第一導光部71を構成する光学素子群と、第二導光部72を構成する光学素子群とは、光学素子の数、材質および大きさが揃えられている。
【0037】
このような構成において、光束分割合成部材64を透過した測定光L1は、第一導光部71において、直角プリズム711で反射され、偏光ビームスプリッタ712を透過し、直角プリズム713で反射されることにより、測長方向(X方向)に出射される。
一方、光束分割合成部材64で反射された参照光L2は、第二導光部72において、偏光ビームスプリッタ721で反射された後、直角プリズム722および直角プリズム723で反射されることにより、測長方向(X方向)に出射される。
【0038】
ここで、光束分割合成部材64の分割面641から第一導光部71の出射面71Aまでの測定光の経路を第一分配経路Dp1とし、分割面641から第二導光部72の出射面72Aまでの参照光の経路を第二分配経路Dp2とするとき、第一分配経路Dp1と第二分配経路Dp2とは、機械的な経路長が互いに等しく、かつ、光学的な光路長が互いに等しい。
なお、光学的な光路長とは、光が進む経路の機械的な経路長に対して当該経路を形成する媒質の屈折率を掛けた長さとなる。
【0039】
また、光束分割合成部材64は、第一導光部71の出射面71Aから出射する測定光L1の経路(図1の測定光路Lp1)と、第二導光部72の出射面72Aから出射する参照光L2の経路(図1の参照光路Lp2)との間隔を等分する仮線Lt上に配置されている。これにより、第一分配経路Dp1と第二分配経路Dp2とは、X方向の機械的な経路長W1,W2が互いに等しく、かつ、Y方向の機械的な経路長D1,D2が互いに等しくなるように形成されている。
【0040】
また、第一導光部71において、直角プリズム711,713は、ピッチングおよびヨーイングの両方の姿勢調整が可能に構成されている。
同様に、第二導光部72において、直角プリズム722,723は、ピッチングおよびヨーイングの両方の姿勢調整が可能に構成されている。
【0041】
〔本実施形態の効果〕
本実施形態のレーザ干渉装置1では、X方向に移動可能なスライダ3と、スライダ3に配置された対象物Wに対する測定処理を実施する光電顕微鏡5(処理部)と、スライダ3に固定された測定反射体65と、光電顕微鏡5に固定された参照反射体67と、レーザ干渉計6とを備える。レーザ干渉計6は、レーザ光源61から出力されたレーザ光を測定光と参照光とに分割し、測定光をX方向に沿って測定反射体65に向かって出射させ、参照光をX方向に沿って参照反射体67に向かって出射させ、測定反射体65及び参照反射体67で反射された測定光及び参照光との干渉光を測定する。
このような構成では、測定処理(観察処理)を実施する光電顕微鏡5に参照反射体67が固定されているので、測定中に温度変化等が生じた場合でも、参照反射体67と処理中心との位置関係が変化しない。つまり、従来のように、ブリッジ構造体22に参照反射体67を固定した場合、測定開始時に参照反射体67の位置が観察光軸A上にあったとしても、測定中に温度が変化した際に、ブリッジ構造体22が熱膨張により変形する可能性がある。この場合、ブリッジ構造体22に参照反射体67を設けると、ブリッジ構造体22の参照反射体67が設けられる位置から光電顕微鏡5までの距離が長くなるため、熱膨張の影響を強く受け、X方向における参照反射体67の位置が観察光軸A(つまり、X方向における処理中心の位置)からずれて、測定誤差も大きくなる。これに対して、本実施形態では、ブリッジ構造体22ではなく、処理部である光電顕微鏡5に直接参照反射体67が固定される構成となるので、測定中に温度変化が生じても、観察光軸Aに対する参照反射体67のX方向における位置はほぼ移動しない。したがって、処理中の温度変化による測定誤差が抑制され、測定中心に対するスライダ3の位置を適正に制御でき、精度の高い測定を実施できる。また、ブリッジ構造体22等に高価な低熱膨張係数の素材を用いたり、装置全体を恒温槽に収納したりする必要がないため、レーザ干渉装置1の低コストを図れる。
【0042】
また、本実施形態では、レーザ干渉計6は、レーザ光を測定光と参照光とに分割する光束分割合成部材64と、測定光を導光する第一導光部71と、参照光を導光する第二導光部72と、を含む。そして、第一導光部71における、光束分割合成部材64から当該第一導光部71の光出射面までの測定光の経路である第一分配経路Dp1と、第二導光部72における、光束分割合成部材64から当該第二導光部72の光出射面までの参照光の経路である第二分配経路Dp2とは、機械的な経路長が互いに等しく、かつ、光学的な光路長が互いに等しい。
このため、真空チャンバー63が熱膨張し、第一導光部71および第二導光部72の各光学要素に配置ずれが生じた場合において、第一分配経路Dp1で生じる光路長の変化量と、第二分配経路Dp2で生じる光路長の変化量とを同程度にすることができる。この結果、光路長差に生じる誤差をより低減することができ、レーザ干渉装置1による測定精度を向上できる。
【0043】
また、本実施形態では、光束分割合成部材64の配置により、第一分配経路Dp1と第二分配経路Dp2とは、X方向およびY方向のそれぞれにおいて等しく構成されている。
このため、X方向およびY方向のどちらに熱膨張が発生しても、第一分配経路Dp1で生じる光路長の変化量と、第二分配経路Dp2で生じる光路長の変化量とを同程度にすることができる。この結果、光路長差に生じる誤差をより低減することができ、レーザ干渉装置1による測定精度をより向上できる。
【0044】
さらに、本実施形態では、第一導光部71を構成する光学素子群と第二導光部72を構成する光学素子群との間で、光学素子の材質を揃えることにより、機械的な経路長に影響する熱膨張係数や、光学的な経路長に影響する屈折率および当該屈折率の温度特性を揃えることができる。さらに、第一導光部71を構成する光学素子群と第二導光部72を構成する光学素子群との間で、光学素子の数および大きさを揃えることにより、光学素子内の光路の合計が等しい。このため、第一導光部71および第二導光部72に伝わる熱によって、光学素子の部品寸法が変化したり、光学素子内の屈折率が変化したりする場合であっても、第一分配経路Dp1で生じる光路長の変化量と、第二分配経路Dp2で生じる光路長の変化量とを同程度にすることができる。これにより、第一導光部71および第二導光部72を構成する光学素子としてミラー以外の光学素子を用いつつ、レーザ干渉装置1による測定精度を向上させることができる。
【0045】
〔第二実施形態〕
次に、第二実施形態について説明する。
上記第一実施形態では、処理部である光電顕微鏡5に参照反射体67を直接固定する構成であるが、処理部がブリッジ構造体22に対して固定されておらず、一定範囲内で変位可能に装着されている場合がある。この場合、処理部に対して参照反射体67を固定することができない。
これに対して、第二実施形態では、処理部に対向する位置に参照反射体を固定することで、上記課題を解決する。
なお、以降の説明にあたり、既に説明した構成については、同符号を付してその説明を省略または簡略化する。
【0046】
図4は、第二実施形態のレーザ干渉装置を示す平面図である。
本実施形態のレーザ干渉装置1Aは、第一実施形態と同様、ベース2と、スライダ3と、ブリッジ構造体22と、処理部である光電顕微鏡5と、レーザ干渉計6とを備える。
そして、本実施形態では、光電顕微鏡5は、ブリッジ構造体22に固定された保持部23に保持されている。
より具体的には、保持部23は、ブリッジ構造体22に固定又はブリッジ構造体22に一体的に構成される第一保持部231と、光電顕微鏡5が固定される第二保持部232とを備え、これらの第一保持部231と第二保持部232とが位置調整部233を介して接続されている。位置調整部233は、第一保持部231に対する第二保持部232の位置をX方向に移動可能に保持しており、これにより、本実施形態では、第二保持部232に保持された光電顕微鏡5の位置を所定の範囲内で微調整することができる。
なお、ここでは、位置調整部233により、第二保持部232が第一保持部231に対してX方向に微調整可能な構成を例示するが、Y方向及びZ方向に対しても位置調整可能な構成としてもよい。
【0047】
また、本実施形態では、第一保持部231に対してアーム部24が固定されている。アーム部24は、第一保持部231の側方(例えば-X側)に接続され、Y方向に沿って光電顕微鏡5に向かう方向に、光電顕微鏡5に対向する位置まで延出する。アーム部24の先端側には参照反射体67が固定されており、これにより、本実施形態では、X方向において光電顕微鏡5に対向する位置に参照反射体67が配置される。
【0048】
さらに、本実施形態では、光電顕微鏡5と参照反射体67との距離を測定する距離測定部25が設けられている。距離測定部25は、特に限定されず、例えば、静電容量の変化に基づいて距離を検出する静電容量センサを用いてもよく、別途干渉計を設ける構成としてもよい。距離測定部25として干渉計を用いる場合、光電顕微鏡5と参照反射体67との間隔として、測定ストロークを確保しうる範囲で可能な限り狭い間隔を設定することで、測定光路の空気揺らぎの影響を無視できる。
また、位置調整部233として、上述のように、X方向だけでなく、Y方向及びZ方向にも移動可能な構成とする場合、各軸方向(XYZ)に対応して距離測定部25を設ければよい。
【0049】
そして、本実施形態のレーザ干渉装置1Aは、レーザ干渉計6の検出部69から出力される検出信号と、距離測定部25から出力される信号との双方を用いて、スライダ3の位置を調整する。すなわち、本実施形態のレーザ干渉装置1Aでは、検出部69から出力される検出信号に基づいて、参照反射体67に対するスライダ3の位置を算出する。また、距離測定部25から出力される信号に基づいて、光電顕微鏡5(観察光軸A)と参照反射体67とのX方向の距離(オフセット量)を算出し、参照反射体67に対するスライダ3の位置を補正する。
【0050】
〔本実施形態の効果〕
本実施形態のレーザ干渉装置1Aでは、ベース2に対して固定されるブリッジ構造体22に設けられて、処理部である光電顕微鏡5を保持する保持部23を備え、当該保持部23には、光電顕微鏡5に対向する位置まで延設されたアーム部24が設けられている。そして、参照反射体67は、アーム部24の先端部で、光電顕微鏡5に対向する位置に固定されている。
【0051】
このような構成でも、第一実施形態と同様の作用効果が得られ、測定中に温度変化が生じても、参照反射体67と光電顕微鏡5との距離が近く、熱膨張による測定誤差を抑制できる。
さらに、本実施形態では、保持部23に対する位置が調整可能な処理部(光電顕微鏡5等)を用いることができる。すなわち、上記第一実施形態では、レーザ干渉計6の参照光路Lp2は固定となるため、処理部である光電顕微鏡5の位置調整を行う場合、参照光路Lp2の調整(具体的には、第二導光部72に配置される各光学部材の位置調整)も必要となる。これに対して、本実施形態では、参照反射体67は、光電顕微鏡5に対して所定の隙間を介して配置されるので、光電顕微鏡5の位置の微調整が可能であり、また、光電顕微鏡5の交換やメンテナンスも容易に行える。
【0052】
また、本実施形態では、参照反射体67及び光電顕微鏡5の距離を測定する距離測定部25をさらに備える。
これにより、上記のように、参照反射体67と光電顕微鏡5との間の隙間が空いている場合でも、その隙間の距離を距離測定部25により測定することができる。これにより、参照反射体67から処理中心である観察光軸Aまでの距離が算出でき、レーザ干渉計6により測定されたスライダ3の位置を前記距離により補正することで、観察光軸Aに対するスライダ3の位置調整を精度よく行える。
【0053】
本実施形態では、保持部23は、ブリッジ構造体22に固定される第一保持部231と、光電顕微鏡5が固定される第二保持部232と、を備え、第二保持部232は、位置調整部233を介して第一保持部231に取り付けられている。つまり、位置調整部233により、第一保持部231に対する第二保持部232の位置が調整可能となり、これにより、光電顕微鏡5の観察光軸Aを対象物Wの所望の測定点に正確に合わせ込むことができる。
また、本実施形態では、処理部として、対象物Wに対して非接触となる光電顕微鏡5を例示したが、例えば、タッチプローブ等の接触型測定手段、対象物Wに接触して加工する加工具等を用いることもできる。このような接触型の処理部を用いる場合では、処理部と対象物Wとの接触によって、処理部の姿勢が変化したり、処理部の位置が変動したりする場合がある。これに対して、本実施形態のように距離測定部25を設けることで、処理部の位置変動量を測定することができ、対象物Wに対する処理中心を正確に把握することができる。
【0054】
〔変形例〕
本発明は前述した各実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形などは本発明に含まれる。
【0055】
(変形例1)
第一実施形態のレーザ干渉装置1では、X方向について、参照反射体67の位置と、処理部である光電顕微鏡5の観察光軸Aと、を一致させる構成としたが、これに限定されない。
図5は、変形例1に係るレーザ干渉装置1Bの平面図である。例えば、図5に示すように、参照反射体67を、光電顕微鏡5のX方向の側面に固定する構成としてもよい。この場合、観察光軸Aと参照反射体67との位置が、光電顕微鏡5のX方向の幅だけずれる。しかしながら、観察光軸Aから光電顕微鏡5の側面までの寸法は既知であり、当該寸法をオフセット量として、レーザ干渉計6により測定されるスライダ3の位置を補正することで、観察光軸Aの位置を適正に算出できる。
【0056】
また、第二実施形態において、アーム部24の先端に固定される参照反射体67が光電顕微鏡5の-X側で、光電顕微鏡5と所定の間隔を開けて配置される構成を例示したが、これに限定されない。例えば、アーム部24が保持部23の+Z側または-Z側から+Y側に延出し、アーム部24の先端に固定される参照反射体67が光電顕微鏡5の+Z側又は-Z側に配置される構成としてもよい。
【0057】
(変形例2)
第二実施形態において、ブリッジ構造体22に対して第一保持部231が固定される構成としているが、ブリッジ構造体22と第一保持部231とが一体的に構成されていてもよい。同様に、第一保持部231にアーム部24が固定される構成を例示したが、第一保持部231とアーム部24とが一体的に構成されていてもよい。
【0058】
(変形例3)
上記実施形態では、レーザ干渉計6として、第一導光部71における第一分配経路Dp1と、第二導光部72における第二分配経路Dp2とが、機械的な経路長が互いに等しく、かつ、光学的な光路長が互いに等しい構成を例示したが、これに限定されない。例えば、第一分配経路Dp1と第二分配経路Dp2との機械的な経路長や光学的な光路長が異なっていてもよい。
【0059】
(変形例4)
上記実施形態のレーザ干渉装置1,1Aでは、真空チャンバー63を備えているが、この真空チャンバー63は省略されてもよい。この場合、真空チャンバー63に接続されていた測定光路筒66および参照光路筒68の各二重ベローズ663,683も省略される。この場合、真空チャンバー63の代わりに空気揺らぎ防止用のカバーを用いることが好ましい。
このような構成では、真空チャンバー63のような大型な重量物を用いないことにより、レーザ干渉装置1の小型化および軽量化が可能である。
【0060】
(変形例5)
前記実施形態では、本発明の光分割部として、偏光ビームスプリッタを例示したが、これに限られない。例えば、レーザ光を測定光および参照光に分割する機能と、測定光および参照光を合成する機能とは、それぞれ別の部材によって実現されてもよい。
【0061】
また、測定反射体65および参照反射体67がそれぞれコーナーキューブである場合を例示しているが、本発明はこれに限られない。例えば、測定反射体65および参照反射体67として、それぞれ平面鏡を用い、レーザ干渉計6が偏光を用いないように構成されてもよい。
【0062】
(変形例6)
上記各実施形態では、処理部として光電顕微鏡5を例示しているが、上述したように、処理部としては、対象物Wに対する測定や加工等の処理を行ういかなるものと用いてもよい。例えば、処理部として、接触型のタッチプローブセンサーや、非接触型のレーザープローブセンサー、ドリルや研磨機等の接触型の加工工具、対象物Wであるレジストに対して所定波長のレーザ光を照射する露光光学系やレーザーカット等の非接触型加工具等が例示できる。
その他、本発明は、移動体の変位量を測定する様々なレーザ干渉装置に適用することができる。
【符号の説明】
【0063】
1,1A…レーザ干渉装置、2…ベース、21…上面、22…ブリッジ構造体、3…スライダ、4…駆動機構、5…光電顕微鏡、6…レーザ干渉計、61…レーザ光源、62…2波長板、63…真空チャンバー、631…窓部、64…光束分割合成部材、641…分割面、65…測定反射体、66…測定光路筒、661…ベローズ、662,663…二重ベローズ、664,665…中間筒、668…キャリッジ、67…参照反射体、68…参照光路筒、681…パイプ構造体、682,683…二重ベローズ、69…検出部、71…第一導光部、711,713…直角プリズム、712…偏光ビームスプリッタ、71A…出射面、72…第二導光部、721…偏光ビームスプリッタ、722,723…直角プリズム、72A…出射面、A…観察光軸、Dp1…第一分配経路、Dp2…第二分配経路、L1…測定光、L2…参照光、Lp1…測定光路、Lp2…参照光路、Lt…仮線、W…対象物。
図1
図2
図3
図4
図5
図6