(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023101416
(43)【公開日】2023-07-20
(54)【発明の名称】導電性フィルム、巻回体、接続構造体、及び接続構造体の製造方法
(51)【国際特許分類】
H01R 11/01 20060101AFI20230712BHJP
C09J 7/00 20180101ALI20230712BHJP
C09J 9/02 20060101ALI20230712BHJP
C09J 201/00 20060101ALI20230712BHJP
H01B 1/22 20060101ALI20230712BHJP
H01B 5/16 20060101ALI20230712BHJP
H01R 43/00 20060101ALI20230712BHJP
【FI】
H01R11/01 501C
C09J7/00
C09J9/02
C09J201/00
H01B1/22 B
H01B5/16
H01R43/00 H
【審査請求】有
【請求項の数】24
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023054094
(22)【出願日】2023-03-29
(62)【分割の表示】P 2018543852の分割
【原出願日】2017-09-26
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-07-11
(31)【優先権主張番号】P 2016195761
(32)【優先日】2016-10-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000004455
【氏名又は名称】株式会社レゾナック
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128381
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 義憲
(74)【代理人】
【識別番号】100169454
【弁理士】
【氏名又は名称】平野 裕之
(74)【代理人】
【識別番号】100130052
【弁理士】
【氏名又は名称】大阪 弘一
(72)【発明者】
【氏名】立澤 貴
(72)【発明者】
【氏名】松田 和也
(72)【発明者】
【氏名】土田 豊
(72)【発明者】
【氏名】関 貴志
(72)【発明者】
【氏名】島村 充芳
(72)【発明者】
【氏名】篠原 研吾
(72)【発明者】
【氏名】白川 哲之
(72)【発明者】
【氏名】川端 泰典
(72)【発明者】
【氏名】松本 悟
【テーマコード(参考)】
4J004
4J040
5E051
5G301
5G307
【Fターム(参考)】
4J004AB01
4J004DB02
4J004FA10
4J040HA066
4J040KA03
4J040KA32
4J040NA19
5E051CA03
5G301DA03
5G301DA05
5G301DA06
5G301DA11
5G301DA13
5G301DA15
5G301DA42
5G301DA53
5G301DA57
5G301DD08
5G307HA02
5G307HB01
5G307HB03
5G307HC01
(57)【要約】
【課題】多様な形状の接着面に対して接着剤フィルムを貼り付けることができるともに、接着剤フィルムを有効に利用できる導電性フィルム、巻回体、接続構造体、及び接続構造体の製造方法を提供する。
【解決手段】導電性フィルム2は、長尺の剥離フィルム4と、剥離フィルム4上に設けられた導電性を有する複数の接着剤フィルム片5と、を備える。そして、複数の接着剤フィルム片5は、剥離フィルム4の長手方向Xに配列されて剥離フィルム4の長手方向Xに離間しており、接着剤フィルム片5は、導電粒子を含み、接着剤フィルム片5は、穴5aを有する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
長尺の剥離フィルムと、
前記剥離フィルム上に設けられた複数の導電性を有する接着剤フィルム片と、を備え、
前記複数の接着剤フィルム片は、前記剥離フィルムの長手方向に配列されて前記剥離フィルムの長手方向に離間しており、
前記接着剤フィルム片は、導電粒子を含み、
前記接着剤フィルム片は、穴を有する、
導電性フィルム。
【請求項2】
前記複数の接着剤フィルム片は、同じ形をしている、
請求項1に記載の導電性フィルム。
【請求項3】
前記複数の接着剤フィルム片は、前記剥離フィルムの幅方向における中央部に配置されている、
請求項1又は2に記載の導電性フィルム。
【請求項4】
前記複数の接着剤フィルム片は、前記剥離フィルムの幅方向における端部に配置されている、
請求項1~3の何れか一項に記載の導電性フィルム。
【請求項5】
前記複数の接着剤フィルム片は、前記剥離フィルムの幅方向にも配列されている、
請求項1~4の何れか一項に記載の導電性フィルム。
【請求項6】
前記剥離フィルムの長手方向における前記複数の接着剤フィルム片の間隔は、0.1mm以上10mm以下である、
請求項1~5の何れか一項に記載の導電性フィルム。
【請求項7】
前記剥離フィルムの幅方向における前記剥離フィルムの端縁と当該端縁に最も近い前記接着剤フィルム片との間隔は、0.1mm以上10mm以下である、
請求項1~6の何れか一項に記載の導電性フィルム。
【請求項8】
前記剥離フィルムは、光透過性を有する、
請求項1~7の何れか一項に記載の導電性フィルム。
【請求項9】
前記剥離フィルムの透過率は、15%以上100%以下である、
請求項8に記載の導電性フィルム。
【請求項10】
前記剥離フィルムのヘイズ値は、3%以上100%以下である、
請求項8又は9に記載の導電性フィルム。
【請求項11】
前記接着剤フィルム片上に設けられた第二剥離フィルム片を更に備える、
請求項1~10の何れか一項に記載の導電性フィルム。
【請求項12】
請求項1~11の何れか一項に記載の導電性フィルムと、
前記導電性フィルムが巻回された巻芯と、を備える、
巻回体。
【請求項13】
第一接着面を有する第一回路部材と、
第二接着面を有する第二回路部材と、
前記第一接着面と前記第二接着面とを接続する請求項1~11の何れか一項に記載の接着剤フィルム片と、を備える、
接続構造体。
【請求項14】
長尺の剥離フィルム上に、複数の導電性を有する接着剤フィルム片が設けられるとともに、前記複数の接着剤フィルム片が前記剥離フィルムの長手方向に配列されて前記剥離フィルムの長手方向に離間した導電性フィルムを製造するフィルム製造工程と、
前記導電性フィルムの前記接着剤フィルム片を介して第一回路部材の第一接着面と第二回路部材の第二接着面とを接続する接続工程と、を備え、
前記複数の接着剤フィルム片は、穴を有する、
接続構造体の製造方法。
【請求項15】
前記接着剤フィルム片は、接着剤に導電粒子が分散されている、
請求項14に記載の接続構造体の製造方法。
【請求項16】
前記フィルム製造工程は、
前記剥離フィルム上の全面に、導電性を有する接着剤フィルム層を形成する接着剤フィルム層形成工程と、
前記接着剤フィルム層を、前記接着剤フィルム片の外形を成す外形線に沿って切断する接着剤フィルム層切断工程と、
切断された前記外形線に沿って、前記接着剤フィルム層における前記接着剤フィルム片以外の部分となる余白部分を、前記剥離フィルムから剥離する余白剥離工程と、を有する、
請求項14又は15に記載の接続構造体の製造方法。
【請求項17】
前記接着剤フィルム層は、接着剤に導電粒子が分散されている、
請求項16に記載の接続構造体の製造方法。
【請求項18】
前記接続工程は、
撮像装置により前記導電性フィルムにおける前記接着剤フィルム片の位置を検出する位置検出工程と、
前記位置検出工程により検出された位置に基づいて、前記接着剤フィルム片を前記第一接着面に貼り付ける貼付工程と、
前記接着剤フィルム片を介して前記第一接着面と前記第二接着面とを重ね合せる重ね合せ工程と、を有する、
請求項14~17の何れか一項に記載の接続構造体の製造方法。
【請求項19】
前記フィルム製造工程は、前記接着剤フィルム片上に、第二剥離フィルム片が設けられた前記導電性フィルムを製造する、
請求項14又は15に記載の接続構造体の製造方法。
【請求項20】
前記フィルム製造工程は、
前記剥離フィルム上の全面に、導電性を有する接着剤フィルム層を形成し、更に、前記接着剤フィルム層上の全面に、第二剥離フィルムを被せる接着剤フィルム層形成工程と、
前記接着剤フィルム層及び前記第二剥離フィルムを、前記接着剤フィルム片の外形を成す外形線に沿って切断する接着剤フィルム層切断工程と、
切断された前記外形線に沿って、前記接着剤フィルム層及び前記第二剥離フィルムにおける前記接着剤フィルム片以外の部分となる余白部分を、前記剥離フィルムから剥離する余白剥離工程と、を有する、
請求項19に記載の接続構造体の製造方法。
【請求項21】
前記接着剤フィルム層は、接着剤に導電粒子が分散されている、
請求項20に記載の接続構造体の製造方法。
【請求項22】
前記接続工程は、
撮像装置により前記導電性フィルムにおける前記接着剤フィルム片の位置を検出する位置検出工程と、
前記位置検出工程により検出された位置に基づいて、前記接着剤フィルム片を前記第一接着面に貼り付ける貼付工程と、
前記接着剤フィルム片を介して前記第一接着面と前記第二接着面とを重ね合せる重ね合せ工程と、
前記貼付工程の前に、前記接着剤フィルム片から前記第二剥離フィルム片を剥離する第二剥離フィルム片剥離工程と、を有する、
請求項19~21の何れか一項に記載の接続構造体の製造方法。
【請求項23】
前記貼付工程では、当該接着剤フィルム片を前記第一接着面に貼り付けた後、前記接着剤フィルム片から前記剥離フィルムを剥離する、
請求項18又は22に記載の接続構造体の製造方法。
【請求項24】
前記接続工程は、前記位置検出工程の前に、前記導電性フィルムを、前記剥離フィルムに1又は複数の前記接着剤フィルム片が設けられた複数の導電性フィルム片に切断するフィルム切断工程を更に有し、
前記位置検出工程では、前記撮像装置により前記導電性フィルム片における前記接着剤フィルム片の位置を検出する、
請求項18,22又は23に記載の接続構造体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、導電性フィルム、巻回体、接続構造体、及び接続構造体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ICチップ等の第一回路部材とガラス基板等の第二回路部材とを接続して接続構造体を製造する際に、異方導電性フィルム等の導電性フィルムが用いられる場合がある(例えば、特許文献1,2参照)。導電性フィルムは、長尺の剥離フィルムの全面に、接着剤フィルムが形成されたものである。異方導電性フィルムは、長尺の剥離フィルムの全面に、接着剤に導電粒子が分散された接着剤フィルムが形成されたものである。導電性フィルムは、巻芯に巻回された巻回体として提供され、第一回路部材と第二回路部材とを接続する際に、巻回体から巻き出される。そして、導電性フィルムの接着剤フィルムが第一回路部材の接着面に貼り付けられ、その後、接着剤フィルムを介して第一回路部材の接着面と第二回路部材の接着面とが重ね合せられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008-274019号公報
【特許文献2】特開2015-135748号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、接続構造体の種類によって、接着剤フィルムを貼り付ける接着面の形状が異なる。このため、剥離フィルムの全面に接着剤フィルムが形成されていると、剥離フィルムと同じ幅を有する矩形の接着面にしか接着剤フィルムを貼り付けることができない。接着面の形状が、剥離フィルムと同じ幅を有する矩形でない場合は、剥離フィルム上に形成された接着剤フィルムの内、一部の接着剤フィルムしか接着面に貼り付けられない。このため、残りの接着剤フィルムが無駄になる。
【0005】
そこで、本発明の一側面は、多様な形状の接着面に対して接着剤フィルムを貼り付けることができるともに、接着剤フィルムを有効に利用できる導電性フィルム、巻回体、接続構造体、及び接続構造体の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一側面に係る導電性フィルムは、長尺の剥離フィルムと、剥離フィルム上に設けられた複数の導電性を有する接着剤フィルム片と、を備え、複数の接着剤フィルム片は、剥離フィルムの長手方向に配列されている。
【0007】
この導電性フィルムでは、長尺の剥離フィルム上に、複数の接着剤フィルム片が剥離フィルムの長手方向に配列されている。このため、接着剤フィルム片の形状を任意に設定することができる。これにより、多様な形状の接着面に対して接着剤フィルム片を貼り付けることができるともに、接着剤フィルム片を有効に利用することができる。
【0008】
上記の導電性フィルムにおいて、複数の接着剤フィルム片は、剥離フィルムの長手方向に離間していてもよい。この導電性フィルムでは、複数の接着剤フィルム片が剥離フィルムの長手方向に離間しているため、隣の接着剤フィルム片に影響を及ぼすことなく、接着面に接着剤フィルム片を貼り付けることができる。これにより、接着面に対して接着剤フィルム片を容易に貼り付けることができる。また、接着剤フィルム片の形状の自由度を、更に広げることができる。
【0009】
上記の導電性フィルムにおいて、複数の接着剤フィルム片は、同じ形をしていてもよい。この導電性フィルムでは、複数の接着剤フィルム片が同じ形をしているため、同じ形をした複数の接着面に対して効率的に接着剤フィルム片を貼り付けることができる。
【0010】
上記の導電性フィルムにおいて、複数の接着剤フィルム片は、剥離フィルムの幅方向における中央部に配置されていてもよい。この導電性フィルムでは、複数の接着剤フィルム片が剥離フィルムの幅方向における中央部に配置されているため、接着面に接着剤フィルム片を貼り付ける際の、接着面に対する導電性フィルムの位置決めを容易に行うことができる。
【0011】
上記の導電性フィルムにおいて、複数の接着剤フィルム片は、剥離フィルムの幅方向における端部に配置されていてもよい。この導電性フィルムでは、複数の接着剤フィルム片が剥離フィルムの幅方向における端部に配置されているため、接着面の一方向側に十分なスペースが無い場合であっても、接着面に接着剤フィルム片を容易に貼り付けることができる。
【0012】
上記の導電性フィルムにおいて、複数の接着剤フィルム片は、剥離フィルムの幅方向にも配列されていてもよい。この導電性フィルムでは、複数の接着剤フィルム片が剥離フィルムの幅方向にも配列されているため、剥離フィルムに対する接着剤フィルム片の密度を高くすることができる。これにより、より多くの接着剤フィルム片を剥離フィルム上に設けることができる。
【0013】
上記の導電性フィルムにおいて、剥離フィルムの長手方向における複数の接着剤フィルム片の間隔は、0.1mm以上10mm以下であってもよい。この導電性フィルムでは、剥離フィルムの長手方向における複数の接着剤フィルム片の間隔が0.1mm以上であるため、隣の接着剤フィルム片に影響を及ぼすことなく、接着面に接着剤フィルム片を容易に貼り付けることができる。一方、この間隔が10mm以下であるため、剥離フィルムに対する接着剤フィルム片の密度を高くして、より多くの接着剤フィルム片を剥離フィルム上に設けることができる。
【0014】
上記の導電性フィルムにおいて、剥離フィルムの幅方向における剥離フィルムの端縁と当該端縁に最も近い接着剤フィルム片との間隔は、0.1mm以上10mm以下であってもよい。この導電性フィルムでは、剥離フィルムの幅方向における剥離フィルムの端縁と当該端縁に最も近い接着剤フィルム片との間隔が0.1mm以上であるため、剥離フィルムの端部が他部材と干渉等しても、剥離フィルムから接着剤フィルム片が剥離するのを抑制することができる。一方、この間隔が10mm以下であるため、剥離フィルム上に効率的に接着剤フィルム片を設けることができる。
【0015】
ところで、接着面に接着剤フィルム片を高精度に貼り付ける際は、導電性フィルムにおける接着剤フィルム片の位置を特定する必要がある。そこで、撮像装置により、導電性フィルムにおける接着剤フィルム片の位置を検出することが考えられる。しかしながら、その後に接着面に接着剤フィルム片を貼り付けることを考えると、剥離フィルムに対する接着剤フィルム片の反対側に、撮像装置を配置することが好ましい。そこで、上記の導電性フィルムにおいて、剥離フィルムは、光透過性を有するものとしてもよい。この導電性フィルムでは、剥離フィルムが光透過性を有するものとしているため、剥離フィルムに対する接着剤フィルム片の反対側に撮像装置を配置しても、当該撮像装置により導電性フィルムにおける接着剤フィルム片の位置を検出することが可能となる。
【0016】
上記の導電性フィルムにおいて、剥離フィルムの透過率は、15%以上100%以下であってもよい。この導電性フィルムでは、剥離フィルムの透過率が15%以上であるため、剥離フィルム側から接着剤フィルム片の位置を容易に検出することができる。一方、剥離フィルムの透過率が100%以下であるため、剥離フィルムを容易に作製することができる。
【0017】
上記の導電性フィルムにおいて、剥離フィルムのヘイズ値は、3%以上100%以下であってもよい。この導電性フィルムでは、剥離フィルムのヘイズ値が3%以上であるため、剥離フィルム側から接着剤フィルム片の位置を容易に検出することができる。一方、剥離フィルムのヘイズ値が100%以下であるため、剥離フィルムを容易に作製することができる。
【0018】
上記の導電性フィルムは、接着剤フィルム片上に設けられた第二剥離フィルム片を更に備えてもよい。この導電性フィルムでは、接着剤フィルム片の表面が第二剥離フィルム片で覆われるため、接着剤フィルム片を保護することができる。このため、例えば、導電性フィルムが巻回体として巻回される場合は、接着剤フィルム片が内周側又は外周側に隣接する剥離フィルムに転写されるのを抑制することができる。
【0019】
上記の導電性フィルムにおいて、接着剤フィルム片は、接着剤に導電粒子が分散されていてもよい。この導電性フィルムでは、接着剤フィルム片は、接着剤に導電粒子が分散されているため、異方導電性を有するものとすることができる。
【0020】
本発明の一側面に係る巻回体は、上記の何れかの導電性フィルムと、導電性フィルムが巻回された巻芯と、を備える。
【0021】
この巻回体では、巻芯に上記の何れかの導電性フィルムが巻回されているため、多様な形状の接着面に対して接着剤フィルム片を貼り付けることができるともに、接着剤フィルム片を有効に利用することができる。
【0022】
本発明の一側面に係る接続構造体は、第一接着面を有する第一回路部材と、第二接着面を有する第二回路部材と、第一接着面と第二接着面とを接続する上記の何れかの接着剤フィルム片と、を備える。
【0023】
この接続構造体では、上記の何れかの接着剤フィルム片により、第一接着面と第二接着面とが接続されている。このため、第一接着面及び第二接着面の形状によらず、第一接着面及び第二接着面に接着剤フィルム片が適切に貼り付けられた接続構造体を得ることができる。
【0024】
本発明の一側面に係る接続構造体の製造方法は、長尺の剥離フィルム上に、複数の導電性を有する接着剤フィルム片が設けられるとともに、複数の接着剤フィルム片が剥離フィルムの長手方向に配列された導電性フィルムを製造するフィルム製造工程と、導電性フィルムの接着剤フィルム片を介して第一回路部材の第一接着面と第二回路部材の第二接着面とを接続する接続工程と、を備える。
【0025】
この接続構造体の製造方法では、剥離フィルム上に複数の接着剤フィルム片が設けられた導電性フィルムを製造し、この導電性フィルムの接着剤フィルム片を介して第一接着面と第二接着面とを接続する。そして、接着剤フィルム片は、任意に形状を設定することができるため、第一接着面及び第二接着面の形状によらず、第一接着面及び第二接着面に接着剤フィルム片が適切に貼り付けられた接続構造体を製造することができる。また、接着剤フィルム片を有効に利用することができる。
【0026】
上記の接続構造体の製造方法において、接着剤フィルム片は、接着剤に導電粒子が分散されていてもよい。この接続構造体の製造方法では、接着剤フィルム片は、接着剤に導電粒子が分散されているため、異方導電性を有するものとすることができる。
【0027】
上記の接続構造体の製造方法において、フィルム製造工程は、剥離フィルム上の全面に、導電性を有する接着剤フィルム層を形成する接着剤フィルム層形成工程と、接着剤フィルム層を、接着剤フィルム片の外形を成す外形線に沿って切断する接着剤フィルム層切断工程と、切断された外形線に沿って、接着剤フィルム層における接着剤フィルム片以外の部分となる余白部分を、剥離フィルムから剥離する余白剥離工程と、を有してもよい。この接続構造体の製造方法では、剥離フィルム上の全面に接着剤フィルム層を形成し、接着剤フィルム層を外形線に沿って切断し、切断した外形線に沿って余白部分を剥離フィルムから剥離する。これにより、容易に、剥離フィルム上に複数の接着剤フィルム片を設けることができる。
【0028】
上記の接続構造体の製造方法において、接着剤フィルム層は、接着剤に導電粒子が分散されていてもよい。この接続構造体の製造方法では、接着剤フィルム層は、接着剤に導電粒子が分散されているため、接着剤フィルム層を切断してなる接着剤フィルム片は、異方導電性を有するものとすることができる。
【0029】
上記の接続構造体の製造方法において、接続工程は、撮像装置により導電性フィルムにおける接着剤フィルム片の位置を検出する位置検出工程と、位置検出工程により検出された位置に基づいて、接着剤フィルム片を第一接着面に貼り付ける貼付工程と、接着剤フィルム片を介して第一接着面と第二接着面とを重ね合せる重ね合せ工程と、を有してもよい。この接続構造体の製造方法では、撮像装置により導電性フィルムにおける接着剤フィルム片の位置を検出し、この検出した位置に基づいて接着剤フィルム片を第一接着面に貼り付ける。このため、接着面に対する接着剤フィルム片の位置精度を高めることができる。そして、この接着剤フィルム片を介して第一接着面と第二接着面とを重ね合せるため、第一接着面及び第二接着面内に接着剤フィルム片を収めやすくすることができる。
【0030】
上記の接続構造体の製造方法において、フィルム製造工程は、接着剤フィルム片上に、第二剥離フィルム片が設けられた導電性フィルムを製造してもよい。この接続構造体の製造方法では、接着剤フィルム片の表面が第二剥離フィルム片で覆われるため、接着剤フィルム片を保護することができる。このため、例えば、導電性フィルムが巻回体として巻回される場合は、接着剤フィルム片が内周側又は外周側に隣接する剥離フィルムに転写されるのを抑制することができる。
【0031】
上記の接続構造体の製造方法において、フィルム製造工程は、剥離フィルム上の全面に、導電性を有する接着剤フィルム層を形成し、更に、接着剤フィルム層上の全面に、第二剥離フィルムを被せる接着剤フィルム層形成工程と、接着剤フィルム層及び第二剥離フィルムを、接着剤フィルム片の外形を成す外形線に沿って切断する接着剤フィルム層切断工程と、切断された外形線に沿って、接着剤フィルム層及び第二剥離フィルムにおける接着剤フィルム片以外の部分となる余白部分を、剥離フィルムから剥離する余白剥離工程と、を有してもよい。この接続構造体の製造方法では、剥離フィルム上の全面に接着剤フィルム層を形成し、接着剤フィルム層上の全面に第二剥離フィルムを被せ、接着剤フィルム層を外形線に沿って切断し、切断した外形線に沿って余白部分を剥離フィルムから剥離する。これにより、容易に、剥離フィルム上に複数の接着剤フィルム片を設けるとともに、接着剤フィルム片上に第二剥離フィルム片を被せることができる。
【0032】
上記の接続構造体の製造方法において、接着剤フィルム層は、接着剤に導電粒子が分散されていてもよい。この接続構造体の製造方法では、接着剤フィルム層は、接着剤に導電粒子が分散されているため、接着剤フィルム層を切断してなる接着剤フィルム片は、異方導電性を有するものとすることができる。
【0033】
上記の接続構造体の製造方法において、接続工程は、撮像装置により導電性フィルムにおける接着剤フィルム片の位置を検出する位置検出工程と、位置検出工程により検出された位置に基づいて、接着剤フィルム片を第一接着面に貼り付ける貼付工程と、接着剤フィルム片を介して第一接着面と第二接着面とを重ね合せる重ね合せ工程と、貼付工程の前に、接着剤フィルム片から第二剥離フィルム片を剥離する第二剥離フィルム片剥離工程と、を有してもよい。この接続構造体の製造方法では、撮像装置により導電性フィルムにおける接着剤フィルム片の位置を検出し、この検出した位置に基づいて接着剤フィルム片を第一接着面に貼り付ける。このため、接着面に対する接着剤フィルム片の位置精度を高めることができる。そして、この接着剤フィルム片を介して第一接着面と第二接着面とを重ね合せるため、第一接着面及び第二接着面内に接着剤フィルム片を収めやすくすることができる。そして、貼付工程の前に、接着剤フィルム片から第二剥離フィルム片を剥離するため、接着剤フィルム片を第一接着面に確実に貼り付けることができる。
【0034】
上記の接続構造体の製造方法において、貼付工程では、当該接着剤フィルム片を第一接着面に貼り付けた後、接着剤フィルム片から剥離フィルムを剥離してもよい。この接続構造体の製造方法では、接着剤フィルム片を第一接着面に貼り付けた後に接着剤フィルム片から剥離フィルムを剥離するため、接着剤フィルム片を容易に第一接着面に貼り付けることができる。
【0035】
上記の接続構造体の製造方法において、接続工程は、位置検出工程の前に、導電性フィルムを、剥離フィルムに1又は複数の接着剤フィルム片が設けられた複数の導電性フィルム片に切断するフィルム切断工程を更に有し、位置検出工程では、撮像装置により導電性フィルム片における接着剤フィルム片の位置を検出してもよい。この接続構造体の製造方法では、導電性フィルムを複数の導電性フィルム片に切断するため、複数の場所で接着剤フィルム片を貼り付ける場合、接着剤フィルム片の貼付方向を変えたい場合等にも、柔軟に対応することができる。そして、撮像装置により導電性フィルム片における接着剤フィルム片の位置を検出するため、導電性フィルムを複数の導電性フィルム片に切断しても、接着面に対する接着剤フィルム片の位置精度を高めることができる。
【発明の効果】
【0036】
本発明によれば、多様な形状の接着面に対して接着剤フィルムを貼り付けることができるともに、接着剤フィルムを有効に利用することができる。
【0037】
できる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【
図1】本実施形態に係る巻回体を示す斜視図である。
【
図2】本実施形態に係る異方導電性フィルムを示す平面図である。
【
図3】
図2に示すIII-III線における断面図である。
【
図4】剥離フィルムに対する接着剤フィルム片の位置を説明するための平面図である。
【
図5】本実施形態に係る接続構造体を示す断面図である。
【
図6】本実施形態に係る接続構造体の製造方法を示すフローチャートである。
【
図7】
図6に示すフィルム製造工程を示すフローチャートである。
【
図10】
図6に示す接続工程を示すフローチャートである。
【
図11】
図6に示す接続工程を説明するための概略工程図である。
【
図12】変形例の異方導電性フィルムを示す平面図である。
【
図15】変形例の異方導電性フィルムを示す平面図である。
【
図16】変形例の異方導電性フィルムを示す平面図である。
【
図19】変形例1の異方導電性フィルムを示す断面図である。
【
図21】変形例2の接続構造体の製造方法における接続工程を示すフローチャートである。
【
図22】
図21に示す接続工程を説明するための概略工程図である。
【
図23】
図21に示すフィルム切断工程を説明するための平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下、図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。本実施形態は、本発明に係る導電性フィルムを、異方導電性を有する異方導電性フィルムに適用したものである。但し、本発明に係る導電性フィルムは、異方導電性を有しない様々な導電性フィルムにも適用することが可能である。なお、図面中、同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明は省略する。また、図面では、説明を分かりやすくするために、寸法割合等を適宜変更している。
【0040】
[巻回体]
図1に示すように、巻回体1は、長尺の(テープ状の)異方導電性フィルム2と、異方導電性フィルム2が巻回された巻芯3と、を備える。つまり、巻回体1は、巻芯3に異方導電性フィルム2が巻回されてなる。
【0041】
巻芯3は、芯材3aと、一対の側板3bと、を備える。芯材3aは、円柱状に形成されている。異方導電性フィルム2は、芯材3aの外周面に巻回されている。一対の側板3bは、芯材3aの軸線方向における両端部に取り付けられている。一対の側板3bは、異方導電性フィルム2を左右から支持する。一対の側板3bの間隔は、異方導電性フィルム2の幅よりも僅かに広い。
【0042】
[異方導電性フィルム]
図1~
図3に示すように、異方導電性フィルム2は、長尺の(テープ状の)剥離フィルム4と、剥離フィルム4上に設けられた複数の導電性を有する接着剤フィルム片5と、を備える。接着剤フィルム片5は、導電性を有するために、接着剤6に導電粒子7が分散されたものである。なお、平面視において、異方導電性フィルム2の外形は、剥離フィルム4の外形により規定される。
【0043】
剥離フィルム4は、接着剤フィルム片5に貼り付けられて、接着剤フィルム片5を支持する。剥離フィルム4の素材は、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン、ポリプロピレン等を用いることができる。剥離フィルム4には、任意の充填剤を含有させてもよい。また、剥離フィルム4の表面には、離型処理、プラズマ処理等が施されていてもよい。
【0044】
ところで、接着対象(不図示)の接着面(不図示)に接着剤フィルム片5を高精度に貼り付ける際は、異方導電性フィルム2における接着剤フィルム片5の位置を特定する必要がある。そこで、撮像装置21(
図11参照)により異方導電性フィルム2における接着剤フィルム片5の位置を検出することが考えられる。しかしながら、その後に接着面に接着剤フィルム片5を貼り付けることを考えると、剥離フィルム4に対する接着剤フィルム片5の反対側に、撮像装置21を配置することが好ましい。
【0045】
そこで、撮像装置21により剥離フィルム4側から接着剤フィルム片5の位置を検出できるように、剥離フィルム4は、光透過性を有してもよい。
【0046】
この場合、剥離フィルム4の透過率は、15%以上100%以下とすることができ、15%以上99%以下とすることが好ましく、16%以上98%以下とすることが更に好ましい。
【0047】
剥離フィルム4の透過率は、以下のように測定することができる。ヘイズメータ(例えば、日本電色工業株式会社製 NDH-5000)に、50mm×50mmの正方形に切断した剥離フィルムをセットし、全光透過率を測定する。そして、この測定結果を、剥離フィルム4の透過率とする。
【0048】
また、剥離フィルム4のヘイズ値は、3%以上100%以下とすることができ、3%以上99%以下とすることが好ましく、4%以上99%以下とすることが更に好ましい。
【0049】
剥離フィルム4のヘイズ値は、以下のように測定することができる。ヘイズメータ(例えば、日本電色工業株式会社製 NDH-5000)に、50mm×50mmの正方形に切断した剥離フィルムをセットし、ヘイズ値を測定する。そして、この測定結果を、剥離フィルム4のヘイズ値とする。
【0050】
接着剤フィルム片5を形成する接着剤6としては、例えば、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂及び熱硬化性樹脂の混合系、光硬化性樹脂が用いられる。熱可塑性樹脂としては、例えば、スチレン樹脂系、ポリエステル樹脂系が用いられる。熱硬化性樹脂としては、例えば、ポキシ樹脂系、シリコーン樹脂系が用いられる。熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂を用いる場合は、通常、加熱加圧を必要とする。熱可塑性樹脂では樹脂を流動させ被着体との密着力を得るため、また熱硬化性樹脂では更に樹脂の硬化反応を行うためである。また、光硬化性樹脂は、硬化に加熱を要しないことから、低温での接続が求められる場合に有用である。
【0051】
接着剤フィルム片5を形成する導電粒子7としては、例えばAu、Ag、Ni、Cu、Pd、はんだ等の金属粒子、カーボン粒子が用いられる。また、導電粒子7は、Ni、Cu等の遷移金属類の表面をAu、Pd等の貴金属類で被覆したものであってもよい。また、導電粒子7は、ガラス、セラミック、プラスチック等の非導電粒子の表面を導電物質で被覆する等の方法により、非導電粒子表面に導通層を形成したものであってもよい。導電粒子7は、更に、最外層を貴金属類で構成したもの、熱溶融金属粒子を用いたもの等であってもよい。
【0052】
複数の接着剤フィルム片5は、剥離フィルム4の長手方向Xに配列されている。剥離フィルム4の長手方向Xとは、異方導電性フィルム2の巻回体1から巻き出される方向である。
【0053】
ここで、複数の接着剤フィルム片5は、剥離フィルム4の長手方向Xに離間されていてもよく、剥離フィルム4の長手方向Xに接続されていてもよい。
図2に示すように、本実施形態では、複数の接着剤フィルム片5は、剥離フィルム4の長手方向Xに離間されている。しかしながら、複数の接着剤フィルム片5は、
図12に示す異方導電性フィルム2Aのように、剥離フィルム4の長手方向Xに接続されていてもよい。
【0054】
また、接着剤フィルム片5の形状は、特に限定されるものではなく、様々な形状とすることができる。
図2に示すように、本実施形態では、接着剤フィルム片5は、円形に形成されている。しかしながら、接着剤フィルム片5は、
図13(a)に示す異方導電性フィルム2B1のように、楕円に形成されていてもよく、
図14(a)に示す異方導電性フィルム2C1のように、細長い直線状に形成されていてもよい。これらの場合、接着剤フィルム片5は、
図13(a)に示す異方導電性フィルム2B1及び
図14(a)に示す異方導電性フィルム2C1のように、剥離フィルム4の長手方向Xに対して直交する方向に延びていてもよく、
図13(b)に示す異方導電性フィルム2B2及び
図14(b)に示す異方導電性フィルム2C2のように、剥離フィルム4の長手方向Xと平行な方向に延びていてもよく、
図13(c)に示す異方導電性フィルム2B3及び
図14(c)に示す異方導電性フィルム2C3のように、剥離フィルム4の長手方向Xに対して傾斜する方向に延びていてもよい。
【0055】
また、接着剤フィルム片5は、穴が形成されていてもよい。
図2に示すように、本実施形態では、接着剤フィルム片5は、穴が形成されていない。しかしながら、
図18(a)に示す異方導電性フィルム2G1、
図18(b)に示す異方導電性フィルム2G2、及び
図18(c)に示す異方導電性フィルム2G3のように、接着剤フィルム片5に穴5aが形成されていてもよい。穴5aは、接着剤フィルム片5の一部がくり抜かれた(打ち抜かれた)ものである。穴5aの形状、大きさ、位置、数等は、特に限定されるものではない。例えば、穴5aは、接着剤フィルム片5と相似形であってもよく、接着剤フィルム片5と相似形でなくてもよい。穴5aの形状としては、真円、楕円等の円形、三角形、四角形等の多角形、星形、各種マーク等の複雑な形などが挙げられる。四角形としては、正方形、長方形、台形等が挙げられる。穴5aの位置は、接着剤フィルム片5の中央部であってもよく、接着剤フィルム片5の端部であってもよい。一つの接着剤フィルム片5に形成される穴5aの数は、1つであってもよく、2以上であってもよい。一つの接着剤フィルム片5に複数の穴5aが形成される場合は、各穴5aの形状、大きさ等は、同じであってもよく、異なっていてもよい。
図18(a)に示す異方導電性フィルム2G1では、四角形の外形を有する接着剤フィルム片5の中央部に、接着剤フィルム片5と相似する四角形の穴5aが形成されている。
図18(b)に示す異方導電性フィルム2G2では、円形の外形を有する接着剤フィルム片5の中央部に、接着剤フィルム片5と相似する円形の穴5aが形成されている。
図18(c)に示す異方導電性フィルム2G3では、四角形の外形を有する接着剤フィルム片5の中央部に、円形の四角形の穴5aが形成されている。
【0056】
また、複数の接着剤フィルム片5は、同じ形状であってもよく、異なる形状であってもよい。
図2に示すように、本実施形態では、複数の接着剤フィルム片5が、全て同じ形状である。しかしながら、複数の接着剤フィルム片5は、
図15に示す異方導電性フィルム2Dのように、異なる形状であってもよい。この場合、全ての接着剤フィルム片5が互いに異なる形状であってもよく、異なる形状の接着剤フィルム片5と同じ形状の接着剤フィルム片5とが混在していてもよい。
【0057】
また、複数の接着剤フィルム片5は、剥離フィルム4の幅方向Yにおける何れの位置に配置されていてもよい。剥離フィルム4の幅方向Yとは、剥離フィルム4の長手方向X及び剥離フィルム4の厚さ方向Z(
図3参照)と直交する方向である。例えば、
図2に示すように、本実施形態では、接着剤フィルム片5は、剥離フィルム4の幅方向Yにおける中央部に配置されている。しかしながら、接着剤フィルム片5は、
図16に示す異方導電性フィルム2Eのように、剥離フィルム4の幅方向Yにおける端部に配置されていてもよい。
【0058】
また、複数の接着剤フィルム片5は、剥離フィルム4の幅方向に1列に配列されていてもよく、剥離フィルム4の幅方向に複数列に配列されていてもよい。
図2に示すように、本実施形態では、複数の接着剤フィルム片5は、剥離フィルム4の幅方向に1列に配列されている。しかしながら、複数の接着剤フィルム片5は、
図17(a)に示す異方導電性フィルム2F1のように、剥離フィルム4の幅方向に2列に配列されていてもよく、
図17(b)に示す異方導電性フィルム2F2のように、剥離フィルム4の幅方向に3列に配列されていてもよく、
図17(c)に示す異方導電性フィルム2F3のように、剥離フィルム4の長手方向において、剥離フィルム4の幅方向における配列数が異なっていてもよい。
【0059】
また、剥離フィルム4の長手方向Xに離間された複数の接着剤フィルム片5は、剥離フィルム4の幅方向Yから見て、互いに重ならない位置に配置されていてもよく、互いに重なる位置に配置されていてもよい。
図2に示すように、本実施形態では、剥離フィルム4の長手方向Xに離間された複数の接着剤フィルム片5は、剥離フィルム4の幅方向Yから見て、互いに重ならない位置に配置されている。しかしながら、剥離フィルム4の長手方向Xに離間された複数の接着剤フィルム片5は、
図13(c)に示す異方導電性フィルム2B3及び
図14(c)に示す異方導電性フィルム2C3のように、剥離フィルム4の幅方向Yから見て、互いに重なる位置に配置されていてもよい。
【0060】
図4に示すように、剥離フィルム4の長手方向Xにおける複数の接着剤フィルム片5の間隔Aは、0.1mm以上10mm以下とすることができ、0.1mm以上0.8mm以下とすることが好ましく、0.2mm以上0.5mm以下とすることが更に好ましい。また、剥離フィルム4の幅方向Yにおける剥離フィルム4の端縁と当該端縁に最も近い接着剤フィルム片5との間隔Bは、0.1mm以上10mm以下とすることができ、0.1mm以上0.8mm以下とすることが好ましく、0.2mm以上0.5mm以下とすることが更に好ましい。
【0061】
[接続構造体]
図5に示すように、接続構造体10は、第一接着面11aを有する第一回路部材11と、第二接着面12aを有する第二回路部材12と、第一接着面11aと第二接着面12aとを接続する接着剤フィルム片5と、を備える。
【0062】
第一回路部材11は、例えば、ICチップ、LSIチップ、抵抗体チップ、コンデンサチップ等のチップ部品である。第一回路部材11において、第二回路部材12に対向する面が、第一接着面11aとなっている。第一接着面11aには、第二回路部材12と導通するための第一電極(不図示)が配置されている。
【0063】
第二回路部材12は、例えば、ガラス基板、ポリイミド基板、ポリエチレンテレフタラート基板、ポリカーボネート基板、シクロオレフィンポリマ(COP)基板、ポリエチレンナフタレート基板、ガラス強化エポキシ基板、紙フェノール基板、セラミック基板、積層板等の光透過性を有する基板である。第二回路部材12において、第一回路部材11の第一接着面11aに対向する面が、第二接着面12aとなっている。第二接着面12aには、第一回路部材11と導通するための第二電極(不図示)が配置されている。
【0064】
なお、第一回路部材11と第二回路部材12とに明確な区別はなく、各回路部材に如何なる部材を適用してもよい。第一回路部材11としては、例えば、ガラス基板、ポリイミド基板、ポリエチレンテレフタラート基板、ポリカーボネート基板、シクロオレフィンポリマ(COP)基板、ポリエチレンナフタレート基板、ガラス強化エポキシ基板、紙フェノール基板、セラミック基板、積層板等の光透過性を有する基板を用いてもよい。また、第二回路部材12としては、例えば、ICチップ、LSIチップ、抵抗体チップ、コンデンサチップ等のチップ部品を用いてもよい。
【0065】
接着剤フィルム片5は、上述した異方導電性フィルム2から剥離された接着剤フィルム片5である。接着剤フィルム片5は、接着剤6により第一接着面11aと第二接着面12aとを接続し、接着剤6に分散されている導電粒子7により第一接着面11aの第一電極と第二接着面12aの第二電極とを導通させる。
【0066】
[接続構造体の製造方法]
図6に示すように、接続構造体の製造方法は、フィルム製造工程(S1)と、フィルム製造工程(S1)の後に行う接続工程(S2)と、を備える。
【0067】
フィルム製造工程(S1)では、長尺の剥離フィルム4上に、複数の導電性を有する接着剤フィルム片5が設けられるとともに、複数の接着剤フィルム片5が剥離フィルム4の長手方向に配列された、異方導電性フィルム2を製造する。接着剤フィルム片5は、異方導電性を有するために、接着剤6に導電粒子7が分散されたものである。接続工程(S2)では、異方導電性フィルム2の接着剤フィルム片5を介して、第一回路部材11の第一接着面11aと第二回路部材12の第二接着面12aとを接続する。
【0068】
図7に示すように、フィルム製造工程(S1)は、接着剤フィルム層形成工程(S11)と、接着剤フィルム層形成工程(S1)の後に行う接着剤フィルム層切断工程(S12)と、接着剤フィルム層切断工程(S12)の後に行う余白剥離工程(S13)と、を備える。
【0069】
接着剤フィルム層形成工程(S11)では、まず、
図8(a)及び
図9(a)に示すように、剥離フィルム4を用意する。そして、
図8(b)及び
図9(b)に示すように、剥離フィルム4上の全面に、導電性を有する接着剤フィルム層5Aを形成する。接着剤フィルム層5Aは、接着剤6に導電粒子7が分散されたものである。接着剤フィルム層5Aを形成する接着剤6及び導電粒子7は、上述した接着剤フィルム片5を形成する接着剤6及び導電粒子7と同じである。
【0070】
接着剤フィルム層切断工程(S12)では、
図8(c)及び
図9(c)に示すように、剥離フィルム4上に形成された接着剤フィルム層5Aを、接着剤フィルム片5の外形を成す外形線5Bに沿って切断する。これにより、接着剤フィルム層5Aは、外形線5Bの内側に位置する内側部分5A1と、外形線5Bの外側に位置する複数の余白部分5A2と、に分離される。内側部分5A1は、接着剤フィルム片5となる部分である。余白部分5A2は、接着剤フィルム片5以外の部分となる部分である。接着剤フィルム層5Aの切断は、例えば、外周面に切断刃が形成されたロールカッターに接着剤フィルム層5Aを押し当てることにより行う。これにより、接着剤フィルム片5が複雑な形状、微細な形状等であっても、容易に外形線5Bに沿って接着剤フィルム層5Aを切断することができる。
【0071】
余白剥離工程(S13)では、
図8(d)及び
図9(d)に示すように、切断された外形線5Bに沿って、接着剤フィルム層5Aにおける接着剤フィルム片5以外の部分となる余白部分5A2を、剥離フィルム4から剥離する。余白部分5A2の剥離は、例えば、粘着テープを余白部分5A2に粘着させ、この粘着テープを引っ張り、剥離フィルム4から余白部分5A2を引き剥がすことにより行う。すると、剥離フィルム4上に残った内側部分5A1が、接着剤フィルム片5となる。これにより、剥離フィルム4上に複数の接着剤フィルム片5が設けられた異方導電性フィルム2が製造される。
【0072】
このようにして製造された異方導電性フィルム2は、巻芯3に巻回された巻回体1として保管、運搬等されたのち、接続工程(S2)に引き継がれる。なお、異方導電性フィルム2は、巻回体1として巻回されることなく、接続工程(S2)に引き継がれてもよい。
【0073】
図10に示すように、接続工程(S2)は、位置検出工程(S21)と、貼付工程(S22)と、重ね合せ工程(S23)と、備える。
【0074】
位置検出工程(S21)では、まず、巻回体1から異方導電性フィルム2を巻き出す。そして、
図11に示すように、撮像装置21により、異方導電性フィルムにおける接着剤フィルム片5の位置を検出する。このとき、撮像装置21は、剥離フィルム4に対する接着剤フィルム片5側に配置してもよく、剥離フィルム4に対する接着剤フィルム片5の反対側に配置してもよい。
図11に示すように、本実施形態では、撮像装置21は、剥離フィルム4に対する接着剤フィルム片5の反対側に配置されている。この場合、光透過性を有する剥離フィルム4を用いることで、撮像装置21は、剥離フィルム4側から、異方導電性フィルム2における接着剤フィルム片5の位置を検出することができる。
【0075】
貼付工程(S22)では、位置検出工程(S21)により検出された位置に基づいて、接着剤フィルム片5を第一接着面11aに貼り付ける。その後、第一接着面11aに貼り付けた接着剤フィルム片5から剥離フィルム4を剥離する。
【0076】
重ね合せ工程(S23)では、接着剤フィルム片5を介して第一接着面11aと第二接着面12aとを重ね合せる。これにより、第一接着面11aと第二接着面12aとが、接着剤フィルム片5の接着剤6により仮接続される。そして、第一回路部材11及び第二回路部材12を加圧することで、接着剤フィルム片5の導電粒子7により第一回路部材11と第二回路部材12とを導通させ、接着剤フィルム片5の接着剤6に熱または光を与えることで、当該接着剤6を硬化させる。これにより、第一接着面11aと第二接着面12aが接着剤フィルム片5により接続された接続構造体10が得られる。
【0077】
このように、本実施形態に係る異方導電性フィルム2では、長尺の剥離フィルム4上に、複数の接着剤フィルム片5が剥離フィルム4の長手方向Xに配列されている。このため、接着剤フィルム片5の形状を任意に設定することができる。これにより、多様な形状の接着面に対して接着剤フィルム片5を貼り付けることができるともに、接着剤フィルム片5を有効に利用することができる。
【0078】
また、この異方導電性フィルム2では、複数の接着剤フィルム片5が剥離フィルム4の長手方向Xに離間している場合は、隣の接着剤フィルム片5に影響を及ぼすことなく、接着面に接着剤フィルム片5を貼り付けることができる。これにより、接着面に対して接着剤フィルム片5を容易に貼り付けることができる。また、接着剤フィルム片5の形状の自由度を、更に広げることができる。
【0079】
また、この異方導電性フィルム2では、複数の接着剤フィルム片5が同じ形をしている場合は、同じ形をした複数の接着面に対して効率的に接着剤フィルム片5を貼り付けることができる。
【0080】
また、この異方導電性フィルム2では、複数の接着剤フィルム片5が剥離フィルム4の幅方向における中央部に配置されている場合は、接着面に接着剤フィルム片5を貼り付ける際の、接着面に対する異方導電性フィルム2の位置決めを容易に行うことができる。
【0081】
また、この異方導電性フィルム2では、複数の接着剤フィルム片5が剥離フィルム4の幅方向における端部に配置されている場合は、接着面の一方向側に十分なスペースが無い場合であっても、接着面に接着剤フィルム片5を容易に貼り付けることができる。
【0082】
また、この異方導電性フィルム2では、複数の接着剤フィルム片5が剥離フィルム4の幅方向Yにも配列されている場合は、剥離フィルム4に対する接着剤フィルム片5の密度を高くすることができる。これにより、より多くの接着剤フィルム片5を剥離フィルム4上に設けることができる。
【0083】
また、この異方導電性フィルム2では、剥離フィルム4の長手方向Xにおける複数の接着剤フィルム片5の間隔が0.1mm以上である場合は、隣の接着剤フィルム片5に影響を及ぼすことなく、接着面に接着剤フィルム片5を容易に貼り付けることができる。一方、この間隔が10mm以下である場合は、剥離フィルム4に対する接着剤フィルム片5の密度を高くして、より多くの接着剤フィルム片5を剥離フィルム4上に設けることができる。
【0084】
また、この異方導電性フィルム2では、剥離フィルム4の幅方向における剥離フィルム4の端縁と当該端縁に最も近い接着剤フィルム片5との間隔が0.1mm以上である場合は、剥離フィルム4の端部が他部材と干渉等しても、剥離フィルム4から接着剤フィルム片5が剥離するのを抑制することができる。一方、この間隔が10mm以下である場合は、剥離フィルム4上に効率的に接着剤フィルム片5を設けることができる。
【0085】
また、この異方導電性フィルム2では、剥離フィルム4が光透過性を有する場合は、剥離フィルム4に対する接着剤フィルム片5の反対側に撮像装置21を配置しても、当該撮像装置21により異方導電性フィルム2における接着剤フィルム片5の位置を検出することが可能となる。
【0086】
また、この異方導電性フィルム2では、剥離フィルム4の透過率が15%以上である場合は、剥離フィルム4側から接着剤フィルム片5の位置を容易に検出することができる。一方、剥離フィルム4の透過率が100%以下である場合は、剥離フィルム4を容易に作製することができる。
【0087】
また、この異方導電性フィルム2では、剥離フィルム4のヘイズ値が3%以上である場合は、剥離フィルム4側から接着剤フィルム片5の位置を容易に検出することができる。一方、剥離フィルム4のヘイズ値が100%以下である場合は、剥離フィルム4を容易に作製することができる。
【0088】
本実施形態に係る巻回体1では、巻芯3に上記の異方導電性フィルム2が巻回されているため、多様な形状の接着面に対して接着剤フィルム片5を貼り付けることができるともに、接着剤フィルム片5を有効に利用することができる。
【0089】
本実施形態に係る接続構造体10では、上記の接着剤フィルム片5により、第一接着面11aと第二接着面12aとが接続されている。このため、第一接着面11a及び第二接着面12aの形状によらず、第一接着面11a及び第二接着面12aに接着剤フィルム片5が適切に貼り付けられた接続構造体10を得ることができる。
【0090】
本実施形態に係る接続構造体の製造方法では、剥離フィルム4上に複数の接着剤フィルム片5が設けられた異方導電性フィルム2を製造し、この異方導電性フィルム2の接着剤フィルム片5を介して第一接着面11aと第二接着面12aとを接続する。そして、接着剤フィルム片5は、任意に形状を設定することができるため、第一接着面11a及び第二接着面12aの形状によらず、第一接着面11a及び第二接着面12aに接着剤フィルム片5が適切に貼り付けられた接続構造体10を製造することができる。また、接着剤フィルム片5を有効に利用することができる。
【0091】
また、この接続構造体の製造方法では、剥離フィルム4上の全面に接着剤フィルム層5Aを形成し、接着剤フィルム層5Aを外形線5Bに沿って切断し、切断した外形線5Bに沿って余白部分5A2を剥離フィルム4から剥離する。これにより、容易に、剥離フィルム4上に複数の接着剤フィルム片5を設けることができる。
【0092】
また、この接続構造体の製造方法では、撮像装置21により異方導電性フィルム2における接着剤フィルム片5の位置を検出し、この検出した位置に基づいて接着剤フィルム片5を第一接着面11aに貼り付ける。このため、接着面に対する接着剤フィルム片5の位置精度を高めることができる。そして、この接着剤フィルム片5を介して第一接着面11aと第二接着面12aとを重ね合せるため、第一接着面11a及び第二接着面12a内に接着剤フィルム片5を収めやすくすることができる。
【0093】
また、この接続構造体の製造方法では、接着剤フィルム片5を第一接着面11aに貼り付けた後に接着剤フィルム片5から剥離フィルム4を剥離するため、接着剤フィルム片5を容易に第一接着面11aに貼り付けることができる。
【0094】
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更が可能である。以下に、上記実施形態の変形例について説明する。
【0095】
[変形例1]
図19に示すように、変形例1の異方導電性フィルム2Hは、接着剤フィルム片5を覆う第二剥離フィルム片8を更に備えている。つまり、異方導電性フィルム2Hは、長尺の剥離フィルム4と、剥離フィルム4上に設けられて、接着剤6に導電粒子7が分散された複数の接着剤フィルム片5と、各接着剤フィルム片5上に設けられた第二剥離フィルム片8と、を備える。第二剥離フィルム片8は、接着剤フィルム片5の表面を覆うことで接着剤フィルム片5を保護するフィルムである。このため、変形例1では、巻回体1は、この異方導電性フィルム2Hが巻芯3に巻回されてなる。
【0096】
変形例1では、フィルム製造工程(S1)及び接続工程(S2)は、以下のようになる。
【0097】
フィルム製造工程(S1)の接着剤フィルム層形成工程(S11)では、まず、
図20(a)に示すように、剥離フィルム4を用意する。次に、
図20(b)に示すように、剥離フィルム4上の全面に、接着剤フィルム層5Aを形成する。次に、
図20(c)に示すように、接着剤フィルム層5A上の全面に、第二剥離フィルム8Aを被せる(貼り付ける)。第二剥離フィルム8Aの素材は、第二剥離フィルム片8と同じである。
【0098】
フィルム製造工程(S1)の接着剤フィルム層切断工程(S12)では、
図20(d)に示すように、剥離フィルム4上に形成された接着剤フィルム層5A及び第二剥離フィルム8Aを、外形線5Bに沿って切断する。これにより、接着剤フィルム層5Aは、外形線5Bの内側に位置する内側部分5A1と、外形線5Bの外側に位置する複数の余白部分5A2と、に分離される。同様に、第二剥離フィルム8Aは、外形線5Bの内側に位置する内側部分8A1と、外形線5Bの外側に位置する複数の余白部分8A2と、に分離される。
【0099】
フィルム製造工程(S1)の余白剥離工程(S13)では、
図20(e)に示すように、切断された外形線5Bに沿って、余白部分5A2及び余白部分8A2を、剥離フィルム4から剥離する。すると、剥離フィルム4上には、内側部分5A1及び内側部分8A1が残る。剥離フィルム4上に残った内側部分5A1及び内側部分8A1は、接着剤フィルム片5及び第二剥離フィルム片8となる。これにより、第二剥離フィルム片8に覆われた複数の接着剤フィルム片5が剥離フィルム4上に設けられた、異方導電性フィルム2Hが製造される。
【0100】
このようにして製造された異方導電性フィルム2Hは、巻芯3に巻回された巻回体1として保管、運搬等されたのち、接続工程(S2)に引き継がれる。なお、異方導電性フィルム2Hは、巻回体1として巻回されることなく、接続工程(S2)に引き継がれてもよい。
【0101】
接続工程(S2)では、貼付工程(S22)よりも前に、第二剥離フィルム片剥離工程を行う。剥離工程では、まず、巻回体1から引き出された異方導電性フィルム2Hにおいて、接着剤フィルム片5から第二剥離フィルム片8を剥離する。第二剥離フィルム片8の剥離は、例えば、粘着テープを第二剥離フィルム片8に粘着させ、この粘着テープを引っ張り、接着剤フィルム片5から第二剥離フィルム片8を引き剥がすことにより行うことができる。なお、剥離工程は、貼付工程(S22)よりも前であれば、接続工程(S2)のどの段階で行ってもよい。その後は、上記実施形態と同様である。
【0102】
このように、変形例1の異方導電性フィルム2Hでは、接着剤フィルム片5の表面が第二剥離フィルム片8で覆われるため、接着剤フィルム片5を保護することができる。このため、異方導電性フィルム2Hが巻芯3に巻回された巻回体1においては、接着剤フィルム片5が内周側又は外周側に隣接する剥離フィルム4に転写されるのを抑制することができる。
【0103】
また、変形例1では、剥離フィルム4上の全面に接着剤フィルム層5Aを形成し、接着剤フィルム層5A上の全面に第二剥離フィルム8Aを被せ、接着剤フィルム層5Aを外形線5Bに沿って切断し、切断した外形線5Bに沿って余白部分5A2を剥離フィルム4から剥離する。これにより、容易に、剥離フィルム4上に複数の接着剤フィルム片5を設けるとともに、接着剤フィルム片5上に第二剥離フィルム片8を被せることができる。
【0104】
また、貼付工程の前に、接着剤フィルム片5から第二剥離フィルム片8を剥離するため、接着剤フィルム片5を第一接着面11aに確実に貼り付けることができる。
【0105】
[変形例2]
図21に示すように、変形例2の接続構造体の製造方法では、接続工程(S2)は、位置検出工程(S21)の前に行うフィルム切断工程(S24)を更に備えている。
【0106】
フィルム切断工程(S24)では、
図22及び
図23に示すように、まず、異方導電性フィルム2を、複数の異方導電性フィルム片2Zに切断する。異方導電性フィルム片2Zは、剥離フィルム4に1又は複数の接着剤フィルム片5が設けられたフィルム片である。そして、フィルム切断工程(S24)に続く位置検出工程(S21)では、撮像装置21により異方導電性フィルム片2Zにおける接着剤フィルム片5の位置を検出する。異方導電性フィルム片2Zには、1つの接着剤フィルム片5のみが設けられていてもよく、2以上の接着剤フィルム片5が設けられていてもよい。本実施形態では、異方導電性フィルム片2Zに、1つの接着剤フィルム片5のみが設けられている。
【0107】
この接続構造体の製造方法では、異方導電性フィルム2を複数の異方導電性フィルム片2Zに切断するため、複数の場所で接着剤フィルム片5を貼り付ける場合、接着剤フィルム片5の貼付方向を変えたい場合等にも、柔軟に対応することができる。そして、撮像装置21により異方導電性フィルム片2Zにおける接着剤フィルム片5の位置を検出するため、異方導電性フィルム2を複数の異方導電性フィルム片2Zに切断しても、接着面に対する接着剤フィルム片5の位置精度を高めることができる。
【0108】
[変形例3]
上記実施形態では、本発明に係る導電性フィルムを、異方導電性を有する異方導電性フィルムに適用したものとして説明したが、本発明に係る導電性フィルムは、異方導電性を有する異方導電性フィルムに限定されるものではない。つまり、接着剤フィルム片及び接着剤フィルム層は、導電性を有していればよく、接着剤に導電粒子が分散されているものでなくてもよい。この場合の接着剤フィルム片及び接着剤フィルム層としては、酸化インジウムスズ(Indium-Tin-Oxide:ITO)、酸化インジュウム、酸化スズ等の金属酸化物、導電性繊維を含むもの、などが挙げられる。この導電性繊維としては、例えば、金、銀、白金等の金属繊維、及びカーボンナノチューブ等の炭素繊維が挙げられる。
【符号の説明】
【0109】
1…巻回体、2(2A,2B1,2B2,2B3,2C1,2C2,2C3,2D,2E,2F1,2F2,2F3,2G1,2G2,2G3,2H)…異方導電性フィルム(導電性フィルム)、2Z…異方導電性フィルム片(導電性フィルム片)、3…巻芯、3a…芯材、3b…側板、4…剥離フィルム、5…接着剤フィルム片、5A…接着剤フィルム層、5A1…内側部分、5A2…余白部分、5B…外形線、6…接着剤、7…導電粒子、8…第二剥離フィルム片、8A…第二剥離フィルム、8A1…内側部分、8A2…余白部分、10…接続構造体、11…第一回路部材、11a…第一接着面、12…第二回路部材、12a…第二接着面、21…撮像装置、X…長手方向、Y…幅方向、Z…厚さ方向。