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特開2023-101192光導波路搭載基板、光通信装置、及び光導波路搭載基板の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023101192
(43)【公開日】2023-07-20
(54)【発明の名称】光導波路搭載基板、光通信装置、及び光導波路搭載基板の製造方法
(51)【国際特許分類】
   G02B 6/12 20060101AFI20230712BHJP
   G02B 6/13 20060101ALI20230712BHJP
【FI】
G02B6/12 301
G02B6/13
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022001649
(22)【出願日】2022-01-07
(71)【出願人】
【識別番号】000190688
【氏名又は名称】新光電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】山本 和尚
【テーマコード(参考)】
2H147
【Fターム(参考)】
2H147AB04
2H147CA05
2H147CB01
2H147CB06
2H147EA10D
2H147EA16A
2H147EA16B
2H147EA17A
2H147EA17B
2H147EA19A
2H147EA19B
2H147EA20A
2H147EA20B
2H147FB04
2H147GA17
(57)【要約】      (修正有)
【課題】金属膜が剥離しにくい構造の光導波路を搭載する光導波路搭載基板を提供する。
【解決手段】光導波路搭載基板1は、配線基板10上上に形成された光導波路30を有し、光導波路は、第1クラッド層31と、第1クラッド層の上面に対して傾斜する傾斜面35Aを備えた第1金属膜形成用突起部35と、傾斜面に形成された第1金属膜を被覆するように記第1クラッド層の上面に形成されたコア層32と、上面及び両側面を覆うように、第1クラッド層の上面に形成された第2クラッド層33と、コア層及び第1金属膜形成用突起部と離隔するように、第1クラッド層の上面に平面視で前記コア層を挟んで形成された、第1クラッド層の上面から突起する一対の第1突起部38と、を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
配線基板と、
前記配線基板上に形成された光導波路と、を有し、
前記光導波路は、
第1クラッド層と、
前記第1クラッド層の上面に形成された、前記第1クラッド層の上面に対して傾斜する傾斜面を備えた第1金属膜形成用突起部と、
前記第1金属膜形成用突起部の少なくとも前記傾斜面に形成された第1金属膜と、
前記第1金属膜の一部を被覆するように、前記第1クラッド層の上面に形成されたコア層と、
前記コア層の少なくとも上面及び両側面を覆うように、前記第1クラッド層の上面に形成された第2クラッド層と、
前記コア層及び前記第1金属膜形成用突起部と離隔するように、前記第1クラッド層の上面に平面視で前記コア層を挟んで形成された、前記第1クラッド層の上面から突起する一対の第1突起部と、を有し、
前記コア層と前記第1突起部は、感光性の樹脂により形成され、
前記第1金属膜形成用突起部は、平面視において、前記コア層と重複する第1中央部と、前記第1中央部から延伸して前記コア層の一方の側面からはみ出る第1拡幅部と、前記第1中央部から延伸して前記コア層の他方の側面からはみ出る第2拡幅部と、を備え、
前記コア層の端面に垂直な方向から前記第1金属膜を視たときに、前記コア層は前記第1中央部に形成された前記第1金属膜と重複し、一方の前記第1突起部は前記第1拡幅部に形成された前記第1金属膜と重複する部分を有し、他方の前記第1突起部は前記第2拡幅部に形成された前記第1金属膜と重複する部分を有する、光導波路搭載基板。
【請求項2】
前記第1クラッド層の上面を基準として、前記コア層の高さと前記第1突起部の高さは同一である、請求項1に記載の光導波路搭載基板。
【請求項3】
前記コア層と前記第1突起部は、同一の材料から形成されている、請求項1又は2に記載の光導波路搭載基板。
【請求項4】
一方の前記第1突起部は、平面視において、前記第1拡幅部の外縁の一部に沿って形成され、
他方の前記第1突起部は、平面視において、前記第2拡幅部の外縁の一部に沿って形成されている、請求項1乃至3の何れか一項に記載の光導波路搭載基板。
【請求項5】
前記第1拡幅部及び前記第2拡幅部は、平面視において矩形であり、
一方の前記第1突起部は、平面視において、前記第1拡幅部の矩形の2辺と対向する部分を有し、
他方の前記第1突起部は、平面視において、前記第2拡幅部の矩形の2辺と対向する部分を有する、請求項1乃至4の何れか一項に記載の光導波路搭載基板。
【請求項6】
一方の前記第1突起部は、平面視において、前記第1拡幅部の矩形の3辺と対向する部分を有し、
他方の前記第1突起部は、平面視において、前記第2拡幅部の矩形の3辺と対向する部分を有する、請求項5に記載の光導波路搭載基板。
【請求項7】
前記第1クラッド層の上面に形成された、前記第1クラッド層の上面に対して傾斜する傾斜面を備えた第2金属膜形成用突起部と、
前記第2金属膜形成用突起部の少なくとも前記傾斜面に形成された第2金属膜と、
前記コア層及び前記第2金属膜形成用突起部と離隔するように、前記第1クラッド層の上面に平面視で前記コア層を挟んで形成された、前記第1クラッド層の上面から突起する一対の第2突起部と、を有し、
前記第2突起部は、感光性の樹脂により形成され、
前記第2金属膜形成用突起部は、平面視において、前記コア層と重複する第2中央部と、前記第2中央部から延伸して前記コア層の一方の側面からはみ出る第3拡幅部と、前記第2中央部から延伸して前記コア層の他方の側面からはみ出る第4拡幅部と、を備え、
前記コア層の端面に垂直な方向から前記第2金属膜を視たときに、前記コア層は前記第2中央部に形成された前記第2金属膜と重複し、一方の前記第2突起部は前記第3拡幅部に形成された前記第2金属膜と重複する部分を有し、他方の前記第2突起部は前記第4拡幅部に形成された前記第2金属膜と重複する部分を有する、請求項1乃至6の何れか一項に記載の光導波路搭載基板。
【請求項8】
前記コア層と前記第1突起部と前記第2突起部は、同一の材料から形成され、
前記第2突起部は、前記第1突起部と同一の形状である、請求項7に記載の光導波路搭載基板。
【請求項9】
請求項1乃至8の何れか一項に記載の光導波路搭載基板と、
前記光導波路に光を出射する発光素子若しくは前記光導波路から出た光を入射する受光素子又はこれらの両方と、を有する、光通信装置。
【請求項10】
配線基板上に第1クラッド層を形成する工程と、
前記第1クラッド層の上面に、前記第1クラッド層の上面に対して傾斜する傾斜面を備えた第1金属膜形成用突起部を形成する工程と、
前記第1金属膜形成用突起部の少なくとも前記傾斜面に第1金属膜を形成する工程と、
前記第1金属膜の一部を被覆するように、前記第1クラッド層の上面に感光性の樹脂によりコア層を形成する工程と、
前記コア層及び前記第1金属膜形成用突起部と離隔するように、前記第1クラッド層の上面に平面視で前記コア層を挟んで、前記第1クラッド層の上面から突起する一対の第1突起部を感光性の樹脂により形成する工程と、を有し、
前記第1金属膜形成用突起部は、平面視において、前記コア層と重複する第1中央部と、前記第1中央部から延伸して前記コア層の一方の側面からはみ出る第1拡幅部と、前記第1中央部から延伸して前記コア層の他方の側面からはみ出る第2拡幅部と、を備え、
前記コア層の端面に垂直な方向から前記第1金属膜を視たときに、前記コア層は前記第1中央部に形成された前記第1金属膜と重複し、一方の前記第1突起部は前記第1拡幅部に形成された前記第1金属膜と重複する部分を有し、他方の前記第1突起部は前記第2拡幅部に形成された前記第1金属膜と重複する部分を有し、
前記コア層と前記第1突起部は、同一のマスクを用いて露光及び現像をすることにより形成される、光導波路搭載基板の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光導波路搭載基板、光通信装置、及び光導波路搭載基板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
第1クラッド層と第2クラッド層によりコア層を挟持した光導波路を搭載する光導波路搭載基板において、コア層の光伝搬方向に対して略45度傾斜した傾斜面を形成し、傾斜面に金属膜を設ける技術が知られている。この光導波路において、コア層等は感光性の樹脂を露光及び現像することで形成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009-69668号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記の光導波路搭載基板において、コア層の露光及び現像は金属膜を形成後に行われる。そのため、コア層を現像する際の現像液により金属膜が剥離する問題があった。
【0005】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、金属膜が剥離しにくい構造の光導波路を搭載する光導波路搭載基板を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本光導波路搭載基板は、配線基板と、前記配線基板上に形成された光導波路と、を有し、前記光導波路は、第1クラッド層と、前記第1クラッド層の上面に形成された、前記第1クラッド層の上面に対して傾斜する傾斜面を備えた第1金属膜形成用突起部と、前記第1金属膜形成用突起部の少なくとも前記傾斜面に形成された第1金属膜と、前記第1金属膜の一部を被覆するように、前記第1クラッド層の上面に形成されたコア層と、前記コア層の少なくとも上面及び両側面を覆うように、前記第1クラッド層の上面に形成された第2クラッド層と、前記コア層及び前記第1金属膜形成用突起部と離隔するように、前記第1クラッド層の上面に平面視で前記コア層を挟んで形成された、前記第1クラッド層の上面から突起する一対の第1突起部と、を有し、前記コア層と前記第1突起部は、感光性の樹脂により形成され、前記第1金属膜形成用突起部は、平面視において、前記コア層と重複する第1中央部と、前記第1中央部から延伸して前記コア層の一方の側面からはみ出る第1拡幅部と、前記第1中央部から延伸して前記コア層の他方の側面からはみ出る第2拡幅部と、を備え、前記コア層の端面に垂直な方向から前記第1金属膜を視たときに、前記コア層は前記第1中央部に形成された前記第1金属膜と重複し、一方の前記第1突起部は前記第1拡幅部に形成された前記第1金属膜と重複する部分を有し、他方の前記第1突起部は前記第2拡幅部に形成された前記第1金属膜と重複する部分を有する。
【発明の効果】
【0007】
開示の技術によれば、金属膜が剥離しにくい構造の光導波路を搭載する光導波路搭載基板を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1実施形態に係る光導波路搭載基板の構造を例示する図である。
図2】第1及び第2金属膜形成用突起部とその近傍の部分拡大平面図である。
図3】第1実施形態に係る光導波路搭載基板の製造工程を例示する図(その1)である。
図4】第1実施形態に係る光導波路搭載基板の製造工程を例示する図(その2)である。
図5】第1実施形態に係る光導波路搭載基板の製造工程を例示する図(その3)である。
図6】第1実施形態に係る光導波路搭載基板の製造工程を例示する図(その4)である。
図7】第1実施形態に係る光導波路搭載基板の製造工程を例示する図(その5)である。
図8】第1実施形態の変形例に係る光導波路搭載基板の構造を例示する平面図である。
図9】第2実施形態に係る光送受信装置を例示する断面図である。
図10】第2実施形態の変形例に係る光送受信装置を例示する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して発明を実施するための形態について説明する。なお、各図面において、同一構成部分には同一符号を付し、重複した説明を省略する場合がある。
【0010】
〈第1実施形態〉
[光導波路搭載基板の構造]
まず、光導波路搭載基板の構造について説明する。図1は、第1実施形態に係る光導波路搭載基板の構造を例示する図であり、図1(a)は、平面図、図1(b)は図1(a)のA-A線に沿う断面図である。なお、図1(a)において、図1(b)に示す第2クラッド層33の図示は省略されている。また、図1では、参考のため、互いに直交するX方向、Y方向、及びZ方向を規定している。以降の図においても、必要に応じて、同様の方向を規定する場合がある。
【0011】
図1に示すように、第1実施形態に係る光導波路搭載基板1は、配線基板10と、配線基板10上に形成された光導波路30とを有している。ここでは、一例として、配線基板10の平面形状が矩形であり、矩形の長辺がX方向に平行であり、矩形の短辺がY方向に平行であるとする。Z方向は、配線基板10を構成する各層の積層方向である。
【0012】
[配線基板]
配線基板10において、コア基板10Cの両面に配線層及び絶縁層が積層されている。具体的には、配線基板10において、コア基板10Cの一方の面(上面)には、配線層12と、絶縁層13と、配線層14と、ソルダレジスト層15とが順次積層されている。また、コア基板10Cの他方の面(下面)には、配線層22と、絶縁層23と、配線層24と、ソルダレジスト層25とが順次積層されている。
【0013】
コア基板10Cとしては、例えば、ガラスクロスにエポキシ系樹脂等の絶縁性樹脂を含浸させた所謂ガラスエポキシ基板等を用いることができる。コア基板10Cとして、ガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維等の織布や不織布にエポキシ系樹脂やポリイミド系樹脂等を含浸させた基板等を用いてもよい。コア基板10Cの厚さは、例えば、60μm~400μm程度とすることができる。コア基板10Cには、コア基板10Cを厚さ方向に貫通する貫通孔10xが設けられている。貫通孔10xの平面形状は例えば円形である。
【0014】
配線層12は、コア基板10Cの一方の面に形成されている。また、配線層22は、コア基板10Cの他方の面に形成されている。配線層12と配線層22とは、貫通孔10x内に形成された貫通配線11により電気的に接続されている。配線層12及び22は、各々所定の平面形状にパターニングされている。配線層12及び22、並びに貫通配線11の材料としては、例えば、銅(Cu)等を用いることができる。配線層12及び22の厚さは、例えば、10μm~30μm程度とすることができる。なお、配線層12と配線層22と貫通配線11とは一体に形成されたものであってもよい。
【0015】
絶縁層13は、コア基板10Cの一方の面に配線層12を覆うように形成されている。絶縁層13の材料としては、例えば、エポキシ系樹脂やポリイミド系樹脂を主成分とする絶縁性樹脂等を用いることができる。絶縁層13の厚さは、例えば30μm~40μm程度とすることができる。絶縁層13は、シリカ(SiO)等のフィラーを含有することができる。
【0016】
配線層14は、絶縁層13の一方の側に形成されている。配線層14は、絶縁層13を貫通し配線層12の一方の面を露出するビアホール13x内に充填されたビア配線、及び絶縁層13の一方の面に形成された配線パターンを含んで構成されている。配線層14は、配線層12と電気的に接続されている。ビアホール13xは、ソルダレジスト層15側に開口されている開口部の径が配線層12の一方の面によって形成された開口部の底面の径よりも大きい逆円錐台状の凹部とすることができる。配線層14の材料や配線層14を構成する配線パターンの厚さは、例えば、配線層12と同様とすることができる。
【0017】
ソルダレジスト層15は、配線基板10の一方の側の最外層であり、絶縁層13の一方の面に、配線層14を覆うように形成されている。ソルダレジスト層15は、例えば、エポキシ系樹脂やアクリル系樹脂等の感光性樹脂等から形成することができる。ソルダレジスト層15の厚さは、例えば15μm~35μm程度とすることができる。
【0018】
ソルダレジスト層15は、開口部15xを有し、開口部15xの底部には配線層14の一方の面の一部が露出している。開口部15xの平面形状は、例えば、円形とすることができる。必要に応じ、開口部15x内に露出する配線層14の一方の面に金属膜を形成したり、OSP(Organic Solderability Preservative)処理等の酸化防止処理を施したりしてもよい。金属膜の例としては、Au層や、Ni/Au層(Ni層とAu層をこの順番で積層した金属膜)、Ni/Pd/Au層(Ni層とPd層とAu層をこの順番で積層した金属膜)等を挙げることができる。
【0019】
開口部15x内に露出する配線層14上に外部接続端子19が形成されている。外部接続端子19は、例えば、はんだバンプである。はんだバンプの材料としては、例えばPbを含む合金、SnとCuの合金、SnとAgの合金、SnとAgとCuの合金等を用いることができる。外部接続端子19は、発光素子や受光素子と電気的に接続される端子である。
【0020】
絶縁層23は、コア基板10Cの他方の面に配線層22を覆うように形成されている。絶縁層23の材料や厚さは、例えば、絶縁層13と同様とすることができる。絶縁層23は、シリカ(SiO)等のフィラーを含有することができる。配線層24は、絶縁層23の他方の側に形成されている。配線層24は、絶縁層23を貫通し配線層22の他方の面を露出するビアホール23x内に充填されたビア配線、及び絶縁層23の他方の面に形成された配線パターンを含んで構成されている。配線層24は、配線層22と電気的に接続されている。ビアホール23xは、ソルダレジスト層25側に開口されている開口部の径が配線層22の他方の面によって形成された開口部の底面の径よりも大きい円錐台状の凹部とすることができる。配線層24の材料や厚さは、例えば、配線層12と同様とすることができる。
【0021】
ソルダレジスト層25は、配線基板10の他方の側の最外層であり、絶縁層23の他方の面に、配線層24を覆うように形成されている。ソルダレジスト層25の材料や厚さは、例えば、ソルダレジスト層15と同様とすることができる。ソルダレジスト層25は、開口部25xを有し、開口部25x内には配線層24の他方の面の一部が露出している。開口部25xの平面形状は、例えば、円形とすることができる。開口部25x内に露出する配線層24は、マザーボード等の実装基板(図示せず)と電気的に接続するためのパッドとして用いることができる。必要に応じ、開口部25x内に露出する配線層24の他方の面に前述の金属膜を形成したり、OSP処理等の酸化防止処理を施したりしてもよい。
【0022】
[光導波路]
図2は、第1及び第2金属膜形成用突起部とその近傍の部分拡大平面図である。図1に加えて図2を参照し、光導波路30について説明する。
【0023】
光導波路30は、配線基板10のソルダレジスト層15上に形成されている。光導波路30は、第1クラッド層31と、コア層32と、第2クラッド層33と、第1金属膜形成用突起部35と、第2金属膜形成用突起部36と、一対の第1突起部38と、一対の第2突起部39と、第1金属膜351と、第2金属膜361とを備えている。
【0024】
第1クラッド層31は、例えば、感光性の材料により形成されている。具体的には、第1クラッド層31は、例えば、ポリイミド系樹脂、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリノルボルネン系樹脂等のポリマーにより形成できる。第1クラッド層31の厚さは、例えば、10μm~30μm程度とすることができる。第1クラッド層31は、配線基板10上に、配線基板10と略平行に配置されている。
【0025】
コア層32は、第1クラッド層31の上面に選択的に形成されている。コア層32は、第1金属膜351の一部、及び第2金属膜361の一部を被覆する、図1の例では、第1クラッド層31の上面に、X方向を長手方向とする細長状の2本のコア層32が並置されているが、これは一例であり、コア層32は1本形成してもよいし、3本以上形成してもよい。並置されるコア層32のピッチは、例えば、200μm~300μm程度とすることができる。コア層32は、第1クラッド層31と同様の材料により形成できる。コア層32の厚さは、例えば、15μm~35μm程度とすることができる。コア層32の短手方向の断面形状は、例えば、正方形とすることができる。
【0026】
第2クラッド層33は、コア層32の少なくとも上面及び両側面を覆うように、第1クラッド層31の上面に形成されている。第2クラッド層33は、第1クラッド層31と同様の材料により形成できる。第2クラッド層33の厚さは、例えば、10μm~30μm程度とすることができる。
【0027】
上記のように、第1クラッド層31、コア層32及び第2クラッド層33は同一の材料から形成できるが、コア層32の屈折率は、第1クラッド層31及び第2クラッド層33の屈折率よりも高い。コア層32に、例えば、Ge等の屈折率制御用添加剤を含むことにより、コア層32の屈折率を第1クラッド層31及び第2クラッド層33の屈折率よりも高くすることができる。第1クラッド層31及び第2クラッド層33の屈折率は例えば1.5、コア層32の屈折率は例えば1.6とすることができる。
【0028】
第1金属膜形成用突起部35は、第1クラッド層31の上面に形成されている。第1金属膜形成用突起部35は、第1クラッド層31の上面に対して傾斜する傾斜面35aを備えている。第1クラッド層31の上面と、傾斜面35aとのなす角度は、例えば、45度である。第1金属膜形成用突起部35は、傾斜面35aの他に、第1クラッド層31の上面に対して平行な面や垂直な面を備えてもよい。
【0029】
また、図2(a)に示すように、第1金属膜形成用突起部35は、平面視において、コア層32と重複する第1中央部35bと、第1中央部35bから延伸してコア層32の一方の側面32aからY+方向にはみ出る第1拡幅部35cと、第1中央部35bから延伸してコア層32の他方の側面32bからY-方向にはみ出る第2拡幅部35dとを備えている。傾斜面35aは、第1中央部35b、第1拡幅部35c、及び第2拡幅部35dに跨っている。
【0030】
第2金属膜形成用突起部36は、第1クラッド層31の上面に形成されている。第2金属膜形成用突起部36は、第1クラッド層31の上面に対して傾斜する傾斜面36aを備えている。第1クラッド層31の上面と、傾斜面36aとのなす角度は、例えば、45度である。第2金属膜形成用突起部36は、傾斜面36aの他に、第1クラッド層31の上面に対して平行な面や垂直な面を備えてもよい。
【0031】
また、図2(b)に示すように、第2金属膜形成用突起部36は、平面視において、コア層32と重複する第2中央部36bと、第2中央部36bから延伸してコア層32の一方の側面32aからY+方向にはみ出る第3拡幅部36cと、第2中央部36bから延伸してコア層32の他方の側面32bからY-方向にはみ出る第4拡幅部36dとを備えている。傾斜面36aは、第2中央部36b、第3拡幅部36c、及び第4拡幅部36dに跨っている。
【0032】
第1金属膜351は、第1金属膜形成用突起部35の少なくとも傾斜面35aに形成されている。第1金属膜351は、傾斜面35aにおいて、コア層32に被覆される第1中央部35bに形成されると共に、コア層32から露出して第1拡幅部35c及び第2拡幅部35dにも延伸する。第2金属膜361は、第2金属膜形成用突起部36の少なくとも傾斜面36aに形成されている。第2金属膜361は、傾斜面36aにおいて、コア層32に被覆される第2中央部36bに形成されると共に、コア層32から露出して第3拡幅部36c及び第4拡幅部36dにも延伸する。
【0033】
傾斜面36aに形成された第2金属膜361は、傾斜面35aに形成された第1金属膜351と概ね対向している。コア層32と第1中央部35bに形成された第1金属膜351との界面、及びコア層32と第2中央部36bに形成された第2金属膜361との界面は、入射光の伝搬方向を変換する反射面となる。第1金属膜351及び第2金属膜361は、例えば、厚さが0.2μm~0.5μmの金(Au)膜である。
【0034】
一対の第1突起部38は、コア層32及び第1金属膜形成用突起部35と離隔するように、第1クラッド層31の上面に平面視でコア層32を挟んで形成されている。一対の第1突起部38は、感光性の樹脂により形成され、第1クラッド層31の上面から突起する。一対の第1突起部38は、コア層32及び第1金属膜形成用突起部35と離隔しているため、コア層32を通る光が第1突起部38に漏れることはない。
【0035】
一方の第1突起部38とコア層32及び第1拡幅部35cとの間隔、及び他方の第1突起部38とコア層32及び第2拡幅部35dとの間隔は、数μmから200μm程度であることが好ましい。一方の第1突起部38とコア層32及び第1拡幅部35cとの間隔、及び他方の第1突起部38とコア層32及び第2拡幅部35dとの間隔は、一定であってもよいし、一定でなくてもよい。第1クラッド層31の上面を基準として、コア層32の高さと一対の第1突起部38の高さは同一である。なお、ここでいう同一は、一対の第1突起部38の高さがコア層32の高さ±15%以下である場合を含む。コア層32と一対の第1突起部38は、同一の材料から形成されてもよい。
【0036】
一対の第1突起部38において、一方の第1突起部38は、平面視において、第1拡幅部35cの外縁の一部に沿って形成され、他方の第1突起部38は、平面視において、第2拡幅部35dの外縁の一部に沿って形成されていることが好ましい。図1及び図2の例では、第1拡幅部35c及び第2拡幅部35dは、平面視において矩形であり、一方の第1突起部38は、平面視において、第1拡幅部35cの矩形の3辺と対向する部分を有し、他方の第1突起部38は、平面視において、第2拡幅部35dの矩形の3辺と対向する部分を有する。
【0037】
具体的には、各々の第1突起部38は、X方向に伸びる第1部分38rと、第1部分38rの一端側に連続してY方向に伸びる第2部分38sと、第1部分38rの他端側に連続してY方向に伸びる第3部分38tとを有している。この場合、一方の第1突起部38の第1部分38r、第2部分38s、第3部分38tは、平面視において、第1拡幅部35cの矩形の3辺の何れかと対向する。また、他方の第1突起部38の第1部分38r、第2部分38s、第3部分38tは、平面視において、第2拡幅部35dの矩形の3辺の何れかと対向する。
【0038】
コア層32の端面に垂直な方向(図2(a)の矢印P1の方向)から第1金属膜351を視たときに、コア層32は第1中央部35bに形成された第1金属膜351と重複する。また、コア層32の端面に垂直な方向から第1金属膜351を視たときに、一方の第1突起部38は第1拡幅部35cに形成された第1金属膜351と重複する部分を有し、他方の第1突起部38は第2拡幅部35dに形成された第1金属膜351と重複する部分を有する。
【0039】
図1及び図2の例では、コア層32の端面に垂直な方向から第1金属膜351を視たときに、一方の第1突起部38の第2部分38sは、第1拡幅部35cの傾斜面35aに形成された第1金属膜351と重複する部分を有する。また、他方の第1突起部38の第2部分38sは、第2拡幅部35dの傾斜面35aに形成された第1金属膜351と重複する部分を有する。言い換えれば、一方の第1突起部38の第2部分38sは、第1拡幅部35cの傾斜面35aに形成された第1金属膜351と対向する部分を有し、他方の第1突起部38の第2部分38sは、第2拡幅部35dの傾斜面35aに形成された第1金属膜351と対向する部分を有する。
【0040】
一対の第2突起部39は、コア層32及び第2金属膜形成用突起部36と離隔するように、第1クラッド層31の上面に平面視でコア層32を挟んで形成されている。一対の第2突起部39は、感光性の樹脂により形成され、第1クラッド層31の上面から突起する。一対の第2突起部39は、コア層32及び第2金属膜形成用突起部36と離隔しているため、コア層32を通る光が第2突起部39に漏れることはない。
【0041】
一方の第2突起部39とコア層32及び第3拡幅部36cとの間隔、及び他方の第2突起部39とコア層32及び第4拡幅部36dとの間隔は、数μmから200μm程度であることが好ましい。一方の第2突起部39とコア層32及び第3拡幅部36cとの間隔、及び他方の第2突起部39とコア層32及び第4拡幅部36dとの間隔は、一定であってもよいし、一定でなくてもよい。第1クラッド層31の上面を基準として、コア層32の高さと一対の第2突起部39の高さは同一である。なお、ここでいう同一は、一対の第2突起部39の高さがコア層32の高さ±15%以下である場合を含む。コア層32と一対の第1突起部38と一対の第2突起部39は、同一の材料から形成されてもよい。一対の第2突起部39は、一対の第1突起部38と同一の形状であってもよい。
【0042】
一対の第2突起部39において、一方の第2突起部39は、平面視において、第3拡幅部36cの外縁の一部に沿って形成され、他方の第2突起部39は、平面視において、第4拡幅部36dの外縁の一部に沿って形成されていることが好ましい。図1及び図2の例では、第3拡幅部36c及び第4拡幅部36dは、平面視において矩形であり、一方の第2突起部39は、平面視において、第3拡幅部36cの矩形の3辺と対向する部分を有し、他方の第2突起部39は、平面視において、第4拡幅部36dの矩形の3辺と対向する部分を有する。
【0043】
具体的には、各々の第2突起部39は、X方向に伸びる第1部分39rと、第1部分39rの一端側に連続してY方向に伸びる第2部分39sと、第1部分39rの他端側に連続してY方向に伸びる第3部分39tとを有している。この場合、一方の第2突起部39の第1部分39r、第2部分39s、第3部分39tは、平面視において、第3拡幅部36cの矩形の3辺の何れかと対向する。また、他方の第2突起部39の第1部分39r、第2部分39s、第3部分39tは、平面視において、第4拡幅部36dの矩形の3辺の何れかと対向する。
【0044】
コア層32の端面に垂直な方向(図2(b)の矢印P2の方向)から第2金属膜361を視たときに、コア層32は第2中央部36bに形成された第2金属膜361と重複する。また、コア層32の端面に垂直な方向から第2金属膜361を視たときに、一方の第2突起部39は第3拡幅部36cに形成された第2金属膜361と重複する部分を有し、他方の第2突起部39は第4拡幅部36dに形成された第2金属膜361と重複する部分を有する。
【0045】
図1及び図2の例では、コア層32の端面に垂直な方向から第2金属膜361を視たときに、一方の第2突起部39の第2部分39sは、第3拡幅部36cの傾斜面36aに形成された第2金属膜361と重複する部分を有する。また、他方の第2突起部39の第2部分39sは、第4拡幅部36dの傾斜面36aに形成された第2金属膜361と重複する部分を有する。言い換えれば、一方の第2突起部39の第2部分39sは、第3拡幅部36cの傾斜面36aに形成された第2金属膜361と対向する部分を有し、他方の第2突起部39の第2部分39sは、第4拡幅部36dの傾斜面36aに形成された第2金属膜361と対向する部分を有する。
【0046】
[光導波路搭載基板の製造方法]
次に、光導波路搭載基板1の製造方法について説明する。図3図7は、第1実施形態に係る光導波路搭載基板の製造工程を例示する図である。
【0047】
まず、図3(a)に示す工程では、配線基板10を準備する。配線基板10は、例えば、周知のビルドアップ工法等により製造できる。配線基板10は、市販品の購入等により準備してもよい。
【0048】
次に、図3(b)に示す工程では、配線基板10のソルダレジスト層15の上面に第1クラッド層31を形成する。第1クラッド層31の厚さは、例えば、10μm程度である。次に、図3(c)に示す工程では、配線基板10のソルダレジスト層15の上面に、第1クラッド層31を被覆する紫外線硬化性樹脂300を積層する。紫外線硬化性樹脂300の厚さは、例えば、35μm程度である。
【0049】
次に、図4(a)及び図4(b)に示す工程では、第1金属膜形成用突起部35及び第2金属膜形成用突起部36となる部分のみが残存するように、紫外線硬化性樹脂300をパターニングする。まず、図4(a)に示すように、例えば、第1金属膜形成用突起部35及び第2金属膜形成用突起部36となる部分に対応する位置に開口部400xを有するマスク400を用い、マスク400を介して、紫外線硬化性樹脂300に紫外線を照射し、露光によりパターニングする。これにより、開口部400x内に露出する部分の紫外線硬化性樹脂300が硬化される。次に、図4(b)に示す工程では、紫外線硬化性樹脂300の不要な部分を現像で除去し、樹脂突起部350及び360を形成する。
【0050】
次に、図4(c)に示す工程では、樹脂突起部350及び360を、傾斜面が互いに概ね対向するように、例えば45度に切断する。切断は、例えば、ダイサーブレード410によるダイシングや、研磨板による研磨等により行うことができる。切断面である傾斜面35a及び36aにキズや凹み等が発生した場合、切断面にレーザ光の照射や樹脂液の塗布等を行い、傾斜面35a及び36aを平滑化することが好ましい。
【0051】
この工程により、第1クラッド層31の上面に対して傾斜する傾斜面35aを備えた第1金属膜形成用突起部35、及び第1クラッド層31の上面に対して傾斜する傾斜面36aを備えた第2金属膜形成用突起部36が形成される。図2(a)に示したように、第1金属膜形成用突起部35は、平面視において、第1中央部35bと、第1中央部35bから延伸してコア層32の一方の側面32aからはみ出る第1拡幅部35cと、第1中央部35bから延伸してコア層32の他方の側面32bからはみ出る第2拡幅部35dとを備えた構造となる。また、図2(b)に示したように、第2金属膜形成用突起部36は、平面視において、第2中央部36bと、第2中央部36bから延伸してコア層32の一方の側面32aからはみ出る第3拡幅部36cと、第2中央部36bから延伸してコア層32の他方の側面32bからはみ出る第4拡幅部36dとを備えた構造となる。
【0052】
次に、図5(a)及び図5(b)に示す工程では、第1金属膜形成用突起部35の少なくとも傾斜面35aに第1金属膜351を形成すると共に、第2金属膜形成用突起部36の少なくとも傾斜面36aに第2金属膜361を形成する。第1金属膜351及び第2金属膜361は、例えば、金をスパッタや蒸着により成膜することで形成できる。第1金属膜351及び第2金属膜361の一部は、第1金属膜形成用突起部35及び第2金属膜形成用突起部36の上面や第1クラッド層31の上面に形成されてもよい。なお、ここでは、2組の第1金属膜形成用突起部35及び第2金属膜形成用突起部36を形成する例を示したが、これは一例であり、第1金属膜形成用突起部35及び第2金属膜形成用突起部36は1組形成してもよいし、3組以上形成してもよい。
【0053】
次に、図6(a)及び図6(b)に示す工程では、第1金属膜351の一部及び第2金属膜361の一部を被覆するように、第1クラッド層31の上面に感光性の樹脂によりコア層32を形成する。また、コア層32及び第1金属膜形成用突起部35と離隔するように、第1クラッド層31の上面に平面視でコア層32を挟んで、第1クラッド層31の上面から突起する一対の第1突起部38を感光性の樹脂により形成する。また、コア層32及び第2金属膜形成用突起部36と離隔するように、第1クラッド層31の上面に平面視でコア層32を挟んで、第1クラッド層31の上面から突起する一対の第2突起部39を感光性の樹脂により形成する。
【0054】
コア層32、第1突起部38、及び第2突起部39は、例えば、未硬化の感光性の樹脂フィルムを第1クラッド層31上に配置し、同一のマスクを用いて露光及び現像をすることにより形成される。コア層32の上面は、例えば、第1金属膜351及び第2金属膜361の上面と面一となる。第1金属膜351及び第2金属膜361の上面は、コア層32から露出してもよい。なお、ここでは、第1クラッド層31の上面に、X方向を長手方向とする細長状の2本のコア層32を形成するが、コア層32は、第1金属膜形成用突起部35及び第2金属膜形成用突起部36の組数に対応するように形成される。
【0055】
ここで、第1突起部38及び第2突起部39を形成しない場合について考える。コア層32を現像する際には、現像液を使用する。現像液は、様々な方向に流れるが、主に図6(b)の矢印方向から第1金属膜351及び第2金属膜361側に流れる現像液は、コア層32から露出する第1金属膜351及び第2金属膜361に達する。この場合、コア層32から露出する第1金属膜351及び第2金属膜361は、現像液による浸食により剥離するおそれがある。コア層32から露出する第1金属膜351及び第2金属膜361が剥離すると、コア層32に被覆された第1金属膜351及び第2金属膜361にも剥離が波及する場合があり、その場合には光学損失が生じる。
【0056】
これに対して、光導波路搭載基板1では、第1突起部38及び第2突起部39を形成しているため、上記のような不具合の発生を抑制することができる。すなわち、図6(b)の矢印方向等に流れる現像液に対して、第1突起部38及び第2突起部39がダムとして機能するため、第1金属膜351及び第2金属膜361に達する現像液の量を大幅に減らすことができる。これにより、コア層32から露出する第1金属膜351及び第2金属膜361は、現像液による浸食を受けにくくなるため、第1金属膜351及び第2金属膜361の剥離を抑制できる。その結果、コア層32から露出する第1金属膜351及び第2金属膜361の剥離がコア層32に被覆された第1金属膜351及び第2金属膜361に波及して光学損失が生じることを抑制できる。なお、現像液に対するダムとしての効果は、特に第1突起部38の第2部分38s及び第2突起部39の第2部分39sによるところが大きい。
【0057】
次に、図7に示す工程では、コア層32上に第2クラッド層33を積層する。第2クラッド層33は、例えば、未硬化の感光性の樹脂フィルムをコア層32の少なくとも上面及び両側面を覆うように第1クラッド層31の上面に配置し、露光及び現像することで、所定パターンに形成できる。以上の工程で、配線基板10上に光導波路30を搭載した光導波路搭載基板1が完成する。
【0058】
このように、光導波路搭載基板1では、コア層32と同一工程で第1突起部38及び第2突起部39を形成しているため、現像液に起因する第1金属膜351又は第2金属膜361の剥離を抑制できる。その結果、第1金属膜351又は第2金属膜361の剥離に起因する光学損失の発生を抑制できる。
【0059】
なお、各突起部において、平面視で、第1部分、第2部分、及び第3部分は、必ずしもX方向又はY方向と平行でなくてもよい。また、平面視で、第1部分、第2部分、及び第3部分は、必ずしも直線状である必要なく、一部又は全部が屈曲又は湾曲していてもよい。
【0060】
なお、本実施形態では、第1金属膜形成用突起部35及び第2金属膜形成用突起部36を設けたが、第1金属膜形成用突起部35及び第2金属膜形成用突起部36のうち何れか一方のみを設けてもよい。
【0061】
〈第1実施形態の変形例〉
第1実施形態の変形例では、突起部の平面形状の他の例を示す。なお、第1実施形態の変形例において、既に説明した実施形態と同一構成部品についての説明は省略する場合がある。
【0062】
図8は、第1実施形態の変形例に係る光導波路搭載基板の構造を例示する平面図である。なお、図8において、第2クラッド層33の図示は省略されている。図8(a)に示す光導波路搭載基板1Aは、第1突起部38及び第2突起部39が第1突起部38A及び第2突起部39Aに置換された点が、光導波路搭載基板1(図1等参照)と相違する。
【0063】
第1突起部38Aは、第1部分38rと及び第2部分38sとを有しているが、第1突起部38とは異なり、第3部分38tを有していない。また、第2突起部39Aは、第1部分39rと及び第2部分39sとを有しているが、第2突起部39とは異なり、第3部分39tを有していない。
【0064】
図8(a)の例では、第1拡幅部35c及び第2拡幅部35dは、平面視において矩形であり、一方の第1突起部38Aは、平面視において、第1拡幅部35cの矩形の2辺と対向する部分を有し、他方の第1突起部38Aは、平面視において、第2拡幅部35dの矩形の2辺と対向する部分を有する。第2突起部39Aについても、第1突起部38Aと同様の形状である。
【0065】
図8(b)に示す光導波路搭載基板1Bは、第1突起部38及び第2突起部39が第1突起部38B及び第2突起部39Bに置換された点が、光導波路搭載基板1(図1等参照)と相違する。
【0066】
第1突起部38Bは、第1突起部38の第2部分38sに相当する部分のみを有してる。また、第2突起部39Bは、第2突起部39の第2部分39sに相当する部分のみを有してる。
【0067】
図8(b)の例では、第1拡幅部35c及び第2拡幅部35dは、平面視において矩形であり、一方の第1突起部38Bは、平面視において、第1拡幅部35cの矩形の1辺と対向する部分を有し、他方の第1突起部38Bは、平面視において、第2拡幅部35dの矩形の1辺と対向する部分を有する。第2突起部39Bについても、第1突起部38Bと同様の形状である。
【0068】
光導波路搭載基板1、1A、及び1Bでは、コア層32の端面に垂直な方向から第1金属膜351を視たときに、一方の第1突起部は第1拡幅部に形成された第1金属膜351と重複する第2部分に相当する部分を少なくとも有し、他方の第1突起部は第2拡幅部に形成された第1金属膜351と重複する第2部分に相当する部分を少なくとも有する。また、コア層32の端面に垂直な方向から第2金属膜361を視たときに、一方の第2突起部は第3拡幅部に形成された第2金属膜361と重複する第2部分に相当する部分を少なくとも有し、他方の第2突起部は第4拡幅部に形成された第2金属膜361と重複する第2部分に相当する部分を少なくとも有する。
【0069】
この構造により、図6(b)の矢印方向に流れる現像液に起因する第1金属膜351又は第2金属膜361の剥離を効果的に抑制できる。その結果、第1金属膜351又は第2金属膜361の剥離に起因する光学損失の発生を抑制できる。図6(b)の矢印方向以外の方向に流れる現像液による浸食が問題になる場合には、第2部分に加え、さらに第1部分や第3部分を設けることが好ましい。これにより、様々な方向からの現像液に起因する第1金属膜351又は第2金属膜361の剥離を効果的に抑制できる。
【0070】
〈第2実施形態〉
第2実施形態では、第1実施形態に係る光導波路搭載基板と、光導波路搭載基板に搭載された光導波路に光を出射する発光素子若しくは光導波路から出た光を入射する受光素子又はこれらの両方とを有する光通信装置の例を示す。なお、第2実施形態において、既に説明した実施の形態と同一構成部品についての説明は省略する場合がある。
【0071】
図9は、第2実施形態に係る光送受信装置を例示する断面図である。図9を参照すると、光送受信装置5は、光導波路搭載基板1と、発光素子110と、受光素子120と、アンダーフィル樹脂150及び160とを有する。
【0072】
発光素子110は、本体111と、バンプ112と、発光部113とを有しており、光導波路30に光を出射する。バンプ112及び発光部113は、本体111の配線基板10側に設けられている。バンプ112は、例えばAuバンプであり、配線基板10の外部接続端子19と電気的に接続されている。発光部113は、第1金属膜351に光を照射可能な位置に配置されている。発光素子110としては、例えば、面発光レーザ(VCSEL:Vertical Cavity Surface Emitting Laser)、発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)等を用いることができる。
【0073】
アンダーフィル樹脂150は、発光素子110とソルダレジスト層15の一部及び光導波路30の一部との間に設けられている。アンダーフィル樹脂150としては、例えば、発光素子110から出射された光を透過できる光透過性樹脂を用いることができる。
【0074】
受光素子120は、本体121と、バンプ122と、受光部123とを有しており、光導波路30から出た光を入射する。バンプ122及び受光部123は、本体121の配線基板10側に設けられている。バンプ122は、例えばAuバンプであり、配線基板10の外部接続端子19と電気的に接続されている。受光部123は、第2金属膜361で反射された光を受光可能な位置に配置されている。受光素子120としては、例えば、フォトダイオードやアバランシェフォトダイオード(APD:Avalanche Photodiode)等を用いることができる。
【0075】
アンダーフィル樹脂160は、受光素子120とソルダレジスト層15の一部及び光導波路30の一部との間に設けられている。アンダーフィル樹脂160としては、例えば、受光素子120が受光する光を透過できる光透過性樹脂を用いることができる。
【0076】
図9において、発光素子110の発光部113から出射された光Lは、アンダーフィル樹脂150及び第2クラッド層33を透過してコア層32内に入射し、第1金属膜351に達して第1金属膜351で全反射され、光伝搬方向を略90度変換される。そして、コア層32内を伝搬し、第2金属膜361に達して第2金属膜361で全反射され、光伝搬方向を略90度変換される。そして、コア層32から外に出て第2クラッド層33及びアンダーフィル樹脂160透過し、受光素子120の受光部123に受光される。
【0077】
光送受信装置5は、光導波路30を有するため、光学損失の少ない装置を実現できる。
【0078】
図10は、第2実施形態の変形例に係る光送受信装置を例示する断面図である。図10を参照すると、光送受信装置6は、光導波路30が光導波路30Aに置換された点、及び受光素子120に代えて信号伝達用の光ファイバ130が追加された点が、光送受信装置5(図9参照)と相違する。
【0079】
光導波路30Aは、第2金属膜形成用突起部36及び第2金属膜361を備えていない点が、光導波路30と相違する。光ファイバ130は、光導波路30Aの第1金属膜351から遠い側の端面に光ファイバ130の入射面が僅かな間隔で対向するように、配線基板10のソルダレジスト層15上に配置されている。光ファイバ130の光軸は、光導波路30Aの光軸と一致している。
【0080】
発光素子110の発光部113から光導波路30Aに対して垂直に入射した光Lは、第1金属膜351により90度の角度で反射し、光導波路30Aのコア層32を通過し、光導波路30Aの端面より光ファイバ130に入射され、光信号の伝送が行われる。なお、発光素子110を受光素子に置き換え、光ファイバ130から光導波路30Aへ入射した光を第1金属膜351により90度の角度で反射させ、受光素子で受光させる構成とすることも可能である。
【0081】
光送受信装置6は、光導波路30Aを有するため、光学損失の少ない装置を実現できる。
【0082】
以上、好ましい実施形態について詳説したが、上述した実施形態に制限されることはなく、特許請求の範囲に記載された範囲を逸脱することなく、上述した実施形態に種々の変形及び置換を加えることができる。
【符号の説明】
【0083】
1,1A,1B 光導波路搭載基板
5,6 光送受信装置
10 配線基板
10C コア基板
10x 貫通孔
11 貫通配線
12,14,22,24 配線層
13,23 絶縁層
13x,23x ビアホール
15,25 ソルダレジスト層
15x,25x 開口部
19 外部接続端子
30,30A 光導波路
31 第1クラッド層
32 コア層
33 第2クラッド層
35 第1金属膜形成用突起部
35a,36a 傾斜面
35b 第1中央部
35c 第1拡幅部
35d 第2拡幅部
36 第2金属膜形成用突起部
36b 第2中央部
36c 第3拡幅部
36d 第4拡幅部
38,38A,38B 第1突起部
38r,39r 第1部分
38s,39s 第2部分
38t,38t 第3部分
39,39A,39B 第2突起部
110 発光素子
111,121 本体
112,122 バンプ
113 発光部
120 受光素子
123 受光部
130 光ファイバ
150,160 アンダーフィル樹脂
351 第1金属膜
361 第2金属膜
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10