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特開2023-100449補助露光装置、露光方法および記憶媒体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023100449
(43)【公開日】2023-07-19
(54)【発明の名称】補助露光装置、露光方法および記憶媒体
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/20 20060101AFI20230711BHJP
【FI】
G03F7/20 501
G03F7/20 521
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022001136
(22)【出願日】2022-01-06
(71)【出願人】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤原 慎
(72)【発明者】
【氏名】西山 淳
【テーマコード(参考)】
2H197
【Fターム(参考)】
2H197AA47
2H197AB16
2H197BA04
2H197BA09
2H197CA01
2H197CD25
2H197CD29
2H197CD45
2H197DA09
2H197HA02
2H197HA03
2H197HA04
2H197HA05
2H197HA10
2H197JA13
(57)【要約】
【課題】被処理基板の各製品エリア周辺での露光分解能を向上すること。
【解決手段】補助露光装置は、搬送部と、光源ユニットと、集光レンズとを備える。搬送部は、複数の製品エリアおよび各製品エリアの周辺に位置する周辺エリアを含む被処理基板を第1方向に搬送する。光源ユニットは、第1方向と交差する第2方向に複数の光源を配列して形成され、第1方向に搬送される被処理基板に光を照射する。集光レンズは、光源ユニットと被処理基板との間に配置され、光源ユニットによって被処理基板の第2方向に延びる周辺エリアに照射される光を第1方向に沿って集光する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の製品エリアおよび各前記製品エリアの周辺に位置する周辺エリアを含む被処理基板を第1方向に搬送する搬送部と、
前記第1方向と交差する第2方向に複数の光源を配列して形成され、前記第1方向に搬送される前記被処理基板に光を照射する光源ユニットと、
前記光源ユニットと前記被処理基板との間に配置され、前記光源ユニットによって前記被処理基板の前記第2方向に延びる前記周辺エリアに照射される光を前記第1方向に沿って集光する集光レンズと
を備える、補助露光装置。
【請求項2】
前記被処理基板の前記第1方向に延びる前記周辺エリアに対応する位置に配置され、前記第1方向に搬送される前記被処理基板に光を照射する局所光源と、
前記局所光源と前記被処理基板との間に配置され、前記局所光源によって前記被処理基板の前記第1方向に延びる前記周辺エリアに照射される光を前記第2方向に沿って集光する局所集光レンズと
をさらに備える、請求項1に記載の補助露光装置。
【請求項3】
各部を制御する制御部をさらに備え、
前記制御部は、
前記被処理基板の前記第2方向に延びる前記周辺エリアに対する露光処理を行う場合、前記周辺エリアと前記集光レンズとが対向する位置で前記光源ユニットによって前記周辺エリアに光を照射し、
前記被処理基板の前記第1方向に延びる前記周辺エリアに対する露光処理を行う場合、前記局所光源によって前記周辺エリアに光を照射する、請求項2に記載の補助露光装置。
【請求項4】
前記集光レンズと前記被処理基板との間に配置され、前記被処理基板の前記第1方向に延びる前記周辺エリアに隣接する他のエリアを遮蔽するマスク部材をさらに備え、
前記光源ユニットは、前記マスク部材を介して、前記被処理基板の前記第1方向に延びる前記周辺エリアに光を照射する、請求項1に記載の補助露光装置。
【請求項5】
前記マスク部材を、前記集光レンズと前記被処理基板との間における処理位置と、予め定められた退避位置との間で移動させる移動部と、
各部を制御する制御部と
をさらに備え、
前記制御部は、
前記被処理基板の前記第2方向に延びる前記周辺エリアに対する露光処理を行う場合、前記移動部によって前記マスク部材を前記退避位置に退避させ、前記集光レンズと前記周辺エリアとが対向する位置で前記光源ユニットによって前記周辺エリアに光を照射し、
前記被処理基板の前記第1方向に延びる前記周辺エリアに対する露光処理を行う場合、前記移動部によって前記退避位置から前記処理位置に前記マスク部材を移動させ、前記光源ユニットによって前記処理位置に位置する前記マスク部材を介して前記周辺エリアに光を照射する、請求項4に記載の補助露光装置。
【請求項6】
前記集光レンズと前記被処理基板との間に配置され、前記被処理基板を遮蔽しない第1モードと、前記被処理基板の前記第1方向に延びる前記周辺エリアに隣接する他のエリアを遮蔽する第2モードとの間で遷移可能な液晶モジュールをさらに備え、
前記光源ユニットは、前記第2モードの前記液晶モジュールを介して、前記被処理基板の前記第1方向に延びる前記周辺エリアに光を照射する、請求項1に記載の補助露光装置。
【請求項7】
各部を制御する制御部をさらに備え、
前記制御部は、
前記被処理基板の前記第2方向に延びる前記周辺エリアに対する露光処理を行う場合、前記液晶モジュールを前記第1モードに遷移させ、前記集光レンズと前記周辺エリアとが対向する位置で前記光源ユニットによって前記第1モードの前記液晶モジュールを介して前記周辺エリアに光を照射し、
前記被処理基板の前記第1方向に延びる前記周辺エリアに対する露光処理を行う場合、前記液晶モジュールを前記第2モードに遷移させ、前記光源ユニットによって前記第2モードの前記液晶モジュールを介して前記周辺エリアに光を照射する、請求項6に記載の補助露光装置。
【請求項8】
各部を制御する制御部をさらに備え、
前記制御部は、
前記第1方向に前記被処理基板が搬送される間、前記被処理基板の前記第2方向に延びる前記周辺エリアと前記集光レンズとが対向する位置で前記光源ユニットによって第1照度で前記周辺エリアに光を照射し、
前記被処理基板の各前記製品エリアと前記集光レンズとが対向する位置で前記光源ユニットによって前記第1照度とは異なる第2照度で各前記製品エリアに光を照射する、請求項1に記載の補助露光装置。
【請求項9】
複数の製品エリアおよび各前記製品エリアの周辺に位置する周辺エリアを含む被処理基板を第1方向に搬送する搬送部と、
前記第1方向と交差する第2方向に複数の光源を配列して形成され、前記第1方向に搬送される前記被処理基板に光を照射する光源ユニットと、
前記光源ユニットと前記被処理基板との間に配置され、前記光源ユニットから前記被処理基板の前記第2方向に延びる前記周辺エリアに照射される光を前記第1方向に沿って集光する集光レンズと、
前記被処理基板の前記第1方向に延びる前記周辺エリアに対応する位置に配置され、前記第1方向に搬送される前記被処理基板に光を照射する局所光源と、
前記局所光源と前記被処理基板との間に配置され、前記局所光源から前記被処理基板の前記第1方向に延びる前記周辺エリアに照射される光を前記第2方向に沿って集光する局所集光レンズと
を備える補助露光装置における露光方法であって、
前記被処理基板の前記第2方向に延びる前記周辺エリアに対する露光処理を行う場合、前記周辺エリアと前記集光レンズとが対向する位置で前記光源ユニットによって前記周辺エリアに光を照射し、
前記被処理基板の前記第1方向に延びる前記周辺エリアに対する露光処理を行う場合、前記局所光源によって前記周辺エリアに光を照射する
ことを含む、露光方法。
【請求項10】
請求項9に記載の露光方法をコンピュータに実行させるプログラムを記憶した記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、補助露光装置、露光方法および記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、被処理基板上に塗布されたレジスト膜に対し、例えばマスクのパターンを転写する通常の露光装置とは別に、局所的な露光処理を行う補助露光装置が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、複数のLED(Light Emitting Diode)素子をライン状に配列してなる光源ユニットを備えた補助露光装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013-186191号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本開示は、被処理基板の各製品エリア周辺での露光分解能を向上することができる技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様による補助露光装置は、搬送部と、光源ユニットと、集光レンズとを備える。搬送部は、複数の製品エリアおよび各製品エリアの周辺に位置する周辺エリアを含む被処理基板を第1方向に搬送する。光源ユニットは、第1方向と交差する第2方向に複数の光源を配列して形成され、第1方向に搬送される被処理基板に光を照射する。集光レンズは、光源ユニットと被処理基板との間に配置され、光源ユニットによって被処理基板の第2方向に延びる周辺エリアに照射される光を第1方向に沿って集光する。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、被処理基板の各製品エリア周辺での露光分解能を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、第1実施形態に係る基板処理システムの構成を示す模式的な平面図である。
図2図2は、基板処理システムにおける1枚のガラス基板に対する全工程の処理手順を示すフローチャートである。
図3図3は、第1実施形態に係るガラス基板の構成を示す図である。
図4図4は、第1実施形態に係る補助露光装置を左右方向から見た図である。
図5図5は、第1実施形態に係る補助露光装置を前後方向から見た図である。
図6図6は、第1実施形態に係る補助露光装置による処理動作の一例を示す説明図である。
図7図7は、第2実施形態に係るガラス基板の構成を示す図である。
図8図8は、第2実施形態に係る補助露光装置を左右方向から見た図である。
図9図9は、第2実施形態に係る補助露光装置を前後方向から見た図である。
図10図10は、第2実施形態に係る補助露光装置による処理動作の一例を示す説明図である。
図11図11は、第3実施形態に係る補助露光装置を左右方向から見た図である。
図12図12は、第3実施形態に係る補助露光装置を前後方向から見た図である。
図13図13は、第3実施形態に係る補助露光装置による処理動作の一例を示す説明図である。
図14図14は、第4実施形態に係る補助露光装置を左右方向から見た図である。
図15図15は、第4実施形態に係る補助露光装置を前後方向から見た図である。
図16図16は、第4実施形態に係る補助露光装置による処理動作の一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本開示によるノズル、補助露光装置、露光方法および記憶媒体を実施するための形態(以下、「実施形態」と記載する)について図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施形態により本開示が限定されるものではない。また、各実施形態は、処理内容を矛盾させない範囲で適宜組み合わせることが可能である。また、以下の各実施形態において同一の部位には同一の符号を付し、重複する説明は省略される。
【0010】
また、以下に示す実施形態では、「一定」、「直交」、「垂直」あるいは「平行」といった表現が用いられる場合があるが、これらの表現は、厳密に「一定」、「直交」、「垂直」あるいは「平行」であることを要しない。すなわち、上記した各表現は、例えば製造精度、設置精度などのずれを許容するものとする。
【0011】
また、以下参照する各図面では、説明を分かりやすくするために、互いに直交するX軸方向、Y軸方向およびZ軸方向を規定し、Z軸正方向を鉛直上向き方向とする直交座標系を示す場合がある。
【0012】
また、ここでは、X軸正方向を前方とし、X軸負方向を後方とする前後方向を規定し、Y軸正方向を左方とし、Y軸負方向を右方とする左右方向を規定する。また、Z軸正方向を上方とし、Z軸負方向を下方とする上下方向を規定する。
【0013】
ところで、LED素子を用いた場合の露光分解能は、LED素子から照射される光の拡大による制約を受ける可能性がある。例えば、被処理基板の各製品エリアの周辺に位置する周辺エリアに対して局所的な露光処理を行う場合、LED素子から照射される光の照射範囲が周辺エリアよりも拡大して各製品エリアに重なるため、各製品エリア周辺での露光分解能が低下する。
【0014】
そこで、被処理基板の各製品エリア周辺での露光分解能を向上することが期待されている。
【0015】
(第1実施形態)
<基板処理システムの構成>
第1実施形態に係る基板処理システム100の構成について図1を参照して説明する。図1は、第1実施形態に係る基板処理システム100の構成を示す模式的な平面図である。
【0016】
基板処理システム100は、クリーンルーム内に設置される。基板処理システム100は、例えばLCD(Liquid Crystal Display)用のガラス基板Gを被処理基板とし、LCD製造プロセスにおいてフォトリソグラフィ工程中の洗浄、レジスト塗布、プリベイク、現像およびポストベイク等の一連の処理を行う。露光処理は、基板処理システム100に隣接して設置される外部の露光装置20(EXP)で行われる。
【0017】
基板処理システム100は、カセットステーション1と、搬入部2(IN PASS)とを備える。また、基板処理システム100は、洗浄装置3(SCR)と、第1乾燥部4(DR)と、第1冷却部5(COL)と、塗布装置6(COT)と、第2乾燥部7(DR)と、プリベイク部8(PRE BAKE)と、第2冷却部9(COL)とを備える。また、基板処理システム100は、インタフェースステーション10と、補助露光装置11(AE)とを備える。また、基板処理システム100は、現像装置12(DEV)と、ポストベイク部13(POST BAKE)と、第3冷却部14(COL)と、検査部15(IP)と、搬出部16(OUT PASS)と、制御部17とを備える。
【0018】
カセットステーション1とインタフェースステーション10との間には、ガラス基板Gをカセットステーション1からインタフェースステーション10へ搬送する搬送往路が設けられている。かかる搬送往路上には、搬入部2、洗浄装置3、第1乾燥部4、第1冷却部5、塗布装置6、第2乾燥部7、プリベイク部8および第2冷却部9が、カセットステーション1からインタフェースステーション10に向かってこの順番で設けられる。
【0019】
また、カセットステーション1とインタフェースステーション10との間には、ガラス基板Gをインタフェースステーション10からカセットステーション1へ搬送するための搬送復路が設けられている。かかる搬送復路上には、補助露光装置11、現像装置12、ポストベイク部13、第3冷却部14、検査部15および搬出部16が、インタフェースステーション10からカセットステーション1に向かってこの順番で配置されている。なお、搬送往路および搬送復路は、例えばコロ搬送路等により構成される。
【0020】
カセットステーション1は、ガラス基板Gを多段に積み重ねるようにして複数枚収容したカセットCを搬入出するポートである。カセットステーション1は、水平な一方向(Y軸方向)に例えば4個並べて載置可能なカセットステージ1aと、カセットステージ1a上のカセットCに対してガラス基板Gの出し入れを行う搬送装置1bとを備える。搬送装置1bは、ガラス基板Gを保持する搬送アームを有し、X,Y,Z,θの4軸で動作可能であり、隣接するカセットステージ1a、搬入部2および搬出部16との間でガラス基板Gの受け渡しを行えるようになっている。
【0021】
インタフェースステーション10は、搬送装置10aを備える。搬送装置10aは、ガラス基板Gを保持する搬送アームを有し、X,Y,Z,θの4軸で動作可能であり、隣接する第2冷却部9、補助露光装置11および露光装置20との間でガラス基板Gの受け渡しを行えるようになっている。なお、インタフェースステーション10には、搬送装置10aの他に、例えば、周辺露光装置やタイトラー等の装置が配置されていてもよい。周辺露光装置は、ガラス基板Gの周辺部に付着するレジストを現像時に除去するための露光処理を行う。タイトラーは、ガラス基板G上の所定の部位に所定の情報を記録する。
【0022】
制御部17は、例えばCPU(Central Processing Unit)であり、図示しない記憶部に記憶された図示しないプログラムを読み出して実行することにより、基板処理システム100全体を制御する。制御部17は、プログラムを用いずにハードウェアのみで構成されてもよい。
【0023】
図2は、基板処理システム100における1枚のガラス基板Gに対する全工程の処理手順を示すフローチャートである。先ず、カセットステーション1において、搬送装置1bが、カセットステージ1a上のいずれか1つのカセットCからガラス基板Gを取り出し、取り出したガラス基板Gを搬入部2へ搬入する(ステップS101)。
【0024】
搬入部2に搬入されたガラス基板Gは、搬送往路上を搬送されて洗浄装置3に搬入されて洗浄処理が施される(ステップS102)。ここで、洗浄装置3は、搬送往路上を水平に移動するガラス基板Gに対して、ブラッシング洗浄やブロー洗浄を施すことにより基板表面から粒子状の汚れを除去し、その後にリンス処理を施す。洗浄装置3における一連の洗浄処理を終えると、ガラス基板Gは第1乾燥部4に搬入される。
【0025】
つづいて、ガラス基板Gは、第1乾燥部4において所定の乾燥処理を施された後(ステップS103)、第1冷却部5に搬入されて所定の温度まで冷却される(ステップS104)。その後、ガラス基板Gは、塗布装置6に搬入される。
【0026】
塗布装置6において、ガラス基板Gは、例えばスリットノズルを用いたスピンレス法により基板上面(被処理面)にレジスト液が塗布される(ステップS105)。その後、ガラス基板Gは、第2乾燥部7に搬入され、例えば減圧による常温の乾燥処理を受ける(ステップS106)。
【0027】
第2乾燥部7から搬出されたガラス基板Gは、プリベイク部8に搬入され、プリベイク部8において所定の温度で加熱される(ステップS107)。この処理により、ガラス基板G上のレジスト膜中に残留していた溶剤が蒸発して除去され、ガラス基板Gに対するレジスト膜の密着性が強化される。
【0028】
つづいて、ガラス基板Gは、第2冷却部9に搬入され、第2冷却部9において所定の温度まで冷却される(ステップS108)。その後、ガラス基板Gは、インタフェースステーション10の搬送装置10aによって露光装置20に搬入される。なお、ガラス基板Gは、露光装置20に搬入される前に図示しない周辺露光装置に搬入されてもよい。
【0029】
露光装置20では、ガラス基板G上のレジストに所定の回路パターンが露光される(ステップS109)。そして、パターン露光を終えたガラス基板Gは、インタフェースステーション10の搬送装置10aによって露光装置20から搬出されて補助露光装置11へ搬入される。なお、ガラス基板Gは、補助露光装置11に搬入される前に図示しないタイトラーに搬入されてもよい。
【0030】
補助露光装置11では、露光処理後のガラス基板Gに対し、現像処理後に得られるレジストパターンの膜厚や線幅の均一性を向上させるための局所的な露光処理(以下、適宜「補助露光処理」と呼ぶ。)が行われる(ステップS110)。補助露光処理を終えたガラス基板Gは、現像装置12に搬入され、現像装置12において現像、リンスおよび乾燥の一連の現像処理が施される(ステップS111)。
【0031】
現像処理を終えたガラス基板Gは、ポストベイク部13に搬入され、ポストベイク部13において現像処理後の熱処理が施される(ステップS112)。これにより、ガラス基板Gのレジスト膜に残存していた現像液や洗浄液が蒸発して除去され、基板に対するレジストパターンの密着性が強化される。その後、ガラス基板Gは、第3冷却部14に搬入され、第3冷却部14において所定の温度まで冷却される(ステップS113)。
【0032】
つづいて、ガラス基板Gは、検査部15に搬入される。検査部15では、ガラス基板G上のレジストパターンについて非接触の線幅検査や膜質・膜厚検査等が行われる(ステップS114)。検査部15における検査結果は、制御部17に出力され、制御部17によって図示しない記憶部に記憶される。
【0033】
搬出部16は、検査を終えたガラス基板Gを検査部15から受け取って、カセットステーション1の搬送装置1bへ渡す。搬送装置1bは、搬出部16から受け取った処理済みのガラス基板GをカセットCに収容する(ステップS115)。以上により、1枚のガラス基板Gに対する基板処理の全工程が終了する。
【0034】
<ガラス基板の構成>
次に、第1実施形態に係るガラス基板Gの構成について図3を参照して説明する。図3は、第1実施形態に係るガラス基板Gの構成を示す図である。図3に示すように、ガラス基板Gは、複数の(ここでは、8つの)製品エリアA1および各製品エリアA1の周辺に位置する周辺エリアA2を含んで構成される。
【0035】
製品エリアA1は、LCDに対応する回路パターンが形成されるレジストの領域である。ガラス基板Gには、複数の製品エリアA1がマトリクス状に配列されている。
【0036】
周辺エリアA2は、LCDを駆動する駆動回路に対応する回路パターン(以下適宜「駆動回路パターン」と呼ぶ。)が形成されるレジストの領域である。周辺エリアA2は、第1周辺エリアA2aと、第2周辺エリアA2bとを含んでいる。第1周辺エリアA2aは、補助露光装置11におけるガラス基板Gの走査方向(X軸負方向、図4参照)と交差する左右方向(Y軸方向)に延びている。第2周辺エリアA2bは、補助露光装置11におけるガラス基板Gの走査方向(X軸負方向)に延びている。ガラス基板Gにおいては、駆動回路パターンが第1周辺エリアA2aまたは第2周辺エリアA2bに形成される。本実施形態では、3つの第1周辺エリアA2aの各々に、駆動回路パターンが形成されている。図3においては、3つの第1周辺エリアA2aの各々に形成される駆動回路パターンが斜線により示されている。
【0037】
<補助露光装置の構成>
次に、第1実施形態に係る補助露光装置11の構成について図4および図5を参照して説明する。図4は、第1実施形態に係る補助露光装置11を左右方向から見た図である。図5は、第1実施形態に係る補助露光装置を前後方向から見た図である。
【0038】
図4に示すように、補助露光装置11は、ガラス基板Gを走査方向(X軸負方向)に搬送する平流し搬送部30と、平流し搬送部30によって搬送されるガラス基板G上のレジストに光、具体的には所定波長の紫外線(UV)を照射する光源ユニット32とを備える。また、補助露光装置11は、装置内の各部を制御するための制御部17と、制御部17で用いる各種プログラムおよびデータを蓄積または保存するメモリ42とを備える。
【0039】
平流し搬送部30は、例えば多数のコロ44を搬送方向に敷設してなるコロ搬送路46と、コロ搬送路46上でガラス基板Gを搬送するために各コロ44を例えばベルトやギア等を有する伝動機構48を介して回転駆動する走査駆動部50とを有している。コロ搬送路46は、図1に示す基板処理システム100において、インタフェースステーション10からカセットステーション1への搬送復路の一部を構成する。
【0040】
平流し搬送部30は、露光処理後のガラス基板Gを平流しで補助露光装置11内に搬入し、補助露光装置11内で補助露光処理の走査のためにガラス基板Gを平流しで搬送し、補助露光処理を終えたガラス基板Gを平流しで現像装置12へ搬出する。なお、制御部17は、コロ搬送路46の所々に配置されている位置センサ(図示せず)を通じてガラス基板Gの現時の位置を検出ないし把握できるようになっている。
【0041】
光源ユニット32は、コロ搬送路46の上方に配置され、図示しない支持部材により支持される。図5に示すように、光源ユニット32は、走査方向と交差する左右方向(Y軸方向)に複数の光源321を配列して形成される。光源321は、紫外線(UV)を出射する。光源321は、例えばLED素子である。光源321としては、例えばレーザービーム発生器等の他の光源を用いてもよい。光源ユニット32は、複数の光源321を個別に点灯および消灯することができる。かかる光源ユニット32は、走査方向(X軸負方向)に搬送されるガラス基板Gに光を照射する。
【0042】
ところで、補助露光装置11においては、LED素子である光源321を用いた場合の露光分解能は、光源321から照射される光の拡大による制約を受ける可能性がある。例えば、ガラス基板Gの第1周辺エリアA2a(図3参照)に対して局所的な露光処理を行う場合、光源321から照射される光の照射範囲が第1周辺エリアA2aよりも拡大して各製品エリアA1に重なるため、各製品エリアA1周辺での露光分解能が低下する。
【0043】
そこで、図4および図5に示すように、本実施形態に係る補助露光装置11は、光源ユニット32とガラス基板Gとの間に集光レンズ34を配置した。集光レンズ34は、例えば、走査方向(X軸負方向)に対する集光性を有するリニアフレネルレンズである。集光レンズ34は、光源ユニット32によってガラス基板Gの第1周辺エリアA2aに照射される光を走査方向(X軸負方向)に沿って集光する。
【0044】
具体的には、集光レンズ34は、光源ユニット32の下方を通過するガラス基板Gの第1周辺エリアA2aに対し、光源ユニット32から照射される光を走査方向(X軸負方向)に沿って縮小して投射する。
【0045】
かかる集光レンズ34では、光源ユニット32から照射される光の照射範囲をガラス基板Gの第1周辺エリアA2aの範囲内に収めることができる。言い換えれば、集光レンズ34を用いることにより、光源ユニット32によってガラス基板Gの第1周辺エリアA2aに照射される光の照射範囲と各製品エリアA1との重なりを回避することができる。したがって、本実施形態に係る補助露光装置11によれば、LED素子から照射される光の拡大による制約を受ける従来の補助露光装置と比較して、ガラス基板Gの各製品エリアA1周辺での露光分解能を向上することができる。特に、本実施形態に係る補助露光装置11によれば、ガラス基板Gの左右方向(Y軸方向)に延びる第1周辺エリアA2aでの露光分解能を向上することができる。
【0046】
<補助露光装置による処理動作>
次に、第1実施形態に係る補助露光装置11による処理動作について、図6を参照して説明する。図6は、第1実施形態に係る補助露光装置11による処理動作の一例を示す説明図である。
【0047】
制御部17は、平流し搬送部30を制御して、ガラス基板Gを走査方向(X軸負方向)に搬送する。制御部17は、ガラス基板Gの左右方向(Y軸方向)に延びる第1周辺エリアA2aに対する補助露光処理を行う場合、第1周辺エリアA2aと集光レンズ34とが対向する位置で光源ユニット32によって第1周辺エリアA2aに光を照射する。これにより、ガラス基板Gの第1周辺エリアA2aと集光レンズ34とが対向するたびに、光源ユニット32から照射される光が集光レンズ34により走査方向(X軸負方向)に沿って縮小されて第1周辺エリアA2aに投射される。図6の例では、第1周辺エリアA2aと集光レンズ34とが対向する3つの位置が破線により示されている。
【0048】
このように、補助露光装置11の制御部17は、ガラス基板Gの第1周辺エリアA2aに対する補助露光処理を行う場合、第1周辺エリアA2aと集光レンズ34とが対向する位置で光源ユニット32によって第1周辺エリアA2aに光を照射してもよい。このようにすることで、第1周辺エリアA2aと集光レンズ34とが対向する位置ごとに、光源ユニット32から照射される光が集光レンズ34により走査方向(X軸負方向)に沿って縮小されることから、走査方向に沿った露光分解能を向上することができる。
【0049】
(第2実施形態)
ところで、ガラス基板Gにおいては、第1周辺エリアA2aに代えて、第2周辺エリアA2bに、駆動回路パターンが形成される場合がある。この場合、駆動回路パターンが形成される第2周辺エリアA2bが、補助露光処理の対象となる。
【0050】
以下においては、第2実施形態に係る補助露光装置11の構成を説明する前に、第2実施形態に係るガラス基板Gの構成について図7を参照して説明する。図7は、第2実施形態に係るガラス基板Gの構成を示す図である。図7に示すガラス基板Gにおいては、駆動回路パターンが第2周辺エリアA2bに形成される。本実施形態では、3つの第2周辺エリアA2bの各々に、駆動回路パターンが形成されている。図7においては、3つの第2周辺エリアA2bの各々に形成される駆動回路パターンが斜線により示されている。
【0051】
なお、第2実施形態に係るガラス基板Gの構成は、図3に示した第1実施形態に係るガラス基板Gの構成と同様であってもよい。すなわち、ガラス基板Gにおいて、駆動回路パターンが第1周辺エリアA2aに形成されてもよい。この場合、駆動回路パターンが形成される第1周辺エリアA2aが、補助露光処理の対象となる。補助露光処理の対象となるエリアを特定するためのデータは、メモリ42に予め格納されている。
【0052】
次に、第2実施形態に係る補助露光装置11の構成について図8および図9を参照して説明する。図8は、第2実施形態に係る補助露光装置11を左右方向から見た図である。図9は、第2実施形態に係る補助露光装置11を前後方向から見た図である。
【0053】
図8および図9に示す補助露光装置11は、図4に示した構成に加えて、局所光源33と、局所集光レンズ35とを備える。
【0054】
局所光源33は、ガラス基板Gの走査方向(X軸負方向)に延びる第2周辺エリアA2bに対応する位置に配置され、図示しない支持部材により支持される。局所光源33の配置位置は、図示しない位置調整機構により微調整可能である。局所光源33は、紫外線(UV)を照射する。局所光源33は、例えばLED素子である。局所光源33としては、例えばレーザービーム発生器等の他の光源を用いてもよい。かかる局所光源33は、走査方向(X軸負方向)に搬送されるガラス基板Gに光を照射する。
【0055】
局所集光レンズ35は、局所光源33とガラス基板Gとの間に配置される。局所集光レンズ35は、例えば、左右方向(Y軸方向)に対する集光性を有するリニアフレネルレンズである。局所集光レンズ35は、局所光源33によってガラス基板Gの第2周辺エリアA2bに照射される光を左右方向(Y軸方向)に沿って集光する。
【0056】
具体的には、局所集光レンズ35は、局所光源33の下方を通過するガラス基板Gの第2周辺エリアA2bに対し、局所光源33から照射される光を左右方向(Y軸方向)に沿って縮小して投射する。
【0057】
かかる局所集光レンズ35では、局所光源33から照射される光の照射範囲をガラス基板Gの第2周辺エリアA2bの範囲内に収めることができる。言い換えれば、局所光源33および局所集光レンズ35を用いることにより、局所光源33によってガラス基板Gの第2周辺エリアA2bに照射される光の照射範囲と各製品エリアA1との重なりを回避することができる。したがって、本実施形態に係る補助露光装置11によれば、LED素子から照射される光の拡大による制約を受ける従来の補助露光装置と比較して、ガラス基板Gの各製品エリアA1周辺での露光分解能を向上することができる。特に、本実施形態に係る補助露光装置11によれば、ガラス基板Gの走査方向(X軸負方向)に延びる第2周辺エリアA2bでの露光分解能を向上することができる。
【0058】
次に、第2実施形態に係る補助露光装置11による処理動作について、図10を参照して説明する。図10は、第2実施形態に係る補助露光装置11による処理動作の一例を示す説明図である。
【0059】
制御部17は、平流し搬送部30を制御して、ガラス基板Gを走査方向(X軸負方向)に搬送する。制御部17は、メモリ42を参照して、補助露光処理の対象となるエリアを特定するためのデータに基づき、第1周辺エリアA2aおよび第2周辺エリアA2bのいずれか一方を補助露光処理の対象として特定する。
【0060】
制御部17は、ガラス基板Gの左右方向(Y軸方向)に延びる第1周辺エリアA2aに対する補助露光処理を行う場合、第1周辺エリアA2aと集光レンズ34とが対向する位置で光源ユニット32によって第1周辺エリアA2aに光を照射する。これにより、ガラス基板Gの第1周辺エリアA2aと集光レンズ34とが対向する位置ごとに、光源ユニット32から照射される光が集光レンズ34により走査方向(X軸負方向)に沿って縮小されて第1周辺エリアA2aに投射される。制御部17は、光源ユニット32によって第1周辺エリアA2aに光を照射する間、局所光源33を消灯する。
【0061】
一方、制御部17は、ガラス基板Gの走査方向(X軸負方向)に延びる第2周辺エリアA2bに対する補助露光処理を行う場合、図10に示すように、局所光源33によって第2周辺エリアA2bに光を照射する。これにより、局所光源33から照射される光が局所集光レンズ35により左右方向(Y軸方向)に沿って縮小されて第2周辺エリアA2bに投射される。制御部17は、局所光源33によって第2周辺エリアA2bに光を照射する間、光源ユニット32を消灯する。図10の例では、第2周辺エリアA2bに光を照射する局所光源33および局所集光レンズ35の位置が破線により示されている。
【0062】
このように、補助露光装置11の制御部17は、ガラス基板Gの走査方向(X軸負方向)に延びる第2周辺エリアA2bに対する補助露光処理を行う場合、局所光源33によって第2周辺エリアA2bに光を照射してもよい。このようにすることで、局所光源33から照射される光が局所集光レンズ35により左右方向(Y軸方向)に沿って縮小されることから、左右方向に沿った露光分解能を向上することができる。
【0063】
(第3実施形態)
【0064】
次に、第3実施形態に係る補助露光装置11の構成について図11および図12を参照して説明する。図11は、第3実施形態に係る補助露光装置11を左右方向から見た図である。図12は、第3実施形態に係る補助露光装置11を前後方向から見た図である。第3実施形態に係る補助露光装置11は、ガラス基板Gの第1周辺エリアA2aに対する補助露光処理を行うための構成に加えて、ガラス基板Gの第2周辺エリアA2bに対する補助露光処理を行うための構成を有する点が第1実施形態と異なる。
【0065】
図11および図12に示す補助露光装置11は、図4に示した構成に加えて、マスク部材36と、移動部37とを備える。
【0066】
マスク部材36は、集光レンズ34とガラス基板Gとの間に配置される。マスク部材36は、ガラス基板Gの走査方向(X軸負方向)に延びる第2周辺エリアA2b(図7参照)に隣接する他のエリアを遮蔽する。マスク部材36は、ガラス基板Gの第2周辺エリアA2bに対応する位置に、第2周辺エリアA2bよりも幅が狭いスリットを有する。
【0067】
移動部37は、マスク部材36を、集光レンズ34とガラス基板Gとの間における処理位置と、予め定められた退避位置との間で移動させる。図11及び図12の例では、処理位置に位置するマスク部材36が示されている。
【0068】
図12に示すように、本実施形態に係る光源ユニット32は、処理位置に位置するマスク部材36を介して、ガラス基板Gの第2周辺エリアA2bに光を照射する。光源ユニット32によって照射される光は、マスク部材36のスリットを透過する。かかるマスク部材36では、光源ユニット32によって照射される光の照射範囲をガラス基板Gの第2周辺エリアA2bの範囲内に収めることができる。言い換えれば、マスク部材36を用いることにより、光源ユニット32によってガラス基板Gの第2周辺エリアA2bに照射される光の照射範囲と各製品エリアA1との重なりを回避することができる。したがって、本実施形態に係る補助露光装置11によれば、LED素子から照射される光の拡大による制約を受ける従来の補助露光装置と比較して、ガラス基板Gの各製品エリアA1周辺での露光分解能を向上することができる。特に、本実施形態に係る補助露光装置11によれば、ガラス基板Gの走査方向(X軸負方向)に延びる第2周辺エリアA2bでの露光分解能を向上することができる。
【0069】
次に、第3実施形態に係る補助露光装置11による処理動作について、図13を参照して説明する。図13は、第3実施形態に係る補助露光装置11による処理動作の一例を示す説明図である。
【0070】
制御部17は、平流し搬送部30を制御して、ガラス基板Gを走査方向(X軸負方向)に搬送する。制御部17は、メモリ42を参照して、補助露光処理の対象となるエリアを特定するためのデータに基づき、第1周辺エリアA2aおよび第2周辺エリアA2bのいずれか一方を補助露光処理の対象として特定する。
【0071】
制御部17は、ガラス基板Gの左右方向(Y軸方向)に延びる第1周辺エリアA2aに対する補助露光処理を行う場合、移動部37によってマスク部材36を退避位置に退避させる。図13の例では、退避位置に位置するマスク部材36が破線により示されている。そして、制御部17は、第1周辺エリアA2aと集光レンズ34とが対向する位置で光源ユニット32によって第1周辺エリアA2aに光を照射する。これにより、ガラス基板Gの第1周辺エリアA2aと集光レンズ34とが対向する位置ごとに、光源ユニット32から照射される光が集光レンズ34により走査方向(X軸負方向)に沿って縮小されて第1周辺エリアA2aに投射される。
【0072】
一方、制御部17は、ガラス基板Gの走査方向(X軸負方向)に延びる第2周辺エリアA2bに対する補助露光処理を行う場合、図13に示すように、移動部37によって退避位置から処理位置にマスク部材36を移動させる。そして、制御部17は、光源ユニット32によって処理位置に位置するマスク部材36を介して第2周辺エリアA2bに光を照射する。これにより、光源ユニット32から照射される光が、マスク部材36により左右方向(Y軸方向)に沿って絞られて第2周辺エリアA2bに投射される。
【0073】
このように、補助露光装置11の制御部17は、ガラス基板Gの走査方向(X軸負方向)に延びる第2周辺エリアA2bに対する補助露光処理を行う場合、光源ユニット32によってマスク部材36を介して第2周辺エリアA2bに光を照射してもよい。このようにすることで、光源ユニット32から照射される光が、マスク部材36により左右方向(Y軸方向)に沿って絞られることから、左右方向に沿った露光分解能を向上することができる。
【0074】
(第4実施形態)
次に、第4実施形態に係る補助露光装置11の構成について図14および図15を参照して説明する。図14は、第4実施形態に係る補助露光装置11を左右方向から見た図である。図15は、第4実施形態に係る補助露光装置11を前後方向から見た図である。第4実施形態に係る補助露光装置11は、ガラス基板Gの第1周辺エリアA2aに対する補助露光処理を行うための構成に加えて、ガラス基板Gの第2周辺エリアA2bに対する補助露光処理を行うための構成を有する点が第1実施形態と異なる。
【0075】
図14および図15に示す補助露光装置11は、図4に示した構成に加えて、液晶モジュール38を備える。
【0076】
液晶モジュール38は、集光レンズ34とガラス基板Gとの間に配置される。液晶モジュール38は、複数の透過型液晶素子をマトリクス状に配列して形成される透過型液晶モジュールである。液晶モジュール38は、ガラス基板Gを遮蔽しない透過モードと、ガラス基板Gの走査方向(X軸負方向)に延びる第2周辺エリアA2b(図7参照)に隣接する他のエリアを遮蔽する遮蔽モードとの間で遷移可能である。液晶モジュール38における透過モードと遮蔽モードとの間の遷移は、制御部17による制御に従って、実行される。遮蔽モードの液晶モジュール38は、ガラス基板Gの第2周辺エリアA2bに対応する位置に、第2周辺エリアA2bよりも幅が狭いスリットを形成する。図15の例では、遮蔽モードの液晶モジュール38が示されている。
【0077】
図15に示すように、本実施形態に係る光源ユニット32は、遮蔽モードの液晶モジュール38を介して、ガラス基板Gの第2周辺エリアA2bに光を照射する。光源ユニット32によって照射される光は、液晶モジュール38のスリットを透過する。かかる液晶モジュール38では、光源ユニット32によって照射される光の照射範囲をガラス基板Gの第2周辺エリアA2bの範囲内に収めることができる。言い換えれば、液晶モジュール38を用いることにより、光源ユニット32によってガラス基板Gの第2周辺エリアA2bに照射される光の照射範囲と各製品エリアA1との重なりを回避することができる。したがって、本実施形態に係る補助露光装置11によれば、LED素子から照射される光の拡大による制約を受ける従来の補助露光装置と比較して、ガラス基板Gの各製品エリアA1周辺での露光分解能を向上することができる。特に、本実施形態に係る補助露光装置11によれば、ガラス基板Gの走査方向(X軸負方向)に延びる第2周辺エリアA2bでの露光分解能を向上することができる。
【0078】
次に、第4実施形態に係る補助露光装置11による処理動作について、図16を参照して説明する。図16は、第4実施形態に係る補助露光装置11による処理動作の一例を示す説明図である。
【0079】
制御部17は、平流し搬送部30を制御して、ガラス基板Gを走査方向(X軸負方向)に搬送する。制御部17は、メモリ42を参照して、補助露光処理の対象となるエリアを特定するためのデータに基づき、第1周辺エリアA2aおよび第2周辺エリアA2bのいずれか一方を補助露光処理の対象として特定する。
【0080】
制御部17は、ガラス基板Gの左右方向(Y軸方向)に延びる第1周辺エリアA2aに対する補助露光処理を行う場合、液晶モジュール38を透過モードに遷移させる。そして、制御部17は、第1周辺エリアA2aと集光レンズ34とが対向する位置で光源ユニット32によって透過モードの液晶モジュール38を介して第1周辺エリアA2aに光を照射する。これにより、ガラス基板Gの第1周辺エリアA2aと集光レンズ34とが対向する位置ごとに、光源ユニット32から照射される光が集光レンズ34により走査方向(X軸負方向)に沿って縮小されて第1周辺エリアA2aに投射される。
【0081】
一方、制御部17は、ガラス基板Gの走査方向(X軸負方向)に延びる第2周辺エリアA2bに対する補助露光処理を行う場合、図16に示すように、液晶モジュール38を遮蔽モードに遷移させる。そして、制御部17は、光源ユニット32によって遮蔽モードの液晶モジュール38を介して第2周辺エリアA2bに光を照射する。これにより、光源ユニット32から照射される光が、液晶モジュール38により左右方向(Y軸方向)に沿って絞られて第2周辺エリアA2bに投射される。
【0082】
このように、補助露光装置11の制御部17は、ガラス基板Gの走査方向(X軸負方向)に延びる第2周辺エリアA2bに対する補助露光処理を行う場合、光源ユニット32によって液晶モジュール38を介して第2周辺エリアA2bに光を照射してもよい。このようにすることで、光源ユニット32から照射される光が、液晶モジュール38により左右方向(Y軸方向)に沿って絞られることから、左右方向に沿った露光分解能を向上することができる。
【0083】
<変形例>
上述した第1実施形態では、ガラス基板Gの左右方向(Y軸方向)に延びる第1周辺エリアA2aに対する補助露光処理を行う場合の例について説明した。しかし、走査方向(X軸負方向)にガラス基板Gが搬送される間に、第1周辺エリアA2aおよび各製品エリアA1に対して連続的に補助露光処理を行ってもよい。この場合、例えば、補助露光装置11の制御部17は、走査方向(X軸負方向)にガラス基板Gが搬送される間、以下のような処理を行ってもよい。すなわち、制御部17は、ガラス基板Gの左右方向(Y軸方向)に延びる第1周辺エリアA2aと集光レンズ34とが対向する位置で光源ユニット32によって第1照度で第1周辺エリアA2aに光を照射する。また、制御部17は、ガラス基板Gの各製品エリアA1と集光レンズ34とが対向する位置で光源ユニット32によって第1照度とは異なる第2照度で各製品エリアA1に光を照射する。このように、走査方向(X軸負方向)にガラス基板Gが搬送される間に、第1周辺エリアA2aおよび各製品エリアA1に対して連続的に補助露光処理を行うことで、補助露光処理の処理効率を向上することができる。
【0084】
<その他の変形例>
上述した各実施形態では、ガラス基板Gを平流しで搬送する平流し搬送部30を備え、光源ユニット32を走査方向で一定位置に固定した。しかし、ガラス基板Gを例えばステージに固定し、ステージ上で光源ユニット32を走査方向に移動させる走査方式や、ガラス基板Gと光源ユニット32の双方を移動させる走査方式も実現可能である。
【0085】
また、上述した各実施形態では、被処理基板がFPD用のガラス基板であるものとしたが、これに限らず、他のフラットパネルディスプレイ用基板、半導体ウェハ、有機EL、太陽電池用の各種基板、CD基板、フォトマスク、プリント基板等であってもよい。
【0086】
上述してきたように、実施形態に係る補助露光装置(例えば、補助露光装置11)は、搬送部(例えば、平流し搬送部30)と、光源ユニット(例えば、光源ユニット32)と、集光レンズ(例えば、集光レンズ34)とを備える。搬送部は、複数の製品エリア(例えば、製品エリアA1)および各製品エリアの周辺に位置する周辺エリア(例えば、周辺エリアA2)を含む被処理基板(例えば、ガラス基板G)を第1方向(例えば、走査方向)に搬送する。光源ユニットは、第1方向と交差する第2方向(例えば、左右方向)に複数の光源(例えば、光源321)を配列して形成され、第1方向に搬送される被処理基板に光を照射する。集光レンズは、光源ユニットと被処理基板との間に配置され、光源ユニットによって被処理基板の第2方向に延びる周辺エリア(第1周辺エリアA2a)に照射される光を第1方向に沿って集光する。したがって、実施形態に係る補助露光装置によれば、被処理基板の各製品エリア周辺での露光分解能を向上することができる。
【0087】
また、実施形態に係る補助露光装置は、局所光源(例えば、局所光源33)と、局所集光レンズ(例えば、局所集光レンズ35)とをさらに備えてもよい。局所光源は、被処理基板の第1方向に延びる周辺エリア(例えば、第2周辺エリアA2b)に対応する位置に配置され、第1方向に搬送される被処理基板に光を照射してもよい。局所集光レンズは、局所光源と被処理基板との間に配置され、局所光源によって被処理基板の第1方向に延びる周辺エリアに照射される光を第2方向に沿って集光してもよい。したがって、実施形態に係る補助露光装置によれば、被処理基板の第1方向に延びる周辺エリアでの露光分解能を向上することができる。
【0088】
また、実施形態に係る補助露光装置は、各部を制御する制御部(例えば、制御部17)をさらに備えてもよい。制御部は、被処理基板の第2方向に延びる周辺エリアに対する露光処理(例えば、局所露光処理)を行う場合、周辺エリアと集光レンズとが対向する位置で光源ユニットによって周辺エリアに光を照射してもよい。また、制御部は、被処理基板の第1方向に延びる周辺エリアに対する露光処理を行う場合、局所光源によって周辺エリアに光を照射してもよい。したがって、実施形態に係る補助露光装置によれば、局所光源から照射される光が局所集光レンズにより第2方向に沿って縮小されることから、第2方向に沿った露光分解能を向上することができる。
【0089】
また、実施形態に係る補助露光装置は、集光レンズと被処理基板との間に配置され、被処理基板の第1方向に延びる周辺エリアに隣接する他のエリアを遮蔽するマスク部材(例えば、マスク部材36)をさらに備えてもよい。また、光源ユニットは、マスク部材を介して、被処理基板の第1方向に延びる周辺エリアに光を照射してもよい。したがって、実施形態に係る補助露光装置によれば、被処理基板の第1方向に延びる周辺エリアでの露光分解能を向上することができる。
【0090】
また、実施形態に係る補助露光装置は、マスク部材を、集光レンズと被処理基板との間における処理位置と、予め定められた退避位置との間で移動させる移動部(例えば、移動部37)と、各部を制御する制御部(例えば、制御部17)とをさらに備えてもよい。制御部は、被処理基板の第2方向に延びる周辺エリアに対する露光処理を行う場合、移動部によってマスク部材を退避位置に退避させ、集光レンズと周辺エリアとが対向する位置で光源ユニットによって周辺エリアに光を照射してもよい。また、制御部は、被処理基板の第1方向に延びる周辺エリアに対する露光処理を行う場合、移動部によって退避位置から処理位置にマスク部材を移動させ、光源ユニットによって処理位置に位置するマスク部材を介して周辺エリアに光を照射してもよい。したがって、実施形態に係る補助露光装置によれば、光源ユニットから照射される光が、マスク部材により第2方向に沿って絞られることから、第2方向に沿った露光分解能を向上することができる。
【0091】
また、実施形態に係る補助露光装置は、集光レンズと被処理基板との間に配置され、被処理基板を遮蔽しない第1モード(例えば、透過モード)と、被処理基板の第1方向に延びる周辺エリアに隣接する他のエリアを遮蔽する第2モード(例えば、遮蔽モード)との間で遷移可能な液晶モジュール(例えば、液晶モジュール38)をさらに備えてもよい。また、光源ユニットは、第2モードの液晶モジュールを介して、被処理基板の第1方向に延びる周辺エリアに光を照射してもよい。したがって、実施形態に係る補助露光装置によれば、被処理基板の第1方向に延びる周辺エリアでの露光分解能を向上することができる。
【0092】
また、実施形態に係る補助露光装置は、各部を制御する制御部(例えば、制御部17)をさらに備えてもよい。制御部は、被処理基板の第2方向に延びる周辺エリアに対する露光処理を行う場合、液晶モジュールを第1モードに遷移させ、集光レンズと周辺エリアとが対向する位置で光源ユニットによって第1モードの液晶モジュールを介して周辺エリアに光を照射してもよい。また、制御部は、被処理基板の第1方向に延びる周辺エリアに対する露光処理を行う場合、液晶モジュールを第2モードに遷移させ、光源ユニットによって第2モードの液晶モジュールを介して周辺エリアに光を照射してもよい。したがって、実施形態に係る補助露光装置によれば、光源ユニットから照射される光が、液晶モジュールにより第2方向に沿って絞られることから、第2方向に沿った露光分解能を向上することができる。
【0093】
また、また、実施形態に係る補助露光装置は、各部を制御する制御部(例えば、制御部17)をさらに備えてもよい。制御部は、第1方向に被処理基板が搬送される間、被処理基板の第2方向に延びる周辺エリアと集光レンズとが対向する位置で光源ユニットによって第1照度で周辺エリアに光を照射してもよい。また、制御部は、被処理基板の各製品エリアと集光レンズとが対向する位置で光源ユニットによって第1照度とは異なる第2照度で各製品エリアに光を照射してもよい。したがって、実施形態に係る補助露光装置によれば、補助露光処理の処理効率を向上することができる。
【0094】
今回開示された実施形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。実に、上記した実施形態は多様な形態で具現され得る。また、上記の実施形態は、添付の請求の範囲およびその趣旨を逸脱することなく、様々な形態で省略、置換、変更されてもよい。
【符号の説明】
【0095】
11 補助露光装置
17 制御部
30 平流し搬送部
32 光源ユニット
33 局所光源
34 集光レンズ
35 局所集光レンズ
36 マスク部材
37 移動部
38 液晶モジュール
100 基板処理システム
321 光源
A1 製品エリア
A2 周辺エリア
A2a 第1周辺エリア
A2b 第2周辺エリア
G ガラス基板
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16