IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 東京エレクトロン株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-加熱処理装置 図1
  • 特開-加熱処理装置 図2
  • 特開-加熱処理装置 図3
  • 特開-加熱処理装置 図4
  • 特開-加熱処理装置 図5
  • 特開-加熱処理装置 図6
  • 特開-加熱処理装置 図7
  • 特開-加熱処理装置 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023100543
(43)【公開日】2023-07-19
(54)【発明の名称】加熱処理装置
(51)【国際特許分類】
   C23C 16/46 20060101AFI20230711BHJP
   H05B 3/06 20060101ALI20230711BHJP
   H05B 3/74 20060101ALI20230711BHJP
   H01L 21/31 20060101ALI20230711BHJP
   H01L 21/3065 20060101ALI20230711BHJP
【FI】
C23C16/46
H05B3/06 B
H05B3/74
H01L21/31 C
H01L21/302 101B
H01L21/302 101G
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022001299
(22)【出願日】2022-01-06
(71)【出願人】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】波多野 達夫
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 直樹
【テーマコード(参考)】
3K092
4K030
5F004
5F045
【Fターム(参考)】
3K092PP20
3K092QA05
3K092RF03
3K092RF11
3K092RF27
3K092VV40
4K030FA03
4K030GA02
4K030KA23
4K030KA46
4K030KA47
5F004AA16
5F004BA04
5F004BB13
5F004BB18
5F004BB25
5F004BB26
5F004BB29
5F045AA03
5F045AA08
5F045AA15
5F045EF05
5F045EH14
5F045EJ03
5F045EK07
5F045EM02
5F045EM09
(57)【要約】
【課題】本開示は、載置した基板を加熱する基台から支持部への熱伝導を抑制した基板加熱装置を提供する。
【解決手段】基板が載置される第1面と、前記第1面と反対側の第2面と、を有し、内部にヒータを備える基台と、前記第2面の側に連結される支持部と、を備え、前記基台は、前記第2面の側に、第1ねじ部を有し、前記支持部は、前記第1ねじ部に締結される第2ねじ部を有する加熱処理装置。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板が載置される第1面と、前記第1面と反対側の第2面と、を有し、内部にヒータを備える基台と、
前記第2面の側に連結される支持部と、を備え、
前記基台は、前記第2面の側に、第1ねじ部を有し、
前記支持部は、前記第1ねじ部に締結される第2ねじ部を有する、
加熱処理装置。
【請求項2】
前記基台及び前記支持部のそれぞれは、セラミックスにより形成される、
請求項1に記載の加熱処理装置。
【請求項3】
前記セラミックスは、窒化シリコンを含む、
請求項2に記載の加熱処理装置。
【請求項4】
前記支持部を載置する台部を更に備える、
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の加熱処理装置。
【請求項5】
前記台部は、金属により形成される、
請求項4に記載の加熱処理装置。
【請求項6】
前記基台及び前記支持部のそれぞれは、表面に被覆層を備える、
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の加熱処理装置。
【請求項7】
前記被覆層は、窒化アルミニウムにより形成される、
請求項6に記載の加熱処理装置。
【請求項8】
前記基台は、前記第2面の側に環状の溝部を有し、
前記第1ねじ部は、前記溝部に形成されている、
請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の加熱処理装置。
【請求項9】
前記支持部は、筒状の形状を有し、
前記第2ねじ部は、前記筒状の形状の内面に形成される、
請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の加熱処理装置。
【請求項10】
前記第1ねじ部は、雄ねじであり、
前記第2ねじ部は、雌ねじである、
請求項1から請求項9のいずれか一項に記載の加熱処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、加熱処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1及び特許文献2のそれぞれには、加熱手段が設けられた載置台と、載置台を連結して支持する支柱と、を備える被処理体を載置するための載置台構造が開示されている。また、特許文献3には、ヒータが埋設されるプレートと、プレートを支持するステムと、を備えるステージが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009-054871号公報
【特許文献2】特開2011-165891号公報
【特許文献3】特開2004-207465号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、載置した基板を加熱する基台から支持部への熱伝導を抑制した基板加熱装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一の態様によれば、基板が載置される第1面と、前記第1面と反対側の第2面と、を有し、内部にヒータを備える基台と、前記第2面の側に連結される支持部と、を備え、前記基台は、前記第2面の側に、第1ねじ部を有し、前記支持部は、前記第1ねじ部に締結される第2ねじ部を有する加熱処理装置が提供される。
【発明の効果】
【0006】
本開示は、載置した基板を加熱する基台から支持部への熱伝導を抑制した基板加熱装置を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、第1実施形態に係る加熱処理装置が用いられる基板処理装置の概略断面図である。
図2図2は、第1実施形態に係る加熱処理装置の概略断面図である。
図3図3は、第1実施形態に係る加熱処理装置の斜視図である。
図4図4は、第1実施形態に係る加熱処理装置の断面図である。
図5図5は、第1実施形態に係る加熱処理装置が有する基台の下面図である。
図6図6は、第1実施形態に係る加熱処理装置が有する支持部の軸部の断面図である。
図7図7は、第2実施形態に係る加熱処理装置の概略断面図である。
図8図8は、比較例の加熱処理装置の概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本開示を実施するための形態について図面を参照して説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の構成については、同一の符号を付することにより重複した説明を省く。
【0009】
平行、直角、直交、水平、垂直、上下、左右などの方向には、実施形態の効果を損なわない程度のずれが許容される。角部の形状は、直角に限られず、弓状に丸みを帯びてもよい。平行、直角、直交、水平、垂直には、略平行、略直角、略直交、略水平、略垂直が含まれてもよい。
【0010】
≪第1実施形態≫
[基板処理装置100]
第1実施形態に係る加熱処理装置2が用いられる基板処理装置100について、図1を用いて説明する。図1は、第1実施形態に係る加熱処理装置2が用いられる基板処理装置100の概略断面図である。
【0011】
基板処理装置100は、処理容器1と、加熱処理装置2と、シャワーヘッド3と、排気部4と、ガス供給機構5と、高周波電力供給部6と、制御部7と、を備える。各構成要素について説明する。
【0012】
[処理容器1]
処理容器1は、アルミニウム等の金属により構成され、略円筒状の形状を有する。処理容器1は、基板Wを収容する。処理容器1の側壁には基板Wを搬入又は搬出するための搬入出口11が形成される。搬入出口11はゲートバルブ12により開閉される。
【0013】
処理容器1の本体の上には、断面が矩形状をなす円環状の排気ダクト13が設けられている。排気ダクト13には、内周面に沿ってスリット13aが形成されている。排気ダクト13の外壁には、排気口13bが形成されている。
【0014】
排気ダクト13の上面には、絶縁体部材16を介して処理容器1の上部開口を塞ぐように天壁14が設けられている。排気ダクト13と絶縁体部材16との間はシールリング15で気密に封止されている。区画部材17は、処理容器1の内部を上下に区画する。
【0015】
処理容器1の下面には、加熱処理装置2を冷却するための冷却部18を備える。冷却部18の内部には、冷媒、例えば、冷却水、が流れる流路が設けられる。冷却部18には、配線等が追加する開口18hが形成される。
【0016】
[加熱処理装置2]
加熱処理装置2は、処理容器1内で基板Wを水平に支持する。加熱処理装置2は、基台21と、支持部22と、を備える。基台21は、基板Wに対応した大きさの円板状に形成される。基台21は、支持部22に支持される。支持部22は、軸部22aと、取付部22bと、を備える。加熱処理装置2には、上面の外周領域及び側面を覆うようにアルミナ等のセラミックスにより形成されたカバー部材24が設けられている。
【0017】
図2は、第1実施形態に係る加熱処理装置2が冷却部18に取り付けられた状態を示す概略断面図である。図3は、第1実施形態に係る加熱処理装置2の斜視図である。図4は、第1実施形態に係る加熱処理装置2の断面図である。なお、図4においては、ヒータ21hは省略している。
【0018】
基台21は、円盤状の形状を有する。支持部22の軸部22aは、円筒状の形状を有する。支持部22の取付部22bは、断面が矩形の環体状の形状を有する。
【0019】
加熱処理装置2は、処理容器1の冷却部18に取り付けられる。具体的には、加熱処理装置2の取付部22bが、固定部22cと冷却部18との間に挟まれることにより、加熱処理装置2は、冷却部18に取り付けられる。固定部22cは、ねじ22nにより、冷却部18に固定される。
【0020】
基台21は、内部にヒータ21hを備える。いいかえると、ヒータ21hは、基台21の内部に埋め込まれている。
【0021】
ヒータ21hは、基板Wを加熱する。ヒータ21hは、ヒータ電源23から給電されて発熱する。そして、基台21の上面の近傍に設けられた熱電対23tcの温度信号によりヒータ21hの出力を制御する。熱電対23tcの温度信号によりヒータ21hの出力を制御することにより、基板Wが所定の温度に制御される。ヒータ電源23は、ヒータ21hに電力を供給する。
【0022】
(基台21)
基台21は基板Wに載置するとともに、基板Wを加熱する。基台21は、上面21S1と、上面21S1と反対側に位置する下面21S2と、を有する。上面21S1には、基板Wが載置される。下面21S2側には、支持部22が連結される。
【0023】
基台21は、快削性セラミックスにより形成される。快削性セラミックスは、高い耐熱性を有する。快削性セラミックスは、高い耐熱性を有することから、例えば、基板Wを300℃以上に加熱する用途に好適である。また、快削性セラミックスは、従来用いられている窒化アルミニウム(AlN)及びアルミナ(Al)よりも、高い耐熱衝撃性を有する。さらに、快削性セラミックスは、切削加工等に対して高い加工性を有する。さらにまた、快削性セラミックスは、比較的高い耐食性を有する。
【0024】
快削性セラミックスとしては、窒化シリコン(SiN)、炭化シリコン(SiC)、酸化シリコン(SiO)又はこれらの混合体等のシリコン系のセラミックスや窒化ホウ素系のセラミックスが好適に用いることができる。また、快削性セラミックスとしては、マイカ成分を含んでいてもよい。
【0025】
図5は、第1実施形態に係る加熱処理装置2が有する基台21の下面図である。基台21は、例えば、円盤状の快削性セラミックスを切削加工して形成される。基台21は、下面21S2側に、下面視で円環状の溝部21gを有する。溝部21gは、下面21S2から内部に切削加工して形成される。
【0026】
溝部21gは、下面視で基台21の中心側に位置する第1側面21g1と、下面視で基台21の外側に位置する第2側面21g2と、下面21S2と略平行な底面21g3と、を有する。底面21g3は、第1側面21g1と第2側面21g2のそれぞれの上面21S1側に接続する。
【0027】
基台21は、溝部21gが形成されることにより、下面視で溝部21gに囲まれた突部21eを備える。突部21eは、溝部21gの第1側面21g1を側面とする円筒状に形成される。突部21eは、側面、すなわち、第1側面21g1に、雄ねじ21sが形成される。雄ねじ21sは、例えば、切削加工により形成される。雄ねじ21sは、軸部22aに形成される雌ねじ22asと締結する。
【0028】
基台21は、快削性セラミックスの表面に、窒化アルミニウム(AlN)等の被覆層21rを備える。窒化アルミニウム(AlN)等の被覆層21rを備えることにより、ハロゲンに対する耐性(ハロゲン耐性)を改善できる。
【0029】
(支持部22)
支持部22は、基台21を支持する。支持部22は、基台21と冷却部18との間に設けられる。支持部22は、基台21の下面21S2側に連結される。
【0030】
支持部22は、基台21と同様に快削性セラミックスにより形成される。いいかえると、軸部22a及び取付部22bのそれぞれは、快削性セラミックスにより形成される。軸部22a及び取付部22bのそれぞれは、基台21と同じ材質のセラミックスにより形成されてもよい。
【0031】
(軸部22a)
図6は、第1実施形態に係る加熱処理装置2が有する支持部22の軸部22aの断面図である。軸部22aは、例えば、円筒状の快削性セラミックスを切削加工して形成される。軸部22aは、内面22a1と外面22a2とを有する円筒状の形状を有する。
【0032】
軸部22aは、基台21側の端部の内面22a1に雌ねじ22asが形成される。雌ねじ22asは、例えば、切削加工により形成される。雌ねじ22asは、基台21の雄ねじ21sと締結する。
【0033】
本実施形態に係る加熱処理装置2では、基台21と支持部22とは、基台21に形成される雄ねじ21sと支持部22の軸部22aに形成される雌ねじ22asにより連結される。雄ねじ21sと雌ねじ22asとのねじによる連結部分は、熱の伝達において熱抵抗として作用する。したがって、本実施形態に係る加熱処理装置2によれば、基台21から支持部22への熱の伝達を抑制できる。
【0034】
軸部22aは、取付部22b側の端部の外面22a2に雄ねじ22atが形成される。雄ねじ22atは、例えば、切削加工により形成される。雄ねじ22atは、取付部22bの雌ねじ22bsと締結する。
【0035】
本実施形態に係る加熱処理装置2では、軸部22aと取付部22bとは、軸部22aに形成される雄ねじ22atと取付部22bに形成される雌ねじ22bsにより連結される。雄ねじ2atと雌ねじ22bsとのねじによる連結部分は、熱の伝達において熱抵抗として作用する。したがって、本実施形態に係る加熱処理装置2によれば、支持部22の内部における熱の伝達を抑制できる。
【0036】
軸部22aは、快削性セラミックスの表面に、窒化アルミニウム(AlN)等の被覆層22arを備える。窒化アルミニウム(AlN)等の被覆層22arを備えることにより、ハロゲンに対する耐性(ハロゲン耐性)を改善できる。
【0037】
(取付部22b)
取付部22bは、加熱処理装置2を冷却部18に取り付ける際に、固定部22cに押さえられる部材である。取付部22bが固定部22cにより押さえられて、取付部22bが固定部22cと冷却部18との間に挟まれることにより、加熱処理装置2が、冷却部18に取り付けられる。
【0038】
取付部22bは、例えば、円盤状の快削性セラミックスを切削加工して形成される。軸部22aは、内面22b1を有する断面が矩形の環体状の形状を有する。
【0039】
取付部22bにおける軸部22a側の端部の内面22b1に雌ねじ22bsが形成される。雌ねじ22bsは、例えば、切削加工により形成される。雌ねじ22bsは、軸部22aの雄ねじ22atと締結する。
【0040】
取付部22bは、下面に溝22gを有する。溝22gには、Oリング等のシール部材22pが設けられる。シール部材22pにより、処理容器1と外部との間の気密が保たれる。
【0041】
取付部22bは、快削性セラミックスの表面に、窒化アルミニウム(AlN)等の被覆層22brを備える。窒化アルミニウム(AlN)等の被覆層22brを備えることにより、ハロゲンに対する耐性(ハロゲン耐性)を改善できる。
【0042】
[シャワーヘッド3]
シャワーヘッド3は、処理容器1内に処理ガスをシャワー状に供給する。シャワーヘッド3は、金属により形成される。シャワーヘッド3は、加熱処理装置2に対向するように設けられる。シャワーヘッド3は、加熱処理装置2とほぼ同じ直径を有する。
【0043】
シャワーヘッド3は、本体部31と、シャワープレート32と、を備える。本体部31は、処理容器1の天壁14に固定される。シャワープレート32は、本体部31の下に接続される。本体部31とシャワープレート32との間にはガス拡散空間33が形成される。処理容器1の天壁14及び本体部31には、それぞれの中央を貫通するガス導入孔36が設けられる。ガス導入孔36は、ガス拡散空間33につながる。
【0044】
シャワープレート32の周縁部には下方に突出する環状突起部34が形成される。環状突起部34の内側の平坦面には、ガス吐出孔35が形成される。加熱処理装置2が処理位置に存在した状態では、加熱処理装置2とシャワープレート32との間に処理空間38が形成される。また、カバー部材24の上面と環状突起部34とが近接して環状隙間39が形成される。
【0045】
[排気部4]
排気部4は、処理容器1の内部を排気する。排気部4は、排気配管41と、排気機構42と、を備える。排気配管41は、排気口13bに接続される。排気機構42は、排気配管41に接続される。排気機構42は、真空ポンプや圧力制御バルブ等を備える。
【0046】
排気部4は、スリット13aを介して排気ダクト13に至る処理容器1内のガスを、排気ダクト13から排気配管41を通って排気機構42により排気する。
【0047】
[ガス供給機構5]
ガス供給機構5は、処理容器1内に処理ガスを供給する。ガス供給機構5は、ガス供給ライン51を介してガス導入孔36に接続される。
【0048】
また、基板処理装置100は、容量結合プラズマ装置であって、加熱処理装置2が下部電極となり、シャワーヘッド3が上部電極となる。下部電極となる加熱処理装置2は、コンデンサ(図示せず)を介して接地される。
【0049】
[高周波電力供給部6]
高周波電力供給部6は、上部電極となるシャワーヘッド3に高周波電力を供給する。上部電極となるシャワーヘッド3は、高周波電力供給部6によって高周波電力(以下、「高周波パワー」ともいう。)が印加される。高周波電力供給部6は、給電ライン61と、整合器62と、高周波電源63と、を備える。
【0050】
高周波電源63は、高周波電力を発生する電源である。高周波電力は、プラズマの生成に適した周波数を有する。高周波電力の周波数は、例えば450キロヘルツから100メガヘルツの範囲内の周波数である。高周波電源63は、整合器62及び給電ライン61を介してシャワーヘッド3の本体部31に接続される。整合器62は、高周波電源63の出力リアクタンスと負荷(上部電極)のリアクタンスを整合させるための回路を有する。
【0051】
なお、高周波電力供給部6は、上部電極となるシャワーヘッド3に高周波電力を印加するものとして説明したが、これに限られるものではない。下部電極となる加熱処理装置2に高周波電力を印加する構成であってもよい。また、基板処理装置は、高周波電力を印加する構成を備えていなくてもよい。
【0052】
[制御部7]
制御部7は、例えばコンピュータであり、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、補助記憶装置等を備える。CPUは、ROM又は補助記憶装置に格納されたプログラムに基づいて動作し、基板処理装置の動作を制御する。制御部7は、基板処理装置の内部に設けられていてもよく、外部に設けられていてもよい。制御部7が基板処理装置の外部に設けられている場合、制御部7は、有線又は無線等の通信手段によって、基板処理装置を制御できる。
【0053】
<作用、効果>
第1実施形態に係る加熱処理装置2によれば、基台21と支持部22とをねじにより連結することにより、載置した基板Wを加熱する基台21から支持部22への熱伝導を抑制できる。
【0054】
基板Wを加熱するために、加熱処理装置2の基台21で発生した熱の一部は、支持部22を通過して冷却部18に伝熱する。加熱処理装置2の基台21は、下面21S2側に設けられた雄ねじ21sと、支持部22の雌ねじ22asと、を締結することにより支持部22に連結される。雄ねじ21sと雌ねじ22asとの連結部分における熱の伝達は、連結部分が熱抵抗となって、例えば、基台21と支持部22とが一体に形成される場合と比較して抑制される。すなわち、基台21から支持部22に伝わる熱の量は、雄ねじ21sと雌ねじ22asとの連結部分において抑制される。
【0055】
したがって、第1実施形態に係る加熱処理装置2によれば、載置した基板Wを加熱する基台21から支持部22への熱伝導を抑制できる。また、第1実施形態に係る加熱処理装置2によれば、基台21から支持部22への熱伝導を抑制できることから、支持部22の長さを短くできる。支持部22の長さを短くすることにより、処理容器1の縦方向の長さを短くできる。処理容器1の縦方向の長さを短くすることにより、基板処理装置100の大きさを小さくできる。いいかえると、処理容器1の縦方向の長さを短くすることにより、基板処理装置100が備える処理容器1の体積を小さくできる。
【0056】
効果を説明するために、比較例の加熱処理装置2zについて説明する。図8は、比較例の加熱処理装置2zの概略断面図である。加熱処理装置2zは、基台21zと、支持部22zと、を備える。基台21z及び支持部22zのそれぞれは窒化アルミニウム等のセラミックスにより形成される。基台21zと支持部22zとは、拡散接合等により一体に形成される。
【0057】
加熱処理装置2zは、固定部22cをねじ22nzにより冷却部18に固定される。加熱処理装置2zと冷却部18との間には、シール部材22pzが設けられる。
【0058】
加熱処理装置2zでは、基台21zと支持部22zとは、拡散接合等により一体に形成されていることにより、基台21zから支持部22zへ多くの熱が伝達する。例えば、基台21z及び支持部22zが窒化アルミニウムにより形成されていると、窒化アルミニウムは伝熱性が高いことから多くの熱が矢印付き線Aに示すように冷却部18に流れる。
【0059】
一方、加熱処理装置2zと冷却部18と間のシール部材22pzは、例えば、真空シール材により形成されている。シール部材22pzの耐熱温度を満たすために、支持部22zの冷却部18との接合部分の温度を所定の温度以下にする必要がある。
【0060】
加熱処理装置2zでは、支持部22zの上下方向の長さHzを長くすることによって、基台21zと支持部22zの冷却部18との接合部分と間の距離を長くして、支持部22zの冷却部18との接合部分の温度が低くなるようにしている。すなわち、基台21zと支持部22zの冷却部18との接合部分と間の距離を長くして、基台21と冷却部18とを離隔して、基台21zと支持部22zの冷却部18とにおける温度差を設けている。
【0061】
なお、例えば、支持部に熱伝導率の低い材料を用いる場合は、基台と支持部との間で異種材料の接合となる。異種材料を接合する場合には、熱膨張率の差があるためクラック等の発生を抑えながら接合することは困難である。
【0062】
第1実施形態に係る加熱処理装置2によれば、基台21から支持部22に伝わる熱の量を、雄ねじ21sと雌ねじ22asとの連結部分において抑制する。基台21から支持部22に伝わる熱の量を抑制することによって、加熱処理装置2における冷却部18と接続する部分の温度を低くできる。加熱処理装置2における冷却部18と接続する部分の温度を低くすることによって、加熱処理装置2の支持部22の上下方向の長さHを短くできる。すなわち、加熱処理装置2の基台21と冷却部18との間隔を短くできる。したがって、加熱処理装置2の処理容器1を小さくして、加熱処理装置2の大きさを小さくできる。
【0063】
第1実施形態に係る加熱処理装置2は、支持部22を軸部22aと取付部22bとをねじにより締結していることから、軸部22aと取付部22bとの間で熱の伝達を更に抑制できる。したがって、基台21から冷却部18への熱の伝達を、支持部22において更に抑制できる。基台21から冷却部18への熱の伝達を、支持部22において抑制することによって、加熱処理装置2の支持部22の上下方向の長さHを更に短くできる。
【0064】
また、第1実施形態に係る加熱処理装置2によれば、快削性セラミックスにより加熱処理装置2を形成していることから、切削加工により汎用的な装置を用いて、加熱処理装置2を製造できる。
【0065】
例えば、比較例の加熱処理装置2zでは、基台21zと支持部22zとを拡散接合等により一体に形成するために、専用の特殊な加工装置が必要となる。セラミックス同士の拡散接合技術は、高価で高難易度の技術が必要なため、加熱処理装置2zを製造するのに必要な費用が増加する。
【0066】
第1実施形態に係る加熱処理装置2によれば、比較例の加熱処理装置2zを製造するような特殊な製造工程を削除することにより、製造工程を簡略化できる。加熱処理装置2を簡略化した製造工程により製造することにより、製造に必要な費用を削減できる。
【0067】
さらに、第1実施形態に係る加熱処理装置2によれば、快削性セラミックスの表面に、窒化アルミニウム(AlN)等の被覆層を備えることにより、基板処理に用いられるハロゲンに対する耐性(ハロゲン耐性)を向上できる。
【0068】
化学気相成長(CVD(Chemical Vapor Deposition))又は原子層堆積(ALD(Atomic Layer Deposition))において、原料としてハロゲンを含んだガスが用いられる。一般に、快削性セラミックスは、ハロゲンを含んだガスへの耐腐食性が低い。
【0069】
第1実施形態に係る加熱処理装置2によれば、快削性セラミックスの表面に、窒化アルミニウム(AlN)等の被覆層を備えることにより、ハロゲン耐性を向上できる。快削性セラミックスの表面に被覆層を備えることにより、窒化アルミニウム等の耐食性の高い部材を使用する量を減らして、コストを削減できる。
【0070】
なお、基台21の上面21S1が第1面の一例、下面21S2が第2面の一例、雄ねじ21sが第1ねじ部の一例、雌ねじ22asが第2ねじ部の一例、である。
【0071】
<変形例>
なお、第1実施形態に係る加熱処理装置2は、基台21の溝部21gにおける第1側面21g1に雄ねじ21sを形成しているが、第2側面21g2に雌ねじを形成するようにしてもよい。第2側面21g2に雌ねじを形成する場合には、軸部22aにおける基台21側の端部の外面22a2に雄ねじを形成する。
【0072】
また、第1実施形態に係る加熱処理装置2は、基台21の溝部21gに雄ねじ21sを形成しているが、下面21S2から突出する突部を設けて、突部の側面に雄ねじを形成してもよい。
【0073】
≪第2実施形態≫
[加熱処理装置102]
次に、第2実施形態に係る加熱処理装置102について説明する。図7は、第2実施形態に係る加熱処理装置102の概略断面図である。
【0074】
加熱処理装置102は、処理容器1内で基板Wを水平に支持する。また、加熱処理装置102は、基板Wを加熱する。加熱処理装置102は、基台121と、支持部122と、を備える。基台121は、基板Wに対応した大きさの円板状に形成される。基台121は、支持部122に支持される。
【0075】
加熱処理装置102は、更に、支持部122と冷却部18との間に、台部125を備える。
【0076】
基台121は、円盤状の形状を有する。支持部122は、円筒状の形状を有する円筒部122aと、断面が矩形である環体状の形状を有する環体部122bと、を有する。円筒部122aと環体部122bとは、一体に形成される。
【0077】
基台121は、内部にヒータ121hを備える。いいかえると、ヒータ121hは、基台121の内部に埋め込まれている。ヒータ121hの駆動については、第1実施形態におけるヒータ21hと同じ駆動方法を用いていることから、説明は省略する。
【0078】
(基台121)
基台121は基板Wを載置するとともに、基板Wを加熱する。基台121は、上面121S1と、上面121S1と反対側に位置する下面121S2と、を有する。上面121S1には、基板Wが載置される。下面121S2側には、支持部122が連結される。
【0079】
基台121は、快削性セラミックスにより形成される。基台121は、基台21と同様に、下面121S2に、下面視で円環状の溝部121gを有する。溝部121gは、下面121S2から内部に切削加工して形成される。
【0080】
溝部121gは、下面視で基台121の中心側に位置する側面に、雄ねじ121sが形成される。雄ねじ121sは、例えば、切削加工により形成される。雄ねじ121sは、支持部122に形成される雌ねじ122sと締結する。
【0081】
基台121は、快削性セラミックスの表面に、窒化アルミニウム(AlN)等の被覆層121rを備える。窒化アルミニウム(AlN)等の被覆層121rを備えることにより、ハロゲンに対する耐性(ハロゲン耐性)を改善できる。
【0082】
(支持部122)
支持部122は、基台121を支持する。支持部122は、基台121と台部125との間に設けられる。
【0083】
支持部122は、基台121と同様に快削性セラミックスにより形成される。支持部122は、基台121と同じ材質のセラミックスにより形成されてもよい。
【0084】
支持部122は、円筒部122aと、環体部122bと、を有する。円筒部122aと環体部122bとは一体に形成される。円筒部122aと環体部122bとを、例えば、型により成形して一体に形成してもよいし、快削性セラミックスのブロックから切削加工して一体に形成してもよい。また、例えば、円筒部122aと環体部122bとを拡散接合等により一体にしてもよい。
【0085】
円筒部122aは、基台121側の端部の内面に雌ねじ122sが形成される。雌ねじ122sは、例えば、切削加工により形成される。雌ねじ122sは、基台121の雄ねじ121sと締結する。
【0086】
環体部122bには、上下方向に貫通し、内側にねじが形成されたねじ穴122hが設けられる。ねじ穴122hにねじ125nを締結することにより、環体部122bは台部125に固定される。環体部122bを台部125に固定することにより、支持部122は、台部125に固定される。また、ねじ125nの緩み防止のために、ナット125mをねじ125nに設けてもよい。なお、ナット125mは備えなくてもよい。さらに、加熱処理装置102は、支持部122と台部125との間には、漏れ防止のために、メタルシール125eを備える。
【0087】
なお、支持部122は、ねじ穴122hを有しているが、ねじ穴122hに換えて貫通孔を形成して、ナット125mで環体部122bを台部125に固定してもよい。
【0088】
支持部122は、快削性セラミックスの表面に、窒化アルミニウム(AlN)等の被覆層122rを備える。窒化アルミニウム(AlN)等の被覆層122rを備えることにより、ハロゲンに対する耐性(ハロゲン耐性)を改善できる。
【0089】
(台部125)
台部125は、支持部122を冷却部18に固定する。台部125は、支持部122と冷却部18との間に設けられる。
【0090】
台部125は、金属により形成される。台部125は、上面視で円環状の上板部125aと、円筒状の円筒部125bと、上面視で円環状の下板部125cと、を有する。上板部125aと、円筒部125bと、下板部125cとは、一体に形成される。台部125は、例えば、曲げ加工等の機械加工により形成される。
【0091】
上板部125aは、メタルシール125eを介して、支持部122の環体部122bを載置する。上板部125aは、ねじ125nにより支持部122と締結される。円筒部125bは、上板部125aと下板部125cとを接続する。円筒部125bにより、上板部125aは、下板部125cから離隔して設けられる。
【0092】
下板部125cは、冷却部18に載置される。下板部125cは、冷却部18側の面に溝125gを有する。溝125gには、Oリング等のシール部材125pが設けられる。シール部材125pにより、処理容器1と外部との間の気密が保たれる。
【0093】
<作用、効果>
第2実施形態に係る加熱処理装置102によれば、第1実施形態に係る加熱処理装置2の作用、効果に加えて、支持部122の長さを更に短くできる。また、第2実施形態に係る加熱処理装置102によれば、支持部122と台部125との間において、ねじにより締結を用いることによって、支持部122と台部125との間における熱の伝達を更に抑制できる。さらに、第2実施形態に係る加熱処理装置102によれば、台部125に金属材料を用いることから、材料費等の製造費用を削減できる。
【0094】
なお、例えば、台部125において、基台121側と絶縁するために、ねじ125nの部分に絶縁スリーブを挿入してもよい。
【0095】
今回開示された本実施形態に係る加熱処理装置は、すべての点において例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。上記の実施形態は、添付の請求の範囲及びその主旨を逸脱することなく、様々な形態で変形及び改良が可能である。上記複数の実施形態に記載された事項は、矛盾しない範囲で他の構成も取り得ることができ、また、矛盾しない範囲で組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0096】
100 基板処理装置
1 処理容器
2、102 加熱処理装置
21、121 基台
21S1、121S1 上面
21S2、121S2 下面
21g、121g 溝部
21h、121h ヒータ
21r、121r 被覆層
21s、121s 雄ねじ
22、122 支持部
22as、122s 雌ねじ
22a 軸部
22a1 内面
22a2 外面
22ar、22br 被覆層
122a 円筒部
125 台部
W 基板
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8