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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023100771
(43)【公開日】2023-07-19
(54)【発明の名称】発光装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 33/60 20100101AFI20230711BHJP
   H01L 33/62 20100101ALI20230711BHJP
   H01L 33/54 20100101ALI20230711BHJP
   F21S 2/00 20160101ALI20230711BHJP
   F21Y 105/10 20160101ALN20230711BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20230711BHJP
   F21Y 115/30 20160101ALN20230711BHJP
【FI】
H01L33/60
H01L33/62
H01L33/54
F21S2/00 482
F21S2/00 483
F21S2/00 481
F21Y105:10
F21Y115:10
F21Y115:30
【審査請求】有
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023073500
(22)【出願日】2023-04-27
(62)【分割の表示】P 2020146125の分割
【原出願日】2020-08-31
(71)【出願人】
【識別番号】000226057
【氏名又は名称】日亜化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101683
【弁理士】
【氏名又は名称】奥田 誠司
(74)【代理人】
【識別番号】100155000
【弁理士】
【氏名又は名称】喜多 修市
(74)【代理人】
【識別番号】100202197
【弁理士】
【氏名又は名称】村瀬 成康
(74)【代理人】
【識別番号】100218981
【弁理士】
【氏名又は名称】武田 寛之
(72)【発明者】
【氏名】中林 拓也
(72)【発明者】
【氏名】山下 良平
(72)【発明者】
【氏名】榎村 恵滋
(72)【発明者】
【氏名】岡久 強志
(72)【発明者】
【氏名】勝俣 敏伸
(57)【要約】
【課題】輝度ムラを抑制しながらも薄型化可能な発光装置を提供する。
【解決手段】発光装置の製造方法は、配線層を有する配線基板と、複数の発光素子とを準備する工程と、前記配線層に電気的に接続するよう前記複数の発光素子を搭載する工程と、前記配線基板上と、前記複数の発光素子のそれぞれの側面の少なくとも一部を覆う光反射部材を形成する工程と、前記複数の発光素子上に複数の透光層を形成する工程と、前記複数の透光層上に複数の光反射層を形成する工程と、前記複数の光反射層および前記光反射部材の上方を覆う、前記透光層よりも低い屈折率を有する低屈折率層を形成する工程と、前記複数の光反射層および前記光反射部材の上方に光拡散層を配置する工程と、を備えた。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
配線層を有する配線基板と、複数の発光素子とを準備する工程と、
前記配線層に電気的に接続するよう前記複数の発光素子を搭載する工程と、
前記配線基板上と、前記複数の発光素子のそれぞれの側面の少なくとも一部を覆う光反射部材を形成する工程と、
前記複数の発光素子上に複数の透光層を形成する工程と、
前記複数の透光層上に複数の光反射層を形成する工程と、
前記複数の光反射層および前記光反射部材の上方を覆う、前記透光層よりも低い屈折率を有する低屈折率層を形成する工程と、
前記複数の光反射層および前記光反射部材の上方に光拡散層を配置する工程と、
を備えた発光装置の製造方法。
【請求項2】
各光反射層の断面視における幅が前記複数の透光層のうちの対応する1つの幅と同じかまたは前記1つの幅よりも大きい、請求項1に記載の発光装置の製造方法。
【請求項3】
前記光反射部材は、前記光反射部材の上面に1以上の凸部を有する、請求項1または2に記載の発光装置の製造方法。
【請求項4】
前記凸部は、平面視において、前記複数の発光素子のそれぞれを囲むように形成された、請求項3に記載の発光装置の製造方法。
【請求項5】
前記光反射部材を形成する工程は、
前記複数の発光素子に対応する位置に貫通孔が設けられたシート状の樹脂シートを準備する工程と、
前記樹脂シートを前記配線基板上に貼り合わせる工程と、
を更に備えた、請求項1から4のいずれか1項に記載の発光装置の製造方法。
【請求項6】
前記貫通孔内に樹脂材料を充填する工程を更に備えた請求項5に記載の発光装置の製造方法。
【請求項7】
前記複数の透光層および複数の光反射層を形成する工程は、前記透光層上に前記光反射層を積層したシート状の積層体を準備する工程を更に備えた、請求項1から6のいずれか1項に記載の発光装置の製造方法。
【請求項8】
前記複数の透光層および複数の光反射層を形成する工程は、
前記シート状の積層体を個片化する工程と、
個片化された各積層体を、前記複数の発光素子のそれぞれに搭載する工程と、
を更に備えた、請求項7に記載の発光装置の製造方法。
【請求項9】
平面視において、前記複数の光反射層は、前記複数の透光層と重なり、
平面視において、各透光層は、前記複数の発光素子のうちの対応する発光素子が有する出射面を包含する、請求項1から8のいずれか1項に記載の発光装置の製造方法。
【請求項10】
平面視において、前記複数の光反射層のそれぞれは、ドット状のパターンを有しており、前記パターンのドット密度は、前記複数の光反射層のそれぞれにおいて、前記光反射層の外側から中心に向けて高くなる、請求項1から9のいずれか1項に記載の発光装置の製造方法。
【請求項11】
前記配線基板は、前記配線基板の上面側に設けられた第1配線層と、前記配線基板の下面側に設けられた第2配線層を備え、
前記第1配線層は、前記複数の発光素子に電気的に接続され、前記第2配線層は外部の制御回路との接続のためのコネクタと電気的に接続された、請求項1から10のいずれか1項に記載の発光装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、発光装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
下記の特許文献1は、基板上の複数の発光素子の側面を光反射部材で被覆した発光装置を開示している。発光素子の側面を光反射部材で覆うことにより、発光素子の側面からの光の漏れが抑制され、その結果、発光輝度を向上させることが可能となる。特許文献1の発光装置では、複数の発光素子の上面を一括して覆うように、発光素子および光反射部材の上面上に、透光層および波長変換層の積層体を配置している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015-106641号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
液晶表示装置等の表示装置用直下型バックライトとして、複数の発光素子が2次元に配列された発光装置が提案されている。このような発光装置に対しては、光の取出し効率に関するいっそうの改善の要求がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の発光装置は、非限定的で例示的な実施形態において、配線基板と、前記配線基板上に配置され、かつ、前記配線基板の配線層に電気的に接続された複数の発光素子と、前記配線基板上に配置され、前記複数の発光素子のそれぞれの側面を覆う光反射部材と、それぞれが、前記複数の発光素子のうちの対応する発光素子が有する出射面の上方に位置する、複数の透光層と、前記複数の透光層上に配置された複数の光反射層と、前記複数の光反射層および前記光反射部材の上方に配置された光拡散層と、前記光反射部材と前記光拡散層との間において、前記透光層および前記光反射層の各組の周囲に位置し、前記透光層よりも低い屈折率を有する低屈折率層とを備え、各光反射層の断面視における幅は、前記複数の透光層のうちの対応する1つの幅と同じかまたは前記1つの幅よりも大きい。
【発明の効果】
【0006】
本開示の例示的な実施形態によれば、光源から出射する光の輝度ムラを抑制しながらも光の取出し効率を向上させ得る。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本開示のある実施形態による発光装置の構造の一例を示す模式的な断面図である。
図2図1に示す光源部および配線基板の例示的な外観を示す模式的な上面図である。
図3図2に示される破線の矩形で囲まれた4×4個のセグメントを含む領域の配線パターンを模式的に示す図である。
図4図3に示すセグメント領域における配線パターンを説明するための図である。
図5】発光素子の上面の大きさと、透光層の形状との間の関係の一例を模式的に示す上面図である。
図6】発光素子の上面の大きさと、透光層の形状との間の関係の他の一例を模式的に示す上面図である。
図7】発光素子の上方に位置する透光層の形状の他の例を説明するための模式的な断面図である。
図8】透光層の上面上の光反射パターンの例を模式的に示す平面図である。
図9】本開示の他のある実施形態による発光装置の構造の一例を示す模式的な断面図である。
図10】本開示のさらに他のある実施形態による発光装置の構造の一例を示す模式的な断面図である。
図11】本開示のさらに他のある実施形態による発光装置の構造の一例を示す模式的な断面図である。
図12】光源部の上面に設けられる凸部の配置の一例を示す模式的な上面図である。
図13】光源部の上面に設けられる凸部の配置の他の一例を示す模式的な上面図である。
図14】凸部30wの断面形状の他の例を示す模式的な断面図である。
図15】凸部30wの断面形状のさらに他の例を示す模式的な断面図である。
図16】本開示のさらに他のある実施形態に係る発光装置の構造の一例を示す模式的な断面図である。
図17】本開示のさらに他のある実施形態に係る発光装置の構造の一例を示す模式的な断面図である。
図18】本開示のさらに他のある実施形態に係る面状光源の構造の一例を示す模式的な断面図である。
図19】面状光源の断面構造のうちの光源部の縁の部分を例示する断面図である。
図20】本開示の実施形態による発光装置の例示的な製造方法を説明するための工程断面図である。
図21】本開示の実施形態による発光装置の例示的な製造方法を説明するための工程断面図である。
図22】本開示の実施形態による発光装置の例示的な製造方法を説明するための工程断面図である。
図23図10に示す発光装置の例示的な製造方法を説明するための工程断面図である。
図24図17に示す発光装置の例示的な製造方法を説明するための工程断面図である。
図25図17に示す発光装置の例示的な製造方法を説明するための工程断面図である。
図26図17に示す発光装置の例示的な製造方法を説明するための工程断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照しながら、本開示の実施形態を詳細に説明する。以下の実施形態は、例示であり、本開示による発光装置および面状光源は、以下の実施形態に限られない。例えば、以下の実施形態で示される数値、形状、材料、ステップ、そのステップの順序等は、あくまでも一例であり、技術的に矛盾が生じない限りにおいて種々の改変が可能である。以下に説明する各実施形態は、あくまでも例示であり、技術的に矛盾が生じない限りにおいて種々の組み合わせが可能である。
【0009】
図面が示す構成要素の寸法、形状等は、分かりやすさのために誇張されている場合があり、実際の発光装置および面状光源における寸法、形状および構成要素間の大小関係を反映していない場合がある。また、図面が過度に複雑になることを避けるために、一部の要素の図示を省略することがある。
【0010】
以下の説明において、実質的に同じ機能を有する構成要素を共通の参照符号で示し、説明を省略することがある。以下の説明では、特定の方向または位置を示す用語(例えば、「上」、「下」、「右」、「左」およびそれらの用語を含む別の用語)を用いる場合がある。しかしながら、それらの用語は、参照した図面における相対的な方向または位置を分かりやすさのために用いているに過ぎない。参照した図面における「上」、「下」等の用語による相対的な方向または位置の関係が同一であれば、本開示以外の図面、実際の製品、製造装置等において、参照した図面と同一の配置でなくてもよい。本開示において「平行」とは、特に他の言及がない限り、2つの直線、辺、面等が0°から±5°程度の範囲にある場合を含む。また、本開示において「垂直」または「直交」とは、特に他の言及がない限り、2つの直線、辺、面等が90°から±5°程度の範囲にある場合を含む。
【0011】
[1.発光装置200Aの構造]
図1は、本開示のある実施形態による発光装置の構造の一例を模式的に示す。参考のために、図1には、互いに直交するX方向、Y方向およびZ方向が示されている。本開示の他の図面においてもこれらの方向を示すことがある。
【0012】
図1に示す発光装置200Aは、配線基板10と、配線基板10上に実装された光源部100Aとを有する。光源部100Aは、複数の発光素子20と、各発光素子20の側面を覆う光反射部材30Aと、複数の透光層40Aと、複数の光反射層50Aとを有する。図1に模式的に示すように、複数の発光素子20のそれぞれの上方には、透光層40Aおよび光反射層50Aを積層した構造が位置する。
【0013】
図1に例示する構成において、発光装置200Aは、さらに、光拡散層70と、光反射部材30Aと光拡散層70との間に位置する低屈折率層60Aと、光拡散層70上に配置された波長変換層80とを有している。この例では、発光装置200Aは、光反射部材30Aの上面30aと光拡散層70の下面70bとの間に形成された空間GPを有する。すなわち、図1に示す例において、低屈折率層60Aは、空気層である。なお、発光装置200Aの全体の厚さ(Z方向の高さ)は、例えば0.60mm程度である。
【0014】
複数の発光素子20は、配線基板10の上面10aにおいて、1次元または2次元に配列され得る。図2は、図1に示す発光装置200Aから光拡散層70および波長変換層80を除いた構造の例示的な外観を模式的に示す。図2は、図1に示す構成のうち、配線基板10と、配線基板10上の光源部100Aとを示す図であるといってもよい。図1に示す模式的な断面は、図2に示すI-I線断面の一部に相当する。
【0015】
図2に示す例では、複数の光反射層50Aが、互いに直交する2方向(ここではX方向およびY方向)に沿って2次元に配列されている。より詳細には、合計676個の光反射層50Aが26行26列に配列されている。ここで、図1を参照すれば理解されるように、光反射層50Aの直下には光源部100Aの発光素子20がそれぞれ位置している。すなわち、図2は、複数の発光素子20を配線基板10に2次元に配列した例である。
【0016】
図2に示す例では、X方向に沿って26個の発光素子20が配列され、かつ、Y方向に沿って26個の発光素子20が配列されている。この例では、発光素子20のX方向の配列ピッチpxと、Y方向の配列ピッチpyとは、等しくされている。ここで、発光素子の配列ピッチとは、隣接する2つの発光素子における光軸L間の距離を意味する。図1に模式的に示すように、光軸Lは、発光素子の出射面(上面)に垂直である。配列ピッチpx、pyのそれぞれは、0.5mm以上10mm以下に設定し得る。本開示の実施形態において、配列ピッチpxおよびpyのそれぞれは、2.0mm程度であり得る。
【0017】
図2に例示する構成において、光源部100Aは、それぞれが1つの発光素子20を有する676個の領域を含んでいる。以下では、説明の便宜のために、1つの発光素子を有する単位をセグメントまたは単位領域(individual region)と呼ぶことがある。以下、
光源部100Aの各構成要素を詳細に説明する。
【0018】
(配線基板10)
配線基板10は上面10aおよび下面10bを有する。配線基板10の上面10a側に複数の発光素子20が配置され、支持される。配線基板10は、それぞれが配線パターンを有する複数の配線層と、絶縁部11とを有する。本実施形態では、配線基板10は、第1配線層12aおよび第2配線層12bを含む。第1配線層12aおよび第2配線層12bは、絶縁部11内に設けられたビア13を介して互いに電気的に接続されている。絶縁部11の一部は、配線基板10の上面10aのうち発光素子20が実装される領域以外の領域を覆う。
【0019】
配線基板10の絶縁部11の材料としては、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、BTレジン、ポリフタルアミド(PPA)、ポリエチレンテレフタレート(PET)等の樹脂材料が挙げられる。配線基板10の絶縁部11の材料として、ガラス繊維強化樹脂(ガラスエポキシ樹脂)等の複合材料またはセラミックスを用いることもできる。
【0020】
図1に例示する構成において、第1配線層12aは、配線基板10の上面10a側に設けられている。複数の発光素子20のそれぞれが有する正極(アノード)21aおよび負極(カソード)21cは、第1配線層12aに電気的に接続される。他方、第2配線層12bは、配線基板10の下面10b側に設けられている。後述するように、第2配線層12bは、外部の制御回路との接続のためのコネクタ18(図2参照)との間の接続を有する。
【0021】
配線層(ここでは第1配線層12aおよび第2配線層12b)の材料は、配線基板10の絶縁部11に用いられる材料、製造方法等に応じて適宜選択される。配線層上にソルダレジスト等の絶縁膜を備えていてもよい。
【0022】
図2に例示するように、配線基板10上に位置する光源部100Aの平面視形状の典型例は、矩形状である。図2に例示する構成において、光源部100AのX方向の長さLxおよびY方向の長さLyは、例えば52mm程度である。配線基板10のうち、光源部100Aの設けられる領域のX方向の長さLxは、例えば55mm程度であり、Y方向の長さLyは、例えば60mm程度である。配線基板10の厚さ(図中のZ方向の高さ)は、0.17mm程度であり得る。
【0023】
図3は、図2に示される破線の矩形で囲まれた4×4個のセグメントを含む領域(以下、単に「セグメント領域」と呼ぶことがある。)の配線層を模式的に示す。2次元に配列された676個の発光素子20は、第1配線層12aに電気的に接続される。図3に模式的に示すように、第1配線層12aは、それぞれがX方向に延びる複数の第1配線PA1と、アノード側のランド15aおよびカソード側のランド15bの複数の組とを含んでいる。ランド15aおよびランド15bは、第1配線層12aうち、各セグメント中の発光素子20の正極21aおよび負極21cがそれぞれ接続される部分である。ここでは、セグメントの4行4列の配列の列方向(Y方向)に沿って複数の第1配線PA1が配置されており、各行の第1配線PA1は、同一行に位置する複数のランド15aとの間の接続を有する。すなわち、各第1配線PA1は、同一行に位置する複数の発光素子20の正極21a同士を電気的に接続する。
【0024】
また、第1配線層12aは、複数の第2配線PC2も有している。図3に示すように、
複数の第2配線PC2は、セグメント毎に設けられ、複数の第2配線PC2のそれぞれは、対応するカソード側のランド15bとの接続を有する。
【0025】
第1配線層12aの第1配線PA1および第2配線PC2は、ビア13を介して第2配線層12bに接続される。第2配線層12bは、Y方向に沿って延びる第3配線PA3と、セグメント毎に設けられる第4配線PC4とを含む。
【0026】
図4は、セグメント領域における配線層と、コネクタとの間の例示的な接続関係を示す。図4に模式的に示すように、第1配線層12aの複数の第1配線PA1は、ビア13を介して、共通して第3配線PA3に接続される。第3配線PA3は、コネクタ18に接続されている。すなわち、この接続関係により、全ての発光素子20の正極21aに第3配線PA3から共通の電圧駆動信号を供給することができる。
【0027】
他方、セグメント毎に設けられる、第1配線層12aの第2配線PC2は、ビア13を介して、複数の第4配線PC4のうちの対応する1つに電気的に接続される。図4に示すように、複数の第4配線PC4のそれぞれは、コネクタ18に接続されている。この接続関係により、第4配線PC4を介して、発光素子20の負極21cに電圧駆動信号をセグメント単位で供給できる。
【0028】
このような電気的接続関係により、外部の制御回路(不図示)から配線基板10のコネクタ18を介して、複数の発光素子20に電力を供給することが可能である。図3および図4を参照しながら説明したアノードおよびカソードの配線パターンによれば、発光素子をセグメント単位でマトリクス駆動させることが可能である。つまり、ここでは、光源部100Aは、ローカルディミング動作可能に構成されている。
【0029】
(発光素子20)
発光素子20の典型例は、半導体発光素子であり、発光素子20として、半導体レーザ、発光ダイオード等の公知の発光素子を利用することができる。発光素子20から出射される光の波長としては、任意の波長を選択することができる。例えば、紫外~可視域の波長を有する光を発する発光素子として、窒化物系半導体(InAlGa1-x-yN、0≦X、0≦Y、X+Y≦1)を用いた半導体発光素子を用いることができる。また、赤色の波長を有する光を発する発光素子として、GaAlAs、AlInGaP等の半導体を含む半導体発光素子を用いることができる。さらに、これら以外の材料から形成される半導体発光素子を発光素子20に用いることもできる。用いる半導体の組成、ならびに、発光素子の発光色、大きさおよび個数等は、目的、設計仕様に応じて適宜選択することができる。
【0030】
半導体発光素子中の半導体積層体は、上述のような紫外~可視域の光を発光可能な発光層を少なくとも1つ備えることができる。例えば、半導体積層体は、n型半導体層と、p型半導体層との間に1つの発光色または発光波長を発光可能な発光層を含むことができる。なお、前記発光層は、ダブルヘテロ接合あるいは単一量子井戸構造(SQW)などの単一の活性層を持つ構造でもよいし、多重量子井戸構造(MQW)のようにひとまとまりの活性層群を持つ構造でもよい。
【0031】
半導体積層体は、複数の発光層を含むこともできる。例えば、半導体積層体は、n型半導体層とp型半導体層との間に複数の発光層を含む構造であってもよいし、n型半導体層と発光層とp型半導体層とを順に含む構造が複数回繰り返された構造であってもよい。複数の発光層には、発光色または発光波長が異なる活性層を含んでいてもよいし、発光色または発光波長が同じ活性層を含んでいてもよい。なお、同じ発光色とは、使用上同じ発光色とみなせる範囲、例えば、主波長で数nm程度のばらつきがあってもよい。発光色また
は発光波長の組み合わせとしては適宜選択することができる。例えば、半導体積層体に2つの活性層を含む場合、発光色の組み合わせとしては、青色光と青色光、緑色光と緑色光、赤色光と赤色光、紫外光と紫外光、青色光と緑色光、青色光と赤色光、または、緑色光と赤色光等が挙げられる。
【0032】
n型半導体層およびp型半導体層に負極21cおよび正極21aがそれぞれ電気的に接続される。発光素子20は、上面20aと、上面20aとは反対側に位置する下面20bと、上面20aと下面20bとの間に位置する側面20cとを有する。後述するように、本実施形態では、各発光素子20の側面20cは、光反射部材30Aによって覆われる。すなわち、光源部100Aにおいて、発光素子20の光は、主に上面20aから取り出される。本明細書において発光素子20の出射面とは、基本的に発光素子20の上面20aを意味する。
【0033】
本実施形態における正極21aおよび負極21cは、ともに下面20b側に位置している。発光素子20の正極21aおよび負極21cは、配線基板10の上面10a側に設けられた第1配線層12aに電気的に接続され、かつ、固定されている。発光素子20は、光源部100Aの形で配線基板10に実装されてもよいし、配線基板10に発光素子20の状態で実装されてもよい。
【0034】
発光素子20は、典型的にはベアチップである。配線基板10の上面10aから発光素子20の上面20aまでのZ方向の高さは、例えば約0.425mmであり得る。
【0035】
上述したとおり、本実施形態では、複数の発光素子20は、X方向およびY方向に沿って2次元に配列されており、X方向の配列ピッチpxとY方向の配列ピッチpyとは、等しい。しかしながら、複数の発光素子20の配列は、この例に限られない。X方向とY方向との間で発光素子20の配列ピッチが異なっていてもよいし、複数の発光素子20の2次元配列の2方向は、直交していなくてもよい。また、配列ピッチは、等間隔に限られず、不等間隔であってもよい。例えば、配線基板10の中央から周辺に向かって間隔が広くなるように複数の発光素子20が配列されていてもよい。
【0036】
複数の発光素子20は、2種類以上の発光素子20を含み得る。複数の発光素子20は、例えば、青色の波長を有する光を発する発光素子、緑色の波長を有する光を発する発光素子および赤色の波長を有する光を発する発光素子を含んでいてもよい。発光装置200Aに用いる発光素子の種類を、発光装置200Aから出射される光の色再現性を高める観点から決定してもよい。
【0037】
(光反射部材30A)
光反射部材30Aは、光源部100Aの一部であり、配線基板10上に位置する。光反射部材30Aは、配線基板10の上面10aおよび複数の発光素子20のそれぞれの側面20cを覆う。光反射部材30Aは、発光素子20の下面20bと配線基板10の上面10aとの間に位置する部分を含み得る。例えば、発光素子20の下面20bと配線基板10の上面10aとの間の隙間を埋めるように形成されることにより、光反射部材30Aが発光素子20の正極21aおよび負極21cを覆っていてもよい。ただし、光反射部材30Aに代えて、光反射性の樹脂が発光素子20の下面20bと配線基板10の上面10aとの間に充填されていてもよい。発光素子20の下面20bと配線基板10の上面10aとの間への光反射性の樹脂の配置は、発光素子20と配線基板10との間の熱膨張係数の差によって生じ得る応力の緩和、放熱性の向上等を可能にし得る。
【0038】
光反射部材30Aは、例えば、樹脂と、樹脂に分散した反射材の粒子とを含む材料から形成される。光反射部材30Aの母材としては、アクリレート樹脂、エポキシ樹脂等を主
成分とする光硬化性樹脂を適用できる。後述するように、光反射部材30Aに、ポリエチレンテレフタレート(PET)等を母材とする光反射性の樹脂シートを適用してもよい。反射材の粒子の例は、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化亜鉛等の酸化物の粒子である。酸化物の粒子の平均粒子径は、例えば0.05μm以上30μm以下程度である。光反射部材30Aは、顔料、光吸収材、蛍光体等をさらに含んでいてもよい。光を散乱させる反射材の粒子は、光反射部材30A中に均一に分布していてよい。
【0039】
光反射部材30Aは、複数の発光素子20を保護する機能を有する。また、発光素子20のとりわけ側面20cから発せられる光を反射させることにより、光源部100Aにおいて主に発光素子20の上面20aから光を出射させる機能を有する。その結果、後述の透光層40Aに効率良く光を導入して、光反射層50Aによる反射を利用して発光装置200Aの面内に効果的に光を拡散させることが可能になる。また、光反射部材30Aは、光反射性を有することにより、光拡散層70側から到来する光をその上面30aで反射させることができる。これにより、透光層40Aから出射される光を有効に利用して、発光装置200Aの発光面(ここでは波長変換層80の上面80a)における輝度を向上させ得る。ここで、本明細書において、「光反射性」とは、発光素子20の発光ピーク波長における反射率が60%以上であることを指す。光反射部材30Aの、発光素子20の発光ピーク波長における反射率が70%以上であるとより有益であり、80%以上であるとさらに有益である。
【0040】
光反射部材30Aの上面30aは、例えば、図1に示すような平坦面である。ただし、光反射部材の上面30aが平坦面であることは、本開示の実施形態において必須ではない。後述するように、上面30aが1以上の凹面を有していてもよい。上面30aに1以上の凸部が形成されることもあり得る。
【0041】
発光素子20の下面20b側にも光反射部材30Aの一部を配置することにより、配線基板10の上面10aに向かう光を光反射部材30Aで反射して発光素子20の上方に導光することができる。その結果、発光素子20から発せられる光の利用効率をより向上させることができる。
【0042】
(透光層40A)
複数の透光層40Aのそれぞれは、複数の発光素子20のうち対応する1つの上面20aの上方に位置する。なお、透光層40Aは、透光性の接着層を介して発光素子20の上面20aの上方に配置され得る。したがって、透光層40Aと発光素子20との間に接着層が介在することもあり得る。
【0043】
透光層40Aの材料としては、例えば、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂またはこれらを混合した樹脂材料を用いることができる。ここで、本明細書における「透光」および「透光性」の用語は、入射した光に対して拡散性を示すことをも包含するように解釈され、「透明」であることに限定されない。例えば透光層40Aは、母材とは異なる屈折率を有する材料が分散させられることにより、光拡散機能を有していてもよい。母材中に光拡散材(例えば、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化亜鉛等の粒子)を分散させることにより、透光層40Aに光拡散機能を付与してもよい。
【0044】
図1に示すように、透光層40Aは、上面40aと、上面40aとは反対側に位置する下面40bと、上面40aと下面40bとの間に位置する側面40cとを有する。透光層40Aの厚さは、典型的には、50μm以上300μm以下の範囲である。
【0045】
上面視における透光層40Aの形状は、典型的には、図5に示すような矩形状である。上面視における透光層40Aの形状は、矩形状に限定されず、上面視において発光素子2
0の上面20aの全体を覆うことのできる形状であればよく、図6に示すような円形状等の他の形状であってもよい。図1に示すように、透光層40Aの断面視における幅は、典型的には、その透光層40Aの直下に位置する発光素子20の幅よりも大きい。
【0046】
図5および図6に模式的に示すように、光源部100Aに設けられる複数の透光層40Aのそれぞれは、平面視において、対応する発光素子20の出射面(ここでは上面20a)を包含する大きさを有していればよい。透光層40Aの例えば下面40bは、発光素子20の上面20aと比較して100%以上300%以下の面積を有し得る。透光層40Aの上面40aが例えば正方形状を有する場合、その一辺の長さは、0.5mm程度であり得る。透光層40Aの中心は、好ましくは、対応する発光素子20の光軸L上に位置する。
【0047】
透光層40Aが、平面視において発光素子20の上面20aと同じか上面20aよりも大きな面積を有することにより、平面視において発光素子20から離れた位置により多くの光を到達させやすくなる。これにより、相対的に輝度の高くなりやすい各発光素子20の直上の領域と、たがいに隣接する2つの発光素子20間の領域との間に極端な輝度差が生じることを回避し、輝度の低下を抑制しながら、発光装置200Aの発光面における輝度ムラを抑制することが可能になる。
【0048】
図7は、発光素子の上方に位置する透光層の形状の他の例を示す。簡単のために、図7では、発光装置の光源部のうち、発光素子と、透光層と、光反射層とを取り出してこれらの断面を模式的に示している。
【0049】
図7に示す例において、透光層40Xの側面40cは、下面40bに垂直な平面に対して傾斜している。この例では、透光層40Xの上面40aは、下面40bよりも大きな面積を有する。すなわち、ここでは、透光層40Xは、逆錐台状(典型的には逆四角錐台状)の形状を有し、その側面40cは、断面視において、下面40bから上面に40aに近づくに従って発光素子20の光軸Lから離れるように傾斜している。
【0050】
断面視における透光層の側面40cの形状は、この例に限られず、断面視において発光素子20の光軸Lに平行な直線状であってもよい。また、断面視における側面40cの形状は、図1および図7に示すような直線状に限定されず、一部に曲線、屈曲、段差等を含む形状であってもよい。なお、後述の光反射層50Aの側面50cの断面視における形状についても同様のことがいえる。光反射層50Aの側面50cの断面視における形状は、発光素子20の光軸Lに平行な直線状に限定されず、発光素子20の光軸Lに対して傾斜した形状であってもよい。
【0051】
図7に示す例では、透光層40Xの下面40bは、発光素子20の上面20aよりも大きな面積を有する。換言すれば、透光層40Xの下面40bは、断面視において発光素子20よりも大きな幅を有している。しかしながら、透光層40Xの形状は、この例に限定されず、透光層40Xの下面40bが発光素子20の上面20aと概ね同じ面積を有していてもかまわない。
【0052】
(光反射層50A)
図1に示すように、複数の透光層40A上に、複数の光反射層50Aが配置される。ここでは、複数の光反射層50Aのそれぞれは、入射光の一部を透過し一部を反射する半遮光層の形で、対応する透光層40Aの上面40a上に設けられている。
【0053】
光反射層50Aは、光反射部材30Aと同様に、樹脂と、樹脂に分散した反射材の粒子である、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ケイ素等の酸化物の粒子とを含む材料から
形成され得る。光反射層50Aの母材には、アクリレート樹脂、エポキシ樹脂等を主成分とした光硬化性樹脂を用いることができる。酸化物の粒子の平均粒子径は、例えば0.05μm以上30μm以下程度である。光反射層50Aは、顔料、光吸収材、蛍光体等をさらに含んでいてもよい。光反射層50Aは、例えば50μm以上100μm以下の範囲の厚さを有する。本実施形態における光反射層50Aの厚さは、例えば50μm程度であり得る。
【0054】
発光素子20の出射面の上方に位置する透光層40A上に光反射層50Aを設けることにより、発光素子20から導入されて透光層40Aの上面40aに向かう光を光反射層50Aで反射させることができる。すなわち、光反射層50Aの上面50aから、発光素子20の光軸Lに対して傾斜の小さな方向に出射する光が低減される。また、光反射層50Aでの反射を利用して、発光素子20から透光層40Aに導入された光を透光層40A内部で効果的に拡散させることができる。透光層40A内部で拡散された光は、主に透光層40Aの側面40cから透光層40Aの外部に出射される。このように、本開示の実施形態では、発光素子20の出射面に透光層40Aを光学的に結合させ、さらに、透光層40A上に光反射層50Aを配置することによって、光反射層50Aで反射された光を発光装置200Aにおいて横方向に効果的に広げることを可能としている。すなわち、発光装置200Aを薄型としながらも、発光面における輝度ムラを抑制し得る。
【0055】
光反射層50Aが、平面視において透光層40Aと重なるような形状および配置を有することにより、発光装置200Aの発光面のうち発光素子20の直上の光量を抑制することができる。換言すれば、発光装置200Aの発光面のうち発光素子20の直上の領域の輝度が他の領域と比較して極端に高くなることを回避し得る。
【0056】
平面視において、複数の光反射層(例えば光反射層50A)は、複数の透光層40Aのうち対応する1つを包含する。ここで、光反射層が透光層を包含する態様は、透光層の上面40aの全体を連続して被覆するもの、および、透光層の上面40aを不連続に被覆するものを含む。例えば、複数の光反射層のそれぞれは、ドット状の光反射パターンの形で透光層の上面40aに形成されてもよい。この場合、透光層の上面40aの一部が光反射層から露出されることになる。
【0057】
図8は、透光層の上面40a上の光反射パターンの例を示す。図8に示す光反射層50Xは、ドット状の光反射パターンを有している。この例において、光反射層50Xは、それぞれがドット状に形成された複数の光反射部材の集合である。光反射層50X内における光反射パターンのドット密度(例えば、単位面積あたりに含まれるドットの数で表される数密度)は、光反射層50Xの外側から中心に向けて高くされ得る。
【0058】
ドット状の光反射パターンは、各光反射層における、反射材の粒子の分布によって規定されるパターンであるといってもよい。反射材の粒子は、発光素子20の配光角の絶対値が小さい領域(すなわち光軸Lからの傾きが小さい角度範囲)において、配光角の絶対値が大きい領域よりも高密度で分布し得る。このように、配光角の絶対値に応じて光透過率を変えることが可能であり、ドットの密度によって光の反射率または透過率を制御することができる。また、他の一例として、光反射層の膜厚を制御することにより、配光角の絶対値に応じて光透過率を変えることが可能である。発光素子20の配光角の絶対値が小さくなるにつれて、つまり、光反射層の外側から光軸Lに近づくにつれて、光反射層の膜厚を次第に大きくしてもよい。あるいは、光反射層に複数の開口部を設け、光軸Lから離れるにつれて開口率が高くなるようにしてもよい。
【0059】
図9は、本開示の他のある実施形態による発光装置の構造の一例を模式的に示す。図1に示す発光装置200Aと比較して、図9に示す発光装置200Bは、光源部100Aに
代えて光源部100Bを有している。光源部100Bは、透光層40A上に光反射層50Bを有する。
【0060】
図9に例示する構成において、光反射層50Bの幅は、透光層40Aの幅よりも大きい。透光層40Aの側面40cから光反射層50Bの側面50cまでの距離OH(図9中に矢印で示す)は、例えば50μm程度であり得る。
【0061】
例えば、光反射層50Bは、平面視において透光層40Aの上面40aよりも大きな面積を有する。光反射層50Bを透光層40A上に配置することにより、透光層40Aの特に側面40cから出射された光を、光反射層50Bと光反射部材30Aとの間で繰り返し反射させることが可能になる。これにより、透光層40Aの側面40cから出射された光を発光素子20からより離れた位置まで伝播させ得る。発光素子20からより離れた位置まで光が到達するようになる結果、Z方向に沿って見たときに、発光装置200Bの発光面のうち透光層40Aの直上の領域と、その周囲の領域との間の輝度差が緩和される。すなわち、輝度ムラ改善の効果が得られ、透光層40Aの直上の領域が点光源のように見えることを回避し得る。
【0062】
(光拡散層70)
図1および図9に示すように、本開示の実施形態による発光装置は、複数の光反射層(例えば光反射層50A)および光反射部材30Aの上方に位置する光拡散層70を有する。光拡散層70の下面70bは、複数の光反射層の上面50aの少なくとも一部に直接に接していてもよいし、複数の光反射層の上面50aから間隔をあけて光拡散層70が発光装置に設けられてもよい。
【0063】
光拡散層70は、透光層40Aの側面40cから透光層40Aの外部に出射されて光拡散層70に導入された光を内部で拡散させる。図1および図9に例示する構成において、光拡散層70は、複数の光反射層(例えば光反射層50A)の上面50aを覆うシート状の部材である。光拡散層70は、単層であってもよいし、複数のシートを含む積層構造を有していてもよい。光拡散層70の厚さは、例えば200μm程度であり得る。
【0064】
光拡散層70は、例えば、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリル樹脂、ポリエチレン樹脂等、可視光に対して吸収の少ない材料を母材として形成される。光を拡散させる構造は、光拡散層70の上面70aおよび下面70bの一方または両方に凹凸を設けたり、光拡散層70中に屈折率の異なる材料を分散させたりすることによって光拡散層70に付与できる。光拡散層70は、典型的には、光拡散材を含有する。光拡散材として、酸化ケイ素、酸化ジルコニウム、酸化チタン等の高屈折率材料の粒子(高屈折率微粒子)を用いることができる。光拡散層70の表面は、概ね平坦であってもよいし、微細な凹凸を有していてもよい。
【0065】
図1に示す発光装置200Aと同様に、図9に示す発光装置200Bも、光反射部材30Aの上面30aと光拡散層70の下面70bとの間に低屈折率層60Aを有する。この例においても、低屈折率層60Aとして空気層が発光装置200Bに配置されている。換言すると、発光装置200Aは、光反射部材30Aの上面30aと光拡散層70の下面70bとの間に空間GPを有している。
【0066】
透光層40Aおよび光反射層50Aの複数の組に占められた部分を除いて、光反射部材30Aと光拡散層70との間に低屈折率層60Aを配置することにより、低屈折率層60Aを導光層として機能させることができる。発光装置にこのような低屈折率層60Aを配置することにより、透光層40Aの側面40cから出射される光を光拡散層70と光反射部材30Aとの間において、より効果的に光が拡散させることができる。これにより、発
光装置の発光面のうち、隣接する2つの発光素子20の中間に位置する領域の輝度を向上させ、発光面における輝度ムラを抑制できる。また、光の取出し効率向上の効果も期待できる。
【0067】
空気層は、低屈折率層60Aの一例である。低屈折率層60Aとして、空気層に代えて、透光層40Aよりも低い屈折率を有する材料から形成された層を配置してもよい。例えば図10に示す発光装置200Cは、配線基板10上に光源部100Cを有している。図10に示すように、光源部100Cは、光反射部材30A上に位置する低屈折率層60Cを含んでいる。低屈折率層60Cは、透光層40Aの母材よりも低い屈折率を有する樹脂等の材料から形成され、少なくとも透光層40Aの側面40cを覆う。この例では、低屈折率層60Cは、光反射層50Aの側面50cをも覆っており、低屈折率層60Cの上面60aからは各光反射層50Aの上面50aが選択的に露出されている。
【0068】
(波長変換層80)
図1および図9に示すように、光拡散層70の上方には、波長変換層80が配置される。波長変換層80の下面80bは、光拡散層70の上面70aに接していてもよいし、波長変換層80の下面80bと光拡散層70の上面70aとの間に空間が介在していてもよい。ここでは、波長変換層80は、光拡散層70の上面70aに接して配置されている。
【0069】
波長変換層80は、典型的には、樹脂中に蛍光体の粒子が分散された材料から形成される。波長変換層80は、発光素子20から出射されて光拡散層70を透過した光の少なくとも一部を吸収し、発光素子20から発せられる光の波長とは異なる波長の光を発する。例えば、波長変換層80は、発光素子20からの青色光の一部を波長変換して黄色光を発する。このような構成によれば、波長変換層80を通過した青色光と、波長変換層80から発せられた黄色光との混色によって、白色光が得られる。波長変換層80の厚さは、例えば、100μm以上200μm以下の範囲であり得る。本開示の実施形態における波長変換層80の厚さは、例えば100μm程度であり得る。
【0070】
蛍光体等の粒子を分散させる母材としては、シリコーン樹脂、変性シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、変性エポキシ樹脂、ユリア樹脂、フェノール樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂もしくはフッ素樹脂、または、これらの樹脂の2種以上を含む樹脂を用いることができる。波長変換層80の材料に母材とは屈折率の異なる材料を分散させることにより、波長変換層80に光拡散の機能を付与してもよい。例えば、波長変換層80の母材に、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化亜鉛等の粒子を分散させてもよい。
【0071】
蛍光体には、公知の材料を適用することができる。蛍光体の例は、KSF系蛍光体等のフッ化物系蛍光体、CASN等の窒化物系蛍光体、YAG系蛍光体、βサイアロン蛍光体等である。YAG系蛍光体は、青色光を黄色光に変換する蛍光体の例であり、KSF系蛍光体およびCASNは、青色光を赤色光に変換する蛍光体の例であり、βサイアロン蛍光体は、青色光を緑色光に変換する蛍光体の例である。
【0072】
波長変換層80の母材に分散される蛍光体は、量子ドット蛍光体であってもよい。本開示の典型的な実施形態では、複数の発光素子20の上方に、これらを一括して覆う蛍光体層の形で波長変換層80が設けられる。そのため、蛍光体を含有する部材を複数の発光素子20のそれぞれ毎の上方に個別に配置する構成と比較して、量子ドット蛍光体等の高機能の材料を適用しやすいという利点が得られる。
【0073】
波長変換層80は、例えば青色光を、赤色光および緑色光にそれぞれ変換する複数種の蛍光体を含有し得る。その場合において、発光装置は、発光素子20から発せられる青色光を波長変換層80に入射させることにより、赤、青、緑の光を混合して白色光を出射し
てもよい。
【0074】
上述した、光拡散層70および波長変換層80の積層構造によれば、低屈折率層(低屈折率層60Aまたは60C)に導入された光を先ず光拡散層70内で拡散させてから波長変換層80に入射させることができる。これにより、輝度ムラを低減し、輝度をよりいっそう均一化できる利点が得られる。
【0075】
図11は、本開示のさらに他のある実施形態による発光装置の構造の一例を模式的に示す。図1に示す発光装置200Aと比較して、図11に示す発光装置200Dは、光源部100Aに代えて光源部100Dを有する。光源部100Dは、1以上の凸部30wを有する光反射部材30Dを含む。
【0076】
図11に例示するように、凸部30wは、光反射部材30Dの上面30a上であって、互いに隣接する2つの発光素子20の間の位置に配置される。図11に示す凸部30wは、図中のY方向に沿って延びる壁状の構造であり得る。
【0077】
図12は、凸部30wの配置の一例を模式的に示す。図面が過度に複雑になることを避けるために、ここでは、光源部100Dが、18行18列の単位領域URの配列を有する場合の凸部30wの配置の一例を示している。図12に例示する構成において、光反射部材30Dは、それぞれが直線状の複数の凸部30wを含んでいる。これら凸部30wのそれぞれは、2次元に配列された単位領域URのうち互いに隣接する2つの単位領域間にX方向またはY方向に沿って延びている。換言すれば、光反射部材30Dは、光拡散層70に向かって突出する格子状の構造を上面30aに有している。各凸部30wの上面視における幅は、例えば220μm程度である。
【0078】
図12に例示するように、これら複数の凸部30wは、平面視において複数の発光素子20のそれぞれを囲むように光反射部材30Dの上面30a上に設けられ得る。この場合、複数の凸部30wは、それぞれが複数の発光素子20のうちの1つを含む単位領域URを規定するといえる。ここでは、平面視における単位領域URの形状は、矩形である。
【0079】
凸部30wは、例えば光反射部材30Dの材料と共通の材料から形成されることにより、光反射性を有する。すなわち、凸部30wは、互いに隣接する2つの単位領域URの一方の単位領域UR中の発光素子20から発せられた光が他方の単位領域UR内に入射することを抑制する機能を有する。各単位領域URの発光素子20を取り囲むように凸部30wを形成することにより、例えば、発光素子20を点灯状態とした単位領域URから、その単位領域URに隣接する他の単位領域URへの光の進入を抑制し得る。つまり、波長変換層80の上面80aにおいて、発光素子20を点灯状態とした単位領域URの直上の領域と、発光素子20を消灯状態とした単位領域URの上方の領域との間のコントラスト比を向上させ得る。隣接する単位領域UR間のコントラスト比の向上は、ローカルディミングの適用において有利に働くことがあり得る。
【0080】
光反射部材30Dの上面30aを基準としたときの凸部30wの頂部(凸部30wのうち最も高い部分)までの距離は、光反射部材30Dの上面30aから光拡散層70の下面70bまでの距離の例えば50%以上100%以下の範囲である。互いに隣接する2つの単位領域URの間におけるコントラスト比の向上の観点からは、頂部が光拡散層70の下面70bに達するように凸部30wを形成すると有利である。
【0081】
図12に示す例において、複数の凸部30wのそれぞれは、X方向またはY方向に沿って光源部100Dの一端から他端まで連続的に直線状に延びている。これに対し、図13に例示する構成では、2次元に配列された複数の単位領域URのうち最外周に位置する単
位領域以外の単位領域の1つに注目すると、その単位領域に含まれる発光素子20を取り囲むように4つの凸部30wが配置されている。単位領域URの2次元配列において最外周に位置する単位領域は、平面視において、発光素子20よりも外側に凸部30wを有していてもよく、凸部30wの形成されていない領域を外縁に有していてもよい。
【0082】
図14および図15は、凸部30wの断面形状の他の例を示す。凸部30wの断面視における形状は、図11に例示するような三角形とすることができ、あるいは、図14に示すような台形であってもよい。凸部30wの側面は、光反射部材30Dの上面30aに対して垂直であってもよい。換言すれば、凸部30wの断面形状は、矩形であってもよい。凸部30wの形状を規定する1以上の側面の形状は、平面状に限定されず、曲面を含む形状であってもよい。例えば、凸部30wの断面形状は、図15に示すような半円形であってもよい。凸部30wの断面形状は、半楕円形、不定形等であってもよい。凸部30wの表面の断面視における形状も、直線状または円弧状に限定されず、任意の曲線状、または、段差もしくは屈曲を含むような形状であってもよい。
【0083】
凸部30wは、光反射部材30Dの一部であってもよい。あるいは、凸部30wは、光反射部材30Dと同一の材料または光反射部材30Dとは異なる材料から形成された部材を光反射部材30Dの上面30aに接合することにより光源部100Dに設けられてもよい。凸部30wが、光反射部材30Dとは別の部材が上面30aに配置されることにより形成される場合、光源部100Dの断面において、光反射部材30Dの上面30aと凸部30wとの間に明確な境界があってもよく、明確な境界がなくてもよい。凸部30wが覆われるように光反射部材30Dの上面30aと光拡散層70の下面70bとの間に低屈折率層60Cを配置してもよい。
【0084】
凸部30wを配置することに代えて、低屈折率層60Cの上面60aおよび下面60b(図10参照)の一方または両方に、V溝等の溝部を形成してもよい。あるいは、低屈折率層60Cのうち、平面視において隣接する2つの発光素子20の間の領域における濃度が相対的に高くなるように、低屈折率層60C中に光拡散材を分散させておいてもよい。低屈折率層60Cに設けた溝部の内部に光反射性の材料を配置してもよい。このような構成によっても、互いに離接する2つの単位領域URの間での光の漏れを抑制でき、単位領域UR間のコントラスト比向上の効果が期待できる。
【0085】
図16は、本開示のさらに他のある実施形態に係る発光装置を示す。図1を参照しながら説明した構成と比較して、図16に示す発光装置200Eは、配線基板10の配線層に電気的に接続された回路素子であって、発光素子20とは異なる回路素子をさらに有している。この例では、発光素子20とともに回路素子25が配線基板10に実装されており、回路素子25は、その全体が光反射部材30Aに覆われている。換言すれば、発光装置200Eの光源部100Eは、その全体が光反射部材30Aの内部に埋め込まれた回路素子25を含んでいる。
【0086】
回路素子25は、例えば、2以上の発光素子20に接続されるドライバ、または、ツェナーダイオード等の保護素子であり得る。回路素子25として保護素子を配線基板10に配置する場合、回路素子25は、各単位領域URの発光素子20に電気的に直列または並列に接続され得る。換言すれば、回路素子25は、それぞれが発光素子20を含む単位領域URごとに配線基板10に実装され得る。
【0087】
発光素子20だけでなく複数の発光素子20を駆動するドライバのような回路素子を配線基板10に実装することにより、コネクタ18に接続される外部の制御回路の構造を簡略化し得る。また、配線基板10上の回路素子25を例えば光源部100Eの光反射部材30Aに埋め込むことにより、発光素子20から出射された光の回路素子25による吸収
を回避でき、回路素子25を配線基板10に実装したことに起因して光の利用効率が低下することを回避できる。
【0088】
図17は、本開示のさらに他のある実施形態による発光装置の構造の一例を模式的に示す。図1に示す発光装置200Aと比較して、図17に示す発光装置200Fは、光源部100Aに代えて光源部100Fを有する。図1に示す光源部100Aと、図17に示す光源部100Fとの間の主な相違点は、光源部100Fが、複数の貫通孔32を有するシート状の光反射部材30Fと、貫通孔32内部に配置された封止部材34とを光反射部材30Aに代えて含む点である。
【0089】
後述するように、光反射部材30Aは、配線基板10上に付与された樹脂材料を硬化させることによって形成される。これに対し、図17に示す光反射部材30Fは、光反射性の樹脂シートを配線基板10上に配置することにより得られる。光反射部材30Fの材料としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)等の母材中に光反射性のフィラーを分散させた樹脂材料を適用できる。光反射部材30Fの母材中に、例えば酸化チタンの粒子を光拡散材としては分散させてもよい。母材中に光拡散材を分散させることに代えて、多数の気泡を含有する白色のポリエチレンテレフタレートのシートを得て、このシートを光反射部材30Fとして用いてもよい。樹脂シートを光反射部材30Fに適用した場合、光反射部材30Fの上面30aは、基本的に平坦面である。
【0090】
光反射部材30Fの貫通孔32は、配線基板10上の複数の発光素子20と対応する位置に設けられる。図16に示す例のように配線基板10上に回路素子25を配置する場合、光反射部材30Fは、回路素子25に対応した位置にも貫通孔32を有し得る。
【0091】
封止部材34を形成するための材料は、透光層40A等の材料と同様の透光性の樹脂材料であってもよいし、光反射層50A等の材料と同様の光反射性の樹脂材料であってもよい。封止部材34の一部は、発光素子20の下面20bと配線基板10の上面10aの間の隙間に位置していてもよい。
【0092】
図18は、本開示のさらに他のある実施形態に係る面状光源を示す。図18に示す面状光源300Aは、上述の発光装置200A~200Fのいずれかと、透光積層体90とを有する。図18に例示する構成において、透光積層体90は、拡散板93と、プリズムアレイ層91および92とを有する。透光積層体90の形状は、平面視において例えば矩形である。図18は、図1に示される断面構造を有する発光装置200A上に透光積層体90を積層して得られる面状光源300Aの断面構造を例示している。
【0093】
(拡散板93)
透光積層体90中の拡散板93は、光拡散層70および波長変換層80の上方に配置される。この例では、拡散板93は、プリズムアレイ層91および92よりも波長変換層80の近くに位置する。拡散板93は、波長変換層80の上面80aから間隔をあけて面状光源300Aに設けられてもよいし、上面80aの少なくとも一部に直接に接していてもよい。
【0094】
拡散板93は、光拡散層70と同様に、入射する光を拡散させ、透過させる。光を拡散させる構造は、拡散板93の表面に凹凸を設けたり、拡散板93中に屈折率の異なる材料を分散させたりすることによって拡散板93に設けられる。拡散板93の母材の例は、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリル樹脂、ポリエチレン樹脂等、可視光に対して光吸収の少ない材料である。拡散板93として、光拡散シート、ディフューザーフィルム等の名称で市販されている光学シートを利用してもよい。本実施形態では、光源部100Aにより近い位置に光拡散層70が配置されているので、より簡易な構造の拡散板
93を透光積層体90に適用できる。拡散板93の厚さは、例えば約0.443mmである。
【0095】
(プリズムアレイ層91、92)
プリズムアレイ層91および92は、拡散板93の上方に位置する。プリズムアレイ層91および92のそれぞれは、それぞれが所定の方向に延びる複数のプリズムが配列された構造を有する。例えば、プリズムアレイ層91は、それぞれがY方向に延びる複数のプリズムを有し、プリズムアレイ層92は、それぞれがX方向に延びる複数のプリズムを有する。
【0096】
プリズムアレイ層91、92は、種々の方向から入射する光を、発光装置200Aに対向して配置される表示パネル(不図示)に向かう方向(図中の+Z方向)に屈折させる。これにより、面状光源300Aの発光面である透光積層体90の上面90aから出射する光が主として上面90aに垂直(Z軸に平行)な成分を多く含むこととなる結果、面状光源300Aを正面(Z方向)から見た場合の輝度を高めることができる。
【0097】
プリズムアレイ層91、92として、市販されている、バックライト用の光学部材を広く利用できる。透光積層体90のプリズムアレイ層91としては、例えば、3M社製のプリズムフィルム(型番:BEF4 DML)を用いることができ、プリズムアレイ層92としては、3M社製のプリズムフィルム(型番:TBEF2 DT LS)を用いることができる。
【0098】
プリズムアレイ層91、92の厚さは、それぞれ、例えば0.07mm、0.09mm程度であり得る。以下、本明細書では、プリズムアレイ層91および92を積層した構造を「プリズムシート」と呼ぶことがある。プリズムシートとして、例えば3M社の高度構造光学複合体(ASOC)を用いることができる。プリズムシートの厚さは、0.08mm程度であり得る。すなわち、プリズムシートの厚さは、2枚のプリズムアレイ層を単純に積層した場合の厚さの半分程度であり得る。このようなプリズムシートの採用により、面状光源300Aをいっそう薄型化することが可能となる。そのような薄型の面状光源300Aは、スマートフォン等の用途に特に有用である。プリズムシートは、拡散板93に直接に接していてもよいし、拡散板93から間隔をあけて透光積層体90に設けられてもよい。
【0099】
面状光源300Aは、プリズムアレイ層92の上方に位置する反射型偏光層(不図示)をさらに有し得る。反射型偏光層は、例えば液晶表示パネルのバックライト側に配置された偏光板の偏光方向に一致する偏光方向の光を選択的に透過し、その偏光方向に垂直な方向の偏光をプリズムアレイ層91、92側へ反射させる。反射型偏光層から戻ってきた偏光の一部は、プリズムアレイ層91、92および拡散板93で再度反射する際に偏光方向が変化し、液晶表示パネルの偏光板の偏光方向を有する偏光に変換され、再び反射型偏光層に入射し、表示パネルへ出射する。これにより、発光装置200Aから出射する光の偏光方向を揃え、表示パネルの輝度向上に有効な偏光方向の光を高効率で得られる。
【0100】
近年、ビデオゲーム機、スマートフォン等の市場において要求される発光装置の厚さに関する仕様は、2.0mm未満であり、例えば1.5mm以上1.65mm以下という非常に厳しい仕様が要求されることがある。本開示の実施形態に係る発光装置は、その要求を十分に満足し得る。さらに、複数の発光素子20のそれぞれの直上に、透光層および光反射層の積層体が位置することにより、発光装置の発光面から出射される光の輝度ムラを効果的に抑制することが可能となる。
【0101】
図19は、図2に示されるI-I線に沿って切断した場合における面状光源300Aの
断面構造のうちの光源部100Aの縁の部分を模式的に示す。図19に例示する構成において、配線基板10および光源部100Aは、それらの周囲を覆うテープ15によって固定されている。テープ15の一部は、光源部100Aの波長変換層80の上面80aの縁に沿って枠状に形成されている。テープ15のうち波長変換層80の上面80a上に位置する部分は、接着層として機能し、その接着層により、透光積層体90の周囲を囲む矩形の枠95が発光装置200A上に固定される。この例では、枠95と透光積層体90との境界線90sに沿って、枠状のテープ17が枠95の上面と透光積層体90の上面90aとにまたがって設けられている。テープ15、17として、例えば日東電工社製の両面テープ(型番:No.5606BN)を用いることができる。
【0102】
テープおよび枠を利用したこのような組立てによれば、光源部100Aおよび透光積層体90を配線基板10の所定の位置に固定するための部材を配置するスペースを配線基板10から省略し得る。そのため、光源部100Aを配置するための領域を配線基板10の外縁付近まで拡大することが可能となる。このように、配線基板10上の領域を最大限に利用して光源部100Aを配線基板10上に配置することが可能となる。
【0103】
[2.発光装置200Aの製造方法]
次に、図面を参照しながら、本開示の実施形態による発光装置および面状光源の例示的な製造方法を説明する。以下では、図1に示す発光装置200Aおよび図18に示す面状光源300Aを例にとり、これらの製造方法の概略を説明する。
【0104】
まず、配線基板10としてのFPCと、複数の発光素子20とを準備する。次に、図20に示すように、配線基板10に発光素子20を実装する。配線基板10に対する発光素子20の接合の強度を高める観点から、発光素子20の下面20bと配線基板10の上面10aとの間の空間を樹脂材料で充填してもよい。
【0105】
次に、発光素子20が実装された状態の配線基板10を型枠内に配置し、例えばポッティングにより、光硬化樹脂材料を型枠内に注入する。配線基板10上に付与された樹脂材料を紫外線で照射して硬化させることにより、図21に示すように、複数の発光素子20のそれぞれの側面20cを覆う光反射部材30Aを形成できる。このとき、例えば、樹脂材料の硬化に伴うひけにより、光反射部材30Aの上面30aに1以上の凹面が形成され得る。上面30aが凹面を含む場合、光拡散層70と光反射部材30Aと間における反射の回数が増大することにより、光の取出し効率が向上することがあり得る。
【0106】
図1を参照しながら説明したように、発光装置200Aは、透光層40Aおよび光反射層50Aの積層体を各発光素子20の上方に有している。ここでは、透光層40Aおよび光反射層50Aを発光素子20の上方に配置する前のいずれかの段階で、それぞれが光反射層と光反射層上の透光層とを有する複数のシート片を準備する。シート片は、例えば購入により準備できる。あるいは、以下に例示する工程の一部または全部を実行することにより準備してもよい。
【0107】
例えば、光反射層上に透光層を積層したシート状の積層体を準備する。まず、樹脂中に反射材の粒子が分散された材料を型枠内に注入して硬化させることにより、シート状の光反射層を得る。次に、光反射層上に透光層の材料を塗布して硬化させることにより、シート状の積層体を得る。その積層体を切断して例えば0.8mm角のサイズに個片化することにより、上述の複数のシート片が得られる。
【0108】
光反射部材30Aの形成後、例えば、複数の発光素子20のそれぞれの上面20aに接着材を塗布し、図22に示すように、各上面20aにシート片を貼付する。接着材が塗布された上面20a上へのシート片の配置には、例えばダイボンディング装置(ダイボンダ
)を適用できる。このとき、ダイボンディング装置は、シート片の中心が発光素子20の光軸L上に位置するようにアライメントを行う。
【0109】
このようにして、複数の発光素子20の直上に、複数の透光層40Aおよび複数の光反射層50Aの積層構造を形成することができる。図22に示すように、光源部100Aは、発光素子20の上面20aと透光層40Aとの間に位置する接着層45を有し得る。
【0110】
次に、光源部100Aの上方に光拡散層70と波長変換層80とを配置する。光拡散層70および波長変換層80は、配線基板10上に配置された枠、配線基板10を収容する筐体等によって光源部100Aの上方に支持され得る。これにより、光拡散層70と光反射部材30Aとの間に位置する低屈折率層60Aを形成できる。上記の工程を経て、図1に示す発光装置200Aが得られる。なお、光反射層および透光層を含むシート状の積層体を切断によって複数のシート片に個片化する際に用いる工具の刃先の形状の選択により、例えば、図7に示すような、側面40cが傾斜した形状の透光層40Xを含むシート片を得ることができる。
【0111】
それぞれが透光層40Aおよび光反射層50Aを含む複数の積層構造の配置後に、これら積層構造を覆う低屈折率層60Cを形成してもよい。例えば、複数の積層構造の配置後、光拡散層70および波長変換層80の配置の前に、複数の積層構造が覆われるようにして光反射部材30Aの上面30aに透光性の樹脂材料を付与する。光反射部材30A上に付与する樹脂材料の母材には、積層構造に含まれる透光層の母材よりも低い屈折率を有する材料を選択する。樹脂材料の硬化により、図23に示すように、複数の積層構造を一括して覆う低屈折率部材60を形成できる。その後、積層構造に含まれる光反射層の上面50aが露出されるまで低屈折率部材60の上面側から低屈折率部材60を研削することにより、低屈折率部材60から、各積層構造の側面を覆う低屈折率層60Cを形成できる。低屈折率層60Cが覆われるように光拡散層70および波長変換層80を配置することにより、図10に示す発光装置200Cを得ることができる。
【0112】
光反射部材30Aの形成前に配線基板10に回路素子25を実装することにより、図16に例示する発光装置200Eが得られる。また、光反射部材30Aの材料の硬化後、硬化された材料の表面に光反射部材30Aの材料をディスペンサ等で例えば線状にさらに付与して硬化させることにより、図11等に例示した、凸部30wを有する光反射部材30Dを形成可能である。あるいは、例えば格子状に形成した光反射性の樹脂部材を光反射部材30Aの上面30a上に接合することにより、上面30aに凸部30wを形成してもよい。
【0113】
複数の発光素子20のそれぞれの上面20aに積層構造のシート片を貼付することに代えて、上面20aに透光層40Aを配置した後、透光層40A上に光反射層50Aを配置してもよい。接着材等により各発光素子20の上面20aに透光層40Aを接合した後、透光層40Aの上面40aに光反射性の樹脂材料を塗布して硬化させたり、光反射層の樹脂材料から形成された樹脂シート片を透光層40Aの上面40aに貼付したりすることにより、透光層40Aおよび光反射層50Aの積層体を発光素子20の上方に配置した場合と同様の構造が得られる。透光層40Aの上面40aよりも大きな面積を有する光反射層50Bを透光層40A上に配置することにより、図9に示すような、透光層40Aの上面40aからはみ出す形状の光反射層50Bを含む光源部100Bを形成できる。
【0114】
必要に応じ、拡散板等の光学部材を波長変換層80の上方に配置する。例えば、図19に示すように、配線基板10および発光装置200Aの周囲をテープ15で覆う。このとき、発光装置200Aの波長変換層80の縁に沿ってテープ15の一部を波長変換層80の上面80a上に配置する。これにより、波長変換層80の上面80aに枠状の接着層を
形成できる。次に、この接着層によって発光装置200Aの上に枠95を固定する。
【0115】
次に、発光装置200Aの波長変換層80の上方に透光積層体90を配置して枠95によって透光積層体90を発光装置200Aに固定する。その後、透光積層体90の上面側に現れた、枠95と透光積層体90との境界線90sに沿って、枠状のテープ17を貼付する。枠95を利用した固定に代えて、レーザ溶着によって波長変換層80の上方に透光積層体90を固定してもよい。上記の工程を経て、図18に示す面状光源300Aが得られる。
【0116】
配線基板10上に付与された樹脂材料を硬化させることによって光反射部材30Aを形成することに代えて、配線基板10上に樹脂シート等を配置することにより、光反射部材30Fを有する光源部100F(図17参照)を得てもよい。例えば、配線基板10への発光素子20の実装後、図24に例示するように、配線基板10上の複数の発光素子20と対応する位置に貫通孔32が設けられた樹脂シートを接着シート等によって配線基板10上に配置してもよい。これにより、複数の発光素子20と対応する位置に貫通孔32を有する光反射部材30Fを配線基板10上に配置することができる。
【0117】
複数の貫通孔32を有する樹脂シートは、購入により準備できる。あるいは、樹脂シートを作製または購入した後、貫通孔32を形成することにより、光反射部材30Fを形成するための樹脂シートを準備してもよい。貫通孔32の形成方法に特に限定はない。例えばパンチングによって樹脂シートに複数の貫通孔32を形成することにより、所望の位置に貫通孔32が設けられた光反射部材30Fを得ることができる。なお、配線基板10上に回路素子25を配置する場合には、回路素子25に対応した位置にも貫通孔32を形成しておけばよい。
【0118】
必要に応じ、図25に示すように、各貫通孔32の内部を樹脂材料で充填する。その後、貫通孔32内の樹脂材料を硬化させることにより、貫通孔32内に封止部材34を形成できる。ここでは、封止部材34の上面34aは、発光素子20の上面20aに整合させられている。なお、樹脂シートを利用して配線基板10上の各発光素子20の側面を覆う光反射部材を形成する場合、配線基板10上の光反射部材の全体を、樹脂シートと、樹脂シートに設けられた貫通孔32内に配置された樹脂材料とから形成することは、必須ではない。上述の光反射部材30Aまたは30Dの一部を、樹脂シートと、貫通孔32内の封止部材34とに置き換えてもよい。
【0119】
光反射部材30Fの上面30aは、基本的に平坦面である。換言すれば、光反射部材30Fの上面30aは、基本的に凹部を有しない。樹脂シート上に樹脂材料を線状に付与して樹脂材料を硬化させたり、線状あるいは格子状の樹脂部材を樹脂シート上に接合したりすることにより、光反射部材30Fの上面30a側に、平面視において発光素子20を取り囲む形状の凸部30wを形成することが可能である。
【0120】
封止部材34の形成後、図26に示すように、各発光素子20の上方に透光層40Aおよび光反射層50Aを配置する。このとき、透光層40Aは、封止部材34を覆うように発光素子20の上面20aの上方に形成されてもよい。また、発光素子20と透光層40Aとの間に接着層45が介在されてもよい。次に、光源部100Fの上方に光拡散層70と波長変換層80とを配置する。以上の工程により、図17に示す発光装置200Fが得られる。必要に応じ、発光装置200Fの波長変換層80の上方にさらに透光積層体90を配置してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0121】
本開示の発光装置および面状光源は、液晶ディスプレイのバックライト光源、各種照明
器具等に利用できる。
【符号の説明】
【0122】
10 配線基板
11 配線基板の絶縁部
12a 配線基板の第1配線層
12b 配線基板の第2配線層
15、17 テープ
20 発光素子
25 回路素子
30A~30D、30F 光反射部材
30w 光反射部材の凸部
32 貫通孔
40A、40X 透光層
45 接着層
50A、50B、50X 光反射層
60A、60C 低屈折率層
70 光拡散層
80 波長変換層
90 透光積層体
91、92 プリズムアレイ層
93 拡散板
95 枠
100A~100F 光源部
200A~200F 発光装置
300A 面状光源
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26